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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182468
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】吸収性物品の性能評価方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/84 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
A61F13/84 100
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096090
(22)【出願日】2022-06-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 雄大
(72)【発明者】
【氏名】島津 健
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA11
3B200AA12
3B200AA13
3B200AA14
3B200AA15
3B200BA01
3B200BA03
3B200BA04
3B200BA05
3B200BA06
3B200BA07
3B200BA08
3B200BA09
3B200BA10
3B200BA11
3B200BA12
3B200BA13
3B200BA15
3B200CA02
3B200CA03
3B200CA11
3B200CB01
3B200CB03
3B200DA08
3B200DA25
3B200DE01
3B200DE03
3B200DE04
3B200DE05
3B200DE11
(57)【要約】
【課題】評価精度を向上させることができるとともに、客観的な評価結果を提供できる吸収性物品の性能評価方法を提供する。
【解決手段】
吸収性物品の性能評価方法は、着用者の動作による変形状態の吸収性物品の性能を評価する。性能評価方法は、評価対象である吸収性物品を前記変形状態 に変形させる変形工程と、変形させた前記吸収性物品の肌面側の状態をモニタリングし、吸収性物品の性能を評価するモニタリング工程と、を有する。モニタリング工程では、股下域の隆起部の前後方向の位置、股下域の隆起部の幅方向の位置、及び股下域の隆起部の数の少なくともいずれかの基本情報を取得し、当該基本情報に基づいて吸収性物品の性能を評価する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の動作による変形状態の吸収性物品の性能を評価する、吸収性物品の性能評価方法であって、
評価対象である吸収性物品を前記変形状態に変形させる変形工程と、
変形させた前記吸収性物品の肌面側の状態をモニタリングし、吸収性物品の性能を評価するモニタリング工程と、を有し、
前記モニタリング工程では、
前記股下域の隆起部の前後方向の位置、前記股下域の隆起部の幅方向の位置、及び前記股下域の隆起部の数の少なくともいずれかの基本情報を取得し、当該基本情報に基づいて吸収性物品の性能を評価する、吸収性物品の性能評価方法。
【請求項2】
前記変形工程における着用者の動作による変形状態は、一対の脚周り開口を両脚に通した状態で前記吸収性物品を引き上げる動作による変形状態、前記吸収性物品を着用した着用者が座った動作による変形状態、及び前記吸収性物品を着用した着用者が歩行した動作による変形状態のいずれかである、請求項1に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項3】
前記吸収性物品を引き上げる動作による変形状態は、前記一対の脚周り開口を両脚に通した引き上げ開始から前記吸収性物品を着用者の腰回りまで引き上げる引き上げ完了までの引き上げ長さを100とすると、引き上げ長さを50以上行い、かつ引き上げ完了よりも前までの状態である、請求項1に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項4】
前記モニタリング工程は、前記吸収性物品の肌面側からの前記股下域を含む領域の画像を取得する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項5】
前記モニタリング工程は、前記吸収性物品の肌面側からの前記股下域を含む領域の画像、及び前記吸収性物品の非肌面側からの前記股下域を含む領域の画像を取得する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項6】
前記モニタリング工程は、前記吸収性物品の非肌面側から肌面側に向けて光を照射し、前記吸収性物品の肌面側からの画像を取得し、周囲に対する明度が低い陰影部を前記隆起部として抽出する、請求項3に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項7】
前記モニタリング工程では、前記変形状態における前記吸収性物品の肌面側の状態をモニタリングし、前記変形状態を形成するための動作と異なる動作時の前記吸収性物品の着用者の違和感を評価する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項8】
前記モニタリング工程は、前記基本情報に加えて、前記隆起部の高さ、前記隆起部の前記幅方向の中心、及び前記隆起部の頂点の少なくともいずれのサブ情報を取得し、前記基本情報と前記サブ情報に基づいて前記吸収性物品の性能を評価する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項9】
前記吸収性物品は、パンツ型の使い捨ておむつ、着用物品に装着されて使用される吸収パッド、胴回り域を分離することで脚周りを開閉できる胴回り開放型の使い捨ておむつ、及びショーツ型ナプキンの少なくともいずれかである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項10】
前記吸収性物品は、大人用の使い捨ておむつ及び吸収パッドの両方であり、
前記変形工程は、前記使い捨ておむつ上に前記吸収パッドに装着した状態で、前記使い捨ておむつ及び前記吸収パッドを前記変形状態に変形させ、
前記モニタリング工程は、前記吸収性物品の肌面側からの画像を取得することによって前記吸収パッドの状態をモニタリングするとともに、前記吸収性物品の非肌面側からの画像を取得することによって前記使い捨ておむつの状態をモニタリングする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項11】
前記モニタリング工程は、前記基本情報に加えて、前記使い捨ておむつの隆起部と前記吸収パッドの隆起部の一致点及び相違点の関係情報に基づいて前記吸収性物品の性能を評価する、請求項10に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の性能評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
着用感を向上させたり、漏れを抑制したりすることで性能を向上させた吸収性物品が種々提供されている。例えば、特許文献1は、着用時に股下域に対するフィット性を高めるように構成された使い捨ておむつが開示されている。また、吸収性物品は、吸収パッドのように、使い捨ておむつ等の着用物品に装着された状態で使用されることがある。特許文献2は、着用物品に装着されて使用される吸収パッドにおいて、着用物品の形状に追従して変形し易くするように構成された吸収パッドが開示されている。すなわち、従来、身体に対するフィット性及び着用物品に対する追従性を向上させた種々の吸収性物品が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-000180号公報
