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  • 特開-乾燥機構 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183582
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】乾燥機構
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231221BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L21/304 651L
H01L21/68 N
H01L21/304 651B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097168
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】福岡 武臣
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA37
5F131BA52
5F131CA32
5F131EA06
5F131EA25
5F131EB02
5F157AA98
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB47
5F157AB51
5F157AB62
5F157AB90
5F157AC03
5F157AC23
5F157BB23
5F157BB45
5F157CB13
5F157CB15
5F157CB28
5F157DB32
5F157DB33
(57)【要約】
【課題】水分を含有する膜を迅速に乾燥させることが可能な乾燥機構を提供する。
【解決手段】水分を含有する膜が上面に設けられた板状物の下面側を保持した状態で保持テーブルを回転させながら、ドライヤによって除湿された気体をノズルから膜に向けて噴射することによって、膜を乾燥させることが可能な乾燥機構を提供する。すなわち、この乾燥機構においては、水分を含有する膜に向けてドライヤによって除湿された気体を噴射することによって、この膜を乾燥させる。これにより、水分を含有する膜を迅速に乾燥させることが可能となる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を含有する膜が上面に設けられた板状物の下面側を保持した状態で回転可能な保持テーブルと、該保持テーブルによって保持された該板状物の該上面に設けられた該膜に向けて気体を噴射可能なノズルと、気体供給路を介して該ノズルに該気体を供給可能な気体供給源と、を備える乾燥機構であって、
該気体供給路には、ドライヤが設けられ、
該膜が該上面に設けられた該板状物の該下面側を保持した状態で該保持テーブルを回転させながら、該ドライヤによって除湿された該気体を該ノズルから該膜に向けて噴射することによって、該膜を乾燥させる、
乾燥機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分を含有する膜に向けて気体を噴射して乾燥させるための乾燥機構に関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)等のデバイスのチップは、携帯電話及びパーソナルコンピュータ等の各種電子機器において不可欠の構成要素である。このようなチップは、例えば、表面に多数のデバイスが形成されたウェーハ(例えば、シリコンウェーハ)等の被加工物を個々のデバイスを含む領域毎に分割することで製造される。
【0003】
被加工物の分割に利用される装置としては、例えば、レーザー加工装置が挙げられる。このレーザー加工装置は、例えば、波長355nmのレーザービームを被加工物に照射してアブレーション(レーザーアブレーション)を生じさせることによって被加工物を加工(レーザー加工)する。
【0004】
ただし、被加工物においてレーザーアブレーションが生じると、被加工物を構成する材料(例えば、シリコン)の溶融物(デブリ)が飛散して、被加工物の被加工面に付着することがある。そして、デブリが被加工物の被加工面に付着すると、この被加工物を分割して得られるチップの品質が低下するおそれがある。
【0005】
この点に鑑み、被加工物をレーザー加工するのに先立って、被加工物の被加工面に保護膜を形成することが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。具体的には、この保護膜は、被加工物の被加工面に液状の保護膜剤が滴下された状態で被加工物を回転させることで被加工面の全域を保護膜剤からなる膜によって覆った後、この膜を乾燥させることによって形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-188475号公報
