(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182775
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20231219BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20231219BHJP
H04N 23/54 20230101ALI20231219BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20231219BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N23/68
H04N23/54
H04N23/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177648
(22)【出願日】2023-10-13
(62)【分割の表示】P 2022578054の分割
【原出願日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2021010566
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】粟津 亘平
(72)【発明者】
【氏名】石田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】北川 潤也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 雄大
(72)【発明者】
【氏名】柴▲崎▼ 本務
(72)【発明者】
【氏名】赤石 陽太
(72)【発明者】
【氏名】入江 史憲
(57)【要約】 (修正有)
【課題】メカニカルシャッタの振動に伴う画像のぶれの抑制とユーザに与える不快感の抑制とを両立できる撮像装置、撮像装置の作動方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】撮像装置のプロセッサは、撮像装置の振動に基づいて、イメージセンサにより撮像されることで得られる画像のぶれが補正される方向へ、イメージセンサを移動させる移動制御を行い、イメージセンサによる撮像において、メカニカルシャッタのシャッタスピードが第1既定時間よりも短い場合には、メカニカルシャッタのシャッタスピードが第1既定時間よりも長い場合に比して、移動制御のゲインを上げるゲインアップ制御を行う。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面を有するイメージセンサと、
前記受光面に沿って前記イメージセンサを移動させるアクチュエータと、
を備え、
前記アクチュエータは、互いに並んで配置された第1ボイスコイルモータ及び第2ボイスコイルモータを有し、
前記第1ボイスコイルモータは、第1コイル及び第1磁石を有し、
前記第2ボイスコイルモータは、第2コイル及び第2磁石を有し、
前記第1コイルの巻き方向は、前記第2コイルの巻き方向と逆向きであり、
前記第1磁石のN極及びS極は、前記第2磁石のN極及びS極と逆向きに配置されている
撮像装置。
【請求項2】
プロセッサを備え、
前記アクチュエータは、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータを有し、
前記プロセッサは、前記第1アクチュエータを駆動させる第1駆動信号と前記第2アクチュエータを駆動させる第2駆動信号との間に位相差を設ける
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号は、それぞれPWM信号である
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
メカニカルシャッタと、プロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
前記撮像装置の振動に基づいて、前記イメージセンサにより撮像されることで得られる画像のぶれが補正される方向へ、前記イメージセンサを移動させる移動制御を行い、
前記イメージセンサによる撮像において、前記メカニカルシャッタのシャッタスピードが第1既定時間よりも短い場合には、前記メカニカルシャッタのシャッタスピードが前記第1既定時間よりも長い場合に比して、前記移動制御のゲインを上げるゲインアップ制御を行う
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記イメージセンサによる撮像において、前記メカニカルシャッタのシャッタスピードが前記第1既定時間よりも短く第2既定時間よりも長い場合には、前記ゲインアップ制御を行う
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記メカニカルシャッタの先幕を駆動させた後に前記メカニカルシャッタの後幕を駆動させるメカニカルシャッタモードにおいて、前記ゲインアップ制御を行う
請求項4又は請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、電子シャッタを作動させる電子シャッタモードにおいて、前記移動制御のゲインを、前記ゲインアップ制御により設定されるゲインよりも低いゲインに設定する制御を行う
請求項4から請求項6の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記イメージセンサの電子先幕を作動させた後に前記メカニカルシャッタの後幕を駆動させる電子先幕シャッタモードにおいて前記イメージセンサによる連続した撮像が行われる場合に、前記ゲインアップ制御を行う
請求項4から請求項7の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記イメージセンサによる撮像において、前記メカニカルシャッタのシャッタスピードが前記第1既定時間よりも長い場合には、前記撮像装置の振動に伴い得られた信号を既定のカットオフ周波数でローパスフィルタ処理し、
前記ローパスフィルタ処理された前記信号に基づいて、前記移動制御を行う
請求項4から請求項8の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記移動制御を行う駆動信号の周波数が第1周波数よりも高い第2周波数である場合には、前記ゲインアップ制御を行う
請求項4から請求項9の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第1既定時間は1/4秒である
請求項4から請求項10の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第1既定時間は1/8秒である
請求項4から請求項10の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第2既定時間は1/60秒である
請求項5、及び請求項5に従属する請求項6から請求項12の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記第2既定時間は1/30秒である
請求項5、及び請求項5に従属する請求項6から請求項12の何れか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2009-63664号公報の撮影装置は、撮影部による撮影動作の際、撮影部のシャッタスピードに応じ、位置検出部から駆動制御部へのフィードバック経路のゲイン設定を段階的に制御するフィードバックゲイン制御部を備える。特許文献1のフィードバックゲイン制御部は、撮影部による撮影動作の際、撮影部のシャッタスピードが高速である場合はゲインを高レベルに設定し、撮影部のシャッタスピードが低速である場合はゲインを低レベルに設定する。
【0003】
特開2009-168938号公報の撮影装置は、撮影部のシャッタスピードに応じ、位置検出部から駆動制御部へのフィードバック経路のゲインを制御するフィードバックゲイン制御部を備える。特許文献2のフィードバックゲイン制御部は、撮影部のシャッタスピードが高速である場合はゲインを高レベルに設定し、撮影部のシャッタスピードが中速である場合はゲインを中レベルに設定し、撮影部のシャッタスピードが低速である場合はゲインを低レベルに設定する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、一つの側面として、メカニカルシャッタの振動に伴う画像のぶれの抑制とユーザに与える不快感の抑制とを両立できる撮像装置、撮像装置の作動方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の技術に係る第1の態様は、メカニカルシャッタと、イメージセンサと、プロセッサとを備える撮像装置であって、プロセッサは、撮像装置の振動に基づいて、イメージセンサにより撮像されることで得られる画像のぶれが補正される方向へ、イメージセンサを移動させる移動制御を行い、イメージセンサによる撮像において、メカニカルシャッタのシャッタスピードが第1既定時間よりも短い場合には、メカニカルシャッタのシャッタスピードが第1既定時間よりも長い場合に比して、移動制御のゲインを上げるゲインアップ制御を行う撮像装置である。
【0006】
本開示の技術に係る第2の態様は、第1の態様に係る撮像装置において、プロセッサは、イメージセンサによる撮像において、メカニカルシャッタのシャッタスピードが第1既定時間よりも短く第2既定時間よりも長い場合には、ゲインアップ制御を行う撮像装置である。
【0007】
本開示の技術に係る第3の態様は、第1の態様又は第2の態様に係る撮像装置において、プロセッサは、メカニカルシャッタの先幕を駆動させた後にメカニカルシャッタの後幕を駆動させるメカニカルシャッタモードにおいて、ゲインアップ制御を行う撮像装置である。
【0008】
本開示の技術に係る第4の態様は、第1の態様から第3の態様の何れか一つの態様に係る撮像装置において、プロセッサは、電子シャッタを作動させる電子シャッタモードにおいて、移動制御のゲインを、ゲインアップ制御により設定されるゲインよりも低いゲインに設定する制御を行う撮像装置である。
【0009】
本開示の技術に係る第5の態様は、第1の態様から第4の態様の何れか一つの態様に係る撮像装置において、プロセッサは、イメージセンサの電子先幕を作動させた後にメカニカルシャッタの後幕を駆動させる電子先幕シャッタモードにおいてイメージセンサによる連続した撮像が行われる場合に、ゲインアップ制御を行う撮像装置である。
【0010】
本開示の技術に係る第6の態様は、第1の態様から第5の態様の何れか一つの態様に係る撮像装置において、プロセッサは、イメージセンサによる撮像において、メカニカルシャッタのシャッタスピードが第1既定時間よりも長い場合には、撮像装置の振動に伴い得られた信号を既定のカットオフ周波数でローパスフィルタ処理し、ローパスフィルタ処理された信号に基づいて、移動制御を行う撮像装置である。
【0011】
本開示の技術に係る第7の態様は、第1の態様から第6の態様の何れか一つの態様に係る撮像装置において、プロセッサは、移動制御を行う駆動信号の周波数が第1周波数よりも高い第2周波数である場合には、ゲインアップ制御を行う撮像装置である。
【0012】
本開示の技術に係る第8の態様は、第1の態様から第7の態様の何れか一つの態様に係る撮像装置において、第1既定時間は1/4秒である撮像装置である。
【0013】
本開示の技術に係る第9の態様は、第1の態様から第7の態様の何れか一つの態様に係る撮像装置において、第1既定時間は1/8秒である撮像装置である。
【0014】
本開示の技術に係る第10の態様は、第2の態様、及び第2の態様に従属する第3の態様から第9の態様の何れか一つの態様に係る撮像装置において、第2既定時間は1/60秒である撮像装置である。
【0015】
本開示の技術に係る第11の態様は、第2の態様、及び第2の態様に従属する第3の態様から第9の態様の何れか一つの態様に係る撮像装置において、第2既定時間は1/30秒である撮像装置である。
【0016】
本開示の技術に係る第12の態様は、第1の態様から第11の態様の何れか一つの態様に係る撮像装置において、イメージセンサを移動させるアクチュエータをさらに備え、アクチュエータは、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータを有し、プロセッサは、第1アクチュエータを駆動させる第1駆動信号と第2アクチュエータを駆動させる第2駆動信号との間に位相差を設ける撮像装置である。
【0017】
本開示の技術に係る第13の態様は、第12の態様に係る撮像装置において、第1駆動信号及び第2駆動信号は、それぞれPWM信号である撮像装置である。
【0018】
本開示の技術に係る第14の態様は、第1の態様から第13の態様の何れか一つに係る撮像装置において、イメージセンサを移動させるアクチュエータをさらに備え、アクチュエータは、互いに並んで配置された第1ボイスコイルモータ及び第2ボイスコイルモータを有し、第1ボイスコイルモータは、第1コイル及び第1磁石を有し、第2ボイスコイルモータは、第2コイル及び第2磁石を有し、第1コイルの巻き方向は、第2コイルの巻き方向と逆向きであり、第1磁石のN極及びS極は、第2磁石のN極及びS極と逆向きに配置されている撮像装置である。
【0019】
本開示の技術に係る第15の態様は、メカニカルシャッタと、イメージセンサとを備える撮像装置の作動方法であって、撮像装置の振動に基づいて、イメージセンサにより撮像されることで得られる画像のぶれが補正される方向へ、イメージセンサを移動させる移動制御を行うこと、イメージセンサによる撮像において、メカニカルシャッタのシャッタスピードが第1既定時間よりも短い場合には、メカニカルシャッタのシャッタスピードが第1既定時間よりも長い場合に比して、移動制御のゲインを上げるゲインアップ制御を行うことを含む撮像装置の作動方法である。
【0020】
