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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018296
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】クリーンルーム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20230201BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20230201BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65G1/00 521D
F24F7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122320
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 聖二
【テーマコード(参考)】
3F022
3L058
5F131
【Fターム(参考)】
3F022AA08
3F022BB09
3F022EE05
3F022FF01
3F022JJ09
3F022KK20
3L058BE02
3L058BF01
3L058BF08
5F131AA02
5F131CA12
5F131CA15
5F131DA05
5F131DA37
5F131DA42
5F131DB52
5F131DB62
5F131DB72
5F131DB76
5F131DC02
5F131GA14
5F131GA15
5F131GB02
5F131GB13
5F131JA05
5F131JA13
5F131JA14
5F131JA15
5F131JA16
5F131JA23
5F131JA26
5F131JA27
5F131JA28
5F131JA29
5F131JA32
5F131JA33
5F131JA36
(57)【要約】
【課題】追加のコストが発生せず、物品管理庫の収納容積を減少させずに、物品管理庫内を清浄に保つことが可能となるクリーンルームを提供すること。
【解決手段】クリーンルームであって、該クリーンルームは、物品管理庫が設置されたストッカーエリアを備え、前記物品管理庫は、上側開放部と、開口率が調整できるように構成された下側排気口とを備え、前記ストッカーエリアの天井部は、アイリッドと、空気吹き出し口とを備え、前記物品管理庫の前記上側開放部と前記空気吹き出し口とが、前記アイリッドによって囲われるように接続され、前記空気吹き出し口から供給された空気が、前記上側開放部を通して直接前記物品管理庫内に供給され、前記下側排気口から排出されるように構成されたものであることを特徴とするクリーンルーム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンルームであって、
該クリーンルームは、物品管理庫が設置されたストッカーエリアを備え、
前記物品管理庫は、上側開放部と、開口率が調整できるように構成された下側排気口とを備え、
前記ストッカーエリアの天井部は、アイリッドと、空気吹き出し口とを備え、
前記物品管理庫の前記上側開放部と前記空気吹き出し口とが、前記アイリッドによって囲われるように接続され、
前記空気吹き出し口から供給された空気が、前記上側開放部を通して直接前記物品管理庫内に供給され、前記下側排気口から排出されるように構成されたものであることを特徴とするクリーンルーム。
【請求項2】
前記物品管理庫が管理するものが、FOUP又はFOSBであることを特徴とする請求項1に記載のクリーンルーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工場におけるクリーンルーム、及びクリーンルーム内の例えばウェーハ収納容器FOUP又はFOSBを保管(管理)する物品管理庫(ストッカー)設備に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工場において、例えば半導体ウェーハを製造する工程は、クリーンルームの環境からの汚染により製品歩留まりが低下するため、温度及び湿度が制御されると共に数ミクロンレベルの異物(パーティクル)が除去されたクリーンルーム内で製造されている。クリーンルームは外調機によって取り入れられた、温度及び湿度が制御された空気を、パーティクルを除去するためにULPA(ULTLA Low Penetration Air)フィルターに通して作業エリアに供給される。作業エリアの清浄度をさらに厳密に管理する必要がある場合には、ケミカルフィルターを追加してケミカル汚染物を除去したさらに清浄度の高い空気を作業エリアに供給することができる。
【0003】
