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特開2023-18232半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018232
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 41/30 20230101AFI20230201BHJP
   H10B 69/00 20230101ALI20230201BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230201BHJP
   G11C 11/00 20060101ALI20230201BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
H01L27/11521
H01L27/115
H01L29/78 371
G11C11/00 100
G11C16/04 143
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122186
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】森 徹
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA09
5B225BA14
5B225CA06
5B225EA01
5B225EB01
5B225FA07
5F083CR12
5F083EP02
5F083EP22
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083ER03
5F083ER14
5F083GA09
5F083JA03
5F083JA19
5F083JA32
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083LA12
5F083LA16
5F083MA06
5F083MA16
5F083NA01
5F083PR03
5F083PR21
5F083PR22
5F083ZA14
5F101BA02
5F101BB02
5F101BC02
5F101BD02
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH14
(57)【要約】
【課題】面積当たりの容量が大きい半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】繰り返し書き換え可能な単層ゲート型の複数の第1のメモリセル及び一度のみ書き込みが可能な複数の第2のメモリセルを含む複数のメモリセルからなるメモリセルアレイが1の面に形成された半導体基板を有する半導体記憶装置であって、複数のメモリセルの各々は、データ書き込み時に電圧が印加される第1導電型の第1のアクティブ領域と、データ読み出し時に電圧が印加される第2導電型の第2のアクティブ領域と、第2のアクティブ領域を挟んで第1のアクティブ領域と対向する位置に設けられた第1導電型の第3のアクティブ領域と、第1、第2及び第3のアクティブ領域の上面に跨って半導体基板の1の面に延在するように形成されたフローティングゲートと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返し書き換え可能な単層ゲート型の複数の第1のメモリセル及び一度のみ書き込みが可能な複数の第2のメモリセルを含む複数のメモリセルからなるメモリセルアレイが1の面に形成された半導体基板を有する半導体記憶装置であって、
前記複数のメモリセルの各々は、
前記半導体基板の前記1の面において前記複数のメモリセルの各々に設けられ、前記複数のメモリセルの各々へのデータ書き込み時に電圧が印加される第1導電型の第1のアクティブ領域と、
前記半導体基板の前記1の面において前記複数のメモリセルの各々に設けられ、前記複数のメモリセルの各々からのデータ読み出し時に電圧が印加される前記第1導電型とは反対導電型の第2のアクティブ領域と、
前記半導体基板の前記1の面において前記複数のメモリセルの各々に設けられ、前記第2のアクティブ領域を挟んで前記第1のアクティブ領域と対向する位置に設けられた前記第1導電型の第3のアクティブ領域と、
前記第1のアクティブ領域の上面、前記第2のアクティブ領域の上面、及び前記第3のアクティブ領域の上面に跨って、前記半導体基板の前記1の面上に延在するようにそれぞれ形成されたフローティングゲートと、
を含むことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数の第1のメモリセルは前記1の面の第1の領域に配列されて第1のメモリセルアレイを形成し、前記複数の第2のメモリセルは前記1の面の第2の領域に配列されて第2のメモリセルアレイを形成していることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記半導体基板の前記1の面上において、前記複数の第1のメモリセルの各々を覆うように形成されたパッシベーション膜と、
