(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182330
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】画像形成システム及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20231219BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20231219BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20231219BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20231219BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20231219BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/01 J
B41J29/46 Z
H04N1/387 110
H04N1/00 838
B41J29/393 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095866
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】横井 望
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
2H300
5C062
5C076
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061HV01
2C061HV32
2H270KA04
2H270KA32
2H270KA53
2H270KA59
2H270KA68
2H270LD03
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2H270MA01
2H270MA08
2H270MA14
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2H270MB25
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2H270MB43
2H270PA75
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2H300EB05
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2H300GG11
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2H300QQ28
2H300RR20
2H300RR21
2H300RR50
2H300TT03
2H300TT04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
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5C062AC34
5C062AC55
5C062AC58
5C062AE03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF15
5C076AA14
5C076BA06
(57)【要約】
【課題】意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できない場合、意図通りの視認困難画像をもう一度、記録媒体上に作り直すことができるようにする。
【解決手段】視認困難画像情報に基づいて視認困難画像を記録媒体上に形成する画像形成部100を備えた画像形成システムであって、視認困難画像を読み取る画像読取部200と、前記画像読取部が視認困難画像を読み取って得た読取画像情報と、該視認困難画像に対応する視認困難画像情報との比較を行う比較部300と、前記比較部の比較結果から生成される補正情報を用いて、前記画像形成部の画像形成条件を補正する補正部100とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視認困難画像情報に基づいて視認困難画像を記録媒体上に形成する画像形成部を備えた画像形成システムであって、
視認困難画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部が視認困難画像を読み取って得た読取画像情報と、該視認困難画像に対応する視認困難画像情報との比較を行う比較部と、
前記比較部の比較結果から生成される補正情報を用いて、前記画像形成部の画像形成条件を補正する補正部とを有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
視認困難画像情報に基づいて視認困難画像を記録媒体上に形成する画像形成部とを備えた画像形成システムであって、
視認困難画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部が視認困難画像を読み取って得た読取画像情報と、該視認困難画像に対応する視認困難画像情報との比較を行う比較部と、
前記比較部の比較結果に基づく報知情報をユーザーに報知する報知部とを有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成システムにおいて、
前記画像形成部は、前記視認困難画像とともに、該視認困難画像に対応する視認困難画像情報を識別するための識別画像を該記録媒体上に形成し、
前記比較部は、前記画像読取部が前記識別画像を読み取って得た読取識別情報から特定される視認困難画像情報を用いて前記比較を行うことを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成システムにおいて、
前記視認困難画像情報は、前記読取識別情報から得られる識別データは暗号化されたものであることを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項3に記載の画像形成システムにおいて、
前記読取識別情報から前記識別画像に対応した視認困難画像情報が特定されないとき、ユーザーへの通知を行うユーザー通知部を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の画像形成システムにおいて、
前記読取画像情報と前記視認困難画像情報との誤差が所定誤差以上であるとき、ユーザーへの通知を行うユーザー通知部を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の画像形成システムにおいて、
前記比較結果は、前記読取画像情報と前記視認困難画像情報との誤差を含むことを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の画像形成システムにおいて、
前記画像形成部及び前記画像読取部と前記比較部との間の通信を行う通信部を有し、
