(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182564
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】封入装置、封筒処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B43M 5/04 20060101AFI20231219BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20231219BHJP
B65H 45/04 20060101ALI20231219BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B43M5/04
B65H37/06
B65H45/04
G03G15/00 431
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098033
(22)【出願日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2022095896
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 道貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸宜
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 勇介
(72)【発明者】
【氏名】松田 昂大
(72)【発明者】
【氏名】篠田 淳
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA01
2H072JA02
3F108AB01
3F108BA04
3F108BA08
3F108BB14
3F108CB03
3F108CC01
3F108GA01
3F108GB03
(57)【要約】
【課題】封筒の寸法に応じて封筒の開口量を調整できる封入装置を提供する。
【解決手段】封入位置に封筒を搬送する封筒搬送手段と、封入位置に至った封筒に封入物が挿入されるように当該封筒の間口を広げる封入手段と、を備え、封入手段は、封入物を封筒に挿入するとき間口の開口量を調整する開口量調整手段を含み、開口量調整手段は、封筒を封入位置に搬送するときの搬送方向における当該封筒のフラップの長さとしてのフラップ長と、搬送方向における当該封筒の本体部分の長さとしての本体長とに応じて、開口量を調整する、封入装置による。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封入位置に搬送された封筒に封入物を挿入する封入装置であって、
前記封入位置に前記封筒を搬送する封筒搬送手段と、
前記封入位置に至った前記封筒に前記封入物が挿入されるように当該封筒の間口を広げる封入手段と、
を備え、
前記封入手段は、前記封入物を前記封筒に挿入するとき前記間口の開口量を調整する開口量調整手段を含み、
前記開口量調整手段は、前記封筒を前記封入位置に搬送するときの搬送方向における当該封筒のフラップの長さとしてのフラップ長と、前記搬送方向における当該封筒の本体部分の長さとしての本体長とに応じて、前記開口量を調整する、
ことを特徴とする封入装置。
【請求項2】
前記封入手段は、前記封筒の間口を広げる封入部材を有し、
前記開口量調整手段は、前記封入部材の回動量を調整する、
請求項1に記載の封入装置。
【請求項3】
前記フラップ長を検知するフラップ長検知手段を有し、
前記開口量調整手段は、前記フラップ長に応じて前記封入部材の回動量を調整する、
請求項2に記載の封入装置。
【請求項4】
前記本体長を検知する本体長検知手段を有し、
前記開口量調整手段は、前記本体長に応じて前記封入部材の回動量を調整する、
請求項2又は3に記載の封入装置。
【請求項5】
前記封入手段は、前記封筒搬送手段により搬送された前記封筒のフラップを保持するフラップ保持手段を有し、
前記開口量調整手段は、前記フラップ保持手段及び前記封筒搬送手段の駆動量を調整することで前記開口量を調整する、
請求項1に記載の封入装置。
【請求項6】
前記フラップ長を検知するフラップ長検知手段を有し、
前記開口量調整手段は、前記フラップ長に応じて、前記フラップ保持手段及び前記封筒搬送手段の駆動量を調整することで前記開口量を調整する、
請求項5に記載の封入装置。
【請求項7】
前記本体長を検知する本体長検知手段を有し、
前記開口量調整手段は、前記本体長に応じて、前記フラップ保持手段及び前記封筒搬送手段の駆動量を調整することで前記開口量を調整する、
請求項5又は6に記載の封入装置。
【請求項8】
前記開口量調整手段は、前記封筒に挿入される前記封入物の数量に応じて前記開口量を調整する、
請求項1に記載の封入装置。
【請求項9】
前記開口量調整手段は、前記封筒に挿入される前記封入物の厚みに応じて前記開口量を調整する、
請求項1に記載の封入装置。
【請求項10】
前記開口量調整手段は、前記封筒に挿入される前記封入物の形状に応じて前記開口量を調整する、
請求項1に記載の封入装置。
【請求項11】
前記封筒に前記封入物を挿入する請求項1に記載の封入装置と、
前記封入物が挿入された前記封筒を封緘する封緘部と、
を備えることを特徴とする封筒処理装置。
【請求項12】
媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像が形成された前記媒体を前記封入物として前記封筒に挿入する請求項1に記載の封入装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項13】
媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像が形成された前記媒体を前記封入物として前記封筒に挿入して封緘する請求項11に記載の封筒処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項14】
媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像が形成された前記媒体を前記封入物として、当該封入物に対して折り処理を施す折り処理手段と、
前記折り処理が施された前記封入物を前記封筒に挿入する請求項1に記載の封入装置と、を備え、
前記折り処理手段は、前記折り処理における折り位置を調整する折り位置調整手段を有し、
前記封入物の形状は、前記折り位置調整手段において調整された折り位置に基づいて変化することを特徴とする画像形成システム。
【請求項15】
前記折り処理手段は、前記封入物に形成された折り目に対し更に折り処理を施す増し折り処理手段を有し、
前記封入物の形状は、前記増し折り処理手段において前記折り目に対する前記増し折り処理の回数によって変化する、
請求項14に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封入装置、封筒処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
封筒に封入物を封入する封入装置が知られている。また、封筒に封入物を封入し、さらに封緘まで行なう封入封緘装置も知られている。そして、封入されるシートに画像を形成する画像形成装置と、封入装置又は封入封緘装置を連携させて、画像形成後の封入物を封入し、封緘する画像形成システムも知られている。なお、画像が形成されたシートに折り処理を行う折り装置をさらに連動させて、画像が形成されたシートに折り処理を行い、その後の折りシートを封入する画像形成システムも知られている。
【0003】
封入封緘装置における封筒開口装置に関して、封筒の開口量を容易に調整する技術が開示されている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、封筒の開口の量を調整するものである。一般的に、封筒の開口の量を大きくすると、封入物の挿入が容易になることもあるが、開口量を増やすことは封筒の厚み方向に開口を広げることになるので、開口の幅寸法が狭くなることもある。特に、全体の長さが長い封筒の場合は、開口を広げることで開口幅が狭まる傾向が大きくなる。すなわち、封入物の挿入を容易に行えるようにするために開口の調整をするときは、封筒の寸法等に応じて好適な開口量に調整することが望まれる。しかしながら、従来技術では、封筒長や封筒フラップ長に応じて開口量を調整することはできず、封筒に応じて開口の調整を行なうには課題がある。
【0005】
本発明は、封筒の寸法に応じて封筒の開口量を調整できる封入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、封入位置に搬送された封筒に封入物を挿入する封入装置であって、前記封入位置に前記封筒を搬送する封筒搬送手段と、前記封筒に前記封入物を封入する状態において、当該封筒の間口を広げる封入手段と、を備え、前記封入手段は、前記封入物を前記封筒に挿入するとき前記間口の開口量を調整する開口量調整手段を含み、前記開口量調整手段は、前記封筒を前記封入位置に搬送するときの搬送方向における当該封筒のフラップの長さとしてのフラップ長と、前記搬送方向における当該封筒の本体部分の長さとしての本体長とに応じて、前記開口量を調整する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、封筒の寸法に応じて封筒の開口量を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る画像形成システムの実施形態を示す正面外観図。
【
図2】上記実施形態に係る制御構成の例を示すブロック図。
【
図3】上記実施形態に適用可能な折り処理部の例を示す内部構成図。
【
図4】上記実施形態に適用可能な折り処理部の別例を示す内部構成図。
【
図5】上記実施形態に適用可能な折り処理部の別例を示す内部構成図。
【
図6】上記実施形態に適用可能な折り処理部の別例を示す内部構成図。
【
図7】本発明に係る封入封緘装置の実施形態の内部構成図。
【
図8】上記封入封緘装置が備えるフラップ開機構の概略構成図。
【
図9】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図10】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図11】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図12】上記封入封緘装置の封入動作におけるフラップ開機構の動作を例示する図。
【
図13】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図14】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図15】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図16】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図17】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図18】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図19】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図20】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図21】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図22】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入動作の一工程を例示する図。
【
図23】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入支援部の動作を例示する図。
【
図24】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入支援部の動作を例示する図。
【
図25】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入支援部の動作を例示する図。
【
図26】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入支援部の動作を例示する図。
【
図27】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入支援部の動作を例示する図。
【
図28】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入支援部の動作を例示する図。
【
図29】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入支援部の動作を例示する図。
【
図30】上記封入封緘装置の一実施形態に係る封入支援部の動作を例示する図。
【
図31】上記封入支援部における間口開口量の調整の様子の例を示す図。
【
図32】上記封入支援部における間口開口量の調整の様子の別の例を示す図。
【
図33】上記封入支援部における間口開口量の調整の様子の別の例を示す図。
【
図34】上記封入支援部における間口開口量の調整の様子の別の例を示す図。
【
図35】上記封入支援部における間口開口量の調整の様子の別の例を示す図。
【
図36】上記封入支援部における間口開口量の調整の様子の別の例を示す図。
【
図37】封入物の状態と封筒の間口の開口との関係の例を示す図。
【
図38】封入物の状態と封筒の間口の開口との関係の例を示す図。
【
図39】封入物の状態と封筒の間口の開口との関係の例を示す図。
【
図40】封入物の状態と封筒の間口の開口との関係の例を示す図。
【
図41】封入物の状態と封筒の間口の開口との関係の例を示す図。
【
図42】本実施形態に係る印刷ジョブ前処理の例を示すフローチャート。
【
図43】開口調整量算出処理の第一実施形態を示すフローチャート。
【