前記パッシベーション膜上に形成されたウエハコート膜と、
をさらに有し、
前記第2のメモリセルの各々上には、前記パッシベーション膜のみが形成されておりかつ前記ウェハコート膜が形成されていないか、または前記パッシベーション膜及び前記ウェハコート膜の両方が形成されていないことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第2のメモリセルは、ヒューズ型のメモリ又はOTPメモリとして構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
単層ゲート型の複数の第1のメモリセルからなるメモリセルアレイが形成された第1の領域と、複数の第2のメモリセルからなるメモリセルアレイが形成された第2の領域と、が1の面に形成された半導体基板を有する半導体記憶装置であって、
前記半導体基板の前記1の面に設けられ、前記複数の第1のメモリセル及び前記複数の第2のメモリセルの各々へのデータ書き込み時に電圧が印加される第1導電型の第1のアクティブ領域と、
前記半導体基板の前記1の面において前記複数の第1のメモリセル及び前記複数の第2のメモリセルの各々に設けられ、前記複数の第1のメモリセル及び前記複数の第2のメモリセルの各々からのデータ読み出し時に電圧が印加される前記第1導電型とは反対導電型の第2のアクティブ領域と、
前記半導体基板の前記1の面において前記複数の第1のメモリセル及び前記複数の第2のメモリセルの各々に設けられ、前記第2のアクティブ領域を挟んで前記第1のアクティブ領域と対向する位置に設けられた前記第1導電型の第3のアクティブ領域と、
前記半導体基板の前記1の面上において前記複数の第1のメモリセル及び前記複数の第2のメモリセルの各々に設けられ、前記第1のアクティブ領域の上面、前記第2のアクティブ領域の上面、及び前記第3のアクティブ領域の上面に跨って、前記半導体基板の前記1の面上に延在するようにそれぞれ形成されたフローティングゲートと、
前記半導体基板の前記1の面上の前記第1の領域において、前記複数の第1のメモリセルの各々を覆うように形成されたパッシベーション膜と、
前記パッシベーション膜上に形成されたウエハコート膜と、
を有し、
前記半導体基板の前記1の面上の前記第2の領域には、前記パッシベーション膜のみが形成されておりかつ前記ウェハコート膜が形成されていないか、または前記パッシベーション膜及び前記ウェハコート膜の両方が形成されていないことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項6】
繰り返し書き換え可能な第1のメモリセル及び一度のみ書き込みが可能な第2のメモリセルを含む複数のメモリセルからなるメモリセルアレイが1の面に形成された半導体基板を有する半導体記憶装置の製造方法であって、
前記半導体基板の前記1の面の第1の領域から内部に向かって延在するように第1導電型のウェルを形成することにより第1のアクティブ領域を形成するとともに、前記半導体基板の前記1の面の前記第1の領域とは離隔した第3の領域から内部に向かって延在するように前記第1導電型のウェルを形成して第3のアクティブ領域を形成するステップと、
前記半導体基板の前記1の面の前記第1の領域と前記第3の領域との間に位置する第2の領域から内部に向かって延在するように、前記第1導電型とは逆極性の第2導電型のウェルを形成することにより第2のアクティブ領域を形成するステップと、
前記第1の領域の上面、前記第2の領域の上面及び前記第3の領域の上面に跨って前記半導体基板の前記1の面上に延在するように導体層を形成することによりフローティングゲートを形成するステップと、
前記第1のアクティブ領域、前記第2のアクティブ領域、前記第3のアクティブ領域及び前記フローティングゲートの表面を覆うようにパッシベーション膜を形成し、前記第2のメモリ領域における前記パッシベーション膜を除去するステップと、
前記パッシベーション膜の表面にイミド膜を形成するステップと、
前記半導体基板の前記1の面の前記第2の領域に紫外線を照射するステップと、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
繰り返し書き換え可能な第1のメモリセル及び一度のみ書き込みが可能な第2のメモリセルを含む複数のメモリセルからなるメモリセルアレイが1の面に形成された半導体基板を有する半導体記憶装置の製造方法であって、
前記半導体基板の前記1の面の第1の領域から内部に向かって延在するように第1導電型のウェルを形成することにより第1のアクティブ領域を形成するとともに、前記半導体基板の前記1の面の前記第1の領域とは離隔した第3の領域から内部に向かって延在するように前記第1導電型のウェルを形成して第3のアクティブ領域を形成するステップと、
