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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182438
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】正着制御方法及び車両システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20231219BHJP
   B62D 13/00 20060101ALI20231219BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G05D1/02 Q
B62D13/00
B61B13/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096045
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】安藤 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】長尾 知彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 道治
(72)【発明者】
【氏名】荒谷 康太
(72)【発明者】
【氏名】竹内 靖博
【テーマコード(参考)】
3D101
5H301
【Fターム(参考)】
3D101BB16
3D101BB52
3D101BD10
3D101BE08
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301EE06
5H301EE13
5H301FF04
5H301FF23
5H301HH01
5H301JJ06
(57)【要約】
【課題】4輪操舵車両を横付けして停止させるための正着制御方法及び車両システムを提供すること。
【解決手段】後輪が逆相に操舵される4輪操舵車両を少なくとも含む車両(2)を、プラットフォーム(15)に横付けして停止させるための正着制御方法であって、プラットフォーム(15)に車両(2)を横付けして停止したときの車両(2)の向きである停車方向に沿って仮想的に延びる仮想プラットフォーム(159)をプラットフォーム(15)の手前側に当たる位置に設定し、プラットフォーム(15)に車両(2)を横付けして停止させるための制御に先立って、仮想プラットフォーム(159)に車両(2)を幅寄せするための予備制御を実行する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後輪が逆相に操舵される4輪操舵車両を少なくとも含む車両を、プラットフォームに横付けして停止させるための正着制御方法であって、
前記プラットフォームに前記車両を横付けして停止したときの当該車両の向きである停車方向に沿って仮想的に延びる仮想プラットフォームを、前記停車方向及び当該停車方向に直交する横方向の両方向において前記プラットフォームの手前側に当たる位置に設定し、
前記プラットフォームに前記車両を横付けして停止させるための制御に先立って、前記仮想プラットフォームに前記車両を幅寄せするための予備制御を実行することを特徴とする正着制御方法。
【請求項2】
請求項1において、前記プラットフォームと前記仮想プラットフォームとの前記横方向の偏差は、前記4輪操舵車両の後輪が逆相に操舵されて走行する際の当該後輪の外側への振り出し量の1倍以上5倍以下である正着制御方法。
【請求項3】
請求項1において、前記車両が走行する路面では、前記プラットフォームに沿って少なくとも2個以上の磁気マーカが配列されていると共に、前記仮想プラットフォームに沿って少なくとも2個以上の磁気マーカが配列されており、
前記車両は、前記磁気マーカに対する横方向の偏差を制御対象として、当該横方向の偏差を所定値に近付けるように走行制御される正着制御方法。
【請求項4】
請求項1において、前記車両が走行する路面では、前記プラットフォームに沿って少なくとも2個以上の磁気マーカが配列されていると共に、当該少なくとも2個以上の磁気マーカが、前記停車方向における前記仮想プラットフォームの設定範囲に至るまで延設されており、
前記車両は、前記磁気マーカに対する横方向の偏差を制御対象として操舵され、
前記プラットフォームに前記車両を横付けして停止させる制御の実行時と、前記仮想プラットフォームに前記車両を幅寄せするための前記予備制御の実行時とで、前記横方向の偏差の制御目標値が異なる値に設定される正着制御方法。
【請求項5】
請求項1において、前記仮想プラットフォームは、前記停車方向において前記プラットフォームから遠ざかるほど当該プラットフォームを基準とした前記横方向の偏差が段階的に大きくなるように複数、設けられ、
複数の仮想プラットフォームに前記車両を幅寄せするための複数の予備制御を実行することを特徴とする正着制御方法。
【請求項6】
後輪が逆相に操舵される4輪操舵車両を少なくとも含む車両を、プラットフォームに横付けして停止させるための車両システムであって、
