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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182630
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】クライオポンプ
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/14 20060101AFI20231219BHJP
   F25B 9/00 20060101ALI20231219BHJP
   F04B 37/16 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C09K5/14 F
F25B9/00 D ZAB
F04B37/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023154005
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2020549393の分割
【原出願日】2019-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2018185628
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】303058328
【氏名又は名称】東芝マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河本 崇博
(72)【発明者】
【氏名】江口 朋子
(72)【発明者】
【氏名】山下 知大
(72)【発明者】
【氏名】萩原 将也
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 明子
(72)【発明者】
【氏名】碓井 大地
(57)【要約】
【課題】極低温領域において比熱が大きくかつ磁化が小さくさらに製造性が良好である蓄冷材を充填して高効率で性能に優れるクライオポンプを提供する。
【解決手段】実施形態のクライオポンプは、ThCr2Si2型構造が80体積%以上占める金属間化合物からなる粒体であり結晶子サイズが70nm以下である蓄冷材を収容した冷凍機を搭載したものであって、前記蓄冷材は、前記ThCr2Si2型構造において、ThサイトはLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc及びYからなる群から選択される少なくとも1種の元素で、CrサイトはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni及びCuからなる群から選択される少なくとも1種の元素で、SiサイトはSi及びGeから選択される少なくとも1種の元素であることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ThCr2Si2型構造が80体積%以上占める金属間化合物からなる粒体であり、結晶子サイズが70nm以下である蓄冷材を収容した冷凍機を搭載したクライオポンプであって、
前記蓄冷材は、前記ThCr2Si2型構造において、ThサイトはLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc及びYからなる群から選択される少なくとも1種の元素で、CrサイトはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni及びCuからなる群から選択される少なくとも1種の元素で、SiサイトはSi及びGeから選択される少なくとも1種の元素であることを特徴とするクライオポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載のクライオポンプであって、前記冷凍機は、
第1蓄冷器が往復動自在に配置されている第1シリンダと、
前記第1シリンダと同軸的に接続され前記蓄冷材を充填した第2蓄冷器が往復動自在に配置されている第2シリンダと、を備えているクライオポンプ。
【請求項3】
請求項2に記載のクライオポンプであって、
前記第2蓄冷器に、Pb、Bi、HoCu、ErNi、及びGdSの少なくとも1種の粒子が充填されていることを特徴とするクライオポンプ。
【請求項4】
請求項3に記載のクライオポンプであって、
前記第2蓄冷器の高温側にPb、Bi、HoCu2及びEr3Niの少なくとも一種の粒子が充填されていることを特徴とするクライオポンプ。
【請求項5】
請求項3に記載のクライオポンプであって、
前記第2蓄冷器の低温側に、GdS、HoCu、ErNiの少なくとも1種の粒子が充填されていることを特徴とするクライオポンプ。
