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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182638
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】銅配線のためのシード層
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20231219BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01L21/88 R
H01L21/90 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023159999
(22)【出願日】2023-09-25
(62)【分割の表示】P 2018154364の分割
【原出願日】2018-08-21
(31)【優先権主張番号】62/548,604
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウー, チーユアン
(72)【発明者】
【氏名】ツェン, モン チュー
(72)【発明者】
【氏名】ナイク, メフル ビー.
(72)【発明者】
【氏名】シュー, ペンリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改善されたマイグレーション防止特性を有する銅シード層を形成する方法を提供する。
【解決手段】方法は、処理チャンバ内に開口部及びその上に配置されたバリア層を有するパターニングされた基板を配置することと、バリア層の上にシード層を形成することと、パターニングされた基板のバリア層の上に第1の銅層を堆積することと、第1の銅層の上にルテニウム層を堆積することと、ルテニウム層の上に第2の銅層を堆積することと、を含む。ルテニウム層は、特徴の中の所定の場所の下に銅層を実質的に固定し、銅層の物理的なマイグレーションを実質的に防止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料層に形成された開口部を有するパターン形成された表面を備える基板を、第1の処理チャンバ内に配置することと、
前記開口部の壁に第1の銅層を形成すること、前記第1の銅層の上にルテニウム層を形成すること、前記ルテニウム層の上に第2の銅層を形成することを含む、前記開口部の前記壁にシード層を形成することと、
を含む、配線構造を形成する方法。
【請求項2】
前記ルテニウム層を形成することは、前記基板をルテニウム前駆体に曝露すること、及び、前記基板を水素含有前駆体に曝露することを順次反復することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ルテニウム層は、前記第1の銅層を形成するために使用される前記第1の処理チャンバとは異なる第2の処理チャンバ内で形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の銅層、前記ルテニウム層、及び前記第2の銅層は、前記第1の処理チャンバ内で前記基板を取り除くことなく形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ルテニウム層の厚みが、約1オングストロームから約20オングストロームの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記パターン形成された表面は更に、前記材料層の上に配置されたバリア層を含み、前記バリア層は、タンタル、窒化タンタル、タングステン、チタン、チタンタングステン、窒化チタン、窒化タングステン、チタン銅、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された材料を含み、前記第1の銅層は前記バリア層の上に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記バリア層は第2の処理チャンバ内で堆積され、前記第1の処理チャンバと前記第2の処理チャンバは移送チャンバによって接続される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の銅層を形成することは、前記基板を銅前駆体に曝露すること、及び、前記基板を水素前駆体に曝露することを順次反復することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
開口部が形成された材料層と前記材料層の上に配置されたバリア層とを含むパターニングされた基板の上に第1の銅層を堆積することと、
前記第1の銅層の上にルテニウム層を堆積することと、
前記ルテニウム層の上に第2の銅層を堆積することと
