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  • 特開-複数の埋込電極を有する基板支持体 図1
  • 特開-複数の埋込電極を有する基板支持体 図2A
  • 特開-複数の埋込電極を有する基板支持体 図2B
  • 特開-複数の埋込電極を有する基板支持体 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182644
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】複数の埋込電極を有する基板支持体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20231219BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20231219BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20231219BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101B
H01L21/205
H01L21/68 R
H05H1/46 M
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023162453
(22)【出願日】2023-09-26
(62)【分割の表示】P 2021198264の分割
【原出願日】2018-07-19
(31)【優先権主張番号】15/710,753
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】クラウス フィリップ アラン
(72)【発明者】
【氏名】チュア タイ チェング
(72)【発明者】
【氏名】チョー ジェヨン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プラズマ支援処理チャンバ内の基板の領域にバイアスをかけるための方法及び装置を提供する。
【解決手段】プラズマ処理チャンバ100は、基板115又はその領域にバイアスをかけることで、基板と処理チャンバ内で形成されるプラズマ135との間の電位差を増加させ、これにより、プラズマから基板領域の活性表面に向かってイオンを加速させる。複数のバイアス電極238A~238Cは、基板全体にわたって処理結果の均一性を管理するのに有利なパターンで基板支持体227にわたって空間的に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための方法であって、
処理チャンバの処理容積内に配置された基板支持体上に基板を配置する工程と、
処理ガスを処理容積に流す工程と、
処理ガスのプラズマを形成する工程と、
対応する複数の周期的DC電圧を使用して、基板の複数の領域にバイアスをかける工程を含み、
複数の周期的DC電圧の各々は、複数の対応するスイッチ対を含むパルスDCバイアススイッチングシステムを使用して独立して制御され、
各々のスイッチ対の第1のスイッチは第1のDC電源に電気的に接続され、各々のスイッチ対の第2のスイッチは第2のDC電源に電気的に接続される方法。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
(分野)
本明細書で説明する諸実施形態は、概して、半導体製造で用いられる処理チャンバに関し、具体的には、基板にバイアスをかけるように構成された基板支持アセンブリを有する処理チャンバ及び基板にバイアスをかける方法に関する。
【0002】
(関連技術の説明)
