(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183283
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法、情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16C 20/40 20190101AFI20231220BHJP
G06F 30/27 20200101ALI20231220BHJP
C08G 59/18 20060101ALI20231220BHJP
G16C 20/70 20190101ALI20231220BHJP
【FI】
G16C20/40
G06F30/27
C08G59/18
G16C20/70
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096816
(22)【出願日】2022-06-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141601
【弁理士】
【氏名又は名称】貴志 浩充
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 大和
(72)【発明者】
【氏名】西山 侑太郎
(72)【発明者】
【氏名】今田 知之
【テーマコード(参考)】
4J036
5B146
【Fターム(参考)】
4J036AA01
4J036BA02
4J036DC02
4J036JA01
4J036JA06
4J036JA11
5B146AA10
5B146DC01
5B146DC03
5B146DL08
(57)【要約】
【課題】熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索技術を改善する。
【解決手段】情報処理装置が実行する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法であって、熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る実績データを用いて、複数の目的変数に各々対応した複数の予測モデルを訓練するステップと、前記複数の予測モデルを用いた逆解析により、所望の物性バランスを有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索するステップと、を含み、前記実績データは、熱硬化性エポキシ樹脂に係るポリマー組成と、構造式と、エポキシ当量と、配合条件とを含み、前記目的変数は、曲げ弾性率と、曲げ歪みと、曲げ強度と、ガラス転移温度とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が実行する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法であって、
熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る実績データを用いて、複数の目的変数に各々対応した複数の予測モデルを訓練するステップと、
前記複数の予測モデルを用いた逆解析により、所望の物性バランスを有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索するステップと、
を含み、
前記実績データは、熱硬化性エポキシ樹脂に係るポリマー組成と、構造式と、エポキシ当量と、配合条件とを含み、
前記目的変数は、曲げ弾性率と、曲げ歪みと、曲げ強度と、ガラス転移温度とを含む、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法。
【請求項2】
請求項1に記載の探索方法であって、
前記複数の予測モデルを訓練するステップにおいて、前記実績データに基づき特徴量を算出し、該特徴量を前記複数の予測モデルの説明変数として用いる、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法。
【請求項3】
前記特徴量は、分子指紋又は分子記述子の少なくとも一方を含む、請求項2に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法。
【請求項4】
請求項3に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法であって、
前記特徴量はさらに、熱硬化性エポキシ樹脂に係る酸素原子間距離を含む、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法であって、
前記実績データは所定用途で使用される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の実績データと、前記所定用途以外で使用される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の実績データとを含み、
前記複数の予測モデルを訓練するステップにおいて、
前記所定用途以外で使用される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の実績データを用いて前記複数の予測モデルを訓練した後に、前記所定用途で使用される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の実績データを用いて前記複数の予測モデルを再学習させる、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法。
【請求項6】
制御部を備える熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索をする情報処理装置であって、