【請求項6】
請求項3に記載のクライオポンプであって、
前記第2蓄冷器の高温側にPb及びBiの少なくとも一種の粒子が充填され、低温側に、GdS、HoCu、ErNiの少なくとも1種の粒子が充填されていることを特徴とするクライオポンプ。
【請求項7】
請求項3に記載のクライオポンプであって、
前記第2蓄冷器は、異なる種類の前記粒子が三層以上充填されていることを特徴とするクライオポンプ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のクライオポンプであって、
前記蓄冷材の充填率が50~75%であることを特徴とするクライオポンプ。
【請求項9】
請求項2から請求項7のいずれか1項に記載のクライオポンプであって、
前記第1蓄冷器には、銅合金メッシュ及びステンレスメッシュの少なくとも一種が収容されていることを特徴とするクライオポンプ。
【請求項10】
請求項2から請求項7のいずれか1項に記載のクライオポンプであって、
前記第2シリンダの径は、前記第1シリンダの径よりも小さいことを特徴とするクライオポンプ。
【請求項11】
請求項2から請求項7のいずれか1項に記載のクライオポンプであって、
前記蓄冷材の粒径が0.01mm~1mmの範囲に含まれ、
投影像の面積をAとし前記投影像に外接する最小の外接円の面積をMとした場合、全ての投影方向において、M/Aで表される形状係数が1.0~5.0の範囲に含まれることを特徴とするクライオポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、極低温で使用される蓄冷材を適用したクライオポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴画像装置(Magnetic Resonance Imaging system:MRI)や重粒子線加速器等に利用されている超電導電磁石は、数十K以下の極低温環境において動作する。通常、この極低温環境はギフォードマクマホン(Gifford-McMahon:GM)冷凍機に代表される蓄冷式の冷凍機により実現される。
【0003】
冷凍機には、使用温度域ごとに比熱の大きい、数種の蓄冷材が利用されている。現在幅広く使われているGM冷凍機では、一段目蓄冷器にCuメッシュを、二段目蓄冷器の高温側にPb、Bi合金の球状粒子を、二段目蓄冷器の低温側にGd22S(GOS),HoCu2、Er3Ni等の希土類系化合物の粒子を、蓄冷材として用いている。このような蓄冷材の中でGOSは、5K近傍の温度領域で高い比熱特性を有している。
【0004】
ところで、GOS等の酸化物蓄冷材を合成するには、原料物質の合成、造粒、高温での焼結、研磨による真球仕上げ等といった、多段階のプロセスが必要である。
【0005】
また、極低温を実現する冷凍機の多くは、超電導コイルを冷却するために使用される。このため蓄冷材の磁化が大きい場合、超電導コイルで発生する磁場により蓄冷材が大きな力を受け、蓄冷材の入っているシャフトが壊れる等、冷凍機の信頼性が低下する場合もある。さらに、上述の通り、超電導コイルはMRIなどに使用されるが、蓄冷材の磁化が大きいと、蓄冷材由来の磁気ノイズなどにより画像にノイズが入ることもある。このため、蓄冷材の磁化は小さいことが要求される。
【0006】
またGM冷凍機、パルスチューブ冷凍機、スターリング冷凍機などの冷凍機では、蓄冷器内に充填された蓄冷材の間隙を、高圧の作動ガスが往復流動する。さらに、GM冷凍機やスターリング冷凍機では、蓄冷材を充填した蓄冷器が振動運動する。従って、蓄冷材には機械的強度が要求される。
【0007】
原料物質の合成、造粒、高温での焼結、研磨による真球仕上げ等の多段の製造プロセスを必要とする酸化物に対して、溶融して凝固する単純なプロセスで製造が可能な金属間化合物が、蓄冷材の製造の観点から好ましい。金属間化合物の蓄冷材候補として、RCu(R=Pr,Nd,Sm,Gd、Tb,Dy,Ho,Er,Tm,X=Si,Ge)は、極低温において大きな比熱を有することが知られている。
【0008】
しかしながら、RCu系の金属間化合物は、例えば原料をアーク溶解法により溶融した後、得られたインゴットを真空中で高温かつ長時間の均一化熱処理(例えば800度で1週間など)を施すことで作製されている。このように、溶融凝固の後に高温長時間の熱処理プロセスを要すると、工業的な量産へ適用する場合にコスト上昇を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平09-014774号公報
【特許文献2】特開平06-101915号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】L. Gonedek, et. al., Acta Phys Pol A 122, 391 (2012).