一方、半導体製造工程において、ウェーハは密閉容器FOUP(Front Openning Unifid Pod)に収納した状態で搬送し、保管する。クリーンルームにおいては製造工程には多数の製品が行き来しており、製造装置や検査装置に載置して処理される前後の製品は、これらFOUPを保管する物品管理庫(ストッカー)内の棚に収納される。物品管理庫においては、FOUP内に収納されるウェーハを管理する番号とFOUPの管理番号とが紐付けされ、さらに物品管理庫の棚の位置の情報とも紐付けされており、製造装置や検査装置で処理するためのFOUPは、これらの管理情報に基づいて物品管理庫から出し入れされる。
【0004】
特許文献1には、クリーンルーム内にウェーハのカセットを保管する保管庫において、ウェーハの自然酸化膜の形成や化学物質の吸着を防止するため密閉コンテナにウェーハをカセットに入れた状態で保管する方法が記載されている。
【0005】
特許文献2には、クリーンルームの空調方法として、クリーンルームの空気循環流とは別の空気循環流をウェーハ収納ボックスを載置するインターフェースボックスオープナーの近傍に直接供給するクリーンルームが記載されている。
【0006】
特許文献3には、クリーンルーム用の物品保管庫において物品搬送車が移動する際に発生する汚れた気流を、物品搬送車に設けられた整流板により、物品収納部側へ逆流しないように整流することが記載されている。
【0007】
特許文献4には、クリーンルームにおいて、高清浄度領域と低清浄度領域をアイリッド(垂れ壁)で仕切り、さらに床下領域が区画され、清浄度が高い順に圧力が高くされているクリーンルーム設備が記載されている。
【0008】
特許文献5には、クリーンルームとリターンルームの間にアイリッド(垂れ壁)が付設されたことを特徴とするクリーンルームが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平05-201506号公報
【特許文献2】特開2001-093790号公報
【特許文献3】特開2007-269489号公報
【特許文献4】特開2002-005485号公報
【特許文献5】特開2008-157474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
FOUPを出し入れする際には、搬送台車が必要とするFOUPの前まで移動し、搬送台車に取り付けられた支柱によって移載ロボットが上下し、必要なFOUPの棚の高さで静止した後に、FOUPを棚から移載ロボットに移載する。次にFOUP出入り口まで搬送台車と移載ロボットが移動し、FOUP出入り口からFOUPを出すことができる。
【0011】
物品管理庫の搬送台車や移載ロボットは、機械的な駆動部を有するため、これら機械部が駆動する度に発塵源となっており、物品管理庫やクリーンルームの清浄度を低下させることが問題となっていた。物品管理庫にさらにフィルターや送風ファンを設置することが可能であるが、フィルターや送風ファンによって設備コストアップや物品管理庫の収納容積が減少する問題や、物品管理庫の送風ファンの設定によっては、FOUP出入り口から搬送台車や移載ロボットから発塵した汚れた空気が流出するなど、クリーンルームの送風、気圧条件と、物品管理庫の送風、気圧条件とのマッチングが難しいとの問題があった。
【0012】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、追加のコストが発生せず、物品管理庫の収納容積を減少させずに、物品管理庫内を清浄に保つことが可能となるクリーンルームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明では、クリーンルームであって、
該クリーンルームは、物品管理庫が設置されたストッカーエリアを備え、
前記物品管理庫は、上側開放部と、開口率が調整できるように構成された下側排気口とを備え、
前記ストッカーエリアの天井部は、アイリッドと、空気吹き出し口とを備え、
前記物品管理庫の前記上側開放部と前記空気吹き出し口とが、前記アイリッドによって囲われるように接続され、
前記空気吹き出し口から供給された空気が、前記上側開放部を通して直接前記物品管理庫内に供給され、前記下側排気口から排出されるように構成されたものであることを特徴とするクリーンルームを提供する。
【0014】
本発明のクリーンルームでは、物品管理庫の上側開放部とストッカーエリアの天井部の空気吹き出し口とをアイリッド(垂れ壁)によって囲い、アイリッドで囲ったクリーンルーム天井部の一部からの清浄な空気が物品管理庫内に直接流れることにより、清浄な空気がそのまま層流となって、物品管理庫内の例えば移載ロボットや搬送台車から発塵した汚れた空気を物品管理庫の下側排気口から排気することが可能となる。
【0015】
また、本発明のクリーンルームは、クリーンルーム天井部の空気吹き出し口の一部を利用できるため、ストッカーエリアに更なる清浄化システムを追加する必要がない。また、アイリッドは物品管理庫の上側開放部を囲うようにして設けるため、物品管理庫の収納容積を減少させる必要はない。
【0016】
したがって、本発明のクリーンルームによれば、追加のコストが発生せず、物品管理庫の収納容積を減少させずに、物品管理庫内を清浄に保つことが可能となる。
【0017】
前記物品管理庫が管理するものは、例えばFOUP又はFOSBとすることができる。
【0018】
