(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183049
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法、及び発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20231220BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20231220BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20231220BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/50
H01L33/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096430
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】▲蔭▼山 弘明
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA86
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB03
5F142CD02
5F142CD13
5F142CD15
5F142CD32
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5F142CG03
5F142CG04
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5F142DB24
5F142FA03
5F142FA14
5F142FA21
5F142FA24
5F142FA32
5F142FA42
5F142FA48
(57)【要約】
【課題】歩留まりを向上させることができる発光装置の製造方法、及び発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置の製造方法は、半導体部が配置された基板を準備する工程と、第1面と、この第1面と反対側の第2面とを有し、前記第1面に溝部が形成された導電性の支持基板を準備する工程と、平面視において、半導体部が溝部を跨ぐように半導体部を第1面上に配置し、半導体部と、支持基板とを電気的に接続する工程と、半導体部から基板を除去する工程と、基板を除去した半導体部に波長変換部材を接合する工程と、溝部内と、支持基板と波長変換部材との間とに光反射性の樹脂部材を充填する工程と、第2面側から支持基板の一部を除去し、溝部内に充填された樹脂部材を支持基板から露出する工程と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体部が配置された基板を準備する工程と、
第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有し、前記第1面に溝部が形成された導電性の支持基板を準備する工程と、
平面視において、前記半導体部が前記溝部を跨ぐように前記半導体部を前記第1面上に配置し、前記半導体部と、前記支持基板とを電気的に接続する工程と、
前記半導体部から前記基板を除去する工程と、
前記基板を除去した前記半導体部に波長変換部材を接合する工程と、
前記溝部内と、前記支持基板と前記波長変換部材との間とに光反射性の樹脂部材を充填する工程と、
前記第2面側から前記支持基板の一部を除去し、前記溝部内に充填された樹脂部材を前記支持基板から露出する工程と、
を備える発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記基板上には、複数の前記半導体部が配置され、
前記支持基板から露出する工程の後、平面視において、前記半導体部間に位置する、前記波長変換部材、前記樹脂部材、および前記支持基板を除去し、複数の発光装置に分割する工程をさらに備える、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記基板上には、複数の前記半導体部が配置され、
前記複数の半導体部のそれぞれには、第1電極部、および前記第1電極部と離隔して配置される第2電極部が設けられ、
さらに前記第1電極部、および前記第2電極部のそれぞれに電気的に接続されるツェナーダイオードが前記半導体部毎に設けられ、
前記接続する工程において、前記ツェナーダイオードは、前記溝部内に配置される、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
支持基板を準備する工程において、第1方向に沿った複数の前記溝部が形成された前記支持基板を準備し、
