(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182406
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】カーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法、カーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置、プログラム及びコンピュータの非一時的可読記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20231219BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231219BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095996
(22)【出願日】2022-06-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)ウェブサイト「https://www.jstage.jst.go.jp/article/jie/100/6/100_62/_article/-char/ja/」、令和3年06月20日公開 (2)第30回日本エネルギー学会大会の要旨集 152頁~153頁、令和3年8月4日公開 (3)第30回日本エネルギー学会 オンライン開催、令和3年8月4日公開 (4)第35回イブニングセミナー「エネルギーチェーン」 オンライン開催、令和3年12月22日公開
(71)【出願人】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】山本 博巳
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】エネルギーに占める二酸化炭素量の大きさをエネルギー単位で明確に表示することができるカーボンエネルギーの表示方法及びカーボンエネルギーの表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るカーボンエネルギーの表示方法は、炭素発熱量と、燃料中の炭素質量と、水素発熱量と、前記燃料中の水素質量と、式(1)を用いてカーボンエネルギー比率を算出する工程、前記カーボンエネルギー比率に前記燃料の発熱量を乗じてカーボンエネルギーを算出する工程と、エネルギーの大きさ及び前記カーボンエネルギーの大きさに応じて、前記エネルギー及び前記カーボンエネルギーに基づく情報を一つの表示媒体で表示する工程と、を備えることを特徴とする。
カーボンエネルギー比率=(炭素発熱量*燃料中の炭素質量)/(炭素発熱量*燃料中の炭素質量+水素発熱量*燃料中の水素質量)・・・式(1)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素発熱量と、燃料中の炭素質量と、水素発熱量と、前記燃料中の水素質量と、式(1)を用いてカーボンエネルギー比率を算出する工程と、
前記カーボンエネルギー比率に前記燃料の発熱量を乗じてカーボンエネルギーを算出する工程と、
エネルギーの大きさ及び前記カーボンエネルギーの大きさに応じて、前記エネルギー及び前記カーボンエネルギーに基づく情報を一つの表示媒体で表示する工程と、を備える
ことを特徴とするカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法。
カーボンエネルギー比率=(炭素発熱量*燃料中の炭素質量)/(炭素発熱量*燃料中の炭素質量+水素発熱量*燃料中の水素質量)・・・式(1)
【請求項2】
さらに、炭化水素エネルギーとカーボンエネルギーの差から、炭化水素中の水素エネルギーを算出する工程を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法。
【請求項3】
前記燃料が炭化水素燃料である
ことを特徴とする請求項1に記載のカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法。
【請求項4】
前記カーボンエネルギー比率は、前記炭素発熱量と、前記燃料中の炭素質量と、前記水素発熱量と、前記燃料中の水素質量と、硫黄発熱量と、前記燃料中の硫黄質量と、式(2)を用いて算出される
ことを特徴とする請求項1に記載のカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法。
カーボンエネルギー比率=(炭素発熱量*燃料中の炭素質量)/(炭素発熱量*燃料中の炭素質量+水素発熱量*燃料中の水素質量+硫黄発熱量*燃料中の硫黄質量)・・・式(2)
【請求項5】
前記カーボンエネルギー比率を、二酸化炭素排出原単位、及び前記カーボンエネルギー比率と二酸化炭素排出原単位との関係より算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法。
【請求項6】
前記エネルギーは、再生可能エネルギーと、化石燃料エネルギーと、原子力エネルギーと、を含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法。