本開示の技術に係る第16の態様は、メカニカルシャッタと、イメージセンサとを備える撮像装置に対して適用されるコンピュータに、撮像装置の振動に基づいて、イメージセンサにより撮像されることで得られる画像のぶれが補正される方向へ、イメージセンサを移動させる移動制御を行うこと、イメージセンサによる撮像において、メカニカルシャッタのシャッタスピードが第1既定時間よりも短い場合には、メカニカルシャッタのシャッタスピードが第1既定時間よりも長い場合に比して、移動制御のゲインを上げるゲインアップ制御を行うことを含む処理を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の技術の一実施形態に係る撮像装置の外観の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す撮像装置の背面側の外観の一例を示す背面図である。
【
図3】
図1に示す撮像装置のハードウェア構成の一例を示す概略構成図である。
【
図4】
図3に示すフィードバック回路の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図3に示すCPUの要部機能の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図5に示すローパスフィルタ処理部の処理の一例を示す概念図である。
【
図7】
図5に示す駆動制御部及び位相制御部の処理の一例を示す概念図である。
【
図8】
図5に示す駆動制御部、シャッタスピード判定部、及びゲイン制御部の処理の一例を示す概念図である。
【
図9】
図5に示す駆動制御部及びゲイン制御部の処理の一例を示す概念図である。
【
図10】
図5に示すシャッタモード判定部の処理の一例を示す概念図である。
【
図11】
図5に示すゲイン制御部の処理の一例を示す概念図である。
【
図12】
図5に示すCPUのゲイン制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図1に示す撮像装置に搭載されたぶれ補正機構の一例を示す分解斜視図である。
【
図15】
図13に示す第1固定部材の一例を示す正面図である。
【
図16】
図13に示す第2固定部材の一例を示す正面図である。
【
図17】
図13に示す第3VCM及び第4VCMの一例を示す底面図である。
【
図18】
図9に示すゲイン制御部の処理の変形例を示す概念図である。
【
図19】
図1に示す撮像装置の第1変形態様の一例を示すブロック図である。
【
図20】
図1に示す撮像装置の第2変形態様の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面に従って本開示の技術に係る撮像装置、撮像装置の作動方法、及びプログラムの実施形態の一例について説明する。
【0023】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0024】
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。NVMとは、“Non-Volatile Memory”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。”AE”とは、“Auto Exposure”の略称を示す。AFとは、“Auto Focus”の略称を指す。MFとは、“Manual Focus”の略称を指す。PIDとは、“Proportional Integral Differential”の略称を指す。VCMとは、“Voice Coil Motor”の略称を指す。I/Fとは、“Interface”の略称を指す。UIとは、“User Interface”の略称を指す。CMOSとは、“Complementary Metal Oxide Semiconductor”の略称を指す。CCDとは、“Charge Coupled Device”の略称を指す。GPUとは、“Graphics Processing Unit”の略称を指す。ICとは、“Integrated Circuit”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-chip”の略称を指す。SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。HDDとは、“Hard Disk Drive”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。ELとは、“Electro-Luminescence”の略称を指す。LANとは、“Local Area Network”の略称を指す。WANとは、“Wide Area Network”の略称を指す。IIRとは、“Infinite Impulse Response”の略称を指す。PWMとは、“Pulse Width Modulation”の略称を指す。
【0025】
本明細書の説明において、「垂直」とは、完全な垂直の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの垂直を指す。本明細書の説明において、「一致」とは、完全な一致の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの一致を指す。本明細書の説明において、「平行」とは、完全な平行の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの平行を指す。
【0026】
(撮像装置10)
一例として
図1に示す撮像装置10は、被写体を撮像する装置である。
図1に示す例では、撮像装置10の一例として、レンズ交換式のデジタルカメラが示されている。撮像装置10は、撮像装置本体12及び交換レンズ14を備えている。交換レンズ14は、撮像装置本体12に交換可能に装着される。交換レンズ14には、フォーカスリング16が設けられている。フォーカスリング16は、撮像装置10のユーザ(以下、単に「ユーザ」と称する)等が撮像装置10による被写体に対するフォーカス調整を手動で行う場合にユーザ等によって操作される。
【0027】
本実施形態では、撮像装置10として、レンズ交換式のデジタルカメラを例示しているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、レンズ固定式のデジタルカメラであってもよいし、スマートデバイス、ウェアラブル端末、細胞観察装置、眼科観察装置、又は外科顕微鏡等の各種の電子機器に内蔵されるデジタルカメラであってもよい。
【0028】
図1に示すP軸は、撮像装置10のピッチ軸に相当し、Y軸は、撮像装置10のヨー軸に相当し、R軸は、撮像装置10のロール軸に相当する。以降、P軸に沿う方向をP軸方向と称し、Y軸に沿う方向をY軸方向と称し、R軸に沿う方向をR軸方向と称する。P軸方向、Y軸方向、及びR軸方向は互いに直交している。
【0029】
撮像装置本体12には、イメージセンサ18が設けられている。イメージセンサ18は、CMOSイメージセンサである。イメージセンサ18は、少なくとも1つの被写体を含む撮像範囲を撮像する。交換レンズ14が撮像装置本体12に装着された場合に、被写体を示す被写体光は、交換レンズ14を透過してイメージセンサ18に結像され、被写体の画像を示す画像データがイメージセンサ18によって生成される。
【0030】
本実施形態では、イメージセンサ18としてCMOSイメージセンサを例示しているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、イメージセンサ18がCCDイメージセンサ等の他種類のイメージセンサであっても本開示の技術は成立する。
【0031】
撮像装置本体12の上面には、レリーズボタン20及びダイヤル22が設けられている。ダイヤル22は、撮像系の動作モード及び再生系の動作モード等の設定の際に操作され、ダイヤル22が操作されることによって、撮像装置10では、動作モードとして撮像モードと再生モードとが選択的に設定される。
【0032】
レリーズボタン20は、撮像準備指示部及び撮像指示部として機能し、撮像準備指示状態と撮像指示状態との2段階の押圧操作が検出可能である。撮像準備指示状態とは、例えば待機位置から中間位置(半押し位置)まで押下される状態を指し、撮像指示状態とは、最終押下位置(全押し位置)まで押下される状態を指す。
【0033】
なお、以下では、「待機位置から半押し位置まで押下される状態」を「半押し状態」といい、「待機位置から全押し位置まで押下される状態」を「全押し状態」という。撮像装置10の構成によっては、撮像準備指示状態とは、ユーザの指がレリーズボタン20に接触した状態であってもよく、撮像指示状態とは、操作するユーザの指がレリーズボタン20に接触した状態から離れた状態に移行した状態であってもよい。
【0034】
一例として
図2に示すように、撮像装置本体12の背面には、タッチパネル・ディスプレイ24及び指示キー26が設けられている。
【0035】
タッチパネル・ディスプレイ24は、ディスプレイ28及びタッチパネル30を備えている。ディスプレイ28の一例としては、ELディスプレイ(例えば、有機ELディスプレイ又は無機ELディスプレイ)が挙げられる。ディスプレイ28は、ELディスプレイ28ではなく、液晶ディスプレイ等の他種類のディスプレイであってもよい。
【0036】
ディスプレイ28は、画像及び/又は文字情報等を表示する。ディスプレイ28は、撮像装置10が撮像モードの場合に、ライブビュー画像用の撮像、すなわち、連続的な撮像が行われることにより得られたライブビュー画像の表示に用いられる。ライブビュー画像を得るために行われる撮像(以下、「ライブビュー画像用撮像」とも称する)は、例えば、60fpsのフレームレートに従って行われる。60fpsは、あくまでも一例に過ぎず、60fps未満のフレームレートであってもよいし、60fpsを超えるフレームレートであってもよい。
【0037】
ここで、「ライブビュー画像」とは、イメージセンサ18によって撮像されることにより得られた画像データに基づく表示用の動画像を指す。
【0038】
ディスプレイ28は、撮像装置10に対してレリーズボタン20を介して静止画像用の撮像の指示が与えられた場合に、静止画像用の撮像が行われることで得られた静止画像の表示にも用いられる。また、ディスプレイ28は、撮像装置10が再生モードの場合の再生画像等の表示にも用いられる。更に、ディスプレイ28は、撮像装置10が設定モードの場合に、各種メニューを選択可能なメニュー画面の表示、及び、撮像に関連する制御で用いられる各種の設定値等を設定するための設定画面の表示にも用いられる。
【0039】
タッチパネル30は、透過型のタッチパネルであり、ディスプレイ28の表示領域の表面に重ねられている。タッチパネル30は、指又はスタイラスペン等の指示体による接触を検知することで、ユーザからの指示を受け付ける。なお、以下では、説明の便宜上、上述した「全押し状態」には、撮像開始用のソフトキーに対してユーザがタッチパネル30を介してオンした状態も含まれる。
【0040】
本実施形態では、タッチパネル・ディスプレイ24の一例として、タッチパネル30がディスプレイ28の表示領域の表面に重ねられているアウトセル型のタッチパネル・ディスプレイを挙げているが、これはあくまでも一例に過ぎない。例えば、タッチパネル・ディスプレイ24として、オンセル型又はインセル型のタッチパネル・ディスプレイを適用することも可能である。
【0041】
指示キー26は、各種の指示を受け付ける。ここで、「各種の指示」とは、例えば、手振れ補正モードのオンとオフとの切り替え、メニュー画面の表示の指示、1つ又は複数のメニューの選択の指示、選択内容の確定の指示、選択内容の消去の指示、ズームイン、ズームアウト、及びコマ送り等の各種の指示等を指す。また、これらの指示はタッチパネル30によってされてもよい。
【0042】
一例として
図3に示すように、イメージセンサ18は、受光面18Aを有する。イメージセンサ18は、一例として、光電変換素子である。イメージセンサ18は、固体撮像素子と称される場合がある。イメージセンサ18は、一例として、受光面18Aの中心と交換レンズ14の光軸OAとが一致するように撮像装置本体12内に配置されている。
【0043】
イメージセンサ18は、モノクロタイプのイメージセンサでも、複数の物理画素に異なる色のカラーフィルタが割り当てられたカラータイプのイメージセンサでもよい。イメージセンサ18は、マトリクス状に配置された複数の感光画素を有しており、受光面18Aは、複数の感光画素によって形成されている。感光画素は、フォトダイオード(図示省略)を有する物理的な画素であり、受光した光を光電変換し、受光量に応じた電気信号を出力する。
【0044】
(交換レンズ14)
交換レンズ14は、撮像レンズ40を備えている。撮像レンズ40は、一例として、対物レンズ42、フォーカスレンズ44、ズームレンズ46、及び絞り48を有する。対物レンズ42、フォーカスレンズ44、ズームレンズ46、及び絞り48は、被写体側から撮像装置本体12側にかけて、光軸OAに沿って、対物レンズ42、フォーカスレンズ44、ズームレンズ46、及び絞り48の順に配置されている。
【0045】
また、交換レンズ14は、制御装置50、フォーカス用アクチュエータ52、ズーム用アクチュエータ54、及び絞り用アクチュエータ56を備えている。制御装置50は、撮像装置本体12からの指示に従って交換レンズ14の全体を制御する。制御装置50は、例えば、CPU、NVM、及びRAM等を含むコンピュータを有する装置である。なお、ここでは、コンピュータを例示しているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、制御装置50として、例えば、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせによって実現される装置を用いてよい。
【0046】
