(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018337
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】基板処理システム及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230201BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230201BHJP
G01F 1/34 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
H01L21/31 F
H01L21/302 101G
G01F1/34 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122385
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】松田 梨沙子
(72)【発明者】
【氏名】庄司 慶太
(72)【発明者】
【氏名】鷹合 一祥
【テーマコード(参考)】
2F030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2F030CA04
2F030CC11
2F030CD15
2F030CE02
2F030CE04
2F030CF05
2F030CF08
5F004BD04
5F004CA01
5F004CA02
5F004CA08
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5F004CB12
5F045BB10
5F045DQ17
5F045EB08
5F045EB11
5F045EC07
5F045EE04
5F045EE11
5F045EG01
5F045GB02
(57)【要約】
【課題】基板処理システムにおいて流量測定装置を用いて行われるガスの流量測定にかかる時間を短縮する。
【解決手段】基板処理システムであって、複数のチャンバを含むチャンバ群と、複数のガスボックスを含むガスボックス群と、流量測定装置と、排気装置と、を備え、前記流量測定装置は、測定器と、測定配管と、を含み、前記測定配管は、前記複数のガスボックスのそれぞれに接続される複数の枝管と、前記複数の枝管のそれぞれと前記測定器とに接続される主管と、前記複数の枝管に設けられる枝管バルブと、を含み、前記測定器は、一以上の圧力センサと、温度センサと、測定器一次バルブと、測定器二次バルブと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システムであって、
所望の処理ガス中で基板を処理するための複数のチャンバを含むチャンバ群と、
前記複数のチャンバのそれぞれに前記処理ガスを供給する複数のガスボックスを含むガスボックス群と、
前記ガスボックス群から供給される前記処理ガスの流量を測定する流量測定装置と、
前記チャンバ群および前記流量測定装置に接続される排気装置と、
を備え、
前記流量測定装置は、測定器と、前記ガスボックス群と前記測定器とに接続され前記処理ガスを通流させる測定配管と、を含み、
前記測定配管は、前記複数のガスボックスのそれぞれに接続される複数の枝管と、前記複数の枝管のそれぞれと前記測定器とに接続される主管と、前記複数の枝管に設けられる枝管バルブと、を含み、
前記測定器は、当該測定器の内部の圧力を測定するように構成された一以上の圧力センサと、当該測定器の内部の温度を測定するように構成された温度センサと、当該測定器において前記測定配管と接続される側の端部に設けられる測定器一次バルブと、前記排気装置と接続される側の端部に設けられる測定器二次バルブと、を含む、基板処理システム。
【請求項2】
前記チャンバ群、前記前記ガスボックス群および前記測定配管はそれぞれ複数設けられ、
複数の前記測定配管は、前記主管に設けられる主管バルブを含む、請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項3】
前記排気装置は、前記チャンバに接続され、バルブを備える排気配管と、前記流量測定装置に接続され、前記複数のガスボックス群に対応する複数の排気配管と、を含み、
前記複数の排気配管は、バルブを備える排気主管と、当該排気主管に接続されバルブを備える複数の排気枝管を含み、
前記チャンバに接続される前記排気配管と、前記排気枝管とが合流する、請求項2に記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記ガスボックス群において、一のガスボックスから前記処理ガスが出力される場合に、他のガスボックスから前記処理ガスが出力されないように、当該ガスボックス群を制御する制御部をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の基板処理システム。
【請求項5】
基板処理システムであって、
所望の処理ガス中で基板を処理するための複数のチャンバを含む複数のチャンバ群と、
前記複数のチャンバのそれぞれに前記処理ガスを供給する複数のガスボックスを含む複数のガスボックス群と、
前記複数のガスボックス群のうち一のガスボックス群から供給される前記処理ガスの流量を測定する流量測定装置と、
前記チャンバ群および前記流量測定装置に接続される排気装置と、
を備え、
前記流量測定装置は、測定器と、前記複数のガスボックス群のそれぞれと前記測定器とに接続され前記処理ガスを通流させる複数の測定配管と、を含み、
一の前記測定配管は、対応する一の前記ガスボックス群の前記複数のガスボックスのそれぞれに接続される複数の枝管と、前記複数の枝管のそれぞれと前記測定器とに接続される主管と、前記主管に設けられる主管バルブと、を含み、
前記測定器は、当該測定器の内部の圧力を測定するように構成された一以上の圧力センサと、当該測定器の内部の温度を測定するように構成された温度センサと、当該測定器において前記測定配管と接続される側の端部に設けられる測定器一次バルブと、前記排気装置と接続される側の端部に設けられる測定器二次バルブと、を含む、基板処理システム。
【請求項6】
基板処理システムにおける基板処理方法であって、
前記基板処理システムは、
所望の処理ガス中で基板を処理するための複数のチャンバを含むチャンバ群と、
前記複数のチャンバのそれぞれに前記処理ガスを供給する複数のガスボックスを含むガスボックス群と、
前記ガスボックス群から供給される前記処理ガスの流量を測定する流量測定装置と、
前記チャンバ群および前記流量測定装置に接続される排気装置と、
を備え、
前記流量測定装置は、測定器と、前記ガスボックス群と前記測定器とに接続され前記処理ガスを通流させる測定配管と、を含み、
前記測定配管は、前記複数のガスボックスのそれぞれに接続される複数の枝管と、前記複数の枝管のそれぞれと前記測定器とに接続される主管と、前記複数の枝管に設けられる枝管バルブと、を含み、
前記測定器は、当該測定器の内部の圧力を測定するように構成された一以上の圧力センサと、当該測定器の内部の温度を測定するように構成された温度センサと、当該測定器において前記測定配管と接続される側の端部に設けられる測定器一次バルブと、前記排気装置と接続される側の端部に設けられる測定器二次バルブと、を含み、
前記方法は、
流量を測定する処理ガスを供給する一のガスボックス以外の、他のガスボックスに接続される前記枝管における前記枝管バルブを閉じた状態を形成する工程と、
前記状態において、流量を測定する処理ガスを供給する前記一のガスボックスから供給される前記処理ガスの流量を測定する工程と、
を含む、基板処理方法。
【請求項7】
基板処理システムにおける基板処理方法であって、
前記基板処理システムは、
所望の処理ガス中で基板を処理するための複数のチャンバを含む複数のチャンバ群と、
前記複数のチャンバのそれぞれに前記処理ガスを供給する複数のガスボックスを含む複数のガスボックス群と、