を含む、デバイスを形成する方法。
【請求項10】
前記材料層は誘電体層を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記バリア層は、タンタル、窒化タンタル、タングステン、チタン、チタンタングステン、窒化チタン、窒化タングステン、チタン銅、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された材料を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1及び第2の銅層を堆積することは、銅含有有機金属を含む第1の反応性前駆体、及び水素を含む第2の反応性前駆体に、前記パターニングされた基板を順次曝露することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
基板の材料層に形成された複数の開口部を有するパターン形成された表面を含む基板と、
前記開口部の壁に配置されたシード層であって、
第1の銅層、
前記第1の銅層の上に配置されたルテリウム層、及び
前記ルテリウム層の上に配置された第2の銅層
を備えるシード層と
を備えるデバイス。
【請求項14】
前記ルテリウム層の厚みが、約1オングストロームから約20オングストロームの間である、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記材料層は誘電体材料を含み、前記デバイスは更に、前記シード層と前記開口部の前記壁との間に配置されたバリア層を含み、前記バリア層は、タンタル、窒化タンタル、タングステン、チタン、チタンタングステン、窒化チタン、窒化タングステン、チタン銅、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された材料を含む、請求項13に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本書に記載の実施形態は概して半導体デバイス製造に分野に関し、より具体的には銅配線のためのシード層形成の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 次世代デバイスに向けて回路密度が高まり、トランジスタの寸法が縮小し続けるにつれて、電力消費、抵抗容量(RC)遅延、及び信頼性を含む主要デバイスの性能基準に関しては、ワイヤ配線の抵抗と導電率がデバイス性能を支配し始めている。銅は一般的に低い抵抗値と高い導電率を示すため、銅は高度なUSLI及びVSLI技術でワイヤ配線として利用される材料の1つになっている。多くの場合、銅配線は、銅シード層の上にバルク銅を電気めっきする前に、或いはバルク銅をリフローする前に、基板の材料表面に形成される開口部に銅シード層を堆積することによって形成される。
【0003】
[0003] 典型的には、銅シード層はその後の電気めっきプロセスに必要な電流を運ぶか、基板の材料表面に形成された開口部への銅リフローを促進する湿潤層として役割を果たす。開口部の壁又は基底部上の銅シード層の被覆にある間隙は、配線構造のバルク銅材料に望ましくないボイドを招く。バルク銅材料内のボイド又は被覆の間隙は、銅構造体のエレクトロマイグレーションの失敗を引き起こし、結果として得られるデバイスを役に立たないものにするか、機能の低いものにする可能性がある。銅シード層被覆の間隙の原因には、銅の凝集又は不連続な堆積のうちの一方又は両方が含まれる。銅の凝集は、周囲の領域から銅を引き離すことによって、堆積した銅が幾つかの領域で融合して厚い被覆になるときに発生する。開口部の壁上での不連続な堆積は一般的に、開口部のある形状寸法に対して、銅シードの物理的気相堆積(PVD)プロセスに内在するシャドウ効果に起因する。
【0004】
[0004] 金属ライナーなど、銅シード層上に堆積した導電性ライナーは、開口部の壁又は基底部上のシード層の被覆にある間隙を充填し、これにより、その後の電気めっきプロセス中のバルク銅材料のボイドを低減する。しかしながら、銅シード層とバルク銅層との間に堆積した導電性ライナーは、望ましくないことに、銅シード層とバルク銅層との間に界面ライナー/銅層を生成する。この界面層は望ましくないことにトータルの銅ライン幅を減らし、その後形成される銅配線の線路抵抗を高めるため望ましくない。
【0005】
[0005] したがって、当技術分野に必要とされるのは、銅シード層の改良と改良された銅シード層を形成する方法である。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示は概して、ルテニウムをドープした銅シード層を形成する方法を記載している。
【0007】