前記接続する工程において、前記複数の半導体部それぞれに設けられた前記ツェナーダイオードが、1つの前記溝部内に配置されるように、前記複数の半導体部と、前記支持基板とが接続される、請求項3に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記溝部と、前記支持基板と前記波長変換部材との間の空間は接続されており、
前記樹脂部材を充填する工程において、前記樹脂部材は、前記支持基板と、前記波長変換部材との間に加え、前記溝部を通過して充填される、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記分割する工程において、平面視における前記樹脂部材、および前記支持基板の外形の大きさは、前記波長変換部材の外形の大きさ以下となるように分割される、請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記支持基板を準備する工程において、前記第1面および前記溝部の内面に第1導電部材が形成された前記支持基板を準備する、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記露出する工程の後、前記一部が除去されて形成された前記支持基板の前記第1面の反対側の第3面に、前記第1導電部材と電気的に接続するように、第2導電部材を形成する工程を、さらに備える、請求項7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂部材を充填する工程において、前記支持基板と前記波長変換部材との間に、前記波長変換部材の厚さよりも薄い前記樹脂部材を形成する、請求項1~8のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有する半導体部と、
前記第1面上に配置される第1電極部と、
前記第1面上に前記第1電極部と離隔して配置される第2電極部と、
平面視において、前記第1電極部に一部が重なるように接続される導電性の第1支持基板と、
平面視において、前記第2電極部に一部が重なるように接続される導電性の第2支持基板と、
前記第2面上に配置される波長変換部材と、
前記波長変換部材と、前記第1支持基板との間、前記波長変換部材と前記第2支持基板との間、および前記第1支持基板と、前記第2支持基板との間に配置される光反射性の樹脂部材と、
を備える発光装置。
【請求項11】
前記波長変換部材の厚さは、前記波長変換部材と前記第1支持基板との間に配置される前記樹脂部材の厚さより厚い、請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記第1支持基板、および前記第2支持基板の厚さは、前記波長変換部材と前記第1支持基板との間に配置される前記樹脂部材の厚さより厚い、請求項10に記載の発光装置。
【請求項13】
前記第1電極部、および前記第2電極部の前記半導体部側と反対側に電気的に接続されるツェナーダイオードをさらに備え、
前記ツェナーダイオードは、前記第1支持基板と、前記第2支持基板との間の前記樹脂部材内に配置される、請求項10に記載の発光装置。
【請求項14】
平面視において、前記樹脂部材、前記第1支持基板、および前記第2支持基板は、前記波長変換部材の外形よりも内側に配置される、請求項10~13のいずれか1つに記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光装置の製造方法、及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、LED素子の側面と、底面のうちバンプ電極の配置されていない部分とを覆う封止部材の底面に、LED素子のバンプ電極に接続された電極を設けたLED装置、および、その製造方法が開示されている。また、LED装置には、LED素子の上面と、封止部材の上面とを覆う蛍光体層が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、歩留まりを向上させることができる発光装置の製造方法、及び発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法は、半導体部が配置された基板を準備する工程と、第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有し、前記第1面に溝部が形成された導電性の支持基板を準備する工程と、平面視において、前記半導体部が前記溝部を跨ぐように前記半導体部を前記第1面上に配置し、前記半導体部と、前記支持基板とを電気的に接続する工程と、前記半導体部から前記基板を除去する工程と、前記基板を除去した前記半導体部に波長変換部材を接合する工程と、前記溝部内と、前記支持基板と前記波長変換部材との間とに光反射性の樹脂部材を充填する工程と、前記第2面側から前記支持基板の一部を除去し、前記溝部内に充填された樹脂部材を前記支持基板から露出する工程と、を備える。