【非特許文献2】Y. Takeda, et. al., J. Phys. Soc. Jpn. 77, 104710 (2008).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
極低温領域において比熱が大きくかつ磁化が小さくさらに製造性が良好である蓄冷材を充填して高効率で性能に優れるクライオポンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態のクライオポンプは、ThCr2Si2型構造が80体積%以上占める金属間化合物からなる粒体であり結晶子サイズが70nm以下である蓄冷材を収容した冷凍機を搭載したものであって、前記蓄冷材は、前記ThCr2Si2型構造において、ThサイトはLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc及びYからなる群から選択される少なくとも1種の元素で、CrサイトはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni及びCuからなる群から選択される少なくとも1種の元素で、SiサイトはSi及びGeから選択される少なくとも1種の元素であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る蓄冷材の結晶構造を示すThCr2Si2型構造の模型図。
図2】第1実施形態に係る蓄冷材の粒体形状の説明図。
図3】第2実施形態に係る冷凍機として例示される2段膨張式のGM冷凍機の断面図。
図4】第3実施形態に係る超電導コイル組込装置として例示されるMRI装置の断面図。
図5】粉末X線回折法による実施例1(上段)及び比較例1(下段)の測定結果を示すグラフ。
図6】実施例1及び比較例1の極低温領域における比熱特性を示すグラフ。
図7】粉末X線回折法による実施例1(上段)及び比較例2(下段)の測定結果を示すグラフ。
図8】実施例1から実施例7及び比較例1から比較例14において、DyCu2Ge2、DyCu2Si2、GdCu2Si2、PrCu2Si2、TbCu2Si2金属間化合物の結晶子サイズ、ThCr2Si2型構造の体積%、微粉化した試料の割合、比熱のピーク温度、比熱のピーク値を表したテーブル。
図9】実施例1の極低温領域の磁化特性を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、実施形態について詳細に説明する。図1は第1実施形態に係る蓄冷材の結晶構造を示すThCr2Si2型構造11の模型図である。第1実施形態に係る蓄冷材は、ThCr2Si2型構造11が80体積%以上占める金属間化合物からなる粒体であり、結晶子サイズが70nm以下である。
【0015】
そして、このThCr2Si2型構造11において、Thサイト12はLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc及びYからなる群から選択される少なくとも1種の元素で、Crサイト13はTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Ir及びPtからなる群から選択される少なくとも1種の元素で、Siサイト14はSi及びGeから選択される少なくとも1種の元素である。
【0016】
後述するGM冷凍機等の冷凍機では、蓄冷器内に充填された蓄冷材の間隙を、Heガスなどの作動ガスが往復流動し、気体の圧縮・膨張サイクルで生成した熱を蓄冷材に蓄えることで室温から極低温に冷却する。従って、冷凍機に搭載される蓄冷材は、動作する温度範囲において大きな比熱特性が要求される。
【0017】
この金属間化合物に占めるThCr2Si2型構造11が80体積%以上であることにより、極低温領域において高い比熱特性を有する蓄冷材が得られる。なお金属間化合物に占めるThCr2Si2型構造11が80体積%未満であると、極低温領域の蓄冷材として挙がる一般的な物質よりも比熱特性が劣化する場合がある。なおThCr2Si2型構造の体積%は粉末X線回折法のリートベルト解析や、走査型電子顕微鏡観察による複数視野の相の比率の評価から算出できる。
【0018】
またGM冷凍機やスターリング冷凍機では、蓄冷材が充填された蓄冷器が振動運動するため、蓄冷材には機械的強度が要求される。そこで、蓄冷材の結晶子サイズが70nm以下と微細であることにより、蓄冷材の優れた機械的強度が確保される。結晶子サイズLは、X線回折パターンにおけるピークの幅(半値幅)βを評価し、Scherrerの式((1)式)を用いて算出される。結晶子サイズが小さいとX線回折パターンの半値幅は大きくなる。
