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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018247
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】周辺装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122225
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 清人
(57)【要約】
【課題】表示装置との表面を面として検知可能な表示装置との接触による摩耗を抑制することが可能な周辺装置を提供する。
【解決手段】
表面にホバリング域を成した表示装置に用いる周辺装置であって、前記周辺装置は、平面部と、前記平面部から前記表示装置の前記表面に向けて突出し、前記表面に接触可能な突出部とを備え、前記突出部の突出量を前記ホバリング域の高さ以下に規定した。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にホバリング域を成した表示装置に用いる周辺装置であって、
前記周辺装置は、
平面部と、
前記平面部から前記表示装置の前記表面に向けて突出し、前記表面に接触可能な突出部と
を備え、
前記突出部の突出量を前記ホバリング域の高さ以下に規定した
ことを特徴とする周辺装置。
【請求項2】
前記突出部は、前記表面に対して前記平面部を平行に保持することを特徴とする請求項1記載の周辺装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記表面を成す材料よりも軟らかい材料からなることを特徴とする請求項1または2記載の周辺装置。
【請求項4】
前記突出部は、前記表面に対して点接触をなす形状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の周辺装置。
【請求項5】
前記ホバリング域は、前記表面に対する前記突出部の接触を検知する検知手段が、前記表面からの高さ方向に生成する検知公差の高さの範囲であることを特徴とする請求項1記載の周辺装置。
【請求項6】
前記周辺装置は、前記表示装置の前記表面に書き込んだ描画情報を消去するイレーサーであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の周辺装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周辺装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、消去器具の位置を入力するための突起物を、消去器具の消去面を入力面に押し当てたときは入力面に触れず、消去器具の角を入力面に押し当てたときのみ入力面に触れるように、消去器具の消去面の1箇所あるいは複数箇所角に設け、既に入力面に描かれた文字、図形の微小領域の消去および突起物の座標値入力を可能とする文字図形入力装置用消去器具を開示している。
【0003】
従来技術は、文字、図形を表示する面に対する突起物の接触を検知して突起物の座標を入力する構成であり、表示装置は表示装置表面と消去器具との接触を面として検知することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、表示装置との表面を面として検知可能な表示装置との接触による摩耗を抑制することが可能な周辺装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、表面にホバリング域を成した表示装置に用いる周辺装置であって、前記周辺装置は、平面部と、前記平面部から前記表示装置の表面に向けて突出する前記表面に接触可能な突出部とを備え、前記突出部の突出量を前記ホバリング域の高さ以下に規定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表示装置との表面を面として検知可能な表示装置との接触による摩耗を抑制することが可能な周辺装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】表示装置の概要説明図。
図2】タッチパネル表面の様子を示す説明図。
図3】静電容量方式タッチパネルとホバリング域の関係を示す説明図。
図4】赤外線方式タッチパネルとホバリング域の関係を示す説明図。
図5】本発明の実施形態に係る周辺装置の全体構成図。
図6】本発明の実施形態に係る周辺装置を静電容量方式タッチパネルで用いた際の説明図。
図7】本発明の実施形態に係る周辺装置を赤外線方式タッチパネルで用いた際の説明図。
図8】電子ホワイトボードのハードウェアの一例を示す構成図。
図9】本発明の第1変形例の説明図。
図10】本発明の第2変形例の説明図。
図11】本発明の第3変形例の説明図。
図12】本発明の第4変形例の説明図。
図13】本発明の第5変形例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態を、図面を用いて以下に説明する。
【0009】
図1は、表示装置の一例としての電子ホワイトボードの概要説明図である。