【請求項7】
炭素発熱量と、燃料中の炭素質量と、水素発熱量と、前記燃料中の水素質量と、式(1)を用いてカーボンエネルギー比率を算出し、かつ前記カーボンエネルギー比率に前記燃料の発熱量を乗じてカーボンエネルギーを算出する算出部と、
エネルギーの大きさ及び前記カーボンエネルギーの大きさに応じて、前記エネルギー及び前記カーボンエネルギーに基づく情報を一つの表示媒体で表示する表示部と、を備える
ことを特徴とするカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置。
カーボンエネルギー比率=(炭素発熱量*燃料中の炭素質量)/(炭素発熱量*燃料中の炭素質量+水素発熱量*燃料中の水素質量)・・・式(1)
【請求項8】
前記算出部は、炭化水素エネルギーとカーボンエネルギーの差から、炭化水素中の水素エネルギーを算出する
ことを特徴とする請求項7に記載のカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置。
【請求項9】
前記算出部は、前記炭素発熱量と、前記燃料中の炭素質量と、前記水素発熱量と、前記燃料中の水素質量と、硫黄発熱量と、前記燃料中の硫黄質量と、式(2)を用いて前記カーボンエネルギー比率を算出する
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置。
カーボンエネルギー比率=(炭素発熱量*燃料中の炭素質量)/(炭素発熱量*燃料中の炭素質量+水素発熱量*燃料中の水素質量+硫黄発熱量*燃料中の硫黄質量)・・・式(2)
【請求項10】
コンピュータを、請求項7又は8に記載のカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置の各部として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記憶したコンピュータの非一時的可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法、カーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置、プログラム及びコンピュータの非一時的可読記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
気候変動の緩和のために、エネルギー起源の二酸化炭素(CO2)排出量の削減が求められている。しかしながら、エネルギー消費者がCO2排出量を簡明に判別することは困難であり、それがCO2排出量の削減を妨げる要因の一つとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、エネルギーに占める二酸化炭素量の大きさをエネルギー単位で明確に表示することができるカーボンエネルギーの表示方法及びカーボンエネルギーの表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法は、炭素発熱量と、燃料中の炭素質量と、水素発熱量と、前記燃料中の水素質量と、式(1)を用いてカーボンエネルギー比率を算出する工程と、
前記カーボンエネルギー比率に前記燃料の発熱量を乗じてカーボンエネルギーを算出する工程と、
エネルギーの大きさ及び前記カーボンエネルギーの大きさに応じて、前記エネルギー及び前記カーボンエネルギーに基づく情報を一つの表示媒体で表示する工程と、を備えることを特徴とする。
カーボンエネルギー比率=(炭素発熱量*燃料中の炭素質量)/(炭素発熱量*燃料中の炭素質量+水素発熱量*燃料中の水素質量)・・・式(1)。
【0006】
また、本発明の一態様に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法は、炭化水素エネルギーとカーボンエネルギーの差から、炭化水素中の水素エネルギーを算出する工程を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法は、前記燃料が炭化水素燃料であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法は、前記カーボンエネルギー比率は、前記炭素発熱量と、前記燃料中の炭素質量と、前記水素発熱量と、前記燃料中の水素質量と、硫黄発熱量と、前記燃料中の硫黄質量と、式(2)を用いて算出されることを特徴とする。
カーボンエネルギー比率=(炭素発熱量*燃料中の炭素質量)/(炭素発熱量*燃料中の炭素質量+水素発熱量*燃料中の水素質量+硫黄発熱量*燃料中の硫黄質量)・・・式(2)。
【0009】
また、本発明の一態様に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法は、前記カーボンエネルギー比率を、二酸化炭素排出原単位、及び前記カーボンエネルギー比率と二酸化炭素排出原単位との関係より算出してもよい。
【0010】