前記通信部は、前記読取画像情報を前記画像読取部から前記比較部に送信するとともに、前記比較結果又は該比較結果から生成される情報を前記比較部から前記画像形成部に送信することを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の画像形成システムにおいて、
前記比較結果又は該比較結果から生成される情報を蓄積する蓄積部を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
視認困難画像情報に基づいて視認困難画像を記録媒体上に形成する画像形成部を備えた画像形成装置であって、
視認困難画像を画像読取部により読み取って得られた読取画像情報と該視認困難画像に対応する視認困難画像情報との比較結果、又は、該比較結果から生成される補正情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した比較結果又は補正情報を用いて、前記画像形成部の画像形成条件を補正する補正部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
視認困難画像情報に基づいて視認困難画像を記録媒体上に形成する画像形成部を備えた画像形成装置であって、
視認困難画像を画像読取部により読み取って得られた読取画像情報と該視認困難画像に対応する視認困難画像情報との比較結果、又は、該比較結果から生成される情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した比較結果又は該比較結果から生成される情報に基づく報知情報をユーザーに報知する報知部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、視認困難画像情報に基づいて視認困難画像を記録媒体上に形成する画像形成部を備えた画像形成システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、印刷装置(画像形成システム)によりIDカード(記録媒体)上に形成された通常画像(可視画像)及び不可視画像(視認困難画像)を、真贋判断システムの読取装置によって読み取る構成が開示されている。この構成では、一定の資格が必要な施設へのユーザーの入退場を管理するため、ユーザーの所持するIDカードの画像を、当該施設に設置された真贋判断システムの読取装置で読み取ることで、そのIDカードの真贋を判断する。真贋の判断では、読取装置で読み取った通常画像と不可視画像の両方が重ねられたOR画像、あるいは、各画像読取部で読み取った通常画像と不可視画像の重複部分のみからなるAND画像を生成する。そして、生成した画像を真贋判断情報として用い、当該IDカードの真贋を判断する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録媒体上に形成された視認困難画像は可視光下での発色が抑制されているため、意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できなかった場合、意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できたか否かを人間が確認することが難しい。また、従来の画像形成システムには、意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できたか否かを確認するための手段が備わっていない。そのため、意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できなかった場合、意図通りの視認困難画像をもう一度作り直す機会が得られず、意図通りの視認困難画像が形成された記録媒体を得ることができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、視認困難画像情報に基づいて視認困難画像を記録媒体上に形成する画像形成部を備えた画像形成システムであって、視認困難画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部が視認困難画像を読み取って得た読取画像情報と、該視認困難画像に対応する視認困難画像情報との比較を行う比較部と、前記比較部の比較結果から生成される補正情報を用いて、前記画像形成部の画像形成条件を補正する補正部とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できない場合でも、意図通りの視認困難画像をもう一度、記録媒体上に作り直すことが可能となり、意図通りの視認困難画像が形成された記録媒体を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の画像形成システムの全体構成を示す説明図。
【
図2】同画像形成システムに係る画像形成装置の全体構成を示す説明図。
【
図3】同画像形成システムにおけるIR画像の印刷判定の流れを示すシーケンス図。
【
図4】(a)は、判定対象のIR画像と識別画像とが印刷された用紙の一例を示す説明図。(b)は、対応するIR画像情報のIR画像の一例を示す説明図。
【
図5】同画像形成システムにおける判定装置で行われる判定の流れの一例を示すフローチャート。
【
図6】同画像形成システムにおける画像形成装置で行われる画質調整の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を、画像形成部を備える画像形成装置と画像読取部を備える画像読取装置とを備えた画像形成システムに適用した一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態における画像形成部は、記録媒体上に視認困難画像を形成するものであれば、特に制限はない。したがって、画像形成方式にも制限はなく、電子写真方式であっても、インクジェット方式であっても、他の画像形成方式であってもよい。
【0009】
本実施形態では、画像形成装置として、電子写真方式のカラープリンタを用いる例に挙げて説明するが、プリンタ以外にも、複写機、ファクシミリ単体、あるいは、プリンタ、複写機、ファクシミリ、スキャナのうちの少なくとも2つの機能を備えた複合機であってもよい。
【0010】
本実施形態のプリンタが用いる視認困難画像用トナーは、主に、可視画像中に付加情報を埋め込む場合に使用される。例えば、不正コピー防止等の目的で、可視画像用トナーによる可視画像とともに、不可視パターン、地紋などと呼ばれる目視で認識しにくい視認困難画像(人間が一見しても視認できない「COPY」等の文字画像)を記録媒体に形成する場合に使用される。また、例えば、バーコードやQRコード(登録商標)等のコード画像の情報量を増やす目的で、可視画像によるコード画像と視認困難画像によるコード画像とを重ねて記録媒体に形成する場合に使用される。なお、視認困難画像用トナーは、可視画像を形成せずに視認困難画像だけを記録媒体上に形成する場合にも使用されてもよい。
【0011】
視認困難画像とは、後述するように、可視光下で通常の可視画像用トナーよりも透明性が高いトナーによって形成される画像であって、本実施形態ではさらに赤外光等を照射するなどの処理によって、発光、発色等が行われ、視認が容易になるようにされている。
【0012】
視認困難画像用トナーとしては、透明性を有する赤外光吸収トナーや、紫外線を当てると蛍光する透明性の蛍光トナーなど、可視光領域外の光を吸収したり、可視光領域外の光によって可視光領域の光を発光したりするものが挙げられる。本実施形態は、視認困難画像用トナーとして、赤外光吸収トナーを用いる例で説明する。