【特許文献2】特開2017-202118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように構成された吸収性物品における性能の評価は、使用者等の評価者のヒアリング等に基づく官能評価が主として用いられている。しかし、従来の性能評価方法では、評価者の感覚に基づく評価であるため、評価のバラツキが生じ、客観的な評価を得難いことがある。また、吸収性物品は、着用時の動作において変形するため、従来の性能評価方法では、実際に着用した際の着用者の評価と、官能評価による結果と、の誤差が大きくなることがあり、評価精度の向上が求められている。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、評価精度を向上させることができるとともに、客観的な評価結果を提供できる吸収性物品の性能評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
吸収性物品の性能評価方法は、着用者の動作による変形状態の吸収性物品の性能を評価する。性能評価方法は、評価対象である吸収性物品を前記変形状態 に変形させる変形工程と、変形させた前記吸収性物品の肌面側の状態をモニタリングし、吸収性物品の性能を評価するモニタリング工程と、を有する。前記モニタリング工程では、前記股下域の隆起部の前後方向の位置、前記股下域の隆起部の幅方向の位置、及び前記股下域の隆起部の数の少なくともいずれかの基本情報を取得し、当該基本情報に基づいて吸収性物品の性能を評価する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、評価対象の一例としての吸収性物品の正面図である。
図2図2は、評価対象の一例としての吸収性物品の展開状態の平面図である。
図3図3は、変形工程を説明するための図である。
図4図4は、モニタリング工程における吸収性物品の肌面側の変形状態を示した画像の一例である。
図5図5は、第1吸収性物品及び第2吸収性物品の評価の一例を示している。
図6図6は、吸収性物品の非肌面側からの股下域を含む領域の画像の一例である。
図7図7(a)は、吸収性物品の性能評価システムのブロック図、図7(b)は、吸収性物品の性能評価システムによる評価のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1に掛かる吸収性物品の性能評価方法は、着用者の動作による変形状態の吸収性物品の性能を評価する。性能評価方法は、評価対象である吸収性物品を前記変形状態 に変形させる変形工程と、変形させた前記吸収性物品の肌面側の状態をモニタリングし、吸収性物品の性能を評価するモニタリング工程と、を有する。前記モニタリング工程では、前記股下域の隆起部の前後方向の位置、前記股下域の隆起部の幅方向の位置、及び前記股下域の隆起部の数の少なくともいずれかの基本情報を取得し、当該基本情報に基づいて吸収性物品の性能を評価する。出願人が鋭意研究を行った結果、着用時に吸収性物品の変形は、股下域で比較的大きく生じ易く、当該股下域における変形が性能に大きく影響することがわかった。具体的には、股下域は、排泄口に当たる部分であり、当該股下域が身体に対してフィットしないと、違和感が生じたり、体液の伝え漏れ等による不快感に繋がったりし易い。また、股下域は、両脚の間に配置される部分であり、股下域が適切な形状でない場合には、吸収性物品が脚に当たり続け、違和感が不快感に繋がりやすい。本態様の評価方法は、股下域の隆起部に着目し、当該隆起部に基づいて性能を評価する。着用者の動作による変形状態に吸収性物品を変形させて性能を評価することで、実際の着用者の評価と、当該方法に基づく評価と、の誤差を小さくし、評価精度を向上できる。また、股下域の隆起部の前後方向の位置、前記股下域の隆起部の幅方向の位置、及び前記股下域の隆起部の数の少なくともいずれかの情報に基づいて吸収性物品の性能を評価する。実際の隆起部の位置情報等に基づいて評価するため、評価者の感覚によらず、客観的な評価結果を得ることができる。また、評価者の感覚によらずに、具体的な吸収性物品の変形状態から得られる定量的な情報に基づいているため、評価精度を向上できる。
【0009】
好ましい態様によれば、態様2に係る発明は、態様1に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記変形工程における着用者の動作による変形状態は、一対の脚周り開口を両脚に通した状態で前記吸収性物品を引き上げる動作による変形状態、前記吸収性物品を着用した着用者が座った動作による変形状態、及び前記吸収性物品を着用した着用者が歩行した動作による変形状態のいずれかである。本態様によれば、吸収性物品を着用した着用者が通常行う動作を再現して評価することで、実際の着用者の評価と、当該方法に基づく評価と、の誤差を小さくし、評価精度を向上できる。
【0010】
好ましい態様によれば、態様3に係る発明は、態様1又は態様2に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品を引き上げる動作による変形状態は、前記一対の脚周り開口を両脚に通した引き上げ開始から前記吸収性物品を着用者の腰回りまで引き上げる引き上げ完了までの引き上げ長さを100とすると、引き上げ長さを50以上行い、かつ引き上げ完了よりも前までの状態である。出願人から鋭意研究した結果、股下域の変形状態は、引き上げ動作開始時による影響が大きく、引き上げ長さを50以上行い、かつ引き上げ完了よりも前までの股下域の変形状態は、引き上げ完了時の股下域の変形状態と大きく変化しないことがわかった。当該、引き上げ長さを50以上行い、かつ引き上げ完了よりも前の状態をモニタリングすることで、引き上げ完了(着用状態)と比較して、モニタリングを容易に行い、かつモニタリングを行ための操作(例えば、吸収性物品の前胴回り域をめくる)が不要であり、高い精度のモニタリングを行うことができる。
【0011】
好ましい態様によれば、態様4に係る発明は、態様1から態様3のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記モニタリング工程は、前記吸収性物品の肌面側からの股下域を含む領域の画像を取得する。本態様によれば、画像を取得することで、目視の確認と比較して、隆起部の位置等の確認の精度を向上させ、より客観的かつ精度の高い評価結果を得ることができる。
【0012】
好ましい態様によれば、態様5に係る発明は、態様1から態様4のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記モニタリング工程は、前記吸収性物品の肌面側からの股下域を含む領域の画像、及び前記吸収性物品の非肌面側からの股下域を含む領域の画像を取得する。本態様によれば、吸収性物品を非肌面側からの状態も含めることで、隆起部の位置等の確認の精度を向上させ、より客観的かつ精度の高い評価結果を得ることができる。
【0013】
好ましい態様によれば、態様6に係る発明は、態様1から態様5のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記モニタリング工程は、前記吸収性物品の非肌面側から肌面側に向けて光を照射し、前記吸収性物品の肌面側からの画像を取得し、周囲に対する明度が低い陰影部を前記隆起部として抽出する。本態様によれば、隆起部の抽出精度をより向上できる。
