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特開2023-183409試験測定装置及び被試験デバイスの性能測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183409
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】試験測定装置及び被試験デバイスの性能測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 13/20 20060101AFI20231220BHJP
   G01R 13/02 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G01R13/20 L
G01R13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098605
(22)【出願日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/352,592
(32)【優先日】2022-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/208,562
(32)【優先日】2023-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジェイ・ピカード
(72)【発明者】
【氏名】カン・タン
(57)【要約】
【課題】被試験デバイスの性能測定値を、より正確に予測できるようにする。
【解決手段】試験測定装置10は、被試験デバイス(DUT)11から波形を受信する入力ポート13と、波形からノイズの一部を除去する第1及び第2ローパス・フィルタ18及び20と、プロセッサとを具える。プロセッサは、波形から波形パターンを選択し、波形のノイズを測定し、除去されたノイズのノイズ棒グラフを生成し、波形パターン及びフィルタ処理波形を用いて1つ以上のテンソル画像を生成し、ノイズ棒グラフを1つ以上のテンソル画像に追加して合成画像を生成し、この合成画像を深層学習ネットワーク30及び32に入力し、DUT11の予測値を受ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験測定装置であって、
該試験測定装置が被試験デバイス(DUT)から1つ以上の波形を受けられるようにする入力ポートと、
上記1つ以上の波形からノイズの一部を除去して1つ以上のフィルタ処理波形を生成する1つ以上のローパス・フィルタと、
1つ以上のプロセッサと
を具え、
該1つ以上のプロセッサが、
上記1つ以上の波形から1つ以上の波形パターンを選択させる処理と、
上記1つ以上の波形のノイズを測定し、上記1つ以上の波形から除去されたノイズのノイズ表現を生成する処理と、
上記1つ以上の波形パターン及び上記1つ以上のフィルタ処理波形を用いて上記1つ以上の波形に関する1つ以上の画像を生成する処理と、
上記1つ以上の波形に関する上記1つ以上の画像に上記ノイズ表現を追加して、少なくとも1つの合成画像を生成する処理と、
上記少なくとも1つの合成画像を1つ以上の深層学習ネットワークに入力する処理と、
上記1つ以上の深層学習ネットワークからDUTに関する1つ以上の予測値を受ける処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するように構成される試験測定装置。
【請求項2】
上記1つ以上のローパス・フィルタが、第1フィルタ処理波形を生成する第1ローパス・フィルタと、第2フィルタ処理波形を生成する第2ローパス・フィルタとを有し、上記少なくとも1つの合成画像を生成する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、
上記波形パターンと上記第1ローパス・フィルタからの上記第1フィルタ処理波形とを使用して上記波形に関するレベル画像を生成する処理と、
上記波形パターンと上記第2ローパス・フィルタからの上記第2フィルタ処理波形を使用して上記波形に関するパルス画像を生成する処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを有する請求項1の試験測定装置。
【請求項3】
上記ポートが、更に上記試験測定装置で上記DUTの温度データを受信することを可能にし、上記波形の夫々に関する上記合成画像が、上記温度データの表現を含む請求項1の試験測定装置。
【請求項4】
上記1つ以上の画像を生成する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、上記ノイズ表現を含めてレベル及びパルス画像を生成する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む請求項1の試験測定装置。
【請求項5】
上記1つ以上の波形に関する上記1つ以上の画像を生成する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、
基準動作パラメータの様々なセットで設定された上記DUTから夫々得られる1つ以上の波形を上記DUTから受信する処理と、
上記DUTからの上記1つ以上の波形の夫々に関するレベル及びパルス画像とレベル画像とを生成することによって上記1つ以上の画像を生成する処理と、
上記1つ以上の波形の夫々に関する上記レベル及びパルス画像、上記パルス画像及び上記ノイズ表現を上記DUTに関する上記少なくとも1つの合成画像中の異なるカラー・チャンネルに配置する処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む請求項1の試験測定装置。
【請求項6】
上記1つ以上の深層学習ネットワークに上記少なくとも1つの合成画像を入力する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、
レベル及びパルス画像とノイズ表現とを含む第1合成画像を上記1つ以上の深層学習ネットワークの中の第1深層学習ネットワークに入力する処理と、
レベル画像とノイズ表現とを含む第2合成画像を上記1つ以上の深層学習ネットワークの中の第2深層学習ネットワークに入力する処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む請求項1の試験測定装置。
【請求項7】
上記1つ以上のプロセッサが、
従来型試験を用いて複数の被試験デバイスからの複数の波形に関する性能測定値を取得する処理と、
上記複数の波形の夫々に関する上記少なくとも1つの合成画像から合成画像の少なくとも1つの配列を生成する処理と、