【0006】
本発明の一実施形態に係る発光装置は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有する半導体部と、前記第1面上に配置される第1電極部と、前記第1面上に前記第1電極部と離隔して配置される第2電極部と、平面視において、前記第1電極部に一部が重なるように接続される導電性の第1支持基板と、平面視において、前記第2電極部に一部が重なるように接続される導電性の第2支持基板と、前記第2面上に配置される波長変換部材と、前記波長変換部材と、前記第1電極部との間、前記波長変換部材と前記第2電極部との間、および前記第1支持基板と、前記第2支持基板との間に配置される光反射性の樹脂部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、歩留まりを向上させることができる発光装置の製造方法、及び発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る発光装置の一例を示す模式断面図である。
【
図2】実施形態に係る発光装置の一例を示す模式上面図である。
【
図3】実施形態に係る発光装置の一例を示す模式下面図である。
【
図4】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。
【
図6】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための模式平面図である。
【
図7】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。
【
図8】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための模式平面図である。
【
図9】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。
【
図10】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。
【
図11】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための模式平面図である。
【
図12】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。
【
図13】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための模式平面図である。
【
図14】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。
【
図15】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。
【
図16】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。
【
図17】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。
【
図18】実施形態に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
図1は、発光装置100の一例を示す模式断面図であり、
図2は、発光装置100の一例を示す模式上面図であり、
図3は、発光装置100の一例を示す模式下面図である。以下では、
図1における発光装置100の左右方向をX軸方向、上下方向をZ軸方向、X軸方向、及びZ軸方向に直交する方向をY軸方向として方向を説明する場合がある。
【0011】
図1に示すように、半導体部10は、第1面10Faと、この第1面10Faと反対側の第2面10Fbを有する。本実施形態では、第1面10Faは、下面であり、第2面10Fbは、上面である。第1面10Fa、第2面10Fbは、それぞれ、X-Y平面とほぼ平行である。
【0012】
半導体部10の第1面10Fa上には、第1電極部11aと、第2電極部11bと、が配置される。第1電極部11aと、第2電極部11bと、は、X軸方向において、離隔して配置される。第1電極部11a、第2電極部11bは、導電性の材料で形成される。例えば、導電性の材料は、金(Au)、銅(Cu)等である。
【0013】