【0014】
好ましい態様によれば、態様7に係る発明は、態様1から態様6のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記モニタリング工程では、前記変形状態における前記吸収性物品の肌面側の状態をモニタリングし、前記変形状態を形成するための動作と異なる動作時の前記吸収性物品の着用者の違和感を評価する。本態様によれば、変形状態を形成するための動作による性能評価のみならず、変形状態を形成するための動作と異なる動作時の性能評価も行うことができる。
【0015】
好ましい態様によれば、態様8に係る発明は、態様1から態様7のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記モニタリング工程は、前記基本情報に加えて、前記隆起部の高さ、前記隆起部の前記幅方向の中心、及び前記隆起部の頂点の少なくともいずれのサブ情報を取得し、前記基本情報とサブ情報に基づいて前記吸収性物品の性能を評価する。基本情報に加えてサブ情報を用いて吸収性物品の性能を評価することで、評価精度を更に向上できる。
【0016】
好ましい態様によれば、態様9に係る発明は、態様1から態様8のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。吸収性物品は、パンツ型の使い捨ておむつ、着用物品に装着されて使用される吸収パッド、胴回り域を分離することで脚周りを開閉できる胴回り開放型の使い捨ておむつ、及びショーツ型ナプキンの少なくともいずれかである。これらの吸収性物品は、脚周り開口を両脚に通した状態で引き上げ操作される。そのため、テープ型の吸収性物品と比較して装着操作に起因する変形が大きくなり易い。本態様によれば、引き上げる動作による変形状態に基づいて当該吸収性物品の性能を評価することで、引き上げ動作後の着用感及び吸収性能を好適に評価できる。
【0017】
好ましい態様によれば、態様10に係る発明は、態様1から態様9のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品は、大人用の使い捨ておむつ及び吸収パッドの両方である。変形工程は、前記使い捨ておむつ上に前記吸収パッドに装着した状態で、前記使い捨ておむつ及び前記吸収パッドを前記変形状態に変形させる。モニタリング工程は、前記吸収性物品の肌面側からの画像を取得することによって前記吸収パッドの状態をモニタリングするとともに、前記吸収性物品の非肌面側からの画像を取得することによって前記使い捨ておむつの状態をモニタリングする。吸収性物品の肌面側からの画像を取得することによって前記吸収パッドの状態を確認することで、使い捨ておむつの肌面側に位置する吸収パッドの隆起部を確認できる。また、吸収性物品の非肌面側からの画像を取得することによって使い捨ておむつの状態を確認することで、使い捨ておむつの隆起部を確認できる。それぞれの隆起部に基づいて、使い捨ておむつと吸収パッドを共に使用することがよいのか、異なる組み合わせがよいのか等の相性も判断することができる。
【0018】
好ましい態様によれば、態様11に係る発明は、態様1から態様10のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記モニタリング工程は、前記基本情報に加えて、前記使い捨ておむつの隆起部と前記吸収パッドの前記隆起部の一致点及び相違点の関係情報に基づいて前記吸収性物品の性能を評価する。各吸収性物品が好適な評価結果を得た場合であっても、各吸収性物品の隆起部の位置等がずれていると、違和感等の着用感に影響する。各吸収性物品の隆起部の一致点及び相違点に基づく評価指標をくわえることで、互いの隆起部の関係に基づく評価を行うことができる。
【0019】
(2)吸収性物品の性能評価方法
以下、図面を参照して、好ましい実施形態の吸収性物品の評価方法(以下、評価方法とする)について説明する。評価方法は、使い捨ておむつ等の吸収性物品1を着用した着用者が所定の動作を行った状態における吸収性物品1の性能を評価する。着用者が所定の動作を行うと、吸収性物品1を着用する前の状態等の吸収性物品1に外力が加えられていない状態と比較して、吸収性物品1が変形する。当該動作による変形した状態における吸収性物品1の性能を評価することで、実際に着用者が吸収性物品1を着用した際の評価に近い結果を得るように構成されている。
【0020】
着用者の動作は、吸収性物品1を着用した着用者が行い得る動作であればよく、特に限定されない。当該評価での動作を行う際の着用状態は、吸収性物品1を完全に着用した状態のみならず、装着途中(例えば、引き上げ途中)の状態であってもよい。例えば、着用者の動作は、吸収性物品1の装着時の引き上げ動作、吸収性物品1を着用した着用者が座った動作、及び吸収性物品1を着用した着用者が歩行した動作を例示できる。このように、吸収性物品1を着用した着用者が通常行う動作を再現して評価することで、実際の着用者の評価と、当該方法に基づく評価と、の誤差を小さくし、評価精度を向上できる。本実施の形態の評価方法は、装着時の引き上げ動作による変形状態を用いた評価方法であり、着用者が座った動作による変形状態を用いた評価方法及び歩行動作による変形状態を用いた評価方法については、好ましい他の態様として説明する。
【0021】
また、本明細書において評価する「吸収性物品の性能」は、吸収性物品1の着用感、吸収性物品1の吸収性能を含む。吸収性物品1の着用感は、吸収性物品1を着用した状態の動作中(歩行等)の違和感、フィット感、肌触りであってもよいし、吸収性物品1を着用した状態の静止中(寝た状態)の違和感、フィット感、肌触りであってもよい。吸収性物品1の吸収性能は、吸収性物品1の体液の吸収速度、吸収面積、体液の漏れ及びリウェット(一旦吸収されあT体液の液戻り)を含んでよい。なお、本明細書における「情報の取得」は、撮影した二次元画像データ又は三次元画像データに基づいて取得してもよいし、目視にて定規等で計測することで情報を取得してもよい。本明細書で「計測」とは、単なるデータの値の獲得に限らず、データを獲得し、獲得した値を用いて所定のパラメータを演算により求めることも含む。
【0022】
評価対象の吸収性物品1は、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。図1及び図2は、評価対象の一例としての吸収性物品1を示している。図1は、吸収性物品1の正面図であり、図2は、図1に示す吸収性物品1を展開した展開状態の平面図であり、前胴回り域と後胴回り域を接合するサイド接合部45を分離した状態である。吸収性物品1は、液透過性の表面シート11、液不透過性又は撥水性の防漏シート20、及びそれら両シート間に配置された液保持性の吸収コア31を少なくとも有する。吸収性物品1は、着用者の股下に配置される股下域S3、股下域S3よりも前側に位置する前側域S1及び股下域S3よりも後側に位置する後側域S2を有する。吸収性物品1における股下域S3は、脚周り開口41が形成された領域であってよい。パンツ型の吸収性物品1にあっては、股下域S3は、サイド接合部45よりも前後方向Lの内側の領域であってよい。吸収性物品1としては、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等が包含されるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