物品管理庫が管理するものは特に限定されないが、例えばFOUP又はFOSBとすることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明のクリーンルームであれば、追加のコストが発生せず、物品管理庫の収納容積を減少させずに、物品管理庫内を清浄に保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のクリーンルームの一例を示す模式図である。
図2図1に示したクリーンルームを別の角度から見た模式図である。
図3】比較例のクリーンルームを示す模式図である。
図4図3に示したクリーンルームを別の角度から見た模式図である。
図5】実施例及び比較例における気中パーティクル個数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上述したように、クリーンルーム内のFOUPを保管収納する物品管理庫内の搬送台車や移載ロボットから発塵した汚れた空気を、作業エリア内に漏れ出ないように簡易的に排出できることが望まれている。
【0022】
そこで、本発明者は、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、物品管理庫の上側開放部とクリーンルームの天井部の空気吹き出し口のうちストッカーエリアに設けられた空気吹き出し口とをアイリッド(垂れ壁)によって囲うことにより、クリーンルーム内のFOUPを保管収納する物品管理庫について該物品管理庫内の搬送台車や移載ロボットから発塵した汚れた空気を、作業エリア内に漏れ出ないように簡易的にストッカーエリアから排出できることを見出し、本発明を完成させた。
アイリッドの材質としては、例えば、コストの観点からアルミニウムなどの金属フレームに塩化ビニルやポリカーボネートなどの樹脂製の板やシートで囲う構成とすることができる。さらにパーティクル付着防止を目的として、帯電防止効果を有する樹脂とすることが好ましい。
【0023】
即ち、本発明は、クリーンルームであって、
該クリーンルームは、物品管理庫が設置されたストッカーエリアを備え、
前記物品管理庫は、上側開放部と、開口率が調整できるように構成された下側排気口とを備え、
前記ストッカーエリアの天井部は、アイリッドと、空気吹き出し口とを備え、
前記物品管理庫の前記上側開放部と前記空気吹き出し口とが、前記アイリッドによって囲われるように接続され、
前記空気吹き出し口から供給された空気が、前記上側開放部を通して直接前記物品管理庫内に供給され、前記下側排気口から排出されるように構成されたものであることを特徴とするクリーンルームである。
【0024】
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
(実施形態)
以下では、図1及び図2を参照しながら、本発明の一実施の形態であるクリーンルームとクリーンルーム内のFOUPを保管収納する物品管理庫(ストッカー)について説明する。
【0026】
図1は、本発明のクリーンルームの一例とクリーンルーム内のFOUPを保管収納する物品管理庫の一例の模式図である。図2は、図1に示したクリーンルーム及び物品管理庫の、図1の視点から90°回転させた視点での模式図である。
【0027】
図1及び図2は、概して、本発明のクリーンルームの一例内のFOUPを保管収納する物品管理庫(ストッカー)について、ストッカーエリア内に設置された物品管理庫内の搬送台車や移載ロボットから発塵した汚れた空気を、作業エリア内に漏れ出ないように簡易的に排出できる方法を図示したものである。
【0028】
図1及び図2に示すクリーンルーム10は、ストッカーエリア1を備える。クリーンルーム10は、ストッカーエリア1に隣接する作業エリア2を更に備える。図1及び図2
に示すクリーンルーム10では、以下に説明する物品管理庫11の側面とアイリッド13とによって、ストッカーエリア1と作業エリア2とが明確に区切られている。
【0029】
クリーンルーム10のストッカーエリア1及び作業エリア2の下方の部分は、グレーチング6により、それ以外の部分から仕切られている。
【0030】
クリーンルーム10の天井部10aには、複数の送風ファン3が設置されている。送風ファン3は、例えば、温度及び湿度が制御された空気を供給することができる。
【0031】
各送風ファン3の空気吐出し口には、ULPAフィルター4が設けられている。ULPAフィルター4は、送風ファン3から供給された空気から数ミクロンレベルの異物(パーティクル)を除去し、送風ファン3とは反対側の空気吹き出し口5から、清浄な空気8をクリーンルーム10内に供給できる。
【0032】
ストッカーエリア1には、物品管理庫(ストッカー)11が設置されている。
【0033】
物品管理庫11は、上側開放部11aと、開口率が調整できるように構成された下側排気口11bとを備えている。また、物品管理庫11は、側部に、開口部であるFOUP出入り口11cを更に備えている。
【0034】
物品管理庫11は、複数の棚11dを備えており、棚11d上にFOUP100を載置して管理収納できるように構成されている。
【0035】