前記複数のガスボックス群のうち一のガスボックス群から供給される前記処理ガスの流量を測定する流量測定装置と、
前記チャンバ群および前記流量測定装置に接続される排気装置と、
を備え、
前記流量測定装置は、測定器と、前記複数のガスボックス群のそれぞれと前記測定器とに接続され前記処理ガスを通流させる複数の測定配管と、を含み、
一の前記測定配管は、対応する一の前記ガスボックス群の前記複数のガスボックスのそれぞれに接続される複数の枝管と、前記複数の枝管のそれぞれと前記測定器とに接続される主管と、前記主管に設けられる主管バルブと、を含み、
前記測定器は、当該測定器の内部の圧力を測定するように構成された一以上の圧力センサと、当該測定器の内部の温度を測定するように構成された温度センサと、当該測定器において前記測定配管と接続される側の端部に設けられる測定器一次バルブと、前記排気装置と接続される側の端部に設けられる測定器二次バルブと、を含み、
前記排気装置は、前記チャンバに接続され、バルブを備える排気配管と、前記流量測定装置に接続され、前記複数のガスボックス群に対応する複数の排気配管と、を含み、
前記複数の排気配管は、バルブを備える排気主管と、当該排気主管に接続されバルブを備える複数の排気枝管を含み、前記チャンバに接続される前記排気配管と前記排気枝管とが合流するよう設けられ、
前記方法は、
流量を測定する処理ガスを供給する一のガスボックスを含む一のガスボックス群以外の、他のガスボックス群に接続される前記測定配管の前記主管バルブを閉じた状態を形成する工程と、
前記状態において、流量を測定する処理ガスを供給する前記一のガスボックスから供給される前記処理ガスの流量を測定する工程と、
を含む、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理システム及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、流量測定システムを用いて基板処理システムにおけるガスの流量を求める方法が開示されている。特許文献1に記載の方法によれば、流量測定システムに設けられるガス流路の容積、圧力および温度に基づいて演算を実行することにより、一の流量制御器から出力されたガスの流量を求める工程を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板処理システムにおいて流量測定装置を用いて行われるガスの流量測定にかかる時間を短縮する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板処理システムであって、所望の処理ガス中で基板を処理するための複数のチャンバを含むチャンバ群と、前記複数のチャンバのそれぞれに前記処理ガスを供給する複数のガスボックスを含むガスボックス群と、前記ガスボックス群から供給される前記処理ガスの流量を測定する流量測定装置と、前記チャンバ群および前記流量測定装置に接続される排気装置と、を備え、前記流量測定装置は、測定器と、前記ガスボックス群と前記測定器とに接続され前記処理ガスを通流させる測定配管と、を含み、前記測定配管は、前記複数のガスボックスのそれぞれに接続される複数の枝管と、前記複数の枝管のそれぞれと前記測定器とに接続される主管と、前記複数の枝管に設けられる枝管バルブと、を含み、前記測定器は、当該測定器の内部の圧力を測定するように構成された一以上の圧力センサと、当該測定器の内部の温度を測定するように構成された温度センサと、当該測定器において前記測定配管と接続される側の端部に設けられる測定器一次バルブと、前記排気装置と接続される側の端部に設けられる測定器二次バルブと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板処理システムにおいて流量測定装置を用いて行われるガスの流量測定にかかる時間を短縮する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にかかるウェハ処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【
図2】本実施形態にかかるウェハ処理システムにおける処理ガスの流路を構成する配管系を示す模式図である。
【
図3】本実施形態にかかるガス流量の測定方法を示すフロー図である。
【
図4】本実施形態にかかるガス流量の測定方法におけるバルブの開閉のタイミングを示す説明図である。
【
図5】他の実施形態にかかるウェハ処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【
図6】他の実施形態にかかるウェハ処理システムにおける処理ガスの流路を構成する配管系を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体基板(以下、「ウェハ」という。)に対して、所望のガス雰囲気下で成膜処理、クリーニング処理、その他プラズマ処理等の各種ガス処理が行われる。これらガス処理は、例えば、内部を減圧雰囲気に制御可能な真空処理室(以下、「チャンバ」という場合がある。)を備えるウェハ処理システムにおいて行われる。このウェハ処理システムにおいては、ウェハに対する各種ガス処理を適切に行うため、真空処理室に供給されるガスの流量を精密に制御することが重要になる。
【0009】
特許文献1に記載の流量測定装置は、かかるウェハ処理システムにおけるガス流量の測定を行うためのシステムである。特許文献1に記載の流量測定装置においては、当該流量測定装置に設けられるガス流路に対するガスの供給、排気を制御することで、当該ガス流路の容積、圧力、温度及び一の流量制御器の測定値に基づいて、ガスの流量が求められる。
【0010】
ところで基板処理システムの設計に際しては、使用者のニーズや基板処理の効率化といった観点から、一のウェハ処理システムにより多くのチャンバを搭載することが求められている。しかしながら、このように搭載するチャンバの数が増加した場合、特許文献1に記載の方法によりガスの流量測定を行うと、チャンバの数に応じてガス流路の数が増加することで流量測定装置におけるガスの封入容積が大きくなるとともに、ガスを封入する配管長も長くなるため、流量測定に時間がかかってしまうおそれがある。
【0011】
かかる流量測定に要する時間を短縮するためには、例えば一の流量測定装置に対するガスの封入容積を小さくするため、流量測定装置を2以上搭載することが考えられる。しかしながら、このように単に流量測定装置の数を増加させた場合、当該流量測定装置の設置にかかるコストが増加することに加え、それぞれの流量測定装置の間における流量測定誤差(システム間差)が乗ってしまう。このため、特許文献1に記載の流量測定装置を用いたガスの流量測定方法には、特に一のウェハ処理システムに設置するチャンバの数を増やした場合における測定時間に改善の余地があった。
【0012】
本開示にかかる技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基板処理システムにおいて流量測定装置を用いて行われるガスの流量測定にかかる時間を短縮する。以下、一実施形態にかかる基板処理システムとしてのウェハ処理システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
<ウェハ処理システム>
本実施形態にかかるウェハ処理システム1について説明する。
図1は、本実施形態にかかるウェハ処理システム1の構成の概略を示す平面図である。ウェハ処理システム1では、基板としてのウェハWに対して、例えば成膜処理、クリーニング処理、その他プラズマ処理等の所望のガス処理を行う。
【0014】
図1に示すようにウェハ処理システム1は、大気部10と減圧部11がロードロックモジュール20、21を介して一体に接続された構成を有している。大気部10は、大気圧雰囲気下においてウェハWに所望の処理を行う大気モジュールを備える。減圧部11は、減圧雰囲気下においてウェハWに所望の処理を行う減圧モジュールを備える。
【0015】