[0007] 一実施形態では、配線構造を形成する方法が提示される。方法は、材料層中に形成された開口部を有するパターニングされた基板を第1の処理チャンバ内に配置すること、及び、その開口部の壁上にシード層を形成することを含む。開口部の壁上にシード層を形成することは、第1の銅層を形成すること、第1の銅層の上にルテニウム層を形成すること、及び、ルテニウム層の上に第2の銅層を形成することを含む。
【0008】
[0008] 別の実施形態では、デバイスを形成する方法は、開口部が形成された材料層と当該材料層の上に配置されたバリア層とを含むパターニングされた基板の上に第1の銅層を堆積することと、第1の銅層の上にルテニウム層を堆積することと、ルテニウム層の上に第2の銅層を堆積することとを含む。幾つかの実施形態では、方法は更に、電着プロセス、リフロー間隙充填プロセス、或いはこれらの組み合わせを用いて、開口部の中に銅層を堆積することを含む。
【0009】
[0009] 別の実施形態では、銅配線を形成する方法は、基板の材料層中に形成された開口部を有するパターニングされた基板を処理チャンバ内に配置すること、及びその開口部の壁上にシード層を形成することを含む。開口部の壁上にシード層を形成することは、パターニングされた基板の上に第1の銅層を堆積すること、第1の銅層の上にルテニウム層を堆積すること、及びルテニウム層の上に第2の銅層を堆積することを含む。第1の銅層を堆積することは、銅含有有機金属を含む第1の反応性前駆体、及び水素を含む第2の反応性前駆体に、パターニングされた基板を順次曝露することを含む。ルテニウム層を堆積することは、ルテニウム含有有機金属を含む第3の反応性前駆体、及び水素を含む第4の反応性前駆体に、第1の銅層を順次曝露することを含む。第2の銅層を堆積することは、第1の反応性前駆体及び第2の反応性前駆体にルテニウム層を順次曝露することを含む。
【0010】
[0010] 幾つかの実施形態では、本書に記載の方法は更に、電着プロセス、リフロー間隙充填プロセス、或いはこれらの組み合わせを用いて、開口部の中に銅層を堆積することを含む。
【0011】
[0011] 別の実施形態では、デバイスは、基板の材料層に形成された複数の開口部を有するパターニングされた表面を特徴とする基板と、開口部の壁上に配置されたシード層を含む。ここでは、シード層は、第1の銅層、第1の銅層の上に配置されたルテニウム層、及びルテニウム層の上に配置された第2の銅層を含む。
【0012】
[0012] 本開示の上述の特徴を詳細に理解しうるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は、付随する図面に例示されている。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、付随する図面はこの開示の典型的な実施形態のみを例示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態により、ルテニウムをドープした銅シード層を形成する方法を説明するフロー図である。
図2A】一実施形態により、図1に記載した方法の要素を示す。
図2B】一実施形態により、図1に記載した方法の要素を示す。
図2C】一実施形態により、図1に記載した方法の要素を示す。
図2D】一実施形態により、図1に記載した方法の要素を示す。
図2E】一実施形態により、図1に記載した方法の要素を示す。
【0014】
[0015] 理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうると想定されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0016] 本開示の実施形態は概して、銅配線構造を形成する方法、特に、複数の銅層と銅層の間に配置された少なくとも1つのルテニウム層とを含む、ルテニウムをドープした銅シード層を形成する方法を記載している。本書に記載された方法は、物理的気相堆積(PVD)処理チャンバ、化学気相堆積(CVD)処理チャンバ、原子層堆積(ALD)処理チャンバ、或いはこれらの組み合わせで実行されうる。一実施形態では、PVD、CVD、及びALD処理チャンバはそれぞれ、ENDURA(登録商標)PVD処理チャンバ、PRODUCER(登録商標)CVD処理チャンバ、及びOLYMPIA(登録商標)ALD処理チャンバで、いずれもカリフォルニア州Santa ClaraのApplied Materials, Inc.から入手可能である。
【0016】