L=Kλ/(βcosθ) (1)(但し、K;Scherrer定数、λ;使用X線の波長)
なお機械的強度は振動試験により評価することができる。
【0019】
蓄冷材の結晶子サイズが70nmより大きいと機械的強度に劣り、使用期間の経過とともに粒体が疲労破壊し微粉化して、冷凍機の所定の性能が維持できなくなる。一方、結晶子サイズは1nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。
【0020】
図2は第1実施形態に係る蓄冷材の粒体形状の説明図である。蓄冷材の粒体の粒径において、粉体の最も長い方向における長さをφmax、最も長い方向に対して垂直方向で最も長い部分の長さをφminとした場合に、φmaxとφminは0.01mm~1mmの範囲に含まれ、さらに好ましくは0.05mm~0.5mmの範囲に含まれる。そして、この蓄冷材の投影像15の面積をAとしこの投影像15に外接する最小の外接円16の面積をMとした場合、全ての投影方向において、M/Aで表される形状係数が1.0~5.0の範囲に含まれている。
【0021】
蓄冷材の粒体の粒径が0.01mm~1mmの範囲に含まれることにより、後述する冷凍機において、蓄冷材が充填された蓄冷器で往復流動する作動ガス(Heガス)の流れが妨げられず、さらに作動ガスと蓄冷材との良好な熱交換が実現される。蓄冷材の粒体粒径が、0.01mm(10μm)未満であると、蓄冷材の粒子間の間隙、すなわち作動ガスが流れる空間が狭くなり、気体の圧力損失が増大するおそれがある。また蓄冷材の粒体粒径が、1mmよりも大きいと、蓄冷器内における蓄冷材の充填率が低下し、作動ガスと蓄冷材との熱交換が低下するおそれがある。
【0022】
このような蓄冷材の製造は、上述したThCr2Si2型構造11を取り得る金属間化合物の成分元素をその量論比で配合し溶融する工程と、この溶融した液体を動的な冷却媒体に注入し急冷凝固させ粒体にする工程と、を少なくとも経ることにより実施される。
【0023】
つまり、ThCr2Si2型構造11の量論比となるように配合された元素金属を、高周波誘導加熱などで溶融する。そして、金属溶湯を、真空又は不活性ガスの雰囲気に設置した高速回転体の走行面に供給する。この金属溶湯は、回転体の運動によって微細に分散されると同時に急冷凝固されて、球状の粒体を形成する。もしくは、上述の金属溶湯を、真空又は不活性ガスの雰囲気に流出させ、非酸化性のアトマイズ用ガスを作用させる。これにより、金属溶湯は霧化分散すると同時に急冷凝固されて、球状の粒体を形成する。
【0024】
上述した金属溶湯を急冷凝固する具体的な方法として、回転円板法(RDP:Rotary Disc Process法)、単ロール法、双ロール法、イナートガスアトマイズ法、回転ノズル法などが挙げられる。これら方法によれは、金属溶湯を105~106℃/sの冷却速度で急冷することができる。この手法により、非常に簡便に、かつ、低コストでThCrSi型構造の金属間化合物を粒状に製造することができる。なおこれら金属溶湯の急冷凝固法の詳細は、特許2609747号等に説明されている。
【0025】
ところで、ThCr2Si2型構造の金属間化合物に、磁気相転移温度が異なる金属間化合物を加えることで、蓄冷材の単位体積あたりの比熱特性を高めることができる。例えば、ThCr2Si2型構造の金属間化合物に、AlB2型およびLiGaGe型構造を持つ相が存在すると、4-20K域の比熱を増大させることができる。またThCr2Si2型構造の金属間化合物に、Gd3Cu4Ge4型構造を持つ相が存在すると、7-50K近傍の比熱を増大させることができる。しかし、ThCr2Si2型以外の相が20体積%以上存在すると、ThCr2Si2型相由来の体積比熱が小さくなる。また、結晶構造が異なる相で金属間化合物が構成されることより、蓄冷材の機械的強度を高めることが可能となる。
【0026】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る冷凍機30として例示される2段膨張式のGM冷凍機の断面図である。この冷凍機30は、大径の第1シリンダ31と、この第1シリンダ31と同軸的に接続された小径の第2シリンダ32と、を有している。第1シリンダ31には第1蓄冷器34が往復動自在に配置されており、第2シリンダ32には第2蓄冷器35が往復動自在に配置されている。第1シリンダ31と第1蓄冷器34との間、及び第2シリンダ32と第2蓄冷器35との間には、それぞれシールリング36、37が配置されている。
【0027】
そして、第1蓄冷器34及び第2蓄冷器35の連結部と第1シリンダ31の内壁との間には第1膨張室41が設けられている。また、第2蓄冷器35と第2シリンダ32の先端壁との間には第2膨張室42が設けられている。そして、第1膨張室41の底部に第1冷却ステージ43が、また第2膨張室42の底部に第1冷却ステージ43より低温の第2冷却ステージ44が形成されている。
