(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182346
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像読取装置、及び、液滴吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/00 20060101AFI20231219BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20231219BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20231219BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B41J29/00 A
G03G21/16 133
H04N1/04 107Z
B41J2/01 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095886
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】徳永 裕介
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2H171
5C072
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB27
2C056FA13
2C056FA14
2C056HA58
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061BB30
2C061BB35
2C061CD01
2C061CD03
2C061CD07
2C061CM01
2H171FA06
2H171FA17
2H171FA28
2H171GA03
2H171GA06
2H171GA11
2H171HA24
2H171JA10
2H171JA31
2H171JA36
2H171JA43
2H171JA44
2H171KA26
2H171QC23
2H171QC24
2H171SA10
5C072AA01
5C072AA03
5C072BA05
5C072DA21
5C072JA07
5C072NA08
5C072SA01
5C072XA04
(57)【要約】
【課題】画像読取装置の清掃の効率を向上させる。
【解決手段】画像形成装置は、
回転することで、記録媒体を搬送するドラム状部材と、前記ドラム状部材に対して放射状に配置される画像形成部と、前記記録媒体を搬送する搬送方向において、前記画像形成部よりも下流に位置し、かつ、前記ドラム状部材に対して放射状に配置され、前記画像形成部が前記記録媒体に形成した画像を読み取る読取部と、前記読取部が位置する第1空間と、前記第1空間と異なる空間である第2空間とを連通する経路を開閉する開閉部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転することで、記録媒体を搬送するドラム状部材と、
前記ドラム状部材に対して放射状に配置される画像形成部と、
前記記録媒体を搬送する搬送方向において、前記画像形成部よりも下流に位置し、かつ、前記ドラム状部材に対して放射状に配置され、前記画像形成部が前記記録媒体に形成した画像を読み取る読取部と、
前記読取部が位置する第1空間と、前記第1空間と異なる空間である第2空間とを連通する経路を開閉する開閉部と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記読取部は、
複数の装置であって、前記ドラム状部材の回転軸方向において異なる範囲を読み取る
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記読取部を支持し、かつ、前記第1空間と前記第2空間を断熱する支持部を更に備え、
前記開閉部は、
前記支持部に形成される、又は、前記支持部に隣接する位置に形成される
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ドラム状部材の回転軸方向に前記読取部を移動させる移動部を更に備える
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記移動部は、
開口部に向かって前記読取部の全長の半分以上の距離を前記搬送方向に対して直交する直交方向において移動させ、
前記読取部が前記直交方向において所定以上移動するのを制限する
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記読取部を囲う筐体に形成される開口部と、
前記開口部から前記読取部までユーザの手、又は、清掃器具が通過する経路となる作業空間部とを備え、
前記第2空間には、熱源があり、
前記開閉部は、
閉じると、前記熱源から発生する気体が前記第1空間へ流入するのを制限し、
前記画像形成部は、
液滴を前記記録媒体に吐出して前記画像を前記記録媒体に形成し、