第1実施態様の評価方法は、パンツ型の吸収性物品1を引き上げる動作による変形状態に基づいて吸収性物品1の性能を評価する。より詳細には、一対の脚周り開口41を両脚に通した状態で吸収性物品1を引き上げる動作による変形状態に基づいて吸収性物品1の性能を評価する。吸収性物品1を引き上げる動作は、両脚の内側に配置された股下域S3が脚に当たり続け、股下域S3の変形が生じ易い。そのため、引き上げ動作後の吸収性物品の変形状態は、その後の着用感及び吸収性能に影響しやすい。例えば、テープ型の吸収性物品は、一般的に、後胴回り域を背中の下に置いた状態で、両脚の間に股下域を通す。両脚の間に股下域を通す操作は、通常一回だけであり、また両脚の間を通過させるだけのため、装着時に脚に当たることによる股下域S3の変形の影響が少ない。一方、パンツ型の吸収性物品1は、脚回り開口41のそれぞれに脚を通して、足首側から腰回りまで吸収性物品1を引き上げる。この引き上げ操作時に、脚に吸収性物品が当たり続ける。よって、パンツ型の吸収性物品1は、テープ型の吸収性物品と比較して装着操作に起因する変形が大きくなり易い。また、テープ型の吸収性物品は、介護者等の装着補助者が装着することが多く、当該装着補助者が吸収性物品の変形に気づいて直すことがある。一方、パンツ型の吸収性物品は、装着補助者に頼らずに、着用物品が自分で装着することが多い。加えて、着用者は、特に股下域S3の変形状態を視認し難く、吸収性物品の変形を直し難い。本態様によれば、引き上げる動作による変形状態に基づいてパンツ型の吸収性物品の性能を評価することで、引き上げ動作後の着用感及び吸収性能を好適に評価できる。また、第1評価方法の評価対象は、ネットパンツ等のパンツ型の着用物品、及び布等の織物又は編物を使用した着用物品に装着されて使用される吸収パッドであってもよいし、ショーツ型のナプキンであってもよいし、胴回り域を分離することで脚周りを開閉できる胴回り開放型の使い捨ておむつであってもよい。当該吸収パッドもパンツ型の着用物品に装着されて着用物品の一対の脚周り開口を両脚に通した状態で引き上げ操作され、ショーツ型ナプキン及び胴回り開放型の使い捨ておむつも一対の脚周り開口を両脚に通した状態で引き上げ操作される。そのため、引き上げ操作による変形が生じ易く、当該評価方法によって吸収性物品の性能を評価することが好ましい。
【0024】
評価方法は、評価対象である吸収性物品1を変形状態に変形させる変形工程と、変形させた吸収性物品1の肌面側の状態をモニタリングし、吸収性物品1の性能を評価するモニタリング工程と、を少なくとも有する。図3は、変形工程を説明するための図である。変形工程は、一対の脚周り開口41を両脚に通した状態で吸収性物品1を引き上げる。より具体的には、図3(A)に示すように、一対の脚周り開口41に両足を通し、中足骨(足の親指側で最も突出している箇所)の内端(図3(A)に示すB1)の左右間の距離(X)が100mmとなるように起立する。起立した状態で、吸収性物品1の胴回り開口43が膝蓋骨の下端(図3(A)に示すB2)の位置となるまで吸収性物品1を引き上げる。この引き上げ操作は、左右のサイド接合部45を含む領域を、それぞれ手で把持して引き上げる。
【0025】
次いで、図3(B)に示すように、上半身と下半身のなす角度を100~160°に身体を曲げる。身体を曲げた状態は、着用者として高齢者を想定しており、着用者の腰が曲がっている状態を再現している。角度は、背中のラインL1と、臀部から太腿の背面に延びるラインL2と、の角度であり、例えば、ゴニオメーターで計測できる。当該角度で身体を曲げた状態で、吸収性物品1の胴回り開口43のサイド接合部45を含む領域をそれぞれ手で把持して、吸収性物品の胴回り開口43が着用者の腸骨稜(図3(B)に示すB3)となるまで、吸収性物品1を引き上げる。引き上げ速度は、4cm/秒とする。この引き上げ操作では、上半身と下半身が成す角度は、引き上げ前の状態(100~160°)を維持する。以上の工程によって、引き上げ操作が完了し、吸収性物品1は、着用者の動作による変形状態となる。
【0026】
モニタリング工程は、股下域S3の隆起部50の前後方向Lの位置、股下域S3の隆起部50の幅方向の位置、及び股下域S3の隆起部50の数の少なくともいずれかの基本情報を取得し、当該基本情報に基づいて吸収性物品1の性能を評価する。出願人が鋭意研究を行った結果、着用時に吸収性物品1の変形は、股下域S3で比較的大きく生じ易く、当該股下域S3における変形が性能に大きく影響することがわかった。具体的には、股下域S3は、排泄口に当たる部分であり、当該股下域が身体に対してフィットしないと、違和感が生じたり、体液の伝え漏れ等による不快感に繋がったりし易い。また、股下域S3は、両脚の間に配置される部分であり、股下域が適切な形状でない場合には、吸収性物品1が脚に当たり続け、違和感が不快感に繋がりやすい。本評価方法は、股下域S3の隆起部50に着目し、当該隆起部50に基づいて性能を評価する。着用者の動作による変形状態に吸収性物品を変形させて性能を評価することで、実際の着用者の評価と、当該方法に基づく評価と、の誤差を小さくし、評価精度を向上できる。なお、基本情報における隆起部50は、股下域S3において肌面側に膨らむ隆起部50であればよく、好適には、吸収コア31が配置された領域における隆起部50であってよい。吸収コア31の隆起部50が、吸収性物品1の着用時のごわつき等の着用感、体液の漏れ等の吸収性能に大きく影響するためである。加えて、実際の隆起部50の位置情報等に基づいて評価するため、評価者の感覚によらず、客観的な評価結果を得ることができる。また、評価者の感覚によらずに、具体的な吸収性物品の変形状態から得られる定量的な情報に基づいているため、評価精度を向上できる。なお、3つの基本情報の少なくとも1つの基本情報を用いればよいが、好適には、複数の基本情報を用いてよく、より好適には、3つの基本情報を全て用いてよい。更に、複数の基本情報を用いる場合には、性能評価の影響に応じた重み付けをしてよい。具体的には、重要度又は優先度に基づく付加係数を設定し、重要な情報に基づく評価は、当該係数を乗じて評価してもよい。
【0027】
基本情報を取得する工程は、吸収性物品1の肌面側から股下域S3の隆起部50の状態を取得すればよく、例えば、目視によって隆起部50の状態を確認してもよいし、画像を取得することによって隆起部50の状態を確認してよい。画像は、静止画像であってもよいし、動画像であってもよい。本実施の形態では、撮像手段によって静止画像を取得し、静止画像を解析することで基本情報を取得する。吸収性物品1の肌面側から股下域S3を含む領域の画像を取得することで、目視の確認と比較して、隆起部50の位置等の確認の精度を向上させ、より客観的かつ精度の高い評価結果を得ることができる。図4は、撮像手段によって取得した画像の一例である。図4(A)は、評価対象としての第1吸収性物品1Xの肌面側から撮像した画像であり、図4(B)は、評価対象としての第2吸収性物品1Yの肌面側からの画像である。基本情報を取得する工程は、特定部位(例えば、隆起部50、吸収コア31)を抽出する工程と、抽出した特定部位の情報から基本情報を算出する工程と、を有してよい。特定部位の抽出及び基本情報を算出する際において、対象なる部位及び情報の位置及び範囲が変化する場合にあっては、その平均値を用いてよい。また、撮像手段によって画像を取得する際に、吸収性物品と着用者の間に隙間がある場合、例えば、後述する引き上げ途中の場合には、当該隙間を介して撮像手段にて画像を取得してよい。一方、吸収性物品と着用者の間に隙間がない場合、例えば、後述する引き上げ操作が完了した状態、座った動作が完了した状態、歩行が完了した状態等の場合には、吸収性物品と着用者の間に撮像手段を差し込んで画像を取得してよいし、吸収性物品を部分的にめくって股下域が露出させた状態で画像を取得してもよいし、吸収性物品を着用者から引き下げたりして着用者と吸収性物品の隙間を形成した後に画像を取得してもよい。