前記制御部は、
熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る実績データを用いて、複数の目的変数に各々対応した複数の予測モデルを訓練し、
前記複数の予測モデルを用いた逆解析により、所望の物性バランスを有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索し、
前記実績データは、熱硬化性エポキシ樹脂に係るポリマー組成と、構造式と、エポキシ当量と、配合条件とを含み、
前記目的変数は、曲げ弾性率と、曲げ歪みと、曲げ強度と、ガラス転移温度とを含む、情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る実績データを用いて、複数の目的変数に各々対応した複数の予測モデルを訓練することと、
前記複数の予測モデルを用いた逆解析により、所望の物性バランスを有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索することと、を実行させ、
前記実績データは、熱硬化性エポキシ樹脂に係るポリマー組成と、構造式と、エポキシ当量と、配合条件とを含み、
前記目的変数は、曲げ弾性率と、曲げ歪みと、曲げ強度と、ガラス転移温度とを含む、熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、炭素繊維に、熱硬化性エポキシ樹脂等を含む組成物(以下、熱硬化性エポキシ樹脂組成物ともいう。)を含浸して加熱硬化させることで製造される炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic、以下、CFRPともいう。)等の複合材料が知られている。CFRPは母材をプラスチック、強化繊維を炭素繊維とした繊維強化複合材料である。CFRPは一般の構造用金属材料に比べて軽量で、また比強度及び比剛性に優れ、電気的特性及び耐腐食性においても優れた特性を有する高性能な材料である。そのため近年では、CFRPが、金属材料にとって代わる材料として航空宇宙構造物、自動車、二輪車、船艇等の構造用部材、大型の産業用機械部品、スポーツ用品等、広範囲の用途で使用されている。かかるCFRP等の複合材料の原料として用いられる熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、複合材料の用途に応じた強度、耐熱性等の特性が要求される。しかしながら、熱硬化性エポキシ樹脂組成物のこれらの特性の一部は相反することがあり、必要な特性をバランス良く有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索することは必ずしも容易ではない。また、CFRP等の複合材料の原料として用いられる熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、従来は特定の限られたものしか用いられておらず、新規の熱硬化性エポキシ樹脂の探索が望まれている。
【0003】
他方、物質モデルをモデリングして当該物質モデルを機械学習により学習した後、学習された物質モデルを用いて、目標物性情報から新規物質の構造を探索する技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の物質の探索技術は一般的な物質モデルを対象としたものであるところ、熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索することについては従来技術では特段考慮されていなかった。
【0006】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法は、
情報処理装置が実行する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法であって、
熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る実績データを用いて、複数の目的変数に各々対応した複数の予測モデルを訓練するステップと、
前記複数の予測モデルを用いた逆解析により、所望の物性バランスを有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索するステップと、
を含み、
前記実績データは、熱硬化性エポキシ樹脂に係るポリマー組成と、構造式と、エポキシ当量と、配合条件とを含み、
前記目的変数は、曲げ弾性率と、曲げ歪みと、曲げ強度と、ガラス転移温度とを含む。
【0008】
また本開示の一実施形態に係る探索方法は、
前記複数の予測モデルを訓練するステップにおいて、前記実績データに基づき特徴量を算出し、該特徴量を前記複数の予測モデルの説明変数として用いる。
【0009】
また本開示の一実施形態に係る探索方法において、
前記特徴量は、分子指紋又は分子記述子の少なくとも一方を含む。
【0010】
また本開示の一実施形態に係る探索方法において、
前記特徴量はさらに、熱硬化性エポキシ樹脂に係る酸素原子間距離を含む。
【0011】
また本開示の一実施形態に係る探索方法は、
前記実績データは所定用途で使用される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の実績データと、前記所定用途以外で使用される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の実績データとを含み、
前記複数の予測モデルを訓練するステップにおいて、