前記読取部は、
前記画像を読み取る光学部を含む
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成部に対して記録媒体を搬送する搬送方向における下流に位置し、かつ、前記記録媒体を搬送する感光体ドラムに対して放射状に配置して前記記録媒体に形成する画像を読み取る読取部と、
前記読取部が位置する第1空間と、前記第1空間と異なる空間である第2空間とを連通する経路を開閉する開閉部と
を備える画像読取装置。
【請求項8】
回転することで、記録媒体を搬送するドラム状部材と、
前記ドラム状部材に対して放射状に配置され、かつ、前記記録媒体に対して液滴を吐出して画像形成を行う画像形成部と、
前記記録媒体を搬送する搬送方向において、前記画像形成部よりも下流に位置し、かつ、前記ドラム状部材に対して放射状に配置され、前記画像形成部が前記記録媒体に形成した画像を読み取る読取部と、
前記読取部が位置する第1空間と、前記第1空間と異なる空間である第2空間とを連通する経路を開閉する開閉部と
を備える液滴吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像読取装置、及び、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、記録媒体に形成された画像を読み取る画像読取装置を備える構成が知られている。画像読取装置を備える画像形成装置は、形成された画像を読み取って検査し、検査結果に基づいて画像形成処理に対する補正処理等を行う機能を備える。当該機能により画像形成における画質を向上させる。
【0003】
従来の画像形成装置は、記録媒体に液滴を吐出して画像を形成する、いわゆるインクジェット方式である。インクジェット方式で画像形成処理を行うとき、記録媒体に付着させた液滴を乾燥させる必要があるので、画像読取装置の配置の前後(記録媒体の搬送方向の上流又は下流である。)に、乾燥装置を設置する場合がある。そのため、読取装置を含む各装置の設置スペースは制約を受けることがある。特に、画像読取装置は、記録媒体の画像形成面に対して光を当てた反射光によって画像を読み取るので、画像形成面に対し光軸が垂直になるように向きを調整するために回転等をしようとしても、調整が困難になる場合がある。なお、画像形成装置が備える画像読取装置の例として、基準面の光軸方向に対して垂直方向に移動させ、かつ、読取装置を光軸方向に移動させる移動手段を備えることで、設置スペースに制限がある場合であっても、適切な白基準データを取得する構成が知られている(例えば、特許文献1等である)。
【0004】
また、画像形成装置において、複数の読取装置を千鳥状に配置する。このようにして、千鳥状に配置された複数の読取装置で読み取った複数の画像を連結し、継ぎ目ズレの無い原稿画像を取得する構成が知られている(例えば、特許文献2等である)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、記録媒体の搬送方向において、画像形成部と、画像読取装置と、その他の装置とを配置するとき、装置同士の配置関係により、画像読取装置の配置の選択は狭くなることもある。特に、特許文献2のように、複数の画像読取装置を搬送方向に沿って配置する場合、少なくとも一の画像読取装置を、メンテナンスに適さない位置、ユーザの手が届きにくい位置に配置ならざる得ない場合もある。ユーザの手が届きにくい位置に画像読取装置が配置されると、画像の読み取り機構に汚れが付着しても、これを除去することが困難になる。すなわち、従来の構成によれば、ユーザの手、又は、清掃器具が入るスペースが確保されていないため、画像形成装置に備わる画像読取装置の清掃が困難になるという課題がある。
【0006】
本発明は、画像読取装置の清掃の効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、画像形成装置は、
回転することで、記録媒体を搬送するドラム状部材と、
前記ドラム状部材に対して放射状に配置される画像形成部と、
前記記録媒体を搬送する搬送方向において、前記画像形成部よりも下流に位置し、かつ、前記ドラム状部材に対して放射状に配置され、前記画像形成部が前記記録媒体に形成した画像を読み取る読取部と、
前記読取部が位置する第1空間と、前記第1空間と異なる空間である第2空間とを連通する経路を開閉する開閉部と
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像読取装置の清掃の効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】開閉部が開いた状態における清掃例を示す図である。
【
図4】画像形成装置における開閉部が閉じた状態の例を示す図である。
【
図10】第2スキャナを移動させる構成例を示す図である。
【
図11】第2スキャナを移動させた後の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付する図面を参照し、具体例を説明する。なお、実施形態は、以下に説明する具体例に限られない。