高アスペクト比のフィーチャーを確実に作り出すことは、半導体デバイスの超大規模集積(VLSI)及び超超大規模集積(ULSI)という次世代に向けた重要な技術課題の1つである。高アスペクト比のフィーチャーを形成する、ある1つの方法では、プラズマ支援エッチング処理を用いて、基板の誘電体層などの材料層に高アスペクト比の開口部を形成している。典型的なプラズマ支援エッチング処理では、処理チャンバ内でプラズマを形成し、プラズマからのイオンを、基板とその上のマスクに形成された開口部とに向けて加速させて、マスク表面の下の材料層に開口部を形成する。通常は、400kHzから2MHzの範囲の低周波RF電力を基板に結合させることにより、イオンは基板に向かって加速され、これにより、そこにバイアス電圧が発生する。しかしながら、RF電力を基板に結合すると、基板にはプラズマに対する単一の電圧が印加されない。一般的に用いられる構成では、基板とプラズマの間の電位差は、ゼロに近い値から最大となる負の値までRF電力の周波数で振動する。プラズマから基板へイオンを加速させている電位が単一でないことにより、基板表面及びその材料層に形成される開口部(フィーチャー)では広範囲のイオンエネルギーがもたらされる。加えて、RFバイアスに起因するイオン軌跡の相違により、基板表面に対するイオンの角度分布は大きくなる。アスペクト比の高いフィーチャーの開口部をエッチングする場合、イオンエネルギーの範囲が広いことは望ましくない。それは、イオンが、望ましいエッチング速度を維持するのに十分な高エネルギーを有してフィーチャーの底部にまで到達しないからである。基板表面に対するイオンの角度分布が大きいことも望ましくない。それは、大きな角度分布は、フィーチャープロファイルの変形(その垂直側壁のくびれや曲がりなど)を引き起こすからである。
【0003】
したがって、当該技術分野では、プラズマ支援エッチング処理の間に、基板の材料表面において角度分布が小さく、エネルギー範囲も狭い高エネルギーイオンを供給できる機能が必要になっている。
【概要】
【0004】
本開示は、概して、プラズマ支援又はプラズマ強化の処理チャンバに関する。より具体的には、本明細書の諸実施形態は、プラズマ支援又はプラズマ強化の半導体製造処理の間に、個々のパルス(周期的)DC電圧を基板の領域に供給するように構成された静電チャック(ESC)基板支持体、及び基板の領域にバイアスをかける方法に関する。
【0005】
一実施形態では、基板支持体を備える基板支持アセンブリが提供され、基板支持体は、基板支持体内の複数の第1電極であって、複数の第1電極の各電極は、複数の第1電極のうちの他のすべての電極から電気的に絶縁され、それらの電極と同一平面上にあり、複数の第1電極の各電極は、パルスDC電力を、基板の領域に対してそれとの容量結合によって供給するように構成されている第1電極と、基板支持体内に配置され、複数の第1電極から電気的に絶縁された第2電極であって、基板を基板支持体に電気的にクランプする第2電極とを備える。
【0006】
他の諸実施形態では、処理容積を画定する1つ以上の側壁及び底部と、基板支持体とを備える処理チャンバが提供される。基板支持体は、基板支持体内の複数の第1電極であって、複数の第1電極の各電極は、複数の第1電極のうちの他のすべての電極から電気的に絶縁され、それらの電極と同一平面上にあり、複数の第1電極の各電極は、パルスDCバイアスを、基板の領域に対してそれとの容量結合によって供給するように構成されている第1電極と、基板支持体内に配置され、複数の第1電極から電気的に絶縁された第2電極であって、基板を基板支持体に電気的にクランプする第2電極とを備える。
【0007】
別の一実施形態では、複数の周期的DC電圧で基板にバイアスをかける方法が提供される。この方法は、処理ガスを処理チャンバに流入させる工程と、処理ガスからプラズマを形成する工程と、処理チャンバに配置された基板支持体に基板を電気的にクランプする工程と、複数の領域にわたって基板にバイアスをかける工程とを含む。複数の領域にわたって基板にバイアスをかける工程は、基板支持体に配置された複数のバイアス電極にスイッチングシステムによって供給された複数の周期的DC電圧を、基板のそれぞれの領域に、基板支持体の第1誘電体層の静電容量によって容量結合する工程を含む。本明細書の複数の周期的DC電圧は、ある範囲の周波数及び/又は複数の極性を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の上記の構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、諸実施形態を参照して行う。そして、これら実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態を含み得るので、添付図面は本開示の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、従ってこの範囲を制限していると解釈するべきではないことに留意すべきである。