フォーカス用アクチュエータ52は、フォーカス用スライド機構(図示省略)及びフォーカス用モータ(図示省略)を備えている。フォーカス用スライド機構には、光軸OAに沿ってスライド可能にフォーカスレンズ44が取り付けられている。また、フォーカス用スライド機構にはフォーカス用モータが接続されており、フォーカス用スライド機構は、フォーカス用モータの動力を受けて作動することでフォーカスレンズ44を光軸OAに沿って移動させる。
【0047】
ズーム用アクチュエータ54は、ズーム用スライド機構(図示省略)及びズーム用モータ(図示省略)を備えている。ズーム用スライド機構には、光軸OAに沿ってスライド可能にズームレンズ46が取り付けられている。また、ズーム用スライド機構にはズーム用モータが接続されており、ズーム用スライド機構は、ズーム用モータの動力を受けて作動することでズームレンズ46を光軸OAに沿って移動させる。
【0048】
絞り用アクチュエータ56は、動力伝達機構(図示省略)及び絞り用モータ(図示省略)を備えている。絞り48は、開口48Aを有しており、開口48Aの大きさが可変な構成である。開口48Aは、複数枚の絞り羽根48Bによって形成されている。複数枚の絞り羽根48Bは、動力伝達機構に連結されている。また、動力伝達機構には絞り用モータが接続されており、動力伝達機構は、絞り用モータの動力を複数枚の絞り羽根48Bに伝達する。複数枚の絞り羽根48Bは、動力伝達機構から伝達される動力を受けて作動することで開口48Aの大きさを変化させる。絞り48は、開口48Aの大きさを変化させることで露出を調節する。
【0049】
フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータ(いずれも図示省略)は、制御装置50に接続されており、制御装置50によってフォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータの各駆動が制御される。なお、本実施形態では、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータの一例として、ステッピングモータが採用されている。したがって、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータは、制御装置50からの命令によりパルス信号に同期して動作する。
【0050】
なお、ここでは、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータが交換レンズ14に設けられている例が示されているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、フォーカス用モータ、ズーム用モータ、及び絞り用モータのうちの少なくとも1つが撮像装置本体12に設けられていてもよい。また、交換レンズ14の構成物及び/又は動作方法は、必要に応じて変更可能である。
【0051】
撮像装置10では、撮像モードの場合に、撮像装置本体12に対して与えられた指示に従ってMFモードとAFモードとが選択的に設定される。MFモードは、手動でフォーカスを合わせる動作モードである。MFモードでは、例えば、ユーザによってフォーカスリング16等が操作されることで、フォーカスリング16等の操作量に応じた移動量でフォーカスレンズ44が光軸OAに沿って移動し、これによってフォーカスが調節される。
【0052】
AFモードでは、撮像装置本体12が被写体距離に応じた合焦位置の演算を行い、演算して得た合焦位置に向けてフォーカスレンズ44を移動させることで、フォーカスを調節する。ここで、合焦位置とは、フォーカスが合っている状態でのフォーカスレンズ44の光軸OA上での位置を指す。なお、以下では、説明の便宜上、フォーカスレンズ44を合焦位置に合わせる制御を「AF制御」とも称する。
【0053】
(撮像装置本体12)
一例として
図3に示すように、撮像装置本体12は、イメージセンサ18、イメージセンサ用ドライバ60、信号処理回路62、メカニカルシャッタ64、シャッタ用アクチュエータ66、シャッタ用ドライバ68、振動センサ70、ぶれ補正機構72、フィードバック回路74、ぶれ補正用ドライバ76、コントローラ78、画像メモリ80、UI系デバイス82、外部I/F84、及び入出力I/F86を備えている。
【0054】
入出力I/F86には、イメージセンサ用ドライバ60、信号処理回路62、シャッタ用ドライバ68、フィードバック回路74、ぶれ補正用ドライバ76、コントローラ78、画像メモリ80、UI系デバイス82、及び外部I/F84が接続されている。また、入出力I/F86には、交換レンズ14の制御装置50も接続されている。
【0055】
コントローラ78は、CPU90、NVM92、及びRAM94を備えている。CPU90、NVM92、及びRAM94は、バス96を介して接続されており、バス96は入出力I/F86に接続されている。
【0056】
なお、
図3に示す例では、図示の都合上、バス96として1本のバスが図示されているが、複数本のバスであってもよい。バス96は、シリアルバスであってもよいし、データバス、アドレスバス、及びコントロールバス等を含むパラレルバスであってもよい。
【0057】
NVM92は、非一時的記憶媒体であり、各種パラメータ及び各種プログラムを記憶している。例えば、NVM92は、EEPROMである。但し、これは、あくまでも一例に過ぎず、EEPROMに代えて、又は、EEPROMと共に、HDD、及び/又はSSD等をNVM92として適用してもよい。また、RAM94は、各種情報を一時的に記憶し、ワークメモリとして用いられる。
【0058】
CPU90は、NVM92から必要なプログラムを読み出し、読み出したプログラムをRAM94で実行する。CPU90は、RAM94上で実行するプログラムに従って撮像装置10の全体を制御する。
図3に示す例では、イメージセンサ用ドライバ60、シャッタ用ドライバ68、フィードバック回路74、ぶれ補正用ドライバ76、画像メモリ80、UI系デバイス82、外部I/F84、及び制御装置50がCPU90によって制御される。
【0059】
イメージセンサ18には、イメージセンサ用ドライバ60が接続されている。イメージセンサ用ドライバ60は、イメージセンサ18によって行われる撮像のタイミングを規定する撮像タイミング信号を、CPU90からの指示に従ってイメージセンサ18に供給する。イメージセンサ18は、イメージセンサ用ドライバ60から供給された撮像タイミング信号に従って、リセット、露光、及び電気信号の出力を行う。撮像タイミング信号としては、例えば、垂直同期信号及び水平同期信号が挙げられる。
【0060】
交換レンズ14が撮像装置本体12に装着された場合、撮像レンズ40に入射された被写体光は、撮像レンズ40によって受光面18Aに結像される。イメージセンサ18は、イメージセンサ用ドライバ60の制御下で、受光面18Aによって受光された被写体光を光電変換し、被写体光の光量に応じた電気信号を、被写体光を示すアナログ画像データとして信号処理回路62に出力する。具体的には、信号処理回路62が、露光順次読み出し方式で、イメージセンサ18から1フレーム単位で且つ水平ライン毎にアナログ画像データを読み出す。
【0061】
信号処理回路62は、アナログ画像データをデジタル化することでデジタル画像データを生成する。なお、以下では、説明の便宜上、撮像装置本体12での内部処理の対象とされるデジタル画像データと、デジタル画像データにより示される画像(すなわち、デジタル画像データに基づいて可視化されてディスプレイ28等に表示される画像)とを区別して説明する必要がない場合、「撮像画像」と称する。
【0062】
画像メモリ80には、信号処理回路62によって生成された撮像画像が記憶される。すなわち、信号処理回路62が画像メモリ80に対して撮像画像を記憶させる。CPU90は、画像メモリ80から撮像画像を取得し、取得した撮像画像を用いて各種処理を実行する。
【0063】
UI系デバイス82は、ディスプレイ28を備えており、CPU90は、ディスプレイ28に対して各種情報を表示させる。また、UI系デバイス82は、受付デバイス83を備えている。受付デバイス83は、タッチパネル30及びハードキー部31を備えている。ハードキー部31は、指示キー26(
図1参照)を含む複数のハードキーである。CPU90は、タッチパネル30によって受け付けられた各種指示に従って動作する。なお、ここでは、ハードキー部31がUI系デバイス82に含まれているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、ハードキー部31は、外部I/F84に接続されていてもよい。
【0064】
外部I/F84は、撮像装置10の外部に存在する装置(以下、「外部装置」とも称する)との間の各種情報の授受を司る。外部I/F84の一例としては、USBインタフェースが挙げられる。USBインタフェースには、スマートデバイス、パーソナル・コンピュータ、サーバ、USBメモリ、メモリカード、及び/又はプリンタ等の外部装置(図示省略)が直接的又は間接的に接続される。
【0065】
メカニカルシャッタ64は、一例として、フォーカルプレーンシャッタであり、絞り48と受光面18Aとの間に配置されている。メカニカルシャッタ64は、先幕64A及び後幕64Bを備えている。一例として、先幕64A及び後幕64Bの各々は、複数枚の羽根を備えている。先幕64Aは、後幕64Bよりも被写体側に配置されている。
【0066】
シャッタ用アクチュエータ66は、リンク機構(図示省略)、先幕用ソレノイド(図示省略)、及び後幕用ソレノイド(図示省略)を有するアクチュエータである。先幕用ソレノイドは、先幕64Aの駆動源であり、リンク機構を介して先幕64Aに機械的に連結されている。後幕用ソレノイドは、後幕64Bの駆動源であり、リンク機構を介して後幕64Bに機械的に連結されている。シャッタ用ドライバ68は、CPU90からの指示に従って、シャッタ用アクチュエータ66を制御する。
【0067】
先幕用ソレノイドは、シャッタ用ドライバ68の制御下で動力を生成し、生成した動力を先幕64Aに付与することで先幕64Aの巻き上げ及び引き下ろしを選択的に行う。後幕用ソレノイドは、シャッタ用ドライバ68の制御下で動力を生成し、生成した動力を後幕64Bに付与することで後幕64Bの巻き上げ及び引き下ろしを選択的に行う。撮像装置10では、先幕64Aの開閉と後幕64Bの開閉とがCPU90によって制御されることで、イメージセンサ18に対する露光量が制御される。
【0068】
撮像装置10では、ライブビュー画像用撮像と、静止画像及び/又は動画像を記録するための記録画像用の撮像とが露光順次読み出し方式(ローリングシャッタ方式)で行われる。イメージセンサ18は、電子シャッタ機能を有しており、ライブビュー画像用撮像は、メカニカルシャッタ64を全開状態にしたまま駆動させずに、電子シャッタを作動させることで実現される。
【0069】
これに対し、本露光を伴う撮像、すなわち、静止画像用の撮像は、電子シャッタを作動させ、かつ、メカニカルシャッタ64を先幕閉状態から後幕閉状態に遷移させるようにメカニカルシャッタ64を駆動させることで実現される。また、撮像装置10は、電子先幕シャッタ機能を有する。電子先幕シャッタ機能は、先幕64Aを開いたまま、電子シャッタを電子先幕として作動させ、かつ、後幕64Bを閉状態に遷移させるようにイメージセンサ18及びメカニカルシャッタ64を駆動させることで実現される。
【0070】
振動センサ70は、例えば、ジャイロセンサであり、撮像装置10の振動を検出する。振動センサ70に含まれるジャイロセンサは、P軸、Y軸、及びR軸の各軸周りの振動を検出する。振動センサ70は、ジャイロセンサによって検出されたP軸周りの振動及びY軸周りの振動をP軸及びY軸に平行な2次元状の面内での振動に変換することで、P軸方向の振動及びY軸方向の振動を検出する。振動センサ70は、P軸方向の振動に応じたP軸角速度信号、Y軸方向の振動に応じたY軸角速度信号、及びR軸周りの振動に応じたR軸角速度信号を出力する。P軸角速度信号は、P軸周りの角速度を示す信号であり、Y軸角速度信号は、Y軸周りの角速度を示す信号であり、R軸角速度信号は、R軸周りの角速度を示す信号である。以下では、説明の便宜上、P軸角速度信号、Y軸角速度信号、及びR軸角速度信号を区別して説明する必要がない場合、「角速度信号」と総称する。
【0071】
ぶれ補正機構72は、イメージセンサ18と一体に設けられている。ぶれ補正機構72は、イメージセンサ18により撮像されることで得られた画像に撮像装置10の振動に伴ってぶれが生じた場合には、画像のぶれを補正する方向へイメージセンサ18を移動させて画像のぶれを補正する機構である。
【0072】
ここで、「像のぶれ」とは、撮像装置10の振動現象に伴って光軸OAが傾くことにより被写体像が基準位置からずれる現象、すなわち、光軸OAの被写体に対する相対的な移動に伴って被写体像が基準位置からずれる現象を指す。「振動現象」とは、撮像装置10の外部及び/又は撮像装置10の内部から振動が交換レンズ14に伝達されることにより交換レンズ14が振動する現象を指す。
【0073】
また、「光軸OAが傾く」とは、例えば、基準軸(例えば、振動現象が発生する前の光軸OA(すなわち、撮像装置10が静止している場合の光軸OA))に対して光軸OAが傾くことを意味する。「基準位置」とは、例えば、交換レンズ14に対して振動が与えられていない状態で得られる被写体像の位置(例えば、受光面18A内での被写体像の位置)を指す。
【0074】
「像のぶれを補正する」ことには、撮像装置10の振動によってぶれた像の位置を撮像装置10に振動が作用する前の像の位置に一致させることの他に、撮像装置10の振動によってぶれた像の位置を撮像装置10に振動が作用する前の像の位置に近づけることも含まれる。
【0075】
ぶれ補正機構72は、位置センサ100及びぶれ補正用アクチュエータ102を備える。位置センサ100は、例えば、ホール素子及びセンサ磁石を備えており、イメージセンサ18のP軸方向の位置、Y軸方向の位置、及びR軸周りの位置を検出する。位置センサ100は、イメージセンサ18のP軸方向の位置に応じたP軸位置検出信号、Y軸方向の位置に応じたY軸位置検出信号、及びR軸周りの位置に応じたR軸位置検出信号を出力する。以下では、説明の便宜上、P軸位置検出信号、Y軸位置検出信号、及びR軸位置検出信号を区別して説明する必要がない場合、これらを「位置検出信号」と総称する。