【0011】
[画像形成装置の例]
図1は、画像形成装置10の構成例を示す図である。以下、画像形成装置を設置したときの設置面に対する鉛直方向を「Z軸方向」とする。また、Z軸方向に対し、直交し、画像形成装置の奥行方向を「X軸方向」とする。さらに、Z軸方向とX軸方向に対し直交し、
図1に正対したときの左右方向を「Y軸方向」という。なお、Y軸方向は、本実施形態における記録媒体の搬送方向2に相当する。以下、X軸方向を単に直交方向という場合がある。また、以下の説明では、直交方向とドラム状部材の軸方向である「回転軸方向」が一致する例とする。
【0012】
画像形成装置10は、記録媒体の搬送手段としてドラム状搬送手段を備える。以下、記録媒体を「シート」と表記する。また、以下の説明では、ドラム状部材を「ドラム1」とする。
【0013】
シートは、ドラム1の外周面に沿って、所定の方向へと搬送され、搬送中に画像形成部100によって画像が形成される。
【0014】
画像形成装置10は、ドラム1の外周面に沿うように配置された、第1インクジェットヘッド100a、第2インクジェットヘッド100b、第3インクジェットヘッド100c、及び、第4インクジェットヘッド100dによって構成される画像形成部を備える。なお、画像形成部100は、複数のインクジェットヘッドで構成してもよいし、単数のインクジェットヘッドで構成してもよい。また、画像形成部100は、インクジェットヘッド以外の装置を含む構成でもよい。
【0015】
第1インクジェットヘッド100a、第2インクジェットヘッド100b、第3インクジェットヘッド100c、及び、第4インクジェットヘッド100dは、異なる色のインクをシートに対して吐出する液滴吐出ヘッドである。各インクジェットから吐出される各色のインクによって、画像形成が行なわれる。
【0016】
なお、以下の説明において、第1インクジェットヘッド100a、第2インクジェットヘッド100b、第3インクジェットヘッド100c、及び、第4インクジェットヘッド100dを総称して、単に「インクジェットヘッド」と表記する。
【0017】
以下、画像形成装置10がインクジェット方式によって画像形成を行う構成を例に説明する。ただし、画像形成装置10はインクジェット方式以外の方式で画像形成を行ってもよい。例えば、画像形成装置10はトナー方式で画像形成を行う構成でもよい。
【0018】
また、画像形成装置10には、乾燥装置2500等の後処理装置があってもよい。
【0019】
なお、
図1は、本発明の実施形態として説明に用いる構成のみを示すが、画像形成装置10には、
図1に示している構成以外の構成も当然に含まれる。例えば、画像形成装置10は、シートに対して画像形成前に行う処理(前処理)を実行する前処理装置、又は、シートの状態を検知するセンサ、その他の処理機能を実行するための各種センサ、又は、機能等を更に有してもよい。
【0020】
[画像形成部、及び、読取部の配置例]
画像形成装置10において、ドラム1は、搬送方向2に回転することで、記録媒体を搬送する。なお、搬送装置は、入口ドラム3、及び、出口ドラム4のように、複数のドラムがあってもよい。
【0021】
ドラム1の外周面に沿うように、所定の間隔を空けてインクジェットヘッドは配置される。そして、インクジェットヘッドから吐出されたインクが、ドラム1によって搬送方向2に搬送するシートに付着すると、シートに画像が形成される。
【0022】
画像読取装置としてのスキャナ(scanner)は、インクジェットヘッドに対する、搬送方向2における下流側に配置される。なお、
図1に示すように、インクジェットヘッドは、ドラム1に対して放射状に配置する。
【0023】
また、複数のスキャナ(第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200である。)も、ドラム1に対して放射状に配置する。以下、読取部30を第1スキャナ1200で構成する例で説明する。ただし、読取部30は、第1スキャナ1200以外の装置を含む構成でもよい。
【0024】
画像形成装置10は、入力画像を受け付けると、ドラム1、及び、搬送ローラ等により、シートを搬送方向2に搬送する。そして、インクジェットヘッドは、入力画像に基づき、シートに対してインクを吐出して画像形成を行う。なお、画像形成後、シートは、乾燥等の後処理がされてもよい。また、入力画像は、演算装置により、画像処理がされてもよい。
【0025】
以下の説明では、画像形成装置10は、2つのスキャナ(第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200である)を備える構成である。しかし、実施形態において、画像読取装置としてのスキャナの数は、2つに限定されず、1つ、又は、3つ以上あってもよい。
【0026】
画像形成装置10において、2つのスキャナは、各々が異なる構造物によって支持される。例えば、第1スキャナ1200は、第1支持筐体1300で支持される。同様に、第2スキャナ2200は、第2支持筐体2300で支持される。