前記所定用途以外で使用される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の実績データを用いて前記複数の予測モデルを訓練した後に、前記所定用途で使用される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の実績データを用いて前記複数の予測モデルを再学習させる。
【0012】
また本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、
制御部を備える熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索をする情報処理装置であって、
前記制御部は、
熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る実績データを用いて、複数の目的変数に各々対応した複数の予測モデルを訓練し、
前記複数の予測モデルを用いた逆解析により、所望の物性バランスを有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索し、
前記実績データは、熱硬化性エポキシ樹脂に係るポリマー組成と、構造式と、エポキシ当量と、配合条件とを含み、
前記目的変数は、曲げ弾性率と、曲げ歪みと、曲げ強度と、ガラス転移温度とを含む。
【0013】
また本開示の一実施形態に係るプログラムは、
コンピュータに、
熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る実績データを用いて、複数の目的変数に各々対応した複数の予測モデルを訓練することと、
前記複数の予測モデルを用いた逆解析により、所望の物性バランスを有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索することと、を実行させ、
前記実績データは、熱硬化性エポキシ樹脂に係るポリマー組成と、構造式と、エポキシ当量と、配合条件とを含み、
前記目的変数は、曲げ弾性率と、曲げ歪みと、曲げ強度と、ガラス転移温度とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一実施形態に係る熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法、情報処理装置、及びプログラムによれば、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索技術を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本開示の一実施形態に係る熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索をする情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索をする情報処理装置の学習処理の動作を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の一実施形態に係る熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索をする情報処理装置の探索処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態にかかる熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法ついて、図面を参照して説明する。
【0017】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0018】
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法の概要を説明する。
【0019】
まず、本実施形態の概要について説明する。本実施形態に係る熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法では
図1に示す実績データ100が用いられる。また本実施形態に係る熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索方法は
図2に示す情報処理装置10が実行する。情報処理装置10は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る実績データ100を用いて、複数の目的変数に各々対応した複数の予測モデル400を訓練する。
【0020】
実績データ100は、他用途の実績データ110と所定用途の実績データ120とを含む。所定用途の実績データ120は、例えば複合材材料用の熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る実績データである。すなわち実績データ120は、例えばCFRP用に用いられる熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る実績データを含む。他用途の実績データ110は、所定用途以外の用途(ここでは複合材材料用以外の用途)で用いられる熱硬化性エポキシ樹脂組成物の実績データである。他用途の実績データ110及び所定用途の実績データ120は、それぞれ熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係るポリマー組成、構造式、エポキシ当量、配合条件、試験片厚み、第1の物性~第Nの物性を含む。配合条件は、熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤(例えばアミン)との配合比率に係る条件である。試験片厚みは、物性測定における試験片の厚みであり、例えば2mmまたは4mmである。
【0021】
