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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183399
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】保護コーティングを有する物品
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20231220BHJP
   C04B 35/581 20060101ALI20231220BHJP
   C04B 41/87 20060101ALI20231220BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20231220BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20231220BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H01L21/68 R
C04B35/581
C04B41/87 F
C23C14/06 N
C23C14/50 A
C23C16/458
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023096373
(22)【出願日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】63/352,535
(32)【優先日】2022-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ホアキン・アギュラー・サンティラン
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ガオ
(72)【発明者】
【氏名】シャンカー・クタト
【テーマコード(参考)】
4K029
4K030
5F131
【Fターム(参考)】
4K029AA04
4K029AA21
4K029BA23
4K029BA44
4K029BB02
4K029BB08
4K029BC10
4K029BD01
4K029CA05
4K029DB03
4K029DC39
4K029EA01
4K029EA09
4K029JA01
4K029JA06
4K030GA02
4K030KA47
5F131AA02
5F131BA04
5F131CA68
5F131EB14
5F131EB25
5F131EB26
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
(57)【要約】
【課題】保護コーティングを有する物品を提供する。
【解決手段】本技術の様々な実施形態は、セラミック材料から形成された物品を提供する場合がある。この物品は、物品の一つ以上の表面を覆う保護コーティングをさらに含んでもよい。保護コーティングは、アルミニウムおよびマグネシウムを含む第一の層と、アルミナ、またはアルミナおよび酸化マグネシウムを含む第二の層とを含んでもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
窒化アルミニウムから形成され、かつ第一の表面および第二の表面を備える物品と、
少なくとも前記第一の表面を覆う保護コーティングであって、
アルミニウムおよびマグネシウムを含む第一の層と、
アルミナを含む第二の層と、を備える、保護コーティングと、を備える装置。
【請求項2】
前記第二の層が酸化マグネシウムをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第二の層における酸化マグネシウムとアルミナとの比が200:10である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第一の層における前記マグネシウムが1~500ppmの範囲の濃度を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第一の層が前記物品と直接接する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記保護コーティングが、130nm~170nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第一の層が、10nm~50nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第二の層が、50nm~170nmの範囲の厚さを有し、かつ30nm~40nmの範囲の直径を有するナノ結晶を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記保護コーティングが、第一の熱膨張係数(CTE)を有し、かつ前記物品が、第二のCTEを有し、前記第一のCTEが、25~50%の範囲だけ前記第二のCTEとは異なる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