物品管理庫11内には、搬送装置7が格納されている。搬送装置7は、搬送台車7cと、搬送台車7cに支持された搬送支柱7bと、搬送支柱7bに沿って昇降可能な移載ロボット7aとを具備している。搬送装置7は、搬送台車7cにより自走し、目的の棚11d及びFOUP出入り口11cの高さに移載ロボット7aの高さを合わせることができるように構成されている。移載ロボット7aは、棚11d又はFOUP出入り口11cにおいてFOUP100を受け渡しできるように構成されている。
【0036】
また、ストッカーエリア1の天井部1aは、アイリッド(垂れ壁)13と、空気吹き出し口12とを備えている。
【0037】
空気吹き出し口12は、クリーンルーム10の天井部10aに設置されたULPAフィルター4のうち、ストッカーエリア1の天井部1aに設置された送風ファン3aに設けられたULPAフィルター4aの空気吹き出し口である。
【0038】
図1及び図2では断面を示しているが、アイリッド13は、物品管理庫11の上側開放部11aと空気吹き出し口12とを囲っている。物品管理庫11の上側開放部11aと空気吹き出し口12とは、アイリッド13によって囲われるように接続されている。
【0039】
図1及び図2に示すように、クリーンルーム10内のFOUP100を保管収納する物品管理庫11は、物品管理庫11の上側開放部11aが、アイリッド(垂れ壁)13によって、ストッカーエリア1の天井部1aにある清浄な空気8の吹き出し口(空気吹き出し口)12と接続されており、物品管理庫11の上部に位置するストッカーエリア1の天井部1aの空気吹き出し口12から供給された清浄な空気8を直接、物品管理庫11内に取り入れる。これにより、物品管理庫11の上側開放部11aから下側排気口11bまで、層流となって空気が流れる。
【0040】
物品管理庫11内で搬送台車7cや移載ロボット7aが駆動し、これら駆動部から発塵し、空気が汚れても、物品管理庫11の上側開放部11aから下側排気口11bまで層流に空気が流れるため、物品管理庫11の棚(収納部)11dに収納されたFOUP100に汚れた空気が接触する可能性は低くなる。また、他の開口部であるFOUP出入り口11cから作業エリア2へ汚れた空気が吹き出さないように、物品管理庫11の下側排気口11bの開口率を調整して、物品管理庫11の下部の下側排気口11bより汚れた空気を排出することができる。下側排気口11bの開口率は、物品管理庫11の上部開放部11aの面積と、その上部の、アイリッド13で囲われた、クリーンルーム10のストッカーエリア1の天井部1aの空気吹き出し口12の面積及び空気の吹き出し量とに依存しており、FOUP出入り口11cから空気が吹き出ないように適宜調整することができる。下側排気口11bとFOUP出入り口11cとの排気バランスについては、物品管理庫11の下側排気口11bの開口率を調整することにより、FOUP出入り口11cから汚れた空気が排気されないように調整することが可能であり、クリーンルームの気圧や風量の条件に左右されないで、調整することが可能となる。
【0041】
図1及び図2に示すように、物品管理庫11の下側排気口11bから排出される、物品管理庫11を通り抜けた空気9は、作業エリア2の下側、次いで作業エリア2の横を通って、作業エリア2に入り込まずに、送風ファン3及び3aへと循環される。空気9に含まれたダストなどパーティクルは、ULPA4及び4aによって除去される。
【0042】
このように、本発明のクリーンルームの一例は、アイリッド(垂れ壁)によって物品管理庫の上部に位置する天井部の清浄な空気の空気吹き出し口から供給された空気を直接物品管理庫内に取り入れ、開口部であるFOUP出入り口から空気が吹き出さないように、物品管理庫の下側排気口の開口率を調整して、物品管理庫下部より汚れた空気を排出することを特徴とする。
【0043】
なお、以上では、物品管理庫11が管理するものがFOUP100である例を説明したが、物品管理庫11が管理する物は、FOUPに限られない。例えば、物品管理庫11が、半導体材料メーカーから半導体デバイスメーカーに材料となる半導体ウェーハを出荷及び輸送する場合に使用する、FOSB(Front Shipping Box)を管理するものであってもよい。
【実施例0044】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
(実施例)
実施例では、図1及び図2に示すクリーンルーム10において、物品管理庫11にFOUP100を管理収納した。
【0046】
(比較例)
比較例では、図3及び図4に示すクリーンルーム10’において、物品管理庫11にFOP100を管理収納した。
【0047】
図3は、比較例のクリーンルームとクリーンルーム内のFOUPを保管収納する物品管理庫の一例との模式図である。図4は、図3に示したクリーンルーム及び物品管理庫の、図1の視点から90°回転させた視点での模式図である。
【0048】
図3及び図4に示すクリーンルーム10’は、天井部10aにアイリッドが設けられていない点で、図1及び図2に示すクリーンルーム10と大きく異なる。
【0049】