前記プラットフォームに前記車両を横付けして停止したときの当該車両の向きである停車方向に沿って仮想的に延びる仮想プラットフォームを、前記停車方向及び当該停車方向に直交する横方向の両方向において前記プラットフォームの手前側に当たる位置に設定する第1の回路と、
当該仮想プラットフォームに前記車両を幅寄せするための予備制御を実行する第2の回路と、
前記プラットフォームに前記車両を横付けして停止させるための制御を実行する第3の回路と、を含み、
該第3の回路は、前記第2の回路による前記予備制御の実行後に、前記プラットフォームに前記車両を横付けして停止させる制御を実行するように構成されている車両システム。
【請求項7】
請求項6において、前記車両が走行する路面では、前記プラットフォームに沿って少なくとも2個以上の磁気マーカが配列されていると共に、前記仮想プラットフォームに沿って少なくとも2個以上の磁気マーカが配列されており、
前記第2及び第3の回路は、前記磁気マーカに対する横方向の偏差を制御対象として当該横方向の偏差を共通の所定値に近付けるように前記車両を制御する回路である車両システム。
【請求項8】
請求項6において、前記車両が走行する路面では、前記プラットフォームに沿って少なくとも2個以上の磁気マーカが配列されていると共に、当該少なくとも2個以上の磁気マーカが、前記停車方向における前記仮想プラットフォームの設定範囲に至るまで一直線上をなすように延設されており、
前記第2及び第3の回路は、前記磁気マーカに対する横方向の偏差を制御対象として前記車両を制御する回路である一方、当該第2及び第3の回路では、前記横方向の偏差の制御目標値が異なる値に設定されている車両システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後輪が逆相に操舵される4輪操舵車両を含む車両を横付けして停止させるための正着制御方法及び車両システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、工場等の施設内で部品や製品等を運搬する用途として、操舵輪である前輪に対して後輪が逆相に操舵される4輪操舵車両が利用されることがある。4輪操舵車両は、小回りが効くので、工場等の施設内での利用に適している(下記の特許文献1参照。)。4輪操舵車両としては、駆動輪を有し自走可能な車両のほか、牽引車両に牽引される台車等がある。
【0003】
しかしながら、後輪が逆相に制御される4輪操舵車両は、コーナリングの際、後輪が外側に振り出される傾向を有しており、例えば、所定の停止位置に横付けして停止する、いわゆる正着制御の際、後輪の振り出しが問題となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-223561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、4輪操舵車両を横付けして停止させるための正着制御方法及び車両システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、後輪が逆相に操舵される4輪操舵車両を少なくとも含む車両を、プラットフォームに横付けして停止させるための正着制御方法であって、
前記プラットフォームに前記車両を横付けして停止したときの当該車両の向きである停車方向に沿って仮想的に延びる仮想プラットフォームを、前記停車方向及び当該停車方向に直交する横方向の両方向において前記プラットフォームの手前側に当たる位置に設定し、
前記プラットフォームに前記車両を横付けして停止させるための制御に先立って、前記仮想プラットフォームに前記車両を幅寄せするための予備制御を実行することを特徴とする正着制御方法にある。
【0007】
本発明の一態様は、後輪が逆相に操舵される4輪操舵車両を少なくとも含む車両を、プラットフォームに横付けして停止させるための車両システムであって、
前記プラットフォームに前記車両を横付けして停止したときの当該車両の向きである停車方向に沿って仮想的に延びる仮想プラットフォームを、前記停車方向及び当該停車方向に直交する横方向の両方向において前記プラットフォームの手前側に当たる位置に設定する第1の回路と、
当該仮想プラットフォームに前記車両を幅寄せするための予備制御を実行する第2の回路と、
前記プラットフォームに前記車両を横付けして停止させるための制御を実行する第3の回路と、を含み、
該第3の回路は、前記第2の回路による前記予備制御の実行後に、前記プラットフォームに前記車両を横付けして停止させる制御を実行するように構成されている車両システムにある。
【0008】
本発明の正着制御方法及び車両システムは、4輪操舵車両を少なくとも含む車両をプラットフォームに横付けして停止させるための制御方法あるいはシステムである。この正着制御方法及び車両システムでは、上記の車両を横付けして停止させるプラットフォームの手前側に、仮想プラットフォームが仮想的に設定される。そして、この正着制御方法等では、プラットフォームに横付けして停止する前に、この仮想プラットフォームに車両が幅寄せされる。
【0009】
