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特開2023-183314ウェーハの判定方法、判定プログラム、判定装置、ウェーハの製造方法及びウェーハ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183314
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ウェーハの判定方法、判定プログラム、判定装置、ウェーハの製造方法及びウェーハ
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20231220BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20231220BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231220BHJP
【FI】
G01N21/956 A
H01L21/66 J
H01L21/66 N
G06T7/00 350B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096858
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】谷川 満里奈
(72)【発明者】
【氏名】表 秀一
【テーマコード(参考)】
2G051
4M106
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB01
2G051AB02
2G051CA04
2G051EA14
2G051EA23
2G051EB10
2G051EC01
4M106AA01
4M106BA10
4M106BA20
4M106CA38
4M106CB19
4M106DB04
4M106DB30
4M106DH25
4M106DH34
4M106DJ27
4M106DJ28
4M106DJ38
5L096BA03
5L096BA18
5L096DA02
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】製品の品質を向上できるウェーハの判定方法、判定プログラム、判定装置、ウェーハの製造方法及びウェーハを提供する。
【解決手段】ウェーハ30の判定方法は、ウェーハ30の少なくとも一部を撮影した撮影画像40をウェーハ30の合否を判定するために用いる判定画像として取得するステップと、撮影画像40が誤判定候補画像に該当する場合に撮影画像40を判定画像から除外するステップと、判定画像に基づいてウェーハ30の合否を判定するステップとを含む。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの少なくとも一部を撮影した撮影画像を前記ウェーハの合否を判定するために用いる判定画像として取得するステップと、
前記撮影画像が誤判定候補画像に該当する場合に前記撮影画像を前記判定画像から除外するステップと、
前記判定画像に基づいて前記ウェーハの合否を判定するステップと
を含む、判定方法。
【請求項2】
前記撮影画像の中で前記ウェーハが写っている範囲の少なくとも一部に欠損がある場合、又は、前記撮影画像に前記ウェーハの所定部分が写っている場合の少なくとも一方の場合に前記撮影画像が前記誤判定候補画像に該当すると判定するステップを更に含む、請求項1に記載の判定方法。
【請求項3】
前記誤判定候補画像を含む教師データを用いて前記撮影画像が前記誤判定候補画像に該当するか判定するモデルを生成するステップを更に含む、請求項1に記載の判定方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の判定方法をプロセッサに実行させる、判定プログラム。
【請求項5】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の判定方法を実行する制御部を備える、判定装置。
【請求項6】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の判定方法を実行することによってウェーハの合否を判定するステップを含む、ウェーハの製造方法。