【0028】
モニタリング工程は、少なくとも基本情報を用いて性能を評価する。図5は、第1吸収性物品1X及び第2吸収性物品1Yの評価の一例を示している。図5に示す一例では、基本情報として、股下域S3の隆起部50の前後方向Lの位置情報を用いてよい。より詳細には、隆起部50の前後方向Lの位置情報は、吸収コア31の股下領域R31の前後方向Lの長さに対する隆起部50が占める比率情報を含んでよい。図2に示すように、吸収コア31の股下領域R31は、吸収コアを前後方向に三等分した領域のうち、前後方向の中央に位置する領域である。隆起部50の比率が低過ぎると(例えば、50%よりも低い)と、股下域S3において身体に密着する部分が少なく、フィット性を十分得ることができず、フィット感及び体液の漏れについて好適でないと判断できる。よって、吸収コア31の股下領域R31の前後方向Lの長さに対する隆起部50が占める比率は、50%以上であってよい。隆起部50の前後方向Lの位置情報は、隆起部50の前端の位置情報を含んでよい。隆起部50の前端の位置が、股下域S3の前後方向の中心よりも後側であると、股下域S3の前後方向の中心よりも前側のフィット性を十分に得ることができない。よって、隆起部50の前端の位置が、股下域S3の前後方向Lの中心よりも前側であることが好ましい。隆起部50の前後方向Lの位置情報は、隆起部50の後端の位置情報を含んでよい。隆起部50の後端の位置が、股下域S3の前後方向Lの中心よりも前側であると、股下域S3の前後方向Lの中心よりも後側のフィット性を十分に得ることができない。よって、隆起部50の前端の位置が、股下域S3の前後方向Lの中心よりも前側であることが好ましい。隆起部50の前後方向Lの位置情報は、隆起部50の前後方向Lの中心の位置情報を含んでよい。隆起部50の前後方向Lの中心は、隆起部50の前後方向Lの偏りに対応しており、股下域S3の前後方向Lの中心に近い方が好ましい。隆起部50の前後方向Lの中心は、股下域S3の前後方向Lの中心から前後方向に50mmの範囲であることが好ましい。
【0029】
モニタリング工程は、基本情報として、股下域S3の隆起部50の幅方向Wの位置情報を用いてよい。より詳細には、隆起部50の幅方向Wの位置情報は、股下域S3の吸収コア31の幅方向Wの長さに対する隆起部50が占める比率情報を含んでよい。隆起部50の比率が高いと、吸収コア31の全域に亘って身体に対して隆起するため、フィット性が向上する。また、吸収コア31の全体が隆起することで局所的に隆起する構成と比較して肌に対する当たりを抑制できる。股下域S3の吸収コア31の幅方向Wの長さに対する隆起部50が占める比率は、50%以上であってよい。また、隆起部50の幅方向Wの位置情報は、隆起部50の幅方向Wの偏り情報を含んでよい。この隆起部50の幅方向Wの偏り情報は、隆起部50全体が吸収コア31の幅方向の中心に対して偏っているかの情報であってよく、例えば、吸収コアの幅方向の中心が延びる仮想線P1と、股下域の隆起部の幅方向の中心が延びる仮想線P2と、の角度が10度以下であってよい。例えば、隆起部50の幅方向の中心が局所的に吸収コア31の幅方向Wの中心に一致していても、隆起部50の前後方向Lの全体に亘って偏っていると、股間に対するフィット性が低下するためである。
【0030】
基本情報として、隆起部50の数情報を用いてよい。より詳細には、隆起部50の幅方向Wに並ぶ数情報を含んでよい。股下域S3の幅方向Wの全域において、隆起部50の数は、少ない方が好ましく、好適には、1個であることが好ましい。股下域S3において複数の隆起部50が幅方向に並んでいると、一体化した1個の隆起部50と比較して互いの隆起部50が干渉し、脚に対する当たりが強くなったり、隆起部50同士の境界が変形基点となり、股下域S3が折れ曲がってしまったりするためである。
【0031】
モニタリング工程は、基本情報を抽出し、当該抽出結果と、評価基準と、を比較し、性能を評価してよい。具体的には、抽出結果が、好適であると判断する基準となる評価基準内である場合には、当該基本情報については、「○」と判断し、評価基準外である場合には、当該基本情報については、「×」と判断する。本実施の形態では、「○」については、評価「1」で示し、「×」については、評価「0」で示している。性能評価は、各項目の評価結果を集計し、所定の値以上であれば、性能がよいと判断してもよいし、複数の吸収性物品(例えば、第1吸収性物品と第2吸収性物品)を比較し、いずれの吸収性物品の性能がよいかを評価してもよいし、所定の性能を有する吸収性物品の評価結果を予め算出し、当該算出した評価結果と比較して、評価対象の吸収性物品の性能を評価してもよい。
【0032】
以上、本発明をその好ましい実施態様に基づき説明したが、本発明は上記の実施態様に制限されず適宜変更可能である。
例えば、モニタリング工程は、吸収性物品1の肌面側からの股下域S3を含む領域の画像だけでなく、及び吸収性物品1の非肌面側からの股下域S3を含む領域の画像を取得してもよい。図6は、吸収性物品の非肌面側からの股下域S3を含む領域の画像の一例である。図6は、引き上げ操作が完了した状態における吸収性物品1の非肌面側からの股下域S3を含む領域の画像の一例である。る吸収性物品1の非肌面側からの画像は、股下域S3の少なくとも一部が示されていればよく、前側から撮像した画像であってもよいし、後側から撮像した画像であってもよいし、横から撮像した画像であってもよい。当該非肌面側からの画像を取得することで、目視の確認と比較して、隆起部50の位置等の確認の精度を向上させ、より客観的かつ精度の高い評価結果を得ることができる。例えば、隆起部50の幅方向の位置、隆起部の数を含む基本情報の抽出に際して、その精度を向上できる。
【0033】
吸収性物品1を引き上げる動作による変形状態は、引き上げ完了時における変形状態でなくてよく、引き上げ途中における変形状態であってもよい。より詳細には、吸収性物品1を引き上げる動作による変形状態は、引き上げ開始から引き上げ完了までの引き上げ長さを100とすると、引き上げ長さを50以上行い、かつ引き上げ完了よりも前までの状態であってよい。ここで、引き上げ開始位置は、一対の脚周り開口41を両脚に通し、吸収性物品の股下域の非肌面が地面に接する位置である。引き上げ完了位置は、吸収性物品の股下域が着用者の股下に当たった状態である。引き上げ開始から引き上げ完了までの引き上げ長さは、吸収性物品が引き上げ完了位置の状態で、着用者のかかとを地面に付けて着用者が直立した状態で、吸収性物品の股下域の非肌面と地面と垂直長さである。出願人から鋭意研究した結果、股下域S3の変形状態は、引き上げ動作の開始時による影響が大きく、引き上げ長さを50以上行い、かつ引き上げ完了よりも前までの股下域S3の変形状態は、引き上げ完了時の股下域S3の変形状態と大きく変化しないことがわかった。当該、引き上げ長さを50以上行い、かつ引き上げ完了よりも前の状態をモニタリングすることで、引き上げ完了(着用)状態と比較して、モニタリングを容易に行い、かつモニタリングを行ための操作(例えば、吸収性物品の前胴回り域をめくる)が不要であり、高い精度のモニタリングを行うことができる。
【0034】