図1】一実施形態による、内部に静電チャック(ESC)基板支持アセンブリが配置された処理チャンバの概略断面図である。
図2A図1の処理チャンバで用いられる基板支持アセンブリの拡大断面図である。
図2B図2Aに示される基板支持アセンブリの上面図である。
図3】本明細書に記載の諸実施形態による、プラズマ支援処理の間に基板の領域にバイアスをかける方法を示すフロー図である。
【詳細な説明】
【0009】
本開示の諸実施形態は、概して、プラズマ支援又はプラズマ強化の処理チャンバなどのプラズマ処理チャンバに関する。より具体的には、本明細書の諸実施形態は、プラズマ支援又はプラズマ強化の半導体製造処理の間に、基板支持体の上に配置された基板に容量結合パルスDC電圧を供給するように構成された静電チャック(ESC)基板支持体に関する。周期的DC電源への基板の容量結合(基板にパルスDCバイアスをかけること)により、基板と処理チャンバに形成されたプラズマとの間の電位差を増加させ、これにより、プラズマから基板の活性表面に向かってイオンを加速させる。RFバイアスとは対照的に、パルスDCバイアスは単一の電位をイオンに供給して、プラズマから基板まで加速させる。本明細書の基板支持体は複数のバイアス電極を備えており、この複数のバイアス電極は、パルスDC電源スイッチングシステムの一部にそれぞれ独立して接続され、基板の領域の調整可能なバイアスを、それとの容量結合により供給するようにそれぞれ構成される。本明細書の複数のバイアス電極は、基板全体にわたって処理結果の均一性を管理するのに有利なパターンで基板支持体にわたって空間的に配置される。
【0010】
図1は、一実施形態による、内部に静電チャック(ESC)基板支持アセンブリ200が配置された処理チャンバ100の概略断面図である。この実施形態では、処理チャンバ100はプラズマ処理チャンバであり、例えば、プラズマエッチングチャンバ、プラズマ強化堆積チャンバ(例えば、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)チャンバ又はプラズマ強化原子層堆積(PEALD)チャンバ)、又はプラズマベースイオン注入チャンバ(例えばプラズマドーピング(PLAD)チャンバ)などである。
【0011】
処理チャンバ100は、処理容積120を画定するチャンバ蓋103、1つ以上の側壁102、及びチャンバ底部104を特徴として有する。複数の開口部118が貫通して配置されたシャワーヘッド112がチャンバ蓋103に配置され、処理ガスをガス入口114から処理容積120内に均一に分配するために用いられる。シャワーヘッド112はRF電源142、又はいくつかの実施形態ではVHF電源に接続され、処理ガスからプラズマ135を容量結合によって形成する。処理容積120は、真空出口152を介して、1つ以上の専用真空ポンプなどの真空に流体接続されて、これにより、処理容積120は大気圧より低い圧力条件に維持され、そこから処理ガス及び他のガスが排出される。処理容積120内に配置された基板支持アセンブリ200は、チャンバ底部104を通って密封状態で延びる支持シャフト124上に配置されている。支持シャフト124は、支持シャフト124及びその上に配置された基板支持アセンブリ200を上下させるコントローラ140に接続されて、基板115の処理及び基板115の処理チャンバ100内外への移送を容易にする。通常は、基板支持アセンブリ200が上昇位置又は処理位置にあるとき、基板115は、シャワーヘッド112から約0.75インチから1.75インチの間(約1.25インチなど)の間隙を介して離れている。
【0012】