【0027】
第1支持筐体1300及び第2支持筐体2300はいずれも、画像形成装置10を構成する筐体の一部である。そして、第1支持筐体1300及び第2支持筐体2300はドラム1の外周面に沿って放射状に配置される構成を、所定の位置において、所定の姿勢で支持する構造物である。
【0028】
したがって、第1支持筐体1300及び第2支持筐体2300はいずれも、ドラム1に対して放射状に設けられ、ドラム1の外周面の配置される各構成の間に位置する。
【0029】
第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200は、インクジェットヘッドによって画像形成がされた後に、画像を読み取る。そのため、第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200は、インクジェットヘッドより下流に配置される。
【0030】
第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200が読み取った画像に基づいて検査用の画像データが生成されると、検査用の画像データに基づいて、画像形成装置10の画像形成処理において補正処理が行われる。
【0031】
したがって、第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200は、インクジェットヘッドによって画像形成がされた後、速やかに画像を読み取れる位置であることが望ましい。
【0032】
速やかに画像を読み取り、補正処理に反映させることで画像形成の画質を高めることができるからである。また、第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200をインクジェットヘッドの下流近傍に配置することでシートの搬送精度等への影響を排除しやすくなり、より検査精度を高くすることも望める。
【0033】
ゆえに、第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200は、インクジェットヘッドに続く下流側に配置することが望ましいので、ドラム1に対し、放射状に配置される位置が望ましい。
【0034】
以上のように、インクジェットヘッドと同様に、ドラム1に対する放射状に、第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200を配置して、インクジェットヘッドの近傍に配置することが望ましい。
【0035】
なお、画像形成装置10には、インクジェットヘッドより下流側に乾燥装置等の周辺装置が配置される場合もあるが、第1スキャナ1200及び第2スキャナ2200をドラム1に対し、放射状に配置することで、インクジェットヘッドの下流かつ近傍に位置するレイアウトを採用できる。
【0036】
[支持部について]
図1に示すように、第2スキャナ2200は、固定遮断板3000、及び、開閉遮断板3001aを備える。以下、支持部11を固定遮断板3000とする例で説明する。そして、支持部11は、第2スキャナ2200を支持する。
【0037】
固定遮断板3000は、アルミニウム、ステンレス、又は、マグネシウム等の実用金属を含む材質であるのが望ましい。このような実用金属であると、読取部を引き出した場合等でも、読取部等を構成する装置を片持ち梁の構造で支持するのに十分な強度を確保でき、かつ、コストを抑制できる。
【0038】
また、固定遮断板3000は、断熱材を含むのが望ましい。第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200は、光学部33を備える。光学部33は、光学部品で構成する。そのため、温度変化があると、光学特性に影響がある。ゆえに、固定遮断板3000は、第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200を高温の気体から保護する構成が望ましい。
【0039】
固定遮断板3000の下部には、高温の気体を発する装置が設置される場合がある。そのため、固定遮断板3000は、第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200を設置する上部空間と、高温の気体を発する装置が設置される下部空間との間を断熱する構成であるのが望ましい。
【0040】
そこで、固定遮断板3000が断熱材を含むと、第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200を高温の気体から保護できる。その結果、第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200は、温度変化による光学特性の変動を抑制して、検査精度を向上できる。
【0041】
以下、上部空間のように、読取部が位置する空間を「第1空間」という。一方で、下部空間のように、読取部が位置する空間とは異なる空間を「第2空間」という。
【0042】