また、本発明の一態様に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法は、前記エネルギーは、再生可能エネルギーと、化石燃料エネルギーと、原子力エネルギーと、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置は、炭素発熱量と、燃料中の炭素質量と、水素発熱量と、前記燃料中の水素質量と、式(1)を用いてカーボンエネルギー比率を算出し、かつ前記カーボンエネルギー比率に前記燃料の発熱量を乗じてカーボンエネルギーを算出する算出部と、
エネルギーの大きさ及び前記カーボンエネルギーの大きさに応じて、前記エネルギー及び前記カーボンエネルギーに基づく情報を一つの表示媒体で表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
カーボンエネルギー比率=(炭素発熱量*燃料中の炭素質量)/(炭素発熱量*燃料中の炭素質量+水素発熱量*燃料中の水素質量)・・・式(1)
【0012】
また、本発明の一態様に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置は、前記算出部は、炭化水素エネルギーとカーボンエネルギーの差から、炭化水素中の水素エネルギーを算出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置は、前記算出部は、前記炭素発熱量と、前記燃料中の炭素質量と、前記水素発熱量と、前記燃料中の水素質量と、硫黄発熱量と、前記燃料中の硫黄質量と、式(2)を用いて前記カーボンエネルギー比率を算出することを特徴とする。
カーボンエネルギー比率=(炭素発熱量*燃料中の炭素質量)/(炭素発熱量*燃料中の炭素質量+水素発熱量*燃料中の水素質量+硫黄発熱量*燃料中の硫黄質量)・・・式(2)。
【0014】
また、本発明の一態様は、コンピュータをカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置の各部として機能させるためのプログラムを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様は、プログラムを記憶したコンピュータの非一時的可読記録媒体を特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エネルギーに占める二酸化炭素量の大きさをエネルギー単位で明確に表示することができるカーボンエネルギーの表示方法及びカーボンエネルギーの表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法のフローチャートを示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置を備える情報提供システム100の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、様々なエネルギーについてのカーボンエネルギーと二酸化炭素の排出量との関係を示した図である。
【
図4】
図4は、一次エネルギー、一次エネルギーの内訳、及び二酸化炭素排出量の経時変化を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4の一次エネルギー100%を規格化したデータを示す図である。
【
図6】
図6は、ENE(全一次エネルギー)に占める、CE、HE、Trad.RE、RE及びNEの割合の変化を示した図である。
【
図7】
図7は、単位GDP当たりのカーボンエネルギーの変化、GDPの変化及び単位GDP当たりのエネルギー消費量の変化を示した図である。
【
図8】
図8は、エネルギーフローの作成に使用したデータを示す図である。
【
図9】
図9は、
図8に示すデータを基に作成したエネルギーフローを示す図。
【
図10】
図10は、日本の2010年の統計データを使用した。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。まず、本発明の一実施形態に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法を説明する。
【0019】
≪カーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法≫
図1は、本発明の実施形態に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法のフローチャートを示す図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法は、以下の特徴を有する。
【0020】
炭素発熱量と、燃料中の炭素質量と、水素発熱量と、燃料中の水素質量と、式(1)を用いてカーボンエネルギー比率を算出する工程、カーボンエネルギー比率に燃料の発熱量を乗じてカーボンエネルギーを算出する工程と、エネルギーの大きさ及びカーボンエネルギーの大きさに応じて、エネルギー及びカーボンエネルギーを一つの表示媒体で表示する工程と、を備えることを特徴とする。
カーボンエネルギー比率=(炭素発熱量*燃料中の炭素質量)/(炭素発熱量*燃料中の炭素質量+水素発熱量*燃料中の水素質量)・・・式(1)。
