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特開2023-182574超電導膜を有する多層デバイスの堆積のための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182574
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】超電導膜を有する多層デバイスの堆積のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/06 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
C23C14/06 A
C23C14/06 S
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023142823
(22)【出願日】2023-09-04
(62)【分割の表示】P 2021555613の分割
【原出願日】2020-03-18
(31)【優先権主張番号】62/822,615
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チュー, ミンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ツーハオ
(72)【発明者】
【氏名】パティバンドラ, ナグ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット, ルドヴィーク
(72)【発明者】
【氏名】カオ, ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ディール, ダニエル リー
(72)【発明者】
【氏名】チェン, チョーポー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】臨界温度の高い高品質のNbNを確実に又は安定して堆積させることが可能になる、多層デバイスの堆積のための方法及び装置を提供する。
【解決手段】物理的気相堆積システムは、チャンバと、ターゲットに対する3つのターゲット支持体と、それを通る開口部を有して位置決めされた可動シールドと、チャンバ内にワークピースを保持するためのワークピース支持体と、窒素ガス及び不活性ガスをチャンバに送達するためのガス供給部と、電源と、コントローラと、を含む。コントローラは、シールドを移動させて開口部を順番に各ターゲットに隣接して位置決めするよう構成されており、かつ、各ターゲットで、電源がチャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して、それぞれ、緩衝層を堆積させ、8°K超の温度で超電導体としての使用に適した金属窒化物層である第1の材料のデバイス層を堆積させ、キャッピング層を堆積させるように、構成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属窒化物層を有するデバイスの製造のためのクラスタツールであって、
ワークピースを保持するカセットを受け取るためのロードロックチャンバと、
中央真空チャンバと;
前記中央真空チャンバの周りの及びそれに連結されたクラスタ形状に配置された複数の堆積チャンバであって、第1のターゲットを有する第1の堆積チャンバと、第2のターゲットを有する第2の堆積チャンバと、第3のターゲットを有する第3の堆積チャンバとを含む複数の堆積チャンバと;
前記真空チャンバと前記ロードロックチャンバと複数の堆積チャンバとの間でワークピースを運搬するためのロボットと;
コントローラであって、前記ロボットが前記基板を前記第1の堆積チャンバへ運搬して前記第1の堆積チャンバが前記ワークピース上に緩衝層を堆積させるように、かつ、前記ロボットが前記基板を前記第1の堆積チャンバから前記第2の堆積チャンバへ運搬して前記第2の堆積チャンバが前記緩衝層上に8°K超の温度で超電導体としての使用に適した金属窒化物層を堆積させるように、かつ、前記ロボットが前記基板を前記第2の堆積チャンバから前記第3の堆積チャンバへ運搬して前記第3の堆積チャンバが前記金属窒化物層上にキャッピング層を堆積させるように、構成されている、コントローラと、
を含む、ツール。
【請求項2】
第2の堆積チャンバが、前記第2の堆積チャンバ内に前記ワークピースを保持するための支持体と、金属ターゲットを支持するための電極とを含み、前記ツールが、前記第2の堆積チャンバを排気するための真空ポンプと、窒素ガス及び不活性ガスを前記第2の堆積チャンバへ供給するためのガス供給部と、電力を前記電極に印加するための電源とを含む、請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記コントローラが、
上に金属窒化物層が堆積されるワークピースが前記第2の堆積チャンバ内に配置される前に、前記ガス源が窒素ガス及び前記不活性ガスを第1の流量比で前記第2の堆積チャンバ内へ流すよう、かつ前記電源が前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して、前記第2の堆積チャンバを事前調整するよう、構成されており、かつ
前記ワークピースが前記チャンバ内に配置された後に、前記ガス源が窒素ガス及び前記不活性ガスを第2の流量比で前記第2の堆積チャンバ内へ流すよう、かつ前記電源が前記第2の堆積チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して、物理的気相堆積によって前記ワークピース上に前記金属窒化物層を堆積させるよう、構成されており、前記第2の流量比が前記第1の流量比よりも小さい、
請求項2に記載のツール。
【請求項4】
物理的気相堆積システムであって、
チャンバを形成するチャンバ壁と、
前記チャンバの上部に、第1のターゲットを保持するための第1のターゲット支持体と、第2のターゲットを保持するための第2のターゲット支持体と、第3のターゲットを保持するための第3のターゲット支持体と、
前記チャンバ内に位置決めされ、それを通る開口部を有する、可動シールドと、
前記シールドを移動させるためのアクチュエータと、
前記チャンバの下部にワークピースを保持するためのワークピース支持体と、
前記チャンバを排気するための真空ポンプと、
窒素ガス及び不活性ガスを前記チャンバへ送達するためのガス供給部と、
第1のターゲット、第2のターゲット、又は第3のターゲットに選択的に電力を印加するための電源と、
コントローラであって、
前記アクチュエータが前記シールドを移動させて前記開口部を前記第1のターゲットに隣接して位置決めするように、かつ前記ガス源が第1のガスを前記チャンバ内へ流すように、かつ前記電源が前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して前記ワークピース支持体上の前記ワークピース上に第1の材料の緩衝層を堆積させるように構成されており、
かつ、前記アクチュエータが前記シールドを移動させて前記開口部を前記第2のターゲットに隣接して位置決めするように、かつ前記ガス源が第2のガスを前記チャンバ内へ流すように、かつ前記電源が前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して前記緩衝層上に8°K超の温度で超電導体としての使用に適した金属窒化物である、第2の材料とは異なる組成である第1の材料のデバイス層を堆積させるように構成されており、
かつ、前記アクチュエータが前記シールドを移動させて前記開口部を前記第3のターゲットに隣接して位置決めするように、かつ前記ガス源が第3のガスを前記チャンバ内へ流すように、かつ前記電源が前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して前記デバイス層上に、前記第1の材料及び前記第2の材料とは異なる組成である第3の材料のキャッピング層を堆積させるように構成されている、
コントローラと、
を含む、システム。
【請求項5】