図44】開口調整処理の第一実施形態を示すフローチャート。
【
図45】開口調整量算出処理の第二実施形態を示すフローチャート。
【
図46】開口調整処理の第二実施形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[画像形成システムの実施形態]
まず、本発明に係る画像形成システムの実施形態について説明する。
図1は、画像形成システム1の内部構成を概略的に示す正面図である。画像形成システム1は、画像形成装置200と、シート処理装置としての折り処理装置300と、本発明に係る封入装置の実施形態としての封入封緘処理装置100(封筒処理装置)と、後処理装置400と、を有している。
【0010】
画像形成装置200は、所定の画像形成方式を用いてシート状の媒体に画像を形成し、下流側に配置されている装置へと排出する装置の一例である。画像が形成された媒体(以下、単に「シートS」とする。)は、折り処理装置300に向けて排出され、折り処理装置300において所定の折り処理が施された「折りシートSf」として、封入封緘処理装置100に向けて排出される。なお、折り処理装置300にて折り処理を行なわずに封入封緘処理装置100へシートSのままで排出してもよい。
【0011】
シートSに対する折り処理の実施の有無に関する指示は、画像形成装置200が備える制御部(後述するプリンタ制御部260)に対して、画像形成システム1のユーザーが入力する情報に基づくものである。ユーザーが入力した指示に基づいて、当該プリンタ制御部260が画像形成装置200や折り処理装置300に対して動作制御の内容を指示する信号(制御信号)を送出する。なお、「折り処理を実施の有無に関する指示」については、折り処理装置300が備える折り制御部320に対して、画像形成システム1のユーザーが入力する方式でもよい。
【0012】
封入封緘処理装置100は、シートSの搬送方向の上流側に配置される装置(画像形成装置200又は折り処理装置300)から排出された封入物(シートS又は折りシートSf)を、封筒Eに封入する処理(封入処理)を行なう。また、封入封緘処理装置100は、封入処理の後に封入物の入った封筒Eを封緘する封緘処理も行なう。なお、封入処理と封緘処理を合わせて説明するときには「封入封緘処理」と表記することがある。
【0013】
本明細書において「封入物」は、後述する封入位置に搬送されてくるものを指す。したがって、封入位置へ搬送される「折りシートSf」に限らず、折り処理を施されずに封入封緘処理装置100へ搬送された「シートS」についても、本実施形態に係る「封入物」に含まれる。なお、封入封緘処理装置100は、折りシートSfやシートSを封入位置へと搬送せずに、下流側に配置される装置に対して排出する動作も可能である。すなわち、封入封緘処理装置100は上流側から搬入されたシートSや折りシートSfを、封入封緘処理に用いずに、そのまま排出する処理も可能である。
【0014】
後処理装置400は、折り処理装置300や封入封緘処理装置100の下流に配置される装置の一例である。後処理装置400は、上流側の装置に相当する折り処理装置300や封入封緘処理装置100が排出したシートSや折りシートSfに対して、ステイプル処理など、制御部を介して指示された後処理を施す装置である。
【0015】
封入封緘処理装置100は、折りシートSfを、封筒Eに対して適切な向きで封入するするように、封筒Eへ向けて搬送される途中において、封筒Eの搬送方向先頭にあたる部分を入れ替える処理(反転処理)を行なうことができる。封筒Eには、予め、所定の位置に透明窓ewが設けられているものがある。透明窓ewは、封入物としての折りシートSfに形成された宛先などの情報を封入後に封筒Eの外側からも視認できるように向けられる部分である。透明窓ewは、封筒Eの一面に所定の大きさの孔を形成し、その孔に透過性のフィルムなど貼り付けた部分である。
【0016】
封筒Eに対する「適切な向き」とは、封筒Eに挿入されたときの封入物が透明窓ewに対向することになる特定の部分(封入物の一側面の場合もある)が、透明窓ewを介して封筒Eの外側に向くことに相当する。例えば、封入物に事前に形成された郵送先住所などの情報が形成された特定の部分は、封筒Eを開けることなく封筒Eの外部から視認可能にしておく情報である。すなわち、適切な向きとは、送付先の情報などが透明窓ewに対向する向きをいう。
【0017】
折りシートSfに施される折り処理の種類(折り種)は複数あり、折り種によって宛先などの情報が形成された位置が、搬送方向に対する向きに対して異なる位置や向きになる。そこで、封入封緘処理装置100では、封入処理に付される対象物として搬送されてくる折りシートSfの折り種に応じて、この折りシートSfの封入時の向きを「適切な向き」にするように、封入位置に至る前の搬送処理において封入物の搬送方向先端を入れ替えるなどの制御を行なう。すなわち、折りシートSfの搬送中に、搬送方向の先頭部分を入れ替えて反転させる、又は反転させずとも適切な向きになる場合は反転処理をしない、を判定する制御を行なう。
【0018】
封入封緘処理装置100は、搬送中の折りシートSfの反転を可能にする搬送機構を備え、反転が必要な場合には、封入位置の上流側の搬送経路を利用して折りシートSfを反転させてから封入位置へと搬送する。なお、封入封緘処理装置100は、折り処理が施されていない封入物としてのシートSも、同様に、宛先などの情報の形成されている位置と、封筒Eの透明窓ewとの相対的な位置関係に応じて、封入位置に搬送されるまでに反転の要否判定し、封入することができる。
【0019】
[本実施形態で参照する座標軸]
ここで、本発明に係る実施形態の説明において参照するための「座標軸」について説明する。
図1にて示すように、まず、画像形成システム1の載置面と平行する軸をY軸とする。Y軸は、画像形成システム1を構成する各装置の並び方向に沿う軸でもある。本明細書では、Y軸を示す矢印の方向を「+Y方向」とし、その逆方向を「-Y方向」と表記する。したがって、以下において詳細に説明するように、画像形成装置200において画像が形成されたシートSは、+Y方向に搬出され、その後、+Y方向の下流側に配置される各装置へと搬送される。
【0020】
また、同じく画像形成システム1の載置面と平行する軸であって、画像形成システム1の奥行き方向に沿う軸をX軸とする。そして、X軸を示す矢印の方向を「+X方向」とし、逆方向を「-X方向」と表記する。
【0021】
またX軸及びY軸のいずれにも直交する軸であって、画像形成システム1の高さ方向に沿う軸をZ軸とする。そして、Z軸を示す矢印の方向を「+Z方向」とし、逆方向を「-Z方向」と表記する。
【0022】
以下の説明において用いる図面にも、上記と同様の座標軸を付記しているときは、その説明に用いられる方向の定義は、上記と同様の定義とする。
【0023】
画像形成装置200において画像が形成されたシートSは、+Y方向に排出され、その後、下流側に配置される各装置へと搬送される。したがって、+Y方向が搬送方向とほぼ同義である。しかし、封入封緘処理装置100においては、シートSの搬入方向が+Y方向であるが、シートS及び折りシートSfの封入封緘動作における搬送方向はZ方向である。
【0024】
すなわち、画像形成システム1を構成する封入封緘処理装置100において、封筒Eの搬送方向は「Z方向」であり、封入位置へ封筒Eの搬送方向は+Z方向であり、封入位置から封緘位置への搬送は-Z方向が搬送方向となる。
【0025】
[画像形成システム1の機能ブロック]
画像形成システム1の全体の機能ブロックについて、
図2を用いて説明する。以下の説明において、搬送されて封筒Eに封入される媒体としての封入物は、画像形成装置200において画像が形成され、折り処理装置300において所定の折り処理が行なわれた折りシートSfを前提にする。
図2では折りシートSfの移動経路(搬送経路)を破線で表示し、各機能ブロック間で信号の送受に用いられる通信路は実線で表示している。なお、シートSの移動経路(搬送経路)も破線で表示されている。
【0026】
画像形成装置200は、例えば、既知の電子写真プロセスによりシートSに画像を形成する装置である。画像形成装置200は、表示部210と、操作部220と、給シート部230と、作像部240と、定着部250と、プリンタ制御部260と、を備える。
【0027】
表示部210は、ユーザーに各種機能の状態や操作内容を知らせるための表示をする。操作部220は、ユーザーが処理動作モードや処理部数の設定、及び封入封緘処理装置100において封入する際に反転を必要とする設定等の設定操作を行うための操作インターフェースに相当する。給シート部230は、シートSをストックして一枚毎に分離して給送するシート給送機構を備える。作像部240は、感光体に潜像を形成しシートSへと画像を転写させる。定着部250は、シートSに転写された画像を定着させる。プリンタ制御部260は、上記の各ブロック機能ブロックの動作を制御する。
【0028】
折り処理装置300は、画像形成装置200から搬送されたシートSを画像形成装置200のプリンタ制御部260から通信ライン207を通じて指定された折種(折り方)でシートSに対する折り処理を施すシート折り部310、折り処理装置300全体を制御する折り制御部320を有する。折り制御部320は、プリンタ制御部260及び下流に接続された封入封緘制御部150と通信も制御する。なお、シート折り部310において折り処理を行なわずに封入封緘処理装置100へと搬出してもよい。
【0029】
なお、シート折り部310の詳細な構造には、複数の種類が知られている。この構造の違いによって、折り処理後の折りシートSfの状態は異なる場合もある。より詳しくは、折りシートSfが後述する封入処理部120(封入装置)の「所定の位置」において、封筒Eに封入されるときの封入方向の先頭側に該当する端部が、折り処理の種類によって異なる場合がある。そして、同じ折り処理であってもシート折り部310の内部の構成によって、折りシートSfの搬送方向先頭側の端部が入れ替わることがある。すなわち、シート折り部310の種類によって、封入物を「適切な向き」にするための反転処理の要否判定が異なる場合もある。したがって、折り制御部320から封入封緘制御部150に対してシート折り部310の種類を示す情報を予め通知する。
【0030】
[シート折り部310における異なる折り動作の例]
こここで、異なる折り方を実現する折り処理手段としてのシート折り部310の実施形態を
図3、
図4及び
図5を用いて説明する。
図3に示すシート折り部310を、以下の説明において「Aタイプ」と表記する。また、
図4及び
図5に示すシート折り部310を、同様に「Bタイプ」と表記する。なお、
図3乃至
図5において、シートSに△記号を付している。この△記号は、シートSに画像が形成されている印字面(以下、「画像形成面Ps」ともいう)を表している。すなわち、以下の説明ではシートSの一方の面に画像形成処理が行なわれているものとする。
【0031】
また、
図3、
図4及び
図5においてシート折り部310の構成に付した符号は共通する機能や動作、及び効果をもたらす構成であっても、異なる符号を付している場合がある。AタイプとBタイプのそれぞれの範囲においては一貫して付与されているが、その他の図面の符号とは異なるものである。
【0032】
[Aタイプ]
図3に例示するように、画像形成装置200からシート折り部310に搬入されてきたシートSは、搬送方向における下面側が画像形成面Psに相当する。
【0033】
まず、
図3(a)に示すように、画像形成装置200から搬送ローラ対311に向けてシートSが搬送されてくる。
【0034】
搬送ローラ対311によって下流側に搬送されたシートSは、
図3(b)に示すように、第一折りローラ312、第一折り搬送ローラ313,第二折りローラ314により所定位置まで搬送される。
【0035】
その後、
図3(c)に示すように、第一折り搬送ローラ313と第二折りローラ314が逆転し、シートSに第一の折り目が形成される。
【0036】
第一の折り目が形成されたシートSは、
図3(d)に示すように、第一折りローラ312と第二折りローラ314及び第二折り搬送ローラ対316によってシートSが搬入の経路とは別の経路に搬送されて所定の位置で停止する。
【0037】
その後、
図3(e)に示すように、第二折り搬送ローラ対316が逆転し、第三折りローラ315も回転して、下流方向へと搬送される。この動作によって、第二の折り目が形成されて、外三つ折りの折りシートSfが完成する。この場合、折りシートSfの画像形成面Psは、搬送方向下側の面に位置することになる。
【0038】
[Bタイプ]
次に、Bタイプのシート折り部310の場合について説明する。
図4(a)~(f)は、シート折り部310の重ね処理部によるシートSの重ね合わせ動作について説明する図である。
図4(a)に示すように、一枚目の先行シートP1を折り処理搬送経路W2に搬送する。折り処理搬送経路W2に搬送されてきた一枚目の先行シートP1は、先端がレジストローラ対15に突き当たりスキュー補正される。なお、このスキュー補正は、行なわなくてもよい。
【0039】
次に、レジストローラ対15と、第一押圧ローラ17aと第一折りローラ17bとからなる第一搬送部材たる第一搬送ローラ対117aとにより、一枚目の先行シートP1を正搬送(所定方向の搬送)する。次に、一枚目の先行シートP1後端が折り処理搬送経路W2とスイッチバック搬送路W3との分岐部を抜けたら、シートの搬送を停止する。次に、第二分岐部材514を図中時計回りに回転させ、シートをスイッチバック搬送路W3へガイドする姿勢に切り替える。
【0040】
次に、
図4(b)に示すように、レジストローラ対15、第一搬送ローラ対117a、および、スイッチバック搬送ローラ対13を逆回転させる。これにより、一枚目の先行シートP1が逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)され、一枚目の先行シートP1がスイッチバック搬送路W3へ搬送される。一枚目の先行シートP1の正搬送(所定方向の搬送)時の先端が、スイッチバック搬送路W3に搬送されたら、スイッチバック搬送ローラ対13のシート搬送を停止する。
【0041】
停止後、
図4(c)に示すように、スイッチバック搬送ローラ対13により一枚目の先行シートP1を正搬送(所定方向に搬送)し、一枚目のシートの先端をレジストローラ対15に突き当ててスキュー補正した状態で待機させる。