【0021】
<炭素発熱量と、燃料中の炭素質量と、水素発熱量と、燃料中の水素質量と、式(1)を用いてカーボンエネルギー比率を算出する工程>
カーボンエネルギー比率は、炭素発熱量と、燃料中の炭素質量と、水素発熱量と、燃料中の水素質量と、式(1)を用いて算出される。燃料は、一次エネルギーである燃料を言う。燃料は、例えば、化石燃料又は炭化水素燃料が挙げられる。化石燃料は、例えば、石炭、石油、天然ガスが挙げられる。燃料中の炭素質量は、燃料に含まれる炭素の質量の合計である。炭素発熱量は、単位質量当たりの炭素が燃焼してすべて二酸化炭素になるときに発熱する量である。燃料中の水素質量は、単位質量当たりの水素の質量の合計である。水素発熱量は、燃料に含まれる水素が燃焼してすべて水になるときに発熱する量である。
【0022】
燃料が2以上の異なる結合状態を有する炭素を含む場合、それぞれの結合状態の炭素の質量にそれぞれの結合状態の炭素が燃焼して二酸化炭素になるときの発熱量を乗じて、それらを全て合計することによって炭素発熱量を算出してもよい。それぞれの結合状態の炭素が燃焼して二酸化炭素になるときの発熱量は既知の値を使用してもよい。燃料に含まれる水素が燃焼してすべて水になるときに発熱する量は既知の値を使用してもよい。
【0023】
燃料は、任意な系で使用される燃料としてもよい。系として、会社単位、市町村、都道府県、国家、世界全体などが挙げられる。
【0024】
燃料は、硫黄や窒素などの微量元素が含まれる場合がある。硫黄や窒素などの微量元素を考慮してカーボンエネルギー比率を算出してもよい。この場合は、カーボンエネルギー比率は、炭素発熱量と、燃料中の炭素質量と、水素発熱量と、燃料中の水素質量と、硫黄発熱量と、燃料中の硫黄質量と、式(2)を用いて算出してもよい。
カーボンエネルギー比率=(炭素発熱量*燃料中の炭素質量)/(炭素発熱量*燃料中の炭素質量+水素発熱量*燃料中の水素質量+硫黄発熱量*燃料中の硫黄質量)・・・式(2)。
【0025】
硫黄発熱量は、単位質量当たりの硫黄が燃焼してすべて二酸化硫黄になるときに発熱する量である。窒素発熱量は、単位質量当たりの窒素が燃焼してすべて二酸化窒素になるときに発熱する量である。硫黄発熱量及び窒素発熱量は公知の値を使用することができる。
【0026】
硫黄や窒素などの微量元素を考慮して、カーボンエネルギー比率を計算した場合、二酸化炭素エネルギーをより正確に算出することができる。なお、硫黄や窒素などの微量元素は燃料中の炭化水素と化学的に結合している元素のみならず、単体として存在する元素をも含む。
【0027】
<カーボンエネルギー比率に燃料の発熱量を乗じてカーボンエネルギーを算出する工程>
カーボンエネルギー比率に燃料の発熱量を乗じてカーボンエネルギーを算出する工程では、上述で計算されるカーボンエネルギーと燃料の発熱量を乗じてカーボンエネルギーを算出する。燃料の発熱量とは、燃料がすべて燃焼したときの発熱量を言う。燃料が、炭化水素燃料である場合、燃料の発熱量を、炭化水素燃料中の炭素及び水素がすべて二酸化炭素及び水になるときのそれぞれの発熱量の合計としてもよい。燃料が、炭素及び水素以外の元素を含む化石燃料である場合、炭化水素燃料中の炭素及び水素がすべて二酸化炭素及び水になるときのそれぞれの発熱量の合計に、炭素及び水素以外の元素が燃焼したときの発熱量を加えた発熱量としてもよい。
【0028】
<エネルギーの大きさ及びカーボンエネルギーの大きさに応じて、エネルギー及びカーボンエネルギーを一つの表示媒体で表示する工程>
エネルギーの大きさ及び上述で算出されるカーボンエネルギーの大きさに応じて、エネルギー及びカーボンエネルギーを一つの表示媒体で表示する。エネルギーの大きさとは、前述の燃料が使用される系と同じ系で使用される一次エネルギーの大きさを言う。一次エネルギーとして、再生可能エネルギー、化石燃料エネルギー、原子力エネルギーが挙げられる。再生可能エネルギーとして、太陽光、風力、水力、自然界に存在する熱、バイオマス、海洋エネルギーが挙げられる。
【0029】
エネルギーの大きさ及び上述で算出されるカーボンエネルギーの大きさに応じて、エネルギー及びカーボンエネルギーを、エネルギーの大きさとカーボンエネルギーの大きさとの比率を維持したまま、同じ表示媒体で表示してもよく、エネルギーの大きさ及びカーボンエネルギーの大きさを他の量に換算して同じ表示媒体で表示してもよい。エネルギー及びカーボンエネルギーを図形で表示してもよい。例えば、図形が線である場合は、線の長さ、図形が二次元である場合は、図形の面積、図形が三次元である場合は、図形の体積により表してもよい。
【0030】
エネルギーの大きさを一の図形で表し、カーボンエネルギーの大きさを一の図形の一部を他の部分と視覚的に区別できるような形で表してもよい。例えば、エネルギーの大きさを直線で表し、前述の直線の一部の色を変えて、直線全体の長さと色を変えた部分の長さとの比率が、エネルギーの大きさとカーボンエネルギーの大きさとの比率が同じになるように表示してもよい。
【0031】