モニタリング工程は、吸収性物品の非肌面側から肌面側に向けて光を照射し、吸収性物品の肌面側からの画像を取得し、周囲に対する明度が低い陰影部を隆起部50と判断してよい。隆起部50は、立体的であるため、静止画像を用いた場合には、その境界を抽出し難いことがある。吸収性物品の非肌面側から肌面側に向けて光を照射することで、立体的な隆起部50が暗く表示され、平坦な部分(隆起部50以外)が明るく表示される。画像の明度を用い、周囲よりも明度が低い隆起部50として抽出できる。このような抽出方法によれば、隆起部50の抽出精度をより向上できる。
【0035】
モニタリング工程は、動画像を用いて吸収性物品の肌面側の状態をモニタリングし、吸収性物品の性能を評価するからの画像を取得してもよい。具体的な引き上げ動作時の評価方法について、図5を参照して説明する。吸収性物品の引き上げ操作の過程では、吸収性物品は、A:引き上げ完了位置、B:A(引き上げ完了位置)とC(膝下位置)の中間位置、C:膝下位置の3点を通過する。引き上げ完了位置は、吸収性物品の股下域が着用者の股下に当たった状態である。膝下位置は、吸収性物品の胴回り開口43が膝蓋骨の下端となる位置である。少なくとも3つの位置における吸収性物品の肌面側の状態を取得し、解析することで、吸収コアの状態の変化を把握することができる。具体的には、吸収コアに隆起部の状態、折れ起点が形成されるタイミング、折れ基点の数のいずれかを把握できる。引き上げ開始から早い段階で吸収コアに折れ起点が形成される場合は、軽い力で容易に変形するため、好適であると判断できる。好適な形態としては、C点で、折れ起点が1つ、B点で折れ起点が1つ、A点で折れ起点が1つ形成される状態である。折れ基点は、頂点に基づいて抽出してよく、例えば、頂点が1つの場合には、折れ基点が1つとする。基本情報に加えて、サブ情報として、折れ基点の数情報を用いて評価することもでき。例えば、C点での折れ起点の数が1つの場合は、好適であると評価し、B地点での折れ起点の数が1つの場合には、好適であると評価し、Aでの折れ起点の数が1つの場合には、好適であると評価してよい。なお、動画像は、連続的に吸収性物品の肌面側の状態を取得し、解析すればよいが、好適には、連続的に吸収性物品の肌面側の状態のみならず、連続的に吸収性物品の非肌面側の状態を取得し、解析することが好ましい。また、動画像を用いた評価は、基本情報を用いて評価してもよいし、基本情報及びサブ情報を用いて評価してもよい。また、動画像を用いた解析は、上述の3つの位置における状態の解析のみならず、更に多くの位置で解析してもよいし、連続的に解析し、その変化をグラフ等で示してもよい。
【0036】
モニタリング工程では、変形状態の吸収性物品1の肌面側の状態をモニタリングし、変形状態を形成するための動作と異なる動作時の吸収性物品1の着用者の違和感を評価してよい。具体的には、引き上げ動作による変形状態における吸収性物品1の肌面側の状態をモニタリングし、変形状態を形成するための動作と異なる動作(例えば、歩行時、座位時、立ち上がり時)の吸収性物品1の着用者の違和感を評価する。引き上げ動作による股下域S3の隆起部50の形状、位置等を把握でき、当該隆起部50が形成された吸収性物品1を着用し続けた際の着用者の違和感、例えば、肌触り、吸収コア31が当たることの違和感、表面の凹凸による違和感等を推定する。具体的には、推定評価として変形の安定性によって評価してよい。変形の安定性が高い場合には、歩行、着座等で外力が加わっても変形し難く、違和感等になりにくいためである。変形安定性を構成する要素として、例えば、1:画像解析の結果(高スコアであるほど、股下にフィットしている)、2:引き上げ位置(引き上げ位置が高いほど、股の間幅が狭くなるので、外力が加わっても隆起部が変形しにくい)。当該2つの要素を組み合わせることで、変形状態を形成するための動作による性能評価のみならず、変形状態を形成するための動作と異なる動作時の性能評価も行うことができる。
【0037】
モニタリング工程は、基本情報に加えて、隆起部50の高さ、隆起部50の幅方向の中心、及び隆起部50の頂点の少なくともいずれのサブ情報を取得し、基本情報とサブ情報に基づいて吸収性物品の性能を評価してよい。サブ情報として、隆起部50の高さである高さ情報を用いてよい。高さ情報を用いることにより、股下域S3に対するフィット性を評価できる。隆起部50の高さが吸収コア31の幅方向Wの長さに対して低過ぎると、股下域S3に対するフィット性が十分でなく、吸収コアの幅方向の長さに対する20%以上であることが好ましい。当該高さの算出は、三次元画像を取得して算出してもよいし、吸収性物品1に定規等を当てて計測してもよいし、二次元画像において、隆起部50の高さ2=S-(T/2)の式を用いて算出してよい。ここで、T:装着後の股下域S3の幅方向の長さ、S:股下域S3の吸収コアの幅方向の長さ/2とする。
【0038】
サブ情報として、隆起部50の幅方向Wの中心の情報を用いてよい。隆起部50の幅方向Wの中心は、隆起部50の幅方向Wの偏りに対応しており、吸収コア31の幅方向Wの中心に近いことが好ましい。吸収コアを幅方向に三等分した領域のうち幅方向の中央に位置する領域に、隆起部50の幅方向の中心が位置することが好ましい。なお、吸収コアが括れ部を有する形態にあっては、括れ部が形成されていない位置で吸収コアの幅方向の長さを計測し、当該計測した値によって3等分した領域を吸収コア全体の3等分した領域とする。また、隆起部50の幅方向の中心は、股下域S3の幅方向Wの中心から幅方向に20mmの範囲であることが好ましい。
【0039】
サブ情報として、隆起部50の頂点の情報を用いてよい。隆起部50の頂点は、隆起部50の幅方向の偏りに対応しており、吸収コアの幅方向の中心に近いことが好ましい。吸収コアを幅方向に三等分した領域のうち幅方向の中央に位置する領域に、隆起部50の頂点の幅方向の中心が位置することが好ましい。なお、吸収コアが括れ部を有する形態にあっては、括れ部が形成されていない位置で吸収コアの幅方向の長さを計測し、当該計測した値によって3等分した領域を吸収コア全体の3等分した領域とする。また、隆起部50の頂点の幅方向の中心は、股下域S3の幅方向Wの中心から幅方向に20mmの範囲であることが好ましい。このように基本情報に加えてサブ情報を用いて評価することで、評価精度を更に向上できる。
【0040】
性能評価方法は、着用者が座った動作による変形状態を用いた評価方法であってもよい。着用者が座った動作は、背もたれと肘当てのない台上での端坐位である。着用者が座った動作の変形工程の一例としては、体幹垂直位として両上肢は体の側方に下ろし、自然状態の構えとする。台の高さは、着用者が坐位姿勢を保持した際に、大腿部が床面に平行になり、かつ足底全面が接地する高さになるように5mm間隔で調節する。足部位置は中足骨外側の左右間距離が100mmとなるように開き、足関節の背屈角度が0度になる位置とし、座った動作が完了となる。よって、吸収性物品の変形状態を画像等によって取得する。
【0041】
性能評価方法は、歩行動作による変形状態を用いた評価方法であってもよい。歩行動作の変形工程の一例としては、一対の脚周り開口を両脚に通した状態で吸収性物品1の胴回り開口43が腸骨稜の位置となるまで吸収性物品を引き上げ、中足骨の内端の左右間の距離が100mmとなるように起立する。着用者の好みの歩隔で、10mm歩行する。歩行速度は、2.0~4.0km/hとし、歩行面は、平坦な面とする。歩行後、中足骨の内端の左右間の距離が100mmとなるように起立し、歩行動作が完了となる。よって、吸収性物品の変形状態を画像等によって取得する。
【0042】