前記第1のターゲットと、前記第2のターゲットと、前記第3のターゲットとを含むシステムであって、前記第1のターゲットが前記第2のターゲットの金属以外の金属を含み、前記第1のガスが窒素ガスを含み、前記第2のターゲットがニオブを含み、前記第2のガスが窒素ガスを含み、前記第3のターゲットが、炭素、ケイ素、又は前記第2のターゲットの金属以外の金属を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラが、
前記第1の材料の前記デバイス層の堆積前に、前記ガス源が窒素ガス及び前記不活性ガスを第1の流量比で前記チャンバ内へ流すよう、かつ前記電源が前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して、前記チャンバを事前調整するよう、構成されており、かつ
前記第1の材料の前記デバイス層の堆積のために、前記ガス源が窒素ガス及び前記不活性ガスを第2の流量比で流すよう構成されており、前記第2の流量比が前記第1の流量比よりも小さい、
請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
ワークピース上にデバイスを形成する方法であって、
ロボットを用いて前記ワークピースをロードロックチャンバから中央真空チャンバを通って第1の堆積チャンバ内へ運搬することと、
前記第1の堆積チャンバ内の前記ワークピース上に緩衝層を堆積することと、
前記ロボットを用いて前記ワークピースを前記第1の堆積チャンバから前記中央真空チャンバを通って第2の堆積チャンバへ運搬することと、
前記第2の堆積チャンバ内の前記緩衝層上に8°K超の温度で超電導体としての使用に適した金属窒化物層を堆積することと、
前記ロボットを用いて前記ワークピースを前記第2の堆積チャンバから前記中央真空チャンバを通って第3の堆積チャンバへ運搬することと、
前記第3の堆積チャンバ内の前記金属窒化物層上にキャッピング層を堆積することと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記金属窒化物層が窒化ニオブ又はニオブ合金窒化物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
緩衝層が、金属窒化物層の金属とは異なる金属の窒化物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
キャッピング層が、炭素、ケイ素、ターゲットの金属とは異なる金属、又はターゲットの金属とは異なる材料の窒化物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記緩衝層を堆積することと、前記金属窒化物層を堆積することと、前記キャッピング層を堆積することとのそれぞれが、プラズマを生成してターゲットをスパッタすることを含む物理的気相堆積を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
ワークピース上にデバイスを形成する方法であって、
第1のターゲットと、第2のターゲットと、第3のターゲットと、それを通る開口部を有する可動シールドとを有するチャンバ内に前記ワークピースを支持することと、
前記チャンバを排気することと、
前記シールドを回転させて、前記開口部を前記第1のターゲットに隣接して位置決めすることと、
第1のガスを前記チャンバ内へ流し、前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して前記ワークピース上に緩衝層を堆積させることと、
前記シールドを回転させて、前記開口部を前記第2のターゲットに隣接して位置決めすることと、
第2のガスを前記チャンバ内へ流し、前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して前記緩衝層上に8°K超の温度で超電導体としての使用に適した金属窒化物層を堆積させることと、
前記シールドを回転させて、前記開口部を前記第3のターゲットに隣接して位置決めすることと、
第3のガスを前記チャンバ内へ流し、前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して前記金属窒化物層上にキャッピング層を堆積させることと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記金属窒化物層が窒化ニオブ又はニオブ合金窒化物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
緩衝層が、金属窒化物層の金属とは異なる金属の窒化物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
キャッピング層が、炭素、ケイ素、金属窒化物の金属とは異なる金属、又はターゲットの金属とは異なる材料の窒化物を含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属窒化物、特に超電導材料として適切な金属窒化物を堆積させるためのワークピースを処理するためのリアクタに関する。
【背景技術】
【0002】
超電導に関連して、臨界温度(T)とは、それを下回ると材料が超電導になる温度を指す。窒化ニオブ(NbN)は、超電導の用途、例えば、量子情報処理、CMOS、LIDAR等における欠陥分析における使用のための超電導ナノワイヤ単一光子検出器(SNSPD)に使用することができる材料である。窒化ニオブの臨界温度は、材料の結晶構造と原子比とに依拠する。例えば、図1を参照すると、立方δ相NbNは、その比較的「高い」臨界温度、例えば9.7-16.5°Kによるいくつかの利点を有する。
【0003】
窒化ニオブは、物理的気相堆積(PVD)によってワークピース上に堆積され得る。例えば、窒素ガスの存在下でニオブターゲットを使用してスパッタリング操作が実施され得る。スパッタリングは、ターゲット及びワークピースを含有するリアクタチャンバ内にプラズマを誘導することによって実施され得る。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、金属窒化物層を含む構造体をワークピース上に形成する方法は、金属ターゲットを含むチャンバ内にワークピースを配置する前に、窒素ガス及び不活性ガスを第1の流量比でチャンバ内へ流して、チャンバ内のプラズマを点火することによって、チャンバを事前調整することと、事前調整後にチャンバを排気することと、事前調整後にチャンバ内のワークピース支持体上にワークピースを配置することと、窒素ガス及び不活性ガスを第2の流量比でチャンバ内へ流して、チャンバ内のプラズマを点火することによって、チャンバ内のワークピース上に金属窒化物層の物理的気相堆積を実施することと、を含む。第2の流量比は、第1の流量比よりも小さい。
【0005】
別の態様では、物理的気相堆積システムは、チャンバを形成するチャンバ壁と、チャンバ内にワークピースを保持するための支持体と、チャンバを排気するための真空ポンプと、窒素ガス及び不活性ガスをチャンバへ送達するためのガス供給部と、金属ターゲットを支持するための電極と、電極に電力を印加するための電源と、コントローラとを含む。コントローラは、上に金属窒化物層が堆積されるワークピースがチャンバ内に配置される前に、ガス源が窒素ガス及び不活性ガスを第1の流量比でチャンバ内へ流して、電源がチャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して、チャンバを事前調整するように、かつ、ワークピースがチャンバ内に配置された後に、ガス源が窒素ガス及び不活性ガスを第2の流量比でチャンバ内へ流して、電源がチャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して、物理的気相堆積によってワークピース上に金属窒化物層を堆積させるように、構成されている。第2の流量比は、第1の流量比よりも小さい。
【0006】