本発明によれば、4輪操舵車両を少なくとも含む車両をプラットフォームに横付けして停止させる前に、仮想プラットフォームに幅寄せすることで、プラットフォームに横付けして停止する際の車両の進入角を抑えることができる。車両の進入角を抑えれば操舵量を抑制でき、逆相に操舵される後輪の外側への振り出し量を抑制できる。
【0010】
このように、本発明の正着制御方法及び車両システムは、後輪が逆相に操舵される4輪操舵車両を少なくとも含む車両をプラットフォームに横付けして停止する際、後輪の外側への振り出し量を抑制できる優れた特性の制御方法あるいはシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】車両システムの説明図。
図2】車両の説明図。
図3】台車の4輪操舵機構の説明図。
図4】牽引車両のシステム構成を示すシステム図。
図5】磁気センサアレイの説明図。
図6】走行制御の流れを示すフロー図。
図7】予備制御の説明図。
図8】プラットフォームに正着させる制御の説明図。
図9】磁気マーカの他の敷設態様の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における4輪操舵車両は、駆動輪を有し自走可能な車両であっても良く、駆動輪を備えず他の車両に牽引される台車であっても良い。車両は、駆動輪を有する牽引車両と台車とを組み合わせた車両であっても良い。牽引車両と台車との組み合わせの場合、牽引車両及び台車のうちのいずれかが4輪操舵車両であれば良い。牽引車両は、4輪操舵車両であっても良いし、前輪あるいは後輪のみが操舵される車両であっても良い。牽引車両によって牽引される台車の連結数は、1台のみであっても良いし、2台以上であっても良い。台車の連結数が2台以上のとき、いずれかの台車が4輪操舵車両であれば良い。
【0013】
本発明の正着制御方法は、例えば自律航法による車両の走行制御を前提とするものであっても良く、例えば磁気マーカやガイドテープなどを利用する車両の走行制御を前提とするものであっても良く、例えば衛星電波を利用するGNSS(Global Navigation Satellite System)によって測位された絶対位置を利用して車両を走行させる制御を前提とするものであっても良く、電波ビーコンや無線タグを利用する屋内位置測位システムによって測位された位置を利用して車両を走行させる制御を前提とするものであっても良い。
【0014】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、車両2を所定の停止位置に横付けして停止させるための正着制御を実行する車両システム1に関する例である。この内容について、図1図9を用いて説明する。
【0015】
本例の車両システム1は、図1のごとく、例えば工場などの施設内に設けられた経路11、13を車両2が移動するシステムである。例えば、工場などの施設では、設備に供給する部品を運ぶ車両が横付けして停止するためのプラットフォーム15や、加工後の部品を運び出す車両が横付けして停止するためのプラットフォーム15、等が設けられている。例えば、病院や介護施設等の施設であれば、調理された給食を車両に積み込むためのプラットフォーム等が設けられている。
【0016】
例えば図1に例示するように、車両システム1では、施設内を移動するための主経路11のほか、主経路から分岐する分岐経路13が設けられている。分岐経路13のひとつとして、上記のプラットフォーム15に車両2を横付けするための横付け経路130が設けられている。車両システム1では、経路11、13上の各点の絶対位置等が特定されたマップデータが利用される。
【0017】
主経路11及び分岐経路13では、間隔を空けて磁気マーカ10が配置されている。例えば、主経路11では、車両2の進路に沿って2m間隔で磁気マーカ10が配置されている。また例えば、分岐経路13のひとつである横付け経路130では、進行方向における車両2の位置的な精度を確保できるよう、主経路11よりも狭い0.5m間隔で、磁気マーカ10が配置されている。
【0018】
横付け経路130は、車両2を横付けして停止させるプラットフォーム15に対して個別に設けられている。横付け経路130は、車両2をプラットフォーム15に横付けして停止させる停止位置(所定の停止位置の一例)135を含む直線区間131と、主経路11から分岐してその直線区間に接続する分流区間133と、直線区間131を通過して主経路11に合流するための合流区間(図示略)と、により構成されている。
【0019】
各プラットフォーム15の横付け経路130は、仕様が共通している。分流区間133の距離、直線区間131の距離、図示しない合流区間の距離、直線区間131の起点から停止位置135までの距離等は、各プラットフォーム15で共通となっている。各区間の距離が共通であれば、分流区間133における磁気マーカ10の設置個数、直線区間131の起点から停止位置135に至るまでの磁気マーカ10の設置個数なども、各プラットフォーム15で共通になる。車両2側では、例えば0.5m毎に配置された磁気マーカ10の検出個数をカウント等することで、横付け経路130に進入した後、直線区間131に進入するまでの距離や、直線区間131に進入した後、停止位置135までの残りの距離等を把握可能である。
【0020】