前記半導体基板の前記1の面の前記第1の領域と前記第3の領域との間に位置する第2の領域から内部に向かって延在するように、前記第1導電型とは逆極性の第2導電型のウェルを形成することにより第2のアクティブ領域を形成するステップと、
前記第1の領域の上面、前記第2の領域の上面及び前記第3の領域の上面に跨って前記半導体基板の前記1の面上に延在するように導体層を形成することによりフローティングゲートを形成するステップと、
前記第1のアクティブ領域、前記第2のアクティブ領域、前記第3のアクティブ領域及び前記フローティングゲートの表面を覆うようにパッシベーション膜を形成するステップと、
前記パッシベーション膜の表面のうち前記第2のメモリ領域を除く領域にイミド膜を形成するステップと、
前記半導体基板の前記1の面の前記第2の領域に紫外線を照射するステップと、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
繰り返し書き換え可能な第1のメモリセル及び一度のみ書き込みが可能な第2のメモリセルを含む複数のメモリセルからなるメモリセルアレイが1の面に形成された半導体基板を有する半導体記憶装置の製造方法であって、
半導体基板の1の面の第1の領域から内部に向かって延在するように第1導電型のウェルを形成することにより第1のアクティブ領域を形成するとともに、前記半導体基板の前記1の面の前記第1の領域とは離隔した第3の領域から内部に向かって延在するように前記第1導電型のウェルを形成して第3のアクティブ領域を形成するステップと、
前記半導体基板の前記1の面の前記第1の領域と前記第3の領域との間に位置する第2の領域から内部に向かって延在するように、前記第1導電型とは逆極性の第2導電型のウェルを形成することにより第2のアクティブ領域を形成するステップと、
前記第1の領域の上面、前記第2の領域の上面及び前記第3の領域の上面に跨って前記半導体基板の前記1の面上に延在するように導体層を形成することによりフローティングゲートを形成するステップと、
前記半導体基板の前記1の面に紫外線を照射するステップと、
前記第1のアクティブ領域、前記第2のアクティブ領域、前記第3のアクティブ領域及び前記フローティングゲートの表面を覆うようにパッシベーション膜を形成するステップと、
前記パッシベーション膜の表面にイミド膜を形成するステップと、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置、特に単層ポリシリコン型の不揮発性メモリを含む半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フローティングゲート内の電荷の蓄積状態を変化させることによりデータの記憶及び消去を行う不揮発性メモリとして、単層ポリシリコン型の不揮発性メモリが知られている(例えば、特許文献1)。単層ポリシリコン型の不揮発性メモリでは、ワードライン及びトンネルラインの容量結合の結合比に応じてデータの書込及び消去を行うことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-62065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような単層ポリシリコン型の不揮発性メモリは、単層のポリシリコンにより構成されているためFLASH(登録商標)メモリ等の他のメモリと比べて製造コストが低く、またロジック回路を混載しやすいという利点がある。しかしながら、FLASHメモリ等の他のメモリと比べると記憶容量に対するセル面積が大きいため、大容量のメモリチップに搭載するには不向きであるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、面積当たりの容量が大きい半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体記憶装置は、繰り返し書き換え可能な単層ゲート型の複数の第1のメモリセル及び一度のみ書き込みが可能な複数の第2のメモリセルを含む複数のメモリセルからなるメモリセルアレイが1の面に形成された半導体基板を有する半導体記憶装置であって、 