第1の物性から第Nの物性は、複数の目的変数に相当する。Nは正の整数である。情報処理装置10は、N個の目的変数に各々対応した第1予測モデル~第N予測モデルを訓練する。複数の目的変数は、相反する特性を含む。例えば複数の目的変数は、曲げ弾性率、曲げ強度、曲げ歪み、耐熱性を含む。この中で曲げ弾性率と曲げ歪みとは相反する。なお、耐熱性の一例はガラス転移温度(粘弾性測定装置による測定において、弾性率変化が最大となる温度)でありうる。本実施形態では、耐熱性の指標としてガラス転移温度を用いる例について説明する。
【0022】
まず情報処理装置10は、他用途の実績データ110により、予測モデル400の学習処理310を行う。情報処理装置10は、他用途の実績データ110から特徴量210を算出する。情報処理装置10は、当該特徴量210を説明変数、各物性を目的変数とする複数の予測モデル400を訓練する。具体的には情報処理装置10は、特徴量210を説明変数、第1の物性を目的変数とする第1予測モデルを訓練する。また情報処理装置10は、特徴量210を説明変数、第2の物性を目的変数とする第2予測モデルを訓練する。このように情報処理装置10は、特徴量210を説明変数、第Nの物性を目的変数とする第N予測モデルを訓練する。なお、第1予測モデル~第N予測モデルの学習処理に用いられる特徴量210は、各特徴量と目的変数の関係に応じて適宜選択され得る。換言すると第1予測モデル~第N予測モデルの学習に用いられる特徴量210の内訳は、それぞれ異なっていてもよい。
【0023】
次に情報処理装置10は、他用途の実績データ110により、予測モデル400の再学習処理320を行う。まず情報処理装置10は、他用途の実績データ110から特徴量220を算出する。情報処理装置10は、当該特徴量220を説明変数、各物性を目的変数として、各予測モデルの再学習処理を行う。具体的には情報処理装置10は、特徴量220を説明変数、第1の物性を目的変数として、第1予測モデルの再学習処理を行う。また情報処理装置10は、特徴量220を説明変数、第2の物性を目的変数として、第2予測モデルの再学習処理を行う。また情報処理装置10は、特徴量220を説明変数、第Nの物性を目的変数として、第N予測モデルの再学習処理を行う。なお、第1予測モデル~第N予測モデルの再学習処理に用いられる特徴量220は、各特徴量と目的変数の関係に応じて適宜選択され得る。換言すると第1予測モデル~第N予測モデルの学習に用いられる特徴量220の内訳は、それぞれ異なっていてもよい。このようにして学習された第1予測モデル~第N予測モデルを用いた逆解析により、情報処理装置10は、所望の物性バランスを有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索する。
【0024】
このように本実施形態によれば、熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る実績データに基づき複数の予測モデルを訓練する。そしてこれらの複数の予測モデルを用いた逆解析により、所望の物性バランスを有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索する。そのため、所望の特性バランスを有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索ができるという点で、探索技術が改善される。
【0025】
(情報処理装置の構成)
次に、情報処理装置10の各構成について詳細に説明する。情報処理装置10は、ユーザによって使用される任意の装置である。例えばパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、汎用の電子機器、又は専用の電子機器が、情報処理装置10として採用可能である。
【0026】
図2に示されるように、情報処理装置10は、制御部11と、記憶部12と、入力部13と、出力部14とを備える。
【0027】
制御部11には、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせが含まれる。プロセッサは、CPU(central processing unit)若しくはGPU(graphics processing unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(field-programmable gate array)又はASIC(application specific integrated circuit)である。制御部11は、情報処理装置10の各部を制御しながら、情報処理装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0028】
記憶部12には、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせが含まれる。半導体メモリは、例えば、RAM(random access memory)又はROM(read only memory)である。RAMは、例えば、SRAM(static random access memory)又はDRAM(dynamic random access memory)である。ROMは、例えば、EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)である。記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部12には、情報処理装置10の動作に用いられるデータと、情報処理装置10の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0029】