【0028】
第1蓄冷器34には、作動ガス(Heガス等)の通路33を確保した状態で、銅合金メッシュ等の第1蓄冷材38が収容されている。なお第1蓄冷材38としては、銅合金メッシュの他にステンレスメッシュを用いてもよく、これら双方を用いてもよい。第2蓄冷器35には、作動ガスの通路39を確保した形態で、第2蓄冷材40が充填されている。なお、第1蓄冷材38と第2蓄冷材40を、それぞれ別々に充填した蓄冷器34,35を示したが、これらがひとつの蓄冷器に充填される場合もある。
【0029】
第2蓄冷器35の内部に収容される第2蓄冷材40には、複数種類の第2蓄冷材40a,40bがメッシュ48で仕切って充填されている。このメッシュ48で仕切られた空間内における第2蓄冷材40a,40bの充填率は、作動ガスの流動性を考慮して、50~75%とすることが好ましくより好ましくは55~65%である。
【0030】
2段式の冷凍機30において、作動ガス(Heガス等)は、コンプレッサ45で圧縮されて高圧ライン46を通って冷凍機30に供給される。供給された作動ガスは、第1蓄冷器34に収容された第1蓄冷材38の隙間を通過して第1膨張室41に到達し、膨張により第1冷却ステージ43を冷却する。次に作動ガスは第2蓄冷器35に収容された第2蓄冷材40の隙間を通過して第2膨張室42に到達し、膨張により第2冷却ステージ44を冷却する。
【0031】
低圧となった作動ガスは、第2蓄冷器35、第1蓄冷器34の順に(高圧の時とは反対向に)通過して低圧ライン47を通ってコンプレッサ45に戻される。その後、コンプレッサ45で圧縮されて上記サイクルが繰り返される。なお各膨張室41、42の膨張は蓄冷器34、35が往復動作することで実現している。この際に、各蓄冷材38、40は、作動ガスとの間で熱エネルギーの授受を行なって冷熱を蓄積保持するとともに熱再生を行なう。
【0032】
次に、熱の流れに着目して前記のサイクルについて説明する。コンプレッサ45から冷凍機30に供給される高圧の作動ガスは常温(~300K程度)であり、第1蓄冷器34を通過する際に第1蓄冷材38によって予冷されて第1膨張室41に到達する。そして第1膨張室41で膨張することで作動ガスの温度はさらに低下して第1冷却ステージ43を冷却する。続いて、作動ガスは、第2蓄冷器35を通過する際に第2蓄冷材40によって予冷されて第2膨張室42に到達する。そして第2膨張室42で膨張することで作動ガスの温度はさらに低下して第2冷却ステージ44を冷却する。
【0033】
低圧となった作動ガスは、第2蓄冷材40に冷熱を蓄えながら(作動ガス自身は温められながら)第2蓄冷器35内部を通過する。続いて作動ガスは、第1蓄冷材38に冷熱を蓄えながら(作動ガス自身は温められながら)第1蓄冷器34の内部を通過して常温近くまで暖められて、低圧ライン47を通ってコンプレッサ45に戻る。
【0034】
冷凍サイクルの定常運転時には、蓄冷器34,35の内部の蓄冷材38,40には温度勾配が生じる。このような冷凍サイクルにおいては、動作温度における蓄冷材の比熱が大きい程、作動ガスサイクルの熱効率が向上し、より一層の低温が実現され、高い冷凍性能が得られる。
【0035】
ところで、固体の比熱は温度に依存して変化する性質を一般的に持つ。従って、特に第2蓄冷材40の復熱効果を高めるためには、その温度勾配に合わせて各温度域で良好な復熱特性を有する第2蓄冷材40を選択的に配置することが効果的である。そこで、第2蓄冷器35には復熱特性の異なる複数の第2蓄冷材40(40a,40b)が充填されている。
【0036】
良好な復熱効果を得るためには、サイクル過程における各部位の動作温度での蓄冷材の熱容量(比熱)が大きいこと、蓄冷材40,38と作動ガスとの熱交換が良好であるなどの特性が重要である。第1蓄冷器34では、室温から100K以下までの温度域が主な動作温度域であるため、この温度域で単位体積あたりの比熱が大きいCuが選択され、線引き加工したメッシュが工業的に利用しやすいため、Cuメッシュが第1蓄冷材38として広く用いられている。
【0037】
そして、60K以下になるとCuよりも比熱が大きいPbやBiが第2蓄冷器35の高温側の第2蓄冷材40aとして選択される。さらに、8K以下になると、PbやBiよりも比熱が大きい第1実施形態に係るThCr2Si2型構造を有ずる蓄冷材等が第2蓄冷器35の低温側の第2蓄冷材40bとして選択される。このように、GM冷凍機の蓄冷材38,40は、蓄冷器34,35内部の温度勾配を考慮し、各部位の動作温度域において大きな体積比熱をもつ物質を選択して配置することが好ましい。なお第2蓄冷器35の高温側に配置される第2蓄冷材40aはPbやBiに限定されるものではなく、HoCu2やEr3Niなどを配置してもよく、また第2蓄冷材40は上述した二層に限定されるものではなく、三層又はそれ以上形成してもよい。