別の態様では、金属窒化物層を有するデバイスの製造のためのクラスタツールは、ワークピースを保持するカセットを受け取るためのロードロックチャンバと、中央真空チャンバと、中央真空チャンバの周りの及びそれに連結されたクラスタ形状に配置された複数の堆積チャンバと、真空チャンバとロードロックチャンバと複数の堆積チャンバとの間でワークピースを運搬するためのロボットと、コントローラとを含む。複数の堆積チャンバは、第1のターゲットを有する第1の堆積チャンバと、第2のターゲットを有する第2の堆積チャンバと、第3のターゲットを有する第3の堆積チャンバとを含む。コントローラは、ロボットが基板を第1の堆積チャンバへ運搬して第1の堆積チャンバがワークピース上に緩衝層を堆積させるように、かつ、ロボットが基板を第1の堆積チャンバから第2の堆積チャンバへ運搬して第2の堆積チャンバが緩衝層上に8°K超の温度で超電導体としての使用に適した金属窒化物層を堆積させるように、かつ、ロボットが基板を第2の堆積チャンバから第3の堆積チャンバへ運搬して第3の堆積チャンバが金属窒化物層上にキャッピング層を堆積させるように、構成されている。
【0007】
別の態様では、物理的気相堆積システムは、チャンバを形成するチャンバ壁と、第1のターゲットを保持するための第1のターゲット支持体と、第2のターゲットを保持するための第2のターゲット支持体と、第3のターゲットを保持するための第3のターゲット支持体と、チャンバ内に位置決めされ、それを通る開口部を有する、可動シールドと、シールドを移動させるためのアクチュエータと、チャンバを排気するための真空ポンプと、窒素ガス及び不活性ガスをチャンバへ送達するためのガス供給部と、第1のターゲット、第2のターゲット、又は第3のターゲットに選択的に電力を印加するための電源と、コントローラとを含む。コントローラは、アクチュエータがシールドを移動させて開口部を第1のターゲットに隣接して位置決めするように、かつガス源が第1のガスをチャンバ内へ流すように、かつ電源がチャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加してワークピース支持体上のワークピース上に第1の材料の緩衝層を堆積させるように構成されており、かつ、アクチュエータがシールドを移動させて開口部を第2のターゲットに隣接して位置決めするように、かつガス源が第2のガスをチャンバ内へ流すように、かつ電源がチャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して緩衝層上に8°K超の温度で超電導体としての使用に適した金属窒化物である第1の材料(第1の材料は第2の材料とは異なる組成である)のデバイス層を堆積させるように構成されており、かつ、アクチュエータがシールドを移動させて開口部を第3のターゲットに隣接して位置決めするように、かつガス源が第3のガスをチャンバ内へ流すように、かつ電源がチャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加してデバイス層上に第3の材料(第3の材料は、第1及び第2の材料とは異なる組成である)のキャッピング層を堆積させるように構成されている。
【0008】
これらの態様は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。
【0009】
金属ターゲットは、ニオブ又はニオブ合金を含み得る。金属窒化物層は、窒化ニオブ又はニオブ合金窒化物を含み得る。金属ターゲットは、実質的に純粋なニオブであり得、金属窒化物層は、実質的に純粋な窒化ニオブであり得る。金属窒化物層は、δ相NbNであり得る。プラズマは、金属ターゲットの金属をスパッタし得る。
【0010】
第2の流量比は、第1の流量比よりも2-30%低い場合がある。第1の流量比は4:100から1:1であり得、第2の流量比は3:100から48:52であり得る。チャンバは、10-8Torrより低い圧力に排気され得る。
【0011】
事前調整は、基板支持体上にシャッタディスクを配置することを含む。ロボットは、チャンバの事前調整のために、チャンバ内にシャッタディスクを位置決めするように構成されている。事前調整は、シャッタディスクをある温度に加熱することを含み得、物理的気相堆積の実施は、ワークピースを同じ温度に加熱することを含み得る。温度は200-500℃であり得る。事前調整におけるプラズマの点火と、堆積におけるプラズマの点火は、同じ電力レベルを使用し得る。
【0012】
プラズマ中の窒素イオン濃度は、光学センサを用いて測定され得る。窒素ガス及び/又は不活性ガスの流量は、センサによって測定された窒素イオン濃度に応じて調整されて、窒素イオン濃度を所望の濃度にし得る。センサはチャンバの外側に位置決めされ、ここで、チャンバ壁は、センサにチャンバへの光学的アクセスを提供するための窓を含む。
【0013】
スパッタシールドはチャンバ内に位置決めされている場合がある。スパッタシールドは、センサにプラズマへの明確な見通し線を提供するための開口部を有し得る。
【0014】
緩衝層は、金属窒化物層の形成前にワークピース上に形成され得る。金属窒化物層は、緩衝層上に直接堆積され得る。緩衝層は、ターゲットの金属とは異なる金属の金属窒化物であり得る。緩衝層は、窒化アルミニウムであり得る。
【0015】
キャッピング層は、金属窒化物層上に形成され得る。キャッピング層は、炭素、ケイ素、ターゲットの金属とは異なる金属、又はターゲットの金属とは異なる材料の窒化物を含み得る。キャッピング層は、炭素、窒化ケイ素、又は窒化チタンであり得る。
【0016】
第1のターゲットは、第2のターゲットの金属以外の金属であり得る。第1の気体は、窒素ガスを含み得る。第2のターゲットは、ニオブを含み得る。第2の気体は、窒素ガスを含み得る。第3のターゲットは、炭素、ケイ素、又は第2のターゲットの金属以外の金属を含み得る。
【0017】
シールドは回転可能であり得、アクチュエータはシールドを回転させるように構成され得る。
【0018】
いくつかの実装は、下記の利点のうちの一又は複数を含み得る。このプロセスにより、臨界温度の高い高品質のNbNを確実に又は安定して堆積させることが可能になる。これにより、より高温で動作するデバイス、例えばSNSPDの製造が可能になり、よって、このようなデバイスはより実用的になる。デバイスは、より高い量子効率及び低い暗電流で製造することができる。デバイスはまた、低減されたタイミングジッタ及び迅速な検出応答で製造され得る。緩衝層、超電導膜、及びキャッピング層は、真空からワークピースを除去することなく単一ツールによって堆積され得る。これは、プロセス安定性及び製造可能性を有意に改善し、汚染、例えば酸化のリスクを低減させることができ、また、高い臨界温度の保全にも役立つ。
【0019】
一又は複数の実装の詳細を、添付図面及び以下の説明において明記する。その他の潜在的な特徴、態様、及び利点も、本明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】処理温度及び窒素原子百分率に応じた窒化ニオブ相を示す図である。
図2】金属窒化物を堆積させるためのリアクタの概略断面図である。
図3】さまざまな窒素流動値について測定された窒素流及び臨界温度に応じたターゲット上の電圧を示すグラフである。
図4】金属窒化物を堆積させるためのプロセスのフロー図である。
図5】動作中に超電導材料として使用するための金属窒化物相を含むデバイスの概略断面図である。
図6】シード層、金属窒化物、及びキャッピング層を堆積するためのリアクタの概略断面側面図である。
図7】シード層、金属窒化物、及びキャッピング層を堆積するためのクラスタツールの概略上面図である。
図8】異なる組成の複数の層を堆積するための処理チャンバの概略側面図である。
図9図8の処理チャンバの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
様々な図面における類似の参照番号及び名称は、類似した要素を示している。
【0022】