【請求項7】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の判定方法を実行することによって合格と判定された、ウェーハ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェーハの判定方法、判定プログラム、判定装置、ウェーハの製造方法及びウェーハに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェーハ欠陥画像を用いてウェーハの欠陥を分類する方法が知られている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-174980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目視検査をなくしたり目視検査の工数を削減したりする目的で、ウェーハの欠陥を自動で判定することが検討されている。その場合、検査対象のウェーハを撮影する際に、撮影装置の異常によって欠陥と判別しにくい画像が生成されることがある。このような画像は、欠陥の判定精度を低下させることがある。欠陥の判定精度を高めることによって、ウェーハ等の製品、又は、ウェーハ等を材料として用いる製品の品質を向上することが求められる。
【0005】
そこで、本開示の目的は、製品の品質を向上できる判定方法、判定プログラム、判定装置、ウェーハの製造方法及びウェーハを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本開示の一実施形態は、以下のとおりである。
[1]
ウェーハの少なくとも一部を撮影した撮影画像を前記ウェーハの合否を判定するために用いる判定画像として取得するステップと、
前記撮影画像が誤判定候補画像に該当する場合に前記撮影画像を前記判定画像から除外するステップと、
前記判定画像に基づいて前記ウェーハの合否を判定するステップと
を含む、判定方法。
[2]
前記撮影画像の中で前記ウェーハが写っている範囲の少なくとも一部に欠損がある場合、又は、前記撮影画像に前記ウェーハの所定部分が写っている場合の少なくとも一方の場合に前記撮影画像が前記誤判定候補画像に該当すると判定するステップを更に含む、上記[1]に記載の判定方法。
[3]
前記誤判定候補画像を含む教師データを用いて前記撮影画像が前記誤判定候補画像に該当するか判定するモデルを生成するステップを更に含む、上記[1]に記載の判定方法。
[4]
上記[1]から[3]までのいずれか一項に記載の判定方法をプロセッサに実行させる、判定プログラム。
[5]
上記[1]から[3]までのいずれか一項に記載の判定方法を実行する制御部を備える、判定装置。
[6]
上記[1]から[3]までのいずれか一項に記載の判定方法を実行することによってウェーハの合否を判定するステップを含む、ウェーハの製造方法。
[7]
上記[1]から[3]までのいずれか一項に記載の判定方法を実行することによって合格と判定された、ウェーハ。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るウェーハの判定方法、判定プログラム、判定装置、ウェーハの製造方法及びウェーハによれば、製品の品質が向上され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る判定システムの構成例を示すブロック図である。
図2】ウェーハの構成例を示す平面図である。
図3】ウェーハの端面を1周撮影した画像の一例を示す図である。
図4A図3の枠線囲み部Aの拡大図である。
図4B図3の枠線囲み部Bの拡大図である。
図4C図3の枠線囲み部Cの拡大図である。
図4D図3の枠線囲み部Dの拡大図である。
図5A】欠損部を含むウェーハ端面の撮影画像の例を示す図である。
図5B】欠損部を含むウェーハ表面の撮影画像の例を示す図である。
図6】ウェーハ表面の端よりも外側が写っている撮影画像の例を示す図である。
図7】ノッチ部を含むウェーハ端面の撮影画像の例を示す図である。
図8】ウェーハ端面を写した画像のうち、誤判定候補画像に該当する例及び誤判定候補画像に該当しない例を示す図である。
図9】ウェーハ表面を写した画像のうち、誤判定候補画像に該当する例及び誤判定候補画像に該当しない例を示す図である。
図10】一実施形態に係る判定方法の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(判定システム1の構成例)