前記複数のメモリセルの各々は、前記半導体基板の前記1の面において前記複数のメモリセルの各々に設けられ、前記複数のメモリセルの各々へのデータ書き込み時に電圧が印加される第1導電型の第1のアクティブ領域と、前記半導体基板の前記1の面において前記複数のメモリセルの各々に設けられ、前記複数のメモリセルの各々からのデータ読み出し時に電圧が印加される前記第1導電型とは反対導電型の第2のアクティブ領域と、前記半導体基板の前記1の面において前記複数のメモリセルの各々に設けられ、前記第2のアクティブ領域を挟んで前記第1のアクティブ領域と対向する位置に設けられた前記第1導電型の第3のアクティブ領域と、前記第1のアクティブ領域の上面、前記第2のアクティブ領域の上面、及び前記第3のアクティブ領域の上面に跨って、前記半導体基板の前記1の面上に延在するようにそれぞれ形成されたフローティングゲートと、を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、繰り返し書き換え可能な第1のメモリセル及び一度のみ書き込みが可能な第2のメモリセルを含む複数のメモリセルからなるメモリセルアレイが1の面に形成された半導体基板を有する半導体記憶装置の製造方法であって、前記半導体基板の前記1の面の第1の領域から内部に向かって延在するように第1導電型のウェルを形成することにより第1のアクティブ領域を形成するとともに、前記半導体基板の前記1の面の前記第1の領域とは離隔した第3の領域から内部に向かって延在するように前記第1導電型のウェルを形成して第3のアクティブ領域を形成するステップと、前記半導体基板の前記1の面の前記第1の領域と前記第3の領域との間に位置する第2の領域から内部に向かって延在するように、前記第1導電型とは逆極性の第2導電型のウェルを形成することにより第2のアクティブ領域を形成するステップと、前記第1の領域の上面、前記第2の領域の上面及び前記第3の領域の上面に跨って前記半導体基板の前記1の面上に延在するように導体層を形成することによりフローティングゲートを形成するステップと、前記第1のアクティブ領域、前記第2のアクティブ領域、前記第3のアクティブ領域及び前記フローティングゲートの表面を覆うようにパッシベーション膜を形成し、前記第2のメモリ領域における前記パッシベーション膜を除去するステップと、前記パッシベーション膜の表面にイミド膜を形成するステップと、前記半導体基板の前記1の面の前記第2の領域に紫外線を照射するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の半導体記憶装置によれば、面積当たりの容量が大きい半導体記憶装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】半導体記憶装置の構成を示す上面図である。
図2】第1メモリの上面図である。
図3図2の第1メモリの3-3線に沿った断面図である。
図4】実施例1の半導体記憶装置における第2メモリの断面図である。
図5】実施例1の半導体記憶装置の製造工程を示すフローチャートである。
図6A】素子分離層形成工程における半導体記憶装置の断面図である。
図6B】P型ウェル領域形成工程における半導体記憶装置の断面図である。
図6C】ゲートポリシリコン形成工程における半導体記憶装置の断面図である。
図6D】配線層形成工程における半導体記憶装置の断面図である。
図6E】WC形成工程における半導体記憶装置の断面図である。
図7】UV照射後、書き込み後及び消去後のセル電流を示す図である。
図8】実施例2の半導体記憶装置における第2メモリの断面図である。
図9】実施例2の半導体記憶装置の製造工程を示すフローチャートである。
図10】実施例3の半導体記憶装置における第2メモリの断面図である。
図11】実施例3の半導体記憶装置の製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の各実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一または等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0011】
図1は、本発明の実施例1に係る半導体記憶装置100を素子形成面(1の面)の上方から見た上面図である。半導体記憶装置100は、メモリセルが複数配列された構造を有する。本実施例の半導体記憶装置100は、繰り返し書き換え可能な不揮発性のメモリセルを搭載する領域である書換可能メモリ領域A1と、一回のみの書込みが可能なメモリセルを搭載するROM領域A2と、を有する。書換可能メモリ領域A1及びROM領域A2の各々において複数のメモリセルが配列され、メモリセルアレイが形成されている。
【0012】
図2は、半導体記憶装置100の書換可能メモリ領域A1に搭載されたメモリセルのうちの1つである第1メモリ200、及びROM領域A2に搭載されたメモリセルのうちの1つである第2メモリ300の上面図である。ここでは、第1メモリ200の表面に形成されたPV窒化膜及びウエハコートの図示を省略している。
【0013】
第1メモリ200は、単層ポリシリコン型の書き換え可能な不揮発性半導体メモリとして用いられるメモリセルである。第2メモリ300は、OTP(One Time Programmable)メモリ又はヒューズ型メモリからなる一回のみの書き込みが可能なメモリとして用いられるメモリセルである。