【0013】
以下の説明において、各部材のトナー別符号として、可視画像用トナーであるイエロートナー(Yトナー)は「Y」、可視画像用トナーであるマゼンタトナー(Mトナー)は「M」、可視画像用トナーであるシアントナー(Cトナー)は「C」、視認困難画像用トナーである赤外光吸収トナー(IRトナー)は「IR」を用いる。視認困難画像用トナーとしては、可視光下で発色を抑制されているような透明トナー(透明性トナー)が望ましい。また、通常の可視画像用トナーよりも色素含有量が少ない。
【0014】
まず、本実施形態に係る画像形成システムの全体構成について説明する。
図1は、本実施形態の画像形成システムの全体構成を示す説明図である。
本実施形態の画像形成システムは、主に、画像形成装置100と、画像読取装置200と、判定装置300と、サーバ400と、ユーザーPC(パーソナルコンピュータ)500とから構成されている。画像形成装置100と、画像読取装置200と、判定装置300と、サーバ400とは、通信部を構成する通信ネットワーク600を介して通信可能に接続されている。また、ユーザーPC500は、画像形成装置100及び画像読取装置200に対して通信可能に接続されている。
【0015】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置100の全体構成を示す説明図である。
本実施形態の画像形成装置は、画像形成部1と、転写部2と、記録媒体供給部3と、定着部4と、記録媒体排出部5と、制御部30と、画像形成制御部40とから、主に構成されている。
【0016】
画像形成部1には、作像ユニットとしての4つのプロセスユニット6Y,6M,6C,6IRが設けられている。各プロセスユニット6Y,6M,6C,6IRは、使用するトナーの種類が異なる以外は同様の構成となっている。なお、本実施形態では、黒(K)のトナーを用いるプロセスユニットを備えていないので、カラー画像やモノクロ画像はY、M、Cのカラートナーのみを用いてを形成する。Kのプロセスユニットを追加してもよいが、その場合、装置が大型化するという欠点がある。
【0017】
また、IRのプロセスユニット6IRを着脱可能な構成とし、IRのプロセスユニットに代えて、Kのプロセスユニットを装着できるように構成してもよい。この場合、IRトナーを用いずに画像形成を行う場合には、Kのプロセスユニットを装着することで、Y、M、CのカラートナーとKトナーとを用いて、カラー画像やモノクロ画像を形成することができる。
【0018】
また、すべてのプロセスユニットを着脱可能とし、プロセスユニットを装着する位置を互いに入れ替えることができるようにしてもよい。この場合、IRのプロセスユニットの位置を入れ替えることで、記録媒体上におけるIRトナー像と各カラートナー像との位置関係(トナー像積層方向における位置関係)を適宜入れ替えることが可能となる。
【0019】
本実施形態において、各プロセスユニット6Y,6M,6C,6IRは、潜像を担持する潜像担持体としての感光体7と、感光体7の表面を帯電させる帯電手段としての帯電装置8と、感光体7上の潜像を現像する現像手段としての現像装置9と、感光体7の表面をクリーニングする潜像担持体クリーニング手段としての感光体クリーニング装置10などで構成されている。各感光体7に対向した位置には、それぞれ、感光体7の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置11が設けられている。本実施形態では、露光装置11としてLEDユニットを用いているが、レーザダイオードを用いたレーザビームスキャン方式のものを用いてもよい。
【0020】
転写部2には、感光体7上のトナー像が転写される像担持体としての中間転写体である無端状の中間転写ベルト12と、感光体7上の画像を中間転写ベルト12に一次転写する一次転写手段としての複数の一次転写装置13と、中間転写ベルト12に転写されたトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段としての二次転写ローラ14と、中間転写ベルト12の表面(外周面)をクリーニングする中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置17とが配置されている。
【0021】
中間転写ベルト12は、駆動ローラ15と従動ローラ16とに張架されており、駆動ローラ15が回転することで周回走行(回転)する。各一次転写装置13の一次転写ローラは、中間転写ベルト12を各感光体7に押し当てるように配置されている。これにより、中間転写ベルト12と各感光体7との接触箇所には、各感光体7上の画像が中間転写ベルト12に転写される一次転写ニップが形成される。一方、二次転写ローラ14は、駆動ローラ15に巻き付いた中間転写ベルト12の部分に接触するように配置されている。この二次転写ローラ14と中間転写ベルト12とが接触する箇所には、中間転写ベルト12上の画像が記録媒体に転写される二次転写ニップが形成される。
【0022】
記録媒体供給部3には、記録媒体としての用紙Pを収容する記録媒体収容部としての給紙カセット18と、給紙カセット18から用紙Pを給送する記録媒体給送手段としての給紙ローラ19と、給紙ローラ19によって給送された用紙Pを所定のタイミングで前記二次転写ニップへ搬送する記録媒体搬送手段としてのタイミングローラ20が配置されている。なお、記録媒体としては、用紙以外に、OHPシートやOHPフィルム、布等であってもよい。また、用紙には、普通紙のほか、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、和紙等の凹凸紙、トレーシングペーパ等が含まれる。
【0023】
定着部4には、用紙Pに画像を定着する定着手段としての定着装置21が配置されている。定着装置21は、ヒータ等の加熱源によって加熱される定着部材としての定着ローラ22と、定着ローラ22に対して所定の圧力で接触して定着ニップを形成する加圧部材としての加圧ローラ23とから主に構成されている。
【0024】
記録媒体排出部5には、定着装置21から送り出された用紙Pを装置外に排出する記録媒体排出手段としての排紙ローラ24と、排紙ローラ24によって排出された用紙Pを載置する記録媒体載置部としての排紙トレイ25とが配置されている。
【0025】
制御部30は、画像読取装置(スキャナ)やユーザーPC500等からの入力画像情報に対する画像処理を行い、また、画像形成装置全体の制御を担うものである。
また、画像形成制御部40は、制御部30の制御の下、画像形成装置の各部(画像形成部1、転写部2、記録媒体供給部3、定着部4、記録媒体排出部5等)における画像形成動作を制御するものである。
【0026】
また、本実施形態の画像形成装置には、上述の各構成要素に加え、画像形成に用いられる粉体であるトナーを収容する粉体収容容器としての複数のトナーカートリッジ26が装着されている。各トナーカートリッジ26は、対応する現像装置9内のトナーと同じ種類のトナーが収容されており、現像装置9内のトナーが所定量を下回ると、トナーカートリッジ26からトナーが補給される。さらに、画像形成装置には、トナーカートリッジ26とは別の粉体収容容器として、廃トナー収容容器27が装着されている。この廃トナー収容容器27には、ベルトクリーニング装置17あるいは感光体クリーニング装置10によって回収された廃トナーが収容される。