上記合成画像の少なくとも1つの配列に対応する性能測定値の少なくとも1つの配列を生成する処理と、
上記合成画像の少なくとも1つの配列及び上記性能測定値の少なくとも1つの配列を利用して、予測値を生成するように上記1つ以上の深層学習ネットワークをトレーニングする処理と
によって、上記1つ以上の深層学習ネットワークをトレーニングする処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するように更に構成される請求項1の試験測定装置。
【請求項8】
上記1つ以上の深層学習ネットワークをトレーニングする処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、更に、上記合成画像の少なくとも1つの配列に対応するフィルタ・タップ値の少なくとも1つの配列を生成する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む請求項7の試験測定装置。
【請求項9】
上記少なくとも1つの合成画像から上記合成画像の少なくとも1つの配列を生成する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、
レベル及びパルス画像の配列を生成する処理と、レベル画像の配列を生成する処理と、
レベル及び利得チューニング・パラメータの配列を生成する処理と、
上記レベル及びパルス画像の配列と上記フィルタ・タップ値の配列とを利用して、上記DUTのタップ動作パラメータを予測するように上記1つ以上の深層学習ネットワークの中の第1深層学習ネットワークをトレーニングする処理と、
上記レベル画像の配列と上記レベル及び利得チューニング・パラメータの配列とを利用して、上記DUTのレベル及び利得チューニング・パラメータを予測するように上記1つ以上の深層学習ネットワークの中の第2深層学習ネットワークをトレーニングする処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む請求項7の試験測定装置。
【請求項10】
上記1つ以上の予測値が、上記DUTに関する予測TDECQ、予測フィード・フォワード・イコライザ(FFE)タップ値又は動作パラメータ値を含む請求項1の試験測定装置。
【請求項11】
被試験デバイス(DUT)の性能を測定する方法であって、
上記DUTから1つ以上の波形を取得する処理と、
1つ以上のローパス・フィルタを上記1つ以上の波形に適用して、1つ以上のフィルタ処理波形を生成する処理と、
上記1つ以上の波形から、もし生成されていない場合には波形パターンを生成する処理と、
上記1つ以上の波形の中の少なくとも1つの波形のノイズを測定し、ノイズ表現を生成する処理と、
上記波形パターン及び上記1つ以上のフィルタ処理波形を用いて1つ以上の画像を生成する処理と、
上記ノイズ表現を上記1つ以上の画像に追加して、少なくとも1つの合成画像を生成する処理と、
上記少なくとも1つの合成画像を1つ以上の深層学習ネットワークに送信する処理と、
上記1つ以上の深層学習ネットワークから上記DUTの少なくとも性能測定値を含む上記DUTに関する1つ以上の予測値を受信する処理と
を具える被試験デバイスの性能測定方法。
【請求項12】
上記DUTの温度データを受信する処理と、
上記合成画像に温度データを含める処理と
を更に具える請求項11の被試験デバイスの性能測定方法。
【請求項13】
上記波形のノイズを測定する処理が、
上記波形から上記1つ以上のフィルタ処理波形の中の1つを減算して差分を生成する処理と、
上記差分の標準偏差を求める処理と、
上記標準偏差を利用して上記ノイズ表現を生成する処理と
を有する請求項11の被試験デバイスの性能測定方法。
【請求項14】
上記1つ以上のローパス・フィルタを適用する処理が、
第1カットオフ周波数を有する第1ローパス・フィルタを適用する処理と、
上記第1カットオフ周波数よりも高い第2カットオフ周波数を有する第2ローパス・フィルタを適用する処理と
を含む請求項11の被試験デバイスの性能測定方法。
【請求項15】
上記波形に関する1つ以上の画像を生成する処理が、
上記1つ以上のフィルタ処理波形の中の1つ及び上記波形パターンを用いて上記波形に関するレベル画像を生成する処理と、
上記1つ以上のフィルタ処理波形の別の1つ及び上記波形パターンを用いて上記波形に関するパルス画像を生成する処理と、
上記レベル画像及び上記パルス画像のうちの少なくとも1つと上記ノイズ表現とを含む1つ以上のテンソル画像を上記合成画像として構築する処理と
を有する請求項11の被試験デバイスの性能測定方法。
【請求項16】
上記1つ以上のテンソル画像を構築する処理が、
上記レベル画像及び上記ノイズ表現から、上記1つ以上の深層学習ネットワークのうちの1つに送られる第1テンソル画像を構築する処理と、
上記レベル画像、上記パルス画像及び上記ノイズ表現から、上記1つ以上の深層学習ネットワークのうちのもう1つ別のものに送られる第2テンソル画像を構築する処理と
を有する請求項15の被試験デバイスの性能測定方法。
【請求項17】
従来型試験を用いて複数の被試験デバイスからの複数の波形に関する性能測定値を取得する処理と、
上記複数の波形の夫々に関する上記少なくとも1つの合成画像から合成画像の少なくとも1つの配列を生成する処理と、
上記合成画像の少なくとも1つの配列に対応する性能測定値の少なくとも1つの配列を生成する処理と、
上記合成画像の少なくとも1つの配列及び上記性能測定値の少なくとも1つの配列を利用して、予測性能測定値を生成するように上記1つ以上の深層学習ネットワークをトレーニングする処理と
によって、上記1つ以上の深層学習ネットワークをトレーニングする処理を更に具える請求項11の被試験デバイスの性能測定方法。
【請求項18】
上記合成画像の少なくとも1つの配列を生成する処理が、
レベル及びパルス画像の配列を生成する処理と、
レベル画像の配列を生成する処理と、
上記レベル及びパルス画像の配列を使用して上記1つ以上の深層学習ネットワークの中の第1深層学習ネットワークをトレーニングする処理と、
上記レベル画像の配列を使用して上記1つ以上の深層学習ネットワークの中の第2深層学習ネットワークをトレーニングする処理と