【0010】
電子ホワイトボード2(以下、IWB(Interactive Whiteboard)と称する)は、ディスプレイ280を備える。ディスプレイ280は、その表面への物体の接触を検知する接触センサを備えたタッチパネルディスプレイである。IWB2は、例えばスタンド20に取り付けたディスプレイ280に映す情報を複数のメンバーと共有することができるため、会議、セミナー、プレゼンテーションまたは授業などで近年、広く普及している。
【0011】
IWB2は、ノートPC(Personal Computer)、タブレット、スマートフォンなどの端末の情報をディスプレイ280に表示したり、情報を表示したディスプレイ280に直接手書きで書き込みを行うことができる。また、IWB2は、ディスプレイ280に表示した情報をデータとして保存することもできる。ディスプレイ280に直接手書きで書き込みを行う場合、ユーザは指またはペン型入力装置290でディスプレイ280に触れて書き込みを行うことで、ディスプレイ280に文字、図形等を書き込むことができる。また、ディスプレイ280に書き込んだ文字、図形等の描画情報を消す場合、ユーザはイレーサー300で消したい文字、図形等に触れて擦り取る動作を行うことで、ディスプレイ280から文字、図形等を消去することができる。
【0012】
ディスプレイ280は、ディスプレイ280が備える接触センサにより、ディスプレイ280の表面に接触した物体を検知し、センサコントローラは、その検知結果から求めた接触面積に応じてディスプレイ280の動作を制御している。例えば、接触面積が予め定めた判定閾値以下の場合、センサコントローラは、指またはペン型入力装置290がディスプレイ280に触れたと判定し、書き込み動作に移行する。また、接触面積が予め定めた判定閾値を超える場合、センサコントローラは、イレーサー300がディスプレイ280に触れたと判定し、消去動作に移行する。
【0013】
図2は、タッチパネル表面の様子を示す説明図である。
【0014】
上述のようにディスプレイ280は、ディスプレイ280の表面に接触した物体を接触センサで検知し、その検知結果に基づきセンサコントローラがディスプレイ280の動作を制御する。
【0015】
ところで、接触センサは必ず検知公差を有しており、検知公差は図示のようにディスプレイ280の表面に対して高さHtの領域で存在している。検知公差の高さHtは、接触センサの方式および性能により多少異なるものの、おおよそ0.1mm~0.5mm程度である。従って、ディスプレイ280の動作の制御においては、ディスプレイ280の表面に物体が直接触れていなくても、物体が検知公差の中に存在すれば、接触センサは物体を検知することが可能である。なお、本発明においては上記検知公差の高さHtの範囲を「ホバリング(hovering)域」(Fh)と呼ぶ。
【0016】
IWB2の使用時にディスプレイ280と触れる物体の中でも特にイレーサー300は、ユーザの指やペン型入力装置290と比べて接触面積が大きい。そのため、イレーサー300の接触面が硬い材質の場合は、消去動作の度に耳障りな接触音が発生する。
【0017】
また、接触音を抑制するためにイレーサー300の接触面を繊維系素材などの軟らかい材料とした場合は、ディスプレイ280との接触によりイレーサー300の接触面が摩耗劣化し破損しやすくなる。さらに、ディスプレイ280の汚れなどがイレーサー300の接触面に蓄積しやすくなり不衛生になる。
【0018】
特に、ディスプレイ280が静電容量方式のタッチパネルの場合は、接触音の抑制と、導電性の確保とを両立するためにイレーサー300の接触面には、金属糸を織り込んだ導電繊維を用いる。そのため、上記の破損ならびに汚れの蓄積はより顕著になる。従って、イレーサー300の接触面をホバリング域Fhで検知することが可能になれば、上記問題を解消することができるようになる。
【0019】
以下、タッチパネルディスプレイの代表的な例として静電容量方式と赤外線方式を説明する。
【0020】
図3は、静電容量方式タッチパネルとホバリング域の関係を示す説明図であり、図3(a)はイレーサー300がホバリング域Fhの外にある状態、図3(b)はイレーサー300がホバリング域Fhの中にある状態を示す。
【0021】
静電容量方式では、導電性を有する物体(ここではイレーサー300)が、ホバリング域Fhに進入した場合、ディスプレイ280に設けたタッチセンサ214aとイレーサー300との間で静電結合が起き、静電容量が変化する。タッチセンサ214aは、静電容量の変化を捉えることにより、ホバリング域Fhに進入したイレーサー300を検知し、センサコントローラはタッチセンサ214aの検知結果に基づきイレーサー300の面積と位置を特定する。なお、図3(a)の状態においては、イレーサー300はホバリング域Fhの外にあるため静電容量の変化も起きておらず、センサコントローラは「物体なし」と判断する。
【0022】
静電結合は、基本的にはイレーサー300の接触面300aが直接的にディスプレイ280の表面に接触した場合に起こる。しかし実際はホバリング域Fhが存在するため、図3(b)のようにホバリング域Fhにイレーサー300の接触面300aが進入した段階で静電結合は成立し、イレーサー300の面積と位置を検出することが可能になる。なお、静電容量方式は、導電性を有する物体以外には反応しないため、イレーサー300の接触面300aは必ず導電性素材とする必要がある。