本例の構成では、直線区間131の距離が9m、直線区間131の起点から停止位置135までの距離が7mとなっている。互いに平行をなす主経路11と直線区間131との横方向の間隔は1mに設定されている。直線区間131では、磁気マーカ10に対する車両2の横ずれ量(横方向の偏差)がゼロに制御されたとき、プラットフォーム15に対して10cmの隙間で車両2を横付けできるように磁気マーカ10が配置されている。横付け経路130は、主経路11を移動する車両2を90cm幅寄せしてプラットフォーム15に横付けするための経路である。
【0021】
車両2(図2)は、自動走行が可能な牽引車両21と、この牽引車両21によって牽引される四輪の台車23と、により構成されている。牽引車両21は、長さ2m、幅1mである。台車23は、長さ2m、幅1mである。なお、本例の車両2における台車23の連結数は1台であるが、複数台の台車23を連結する車両であっても良い。
【0022】
牽引車両21は、操舵輪である1輪の前輪211と、駆動輪である2輪の後輪212と、を備える3輪車である。後輪212は、回転方向が固定された固定輪である。牽引車両21の前部には、車幅方向(横方向)に沿うように棒状の磁気センサアレイ3が取り付けられている。また牽引車両21の後端部には、台車23を牽引するための牽引フック219が設けられている。
【0023】
台車23は、前輪231が2輪、後輪232が2輪の四輪車である。台車23が備える車輪は、全て、駆動力を生じさせない従動輪である。前輪231は、前輪ホルダー231H(図3)によって回転可能に軸支されている。後輪232は、後輪ホルダー232H(図3)によって回転可能に軸支されている。前輪ホルダー231H及び後輪ホルダー232Hは、回転自在な状態で車体側から吊り下げられている。前輪ホルダー231H及び後輪ホルダー232Hの回転に応じて、前輪231あるいは後輪232が操舵される。台車23は、前輪231に対して後輪232が逆相に操舵される4WS台車であり、4輪操舵車両の一例である。
【0024】
台車23は、図2及び図3のごとく、牽引車両21に連結するための連結バー230を備えていると共に、前輪231の操舵のためのリンク機構24と、後輪232の操舵のためのリンク機構25を備えている。台車23は、牽引車両21により牽引される方向に応じて前輪231及び後輪232が操舵されるように構成されている。なお、リンク機構24及びリンク機構25は、互いの干渉や、前輪ホルダー231Hや後輪ホルダー232H等との干渉を回避できるよう、高さ方向の位置を異ならせて配設されている。
【0025】
連結バー230は、台車23の前方に向けて突き出すように設けられている。連結バー230は、その先端を、牽引車両21の牽引フック219に係止可能に構成されている。連結バー230は、鉛直方向の軸230Pにより、路面と平行をなす水平面内で回動可能に軸支されている。牽引車両21によって牽引されている最中では、牽引車両21に向かうように連結バー230が回動する。連結バー230の後端には、リンク機構24をなす2本のプッシュロッド241の端部を連結するための係止部230Aが設けられている。
【0026】
前輪231を操舵するためのリンク機構24は、連結バー230の後端に連結されるプッシュロッド241と、前輪231を回転可能に軸支する前輪ホルダー231Hに対して一体をなすように設けられた第1レバー243と、を含めて構成されている。第1レバー243は、回転自在の前輪ホルダー231Hの回転中心から後方に向けて突き出すように延設されている。第1レバー243の先端は、プッシュロッド241を連結できるように構成されている。リンク機構24は、連結バー230の回動変位に応じて、プッシュロッド241が第1レバー243を押したり引いたりすることで、前輪ホルダー231Hが回転して前輪231が操舵されるように構成されている。
【0027】
後輪232を操舵するためのリンク機構25は、前輪ホルダー231Hと一体をなす第2レバー253と、後輪232を回転可能に軸支する後輪ホルダー232Hと一体をなす第3レバー255と、第2レバー253と第3レバー255とを連結するリンクロッド251と、を含めて構成されている。第2レバー253は、前輪ホルダー231Hの回転中心から側方に向けて外側に突き出すように延設されている。第3レバー255は、回転自在の後輪ホルダー232Hの回転中心から側方に向けて内側に突き出すように延設されている。第2レバー253及び第3レバー255の先端は、リンクロッド251を連結可能に構成されている。
【0028】
例えば、前輪231の右操舵に応じて前輪ホルダー231Hが右回転すると、第2レバー253が時計回りに回動する。そうするとリンクロッド251が後方に押し出される。後方に押し出されたリンクロッド251は、後輪ホルダー232Hの第3レバー255を反時計回りに回動させる。そうすると、後輪ホルダー232Hが左回転し、これにより後輪232が左操舵される。このようにリンク機構25は、前輪231の操舵に応じて後輪232が逆相で操舵されるように構成された機構である。
【0029】