ロードロックモジュール20、21は、それぞれゲートバルブ22、23を介して、大気部10の後述するローダモジュール30と、減圧部11の後述するトランスファモジュール50を連結するように設けられている。ロードロックモジュール20、21は、ウェハWを一時的に保持するように構成されている。また、ロードロックモジュール20、21は、内部を大気圧雰囲気と減圧雰囲気(真空状態)とに切り替えられるように構成されている。
【0016】
大気部10は、後述するウェハ搬送機構40を備えたローダモジュール30と、複数のウェハWを保管可能なフープ31を載置するロードポート32とを有している。なお、ローダモジュール30には、ウェハWの水平方向の向きを調節するオリエンタモジュール(図示せず)や複数のウェハWを格納する格納モジュール(図示せず)などが隣接して設けられていてもよい。
【0017】
ローダモジュール30は内部が矩形の筐体からなり、筐体の内部は大気圧雰囲気に維持されている。ローダモジュール30の筐体の長辺を構成する一側面には、複数、例えば5つのロードポート32が並設されている。ローダモジュール30の筐体の長辺を構成する他側面には、ロードロックモジュール20、21が並設されている。
【0018】
ローダモジュール30の内部には、ウェハWを搬送するウェハ搬送機構40が設けられている。ウェハ搬送機構40は、ウェハWを保持して移動する搬送アーム41と、搬送アーム41を回転可能に支持する回転台42と、回転台42を搭載した回転載置台43とを有している。また、ローダモジュール30の内部には、ローダモジュール30の長手方向に延伸するガイドレール44が設けられている。回転載置台43はガイドレール44上に設けられ、ウェハ搬送機構40はガイドレール44に沿って移動可能に構成されている。
【0019】
減圧部11は、ウェハWを内部で搬送するトランスファモジュール50と、トランスファモジュール50から搬送されたウェハWに所望の処理を行うチャンバ60を有している。トランスファモジュール50及びチャンバ60の内部は、それぞれ減圧雰囲気に維持される。なお本実施形態においては、一のトランスファモジュール50に対して、複数、例えば6つのチャンバ60が接続されている。本明細書においては、上記一のトランスファモジュール50に対して接続される複数、例えば6つのチャンバ60の一群を、一のチャンバ群62と称する。なお、一のチャンバ群62におけるチャンバ60の数や配置は本実施形態に限定されず、任意に設定することができる。
【0020】
チャンバ60は、それぞれゲートバルブ64を介してトランスファモジュール50に隣接して設けられている。チャンバ60では、ウェハ処理の目的に応じて、例えば成膜処理、クリーニング処理、その他プラズマ処理等の任意のガス処理が行われる。
【0021】
トランスファモジュール50は内部が矩形の筐体からなり、上述したようにロードロックモジュール20、21に接続されている。トランスファモジュール50は、ロードロックモジュール20に搬入されたウェハWを一のチャンバ60に搬送して所望の処理を施した後、ロードロックモジュール21を介して大気部10に搬出する。
【0022】
トランスファモジュール50の内部には、ウェハWを搬送するウェハ搬送機構70が設けられている。ウェハ搬送機構70は、ウェハWを保持して移動する搬送アーム71と、搬送アーム71を回転可能に支持する回転台72と、回転台72を搭載した回転載置台73とを有している。また、トランスファモジュール50の内部には、トランスファモジュール50の長手方向に延伸するガイドレール74が設けられている。回転載置台73はガイドレール74上に設けられ、ウェハ搬送機構70はガイドレール74に沿って移動可能に構成されている。
【0023】
そしてトランスファモジュール50では、ロードロックモジュール20に保持されたウェハWを搬送アーム71で受け取り、任意のチャンバ60に搬送する。また、チャンバ60で所望の処理が施されたウェハWを搬送アーム71が保持し、ロードロックモジュール21に搬出する。
【0024】
また減圧部11には、チャンバ60に対してガスを供給する複数、例えば本実施形態においては各チャンバ60に対応する6つのガスボックス80と、それぞれのガスボックス80(チャンバ60)に対するガスの供給を制御するガス制御ユニットを収容したメインガスユニット90と、が設けられている。それぞれのガスボックス80と対応するチャンバ60との間は、処理ガスの通流が可能な接続配管82によって接続される。
【0025】
なお本実施形態においては、上記6つのチャンバ60のそれぞれに接続され処理ガスを供給する6つのガスボックス80を合わせて、一のガスボックス群110と称する。なお、一のガスボックス群110におけるガスボックス80の数や配置は本実施形態に限定されず、任意に設定することができる。それぞれのガスボックス80はさらに、流量測定装置120に接続される。具体的には、それぞれのガスボックス80は、流量測定装置120としての後述する測定配管172に対して接続されている。
【0026】
以上のウェハ処理システム1には制御部122が設けられている。制御部122は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理システム1におけるウェハWのガス処理を制御するプログラムが格納されている。またプログラム格納部には、後述の処理ガスの供給動作を制御するプログラムが更に格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御部122にインストールされたものであってもよい。
【0027】
上記ウェハ処理システム1においては、ガスボックス80から供給される処理ガスの流量を測定するために、流量測定装置120が接続されている。流量測定装置120は、ビルドアップ法を用いた処理ガスの流量の測定において利用される、処理ガスの流路および、各種センサを提供している。以下、
図2を用いて本実施形態にかかるウェハ処理システム1における、流量測定装置120について説明する。
【0028】
図2は、本実施形態にかかるウェハ処理システム1における処理ガスの流路を構成する配管系を示す模式図である。なお、本明細書において「配管」は、内部に処理ガスを通流可能に構成されるものとする。それぞれの「配管」に処理ガスが供給される場合、当該「配管」の内部には処理ガスの「流路」を形成し得る。また、ウェハ処理システム1の構成要素のいずれかと「配管」のいずれか、または2以上の「配管」同士が接続される場合には、これらの内部において連続した「流路」が形成されるものとする。
【0029】
本実施形態において処理ガスは、各ガスボックス80から対応するチャンバ60に供給され、ウェハWの処理に供された後、排気装置130により排気されるウェハ処理流路Aか、または、各ガスボックス80から流量測定装置120に供給され流量を測定された後排気装置130により排気される測定流路Bか、いずれかの流路に供給される。ウェハ処理流路Aおよび測定流路Bについては、後述する。
【0030】
メインガスユニット90には、1又はそれ以上のガスをそれぞれのガスボックス80に供給するためのガスソース140及び流量制御部141が設けられている。一実施形態において、メインガスユニット90は、1又はそれ以上のガスを、それぞれに対応のガスソースからそれぞれに対応の流量制御部141を介してガスボックス80に供給するように構成される。各流量制御部141は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。なお、以下の説明においては、メインガスユニット90から供給される1又はそれ以上のガス含む混合ガスを、チャンバ60でのガス処理に用いられる、または流量測定装置120で流量を測定される「処理ガス」と呼称する。
【0031】
ガスボックス80は、複数の流量制御器142と、これらを接続し流路を形成する配管と、を含む。
【0032】