を有する請求項17の被試験デバイスの性能測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験測定装置に関し、より詳細には、機械学習ネットワークを用いて、被試験デバイスの性能測定値をより正確に予測できる試験測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人による特許文献1及び2は、光トランシーバをチューニングするプロセスで機械学習コンポーネントを使用する試験測定システムについて説明しており、これは、光トランスミッタ又はトランシーバのTDECQ(Transmitter Dispersion Eye Closure Quaternary)値の測定又は予測を含んでいる。本願出願人による特許文献3は、TDECQ値又は他の測定値を予測するための機械学習システムのトレーニングと実行時(ランタイム)の両方で、テンソル画像として描かれたシンボル・パターンの短い区間のデータベースを使用することについて説明している。これらの各出願の全内容は、参照により、本願に組み込まれる。
【0003】
ノイズは、被試験デバイス(DUT)の特性評価に使用される多くの性能測定の大部分を占めている。例えば、TDECQ(Transmitter Dispersion and Eye Closure Quaternary)は、レシーバが信号に追加する可能性のある劣化を計算する。劣化には、ノイズ、シンボル間干渉(ISI)などが含まれる。従来の測定手法では、通常、TDECQ測定を行う前に波形データ(単に「波形」とも呼ぶ)からノイズを除去することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0311513号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2022/0311514号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2022/0373598号明細書
【特許文献4】特開2022-162977号公報
【特許文献5】特開2022-162978号公報
【特許文献6】特開2022-179459号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「テクトロニクス社製オシロスコープ」の紹介サイト、テクトロニクス、[online]、[2023年6月15日検索]、インターネット<https://www.tek.com/ja/products/oscilloscopes>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、機械学習を使用してDUTの性能を分析したり、動作/チューニング・パラメータに関する予測を提供したりするシステムでは、ノイズが問題を引き起こす可能性がある。これらのタイプの機械学習システムは、トレーニングと実行時に波形データを使用して、予測を行い、これには、誤差(エラー)の予測も含まれる。波形に高レベルのノイズが含まれている場合、機械学習システムのトレーニングの結果として、大きな誤差を含むが予測が生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
性能測定を行う際にノイズを除去しない従来の技術とは対照的に、本願で説明する実施形態は、取得した波形データを機械学習システムに送信する前に、取得した波形データから可能な限り多くのノイズを除去する。本願の実施形態は、フィルタ処理の前にノイズを測定し、ノイズの表現を保存する。本願の実施形態の機械学習システムは、学習と動作の両方に画像テンソルを使用しており、画像のより高速な分析を可能にする。本願の実施形態は、棒グラフ又はヒストグラムなどのノイズの表現を画像中に含む。波形からノイズを除去すると、テンソル画像中のノイズを考慮しつつも、予測誤差が許容レベルまで減少する。その結果、本願の実施形態では、測定値とチューニング・パラメータを機械学習で予測すると、誤差の標準偏差が小さくなる。
【0008】
本願の実施形態は、予測値を生成するために機械学習システムによって使用されるテンソル画像を生成する。テンソル画像は、レベル画像、パルス画像又はその両方から構成されても良い。機械学習システムは、これら画像を使用して、TDECQ(transmitter dispersion and eye closure quaternary)、フィード・フォワード・イコライザ・パラメータ又は動作パラメータ(本願では、チューニング・パラメータとも呼ぶ)などの性能測定のための予測値を生成する。チューニング・パラメータは、レベル及びゲインのチューニング・パラメータから構成されても良い。
【0009】
TDECQは、パフォーマンス測定の例を提供する。性能測定値を予測するために、深層学習ネットワークのトレーニングではノイズが考慮される。例えば、実施形態は、トレーニングに、従来のTDECQ測定値を実際の基準TDECQ値として使用する場合、波形からノイズを除去しない。しかし、そのTDECQ値でトレーニングして関連付けるために使用される波形の場合、プロセスは、波形をショート(短い)パターンのテンソル画像に入れる前に、波形からできるだけ多くのノイズを除去する。ノイズは、トレーニングに使用されるTDECQの値には含まれるが、ノイズは、トレーニングに使用される波形テンソル画像からは除去される。これにより、深層学習ネットワークは、予測されるパラメータ又は測定値に関連する波形の所望の特性をより正確に抽出できる。
【0010】
また、ノイズ値は、波形特徴抽出処理を妨げないように、画像内の棒グラフ又は他のノイズ表現に配置される。ノイズは、棒グラフ、ヒストグラムなど、何らかの種類のノイズ表現の形で、引き続き考慮される。これにより、予測結果がより正確で、偏差が少なく、より一貫性のある結果になる。
【0011】
棒グラフや円グラフなどのノイズを表現するグラフィック画像は、テンソル画像の別の部分、例えば、画像の境界又は未使用のカラー・チャンネルに配置される。このアプローチは、ノイズを扱うための独特な手法である。性能測定値予測では、予測を行う際に波形上のノイズを適切に考慮する。一方、トランスミッタ(TX)のチューニング・パラメータを予測する場合、ノイズは予測されるパラメータの値に影響を与えない場合がある。そのような場合、ノイズ棒グラフは必要ないが、それでも含まれていても良い。しかし、ゲイン制御などのパラメータの一部が、ノイズ・レベルに強く影響を与える場合では、ノイズ棒グラフによって、深層学習ネットワークがノイズ値を考慮できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、深層学習ネットワークをトレーニングするシステムの実施形態を示す。
図2図2は、被試験デバイスの性能測定値を予測するために深層学習ネットワークを使用するシステムの実施形態を示す。
図3図3は、深層学習ネットワークをトレーニングするシステムの別の実施形態を示す。
図4図4は、被試験デバイスの動作パラメータを予測するために深層学習ネットワークを使用するシステムの実施形態を示す。
図5図5は、温度及びノイズ・データを含むグレースケールのテンソル画像の例を示す。