図1に示されるように、判定システム1は、判定装置10と、撮影装置20とを備える。撮影装置20は、ウェーハ等の製品を製造する工程において、製品の合否を判定するために用いられる、ウェーハ等の製品の画像を撮影する。判定装置10は、撮影装置20で撮影した画像を取得し、取得した画像に基づいて製品の合否を判定する。
【0010】
本実施形態に係る判定システム1は、製品の外観の画像に基づいて、製品の外観が出荷基準を満たしているかを判定してよい。つまり、判定システム1は、製品の外観の合否を判定してよい。判定システム1は、製品の外観に限られず、X線画像等の製品の内部の状態を表す画像に基づいて、製品の内部の状態の合否を判定してもよい。本実施形態に係る判定システム1は、製品としてウェーハの外観又は内部の状態を撮影した画像を取得し、ウェーハの外観又は内部の状態の合否を判定してもよい。
【0011】
<判定装置10>
判定装置10は、制御部12と、記憶部14と、インタフェース16とを備える。
【0012】
制御部12は、撮影装置20からインタフェース16によって取得した製品の画像に基づいて製品の合否を判定し、インタフェース16によって判定結果を出力する。制御部12は、少なくとも1つのプロセッサを含んでよい。プロセッサは、制御部12の種々の機能を実現するプログラムを実行しうる。プロセッサは、単一の集積回路として実現されてよい。集積回路は、IC(Integrated Circuit)とも称される。プロセッサは、複数の通信可能に接続された集積回路及びディスクリート回路として実現されてよい。プロセッサは、他の種々の既知の技術に基づいて実現されてよい。
【0013】
記憶部14は、磁気ディスク等の電磁記憶媒体を含んでよいし、半導体メモリ又は磁気メモリ等のメモリを含んでもよい。記憶部14は、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体を含んでよい。記憶部14は、撮影装置20から取得した画像等の各種情報及び制御部12で実行されるプログラム等を格納する。記憶部14は、制御部12のワークメモリとして機能してよい。記憶部14の少なくとも一部は、制御部12に含まれてよい。記憶部14の少なくとも一部は、判定装置10と別体の記憶装置として構成されてもよい。
【0014】
インタフェース16は、撮影装置20から画像を取得できるように、撮影装置20との間で通信可能に構成される通信モジュールを含んで構成されてよい。通信モジュールは、撮影装置20と有線又は無線で通信可能に接続されてよい。通信モジュールは、撮影装置20に直接接続されてもよいし、通信ネットワークを介して接続されてもよい。通信モジュールは、LAN(Local Area Network)等の通信インタフェースを備えてよい。通信モジュールは、赤外線通信又はNFC(Near Field communication)通信等の非接触通信の通信インタフェースを備えてもよい。通信モジュールは、4G(4th Generation)若しくはLTE(Long Term Evolution)又は5G(5th Generation)等の種々の通信方式による通信を実現してもよい。通信モジュールが実行する通信方式は、上述の例に限られず、他の種々の方式を含んでもよい。通信モジュールの少なくとも一部は、制御部12に含まれてもよい。
【0015】
インタフェース16は、制御部12による判定結果をユーザに通知できるように、出力デバイスを含んで構成されてよい。出力デバイスは、画像又は文字若しくは図形等の視覚情報を出力する表示デバイスを含んでよい。表示デバイスは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ若しくは無機ELディスプレイ、又は、PDP(Plasma Display Panel)等を含んで構成されてよい。表示デバイスは、これらのディスプレイに限られず、他の種々の方式のディスプレイを含んで構成されてよい。表示デバイスは、LED(Light Emitting Diode)又はLD(Laser Diode)等の発光デバイスを含んで構成されてよい。表示デバイスは、他の種々のデバイスを含んで構成されてよい。出力デバイスは、音声を出力するスピーカ等を含んでもよい。出力デバイスは、これらの例に限られず、他の種々の態様で情報を出力できるデバイスを含んでよい。
【0016】
インタフェース16は、例えば判定装置10による製品の測定開始若しくは停止等の操作入力、又は、判定装置10に対する他の種々の指示入力を受け付ける入力デバイスを含んで構成されてよい。インタフェース16は、ユーザから入力された情報を制御部12に出力する。入力デバイスは、例えば、タッチパネル若しくはタッチセンサ、又はマウス等のポインティングデバイスを含んで構成されてよい。入力デバイスは、物理キーを含んで構成されてもよい。入力デバイスは、マイク等の音声入力デバイスを含んで構成されてもよい。