【特許文献2】特開2004-322168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように保護膜を形成する場合、保護膜剤からなる膜の乾燥に必要な時間が長くなることが多い。そして、この時間が長くなると、被加工物に対するレーザー加工のスループットが低くなる。この点に鑑み、本発明の目的は、水分を含有する膜(例えば、保護膜剤からなる膜)を迅速に乾燥させることが可能な乾燥機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、水分を含有する膜が上面に設けられた板状物の下面側を保持した状態で回転可能な保持テーブルと、該保持テーブルによって保持された該板状物の該上面に設けられた該膜に向けて気体を噴射可能なノズルと、気体供給路を介して該ノズルに該気体を供給可能な気体供給源と、を備える乾燥機構であって、該気体供給路には、ドライヤが設けられ、該膜が該上面に設けられた該板状物の該下面側を保持した状態で該保持テーブルを回転させながら、該ドライヤによって除湿された該気体を該ノズルから該膜に向けて噴射することによって、該膜を乾燥させる、乾燥機構が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の乾燥機構においては、水分を含有する膜に向けてドライヤによって除湿された気体を噴射することによって、この膜を乾燥させる。これにより、水分を含有する膜を迅速に乾燥させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、乾燥機構を含む洗浄機能付き塗布装置の一例を模式的に示す一部破断斜視図である。
図2図2は、気体噴射ノズルと連通する構成要素を模式的に示すブロック図である。
図3図3は、塗布装置を組み込んだレーザー加工装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、乾燥機構を含む洗浄機能付き塗布装置の一例を模式的に示す一部破断斜視図である。図1に示される塗布装置2は、保持テーブル4を有する。この保持テーブル4は、上面が露出した円盤状のポーラス板4aを有し、このポーラス板4aに置かれたフレームユニット11を吸引保持する機能を有する。
【0012】
保持テーブル4によって保持されるフレームユニット11は、被加工物13を有する。この被加工物13は、円状の表面13a及び裏面13bを有し、例えば、シリコン(Si)等の半導体材料からなるウェーハである。また、被加工物13は格子状に設定される複数の分割予定ライン15によって複数の領域に区画されており、各領域にはIC等のデバイス17が形成されている。
【0013】
また、被加工物13の裏面13bは、その直径が被加工物13の直径よりも長い円盤状のテープ19の中央領域に貼着されている。このテープ19は、例えば、可撓性を有するフィルム状の基材層と、基材層の一面(被加工物13側の面)に設けられた粘着層(糊層)とを有する。
【0014】
具体的には、この基材層は、ポリオレフィン(PO)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリスチレン(PS)等からなる。また、この粘着層は、紫外線硬化型のシリコーンゴム、アクリル系材料又はエポキシ系材料等からなる。
【0015】
また、テープ19の外周領域には、被加工物13よりも直径が長い円形の開口21aが形成されている環状のフレーム21が貼着されている。このフレーム21は、例えば、アルミニウム又はステンレス鋼等の金属材料からなる。
【0016】
また、保持テーブル4の周囲には、保持テーブル4を囲むチャンバ6が設けられている。このチャンバ6は、円筒状の外周壁6aと、外周壁6aの下端部から径方向内側に延在する環状の底壁6bと、底壁6bの内端部から立設される円筒状の内周壁6cとを有する。
【0017】
そして、底壁6bには排水口8が形成されており、この排水口8には下方に延在する排水管(不図示)が接続されている。また、底壁6bの下面には、複数(例えば、2つ)の支持脚10が固定されている。複数の支持脚10は、底壁6bの周方向に沿って概ね等しい角度の間隔で設けられ、チャンバ6を支持する。
【0018】
また、内周壁6cの内側に存在する円筒状の空間には、スピンドル12が上下に通されている。このスピンドル12は、保持テーブル4を支持するように、その上端部が保持テーブル4に連結されている。また、スピンドル12の下端部には、モータ等の回転駆動源が接続されており、この回転駆動源はハウジング14に収容されている
【0019】
そして、この回転駆動源を動作させると、保持テーブル4の上面の中心を通り、かつ、鉛直方向に沿った直線を回転軸としてスピンドル12及び保持テーブル4が回転する。また、ハウジング14は、昇降可能な態様で支持機構16によって支持されている。
【0020】
この支持機構16は、例えば、ハウジング14に取り付けられた複数(例えば、3つ)のエアシリンダ18を有し、各エアシリンダ18の下部には支持脚20が連結されている。そして、複数のエアシリンダ18を同時に動作させると、ハウジング14、スピンドル12及び保持テーブル4が昇降する。
【0021】
また、底壁6bには、底壁6bの周方向に沿って概ね等しい角度の間隔で3つの支持軸22a,24a,26aが通されている。各支持軸22a,24a,26aは、鉛直方向に沿って延在するパイプ状の部材である。また、各支持軸22a,24a,26aの底壁6bよりも下に位置する部分には、支持軸22a,24a,26aを回転させるためのモータ等の回転駆動源(不図示)が接続されている。