基板115は、1つ以上の側壁102のうちの1つにある開口部126を通して処理容積120内に装填される。この移送開口部126は、基板115の処理の間、ドア又は弁(図示せず)で従来通りに密封されている。リフトピンフープ134の上に配置された複数のリフトピン136は、基板支持アセンブリ200を通して移動可能に配置されて、そこから及びそこへの基板115の移送を容易にする。リフトピンフープ134は、チャンバ底部104を通って密封状態で延びるリフトフープシャフト131に連結され、このリフトフープシャフト131は、アクチュエータ130によってリフトピンフープ134を上下させる。基板支持アセンブリ200は基板支持体227を有し、処理のために基板がこの基板支持体227上に配置される。リフトピンフープ134が上昇位置にあるとき、複数のリフトピン136が、基板支持体227の表面の上にまで延びて、そこから基板115を持ち上げ、ロボットハンドラ(図示せず)による基板115へのアクセスを可能にする。リフトピンフープ134が下降位置にあるとき、複数のリフトピン136は、基板支持体227の表面と同じ高さに又はそれより下にあり、基板115は処理のためにその上に直接載っている。
【0013】
本明細書の基板支持アセンブリ200は、冷却ベース125を備える。基板支持体227は、冷却ベース125に熱的に結合されて配置されている。基板支持アセンブリ200の冷却ベース125を用いて、処理の間に、基板支持体227の温度を調節し、これにより基板支持面203上に配置された基板115の温度を調節する。本明細書では、冷却ベース125は、その中に配置された1つ以上の流体導管137を備えてもよい。この流体導管137は、冷媒源又は水源などの冷却剤源133に流体的に接続され、かつ流体連通している。通常は、冷却ベース125は、耐食性の熱伝導性材料(アルミニウム、アルミニウム合金、又はステンレス鋼などの耐食性金属など)で形成され、接着剤又は機械的手段により、基板支持体227に熱的に結合される。
【0014】
処理の間に、基板115へのイオン衝撃により、基板115は場合によっては望ましくない高温にまで加熱される。それは、処理容積120の圧力が低いと、基板115と基板支持面203との間の熱伝導が不十分になるためである。したがって、本明細書の諸実施形態では、処理の間、基板115と基板支持面203との間に背面ガスを供給して、この背面ガスによって、基板115を基板支持面203に熱的に結合し、それらの間の熱伝達を増進させる。通常は、基板支持面203は、そこから延びる複数の突起228を備え、この突起228によって、基板115がその上に配置されたときに、背面ガスが基板115と基板支持面203との間の空間を流れる又は占有することが、可能になる。背面ガスは、基板支持体227を通して配置された1つ以上のガス導管147を通って基板支持面203へ流れる。本明細書では、1つ以上のガス導管147は、ヘリウムガス源などの熱伝導性不活性背面ガス源146に接続されている。
【0015】
図2Aは、図1の処理チャンバ100で用いられる基板支持アセンブリ200の拡大断面図である。図2Bは、図2Aに示される基板支持アセンブリ200の上面図である。本明細書では、基板支持体227は、第1層227A及び第2層227Bを含み、各層227ABは、金属酸化物若しくは金属窒化物を含む誘電体材料、又は金属酸化物若しくは金属窒化物の混合物を含む誘電体層から形成されている。それらの金属酸化物又は金属窒化物とは、Al、AlN、Y、又はそれらの組み合わせなどである。いくつかの実施形態では、第1層227Aは誘電体材料で形成されており、この誘電体材料は、約20V/μmから約200V/μm(例えば、約100V/μmから約200V/μm、又は約20V/μmから約100V/μm)の絶縁破壊電圧を有する。一実施形態では、第1層227Aは、約160μmで約9kVの絶縁破壊電圧を有する99.5%アルミナから形成される。いくつかの実施形態では、バルク誘電体材料を第2層227B及びその中又はその上に配置された複数の電極に接合し、その後、バルク誘電体材料を所望の厚さDへ研削して、第1層227Aを形成することによって、基板支持体227を形成する。通常は、第1層227Aの厚さDは、約5μmから約300μmの間(例えば、約100μmから約300μmの間、例えば、約160μm)である。他の諸実施形態では、第1層227Aは、任意の適切なコーティング方法を用いて形成される。そのコーティング方法とは、CVD、PECVD、ALD、PEALD、蒸着、スパッタリング、プラズマアークコーティング、エアロゾルコーティング、又はそれらの組み合わせなどである。
【0016】