本実施形態において、ガスボックス80内の配管系は以下のように構成される。上記ガスソース140側を最も上流として、ガスソース140に上流側配管144が接続され、当該上流側配管144に複数の、本実施形態においては例えば4つ設けられる、流量制御器142が接続され、流量制御器142の下流側には下流側配管146が接続され、下流側配管146の下流にはチャンバ60および流量測定装置120が接続されている。なおガスボックス80にあっては、「上流側」とは処理ガスの供給経路上流側(ガスソース140側)を指し、「下流側」とは処理ガスの供給経路下流側(チャンバ60、流量測定装置120側)を指す。なお、
図2においては上記6つのガスボックス80の内、2つのガスボックスのみを図示し、他の4つは図示を省略する。
【0033】
流量制御器142は、上流側に流量制御器一次バルブ150が設けられ、流量制御器142は上流側配管144に対し、当該流量制御器一次バルブ150を介して接続されている。また、流量制御器は、下流側に流量制御器二次バルブ152が設けられ、流量制御器142は下流側配管146に対し、当該流量制御器二次バルブ152を介して接続されている。
【0034】
なお、ガスボックス80における流量制御器142の数や配置は本実施形態に限定されず、任意に設定することができる。それぞれの流量制御器142は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器142であってもよい。また、ガスソース140の数や配置は本実施形態に限定されず、任意に設定することができる。ガスソース140はメインガスユニット90の内部または外部のいずれに設けられていてもよい。
【0035】
下流側配管146は、上述の接続配管82に接続する、接続配管154を含む。なお、接続配管82には、第一出力バルブ156を含む。また、下流側配管146は、流量測定装置120に接続する接続配管160と、当該接続配管160に設けられる、第二出力バルブ162と、を含む。
【0036】
本実施形態にかかるガスボックス80においては、複数の流量制御器142のうち一の流量制御器142から処理ガスを供給する場合に、ウェハ処理流路Aにおいてチャンバに処理ガスを供給する場合は、第一出力バルブ156を開放するとともに第二出力バルブ162を閉鎖することで、処理ガスは接続配管154を通ってチャンバに供給される。逆に、測定流路Bにおいて流量測定装置120に処理ガスを供給する場合は、第二出力バルブ162を開放するとともに第一出力バルブ156を閉鎖することで、処理ガスは接続配管160を通って流量測定装置120に供給される。
【0037】
本実施形態にかかる流量測定装置120は、測定器170と、上流側において上記ガスボックス群110に接続し下流側において上記測定器170に接続する測定配管172と、を含む。
【0038】
上記測定配管172は、上流側においてガスボックス80のそれぞれにおける第二出力バルブ162に接続される複数の枝管174と、該複数の枝管174に設けられる枝管バルブ176と、上流側において該複数の枝管174のそれぞれに接続され下流側において測定器170に接続される主管178と、を含んでいる。なお流量測定装置120にあっては、「上流側」とは処理ガスの供給経路上流側(ガスボックス80側)を指し、「下流側」とは処理ガスの供給経路下流側(排気装置130側)を指す。
【0039】
枝管174は、各ガスボックス80につき1つ設ければよい。本実施形態においてはガスボックス80を6つ設けているため、枝管174は計6つ設ければよい。また、枝管バルブ176についても、各枝管174につき1つ設ければよい。
図2においては、図示しない他の4つのガスボックス80に対しても同様に枝管174が接続されるものとし、これら4つの枝管174については一部の図示を省略している。ただし、枝管174および枝管バルブ176の数や配置は本実施形態に限定されず、任意に設定することができる。例えばガスボックス80の数を変更する場合は、それに応じて枝管174の数を変更すればよい。また、上記ガスボックスの下流側配管146において流量測定装置120側の配管および第二出力バルブ162を複数設けるような場合には、それに応じて、各ガスボックスに接続する枝管174の数を変更してもよい。
【0040】
本実施形態においては、一のガスボックス群110に対して一の主管178を設ける。ウェハ処理システム1は一のガスボックス群110を有するため、主管178は1つ設ければよい。ただし、主管178の数や配置は本実施形態に限定されず、任意に設定することができる。
【0041】
測定器170は、上流側において測定器一次バルブ180を介して上記主管178に接続され、下流側において測定器二次バルブ182を介して後述する較正システム190に接続されている。該測定器170は、測定器170の内部の圧力を測定するように構成された一以上の、本実施形態においては2つの、圧力センサ184、186と、該測定器170の内部の温度を測定するように構成された温度センサ188と、を含む。
【0042】
本実施形態において測定器170は、内部に流路を形成し処理ガスを通流しうるように構成されている。したがって、上記圧力センサおよび温度センサが設けられる該測定器170の内部とは、測定器一次バルブ180と測定器二次バルブ182に挟まれた領域であって、処理ガスの流路を形成する測定器170自身の内部空間のことを指す。ただし、測定器170の構成は本実施形態に限定されず、任意に設定することができる。たとえば測定器170としては、処理ガスの通流を開放または閉鎖することが可能な上流側のバルブと下流側のバルブと、それらに挟まれた処理ガスの流路を構成する内部空間を備え、処理ガスの流路を構成する該内部空間の容積、圧力および温度が測定可能に構成されている任意の測定器170を採用することができる。
【0043】
本実施形態においては、流量測定装置120の下流には較正システム190を設けている。較正システム190は、基準器配管192、基準器194、基準器バルブ196を含む。基準器配管192は上流において測定器二次バルブ182に接続され、下流側において排気装置130に接続されている。基準器配管192には分岐路192aが設けられ、基準器194は該分岐路192aに対して、基準器バルブ196を介して接続される。
【0044】
排気装置130は、ウェハ処理流路Aおよび測定流路Bの下流において処理ガスを排気するよう構成されている。本実施形態では、各チャンバ60の下流側に接続される排気配管200と、測定器170の下流側、本実施形態においては基準器配管192の下流側において、排気装置バルブ201を介して接続される排気配管202とが設けられる。排気配管200には排気機構、本実施形態においては真空ポンプ203が接続されている。排気配管202には、複数の排気枝管202aを有する。排気配管200および排気枝管202aは、それぞれの上流に接続されているガスボックス80に対応するよう設けられている。これらの排気配管200および排気枝管202a上にはバルブ204およびバルブ206が設けられており、これらのバルブの開閉を制御することにより、それぞれの対応するガスボックス80から供給される処理ガスを個別に排気するよう制御することができる。なお、
図2においては、図示を省略するチャンバ60に対しても同様に下流側に排気配管200が接続されるものとし、これらの排気配管200についは一部図示を省略している。
【0045】
ここで、ウェハ処理流路Aおよび測定流路Bについて説明する。上記のように構成されるウェハ処理システム1において、ウェハ処理流路Aは、ガスソース140から供給される処理ガスが、各ガスボックス80の上流側配管144,流量制御器142、下流側配管146、接続配管82、チャンバ60および、排気配管200の内部を流れ、流路を形成するときの処理ガスの流路を指す。測定流路Bは、ガスソース140から供給される処理ガスが、各ガスボックス80の上流側配管144、流量制御器142、下流側配管146、測定配管172、測定器170、較正システム190および、排気配管202の内部を流れ、流路を形成するときの処理ガスの流路を指す。
【0046】