評価対象の吸収性物品は、大人用の使い捨ておむつ及び吸収パッドの両方であってよい。変形工程は、使い捨ておむつ上に吸収パッドに装着した状態で、使い捨ておむつ及び吸収パッドを変形状態に変形させてよい。モニタリング工程は、吸収性物品の肌面側からの画像を取得することによって吸収パッドの状態をモニタリングするとともに、吸収性物品の非肌面側からの画像を取得することによって使い捨ておむつの状態をモニタリングしてよい。吸収性物品の肌面側からの画像を取得することによって吸収パッドの状態を確認することで、使い捨ておむつの肌面側に位置する吸収パッドの隆起部50を確認できる。また、吸収性物品の非肌面側からの画像を取得することによって使い捨ておむつの状態を確認することで、使い捨ておむつの隆起部50を確認できる。それぞれの隆起部50に基づいて、使い捨ておむつと吸収パッドを共に使用することがよいのか、異なる組み合わせがよいのか等の相性も判断することができる。
【0043】
モニタリング工程は、基本情報に加えて、使い捨ておむつの隆起部50と吸収パッドの隆起部50の一致点及び相違点の関係情報に基づいて吸収性物品の性能を評価してよい。隆起部50の一致点及び相違点は、上述の基本情報及びサブ情報に基づいてよい。例えば、吸収性物品1の隆起部50の幅方向Wの中心の位置が好適であるかの評価、吸収パッドの幅方向の中心の位置が好適であるかの評価に加えて、吸収性物品の隆起部の幅方向の中心と吸収パッドの幅方向の中心の位置の関係(例えば、距離)の評価を加えてよい。各吸収性物品が好適な評価結果を得た場合であっても、各吸収性物品の隆起部50の位置等がずれていると、違和感等の着用感に影響する。しかし、各吸収性物品の隆起部50の一致点及び相違点に基づく評価指標をくわえることで、互いの隆起部50の関係に基づく評価を行うことができる。当該一致点及び相違点に基づく評価指標を用いることで、吸収性物品と吸収パッドの適合性(相性)を評価することができ、使用者が吸収性物品及び吸収パッドを選択する際の選択基準を示すこともできる。
【0044】
本発明は、上述の吸収性物品の性能を評価する性能評価システムであってよい。
評価システムは、図7に示すように、画像取得部110と、抽出部120と、比較評価部130と、を少なくとも有してよい。画像取得部110は、人に着用された吸収性物品1の肌面側の状態を撮影し、画像データをネットワーク経由、または、所定の媒体を用いて取得した画像を情報処理端末100に取り込む。抽出部120は、取得した画像データにおける特定部位を抽出し、抽出した特定部位に基づいて基本情報を算出する。抽出部120は、股下域S3の隆起部50を抽出し、隆起部50の前後方向の位置、股下域S3の隆起部50の幅方向の位置、及び股下域S3の隆起部50の数の少なくともいずれかの基本情報を抽出する。抽出部120は、基本情報に加えて、サブ情報及び関係情報の少なくとも一方を抽出してよい。抽出部120は、画像解析によって隆起部50の位置等を計測してよい。比較評価部130は、抽出した情報を評価基準と対比し、対比した結果を出力する。結果は、評価結果を視覚的に把握したすい形式で出力することが好ましく、点数として表示してもよいし、段階的に割り当てた結果(着用感が大変良好、着用感が良好等)で表示してもよいし、複数の評価基準に対するそれぞれの評価をグラフや表で示してもよい。評価システム200は、各種の処理を実行可能な情報処理端末100を備え、当該情報処理端末100に、抽出部120、及び比較評価部130が備えられている。情報処理端末100は、キーボード、ポインティングデバイスなどの入力装置、演算処理装置、記憶部等を備えている。
【0045】
画像データは、撮像装置により撮影された画像データであり、撮像装置は、一般的なRGBカメラであってもよいし、モノクロカメラ又はスペクトルカメラであってもよく、撮像装置の性能や仕様は制限されない。撮像装置には、ビデオカメラ、スマートフォンに内蔵されたカメラ、タブレット端末に内蔵されたカメラ、パーソナルコンピュータなどにケーブルなどの接続手段によって取り付け可能なWEBカメラなどが含まれる。撮像装置による歩容の撮影者は、吸収性物品の開発者の他、歩行する者の両親、祖父母等であってもよく、スマートフォンに内蔵されたカメラで撮影することも好ましい。撮影された動画像データは、ネットワーク経由、または、所定の媒体を用いて、システム200に送信(受渡)されることも好ましい。比較評価部130による対比結果は、システム200が有する表示部、印刷装置等に出力されてもよいし、被験者をスマートフォンに送信してもよい。
【0046】
評価システム200による評価の流れの好ましい一例について、図7(b)を参照しつつ説明する。ステップS10は、評価対象である吸収性物品1を変形状態に変形させる。ステップS20は、吸収性物品1の肌面側からの股下域S3を含む領域の画像データを取得する。画像データは、評価システム200が備える撮像装置から直接、あるいは評価システム200とは独立の撮像装置から、ネットワーク経由、または、所定の媒体を用いて取得する。ステップS30は、取得した画像データから特定部位(例えば、隆起部50、吸収コア31)を抽出するステップである。ステップS40は、抽出した特定部位の情報から基本情報を算出するステップである。ステップS50は、基本情報と評価基準とを用いて性能を評価する。ステップS60は、評価結果を、評価システム200が備える表示部に直接出力するか、評価システム200から独立したスマートフォンの他の装置に、ネットワーク経由、又は所定の媒体を用いて出力するステップである。
【0047】
評価プログラムとして、例えば、コンピュータを、評価システムとして機能させるソフトウエアを有してもよい。コンピュータとしては、公知の汎用コンピュータ、スマートフォンやタブレット端末等を用いることができる。汎用コンピュータは、CPU、ROM、RAM、SDD又はHDD等を含んで構成される。上述したステップS10~S60の処理が、CPUがROMやディスクなどに格納された本プログラムをRAMに展開して実行することにより実現される。処理は、GPU(Graphics processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)により実現されてもよく、ASICとFPGAの組み合わせにより実現されてもよい。
【0048】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0049】
1 :吸収性物品
41 :脚周り開口
50 :隆起部
L :前後方向
S3 :股下域
W :幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の動作による変形状態の吸収性物品の性能を評価する、吸収性物品の性能評価方法であって、
評価対象である吸収性物品を前記変形状態に変形させる変形工程と、
変形させた前記吸収性物品の肌面側の状態をモニタリングし、吸収性物品の性能を評価するモニタリング工程と、を有し、
前記モニタリング工程では、
前記吸収性物品の股下域の隆起部の前後方向の位置、前記股下域の隆起部の幅方向の位置、及び前記股下域の隆起部の数の少なくともいずれかの基本情報を取得し、当該基本情報に基づいて吸収性物品の性能を評価する、吸収性物品の性能評価方法。
【請求項2】
前記変形工程における着用者の動作による変形状態は、一対の脚周り開口を両脚に通した状態で前記吸収性物品を引き上げる動作による変形状態、前記吸収性物品を着用した着用者が座った動作による変形状態、及び前記吸収性物品を着用した着用者が歩行した動作による変形状態のいずれかである、請求項1に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項3】