静電チャックであって、
窒化アルミニウムを含む物品であって、第一の上向き表面および第二の反対向き表面を含む物品と、
前記第一の表面を覆う保護コーティングであって、
アルミニウムおよびマグネシウムを含む第一の層と、
アルミナを含む第二の層と、を備える保護コーティングと、
前記物品内に埋め込まれた複数の電極と、
前記物品内に埋め込まれた複数の発熱体と、をさらに備える、静電チャック。
【請求項11】
前記第二の層が酸化マグネシウムをさらに含み、かつ前記第二の層における酸化マグネシウムとアルミナとの比が200:10である、請求項10に記載の静電チャック。
【請求項12】
前記第一の層における前記マグネシウムが1~500ppmの範囲の濃度を有する、請求項10に記載の静電チャック。
【請求項13】
前記保護コーティングが、130nm~170nmの範囲の厚さを有する、請求項10に記載の静電チャック。
【請求項14】
前記第一の層が、10nm~50nmの範囲の第一の厚さを有し、かつ前記第二の層が、50nm~170nmの範囲の第二の厚さを有する、請求項10に記載の静電チャック。
【請求項15】
前記第二の層が、30nm~40nmの範囲の直径を有するナノ結晶を含む、請求項10に記載の静電チャック。
【請求項16】
システムであって、
反応器であって、
ウエハを保持するように構成され、かつセラミック材料から形成されるサセプタであって、
第一の上向き表面および第二の反対向き表面と、
前記第一の表面を覆う保護コーティングであって、
アルミニウムおよびマグネシウムを含む第一の層と、
前記第一の層を覆い、アルミナを含む第二の層と、を含む保護コーティングと、を備えるサセプタと、
前記サセプタの上方に配設されたシャワーヘッドアセンブリと、を備える反応器と、
前記反応器に結合され、かつ化学物質を含有するように構成されたソース容器と、を備える、システム。
【請求項17】
前記保護コーティングが、130nm~170nmの範囲の厚さを有する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第二の層が酸化マグネシウムをさらに含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記物品が、窒化アルミニウムから形成される本体と、前記本体内に埋め込まれた複数の電極と、を備える静電チャックを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記第二の層が、30nm~40nmの範囲の直径を有する多結晶性ナノ結晶を含む、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、保護コーティングを有する物品のための方法および装置に関する。より具体的には、本開示は、半導体製造設備で使用される、保護コーティングを有する静電チャックヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造で使用される静電チャック(ESC)ヒータは、その高い熱伝導率および電力消費制限から、窒化アルミニウム(AlN)などのセラミック材料で形成される場合がある。しかしながら、セラミック材料は、ESCヒータ上への染み、および/または不均一な堆積を引き起こす傾向があり、これにより、ESCヒータにおいて、性能上の問題(例えば、不均一な加熱)を引き起こす場合がある。したがって、前述の問題を防止する保護コーティングが望ましい場合がある。酸化アルミニウム(例えば、Al)は、優れた誘電特性を有し、化学的に中性であり、かつ良好なトライボロジー特性を有するため、保護コーティングのための良好な候補である。しかしながら、窒化アルミニウム基材上に酸化アルミニウムフィルムを形成する際に課題が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本技術の様々な実施形態は、セラミック材料から形成された物品を提供する場合がある。この物品は、物品の一つ以上の表面を覆う保護コーティングをさらに含んでもよい。保護コーティングは、アルミニウムおよびマグネシウムを含む第一の層と、アルミナ、またはアルミナおよび酸化マグネシウムを含む第二の層とを含んでもよい。
【0004】
一態様によれば、装置は、窒化アルミニウムから形成され、かつ第一の表面および第二の表面を備える物品と、少なくとも第一の表面を覆い、かつアルミニウムおよびマグネシウムを含む第一の層とアルミナを含む第二の層とを含む保護コーティングと、を備える。
【0005】
一実施形態では、第二の層は酸化マグネシウムをさらに含む。
【0006】