次に、牽引車両21のシステム構成について図4を参照して説明する。牽引車両21のシステムは、制御ユニット40を中心として構成されている。制御ユニット40には、磁気検出を行う磁気センサアレイ3、慣性航法を可能にするIMU(Inertial Measurement Unit)42、後輪212を回転駆動するモータユニット44、後輪212の回転に応じてパルスを出力する車輪速ユニット442、操舵輪である前輪211を操舵する操舵ユニット46、地図データベース48、等が接続されている。
【0030】
磁気センサアレイ3(図5)は、複数の磁気センサCnが一直線上に配列された棒状のユニットであり、牽引車両21の車幅方向に沿うように取り付けられる(図2参照。)。本例の構成では、前輪211よりも前方に磁気センサアレイ3が取り付けられている。なお、車両2が移動する床面を基準とした磁気センサアレイ3の取り付け高さは、100mmである。
【0031】
磁気センサアレイ3(図5)は、一直線上に配列された15個の磁気センサCn(nは1~15の整数)と、図示しないCPU等を内蔵した検出処理回路32と、を備えている。棒状の磁気センサアレイ3では、その長手方向に沿って15個の磁気センサCnが5cm間隔で配列されている。車幅方向に沿うように磁気センサアレイ3が牽引車両21に取り付けられたとき、15個の磁気センサCnが車幅方向(横方向)に沿って一直線上に配列されることになる。車幅方向に配列された15個の磁気センサCnによれば、磁気マーカ10を検出した際、その磁気マーカ10の車幅方向の位置を検出できる。15個の磁気センサCnに相対する磁気マーカ10の位置に基づけば、磁気マーカ10に対する牽引車両21の横ずれ量(横方向の偏差)を特定可能である。
【0032】
磁気センサCnとしては、例えば、精度の高いMI(Magnet Impedance)センサを採用すると良い。MIセンサは、アモルファスワイヤなどの感磁体のインピーダンスが外部磁界に応じて敏感に変化するという公知のMI効果(Magnet Impedance Effect)を利用する磁気センサである。磁気センサアレイ3を構成する各磁気センサCnは、磁気の検出方向が一致している。各磁気センサCnによる磁気の検出方向は、鉛直方向、横方向(車幅方向)、進行方向のうち、いずれか一の方向であっても良く、いずれか二の方向であっても良く、全ての方向であっても良い。
【0033】
磁気センサアレイ3の検出処理回路32(図5)は、磁気マーカ10を検出するためのマーカ検出処理を実行する演算回路である。検出処理回路32は、図示は省略するが、各種の演算を実行するCPU(central processing unit)、ROM(read only memory)・RAM(random access memory)などのメモリ素子等を利用して構成されている。検出処理回路32は、磁気マーカ10の検出信号、磁気マーカ10に対する牽引車両21の横ずれ量を出力する。
【0034】
IMU42(図4)は、慣性航法により牽引車両21の相対位置や車両方位などを推定するユニットである。IMU42は、図示は省略するが、方位を計測する電子コンパスである2軸磁気センサ、加速度を計測する2軸加速度センサ、yaw軸回りの角速度を計測する2軸ジャイロセンサ等、を備えている。ここで、yaw軸は、鉛直方向の軸である。
【0035】
IMU42は、計測加速度の二重積分により変位量を演算すると共に、計測角速度の積分により牽引車両21の相対方位を演算する。IMU42は、この相対方位を基準方位(絶対方位)に加算することで、時々刻々の車両方位を推定する。なお、基準方位としては、例えば、所定の駐車位置に車両2が駐車されたときの絶対方位を利用できる。IMU42は、時々刻々の車両方位に沿って変位量を積算することにより、相対位置(変位位置)を推定する。なお、新たな磁気マーカ10の検出に応じて車両位置(絶対位置)が特定される毎に、その車両位置によって基準位置が更新されると共に、相対位置がゼロリセットされる。
【0036】
地図データベース48は、経路11、13の形状、プラットフォーム15の位置、待機位置、停止位置等を表すマップデータを記憶するデータベースである。マップデータには、経路に配置された磁気マーカ10(図1参照。)がひも付けられている。例えばマップデータ上の絶対位置が既知である待機位置を出発した後の磁気マーカ10の検出個数を利用してマップデータを参照すれば、直近で検出された磁気マーカ10の位置を特定可能である。
【0037】
制御ユニット40は、牽引車両21の走行を制御するユニットである。制御ユニット40は、操舵ユニット46を介して前輪211の舵角を制御すると共に、モータユニット44を介して後輪212の回転角速度を制御する。制御ユニット40は、各種の演算を実行するCPU、ROMやRAMなどのメモリ素子、等を含めて構成された電子回路(図示略)を備えている。制御ユニット40は、外部から取得する作業タスクの内容をRAMの記憶領域に保存する。作業タスクでは、車両2が経由するべき経由地点や、正着対象のプラットフォーム15や、最終的に到着するべきゴール地点等のマップデータ上の位置が特定されている。
【0038】
制御ユニット40は、以下の各回路としての機能を備えている。
(1)移動経路を決定する回路:設定された作業タスクに基づき、車両2が移動するべき経路を決定する。