【0076】
ぶれ補正用アクチュエータ102は、例えば、ボイスコイルモータを備えており、ぶれ補正用ドライバ76から出力された駆動信号に応じて駆動する。ぶれ補正用アクチュエータ102は、イメージセンサ18をP軸方向及びY軸方向に移動させ、かつ、イメージセンサ18をR軸周りに回転させる。ぶれ補正用アクチュエータ102は、本開示の技術に係る「イメージセンサを移動させるアクチュエータ」の一例である。位置センサ100及びぶれ補正用アクチュエータ102を含むぶれ補正機構72の詳細については後述する。
【0077】
フィードバック回路74は、振動センサ70による振動検出結果及び位置センサ100による位置検出結果をぶれ補正用ドライバ76にフィードバックする。フィードバック回路74の詳細を以下に説明する。
【0078】
(プロセッサ220、CPU90、及びフィードバック回路74)
一例として
図4に示すように、撮像装置10(
図1~
図3参照)は、プロセッサ220を備える。プロセッサ220は、CPU90及びフィードバック回路74を有する。プロセッサ220は、本開示の技術に係る「プロセッサ」の一例である。フィードバック回路74は、ハイパスフィルタ112、アンプ114、A/D変換器116、平均回路118、減算器120、長時間積分器122、コアリング回路124、積分回路126、位相補償器128、乗算器130、加算器132、減算器134、アンプ136、A/D変換器138、現在位置変換器140、フィルタ演算器142、及び制御出力演算器144を備える。
【0079】
ハイパスフィルタ112は、振動センサ70から出力されたP軸角速度信号、Y軸角速度信号、及びR軸角速度信号から高周波成分(例えば、高周波のノイズとして事前に定められた周波数成分)をそれぞれ抽出する。アンプ114は、ハイパスフィルタ112によって高周波成分が抽出されたP軸角速度信号、Y軸角速度信号、及びR軸角速度信号をそれぞれ増幅する。A/D変換器116は、アンプ114によって増幅されたアナログ信号であるP軸角速度信号、Y軸角速度信号、及びR軸角速度信号をデジタル信号にそれぞれ変換する。
【0080】
平均回路118は、予め定められた一定時間に得られた複数のP軸角速度信号、複数のY軸角速度信号、及び複数のR軸角速度信号をそれぞれ平均化する。平均回路118は、平均化したP軸角速度信号、Y軸角速度信号、及びR軸角速度信号を減算器120及び長時間積分器122に出力する。
【0081】
長時間積分器122は、平均化されたP軸角速度信号、Y軸角速度信号、及びR軸角速度信号をそれぞれ循環積分することで、P軸角速度信号、Y軸角速度信号、及びR軸角速度信号のドリフト成分をそれぞれ算出する。長時間積分器122は、算出したP軸角速度信号、Y軸角速度信号、及びR軸角速度信号の各ドリフト成分を減算器120に出力する。
【0082】
減算器120は、平均回路118から出力されたP軸角速度信号、Y軸角速度信号、及びR軸角速度信号から、長時間積分器122によって算出されたP軸角速度信号、Y軸角速度信号、及びR軸角速度信号の各ドリフト成分をそれぞれ減算し、P軸角速度信号、Y軸角速度信号、及びR軸角速度信号をそれぞれドリフト補正する。
【0083】
コアリング回路124は、減算器120によってドリフト補正されたP軸角速度信号、Y軸角速度信号、及びR軸角速度信号をそれぞれコアリング処理(例えば、信号レベルが一定レベル以下の角速度信号をゼロにするノイズ除去処理)を行う。
【0084】
積分回路126は、コアリング回路124によってコアリング処理されたP軸角速度信号、Y軸角速度信号、及びR軸角速度信号をそれぞれ積分してP軸角度信号、Y軸角度信号、及びR軸角度信号に変換する。P軸角度信号は、P軸周りの回転角度を示す信号であり、Y軸角度信号は、Y軸周りの回転角度を示す信号であり、R軸角度信号は、R軸周りの回転角度を示す信号である。以下では、説明の便宜上、P軸角度信号、Y軸角度信号、及びR軸角度信号を区別して説明する必要がない場合、これらを「角度信号」と総称する。
【0085】
位相補償器128は、積分回路126によって得られたP軸角度信号、Y軸角度信号、及びR軸角度信号の位相遅れをそれぞれ補償する。つまり、位相補償器128に入力された角度信号には、振動センサ70が撮像装置10の振動を検出してから角速度信号を出力するまでの遅れ時間、及び積分回路126で積分処理をするのに要する遅れ時間が発生しており、位相補償器128は、振動センサ70での遅れ時間及び積分回路126での遅れ時間を加算した位相遅れを補償する。
【0086】
CPU90は、後述するように、ローパスフィルタ処理部202として動作する。位相補償器128で位相遅れが補償されたP軸角度信号、Y軸角度信号、及びR軸角度信号は、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードが一定の条件を満たす場合には、後述するローパスフィルタ処理部202でローパスフィルタ処理された後に、乗算器130に出力される。
【0087】
一方、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードが一定の条件を満たさない場合には、位相補償器128で位相遅れが補償されたP軸角度信号、Y軸角度信号、及びR軸角度信号は、後述するローパスフィルタ処理部202でローパスフィルタ処理されずに、乗算器130に出力される。ローパスフィルタ処理部202におけるローパスフィルタ処理については後述する。角度信号は、本願の開示の技術に係る「撮像装置の振動に伴い得られた信号」の一例である。
【0088】
NVM92には、P軸角度信号に対するイメージセンサ18のP軸方向の変位量を規定したP軸変換係数(例えば、P軸角度信号により示される回転角度をイメージセンサ18のP軸方向の変位量に変換する係数)、Y軸角度信号に対するイメージセンサ18のY軸方向の変位量を規定したY軸変換係数(例えば、Y軸角度信号により示される回転角度をイメージセンサ18のY軸方向の変位量に変換する係数)、及びR軸角度信号に対するイメージセンサ18のR軸周りの変位量を規定したR軸変換係数(例えば、R軸角度信号により示される回転角度をイメージセンサ18のR軸方向の変位量に変換する係数)が記憶されている。以下では、説明の便宜上、P軸変換係数、Y軸変換係数、及びR軸変換係数を区別して説明する必要がない場合、これらを「変換係数」と総称する。
【0089】
乗算器130は、NVM92に記憶されているP軸変換係数をP軸角度信号に乗算することで、イメージセンサ18のP軸方向の変位量に応じたP軸変位量信号を生成する。また、乗算器130は、NVM92に記憶されているY軸変換係数をY軸角度信号に乗算することで、イメージセンサ18のY軸方向の変位量に応じたY軸変位量信号を生成する。更に、乗算器130は、NVM92に記憶されているR軸変換係数をR軸角度信号に乗算することで、イメージセンサ18のR軸周りの変位量に応じたR軸変位量信号を生成する。
【0090】
加算器132は、乗算器130によって生成されたP軸変位量信号に予め定められた基準電圧を加算することでP軸目標位置信号を生成する。また、加算器132は、乗算器130によって生成されたY軸変位量信号に予め定められた基準電圧を加算することでY軸目標位置信号を生成する。更に、加算器132は、乗算器130によって生成されたR軸変位量信号に予め定められた基準電圧を加算することでR軸目標位置信号を生成する。以下では、説明の便宜上、P軸目標位置信号、Y軸目標位置信号、及びR軸目標位置信号を区別して説明する必要がない場合、これらを「目標位置信号」と総称する。
【0091】
アンプ136は、位置センサ100から出力されたP軸位置検出信号、Y軸位置検出信号、及びR軸位置検出信号をそれぞれ増幅する。
【0092】
A/D変換器138は、アンプ136によって増幅されたアナログ信号であるP軸位置検出信号、Y軸位置検出信号、及びR軸位置検出信号をデジタル信号にそれぞれ変換する。
【0093】
現在位置変換器140は、A/D変換器138によってデジタル信号に変換されたP軸位置検出信号に基づいて、イメージセンサ18のP軸方向の現在位置に応じたP軸現在位置信号(例えば、イメージセンサ18のP軸方向の現在位置を特定可能な信号)を生成する。また、現在位置変換器140は、A/D変換器138によってデジタル信号に変換されたY軸位置検出信号(例えば、イメージセンサ18のY軸方向の現在位置を特定可能な信号)を生成する。更に、現在位置変換器140は、A/D変換器138によってデジタル信号に変換されたR軸位置検出信号(例えば、イメージセンサ18のR軸方向の現在位置を特定可能な信号)を生成する。以下では、説明の便宜上、P軸現在位置信号、Y軸現在位置信号、及びR軸現在位置信号を区別して説明する必要がない場合、これらを「現在位置信号」と総称する。
【0094】
減算器134は、P軸目標位置信号からY軸目標位置信号を減算し、Y軸目標位置信号からY軸現在位置信号を減算し、R軸目標位置信号からR軸現在位置信号を減算する。
【0095】
CPU90は、後述するように、ローパスフィルタ処理部202の他に、駆動制御部204、位相制御部206、及びゲイン制御部212として動作する。
【0096】
フィルタ演算器142は、減算器134による減算結果、及びローパスフィルタ処理部202によるローパスフィルタ処理の有無に基づいて、ぶれ補正用アクチュエータ102のP軸方向の駆動量を表すP軸駆動量信号、Y軸方向の駆動量を表すY軸駆動量信号、及びR軸周りの駆動量を表すR軸駆動量信号を演算する。以下では、説明の便宜上、P軸駆動量信号、Y軸駆動量信号、及びR軸駆動量信号を区別して説明する必要がない場合、これらを「駆動量信号」と総称する。
【0097】
また、フィルタ演算器142は、ゲイン制御部212によって演算されたゲインに基づいて、P軸駆動量信号、Y軸駆動量信号、及びR軸駆動量信号を増幅する。ゲイン制御部212によって演算されるゲインは、一例として、フィードバック制御(ここでは、一例として、PID制御)のゲインである。なお、ゲイン制御部212によって演算されたゲインに基づく増幅処理は、フィルタ演算器142において実行されてもよい。また、増幅処理に用いられるゲインは、フィードバック制御(ここでは、一例として、PID制御)のゲイン以外でもよい。
【0098】
制御出力演算器144は、フィルタ演算器142によって演算された駆動量信号に基づいて、ぶれ補正用アクチュエータ102を構成する第1VCM170、第2VCM172、第3VCM174、及び第4VCM176(いずれも
図13参照)について駆動量の割り振りを演算する。そして、制御出力演算器144は、駆動量の割り振りに従って、第1VCM170に対する第1制御信号、第2VCM172に対する第2制御信号、並びに第3VCM174及び第4VCM176に対する第3制御信号をぶれ補正用ドライバ76に出力する。
【0099】
第1制御信号は、制御出力演算器144によって第1VCM170に対して割り振られた駆動量で第1VCM170を駆動させる制御に用いる信号である。第2制御信号は、制御出力演算器144によって第2VCM172に対して割り振られた駆動量で第2VCM172を駆動させる制御に用いる信号である。第3制御信号は、制御出力演算器144によって第3VCM174及び第4VCM176に対して割り振られた駆動量で第3VCM174及び第4VCM176を駆動させる制御に用いる信号である。
【0100】
駆動制御部204は、制御出力演算器144に駆動指令を出力する。制御出力演算器144は、駆動制御部204から駆動指令を受け取ると、ぶれ補正用ドライバ76に第1制御信号、第2制御信号、及び第3制御信号を出力する。ぶれ補正用ドライバ76は、第1制御信号、第2制御信号、及び第3制御信号に基づいて、第1駆動信号、第2駆動信号、及び第3駆動信号を生成する。
【0101】
位相制御部206は、制御出力演算器144に位相差指令を出力する。制御出力演算器144は、位相制御部206から入力された位相差指令に基づいて、第1制御信号と第2制御信号との間に第1位相差を設け、第1制御信号と第3制御信号との間に第2位相差を設ける。これにより、ぶれ補正用ドライバ76から出力される第1駆動信号と第2駆動信号との間に第1位相差が設けられ、第1駆動信号と第3駆動信号との間に第2位相差が設けられる。なお、ここでは、位相制御部206からの指示に従って第1位相差及び第2位相差が設けられる形態例を挙げているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、第1位相差及び第2位相差が既知であるという前提で、ぶれ補正用ドライバ76にCPU90とは独立して動作可能な位相差機能が備えられており、ぶれ補正用ドライバ76の位相差機能によって第1位相差及び第2位相差が設けられてもよい。
【0102】
ぶれ補正用ドライバ76は、第1駆動信号、第2駆動信号、及び第3駆動信号をぶれ補正用アクチュエータ102に出力する。以下では、説明の便宜上、第1駆動信号、第2駆動信号、及び第3駆動信号を区別して説明する必要がない場合、これらを「駆動信号」と総称する。駆動信号は、現在位置と目標位置の差分を0にする方向に駆動させる信号であり、具体的には電圧値である。
【0103】
ぶれ補正用アクチュエータ102は、駆動信号に基づいて駆動する。これにより、ぶれ補正用アクチュエータ102が、イメージセンサ18により撮像されることで得られる画像のぶれが補正される方向へイメージセンサ18を移動させ、画像のぶれが補正される。駆動制御部204、位相制御部206、及びゲイン制御部212における各処理については、以下に詳述する。
【0104】
(CPU90の機能)
一例として
図5に示すように、撮像支援処理は、CPU90によって撮像支援処理プログラム180が実行されることで実現される。撮像支援処理プログラム180は、本開示の技術に係る「プログラム」の一例である。