【0022】
また、各支持軸22a,24a,26aの上端部には、アーム22b,24b,26bの基端部が接続されている。各アーム22b,24b,26bは、平面視における支持軸22a,24a,26aの上端部から保持テーブル4の中央までの距離に相当する長さで、鉛直方向と直交する方向に沿って延在するパイプ状の部材である。そして、各アーム22b,24b,26bの先端部には、下方に向いたノズル22c,24c,26cが設けられている。
【0023】
さらに、ノズル(保護膜剤供給ノズル)22cは、アーム22b、支持軸22a及び保護膜剤供給路(不図示)等を介して、液状の保護膜剤を供給する保護膜剤供給源(不図示)に連通する。この保護膜剤は、例えば、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)又はポリビニルアルコール(Polyvinyl Alcohol)等の水溶性樹脂と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(Propylene Glycol Monomethyl Ether)等の有機溶剤とを含む溶液である。
【0024】
なお、水溶性樹脂は、保護膜剤からなる膜を乾燥させることによって形成される保護膜の主成分となる。また、有機溶剤は、保護膜剤の表面張力を低下させ、保護膜剤を被加工物に塗布した際の塗りムラを低減させる。さらに、保護膜剤には、フェルラ酸(Ferulic Acid)等の光吸収剤が添加されていてもよい。
【0025】
また、ノズル(気体噴射ノズル)24cは、アーム24b、支持軸24a及び気体供給路等を介して、空気、酸素、窒素又はアルゴン等の気体を供給する気体供給源に連通する。図2は、ノズル24cと連通する構成要素を模式的に示すブロック図である。
【0026】
ノズル24cと連通可能な気体供給源24dは、例えば、高圧気体を貯蔵するためのタンクと、タンクから供給される気体に混入した異物を取り除くためのフィルタと、タンクから供給される気体の圧力を調整するためのレギュレータとを含む。そして、気体供給源24dは、気体供給路に供給される気体の流量を制御するバルブ24eに接続されている。
【0027】
また、バルブ24eと支持軸24aとの間に位置する気体供給路には、この気体供給路を通る気体を除湿するためのドライヤ24fが設けられている。このドライヤ24fは、ドライヤ24fを通過した気体の露点温度を、例えば、-60℃以下にする。
【0028】
なお、このドライヤ24fの構成に制限はない。例えば、ドライヤ24fは、中空糸膜を含む膜式ドライヤ(メンブレンドライヤ)である。あるいは、ドライヤ24fは、熱交換器を含む冷凍式ドライヤ又はシリカゲル等の除湿剤を含む吸着式ドライヤであってもよい。
【0029】
また、図1に示されるノズル(洗浄液噴射ノズル)26cは、アーム26b、支持軸26a及び洗浄液供給路(不図示)等を介して、純水等の洗浄液を供給する洗浄液供給源に連通する。
【0030】
上述した塗布装置2においては、例えば、以下の順序で被加工物13の表面13aに保護膜が形成される。具体的には、まず、平面視において、ノズル22c,24c,26cが保持テーブル4の外側に位置付けられるように支持軸22a,24a,26aを回転させる。
【0031】
次いで、フレームユニット11の搬入搬出が容易な保持テーブル4の位置である搬入搬出位置に保持テーブル4が位置付けられるように、複数のエアシリンダ18を動作させて保持テーブル4を上昇させる。なお、図1においては、この時点の塗布装置2の外観が模式的に示されている。
【0032】
次いで、テープ19が下になるようにフレームユニット11を保持テーブル4に置く。次いで、保持テーブル4によってフレームユニット11を吸引保持する。次いで、被加工物13の表面13aがノズル22c,24c,26cよりも低い位置に位置付けられるように複数のエアシリンダ18を動作させて保持テーブル4を下降させる。
【0033】
次いで、ノズル(保護膜剤供給ノズル)22cを被加工物13の上方に位置付けるように支持軸22aを回転させる。次いで、保護膜剤供給源から、保護膜剤供給路、支持軸22a及びアーム22bを介してノズル22cに供給される所定量の保護膜剤を被加工物13の表面13aに滴下する。
【0034】
次いで、被加工物13の表面13aの全域が保護膜剤からなる膜によって覆われるように、ハウジング14に収容されているモータを動作させて保持テーブル4を回転させる。次いで、このモータの動作を停止させるとともに、平面視において、ノズル22cが保持テーブル4の外側に位置付けられるように支持軸22aを回転させる。
【0035】
次いで、ノズル(気体噴射ノズル)24cを被加工物13の上方に位置付けるように支持軸24aを回転させる。次いで、ハウジング14に収容されているモータを動作させて保持テーブル4を再び回転させるとともに、気体供給源24dから、バルブ24e、ドライヤ24fが設けられた気体供給路、支持軸24a及びアーム24bを介してノズル24cに供給される気体を被加工物13の表面13aに形成されている保護膜剤からなる膜に向けて噴射する。