【0027】
また、
図2に示すように、本実施形態の画像形成装置は、装置本体(画像形成装置本体)100の上部を開閉するためのカバー部材101を備える。カバー部材101は、装置本体に設けられた回動軸103を中心に上下に回動可能となっている。また、カバー部材101の下方には、4つのトナーカートリッジ26を着脱可能に保持する容器保持部材102が配置されている。容器保持部材102は、装置本体に設けられた別の回動軸104を中心に上下に回動可能となっている。
【0028】
本実施形態において、プロセスユニット6Y,6M,6C,6IRは、IRトナーからなるIRトナー像(視認困難画像用トナー像)よりも、記録媒体上で、Y、M、Cのカラートナー(可視画像用トナー)からなるカラートナー像が記録媒体側に形成されるように、IRのプロセスユニット6IRが中間転写ベルト12の走行方向最上流側に配置され、その下流側にカラーのプロセスユニット6Y,6M,6Cが配置されている。つまり、中間転写ベルト12上では、ベルト側から順に、IRトナー像、Yトナー像、Mトナー像、Cトナー像が積層されるが、これを二次転写した後の記録媒体上においては、記録媒体側から順に、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像、IRトナー像の順となる。
【0029】
なお、カラーのプロセスユニット6Y,6M,6Cに対してIRのプロセスユニット6IRをどこに配置するかは、適宜設定可能であるが、最下流ではなく、IRのプロセスユニット6IRの下流側に少なくとも1つのカラーのプロセスユニット6Y,6M,6Cが配置されるのが好ましい。これは、後述するIR画像確認モードにおいて、IRのプロセスユニット6IRで中間転写ベルト12上にIRトナーを転写した後すぐに(中間転写ベルトを空回りさせることなく)、当該IRトナーに対してカラートナーを付着させることができるためである。上述したように、プロセスユニット6Y,6M,6C,6IRの装着位置を互いに入れ替えることができる構成とした場合には、IRのプロセスユニットの位置を自由に入れ替えることができる。
【0030】
また、本実施形態の画像形成装置では、Y、M、C、IRの各トナーの付着量(単位面積当たりのトナー付着量)を調整して各トナーによる画像濃度の調整を行う。詳しくは、中間転写ベルト12上に形成されるY、M、C、IRの各トナーのテスト像(異なる目標濃度となるように作像された複数のトナーパッチ)のトナー付着量を検知するトナー付着量検知センサが設けられている。このトナー付着量検知センサで検知した結果から、所望の濃度に対して所望のトナーが付着するように、Y、M、C、IRの各プロセスユニットにおける作像条件(画像形成条件)等が調整される。
【0031】
本実施形態のトナー付着量検知センサは、Y、M、C、IRの各テスト像に対して共通に使用されるものでもよいし、Y、M、C、IRの各テスト像に対して個別に使用されるものでもよい。また、本実施形態のトナー付着量検知センサは、光学式の画像濃度センサであり、正反射光および拡散反射光の両方を取得することによって各テスト像のトナー付着量(テスト像の画像濃度)を検知する。本実施形態のIRトナーは、定着処理後は不可視画像(目視しにくい画像、あるいは、可視光領域内に吸収ピークを実質的に持たない画像)となるが、定着処理前の中間転写ベルト12上では、目視できる画像、あるいは、可視光領域内に吸収ピークを実質的に持つ画像であるため、C、M、Yと同様のトナー付着量検知センサを用いることができる。なお、IRトナーのテスト像については、正反射光のみを取得してテスト像のトナー付着量を検知するよりも、正反射光および拡散反射光の両方を取得してテスト像のトナー付着量を検知する方が、高精度のトナー付着量検知を実現できる。
【0032】
続いて、本実施形態の画像形成装置の基本的な動作について説明する。
画像形成動作が開始されると、各感光体7が回転駆動され、帯電装置8の帯電ローラに所定の帯電バイアスを印加することで、各感光体7の表面が所定の極性(例えばマイナス極性)で所定の帯電電位となるように、一様に帯電される。次いで、画像読取装置(スキャナ)やユーザーPC500等からの入力画像情報に基づき、露光装置11が各感光体7の帯電面にレーザ光を照射し、照射された感光体表面部分の電位が落ちる(電位がゼロに近づく)ように処理され、電位が落とされた部分(画像部)と電位が落とされない部分(地肌部)とのパターンによって、入力画像情報に対応する潜像(静電潜像)が形成される。
【0033】
各感光体7上に形成される潜像は、所望のフルカラー画像をY、M、Cの色情報に分解した単色の画像情報に基づく潜像である。詳しくは、入力画像情報の色情報(RGB、YCM等)を、当該画像形成装置用の色情報(YMC)へ変換・分解するための色変換分解テーブルを用い、入力画像情報を、Y、M、Cの色情報に変換、分解した単色の画像情報を生成し、Y、M、C用の各露光装置11は、Y、M、Cの各色の画像情報に基づいてそれぞれの感光体7上に各色の潜像を形成する。
【0034】
また、本実施形態では、入力画像情報に含まれる付加情報や当該画像形成装置によって付加される付加情報等からIRの画像情報を生成する。入力画像情報に含まれる付加情報は、ユーザーPC500上のアプリケーションによって付加される情報でもよいし、ユーザーPC500上のプリントドライバによって付加される情報でもよい。IR用の露光装置11は、IRの画像情報に基づいてIRプロセスユニット6IRの感光体7上にIRの潜像を形成する。
【0035】
感光体7上に形成されたY、C、M、IRの各潜像は、感光体の回転駆動に伴って現像装置9と対向する現像領域へと搬送される。現像装置9では、回転駆動するトナー担持体としての現像ローラ上にトナー(現像剤)が担持され、現像ローラには所定の現像バイアスが印加される。トナーは、供給ローラ9bから現像ローラ9a上へと供給されるところ、現像ローラ9aと供給ローラ9bとの対向部でトナーが正規極性(例えばマイナス極性)に摩擦帯電する。
【0036】
このように正規極性に帯電されたトナーが現像ローラ9aの回転駆動により現像領域へ搬送されると、感光体表面上の画像部(露光装置11により電位が落とされた部分)と現像ローラ9aの電位(現像バイアス電位)との間の現像ポテンシャルにより正規極性のトナーが感光体の画像部側へ移動し、感光体表面上の地肌部(露光装置11により電位が落とされていない部分)と現像ローラ9aの電位(現像バイアス電位)との間の地肌ポテンシャルにより正規極性のトナーが現像ローラ9a側へ移動する力が作用する。このように、それぞれの現像装置9の現像領域において、それぞれの正規極性のトナーが感光体上の画像部に付着することで、Y、C、M、IRの潜像はそれぞれトナー像に現像される。
【0037】
各感光体7上のトナー像は、周回走行する中間転写ベルト12上に順次重ね合せて転写される。詳しくは、感光体7上のトナー像が一次転写ニップの位置に達すると、一次転写装置13の一次転写ローラに所定の電圧(一次転写バイアス)が印加されて形成される転写電界によって、感光体7上のトナー像が中間転写ベルト12上に順次転写される。このようにして、中間転写ベルト12の表面には、Y、C、Mトナーからなるフルカラートナー像(可視画像用トナー像)及びIRトナーからなるIRトナー像(視認困難画像用トナー像)が形成される。なお、中間転写ベルト12に転写しきれなかった各感光体7上のトナーは、感光体クリーニング装置10によって除去される。