本明細書の基板支持体に配置及び/又は埋め込まれた複数の電極は、複数のバイアス電極238A~C及び単一のESC電極222を含む。複数のバイアス電極の各電極は、複数のバイアス電極のうちの他のすべての電極及び単一のESC電極222から電気的に絶縁されている。本明細書の複数のバイアス電極238A~Cの各電極を構成して、1つ以上の独立したパルスDCバイアスを、基板115のそれぞれの領域に対してそれとの容量結合によって供給する。単一のESC電極222は、基板115と基板支持面203との間に電位を与えることで、その間にクランプ力を提供している。通常は、ESC電極は静的なDC電源に接続されている。本明細書では、このDC電源は、約-5000Vから約5000V(例えば、約100Vから約4000V、例えば、約1000Vから約3000V、例えば、約2000V)を供給する。
【0017】
本明細書の諸実施形態では、基板支持体227は、直径300mmの基板を支持するように構成されてもよく、2から20個のバイアス電極(図示されている3つのバイアス電極238A~Cなど)を備えてもよい。ただし、より大きな基板及び/又は種々の形状の基板を処理するためのより大きな基板支持体は、任意の数のバイアス電極を備えてもよい。複数のバイアス電極238A~Cは、それぞれ1つ以上の電気伝導性材料部分(金属メッシュ、箔、プレート、又はそれらの組み合わせなど)で形成される。いくつかの実施形態では、複数のバイアス電極238A~Cの各々は、2つ以上の不連続な電気伝導性材料部分(複数の金属メッシュ、箔、プレート、又はそれらの組み合わせなど)から形成され、これらの電気伝導性材料部分は、基板支持体227に配置された1つ以上のコネクタ(図示せず)と電気的に接続されることで、電気的に接続された不連続な材料部分は単一の電極(中央バイアス電極238A、中間バイアス電極238B、又は外側バイアス電極238Cなど)を構成する。
【0018】
複数のバイアス電極238A~Cは、基板115全体にわたって処理結果の均一性を管理するのに有利なパターンで基板支持体227にわたって空間的に配置される。図2Aに示す実施形態では、中央バイアス電極238Aの円形プレート及びバイアス電極238B~Cの不連続な環状部は、複数の同心ゾーンを画定する。他の空間的配置には、スポークパターン、グリッドパターン、ラインパターン、スパイラルパターン、互いに組み合わせたパターン、ランダムパターン、又はそれらの組み合わせが含まれる。本明細書の複数のバイアス電極238A~Cの各電極は、複数のバイアス電極のうちの他のすべての電極及び単一のESC電極222と同一平面上にある。単一のESC電極222は、基板支持体227と平面的に配置され、基板支持面203に平行である。複数のバイアス電極238A~Cの各電極は、単一のESC電極222から電気的に絶縁されており、そのために、単一のESC電極222に開口部が形成されて、基板支持体227の誘電体材料がそれらの間に配置されている。他の諸実施形態では、複数のバイアス電極208A~Cの各電極、又はその一部は、複数のバイアス電極のうちの他のすべての電極の少なくとも一部と同一平面上にあり、複数のバイアス電極208A~Cは、単一のESC電極222よりも基板支持面203の近くにある。
【0019】
本明細書では、複数のバイアス電極238A~Cの各々は、複数のソリッドステートパルサー/スイッチャを備えるDC電源スイッチングシステム150の部分に独立して電気的に接続される。ここで、複数の第1スイッチS1、S3、S5及び複数の第2スイッチS2、S4、S6は、高電圧(HV)DC電力を、約10Hz以下から約100kHzの周波数を有する周期的DC電圧に変換し得る。複数の第1スイッチS1、S3、S5及び複数の第2スイッチS2、S4、S6はさらに、高電圧(HV)DC電力を、2%から98%の範囲のデューティサイクルを有する周期的DC電圧に変換し得る。スイッチS1~S6は、ある周波数で周期的に動作するか、又は任意のパターンに従って、又はパターンなしで必要に応じて動作する。複数のバイアス電極の各々は、複数の第1スイッチS1、S3、S5のうちの1つ、及び複数の第2スイッチS2、S4、S6のうちの1つに電気的に接続される。
【0020】
本明細書では、複数の第1スイッチS1、S3、S5は、第1DC電圧源156Bに電気的に接続されており、この第1DC電圧源156Bは、例えば、正(+ve)電圧源であってもよく、複数の第2スイッチS2、S4、S6は、第2DC電圧源156Aに電気的に接続されており、この第2DC電圧源156Aは、例えば、負(-ve)電圧源であってもよい。他の諸実施形態では、2つの電圧源156A及び156Bは、電圧が異なる、両方とも正又は両方とも負の電源であってもよい。本明細書の第1DC電圧源156B及び第2DC電圧源156Aは、それぞれの電圧の大きさが約0Vから約10kVの間の正又は負のDCバイアスを供給する。