一実施形態では、第二の層における酸化マグネシウムとアルミナとの比は200:10である。
【0007】
一実施形態では、第一の層におけるマグネシウムは、1~500ppmの範囲の濃度を有する。
【0008】
一実施形態では、第一の層は物品と直接接する。
【0009】
一実施形態では、保護コーティングは、130nm~170nmの範囲の厚さを有する。
【0010】
一実施形態では、第一の層は、10nm~50nmの範囲の厚さを有する。
【0011】
一実施形態では、第二の層は、50nm~170nmの範囲の厚さを有し、また30nm~40nmの範囲の直径を有するナノ結晶を含む。
【0012】
一実施形態では、保護コーティングは、第一の熱膨張係数(CTE)を有し、また物品は、第二のCTEを有し、第一のCTEは、25~50%の範囲だけ第二のCTEとは異なる。
【0013】
別の態様によれば、静電チャックは、窒化アルミニウムを含む物品であって、第一の上向き表面と第二の反対向き表面とを備える物品と、第一の表面を覆い、かつアルミニウムおよびマグネシウムを含む第一の層とアルミナを含む第二の層と備える保護コーティングと、物品内に埋め込まれた複数の電極と、物品内に埋め込まれた複数の発熱体とを備える。
【0014】
一実施形態では、第二の層は酸化マグネシウムをさらに含み、第二の層における酸化マグネシウムとアルミナとの比は200:10である。
【0015】
一実施形態では、第一の層におけるマグネシウムは、1~500ppmの範囲の濃度を有する。
【0016】
一実施形態では、保護コーティングは、130nm~170nmの範囲の厚さを有する。
【0017】
一実施形態では、第一の層は、10nm~50nmの範囲の第一の厚さを有し、また第二の層は、50nm~170nmの範囲の第二の厚さを有する。
【0018】
一実施形態では、第二の層は、30nm~40nmの範囲の直径を有するナノ結晶を含む。
【0019】
さらに別の態様によれば、システムは、反応器であって、ウエハを保持するように構成され、かつセラミック材料から形成されるサセプタであって、第一の上向き表面および第二の反対向き表面と、第一の表面を覆う保護コーティングであって、アルミニウムおよびマグネシウムを含む第一の層と、第一の層を覆い、アルミナを含む第二の層と、を含む保護コーティングと、を備えるサセプタと、前記サセプタの上方に配設されたシャワーヘッドアセンブリと、を備える反応器と、反応器に結合され、かつ化学物質を含有するように構成されたソース容器と、を備える。
【0020】
一実施形態では、保護コーティングは、130nm~170nmの範囲の厚さを有する。
【0021】
一実施形態では、第二の層は酸化マグネシウムをさらに含む。
【0022】
一実施形態では、物品は、窒化アルミニウムから形成される本体と、本体内に埋め込まれた複数の電極とを含む静電チャックを含む。
【0023】
一実施形態では、第二の層は、30nm~40nmの範囲の直径を有する多結晶性ナノ結晶を含む。
【0024】
本明細書で開示される本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、本発明を例示することを意図し、また本発明を限定することを意図しない、特定の実施形態の図面を参照して以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本技術の一実施形態による装置を代表的に図示する。
図2図2は、本技術の実施形態による、マグネトロン電力とマグネシウム濃度との関係を図示するグラフである。
図3図3は、本技術の実施形態による保護コーティングの上面図の画像である。
図4図4は、本技術の一実施形態による装置を代表的に図示する。
図5図5は、本技術の一実施形態による装置を代表的に図示する。
図6図6は、本技術の一実施形態による装置を代表的に図示する。
図7図7は、本技術の一実施形態によるシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
当然のことながら、図内の要素は、簡潔かつ明瞭にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の相対サイズは、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【0027】
ここで、同様の参照番号が本開示対象の類似の構造的特徴または態様を特定する図面を参照する。
【0028】
下記に提供される例示的な実施形態の記述は、単に例示的なものであり、また図示の目的のみが意図されており、以下の記述は本開示の範囲または特許請求の範囲を限定することを意図しない。さらに、述べられた特徴を有する複数の実施形態の列挙は、追加的な特徴を有する他の実施形態、または述べられた特徴の異なる組み合わせを組み込む他の実施形態を除外することを意図しない。
【0029】