前記吸収性物品を引き上げる動作による変形状態は、前記一対の脚周り開口を両脚に通した引き上げ開始から前記吸収性物品を着用者の腰回りまで引き上げる引き上げ完了までの引き上げ長さを100とすると、引き上げ長さを50以上行い、かつ引き上げ完了よりも前までの状態である、請求項に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項4】
前記モニタリング工程は、前記吸収性物品の肌面側からの前記股下域を含む領域の画像を取得する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項5】
前記モニタリング工程は、前記吸収性物品の肌面側からの前記股下域を含む領域の画像、及び前記吸収性物品の非肌面側からの前記股下域を含む領域の画像を取得する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項6】
前記モニタリング工程は、前記吸収性物品の非肌面側から肌面側に向けて光を照射し、前記吸収性物品の肌面側からの画像を取得し、周囲に対する明度が低い陰影部を前記隆起部として抽出する、請求項3に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項7】
前記モニタリング工程では、前記変形状態における前記吸収性物品の肌面側の状態をモニタリングし、前記変形状態を形成するための動作と異なる動作時の前記吸収性物品の着用者の違和感を評価する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項8】
前記モニタリング工程は、前記基本情報に加えて、前記隆起部の高さ、前記隆起部の前記幅方向の中心、及び前記隆起部の頂点の少なくともいずれのサブ情報を取得し、前記基本情報と前記サブ情報に基づいて前記吸収性物品の性能を評価する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項9】
前記吸収性物品は、パンツ型の使い捨ておむつ、着用物品に装着されて使用される吸収パッド、胴回り域を分離することで脚周りを開閉できる胴回り開放型の使い捨ておむつ、及びショーツ型ナプキンの少なくともいずれかである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項10】
前記吸収性物品は、大人用の使い捨ておむつ及び吸収パッドの両方であり、
前記変形工程は、前記使い捨ておむつ上に前記吸収パッドに装着した状態で、前記使い捨ておむつ及び前記吸収パッドを前記変形状態に変形させ、
前記モニタリング工程は、前記吸収性物品の肌面側からの画像を取得することによって前記吸収パッドの状態をモニタリングするとともに、前記吸収性物品の非肌面側からの画像を取得することによって前記使い捨ておむつの状態をモニタリングする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項11】
前記モニタリング工程は、前記基本情報に加えて、前記使い捨ておむつの隆起部と前記吸収パッドの隆起部の一致点及び相違点の関係情報に基づいて前記吸収性物品の性能を評価する、請求項10に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
また、本明細書において評価する「吸収性物品の性能」は、吸収性物品1の着用感、吸収性物品1の吸収性能を含む。吸収性物品1の着用感は、吸収性物品1を着用した状態の動作中(歩行等)の違和感、フィット感、肌触りであってもよいし、吸収性物品1を着用した状態の静止中(寝た状態)の違和感、フィット感、肌触りであってもよい。吸収性物品1の吸収性能は、吸収性物品1の体液の吸収速度、吸収面積、体液の漏れ及びリウェット(一旦吸収され体液の液戻り)を含んでよい。なお、本明細書における「情報の取得」は、撮影した二次元画像データ又は三次元画像データに基づいて取得してもよいし、目視にて定規等で計測することで情報を取得してもよい。本明細書で「計測」とは、単なるデータの値の獲得に限らず、データを獲得し、獲得した値を用いて所定のパラメータを演算により求めることも含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
性能評価方法は、歩行動作による変形状態を用いた評価方法であってもよい。歩行動作の変形工程の一例としては、一対の脚周り開口を両脚に通した状態で吸収性物品1の胴回り開口43が腸骨稜の位置となるまで吸収性物品を引き上げ、中足骨の内端の左右間の距離が100mmとなるように起立する。着用者の好みの歩隔で、10m歩行する。歩行速度は、2.0~4.0km/hとし、歩行面は、平坦な面とする。歩行後、中足骨の内端の左右間の距離が100mmとなるように起立し、歩行動作が完了となる。よって、吸収性物品の変形状態を画像等によって取得する。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の動作による変形状態の吸収性物品の性能を評価する、吸収性物品の性能評価方法であって、
評価対象である吸収性物品を前記変形状態に変形させる変形工程と、
変形させた前記吸収性物品の肌面側の状態をモニタリングし、吸収性物品の性能を評価するモニタリング工程と、を有し、
前記モニタリング工程では、
前記吸収性物品の前記股下域の隆起部の前後方向の位置、前記股下域の隆起部の幅方向の位置、及び前記股下域の隆起部の数の少なくともいずれかの基本情報を取得し、当該基本情報に基づいて吸収性物品の性能を評価し、
前記変形工程における着用者の動作による変形状態は、一対の脚周り開口を両脚に通した状態で前記吸収性物品を引き上げる動作による変形状態であり、前記吸収性物品の一対の脚周り開口を両脚に通した引き上げ開始から前記吸収性物品を着用者の腰回りまで引き上げる引き上げ完了までの引き上げ長さを100とすると、引き上げ長さを50以上行い、かつ引き上げ完了よりも前までの状態である、吸収性物品の性能評価方法。
【請求項2】
前記吸収性物品は、大人用の使い捨ておむつ及び吸収パッドの両方であり、
前記変形工程は、前記使い捨ておむつ上に前記吸収パッドに装着した状態で、前記使い捨ておむつ及び前記吸収パッドを前記変形状態に変形させ、
前記モニタリング工程は、前記吸収性物品の肌面側からの画像を取得することによって前記吸収パッドの状態をモニタリングするとともに、前記吸収性物品の非肌面側からの画像を取得することによって前記使い捨ておむつの状態をモニタリングする、請求項1に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【請求項3】
前記モニタリング工程は、前記基本情報に加えて、前記使い捨ておむつの隆起部と前記吸収パッドの隆起部の一致点及び相違点の関係情報に基づいて前記吸収性物品の性能を評価する、請求項に記載の吸収性物品の性能評価方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
性能評価方法は、歩行動作による変形状態を用いた評価方法であってもよい。歩行動作の変形工程の一例としては、一対の脚周り開口を両脚に通した状態で吸収性物品1の胴回り開口43が腸骨稜の位置となるまで吸収性物品を引き上げ、中足骨の内端の左右間の距離が100mmとなるように起立する。着用者の好みの歩隔で、10m歩行する。歩行速度は、2.0~4.0km/hとし、歩行面は、平坦な面とする。歩行後、中足骨の内端の左右間の距離が100mmとなるように起立し、歩行動作が完了となる。よって、吸収性物品の変形状態を画像等によって取得する。