【0017】
<撮影装置20>
撮影装置20は、例えば可視光カメラ、赤外線カメラ、又はX線カメラ等の種々のカメラを含んで構成されてよい。撮影装置20は、ウェーハ等の製品を撮影する際に照射する可視光源又はX線源等の光源を含んで構成されてもよい。
【0018】
撮影装置20は、ウェーハ等の製品の少なくとも一部を撮影するように構成される。撮影装置20は、図2に例示されるウェーハ30を撮影する場合、例えばウェーハ30の端面32を1周にわたって撮影して、図3に例示されるようにウェーハ30の端面32の外観の画像を長尺画像として生成してよい。図3に例示されるウェーハ30の端面32の画像は、端面32の全周を含むように、同じ場所を撮影した重複区間を含む。撮影装置20は、ウェーハ30の端面32を1周にわたって撮影するために、固定カメラに対してウェーハ30が回転するように構成されてもよいし、ウェーハ30の外周をカメラが回動するように構成されてもよい。
【0019】
ウェーハ30は、端面32に欠陥36を有する。欠陥36は、ウェーハ30の端面32又は表面31に生じているキズ又はチッピングを含み得る。欠陥36は、ウェーハ30の端面32又は表面31に付着したゴミ等の異物を含み得る。図3に例示される画像に写っている欠陥36は、キズを表す欠陥36A及び欠陥36Bを含む。
【0020】
ウェーハ30は、ウェーハ30の結晶軸の方向を示す目印としてノッチ34を有する。ノッチ34は、ウェーハ30の端面32から内側への切り欠きとして形成されている。ノッチ34は、ウェーハ30の表面31から見て切り欠きのように見える。ノッチ34は、ウェーハ30の端面32から見て凹んでいるように見える。
【0021】
撮影装置20は、図4A図4B図4C及び図4Dに例示されるように、端面32の一部を切り出した画像を生成してもよい。図4Aは、図3においてAで表される破線囲み部を拡大した画像に対応する。図4Aの拡大画像は、欠陥36もノッチ34も含まない。図4Bは、図3においてBで表される破線囲み部を拡大した画像に対応する。図4Bの拡大画像は、欠陥36Aを含む。図4Cは、図3においてCで表される破線囲み部を拡大した画像に対応する。図4Cの拡大画像は、欠陥36Bを含む。図4Dは、図3においてDで表される破線囲み部を拡大した画像に対応する。図4Dの拡大画像は、ノッチ34を含む。
【0022】
撮影装置20は、ウェーハ30の端面32を1周にわたって撮影することによって生成した長尺画像から、ウェーハ30の端面32の一部を切り出した画像を生成してもよい。撮影装置20は、ウェーハ30の端面32を撮影し、欠陥36が写っている可能性のある部分の画像を生成してもよい。
【0023】
撮影装置20は、ウェーハ30の表面31を撮影する場合、ウェーハ30の表面31を走査するように撮影することによって生成した全面画像から、ウェーハ30の表面31の一部を切り出した画像を生成してもよい。撮影装置20は、ウェーハ30の表面31を走査するように撮影し、欠陥36が写っている可能性のある部分の画像を生成してよい。
【0024】
以上述べてきたように、撮影装置20は、ウェーハ30の少なくとも一部を撮影するように構成される。撮影装置20は、ウェーハ30の少なくとも一部を撮影した画像を判定装置10に出力する。
【0025】
(判定システム1の動作例)
判定システム1において、撮影装置20は、ウェーハ30の少なくとも一部を撮影した画像を生成し、判定装置10に出力する。撮影装置20がウェーハ30の少なくとも一部を撮影した画像は、撮影画像とも称される。判定装置10は、インタフェース16によって、撮影装置20によって生成された撮影画像を判定対象の画像として取得する。判定装置10が判定対象とする画像は、判定画像とも称される。判定装置10の制御部12は、判定画像に基づいてウェーハ30の合否を判定する。
【0026】
撮影画像は、欠陥36を含む画像を含み得る。一方で、撮影画像は、欠陥36を含まない画像を含み得る。撮影画像は、欠陥36を含まないにもかかわらず、制御部12によって欠陥36であると誤って判定され得る画像を含み得る。制御部12は、欠陥36ではないにもかかわらず欠陥36であると誤って判定され得る画像を判定に用いた場合、ウェーハ30の合否を誤って判定しやすくなる。