【0023】
図4は、赤外線方式タッチパネルとホバリング域の関係を示す説明図であり、図4(a)はイレーサー300がホバリング域Fhの外にある状態、図4(b)はイレーサー300がホバリング域Fhの中にある状態を示す。
【0024】
赤外線方式では、赤外線LED(Light Emitting Diode)を備える発光部2141と、発光部2141が発した赤外線を検知する受光部2142とからなる赤外線センサ214bを用いる。赤外線センサ214bは、ディスプレイ280の周囲を囲む枠体(フレームなど)に、発光部2141と受光部2142とが対向するようにして、複数設置している。
【0025】
そして、発光部2141と受光部2142との間に物体(ここではイレーサー300)が進入した場合は、赤外線の遮断が発生する。赤外線センサ214bは、赤外線の遮断を捉えることにより、ホバリング域Fhに進入したイレーサー300を検知し、赤外線センサ214bの検知結果に基づき、センサコントローラはイレーサー300の面積と位置を特定する。なお、図4(a)の状態においては、イレーサー300はホバリング域Fhの外にあるため、赤外線の遮断も起きておらず、センサコントローラは「物体なし」と判断する。
【0026】
赤外線の遮断は、基本的にはイレーサー300の接触面300aが直接的にディスプレイ280の表面に接触した場合に起こる。しかし実際はホバリング域Fhが存在するため、図4(b)のようにホバリング域Fhにイレーサー300の接触面300aが進入した段階で赤外線の遮断検知が可能となり、イレーサー300の面積と位置の検出が可能になる。なお、赤外線方式は、イレーサー300の接触面300aに用いる素材に特別な制約がないため、静電容量方式に比べて設計自由度の点で有利になる。
【0027】
なお、以降の説明において、図3に示したタッチセンサ214aおよび図4に示した赤外線センサ214bを総称する場合は、接触センサ214と称することとする。次に本発明の周辺装置を詳細に説明する。
【0028】
図5は、本発明の実施形態に係る周辺装置の全体構成図である。周辺装置としてイレーサーを例示するものであり、図5(a)はイレーサーの全体側面図、図5(b)はイレーサーの全体底面図である。
【0029】
イレーサー300は、主にケーシング301と被検知部302とを備える。ケーシング301は、被検知部302を保持するとともに、ユーザがイレーサー300を使用する際の把持部を兼ねる。被検知部302は、第1の平面部302aと、第2の平面部302bとを備える。第1の平面部302aは、図5(b)のように底面が円形状をなし、第2の平面部302bは、第1の平面部302aの一部から外方に突出し、図5(a)のように第1の平面部302aに対し角度θ傾斜している。
【0030】
第1の平面部302aは、おおよそ拳一握りほどの面積を有し、第2の平面部302bは、おおよそ手の親指の腹ほどの面積を有する。例えば、通常の消去動作時は第1の平面部302aを用い、小さい面積の消去動作時は、第2の平面部302bがディスプレイ表面と平行になるようにイレーサー300を角度θ傾けて把持し、第2の平面部302bを用いる。このようにユーザは第1の平面部302aと第2の平面部302bとを使い分けてイレーサー300を使用することができる。
【0031】
なお、被検知部302を構成する材料(素材)は、タッチパネルディスプレイの方式(静電容量方式、赤外線方式等)に基づき適宜適切な材料を選定して形成する。
【0032】
また、被検知部302は、第1の平面部302aからディスプレイ表面に向けて突出する突出部303を備え、その突出量は上述のホバリング域Fhの高さ以下となるようにしている。そのため、イレーサー300による消去動作時は、突出部303がディスプレイ表面に接触し、第1の平面部302aはディスプレイ表面と直接接触しなくなる。
【0033】
また、本実施形態においては、第1の平面部302aに設けた3個の突出部303により第1の平面部302aを3点支持し、第1の平面部302aがディスプレイ表面と平行になるようにしている。突出部303は、ディスプレイ表面を成す材料よりも軟らかい材料(樹脂素材、硬質ゴム等)で形成し、消去動作時のディスプレイ表面との接触音を抑制している。
【0034】
また、突出部303は、ディスプレイ表面との接触面積を抑えるという点で、ディスプレイ表面に対して点接触をなす形状とすることが好ましく、本実施形態では、突出部303を断面半円状の形状としている。
【0035】
なお、本実施形態では、突出部303を第1の平面部302aのみに設けたが、突出部303は第2の平面部302bにも設けてよい。その場合、第2の平面部302bからディスプレイ表面に向けて突出する突出部303の突出量も、ホバリング域Fhの高さ以下となるようにして設置する。ここで、第1の平面部302aは「平面部」の一例であり、突出部303は「突出部」の一例である。
【0036】
また、被検知部302の平面部の数は2面(302a、302b)に限るものではない。例えば3面以上であってもよく、逆に1面でもよい。
【0037】