【0038】
また、画像形成動作が開始されると、給紙ローラ19が回転して、給紙カセット18から用紙Pが給送される。給送された用紙Pは、タイミングローラ20によって搬送が一旦停止される。その後、所定のタイミングでタイミングローラ20の回転駆動が開始され、中間転写ベルト12上のトナー像が二次転写ニップに達するタイミングに合わせて、用紙Pが二次転写ニップへ搬送される。
【0039】
用紙Pが二次転写ニップに搬送された際、二次転写ローラ14には所定の電圧(二次転写バイアス)が印加されており、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、この二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト12上のトナー像が用紙Pに一括して転写される。また、このとき、中間転写ベルト12上に残ったトナーはベルトクリーニング装置17によって除去される。
【0040】
その後、用紙Pは定着装置21へと搬送され、定着ローラ22と加圧ローラ23によってトナー像が加熱されつつ加圧されて用紙Pに定着される。そして、用紙Pは排紙ローラ24によって装置外に排出され、排紙トレイ25上に載置される。
【0041】
以上の説明は、フルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット6Y,6M,6C,6IRのいずれか1つを使用して画像を形成したり、いずれか2つ又は3つのプロセスユニットを使用して画像を形成したりすることも可能である。
【0042】
IRトナー像を作像する特殊画像形成動作において、入力画像情報の色情報がRGB多値の情報であり、入力画像情報にIRの画像情報(付加情報)が含まれている場合には、そのIRの画像情報に基づいてIR画像を形成する。なお、入力画像情報に含まれる付加情報は、画像情報でなくてもよく、非画像情報である場合には、例えば、制御部30において、予め決められたIR画像生成プログラムを実行し、その付加情報からIRの画像情報を生成する。また、入力画像情報に付加情報が含まれていない場合でも、制御部30において、ユーザー指定等に応じたIRの画像情報を生成してもよい。
【0043】
本実施形態において、視認困難画像情報としてのIR画像情報(付加情報)は、判定装置300に記憶されて管理されている。画像形成装置100が特殊画像形成動作を実行してIR画像情報(付加情報)に基づくIR画像を用紙P上に形成する場合、画像形成装置100は、判定装置300から当該IR画像情報(付加情報)を、通信ネットワーク600を介して受信(取得)し、受信したIR画像情報(付加情報)に基づいてIR画像を用紙P上に形成する。
【0044】
本画像形成システムにおける画像読取装置200は、用紙P上に形成されたIR画像(視認困難画像)を読み取る画像読取部を備えたものである。この画像読取部は、IR画像を検出できる画像センサを備え、ユーザーにより画像読取装置200にセットされた用紙P上のIR画像を読み取り、IR画像の読取画像情報を生成して出力する。本実施形態の画像読取装置200は、画像形成装置100とは別体に構成されているが、画像形成装置100と一体に構成されていてもよい。
【0045】
本画像形成システムにおける判定装置300は、上述したように、IR画像情報(付加情報)を記憶する記憶部を備え、IR画像情報(付加情報)を管理している。このように画像形成装置100とは別構成である判定装置300で、視認困難画像情報としてのIR画像情報(付加情報)を管理することで、IR画像の高い秘匿性を確保することができる。なお、判定装置300の記憶部に記憶されるIR画像情報(付加情報)は、サーバ400などの記憶部に記憶するようにしてもよい。判定装置300は、画像形成装置100からの要求に応じ、要求に係るIR画像情報(付加情報)を、通信ネットワーク600を介して画像形成装置100へ送信する通信機能を備えている。
【0046】
また、判定装置300は、画像読取装置200から出力されるIR画像の読取画像情報を、通信ネットワーク600を介して受信(取得)する通信機能を備えている。判定装置300は、画像読取装置200から受信したIR画像の読取画像情報と、判定装置300の記憶部に記憶されている当該IR画像に対応したIR画像情報との比較を行う比較部としての判定部を備えている。本実施形態の判定部は、上述した比較により、IR画像の読取画像情報が適正であるか否かの判定を行う。
【0047】
この判定の処理は、上述した比較の結果を用いた処理であればよく、例えば、上述した比較の結果から、IR画像の補正が必要であるか否かの判定を行ったり、IR画像の読取画像情報と当該IR画像に対応したIR画像情報との誤差(ずれ)を判定したりする処理などが挙げられる。
【0048】
また、サーバ400は、判定装置300での比較結果や判定結果を、通信ネットワーク600を介して受信(取得)する通信機能を備えているクラウドサーバである。サーバ400は、判定装置300から受信した情報(比較結果や判定結果)を蓄積部で蓄積する。サーバ400の蓄積部に蓄積される情報は、例えば、画像形成装置100のメンテナンスや、判定装置300におけるIR画像情報(付加情報)の管理などに、適宜利用される。
【0049】
ユーザーPC500は、ユーザーによって操作され、画像形成装置100や画像読取装置200に対し、そのユーザー操作の内容に応じた要求やデータを、通信ネットワーク600を介して送信する通信機能を備えている。なお、ユーザーは、画像形成装置100や画像読取装置200に備わっている操作部に対してユーザー操作を行うことにより、画像形成装置100や画像読取装置200に対する要求などを行うこともできる。
【0050】
次に、本実施形態の特徴部分であるIR画像の印刷判定について説明する。
一般に、画像形成装置100における画像形成不良等により、例えばIR画像が歪んで形成されたり、かすんで形成されたり、あるいは、IR画像の位置がずれて形成されたりするなどして、意図通りのIR画像が用紙P上に形成できない事態が起こり得る。従来、意図通りのIR画像が用紙P上に形成できたか否かを画像形成システム内で判定するものがなかった。しかも、用紙P上に形成されたIR画像は可視光下での発色が抑制されているため、ユーザーも、意図通りのIR画像が用紙P上に形成できたか否かを目視で判定することもできない。その結果、IR画像が何等かの原因(画像形成不良等)で意図通りに形成できなかった場合、意図通りのIR画像をもう一度、用紙P上に作り直すことができないという状況になる。
【0051】
このような状況になると、例えば、IR画像を用紙(あるいは用紙上に形成された可視画像)の真贋判定(印刷物の真贋判定)に利用するような場合、IR画像が意図通りに形成されていないために、本物(真)の印刷物が偽物(贋)の印刷物であると判定されてしまうなどの不具合を引き起こす。
【0052】