上に記載したとおり、窒化ニオブ、特にδ相NbNは、超電導材料としていくつかの利点を有する。しかしながら、δ相NbNは、満足のいく品質での堆積が困難であることがある。例えば、この相は、高真空(10-9Torr以下)と高可動性種(パルスDCにおける高温、高いピーク電力、及び低いデューティサイクル)とを必要とする場合がある。半導グレード堆積ツールは良好な均一性を提供することができるが、それらは、典型的には、約10-8Torrの最低真空用に構成されている。しかしながら、ポンプ容量を増加させ、水蒸気などの原子量の小さいガスを追加で捕捉することにより、真空性能を向上させることができる。
【0023】
別の点は、(超)電導層の下の緩衝層、例えば窒化アルミニウム(AlN)層が金属窒化物層の臨界温度の上昇を助けることができる点である。同様に、(超)電導層の上のキャッピング層、例えば、炭素層又は窒化ケイ素層は、金属窒化物層を保護すること、例えば酸化を防止することを助けることができる。キャッピング及び緩衝層は、典型的には、別個の堆積ツールにより提供される。残念ながら、金属窒化物の堆積に使用されるツールからワークピースを除去することは、汚染又は酸化をもたらし、それにより、臨界温度を低下させ得る。しかしながら、クラスタツールは、多数のチャンバを有するように構成され得、そのそれぞれは、真空環境からワークピースを除去することなく層を堆積することができる。又は、単一チャンバは、層のそれぞれを堆積するように構成され得、それにより、ワークピースを除去する必要を回避することができる。
【0024】
さらに別の点は、良好な堆積条件下でさえも、可能な限り高い臨界温度で膜を確実に堆積させることが困難であり得る点である。しかしながら、窒化ニオブの臨界温度は、窒素含有量に応じてヒステリシス効果を示し、窒素含有量が漸増又は漸減したかに応じて異なる臨界温度が得られることが発見された。層をワークピース上に堆積する前に窒素ガスを使用してチャンバの事前調整を実施することにより、プロセスは、このヒステリシス効果のより有利な曲線に従うことができる。結果として、高い臨界温度をより確実に得ることができる。
【0025】
堆積システム
ここで図2を参照すると、物理的気相堆積(PVD)リアクタ100は、真空チャンバ110を含む。チャンバ110は、側壁112、床114、及び天井116を含む、チャンバ壁によって囲まれている。ワークピース支持体120、例えば、ペデスタル又はサセプタは、チャンバ110の内部に位置決めされ得る。ワークピース支持体120は、チャンバ110内のワークピース10を支持する上面120aを有する。支持体120は、床114の上に上昇する。
【0026】
いくつかの実装では、温度制御システムは、支持体120の温度を制御することができる。例えば、温度制御システムは、ワークピース支持体120の表面120aに埋め込まれたか又は配置された抵抗加熱器と、加熱器に電気的に連結された電源とを含み得る。代替的に又は追加的に、冷却剤チャネルはワークピース支持体120に形成することができ、冷却剤サプライからの冷却剤は、ポンプによってチャネルを経由して流れることができる。
【0027】
いくつかの実装では、ワークピース支持体120の垂直位置は、例えば、垂直アクチュエータによって調整可能である。
【0028】
開口部118(例えば、スリットバルブ)は、チャンバ110の壁内に形成することができる。エンドエフェクタ(図示せず)は、ワークピース支持体120の支持表面120a上に基板を低下させるように、開口部118を通って延びて、基材10をリフトピン(図示せず)上に配置し得る。
【0029】
いくつかの実装では、支持体120、又は支持体内の電導性電極121(図8を参照)は、接地している。あるいは、外部電源136(図8を参照)、例えばDC又はRF電源は、バイアス電圧又はRF電力を支持体120又は支持体120内の電導性電極121に印加し、よって、バイアス電圧又はRF電力をワークピース10に印加するのに使用することができる。場合によっては、電源136は、RF整合ネットワーク137によって電極121に連結され得る(図8を参照)。
【0030】
スパッタシールド126は、チャンバ110の内部に位置決めされて、チャンバ側壁112上への材料のスパッタリングを防止し得る。
【0031】
電極130は天井116の一部を形成し、ターゲット140は電極130から支持され得る。電極130は、電源132に電気的に連結される。電源132は、パルスDC電圧を印加するように構成され得る。電源132は、RF整合ネットワーク133によって電極10に連結され得る。印加された電力は、500Wから20kWであり得、電圧は、200Vから600Vであり得、周波数は、50kHzから250kHzであり得、デューティサイクルは60-100%であり得る。
【0032】
ターゲット140は、金属窒化物が堆積される金属で形成された本体、例えばディスクである。設置時、ターゲットは、実質的に純粋な金属、例えば、実質的に純粋なニオブの本体であり得る。しかしながら、処理中、窒素は、ターゲットの表面と反応して、金属窒化物の表面層を形成することができる。
【0033】
真空ポンプ150は、チャンバ110を排気するため、例えば、ワークピース支持体120(例えば床112中)の下方の領域に開口部を有する通路によって、チャンバ110に連結されている。真空ポンプの例としては、スロットルバルブ又は絶縁バルブを有する排気ポンプ、低温ポンプ、及び機械ポンプによってバックアップされるターボポンプがある。図2は単一の真空ポンプを示しているが、いくつかの実装では、真空レベルを上昇させるために多数のポンプが使用され得る。一又は複数の真空ポンプ150のアセンブリは、チャンバを8×10-9Torr未満の真空に下げることができる。真空ポンプ150は、上昇した堆積温度で50nTorr/分未満の上昇速度を維持することができる。
【0034】
凝縮プレート152は、チャンバ110を真空ポンプ150に接続する通路に位置し得る。凝縮プレート152は、プレート152上で水が凝縮するのに十分に冷却された通路の表面を提供するか又はその中に位置決めされる。よって、凝縮プレート152は、水蒸気を捕獲/捕捉するよう作用し、凝縮することができる他の低分子は、したがって、そのようなガスがプラズマの一部を形成するのを防ぎ、金属窒化物膜中の不純物を減らす。
【0035】
ガス源160は、チャンバ110に流体連結されている。ガス源160には、窒素ガス(N)の供給源162と、不活性ガス、例えばアルゴン又はヘリウムガスの供給源164とが含まれる。窒素ガス及び不活性ガスの流量と、それによる流量の比とは、独立して制御可能なバルブ166及び質量流量コントローラによって制御され得る。図2はチャンバに入る別個の通路を示しているが、気体はチャンバ110に入る前に混合されることがあり、より複雑なガス分配器装置、例えばガス分配プレート又はシャワーヘッド、側壁を通る放射状通路のアレイなどは、チャンバ110中へガスを分配するのに使用することができる。
【0036】
適切な周波数での電力の印加及び電源132による電極130への電力の印加は、チャンバ110内のプラズマ111を点火することができる。特に、パルスDCバイアスは、電極130を通じてスパッタリングターゲット140へ印加することができ、ワークピース支持体120は電気的に浮遊し得る。チャンバ110内の結果として生じる電界は、スパッタリングガスをイオン化して、ターゲット140をスパッタするスパッタリングプラズマ111を形成し、ワークピース10上に材料の堆積をもたらす。プラズマ111は、典型的には、100ワットと20kワットの間、例えば1-5kワットのDC電力レベルを印加することにより生成される。電源132は、50kHzから250KHz、例えば200kHzの周波数でDCパルスを供給することができる。パルスのデューティサイクルは、50-100%、例えば、50-70%、又は60-100%であり得る。
【0037】
いくつかの実装では、磁石アセンブリ170は、チャンバ110の外側、例えば、天井116の上方に位置決めされる。磁石アセンブリ170は、イオンをプラズマ中にとどめ、基板10上のイオンエネルギーを増加させるのを助けることができる。
【0038】
コントローラ190、例えば、プロセッサ、メモリ、及びコンピュータプログラムを格納するための非一時的な記憶媒体を有するプログラムされた汎用コンピュータは、処理システム100を制御するためにさまざまな構成要素に結合され得る。