表示方法は、物に付する形で表示してもよく、電磁的方法を利用して画像に表示してもよい。カーボンエネルギーを経時的に算出して、エネルギーとカーボンエネルギーとを時系列に並べて表示してもよい。
【0032】
燃料中の炭素及び水素の質量比率は、燃料の種類によって異なる。そのため、燃料の質量は、燃料がすべて燃焼して生成する二酸化炭素の質量とは必ずしも比例しない。そのため、エネルギー消費者がエネルギー消費量から二酸化炭素の排出量を簡明に認識することが難しい。その結果、エネルギー消費者が二酸化炭素の削減のためにエネルギー消費量を見直す動機付けが弱くなる。また、二酸化炭素の排出量を削減するために適切なエネルギー消費の把握が難しい。一方、本実施形態に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示方法によれば、カーボンエネルギーが二酸化炭素の排出量と強い相関関係を有する。そのため、消費エネルギーの量を表すカーボンエネルギーによって二酸化炭素の排出量の大きさを理解することができる。これにより、二酸化炭素の排出量の大きさをより簡単に判別することができる。
【0033】
また、カーボンエネルギーは、消費エネルギーと同じ次元を有する。そのため、カーボンエネルギーを他の消費エネルギーと同一の図表で表示することができる。これにより、総エネルギーの内の二酸化炭素を排出するエネルギーの割合をより正確判別することができる。二酸化炭素を排出するエネルギーと他のエネルギーの関係が明確に理解できるので、二酸化炭素の排出量削減をするための方針をより容易に検討することができる。
【0034】
本実施形態において、炭化水素エネルギーとカーボンエネルギーの差から、炭化水素中の水素エネルギーを算出する工程をさらに備えてもよい。水素エネルギーは下記の式で算出してもよい。
水素エネルギー = 炭化水素エネルギー - カーボンエネルギー
【0035】
本実施形態において、前記カーボンエネルギー比率を、二酸化炭素排出原単位、及び前記カーボンエネルギー比率と二酸化炭素排出原単位との関係から算出してもよい。
前記カーボンエネルギー比率と二酸化炭素排出原単位との関係は、例えば下記の式(3)を使用してもよい。
カーボンエネルギー比率 = 二酸化炭素排出原単位 * 係数・・・式(3)
ここで、係数は、排出される割合を表す排出係数であってもよい。例えば、
図3に示すように、各種の炭化水素の二酸化炭素排出原単位と、各種の炭化水素の排出される割合を表す排出係数により、各種の炭化水素のカーボンエネルギー比率を求めてもよい。
【0036】
本実施形態において、エネルギー及びカーボンエネルギーを直接表示してもよく、エネルギー及びカーボンエネルギーに基づいて求められる情報を表示してもよい。
【0037】
続いて、本発明の別の実施形態に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置を説明する。
【0038】
≪カーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置≫
本発明の別の実施形態に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置は、炭素発熱量と、燃料中の炭素質量と、水素発熱量と、燃料中の水素質量と、式(1)を用いてカーボンエネルギー比率を算出し、かつカーボンエネルギー比率に燃料の発熱量を乗じてカーボンエネルギーを算出する算出部と、エネルギーの大きさ及びカーボンエネルギーの大きさに応じて、エネルギー及びカーボンエネルギーを一つの表示媒体で表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
【0039】
カーボンエネルギー比率=(炭素発熱量*燃料中の炭素質量)/(炭素発熱量*燃料中の炭素質量+水素発熱量*燃料中の水素質量)・・・式(1)
【0040】
本発明の実施形態に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置を備える情報提供システム100について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係るカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置を備える情報提供システム100の構成例を示す図である。
図2に示すように、情報提供システム100は、カーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置200と、端末装置300とを備える。カーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置200は、制御装置15と、演算装置25と、受信装置35とを備える。端末装置300は、ユーザ端末の具体例である。カーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置200と、端末装置300とはネットワーク60を介して通信可能に接続されている。ネットワーク60は、無線通信のネットワークで構成されてもよいし、有線通信のネットワークで構成されてもよいし、無線通信のネットワークと有線通信のネットワークとを組み合わせて構成されてもよい。ネットワーク60は広域の通信網であってもよいし、構内の通信網であってもよいし、1本のケーブルであってもよい。すなわち、ネットワーク60は、データを送信可能な通信路であれば、どのように構成されてもよい。