そこで、本実施形態においては、画像形成装置100により用紙P上に形成されるIR画像(用紙P上に形成される前の画像(例えば中間転写ベルト12上のトナー像)であってもよい。)を画像読取装置200により読み取って、用紙P上のIR画像の読取画像情報を得る。判定装置300は、画像読取装置200から出力されるIR画像の読取画像情報を受信し、受信したIR画像の読取画像情報と、判定装置300の記憶部に記憶されている当該IR画像に対応したIR画像情報との比較を行う。そして、判定装置300は、この比較の結果から生成される判定結果を画像形成装置100へ送信する。これにより、画像形成装置100では、この判定結果に基づく補正情報(調整値)を用いて、プロセスユニット6IRによるIR画像の画像形成条件(帯電装置8による目標帯電電位、露光装置11の露光開始位置や露光強度、現像装置9の現像バイアス、一次転写装置13の転写バイアスなど)を補正(調整)する。
【0053】
図3は、本実施形態におけるIR画像の印刷判定の流れを示すシーケンス図である。
本実施形態において、画像形成装置100によりIR画像を用紙P上に形成するユーザーは、形成されたIR画像が意図通りに形成されているかどうか(IR画像の画像形成条件の補正(調整)が必要であるかどうか)を判定することができる。なお、意図通りとは、判定対象であるIR画像と、そのIR画像を形成する際に用いたIR画像情報が示す本来のIR画像との誤差が許容範囲内であることを意味する。
【0054】
印刷判定を行う場合、ユーザーは、画像形成装置100の操作部を操作して(ユーザーPC500を操作してもよい。)、例えばIR画像を含む所望の画像を用紙P上に形成するための印刷要求を行う際に、IR画像の印刷判定要求を行う(S1)。複数枚の用紙にIR画像を形成する場合には、ユーザーに、どのIR画像(どの用紙のIR画像)に対して印刷判定を行うのかを指定させるようにしてもよい。
【0055】
IR画像の印刷判定要求を受けた画像形成装置100は、この印刷判定要求を判定装置300へ出力する(S2)。この印刷判定要求を受けた判定装置300は、この印刷判定要求に係るIR画像に対し、このIR画像に対応するIR画像情報を識別するための識別画像を付加した画像(IR画像+識別画像)の画像情報を生成し、この画像情報を画像形成装置100へ送信(通知)する(S3)。この識別画像は、IR画像に対応するIR画像情報を識別する識別データを埋め込んだものであればよく、例えばバーコードやQRコード(登録商標)等のコード画像を好適に利用できる。
【0056】
IR画像+識別画像の画像情報を判定装置300から受信した画像形成装置100は、
図4(b)に示すように、この画像情報に基づいてIR画像(
図4中「R」の文字)と識別画像(
図4中のQRコード(登録商標))とを用紙P上に形成(印刷)する(S4)。その後、画像形成装置100は、表示部であるオペレーションパネルに表示するなどして、印刷された用紙P上の画像(IR画像+識別画像)を画像読取装置200で読み取る(スキャンする)ように、ユーザーへスキャン要求を行う(S5)。
【0057】
このスキャン要求を受けたユーザーは、画像形成装置100により判定対象のIR画像が印刷された用紙Pを画像読取装置200にセットする。そして、ユーザーは、画像読取装置200の操作部を操作して(ユーザーPC500を操作してもよい。)、判定要求を行う(S6)。この判定要求を受けた画像読取装置200は、セットされた用紙P上の画像(IR画像+識別画像)を読み取り(スキャンし)、その読取結果(読み取った読取画像情報)を判定装置300へ送信(通知)する(S7)。
【0058】
画像読取装置200から読取結果を受信した判定装置300は、まず、受信した読取結果に含まれる識別画像から識別データを抽出し、その識別データに対応するIR画像情報を判定装置300の記憶部から読み出す。そして、判定装置300は、受信した読取結果に含まれる判定対象のIR画像(
図4(b))と、記憶部から読み出したIR画像情報のIR画像(
図4(a))との比較を行い、判定結果を出す(S8)。その後、判定装置300は、判定結果を画像形成装置100へ送信(通知)する(S9)。
【0059】
本実施形態において、判定装置300から判定結果を受信した画像形成装置100は、必要に応じて、この判定結果に基づく補正情報(調整値)を生成し、その補正情報を用いて、プロセスユニット6IRによるIR画像の画像形成条件を補正する画質調整を行う(S10)。なお、ここでは、判定結果に基づく補正情報(調整値)を画像形成装置100で生成する例であるが、判定結果から補正情報(調整値)を生成する処理は、画像形成装置100以外の装置、例えば判定装置300、画像読取装置200、サーバ400などで実施してもよい。
【0060】
また、本実施形態において、判定装置300から判定結果を受信した画像形成装置100は、表示部であるオペレーションパネルに表示するなどして、ユーザーに対して判定の結果を通知する(S11)。ここで通知する判定結果の内容は、例えば、印刷したIR画像が意図通りに形成されているか否か、IR画像の補正(画質調整)が行われた旨などを含んでもよい。
【0061】
次に、判定装置300で行われる判定について詳しく説明する。
図5は、判定装置300で行われる判定の流れの一例を示すフローチャートである。
本実施形態において、判定装置300は、画像読取装置200から読取結果を受信したら(S21)、受信した読取結果に含まれる識別画像から識別データを抽出する(S22)。その後、判定装置300は、判定装置300の記憶部に記憶されているIR画像情報の中から、抽出した識別データに対応するIR画像情報を特定する(S23)。
【0062】
このとき、受信した読取結果に含まれる識別画像から識別データを抽出できない場合や、抽出した識別データに対応するIR画像情報が記憶部に記憶されていない場合など、IR画像情報を特定できない場合がある(S24のNo)。この場合、判定装置300は、「該当データなし」との判定結果を出し(S25)、画像形成装置100へ送信(通知)する(S27)。また、判定装置300は、その判定結果をサーバ400に送信(通知)し(S27)、サーバ400の蓄積部に判定結果を保存する。
【0063】
一方、IR画像情報を特定できた場合(S24のYes)、判定装置300は、特定したIR画像情報を記憶部から読み出す。そして、判定装置300は、受信した読取結果の画像から識別画像を除いた判定対象のIR画像を抽出し、抽出したIR画像と、記憶部から読み出したIR画像情報のIR画像との比較を行う(S26)。この比較では、これらの画像間の誤差(ずれ)を、判定結果として出す。この誤差は、意図通りのIR画像が形成できているか否かの指標となる情報であればよく、例えば、画像の歪み、画像のかすれ、画像の位置ずれなどを判定できるような情報である。
【0064】
判定装置300は、比較を行って出した判定結果を、画像形成装置100へ送信(通知)する(S27)。また、判定装置300は、その判定結果をサーバ400に送信(通知)し(S27)、サーバ400の蓄積部に判定結果を保存する。
【0065】
次に、画像形成装置100で行われる画質調整について詳しく説明する。
図6は、画像形成装置100で行われる画質調整の流れの一例を示すフローチャートである。