【0014】
第1メモリ200は、Si(シリコン)基板等からなる半導体基板によって構成されており、その素子形成面を含む表層部には、第1のアクティブ領域11、第2のアクティブ領域12及び第3のアクティブ領域13が形成されている。
【0015】
第1のアクティブ領域11は、第1導電型であるN型のウェル領域から構成され、データの書き込み時に所定の書込電圧の印加を受ける書き込み用のアクティブ領域である。第1のアクティブ領域11は、図1に示す書換可能メモリ領域A1からROM領域A2に亘って延伸する帯状の形状を有する。
【0016】
第1メモリ200の素子搭載面には、第1のアクティブ領域11の延伸方向に沿って配線されたワード線WLが設けられている。ワード線WLは、第1のアクティブ領域11に接続されている。
【0017】
第2のアクティブ領域12は、第1導電型とは反対導電型の第2導電型であるP型のウェル領域から構成され、データ読み出し時に所定の読出電圧の印加を受ける読み出し用のアクティブ領域である。第2のアクティブ領域12は、上面視で、第1のアクティブ領域11の延伸方向に平行な方向に延伸する長方形の形状を有する。第2のアクティブ領域12の表面には、タングステン等の導電体から構成される一対のコンタクトCTが設けられ、各々のコンタクトCTを介してセレクタ線SL及びビット線BLに接続されている。
【0018】
第3のアクティブ領域13は、第1導電型であるN型のウェル領域から構成され、データの消去時に所定の消去電圧の印加を受ける消去用のアクティブ領域である。
【0019】
第1メモリ200の表面には、単層のポリシリコン(ゲートポリシリコン)からなる導電層であるフローティングゲート21が設けられている。フローティングゲート21は、第1のアクティブ領域11、第2のアクティブ領域12及び第3のアクティブ領域13の上面に亘り、且つ各々の表面の一部を露出するように配置されている。
【0020】
フローティングゲート21は、第1のアクティブ領域11の表面の一部を覆う上面視で矩形形状を有する書き込み領域部WCと、第3のアクティブ領域13の表面の一部を覆う上面視で矩形形状を有する消去領域部ECと、第2のアクティブ領域12の表面を横断するように書き込み領域部WCと消去領域部ECとを接続する帯状の読み出し領域部DCと、から構成されている。
【0021】
また、第1メモリ200の表面には、単層のポリシリコンからなるセレクタゲート22が設けられている。セレクタゲート22は、上面視で長方形の形状を有し、長手方向が第2のアクティブ領域12の表面を横断するように配置されている。
【0022】
第1メモリ200の素子搭載面には、第1のアクティブ領域11の延伸方向に沿って配線されたワード線WLが設けられている。ワード線WLは、第1のアクティブ領域11に接続されている。また、ワード線WLと平行に配線TLが設けられ、第3のアクティブ領域13に接続されている。
【0023】
また、第2のアクティブ領域12の延伸方向に沿って、セレクタ線SL及びビット線BLが配線されている。第2のアクティブ領域12の表面には、タングステン等の導電体から構成される一対のコンタクトCTが第2のアクティブ領域12とフローティングゲート21との交差位置を挟んで対向するように設けられている。セレクタ線SL及びビット線BLは、当該一対のコンタクトCTを介して第2のアクティブ領域12に接続されている。
【0024】
なお、第2メモリ300は、表面にPV窒化膜及びウエハコートが形成されていない点を除き、第1メモリ200と同様の上面構成を有する。
【0025】
図3は、図2の3-3線に沿った断面図である。第1メモリ200は、半導体基板30に形成された第1ウェル領域31、第2ウェル領域32及び第3ウェル領域33から構成されている。
【0026】
第1ウェル領域31は、データ書き込みのためのアクティブ領域である第1のアクティブ領域11を構成するN型ウェル領域である。第2ウェル領域32は、データ読み出しのためのアクティブ領域である第2のアクティブ領域12を構成するP型ウェル領域である。また、第3ウェル領域33は、データ消去のためのアクティブ領域である第3のアクティブ領域13A及び13Bを構成するN型ウェル領域である。
【0027】
各ウェル領域の表層部の間の領域には、素子分離層34が形成されている。素子分離層34は、隣接するウェル領域の間に設けられた溝に酸化膜を埋め込むことにより形成された、STI(Shallow Trench Isolation)構造を有する絶縁層である。
【0028】
半導体基板30の表面には、シリコン酸化膜からなるトンネル酸化膜35が形成され、トンネル酸化膜35上にはフローティングゲート21が形成されている。
【0029】