【0042】
このように、先行の先行シートP1をスイッチバック搬送路W3へ搬送し、折り処理搬送経路W2から退避させることで、先行の先行シートP1が後続シートの搬送を邪魔することがなく、良好に後続シートP2を搬送することができる。
【0043】
次に、二枚目の後続シートP2の先端をレジストローラ対15に突き当てる。
図4(d)に示すように、後続シートP2の先端をレジストローラ対15に突き当てた後も搬送ローラ対12による後続シートP2のシート搬送を続け、後続シートを撓ませ、スキュー補正を行う。
【0044】
後続シートが所定の撓み量となる所定時間経過したら、
図4(e)に示すようにレジストローラ対15、スイッチバック搬送ローラ対13、および、第一搬送ローラ対117aを回転させて、レジストローラ対15により一枚目の先行シートP1と二枚目の後続シートP2とを重ね合わせて搬送する(
図4(f))。
【0045】
ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達しているときは、Bタイプのシート折り部310が備える折り処理部による重ね折り処理へ移行する。一方、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に満たないときは、重ね合わせシートの後端が第二分岐部材514を抜けたタイミングで逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)してスイッチバック搬送路W3へ退避させる。重ね合わせる枚数に応じて以上の動作を繰り返すことで用紙重ねを行うことができる。
【0046】
本実施形態においては、上述したように、後続シートP2のスキュー補正において、搬送ローラ対12の回転を停止せず、後続シートP2の撓み量が所定量となったら、レジストローラ対15の回転を開始することで、生産性を落とさずに、先行シートと後続シートとの重ね合わせを行なうことができる。
【0047】
また、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に満たない枚数の重ね合わせ処理は、レジストローラ対15によるスキュー補正を行わない重ね合わせ処理とし、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達する際の重ね合わせ処理は、スキュー補正を行なう重ね合わせ処理としてもよい。なお、スキュー補正を行なう重ね合わせ処理とは、先行のシート(シート束)の先端をレジストローラ対15に突き当ててスキュー補正した状態で待機し、後続のシートをレジストローラ対15に突き当ててスキュー補正した後に重ね合わせてシートを搬送する処理である。一方、スキュー補正を行なわない重ね合わせ処理とは、先行のシート(シート束)の先端をスイッチバック搬送路W3に退避した状態で待機させる。そして、後続シートP2がレジストローラ対15に到達するタイミングでスイッチバック搬送路W3に退避した先行シート(シート束)もレジストローラ対15に到達するように、スイッチバック搬送ローラ対13の搬送を開始し、シートを重ねわせ、レジストローラ対15により搬送する処理である。
【0048】
図5(a)~(d)は、Bタイプのシート折り部310が備える折り処理部により、シートSに対してZ折り処理をする際の一般的な動作を説明するための説明図である。レジストローラ対15により搬送されてきた重ね合わせ処理されたシート束Ptの先端は、第一折りローラ17bと第一押圧ローラ17aとからなる第一搬送ローラ対117aに進入する。次に、シート束Ptが予め決められた搬送量Δ1搬送されたら、折り機構17を駆動する駆動モータを逆回転させる。このときの突出量は、シート束Ptのシート搬送方向長さや折り処理の内容(折り方等)によって適宜決定されるものである。
【0049】
折り機構17を駆動する駆動モータを逆回転させることで、第一搬送ローラ対117aに挟まれたシート束Ptが逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)される。これにより、レジストローラ対15と第一搬送ローラ対117aとの間のシート束部分に撓みが形成される(
図5(a))。そして、この撓み部分(折り返し部分)が第一折りローラ17bと第二折りローラ17cとからなる第一折りローラ対117bのニップに進入することで、その折り返し部分に第一折り部が形成される。第一折りローラ17bのニップを通過した第一折り部は、第二搬送部材としての第二搬送ローラ対18に向けて搬送される。
【0050】
そして、シート束Ptの第一折り部は、第二搬送ローラ対18のニップに進入し、シート束Ptが予め決められた搬送量Δ2搬送されたら、第二搬送ローラ対18を逆回転させ、第二搬送ローラ対18に挟まれたシートを逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)する。このときの搬送量Δ2も、シート束Ptのシート搬送方向長さや折り処理の内容(折り方等)によって適宜決定されるものである。
【0051】
第二搬送ローラ対18に挟まれたシート束Ptが逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)されることで、第一折りローラ対117bと第二搬送ローラ対18との間のシート部分に撓みが形成される。
【0052】
そして、
図5(b)に示すように、この撓み部分(折り返し部分)が第二折りローラ17cと第二押圧ローラ17dとからなる第二折り部材たる第二折りローラ対117cのニップに進入することで、その折り返し部分に第二折り部が形成される。
【0053】
第二折りローラ対117cのニップを通過した2つの折り部が形成されたシート束Ptは、
図5(c)に示すように、中間搬送ローラ対19により増し折りローラ20に向けて搬送される。
【0054】
図5(d)に示すように、第二折り部が増し折りローラ20と対向位置に到達したら、シート束Ptの搬送を停止する。次に、増し折りローラ20を回転させ、第二折り部の折り目を強化した後、シート束Ptの搬送を再開し、第一折り部が増し折りローラ20と対向したら、シート束Ptの搬送を停止する。そして、増し折りローラ20により第一折り部の折り目を強化したら、シート束Ptの搬送を再開し、搬送ローラ対21,22によりシート束Ptを搬送し、後処理装置へ排出する。
【0055】
なお、上記では、重ね合わせ処理されたシート束Ptを折る場合について説明したが、シート一枚を折る場合の折り処理動作も同様である。また、上記では、Z折りについて説明したが、上記搬送量Δ1及び上記搬送量Δ2を適宜変更することで、Z折り処理と同様の動作によりシートに対して内三つ折り、外三つ折りを行なうことができる。二つ折り処理については、第三分岐部材516を図中時計回りに回転し、シートを第一折りローラ対117bへガイドする姿勢にし、レジストローラ対15から搬送されてきたシートを第一折りローラ対117bへ搬送する。そして、上記第二折り部を形成する動作と同様の動作で、シートの搬送方向中央の折り部を形成することで、二つ折りを行うことができる。
【0056】
すなわち、本実施形態に係る折り処理装置300は、複数の異なる折り処理において、折り目を形成する位置を調整可能とする折り位置調整手段を備える。
【0057】
[増し折り機構の説明]
次に、
図6を用いてシート折り部310が備える増し折り手段としての増し折り機構について説明する。
図6(a)に示すように、増し折り機構は、複数の搬送ローラ対(71,72,74,75)を備え、これらが配列されて形成される搬送経路の途中に、増し折りローラ73が配置されている。増し折りローラ73は、シートSに対して一旦形成された折り目に再度の押圧をする処置としての「増し折り処理」を行なうための機構を備える。
【0058】
図6(b)に示すように、画像形成装置200から排出され、シート折り部310において折り処理が施された折りシートSfが、増し折り機構に対する搬送方向上流から搬送されてくる。説明の便宜上、折りシートSfには「外三つ折り」処理がなされているものとする。
【0059】
折りシートSfの搬送方向の先頭部分が増し折りローラ73に到達したとき、折りシートSfの搬送を一旦停止させる。そして、折りシートSfの先頭部分の折り目が増し折りローラ73の位置にある状態で、増し折りローラ73を回転させて、折り目部分に押圧する。この押圧によって、一旦形成されている折り目に対して、再度折る方向に圧力が加わり、折り目がより明確に形成される。この増し折り処理によって、折りシートSfの折り目部分の高さ(厚み)を低く(薄く)することができる。増し折りローラ73の回転量が多ければ多いほど、折り目部分の高さを軽減させることができる。
【0060】
搬送方向の先頭部分の折り目に対する増し折りが行われた後、
図6(d)に示すように、折りシートSfの搬送を再開させる。この搬送によって折りシートSfを下流へと搬送し、搬送方向の後端部分(最後尾)の折り目が増し折りローラ73に到達したときに、再度、搬送を停止させる。そして、折りシートSfの後端部分の折り目が増し折りローラ73の位置にある状態で、増し折りローラ73を回転させて、折り目部分に押圧する。
【0061】
増し折りローラ73によって、折りシートSfの折り目を追加で押圧する処理が完了したら、折りシートSfの搬送を再開させて、下流側へと搬送させる。以上のように、折りシートSfに形成されている折り目を押圧して増し折り処理を行った後に、封入封緘処理装置100へと受け渡す。
【0062】
なお、増し折りの回数は一回に限定されるものではない。例えば、ユーザーが操作部220を介してプリンタ制御部260に増し折り回数を設定する機能を画像形成システム1が有するならば、その設定された増し折り回数を示す情報をプリンタ制御部260が折り制御部320に通知する。そして、折り制御部320は、通知された増し折り回数に応じて、
図6(c)と
図6(d)に示した動作を繰り返し行なう。この場合、増し折り回数を示す情報は、折り制御部320から封入封緘制御部150にも通知される。封入封緘制御部150は、後述するように、封筒Eの開口量を調整するときに、封入物の厚みに関する情報を参照することもある。したがって、封筒Eの開口量を調整するための情報を算出するときに、増し折り回数から封入物の厚みを算出し、その厚みの情報を利用することがある。
【0063】
[封入封緘処理装置100の機能構成]
図2に戻る。封入封緘処理装置100(封筒処理装置)は、シート反転処理部110、封入処理部120(封入装置)、封緘処理部130(封緘部)及び封入封緘制御部150を有する。
【0064】
シート反転処理部110は、シート折り部310から搬入された折りシートSfの画像形成面の向きに応じて、封入位置へと折りシートSfを搬送するシート搬送処理を実行する。ここで「シート搬送処理」とは、折り制御部320から通信ライン105を通じて封入封緘制御部150に伝えられた各種調整値(折り方の種類、印字面の位置などを含み、ユーザーが指示する印刷ジョブの実行に用いられるデータ)に応じた搬送処理である。言い換えると、シート反転処理部110では、折りシートSfを搬送方向下流へ搬送する搬送処理、折りシートSfの搬送方向端部を入れ換える反転処理などを行う。搬送処理及び反転処理によって折りシートSfは、封入処理部120もしくは後処理装置400へと搬送される。
【0065】
封入装置であって封入部としての封入処理部120は、シート反転処理部110から搬送されてきた折りシートSfを封入可能な位置に封筒Eを移動させて、その封筒Eを封入位置で待機させ、待機している封筒Eに封入物を封入させる機構を備える。また、封入処理部120は、封入位置に至る前に、封筒Eの開口が開放された状態になるようにフラップefを開ける機構を備える。また、封入位置に至る前に、封筒Eの長さ(封入物が封入される方向における寸法)や、フラップefの長さを算出する機構も備える。これら機構により、封入位置で保持されて開口が開放されている状態の封筒Eに対して折りシートSfの封入処理が実行される。そして、この封入処理を、様々な種類及び大きさの封筒Eに対して適切に行うことができる。
【0066】
封緘処理部130は、折りシートSfが封入された封筒Eのフラップefを閉じてから、封緘した封筒Eを封筒排出トレイ134へ排出する処理を行う。
【0067】
封入封緘制御部150は、シート反転処理部110、封入処理部120及び封緘処理部130を構成する複数の搬送ローラ対の動作や、封筒Eの搬送経路を切り替える切替部材の動作を制御する。なお、封入封緘制御部150のうちの封入処理を制御する構成については、封入装置としての封入処理部120に含まれるような構成でもよい。
【0068】
封入封緘制御部150は、折りシートSfの反転制御や封入制御を含む搬送制御を行う制御手段である。当該制御部としての封入封緘制御部150は、プリンタ制御部260及び折り制御部320から、各種調整値に含まれるデータであって、折りシートSfに関する情報としての「封入対象情報」を受け取る。そして、受け取った封入対象情報に含まれる各情報で示されている内容に基づいて搬送制御を行う。
【0069】
なお、「封入対象情報」とは、封入物であるシートSや、折りシートSfに係る情報である。より詳細には、封筒Eへの封入されるときのシートSや折りシートSfの先頭となる端部(搬送方向側の先端)を、所望する側の端部となるように制御するための情報を含む。また、封入対象情報には、折りシートSfに対して施された折り処理の種類や、増し折りの有無を示す「折種情報」が含まれる。また、上流側装置の一つである画像形成装置200からの動作指示情報として、後述する反転搬送処理の要否を規定する「反転要否情報」が含まれる。また、例えば、折りシートSfに対し画像が形成されている画像形成面を示す印字面情報が含まれる。また、例えば、折り処理を行ったシート折り部310の種類を示す「処理装置情報」が含まれる。
【0070】
後処理装置400は、後処理部410と、後処理制御部420と、を有する。後処理部410は、上流側から搬送されてきたシートSに対し、後処理制御部420の制御により、所定の後処理を実行する。後処理制御部420は、プリンタ制御部260、折り制御部320、及び封入封緘制御部150から通信ライン403を通じて伝えられた動作モードにより、後処理制御部420における後処理動作を制御する。