半導体部10の第2面10Fb上には、波長変換部材12が配置される。波長変換部材12は、例えば、蛍光体を含む透光性の樹脂部材である。波長変換部材12は、半導体部10からの光の一部を吸収し、半導体部10からの光のピーク波長とは異なるピーク波長を発光する。波長変換部材12と、半導体部10の第2面10Fbと、は、例えば、接合部材13により、接合される。接合部材13は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。波長変換部材12の形状は、
図2に示すように、平面視において、矩形状である。波長変換部材12を矩形状とする場合、一辺の長さを、例えば、50μm以上1500μm以下とすることできる。波長変換部材12の下側に配置される発光装置100の各要素の外形の大きさは、平面視において、波長変換部材12の外形の大きさ以下である。例えば、発光装置100の要素である樹脂部材16、第1支持基板20a、および第2支持基板20bは、平面視において、波長変換部材12の外形よりも内側に配置される。断面視において、波長変換部材12の側面、樹脂部材16の側面、および第1支持基板20aの側面は略同一平面上に位置している。同様に、断面視において、波長変換部材12の側面、樹脂部材16の側面、および第2支持基板20bの側面は略同一平面上に位置している。
【0014】
第1電極部11aの下面には導電部14aが配置される。第2電極部11bの下面には導電部14bが配置される。導電部14a,14bは、後述するツェナーダイオード15と、第1電極部11a及び第2電極部11bと、を電気的に接続するための部材である。第1電極部11a、第2電極部11b、導電部14a,14bの材料は、導電性の金属であればよい。導電性の材料は、例えば、金(Au)、銅(Cu)等である。
【0015】
平面視において、第1電極部11aと一部が重なるように第1支持基板20aが接続される。また、平面視において、第2電極部11bと一部が重なるように第2支持基板20bが接続される。第1支持基板20a、及び第2支持基板20bの材料は、導電性の材料を用いる。本実施形態では、例えば、シリコン(Si)等を用いる。第1支持基板20a、及び第2支持基板20bの材料は、金属であってもよい。本実施形態において、第1支持基板20aの上面、下面、及び第2支持基板20bに対向する側面は、それぞれ、導電性の材料で覆われている。第2支持基板20bの上面、下面、及び第1支持基板20aに対向する側面は、それぞれ、導電性の材料で覆われている。
【0016】
第1支持基板20aには、第1導電部21a、及び第2導電部22aが配置される。第1導電部21aは、第1支持基板20aの上面と、第2支持基板20b側の側面とに配置される。第2導電部22aは、第1支持基板20aの下面に配置される。第2支持基板20bには、第1導電部21b、及び第2導電部22bが配置される。第1導電部21bは、第2支持基板20bの上面と、第1支持基板20a側の側面とに配置される。第2導電性部材22bは、第2支持基板20bの下面に配置される。第2導電部材22a,22bの端部は、それぞれ、第1導電部21a,21bの端部と電気的に接続する。
図3に示すように、第2導電部材22a,22b間に後述する樹脂部材16が配置される。
【0017】
第1導電部21aの一部は、平面視において、第1電極部11aと重なって配置される。第1導電部21aの一部は、X軸方向において、後述するツェナーダイオード15と第1支持基板20aとの間に配置される。第1電部材21bの一部は、平面視において、第2電極部11bと重なって配置される。第1導電部21bの一部は、X軸方向において、後述するツェナーダイオード15と第2支持基板20bとの間に配置される。X軸方向において、第1導電部21aと、第1導電部21bと、の間の幅W1は、例えば、100μm以上600μm以下である。
【0018】
発光装置100は、第1電極部11a、および第2電極部11bの半導体部10側と反対側に電気的に接続されるツェナーダイオード15をさらに備える。ツェナーダイオード15を配置することにより、発光装置100は、安定した電圧を半導体部10に供給することが可能になる。ツェナーダイオード15は、X軸方向において、第1支持基板20aと、第2支持基板20bと、の間の樹脂部材16内に配置される。第1電極部11aと、ツェナーダイオード15と、は、例えば、導電部14aにより電気的に接続される。第2電極部11bと、ツェナーダイオード15と、は、導電部14bにより電気的に接続される。
【0019】
X軸方向におけるツェナーダイオード15の幅W2は、第1導電部21aと、第1導電部21bと、間の幅W1よりも小さい。幅W2は、例えば、50μm以上550μm以下である。Z軸方向において、ツェナーダイオード15の下面の位置は、第1支持基板20a、第2支持基板20bの下面の位置よりも半導体部10側に位置する。
【0020】