(2)車両位置を特定する回路:マーカ検出結果あるいはIMU42が推定する相対位置等を利用して車両位置を特定する。
(3)目標横ずれ量を設定する回路:磁気マーカ10に対する車両2の横ずれ量(横方向の偏差)の制御目標値である目標横ずれ量を設定する。
(4)制御値を演算する回路:前輪211の舵角の制御目標である指示舵角や、後輪212の回転角速度の制御目標である指示回転角速度などの制御値を演算する。
(5)車両2を制御する回路:指示舵角の制御値を操舵ユニット46に入力すると共に、指示回転角速度の制御値をモータユニット44に入力することで、車両2の走行を制御する。
【0039】
上記の目標横ずれ量を設定する回路は、プラットフォーム15に車両2を横付けして停止したときの車両2の向きである停車方向に沿って仮想的に延びる仮想プラットフォームを、停車方向及び停車方向に直交する横方向の両方向においてプラットフォーム15の手前側に当たる位置に設定する第1の回路としての機能を有する。詳しくは後述するが、第1の回路の一例をなす、目標横ずれ量を設定する回路は、車両2の走行制御の際の磁気マーカ10に対する目標横ずれ量を可変にすることで、仮想プラットフォームを設定する。
【0040】
上記の車両2を制御する回路は、上記の仮想プラットフォームに車両2を幅寄せするための予備制御を実行する第2の回路としての機能と、プラットフォーム15に車両2を横付けして停止させるための制御を実行する第3の回路としての機能と、を有する。
【0041】
以上のように構成された本例の車両システム1では、作業タスクに係る経由地点やゴール地点に移動するための進路が制御ユニット40により決定される。制御ユニット40は、経由地点やゴール地点をマップデータ上にマッピングすることにより、例えば待機位置等の現在地からの移動経路を決定する。
【0042】
以下、制御ユニット40が実行する車両2の走行制御の内容を、図6のフロー図、図7及び図8を参照して説明する。図6のフロー図は、主経路11を経由してプラットフォーム15に車両2を正着させるまでの制御の流れを示している。なお、制御ユニット40は、走行制御の際、例えば、例えば待機位置などの車両2の出発地点を基準位置として、時々刻々の車両2の位置である現在地を特定する。
【0043】
主経路11(図7参照。)に沿って車両2が移動する際、制御ユニット40は、磁気マーカ10に対する目標横ずれ量をゼロに設定する(S101)。制御ユニット40は、検出された磁気マーカ10に対する実測の横ずれ量と目標横ずれ量との偏差を特定し(S102)、この偏差をゼロに近づけるための舵角制御を含む走行制御を実行する(S103)。このような走行制御によれば、主経路11における磁気マーカ10の配列ラインに沿って車両2を移動させることができる。制御ユニット40は、横付け経路130への分岐地点に到達するまで、以上の処理を繰り返し実行する(S104:NO)。
【0044】
主経路11の移動中では、制御ユニット40は、例えば待機位置等の基準位置から移動を開始した後の磁気マーカ10の検出個数をカウントすることで、マップデータ上の現在地を特定する。さらに、いずれかの磁気マーカ10を検出した後、新たな磁気マーカ10を検出するまでの間では、IMU42を利用する慣性航法により車両2の現在地を推定する。制御ユニット40は、このようにして車両2の現在地を特定あるいは推定することで、横付け経路130への分岐地点への接近を把握する。
【0045】
制御ユニット40は、横付け経路130への分岐地点に到達すると(S104:YES)、目標横ずれ量をプラス10cmに設定する(S105)。ここで、目標横ずれ量の正負は、進行方向に対して車両2が左右のどちら側にオフセットして走行するか、に関係している。例えば、目標横ずれ量をプラス側にすれば、進行方向に対して車両2が右側にオフセットする。例えば進行方向に対して左側のプラットフォーム15に横付けする正着制御の場合には、上記のステップS105においてプラスの目標横ずれ量を設定すると良い。例えば進行方向に対して右側のプラットフォーム15に横付けする正着制御の場合には、ステップS105においてマイナスの目標横ずれ量を設定すると良い。
【0046】
制御ユニット40は、横付け経路130に進入した後、磁気マーカ10の検出個数をカウントすることで、横付け経路130に進入した後の移動距離を特定する。そして制御ユニット40は、分流区間133を通過して直線区間131の起点131S(図7参照。)に到達したことを検知する。制御ユニット40は、直線区間131の起点131Sから3mの地点に至るまでの間(S104:YES→S106:NO)、プラス10cmの目標横ずれ量を継続的に設定する(S105)。制御ユニット40は、プラス10cmの目標横ずれ量と、検出された磁気マーカ10に対する実測の横ずれ量と、の偏差を特定し(S110)、この偏差をゼロに近づけるための舵角制御を含む走行制御を実行する(S111)。
【0047】
ここで、直線区間131の起点131Sを経て3mの地点に至るまでの期間が、制御ユニット40による予備制御の実行期間となっている。なお、制御ユニット40は、直線区間131の起点131Sを通過した後、磁気マーカ10の検出個数をカウントすることで、直線区間131の起点131Sを通過した後の移動距離を特定する。