図6図6は、被試験デバイスの動作パラメータを予測するための温度及びノイズ・データを含むハイパースペクトル・テンソル画像の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図4は、本開示のいくつか実施形態例による機械学習システム構成の実施形態を示す。1つの特徴は、2つの異なる帯域幅のローパス・フィルタを使用して、入力波形からノイズを除去することである。テンソルのレベル画像を生成するための波形には、示されている例では、1GHzのはるかに低いローパス・カットオフ周波数が使用される。パルス・ショート(short:短い)パターン画像の生成に用いられる波形には、以下に示す例では、25GHzという高いローパス・カットオフ周波数が使用される。これは、パルス応答を観測する際に、信号成分の帯域幅を高く維持する必要があるためである。両方のローパス・フィルタのカットオフ周波数は、特定のアプリケーションに対して固定されても良いし、より一般的なアプリケーション用のメニュー又はPI(プログラマチック・インタフェース)コマンドから設定されても良い。
【0014】
テンソル画像には、温度とノイズのいずれか又は両方の個別の棒グラフ又はその他の表現が含まれている。試験測定装置は、グレースケール画像又はカラー・ハイパースペクトル画像(波長毎に分解したカラー画像)を生成するので、ノイズ表現を3つのカラー・チャンネルの全てに配置するか、任意の単一のカラー・チャンネルに配置するか、又は、カラー・チャンネルの任意の組み合わせに配置することができる。温度とノイズの表現は、棒グラフ以外の様々な形式のいずれかを取ることができる。
【0015】
ショート・パターン・テンソル画像中のノイズ表現によるノイズ推定は、斬新な方法で処理される。一実施形態では、上記の低い方のカットオフ周波数から生じるローパス波形が入力波形から減算され、この差分の標準偏差がノイズ推定値となる。これにより、PAM4波形パターンが差し引かれ、フィルタの1GHz通過帯域の全てのノイズが差し引かれる。よって、この差分は、元の波形の1GHzを超えるハイパス帯域にあるノイズである。
【0016】
このアプローチの新規性には、2つの側面がある。まず、全帯域幅の信号中の「実際の」ノイズである必要はない。深層学習ネットワークが性能(パフォーマンス)測定に関連してノイズを適切に考慮するために、その全帯域幅ノイズに比例した相対的な測定値でありさえすれば良い。出力する予測の中には、ノイズと無関係なものもある。従って、ノイズ表現の形にすることで、波形図又は波形表示から分離され、深層学習ネットワークは、予測された測定値に関連付ける必要のある特徴をより正確に抽出できる。
【0017】
図1図4のシステムの実施形態を参照すると、このシステムは、以下のコンポーネントのいくつかを有していても良い。これらブロック図では、同じ又は同様のコンポーネントには同じ参照番号を使用し、実施形態間で異なるコンポーネントは、異なる参照番号で示されている。実施形態は、デジタル・オシロスコープなどの試験測定装置10と、機械学習システム12とを利用する。典型的には、試験測定装置10は、製造フロア上の顧客の試験システムとインタフェースを介して接続でき、このとき、顧客の試験システムは、複数の被試験デバイス(DUT)の試験及び検証を並行して実行する。
【0018】
機械学習システムは、試験測定装置と一体で存在しても良いが、通常は、別個のコンピューティング・システムに存在する。従って、システムは、1つ以上のプロセッサを有し、このとき、各コンピューティング・システムに少なくとも1つのプロセッサがあり、多くの場合、各コンピューティング・システムが、2つ以上のプロセッサを有しても良い。以下で説明する様々なコンポーネントは、システム内の1つ以上のプロセッサによって実行されるプログラムの形態であっても良い。
【0019】
試験測定装置10は、1つ以上のDUTとインタフェースを介して接続するポート13を有し、試験測定装置10が、被試験デバイス(DUT)11から入力信号を波形データとして取得できるようにする。波形データ(以下、単に「波形」とも呼ぶ)は、典型的には、ポート13で受けたDUT11からのアナログの入力信号を試験測定装置10内のアナログ・デジタル・コンバータ等(図示せず)を用いて、入力信号に対応するデジタル波形データに変換したものである。一実施形態では、DUT11は、光信号を波形として出力する光トラスミッタを有しても良いが、動作中に電気的な信号を波形として生成する任意のタイプの電子的なDUTであっても良い。波形に加えて、試験測定装置10は、各DUT11の温度センサ又は試験環境にある温度センサから温度を受信することもできる。
【0020】
従来型の性能測定モジュール14は、入力信号(つまり、オリジナルの波形)を受信する。図1は、トレーニング環境において、TDECQなどの性能(パフォーマンス)測定値と、これに関連するFFE(Feed Forward Equalizer)タップを予測するために使用されるシステムを示す。例えば、テクトロニクス社が販売するオシロスコープの中は、TDECQを測定する機能を有するものがある。トレーニング中、従来型性能測定モジュール14は、テクトロニクス社のサンプリング・オシロスコープの一部など、現在利用可能な試験測定装置中に存在する。
【0021】
このモジュールは、いくつかの工程を実行する。UI(ユニット・インターバル)毎に、波形を所望のサンプルにリサンプリングし、波形からクロックをリカバリし、波形パターンをデコードし、パターン・コードを波形に合わせ、TDECQ26のような性能測定値を計算し、最適化されたFFEタップ24を計算する。システムに入力される全ての波形が同じパターンを持つ必要があるため、モジュールはパターンを一度だけ計算する。本願のシステムは、出力パターンと出力波形を使用する。システムは、トレーニングには、従来の方法で測定されるTDECQと、最適化されたFFEタップ出力などの性能測定値のみを使用し、その後、深層学習ネットワーク30及び32は、これら性能測定値を予測することになる。
【0022】
ノイズ測定ブロック16は、ノイズをフィルタ処理で除去する前に波形上のノイズを測定する。その測定値は、ノイズ表現を生成するテンソル・ビルダ・ブロックに入力される。ノイズ測定ブロック16は、入力されるオリジナルの波形から1GHzのローパス・フィルタで処理した波形を除去(引き算)する。この差分により、PAM4(4値パルス振幅変調)信号が除去され、1GHzより高い通過帯域のノイズが残って、フィルタ処理された波形が生成される。これは、ノイズ低減波形とも呼ばれる。ノイズ測定ブロック16は、高い通過帯域の差分の標準偏差を取り、それをノイズ推定値として使用する。システムは、このノイズ推定値に比例するサイズで、別の表現として棒グラフによってこれを表す。