図5に示す例では、NVM92に撮像支援処理プログラム180が記憶されており、CPU90が、NVM92から撮像支援処理プログラム180を読み出し、RAM94上で実行する。
【0105】
CPU90は、RAM94上で実行する撮像支援処理プログラム180に従って撮像支援処理を行う。CPU90は、RAM94上で撮像支援処理プログラム180を実行することで、ローパスフィルタ処理部202、駆動制御部204、位相制御部206、シャッタモード判定部208、シャッタスピード判定部210、及びゲイン制御部212として動作する。
【0106】
一例として
図6に示すローパスフィルタ処理部202は、上述の位相補償器128(
図4参照)で位相遅れが補償されたP軸角度信号、Y軸角度信号、及びR軸角度信号を既定のカットオフ周波数でローパスフィルタ処理する。カットオフ周波数は、例えば、NVM92に記憶されている。ローパスフィルタ処理には、例えば、IIRフィルタ処理が用いられる。ローパスフィルタ処理部202は、イメージセンサ18による撮像において、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、Sp≧1/4秒である場合には、ローパスフィルタ処理を行い、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、Sp<1/4秒である場合には、ローパスフィルタ処理を行わない。
【0107】
一例として
図7に示すように、駆動制御部204は、例えば、受付デバイス83(
図3参照)によって受け付けられた指示に従って手振れ補正モードが設定されると、制御出力演算器144に駆動指令を出力する。制御出力演算器144は、駆動制御部204によって出力された駆動指令を受け取ると、制御信号をぶれ補正用ドライバ76に出力し、ぶれ補正用ドライバ76は、制御信号を受け取ると、第1駆動信号、第2駆動信号、及び第3駆動信号を出力する。第1駆動信号、第2駆動信号、及び第3駆動信号は、一例として、PWM信号である。なお、第1駆動信号、第2駆動信号、及び第3駆動信号は、正弦波形信号でもよい。
【0108】
第1VCM170は、第1駆動信号に基づいて駆動し、第2VCM172は、第2駆動信号に基づいて駆動し、第3VCM174及び第4VCM176は、第3駆動信号に基づいて駆動する。これにより、ぶれ補正用アクチュエータ102によってイメージセンサ18に動力が付与され、イメージセンサ18により撮像されることで得られる画像のぶれが補正される方向へイメージセンサ18が移動し、画像のぶれが補正される。このように、撮像装置10では、撮像装置10の振動に基づいて、イメージセンサ18により撮像されることで得られる画像のぶれが補正される方向へ、イメージセンサ18を移動させる移動制御が行われる。第1VCM170は、第2VCM172は、第3VCM174、及び第4VCM176を有するぶれ補正用アクチュエータ102の構成の詳細については後述する。
【0109】
一例として
図7に示すように、位相制御部206は、制御出力演算器144に位相差指令を出力する。制御出力演算器144は、位相制御部206から入力された位相差指令に基づいて、第1制御信号と第2制御信号との間に第1位相差を設け、第1制御信号と第3制御信号との間に第2位相差を設ける。これにより、第1VCM170を駆動させる第1駆動信号と、第2VCM172を駆動させる第2駆動信号との間に、第1位相差ΔT1が設けられ、第1VCM170を駆動させる第1駆動信号と、第3VCM174及び第4VCM176を駆動させる第3駆動信号との間に、第2位相差ΔT2が設けられる。
【0110】
一例として、第1位相差ΔT1は180°であり、第2位相差ΔT2は45°である。第2位相差ΔT2は90°でもよい。また、第1位相差ΔT1は180°以外でもよく、また、第2位相差ΔT2は45°以外でもよい。第1位相差及び第2位相差は異なっていることが好ましい。第1駆動信号は、本開示の技術に係る「第1駆動信号」の一例であり、第2駆動信号及び第3駆動信号は、本開示の技術に係る「第2駆動信号」の一例である。
【0111】
図8には、一例として、ライブビュー画像が表示された状態から、露光及び撮像画像の記憶が行われ、再びライブビュー画像が表示される状態に遷移する場合のCPU90の動作が示されている。
【0112】
図8において、「ライブビュー画像表示」とは、ライブビュー画像がディスプレイ28に表示されている状態であり、「S1押下」とは、レリーズボタン20が半押しされた状態であり、「AE」とは、自動露出が行われている状態であり、「AF」とは、自動焦点が行われている状態であり、「先幕駆動」とは、先幕64Aが開いた状態であり、「露光」とは、イメージセンサ18によって撮像が行われている状態であり、「後幕駆動」とは、後幕64Bが閉じた状態であり、「撮像画像記憶」とは、撮像画像が画像メモリ80に記憶されている状態である。
【0113】
また、
図8において、第1モードは、レリーズボタン20が半押しされるまでライブビュー画像をディスプレイ28に表示させるCPU90の動作モードであり、第2モードは、レリーズボタン20が半押しされてからレリーズボタン20が全押しされるまで自動露出及び自動焦点を行わせるCPU90の動作モードであり、第3モードは、レリーズボタン20が全押しされてから撮像画像が記憶されるまで露光及び撮像画像の記憶を実行させるCPU90の動作モードである。
【0114】
駆動制御部204は、制御出力演算器144に対して駆動指令によって駆動信号の周波数を指定し、ぶれ補正用ドライバ76からぶれ補正用アクチュエータ102に出力される駆動信号の周波数をぶれ補正用ドライバ76に対して変更させる制御を行う。
【0115】
具体的には、駆動制御部204は、CPU90の動作モードが第1モードである場合には、第1周波数F1の駆動信号でぶれ補正用アクチュエータ102を駆動させる制御をぶれ補正用ドライバ76に対して行う。また、駆動制御部204は、CPU90の動作モードが第2モードである場合には、第2周波数F2の駆動信号でぶれ補正用アクチュエータ102を駆動させる制御をぶれ補正用ドライバ76に対して行う。また、駆動制御部204は、CPU90の動作モードが第3モードである場合には、第3周波数の駆動信号でぶれ補正用アクチュエータ102を駆動させる制御をぶれ補正用ドライバ76に対して行う。
【0116】
一例として、第1周波数F1は100Hzであり、第2周波数F2は200Hzであり、第3周波数F3は400Hzである。なお、第1周波数F1は100Hz以外でもよく、第2周波数F2は200Hz以外でもよく、第3周波数F3は400Hz以外でもよい。第1周波数F1及び第2周波数F2は、本開示の技術に係る「第1周波数」の一例であり、第3周波数F3は、本開示の技術に係る「第2周波数」の一例である。
【0117】
図9には、一例として、ライブビュー画像が表示された状態から電子先幕シャッタモードにおいてイメージセンサ18による連続した撮像が行われる状態に遷移する場合のCPU90の動作が示されている。
図9において、「電子先幕作動」とは、先幕64Aが開いたまま電子シャッタが電子先幕として作動した状態であり、「連続した撮像」とは、イメージセンサ18によって撮像が行われることで複数フレームの撮像画像が得られ、複数のフレームの撮像画像が順次画像メモリ80に記憶される処理を指す。「連続した撮像」の一例としては、いわゆる連写、又は、記録動画用の撮像等が挙げられる。
【0118】
また、
図9において、第4モードは、連続した撮像を実行させるCPU90の動作モードである。駆動制御部204は、CPU90が第4モードである場合には、第3周波数F3の駆動信号でぶれ補正用アクチュエータ102を駆動させる制御をぶれ補正用ドライバ76に対して行う。
【0119】
一例として
図10に示すように、シャッタモード判定部208は、シャッタモードを判定する。具体的には、シャッタモード判定部208は、CPU90の動作モードが第1モード又は第2モードである場合には電子シャッタモードであると判定する。電子シャッタモードは、電子シャッタを作動させる動作モードである。
【0120】
また、シャッタモード判定部208は、CPU90の動作モードが第3モードである場合にはメカニカルシャッタモードであると判定する。メカニカルシャッタモードは、メカニカルシャッタ64の先幕64Aを駆動させた後に後幕64Bを駆動させる動作モードである。1フレームの撮像が行われる場合の先幕64Aの駆動の開始から後幕64Bの駆動の開始までの時間間隔は、例えば、ユーザ等によって指定された撮像条件(例えば、露出量等)に従って定められる。
【0121】
また、シャッタモード判定部208は、CPU90の動作モードが第4モードである場合には電子先幕シャッタモードであると判定する。電子先幕シャッタモードは、電子シャッタを電子先幕として作動させた後にメカニカルシャッタ64の後幕64Bを駆動させる動作モードである。1フレームの撮像が行われる場合の電子先幕の作動の開始から後幕64Bの駆動の開始までの時間間隔は、例えば、ユーザ等によって指定された撮像条件(例えば、露出量等)に従って定められる。
【0122】
図8に示すシャッタスピード判定部210は、メカニカルシャッタモードにおけるシャッタスピードを判定する。メカニカルシャッタモードにおけるシャッタスピードは、先幕64Aが開いてから後幕64Bが閉じるまでの間の時間に相当する。
【0123】
ゲイン制御部212は、制御信号を増幅するゲインを調節する制御を行う。ゲインを上げると、イメージセンサ18の移動制御の応答性能が上がる。より具体的にはイメージセンサ18が現在位置から目標位置に移動するにあたっての応答速度が上がる。これにより、イメージセンサ18を光軸OA上に保持するエネルギが強くなる。ゲイン制御部212は、露光中の防振性能を確保するために、露光を行う第3モード及び第4モードでは第1モード及び第2モードに対してゲインを上げる制御を行う。
【0124】
つまり、第1モード及び第2モードでは、ゲインが第1ゲインG1に設定され、第3モードでは、ゲインが第2ゲインG2又は第3ゲインG3に設定され、第4モードでは、ゲインが第2ゲインG2に設定される。第2ゲインG2は第1ゲインG1よりも高く、第3ゲインG3は第2ゲインG2よりも高い。第1ゲインG1、第2ゲインG2、及び第3ゲインG3はそれぞれゲインの値でもよく、一定の範囲を有するゲイン幅でもよい。
【0125】
なお、以降、ゲインを第1ゲインG1又は第2ゲインG2に設定する制御を通常ゲイン制御と称し、ゲインを第2ゲインG2よりも高い第3ゲインG3に上げる制御をゲインアップ制御と称する。第2ゲインG2は、手振れ振動に伴う画像のぶれを抑制するのに最適な値に設定されており、第3ゲインG3は、メカニカルシャッタ64の振動に伴う画像のぶれを抑制するのに最適な値に設定されている。
【0126】
ところで、撮像装置10に作用する手振れ振動は、一般的に1Hz~20Hz程度の周波数の振動である。メカニカルシャッタ64は、イメージセンサ18と隣接して配置されており、メカニカルシャッタモードでメカニカルシャッタ64が駆動すると、メカニカルシャッタ64の振動がイメージセンサ18に伝達する場合がある。メカニカルシャッタ64の振動は、一般的に30Hz~100Hzの周波数を有する振動であり、手振れ振動よりも高周波の振動である。仮に第3モードにおいてゲインを第2ゲインG2に留めると、メカニカルシャッタ64の振動がイメージセンサ18に伝達した場合に、イメージセンサ18が動いてしまい、画像のぶれが発生する虞がある。
【0127】
そこで、メカニカルシャッタ64の振動に伴う画像のぶれの抑制するために、第3モードにおいてゲインを一律に第3ゲインG3まで上げることも考えられる。しかしながら、ゲインを上げると、全周波数帯でゲインが上がる。このため、ゲインを第3ゲインG3まで上げた状態で、手振れ振動に伴う画像のぶれを抑制するためにぶれ補正用アクチュエータ102を駆動させた場合には、駆動音の音量が大きくなって騒音が発生し、ユーザに不快感を与えてしまう虞がある。したがって、メカニカルシャッタ64の振動に伴う画像のぶれの抑制とユーザに与える不快感の抑制とを両立できることが望まれる。
【0128】
ここで、
図11には、メカニカルシャッタモードの場合及び電子先幕シャッタモードの場合について、シャッタスピードと解像度劣化率との関係に関する測定結果が示されている。
図11に示す測定結果は、ゲインを第2ゲインG2にした場合のデータである。
【0129】
解像度劣化率とは、ぶれに伴う解像度の劣化の度合いを示す割合を指す。解像度劣化率の一例としては、イメージセンサ18の撮像面のうちのシャッタ枠に正対している第1画素領域を形成している全画素ライン(例えば、列方向及び/又は行方向の画素ライン)の本数に対する、第1画素領域のうちの振れの影響を受けた第2画素領域を形成している全画素ラインの本数の割合が挙げられる。ここでは、画素ラインの本数を例示したが、これに限らず、画素数であってもよいし、面積であってもよいし、複数本の画素ラインのまとまりを行方向又は列方向に複数段で表現したチャートの本数等であってもよい。
【0130】
一例として
図11に示すように、電子先幕シャッタモードの場合には、シャッタスピードSpが変化しても、解像度劣化率が全体的に低い。メカニカルシャッタモードの場合には、シャッタスピードSpが、Sp≧1/4秒又はSp≦1/60秒である場合には、解像度劣化率が低くなり、撮像画像の画質を確保できる。一方、メカニカルシャッタモードの場合には、シャッタスピードSpが、1/60秒<Sp<1/4秒である場合に、メカニカルシャッタ64の振動に伴う画像のぶれの影響により、解像度劣化率が高くなり、撮像画像の画質が低下する。また、メカニカルシャッタモードの場合には、シャッタスピードSpが、1/30秒<Sp<1/8秒である場合に、メカニカルシャッタ64の振動に伴う画像のぶれの影響により、解像度劣化率がさらに高くなり、撮像画像の画質がさらに低下する。
【0131】
そこで、ゲイン制御部212は、メカニカルシャッタ64の振動に伴う画像のぶれの抑制とユーザに与える不快感の抑制とを両立できるように、以下のようにゲインを設定する制御を行う。
【0132】