【0027】
そこで、制御部12は、欠陥36ではないにもかかわらず欠陥36であると誤って判定され得る画像を、判定の対象とする画像から除外する。欠陥36ではないにもかかわらず欠陥36であると誤って判定され得る画像は、誤判定候補画像とも称される。
【0028】
制御部12は、撮影装置20から取得した撮影画像が誤判定候補画像に該当するか判定する。制御部12は、誤判定候補画像に該当しないと判定した撮影画像を判定画像として用い、ウェーハ30の合否を判定する。制御部12は、誤判定候補画像に該当すると判定した撮影画像を判定画像として用いない。つまり、制御部12は、誤判定候補画像に該当すると判定した撮影画像を判定画像から除外する。
【0029】
制御部12は、撮影画像が誤判定候補画像に該当するかを判定するモデルを生成してよい。撮影画像が誤判定候補画像に該当するかを判定するモデルは、誤判定候補画像の判定モデルとも称される。誤判定候補画像の判定モデルは、入力された撮影画像が誤判定候補画像に該当するか否かの判定結果を出力するように構成される。制御部12は、誤判定候補画像に該当する撮影画像を除外した判定画像に基づいてウェーハ30の合否を判定するモデルを生成してよい。誤判定候補画像に該当する撮影画像を除外した判定画像に基づいてウェーハ30の合否を判定するモデルは、欠陥36の判定モデルとも称される。欠陥36の判定モデルは、入力された判定画像に基づいて、その判定画像に写っているウェーハ30が合格であるか不合格であるかの判定結果を出力するように構成される。
【0030】
制御部12は、誤判定候補画像の判定モデルと欠陥36の判定モデルとをつなげて用いてよい。制御部12は、誤判定候補画像の判定モデルに撮影画像を入力し、誤判定候補画像の判定モデルから出力される判定結果に基づいて、判定画像から誤判定候補画像を除外してよい。制御部12は、誤判定候補画像を除外した判定画像を欠陥36の判定モデルに入力し、欠陥36の判定モデルから出力される判定結果に基づいて、最初に誤判定候補画像の判定モデルに入力した撮影画像に写っているウェーハ30の合否を判定してよい。
【0031】
制御部12は、撮影画像が誤判定候補画像に該当するかの判定と、誤判定候補画像に該当する撮影画像を除外した判定画像に基づくウェーハ30の合否の判定とを1つのモデルで実現してもよい。誤判定候補画像の判定と合否の判定とを実現する1つのモデルは、複合判定モデルとも称される。制御部12は、複合判定モデルに撮影画像を入力し、複合判定モデルから出力される判定結果に基づいて、複合判定モデルに入力した撮影画像に写っているウェーハ30の合否を判定してよい。
【0032】
<誤判定候補画像の判定>
誤判定候補画像の判定モデルは、誤判定候補画像に該当する画像又は誤判定候補画像に該当しない画像の少なくとも一方を含む教師データを用いて学習させることによって生成されてよい。誤判定候補画像の判定モデルは、誤判定候補画像に該当するパターン又は誤判定候補画像に該当しないパターンの少なくとも一方を特定するパターンマッチングのモデルとして生成されてよい。誤判定候補画像の判定モデルは、これらに限られず種々のアルゴリズムで誤判定候補画像を判定できるように生成されてよい。制御部12は、誤判定候補画像の判定モデルを制御部12自身で生成してもよいし、外部装置から取得してもよい。
【0033】
誤判定候補画像に該当する画像は、以下に例示するような画像である。例えば、図5A及び図5Bに示されるように、欠損部44が含まれる撮影画像40が誤判定候補画像に該当する。
【0034】
図5Aに例示される撮影画像40において、ウェーハ30の端面32とウェーハ30が無い背景部42とが写っている。制御部12は、撮影画像40のうち背景部42を無視して撮影画像40の左端から右端まで端面32が写っている部分の画像に基づいてウェーハ30の合否を判定するように構成されるとする。しかし、図5Aに例示される撮影画像40において、右側の一部の画像は、撮影装置20の異常等の原因によって黒い画像となっている。つまり、右端まで写っているべき端面32の画像の一部が欠損している。端面32の画像の欠損している部分は、欠損部44として表される。制御部12は、図5Aに例示される撮影画像40を判定画像として用いた場合に、欠損部44を欠陥36と誤って判定する可能性がある。
【0035】