【0023】
一実施形態では、試験測定装置は、第1ローパス・フィルタ18を使用し、生成するレベル画像を利用して、合理的に可能な限り多くノイズを除去し、フィルタ処理された波形を生成する。第1ローパス・フィルタ18のカットオフ周波数は、図では、1GHzの例を示すが、固定としても良いし、メニュー又はPIコマンドから制御しても良いし、DUT及び性能測定値に応じて変更しても良い。システムは、合理的に可能な限り多くのノイズを除去するために第2ローパス・フィルタ20を使用しても良く、このフィルタ処理された波形を使用して、パルス画像を生成しても良い。第1ローパス・フィルタ18と同様に、第2ローパス・フィルタ20のカットオフ周波数は、固定としても良いし、メニュー又はPIコマンドから制御しても良いし、DUT及び性能測定値に応じて変更しても良い。
【0024】
テンソル・ビルダ22は、グレースケール画像又はハイパースペクトル画像を生成し、これらは、深層学習ネットワークのトレーニングに使用されるか、又は、予測を出力するのために、トレーニング済みネットワークへ入力するために使用される。テンソル・ビルダ22は、システムの温度の入力値も受け、温度の棒グラフを生成してテンソル画像に合成する。また、テンソル・ビルダ22は、波形のノイズ値を入力として受け、ノイズの棒グラフ画像を生成してテンソル画像に合成する。性能測定値の実施形態に関し、図5は、レベル画像60、パルス画像62、ノイズ棒グラフ64及び温度棒グラフ66を有する画像例を示す。
【0025】
トレーニングのために、システムは、非常に多数の波形を処理する。各波形から、性能測定値と関連する値(TDECQのFFEタップなど)のテンソル画像を生成する。各テンソル画像は、テンソル画像の配列(array)の要素(member)となり、機械学習システム12中の1つ以上の深層学習(ディープ・ラーニング)ネットワークをトレーニングするのに使用される。一実施形態では、2つの深層学習ネットワーク、ネットワークA及びネットワークBがある。実際には、もっと多数のネットワークが存在しても良い。テンソルの配列には、メタデータの配列が関連付けられている。場合によっては、以下で説明するように、メタデータの配列は、機械学習システムから得たいと希望する予測値に応じて変化する。図1の実施例では、メタデータは、従来型の性能測定システムから受ける性能測定値(TDECQ値)及びフィルタ・タップを含む。別の実施形態では、メタデータが、DUTに関する最適化された動作パラメータ又はチューニング・パラメータ、チューニング・パラメータとタップ、そして、別途、DUTに関する利得とレベルを有しても良い。
【0026】
これら深層学習ネットワークは、入力されたテンソル画像を測定値又はトランスミッタ(TX)の最適化されたチューニング・パラメータの入力と関連付けるトレーニングを受ける。これら深層学習ネットワークは、トレーニング後、テンソル画像が入力され、測定値や最適化されたチューニング・パラメータ値の予測値が出力される。これらのネットワークは、ノイズを除去して得られる画像でトレーニングを受け、このとき、ノイズは、画像の一部に棒グラフ等で表現したものとして含まれている。上述したように、これにより、深層学習ネットワークは、所望のレベルの予測誤差を達成できる。
【0027】
ネットワークのアーキテクチャによっては、機械学習システムに送信される性能測定値が正規化されても良い。一実施形態では、値が0.8~-0.8の範囲に正規化される。図1の実施例では、測定モジュール14が2つの出力を有するので、システムは2つの正規化プロセス又はモジュール34及び36を有する。もし正規化を適用する場合には、実行時に出力される予測値を逆正規化する必要がある。トレーニングの目的では、ネットワークは値を出力しないため、何もする必要はない。逆正規化は、必要に応じて、深層学習ネットワークが予測値を提供する実行時に、適用された正規化の影響を除去する。これにより、予想される値の範囲が-1から1の範囲に変換され、予測値が実際の範囲に復元される。
【0028】
なお、図1の実施形態では、深層学習ネットワーク30及び32に入力されるテンソル画像には、外部に独立した形の正規化ブロックが使用されていないが、これは、使用する深層学習ネットワーク30及び32が、内部に正規化ブロックを有しているからであっても良い。これは、単に1つのバリエーションを示すもので、深層学習ネットワークは、機械学習システムに入力されるもの全てについて正規化機能を内部に有しているか、性能測定値の入力に関する外部の正規化機能と共にテンソル画像の正規化機能を内部に有しているか、又は、機械学習システム12への全ての入力に関して外部に正規化機能を有していても良い。
【0029】
図2は、実行(ランタイム)時における図1のネットワークを示す。試験測定装置10及び機械学習システム12への言及は、簡単のために省略しているが、この図でも、依然として当てはまる。図2では、機械学習システムが、性能測定値(この実施形態では、TDECQ測定値)及び関連するFFEタップを予測し、従来型の測定モジュールは、これらの測定値を生成しない。それでも、上述した他のタスクを実行し、パターンと波形を第1及び第2ローパス・フィルタとテンソル・ビルダ22に提供する。
【0030】
実行時、テンソル・ビルダ22は、深層学習ネットワーク30及び32に対して1つのテンソル画像のみを生成しても良い。次いで、これらのネットワークは、性能測定値とその他の関連する予測値を提供する。TDECQ測定値の場合、一方のネットワークがTDECQ測定値の予測値を提供し、もう1つのネットワークがFFEタップを提供しても良い。他の実施形態では、1つのネットワークのみが、別の性能測定値に関する1つの予測値を提供しても良い。逆正規化プロセス又はモジュール38及び40は、上述のように、必要に応じて、出力された予測値から、適用された正規化の影響を除去する。
【0031】
図1及び図2の実施形態は、テンソル画像のためにノイズを除去した波形を用いて、機械学習システムをトレーニング及び実行し、性能測定値を生成する、全体的なシステムと方法を示している。これは、トレーニングと動作のためにノイズを除去したデータを利用して動作するシステムの一例であり、このとき、テンソル画像は、ノイズを考慮しているが、レベル画像又はパルス画像中にはノイズが含まれていない。この手法は、図3及び図4に示すような、DUTの予測値を生成するために使用される他のネットワークにも適用されて良い。
【0032】
図3及び図4では、予測値は、DUTの動作パラメータ又はチューニング・パラメータを含む。これらのパラメータは、この実施形態では、光トランスミッタ(TX)に関するレベル及び利得と、光トランスミッタ内のフィルタのチューニング・タップを含む。しかし、これらの値は、これらのパラメータのうちの1つだけから構成されるとしても良いし、又は、これら値の全てが、完全に他のパラメータから構成されても良い。