すなわち、一例として
図8及び
図11に示すように、ゲイン制御部212は、メカニカルシャッタモード(すなわち、第3モード)におけるシャッタスピードSpが、1/60秒<Sp<1/4秒である場合には、ゲインを第2ゲインG2よりも高い第3ゲインG3に上げるゲインアップ制御を行う。一方、ゲイン制御部212は、メカニカルシャッタモードにおけるシャッタスピードSpが、Sp≧1/4秒又はSp≦1/60秒である場合には、ゲインを第2ゲインG2に設定する通常ゲイン制御を行う。
【0133】
1/4秒は、本開示の技術に係る「第1既定時間」の一例であり、1/60秒は、本開示の技術に係る「第2既定時間」の一例である。
【0134】
なお、一例として
図9に示すように、ゲイン制御部212は、電子先幕シャッタモードにおいてイメージセンサ18による連続した撮像が行われる場合(すなわち、第4モードの場合)には、ゲインを第2ゲインG2に設定する通常ゲイン制御を行う。
【0135】
また、一例として
図8及び
図9に示すように、ゲイン制御部212は、電子シャッタモード(すなわち、第1モード又は第2モータ)の場合には、ゲインを第1ゲインG1に設定する通常ゲイン制御を行う。
【0136】
(ゲイン制御処理)
次に、撮像装置10におけるゲインを制御する処理(以下、ゲイン制御処理と称する)について
図12を参照しつつ説明する。
【0137】
図12に示すゲイン制御処理では、先ず、ステップST102で、シャッタモード判定部208(
図5参照)は、シャッタモードを判定する。例えば、CPU90の動作モードが第1モード又は第2モード(
図8及び
図9参照)である場合には、シャッタモードが電子シャッタモードであるので、ゲイン制御処理は、ステップST104に移行する。また、CPU90の動作モードが第4モード(
図9参照)である場合には、シャッタモードが電子先幕シャッタモードであるので、ゲイン制御処理は、ステップST104に移行する。
【0138】
ステップST104で、ゲイン制御部212は、通常ゲイン制御を行う。すなわち、CPU90の動作モードが第1モード又は第2モード(
図8及び
図9参照)であることにより、シャッタモードが電子シャッタモードである場合には、ゲイン制御部212は、ゲインを第1ゲインG1に設定する制御を行う。また、CPU90の動作モードが第4モード(
図9参照)であることにより、シャッタモードが電子先幕シャッタモードにあり、イメージセンサ18による連続した撮像が行われる場合には、ゲイン制御部212は、ゲインを第2ゲインG2に設定する制御を行う。
【0139】
一方、上述のステップST102で、CPU90の動作モードが第3モード(
図8参照)である場合には、シャッタモードがメカニカルシャッタモードであるので、ゲイン制御処理は、ステップST106に移行する。
【0140】
ステップST106で、シャッタスピード判定部210(
図5参照)は、シャッタスピードSpを判定する。シャッタスピードSpが、Sp≧1/4秒又はSp≦1/60秒である場合、ゲイン制御処理は、ステップST108に移行する。
【0141】
ステップST108で、ゲイン制御部212は、通常ゲイン制御を行う。すなわち、CPU90の動作モードが第3モード(
図8参照)であることにより、シャッタモードがメカニカルシャッタモードであり、かつ、シャッタスピードSpが、Sp≧1/4秒又はSp≦1/60秒である場合、ゲイン制御部212は、ゲインを第2ゲインG2に設定する制御を行う。
【0142】
一方、上述のステップST106で、シャッタスピードSpが、1/60秒<Sp<1/4秒である場合、ゲイン制御処理は、ステップST110に移行する。
【0143】
ステップST110で、ゲイン制御部212は、ゲインアップ制御を行う。すなわち、CPU90の動作モードが第3モード(
図8参照)にあることにより、シャッタモードがメカニカルシャッタモードであり、かつ、シャッタスピードSpが、1/60秒<Sp<1/4秒である場合、ゲイン制御部212は、ゲインを第3ゲインG3に設定する制御を行う。
【0144】
なお、上述の撮像装置10におけるゲイン制御処理は、本開示の技術に係る「撮像装置10の作動方法」の一例である。
【0145】
(ぶれ補正機構72)
次に、撮像装置10に適用されたぶれ補正機構72の一例について
図13~
図16を参照しつつ説明する。
【0146】
一例として
図13~
図16に示すように、ぶれ補正機構72は、可動部材150、第1固定部材152、及び第2固定部材154を備える。第1固定部材152は、R軸方向に可動部材150と対向して配置されており、第2固定部材154は、R軸方向において可動部材150に対する第1固定部材152と反対側に配置されている。第1固定部材152及び第2固定部材154は、撮像装置本体12に設けられた固定部156(例えば、撮像装置本体12の筐体を形成しているフレーム)に固定されている。可動部材150は、P軸方向及びY軸方向に移動可能かつR軸周りに回転可能に第1固定部材152及び第2固定部材154によって支持されている。
【0147】
第1固定部材152と可動部材150との間には、複数の引張バネ158が設けられている。後述するぶれ補正用アクチュエータ102によって可動部材150に動力が付与されていない状態では、複数の引張バネ158の引張力により可動部材150が予め定められた基準位置に保持される。
【0148】
ぶれ補正機構72は、以下に説明する通り、位置センサ100を備える。位置センサ100は、第1位置センサ160、第2位置センサ162、及び第3位置センサ164を備える。第1位置センサ160は、R軸方向に互いに対向する第1ホール素子160A及び第1センサ磁石160Bを有する。第2位置センサ162は、R軸方向に互いに対向する第2ホール素子162A及び第2センサ磁石162Bを有する。第3位置センサ164は、R軸方向に互いに対向する第3ホール素子164A及び第3センサ磁石164Bを有する。
【0149】
第2位置センサ162及び第3位置センサ164は、P軸方向に互いに離れて配置されている。一例として、第1ホール素子160A、第2ホール素子162A、及び第3ホール素子164Aは、可動部材150に固定されており、第1センサ磁石160B、第2センサ磁石162B、及び第3センサ磁石164Bは、第1固定部材152に固定されている。第1センサ磁石160BのN極及びS極は、P軸方向に並んで配置されており、第2センサ磁石162BのN極及びS極は、Y軸方向に並んで配置されており、第3センサ磁石164BのN極及びS極は、Y軸方向に並んで配置されている。第2センサ磁石162BのN極及びS極は、第3センサ磁石164BのN極及びS極と逆向きに配置されている。
【0150】
第1固定部材152及び第2固定部材154に対して可動部材150の位置がP軸方向の+側又は-側に変化すると、第1センサ磁石160Bから第1ホール素子160Aに作用する磁界が可動部材150のP軸方向の位置に応じて変化する。第1ホール素子160Aは、可動部材150のP軸方向の位置に応じたP軸位置検出信号(
図4参照)を出力する。
【0151】
第1固定部材152及び第2固定部材154に対して可動部材150の位置がY軸方向の+側又は-側に変化すると、第2センサ磁石162Bから第2ホール素子162Aに作用する磁界が可動部材150のY軸方向の位置に応じて変化する。第2ホール素子162Aは、可動部材150のY軸方向の位置に応じた位置検出信号を出力する。同様に、第1固定部材152及び第2固定部材154に対して可動部材150の位置がY軸方向の+側又は-側に変化すると、第3センサ磁石164Bから第3ホール素子164Aに作用する磁界が可動部材150のY軸方向の位置に応じて変化する。第3ホール素子164Aは、可動部材150のY軸方向の位置に応じた位置検出信号を出力する。
【0152】
可動部材150の位置がY軸方向の+側又は-側に変化する場合には、第2ホール素子162Aから出力された位置検出信号と同様の位相及び振幅を有する位置検出信号が第3ホール素子164Aから出力される。位置センサ100には、例えば、第1出力回路(図示省略)が接続されており、第1出力回路は、第2ホール素子162Aから出力された位置検出信号と第3ホール素子164Aから出力された位置検出信号とを平均化した平均化信号を、可動部材150のY軸方向の位置に応じたY軸位置検出信号(
図4参照)として出力する。
【0153】
第1固定部材152及び第2固定部材154に対して可動部材150の位置がR軸周りの+側又は-側に変化すると、第2センサ磁石162Bから第2ホール素子162Aに作用する磁界が可動部材150のR軸周りの位置に応じて変化する。第2ホール素子162Aは、可動部材150のR軸周りの位置に応じた位置検出信号を出力する。同様に、第1固定部材152及び第2固定部材154に対して可動部材150の位置がR軸周りの+側又は-側に変化すると、第3センサ磁石164Bから第3ホール素子164Aに作用する磁界が可動部材150のR軸周りの位置に応じて変化する。第3ホール素子164Aは、可動部材150のR軸周りの位置に応じた位置検出信号を出力する。
【0154】
可動部材150の位置がR軸周りの+側又は-側に変化する場合には、第2ホール素子162Aから出力された位置検出信号と反転した位置検出信号が第3ホール素子164Aから出力される。位置センサ100には、例えば、第2出力回路(図示省略)が接続されている。第2出力回路は、第2ホール素子162Aから出力された位置検出信号と第3ホール素子164Aから出力された位置検出信号との差分を示す差分信号を、可動部材150のR軸周りの位置に応じたR軸位置検出信号(
図4参照)として出力する。
【0155】
ぶれ補正機構72は、以下に説明する通り、ぶれ補正用アクチュエータ102を備える。ぶれ補正用アクチュエータ102は、第1VCM170、第2VCM172、第3VCM174、及び第4VCM176を備える。第1VCM170及び第2VCM172は、Y軸方向に並んで配置されている。第3VCM174及び第4VCM176は、P軸方向に並んで配置されている。
【0156】
第1VCM170は、第1コイル170Aと一対の第1モータ磁石170B及び170Cとを有する。第2VCM172は、第2コイル172Aと一対の第2モータ磁石172B及び172Cとを有する。第3VCM174は、第3コイル174Aと一対の第3モータ磁石174B及び174Cとを有する。第4VCM176は、第4コイル176Aと一対の第4モータ磁石176B及び176Cとを有する。
【0157】
一例として、第1コイル170A、第2コイル172A、第3コイル174A、及び第4コイル176Aは、可動部材150に固定されている。第1モータ磁石170B、第2モータ磁石172B、第3モータ磁石174B、及び第4モータ磁石176Bは、第1固定部材152に固定されている。第1モータ磁石170C、第2モータ磁石172C、第3モータ磁石174C、及び第4モータ磁石176Cは、第2固定部材154に固定されている。
【0158】
第1モータ磁石170BのN極及びS極は、P軸方向に並んで配置されている。第2モータ磁石172BのN極及びS極は、P軸方向に並んで配置されている。第3モータ磁石174BのN極及びS極は、Y軸方向に並んで配置されている。第4モータ磁石176BのN極及びS極は、Y軸方向に並んで配置されている。
【0159】
同様に、第1モータ磁石170CのN極及びS極は、P軸方向に並んで配置されている。第2モータ磁石172CのN極及びS極は、P軸方向に並んで配置されている。第3モータ磁石174CのN極及びS極は、Y軸方向に並んで配置されている。第4モータ磁石176CのN極及びS極は、Y軸方向に並んで配置されている。
【0160】
第1コイル170A及び第2コイル172Aは、ぶれ補正用ドライバ76(
図3及び
図4参照)にそれぞれ独立して接続されている。一方、第3コイル174A及び第4コイル176Aは、ぶれ補正用ドライバ76(
図3及び
図4参照)に対して並列に接続されている。
【0161】
第1コイル170Aの巻き方向は、第2コイル172Aの巻き方向と同じ向きであり、第1モータ磁石170BのN極及びS極は、第2モータ磁石172BのN極及びS極と同じ向きに配置されている。また、第1モータ磁石170CのN極及びS極は、第1モータ磁石170BのN極及びS極と同じ向きに配置されており、第2モータ磁石172CのN極及びS極も、第2モータ磁石172BのN極及びS極と同じ向きに配置されている。
【0162】
一方、第3コイル174Aの巻き方向は、第4コイル176Aの巻き方向と逆向きであり、第3モータ磁石174BのN極及びS極は、第4モータ磁石176BのN極及びS極と逆向きに配置されている。なお、第3モータ磁石174CのN極及びS極は、第3モータ磁石174BのN極及びS極と同じ向きに配置されており、第4モータ磁石176CのN極及びS極も、第4モータ磁石176BのN極及びS極と同じ向きに配置されている。
【0163】
第1コイル170Aには、ぶれ補正用ドライバ76から第1駆動信号(
図4参照)が与えられ、第2コイル172Aには、ぶれ補正用ドライバ76から第2駆動信号(
図4参照)が与えられる。第1コイル170Aに第1駆動信号が与えられると、第1コイル170Aに電流が流れ、第2コイル172Aに第2駆動信号が与えられると、第2コイル172Aに電流が流れる。
【0164】
第1コイル170A及び第2コイル172Aに同じ向きに電流が流れると、第1コイル170Aと一対の第1モータ磁石170B及び170Cとの間にP軸方向への第1動力P1(
図14参照)が発生し、第2コイル172Aと一対の第2モータ磁石172B及び172Cとの間にも第1動力P1と同じ向きの第2動力P2(
図14参照)が発生し、これにより、可動部材150がP軸方向に移動する。第1コイル170A及び第2コイル172Aを流れる電流の向きに応じて、第1動力P1及び第2動力P2の向きが切り替わり、可動部材150はP軸方向の+側又は-側に移動する。可動部材150がP軸方向の+側又は-側に移動すると、可動部材150と共にイメージセンサ18がP軸方向の+側又は-側に移動する。
【0165】