樹脂部材16は、波長変換部材12と、第1支持基板20aと、の間、波長変換部材12と、第2支持基板20bと、の間、および第1支持基板20aと、第2支持基板20bと、の間に配置される。樹脂部材16は、さらに、ツェナーダイオード15の周囲と、半導体部10と、ツェナーダイオード15と、の間とに配置される。樹脂部材16は、例えば、光反射性の樹脂である。樹脂には、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。樹脂部材16には、光散乱材として、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム等を含有させてよい。半導体部10からの樹脂部材16に向かう光、及び波長変換部材12からの樹脂部材16に向かう光は、樹脂部材16により波長変換部材12の上面側に反射される。
【0021】
Z軸方向における波長変換部材12の厚さd1は、波長変換部材12と、第1支持基板20aと、の間に、配置される樹脂部材16のZ軸方向における厚さd2より厚い。すなわち、厚さd1>厚さd2である。なお、波長変換部材12と、第2支持基板20bと、の間に、配置される樹脂部材16のZ軸方向における厚さも同様に、厚さd2である。厚さd1は、例えば、50μm以上300μm以下である。厚さd2は、例えば、5μm以上15μm以下である。また、Z軸方向における第1導電部21a,21bの厚さd3は、厚さd2よりも薄い。Z軸方向における第2導電部22a,22bの厚さd4は、厚さd2より薄い。すなわち、厚さd3、d4<厚さd2である。第1導電部21a,21bの厚さd3と、第2導電部22a,22bの厚さd4は、ほぼ同じでもよい。厚さd3は、例えば、0.5μm以上5μm以下である。厚さd4は、例えば、0.5μm以上5μm以下である。Z軸方向における第1支持基板20a、及び第2支持基板20bの厚さd5は、厚さd3及び厚さd4よりも厚い。すなわち、厚さd5>厚さd3、厚さd4である。Z軸方向における第1支持基板20a、及び第2支持基板20bの厚さd5は、波長変換部材12と、第1支持基板20aと、の間に配置される樹脂部材16の厚さd2より厚い。厚さd5は、例えば、200μm以上400μm以下である。Z軸方向において、第1導電部21a、第1支持基板20a、及び第2導電部22aを加えた厚さd6は、例えば、200μm以上400μm以下である。なお、Z軸方向において、第2導電部21b、第2支持基板20b、及び第2導電部22bを加えた厚さも同様に、厚さd6である。
【0022】
【0023】
図4、
図5、及び
図6に示すように、基板30を準備する(ST210)。基板30は、Z軸方向で下面になる第1面30Faと、上面になる第2面30Fbと、を有する。基板30の第1面30Faには、複数の半導体部10が配置されている。基板30の第1面30Faにおいて、複数の半導体部10は分離して配置されている。基板30は、例えば、半導体部10を成長させるために用いる成長基板である。基板30は、例えば、サファイア基板である。基板30は、平面視において、円形状である。基板30の第1面30Faに、複数の半導体部10を、例えば、
図6に示すように、平面視において、行列状に配置する。各半導体部10の基板30側の面と反対側の面には、第1電極部11aと、第2電極部11bと、が配置される。第1電極部11aと、第2電極部11bと、はX軸方向に離隔して配置される。ツェナーダイオード15は、半導体部10毎に配置される。第1電極部11aが導電部14aを介して、また、第2電極部11bが導電部14bを介してツェナーダイオード15と電気的に接続している。ツェナーダイオード15は、例えば、フリップチップ実装により半導体部10に配置される。
【0024】
図4、
図7、及び
図8に示すように、支持基板20を準備する(ST220)。支持基板20は、第1面20Fbと、第1面20Fbと反対側の第2面20Faとを有し、第1面20Fbに複数の溝部Mが形成された導電性の基板である。支持基板20は、平面視において、円形状である。支持基板20は、例えば、シリコンを材料とする。支持基板20は、例えば、複数の溝部Mが形成される。溝部Mは、例えば、ブレード、エッチング等により形成することができる。複数の溝部Mは、それぞれ一定の間隔をあけて第1方向、本実施形態では、Y軸方向に沿って形成される。溝部Mと、支持基板20と波長変換部材12との間の空間は接続されている。
図8において、溝部Mは支持基板20の外縁に達していないが、溝部Mは支持基板20の外縁に達するように形成してもよい。溝部MのZ軸方向における深さd7は、例えば、支持基板20のZ軸方向における厚さd5の半分程度である。深さd7は、例えば、200μm以上500μm以下である。X軸方向において、溝部Mの幅W1は、ツェナーダイオード15の幅W2よりも大きい。基板30と、支持基板20と、を接合する場合に、複数の溝部Mは、各溝部Mに各半導体部10に設けられたツェナーダイオード15が収容可能となる間隔で配置される。支持基板20の第1面20Fb、及び溝部Mの内面には、第1導電部材21が形成される。第1導電部材21は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等で形成することできる。第1導電部材21の材料は、例えば、金である。第1導電部材21を形成する前に、バッファードフッ酸(BHF)等により、第1面20Fbに形成された酸化膜を除去してもよい。