【0033】
図3では、コンポーネントは同じままであるが、その動作は、トレーニングの一部において異なる。従来型の測定モジュール14は、所与の1つのDUTに関する特定の個数の波形を受信し、そして、複数のDUTから上記特定の個数の波形を受信し、トレーニング・セットを構築する。これら波形は、チューニング・パラメータの任意の個数の別々のセットから得られ、これらチューニング・パラメータのセットで、光トランスミッタを動作させて、トレーニング・セットを構築する。上述の特許出願で提示された1つのアプローチでは、DUTは、3つの異なるパラメータ・セット(平均パラメータ・セット、平均パラメータに何らかの値が付加された第1デルタ・セット及び平均パラメータから何らかの値が減算された第2デルタ・セット)のそれぞれについて1つの波形(合計で3つの波形)を生成する。ここで、第1及び第2デルタ・セットの値は、同じでも異なっても良い。
【0034】
これら3つの波形のそれぞれは、上述とほぼ同様に、ノイズ測定ブロック16でノイズ測定を行い、第1及び第2ローパス・フィルタ18及び20でノイズを低減し、ブロック24でTXチューニングFFEタップ・パラメータの配列を生成し、ブロック26でレベル/利得チューニング・パラメータの配列を生成し、正規化プロセス34及び36で必要に応じて正規化される。しかし、テンソル・ビルダ22は、単一のグレースケール画像を生成する代わりに、3つのカラー・チャンネルを有するハイパースペクトル画像を生成する。各カラー・チャンネルは、レベル画像70、パルス画像72、ノイズ棒グラフ74及び温度棒グラフ76を含む。
【0035】
図6は、このような画像の一例であり、本願では、特許庁の図面の仕様上、グレースケールで示すが、実際のものは、カラー画像である。レベル画像70では、3つの異なる色(赤、緑、青)が、トランスミッタの3つの異なる設定を表しており、各設定には4つのレベルがある。一実施形態では、赤チャンネルには、波形1からのショート波形パターン画像、緑チャンネルには、波形2からのショート波形パターン画像、青チャンネルには、波形3からのショート波形パターン画像が含まれていても良い。なお、図6では、レベル画像70の一部分についてのみ、夫々が何色(赤、緑、青)であるかを示しているが、パルス画像72と、レベル画像70の他の部分にも色が与えられている。パルス画像72では、これら3色(赤、緑、青)が、やはり、3つのトランスミッタ設定を表しており、各設定には3つのパルスが存在する。3色の関係は、実施形態によっては、変わることがある。画像の他の組み合わせや配置も可能である。
【0036】
図3に示すように、光トランスミッタ・チューニング・パラメータ及びフィルタ・タップの特定な実施形態に関して、テンソル・ビルダ22は、テンソル画像の2つの配列を生成する。第1テンソル画像配列42は、図6に示すようにパルス画像とレベル画像の両方を含む。このテンソル画像の配列と、関連するトランスミッタ(TX)のチューニング及びFFEタップ・パラメータの配列は、チューニング・パラメータとタップ値を予測するために、深層学習ネットワークC50をトレーニングする。第2テンソル画像配列44は、レベルのテンソル画像のみの配列であり、これは図6のテンソル画像に似ているが、パルス画像70が除去されている。この第2配列は、関連するレベル及び利得チューニング・パラメータのメタデータ配列と組み合わせて、深層学習ネットワークD52をトレーニングするのに利用され、もって、深層学習ネットワークD52が、レベル及び利得のチューニング・パラメータの予測値を提供できるようにする。
【0037】
図4は、実行(ランタイム)時に、DUTの動作パラメータ・パラメータ又はチューニング・パラメータを予測するシステムの実施形態を示す。図2と同様に、図3と比較すると、実行時の環境は、トレーニング時の環境とは、いくつかの違いがある。測定モジュール14は、再度、上記の3つの波形のような複数の波形を1つのDUTから受信する。システムは、ノイズを除去してノイズを測定し、テンソル・ビルダ22は、チューニング・パラメータの予測に使用するハイパースペクトル・テンソル画像を構築する。この実施形態では、テンソル・ビルダ22は、2つの単一のテンソル画像を生成し、その1つ目の画像は、レベル画像70及びパルス画像72を含む1つの単一のレベル&パルス・テンソル画像46であり、2つ目の画像は、レベル画像70のみを含む単一のレベル・テンソル画像48である。これら2つの形式のテンソル画像は、これら画像の各カラー・チャンネルに、ノイズと温度を表現したもの(例えば、棒グラフ)を含んでいる。
【0038】
深層学習ネットワークC50は、レベル&パルス・テンソル画像46を受けて、DUTのFFEタップ・チューニング・パラメータを予測する。得られた予測値は、上述と同様に、必要に応じて、逆正規化プロセス又はモジュール38で逆正規化されて、正規化の影響を除去しても良い。深層学習ネットワークD52は、レベル・テンソル画像を受けて、DUTのレベル/利得チューニング・パラメータを予測する。得られた予測値は、上述と同様に、必要に応じて、逆正規化プロセス又はモジュール40で逆正規化されて、正規化の影響を除去しても良い。
【0039】
このようにして、機械学習システムは、ノイズ除去波形から得られた情報を使用してDUTの予測値を生成できる。これにより、予測誤差が減り、機械学習の予測精度が向上する。上記の説明は、性能測定値及びチューニング・パラメータを予測する実施形態に焦点を当てているが、トレーニング及び予測のためのノイズ除去波形データの使用は、DUTの試験測定のための多種多様なシステムに適用されても良い。
【0040】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0041】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0042】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0043】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。
【0044】
加えて、本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0045】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0046】