入力部13には、少なくとも1つの入力用インタフェースが含まれる。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーンである。また入力用インタフェースは、例えば、音声入力を受け付けるマイクロフォン、又はジェスチャー入力を受け付けるカメラ等であってもよい。入力部13は、情報処理装置10の動作に用いられるデータを入力する操作を受け付ける。入力部13は、情報処理装置10に備えられる代わりに、外部の入力機器として情報処理装置10に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、又はBluetooth(登録商標)などの任意の方式を用いることができる。
【0030】
出力部14には、少なくとも1つの出力用インタフェースが含まれる。出力用インタフェースは、例えば、情報を映像で出力するディスプレイ等である。ディスプレイは、例えば、LCD(liquid crystal display)又は有機EL(electro luminescence)ディスプレイである。出力部14は、情報処理装置10の動作によって得られるデータを表示出力する。出力部14は、情報処理装置10に備えられる代わりに、外部の出力機器として情報処理装置10に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの任意の方式を用いることができる。
【0031】
情報処理装置10の機能は、本実施形態に係るプログラムを、情報処理装置10に相当するプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、情報処理装置10の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、情報処理装置10の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを情報処理装置10として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従って情報処理装置10の動作を実行することにより情報処理装置10として機能する。
【0032】
本実施形態においてプログラムは、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読取り可能な記録媒体は、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体を含み、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記録したDVD(digital versatile disc)又はCD-ROM(compact disc read only memory)などの可搬型記録媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。またプログラムの流通は、プログラムを外部サーバのストレージに格納しておき、外部サーバから他のコンピュータにプログラムを送信することにより行ってもよい。またプログラムはプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0033】
情報処理装置10の一部又は全ての機能が、制御部11に相当する専用回路により実現されてもよい。すなわち、情報処理装置10の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0034】
本実施形態において記憶部12は、実績データ100、特徴量210、220、及び予測モデル400を記憶する。特徴量210、220は実績データ100に基づき算出される。なお本実施形態において、特徴量の算出は、種々の方法を取りうる。例えば特徴量210、220は、実績データ100のうち特徴的な少なくとも1つのデータに基づく計算処理により算出されてもよい。また特徴量210、220は、実績データ100から特徴的なデータを選択することにより決定されてもよい。換言すると本実施形態において、「実績データに基づき特徴量を算出する」ことは、実績データに基づき算出すること、及び実績データに基づき決定することの少なくともいずれかを含む。
【0035】
特徴量210は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の特徴を表す任意のデータを含んでよい。例えば特徴量210は、熱硬化性エポキシ樹脂に係るエポキシ当量と、配合条件とを含んでよい。また例えば特徴量210は、分子指紋又は分子記述子の少なくとも一方を含んでもよい。分子記述子は、SMILES表記の熱硬化性エポキシ樹脂の情報から、公知公用の分子記述子生成ライブラリであるRDKit、市販のソフトウェアであるalvaDesc等を用いることで得ることができる。かかる分子記述子は、0次元記述子としては、分子量、分子内の原子の数、結合数等が挙げられる。1次元記述子としては、分子内の官能基の数、脂環式構造の数、芳香環の数等が挙げられる。2次元記述子としては、Wiener index、Chi connectivity index、Balaban index、BCUT記述子等のグラフ理論にもとづき分子を表現したトポロジカル記述子等が挙げられる。3次元記述子としては、3D-MoRSE、WHIM、CoMFA, CoMSIA等の分子の3次元構造に基づいて算出されたもの等が挙げられる。4次元記述子としては、Hopfinger等の、相互作用を加味して算出されたもの等が挙げられるが、適宜選択して用いることが可能である。