固定遮断板3000は、第1空間と第2空間を区分けする機構である。すなわち、読取部が位置する第1空間は、高温の気体が存在する第2空間と固定遮断板3000によって断熱する構成が望ましい。
【0043】
図2は、開閉部が開いた状態の例を示す図である。なお、
図2は、
図1に示すA-A’の断面図であり、固定遮断板3000を見上げる視点の図面である。
【0044】
固定遮断板3000には、以下のように開閉遮断板3001aが隣接する構成である。以下、開閉部20を開閉遮断板3001aで構成する例で説明する。なお、固定遮断板3000、及び、開閉遮断板3001aは別物体で隣接する構成でもよいし、一体である構成でもよい。
【0045】
開閉遮断板3001aは、清掃を行う場合には開いた状態となる。具体的には、開閉遮断板3001aは、支点機構3002を中心に回転する自由度(DOF、degree of freedom)を有する機構である。
【0046】
したがって、開閉遮断板3001aは、蓋が閉まった状態から支点機構3002を中心に時計回りに回転すると、
図2に示すように、第1空間と第2空間の経路の蓋が開いた状態となる。
【0047】
開閉遮断板3001aは、ロック機構3004でロックできる構成が望ましい。具体的には、開閉遮断板3001aは、取手3003をユーザが持って動かすと、ロック機構3004のプランジャが遮蔽板のガイドに沿って縮む。そして、取手3003は、ロック穴に勘合するとロックされる。
【0048】
一方で、プランジャを前側に引っ張ると、ロックが解除される。そして、ロックを解除すると、
図1及び
図2のように、開閉遮断板3001aは開く状態になる。
【0049】
以上のように、ロックができると、マシン動作中の振動等によって不意に開閉遮断板3001aが開いてしまうのを防ぐことができる。
【0050】
なお、開閉部20は、上記とは異なる機構であってもよい。したがって、開閉遮断板3001aは、上記に説明する以外の形状、自由度、又は、回転中心であってもよい。
【0051】
このような開閉部20があると、以下のように清掃が可能である。
【0052】
図3は、開閉部が開いた状態における清掃例を示す図である。
図3は、
図1に示すB-B’の断面図である。
【0053】
例えば、清掃は、
図3に示すように、筐体900内へユーザの手3100を開口部700aから入れて行う。又は、清掃は、筐体900内へ清掃器具を開口部700aから入れて行う。
【0054】
図示するように、開閉部が開くと、第1空間31(図では、固定遮断板3000より上部である。)と、第2空間32(図では、固定遮断板3000と出口ドラム4の間である。また、第2空間は、ドラム状部材と第1空間との間である。)とがつながり、ユーザの手3100又は清掃器具が通過する作業空間部となる。このような作業空間部が確保できると、ユーザは、読取部を効率良く清掃できる。
【0055】
一方で、画像形成を行う場合には、開閉部は、以下のように閉じた状態となる。
【0056】
図4は、画像形成装置10における開閉部が閉じた状態の例を示す図である。なお、
図4は、
図1と同様の視点である。
図1と比較すると、
図4は、開閉部が閉じた状態である点が異なる。
【0057】
図5は、開閉部が閉じた状態の例を示す図である。具体的には、開閉遮断板3001aを開閉させる動作により、開閉遮断板3001a上に設置するセンサフィラーが、透過センサ3005を透過、又は、遮断にする切り替えによって開閉遮断板3001aの開閉状態が検出される。
【0058】
開閉部を閉じた状態は、第1空間31と第2空間32とを連通する経路に蓋をした状態である。
【0059】
図4、及び、
図5のように、開閉部20を閉じると、第1空間に第2空間から流入する高温の気体を少なくできる。例えば、第2空間には、乾燥装置2500が熱源となって発する乾燥熱等が存在する。したがって、開閉部を閉じて、熱源から発生する気体が第1空間へ流入する経路に蓋をして制限できると、読取部を構成する光学部品が熱の影響で特性が変化し、読取精度が悪化するのを防ぐことができる。
【0060】
図6は、開口部の変形例を示す図である。図示するようなユーザの手3100等が入る開口部700bがあってもよい。ただし、開口部700bは、ユーザが清掃をしやすい大きさ、及び、位置であるのが望ましい。例えば、開口部700bは、ユーザの手3100が入るように10センチメートル以上の幅があるのが望ましい。
【0061】
また、第1スキャナ1200が開閉遮断板3001aに対して近い位置に配置されると、開口部700bからでは、清掃しにくい場合がある。そのような場合には、
図3のように清掃するというように、開口部は使い分けがされてもよい。
【0062】
[半ラッチ防止の構成例]
図7は、半ラッチ防止の構成例を示す図である。画像形成装置10は、開閉遮断板3001aが半ラッチの状態になるのを防ぐ機構を更に備えるのが望ましい。具体的には、画像形成装置10は、バネ3006を備える。
【0063】
半ラッチは、開閉の状態において、透過センサ3005が検出できないのに開いた状態である、開閉が中途半端な状態である。