本実施形態において、画像形成装置100は、判定装置300から判定結果を受信したら(S21)、受信した判定結果に含まれる識別データが、判定対象となったIR画像を印刷する際に印刷した識別画像の識別データと一致するか否かを判断する(S32)。このとき、一致する識別データが無い場合には(S32のNo)、画像形成装置100は、「読み込み失敗」との結果を出し(S33)、表示部であるオペレーションパネルに表示するなどして、ユーザーへ結果を通知する(S40)。なお、「該当データなし」との判定結果を判定装置300から受信した場合も、同様に、「読み込み失敗」との結果をユーザーへ通知する。これにより、ユーザーは、IR画像の印刷判定をもう一度行う(リトライする)などの対処が可能となる。
【0066】
一方、一致する識別データがある場合には(S32のYes)、画像形成装置100は、次に、判定装置300から受信した判定結果に基づき、補正(画質調整)が必要であるか否かを判断する(S34)。この判断は、例えば、判定結果に含まれる誤差(ずれ)が所定誤差以上であるか否かによって行うことができる。
【0067】
この誤差(ずれ)が所定誤差以上である場合、画像形成装置100は、補正(画質調整)が必要であると判断し(S34のNo)、その誤差が補正可能な範囲内のものであるかどうかを判断する(S35)。具体的には、画像形成装置100は、判定結果に含まれる誤差(ずれ)に基づいて補正情報(調整値)を生成し、生成した調整値が、画像形成条件の調整可能範囲内のものであれば補正可能範囲内であると判断し(S35のYes)、調整可能範囲を超えるものであれば補正可能範囲外であると判断する(S35のNo)。
【0068】
誤差が補正可能な範囲を超える場合(S35のNo)、画像形成条件を調整可能範囲内で補正しても、当該誤差を許容範囲内まで小さくすることができない。そのため、画像形成装置100は、「画質調整不可」という結果を出し(S36)、表示部であるオペレーションパネルに表示するなどして、ユーザーへ結果を通知する(S40)。これにより、ユーザーは、IR画像の印刷判定をもう一度行ったり(リトライしたり)、メンテナンス業者にメンテナンス依頼をしたりするといった対処が可能となる。
【0069】
誤差が補正可能な範囲内のものである場合(S35のYes)、画像形成装置100は、判定結果に含まれる誤差(ずれ)から生成した補正情報(調整値)を用いて、プロセスユニット6IRによるIR画像の画像形成条件を補正する画質調整を行う(S37)。そして、画像形成装置100は、画質調整を実施した旨の結果を出し(S38)、表示部であるオペレーションパネルに表示するなどして、ユーザーへ結果を通知する(S40)。これにより、判定対象のIR画像が意図通りに形成されなかった場合でも、この通知を受けたユーザーは、そのIR画像を、画質調整された画像形成条件で、もう一度印刷することができ、意図通りのIR画像が印刷された用紙Pを得ることができる。
【0070】
他方、画像形成装置100は、補正(画質調整)が必要でないと判断した場合には(S34のYes)、「問題なし」の結果を出し(S39)、表示部であるオペレーションパネルに表示するなどして、ユーザーへ結果を通知する(S40)。これにより、ユーザーは、判定対象のIR画像が意図通りに形成されたことを確認でき、意図通りのIR画像が印刷されたことが確認された用紙Pを得ることができる。
【0071】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、視認困難画像情報(例えばIR画像情報)に基づいて視認困難画像(例えばIR画像)を記録媒体(例えば用紙P)上に形成する画像形成部(例えばプロセスユニット6IR、これを備える画像形成装置100)を備えた画像形成システムであって、視認困難画像を読み取る画像読取部(例えば画像読取装置200)と、前記画像読取部が視認困難画像を読み取って得た読取画像情報と、該視認困難画像に対応する視認困難画像情報との比較を行う比較部(例えば判定装置300)と、前記比較部の比較結果から生成される補正情報を用いて、前記画像形成部の画像形成条件を補正する補正部(例えば画像形成装置100の画像形成制御部40)とを有することを特徴とするものである。
一般に、画像形成部による画像形成不良等により、例えば視認困難画像が歪んで形成されたり視認困難画像の位置がずれて形成されたりするなどして、意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できない事態が起こり得る。従来の画像形成システムでは、意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できたか否かを判定することができなかった。しかも、記録媒体上に形成された視認困難画像は可視光下での発色が抑制されているため、ユーザーも、意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できたか否かを判定することができない。その結果、意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できなかった場合、意図通りの視認困難画像をもう一度、記録媒体上に作り直すことができない状況になる。このような状況になると、例えば、視認困難画像を記録媒体(あるいは記録媒体上に形成された可視画像)の真贋判定に利用するような場合、視認困難画像が意図通りに形成されていないために、本物(真)の記録媒体が偽物(贋)の記録媒体であると判定されてしまうなどの不具合を引き起こす。
本態様においては、比較部により、記録媒体上に形成される視認困難画像(記録媒体上に形成される前の画像であってもよい。)を画像読取部により読み取って得られる読取画像情報と、この視認困難画像に対応する視認困難画像情報との比較を行う。そして、この比較の結果から生成される補正情報を用いて、画像形成部の画像形成条件を補正する。
本態様によれば、上述した比較により、記録媒体上に形成される視認困難画像と当該視認困難画像情報との誤差(ズレ)を把握することができる。この誤差が許容範囲を超えるような意図通りでない視認困難画像が記録媒体上に形成される事態が生じると、当該比較の結果から生成される補正情報を用いて、当該視認困難画像を形成した画像形成部の画像形成条件が補正される。これによれば、その誤差が許容範囲内になるように補正された視認困難画像を記録媒体上に形成できる。したがって、意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できなかった場合でも、意図通りの視認困難画像をもう一度、記録媒体上に作り直すことができ、意図通りの視認困難画像が形成された記録媒体を得ることができる。
【0072】
[第2態様]
第2態様は、視認困難画像情報(例えばIR画像情報)に基づいて視認困難画像(例えばIR画像)を記録媒体(例えば用紙P)上に形成する画像形成部(例えばプロセスユニット6IR、これを備える画像形成装置100)を備えた画像形成システムであって、視認困難画像を読み取る画像読取部(例えば画像読取装置200)と、前記画像読取部が視認困難画像を読み取って得た読取画像情報と、該視認困難画像に対応する視認困難画像情報との比較を行う比較部(例えば判定装置300)と、前記比較部の比較結果に基づく報知情報をユーザーに報知する報知部(例えば画像形成装置100のオペレーションパネル)とを有することを特徴とするものである。