中でも、例えば、MaxPartialCharge、MinPartialCharge、MaxEStateIndex、MinEStateIndex、QED、MolMR、MolWt、ExactMolWt、HeavyAtomCount、HeavyAtomMolWt、NHOHCount、NOCount、NumHAcceptors、NumHDonors、NumHeteroatoms、NumRotatableBonds、NumValenceElectrons、NumAmideBonds、NumAromaticRings、NumSaturatedRings、NumAliphaticRings、NumAromaticHeterocycles、NumSaturatedHeterocycles、NumAliphaticHeterocycles、NumAromaticCarbocycles、NumSaturatedCarbocycles、NumAliphaticCarbocycles、RingCount、FractionCSP3、NumSpiroAtoms、NumBridgeheadAtoms、TPSA、LabuteASA、PEOE_VSA1~PEOE_VSA14、SMR_VSA1~SMR_VSA10、SlogP_VSA1~SlogP_VSA12、EState_VSA1~EState_VSA11、VSA_EState1~VSA_EState10、BCUT2D、BalabanJ、BertzCT、Ipc、HallKierAlpha、Kappa1 - Kappa3、Phi、Chi0, Chi1、Chi0n~Chi4n、Chi0v~Chi4vなどの使用が挙げられ、これ以外にも生成された記述子で有用なものは適宜使用できる。
【0036】
また特徴量210は、熱硬化性エポキシ樹脂に係る酸素原子間距離を含んでよい。熱硬化性エポキシ樹脂に係る酸素原子間距離とは、熱硬化性エポキシ樹脂中のグリシジル基と主骨格の結合を形成するエーテル部分の酸素間の距離である。かかる距離は、旧来の3次元分子構造モデルにより計測し、その平均値を用いることもできるし、分子描画ソフトウェアを用いて描画した3次元分子構造の安定状態における熱硬化性エポキシ樹脂における対象の酸素原子間の距離をコンピューター上で測定することにより決定することもできる。3次元分子構造の描画に使用されるソフトウェアとしては、Chem3D、Gaussianなどが挙げられる。安定状態における熱硬化性エポキシ樹脂の分子構造は、例えば熱硬化性エポキシ樹脂の構造式に基づく分子力学法、分子動力学法、半経験的分子軌道法、非経験的分子軌道法(ab initio法)、密度汎関数法、ab initio分子動力学法(古典分子動力学法、モンテカルロ法)などの公知公用の計算科学手法により得ることができる。
【0037】
特徴量220は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の特徴を表す任意のデータを含んでよい。例えば特徴量220は、熱硬化性エポキシ樹脂に係るエポキシ当量と、配合条件とを含んでよい。また例えば特徴量220は、分子指紋又は分子記述子の少なくとも一方を含んでもよい。かかる分子記述子は、例えばMaxPartialCharge、MinPartialCharge、MaxEStateIndex、MinEStateIndex、QED、MolMR、MolWt、ExactMolWt、HeavyAtomCount、HeavyAtomMolWt、NHOHCount、NOCount、NumHAcceptors、NumHDonors、NumHeteroatoms、NumRotatableBonds、NumValenceElectrons、NumAmideBonds、NumAromaticRings、NumSaturatedRings、NumAliphaticRings、NumAromaticHeterocycles、NumSaturatedHeterocycles、NumAliphaticHeterocycles、NumAromaticCarbocycles、NumSaturatedCarbocycles、NumAliphaticCarbocycles、RingCount、FractionCSP3、NumSpiroAtoms、NumBridgeheadAtoms、TPSA、LabuteASA、PEOE_VSA1~PEOE_VSA14、SMR_VSA1~SMR_VSA10、SlogP_VSA1~SlogP_VSA12、EState_VSA1~EState_VSA11、VSA_EState1~VSA_EState10、BCUT2D、BalabanJ、BertzCT、Ipc、HallKierAlpha、Kappa1 - Kappa3、Phi、Chi0, Chi1、Chi0n~Chi4n、Chi0v~Chi4vなどの使用が挙げられ、これ以外にも生成された記述子で有用なものは適宜使用できる。また特徴量220は、熱硬化性エポキシ樹脂に係る酸素原子間距離を含んでよい。
【0038】
なお実績データ100、特徴量210、220、及び予測モデル400は、情報処理装置10とは別の外部装置に記憶されていてもよい。その場合、情報処理装置10は、外部通信用インタフェースを備えていてもよい。通信用インタフェースは、有線通信又は無線通信のいずれのインタフェースであってよい。有線通信の場合、通信用インタフェースは例えばLANインタフェース、USBである。無線通信の場合、通信用インタフェースは例えば、LTE、4G、若しくは5Gなどの移動通信規格に対応したインタフェース、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信に対応したインタフェースである。通信用インタフェースは、情報処理装置10の動作に用いられるデータを受信し、また情報処理装置10の動作によって得られるデータを送信可能である。
【0039】
(情報処理装置の動作)
図3及び
図4を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10の動作について説明する。