クリーンルーム10’では、図1及び図2に示すアイリッドがないため、物品管理庫11を設置するエリアと、作業エリア2とが明確に区切られていない。つまり、クリーンルーム10’では、作業エリア2内に物品管理庫1が設置されている。
【0050】
(結果)
物品管理庫1の下側排気口11bから排気される空気を、リオン社製 気中パーティクルカウンターKC-24にて、0.1μm以上の気中パーティクル個数を10回測定し、これらの平均値を算出した後に、規格化して実施例と比較例で比較した。図5に、比較例でのパーティクル個数を1とした場合の実施例及び比較例の気中パーティクル個数を示す。
【0051】
図5に示すように、比較例の気中パーティクル個数の平均値を1とした場合、実施例の気中パーティクル個数の平均値は0.52であった。すなわち、実施例では、比較例よりも、物品管理庫11内を清浄に保つことができた。
【0052】
一方、比較例のクリーンルーム10’では、物品管理庫11内にダストが堆積し、これらの清掃を定期的(1~2年程度)に実施する必要があり、この際に物品管理庫11の稼働を停止する必要があった。また、ダストの堆積により例えばFOUP100の外側にダストが付着し、蓋を開けた際に中のウェーハをダスト汚染するリスクが増加し、物品管理庫11からFOUP出入り口11c等の開放部からクリーンルーム10’全体のダスト汚染のリスクも増加した。
【0053】
また、物品管理庫11に管理するものをFOUPからFOSBに替えたこと以外は上記実施例と同様に管理収納を行った。その結果、管理するものがFOSBであっても、本発明のクリーンルームを用いることにより、物品管理庫11内を清浄に保つことができた。
【0054】
また、実施例のクリーンルーム10は、比較例のクリーンルーム10’に対して、送風ファンやULPAフィルターなどを追加しておらず、物品管理庫11の収納容積を減少さていない。
【0055】
これらの事実から、本発明のクリーンルームによれば、追加のコストがほとんど発生せず、物品管理庫の収納容積を減少させずに、物品管理庫内を清浄に保つことが可能となることが分かる。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0057】
1…ストッカーエリア、 1a及び10a…天井部、 2…作業エリア、 3及び3a…送風ファン、 4及び4a…ULPAフィルター、 5及び12…空気吹き出し口、 6…グレーチング、 7…搬送装置、 7a…移載ロボット、 7b…搬送支柱、 7c…搬送台車、 8…清浄な空気、 9…ストッカーエリアを通り抜けた空気、 10及び10’…クリーンルーム、 11…物品管理庫、 11a…上側開放部、 11b…下側排気口、 11c…FOUP出入り口、 11d…棚、 13…アイリッド、 100…FOUP。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
半導体の製造工場において、例えば半導体ウェーハを製造する工程は、クリーンルームの環境からの汚染により製品歩留まりが低下するため、温度及び湿度が制御されると共に数ミクロンレベルの異物(パーティクル)が除去されたクリーンルーム内で製造されている。クリーンルームは外調機によって取り入れられた、温度及び湿度が制御された空気を、パーティクルを除去するためにULPA(ULTA Low Penetration Air)フィルターに通して作業エリアに供給される。作業エリアの清浄度をさらに厳密に管理する必要がある場合には、ケミカルフィルターを追加してケミカル汚染物を除去したさらに清浄度の高い空気を作業エリアに供給することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
一方、半導体製造工程において、ウェーハは密閉容器FOUP(Front Opening Unifid Pod)に収納した状態で搬送し、保管する。クリーンルームにおいては製造工程には多数の製品が行き来しており、製造装置や検査装置に載置して処理される前後の製品は、これらFOUPを保管する物品管理庫(ストッカー)内の棚に収納される。物品管理庫においては、FOUP内に収納されるウェーハを管理する番号とFOUPの管理番号とが紐付けされ、さらに物品管理庫の棚の位置の情報とも紐付けされており、製造装置や検査装置で処理するためのFOUPは、これらの管理情報に基づいて物品管理庫から出し入れされる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
図1及び図2に示すクリーンルーム10は、ストッカーエリア1を備える。クリーンルーム10は、ストッカーエリア1に隣接する作業エリア2を更に備える。図1及び図2に示すクリーンルーム10では、以下に説明する物品管理庫11の側面とアイリッド13とによって、ストッカーエリア1と作業エリア2とが明確に区切られている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
また、実施例のクリーンルーム10は、比較例のクリーンルーム10’に対して、送風ファンやULPAフィルターなどを追加しておらず、物品管理庫11の収納容積を減少さていない。