【0038】
また、第1実施形態に係る蓄冷材を搭載する冷凍機は、上述したGM冷凍機に限定されるものではない。パルスチューブ冷凍機、クロード冷凍機、スターリング冷凍機など、室温から極低温を生成する冷凍機では、作動ガスの圧縮・膨張サイクルで生成する冷温部と高温部との境界領域等、大きな熱インピーダンスが必要とされる箇所に蓄冷材が搭載される。
【0039】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係る超電導コイル組込装置の一例を示す核磁気共鳴診断装置(magnetic resonance imaging;MRI装置)50の断面図である。このMRI装置50による診断は、被検者52が横臥する可動式の台(図示せず)を、トンネル状のボア空間51の中に移動させる。そして、第1電磁石53により静磁場を、第2電磁石54により傾斜磁場を印加する。
【0040】
さらにRFコイル55から電波を送信し、被検者52から磁気共鳴の応答信号を受信する。傾斜磁場があることにより応答信号の発生位置の情報も同時に受信される。受信した応答信号は、図示しない信号処理システムによって解析され、被検者52の体内の画像を再構成する。
【0041】
現在、主流のMRI装置50では、第1電磁石53は1.5Tや3Tといった高磁場を生成する超電導コイルが用いられている。磁場が高いほど磁気共鳴の応答信号のS/N(信号/ノイズ)比が向上し、より鮮明な画像が撮像できる。第1電磁石53に用いられる超電導コイルは、通常、NbTiやNb3Snといった金属系の低温超電導線材を巻いたソレノイドコイルが用いられている。
【0042】
これらの線材は超電導転移の臨界温度以下に保たれる必要があるため、第1電磁石53は、1気圧下では4.2K(約-269℃)以下で液化する液体Heで満たしたHe浴56の中に設置されている。液体Heは稀少なうえ高価であるため、液体Heの蒸発を抑制するために、He浴56の外側には断熱真空層57が設けられている。さらに、MRI装置50が設置される環境(室温:約300K)からの熱侵入の影響を低減するために、断熱真空層57の中には2つの輻射シールド58,59が設けられている。そして、設置された冷凍機30により、シールド58は4K程度に冷却され、シールド59は40K程度に冷却されている。
【0043】
冷凍機30は特に限定されるものではなく、GM冷凍機とJT冷凍機を組み合わせて用いたり、GM冷凍機、パルスチューブ冷凍機、クロード冷凍機若しくはスターリング冷凍機などの冷凍機を単体で用いたりする場合もある。特に、GM冷凍機は、1990年代に磁性蓄冷材を搭載することでその冷凍性能が飛躍的に向上し、GM冷凍機のみで液体He温度以下の極低温の生成が可能となったことから、本願の出願時において普及しているMRI装置50ではGM冷凍機が多く採用されている。
【0044】
図4に示すように、GM冷凍機30の第1冷却ステージ43(図3)とシールド59が、第2冷却ステージ44(図3)とシールド58が、接続されている。出願時においては、4Kで1W以上の冷凍能力を安定して得られるGM冷凍機が普及している。このため、He浴56への熱侵入とGM冷凍機30による冷却をバランスさせることで極低温を維持し、液体Heの蒸発をほぼ完全に抑えることが可能となっている。
【0045】
これにより、病院などの医療機関では、MRI装置50の初期立ち上げ時に液体Heを注入すれば、その後の運転において、高価で取り扱いが容易でない液体Heを定期的に継ぎ足す必要がない。このように利便性が大幅に向上したことにより、MRI装置50の中小の病院への導入が拡がっている。また、液体Heを用いずに、超電導コイルを冷凍機で伝導冷却する直冷式の超電導コイルを組み込んだMRI装置も製品化されている。この場合には液体He浴6を省略することができる。
【0046】
近年、Y系やBi系、MgBなどの高温超電導線材を使用したMRI装置が開発されている。低温超電導材を用いたMRI装置と同様に、これらの装置においても超電導コイルは超電導転移の臨界温度以下であり、かつ、磁場を発生させるために必要な電流を流すことができる10から30K(約-257℃)以下に冷却される必要がある。
【0047】
そのため、高温超電導材を用いたMRI装置では、1気圧下での液化温度が4から30K(約-269℃)以下である液体He、H2やNeに超電導コイルを浸漬して冷却するか、あるいは、超電導コイルを冷凍機で伝導冷却することが必要である。前者の方法においても、液体He,H2およびNeの蒸散を防ぐために、冷凍機を用いて冷却することが望ましい。10から30Kにおける冷凍機の性能を向上させるためには、同温度域で大きな比熱を有する蓄冷材を冷凍機に搭載することが望ましい。