図3は本実施形態に係る情報処理装置10が実行する学習処理及び再学習処理の一例を示すフローチャートである。
図4は本実施形態に係る情報処理装置10が実行する探索処理を示すフローチャートである。はじめに
図3を参照して、情報処理装置10が実行する学習処理及び再学習処理の一例を示す。
【0040】
ステップS101:情報処理装置10の制御部11は、他用途で使用される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の実績データ110を取得する。実績データ110の取得には、任意の手法が採用可能である。例えば制御部11は、ユーザからの実績データの入力を入力部13により受け付けることで、実績データ110を取得してもよい。また例えば制御部11は、実績データ110を記憶した外部装置から通信用インタフェースを介して、当該実績データ110を取得してもよい。
【0041】
ステップS102:制御部11は、入力された実績データ110に基づき特徴量210を算出する。具体的には制御部11は、実績データ110に含まれるポリマー組成、構造式、エポキシ当量、及び配合条件に基づき特徴量210を算出する。特徴量210の算出のために、制御部11は、適宜データベース、ライブラリ等を参照してもよい。この場合、かかるデータベース、ライブラリ等は、記憶部12に記憶されていてもよい。
【0042】
ステップS103:制御部11は、算出した特徴量210を説明変数、各物性を目的変数とする複数の予測モデル400(第1予測モデル~第N予測モデル)を訓練する。予測モデルは、例えばサポートベクターマシン、線形モデル、非線形モデル等の予測モデルであるがこれに限られない。例えば予測モデル400は、入力層、隠れ層、及び出力層からなる多層パーセプトロンに基づき訓練されるモデルであってもよい。あるいは予測モデル400は、Convolutional Neural Network(CNN)、Recurrent Neural Network(RNN)、その他のディープラーニング等の機械学習アルゴリズムに基づき訓練されるモデルであってもよい。
【0043】
ステップS104:制御部11は、本用途で使用される熱硬化性エポキシ樹脂組成物の実績データ120を取得する。実績データ120の取得には、任意の手法が採用可能である。例えば制御部11は、ユーザからの実績データの入力を入力部13により受け付けることで、実績データ120を取得してもよい。また例えば制御部11は、実績データ120を記憶した外部装置から通信用インタフェースを介して、当該実績データ120を取得してもよい。なお当該実績データ120は、実績データ110より少量であってよい。
【0044】
ステップS105:制御部11は、入力された実績データ120に基づき特徴量220を算出する。具体的には制御部11は、実績データ120に含まれるポリマー組成、構造式、エポキシ当量、及び配合条件に基づき特徴量220を算出する。特徴量210の算出のために、制御部11は、適宜データベース、ライブラリ等を参照してもよい。この場合、かかるデータベース、ライブラリ等は、記憶部12に記憶されていてもよい。
【0045】
ステップS106:制御部11は、算出した特徴量220を説明変数、各物性を目的変数として、ステップS103にて訓練した複数の予測モデル400(第1予測モデル~第N予測モデル)を再学習する。このようにして本実施形態にかかる予測モデル400が構築される。
【0046】
なお、上記の処理により構築された予測モデル400について、既知データに基づき精度検証を行ってもよい。検証の結果、精度が実用範囲内である場合には当該予測モデル400を用いた熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索処理を行うようにしてもよい。
【0047】
次に
図4を参照して、情報処理装置10が実行する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索処理の一例を示す。概略として情報処理装置10は、複数の予測モデル400を用いた逆解析により、所望の物性バランスを有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索する。
【0048】
ステップS201:情報処理装置10の制御部11は、所望の熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る物性(以下、目標特性という)を取得し、各予測モデル400(第1予測モデル~第N予測モデル)に入力する。例えば制御部11は、ユーザからの目標特性の入力を入力部13により受け付けることで、目標特性を取得する。
【0049】
ステップS202:制御部11は、ステップS201にて取得した目標特性を得られる熱硬化性エポキシ樹脂組成物の特徴量を各予測モデル400により予測する。
【0050】
ステップS203:制御部11は、ステップS202により得られた予測結果に対して、最適化処理を実行し、探索結果を出力部14により出力する。例えば制御部11は、探索結果として、所望の物性バランスを有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係るポリマー組成と、構造式と、エポキシ当量と、配合条件とを出力部14により出力する。あるいは制御部11は、探索結果として、所望の物性バランスを有する少なくとも1つの熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る特徴量を、出力部14により出力してもよい。
【0051】
ここで最適化処理と再急降下法、ベイズ最適化、ガウシアン過程最適化、その機構を利用したGPyOpt、Optuna、HyperOptなどのPythonライブラリ、遺伝的アルゴリズム等により、評価関数の最大化あるいは最小化を実施できるが、これらの手法に限定されるものではなく、最適化する対象に適した手法を一つ乃至は複数選択することができる。