【0041】
カーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置200は、ネットワークを介して少なくとも炭素発熱量、燃料中の炭素質量、水素発熱量及び燃料中の水素質量のデータを受信し、炭素発熱量と、燃料中の炭素質量と、水素発熱量と、燃料中の水素質量と、式(1)を用いてカーボンエネルギー比率を算出し、かつカーボンエネルギー比率に燃料の発熱量を乗じてカーボンエネルギーを算出する。炭素発熱量及び水素発熱量は、既知の値であってもよい。
カーボンエネルギー比率=(炭素発熱量*燃料中の炭素質量)/(炭素発熱量*燃料中の炭素質量+水素発熱量*燃料中の水素質量)・・・式(1)
【0042】
また、カーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置200は、ネットワークを介して少なくとも、炭素発熱量、燃料中の炭素質量、水素発熱量、燃料中の水素質量、硫黄発熱量、燃料中の硫黄質量、窒素発熱量及び燃料中の窒素質量のデータを受信し、炭素発熱量、燃料中の炭素質量、水素発熱量、燃料中の水素質量、硫黄発熱量、燃料中の硫黄質量、及び式(2)を用いてカーボンエネルギー比率を算出する。
カーボンエネルギー比率=(炭素発熱量*燃料中の炭素質量)/(炭素発熱量*燃料中の炭素質量+水素発熱量*燃料中の水素質量+硫黄発熱量*燃料中の硫黄質量)・・・式(2)
【0043】
制御装置15は、Programmable Logic Controller(PLC)やシングルボードコンピューターやパーソナルコンピューター等の情報処理装置を用いて構成される。制御装置15は、演算装置25が演算するように制御する。制御装置15は、受信装置35が受信するように制御する。
【0044】
演算装置25は、受信装置35が受信するデータを使用して演算を行う。演算装置25は、算出部の具体例である。演算装置25は、炭化水素エネルギーとカーボンエネルギーの差から、炭化水素中の水素エネルギーを算出してもよい。
【0045】
受信装置35は、端末装置300からデータを受信する。受信するデータとして、例えば炭素発熱量、燃料中の炭素質量、水素発熱量、燃料中の水素質量、硫黄発熱量、燃料中の硫黄質量、窒素発熱量及び燃料中の窒素質量が含まれる。
【0046】
端末装置300は、パーソナルコンピューターやサーバー装置や専用装置等の情報処理装置を用いて構成される。端末装置300は、状態値や物理量を取得すると、取得された状態値や物理量を記憶装置に日時の情報と対応付けて記憶装置に記録する。端末装置300は、取得された状態値や物理量のうち予め定められている値を、ネットワーク60を介してカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置200に送信する。送信される値には、例えば炭素発熱量、燃料中の炭素質量、水素発熱量、燃料中の水素質量、硫黄発熱量、燃料中の硫黄質量、窒素発熱量及び燃料中の窒素質量が含まれる。
【0047】
端末装置300は、入力装置及び出力装置を備えてもよい。入力装置は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力装置は、マイク及び音声認識装置を用いて構成されてもよい。この場合、入力装置はユーザによって発話された文言を音声認識し、認識結果の文字列情報を端末装置300に入力する。入力装置は、ユーザの指示を端末装置300に入力可能な構成であればどのように構成されてもよい。出力装置は、例えば画像や文字を画面に出力する装置を用いて構成されても良い。例えば、出力装置は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイ等を用いて構成できる。また、出力装置は、画像や文字をシートに印刷(印字)する装置を用いて構成されても良い。例えば、出力装置は、インクジェットプリンタやレーザープリンタ等を用いて構成できる。また、出力装置は、文字を音声に変換して出力する装置を用いて構成されても良い。この場合、出力装置は、音声合成装置及び音声出力装置(スピーカー)を用いて構成できる。出力装置は、LED(Light Emitting Diode)等の発光装置を用いて構成されてもよい。この場合、出力装置は出力対象の情報に対して予め対応付けられた態様で発光装置を発光させてもよいし、出力対象の情報に対して予め対応付けられた位置の発光装置を発光させてもよい。
【0048】
端末装置300は、ユーザが入力装置を操作することによって得られる値を取得する。例えば、出力装置は、入力装置を介して入力された各値や、カーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置200による推定結果の値などを出力する。
【0049】