【0039】
光学発光センサ180は、プラズマ濃度の監視及び/又は堆積中のガス組成の監視に使用され得る。センサ180は、チャンバ110の外側に位置決めされ得るが、プラズマ111の視野を有するように、チャンバ壁、例えば側壁112を通じて窓182に隣接して配置され得る。必要に応じて、開孔184をシールド126内に形成して、センサ180にプラズマ111の明確な見通し線を提供することができる。光学発光センサ180は、プラズマ111中の窒素イオン濃度を測定することができる。いくつかの実装では、光学発光センサ180はまた、プラズマ111中の不活性ガスイオン濃度を測定することができる。光学発光センサ180は、これらの測定値をコントローラ190に提供することができる。
【0040】
コントローラ190は、ガス源160を制御して、測定されたイオン濃度に応じて窒素ガス及び/又は不活性ガスの流量を調整するよう構成され得る。例えば、コントローラ190は、フィードバックループ内で動作して、窒素イオン分圧を所望の分圧にするか又は窒素イオン濃度を所望の濃度にするようにガス流量を制御することができる。コントローラ190はまた、ガス源160のガス流量を制御して、安定したプラズマを維持するかつ/又はターゲット140の表面上で所望の条件を達成するよう、構成され得る。
【0041】
窒化ニオブの堆積
ワークピース処理ツール100は、ワークピース上に窒化ニオブ、特にδ相NbNの堆積を実施するのに利用され得る。一例では、ワークピース110は、窒化ニオブが上に堆積される緩衝層、例えば窒化アルミニウムを含む。
【0042】
図3は、窒素流に応じたターゲット上の電圧を示す。固定パルスDC電力がターゲットに印加された。ターゲットの電位は、地面に対して測定された。この電位は、ターゲットのスパッタ収率及びプラズマ中のイオン濃度に応じて変化することになる。概して、ターゲット電圧は、線形関係ではないが、臨界温度の代用値にすることができる。
【0043】
概して、高品質の膜は、より高い臨界温度の両方を示す。上に記したとおり、窒素含有量に応じた窒化ニオブの臨界温度はヒステリシス効果を示すことが、発見された。さらに図3を参照すると、連続するワークピースの窒素流量が増加している場合、ターゲット電圧は曲線202に従う。ニオブターゲットの表面は、ターゲット表面にNbNの薄層を形成するのに十分なNがチャンバ内に存在する場合、金属モードから「被毒」モードに移行すると考えられている。対照的に、連続するワークピースの窒素流量が減少している場合、ターゲット電圧は曲線204に従う。かさねて、N分圧が減少すると、ターゲットは「無毒」になり始め、金属モードに戻る。
【0044】
両曲線202,204について、ターゲット電圧は、急激に低下する直前に最大値を有する。これは、ターゲットが金属モードである場合にニオブが豊富な窒化ニオブ(NbN)膜が典型的に形成されるが、それに対して、ターゲットが被毒モードである場合に良好な化学量論及び所望の立方相が典型的に形成されるためであると考えられている。
【0045】
しかしながら、流量が連続して減少している場合(曲線204)、ターゲット電圧の低下はより低い窒素流量で生じる。このことは、ニオブターゲットが無毒化される分圧は、ニオブターゲットが被毒する分圧よりも低いことを示し得る。
【0046】
さらに、流量が連続して減少している場合、ターゲット電圧は、流量が連続して増加している場合(曲線202)と比較して、実際により高い値(206で示される)に達する。さらに、これらの流量で堆積された窒化ニオブの臨界温度の測定は、窒素流量が以前のプロセスと比較して増加ではなく減少した場合により高い臨界温度が達成され得ることを裏付ける。
【0047】
このヒステリシス効果を利用することが可能である。特に、層をワークピース上に堆積する前に窒素ガスを使用してチャンバの事前調整を実施することにより、プロセスは、このヒステリシス効果のより有利な曲線に従うことができる。結果として、高い臨界温度をより確実に得ることができる。
【0048】
図2及び4を参照すると、金属窒化物層を製造するためのプロセス260は、チャンバ110を事前調整すること(工程262)により開始する。チャンバ110は排気される。シャッタディスク、例えばワークピースとほぼ同じ直径であるがより厚い金属ディスクは、支持体120上に配置することができる(上に層が堆積されるワークピースはチャンバ110内に存在しない)。ガス分配アセンブリ160は、窒素ガスをチャンバ110に供給する。
【0049】
ガス分配アセンブリ160はまた、不活性ガス、例えばアルゴン又はヘリウムを、チャンバ100へ供給することができる。不活性ガスは窒素ガスを希釈するために使用可能で、これによりプラズマ密度を高めることができる。ガス分配アセンブリ146は、2から20mTorrの総圧力(窒素ガス及び不活性ガス)を確立することができる。この事前調整工程では、窒素ガスは、第1の流量、例えば15から40sccm、例えば20sccmで供給される。窒素ガス及び不活性ガスは、4:100から1:4、例えば4:100から1:1、例えば2:1から1:1の、窒素対不活性ガスの第1の比で供給され得る(比は、sccmにおける流量の比であり得る)。電力は、電極130に印加されて(例えば上に記載するように)、プラズマ111を誘導する。
【0050】
この調整プロセスは、例えば200-500℃の温度で、シャッタディスクを用いて行うことができる。事前調整プロセスは、例えば、60~300秒間続行できる。
【0051】
事前調整後、チャンバは、再度、排気され、例えば10-9Torrに低下され、ダミー基板は除去され、ワークピースがチャンバ110中へ及び支持体120上へ配置される。
【0052】
ここで、金属窒化物は、物理的気相堆積プロセス(工程264)によってワークピース上に形成され得る。ガス分配アセンブリ160は、窒素ガスをチャンバ110へ供給し、電力は、例えば上に記載するとおり、電極130へ印加されて、プラズマ111を誘導する。電源132は、堆積中に、事前調整におけるものと同じRF電力、周波数及びデューティサイクルを適用し得る。
【0053】
堆積工程では、窒素ガスは、第1の流量よりも低い第2の流量で供給され、その一方、不活性ガスの流量は、事前調整工程におけるものと同じままである。例えば、窒素ガスの第2の流量は、少なくとも2%低く、例えば、少なくとも10%低いことがある。例えば、第2の流量は、2-30%低く、例えば10-30%低いことがある。例えば、第2の流量は、15-18sccmであり得る。
【0054】
あるいは、窒素ガスの流量は、一定に保持され得るが、不活性ガスの流量は増加され得る。
【0055】
堆積工程では、窒素ガス及び不活性ガスは、3:100から1:6、例えば3:100から45:52、例えば1.5:1から1:3の、窒素対不活性ガスの、第2の比で供給され得る(比は、sccmにおける流量の比であり得る)。第2の比は、第2の比よりも小さく、例えば少なくとも2%低く、例えば少なくとも10%低い。例えば、第2の比は、2-30%低く、例えば10-30%低いことがある。
【0056】
この物理的気相堆積プロセスは、例えば200-500℃の温度でワークピースを用いて行うことができる。ワークピースは、事前調整プロセスにおけるシャッタディスクと同じ温度で処理され得る。堆積処理は、例えば、10~600秒間続行できる。
【0057】
適切な周波数とデューティサイクルで電力を電極130に印加すると、チャンバ110内のプラズマが点火する。プラズマは、ターゲット130からワークピース10上への材料のスパッタリングを引き起こす。プラズマ中に窒素が存在することにより、窒素と金属の組み合わせ、例えば窒化ニオブがワークピース上に堆積される。事前調整プロセスは、堆積プロセスの最初から最後まで、正しい化学量論と結晶品質のNbNの堆積を可能にし得る。
【0058】
δ相NbNを形成するための物理的気相堆積の適切な処理条件は、処理チャンバの構成などの違いにより変動が生じ得るが、上記の範囲内である必要がある。必要に応じて、適切な処理条件は経験的に決定することができる。