【0064】
開閉遮断板3001aは、ロックされる前の状態では、バネ3006で開く方向に押される。そのため、ロックされておらず、半ラッチの状態であると、バネ3006は、開閉遮断板3001aを押して、透過センサ3005の検出範囲まで開閉遮断板3001aを移動させる。このように、半ラッチの状態を防げると、開閉遮断板3001aが開いているのに、透過センサ3005で検出できず、画像形成装置10が動作を開始してしまうような事態を防げる。
【0065】
[読取部の構成例]
例えば、第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200は、以下のような構成である。
【0066】
図8は、第1スキャナ1200の配置例を示す図である。
【0067】
図9は、第2スキャナ2200の配置例を示す図である。
【0068】
第1スキャナ1200、及び、第2スキャナ2200は、搬送方向2(
図1参照)に対するシートの幅方向において画像を読み取る、いわゆるインラインスキャナである。
【0069】
第1スキャナ1200と第2スキャナ2200は、それぞれ、シートの幅方向における読み取り領域の設定が異なる。
【0070】
以下の説明において、
図8に示す第1領域1400を第1スキャナ1200が読み取る設定とする。また、
図9に示す第2領域2400を第2スキャナ2200が読み取る設定とする。
【0071】
したがって、第1領域1400、及び、第2領域2400を読み取った結果を組み合わせると、シートに対して画像形成装置10が画像を形成した全範囲を読み取ることができる構成である。
【0072】
画像形成装置10のように、搬送方向2に対する直交方向(シートの幅方向と一致する。)において、第1領域1400と第2領域2400で異なる範囲を読み取ることで、単体では狭い画像読取領域になる安価な装置を用いても、画像読取領域を広くすることができ、かつ、全体の読取精度も向上できる。当然ながら、画像形成装置10において、単体でシート幅全域を画像読取領域に設定可能なものを用いてもよい。
【0073】
以上のように、画像形成装置10は、複数の画像読取装置として、第1スキャナ1200及び第2スキャナ2200を用いる。この構成により、画像形成装置10は、例えば、A3判、B2判、又は、これらよりも大判のシートに対して形成された画像も読み取りができる。ただし、画像読取装置の数、配置、及び、読み取り領域は、読み取り対象とするシートのサイズに応じて設定されてもよい。
【0074】
以下、
図8、及び、
図9が示すように、第1領域1400と第2領域2400の相互の位置関係は、第1領域1400がX軸方向において「手前」であり、第2領域2400が「奥」である。
【0075】
したがって、第2スキャナ2200は、
図8が示すように、「奥」に位置する。そのため、第2スキャナ2200は、画像形成装置10の筐体において手前側に設けられる開口部700から遠くに位置する。
【0076】
開口部700は、第1スキャナ1200又は第2スキャナ2200を清掃するメンテナンス等に、ユーザが手を入れる入り口となる。したがって、第1スキャナ1200と第2スキャナ2200のいずれをメンテナンスするときのも、開口部700を利用することになる。
【0077】
開口部700は、ドラム1に対して放射状に配置される各構成を支持する支持筐体との位置関係によって、形成される位置は制限される。
【0078】
開口部700は、第1スキャナ1200及び第2スキャナ2200を囲む筐体に形成される。
【0079】
[画像読取装置の構成例]
図10は、第2スキャナ2200を移動させる構成例を示す図である。移動部40は、以下のように、第2スキャナ2200を「手前」に移動させる機構である。画像形成装置10は、このような移動部40を更に備える構成が望ましい。
【0080】
図11は、第2スキャナ2200を移動させた後の例を示す図である。
図10と比較すると、
図11は、
図10より第2スキャナ2200が「手前」に移動している点が異なる。このように、移動部は、第2スキャナ2200をX軸方向に移動させるスライダー等である。
【0081】
具体的には、第2スキャナ2200は、固定遮断板3000上をX軸方向に移動する。固定遮断板3000には、溝3007が形成される。したがって、第2スキャナ2200は、溝3007に沿って平行移動する。なお、第1スキャナ1200にも、固定遮断板3000とは別の支持部が更にあってもよい。
【0082】
このように、第2スキャナ2200を「手前」に平行移動させる機構を備えると、ユーザは、第2スキャナ2200を効率良く清掃できる位置に移動させて、メンテナンスを行うことができる。
【0083】
すなわち、本実施形態では、画像形成動作が行われているときには、「奥」に位置する第2スキャナ2200を、メンテナンス時には、アクセスしやすい位置に移動させることができる。
【0084】