【0025】
図4、及び
図9に示すように、複数の半導体部10と、支持基板20と、を電気的に接続する(ST230)。具体的には、平面視において、半導体部10が溝部Mを跨ぐように、半導体部10を支持基板20の第1面20Fb上に配置し、基板30に配置される複数の半導体部10と、支持基板20と、を電気的に接続する。より詳細には、支持基板20の第1面20Fbに形成された第1導電部材21と、各半導体部10の第1電極部11a、第2電極部11bと、がそれぞれ接合されることにより、複数の半導体部10と、支持基板20と、が電気的に接続される。Y軸方向に並ぶ複数の半導体部10それぞれに配置されたツェナーダイオード15が、1つの溝部M内に配置されるように、複数の半導体部10と、支持基板20とが接続される。
【0026】
図4、
図10及び
図11に示すように、基板30を除去する(ST240)。基板30が複数の半導体部10から除去され、複数の半導体部10の上面が露出した状態になる。
【0027】
図4、
図12及び
図13に示すように、波長変換部材12を接合する(ST250)。基板30を除去した複数の半導体部10上に波長変換部材12を接合する。波長変換部材12は、平面視において、円形状である。波長変換部材12の外形は、支持基板20の外形よりも小さいが、少なくとも複数の半導体部10の上面の全てを覆う外形である。波長変換部材12は、例えば、接合部材13により複数の半導体部10の上面に接合される。
【0028】
図4、及び
図14に示すように、樹脂部材16を充填する(ST260)。溝部M内と、支持基板20と、波長変換部材12と、の間とに、樹脂部材16を充填する。樹脂部材16は、平面視において、例えば、支持基板20と、波長変換部材12と、の間、及び溝部Mから充填される。これにより、複数の溝部Mに樹脂部材16が充填されると共に、複数の溝部Mを通過して、支持基板20と、波長変換部材12と、の間にも樹脂部材16が充填される。支持基板20と、波長変換部材12と、の間に、波長変換部材12の厚さd1より薄い厚さd2の樹脂部材16が形成される。
【0029】
図4、及び
図15に示すように、樹脂部材16を支持基板20から露出する(ST270)。より詳細には、第2面20Fa側から支持基板20の一部を除去し、溝部M内に充填された樹脂部材16を支持基板20から露出する。例えば、支持基板20の第2面20Fa側から支持基板20を溝部Mに充填された樹脂部材16が露出するまで研削する。このように支持基板20の一部が除去されて形成された支持基板20の第1面20Fbの反対側面を第3面20Fcとする。
【0030】
図4、及び
図16に示すように、第2導電部材22を形成する(ST280)。支持基板20の第3面20Fcに、少なくとも第1導電部材21の端部と電気的に接続するように、第2導電部材22を形成する。例えば、第2導電部材22は、支持基板20の第3面20Fcに形成され、樹脂部材16には形成されないようにする。なお、第2導電部材22を形成する前に、バッファードフッ酸(BHF)等により、第3面20Fcに形成された酸化膜を除去してもよい。
【0031】
図4、
図17及び
図18に示すように、複数の発光装置100に分割する(ST290)。より詳細には、平面視において、半導体部10間に位置する、波長変換部材12、樹脂部材16、支持基板20、第1導電部材21、および第2導電部材22を除去し、複数の発光装置100に分割する。例えば、半導体部10間の幅W3を、
図18の実線に示すように、X軸方向、及びY軸方向にダイシングすることにより、幅W3に相当する波長変換部材12、樹脂部材16、支持基板20、第1導電部材21、および第2導電部材22を除去して、複数の発光装置100に分割する。これにより、支持基板20から第1支持基板20a、第2支持基板20bが形成され、第1導電部材21から第1導電部21a,21bが形成され、第2導電部材22から第2導電部22a,22bが形成される。また、平面視における樹脂部材16、および支持基板20等の各要素の外形の大きさは、波長変換部材12の外形の大きさ以下となるように分割される。このように、
図1に示す発光装置100が製造される。
【0032】