一実施形態において、一のガスボックス80からウェハ処理流路Aにおいて一のチャンバ60に処理ガスが供給される場合は、当該チャンバの下流に接続される一の排気配管200におけるバルブが開放され、当該一の排気配管200を介して処理ガスが排気されるように構成される。この場合に、上記一のガスボックス80から測定流路Bにおいて流量測定装置120に処理ガスが供給される場合は、上記一の排気配管200に接続される一の排気枝管202aにおけるバルブが開放され、当該一の排気枝管202aおよび上記一の排気配管200を介して処理ガスが排気されるように構成される。したがって、一のガスボックスから供給される処理ガスは、ウェハ処理流路Aおよび測定流路Bのいずれにおいても、合流後の上記一の排気配管200から排気することができる。合流後の上記一の排気配管200に対しては除害装置208が接続され、排気した処理ガスを除害する。
【0047】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0048】
本実施形態にかかるウェハ処理システム1は以上のように構成されている。次に、ウェハ処理システム1におけるウェハ処理方法としての、流量測定装置120を用いてガスの流量を測定する方法を、
図3および
図4を用いて説明する。
【0049】
図3は、一実施形態に係るガスの流量を求める方法を示す流れ図である。
図3に示す方法MTは、ウェハ処理システム1におけるガスの流量を求めるために、流量測定装置120を用いて実行される。ウェハ処理システム1は、上記および
図1,2に記載のものを用いることができる。なお方法MTにおいて、上記ウェハ処理システムの6つのガスボックスのうち一のガスボックスにおける、一の流量制御器142から出力される処理ガスの流量を測定するものとする。以下、単にガスボックスという場合は、測定に供される上記一のガスボックスを指し、単に流量制御器142という場合は、測定に供される上記一の流量制御器142を指すものとする。また単に枝管174、および枝管バルブ176という場合は、上記一のガスボックスに接続される枝管174および、当該枝管174に設けられる枝管バルブ176を指すものとする。ただし、ガスボックス群110における上記一のガスボックス以外の他のガスボックスから処理ガスが供給される場合についても同様の方法MTを採用することができる。
【0050】
方法MTは、工程ST1~工程ST16を含む。一実施形態において、方法MTは、工程ST1~工程ST16に加えて、工程STAを更に含み得る。一実施形態において、方法MTは、工程STBを更に含み得る。工程STAは、較正システム190を用いて流量測定装置120における測定器170の圧力センサおよび温度センサを較正する工程であり、特許文献1に記載の工程STAを用いてもよい。また、工程STBは、較正システム190を用いて測定器170の容量V3の信頼性を検証する工程であり、特許文献1に記載の工程STBを用いてもよい。
【0051】
図4は、
図3に示す方法に関するタイミング図である。
図4のタイミング図において、横軸は、時間を示し、縦軸は、測定器170における圧力の測定値、流量制御器二次バルブ152の開閉状態、測定器一次バルブ180の開閉状態、測定器二次バルブ182の開閉状態、及び、排気装置バルブ201の開閉状態を示している。
【0052】
方法MTの工程ST1では、ウェハ処理システムのすべてのバルブが閉じられた第0の状態が形成される。本実施形態においては、全てのバルブとは、複数のガスボックスにおける複数の流量制御器一次バルブ150、複数の流量制御器二次バルブ152、第一出力バルブ156、第二出力バルブ162、流量測定装置120における複数の枝管バルブ176、測定器一次バルブ180、測定器二次バルブ182、基準器バルブ196、排気装置バルブ201、バルブ204、およびバルブ206である。
【0053】
方法MTの工程ST2では、第1の状態から、まず流量制御器二次バルブ152、ガスボックス80の第二出力バルブ162、枝管バルブ176、測定器一次バルブ180、測定器二次バルブ182、排気装置130バルブ、及び排気管バルブが開かれる。続いて、ガスボックスにおける下流側配管146、測定配管172、測定器170、及び、基準器配管192が、排気装置130によって真空引きされる。
【0054】
上記工程ST1および工程ST2によると、本実施形態における測定配管172は、測定に供される上記一のガスボックス以外の他のガスボックスに接続されている枝管174における枝管バルブ176が閉じられ、測定に供される上記一のガスボックスに接続されている枝管174における枝管バルブ176が開かれている。このため測定配管172は、測定に供される上記一のガスボックス80に接続されている枝管174と、主管178と、上記一のガスボックス80以外の他のガスボックス80に接続されている枝管174における枝管バルブ176よりも下流側の当該枝管174と、の3つの領域からなる。換言すれば、当該測定配管172は、全ての枝管174と主管178を合わせた領域から、上記一のガスボックス80以外の他のガスボックス80に接続されている枝管174における枝管バルブ176の上流側の当該枝管174を除いた領域からなる。上記工程ST1と、以下の工程ST2~工程ST16において、測定配管172は、上記の領域からなる測定配管172の部分を指すものとする。
【0055】
続く工程ST3では、流量制御器一次バルブ150が開かれ、流量制御器142からのガスの供給が開始される。続く工程ST4では、流量制御器二次バルブ152と測定器二次バルブ182が閉じられる。工程ST4の実行により、ガスボックス80の流量制御器142から出力されたガスが、流量制御器二次バルブ152と測定器二次バルブ182との間で、即ち、ガスボックス80の下流側配管146、測定配管172、及び、測定器170の中で封入された第2の状態が形成される。
【0056】
続く工程ST5では、圧力センサ184及び/又は圧力センサ186によって測定器170内の圧力の測定値P11が取得される。測定値P11は、圧力センサ184によって取得された測定値と圧力センサ186によって取得された測定値の平均値であってもよい。なお、工程ST5では、圧力センサ184及び/又は圧力センサ186によって取得された測定値が安定しているときに、測定値P11が取得され得る。圧力センサ184及び/又は圧力センサ186によって取得された測定値は、その変動量が所定値以下である場合に、安定しているものと判断される。
【0057】
続く工程ST6では、流量制御器二次バルブ152と測定器二次バルブ182が開かれる。続く工程ST7では、ガスボックスの下流側配管、測定配管172、及び、測定器170の中の圧力が増加される。具体的に、工程ST7では、測定器二次バルブ182が閉じられる。即ち、工程ST7では、ガスボックスの流量制御器142から、ガスボックスの下流側配管、測定配管172、及び、測定器170にガスが供給され、且つ、測定器二次バルブ182が閉じられた第3の状態が形成される。この第3の状態では、ガスボックス80の下流側配管146、測定配管172、及び、測定器170の中の圧力が上昇する。
【0058】
続く工程ST8では、第3の状態から、流量制御器二次バルブ152が閉じられることにより、第4の状態が形成される。
【0059】
続く工程ST9では、圧力センサ184及び/又は圧力センサ186によって第4の状態における測定器170内の圧力の測定値P12が取得され、温度センサ188によって第4の状態における測定器170内の温度の測定値T12が取得される。測定値P12は、圧力センサ184によって取得された測定値と圧力センサ186によって取得された測定値の平均値であってもよい。なお、工程ST9では、圧力センサ184及び/又は圧力センサ186によって取得された測定値が安定しており、温度センサ188によって取得された測定値が安定しているときに、測定値P12及び測定値T12が取得されることとしてもよい。その場合、圧力センサ184及び/又は圧力センサ186によって取得された測定値の変動量が所定値以下である場合に、当該測定値が安定しているものと判断される。また、温度センサ188によって取得された測定値の変動量が所定値以下である場合に、当該測定値が安定しているものと判断される。