【0021】
S1とS2、S3とS4、又はS5とS6などのスイッチの各組は独立して動作して、正又は負の極性の周期的DC電圧の個々の周波数、パターン又は動作を、基板支持体227の各バイアス電極238A~Cに供給し、それとの容量結合により、基板支持体227上に配置された基板115のそれぞれの領域に個々のパルスDCバイアスを供給する。通常は、負のDCパルスを基板領域に接続すると、基板領域とプラズマ135の間の電位差が増加し、パルスの間、基板領域はプラズマよりも負の電位になる。この負のDCバイアスの場合、プラズマ内で正に帯電している化学種が、基板領域の表面に向かって加速して、基板領域の処理が達成される。正のDCパルスを基板領域に接続すると、基板領域とプラズマ135の間の電位差が増加し、パルスの間、基板領域はプラズマよりも正の電位になる。この正のDCバイアスの場合、プラズマ内で負に帯電している化学種が、基板領域の表面に向かって加速して、基板領域の処理が達成される。正と負の両方のDCバイアス条件に対して、種々の基板領域に供給される周期的DC電圧の周波数、デューティサイクル、及び/又は持続時間を調節する機能により、基板全体の処理の均一性の調整とその改善が可能になる。他にも有用な特性として、正と負の両方のDCバイアスパルスを印加する機能により、基板領域の電荷中和が提供されて、基板領域の表面は、定期的に中性電荷状態になり得る。
【0022】
図3は、本明細書に記載の諸実施形態による、プラズマ支援処理の間に基板の領域にバイアスをかける方法300を示すフロー図である。ステップ310で、方法300は、処理ガスを処理チャンバに流入させる工程を含み、ステップ320で、この方法は、処理ガスからプラズマを形成する工程を含む。
【0023】
ステップ330で、方法300は、処理チャンバに配置された基板支持体に、基板支持体に配置されたチャック電極を用いて基板を電気的にクランプする工程を含む。ここで、この基板支持体は第1誘電体層及び第2誘電体層を含んでいる。
【0024】
ステップ340で、方法300は、基板支持体内に配置された複数のバイアス電極に複数の周期的DC電圧を供給する工程を含む。ここで、それぞれの周期的DC電圧は、個々のパルスDCバイアスを、基板の領域に対してそれとの容量結合によって供給する。いくつかの実施形態では、複数の周期的DC電圧は、複数の極性、複数の周波数、複数のデューティサイクル、及び/又は複数の持続時間を含む。パルスDCバイアスは、ステップ330で形成されたプラズマ内のイオンを基板に向かって加速させて、基板上で堆積や除去などの材料処理を実行する。ステップ320の後、ステップ330の後、ステップ340の後、又はステップ350の後にプラズマを形成してもよいことに留意すべきである。
【0025】
本明細書に記載の基板支持アセンブリ及び方法により、静電クランプ力の使用に適合する、プラズマ支援処理の間の個々の基板領域の容量結合パルスDCバイアスが可能になる。パルスDCバイアスにより、基板表面及び/又はその領域、並びにその中に形成されたフィーチャー開口部におけるイオンのエネルギー及び角度の分布の制御が向上する。制御の向上は、少なくとも高アスペクト比のフィーチャー及び/又は直角なエッチングプロファイルを必要とするフィーチャーの形成において望ましい。そのような例には、シャロートレンチアイソレーション(STI)への適用のための、又はFinFET技術で用いられるシリコンフィンのためのシリコンエッチングなどがある。さまざまな周波数、デューティサイクル、極性、及び/又は持続時間のDCパルスを基板の種々の領域に印加する機能により、基板全体の処理の均一性の調整とその改善が可能になる。
【0026】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他のさらなる実施形態を、その基本的な範囲から逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。
図1
図2A
図2B
図3