第1ウェル領域31のフローティングゲート21によって覆われた部分は、第1メモリ200によって構成されるメモリセルにデータの書き込み及び消去を行う際のコントロールゲートとして機能するウェル領域である。第3ウェル領域33のフローティングゲート21によって覆われた部分は、メモリセルにデータの書き込み及び消去を行う際のトンネルゲートとして機能するウェル領域である。
【0030】
第1ウェル領域31及び第3ウェル領域33の表面には、それぞれワード線WL及び配線TLに相当するメタル配線MTが接続されている。また、半導体基板30の表面には、フローティングゲート21の表面と各ウェル領域の表面とを覆うように絶縁層36が形成されている。
【0031】
絶縁層36の上部には、メタル配線MT及び絶縁層36を覆うようにパッシベーション膜37が形成されている。パッシベーション膜37は、例えば窒化シリコン(SiN)から構成されている。
【0032】
パッシベーション膜37の上部には、ウエハコート38が形成されている。ウエハコート38は、ポリイミド(Polyimide)からなるイミド膜によって構成されている。
【0033】
図4は、図2の4-4線に沿った断面図である。第2メモリ300は、図3の第1メモリ200とは異なり、絶縁層36の上部にパッシベーション膜37及びウエハコート38が形成されていない。それ以外の点については、第2メモリ300は第1メモリ200と共通の断面構成を有するため、ここでは説明を省略する。
【0034】
図2及び図3に示す第1メモリ200では、データの書き込み時にコントロールゲートを構成する第1のアクティブ領域11に電圧Vw(Vw>0V)を印加し、トンネルゲートを構成する第3のアクティブ領域13に電圧0Vを印加し、読み出しゲートを構成する第2のアクティブ領域12に中間電圧Vc(0V<Vc<Vw)を印加する。これにより、第3ウェル領域33からフローティングゲート21に電荷が注入される。また、データの消去時には第1のアクティブ領域11に電圧0V、第3のアクティブ領域13に電圧Vw、第2のアクティブ領域12に中間電圧Vcをそれぞれ印加する。これによりフローティングゲート21の電位が下降し、フローティングゲート21に蓄積されていた電荷が第3ウェル領域33へと移動する。
【0035】
一方、第2メモリ300は一回のみデータの書き込みが可能な不揮発性半導体メモリである。第2メモリ300がヒューズ型メモリである場合、トリミングによって第2メモリ300への書き込みを行う。一方、第2メモリ300がOTPメモリである場合、第1メモリ200と同様の電圧印加により、ROM書き込みを行う。
【0036】
次に、本実施例の半導体メモリ100の製造方法について、図5に示す製造フローに沿って、図6A~6Eの断面図を参照しつつ説明する。
【0037】
まず、Si基板等からなる半導体基板41の表面にエッチングを行い、トレンチ(溝)を形成する。そして、形成した溝にCVD(Chemical Vapor Deposition)法によってSiO等の絶縁膜を形成する。これにより、図6Aに示すような素子分離層42が形成される(STEP101)。
【0038】
次に、フォトリソグラフィによりパターニングしたレジスト膜を半導体基板41の表面に形成し、イオン注入により第1導電型(本実施例では、N型)の不純物として例えばP+(リン)或いはAs+(ヒ素)を注入する。これにより、N型ウェル領域43が形成される(STEP102)。
【0039】
また、レジスト膜を形成し、第2導電型(本実施例では、P型)の不純物を注入する。これにより、図6Bに示すように、P型ウェル領域44が形成される(STEP103)。
【0040】
次に、熱酸化法により、N型ウェル領域43、P型ウェル領域44及び素子分離層42が形成された半導体基板41の表面にシリコン酸化膜を形成する。これにより、トンネル酸化膜45が形成される(STEP104)。
【0041】
次に、CVD法によりトンネル酸化膜45の表面を覆うようにポリシリコン膜を形成する。また、CVD法により、ポリシリコン膜の側部にサイドウォールを形成する。これにより、図6Cに示すように、ゲートポリシリコン46及びサイドウォール47が形成される(STEP105)。
【0042】
次に、CVD法により、半導体基板30及びゲートポリシリコン46の表面を覆うようにNSG膜及びPSG膜を順次堆積し、絶縁層48を形成する(STEP106)。
【0043】
次に、スパッタ法により導電膜を堆積後、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより導電膜をパターニングして配線層を形成する。これにより、図6Dに示すように、メタル配線MTが形成される(STEP107)。
【0044】
次に、CVD法により、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とを堆積し、半導体基板30及びゲートポリシリコン46の表面にシリコン窒化膜を形成する。そして、エッチングにより、図1に示すROM領域A2におけるシリコン窒化膜を除去する。これにより、ROM領域A2を除く半導体基板30の表面にパッシベーション膜49が形成される(STEP108)。