また、本実施形態においては、コンピュータをカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の表示装置のとして機能させるための乱流運動エネルギー散逸率推定プログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータの非一時的可読記録媒体が提供される。コンピュータの非一時的可読記録媒体としては、例えば、磁気テープ(デジタルデータストレージ(DSS)など)、磁気ディスク(ハードディスクドライブ(HDD)、フレキシブルディスク(FD)など)、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、ブルーレイディスク(BD)など)、光磁気ディスク(MO)、フラッシュメモリ(SSD(Solid State Drive)、メモリーカード、USBメモリなど)が挙げられる。
【0050】
本実施形態において、エネルギー及びカーボンエネルギーを直接表示してもよく、エネルギー及びカーボンエネルギーに基づいて求められる情報を表示してもよい。
【実施例0051】
以下、実施例により本発明の効果をさらに具体的に説明する。実施例での条件は、本発明の実施可能性および効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明はこの一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【0052】
まず、異なる種類のエネルギーのカーボンエネルギーを算出して、カーボンエネルギーと二酸化炭素排出量との関係について検討を行った。式(1)を用いて、水素、メタン、エタン、プロパン、n-ブタン、n-ペンタン、原油、及びアメリカとオーストラリアで産出する7種類の石炭についてカーボンエネルギーを算出した。算出した水素、メタン、エタン、プロパン、n-ブタン、n-ペンタン、原油、及びアメリカとオーストラリアで産出する7種類の石炭のカーボンエネルギーをグラフの横軸に、それらの二酸化炭素排出量をグラフの縦軸にプロットした。
【0053】
図3は、様々なエネルギーについてのカーボンエネルギーと二酸化炭素の排出量との関係を示した図である。
図3に示すように、カーボンエネルギーと二酸化炭素の排出量との間には高い相関関係があることが確認できた。すなわち、二酸化炭素の排出量の代わりにカーボンエネルギーを使用しても、二酸化炭素の排出量を定量的に分析することができる。
【0054】
続いて、カーボンエネルギーを使用して、実データを解析して、カーボンエネルギーの汎用性を確認した。
【0055】
図4は、一次エネルギー、一次エネルギーの内訳、及び二酸化炭素排出量の経時変化を示す図である。
図4で、CEはカーボンエネルギー、HEは水素関連エネルギー、Trad.REは古典的な再生可能エネルギー(バイオエネルギー)、REは古典的以外の再生可能エネルギー、NEは原子力エネルギーを示す。なお、2040CP、2040NP、2040SDは、参考文献(International Energy Agency (IEA), World energy balances and statistics, IEA, 2019)のデータを使用して算出した予測値である。
図4に示すように、カーボンエネルギーの経時変化が二酸化炭素排出量の変化と強い相関関係があることが確認できた。また、エネルギーに占めるカーボンエネルギーの割合が容易に確認できる。つまり、一つの図により、二酸化炭素排出量とカーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率の両方を確認できる。ここで言う、エネルギーに占めるカーボンエネルギーの割合の「エネルギー」は、全一次エネルギーであってもよい。
【0056】
図5は、
図4の一次エネルギー100%を規格化したデータを示す図である。
図5の一次エネルギーの内訳を示すシンボルの意味は
図4と同じである。
図5で、二酸化炭素排出量はそれぞれの期間に対応するエネルギーで規格化したものである。
図5に示すように、カーボンエネルギーおよびカーボンエネルギー比率がエネルギーに示す割合の経時変化が容易に確認できる。
【0057】
続いて、ENE(全一次エネルギー)に占める、CE、HE、Trad.RE、RE及びNEの割合の変化について解析した。解析に供したデータは参考文献(Ritchie and Roser (2020))に開示のデータを使用した。ENEは以下のように表すことができる。なお、REtはTrad.RE及びREの合計である。
ENE=CE+HE+REt+NE・・・式(3)
【0058】
式(3)の両辺をENEで除して、整理すると式(4)のようになる。
(CE/ENE)=1.0-(HE/ENE)-(REt/ENE)-(NE/ENE)・・・式(4)
【0059】
式(4)の両辺を時間で微分すると式(5)が得られる。
d(CE/ENE)/dt=-d(HE/ENE)/dt-d(REt/ENE)/dt-d(NE/ENE)/dt・・・式(5)
【0060】
図6は、ENE(全一次エネルギー)に占める、CE、HE、Trad.RE、RE及びNEの割合の変化を示した図である。