【0071】
プリンタ制御部260、折り制御部320、封入封緘制御部150及び後処理制御部420は、相互に連結されていて、各通信ライン(207、105、403)を介して制御に必要な情報のやり取りが行なわれるように構成されている。したがって、各制御部(260、320、150、420)の連携により、シートS及び折りシートSfに対してユーザーが行うことを要求する処理モードに関する情報や、シートサイズが相互に共有される。これによって、各機構が所定のタイミングと所定の工程によって所定の処理を実行可能とする制御情報が画像形成システム1全体において共有される。
【0072】
本実施形態において中心的な制御動作を行う封入封緘制御部150は、演算処理部としてのCPU(Central Processing Unit)、記憶部としてのROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。そして、各搬送ローラ対への制御信号を出力し、各搬送ローラ対からの信号を入力するインターフェース、及び、各センサの出力信号を受け取るインターフェースなども備える。これらハードウェア資源を用いて制御処理を実行可能な制御プログラムによって、封入封緘処理装置100の動作は制御される。封入封緘制御部150の機能ブロックの詳細については、後述する。
【0073】
また、プリンタ制御部260、折り制御部320及び後処理制御部420も、封入封緘制御部150と同様に、CPU、ROM、RAM等によって構成されるハードウェア資源を用いて、それぞれの機能を実現する制御プログラムによって、ハードウェア機構の動作を制御する。
【0074】
なお、
図1及び
図2において画像形成システム1の構成例として、封入封緘処理装置100の下流に後処理装置400が接続された例を示した。代表的な後処理装置400としてはステイプル処理を行うフィニッシャや、スタッカ、製本機などがある。また、画像形成システム1のシステム構成としては封入封緘処理装置100が最下流となる構成でもよい。
【0075】
[封筒長及びフラップ長の説明]
ここで、画像形成システム1に係る制御動作の実施形態について説明する。当該実施形態では、後述する封入処理部120によって算出される封筒Eの封筒長や、フラップefのフラップ長に基づいて、封筒Eの搬送制御処理が実行される。
【0076】
封入封緘制御部150は、制御処理プログラムによって、封筒Eを封入位置に搬送させるまでの間に、封筒Eの搬送方向における長さに相当する「封筒長」を算出する処理を実行する。また、当該制御処理プログラムは、封筒Eが有するフラップefの搬送方向における長さに相当する「フラップ長」を算出する処理も実行する。そして、封筒Eの本体部分の長さに相当する本体長も算出する処理も実行する。また、封入封緘制御部150は、算出した封筒長、フラップ長、本体長を、折り制御部320や後処理制御部420、及び、折り制御部320を介してプリンタ制御部260にも通知する処理も実行する。
【0077】
本実施形態において、封筒長とは、後述する封筒搬送路1105に封筒Eが供給されるときの搬送方向における両端部の距離に相当する。言い換えると、後述する封筒セットトレイ127に載置されている状態から、後述する封筒搬入路1107を介して封筒搬送路1105へと向かう封筒Eの移動方向における先端と後端の距離をいう。
【0078】
本実施形態において封筒長とは、上記の移動方向として定義される搬送方向において、フラップefを閉じた状態で搬送されるときの封筒長(仮に、第一封筒長とする。)と、フラップefを開いた状態で搬送されるときの封筒長(仮に、第二封筒長とする。)と、を含むものとする。
【0079】
そして、第一封筒長は、いわゆる封筒Eの天地寸法であって、封筒Eの底部からフラップefを折り曲げる位置までの距離に相当する。言い換えると、封筒Eの本体部の搬送方向における長さとしての「本体長」に相当する
【0080】
また、第二封筒長は、フラップefを開いた状態における封筒Eの底部からフラップefの端部までの距離に相当する。また、第二封筒長から第一封筒長を差し引いた値は、開いた状態のフラップefの搬送方向端部から封筒Eへの折り曲げ位置までの長さに相当するので、この長さが「フラップ長」に相当する。
【0081】
[封入封緘処理装置100のハード構成]
次に封入封緘処理装置100が有するシート反転処理部110と、封入処理部120と、封緘処理部130と、を構成する搬送ローラ対や、搬送物の搬送方向を切り替える切替部材、及び、これらが配置される搬送路について、
図7を用いて説明する。
【0082】
[シート反転処理部110の構成]
図7に示すようにシート反転処理部110は、主に、搬入路1100、第一搬送路1101、第二搬送路1102、スイッチバック搬送路1103、第四搬送路としての封入搬送路1104、シート搬出路1109として区別される複数の搬送経路を有する。
【0083】
シート反転処理部110は、搬送物の向きを封筒Eへの封入時に適切な向きにする処理を実行する。そして、折り処理装置300から搬入された折りシートSf等に対して、後述する封入処理を行なわないときは、入口ローラ対101によって搬入された折りシートSf等を搬入路1100から第一搬送路1101へと通過させる。そして、シート搬出路1109を介して下流側の装置へと排出される。
【0084】
また、折り処理装置300から搬入された折りシートSf等に対して、後述する封入処理を行なうときは、折りシートSf等は、第一搬送路1101から分岐して、封筒Eを保持する封入ローラ対121へと続く第四搬送路としての封入搬送路1104へ搬送させる。封入搬送路1104は後述するとおり、封筒搬送路1105へと連続するように構成されている。
【0085】
[封入処理部120の構成]
図7に示すように封入処理部120には、シート反転処理部110から封入物で折りシートSf等を受け入れて封筒Eへの封入を行うための第四搬送路としての封入搬送路1104と連結する封筒搬送路1105が設けられている。封筒搬送路1105には、封入物を封入するために封筒Eを待機させる封入位置において封入物の封入が円滑になるように支援する封入手段としての封入支援部160を備える。
【0086】
封入支援部160の詳細な構成は後述する。封入支援部160は、封入位置に封筒Eを搬送する搬送制御処理によって動作する封入支援機構の一部である。封入支援部160は、封入位置に向けて搬送される封入物にとって、封筒Eへの進入の障害物になり得るフラップefを、封筒搬送路1105から退避させる構成を含む。封入支援部160は、フラップefを封筒搬送路1105から離れた退避位置において保持する。これによって、封入物の封筒Eへの進入(封入)をフラップefが邪魔しない状態を形成する。
【0087】
そして、封入支援部160は、フラップefを退避位置にて維持したまま封筒Eの間口を拡張し、封入物の封入が円滑に行われるように、封入動作の支援になる動作を行う。この封入動作の支援になる動作は、封入物を封筒Eに挿入するときに、封筒Eの間口の開口量を、封筒Eの本体長やフラップ長に応じて調整する開口量調整処理によって算出された開口調整量を加味した動作である。なお、開口量調整処理には、すでに列挙したものの他、同一の封筒Eに封入される封入物の数量(枚数)、厚み、形状(折り処理の種類や増し折りの種類)に応じて開口量を算出し、これに基づいて開口動作を調整する処理も含まれる。すなわち、封入支援部160は、開口量調整手段として機能する。
【0088】
封筒搬送路1105は、封入物が封入された封筒Eに対して封緘処理を行うための封緘搬送路1106へとZ方向において連結している。封筒搬送路1105は、封入搬送路1104と封緘搬送路1106は、ともに立設した状態で連結し、封筒搬送経路を構成する。
【0089】
封筒搬送路1105には、折りシートSfを受け入れる位置に封筒Eを搬送するための封筒搬送手段としての第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123が配置されている。封筒搬送路1105において、折りシートSfを受け入れる位置に搬送されてきた封筒Eは、封入ローラ対121によって保持される。なお、封入支援部160は、封入ローラ対121と第一縦搬送ローラ対122の間に配置されている。
【0090】
そして、封筒搬送路1105から封緘搬送路1106へ続く連結位置には、フラップ開ローラ対124が配置されている。フラップ開ローラ対124には、封筒セットトレイ127から搬出され、封筒搬入路1107を通って封筒搬送路1105との合流前の位置へと封筒Eを搬送するとき、フラップefを開けるフラップ開機構180を備える。フラップ開機構180の詳細は後述する。
【0091】
また、フラップ開ローラ対124に対する搬送方向上流側には、フラップefが閉じた状態の第一封筒長を検出するための分離センサ128が配置されているそして、フラップ開ローラ対124に対する搬送方向下流側には、フラップefが開いている状態であるか否か(すなわち、開封状態であるか否か)を検出するためのセンサであって、第二封筒長を検出するためのフラップ開検出センサ129が配置されている。
【0092】
また、封筒スイッチバック切替部材521が、封筒搬送路1105に封筒搬入路1107が合流する合流点に配置されている。
【0093】
封筒搬送路1105に合流する封筒搬入路1107には、封筒分離ローラ対125と、封筒搬送ローラ対126と、第一封筒検出手段としての分離センサ128が配置されている。また、封筒搬入路1107の端部には、封筒セットトレイ127が配置されている。封筒搬送路1105とともに、封筒搬入路1107も封筒搬送経路を構成する。
【0094】
封筒セットトレイ127には、複数の封筒Eが載置されている。封筒セットトレイ127に載置されている封筒Eは、フラップefの反対端となる底部が、封筒分離ローラ対125側に向けられている。したがって、封筒セットトレイ127から搬出されるときの封筒Eの搬送方向における先端は、封筒Eの底部となる。したがって、フラップefが設けられている側の端部が後端となる。
【0095】
封筒セットトレイ127に載置されている複数の封筒Eから、封筒分離ローラ対125によって、ピックアップされた一つの封筒Eは、封筒分離ローラ対125、封筒搬送ローラ対126によって封筒搬入路1107を通過し、封筒スイッチバック切替部材521を超える位置まで搬送される。そして、フラップ開ローラ対124による搬送も合わせて、封筒Eの搬送方向後端が封筒スイッチバック切替部材521を超えた位置に至ったとき、封筒スイッチバック切替部材521は、回動して封筒Eをスイッチバック搬送可能な状態に切り替わる。
【0096】
すなわち、封筒スイッチバック切替部材521は、封筒セットトレイ127から取り出された封筒Eを封緘搬送路1106にまで一旦搬送させるための位置と、封筒搬送路1105においてシート反転処理部110側に封筒Eを搬送するための位置と、の間で回動する。封筒スイッチバック切替部材521によって、封筒搬送路1105における封筒Eの搬送方向が切り替わる。
【0097】
第一縦搬送ローラ対122及び第二縦搬送ローラ対123は、封筒Eを封筒搬送路1105の所定の位置としての封入位置に搬送して保持する。ここでの封入位置は、後述するように、封筒Eの開口の位置(フラップefの位置)が封入ローラ対121よりも下方であり、第一縦搬送ローラ対122よりも上方に相当する位置である。
【0098】
封入ローラ対121は、シート反転処理部110から搬送されてきた折りシートSfを封筒Eへと封入する方向に回転する搬送ローラ対の一種である。
【0099】
[封緘処理部130の構成]
図7に示すように封緘装置としての封緘処理部130には、封緘搬送路1106に第三縦搬送ローラ対131と第四縦搬送ローラ対132が配置されている。そして、第三縦搬送ローラ対131と第四縦搬送ローラ対132の間には、封入物が封入された状態の封筒Eのフラップefを閉じる封緘部135が配置されている。
【0100】
第三縦搬送ローラ対131及び第四縦搬送ローラ対132は、封筒Eを封緘搬送路1106の所定の位置に搬送して保持する。
【0101】
また、封緘搬送路1106から分岐する封筒排出路1108の分岐位置には、封筒排出切替部材531が配置されている。封筒排出路1108の端部には、封筒排出ローラ対133が配置されている。封筒排出ローラ対133は、封筒排出トレイ134に向けて封筒Eを排出するローラ対である。封筒排出トレイ134は、排出された封筒Eを載置するトレイである。
【0102】
封筒排出切替部材531は、封入搬送路1104においてフラップ開ローラ対124側から第三縦搬送ローラ対131へと封筒Eを搬送する位置と、封入搬送路1104から封筒排出路1108へ封筒Eを搬送する位置と、の間で回動し、封筒Eの搬送方向を切り替える部材である。
【0103】
以上説明したとおり、封入封緘処理装置100は、シート反転処理部110から、封入処理部120と封緘処理部130へと折りシートSfを搬送する搬送経路が、縦方向(Z方向)において連結されて配置されている。折りシートSfの搬送経路でもあり封筒Eの搬送経路でもあるこの搬送経路は、封入処理部120の封筒搬送路1105と封緘処理部130の封緘搬送路1106を、縦方向(Z方向)において連結した縦搬送経路に相当する。
【0104】
[フラップ開機構180の構成]
次に、本実施形態に係るフラップ開手段について説明する。フラップ開手段としてのフラップ開機構180は、フラップ開ローラ対124に設けられている。
図8に示すように、フラップ開機構180は、フラップ開ローラ対124を構成する一対の搬送ローラのうちの一方の回転軸に対して回転可能に取り付けられたフラップ掬い部材181と、フラップ掬い部材181を付勢するスプリング182と、を備えている。
【0105】
フラップ掬い部材181は、封筒セットトレイ127に載置されていた封筒Eが分離されて、封筒搬送ローラ対126によって封筒搬入路1107を搬送されてきたときに、当該封筒Eが接触する位置に配置されている。フラップ掬い部材181は、封筒Eが接触するまでは、当該封筒Eは封筒搬入路1107から封筒搬送路1105へと搬送する搬送経路を塞ぐ位置にあるように、スプリング182によって付勢されている。封筒Eが通過しない通常時では、フラップ掬い部材181は、封筒搬送路1105を構成する搬送ガイドに接触した状態になっていて、スプリング182による回動が規制されている。フラップ掬い部材181は、封筒Eに接触されて押されることでスプリング182の付勢に抗うように、当該封筒Eが封筒搬送路1105へと進行できる状態へ回動する。