【0048】
予備制御では、進行方向及び横方向の両方向において、実際のプラットフォーム15よりも手前側に位置する仮想プラットフォーム159に対して車両2が幅寄せされる(図7参照。)。仮想プラットフォーム159に横付けされる際の車両2の軌跡は、図7中のハッチングラインHLの通りである。このハッチングラインHLは、磁気マーカ10の配列ラインからずれて位置している。ハッチングラインHLと磁気マーカ10の配列ラインとのずれは、上記のステップS105で設定されたプラス10cmの目標横ずれ量に起因して生じるずれである。
【0049】
仮想プラットフォーム159(図7)は、実際のプラットフォーム15よりも進行方向、手前側に位置していると共に、横方向に10cm右側にオフセットして位置している。仮想プラットフォーム159は、プラットフォーム15に車両2を横付けして停止したときの車両2の向きである停車方向に沿って仮想的に延びている。
【0050】
制御ユニット40は、直線区間131の起点131Sから3mの地点を過ぎて3.5mの地点に至るまでの間(S106:YES→S108:NO)、目標横ずれ量をプラス5cmに設定する(S107)。制御ユニット40は、5cmの目標横ずれ量と、検出された磁気マーカ10に対する実測の横ずれ量と、の偏差を特定し(S110)、この偏差をゼロに近づけるための舵角制御を含む走行制御を実行する(S111)。
【0051】
その後、制御ユニット40は、直線区間の起点131Sから3.5mの地点を過ぎると(S108:YES)、目標横ずれ量をゼロに設定する(S109)。そして制御ユニット40は、目標横ずれ量ゼロと、検出された磁気マーカ10に対する実測の横ずれ量と、の偏差を特定し(S110)、この偏差をゼロに近づけるための舵角制御を含む走行制御を実行する(S111)。制御ユニット40は、車両2が停止位置135に到達するまで(S112:NO)、この偏差をゼロに近づけるための舵角制御を含む走行制御を実行する。制御ユニット40は、車両2が停止位置135に到達したとき(S112:YES)、正着制御を終了させる。
【0052】
図6のフロー中の正着制御では、直線区間131の起点131Sから3.5mの地点を過ぎた後の制御が、プラットフォーム15に車両2を横付けして停止させるための最終的な制御となっている。本例の正着制御では、プラットフォーム15に対して横方向に10cm張り出す仮想プラットフォーム159に車両2を幅寄せする予備制御が実施された後、実際のプラットフォーム15に横付けするための最終的な制御が実施される。
【0053】
本例の正着制御では、制御ユニット40による目標横ずれ量の設定により、横付け経路130における磁気マーカ10の配列ラインに対して制御目標のラインをずらしている。その結果、車両2は、図7及び図8のハッチングラインHLの軌跡を通ってプラットフォーム15に横付けされる。なお、図8は、プラットフォーム15の周辺を拡大した図である。
【0054】
図7及び図8のハッチングラインHLは、先頭の牽引車両21の軌跡である。このハッチングラインHLに沿って牽引車両21が移動して停止位置135に到達したとき、同図のごとく、4輪操舵車両である台車23の向きが牽引車両21の向き(停車方向)に一致し、プラットフォーム15に対して台車23が横付けされる。
【0055】
本例の正着制御では、直線区間131の起点を通過した後、この起点から3mの地点までの予備制御の実行期間では、進行方向及び横方向の両方においてプラットフォーム15の手前側に位置する仮想プラットフォーム159に、車両2が幅寄せされる(図7参照。)。プラットフォーム15と仮想プラットフォーム159との横方向のオフセット量は10cmである。
【0056】
そのため、予備制御を実施した後、プラットフォーム15に車両2を横付けするための最終的な制御では、わずか10cm幅寄せするのみで良くなっている。それ故、本例の正着制御では、プラットフォーム15に横付けする際の車両2の進入角を抑制できる。車両2の進入角を抑制すれば、4輪操舵車両である台車23の後輪232の振り出し量を抑制しながらプラットフォーム15に車両2を正着させることができる。この場合には、後輪232の振り出しがある程度、不可避である4輪操舵車両の欠点を抑えつつ、4輪操舵車両の利点を活用して、効率良く車両2をプラットフォーム15に正着させることが可能である。
【0057】
仮想プラットフォーム159は、横方向において実際のプラットフォーム15よりも手前側に位置しており、装置等の設備に対して横方向に余裕がある。そのため、4輪操舵車両である台車23の後輪232が外側に振り出しても設備との干渉が生じるおそれが少ない。
【0058】
なお、車両2をプラットフォーム15等に幅寄せする際、前輪操舵の牽引車両21の前輪211の軌跡が外側に大回りするように制御すると、正着制御に要する時間を短縮できる。実証実験の結果、本例の車両2の場合、例えば牽引車両21について10mm以内の大回りを許容するとき、4輪操舵車両である台車23の後輪232の振り出し量が30mm程度になるという結果が得られている。
【0059】