上述のように、本実施形態は、表面にホバリング域Fhを成したディスプレイ280に用いるイレーサー300であって、イレーサー300は、第1の平面部302aと、第1の平面部302aからディスプレイ280の表面に向けて突出し、ディスプレイ280の表面に接触可能な突出部303とを備え、突出部303の突出量をホバリング域Fhの高さ以下に規定した。
【0038】
これにより、イレーサー300による消去動作時は、突出部303がディスプレイ280の表面に接触し、第1の平面部302aはディスプレイ280の表面と直接接触しなくなる。その結果、ディスプレイ280の表面との接触による第1の平面部302aの摩耗を抑制することが可能なイレーサー300を提供することができる。
【0039】
また、上述のように、突出部303は、ディスプレイ280の表面に対して第1の平面部302aを平行に保持する。
【0040】
これにより、ホバリング域Fh内での第1の平面部302aの姿勢が安定するため、第1の平面部302aが傾くことによる誤検出を低減できる。
【0041】
また、上述のように、突出部303は、ディスプレイ280の表面を成す材料よりも軟らかい材料からなる。
【0042】
また、上述のように、突出部303は、ディスプレイ280の表面に対して点接触をなす形状である。
【0043】
これにより、突出部303とディスプレイ280の表面との接触による接触音の発生を抑制することができる。
【0044】
図6は、本発明の実施形態に係る周辺装置を静電容量方式タッチパネルで用いた際の説明図である。図6(a)はイレーサー300がホバリング域Fhの外にある状態、図6(b)はイレーサー300がホバリング域Fhの中にある状態を示す。なお、静電容量方式の原理等は図3と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、既に説明した部材と同等の部材については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0045】
上述のように、第1の平面部302aからの突出部303の突出量は、検知公差の高さHt、すなわちホバリング域Fhの高さ以下にして設けている。
【0046】
そのため、突出部303がディスプレイ280の表面に接触した場合は、図6(b)のように被検知部302もホバリング域Fhに進入した状態とすることができる。その結果、第1の平面部302aの領域で静電結合が成立し、イレーサー300の面積と位置を検出することが可能になる。
【0047】
一方、図6(a)の状態においては、イレーサー300はホバリング域Fhの外にあるため、静電容量の変化も起きておらず、センサコントローラは「物体なし」と判断する。なお、静電容量方式は導電性を有する物体以外には反応しないため、被検知部302は導電性素材を用いて形成している。
【0048】
図7は、本発明の実施形態に係る周辺装置を赤外線方式タッチパネルで用いた際の説明図である。図7(a)はイレーサー300がホバリング域Fhの外にある状態、図7(b)はイレーサー300がホバリング域Fhの中にある状態を示す。なお、赤外線方式の原理等は図4と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、既に説明した部材と同等の部材については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0049】
図6の場合と同様に、第1の平面部302aからの突出部303の突出量はホバリング域Fhの高さ以下にして設けている。そのため、突出部303がディスプレイ280の表面に接触した場合は、図7(b)のように被検知部302もホバリング域Fhに進入した状態とすることができる。その結果、第1の平面部302aの領域で赤外線の遮断が発生し、イレーサー300の面積と位置を検出することが可能になる。
【0050】
一方、図7(a)の状態においては、イレーサー300はホバリング域Fhの外にあるため、発光部2141から発した赤外線を受光部2142が検知し、センサコントローラは「物体なし」と判断する。
【0051】
なお、以降の説明において、図6に示したタッチセンサ214aおよび図7に示した赤外線センサ214bを総称する場合は、接触センサ214と称することとする。ここで、接触センサ214は検知手段の一例である。
【0052】
図8は、電子ホワイトボードのハードウェアの一例を示す構成図である。
【0053】
図示のように、電子ホワイトボード(IWB)2は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、SSD(Solid State Drive)204、ネットワークコントローラ205および外部機器接続I/F(Interface)206を備える。
【0054】
これらのうち、CPU201は、IWB2全体の動作を制御する。ROM202は、CPU201、IPL(Initial Program Loader)等のCPU201の駆動に用いるプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアをなし、プログラムやデータを一時保存する。SSD204は、IWB用のプログラム等の各種データを記憶する。
【0055】