【0106】
フラップ掬い部材181は、搬送されてきた封筒Eが通過するときに、当該封筒Eに押されて回動することでフラップefを引っ掛ける頂部を備えている。フラップefが頂部に引っ掛かった状態で、フラップ開ローラ対124によって-Z方向に移動することで、フラップefが閉じた状態から開いた状態になる。
【0107】
また、
図8に示すように、封筒搬入路1107には、フラップ開ローラ対124の搬送方向上流側に第一封筒検出手段としての分離センサ128が配置されている。そして、フラップ開ローラ対124の搬送方向下流側には、第二封筒検出手段としてのフラップ開検出センサ129が配置されている。
【0108】
[封入封緘処理の流れ]
次に、封入封緘処理装置100における封入動作及び封緘動作を含む封入封緘処理の一連の流れの例について、
図9から
図22を用いて説明する。なお、各図において、各動作段階の説明に用いられる構成にのみ符号等を付している。
【0109】
まず、
図9に示すように、封筒分離ローラ対125が回転して、封筒セットトレイ127に積載されている複数の封筒Eから一つずつ分離させて封筒搬入路1107へと送り出される。そして、封筒搬入路1107に配置されている封筒搬送ローラ対126によって、分離された封筒Eがフラップ開ローラ対124へと搬送される。
【0110】
このとき、封筒Eの搬送方向先端と搬送方向後端が分離センサ128によって検出される。この検出結果に基づいて、封筒長が算出される。
【0111】
封筒Eが封筒搬入路1107を搬送されてくるとき、封筒スイッチバック切替部材521は、
図9に例示するように、封筒Eが封筒搬入路1107から封筒搬送路1105へと搬送可能な方向に向けられている。また封筒排出切替部材531は、
図9に例示するように、封筒Eが封筒搬送路1105から封緘搬送路1106へと封筒Eが進入可能な方向に向けられている。
【0112】
また、フラップ開ローラ対124と第三縦搬送ローラ対131と第四縦搬送ローラ対132は、封筒Eを-Z方向へと搬送させる方向に回転している。これによって、封筒Eは封筒搬入路1107から封筒搬送路1105に至る。
【0113】
続いて、
図10に示すように、封筒Eがフラップ開ローラ対124を通過するときに、フラップefが開いた状態になる。このとき、フラップ開ローラ対124と第三縦搬送ローラ対131と第四縦搬送ローラ対132の回転を継続する。
【0114】
その後、
図11に示すように、フラップefの端部がフラップ開検出センサ129を通過したときに、フラップ開ローラ対124と第三縦搬送ローラ対131と第四縦搬送ローラ対132の回転は一旦停止し、封筒Eを封筒搬送路1105においてスイッチバック搬送するように移行する。
【0115】
ここで、
図9、
図10及び
図11に至る封筒Eの搬送動作におけるフラップ開機構180の動作及び封筒長の算出処理の概要について
図12を用いて説明する。なお、
図9から
図11においては、フラップ開機構180の図示を省略している。
【0116】
まず、
図12(a)に示すように、フラップ開ローラ対124に向けて搬送されてきた封筒Eは、フラップ開ローラ対124のニップに向かう途中において、その搬送方向先端が分離センサ128によって検出される。
【0117】
続いて、
図12(b)に例示するように、封筒Eの搬送方向先端がフラップ開ローラ対124のニップを通過して-Z方向へと移動すると、封筒Eの搬送方向先端が、封筒搬送路1105を塞ぐように定常位置にあったフラップ掬い部材181に接触して、フラップ掬い部材181を押す。このとき、フラップ掬い部材181は封筒Eの搬送方向先端に押されて回動し、封筒Eが封筒搬送路1105を進行可能な状態にする。これによって、封筒Eは、封筒搬送路1105へと至る。
【0118】
封筒Eの全長が封筒搬送路1105と至る途中において、
図12(c)に示すように、封筒Eの搬送方向後端も分離センサ128を通過するときに検出される。すなわち、分離センサ128によって搬送方向先端が検出されてから、同じく分離センサ128によって搬送方向後端が検出されるまでの時間(搬送方向端部の検出時刻の差)、封筒Eの搬送速度又は封筒搬送ローラ対126の回転数などに基づけば、フラップefが閉じているときの封筒長としての第一封筒長(本体長に相当)が算出可能となる。
【0119】
なお、封筒Eの搬送方向先端に押されて回動したフラップ掬い部材181の一部に相当する頂部が、封筒搬入路1107を搬送されてくる封筒Eを若干押し上げる状態になり、封筒Eは封筒搬入路1107において若干湾曲した状態になる。その結果、封筒Eのフラップefが若干開いた状態になる。この状態で封筒Eがさらに搬送されると、フラップefの端部がフラップ掬い部材181の頂部に引っ掛かる状態になる。
【0120】
さらに、封筒Eがフラップ開ローラ対124によって搬送されると、
図12(d)に示すように、フラップefの端部がフラップ掬い部材181の頂部に接触し、封筒Eの搬送に伴って回動して開く。フラップefが開いた状態になって、さらに封筒Eは搬送方向へと搬送される。
図12(d)に例示した状態の次の状態が、
図11の状態に相当する。
【0121】
図11に続いて、
図13に示すように、封筒Eのフラップefが開いた状態であり、かつ、フラップefがフラップ開ローラ対124を抜けた位置に至った後に、第三縦搬送ローラ対131と第四縦搬送ローラ対132の回転方向を逆転する。これの逆転によって、封筒Eは、封緘搬送路1106と封筒搬送路1105において、+Z方向へと搬送される。この搬送を「スイッチバック搬送」とする。なお、スイッチバック搬送が開始される前、または同時に、封筒スイッチバック切替部材521が
図13で示す方向に回動する。これによって、封筒搬送路1105の上方に向けて封筒Eを搬送することができる状態になる。
【0122】
続いて
図14に示すように、スイッチバック搬送によって封筒Eが、封入処理部120の所定の位置としての封入位置へと搬送される。封入位置に至るまでの間において、スイッチバック搬送されている封筒Eの開いた状態のフラップefの端部(搬送方向後端)が、フラップ開検出センサ129によって検出される。そして、続いて、スイッチバック搬送によって封筒Eの底部(搬送方向先端)がフラップ開検出センサ129によって検出される。なお、スイッチバック搬送のときは、フラップefの端部が搬送方向の先頭になるが、表現を統一するために、以下の説明においても、フラップefの端部は、実際の封筒Eの移動方向(搬送方向)に関係なく「搬送方向後端」と表記する。また、封筒Eの底部側は搬送方向先端と表記する。
【0123】
したがって、フラップefが第一縦搬送ローラ対122に至るまでに、フラップefの端部(搬送方向後端)と、封筒Eの底部(搬送方向先端)がいずれもフラップ開検出センサ129によって検出される。このフラップ開検出センサ129の検出結果に基づいて、搬送方向後端(フラップefの端部)が検出されてから搬送方向先端(封筒Eの底部)が検出されるまでの時間と、封筒Eの搬送速度か第三縦搬送ローラ対131と第四縦搬送ローラ対132の回転数によって、フラップefが開いているときの封筒長(第二封筒長)も算出できる。
【0124】
そして、フラップefが開いているときの封筒長(第二封筒長)から、フラップefが閉じているときの封筒長(第一封筒長)を差し引くことで、フラップefの長さ(フラップ長)を算出できる。すなわち、分離センサ128とフラップ開検出センサ129の検知結果に基づいて、封入封緘制御部150が実行する演算処理によって本体長とフラップ長が算出される。したがって、分離センサ128とフラップ開検出センサ129及び封入封緘制御部150によってフラップ長検知手段及び本体長検知手段が構成される。
【0125】
フラップ長に応じた封入位置に至るまで、第二縦搬送ローラ対123と第一縦搬送ローラ対122によって封筒Eが搬送される。フラップefが第一縦搬送ローラ対122を抜けた位置であって、フラップ長に応じた封入位置に至れば、第二縦搬送ローラ対123と第一縦搬送ローラ対122の回転を停止させて、封入待機動作に入る。
【0126】
この封入待機動作に入るための位置に封筒Eを搬送する制御において、封筒分離ローラ対125が封筒Eを取り出してからの各搬送ローラ対の回転量から封筒Eの搬送量を算出し、搬送量と搬送経路長に基づいて、封筒搬送路1105内での封筒Eの位置を判断してもよい。
【0127】
続いて、
図15に示すように、封筒Eを待機位置である封入位置にて封入待機状態にした状態で、封入封緘処理装置100は、上流側装置(折り処理装置300)から折りシートSfを入口ローラ対101で受け入れて第一搬送路1101へと搬送する。
【0128】
続いて、
図16に示すように、折りシートSfを第一中間搬送ローラ対114と第一搬送ローラ対111によって下流に搬送する。このとき、第一切替部材510と第三切替部材513は、
図16に示す状態になっているので、折りシートSfは、第一搬送路1101から封入搬送路1104へと搬送される。
【0129】
その後、
図17に示すように、封入搬送路1104から封筒搬送路1105へと搬送された折りシートSfは、封入ローラ対121によって、さらに-Z方向へと搬送される。その結果、折りシートSfは、第一縦搬送ローラ対122などによって、封筒搬送路1105の所定の封入位置で保持されて、封入待機状態になっている封筒Eへと封入される。
【0130】
その後、
図18に示すように、第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123を回転させて、封筒Eを下方に搬送して、
図21に示すように、封筒Eを第四縦搬送ローラ対132まで搬送する。封入後の封筒Eは、フラップefが封筒排出切替部材531を抜ける位置に至るまで搬送される。
【0131】
続いて、
図19に示すように、第三縦搬送ローラ対131と第四縦搬送ローラ対132との間で、封緘部135によってフラップefを閉じて、封筒Eを封緘する。
【0132】
その後、
図20に示すように、第三縦搬送ローラ対131と第四縦搬送ローラ対132を逆転して、封緘された封筒Eを第三縦搬送ローラ対131と第四縦搬送ローラ対132によってスイッチバック搬送する。第三縦搬送ローラ対131と第四縦搬送ローラ対132が逆転する以前に、封筒排出切替部材531を回動させて、
図21に示す状態にする。これによって、封入された封筒Eは、封入搬送路1104から封筒排出路1108へと搬送される。
【0133】
その結果、
図22に示すように、封緘された封筒Eが封筒排出ローラ対133により、封筒排出トレイ134に排出される。
【0134】
[封入支援動作の第一実施形態]
次に、封筒Eに封入物を挿入するための封入支援動作について、より詳細に説明する。本実施形態に係る封入処理部120において実行される封入支援動作は、封筒Eの開口量を、封筒Eに応じて調整し、よりスムーズな封入を支援する動作に相当する。ここで、「封筒Eに応じて」とは、例えば、封筒Eの種類によって、相対的に比較するとフラップefが短いものと長いものが知られている。また、封筒Eの本体長についても、封筒Eの種類によって相対的に短いものと長いものがある。すなわち、封筒Eには、大きく区別して、「フラップefが短く、本体長も短い」、「フラップefが短く、本体長が長い」、「フラップefが長く、本体長が短い」、「フラップefが長く、本体長も長い」種類に大別される。なお、ここでの「長い、短い」という表現は、相対的なものであって具体的な寸法を閾値として「長い、短い」を既定しているわけではない。
【0135】
また、「封筒Eに応じて」とは、上記にて説明したように大別される種類(寸法種類)において、封筒Eの開口に挿入される封入物の寸法が「大きい、小さい」を判断するために用いる指標でもある。例えば、折りシートSfにおける折り目の数が多くなるほど、折りシートSfの厚み(開口に進入するときの高さに相当)が増すので、これに対応するために開口を調整することが望まれる。すなわち、封入物の大きさとの関係において開口量を調整することも「封筒Eに応じて」に含まれる。
【0136】
本実施形態に係る封入支援動作は、「フラップefが短く、本体長も短いもの」を想定した封入支援動作の一例である。
図13と
図14を用いて説明したように、封筒Eは、フラップefが開かれた状態で封入位置に搬送され、封入支援部160によってフラップefを開いた状態で保持し、その後、封筒Eに封入物を挿入可能な状態で待機させる。そして、封筒Eの開口を広げて封入物を封筒Eに挿入させる。この一連の動作を「封入支援動作」とする。
【0137】
封入支援動作は、封筒Eが封入位置に至るまでの、第二縦搬送ローラ対123と第一縦搬送ローラ対122による封筒Eの搬送動作を含む。まず、
図14において説明したとおり、フラップefのZ方向の位置が第一縦搬送ローラ対122を抜けたとき、言い換えると、封筒Eが封入位置に至ったとき、第二縦搬送ローラ対123と第一縦搬送ローラ対122の回転を停止し、封筒Eを封入位置で保持する。
【0138】
図23は、
図14に示した状態に対して、時系列的に少しだけ過去の状態を示しているものである。
図23は、封筒Eが封筒搬送路1105を+Z方向に搬送されてきて、第一縦搬送ローラ対122に至る手前の状態を例示している。ここで、封入ガイド部材163は、保持部166aに対して封入ガイド軸166を中心として、
図23における時計回りに回転可能に構成されている。また、封入ガイド部材163は、封入ガイドバネ169が係合するバネ係合部163aを備えている。そして、封入ガイド部材163は、封入ガイドバネ169により
図23における時計回りに付勢されている。また、駆動カム170は、カム軸170aを中心として時計回り及び反時計回りに回転可能に構成されている。駆動カム170のカム軸170aは、カム駆動モータ171と直接または駆動伝達手段により連結されている。駆動カム170は、カム駆動モータ171が正逆回転することにより、カム軸170aを中心として時計回り及び反時計回りに回転する。駆動カム170は、円周方向においてカム軸170aからの距離が異なるカム面170bを備えており、駆動カム170は、カム面170bを封入ガイド部材163のカム当接部163bに当接した状態で時計回り及び反時計回りに回転する。