【0045】
次に、フォトリソグラフィによりパッシベーション膜49の表面にイミド膜を形成する。これにより、図6Eに示すように、ROM領域A2を除く表面にウエハコート50が形成される(STEP109)。
【0046】
以上のようなウエハアッププロセス(WPUP)を経た後、UV(紫外線)の照射を行う(STEP110)。
【0047】
UV照射後、第1メモリ200及び第2メモリ300の各々にデータの書き込みを行う(STEP111)。
【0048】
以上の工程により本実施例の半導体記憶装置100が製造され、その後、製品として出荷される。
【0049】
図7は、UV照射後、データ書き込み後、及びデータ消去後における読み出し電流(セル電流)の電流分布を示す図である。
【0050】
書き込み後のセル電流は、図7に破線で示すように、5μA以下の電流値となる。また、消去後のセル電流は、図7に一点鎖線で示すように、約70~80μAの電流値となる。第1メモリ200は、単層ポリシリコン型の書き換え可能な不揮発性メモリであり、書き込み時にはフローティングゲートに電子を注入し、消去時には正孔(ホール)を注入して書き込み及び消去を行う構造であるため、このような電流分布となる。
【0051】
一方、UV照射後のセル電流は、約50~60μAの電流値となる。本実施例の半導体記憶装置100では、第2メモリ300は、第1メモリ200と同じ上面及び断面構造(ただし、パッシベーション膜37及びウエハコート38を除く)を有しており、同じチップに形成されている。このため、半導体記憶装置100としては、UV照射、書き込み、消去という3つの状態をとりうる。
【0052】
したがって、本実施例の半導体記憶装置100によれば、データを“0”及び“1”の2値でのみ表すことができる従来の半導体記憶装置とは異なり、データを3値(例えば、“00”、“01”、“10”)で表すことができる。これにより、ROMではあるが同じ面積で1.5倍の容量を搭載することが可能となる。
【0053】
また、本実施例の半導体装置100では、ROM領域A2の表面にはパッシベーション膜37及びウエハコート38を形成しない。このため、ウエハアッププロセス(WPUP)の後にUV照射及び第2メモリ300へのデータ書き込み(例えば、ヒューズメモリの場合はトリミング、OTPメモリの場合はROM書き込み)を実施することができる。したがって、本実施例の半導体装置100によれば、WPUP後であっても製品をパッケージに組むまでの間、UV照射及びデータ書き込みをやり直すことが可能となる。
【実施例0054】
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例の半導体記憶装置は、第2メモリの構成において実施例1の半導体記憶装置100と異なる。
【0055】
図8は、実施例2の半導体記憶装置における第2メモリ400の断面図である。本実施例の第2メモリ400は、実施例1の第2メモリ300とは異なり、絶縁層36の上部にパッシベーション膜37が形成されている。
【0056】
図9は、実施例2の半導体記憶装置の製造工程を示すフローチャートである。STEP201~207は、図5に示す実施例1のSTEP101~107と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
STEP207で配線層の形成を行った後、CVD法により、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とを堆積し、半導体基板30及びゲートポリシリコン46の表面にシリコン窒化膜を形成する。本実施例では、実施例1とは異なり、ROM領域A2におけるシリコン窒化膜の除去は行わない。これにより、ROM領域A2を含む半導体基板30の表面にパッシベーション膜が形成される(STEP208)。
【0058】
次に、パッシベーション膜が形成された状態の半導体基板30に対し、UV(紫外線)の照射を行う。なお、本実施例ではパッシベーション膜越しにUV照射を行うため、実施例1よりも長い照射時間でUV照射を行う(STEP209)。
【0059】
次に、フォトリソグラフィによりパッシベーション膜49の表面にイミド膜を形成する。本実施例では、ROM領域A2を除く表面にイミド膜を形成する。これにより、ROM領域A2を除く表面にウエハコート50が形成される(STEP210)。
【0060】
以上のようなウエハアッププロセス(WPUP)を経た後、第1メモリ200及び第2メモリ300の各々にデータの書き込みを行う(STEP211)。
【0061】