【0059】
そして、チャンバ110は再度排気されて、ワークピースは除去される。
【0060】
上記は窒化ニオブに焦点を当てているが、これらの技法は、他の金属窒化物、例えばニオブと別の金属の混合物の窒化物、例えばNbTiNに適用することができる。
【0061】
多層デバイス
図5は、超電導材料として使用するための金属窒化物層226を含むデバイス220中のいくつかの層の概略図である。デバイス220は、超電導ナノワイヤ単一光子検出器(SNSPD)、超電導量子干渉デバイス(SQUID)、量子コンピュータ中の回路等であり得る。図6は、層の製造方法のフローチャートである。
【0062】
最初に、緩衝層224は基板222上に堆積され得る(工程250)。基板は、例えば、ケイ素ウエハであり得る。基板222は、単一ブロックとして示されているが、多数の下層を含み得る。
【0063】
緩衝層224は、特に金属窒化物層が薄いときに、金属窒化物の臨界温度を改善するのを助ける材料であり得る。代替的に又は追加的に、緩衝層224は、金属窒化物層226と基板222との間の接着を改善することができる。緩衝層224は、誘電性又は電導性であり得るが、デバイス200の操作温度で超電導性ではない。いくつかの実装では、緩衝層224は、層226に使用される金属窒化物とは異なる金属窒化物で形成されている。例えば、緩衝層224は、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化ガリウム(GaN)、又は窒化インジウム(InN)で形成され得る。あるいは、緩衝層224は、炭化物、例えば炭化ケイ素で形成され得る。緩衝層は、(002)c軸結晶配向を有し得る。緩衝層224は、標準的な化学気相堆積又は物理的気相堆積によって堆積され得る。
【0064】
次に、金属窒化物層226は、緩衝層上に堆積される(工程260)。金属窒化物層226は、二段階プロセス260及び上記のシステム100を使用して堆積され得る。
【0065】
金属窒化物層226が堆積された後、キャッピング層228が金属窒化物層226上に堆積され得る(工程270)。キャッピング層228は、保護層として機能し、例えば、金属窒化物層226の酸化又は他の種類の汚染若しくは損傷を防止する。キャッピング層228は、誘電性又は電導性であり得るが、デバイス200の操作温度で超電導性ではない。いくつかの実装では、キャッピング層228は、層226に使用される金属窒化物の金属とは異なる材料の窒化物である。いくつかの実装では、キャッピング層228は、層226に使用される金属窒化物の金属とは異なる金属である。キャッピング層228の材料の例には、炭素、ケイ素、窒化チタン(TiN)、及び窒化ケイ素(SiN)が含まれる。緩衝層224は、標準的な化学気相堆積又は物理的気相堆積によって堆積され得る。
【0066】
少なくとも金属窒化物層226を通じてトレンチ230を形成して、電導線、又はデバイスに必要な他の構造体を形成するのに、エッチングが使用され得る(工程280)。図4は、緩衝層224を通って延びるトレンチを示しているが、金属窒化物層226及びキャッピング層228、他の構成が可能である。例えば、緩衝層224及びキャッピング層228がどちらも誘電体である場合、エッチングは、金属窒化物層226のみを通じて延び得る。この場合、エッチング工程280は、キャッピング層を堆積する工程270の前に実施され得る。結果として、キャッピング層228は、金属窒化物アイランド間の領域で緩衝層224に直接接触し得る。例えば、緩衝層224及びキャッピング層228がどちらも誘電体である場合、エッチングは、金属窒化物層226のみを通じて延び得る。別の例として、エッチは、金属窒化物層226と緩衝層224又はキャッピング層228(両方ではない)とを通じて延び得る。
【0067】
多層製造のためのツール
上記のとおり、堆積に使用されるツールからワークピースを除去することは、汚染又は酸化をもたらし、それにより、臨界温度を低下させ得る。
【0068】
この問題を回避するための一つの技法は、多数のチャンバを有するクラスタツールを使用することである。多数のチャンバのそれぞれは、真空環境からワークピースを除去することなく層を堆積することができる。図7は、緩衝層、金属窒化物層、及びキャッピング層を堆積するためのクラスタツール300の概略上面図である。クラスタツール300は、一又は複数の中央真空チャンバ310と、ワークピースがカセットを受け取る一又は複数のfabインターフェースユニット315と、ワークピースをfabインターフェースユニット315から処理チャンバ間の他の処理チャンバへ移し、及び処理チャンバからfabインターフェースユニット315へ戻すための一又は複数のロボット320と、を含む。
【0069】
クラスタツール300の処理チャンバは、緩衝層の堆積のため、例えば窒化アルミニウム(AIN)の堆積のための一又は複数の物理的気相堆積チャンバ325と、金属窒化物層の堆積のための一又は複数の物理的気相堆積チャンバ、例えば上記の物理的気相堆積チャンバ100と、キャッピング層の堆積のため、例えば炭素層の堆積のための一又は複数の物理的気相堆積チャンバ330と、を含む。チャンバは、適切なスリットバルブによって分離され得る。クラスタツール300は、コントローラ350、例えば汎用プログラム可能コンピュータによって制御され得る。
【0070】
真空からワークピースを除去する必要性を回避するための別の技法は、層のそれぞれを単一のチャンバ内に堆積させることである。図8は、異なる組成の多数の層を堆積するための物理的気相堆積リアクタ400の概略側面図である。例えば、物理的気相堆積リアクタ400は、緩衝層、金属窒化物層、及びキャッピング層を堆積するのに使用され得る。図9は、物理的気相堆積リアクタ400の上面図である(図8は、図9の切断線8-8に沿って考えられ得る)。
【0071】
物理的気相堆積リアクタ400は、物理的気相堆積リアクタ100と類似の方法で構築されるが、三つの別個のターゲット140a、140b、140cを含む(他の層に必要な場合、追加のターゲットが存在し得る)。ターゲットは、リアクタ400のチャンバ110の天井116上に支持され得る。各ターゲットは、個別の電極130a-130c上に支持される。異なる電極130a-130cは、共通の電源132に、又は異なる電源132に連結され得る。
【0072】
回転可能なシールド410は、チャンバ110の内部に位置決めされ、すべての電極130によって共有される。シールド410は、シャフト420によって天井116から懸架され、シャフトは、アクチュエータ422によって垂直軸426に対して回転され得る(矢印Aによって示される)。いくつかの実装では、アクチュエータ422はまた、シールド410を垂直に移動させることができる(矢印Bによって示される)。
【0073】
回転可能なシールド410は、対応するターゲットを露出させるための孔412を有し得る。シールド410は、有利には、複数のターゲット140a-140c間の相互汚染を制限又は排除する。回転可能なシールド140は、スパッタされていない各ターゲットのためのポケット414も有し得る。例えば、3つの電極130が提供されるいくつかの実施態様では、シールド410は、一度に一つのターゲットを露出するための孔412と、スパッタされていないターゲットを収容するための2つのポケット414とを含み得る。シールド410を回転させることにより、異なるターゲットが露出及び操作され得る。
【0074】
いくつかの実施態様では、物理的気相堆積リアクタ400は、天井116へのシールド116の改善された接地を提供するための複数の接地リング430を含む。
【0075】
3つのターゲット140a、140b、140cは、異なる材料、例えばスパッタされる材料で形成されて、それぞれ、緩衝層、金属窒化物層、及びキャッピング層を形成する。例えば、第1のターゲット140aは、緩衝層に使用される要素又は化合物の非窒素成分、例えば金属から構成され得る。例えば、緩衝層が窒化アルミニウムで形成される場合、第1のターゲット140aはアルミニウムであり得る。第2のターゲット140bは、超電導層に使用される化合物の非窒素成分、例えば金属であり得る。例えば、超電導層が窒化ニオブで形成される場合、第2のターゲット140aはニオブであり得る。第3のターゲット140bは、キャッピング層で使用される要素又は化合物の非窒素成分、例えば、炭素、ケイ素、又はチタンであり得る。