図6に示すように、時間経過に伴って増加するエネルギーと減少したエネルギーを読み取ることができる。
【0061】
続いて、カーボンエネルギーの変化とGDP(国内総生産)との関係について解析した。式(3)は次のように変形することができる。
【0062】
CE=(CE/GDP)GDP
=(ENE/GDP-HE/GDP-REt/GDP-NE/GDP)GDP・・・式(6)
【0063】
式(6)の両辺を時間で微分して整理すると式(7)のようになる。
dCE/dt/CE=d(CE/GDP)/dt/(CE/GDP)+dGDP/dt/GDP
=d(ENE/GDP)/dt/(ENE/GDP)(ENE/CE)
-d(HE/GDP)/dt/(HE/GDP)(HE/CE)
-d(RE/GDP)/dt/(RE/GDP)(RE/CE)
-d(NE/GDP)/dt/(NE/GDP)(NE/CE)
+dGDP/dt/GDP・・・式(8)
【0064】
ここで、式(8)のdtを一定期間を表すΔtに置換すると、式(8)は次のように変形できる。
ΔCE/CE≒Δ(CE/GDP)/(CE/GDP)+ΔGDP/GDP
≒Δ(ENE/GDP)/(ENE/GDP)(ENE/CE)
-Δ(HE/GDP)/(HE/GDP)(HE/CE)
-Δ(RE/GDP)/(RE/GDP)(RE/CE)
-Δ(NE/GDP)/(NE/GDP)(NE/CE)
+ΔGDP/GDP・・・式(9)
【0065】
式(9)を使用することで単位GDP当たりのカーボンエネルギーの変化を、GDPの変化及び単位GDP当たりのエネルギー消費量の変化と関連づけて考察することができる。
【0066】
図7は、単位GDP当たりのカーボンエネルギーの変化、GDPの変化及び単位GDP当たりのエネルギー消費量の変化を示した図である。
図7に示すように、単位GDP当たりのカーボンエネルギーの変化(CE/GDP)を減らすためには、単位GDP当たりの一次エネルギーの変化(ENE/GDP)を減らすだけではなく、単位GDP当たりの水素エネルギーの変化(HE/GDP)、単位GDP当たりの再生可能エネルギーの変化(RE
t/GDP)及び単位GDP当たりの水素エネルギーの変化(NE/GDP)を増加させる必要もあることが分かる。
【0067】
続いて、カーボンエネルギーが二酸化炭素排出量を可視化するのに有効であることを確認するために、カーボンエネルギーを考慮したエネルギーフロー図を作成した。
図8は、エネルギーフローの作成に使用したデータを示す図である。
図8は日本の2010年の統計データを使用した。
【0068】
図9は、
図8に示すデータを基に作成したエネルギーフローを示す図である。
図9に左列に一次エネルギー原を示している。左列から出る帯の太さはエネルギーの量を示す。それぞれの帯の内訳は一次エネルギー原から生じるエネルギーの種類を示している。
図9の中列は一次エネルギーによって生成される二次エネルギーを示す。
図9の右列は、エネルギーの消費先を示す。
図9に示すように、カーボンエネルギーの帯の流れを参照することでカーボンエネルギーの発生源及び二酸化炭素として排出される時期に関する情報を得ることができる。
【0069】
図10、エネルギーフローの作成に使用したデータを示す図である。
図10は日本の2010年の統計データを使用した。
図10では、
図8の電力を生成するエネルギーの種類の内訳を更に示した。
【0070】
図11は、
図10に示すデータを基に作成したエネルギーフローを示す図である。
図10に左列、中列、右列に示す事項は
図9と同じである。
図11では、電力の帯のエネルギーの種類の内訳を更に示した。
図11に示すように、エネルギーの消費先でどれぐらいのカーボンエネルギーが消費されたのかが明確に分かる。つまり、エネルギーの消費先でどれぐらい二酸化炭素の排出がもたらされたのかがわかる。
【0071】
以上に示しますように、本発明の実施例によれば、二酸化炭素の排出量と強い相関関係があるカーボンエネルギーを他のエネルギーと同一の図表に記載することができる。これにより、二酸化炭素の排出の原因となる一次エネルギー及び二酸化炭素を排出したエネルギー消費先をより明確に理解できる。
【0072】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「有する」や「備える」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0073】
また、明細書に記載の「…部」の用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアまたはソフトウェアとして具現されてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで具現されてもよい。
【0074】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
以上のことから、本発明によれば、エネルギーに占める二酸化炭素量の大きさをエネルギー単位で明確に表示することができるカーボンエネルギーの表示方法及びカーボンエネルギーの表示装置を提供することができるので、産業上の利用価値が高い。