[0017] 本書に記載の方法にしたがって形成されたルテニウムをドープしたシード層は、配線開口部の壁上に連続的なシード層被覆を可能にし、ライナーの厚み低減を促進する。本書では、ルテニウムをドープしたシード層は、第1の銅層と第2の銅層との間に堆積された少なくとも1つのルテニウム層を含む。典型的には、第1及び第2の銅層は、PVDプロセス、CVDプロセス、又はALDプロセスを用いて堆積され、ルテニウム層はCVDプロセス又はALDプロセスを用いて堆積される。銅とルテニウムは一般的に相互の混和性がないため、ルテニウム層は第1の層又は第2の層の銅を、両者の間に形成される粒界で効果的にピン止めし、望ましくは銅のエレクトロマイグレーションを防止する機能で、銅を所定の場所に固定する。銅とルテニウム層との間に形成された粒界に銅をピン止めすることにより、銅層中の銅が移動して、好ましくない銅の凝集を形成するのを防止する。更に、本書に記載の方法を用いて銅のエレクトロマイグレーションを防止することにより、回路密度を高め、回路密度に関連するデバイスの故障を防止することによって信頼性を向上させることができる。
【0017】
[0018] 本書に記載の実施形態を用いた銅の凝集抑制の利点には更に、形成された開口部を有する誘電体層上に配置されるライナー層の厚さを低減できることが含まれる。ライナー層の厚みを減らすことによって、次に形成される配線のバルク銅の容積を増やすことができる。このようにバルク銅の容積が増すことは、開口部の線路抵抗を低下させるため望ましい。銅層のピン止めは、配線特徴の開口部の壁の被覆に間隙を除去するため望ましい。銅のマイグレーションによって引き起こされる被覆の間隙を除去することは、その後の電着プロセス又はリフロー/間隙充填プロセス中に、銅配線のバルク銅材料に形成されるボイドを除去又は低減するため望ましい。有利なことに、ルテニウムはコバルトやマンガンなどの他のドーパントよりもゆっくりと銅の中へ拡散するため、シード層にルテニウムを使用することによって、バルク銅層の線路抵抗は悪影響を及ぼさない。更に、記載した実施形態にしたがって形成されたルテニウムをドープしたシード層は、その後の銅リフロー/間隙充填プロセスを促進する、比較的薄い連続表面をもたらす。
【0018】
[0019] 図1は、一実施形態によるルテニウムをドープしたシード層を形成する方法を記載したフロー図である。図2A図2Eは、図1に記載した方法の要素を示している。
【0019】
[0020] 方法100は作業110で、処理チャンバ内にパターニングされた基板を配置することを含む。パターニングされた基板200は図2Aに示されており、基板201、基板201上に形成された材料層209、材料層209に形成された一又は複数の開口部205、及びその上に配置されたバリア層206を含み、材料層209の開口部205をライニングする。本書では、材料層209は一又は複数の誘電体層、例えば、第1の誘電体層202及び第2の誘電体層204を含む。典型的には、一又は複数の誘電体層202、204は、酸化ケイ素、SiN、SiOC、SIC、ポリアミドなどの低誘電率ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された材料で形成される。
【0020】
[0021] 幾つかの実施形態では、材料層209は更に、第1の誘電体層202と第2の誘電体層204との間に配置されるエッチング停止層203を含む。材料層209の上に配置されたバリア層206は、その後堆積される銅層から銅原子が周囲の誘電体層202、204に拡散するのを防止する。典型的には、バリア層206は、金属、金属窒化物、金属合金、又はこれらの組み合わせのうちの一又は複数を含む。幾つかの実施形態では、バリア層206は、タンタル、窒化タンタル、タングステン、チタン、チタンタングステン、窒化チタン、窒化タングステン、チタン銅、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。幾つかの実施形態では、バリア層は窒化タンタルを含む。バリア層206は、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、原子層堆積(ALD)、又はこれらの組み合わせなど、任意の適切な方法を用いて堆積される。
【0021】
[0022] 方法100は作業120で、バリア層206の上にシード層207を形成することを含む。図2Bは、パターニングされた基板200のバリア層206に配置したシード層207を示す。図2Eは、図2Bの部分拡大図である。
【0022】
[0023] 方法100は作業130で、パターニングされた基板200のバリア層206の上に第1の銅層207aを堆積することを含む。本書では、第1の銅層207aは、パターニングされた基板200を、銅含有有機金属を含む第1の反応性前駆体に、次いで銅膜を形成するため水素含有ガスを含む第2の反応性前駆体に順次曝露することを含む、原子層堆積(ALD)プロセスを用いて堆積される。