本例の構成では、この振り出し量30mmを基準として、プラットフォーム15に対する仮想プラットフォーム159の横方向のオフセット量が設定されている。仮想プラットフォーム159の横方向のオフセット量は、台車23の後輪232の振り出し量の1倍以上5倍以下が好ましい。本例の場合、プラットフォーム15に対する仮想プラットフォーム159の横方向のオフセット量が、台車23の後輪の振り出し量である30mmの約3.3倍に当たる10cm(100mm)に設定されている。
【0060】
仮想プラットフォーム159のオフセット量が後輪232の振り出し量の1倍未満であると、予備制御の際に外側に振り出された後輪232が、設備や装置等に接近し過ぎるおそれが生じ、予備制御を設定する効果が十分に発揮されないおそれがある。一方、仮想プラットフォーム159のオフセット量が後輪232の振り出し量の5倍を超えると、仮想プラットフォーム159からプラットフォーム15に車両2が至る際の進入角を十分に抑制できず、予備制御を実行する効果が十分に発揮されなくなるおそれが生じる。
【0061】
なお、本例の構成では、上記の通り、プラットフォーム15に沿って少なくとも2個以上の磁気マーカ10が配列されていると共に、当該少なくとも2個以上の磁気マーカ10が、前記停車方向(車両2の進行方向)における仮想プラットフォーム159の設定範囲に至るまで一直線をなすように延設されている。そして、本例では、目標横ずれ量の可変設定により仮想的なプラットフォームに幅寄せする予備制御を実現している。
【0062】
これに代えて、図9に例示するように、プラットフォーム15に沿って少なくとも2個以上の磁気マーカ10を配列すると共に、仮想プラットフォーム159に沿って少なくとも2個以上の磁気マーカ10を配列することも良い。ここで、仮想プラットフォーム159に沿って、とは、仮想プラットフォーム159に幅寄せするための車両2の軌跡に沿って、ということを意味している。プラットフォーム15に沿う磁気マーカ10の配列ラインと、仮想プラットフォーム159に沿う磁気マーカ10の配列ラインとは、段違いの平行をなす。図9のように磁気マーカ10を敷設した場合には、プラットフォーム15及び仮想プラットフォーム159について、目標横ずれ量を共通の所定値(例えばゼロ。)に設定したままの制御となる。
【0063】
なお、本例では、1か所の仮想プラットフォーム159を仮想的に設定した正着制御を例示している。仮想プラットフォームを複数設け、段階的に予備制御を実施することで、プラットフォーム15に向けて車両2を段階的に幅寄せすることも良い。複数の仮想プラットフォームを設ければ、正着制御の最中、4輪操舵車両である台車23の後輪232の逆相操舵による特有の挙動を一層、抑えることができる。なお、仮想プラットフォームを複数設ける場合、隣り合う仮想プラットフォームの横方向のオフセットを、台車23の後輪232の振り出し量の1倍以上5倍以下に設定すると良い。この場合には、仮想プラットフォームの手前に、別の仮想プラットフォームを設けたことによる効果を高めることができる。
【0064】
本例では、牽引車両21が、1台の台車(4WS台車)23を牽引する車両2を例示している。2台、3台など、複数の4WS台車が牽引車両21に連結された車両であっても良い。駆動輪を有する4輪操舵車両について、本例の正着制御の方法を適用することも良い。さらに、駆動輪を有する4輪操舵車両が、1台あるいは2台以上の複数台の4WS台車を牽引する車両であっても良い。
【0065】
なお、本例では、牽引車両21の前部に磁気センサアレイ3を配設すると共に、この磁気センサアレイ3が計測した磁気マーカ10に対する横ずれ量を所定の値に近づけるように牽引車両21を制御している。これに代えて、牽引車両21の後部に磁気センサアレイを配設することも良い。この場合には、牽引車両21の前後方向における前方に制御点を設定すると共に、磁気センサアレイが計測した横ずれ量を制御点における横ずれ量に変換すると良い。前方に位置する制御点の横ずれ量を制御対象とすれば、磁気センサアレイを車体の後部に配置したことに起因する制御遅れの問題を未然に回避できる。
【0066】
なお、本例では、磁気マーカ10を利用する車両の走行制御における正着制御方法を例示している。車両の走行制御は、磁気マーカ10などのガイドを利用する制御のほか、自律航法による制御であっても良く、GNSSシステムや屋内位置測位システムによって測位された位置を利用する制御であっても良い。本例の正着制御方法は、車両の走行制御の仕様に依らず幅広く適用可能である。
【0067】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【符号の説明】
【0068】
1 車両システム
10 磁気マーカ
11 主経路
13 分岐経路
130 横付け経路
131 直線区間
133 分流区間
135 停止位置
15 プラットフォーム
159 仮想プラットフォーム
2 車両
21 牽引車両
211 前輪
212 後輪
23 台車(4輪操舵車両、4WS台車)
231 前輪
232 後輪
24、25 リンク機構
3 磁気センサアレイ
40 制御ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9