本態様においては、上述した比較により、記録媒体上に形成される視認困難画像と当該視認困難画像情報との誤差(ズレ)を把握することができ、その比較結果に基づく報知情報がユーザーに報知される。これにより、ユーザーは、その誤差が許容範囲を超えるような意図通りでない視認困難画像が記録媒体上に形成されてしまった場合、前記報知によってその旨を知ることができる。よって、意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できなかった場合、ユーザーはこれに気づくことができ、意図通りの視認困難画像をもう一度、記録媒体上に作り直すことができるので、意図通りの視認困難画像が形成された記録媒体を得ることができる。
【0073】
[第3態様]
第3態様は、第1又は第2態様において、前記画像形成部は、前記視認困難画像とともに、該視認困難画像に対応する視認困難画像情報を識別するための識別画像(例えばコード画像)を該記録媒体上に形成し、前記比較部は、前記画像読取部が前記識別画像を読み取って得た読取識別情報(例えば識別データ)から特定される視認困難画像情報を用いて前記比較を行うことを特徴とするものである。
これによれば、画像読取部で読み取った視認困難画像に対応する視認困難画像情報、すなわち、比較部が当該視認困難画像との比較に用いる視認困難画像情報が、どれなのかを簡易に特定することができる。
【0074】
[第4態様]
第4態様は、第3態様において、前記視認困難画像情報は、前記読取識別情報から得られる識別データは暗号化されたものであることを特徴とするものである。
これによれば、IR画像の高い秘匿性を確保することができる。
【0075】
[第5態様]
第5態様は、第3又は第4態様において、前記読取識別情報から前記識別画像に対応した視認困難画像情報が特定されないとき、ユーザーへの通知を行うユーザー通知部(例えば画像形成装置100の画像形成制御部40)を有することを特徴とするものである。
これによれば、識別画像の画像形成不良などの発生をユーザーに知らせたり、不正な識別画像による不正行為をユーザーに知らせたりするといったことが可能になる。
【0076】
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、前記読取画像情報と前記視認困難画像情報との誤差が所定誤差以上であるとき、ユーザーへの通知を行うユーザー通知部を有することを特徴とするものである。
これによれば、ユーザーは、その誤差が許容範囲を超えるような意図通りでない視認困難画像が記録媒体上に形成されてしまった場合、その旨を知ることができる。よって、意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できなかった場合、ユーザーはこれに気づくことができ、IR画像の画質調整を実施するなどして、意図通りの視認困難画像をもう一度、記録媒体上に作り直すことができる。
【0077】
[第7態様]
第7態様は、第1乃至第6態様のいずれかにおいて、前記比較結果は、前記読取画像情報と前記視認困難画像情報との誤差を含むことを特徴とするものである。
これによれば、記録媒体上に形成される視認困難画像と当該視認困難画像情報との誤差(ズレ)を把握できるので、これらの間にどの程度の違いがあるのかを定量的に把握することができる。したがって、視認困難画像がどの程度意図通りに形成できているのか、あるいは形成できていないのか、を定量的に把握することができる。
【0078】
[第8態様]
第8態様は、第1乃至第7態様のいずれかにおいて、前記画像形成部及び前記画像読取部と前記比較部との間の通信を行う通信部を有し、前記通信部は、前記読取画像情報を前記画像読取部から前記比較部に送信するとともに、前記比較結果又は該比較結果から生成される情報を前記比較部から前記画像形成部に送信することを特徴とするものである。
これによれば、画像形成部及び画像読取部と比較部とが別装置で構成することができ、画像形成部及び画像読取部と比較部とを離れた場所に配置したり、これらを互いに別の者によって管理、運用したりすることができる。
【0079】
[第9態様]
第9態様は、第1乃至第8態様のいずれかにおいて、前記比較結果又は該比較結果から生成される情報を蓄積する蓄積部を有することを特徴とするものである。
これによれば、蓄積部に蓄積された情報を、画像形成部のメンテナンスや視認困難画像情報の管理など、様々な処理、サービスなどに利用することができる。
【0080】
[第10態様]
第10態様は、視認困難画像情報(例えばIR画像情報)に基づいて視認困難画像(例えばIR画像)を記録媒体(用紙P)上に形成する画像形成部(例えばプロセスユニット6IR)を備えた画像形成装置100であって、視認困難画像を画像読取部(例えば画像読取装置200)により読み取って得られた読取画像情報と該視認困難画像に対応する視認困難画像情報との比較結果、又は、該比較結果から生成される補正情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した比較結果又は補正情報を用いて、前記画像形成部の画像形成条件を補正する補正部(画像形成制御部40)とを有することを特徴とするものである。
これによれば、意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できなかった場合でも、意図通りの視認困難画像をもう一度、記録媒体上に作り直すことができ、意図通りの視認困難画像が形成された記録媒体を得ることができる。
【0081】
[第11態様]
第11態様は、視認困難画像情報(例えばIR画像情報)に基づいて視認困難画像(例えばIR画像)を記録媒体(用紙P)上に形成する画像形成部(例えばプロセスユニット6IR)を備えた画像形成装置100であって、視認困難画像を画像読取部(例えば画像読取装置200)により読み取って得られた読取画像情報と該視認困難画像に対応する視認困難画像情報との比較結果、又は、該比較結果から生成される情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した比較結果又は該比較結果から生成される情報に基づく報知情報をユーザーに報知する報知部(例えばオペレーションパネル)とを有することを特徴とするものである。
これによれば、意図通りの視認困難画像が記録媒体上に形成できなかった場合、ユーザーはこれに気づくことができ、意図通りの視認困難画像をもう一度、記録媒体上に作り直すことができ、意図通りの視認困難画像が形成された記録媒体を得ることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 :画像形成部
2 :転写部
3 :記録媒体供給部
4 :定着部
5 :記録媒体排出部
6 :プロセスユニット
7 :感光体
8 :帯電装置
9 :現像装置
10 :感光体クリーニング装置
11 :露光装置
12 :中間転写ベルト
13 :一次転写装置
14 :二次転写ローラ
17 :ベルトクリーニング装置
18 :給紙カセット
21 :定着装置
25 :排紙トレイ
26 :トナーカートリッジ
27 :廃トナー収容容器
30 :制御部
40 :画像形成制御部
100 :画像形成装置
200 :画像読取装置
300 :判定装置
400 :サーバ
500 :ユーザーPC
600 :通信ネットワーク
P :用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】