ネットワークコントローラ205は、通信ネットワークとの通信を制御する。外部機器接続I/F206は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ230、外付け機器(マイク240、スピーカ250、カメラ260)である。
【0056】
また、IWB2は、キャプチャデバイス211、GPU(Graphics Processing Unit)212、ディスプレイコントローラ213、接触センサ214、センサコントローラ215、電子ペンコントローラ216、近距離通信回路219、近距離通信回路219のアンテナ219a、電源スイッチ222および選択スイッチ類223を備える。
【0057】
これらのうち、キャプチャデバイス211は、外付けのPC(Personal Computer)270のディスプレイに対して映像情報を静止画または動画として表示する。GPU212は、グラフィクスを専門に扱う半導体チップである。ディスプレイコントローラ213は、GPU212からの出力画像をディスプレイ280等へ出力するために画面表示の制御および管理を行う。
【0058】
接触センサ214は、ディスプレイ280上に電子ペン、タッチペン等のペン型入力装置290、イレーサー300、ユーザの手(指)Hなどが触れたことを検知する。センサコントローラ215は、接触センサ214の処理を制御する。接触センサ214は、図6に示したタッチセンサ214aおよび図7に示した赤外線センサ214bによって実現し、ディスプレイ280に触れた物体の座標の入力および座標の検出を行う。センサコントローラ215は、接触センサ214の出力に基づき物体の面積と位置を座標の情報から特定する。
【0059】
電子ペンコントローラ216は、使用するペン型入力装置290が通信機能を搭載している場合は、ペン型入力装置290と通信することで、ディスプレイ280へのペン先のタッチやペン尻のタッチの有無を判断する。近距離通信回路219は、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0060】
電源スイッチ222は、IWB2の電源のON/OFFを切り換えるためのスイッチである。選択スイッチ類223は、例えば、ディスプレイ280の表示の明暗、色合い等を調整するためのスイッチ群である。
【0061】
さらに、IWB2は、バスライン210を備える。バスライン210は、CPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスおよびデータバス等である。
【0062】
なお、接触センサ214は、タッチセンサ214a、赤外線センサ214bに限るものではない。例えば、対向する2つの抵抗膜の電圧変化によって接触位置を特定する抵抗膜方式、物体が接触することによって生じる電磁誘導を検知して接触位置を特定する電磁誘導方式などの種々の方式を用いてよい。また、電子ペンコントローラ216は、ペン型入力装置290のペン先およびペン尻だけでなく、ペン型入力装置290のユーザが握る部分や、その他の部分のタッチの有無を判断するようにしてもよい。
【0063】
以降は、本発明の変形例について説明する。
【0064】
図9は、本発明の第1変形例の説明図である。
【0065】
図5の実施形態は、第1の平面部302aに設けた3個の突出部303で第1の平面部302aを3点支持する構成であったのに対し、本変形例は第1の平面部302aの中央に1つだけ突出部304を設置している点が異なる。なお、突出部304は、ディスプレイ表面に対して第1の平面部302aを平行に保持することが可能であればよく、形状は図示のような円形状に限るものではない。また、突出部304は、中央部分(例えば図の破線部分)をくり抜いたリング形状としてもよい。
【0066】
本変形例によれば、第1の平面部302aの全面でディスプレイ表面に接触する場合と比べて小さい面積での接触となるため、ディスプレイ表面を移動する際の耳障りな接触音が低減することができる。また、第1の平面部302aはディスプレイ表面と直接接触しないため、第1の平面部302aの摩耗による破損を抑制することができる。
【0067】
図10は、本発明の第2変形例の説明図である。
【0068】
図5の実施形態は、第1の平面部302aを3点支持する突出部303が、断面半円状の形状をした部材であったのに対し、本変形例は、突出部305が球体を備えている点が異なる。具体的には、突出部305は前後左右360度移動可能に保持した球体(ボール)を備えたフリーボールベアリング等によって実現する。
【0069】
本変形例によれば、ユーザはディスプレイ上でイレーサー300をスムーズに動かすことが可能になるため、ディスプレイ表面を移動する際の接触音をより低減することができる。また、第1の平面部302aはディスプレイ表面と直接接触しないため、第1の平面部302aの摩耗による破損を抑制することができる。
【0070】
図11は、本発明の第3変形例の説明図である。
【0071】
図5の実施形態は、第1の平面部302aに突出部303を設けていたのに対し、本変形例は、ケーシング301に突出部306を設置している点が異なる。すなわち、突出部306をケーシング301の縁部の複数箇所(本変形例では4箇所)に設け、ケーシング301からディスプレイ側へ突出するように突出部306を設けている。なお、突出部306は、第2変形例のような球体を備える突出部として構成してもよい。