銅含有有機金属ガスの例には、ビス(ジメチルアミノ-2-n-ブトキシ)銅(Cu(DEAB)2)、ビス(エチルメチルアミノ-2-n-ブトキシ)銅、ビス(ジメチルアミノ-2-プロポキシ)銅(Cu(DMAP)2)、ビス(ジメチルアミノ-2-n-ブトキシ)銅(Cu(DMAB)2)、ビス(ジメチルアミノ-2-エトキシ)銅、ビス(エチルメチルアミノ-2-プロポキシ)銅(Cu(EMAP)2)、ビス(ジエチルアミノ-2-エトキシ)銅、ビス(エチルメチルアミノ-2メチル-2-n-ブトキシ)銅、ビス(ジメチルアミノ-2-メチル-2-プロポキシ)銅、ビス(ジメチルアミノ-2-プロポキシ)銅(Cu(DEAP)2)、ビス(2-メトキシエトキシ)銅、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)銅、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンケトイミナート)銅、ビス(2-メトキシ-2-プロポキシ)銅、及び2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート銅(TMVS)、並びに、これらの組み合わせが含まれる。水素含有前駆体の例には、H2、NH3、及びこれらの組み合わせが含まれる。幾つかの実施形態では、処理空間は、第1の前駆体と第2の前駆体に交互に曝露される間に、アルゴンなどの不活性ガスを用いてパージされる。
【0023】
[0024] 幾つかの実施形態では、第1の銅層207aの堆積中に、処理チャンバは約1Torrから約30Torrの間の圧力に維持され、パターニングされた基板は約50oCから約400oCの間の温度に維持される。第1及び第2の反応性前駆体の流量は一般的に、直径300mmの基板を処理するように構成された処理チャンバ対しては約3000sccmから約9000sccmの間で、異なるサイズの基板に対しては適切に増減される。幾つかの実施形態では、処理チャンバはプラズマ強化処理チャンバであり、処理チャンバ内に配置された電極はプラズマ電源に連結されている。前駆体をプラズマにする処理を開始し維持するため、プラズマ電源は13.56MHzの周波数で約100Wから1000Wの間を、例えば約400Wを供給する。幾つかの実施形態では、第1の銅層207aは99%を超える銅純度を有する。他の実施形態では、第1の銅層は物理的気相堆積(PVD)プロセス、又は化学気相堆積(CVD)プロセスを用いて堆積される。例えば、一実施形態では、第1の銅層207aはPVDプロセスを用いて堆積される。このプロセスでは、ターゲットは、約0.1%から約3%の間のAlを含むCu-Alターゲット、又は約0.1%から約3%の間のMnを含むCu-Mnターゲットなどの純銅ターゲット又は銅合金ターゲットである。当該実施形態では、ターゲットは約20kWから約40kWの間のDC電力に連結されており、基板は約50Wから約1500Wの間のACバイアス電力に連結されている。別の実施形態では、第1の銅層207aはCVD又はPVDプロセスを用いて堆積される。
【0024】
[0025] 方法100は作業140で、第1の銅層207aの上にルテニウム層207bを堆積することを含む。ここでは、ルテニウム層207bは、第1の銅層207aを堆積するために使用される同一処理チャンバ内で堆積される。典型的には、処理チャンバは、第1の銅層207aの堆積とルテニウム層の堆積との間に、アルゴンなどの不活性ガスを用いてパージされる。幾つかの実施形態では、ルテニウム層207bは、第1の銅層207aが堆積されたパターニングされた基板200を、ルテニウム含有有機金属を含む第3の反応性前駆体に、次に水素ガスなどの水素を含む第4の反応性前駆体に、交互に順次曝露することを含む、ALDプロセスを用いて堆積される。ルテニウム含有有機金属の例には、メチル-シクロヘキサジンルテニウムトリカルボニルシクロヘキサジン、ルテニウムトリカルボニル、ブタジエンルテニウムトリカルボニル、ジメチルブタジエンルテニウムトリカルボニル、Ru(CO)3を伴う変性ジエン、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0025】
[0026] 典型的には、ルテニウム層207bの堆積中に、処理チャンバは約1Torrから約50Torrの間の圧力に維持され、パターニングされた基板は約100oCから約400oCの間の温度に維持される。第3及び第4の反応性前駆体の流量は、直径300mmの基板を処理するように構成されたALD処理チャンバ対しては約3000sccmから約9000sccmの間で、異なるサイズの基板に対しては適切に増減される。幾つかの実施形態では、処理チャンバ内に配置された電極は、13.56Mhzの周波数で約100Wから1000Wの間を、例えば、約400Wを供給するプラズマ電源に連結されており、これによって、供給された前駆体ガスのプラズマ処理を開始し維持する。幾つかの実施形態では、処理空間は、第3の前駆体と第4の前駆体に交互に曝露される間に、アルゴンなどの不活性ガスを用いてパージされる。他の実施形態では、ルテニウム層207bはCVDプロセスを用いて堆積される、及び/又は第1の銅層207aの形成に使用されたものとは異なる処理チャンバ内に堆積される。他の実施形態では、ルテニウム層207bは、PVDプロセスを用いて堆積される。