また、図5Bに例示される撮影画像40において、ウェーハ30の表面31と黒い画像となっている欠損部44とが写っている。つまり、ウェーハ30の表面31の画像が欠けている。制御部12は、ウェーハ30の表面31が撮影画像40の全面に写っている画像に基づいてウェーハ30の合否を判定するように構成されるとする。しかし、図5Bに例示される撮影画像40の内部及び端の一部の画像は、撮影装置20の異常等の原因によって黒い画像となっている。つまり、表面31の画像の一部が欠損している。表面31の画像の欠損している部分は、欠損部44として表される。制御部12は、図5Bに例示される撮影画像40を判定画像として用いた場合に、欠損部44を欠陥36と誤って判定する可能性がある。
【0036】
また、例えば、図6に示される撮影画像40において、ウェーハ30の表面31の外側のウェーハ30が無い部分が背景部42として写っている。制御部12は、撮影画像40の全面に表面31が写っていることを前提としてウェーハ30の合否を判定する場合、図6に例示される撮影画像40に写っている背景部42を欠陥36と誤って判定する可能性がある。
【0037】
また、例えば、図7に示される撮影画像40において、ウェーハ30の端面32の中にノッチ34が写っている。制御部12は、図7に例示される撮影画像40を判定画像として用いた場合に、ノッチ34を欠陥36と誤って判定する可能性がある。
【0038】
また、図8に、ウェーハ30の端面32の撮影画像40が、誤判定候補画像に該当する例と、誤判定候補画像に該当しない例とに分類して示されている。誤判定候補画像に該当する例として、ノッチ34が写っている画像が示されている。誤判定候補画像に該当しない例として、チッピングの欠陥36が写っている画像が示されている。また、図9に、ウェーハ30の表面31の撮影画像40が、誤判定候補画像に該当する例と、誤判定候補画像に該当しない例とに分類して示されている。誤判定候補画像に該当する例として、ウェーハ30の表面31にレーザマーカによって生成されたドット38が写っている画像が示されている。誤判定候補画像に該当しない例として、ピンホール欠陥36が写っている画像が示されている。
【0039】
以上述べてきたように、撮影画像40は、誤判定候補画像に該当するか否かで分類され得る。制御部12は、撮影画像40の中でウェーハ30が写っている範囲の少なくとも一部に欠損がある場合、その撮影画像40が誤判定候補画像に該当すると判定してよい。あるいは、制御部12は、撮影画像40にウェーハ30のノッチ34又はレーザマーカのドット38等の所定部分が写っている場合、その撮影画像40が誤判定候補画像に該当すると判定してよい。
【0040】
制御部12は、撮影画像40からノッチ34又はドット38等の所定部分が写っている画像を先に除外してよい。制御部12は、撮影画像40のうち所定部分が写っていない画像から、さらに欠損部44又は不要な背景部42を含む画像を除外してよい。つまり、誤判定候補画像の判定モデルは、所定部分が写っている画像の判定モデルと、欠損部44等が写っている画像の判定モデルとに分けられてよい。
【0041】
<誤判定候補画像の判定>
制御部12は、ウェーハ30を写した判定画像に基づいてウェーハ30の合否を判定する。制御部12は、ウェーハ30を写した判定画像に欠陥36が写っていない場合にそのウェーハ30が合格であると判定してよい。制御部12は、ウェーハ30を写した判定画像に欠陥36が写っている場合にそのウェーハ30が不合格であると判定してよい。
【0042】
欠陥36の判定モデルは、欠陥36を含む画像又は欠陥36を含まない画像の少なくとも一方を含む教師データを用いて学習させることによって生成されてよい。欠陥36の判定モデルは、欠陥36に該当するパターン又は欠陥36に該当しないパターンの少なくとも一方を特定するパターンマッチングのモデルとして生成されてよい。欠陥36の判定モデルは、これらに限られず種々のアルゴリズムで欠陥36の有無を判定できるように生成されてよい。制御部12は、欠陥36の判定モデルを制御部12自身で生成してもよいし、外部装置から取得してもよい。
【0043】
欠陥36は、図8に誤判定候補画像に該当しない例として示されているように、ウェーハ30の端面32におけるチッピングを含み得る。欠陥36は、図9に誤判定候補画像に該当しない例として示されているように、ウェーハ30の表面31におけるピンホールを含み得る。欠陥36は、これらの例に限られず、ウェーハ30の表面31又は端面32に付着したゴミ又は汚れ等の他の種々の態様を含み得る。
【0044】