【0076】
動作中、アクチュエータ422は、開孔412が第1のターゲット140aと整列され、他のターゲットが覆われるように、シールド410を回転させる。真空ポンプ150は、チャンバ110を排気し、ガス源160はスパッタリングガスをチャンバ110へ供給し、電源132は、電極130aに電力を印加して、チャンバ内にプラズマを生成する。プラズマは、第1のターゲット140aの材料のスパッタリングを引き起こし、基板10上への緩衝層の物理的気相堆積をもたらし得る。適切な場合、ガス源は、第1のターゲット140aの材料を有する化合物を形成する窒素又は別のガスを供給し得る。例えば、窒化アルミニウムが堆積される場合、第1のターゲット140aはアルミニウムであり得、ガス源は、不活性ガス、例えばアルゴンと、窒素の両方を供給し得る。第1のターゲット140aの材料が実質的に純粋な元素として堆積される場合、ガスは、不活性元素、例えばアルゴン又はキセノンのみを含み得る。
【0077】
緩衝層の堆積が完了すると、チャンバ110は排気され、アクチュエータ422は、開口部412が第2のターゲット140bと整列され、他の二つのターゲットが覆われるように、シールド410を回転させる。金属窒化物層の材料、例えば窒化ニオブは、本明細書に記載される方法に従って堆積され得る。
【0078】
金属窒化物層の堆積が完了すると、チャンバ110は排気され、アクチュエータ422は、開口部412が第3のターゲット140cと整列されるように、シールド410を回転させる。キャッピング層の材料は、緩衝層について上に記載されるものと類似の方法で堆積され得る。チャンバ110は、再度排気され得、ワークピースが、例えばロボットにより、除去される。
【0079】
コントローラ
コントローラ、例えばコントローラ190及び/又はコントローラ150は、デジタル電子回路において、又はコンピュータのソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェアにおいて、又はそれらの組み合わせにおいて、実装され得る。コントローラは、一又は複数のプロセッサを含み得る。例えば、コントローラは分散システムであり得る。一又は複数のコンピュータプログラム製品(すなわち、機械可読記憶媒体において有形に具現化された一又は複数のコンピュータプログラム製品)は、コントローラ(例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータ)によって実行され得る、又はその動作を制御し得る。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション又はコードとしても既知である)は、コンパイル型言語又はインタプリタ型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書かれてよく、かつ、スタンドアローンプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に適するその他のユニットとして含め、任意の形態でデプロイされ得る。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルに対応しているわけではない。プログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部分に、当該プログラム専用の単一のファイルに、又は、複数の連携ファイル(例えば、一又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの部分を記憶する複数のファイル)に記憶され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータで若しくは一箇所にある複数のコンピュータで実行されるようデプロイされても、複数箇所にわたって分散配置されて通信ネットワークによって相互接続されてもよい。
【0080】
この明細書に記載のコントローラの動作は、入力データで動作しかつ出力を生成することによって機能を実施するために一又は複数のコンピュータプログラムを実行する、一又は複数のプログラマブルプロセッサによって実施され得る。コントローラの動作は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)といった特殊用途の論理回路によって実施されてもよく、装置が、かかる特殊用途の論理回路として実装されることも可能である。
【0081】
特定の実装について説明したが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく、他のさらなる実装が考案され得る。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記述がなくても、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。しかしながら、図面は例示的な実施形態のみを示すことに留意されたい。発明の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属窒化物層を有するデバイスの製造のためのクラスタツールであって、
ワークピースを保持するカセットを受け取るためのロードロックチャンバと、
中央真空チャンバと;
前記中央真空チャンバの周りの及びそれに連結されたクラスタ形状に配置された複数の堆積チャンバであって、第1のターゲットを有する第1の堆積チャンバと、第2のターゲットを有する第2の堆積チャンバと、第3のターゲットを有する第3の堆積チャンバとを含む複数の堆積チャンバと;
前記中央真空チャンバと前記ロードロックチャンバと複数の堆積チャンバとの間でワークピースを運搬するためのロボットと;
コントローラであって、前記ロボットが前記ワークピースを前記第1の堆積チャンバへ運搬して前記第1の堆積チャンバが前記ワークピース上に緩衝層を堆積させるように、かつ、前記ロボットが前記ワークピースを前記第1の堆積チャンバから前記第2の堆積チャンバへ運搬して前記第2の堆積チャンバが前記緩衝層上に8K超の温度で超電導体としての使用に適した金属窒化物層を堆積させるように、かつ、前記ロボットが前記ワークピースを前記第2の堆積チャンバから前記第3の堆積チャンバへ運搬して前記第3の堆積チャンバが前記金属窒化物層上にキャッピング層を堆積させるように、構成されている、コントローラであって、前記緩衝層、前記金属窒化物層及び前記キャッピング層は全て、真空から前記ワークピースを除去することなく堆積され、これにより、酸化による前記金属窒化物層の臨界温度の低下が回避される、コントローラと、
を含む、ツール。
【請求項2】
第2の堆積チャンバが、前記第2の堆積チャンバ内に前記ワークピースを保持するための支持体と、金属ターゲットを支持するための電極とを含み、前記ツールが、前記第2の堆積チャンバを排気するための真空ポンプと、窒素ガス及び不活性ガスを前記第2の堆積チャンバへ供給するためのガス供給部と、電力を前記電極に印加するための電源とを含む、請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記コントローラが、
上に金属窒化物層が堆積されるワークピースが前記第2の堆積チャンバ内に配置される前に、前記ガス供給部が窒素ガス及び前記不活性ガスを第1の流量比で前記第2の堆積チャンバ内へ流すよう、かつ前記電源が前記第2の堆積チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して、前記第2の堆積チャンバを事前調整するよう、構成されており、かつ