以上のように、発光装置100の製造方法によると、波長変換部材12を複数の半導体部10上に接合した状態で、樹脂部材16の充填を行い、支持基板20と波長変換部材12との間に樹脂部材16を配置することができる。このため、複数の半導体部10をダイシングにより分割して樹脂部材16を形成した後、波長変換部材12をそれぞれ半導体部10に接合する場合と比較して、製造工程を少なくできる。したがって、製造工程が増えることによる歩留まりの悪化を低減し、発光装置100の歩留まりを向上させることができる。
【0033】
また、
図16に示すように、波長変換部材12、樹脂部材16、第1導電部材21、支持基板20、及び第2導電部材22がZ軸方向に積層された状態で、幅W3の部分をダイシングにより除去する。この場合、波長変換部材12の厚さは、厚さd1であり、第1導電部21a、支持基板20、及び第2導電部材22の厚さは、厚さd6である。一方、樹脂部材16の厚さは、厚さd2である。厚さd2は、厚さd1、厚さd6よりも薄い。厚さd2は、例えば、厚さd1または厚さd6の5%以上10%以下の厚さである。このため、樹脂部材16が弾性を有していても、ダイシングの際に弾性による影響を低減することができ、幅W3の部分を効率良く除去することが可能になる。したがって、発光装置100の歩留まりを向上させることができる。
【0034】
さらに、本実施形態では、複数の半導体部10から基板30を除去した後、複数の半導体部10の上面に接合部材13により波長変換部材12を接合しており、支持基板20と、波長変換部材12と、の間の厚さが厚さd2になっている。厚さd2は、溝部Mの深さd7によりも狭い。したがって、例えば、支持基板20と、波長変換部材12と、の間、及び複数の溝部Mの両端部から樹脂部材16を充填する場合、いわゆる毛細管現象により、溝部Mから支持基板20と、波長変換部材12と、の間の空間に樹脂部材16が充填される。このように、複数の半導体部10をダイシングにより分割して樹脂部材を形成した後、支持基板20と、波長変換部材12と、の間に樹脂部材16を形成する場合と比較して、樹脂部材16を支持基板20と、波長変換部材12との間に樹脂部材16が配置された発光装置100を効率良く製造することができる。
【0035】
また、発光装置100によると、波長変換部材12の下側に配置される発光装置100の各要素の外形の大きさは、平面視において、波長変換部材12の外形の大きさ以下である。このため、複数の発光装置100を並べて配置する場合に、隣り合う発光装置100の波長変換部材12間の距離を短くすることができる。
【0036】
さらに、発光装置100は、第1支持基板20aが第1導電部21a及び第2導電部22aで覆われ、第2支持基板20bが第1導電部21b及び第2導電部22bで覆われている。このため、半導体部10は、これらの導電部21a,21b,22a,22bを通じて、それぞれZ軸方向の通電が可能になっている。このため、第1支持基板20a,第2支持基板20bのみでZ軸方向の通電を行う発光装置と比較して、発光装置100は、Z軸方向における導電性を向上させることができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、第1導電部21a、第2導電部21b、及び第1導電部21b、第2導電部22bにより、Z軸方向の導電性を向上させる構成を説明しているが、これに限るものではない。例えば、第1支持基板20a,第2支持基板20bは、導電性の材料で構成されているため、第1導電部21a、第2導電部22a、及び第1導電部21b、第2導電部22bを有していない発光装置においても、Z軸方向の導電性を確保することが可能である。また、上記実施形態では、基板30上に複数の半導体部10が配置されている構成を説明したが、基板30上に1つの半導体部10が配置されている構成としてもよい。
【0038】
実施形態は、以下の態様を含む。
【0039】
(付記1)
半導体部が配置された基板を準備する工程と、
第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有し、前記第1面に溝部が形成された導電性の支持基板を準備する工程と、
平面視において、前記半導体部が前記溝部を跨ぐように前記半導体部を前記第1面上に配置し、前記半導体部と、前記支持基板とを電気的に接続する工程と、
前記半導体部から前記基板を除去する工程と、
前記基板を除去した前記半導体部に波長変換部材を接合する工程と、
前記溝部内と、前記支持基板と前記波長変換部材との間とに光反射性の樹脂部材を充填する工程と、
前記第2面側から前記支持基板の一部を除去し、前記溝部内に充填された樹脂部材を前記支持基板から露出する工程と、
を備える発光装置の製造方法。
【0040】
(付記2)
前記基板上には、複数の前記半導体部が配置され、
前記支持基板から露出する工程の後、平面視において、前記複数の半導体部間に位置する、前記波長変換部材、前記樹脂部材、および前記支持基板を除去し、複数の発光装置に分割する工程をさらに備える、付記1に記載の発光装置の製造方法。