【0036】
これにより、保護膜剤からなる膜が乾燥して保護膜が形成される。次いで、このモータの動作を停止させるとともに、平面視において、ノズル24cが保持テーブル4の外側に位置付けられるように支持軸24aを回転させる。次いで、搬入搬出位置に保持テーブル4が位置付けられるように複数のエアシリンダ18を動作させて保持テーブル4を上昇させる。
【0037】
次いで、保持テーブル4によるフレームユニット11の吸引を停止する。次いで、表面13aに保護膜が形成された被加工物13を含むフレームユニット11を保持テーブル4から搬出する。以上によって、塗布装置2における保護膜の形成が完了する。
【0038】
表面13aに保護膜が形成された被加工物13を含むフレームユニット11は、レーザー加工装置に搬送される。そして、このレーザー加工装置においては、複数の分割予定ライン15に沿って被加工物13を分割するようにレーザー加工が施される。また、このようにレーザー加工が施されると、塗布装置2において、例えば、以下の順序で、保護膜を洗い流すように被加工物13の表面13aが洗浄される。
【0039】
具体的には、まず、平面視において、ノズル22c,24c,26cが保持テーブル4の外側に位置付けられるように支持軸22a,24a,26aを回転させる。次いで、搬入搬出位置に保持テーブル4が位置付けられるように複数のエアシリンダ18を動作させて保持テーブル4を上昇させる。
【0040】
次いで、テープ19が下になるようにフレームユニット11を保持テーブル4に置く。次いで、保持テーブル4によってフレームユニット11を吸引保持する。次いで、被加工物13の表面13aがノズル22c,24c,26cよりも低い位置に位置付けられるように複数のエアシリンダ18を動作させて保持テーブル4を下降させる。
【0041】
次いで、ノズル(洗浄液供給ノズル)26cを被加工物13の上方に位置付けるように支持軸26aを回転させる。次いで、ハウジング14に収容されているモータを動作させて保持テーブル4を回転させるとともに、洗浄液供給源から、洗浄液供給路、支持軸26a及びアーム26bを介してノズル26cに供給される洗浄液を被加工物13の表面13aに形成されている保護膜に向けて噴射する。
【0042】
これにより、保護膜が洗い流されるとともに洗浄液によって被加工物13の表面13aが濡れる。次いで、このモータの動作を停止させるとともに、平面視において、ノズル26cが保持テーブル4の外側に位置付けられるように支持軸26aを回転させる。
【0043】
次いで、ノズル(気体噴射ノズル)24cを被加工物13の上方に位置付けるように支持軸24aを回転させる。次いで、ハウジング14に収容されているモータを動作させて保持テーブル4を再び回転させるとともに、気体供給源24dから、バルブ24e、ドライヤ24fが設けられた気体供給路、支持軸24a及びアーム24bを介してノズル24cに供給される気体を被加工物13の表面13aに向けて噴射する。
【0044】
これにより、被加工物13の表面13aが乾燥する。次いで、このモータの動作を停止させるとともに、平面視において、ノズル24cが保持テーブル4の外側に位置付けられるように支持軸24aを回転させる。次いで、搬入搬出位置に保持テーブル4が位置付けられるように複数のエアシリンダ18を動作させて保持テーブル4を上昇させる。
【0045】
次いで、保持テーブル4によるフレームユニット11の吸引を停止する。次いで、保護膜が洗浄されるとともに表面13aが乾燥した被加工物13を含むフレームユニット11を保持テーブル4から搬出する。以上によって、塗布装置2における被加工物13の表面13aの洗浄が完了する。
【0046】
上述した塗布装置2においては、保護膜剤からなる膜に向けてドライヤによって除湿された気体を噴射することによって、この膜を乾燥させる。これにより、保護膜剤からなる膜を迅速に乾燥させることが可能となる。
【0047】
同様に、上述した塗布装置2においては、保護膜の洗浄に伴って表面13aが濡れた被加工物13に向けてドライヤによって除湿された気体を噴射することによって、この表面13aを乾燥させる。これにより、被加工物13の表面13aを迅速に乾燥させることが可能となる。
【0048】
なお、上述した内容は本発明の一態様であって、本発明は上述した内容に限定されない。例えば、本発明においては、乾燥の対象となる膜は保護膜剤からなる膜に限定されず、水分を含有する膜であればどのようなものであってもよい。また、本発明においては、この膜が塗布される対象となる物は被加工物に限定されず、加工が施されることが予定されていない板状物であってもよい。
【0049】
また、本発明は、上述した塗布装置2から、ノズル(保護膜剤供給ノズル)22c及びそれに連通する構成要素と、ノズル(洗浄液供給ノズル)26c及びそれに連通する構成要素と、を取り除いた乾燥機構であってもよい。また、上述した塗布装置2は、この乾燥機構と、ノズル(保護膜剤供給ノズル)22c及びそれに連通する構成要素と、ノズル(洗浄液供給ノズル)26c及びそれに連通する構成要素と、を備えると表現することもできる。