【0060】
続く工程ST10では、測定器一次バルブ180及び排気装置バルブ201が閉じられる。続く工程ST11では、測定器二次バルブ182が開かれる。工程ST10および工程ST11によると、測定器一次バルブ180が閉じられ、測定器二次バルブ182が開かれることにより、第5の状態が形成される。第5の状態では、第4の状態における測定器170内のガスが少なくとも部分的に排気される。一実施形態の第5の状態では、測定器170内のガスが部分的に基準器配管192に排出される。別の実施形態の第5の状態では、測定器170内のガスが基準器配管192を介して完全に排出されてもよい。
【0061】
続く工程ST12では、第5の状態から、測定器二次バルブ182が閉じられることにより、第6の状態が形成される。一実施形態では、工程ST12において測定器170内のガスを部分的に排気し第6の状態を形成することで、第6の状態における測定器170内の圧力が真空引きされた測定器170内の圧力よりも高くなるようにしてもよい。その場合、第4の状態において測定器170内に封入されていたガスが、部分的に排出されることにより、即ち、完全に排出されることなく、第6の状態が形成される。したがって、第4の状態から第6の状態を形成するために必要な時間長が短縮される。一実施形態では、ST12の後に排気装置バルブ201を開放する工程ST12aを追加し、工程ST11~工程ST12aを繰り返すことにより、測定器170内の圧力を低下させてもよい。
【0062】
続く工程ST13では、圧力センサ184及び/又は圧力センサ186によって第6の状態における測定器170内の圧力の測定値P13が取得される。測定値P13は、圧力センサ184によって取得された測定値と圧力センサ186によって取得された測定値の平均値であってもよい。なお、工程ST13では、圧力センサ184及び/又は圧力センサ186によって取得された測定値が安定しているときに、測定値P13が取得され得る。圧力センサ184及び/又は圧力センサ186によって取得された測定値は、その変動量が所定値以下である場合に、安定しているものと判断される。
【0063】
続く工程ST14では、第6の状態から、測定器一次バルブ180が開かれることにより、第7の状態が形成される。続く工程ST15では、圧力センサ184及び/又は圧力センサ186によって第7の状態における測定器170内の圧力の測定値P14が取得される。測定値P14は、圧力センサ184によって取得された測定値と圧力センサ186によって取得された測定値の平均値であってもよい。なお、工程ST15では、圧力センサ184及び/又は圧力センサ186によって取得された測定値が安定しているときに、測定値P14が取得され得る。圧力センサ184及び/又は圧力センサ186によって取得された測定値は、その変動量が所定値以下である場合に、安定しているものと判断される。
【0064】
続く工程ST16では、流量Qが求められる。流量Qは、第2の状態においてガスボックスの流量制御器142から出力されたガスの流量である。工程ST16では、流量Qを求めるために、以下の式(1)の演算が実行される。
Q=(P12-P11)/Δt×(1/R)×(V/T) …(1)
(1)式において、Δtは工程ST7の実行期間の時間長であり、Rは気体定数であり、(V/T)は、{V3/T12×(P12-P13)/(P12-P14)}を含む。
【0065】
一実施形態においては、工程ST16の具体的な演算は、下記の(1a)式の演算である。
Q=(P12-P11)/Δt×(1/R)×{Vst/Tst+V3/T12×(P12-P13)/(P12-P14)} …(1a)
(1a)式において、Vstは、ガスボックス80の流量制御器142の図示しないオリフィス部材と流量制御器二次バルブ152の弁体との間の流路の容積であり、予め定められた設計値である。Tstは、ガスボックスの流量制御器142のオリフィス部材と流量制御器二次バルブ152の弁体との間の流路内の温度であり、流量制御器142の温度センサによって取得される。なお、Tstは、第4の状態において取得される温度であり得る。なお、(1a)式において、(Vst/Tst)は省略されてもよい。
【0066】
方法MTでは、測定器二次バルブ182が閉じられた状態で、一のガスボックスの一の流量制御器142からのガスを、ガスボックスの下流側配管146、測定配管172、及び、測定器170に供給することにより圧力上昇を生じさせる。この圧力上昇の速度、即ち、圧力の上昇速度を、(1)式に用いることにより、流量制御器142から出力されたガスの流量が求められる。(1)式において、V/Tは、本来的には、(VE/TE)と(V3/T12)との和を含むべきである。即ち、(1)式の演算は、本来的には、以下の(1b)式であるべきである。
Q=(P12-P11)/Δt×(1/R)×(Vst/Tst+VE/TE+V3/T12)
…(1b)
ここで、VEは、ガスボックスの下流側配管の容積と測定配管172の容積の和であり、TEは、第4の状態におけるガスボックスの下流側配管及び測定配管172の中の温度である。
【0067】
ここで、ボイル・シャルルの法則から、以下の式(4)が成立する。
P12×VE/TE+P13×V3/T12=P14×VE/TE+P14×V3/T12
…(4)
(4)式から、(VE/TE)と(V3/T12)との和は、下記の(5)式に示すように表される。
VE/TE+V3/T12=V3/T12+V3/T12×(P14-P13)/(P12-P14)
=V3/T12×(P12-P13)/(P12-P14) …(5)
したがって、(1)式において、(VE/TE)と(V3/T12)との和の代わりに、V3/T12×(P12-P13)/(P12-P14)}を用いることができる。
【0068】
なお、流量Qは、ガスボックス80の全ての流量制御器142について求められてもよい。また、複数のガスボックス80の全てに対して、方法MTが順に実行されてもよい。
【0069】
なお、方法MTでは、工程ST1~ST16を実行するにあたり、一のガスボックス80における第二出力バルブ162を開放する場合に、他のガスボックス80における第二出力バルブ162が閉鎖されるように、ハードインターロックを構成することとしてもよい。上記ハードインターロックはさらに、一のガスボックス80における第二出力バルブ162を開放する場合に、一のガスボックス80および他のガスボックス80における第一出力バルブ156が閉鎖されるように構成されていてもよい。
【0070】
本実施形態における測定配管172は、工程ST1~工程ST16において、測定に供される上記一のガスボックス以外の他のガスボックスに接続されている枝管174における枝管バルブ176が閉じられ、測定に供される上記一のガスボックスに接続されている枝管174における枝管バルブ176が開かれている。このため工程ST1~工程ST16において、測定配管172は、測定に供される上記一のガスボックスに接続されている枝管174と、主管178と、上記一のガスボックス以外の他のガスボックスに接続されている枝管174における枝管バルブ176よりも下流側の当該枝管174と、の3つの領域からなる。換言すれば、当該測定配管172は、全ての枝管174と主管178を合わせた領域から、上記一のガスボックス以外の他のガスボックスに接続されている枝管174における枝管バルブ176の上流側の当該枝管174を除いた領域からなる。
【0071】
このため、上記測定配管172の領域の容積は、枝管バルブ176を設けないこととする場合の測定配管172の容積よりも小さく構成される。これにより工程ST1~工程ST16の内、測定配管172における処理ガスの排気および充てんを要する工程における、流量測定装置120内の圧力変化の応答性を向上させることができる。具体的には、工程ST2における真空引きに要する時間、工程ST4において第2の状態を形成するための工程ST3におけるガスの供給および圧力の安定化に要する時間、工程ST7における第3の状態での圧力の上昇および圧力の安定化に要する時間、などを短縮することができる。