【0048】
第3実施形態に係る超電導コイル組込装置は、第1実施形態に係る蓄冷材を搭載した第2実施形態に係る冷凍機を搭載している。この蓄冷材の磁化は、外部磁場1000 Oe、温度5K以下において、10emu/g以下で、より好ましくは5emu/g以下で、さらに好ましくは2emu/g以下であることが望ましい。このように蓄冷材の磁化が小さいことにより、蓄冷材に由来する磁気ノイズの影響を低減することができ、高画質の画像を得ることができる。なお第3実施形態に係る超電導コイル組込装置は、上述したMRI装置50に限定されるものでなく、その他に、磁気浮上列車用超電導磁石、超電導電磁石装置、クライオポンプ装置、ジョセフソン電圧標準装置、磁場印加式単結晶引き上げ装置等を挙げることができる。
【0049】
特に、クライオポンプ装置は約10Kまで冷却することで高真空度を達成している。このため、10K近傍で大きな比熱を有する蓄冷材を冷凍機に搭載することでクライオポンプ装置の性能を向上させることができる。
【実施例0050】
(実施例1、比較例1)
次に実施例1についてより具体的に説明する。金属間化合物DyCu2Ge2の成分である元素金属を原料とし、量論比で配合し溶融して、ロール急冷法でノズルとロール間の距離を0.5mmに設定し、冷却速度105~106℃/secで急冷凝固処理した薄片状試料を作製した。そして比較例1として、配合及び溶融の条件を実施例1と共通にし、アーク溶解法を用いて冷却速度102℃/secで徐冷凝固処理したバルク状試料を作製した。
【0051】
(実施例2)
ノズルとロール間の距離を0.6mmにしたこと以外は実施例1と同様の条件で薄片状試料を作製した。
【0052】
(実施例3)
ノズルとロール間の距離を0.7mmにしたこと以外は実施例1と同様の条件で薄片状試料を作製した。
【0053】
図5は、粉末X線回折法による実施例1(上段)及び比較例1(下段)の測定結果を示すグラフである。ここで粉末X線回折は(株)リガク製SmartLabを用いて測定した。このグラフのX線回折パターンから、急冷凝固処理で得られる実施例1の金属間化合物は、結晶構造の大部分がDyCu2Ge2であることが判る。一方において徐冷凝固処理で得られる比較例1の金属間化合物は、複数の副相も混在していることが判る。
【0054】
図6は、実施例1及び比較例1の極低温領域における比熱特性を示すグラフである。比熱特性は日本カンタム・デザイン(株)製物理特性評価装置(Physical Property Measurement System; PPMS)を用いて測定した。この図6に示すように、急冷凝固処理した実施例1では、徐冷凝固処理した比較例1に対して、低温域における比熱の極大値が大きいことが判る。これより、冷凍機の蓄冷器に充填される蓄冷剤として実施例1の金属間化合物を採用することにより、冷凍機の冷却能力が向上する。
【0055】
(比較例2)
配合及び溶融の条件を比較例1と共通にし、凝固点以下の800℃で1週間熱処理し、バルク状試料を作製した。なおこの比較例2の試料の作製条件は、上記の非特許文献1の開示条件を再現したものである。
【0056】
(比較例3)
凝固点以下の900℃で4日間熱処理したこと以外は比較例2と同様に、バルク状試料を作製した。
【0057】
(比較例4)
凝固点以下の800℃で4日間熱処理したこと以外は比較例2と同様に、バルク状試料を作製した。
【0058】
(比較例5)
凝固点以下の700℃で4日間熱処理したこと以外は比較例2と同様に、バルク状試料を作製した。
【0059】
(比較例6)
配合の条件を実施例1と共通にし、高周波溶解法を用いて冷却速度102℃/secで徐冷凝固処理したバルク状試料を作製した。
【0060】
(実施例4)
組成をDyCu2Si2にしたこと以外は実施例1と同様の条件で薄片状試料を作製した。
【0061】
(比較例7)
組成をDyCu2Si2にしたこと以外は比較例1と同様の条件でバルク状試料を作製した。
【0062】
(比較例8)
凝固点以下の900℃で4日間熱処理したこと以外は比較例7と同様に、バルク状試料を作製した。
【0063】
(実施例5)
組成をGdCu2Si2にしたこと以外は実施例1と同様の条件で薄片状試料を作製した。
【0064】
(比較例9)
組成をGdCu2Si2にしたこと以外は比較例1と同様の条件でバルク状試料を作製した。
【0065】
(比較例10)
凝固点以下の900℃で4日間熱処理したこと以外は比較例9と同様に、バルク状試料を作製した。
【0066】
(実施例6)
組成をPrCu2Si2にしたこと以外は実施例1と同様の条件で薄片状試料を作製した。
【0067】