【0052】
このように、本実施形態によれば、熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る実績データ100に基づき複数の予測モデル400を訓練する。そしてこれらの複数の予測モデル400を用いた逆解析により、所望の物性バランスを有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索することができる。例えば、所望の強度及び耐熱性を有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を容易に探索することができる。
【0053】
なお本実施形態による探索方法を用いずに、担当者の経験と勘に基づき熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索する方法も考えられる。この場合、既知の熱硬化性エポキシ樹脂組成物、未知の熱硬化性エポキシ樹脂組成物に係る予備実験を行って、実験結果に対して最小二乗法回帰計算を行い、担当者の経験と勘に基づき、所与の条件、物性の相関把握を行う。そして当該相関を把握した上で、探索候補に係るいくつかの熱硬化性エポキシ樹脂組成物の合成実験を実施する。当該実験の結果に対して、さらに最小二乗法回帰計算を行う。これらの繰り返しによって所望の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を探索することも可能である。しかしながらかかる方法は、担当者の経験と勘に依存するものであり、また予備実験及び実験には膨大な工数が必要であり、一般的に1つの最適組成探索を実施するために、数ヶ月程度の時間を必要とする。他方、本実施形態によれば、予測モデル400に基づき、情報処理装置10内で、所望の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を並列的に探索でき、また短時間で探索することができる。これにより開発工数を大幅に削減することができる。
【0054】
また本実施形態では、実績データ100が他用途の実績データ110と、所定用途の実績データ120とを含み、これらによりそれぞれ予測モデル400の学習処理及び再学習処理を行っている。このように学習処理では教師データを所定用途よりも広範囲としているため、外挿による精度の低下を防止することができる。また、再学習処理において、教師データを本用途に限定している。このようにすることで、所定用途の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の探索において、高精度の予測モデルを訓練することができる。なお、本実施の形態では学習処理と再学習処理をそれぞれ行ったが、精度が実用範囲内であれば、学習処理のみを行い、再学習処理を行わなくてもよい。なお再学習処理を行わない場合において、学習処理では、所定用途の実績データ又は他用途の実績データのいずれを用いてもよい。このようにすることで、予測モデルの訓練をより短時間で行うことができる。
【0055】
なお本実施形態において、上記所定用途は、複合材材料用である例を示したがこれに限られない。例えば所定用途は、電子材料、塗料、土木建築材料、接着剤、難燃剤、複合材料であってもよい。
【0056】
また本実施形態では、特徴量に分子指紋又は分子記述子の少なくとも一方を含んでもよい。分子指紋又は分子記述子は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の特徴を示すことができるため、当該特徴量を説明変数として用いることで、予測モデル400の精度を向上させることができる。
【0057】
また本実施形態では、特徴量に熱硬化性エポキシ樹脂に係る酸素原子間距離を含んでよい。酸素原子間距離は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の曲げ弾性率、曲げ歪み、曲げ強度及びガラス転移温度との相関性が高く、酸素原子間距離を説明変数として用いることで、予測モデル400の精度を向上させることができる。
【0058】
予測モデル400の学習において、酸素原子間距離を説明変数として用いなかった場合と、酸素原子間距離を説明変数として用いた場合の結果を表1及び表2に示す。ここで曲げ弾性率、ガラス転移温度、曲げ歪み、及び曲げ強度に係る学習モデルとして、いずれもeXtreme Gradient Boosting (XGBoost)を採用した。表1及び表2においてR2は決定係数であり1に近いほどモデルの精度が高いことを示す。また表1及び表2においてRMSEは予測誤差の二乗平均を集計した指標であり、0に近いほどモデルの性能が高いことを示す。
【0059】
【0060】
【0061】
表1及び表2に示されるように、酸素原子間距離を説明変数として用いた場合は、酸素原子間距離を説明変数として用いなかった場合よりも、学習モデルのR2及びRMSEが優れている。すなわち、酸素原子間距離を説明変数として用いることで、予測モデル400の精度を向上させることができる。これにより、全ての目的変数について、学習モデルのR2が0.50を上回り、所望物性バランスを有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物を設計することができる。
【0062】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 入力部
14 出力部
100 実績データ
110 他用途の実績データ
120 所定用途の実績データ
210、220 特徴量
310 学習処理
320 再学習処理
400 予測モデル