【0072】
上記実施形態において、全ての枝管174に枝管バルブ176を設けることで、上記工程ST1~工程ST16の内、測定配管172における処理ガスの排気および充填を要する工程の応答性を向上させることを実現したが、他の実施形態によっても、上記応答性の向上を実現し得る。
【0073】
上記他の実施形態は、
図5に示す通り複数のチャンバ群と、当該複数のチャンバ群に対応する複数のガスボックス群を有するウェハ処理システムであってもよい。以下、
図5、
図6を用いて、当該他の実施形態におけるウェハ処理システム300、および、ウェハ処理方法について説明する。なお、上記他の実施形態において、
図1~
図4に示す上記一の実施形態におけるウェハ処理システム300と実質的に同様の構成要素には同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0074】
図5は、上記他の実施形態におけるウェハ処理システム300の構成の一例である。上記他の実施形態において、ウェハ処理システム300は、フロントトランスファモジュール302と、当該フロントトランスファモジュール302に接続される複数のチャンバ60、本実施形態においては6つのチャンバ60を含むフロントチャンバ群304と、当該フロントチャンバ群304に対応するフロントガスボックス群306と、リアトランスファモジュール310と、当該リアトランスファモジュール310に接続される複数のチャンバ60、本実施形態においては8つのチャンバ60を含むリアチャンバ群312と、当該リアチャンバ群312に対応するリアガスボックス群314を有している。
【0075】
フロントトランスファモジュール302は上記の一実施形態におけるトランスファモジュール50と同様、内部が矩形の筐体からなり、ロードロックモジュール20、21に接続されている。フロントトランスファモジュール302は、ロードロックモジュール20に搬入されたウェハWを一のチャンバ60に搬送して所望の処理を施した後、ロードロックモジュール21を介して大気部10に搬出する。
【0076】
リアトランスファモジュール310は上記一の実施形態におけるトランスファモジュール50と異なり、ロードロックモジュール20、21に接続されておらず、代わりにパスモジュール320が設けられており、当該パスモジュール320においてフロントトランスファモジュール302と接続されている。フロントトランスファモジュール302とリアトランスファモジュール310は、パスモジュール320を介してウェハWの受け渡しが可能なように構成されている。
【0077】
フロントガスボックス群306およびリアガスボックス群314は、いずれも一の流量測定装置120に接続される。以下、
図6を用いて本実施形態にかかるウェハ処理システム300における、流量測定装置120について説明する。
【0078】
図6は、上記他の実施形態にかかるウェハ処理システム300における処理ガスの流路を構成する配管系を示す模式図である。
【0079】
上記他の実施形態にかかるウェハ処理システム300においては、フロントガスボックス群306またはリアガスボックス群314の内の、一のガスボックス80から供給される処理ガスの流量を測定するために、流量測定装置120が接続されている。
【0080】
上記他の実施形態における流量測定装置120は、測定器170と、上流側において上記フロントガスボックス群306に接続するフロント測定配管330と、上流側において上記リアガスボックス群314に接続するリア測定配管332と、上流側において上記フロント測定配管330および上記リア測定配管332に接続し、下流側において上記測定器170に接続する合流配管334と、を含む。
【0081】
上記フロント測定配管330は、複数のフロント枝管340およびフロント主管342を含み、当該フロント枝管340のそれぞれにおいて、フロントガスボックス群306のガスボックス80のそれぞれに接続されている。また、上記リア測定配管332は、複数のリア枝管344およびリア主管346を含み、当該リア枝管344のそれぞれにおいて、リアガスボックス群314のガスボックスのそれぞれに接続されている。
【0082】
上記フロント主管342および上記リア主管346は、それぞれフロント主管バルブ350およびリア主管バルブ352を有する。
【0083】
排気装置130は、ウェハ処理流路Aおよび測定流路Bの下流において処理ガスを排気するよう構成されている。本実施形態では、各チャンバ60の下流側に接続される排気配管200と、基準器配管192の下流側に接続されるフロント排気配管360、リア排気配管362とが設けられ、これらには排気機構、本実施形態においては真空ポンプ203が設けられている。排気配管200、フロント排気配管360およびリア排気配管362は、それぞれの上流に接続されているガスボックス80に対応するよう設けられている。これらの排気配管200、フロント排気配管360、リア排気配管362上にはバルブが設けられており、これらのバルブの開閉を制御することにより、各対応するガスボックス80から供給される処理ガスを個別に排気するよう制御することができる。
【0084】
具体的には、フロント排気配管360は、上流側において基準器配管192に接続されるフロント排気主管364と、当該フロント排気主管364に接続される複数のフロント排気枝管366を含む。当該複数のフロント排気枝管366は、それぞれがバルブ206を備えている。そして、上記複数のフロント排気枝管366はそれぞれチャンバ60の下流に接続される排気配管200に合流するよう構成されている。リア排気配管362は、れぞれ、上流側において基準器配管192に接続されるリア排気主管368と、当該リア排気主管368に接続される複数のリア排気枝管370を含む。当該複数のリア排気枝管370は、それぞれがバルブ206を備えている。そして、上記複数のリア排気枝管370はそれぞれチャンバ60の下流に接続される排気配管200に合流するよう構成されている。
【0085】
ここで、上記他の実施形態におけるウェハ処理流路Aおよび測定流路Bについて説明する。上記のように構成されるウェハ処理システム300において、ウェハ処理流路Aは、ガスソース140から供給される処理ガスが、フロントガスボックス群306またはリアガスボックス群314における各ガスボックス80の上流側配管144,流量制御器142、下流側配管146、接続配管82、チャンバ60および、排気配管200の内部を流れるときの処理ガスの流路を指す。測定流路Bは、ガスソース140から供給される処理ガスが、フロントガスボックス群306の各ガスボックス80の上流側配管144,流量制御器142、下流側配管146、フロント測定配管330、測定器170、較正システム190、フロント排気配管360および、排気配管200の内部を流れるとき、または、ガスソース140から供給される処理ガスが、リアガスボックス群314の各ガスボックス80の上流側配管144,流量制御器142、下流側配管146、リア測定配管332、測定器170、較正システム190、リア排気配管362および、排気配管200の内部を流れるときの処理ガスの流路を指す。
【0086】
上記他の実施形態において、フロントガスボックス群306またはリアガスボックス群314における一のガスボックス80からウェハ処理流路Aにおいて一のチャンバ60に処理ガスが供給される場合は、当該チャンバ60の下流に接続される一の排気配管200におけるバルブが開放され、当該一の排気配管200を介して処理ガスが排気されるように構成される。この場合に、上記一のガスボックス80から測定流路Bにおいて流量測定装置120に処理ガスが供給される場合は、流量測定装置120の下流に接続されるフロント排気配管360またはリア排気配管362の、上記一の排気配管200に接続される一のフロント排気枝管366またはリア排気枝管370におけるバルブ206が開放され、当該一のフロント排気枝管366またはリア排気枝管370および上記一の排気配管200を介して処理ガスが排気されるように構成される。したがって、一のガスボックス80から供給される処理ガスは、ウェハ処理流路Aおよび測定流路Bのいずれにおいても合流後の一の排気配管200から排気される。