以上述べてきたように、制御部12は、判定画像に基づいてウェーハ30が欠陥36を有するか判定し、ウェーハ30が欠陥36を有する場合にウェーハ30が不合格であると判定する。つまり、制御部12は、判定画像に基づいてウェーハ30の合否を判定する。
【0045】
制御部12は、誤判定候補画像の判定モデルと欠陥36の判定モデルとを合わせた複合判定モデルを用いてウェーハ30の合否を判定する場合、複合判定モデルを制御部12自身で生成してもよいし、外部装置から取得してもよい。複合判定モデルは、誤判定候補画像に該当する画像、及び、誤判定候補画像に該当しない画像であって欠陥36を含む画像又は欠陥36を含まない画像を教師データとして学習させることによって生成されてよい。複合判定モデルは、誤判定候補画像に該当するパターン、又は、誤判定候補画像に該当しないパターンであって欠陥36を含むパターン若しくは欠陥36を含まないパターンの少なくとも1つを特定するパターンマッチングのモデルとして生成されてよい。
【0046】
<判定方法のフローチャートの例>
判定装置10の制御部12は、図10に例示されるフローチャートの手順を含む判定方法を実行することによってウェーハ30の合否を判定してよい。判定方法は、制御部12に実行させる判定プログラムとして実現されてもよい。
【0047】
制御部12は、誤判定候補画像の判定モデルを取得する(ステップS1)。制御部12は、撮影装置20から、撮影画像40を判定画像として取得する(ステップS2)。制御部12は、撮影画像40が誤判定候補画像に該当するか判定する(ステップS3)。制御部12は、撮影画像40が誤判定候補画像に該当しない場合(ステップS3:NO)、ステップS5の手順に進む。制御部12は、撮影画像40が誤判定候補画像に該当する場合(ステップS3:YES)、撮影画像40を判定画像から除外する(ステップS4)。
【0048】
制御部12は、欠陥36の判定モデルを取得する(ステップS5)。制御部12は、ステップS1からS4までの手順で取得した判定画像を欠陥36の判定モデルに適用することによって、判定画像の合否を判定する(ステップS6)。制御部12は、判定画像が合格である場合に判定画像に写っているウェーハ30が合格であると判定し、判定画像が不合格である場合に判定画像に写っているウェーハ30が不合格であると判定する。制御部12は、ステップS6の手順の実行後、図10のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0049】
図10のフローチャートの例において、制御部12は、誤判定候補画像の判定モデルと欠陥36の判定モデルとを分けて用いているが、複合判定モデルを用いてもよい。
【0050】
<実施例>
本実施形態に係る判定システム1において、ウェーハ30の合否を判定するために誤判定候補画像に該当するかを判定することによる効果を検証する実施例が説明される。実施例において、人間が撮影画像40を見てウェーハ30の合否を判定した結果と、判定装置10の制御部12が撮影画像に基づいてウェーハ30の合否を判定した結果とが比較される。人間による合否判定結果と制御部12による合否判定結果との組み合わせは、4つの類型に分類される。
【0051】
人間による判定と制御部12による判定とが一致する場合の組み合わせは、以下の2つの類型に分類される。あるウェーハ30について人間による不合格の判定と制御部12による不合格の判定とが一致した場合、そのウェーハ30に対する制御部12による不合格の判定は、真陽性(TP)に分類される。また、あるウェーハ30について人間による合格の判定と制御部12による合格の判定とが一致した場合、そのウェーハ30に対する制御部12による合格の判定は、真陰性(TN)に分類される。
【0052】
人間による判定と制御部12による判定とが一致しない場合の組み合わせは、以下の2つの類型に分類される。あるウェーハ30について人間が不合格と判定し、制御部12が合格と判定した場合、そのウェーハ30に対する制御部12による合格の判定は、偽陰性(FN)に分類される。逆に、あるウェーハ30について人間が合格と判定し、制御部12が不合格と判定した場合、そのウェーハ30に対する制御部12による不合格の判定は、偽陽性(FP)に分類される。
【0053】
判定精度は、各類型に分類される頻度に基づいて算出される。真陽性に分類された数と真陰性に分類された数との和を全サンプル数で割った値((TP+TN)/(TP+TN+FP+FN))は、正答率として算出される。正答率は、判定が正しい割合を表す。正答率が高いほど判定精度が高いといえる。