開示された本件の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法のすべてのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴のすべてが要求されるわけではない。

実施例
【0047】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0048】
実施例1は、試験測定装置であって、該試験測定装置が被試験デバイス(DUT)から1つ以上の波形を受信できるようにする入力ポートと、上記1つ以上の波形からノイズの一部を除去して1つ以上のフィルタ処理波形を生成する1つ以上のローパス・フィルタと、1つ以上のプロセッサとを具え、該1つ以上のプロセッサが、上記1つ以上の波形から1つ以上の波形パターンを選択させる処理と、上記1つ以上の波形のノイズを測定し、上記1つ以上の波形から除去されたノイズのノイズ表現を生成する処理と、上記1つ以上の波形パターン及び上記1つ以上のフィルタ処理波形を用いて上記1つ以上の波形に関する1つ以上の画像を生成する処理と、上記1つ以上の波形に関する上記1つ以上の画像に上記ノイズ表現を追加して、少なくとも1つの合成画像を生成する処理と、上記少なくとも1つの合成画像を1つ以上の深層学習ネットワークに入力する処理と、上記1つ以上の深層学習ネットワークからDUTに関する1つ以上の予測値を受ける処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するように構成される。
【0049】
実施例2は、実施例1の試験測定装置であって、上記1つ以上のローパス・フィルタは、第1フィルタ処理波形を生成する第1ローパス・フィルタと、第2フィルタ処理波形を生成する第2ローパス・フィルタとを有し、上記少なくとも1つの合成画像を生成する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、上記波形パターンと上記第1ローパス・フィルタからの上記第1フィルタ処理波形とを使用して上記波形に関するレベル画像を生成する処理と、上記波形パターンと上記第2ローパス・フィルタからの上記第2フィルタ処理波形を使用して上記波形に関するパルス画像を生成する処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを有する。
【0050】
実施例3は、実施例1又は2のいずれかの試験測定装置であって、上記第1ローパス・フィルタは、上記第2ローパス・フィルタよりも低い通過帯域を有する。
【0051】
実施例4は、実施例1から3のいずれかの試験測定装置であって、上記ポートが、更に上記試験測定装置で上記DUTの温度データを受信することを可能にし、上記波形の夫々に関する上記合成画像が、上記温度データの表現を含む。
【0052】
実施例5は、実施例1から4のいずれかの試験測定装置であって、上記ノイズを測定する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、上記波形から上記フィルタ処理波形を減算して差分を求める処理と、上記差分の標準偏差を求める処理と、上記標準偏差を使用して上記ノイズ表現を生成する処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む。
【0053】
実施例6は、実施例1から5のいずれかの試験測定装置であって、上記1つ以上の予測値が、予測TDECQ(transmitter dispersion and eye closure quaternary)又は予測フィード・フォワード・イコライザ(FFE)タップ値を含む。
【0054】
実施例7は、実施例6の試験測定装置であって、上記1つ以上の画像を生成する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムは、上記ノイズ表現を含めてレベル及びパルス画像を生成する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む。
【0055】
実施例8は、実施例1から7のいずれかの試験測定装置であって、上記1つ以上の予測値が、上記DUTの動作パラメータ値を含む。
【0056】
実施例9は、実施例8の試験測定装置であって、上記1つ以上の波形に関する上記1つ以上の画像を生成する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、基準動作パラメータの様々なセットで設定された上記DUTから夫々得られる1つ以上の波形を上記DUTから受信する処理と、上記DUTからの上記1つ以上の波形の夫々に関するレベル及びパルス画像とレベル画像とを生成することによって上記1つ以上の画像を生成する処理と、上記1つ以上の波形の夫々に関する上記レベル及びパルス画像、上記パルス画像及び上記ノイズ表現を上記DUTに関する上記少なくとも1つの合成画像中の異なるカラー・チャンネルに配置する処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む。
【0057】
実施例10は、実施例8の試験測定装置であって、上記1つ以上の深層学習ネットワークに上記少なくとも1つの合成画像を入力する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、レベル及びパルス画像とノイズ表現とを含む第1合成画像を上記1つ以上の深層学習ネットワークの中の第1深層学習ネットワークに入力する処理と、レベル画像とノイズ表現とを含む第2合成画像を上記1つ以上の深層学習ネットワークの中の第2深層学習ネットワークに入力する処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む。
【0058】
実施例11は、実施例1から10のいずれかの試験測定装置であって、上記1つ以上のプロセッサが、従来型試験を用いて複数の被試験デバイスからの複数の波形に関する性能測定値を取得する処理と、上記複数の波形の夫々に関する上記少なくとも1つの合成画像から合成画像の少なくとも1つの配列を生成する処理と、上記合成画像の少なくとも1つの配列に対応する性能測定値の少なくとも1つの配列を生成する処理と、上記合成画像の少なくとも1つの配列及び上記性能測定値の少なくとも1つの配列を利用して、予測値を生成するように上記1つ以上の深層学習ネットワークをトレーニングする処理とによって、上記1つ以上の深層学習ネットワークをトレーニングする処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するように更に構成されている。
【0059】