本開示は、保護コーティングを有する基板のための方法および装置に関する。より具体的には、本開示は、半導体製造設備で使用される、保護コーティングを有する静電チャックヒータに関する。
【0030】
本明細書で使用する場合、「物品」とは、その上に材料を堆積することができる表面を有する任意の材料を指すことができる。物品は、ウエハの処理に使用される静電チャックヒータを含むことができる。他の事例では、物品は、リフトピン、ガスケット、およびこれに類するものなど、任意の適切なワークピースを含むことができる。
【0031】
さらに本開示では、変数の任意の二つの数字は、その変数の実行可能な範囲を構成することができ、また示される任意の範囲は、端点を含んでもよく、または除外してもよい。加えて、示された変数の任意の値は(それらが「約」を有して示されているか否かにかかわらず)、正確な値またはおおよその値を指し、かつ等価物を含み、また平均値、中央値、代表値、または大多数、またはこれに類するものを指してもよい。さらに、この開示では、「含む」「によって構成される」、および「有する」という用語は、一部の実施形態で、「典型的にまたは広く含む」、「含む」、「から本質的に成る」、または「から成る」を独立して指す。本開示では、任意の定義された意味は、一部の実施形態で、通常および慣習的な意味を必ずしも排除するものではない。
【0032】
様々な実施形態において、また図1および図4図6を参照すると、装置100は、第一の表面および第二の表面を有する物品105を備えてもよく、第二の表面は第一の表面の反対側である。物品105は、セラミック材料(例えば、窒化アルミニウム(AlN))から形成してもよく、またはセラミック材料(例えば、窒化アルミニウム)を含んでもよい。
【0033】
様々な実施形態において、装置100は、ウエハ715を支持するように構成されたサセプタ705(図7)であってもよい。いくつかの実施形態では、サセプタ705は、電力を使用してウエハ715を保持またはクランプするために使用される静電チャックヒータであってもよい。こうした実施形態では、静電チャックヒータは、電界を形成するための複数の電極125を備えてもよい。このような場合、物品105は、発熱体130および物品105内に埋め込まれた温度センサ(例えば、熱電対)(図示せず)をさらに含んでもよい。発熱体130は、任意の適切なパターンを形成してもよい。温度センサは、基板の縁部、中間部、および/または物品105の中心の近くに位置してもよい。
【0034】
様々な実施形態において、装置100は、物品105の第一の表面を覆う保護コーティング110をさらに備えてもよい。保護コーティング110は、一つ以上の層を備えてもよい。例えば、保護コーティング110は、第一の層115および第二の層120を備えてもよく、第一の層115は、物品105の第一の表面上に直接配設され、また第二の層120は、第一の層115上に直接配設される。第一の層115は、アルミニウムおよびマグネシウムを含んでもよい。第一の層115におけるマグネシウム濃度は、1~500ppm(百万分率)の範囲内であってもよい。
【0035】
一実施形態では、第二の層120は、アルミナ(AlOx)のみを含んでもよい。別の実施形態では、第二の層120は、アルミナおよび酸化マグネシウムを含んでもよく、酸化マグネシウムとアルミナとの比はおおよそ200:10である。保護コーティング110の厚さは、130nm~170nmの範囲であってもよい。第一の層115の厚さは、10~50nmの範囲であってもよい。第二の層120の厚さは、50~170nmの範囲であってもよい。
【0036】
様々な実施形態において、保護コーティング110は、25~50%の差でAlN物品105とのCTE(熱膨張係数)の不一致を有してもよい。
【0037】
様々な実施形態において、装置100は、物品105と第一の層115との間に配設される第三の層(図示せず)をさらに備えてもよい。第三の層は、Yなどのイットリウム、またはイットリウムアルミニウムガーネットを含んでもよい。第三の層は、物品105と第一の層115との間の応力を低減する場合がある。
【0038】
様々な実施形態において、保護コーティング110は、物品105の複数の表面を覆ってもよい。例えば、保護コーティング110は、第一の表面および第二の表面を(例えば、図4に示すように)覆ってもよい。いくつかの実施形態では、保護コーティング110は、(例えば、図5に示すように)物品105を封入してもよい。いくつかの実施形態では、保護コーティング110は、表面、例えば、第一の表面の一部分を(例えば、図6に図示するように)覆ってもよい。
【0039】
保護コーティング110は、熱プロセス(例えば、熱原子層堆積)、マグネトロンスパッタリングシステム、またはフィルムの成長に適した任意の他のシステムを使用して薄膜を成長させることによって形成してもよい。
【0040】