【0139】
図23に示す状態は、駆動カム170は停止していて、封入ガイド部材163を封入ガイドバネ169に抗って押し上げる位置にある。その結果、封入ガイド部材163の部材先端部1631は、フラップガイド板161から離間した位置にある。
【0140】
続いて、
図24に示すように、封筒Eの搬送によってフラップefの先端が封入ガイド部材163の部材先端部1631よりも+Z方向の位置に至ったとき、すなわち、フラップefの先端が封入ガイド部材163の先端である部材先端部1631を超えた位置に至ったときに、第二縦搬送ローラ対123と第一縦搬送ローラ対122の回転を一旦停止して、封筒Eの搬送を停止する。このときの封筒Eの位置が「所定位置」に該当する。なお、封筒Eの搬送停止制御は、この段階に至るまでに算出されている「フラップ長」及び「本体長」と、封筒搬送路1105において、封筒Eの搬送動作のために回転した各搬送ローラ対の回転量に基づいて封入封緘制御部150が実行する。例えば、各搬送ローラ対の回転量から封筒Eの搬送量を算出し、フラップ長に基づいて封筒Eが停止位置に至るまでに移動する距離との対比によって制御することで所定位置に封筒Eを停止させる停止制御を実行可能となる。
【0141】
続いて、
図25に示すように、封入封緘制御部150が、カム駆動モータ171を駆動して、駆動カム170を
図25の矢印方向(時計回り)に所定の角度だけ回転させる。この駆動カム170の回転によって、封入ガイド部材163を駆動カム170によって押し上げていたカム面170bが下方に変位するので、封入ガイドバネ169の付勢力によって封入ガイド部材163のカム当接部163bが下方に移動する。その結果、
図25において破線矢印で表示している方向に封入ガイド部材163が回動する。すなわち、封入ガイド部材163の部材先端部1631がフラップガイド板161に押し付けられるように回動する。
【0142】
フラップガイド板161に向かって封入ガイド部材163の部材先端部1631が回動するとき、所定位置にある封筒Eのフラップefは封入ガイド部材163の部材先端部1631に接触するので、封入ガイド部材163の回動方向にフラップefが押される。その結果、封入ガイド部材163の部材先端部1631とフラップガイド板161によってフラップefが挟まれた状態になる。そして、封入封緘制御部150は、カム駆動モータ171の駆動を停止して駆動カム170の回転位置を
図25の状態に維持する。すなわち、封入ガイド部材163の部材先端部1631とフラップガイド板161によってフラップefが挟まれた状態が維持される。
【0143】
すなわち、封筒Eが所定位置(フラップefが封入ガイド部材163の部材先端部1631とオーバーラップする位置)に至ったとき、封入ガイド部材163によって、フラップefがフラップガイド板161側に向けられる。
【0144】
続いて、
図26に示すように、封入封緘制御部150が第二縦搬送ローラ対123と第一縦搬送ローラ対122の回転を再開させる。これによって、封筒Eはフラップefがフラップガイド板161へ押し当てられた状態のままで+Z方向へと更に移動する。このとき、封筒Eは封入ガイド部材163の付勢力に逆らいながら搬送され、封入ガイド部材163の部材先端部1631が封筒Eの間口に差し込まれる。また、フラップefは、封入ガイド部材163によってフラップガイド板161側へと押し付けられた状態で搬送されるので、封筒Eの間口の搬送方向とは異なる方向に搬送される状態になる。その結果、フラップefの搬送により封筒Eが若干変形して間口が拡張される。そして拡張された間口に対して封入ガイド部材163が進入する。
【0145】
続いて、
図27に示すように、第一縦搬送ローラ対122の回転により、封筒Eが+Z方向に更に搬送されると、フラップefはフラップガイド板161によって形成されているフラップ搬送路の方向に搬送され、フラップ保持手段としてのフラップ保持ローラ対1611によって保持される。フラップガイド板161には、フラップ検知センサ1612が設けられている。したがって、封入封緘制御部150は、フラップ検知センサ1612がフラップefを検知したときに、フラップefがフラップ保持ローラ対1611に保持される状態に至ったと判定し、封筒Eの搬送を再度停止させる。このとき、封入ガイド部材163がさらに封筒Eの内部の深くまで差し込まれているので、封筒Eの開口はさらに大きく開いている状態になっている。
【0146】
この段階において、封入ガイド部材163の封筒Eへの進入量は、
図26に比べてさらに多くなっている。そして、フラップefはフラップガイド板161で形成されフラップ搬送路の方向に搬送されていてフラップ保持ローラ対1611によって保持された状態になっている。したがって、封筒Eの本体部分の上端に相当する開口の一辺は、封入ガイド部材163の外側の斜面に沿って封筒搬送路1105よりも外側へと広がった位置へと移動した状態になる。
【0147】
続いて、
図28に示すように、封入封緘制御部150は、カム駆動モータ171を駆動して、
図28の矢印方向(反時計回り)に駆動カム170を回転させる。これによって、部材先端部1631がフラップガイド板161から離れる方向に回動する。そして、封筒Eの内部を外側に押すことになる。すなわち、封入ガイド部材163の回動によって封筒Eの開口がさらに広げられる。
【0148】
図28に示す状態に至った後、
図15から
図18を用いてすでに説明した状態に至るまでに、封入支援部160によって、フラップefが開いた状態で保持されている。
【0149】
図29は、
図17に対応する状態の封入支援部160の様子を拡大した図である。
図29に示すように、待機状態にある封筒Eに対して、封入搬送路1104を搬送されてきた封入物である折りシートSfが、封入部材対向ガイド板168と封入部材固定ガイド板167の間を通過する。そして、封入ガイド部材163の斜面に沿って封筒Eの内部に向けて、折りシートSfが誘導される。
【0150】
このとき、第一縦搬送ローラ対122は対向するローラ間の距離を空けて(互いのローラが離間して)、折りシートSfが封筒Eの封入を阻害しない位置に退避する。なお、封入可能な状態にするために、第一縦搬送ローラ対122による封筒Eの挟持状態が開放されたとしても、フラップefがフラップ保持ローラ対1611によって挟持されている。これによって、封筒Eを封入位置で保持し続けることができる。
【0151】
続いて、
図30に示すように、折りシートSfが封筒Eの内部に搬送されていくと、折りシートSfに押された封入ガイド部材163が、封入ガイド軸166を回転中心にして回動して、折りシートSfの進路から移動する。これによって折りシートSfは封筒Eの間口から内部へと順次搬送される状態になる。
【0152】
封入ガイド部材163は、封入ガイドバネ169により、フラップガイド板161に向かう方向に付勢されているが、折りシートSfは、その付勢力に抗って搬送される。なお、図示していないが、その後はさらに別部材により折りシートSfが封筒Eの奥まで搬送されて、封入される。
【0153】
以上説明をした第一実施形態に係る封入支援動作は、フラップefが比較的短く、本体長も比較的短い封筒Eに対する動作の例である。封入支援動作において、封筒Eの開口を調整するとき、上記にて説明したように、フラップefをフラップ保持ローラ対1611にて保持する位置まで封筒Eを搬送する搬送量は、フラップefの長さによって決まる。このときの搬送は、封入ガイド部材163が開口に進入した状態での搬送になる。したがって、
図28において説明したように、封入ガイド部材163の外側面によって開口が拡大される量(開口量)は、フラップefの長さによって決まる搬送量によって異なる。すなわち、封筒Eの開口量を好適なものにするには、フラップefの長さに応じて決定される封筒Eの搬送量を調整することで開口量を調整すればよい。
【0154】
[封入支援動作の第二実施形態]
次に、
図31を用いて、封入支援動作の第二実施形態について説明する。本実施形態は、封筒Eの「フラップefが短く、本体長が長い」場合において、封入ガイド部材163の回動量を調整することで封筒Eの開口を調整する封入支援動作に相当する。封入位置に封筒Eが搬送されて、フラップefが封入ガイド部材163によってフラップガイド板161の方に押されて向けられる状態(
図26参照)に至るまでは、すでに説明した動作と同様である。
【0155】
図31(a)に示すように、封入ガイド部材163が封筒Eの開口に差し込まれた状態で、かつ、フラップefがフラップ保持ローラ対1611にて保持されるまで、封筒Eを搬送するので、開口量が増加する。
【0156】
そして、
図31(b)に示すように、フラップefがフラップ保持ローラ対1611にて保持される状態になったときに、封筒Eの搬送を停止して、封入ガイド部材163を回動させる。
図28にて示した「フラップefが短く、本体長も短い」場合(第一実施形態)と比較すると、このときの回動量は少なくなるように調整されたものとなる。すなわち、封筒Eの「フラップefが短く、本体長が長い」場合、封入ガイド部材163の回動量(封入部材回動量)を、封筒Eの「フラップefが短く、本体長も短い」場合よりも少なくする。
【0157】
以上のように、本体長が相対的に長い場合は、封入部材回動量を少なくしても、封入物を挿入するときの封筒Eの端部(開口部分)との摩擦などが少なく、搬送負荷を抑えることができる。
【0158】
[封入支援動作の第三実施形態]
次に、
図32を用いて、封入支援動作の第三実施形態について説明する。本実施形態は、封筒Eの「フラップefが短く、本体長が短い」場合の封入支援動作であって、搬送ローラ対を利用して開口量を調整する動作に相当する。封入位置に封筒Eが搬送されて、フラップefが封入ガイド部材163によってフラップガイド板161の方に押されて向けられる状態(
図26参照)に至るまでは、すでに説明した動作を同様である。
【0159】
まず、
図32(a)に示すように、封入ガイド部材163が封筒Eの開口に差し込まれた状態で、かつ、フラップefがフラップ保持ローラ対1611にて保持されるように、封筒Eを搬送するので、開口量が増加する。
【0160】
続いて、
図32(b)に示すように、フラップefがフラップ保持ローラ対1611に保持される状態に至った後においても、第一縦搬送ローラ対122を回転させることで、さらに、封筒Eを+Z方向に移動させる。これの搬送動作によって、封筒Eの開口の一辺が封入ガイド部材163の外側面に沿って移動して、封筒Eの開口がさらに大きく開いた状態に至る。
【0161】
すなわち、本実施形態では、第一縦搬送ローラ対122の回転量を制御することで、封筒Eの開口を調整する。第一縦搬送ローラ対122の回転量の制御は、フラップ検知センサ1612がフラップefの先端を検知したことをトリガとすればよい。すなわち、フラップ検知センサ1612がフラップefの先端を検知した時点からの第一縦搬送ローラ対122の回転量を調整することで、封筒Eの開口量を調整することができる。
【0162】
[封入支援動作の第四実施形態]
次に、
図33を用いて、封入支援動作の第四実施形態について説明する。本実施形態は、封筒Eの「フラップefが短く、本体長が長い」場合の封入支援動作であって、搬送ローラ対を利用して開口量を調整する動作に相当する。封入位置に封筒Eが搬送されて、フラップefが封入ガイド部材163によってフラップガイド板161の方に押されて向けられる状態(
図26参照)に至るまでは、すでに説明した動作を同様である。
【0163】
まず、
図33(a)に示すように、封入ガイド部材163が封筒Eの開口に差し込まれた状態で、かつ、フラップefがフラップ保持ローラ対1611にて保持されるように、封筒Eを搬送するので、開口量が増加する。
【0164】
続いて、
図33(b)に示すように、フラップefがフラップ保持ローラ対1611に保持される状態に至った後においても、第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123を回転させることで、さらに、封筒Eが+Z方向に移動させる。これの搬送動作によって、封筒Eの開口の一辺が封入ガイド部材163の外側面に沿って移動して、封筒Eの開口がさらに大きく開いた状態に至る。
【0165】
すなわち、本実施形態では、第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123の回転量を制御することで、封筒Eの開口を調整する。第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123の回転量の制御は、フラップ検知センサ1612がフラップefの先端を検知したことをトリガとすればよい。また、第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123の回転量は、
図32を用いて説明した第三実施形態に比較して、少なくてもよい。
【0166】
すなわち、フラップ検知センサ1612がフラップefの先端を検知した時点からの第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123の回転量を調整することで、封筒Eの開口量を調整することができる。
【0167】
[封入支援動作の第五実施形態]
次に、
図34を用いて、封入支援動作の第五実施形態について説明する。本実施形態は、封筒Eの「フラップefが長く、本体長が短い」場合の封入支援動作であって、封入ガイド部材163の回動量を調整することで封筒Eの開口を調整する封入支援動作に相当する。封入位置に封筒Eが搬送されて、フラップefがフラップ保持ローラ対1611によって保持される状態(
図34(a)参照)に至るまでは、すでに説明した動作を同様である。
【0168】
図34(a)の状態における封筒Eの開口量は、フラップefが相対的に短い場合(
図27参照)に比較すると、少なくなる。
【0169】
続いて
図34(b)に示すように、封入ガイド部材163が封筒Eの開口に差し込まれた状態で、かつ、フラップefがフラップ保持ローラ対1611に保持された状態で、第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123を回転させる。これによって、さらに、封筒Eが+Z方向に移動する。この移動によって、開口量が増加する。