【0026】
[0027] 方法100は作業150で、ルテニウム層207bの上に第2の銅層207cを堆積することを含む。幾つかの実施形態では、第2の銅層207cは、作業130での第1の銅層207aの形成、及び作業140でのルテニウム層207bの形成に使用されたのと同じ処理チャンバに堆積される。幾つかの実施形態では、第2の銅層207cは、作業130で第1の銅層207aを形成するために使用されるのと同じ処理を用いて堆積される。典型的には、ALD処理チャンバは、ルテニウム層207bと第2の銅層207cを堆積する間に、アルゴンなどの不活性ガスによってパージされる。他の実施形態では、第2の銅層207cは、第1の銅層207a及び/又はルテニウム層207bの形成に使用されたチャンバとは異なるチャンバ内で、PVDプロセス又はCVDプロセスを用いて堆積される。幾つかの実施形態では、バリア層206、銅層207a、207c、及び/又はルテニウム層207bの形成に使用される処理チャンバは、次の層が形成される前に、堆積層の表面酸化を防止するため、準大気圧で維持される移送チャンバによって、真空下又は制御された環境下で一体に接続されている。
【0027】
[0028] 本書では、バリア層206は、約0.5nmから約20nmの間、例えば、約1nmから約5nmの間、例えば、約2nmの第1の厚みT(1)を有する。第1の銅層207aは、約0.5nmから約20nmの間、例えば、約0.5nmから約10nmの間、例えば、約0.5nmから約5nmの間、例えば、約4nmの第2の厚みT(2)を有する。ルテニウム層207bは、約1オングストローム(A)から約20Aの間、例えば、約1Aから約15Aの間、例えば、約1Aから約10Aの間の第3の厚みT(3)有する。第2の銅層207cは、約0.5nmから約200nmの間、例えば約1nmから約20nmの間、或いは約1nmから約5nmの間、例えば、約2nmの第4の厚みT(4)を有する。典型的には、シード層207内の銅とルテニウムの比率は約99.9:1から約4:1の間で、銅層及びルテニウム層207a、207b、及び207cのそれぞれの厚みT(2)、T(3)、及びT(4)は、シード層内のルテニウムの濃度を増減するため調整される。
【0028】
[0029] 幾つかの実施形態では、シード層207を形成することは、第2及び最終の銅層207cを堆積する前に、複数の第1の銅層207a及びルテニウム層207bを順次堆積することを含む。
【0029】
[0030] 図2D及び図2Eは更に、銅配線の形成を図解している。図2Dは、電気めっきプロセス又は銅リフロー/間隙充填プロセス(例えば、熱補助リフロープロセス)を用いて、シード層の上に堆積されるバルク銅層208を示している。バルク銅層208は次に、図2Dに示した配線構造などの銅配線構造を形成するため、化学機械平坦化(CMP)などのバルク膜除去プロセスを用いて、基板の表面から取り除かれる。
【0030】
[0031] 本書に記載の方法の利点には、シード層形成中の銅凝集の抑制、連続的な被覆に必要な最小のシード層厚の低減、より薄いシード層によるリフロー充填の改善、及びシード層の上に形成される銅配線の線路抵抗及び/又はビア抵抗の改善が含まれる。更に、銅凝集の抑制に加えて、本書に記載の実施形態の利点には、銅のエレクトロマイグレーションの抑制が含まれ、これによって、回路密度を高め、回路密度に関連するデバイスの故障を防止することによって信頼性の向上及び/又は使用寿命を延ばすことができる。
【0031】
[0032] 以上の記述は、本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0032】
100 方法
110 作業
120 作業
130 作業
140 作業
150 作業
200 パターニングされた基板
201 基板
202 第1の誘電体層
203 エッチング停止層
204 第2の誘電体層
205 開口部
206 バリア層
207 シード層
207a 第1の銅層
207b ルテニウム層
207c 第2の銅層
208 バルク銅層
209 材料層
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
【手続補正書】
【提出日】2023-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料層に形成された開口部を有するパターン形成された表面を備える基板を、第1の処理チャンバ内に配置することと、
前記開口部の壁に第1の銅層を形成すること、前記第1の銅層の上にルテニウム層を形成すること、前記ルテニウム層の上に第2の銅層を形成することを含む、前記開口部の前記壁にシード層を形成することと、
を含む、配線構造を形成する方法。
【外国語明細書】