【0087】
本実施形態においては、フロント排気主管364およびリア排気主管368にはそれぞれフロント排気主管バルブ372およびリア排気主管バルブ374が設けられる。フロントガスボックス群306における一のガスボックス80から測定流路Bにおいて流量測定装置120に処理ガスが供給される場合、フロント排気主管バルブ372が開放され、リア排気主管バルブ374を閉鎖するよう構成されていてもよい。逆に、リアガスボックス群314における一のガスボックス80から測定流路Bにおいて流量測定装置120に処理ガスが供給される場合、リア排気主管バルブ374が開放され、フロント排気主管バルブ372を閉鎖するよう構成されていてもよい。
【0088】
上記他の実施形態にかかるウェハ処理システム300は以上のように構成されている。次に、ウェハ処理システム300におけるウェハ処理方法としての、流量測定装置120を用いてガスの流量を測定する方法MTについて説明する。
【0089】
方法MTは、ウェハ処理システム300におけるガスの流量を求めるために、流量測定装置120を用いて実行される。ウェハ処理システム300は、上記および
図5,6に記載のものを用いることができる。なお方法MTにおいて、上記ウェハ処理システム300のフロントガスボックス群306における6つのガスボックス80のうち一のガスボックス80における、一の流量制御器142から出力される処理ガスの流量を測定するものとする。以下、単にガスボックス80という場合は上記一のガスボックス80を指し、単に流量制御器142という場合は、上記一の流量制御器142を指す。ただし、フロントガスボックス群306における上記一のガスボックス80以外の他のガスボックス80から処理ガスが供給される場合や、リアガスボックス群314における8つのガスボックス80のうち一のガスボックス80から処理ガスが供給される場合についても同様の方法MTを採用することができる。
【0090】
方法MTは、工程ST1~工程ST16を含む。一実施形態において、方法MTは、工程ST1~工程ST16に加えて、工程STAを更に含み得る。一実施形態において、方法MTは、工程STBを更に含み得る。工程STAは、較正システムを用いて流量制御システムにおける測定器170の圧力センサ184、186および温度センサ188を構成する工程であり、特許文献1に記載の工程STAを用いてもよい。また、工程STBは、較正システムを用いて測定器170の容量V3の信頼性を検証する工程であり、特許文献1に記載の工程STBを用いてもよい。
【0091】
方法MTの工程ST1では、ウェハ処理システム300の以下のバルブが閉じられた第1の状態が形成される。本実施形態においては、上記閉じられるバルブとは、フロントガスボックス群306における、複数のガスボックス80の複数の流量制御器一次バルブ150、複数の流量制御器二次バルブ152、第一出力バルブ156、第二出力バルブ162、流量測定装置120におけるフロント主管バルブ350、リア主管バルブ352、測定器一次バルブ180、測定器二次バルブ182、基準器バルブ、排気装置バルブ201、フロント排気主管バルブ372、リア排気主管バルブ374、バルブ204および、バルブ206である。
【0092】
方法MTの工程ST2では、第1の状態から、まず流量制御器二次バルブ152、ガスボックス80の第二出力バルブ162、フロント主管バルブ350、測定器一次バルブ180、測定器二次バルブ182、排気装置バルブ201、フロント排気主管バルブ372、及びバルブ206が開かれる。続いて、ガスボックス80における下流側配管146、測定配管172、測定器170、及び、基準器配管192が、排気装置130によって真空引きされる。
【0093】
上記工程ST1および工程ST2によると、本実施形態における測定配管172は、測定に供される上記一のガスボックス80が含まれるフロントガスボックス群306に接続されるフロント測定配管330の、フロント主管バルブ350が開かれ、上記一のガスボックス80が含まれないリアガスボックス群314に接続されるリア測定配管332の、リア主管バルブ352が閉じられている。このため測定配管172は、測定に供される上記一のガスボックス80に接続されているフロント測定配管330と、合流配管334と、リアガスボックス群314に接続されているリア測定配管332のリア主管バルブ352よりも下流側の当該リア主管346と、の3つの領域からなる。換言すれば、当該測定配管172は、フロント測定配管330、リア測定配管332および合流配管334を合わせた領域から、リア測定配管332におけるリア主管バルブ352より上流側の当該リア測定配管332の領域を除いた領域からなる。工程ST1~工程ST16において、測定配管172は、上記の領域からなる測定配管172の部分を指すものとする。
【0094】
工程ST3~工程ST16については、上記の一実施形態にかかるウェハ処理システム300を用いたウェハ処理方法としてのガスの流量を測定する方法MTにおける工程ST3~工程ST16と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
上記他の実施例における測定配管172は、工程ST1~工程ST16において、測定に供される上記一のガスボックス80が含まれるフロントガスボックス群306に接続されるフロント測定配管330の、フロント主管バルブ350が開かれ、上記一のガスボックス80が含まれないリアガスボックス群314に接続されるリア測定配管332の、リア主管バルブ352が閉じられている。このため測定配管172は、測定に供される上記一のガスボックス80に接続されているフロント測定配管330と、合流配管334と、リアガスボックス群314に接続されているリア測定配管332のリア主管バルブ352よりも下流側の当該リア主管346と、の3つの領域からなる。換言すれば、当該測定配管172は、フロント測定配管330、リア測定配管332および合流配管334を合わせた領域から、リア測定配管332におけるリア主管バルブ352より上流側の当該リア測定配管332の領域を除いた領域からなる。
【0096】
このため、上記測定配管172の領域の容積は、フロント主管バルブ350およびリア主管バルブ352を設けないこととした場合の測定配管172の容積よりも小さく構成される。これにより工程ST1~工程ST16の内、測定配管172における処理ガスの排気および充てんを要する工程における、流量測定装置120内の圧力変化の応答性を向上させることができる。具体的には、工程ST2における真空引きに要する時間、工程ST4において第2の状態を形成するための工程ST3におけるガスの供給および圧力の安定化に要する時間、工程ST7における第3の状態での圧力の上昇および圧力の安定化に要する時間、などを短縮することができる。
【0097】
なお方法MTにおいて、流量Qは、ガスボックス80の全ての流量制御器142について求められてもよい。また、複数のガスボックス80の全てに対して、方法MTが順に実行されてもよい。また、リアガスボックス群314におけるガスボックスの全てに対して、方法MTが順に実行されてもよい。
【0098】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0099】
W ウェハ
1 ウェハ処理システム
60 チャンバ
62 チャンバ群
80 ガスボックス
110 ガスボックス群
120 流量測定装置
130 排気装置
170 測定器
172 測定配管
174 枝管
176 枝管バルブ
178 主管
180 測定器一次バルブ
182 測定器二次バルブ
184 圧力センサ
186 圧力センサ
188 温度センサ