(比較例11)
組成をPrCu2Si2にしたこと以外は比較例1と同様の条件でバルク状試料を作製した。
【0068】
(比較例12)
凝固点以下の900℃で4日間熱処理したこと以外は比較例11と同様に、バルク状試料を作製した。
【0069】
(実施例7)
組成をNdCu2Si2にしたこと以外は実施例1と同様の条件で薄片状試料を作製した。
【0070】
(比較例13)
組成をNdCu2Si2にしたこと以外は比較例1と同様の条件でバルク状試料を作製した。
【0071】
(比較例14)
凝固点以下の900℃で4日間熱処理したこと以外は比較例13と同様の条件でバルク状試料を作製した。
【0072】
図7は、粉末X線回折法による実施例1(上段)及び比較例2(下段)の測定結果を示すグラフである。なお、この図7の実施例1(上段)と図5の実施例1(上段)とは、横軸のスケール表示のみが異なる同一のデータである。この図7に示すように、比較例2では高温保持して固相を熱処理することにより、比較例1で存在していた目的外の結晶構造のX線回折パターンは消滅し、実施例1と同様に結晶構造の大部分がDyCu2Ge2となることが判る。
【0073】
さらに図7におけるX線回折パターンについて実施例1と比較例2とで比較すると、実施例1においてピークの広がりが大きいことが判る。ThCr2Si2型と同定されるピークを使用して、その半値幅βから結晶子サイズを算出した。金属間化合物の結晶構造が同じであっても、急冷凝固処理した実施例1では、固相で高温熱処理した比較例2よりも結晶子サイズが小さいため、機械的特性が優れるといえる。
【0074】
試料を振動試験用容器(D=15mm,h=14mm)中に充填し、振動試験機にて最大加速度が300m/s2の単振動を1×106回加え、試験後の試料を適宜形状分級ならびに篩分けし、微粉化した試料の重量比率を求めることで、試料の機械的強度を評価した。
【0075】
図8に示す表は、実施例1から実施例7及び比較例1から比較例14において、試料の結晶子サイズ、ThCr2Si2型構造の含有率、微粉化した試料の割合、比熱ピーク温度、比熱ピーク値の結果である。結晶子サイズが70nmより大きいの場合、微粉化した割合が有意に増大しており、機械的強度が低下する。ThCr2Si2型構造の含有率が80体積%未満の場合、比熱ピーク値が有意に低下する。
【0076】
図9は、実施例1の極低温領域の磁化特性を示すグラフである。磁化特性は日本カンタム・デザイン(株)製磁気特性評価装置(Magnetic Property Measurement System; MPMS)を用いて測定した。外部磁場が1000 Oeにおいて、温度領域2~5Kの磁化は、0.97emu/g以下である。なお5K近傍の温度領域で実施例1から実施例3と同様に高い比熱特性を持つGOSの磁化は、1.5emu/gであり、GOS以外の二段目蓄冷器の低温側に使用されているHoCu2の磁化は3.5emu/g、Er3Niの磁化は7emu/gである。よって実施例1から実施例3の蓄冷材は、小さい磁化特性を有するためにMRI装置に搭載された場合に、画像の高画質化に貢献したり、超電導コイル組込装置の磁気ノイズ低減に貢献したりする。
【0077】
実施例1に記載の蓄冷材で、かつ、粒体粒径が、0.01mm(10μm)未満であると、蓄冷材の粒子間の間隙、すなわち作動ガスが流れる空間が狭くなり、気体の圧力損失が増大するため、冷凍性能は低下する。また蓄冷材の粒体粒径が、1mmよりも大きいと、蓄冷器内における蓄冷材の充填率が低下するため、冷凍性能は低下する。
【0078】
以上述べた少なくともひとつの実施形態のクライオポンプによれば、極低温領域において比熱が大きくかつ磁化が小さく、さらに製造性が良好である蓄冷材を充填して高効率で性能に優れるクライオポンプを提供することができる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0080】
11…ThCr2Si2型構造、12…Thサイト、13…Crサイト、14…Siサイト、15…投影像、16…外接円、30…冷凍機、31…第1シリンダ、32…第2シリンダ、33…作動ガスの通路、34…第1蓄冷器、35…第2蓄冷器、36,37…シールリング、38…第1蓄冷材、39…作動ガスの通路、40(40a,40b)…第2蓄冷材、41…第1膨張室、42…第2膨張室、43…第1冷却ステージ、44…第2冷却ステージ、45…コンプレッサ、46…高圧ライン、47…低圧ライン、48…メッシュ、50…MRI装置、51…ボア空間、52…被検者、53…第1電磁石、54…第2電磁石、55…RFコイル、56…He浴、57…断熱真空層、58,59…シールド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9