【0041】
(付記3)
前記基板上には、複数の前記半導体部が配置され、
前記複数の半導体部のそれぞれには、第1電極部、および前記第1電極部と離隔して配置される第2電極部が設けられ、
さらに前記第1電極部、および前記第2電極部のそれぞれに電気的に接続されるツェナーダイオードが前記半導体部毎に設けられ、
前記接続する工程において、前記ツェナーダイオードは、前記溝部内に配置される、付記1又は2に記載の発光装置の製造方法。
【0042】
(付記4)
支持基板を準備する工程において、第1方向に沿った複数の前記溝部が形成された前記支持基板を準備し、
前記接続する工程において、前記複数の半導体部それぞれに設けられた前記ツェナーダイオードが、1つの前記溝部内に配置されるように、前記複数の半導体部と、前記支持基板とが接続される、付記3に記載の発光装置の製造方法。
【0043】
(付記5)
前記溝部と、前記支持基板と前記波長変換部材との間の空間は接続されており、
前記樹脂部材を充填する工程において、前記樹脂部材は、前記支持基板と、前記波長変換部材との間に加え、前記溝部を通過して充填される、付記1~4のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0044】
(付記6)
前記分割する工程において、平面視における前記樹脂部材、および前記支持基板の外形の大きさは、前記波長変換部材の外形の大きさ以下となるように分割される、付記1~5のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0045】
(付記7)
前記支持基板を準備する工程において、前記第1面および前記溝部の内面に第1導電部材が形成された前記支持基板を準備する、付記1~6のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0046】
(付記8)
前記露出する工程の後、前記一部が除去されて形成された前記支持基板の前記第1面の反対側の第3面に、前記第1導電部材と電気的に接続するように、第2導電部材を形成する工程を、さらに備える、付記7に記載の発光装置の製造方法。
【0047】
(付記9)
前記樹脂部材を充填する工程において、前記支持基板と前記波長変換部材との間に、前記波長変換部材の厚さよりも薄い前記樹脂部材を形成する、付記1~8のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【0048】
(付記10)
第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有する半導体部と、
前記第1面上に配置される第1電極部と、
前記第1面上に前記第1電極部と離隔して配置される第2電極部と、
平面視において、前記第1電極部に一部が重なるように接続される導電性の第1支持基板と、
平面視において、前記第2電極部に一部が重なるように接続される導電性の第2支持基板と、
前記第2面上に配置される波長変換部材と、
前記波長変換部材と、前記第1支持基板との間、前記波長変換部材と前記第2支持基板との間、および前記第1支持基板と、前記第2支持基板との間に配置される光反射性の樹脂部材と、
を備える発光装置。
【0049】
(付記11)
前記波長変換部材の厚さは、前記波長変換部材と前記第1支持基板との間に配置される前記樹脂部材の厚さより厚い、付記10に記載の発光装置。
【0050】
(付記12)
前記第1支持基板、および前記第2支持基板の厚さは、前記波長変換部材と前記第1支持基板との間に配置される前記樹脂部材の厚さより厚い、付記10または11に記載の発光装置。
【0051】
(付記13)
前記第1電極部、および前記第2電極部の前記半導体部側と反対側に電気的に接続されるツェナーダイオードをさらに備え、
前記ツェナーダイオードは、前記第1支持基板と、前記第2支持基板との間の前記樹脂部材内に配置される、付記10~12のいずれか1つに記載の発光装置。
【0052】
(付記14)
平面視において、前記樹脂部材、前記第1支持基板、および前記第2支持基板は、前記波長変換部材の外形よりも内側に配置される、付記10~13のいずれか1つに記載の発光装置。
【符号の説明】
【0053】
10…半導体部、11a…第1電極部、12a…第2電極部、12…波長変換部材、13…接合部材、14a,14b…導電部、15…ツェナーダイオード、16…樹脂部材、20…支持基板、20a…第1支持基板、20b…第2支持基板、21…第1導電部材、21a,21b…第1導電部、22…第2導電部材、22a,22b…第2導電部、30…基板、100…発光装置、d1,d2,d3,d4,d5…厚さ、M…溝部、W1,W2,W3…幅