【0170】
続いて、
図34(c)に示すように、封筒Eの搬送を停止して、封入ガイド部材163を回動させる。このときの回動量は、「フラップefが短い」場合と比較すると、少なくなるように調整されたものとなる。すなわち、封筒Eの「フラップefが長く、本体長が短い」場合、封入ガイド部材163の回動量(封入部材回動量)を、封筒Eの「フラップefが短い」場合よりも少なくしても、封入物の封筒Eへの進入はスムーズに行なうことができる。
【0171】
このように、フラップ長が相対的に長い場合は、封入部材回動量を少なくしても、封入物を挿入するときの封筒Eの端部(開口部分)との摩擦などが少なく、搬送負荷を抑えることができる。
【0172】
[封入支援動作の第六実施形態]
次に、
図35を用いて、封入支援動作の第六実施形態について説明する。本実施形態は、封筒Eの「フラップefが長く、本体長も長い」場合の封入支援動作であって、封入ガイド部材163の回動量を調整することで封筒Eの開口を調整する封入支援動作に相当する。封入位置に封筒Eが搬送されて、フラップefがフラップ保持ローラ対1611によって保持される状態(
図34(a)参照)に至るまでは、すでに説明した動作を同様である。
【0173】
まず、
図35(a)に示すように、封入ガイド部材163が封筒Eの開口に差し込まれた状態で、かつ、フラップefがフラップ保持ローラ対1611に保持された状態で、第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123を回転させる。これによって、さらに、封筒Eが+Z方向に移動する。この移動によって、開口量が増加する。
【0174】
続いて、
図35(b)に示すように、封筒Eの搬送を停止して、封入ガイド部材163を回動させる。このときの回動量は、「フラップefが短い」場合と比較すると、少なくなるように調整されたものとなる。すなわち、封筒Eの「フラップefが長く、本体長も長い」場合、封入ガイド部材163を回動させる時点の開口量が既に少なく済んでいるため、「フラップefが短く、本体調が長い」場合に比べて開口量を抑えることができる。
【0175】
[封入支援動作の第七実施形態]
次に、
図36を用いて、封入支援動作の第七実施形態について説明する。本実施形態は、封筒Eの「フラップefが長く、本体長が短い」場合の封入支援動作であって、搬送ローラ対を利用して開口量を調整する動作に相当する。封入位置に封筒Eが搬送されて、フラップefがフラップ保持ローラ対1611によって保持される状態(
図34(a)参照)に至るまでは、すでに説明した動作を同様である。
【0176】
まず、
図36(a)に示すように、封入ガイド部材163が封筒Eの開口に差し込まれた状態で、かつ、フラップefがフラップ保持ローラ対1611にて保持されるように、封筒Eを搬送するので、開口量が増加する。
【0177】
続いて、
図36(b)に示すように、フラップefがフラップ保持ローラ対1611に保持される状態に至った後においても、第一縦搬送ローラ対122を回転させることで、さらに、封筒Eが+Z方向に移動させる。これの搬送動作によって、封筒Eの開口の一辺が封入ガイド部材163の外側面に沿って移動して、封筒Eの開口がさらに大きく開いた状態に至る。
【0178】
すなわち、本実施形態では、第一縦搬送ローラ対122の回転量を制御することで、封筒Eの開口を調整する。第一縦搬送ローラ対122の回転量の制御は、フラップ検知センサ1612がフラップefの先端を検知したことをトリガとすればよい。すなわち、フラップ検知センサ1612がフラップefの先端を検知した時点からの第一縦搬送ローラ対122の回転量を調整することで、封筒Eの開口量を調整することができる。
【0179】
なお、
図36(a)に示した状態において、フラップefが短い場合よりも開口量が抑えられている。したがって、第一縦搬送ローラ対122の回転量を少なくしても所定の開口量を得ることができる。
【0180】
[封入支援動作の第八実施形態]
次に、
図37を用いて、封入支援動作の第八実施形態について説明する。本実施形態は、封筒Eの「フラップefが長く、本体長も長い」場合の封入支援動作であって、搬送ローラ対を利用して開口量を調整する動作に相当する。封入位置に封筒Eが搬送されて、フラップefがフラップ保持ローラ対1611によって保持される状態(
図34(a)参照)に至るまでは、すでに説明した動作を同様である。
【0181】
まず、
図37(a)に示すように、封入ガイド部材163が封筒Eの開口に差し込まれた状態で、かつ、フラップefがフラップ保持ローラ対1611にて保持されるように、封筒Eを搬送するので、開口量が増加する。
【0182】
続いて、
図37(b)に示すように、フラップefがフラップ保持ローラ対1611に保持される状態に至った後においても、第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123とを回転させることで、さらに、封筒Eが+Z方向に移動させる。これの搬送動作によって、封筒Eの開口の一辺が封入ガイド部材163の外側面に沿って移動して、封筒Eの開口がさらに大きく開いた状態に至る。
【0183】
すなわち、本実施形態では、第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123の回転量を制御することで、封筒Eの開口を調整する。第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123の回転量の制御は、フラップ検知センサ1612がフラップefの先端を検知したことをトリガとすればよい。すなわち、フラップ検知センサ1612がフラップefの先端を検知した時点からの第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123の回転量を調整することで、封筒Eの開口量を調整することができる。
【0184】
なお、
図37(a)に示した状態において、フラップefが短い場合よりも開口量が抑えられている。したがって、第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123の回転量を少なくしても所定の開口量を得ることができる。
【0185】
[封筒Eの開口調整量と封入物の状態との関係]
、 次に、封入支援動作において封筒Eの開口量を調整するための「開口調整量」と、封筒Eに挿入される「封入物の状態」との関係について、
図38から
図41を用いて説明する。
【0186】
なお、「封入物の状態」とは、封入物としての折りシートSfに対する折り処理の種類や、折りシートSfにおける折りの高さ、折りシートSfにおけるシート厚、折りシートSfの重ね枚数などを含む。「封入物の状態」は、封筒Eに封入物を挿入するときに、開口の量を調整する因子となる情報に該当する。封入封緘制御部150は、封筒Eのフラップ長や本体長が、相対的に「長い」又は「短い」によって決定される開口量に対して、封入物の状態に応じて補正をする処理を実行する。
【0187】
図38は、封入物としての折りシートSfに対する折り処理において実行された折り回数に応じた封筒Eの開口状態を例示している。
図38(a)は、四つ折りによる折りシートSfの場合に必要となる開口量を例示している。
図38(b)は、三つ折りによる折りシートSfの場合に必要となる開口量を例示している。
図38(c)は、二つ折りによる折りシートSfの場合に必要となる開口量を例示している。
図38に例示するように、折り回数が多くなるほど、封筒Eの開口量を大きくする必要がある。
【0188】
図39は、封入物としての折りシートSfにおける折り高さに応じた封筒Eの開口状態を例示している。
図39(a)は、折り高さが高い折りシートSfの場合に必要となる開口量を例示している。
図39(b)は、折り高さが通常の折りシートSfの場合に必要となる開口量を例示している。
図39(c)は、折り高さが低い折りシートSfの場合に必要となる開口量を例示している。
図39に例示するように、折り高さが高くなるほど、封筒Eの開口量を大きくする必要がある。
【0189】
なお、折り高さは、
図6を用いて説明した増し折り機構による増し折り処理の回数(増し折りの回数)が多くなるほど低くなる。したがって、折り高さに応じて開口量を調整して補正するときには、増し折りの回数による補正を加えることで、より精度の高い開口調整量を得ることができる。
【0190】
図40は、封入物としての折りシートSfにおけるシート厚に応じた封筒Eの開口状態を例示している。
図40(a)は、シート厚が厚い折りシートSfの場合に必要となる開口量を例示している。
図40(b)は、シート厚が通常の折りシートSfの場合に必要となる開口量を例示している。
図40(c)は、シート厚が薄い折りシートSfの場合に必要となる開口量を例示している。
図40に例示するように、シート厚が厚くなるほど、封筒Eの開口量を大きくする必要がある。
【0191】
図41は、封入物としての折りシートSfの重ね枚数に応じた封筒Eの開口状態を例示している。
図41(a)は、三枚重ねの折りシートSfの場合に必要となる開口量を例示している。
図41(b)は、二枚重ねの折りシートSfの場合に必要となる開口量を例示している。
図41(c)は、一枚のシートの折りシートSfの場合に必要となる開口量を例示している。
【0192】
図41に例示するように、重ね枚数が多くなるほど、封筒Eの開口量を大きくする必要がある。なお、重ね折りにおいても、トータルの折り高さは、
図6を用いて説明した増し折り機構による増し折り処理の回数(増し折りの回数)が多くなるほど低くなる。したがって、重ね枚数に応じて開口量を調整して補正するときには、増し折りの回数による補正を加えることで、より精度の高い開口調整量を得ることができる。
【0193】
[印刷ジョブ開始前処理フロー]
ここで、本実施形態に係る画像形成システム1において印刷ジョブを実行する前に行われる「前処理」について説明する。なお、印刷ジョブは、封入支援動作において封筒Eに挿入される封入物を形成する処理を含み、シートSに対する画像形成処理や折り処理の内容を既定する命令群であって、プリンタ制御部260において主に実行される。そして、印刷ジョブに含まれる一連の処理内容に基づいて、封入封緘処理装置100において実行される処理命令及び処理に用いられるパラメータがプリンタ制御部260から封入封緘制御部150へと「各種調整値」として通知される。
【0194】
図42は、印刷ジョブが実行される前段において実行される処理(印刷ジョブ開始前処理)の流れを例示するフローチャートである。
【0195】
まず、印刷ジョブが行われる際に、画像形成装置200が有するプリンタ制御部260から、各種調整値が、各通信ライン(207、105、403)を介して各装置に通知される(S4201)。封入封緘制御部150は、通知された各種調整値を記憶領域に格納する。
【0196】
ここで、「各種調整値」について補足説明する。プリンタ制御部260から封入封緘制御部150に通知される各種調整値には、折り処理装置300において行われる折り処理の種類を示す情報や、各折り処理において形成される折りシートSfの折り高さを示す情報、増し折りの実行回数を示す情報、増し折りの実行によって変化する折り高さの変化量を示す情報、折りシートSfに用いたシートSの厚みを示す情報、折りシートSfの重ね折り数を示す情報、などを含む。
【0197】
各種調整値の初期値は、画像形成装置200が備えるプリンタ制御部260が保持している。この初期値は、ユーザーが操作部220を介して変更する(更新する)こともできる。初期値を変更したときには、変更後の各種調整値が各通信ライン(207、105、403)を介して、各制御部に通知される。なお、印刷ジョブが開始される度に、最新の各種調整値を通知してもよいし、画像形成システム1の動作電源が投入された後に行われる初期処理において通知されて、その後は更新操作がなければ通知しないようにしてもよい。
【0198】
各種調整値の通知の後、画像形成装置200は印刷ジョブ情報を、各通信ライン(207、105、403)を介して各制御部に通知する(S4202)。この通知によって、印刷ジョブが開始される(S4203)。なお、印刷ジョブ情報には、シート種別、シート厚、折り処理種別、画像形成枚数、封入処理の回数などが含まれる。
【0199】
[開口調整量算出フローの第一実施形態]
次に、本発明に係る封入装置において実行される封入支援動作の制御処理に利用される開口調整量算出処理について
図43のフローチャートを用いて説明する。封入支援動作については、すでに説明をしたとおりであり、封筒Eのフラップ長や本体長、封入物の状態によって、開口の量を調整し、調整された開口量になるように、封入支援部160の動作を制御する。
【0200】
第一実施形態として、封入ガイド部材163の回動量を調整するための開口調整量の算出処理について説明する。
【0201】
まず、封筒Eを封入位置に搬送する処理が実行される(S4301)。封筒Eが封入位置に到達するまで処理をループし(S4301:NO)、封入位置に到達したとき(S4301:Yes)、次の処理に移行する。
【0202】
続いて、フラップ長と封筒Eの本体長の算出が完了しているか否かの判定を行なう(S4302)。フラップ長と本体長の算出が完了するまで処理をループし(S4302:NO)、算出が完了したとき(S4302:Yes)、次の処理に移行する。
【0203】
続いて、S4302において算出されたフラップ長に応じて、第一間口開口量Aを算出する(S4303)。第一間口開口量Aは、封筒Eの開口(間口)に封入ガイド部材163が差し込まれてから、フラップefがフラップ保持ローラ対1611に保持されるまで搬送されることで間口が広がる量に相当する(
図26及び
図27などを参照)。
【0204】
続いて、S4302において算出された本体長に応じて、第二間口開口量Bを算出する(S4304)。第二間口開口量Bは、封入物を封筒Eに挿入するときに、封入ガイド部材163を回動させて最終的に必要となる間口開口量に相当する(
図28などを参照)。
【0205】
第二間口開口量Bは第一間口開口量Aよりも大きい値になる。そして、第二間口開口量Bから第一間口開口量Aを差し引いた値が、封入ガイド部材163の回動による封筒Eの間口開口量に相当する。なお、本体長が長い場合は、封筒Eに封入物を挿入するときの封筒端部の搬送負荷を抑制するために、第二間口開口量Bは小さい値にした方が望ましい。