第1コイル170A及び第2コイル172Aに逆向きに電流が流れると、第1コイル170Aと一対の第1モータ磁石170B及び170Cとの間に発生する第1動力P1と、第2コイル172Aと一対の第2モータ磁石172B及び172Cとの間に発生する第2動力P2とが逆向きになり、これにより、可動部材150がR軸周りに回転する。第1コイル170A及び第2コイル172Aを流れる電流の向きに応じて、第1動力P1及び第2動力P2の向きが切り替わり、可動部材150はR軸周りの+側又は-側に回転する。可動部材150がR軸周りの+側又は-側に回転すると、可動部材150と共にイメージセンサ18がR軸周りの+側又は-側に回転する。
【0166】
第3コイル174A及び第4コイル176Aには、ぶれ補正用ドライバ76から第3駆動信号(
図4参照)が与えられる。第3コイル174A及び第4コイル176Aに第3駆動信号が与えられると、第3コイル174A及び第2コイル172Aに電流が流れる。
【0167】
第3コイル174A及び第4コイル176Aに電流が供給されると、第3コイル174Aと一対の第3モータ磁石174B及び174Cとの間にY軸方向への第3動力P3が発生し、第4コイル176Aと一対の第4モータ磁石176B及び176Cとの間に第3動力P3と同じ向きの第4動力P4が発生し、これにより、可動部材150がY軸方向に移動する。第3コイル174A及び第4コイル176Aを流れる電流の向きに応じて、第3動力P3及び第4動力P4の向きが切り替わり、可動部材150はY軸方向の+側又は-側に移動する。可動部材150がY軸方向の+側又は-側に移動すると、可動部材150と共にイメージセンサ18がY軸方向の+側又は-側に移動する。
【0168】
一例として
図14に示すように、可動部材150は、第1コイル170Aを支持する第1支持部171、第2コイル172Aを支持する第2支持部173、第3コイル174Aを支持する第3支持部175、及び第4コイル176Aを支持する第4支持部177を有する。
【0169】
第1支持部171は、P軸方向の+側に開口する第1切欠き171Aを有する概略C字状に形成されており、第1コイル170Aは、第1支持部171の内側に配置されている。第2支持部173は、P軸方向の+側に開口する第2切欠き173Aを有する概略C字状に形成されており、第2コイル172Aは、第2支持部173の内側に配置されている。
【0170】
第3支持部175は、Y軸方向の-側に開口する第3切欠き175Aを有する概略C字状に形成されており、第3コイル174Aは、第3支持部175の内側に配置されている。第4支持部177は、Y軸方向の-側に開口する第4切欠き177Aを有する概略C字状に形成されており、第4コイル176Aは、第4支持部177の内側に配置されている。
【0171】
第1支持部171及び第2支持部173が、いずれもP軸方向の+側に開口する概略C字状に形成されることにより、例えば、第1支持部171及び第2支持部173が第1コイル170A及び第2コイル172Aをそれぞれ囲う環状に形成された場合に比して、可動部材150がP軸方向に小型化されている。同様に、第3支持部175及び第4支持部177が、いずれもY軸方向の-側に開口する概略C字状に形成されることにより、例えば、第3支持部175及び第4支持部177が第3コイル174A及び第4コイル176Aをそれぞれ囲う環状に形成された場合に比して、可動部材150がY軸方向に小型化されている。
【0172】
なお、第1支持部171及び第2支持部173がP軸方向の+側に開口する第1切欠き171A及び第2切欠き173Aを有していると、第1切欠き171A及び第2切欠き173Aを通じて、第1コイル170Aの磁界及び第2コイル172Aの磁界が放出される虞がある。同様に、第3支持部175及び第4支持部177がY軸方向の-側に開口する第3切欠き175A及び第4切欠き177Aを有していると、第3切欠き175A及び第4切欠き177Aを通じて、第3コイル174Aの磁界及び第4コイル176Aの磁界が放出される虞がある。第1コイル170A、第2コイル172A、第3コイル174A、及び第4コイル176Aから磁界が放出されると、イメージセンサ18が電磁ノイズの影響を受ける虞がある。
【0173】
そこで、イメージセンサ18が電磁ノイズの影響を受けることを抑制するための第1対策として、上述の通り、
図7に示す位相制御部206によって、第1駆動信号と第2駆動信号との間に第1位相差ΔT1を設け、第1駆動信号と第3駆動信号との間に第2位相差ΔT2を設ける対策が採られている。第1駆動信号と第2駆動信号との間に第1位相差ΔT1が設けられ、第1駆動信号と第3駆動信号との間に第2位相差ΔT2が設けられると、第1位相差ΔT1及び第2位相差ΔT2が無い場合に比して、第1駆動信号、第2駆動信号、及び第3駆動振動の各立ち上がりエッジ及び各立ち下がりエッジに起因して第1コイル170A、第2コイル172A、第3コイル174A、及び第4コイル176Aから電磁ノイズが発生することが抑制される。
【0174】
また、イメージセンサ18が電磁ノイズの影響を受けることを抑制するための第2対策として、上述の通り、第3コイル174Aの巻き方向を、第4コイル176Aの巻き方向と逆向きとする対策が採られている。一例として
図17に示すように、第3コイル174Aの巻き方向が第4コイル176Aの巻き方向と逆向きになっていると、第3コイル174Aを流れる電流I3の向きと、第4コイル176Aを流れる電流I4の向きが逆向きになり、第3コイル174Aから放出される磁束M3の向きと、第4コイル176Aから放出される磁束M4の向きも逆向きになる。したがって、第3コイル174Aから放出される磁束M3と、第4コイル176Aから放出される磁束M4が打ち消し合うので、第3コイル174A及び第4コイル176Aから電磁ノイズが発生することが抑制される。
【0175】
ここで、上述の通り、第3モータ磁石174BのN極及びS極は、第4モータ磁石176BのN極及びS極と逆向きに配置されている。同様に、第3モータ磁石174CのN極及びS極は、第4モータ磁石176CのN極及びS極と逆向きに配置されている。したがって、第3コイル174Aの巻き方向が、第4コイル176Aの巻き方向と逆向きとなっていても、
図14に示す第3VCM174が発生する第3動力P3の向きと、第4VCM176が発生する第4動力P4の向きを揃えることができる。
【0176】
なお、イメージセンサ18が電磁ノイズの影響を受けることを抑制するための第3対策として、第1コイル170A、第2コイル172A、第3コイル174A、及び第4コイル176Aを、例えば銅シート等の電磁シールド性を有する部材で覆う対策が採られてもよい。
【0177】
第1VCM170は、本開示の技術に係る「第1アクチュエータ」の一例であり、第2VCM172、第3VCM174、及び第4VCM176は、本開示の技術に係る「第2アクチュエータ」の一例である。また、第3VCM174は、本開示の技術に係る「第1ボイスコイルモータ」の一例であり、第4VCM176は、本開示の技術に係る「第2ボイスコイルモータ」の一例である。第3VCM174の第3コイル174Aは、本開示の技術に係る「第1コイル」の一例であり、第3VCM174の第3モータ磁石174B及び174Cは、本開示の技術に係る「第1磁石」の一例である。また、第4VCM176の第4コイル176Aは、本開示の技術に係る「第2コイル」の一例であり、第4VCM176の第4モータ磁石176B及び176Cは、本開示の技術に係る「第2磁石」の一例である。
【0178】
(効果)
次に、撮像装置10の効果について説明する。
【0179】
以上詳述した通り、撮像装置10では、イメージセンサ18による撮像において、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、1/60秒<Sp<1/4秒である場合には、CPU90は、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、Sp≧1/4秒又はSp≦1/60秒である場合に比して、ゲインを上げるゲインアップ制御を行う。したがって、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、1/60秒<Sp<1/4秒である場合には、メカニカルシャッタ64の振動に伴う画像のぶれを抑制できる。
【0180】
つまり、
図11に示すように、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、1/60秒<Sp<1/4秒である場合に、ゲインアップ制御を行わずに、通常ゲイン制御を行った場合には、メカニカルシャッタ64の振動に伴う画像のぶれの影響により、解像度劣化率が高くなり、撮像画像の画質が低下する。これに対し、本実施形態に係る撮像装置10では、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、1/60秒<Sp<1/4秒である場合に、ゲインアップ制御を行うので、メカニカルシャッタ64の振動に伴う画像のぶれの影響を抑制できる。これにより、解像度劣化率が低くなり、撮像画像の画質を確保できる。
【0181】
また、換言すれば、撮像装置10では、イメージセンサ18による撮像において、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、Sp≧1/4秒又はSp≦1/60秒である場合には、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、1/60秒<Sp<1/4秒である場合に比して、ゲインが低く抑えられる。したがって、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、Sp≧1/4秒又はSp≦1/60秒である場合には、ぶれ補正用アクチュエータ102の駆動音の音量を低く抑えることにより、ユーザに与える不快感を抑制できる。
【0182】
また、CPU90は、メカニカルシャッタ64の先幕64Aを駆動させた後にメカニカルシャッタ64の後幕64Bを駆動させるメカニカルシャッタモードにおいて、上述のゲインアップ制御を行う。したがって、メカニカルシャッタモードにおいて、メカニカルシャッタ64の駆動に伴う振動がイメージセンサ18に伝達することを抑制できる。
【0183】
また、CPU90は、電子シャッタを作動させる電子シャッタモードでは、画像のぶれが補正される方向へイメージセンサ18を移動させる移動制御のゲインを、ゲインアップ制御により設定されるゲインよりも低いゲインに設定する制御を行う。つまり、一例として、CPU90は、電子シャッタモードでは、ゲインを、第3ゲインG3よりも低い第1ゲインG1に設定する制御を行う。したがって、電子シャッタモードでは、ぶれ補正用アクチュエータ102の駆動音の音量を低く抑えることにより、ユーザに与える不快感を抑制できる。
【0184】
同様に、CPU90は、電子シャッタを電子先幕として作動させた後にメカニカルシャッタ64の後幕64Bを駆動させる電子先幕シャッタモードでは、画像のぶれが補正される方向へイメージセンサ18を移動させる移動制御のゲインを、ゲインアップ制御により設定されるゲインよりも低いゲインに設定する制御を行う。つまり、一例として、CPU90は、電子先幕シャッタモードでは、ゲインを、第3ゲインG3よりも低い第2ゲインG2に設定する制御を行う。したがって、電子先幕シャッタモードでは、ぶれ補正用アクチュエータ102の駆動音の音量を低く抑えることにより、ユーザに与える不快感を抑制できる。
【0185】
また、CPU90は、イメージセンサ18による撮像において、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、Sp≧1/4秒である場合には、撮像装置10の振動に伴い得られた角度信号を既定のカットオフ周波数でローパスフィルタ処理し、ローパスフィルタ処理された角度信号に基づいて、画像のぶれが補正される方向へイメージセンサ18を移動させる移動制御を行う。したがって、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、Sp≧1/4秒である場合には、ローパスフィルタ処理する分、ぶれ補正用アクチュエータ102の駆動音の音量を低く抑えることができる。
【0186】
また、CPU90は、駆動信号の周波数が第1周波数F1及び第2周波数F2よりも高い第3周波数F3である場合、すなわち、CPU90が第3モードにある場合に、上述のゲインアップ制御を行う。したがって、CPU90が第3モードにある場合に、メカニカルシャッタ64の振動に伴う画像のぶれの抑制とユーザに与える不快感の抑制とを両立できる。
【0187】
また、CPU90は、第1VCM170を駆動させる第1駆動信号と、第2VCM172を駆動させる第2駆動信号との間に、第1位相差ΔT1を設け、第1VCM170を駆動させる第1駆動信号と、第3VCM174及び第4VCM176を駆動させる第3駆動信号との間に、第2位相差ΔT2を設ける。したがって、第1位相差ΔT1及び第2位相差ΔT2が無い場合に比して、第1駆動信号、第2駆動信号、及び第3駆動振動の各立ち上がりエッジ及び各立ち下がりエッジに起因して第1コイル170A、第2コイル172A、第3コイル174A、及び第4コイル176Aから発生する電磁ノイズを減らすことができる。
【0188】
また、第3コイル174Aの巻き方向は、第4コイル176Aの巻き方向と逆向きとなっている。したがって、第3コイル174Aから放出される磁束M3と、第4コイル176Aから放出される磁束M4が打ち消し合うので、第3コイル174A及び第4コイル176Aから電磁ノイズが発生することが抑制される。
【0189】
また、第3モータ磁石174BのN極及びS極は、第4モータ磁石176BのN極及びS極と逆向きに配置されている。同様に、第3モータ磁石174CのN極及びS極は、第4モータ磁石176CのN極及びS極と逆向きに配置されている。したがって、第3コイル174Aの巻き方向が、第4コイル176Aの巻き方向と逆向きとなっていても、第3VCM174が発生する第3動力P3の向きと、第4VCM176が発生する第4動力P4の向きを揃えることができる。