【0054】
真陽性に分類された数を真陽性と偽陽性とに分類された数で割った値(TP/(TP+FP))は、適合率として算出される。適合率は、「不合格」と判定されたサンプルのうち実際に「不合格」であるサンプルの割合を表す。適合率が高いほど製品が無駄に廃棄される可能性が低くなる。
【0055】
真陽性に分類された数を真陽性と偽陰性とに分類された数で割った値(TP/(TP+FN))は、再現率として算出される。再現率は、実際に「不合格」であるサンプルのうち「不合格」と判定されたサンプルの割合を表す。再現率が高いほど、「不合格」の製品が流出する可能性が低くなる。
【0056】
表1に、判定装置10の制御部12によって判定画像から誤判定候補画像を除外した場合の判定結果と、人間による判定結果との組み合わせを上述した4つの類型に分類した結果が示される。
【表1】
【0057】
表1に示される結果によって算出される正答率は、(42437+27)/(42437+1093+27)=97.5%であった。適合率は、27/(1093+27)=2.4%であった。再現率は、27/27=100%であった。
【0058】
一方で比較例として、表2に、撮影画像40が誤判定候補画像に該当するかを判定せずに、撮影画像40をそのまま判定画像としてウェーハ30の合否を判定した場合の判定結果と、人間による判定結果との組み合わせを上述した4つの類型に分類した結果が示される。
【表2】
【0059】
表2に示される比較例の結果によって算出される正答率は、(42437+27)/(42437+2872+27)=93.7%であった。適合率は、27/(2872+27)=0.9%であった。再現率は、27/27=100%であった。
【0060】
表1と表2との比較において、本実施形態に係る判定システム1においてウェーハ30の合否を判定するために撮影画像40から誤判定候補画像を除外することによって、正答率及び適合率が高くなっている。したがって、撮影画像40から誤判定候補画像を除外することによって、ウェーハ30の合否の判定精度が高められた。
【0061】
(まとめ)
以上述べてきたように、本実施形態に係る判定システム1、判定装置10及び判定方法は、ウェーハ30等の製品の合否を判定するために、製品の少なくとも一部を撮影した撮影画像40から誤判定候補画像を除外する。このようにすることで、欠陥36ではない欠損部44又は背景部42が誤って欠陥36と判定されにくくなる。その結果、ウェーハ30等の製品の合否の判定精度が高められ得る。
【0062】
欠陥36の判定モデル又は複合判定モデル等のモデルは、例えば、ウェーハ30等の製品が出荷基準を満たしているかを判定した結果を出力するように構成されてよい。製品がウェーハ30である場合、モデルは、ウェーハ30が出荷基準を満たしているか否かを判定した結果を出力するように構成されてよい。この場合の分類は、合格か不合格かという最も単純な分類である。モデルは、例えば、製品を複数の品質等級に分類してもよい。製品がウェーハ30である場合、モデルは、例えばウェーハ30の品質に基づいてウェーハ30がデバイス用途で用いられる等級であるか、モニタ用途で用いられる等級であるかを判定した結果を出力するように構成されてよい。品質等級は、欠陥36の数若しくは大きさ、又は、欠陥36の種類に基づいて決定されてよい。
【0063】
(他の実施形態)
本実施形態に係るウェーハ30の合否の判定方法を実行するステップを含むウェーハ30の製造方法が実現され得る。また、判定方法が実行されたことによって合格と判定されたウェーハ30が実現され得る。
【0064】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態について装置を中心に説明してきたが、本開示に係る実施形態は装置の各構成部が実行するステップを含む方法としても実現し得るものである。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示に係る実施形態によれば、製品の品質が向上され得る。
【符号の説明】
【0066】
1 判定システム
10 判定装置(12:制御部、14:記憶部、16:インタフェース)
20 撮影装置
30 ウェーハ(31:表面、32:端面、34:ノッチ、36、36A、36B:欠陥、38:レーザマーキングのドット)
40 撮影画像(42:背景部、44:欠損部)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10