実施例12は、実施例11の試験測定装置であって、上記1つ以上の深層学習ネットワークをトレーニングする処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、更に、上記合成画像の少なくとも1つの配列に対応するフィルタ・タップ値の少なくとも1つの配列を生成する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む。
【0060】
実施例13は、実施例11の試験測定装置であって、上記少なくとも1つの合成画像から上記合成画像の少なくとも1つの配列を生成する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、レベル及びパルス画像の配列を生成する処理と、レベル画像の配列を生成する処理と、レベル及び利得チューニング・パラメータの配列を生成する処理と、上記レベル及びパルス画像の配列と上記フィルタ・タップ値の配列とを利用して、上記DUTのタップ動作パラメータを予測するように上記1つ以上の深層学習ネットワークの中の第1深層学習ネットワークをトレーニングする処理と、上記レベル画像の配列と上記レベル及び利得チューニング・パラメータの配列とを利用して、上記DUTのレベル及び利得チューニング・パラメータを予測するように上記1つ以上の深層学習ネットワークの中の第2深層学習ネットワークをトレーニングする処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む。
【0061】
実施例14は、被試験デバイス(DUT)の性能を測定する方法であって、上記DUTから1つ以上の波形を取得する処理と、1つ以上のローパス・フィルタを上記1つ以上の波形に適用して1つ以上のフィルタ処理波形を生成する処理と、上記1つ以上の波形から、もし生成されていない場合には波形パターンを生成する処理と、上記1つ以上の波形の中の少なくとも1つの波形のノイズを測定してノイズ表現を生成する処理と、上記波形パターン及び上記1つ以上のフィルタ処理波形を用いて1つ以上の画像を生成する処理と、上記ノイズ表現を上記1つ以上の画像に追加して、少なくとも1つの合成画像を生成する処理と、上記少なくとも1つの合成画像を1つ以上の深層学習ネットワークに送信する処理と、上記1つ以上の深層学習ネットワークから上記DUTの少なくとも性能測定値を含む上記DUTに関する1つ以上の予測値を受信する処理とを具える。
【0062】
実施例15は、実施例14の方法であって、上記DUTの温度データを受信する処理と、上記合成画像に温度データを含める処理とを更に具える。
【0063】
実施例16は、実施例14又は15のいずれかの方法であって、上記波形のノイズを測定する処理が、上記波形から上記1つ以上のフィルタ処理波形の中の1つを減算して差分を生成する処理と、上記差分の標準偏差を求める処理と、上記標準偏差を利用して上記ノイズ表現を生成する処理とを有する。
【0064】
実施例17は、実施例14から16のいずれかの方法であって、上記1つ以上のローパス・フィルタを適用する処理が、第1カットオフ周波数を有する第1ローパス・フィルタを適用する処理と、上記第1カットオフ周波数よりも高い第2カットオフ周波数を有する第2ローパス・フィルタを適用する処理とを含む。
【0065】
実施例18は、実施例14から16のいずれかの方法であって、上記波形に関する1つ以上の画像を生成する処理が、上記1つ以上のフィルタ処理波形の中の1つ及び上記波形パターンを用いて上記波形に関するレベル画像を生成する処理と、上記1つ以上のフィルタ処理波形の別の1つ及び上記波形パターンを用いて上記波形に関するパルス画像を生成する処理と、上記レベル画像及び上記パルス画像のうちの少なくとも1つと上記ノイズ表現とを含む1つ以上のテンソル画像を上記合成画像として構築する処理とを有する。
【0066】
実施例19は、実施例18の方法であって、上記1つ以上のテンソル画像を構築する処理が、上記レベル画像及び上記ノイズ表現から、上記1つ以上の深層学習ネットワークのうちの1つに送られる第1テンソル画像を構築する処理と、上記レベル画像、上記パルス画像及び上記ノイズ表現から、上記1つ以上の深層学習ネットワークのうちのもう1つ別のものに送られる第2テンソル画像を構築する処理とを有する。
【0067】
実施例20は、実施例14から19のいずれかの方法であって、従来型試験を用いて複数の被試験デバイスからの複数の波形に関する性能測定値を取得する処理と、上記複数の波形の夫々に関する上記少なくとも1つの合成画像から合成画像の少なくとも1つの配列を生成する処理と、上記合成画像の少なくとも1つの配列に対応する性能測定値の少なくとも1つの配列を生成する処理と、上記合成画像の少なくとも1つの配列及び上記性能測定値の少なくとも1つの配列を利用して、予測性能測定値を生成するように上記1つ以上の深層学習ネットワークをトレーニングする処理とによって、上記1つ以上の深層学習ネットワークをトレーニングする処理を更に具える。
【0068】
実施例21は、実施例20の方法であって、上記合成画像の少なくとも1つの配列を生成する処理が、レベル及びパルス画像の配列を生成する処理と、レベル画像の配列を生成する処理と、上記レベル及びパルス画像の配列を使用して上記1つ以上の深層学習ネットワークの中の第1深層学習ネットワークをトレーニングする処理と、上記レベル画像の配列を使用して上記1つ以上の深層学習ネットワークの中の第2深層学習ネットワークをトレーニングする処理とを有する。
【0069】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0070】
10 試験測定装置
11 被試験デバイス(DUT)
12 機械学習システム
13 ポート
14 従来型性能測定モジュール
16 ノイズ測定ブロック
18 第1ローパス・フィルタ
20 第2ローパス・フィルタ
22 テンソル・ビルダ
24 FFEタップ・パラメータ配列生成ブロック
26 レベル/利得チューニング・パラメータ配列生成ブロック
28 テンソル画像配列生成ブロック
30 深層学習ネットワークA
32 深層学習ネットワークB
34 正規化プロセス又はモジュール
36 正規化プロセス又はモジュール
38 逆正規化プロセス又はモジュール
40 逆正規化プロセス又はモジュール
42 レベル&パルス・テンソル画像配列生成ブロック
44 レベル・テンソル画像配列生成ブロック
46 レベル&パルス・テンソル画像生成ブロック
48 レベル・テンソル画像生成ブロック
50 深層学習ネットワークC
52 深層学習ネットワークD
60 レベル画像
62 パルス画像
64 ノイズ棒グラフ
66 温度棒グラフ
70 ハイパースペクトル・レベル画像
72 ハイパースペクトル・パルス画像
74 ノイズ棒グラフ
76 温度棒グラフ
図1
図2
図3
図4
図5
図6