マグネトロンスパッタシステムの場合、スパッタリングシステムは、高真空圧(P=2×10-8Torr、PO=1×10-8Pa.)で動作する場合がある。スパッタリングシステムは、4つの2インチのマグネトロンと、真空を失うことなく成長チャンバ内に物品105を導入するために使用されるロードロックを備えてもよい。第一の層115は、高純度Al(例えば、98~99.99%の範囲内)を使用して形成してもよい。物品105は、マグネトロンに隣接して配置されてもよく、マグネトロンは、物品105上の0.2%の標準偏差で均一な堆積を可能にする共焦点配向を有する。保護コーティング110の成長は、室温(例えば、20℃)で実施されてもよく、また金属堆積中のベース圧力は、おおよそ3×10-3Torrであってもよい。
【0041】
様々な実施形態において、マグネトロンスパッタリングは、50kW/cm2の電力密度を生成し、これにより、高いガス圧力(1~100Pa)で任意のセラミック標的の効率的な蒸発を提供する。この方法では、加熱源は点状であり、堆積される表面は蒸発した物体から距離を置くことができるため、マイクロ電子機器の過度の加熱を防止することができる。したがって、この方法により、セラミックコーティングを低温で堆積させることが可能になる。本方法は、物品上の電荷蓄積の問題を排除し、加えて、ガスの化学反応性を改善し、かつ本技術の表面化学量論的実施形態を維持して最高数十nm/分の速度で、保護コーティング110を物品105上に堆積させるプラズマを生成することをさらに含む。
【0042】
様々な実施形態において、保護コーティング110の成長は、AlおよびMgの共堆積によって行われる場合がある。無線周波数(rf)マグネトロンスパッタリングを使用した200WでのAl成長率は、おおよそ25nm/分とし得る。アルミニウム上の500ppmのMg濃度の堆積速度は、rf源を使用して50Wの電力で0.07nm/分に固定され得る。
【0043】
第一の層115の堆積後、酸素の真空圧力を1×10-5Paに下げて、熱力学的にAlOx膜(第二の層120)を形成してもよい。図3に示すように、走査電子顕微鏡による撮像によると、第二の層120は、30nm~40nmの範囲の直径を有し、平均直径が35nmのナノ結晶からなる。第二の層120は、低成長温度のため多結晶性である。
【0044】
様々な実施形態において、保護コーティング110は、その場で物品105上に堆積されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、保護コーティング110は、別の場所で基板上に堆積されてもよい。
【0045】
本技術の実施形態は、優れた誘電特性を有し、かつ攻撃的な媒体(例えば、反応性化学物質)で動作することができる一方で、高温に耐えることができる新しいセラミック複合材料(物品105、第一の層115、および第二の層120を含む)を含む装置を提供する。
【0046】
様々な実施形態において、保護コーティング110は、湿式化学物質によって、または機械的プロセスによって、物品105から除去され得るような犠牲コーティングであってもよい。その後、保護コーティング110は、所望により、物品105に再塗布されてもよい。
【0047】
様々な実施形態において、また、図7を参照すると、システム700は、反応器702および反応器702と通信するソース容器720を備えてもよい。ソース容器720は、ガスラインで反応器702に接続されてもよく、また固体または液体の化学物質を含有してもよい。ソース容器720からの蒸気またはガスは、ガスラインを通って反応器702に流れてもよい。反応器702は、サセプタ705およびシャワーヘッドアセンブリ710を備えてもよい。シャワーヘッドアセンブリ710は、サセプタ705の上方に配設されてもよく、またガスまたは蒸気を反応器702のチャンバに送達するように構成されてもよい。例えば、シャワーヘッドアセンブリ710は、複数の貫通孔を備えてもよい。
【0048】
本開示はある特定の実施形態および実施例の文脈で提供されてきたが、本開示は、具体的に記述される実施形態を超えて、本実施形態の他の代替的な実施形態および/または使用および明白な修正ならびにそれらの均等物にまで延長されることを当業者は理解するであろう。加えて、本開示の実施形態のいくつかの変形が示され、かつ詳細に記述されているが、本開示の範囲内にある他の修正は、本開示に基づいて当業者に対して容易に明らかとなるであろう。実施形態の特定の特徴および態様の様々な組み合わせまたは部分組み合わせが作製されてもよく、また依然として本開示の範囲に含まれてもよいこともまた企図される。当然のことながら、開示された実施形態の様々な特徴および態様は、本開示の実施形態の様々なモードを形成するために、互いに組み合わせまたは置き換えることができる。それ故に、本開示の範囲は、上述の特定の実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】