【0190】
(変形例)
次に、撮像装置10の変形例について説明する。
【0191】
上記実施形態において、CPU90は、メカニカルシャッタモードにおけるシャッタスピードSpが、1/60秒<Sp<1/4秒である場合には、ゲインを第3ゲインG3に上げるゲインアップ制御を行い、メカニカルシャッタモードにおけるシャッタスピードSpが、Sp≧1/4秒又はSp≦1/60秒である場合には、ゲインを第2ゲインG2に設定する通常ゲイン制御を行う。
【0192】
しかしながら、CPU90は、メカニカルシャッタモードにおけるシャッタスピードSpが、1/30秒<Sp<1/8秒である場合には、ゲインを第3ゲインG3に上げるゲインアップ制御を行い、メカニカルシャッタモードにおけるシャッタスピードSpが、Sp≧1/8秒又はSp≦1/30秒である場合には、ゲインを第2ゲインG2に設定する通常ゲイン制御を行ってもよい。この場合には、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、1/30秒<Sp<1/8秒である場合に、メカニカルシャッタ64の振動に伴う画像のぶれを抑制できる。
【0193】
つまり、一例として
図11に示すように、メカニカルシャッタモードの場合に、シャッタスピードSpが、1/30秒<Sp<1/8秒である場合には、シャッタスピードSpが、1/60秒<Sp<1/4秒である場合に比して、メカニカルシャッタ64の振動に伴う画像のぶれの影響により、解像度劣化率がさらに高くなり、撮像画像の画質がさらに低下する。これに対し、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、1/30秒<Sp<1/8秒である場合に、ゲインアップ制御を行うと、メカニカルシャッタ64の振動に伴う画像のぶれの影響をより効果的に抑制できる。これにより、解像度劣化率が低くなり、撮像画像の画質を確保できる。
【0194】
また、上記説明では、
図11に示す測定結果に基づき、ゲインアップ制御を行うか否かの下限閾値である第1既定時間を、一例として、1/4秒又は1/8秒に設定しているが、例えば、
図11に示す測定結果以外の他の測定結果が得られた場合には、他の測定結果に基づいて第1既定時間が1/4秒又は1/8秒以外の時間に設定されてもよい。
【0195】
同様に、上記説明では、
図11に示す測定結果より、ゲインアップ制御を行うか否かの上限閾値である第2既定時間を、一例として、1/60秒又は1/30秒に設定しているが、例えば、
図11に示す測定結果以外の他の測定結果が得られた場合には、他の測定結果に基づいて第2既定時間が1/60秒又は1/30秒以外の時間に設定されてもよい。
【0196】
また、上記実施形態において、CPU90は、メカニカルシャッタモードにおけるシャッタスピードSpが第1既定時間である場合には、ゲインアップ制御を行わずに通常ゲイン制御を行うが、例えば、上述の他の測定結果が得られた場合に、CPU90は、メカニカルシャッタモードにおけるシャッタスピードSpが第1既定時間である場合には、ゲインアップ制御を行っても行わなくてもどちらでもよい。同様に、例えば、上述の他の測定結果が得られた場合に、CPU90は、メカニカルシャッタモードにおけるシャッタスピードSpが第2既定時間である場合には、ゲインアップ制御を行っても行わなくてもどちらでもよい。
【0197】
また、上記実施形態において、CPU90は、イメージセンサ18による撮像において、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、Sp≧1/4秒である場合には、ローパスフィルタ処理を行い、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、Sp<1/4秒である場合には、ローパスフィルタ処理を行わない。
【0198】
しかしながら、CPU90は、イメージセンサ18による撮像において、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、Sp≧1/8秒である場合には、ローパスフィルタ処理を行い、メカニカルシャッタ64のシャッタスピードSpが、Sp<1/8秒である場合には、ローパスフィルタ処理を行わなくてもよい。
【0199】
また、上記説明では、
図11に示す測定結果に基づき、ローパスフィルタ処理を行うか否かの閾値である第1既定時間を、一例として、1/4秒又は1/8秒に設定しているが、例えば、
図11に示す測定結果以外の他の測定結果が得られた場合には、他の測定結果に基づいて第1既定時間が1/4秒又は1/8秒以外の時間に設定されてもよい。
【0200】
また、上記実施形態において、CPU90は、メカニカルシャッタモードにおけるシャッタスピードSpが第1既定時間である場合には、ローパスフィルタ処理を行うが、例えば、上述の他の測定結果が得られた場合に、CPU90は、メカニカルシャッタモードにおけるシャッタスピードSpが第1既定時間である場合には、ローパスフィルタ処理を行っても行わなくてもどちらでもよい。
【0201】
また、上記実施形態において、CPU90は、電子先幕シャッタモードにおいてイメージセンサ18による連続した撮像が行われる場合、ゲインアップ制御を行わずに、通常ゲイン制御を行う。しかしながら、一例として
図18に示すように、CPU90は、電子先幕シャッタモードにおいてイメージセンサ18による連続した撮像が行われる場合、ゲインアップ制御を行ってもよい。この場合には、電子先幕の作動時に、メカニカルシャッタ64の後幕64Bの駆動に伴う振動が影響することによる画像のぶれを抑制できる。
【0202】
また、上記実施形態では、CPU90とは別にフィルタ演算器142及び制御出力演算器144が用いられているが、上述のフィルタ演算器142及び制御出力演算器144における処理は、CPU90において実行されてもよい。
【0203】
また、上記実施形態では、フィードバック制御を例示したが、本開示の技術はこれに限定されず、フィードフォワード制御等の他の移動制御であってもよい。
【0204】
また、上記実施形態において、振動センサ70は、一例として、ジャイロセンサであるが、例えば加速度センサ等のように、振動を検出できるセンサであれば、どのようなセンサでもよい。
【0205】
また、上記実施形態において、ぶれ補正用アクチュエータ102は、一例としてボイスコイルモータを備えるが、例えばステッピングモータ、直流モータ、又はピエゾ素子等のように、画像のぶれを補正する方向へイメージセンサ18を移動させることができるアクチュエータであれば、どのようなアクチュエータでもよい。
【0206】
また、上記実施形態において、位置センサ100は、ホール素子及びセンサ磁石を含むセンサであるが、例えば、磁気センサ又はフォトセンサ等のように、イメージセンサ18の位置を検出できるセンサであれば、どのようなセンサでもよい。
【0207】
また、上記実施形態では、撮像装置10内のコントローラ78によって撮像支援処理が実行される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、
図19に示すように、LAN又はWAN等のネットワーク310を介して撮像装置10と通信可能に接続された外部装置312内のコンピュータ314によって撮像支援処理が実行されるようにしてもよい。
図19に示す例では、コンピュータ314は、CPU316、ストレージ318、及びメモリ320を備えている。ストレージ318には、撮像支援処理プログラム180が記憶されている。
【0208】
撮像装置10は、ネットワーク310を介して外部装置312に対して撮像支援処理の実行を要求する。これに応じて、外部装置312のCPU316は、ストレージ318から撮像支援処理プログラム180を読み出し、撮像支援処理プログラム180をメモリ320上で実行する。CPU316は、メモリ320上で実行する撮像支援処理プログラム180に従って撮像支援処理を行う。そして、CPU316は、撮像支援処理が実行されることで得られた処理結果を、ネットワーク310を介して撮像装置10に提供する。
【0209】
また、撮像装置10と外部装置312とが撮像支援処理を分散して実行するようにしてもよいし、撮像装置10と外部装置312を含む複数の装置とが撮像支援処理を分散して実行するようにしてもよい。なお、
図19に示す例では、撮像装置10及び外部装置312が本開示の技術に係る「撮像装置」の一例である。
【0210】
また、上記実施形態では、NVM92に撮像支援処理プログラム180が記憶されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、
図20に示すように、撮像支援処理プログラム180が記憶媒体330に記憶されていてもよい。記憶媒体330は、非一時的記憶媒体である。記憶媒体330の一例としては、SSD又はUSBメモリなどの任意の可搬型の記憶媒体が挙げられる。
【0211】
記憶媒体330に記憶されている撮像支援処理プログラム180は、コントローラ78にインストールされる。CPU90は、撮像支援処理プログラム180に従って撮像支援処理を実行する。
【0212】
また、通信網(図示省略)を介してコントローラ78に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部に撮像支援処理プログラム180を記憶させておき、撮像装置10の要求に応じて撮像支援処理プログラム180がダウンロードされ、コントローラ78にインストールされるようにしてもよい。
【0213】
なお、コントローラ78に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部、又はNVM92に撮像支援処理プログラム180の全てを記憶させておく必要はなく、撮像支援処理プログラム180の一部を記憶させておいてもよい。
【0214】
図20に示す例では、撮像装置10にコントローラ78が内蔵されている態様例が示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、例えば、コントローラ78が撮像装置10の外部に設けられるようにしてもよい。
【0215】
図20に示す例では、CPU90は、単数のCPUであるが、複数のCPUであってもよい。また、CPU90に代えてGPUを適用してもよい。
【0216】
図20に示す例では、コントローラ78が例示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、コントローラ78に代えて、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、コントローラ78に代えて、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせを用いてもよい。
【0217】
上記実施形態で説明した撮像支援処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することによって、撮像支援処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することによって撮像支援処理を実行する。
【0218】
撮像支援処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、撮像支援処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0219】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、撮像支援処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、撮像支援処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、撮像支援処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0220】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の撮像支援処理はあくまでも一例である。したがって、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0221】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0222】
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0223】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0224】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0225】
(付記1)
受光面を有するイメージセンサと、
前記受光面に沿って前記イメージセンサを移動させるアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御するプロセッサと、
を備え、
前記アクチュエータは、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータを有し、
前記プロセッサは、前記第1アクチュエータを駆動させる第1駆動信号と前記第2アクチュエータを駆動させる第2駆動信号との間に位相差を設ける
撮像装置。
(付記2)
受光面を有するイメージセンサと、
前記受光面に沿って前記イメージセンサを移動させるアクチュエータと、
を備え、
前記アクチュエータは、互いに並んで配置された第1ボイスコイルモータ及び第2ボイスコイルモータを有し、
前記第1ボイスコイルモータは、第1コイル及び第1磁石を有し、
前記第2ボイスコイルモータは、第2コイル及び第2磁石を有し、
前記第1コイルの巻き方向は、前記第2コイルの巻き方向と逆向きであり、
前記第1磁石のN極及びS極は、前記第2磁石のN極及びS極と逆向きに配置されている
撮像装置。