なお、第1スキャナ1200及び第2スキャナ2200は、画像を読み取る構成に光学部材を含むので、これら光学部材が汚れると読取精度に悪影響を及ぼす。特に、インクジェットヘッドの近傍では、インクミストが生じやすいので、インクミストが光学部材に付着すると画像読取精度の悪影響を及ぼす。
【0085】
また、インクミストに限らず、埃も光学部材の汚れの原因になる。
【0086】
第2スキャナ2200は、移動部によってメンテナンスを行う際には「手前」に引き出せる。そのため、画像形成動作の際には「奥」側に位置する第2スキャナ2200であっても、ユーザの手が十分に届く位置にして清掃することで、ユーザは清掃の効率を向上させることができる。
【0087】
なお、移動部は、上記の機構以外でもよい。例えば、移動部は、アクチュエータを使う構成でもよい。また、移動部は、読取部が複数の場合には、以下のように、いずれか1つの読取部を移動させてもよいし、又は、すべての読取部を移動させてもよい。
【0088】
移動部は、第2スキャナ2200の全長の半分以上を「手前」側に移動させることができる構造が望ましい。清掃の際に、第2スキャナ2200の全長の半分以上が「手前」側に移動すると、ユーザは、第2スキャナ2200が十分に清掃されたか目視で確認しやすい。
【0089】
したがって、第2スキャナ2200の可動距離は、第2スキャナ2200の全長によって異なる。全長が長い第2スキャナ2200であると、第2スキャナ2200は、画像形成を行う際に、より「奥」に位置する。このように全長が長い第2スキャナ2200は、「奥」の部分を清掃するため、より長い距離を移動できるような移動部を備えることが望ましい。例えば、全長が「800mm」程度の第2スキャナ2200であれば、移動部は、「400mm」以上の移動距離を確保する機構を備えるのが望ましい。
【0090】
一方で、移動部は、第2スキャナ2200を「手前」に引き出した際に、画像形成装置10の筐体から離脱してしまうことを防止するために、所定距離以上の移動を制限する機構を更に備えるのが望ましい。
【0091】
具体的には、移動部は、ピン3008を備えるのが望ましい。
図10、及び、
図11が示すように、ピン3008は、第2スキャナ2200に従動して移動する。そして、ピン3008は、固定遮断板3000に形成される溝3007に対して摺動可能な状態で嵌合する。
【0092】
したがって移動部は、第2スキャナ2200を「手前」に移動させたときに、ピン3008が溝3007の端部で止まって、第2スキャナ2200の過度の移動を阻止する構成を備える。言い換えると、第2スキャナ2200は、溝3007の長さで移動距離が制限される。
【0093】
第2スキャナ2200の移動距離の上限となる所定距離は、第2スキャナ2200の重量、及び、重心等に基づいて設定することが望ましい。具体的には、第2スキャナ2200は、大きな重量となる場合もあるので、第2スキャナ2200を「手前」に長く引き出せてしまうと、第2スキャナ2200の重量で画像形成装置10が転倒する、又は、固定遮断板3000が曲がる等の不具合が発生する場合がある。そこで、第2スキャナ2200が所定距離以上移動できないように制限されると、不具合が生じるのを防ぐことができる。
【0094】
[その他の実施形態]
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
【0095】
<1>回転することで、記録媒体を搬送するドラム状部材と、
前記ドラム状部材に対して放射状に配置される画像形成部と、
前記記録媒体を搬送する搬送方向において、前記画像形成部よりも下流に位置し、かつ、前記ドラム状部材に対して放射状に配置され、前記画像形成部が前記記録媒体に形成した画像を読み取る読取部と、
前記読取部が位置する第1空間と、前記第1空間と異なる空間である第2空間とをつなぐ経路の蓋を開閉する開閉部と
を備える画像形成装置である。
【0096】
<2>前記読取部は、
複数の装置であって、前記搬送方向に対して直交する直交方向において異なる範囲を読み取る
前記<1>に記載の画像形成装置である。
【0097】
<3>前記読取部を支持し、かつ、前記第1空間と前記第2空間を断熱する支持部を更に備え、
前記開閉部は、
前記支持部に形成される、又は、前記支持部に隣接する位置に形成される
前記<1>又は<2>に記載の画像形成装置である。
【0098】
<4>前記ドラム状部材の回転軸方向に前記読取部を移動させる移動部を更に備える
前記<1>乃至<3>のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0099】
<5>前記移動部は、
開口部に向かって前記読取部の全長の半分以上の距離を前記搬送方向に対して直交する直交方向において移動させ、
前記ドラム状部材の回転軸方向において所定以上移動するのを制限する
前記<4>に記載の画像形成装置である。
【0100】
<6>前記読取部を囲う筐体に形成される開口部と、
前記開口部から前記読取部までユーザの手、又は、清掃器具が通過する経路となる作業空間部とを備え、
前記第2空間には、熱源があり、
前記開閉部は、
閉じると、前記熱源から発生する気体が前記第1空間へ流入するのを制限し、