【0206】
続いて、
図38から
図41を用いて説明したように、封入物の状態によって封入物を挿入するための間口開口量は異なるので、各種調整値によって取得される封入物の状態に応じて、第二間口開口量Bを補正し、第三間口開口量Cを算出する(S4305)。S4305では、封入物の紙厚が厚い場合には開口量を加算するように補正し、紙厚が薄い場合には開口量を減算するように補正する。
【0207】
続いて、封入物の状態に基づいて、封入物は折り処理がなされているものであるか否かを判定する(S4306)。封入物に折り処理がなされていれば(S4306:Yes)、折り種類(折り回数)に応じて第三間口開口量Cを補正し、第四間口開口量Dを算出する(S4307)。折り回数が多い折り種類の場合は開口量を加算し、少ない場合は減算する。
【0208】
続いて、増し折り回数に応じて第四間口開口量Dを補正して、第五間口開口量Eを算出する(S4308)。折り高さが高い場合は開口量を加算し、低い場合は減算する。そして、封入物の枚数に応じて第五間口開口量Eを補正し、第六間口開口量Fを算出する(S4309)。折り枚数が多い場合は開口量を加算し、少ない場合は減算する。
【0209】
なお、最終的に必要となる間口開口量である第六間口開口量Fの算出において、S4307からS4309までの処理の順番は入れ替えてもよい。
【0210】
最後に、第二間口開口量Bを補正して得られた第六間口開口量Fから第一間口開口量Aを減算して、封入ガイド部材163の回動量としての封入部材回動量Gを算出する(S4310)。
【0211】
なお、封入物に折り処理がなされていなければ(S4306:NO)、各種補正処理を行わずに、S4310の処理に移行する。この場合、第二間口開口量Bから第一間口開口量Aを減算して、封入ガイド部材163の回動量としての封入部材回動量Gを算出する(S4310)。
【0212】
[封入部材回動による封入支援動作の制御フロー]
次に、封入ガイド部材163の回動量を調整する封入支援動作における制御フローについて、
図44のフローチャートを用いて説明する。まず、封筒Eを封入位置に搬送する搬送処理を実行する(S4401、
図23等参照)。
【0213】
続いて、フラップefの先端が封入ガイド部材163の先端を超える位置に至ったとき、すなわち、封入位置に封筒Eが至ったとき、封筒Eの搬送を一旦停止する(S4402、
図24等参照)。
【0214】
続いて、封入ガイド部材163を回動させて、フラップefをフラップガイド板161へ押し当てる(S4403、
図25等参照)。
【0215】
続いて、封筒Eの搬送を再開する(S4404、
図26等参照)。封筒Eの開口(間口)に封入ガイド部材163の先端が差し込まれた状態になるまで処理を継続し(S4405:No)、封筒Eに封入ガイド部材163の先端が差し込まれるになったとき、次の処理に移行する(S4405:Yes)。続いて、フラップefの先端がフラップ保持ローラ対1611で保持される位置に至るまで、封筒Eの搬送は継続する(S4505:No)。フラップefの先端がフラップ保持ローラ対1611で保持されたら(S4505:Yes)、封筒Eの搬送を停止する(S4407、
図27等参照)。
【0216】
最後に、封入部材回動量Gを用いて、封入ガイド部材163を回動させる(S4408)。調整された量で封入ガイド部材163を回動することで、封筒Eの間口の開口量も調整された状態になる。その後、
図29、
図30等を用いて説明したとおり、封筒Eに封入物を挿入する。
【0217】
[開口調整量算出フローの第二実施形態]
次に、本発明に係る封入装置において実行される封入支援動作の制御処理に利用される開口調整量算出処理について
図45のフローチャートを用いて説明する。封入支援動作については、すでに説明をしたとおりであり、封筒Eのフラップ長や本体長、封入物の状態によって、開口の量を調整し、調整された開口量になるように、封入支援部160の動作を制御する。
【0218】
第二実施形態として、第一縦搬送ローラ対122及び第二縦搬送ローラ対123の回転量を調整するための開口調整量の算出処理について説明する。
【0219】
まず、封筒Eを封入位置に搬送する処理が実行される(S4301)。封筒Eが封入位置に到達するまで処理をループし(S4301:NO)、封入位置に到達したとき(S4301:Yes)、次の処理に移行する。以下、第一実施形態におけるS4302~S4309までの処理を同様なので説明を省略する(S4502~S4509)。
【0220】
最後に、第二間口開口量Bを補正して得られた第六間口開口量Fから第一間口開口量Aを減算して、第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123の回転量としての封筒搬送量Hを算出する(S4510)。
【0221】
[搬送ローラによる封入支援動作の制御フロー]
次に、第一縦搬送ローラ対122及び第二縦搬送ローラ対123の駆動量を調整する封入支援動作における制御フローについて、
図46のフローチャートを用いて説明する。まず、封筒Eを封入位置に搬送する搬送処理を実行する(S4601、
図23等参照)。
【0222】
続いて、フラップefの先端が封入ガイド部材163の先端を超える位置に至ったとき、すなわち、封入位置に封筒Eが至ったとき、封筒Eの搬送を一旦停止する(S4402、
図24等参照)。以下、すでに説明をしたS4403~S4406までの処理と同様であるから、詳細な説明を省略する(S4603~S4606)。
【0223】
封筒Eが搬送されてフラップefの先端がフラップ保持ローラ対1611に保持されたら(S4606:Yes)、ここまでの封筒Eの搬送量が、封筒搬送量Hに相当するか否かを判定する(S4607)。すなわち、第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123の駆動量が調整された封筒搬送量Hに相当する駆動量に至るまで処理をループする(S4607:No)。
【0224】
封筒Eの搬送量が封筒搬送量Hに至ったとき(S4607:Yes)、第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123の駆動を停止して、処理を終了する(S4608、
図27等参照)。
【0225】
最後に、調整された搬送量で封筒Eを搬送することで、封筒Eの間口の開口量も調整された状態になる。その後、
図29、
図30等を用いて説明したとおり、封筒Eに封入物を挿入する。
【0226】
以上説明したとおり、第一実施形態及び第二実施形態に係る間口開口量の調整処理では、封筒Eの本体長、フラップ長、封入物の状態、これらに応じて、封筒Eの間口開口量を極力少なくするように調整する。間口開口量を、封筒Eと封入物との相関において最適な量に調整することで、封入物を封筒Eに挿入するときの搬送負荷を抑制し、封入動作を安定的に実行することができるようになる。
【0227】
[本発明の態様]
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
<1>封入位置に搬送された封筒に封入物を挿入する封入装置であって、
前記封入位置に前記封筒を搬送する封筒搬送手段と、
前記封入位置に至った前記封筒に前記封入物が挿入されるように当該封筒の間口を広げる封入手段と、を備え、
前記封入手段は、前記封入物を前記封筒に挿入するとき前記間口の開口量を調整する開口量調整手段を含み、
前記開口量調整手段は、前記封筒を前記封入位置に搬送するときの搬送方向における当該封筒のフラップの長さとしてのフラップ長と、前記搬送方向における当該封筒の本体部分の長さとしての本体長とに応じて、前記開口量を調整する、ことを特徴とする封入装置である。
【0228】
<2>前記封入手段は、前記封筒の間口を広げる封入部材を有し、
前記開口量調整手段は、前記封入部材の回動量を調整する、前記<1>に記載の封入装置である。
【0229】
<3>前記フラップ長を検知するフラップ長検知手段を有し、
前記開口量調整手段は、前記フラップ長に応じて前記封入部材の回動量を調整する、前記<2>に記載の封入装置である。
【0230】
<4>前記本体長を検知する本体長検知手段を有し、
前記開口量調整手段は、前記本体長に応じて前記封入部材の回動量を調整する、前記<2>又は<3>に記載の封入装置である。
【0231】
<5>前記封入手段は、前記封筒搬送手段により搬送された前記封筒のフラップを保持するフラップ保持手段を有し、
前記開口量調整手段は、前記フラップ保持手段及び前記封筒搬送手段の駆動量を調整することで前記開口量を調整する、前記<1>に記載の封入装置である。
【0232】
<6>前記フラップ長を検知するフラップ長検知手段を有し、
前記開口量調整手段は、前記フラップ長に応じて、前記フラップ保持手段及び前記封筒搬送手段の駆動量を調整することで前記開口量を調整する、前記<5>に記載の封入装置である。
【0233】
<7>前記本体長を検知する本体長検知手段を有し、
前記開口量調整手段は、前記本体長に応じて、前記フラップ保持手段及び前記封筒搬送手段の駆動量を調整することで前記開口量を調整する、前記<5>又は<6>に記載の封入装置である。
【0234】
<8>前記開口量調整手段は、前記封筒に挿入される前記封入物の数量に応じて前記開口量を調整する、前記<1>乃至<7>のいずれか一つに記載の封入装置である。
【0235】
<9>前記開口量調整手段は、前記封筒に挿入される前記封入物の厚みに応じて前記開口量を調整する、前記<1>乃至<8>のいずれか一つに記載の封入装置である。
【0236】
<10>前記開口量調整手段は、前記封筒に挿入される前記封入物の形状に応じて前記開口量を調整する、前記<1>乃至<9>のいずれか一つに記載の封入装置である。
【0237】
<11>前記封筒に前記封入物を挿入する前記<1>乃至<10>のいずれか一つに記載の封入装置と、
前記封入物が挿入された前記封筒を封緘する封緘部と、を備えることを特徴とする封筒処理装置である。
【0238】
<12>媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像が形成された前記媒体を前記封入物として前記封筒に挿入する前記<1>乃至<10>のいずれか一つに記載の封入装置と、を備えることを特徴とする画像形成システムである。
【0239】
<13>媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像が形成された前記媒体を前記封入物として前記封筒に挿入して封緘する前記<11>に記載の封筒処理装置と、を備えることを特徴とする画像形成システムである。
【0240】
<14>媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像が形成された前記媒体を前記封入物として、当該封入物に対して折り処理を施す折り処理手段と、
前記折り処理が施された前記封入物を前記封筒に挿入する前記<1>乃至<10>のいずれか一つに記載の封入装置と、を備え、
前記折り処理手段は、前記折り処理における折り位置を調整する折り位置調整手段を有し、
前記封入物の形状は、前記折り位置調整手段において調整された折り位置に基づいて変化することを特徴とする画像形成システムである。
【0241】
<15>前記折り処理手段は、前記封入物に形成された折り目に対し更に折り処理を施す増し折り処理手段を有し、
前記封入物の形状は、前記増し折り処理手段において前記折り目に対する前記増し折り処理の回数によって変化する、前記<14>に記載の画像形成システムである。
【0242】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0243】
1 :画像形成システム
100 :封入封緘処理装置(封筒処理装置)
120 :封入処理部(封入装置)
121 :封入ローラ対
122 :第一縦搬送ローラ対
123 :第二縦搬送ローラ対
124 :フラップ開ローラ対
125 :封筒分離ローラ対
126 :封筒搬送ローラ対
127 :封筒セットトレイ
128 :分離センサ
129 :フラップ開検出センサ
130 :封緘処理部(封緘部)
150 :封入封緘制御部
160 :封入支援部(開口量調整手段)
161 :フラップガイド板
163 :封入ガイド部材
166 :封入ガイド軸
167 :封入部材固定ガイド板
168 :封入部材対向ガイド板
169 :封入ガイドバネ
170 :駆動カム
180 :フラップ開機構
200 :画像形成装置
260 :プリンタ制御部
300 :折り処理装置
320 :折り制御部
400 :後処理装置
420 :後処理制御部
1100 :搬入路
1109 :シート搬出路
1611 :フラップ保持ローラ対
1612 :フラップ検知センサ
1631 :部材先端部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0244】
【手続補正書】
【提出日】2023-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
[画像形成システムの実施形態]
まず、本発明に係る画像形成システムの実施形態について説明する。
図1は、画像形成システム1の内部構成を概略的に示す正面図である。画像形成システム1は、画像形成装置200と、シート処理装置としての折り処理装置300と、本発明に係る
封筒処理装置の実施形態としての封入封緘処理装置10
0と、後処理装置400と、を有している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
封筒搬送路1105には、折りシートSfを受け入れる位置に封筒Eを搬送するための封筒搬送手段としての第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123が配置されている。封筒搬送路1105において、折りシートSfを受け入れる位置に搬送されてきた封筒Eは、第一縦搬送ローラ対122と第二縦搬送ローラ対123によって保持される。なお、封入支援部160は、封入ローラ対121と第一縦搬送ローラ対122の間に配置されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】