【0072】
本変形例の場合にも、ディスプレイ表面とイレーサー300との接触面積を小さくすることができるため、ディスプレイ表面を移動する際の接触音を低減することができる。また、第1の平面部302aはディスプレイ表面と直接接触しないため、第1の平面部302aの摩耗による破損を抑制することができる。
【0073】
図12は、本発明の第4変形例の説明図である。
【0074】
図5の実施形態は、第1の平面部302aが円形状であったのに対し、本変形例は長方形状にしている点が異なる。なお、長方形状はあくまで一例であり、本発明はあらゆる形状に適用することが可能である。また、本変形例の場合にも、突出部303は、第2変形例のような球体を備える突出部として構成してもよい。
【0075】
本変形例によれば、ディスプレイ表面とイレーサー300との接触面積を小さくすることができるため、ディスプレイ表面を移動する際の接触音が低減することができる。また、第1の平面部302aはディスプレイ表面と直接接触しないため、第1の平面部302aの摩耗による破損を抑制することができる。
【0076】
図13は、本発明の第5変形例の説明図である。
【0077】
図5の実施形態は、第1の平面部302aが円形状であったのに対し、本変形例は長方形状をしている点が異なる。また、図12の第4変形例は、第1の平面部302aを3個の突出部303で3点支持しているのに対し、本変形例は第1の平面部302aの長手方向両端部に棒状の突出部307を設置している点が異なる。
【0078】
なお、突出部307は、ディスプレイ表面に対して第1の平面部302aを平行に保持することが可能であればよく、突出部307のサイズは適宜変更してよい。また、突出部307の設置位置についても、第1の平面部302aの長手方向両端部に限るものではない。例えば第1の平面部302aの中央部にも設けてよく、また、短手方向においても突出部307を設置してよい。
【0079】
本変形例によれば、ディスプレイ表面とイレーサー300との接触面積を小さくすることができるため、ディスプレイ表面を移動する際の接触音が低減することができる。また、第1の平面部302aはディスプレイ表面と直接接触しないため、第1の平面部302aの摩耗による破損を抑制することができる。
【0080】
以上の説明においては、周辺装置としてイレーサーを例に説明したが、本発明はイレーサーに限るものではない。ディスプレイのような表示装置上でユーザが動かして使用する周辺装置は、すべて本発明の適用対象となる。
【0081】
以上説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0082】
第1態様は、表面(例えばタッチパネルディスプレイ280の表面)にホバリング域(例えばホバリング域Fh)を成した表示装置(例えばタッチパネルディスプレイ280)に用いる周辺装置(例えばイレーサー300)であって、前記周辺装置は、平面部(例えば第1の平面部302a)と、前記平面部から前記表示装置の前記表面に向けて突出し、前記表面に接触可能な突出部(例えば突出部303)とを備え、前記突出部の突出量を前記ホバリング域の高さ(例えば検知公差の高さHt)以下に規定したことを特徴とするものである。
【0083】
第1態様によれば、突出部が表示装置の表面に接触し、平面部は表示装置の表面と接触しなくなるため、表示装置の表面との接触による平面部の摩耗を抑制することが可能な周辺装置を提供することができる。
【0084】
第2態様は、第1態様において、前記突出部(例えば突出部303)は、前記表面(例えばタッチパネルディスプレイ280の表面)に対して前記平面部(例えば第1の平面部302a)を平行に保持することを特徴とするものである。
【0085】
第2態様によれば、ホバリング域内での平面部の姿勢が安定し、平面部が傾くことによる誤検出を低減できる。
【0086】
第3態様は、第1態様または第2態様において、前記突出部(例えば突出部303)は、前記表面(例えばタッチパネルディスプレイ280の表面)を成す材料よりも軟らかい材料からなることを特徴とするものである。
【0087】
第4態様は、第1態様乃至第3態様のいずれかにおいて、前記突出部(例えば突出部303)は、前記表面(例えばタッチパネルディスプレイ280の表面)に対して点接触をなす形状であることを特徴とするものである。
【0088】
第3態様および第4態様によれば、突出部と表示装置の表面との接触による接触音の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0089】
280 ディスプレイ(表示装置)
300 イレーサー(周辺装置)
301 ケーシング
302 被検知部
302a 第1の平面部(平面部)
302b 第2の平面部
303 突出部
Fh ホバリング域
Ht 検知公差の高さ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特開昭61-026124号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13