前記画像形成部は、
液滴を前記記録媒体に吐出して前記画像を前記記録媒体に形成し、
前記読取部は、
前記画像を読み取る光学部を含む
前記<1>乃至<5>のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0101】
<7>画像形成部に対して記録媒体を搬送する搬送方向における下流に位置し、かつ、前記記録媒体を搬送する感光体ドラムに対して放射状に配置して前記記録媒体に形成する画像を読み取る読取部と、
前記読取部が位置する第1空間と、前記第1空間と異なる空間である第2空間とをつなぐ経路の蓋を開閉する開閉部と
を備える画像読取装置である。
【0102】
<8>回転することで、記録媒体を搬送するドラム状部材と、
前記ドラム状部材に対して放射状に配置され、かつ、前記記録媒体に対して液滴を吐出して画像形成を行う画像形成部と、
前記記録媒体を搬送する搬送方向において、前記画像形成部よりも下流に位置し、かつ、前記ドラム状部材に対して放射状に配置され、前記画像形成部が前記記録媒体に形成した画像を読み取る読取部と、
前記読取部が位置する第1空間と、前記第1空間と異なる空間である第2空間とをつなぐ経路の蓋を開閉する開閉部と
を備える液滴吐出装置である。
【0103】
各装置は、複数の装置で構成してもよい。したがって、各処理は、分散、冗長、又は、並列に実行されてもよい。
【0104】
記録媒体は、例えば、用紙(「普通紙」等ともいう。)以外でもよい。例えば、記録媒体は、コート紙、ラベル紙等の他、オーバヘッドプロジェクタシート、フィルム、又は、可撓性を持つ薄板等でもよい。すなわち、記録媒体の素材は、トナー、又は、インク等の液滴が付着可能、一時的に付着可能、付着して固着、又は、付着して浸透する材質等であればよい。具体的には、記録媒体は、用紙、フィルム、若しくは、布等の被記録媒体、電子基板、圧電素子(「圧電部材」等ともいう。)等の電子部品、粉体層(「粉末層」等ともいう。)、臓器モデル、又は、検査用セル等である。このように、記録媒体の材質は、液滴が付着可能であって、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又は、これらの組み合わせ等であればよい。したがって、液滴吐出装置は、画像形成以外の処理を液滴を吐出して行ってもよい。
【0105】
また、「液滴」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、かつ、常圧下において、加熱、又は、冷却により、粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水、若しくは、有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料等を含む溶液、懸濁液、又は、エマルジョン等である。これらは、例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、又は、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0106】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されない。したがって、本発明は、技術的な要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の追加、又は、変形が可能である。ゆえに、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。なお、上記に例示する実施形態は、実施において好適な具体例である。そして、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現で可能であって、このような変形例は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
1 :ドラム
2 :搬送方向
3 :入口ドラム
4 :出口ドラム
10 :画像形成装置
11 :支持部
20 :開閉部
30 :読取部
31 :第1空間
32 :第2空間
33 :光学部
40 :移動部
100 :画像形成部
100a :第1インクジェットヘッド
100b :第2インクジェットヘッド
100c :第3インクジェットヘッド
100d :第4インクジェットヘッド
700 :開口部
700a :開口部
700b :開口部
900 :筐体
1200 :第1スキャナ
1300 :第1支持筐体
1400 :第1領域
2200 :第2スキャナ
2300 :第2支持筐体
2400 :第2領域
2500 :乾燥装置
3000 :固定遮断板
3001a :開閉遮断板
3002 :支点機構
3003 :取手
3004 :ロック機構
3005 :透過センサ
3006 :バネ
3007 :溝
3008 :ピン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特許第6338283号明細書
【特許文献2】特許第6264019号明細書