前記ワークピースが前記第2の堆積チャンバ内に配置された後に、前記ガス供給部が窒素ガス及び前記不活性ガスを第2の流量比で前記第2の堆積チャンバ内へ流すよう、かつ前記電源が前記第2の堆積チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して、物理的気相堆積によって前記ワークピース上に前記金属窒化物層を堆積させるよう、構成されており、前記第2の流量比が前記第1の流量比よりも小さい、
請求項2に記載のツール。
【請求項4】
物理的気相堆積システムであって、
チャンバを形成するチャンバ壁と、
前記チャンバの上部に、第1のターゲットを保持するための第1のターゲット支持体と、第2のターゲットを保持するための第2のターゲット支持体と、第3のターゲットを保持するための第3のターゲット支持体と、
可動シールドであって、前記チャンバ内に位置決めされ、当該可動シールドを通る開口部を有する、可動シールドと、
前記可動シールドを移動させるためのアクチュエータと、
前記チャンバの下部にワークピースを保持するためのワークピース支持体と、
前記チャンバを排気するための真空ポンプと、
窒素ガス及び不活性ガスを前記チャンバへ送達するためのガス供給部と、
第1のターゲット、第2のターゲット、又は第3のターゲットに選択的に電力を印加するための電源と、
コントローラであって、
前記アクチュエータが前記シールドを移動させて前記開口部を前記第1のターゲットに隣接して位置決めするように、かつ前記ガス供給部が第1のガスを前記チャンバ内へ流すように、かつ前記電源が前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して前記ワークピース支持体上の前記ワークピース上に第1の材料の緩衝層を堆積させるように構成されており、
かつ、前記アクチュエータが前記シールドを移動させて前記開口部を前記第2のターゲットに隣接して位置決めするように、かつ前記ガス供給部が第2のガスを前記チャンバ内へ流すように、かつ前記電源が前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して前記緩衝層上に8K超の温度で超電導体としての使用に適した金属窒化物である、前記の材料とは異なる組成である第の材料のデバイス層を堆積させるように構成されており、
かつ、前記アクチュエータが前記シールドを移動させて前記開口部を前記第3のターゲットに隣接して位置決めするように、かつ前記ガス供給部が第3のガスを前記チャンバ内へ流すように、かつ前記電源が前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して前記デバイス層上に、前記第1の材料及び前記第2の材料とは異なる組成である第3の材料のキャッピング層を堆積させるように構成されており
前記緩衝層、前記金属窒化物層及び前記キャッピング層は全て、真空から前記ワークピースを除去することなく堆積され、これにより、酸化による前記金属窒化物層の臨界温度の低下が回避される
コントローラと、
を含む、システム。
【請求項5】
前記第1のターゲットと、前記第2のターゲットと、前記第3のターゲットとを含、前記第1のターゲットが前記第2のターゲットの金属以外の金属を含み、前記第1のガスが窒素ガスを含み、前記第2のターゲットがニオブを含み、前記第2のガスが窒素ガスを含み、前記第3のターゲットが、炭素、ケイ素、又は前記第2のターゲットの金属以外の金属を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラが、
前記第の材料の前記デバイス層の堆積前に、前記ガス供給部が窒素ガス及び前記不活性ガスを第1の流量比で前記チャンバ内へ流すよう、かつ前記電源が前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して、前記チャンバを事前調整するよう、構成されており、かつ
前記第の材料の前記デバイス層の堆積のために、前記ガス供給部が窒素ガス及び前記不活性ガスを第2の流量比で流すよう構成されており、前記第2の流量比が前記第1の流量比よりも小さい、
請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
ワークピース上にデバイスを形成する方法であって、
ロボットを用いて前記ワークピースをロードロックチャンバから中央真空チャンバを通って第1の堆積チャンバ内へ運搬することと、
前記第1の堆積チャンバ内の前記ワークピース上に緩衝層を堆積することと、
前記ロボットを用いて前記ワークピースを前記第1の堆積チャンバから前記中央真空チャンバを通って第2の堆積チャンバへ運搬することと、
前記第2の堆積チャンバ内の前記緩衝層上に8K超の温度で超電導体としての使用に適した金属窒化物層を堆積することと、
前記ロボットを用いて前記ワークピースを前記第2の堆積チャンバから前記中央真空チャンバを通って第3の堆積チャンバへ運搬することと、
前記第3の堆積チャンバ内の前記金属窒化物層上にキャッピング層を堆積することと、
を含み、
前記緩衝層、前記金属窒化物層及び前記キャッピング層は全て、真空から前記ワークピースを除去することなく堆積され、これにより、酸化による前記金属窒化物層の臨界温度の低下が回避される、方法。
【請求項8】
前記金属窒化物層が窒化ニオブ又はニオブ合金窒化物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記緩衝層が、前記金属窒化物層の金属とは異なる金属の窒化物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記キャッピング層が、炭素、ケイ素、前記金属窒化物層の金属とは異なる金属、又は前記金属窒化物層の金属とは異なる材料の窒化物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記緩衝層を堆積することと、前記金属窒化物層を堆積することと、前記キャッピング層を堆積することとのそれぞれが、プラズマを生成してターゲットをスパッタすることを含む物理的気相堆積を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
ワークピース上にデバイスを形成する方法であって、
第1のターゲットと、第2のターゲットと、第3のターゲットと、可動シールドであって、当該可動シールドを通る開口部を有する可動シールドとを有するチャンバ内に前記ワークピースを支持することと、
前記チャンバを排気することと、
前記可動シールドを回転させて、前記開口部を前記第1のターゲットに隣接して位置決めすることと、
第1のガスを前記チャンバ内へ流し、前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して前記ワークピース上に緩衝層を堆積させることと、
前記可動シールドを回転させて、前記開口部を前記第2のターゲットに隣接して位置決めすることと、
第2のガスを前記チャンバ内へ流し、前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して前記緩衝層上に8K超の温度で超電導体としての使用に適した金属窒化物層を堆積させることと、
前記可動シールドを回転させて、前記開口部を前記第3のターゲットに隣接して位置決めすることと、
第3のガスを前記チャンバ内へ流し、前記チャンバ内のプラズマを点火するのに十分な電力を印加して前記金属窒化物層上にキャッピング層を堆積させることと、
を含み、
前記緩衝層、前記金属窒化物層及び前記キャッピング層は全て、真空から前記ワークピースを除去することなく堆積され、これにより、酸化による前記金属窒化物層の臨界温度の低下が回避される、方法。
【請求項13】
前記金属窒化物層が窒化ニオブ又はニオブ合金窒化物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記緩衝層が、前記金属窒化物層の金属とは異なる金属の窒化物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記キャッピング層が、炭素、ケイ素、前記金属窒化物の金属とは異なる金属、又は前記金属窒化物層の金属とは異なる材料の窒化物を含む、請求項12に記載の方法。
【外国語明細書】