以上の工程により、本実施例の半導体記憶装置が製造される。本実施例の半導体記憶装置では、実施例1の半導体記憶装置と同様に、書き換え可能な不揮発性メモリとOTPメモリ又はヒューズ型メモリからなるROMとが混載された構造を有する。このため、データを3値化することができ、書き換え可能な不揮発性メモリのみを有する半導体記憶装置と比べて、同じ面積で1.5倍の容量を搭載することが可能となる。
【0062】
また、本実施例の半導体記憶装置では、図8に示すように、第2メモリ400の表面にパッシベーション膜37が形成されている。このため、パッシベーション膜37を有しない場合と比べて、優れた耐湿性が得られる。
【実施例0063】
次に、本発明の実施例3について説明する。本実施例の半導体記憶装置は、第2メモリの構成において実施例1の半導体記憶装置100と異なる。
【0064】
図10は、実施例3の半導体記憶装置における第2メモリ500の断面図である。本実施例の第2メモリ500は、実施例1の第2メモリ300とは異なり、絶縁層36の上部にパッシベーション膜37及びウエハコート38が形成されている。
【0065】
図11は、実施例3の半導体記憶装置の製造工程を示すフローチャートである。STEP301~307は、図5に示す実施例1のSTEP101~107と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
本実施例では、STEP307で配線層の形成を行った後、UV(紫外線)の照射を行う(STEP308)。
【0067】
次に、CVD法により、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とを堆積し、半導体基板30及びゲートポリシリコン46の表面にシリコン窒化膜を形成する。本実施例では、実施例1とは異なり、ROM領域A2におけるシリコン窒化膜の除去は行わない。これにより、ROM領域A2を含む半導体基板30の表面にパッシベーション膜が形成される(STEP309)。
【0068】
次に、フォトリソグラフィによりパッシベーション膜49の表面にイミド膜を形成する。本実施例では、実施例1及び実施例2と異なり、ROM領域A2を含む表面全体にイミド膜を形成する。これにより、第2メモリ500の表面にもウエハコート50が形成される(STEP310)。
【0069】
以上のようなウエハアッププロセス(WPUP)を経た後、第1メモリ200及び第2メモリ300の各々にデータの書き込みを行う(STEP311)。
【0070】
以上の工程により、本実施例の半導体記憶装置が製造される。本実施例の半導体記憶装置では、実施例1の半導体記憶装置と同様に、書き換え可能な不揮発性メモリとOTPメモリ又はヒューズ型メモリからなるROMとが混載された構造を有する。このため、データを3値化することができ、書き換え可能な不揮発性メモリのみを有する半導体記憶装置と比べて、同じ面積で1.5倍の容量を搭載することが可能となる。
【0071】
また、本実施例の半導体記憶装置における第2メモリ500は、図10に示すように、パッシベーション膜37及びウエハコート38が表面に形成されており、第1メモリ200と同じ構造を有する。このため、パッシベーション膜37及びウエハコート38を有しない場合と比べて、耐湿性に優れ且つストレスに強い半導体記憶装置を実現することが可能となる。
【0072】
なお、本発明は上記実施例で示したものに限られない。例えば、第1のアクティブ領域11、第2のアクティブ領域12及び第3のアクティブ領域13の上面視での形状は、上記実施例で示したものに限られない。
【0073】
また、上記実施例では、ポリシリコンからなる導電層であるゲートポリシリコンを用いてフローティングゲートを構成する場合を例として説明した。しかし、ポリシリコン以外の導電性を有する他の材料からなる導電層を用いてフローティングゲートを構成してもよい。また、パッシベーション膜及びウエハコートを構成する材料は、上記実施例で示したものに限定されない。
【0074】
また、上記実施例で示した製造方法は一例であり、上記とは異なる工程で製造してもよい。特に、配線層形成までの各工程は上記実施例で説明した内容に限られず、任意の方法を採ることが可能である。
【符号の説明】
【0075】
100 半導体記憶装置
200 第1メモリ
300、400、500 第2メモリ
11 第1のアクティブ領域
12 第2のアクティブ領域
13 第3のアクティブ領域
21 フローティングゲート
22 セレクタゲート
31 第1ウェル領域
32 第2ウェル領域
33 第3ウェル領域
34 素子分離領層
35 トンネル酸化膜
36 絶縁層
37 パッシベーション膜
38 ウエハコート
41 半導体基板
42 素子分離層
43 N型ウェル領域
44 P型ウェル領域
45 トンネル酸化膜
46 ゲートポリシリコン
47 サイドウォール
48 絶縁層
49 パッシベーション膜
50 ウエハコート
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
図9
図10
図11