【0050】
また、本発明は、上述した塗布装置2を組み込んだレーザー加工装置であってもよい。図3は、このようなレーザー加工装置の一例を模式的に示す斜視図である。なお、図3に示されるX軸方向(前後方向)及びY軸方向(左右方向)は、水平面上において直交する方向であり、Z軸方向(上下方向)は、X軸方向及びY軸方向に直交する方向(鉛直方向)である。
【0051】
図3に示されるレーザー加工装置28は、各構成要素を支持する基台30を有する。この基台30の角部には断面が矩形状の窪みが形成されており、この窪みの内側にはカセット32が載置されるカセットテーブル34が設けられている。なお、カセット32には、図1に示されるフレームユニット11が複数収容されている。
【0052】
また、この窪みの内側には昇降ユニット(不図示)が設けられており、この昇降ユニットはカセットテーブル34に連結している。そして、この昇降ユニットを動作させると、カセットテーブル34及びカセット32が昇降する。また、カセットテーブル34の側方には、Y軸方向に沿ってそれぞれが延在する一対の調整ガイドレール36が設けられている。
【0053】
一対の調整ガイドレール36の一方は、水平面に概ね平行な底壁と、底壁の、一対の調整ガイドレール36の他方から遠い側の端から立設される側壁とを備える。同様に、一対の調整ガイドレール36の他方は、水平面に概ね平行な底壁と、底壁の、一対の調整ガイドレール36の一方から遠い側の端から立設される側壁とを備える。さらに、一対の調整ガイドレール36のX軸方向における間隔は、調整可能である。
【0054】
また、一対の調整ガイドレール36の上方には、搬送ユニット38が設けられている。この搬送ユニット38は、フレームユニット11のフレーム21を保持することが可能な複数の吸引パッドを備える。また、搬送ユニット38のカセットテーブル34側の端には、フレーム21を把持することが可能な把持部が設けられている。
【0055】
この把持部は、カセット32からフレームユニット11を取り出す際等に利用される。具体的には、フレームユニット11のフレーム21を把持部によって把持した状態で搬送ユニット38がY軸方向に沿って移動することによって、フレームユニット11がカセット32から搬出されて一対の調整ガイドレール36上に置かれる。
【0056】
また、一対の調整ガイドレール36は、フレームユニット11の位置合わせに利用される。具体的には、一対の調整ガイドレール36の底壁にフレームユニット11が置かれた状態で一対の調整ガイドレール36のそれぞれの側壁をフレームユニット11に接触させるように両者のX軸方向における間隔を調整することによって、フレームユニット11の位置合わせが行われる。
【0057】
また、搬送ユニット38の吸引パッドは、一対の調整ガイドレール36の側方に設けられた塗布装置2に、位置合わせが行われたフレームユニット11を搬入する際等に利用される。具体的には、このフレームユニット11のフレーム21が吸引パッドを保持した状態で搬送ユニット38がY軸方向及びZ軸方向に沿って移動することによって、フレームユニット11が塗布装置2に搬入される。
【0058】
また、カセットテーブル34、一対の調整ガイドレール36及び塗布装置2の後方には、水平移動機構40が設けられている。この水平移動機構40は、基台30の上面に固定され、かつ、それぞれがY軸方向に沿って延在する一対のY軸ガイドレール42を有する。
【0059】
一対のY軸ガイドレール42の上面側には、一対のY軸ガイドレール42に沿ってスライド可能な態様でY軸移動プレート44が連結されている。また、一対のY軸ガイドレール42間には、Y軸方向に沿って延在するねじ軸46が配置されている。このねじ軸46の一端部には、ねじ軸46を回転させるためのモータ48が連結されている。
【0060】
また、ねじ軸46の螺旋状の溝が形成された表面には、回転するねじ軸46の表面を転がる多数のボールを収容するナットが設けられ、ボールねじが構成されている。すなわち、ねじ軸46が回転すると多数のボールがナット内を循環してナットがY軸方向に沿って移動する。
【0061】
さらに、このナットは、Y軸移動プレート44の下面側に固定されている。そのため、モータ48でねじ軸46を回転させれば、ナットとともにY軸移動プレート44がY軸方向に沿って移動する。また、Y軸移動プレート44の上面には、それぞれがX軸方向に沿って延在する一対のX軸ガイドレール50が固定されている。
【0062】
一対のX軸ガイドレール50の上面側には、一対のX軸ガイドレール50に沿ってスライド可能な態様でX軸移動プレート52が連結されている。また、一対のX軸ガイドレール50の間には、X軸方向に沿って延在するねじ軸54が配置されている。このねじ軸54の一端部には、ねじ軸54を回転させるためのモータ(不図示)が連結されている。
【0063】
また、ねじ軸54の螺旋状の溝が形成された表面には、回転するねじ軸54の表面を転がる多数のボールを収容するナット(不図示)が設けられ、ボールねじが構成されている。すなわち、ねじ軸54が回転すると多数のボールがナット内を循環してナットがX軸方向に沿って移動する。
【0064】
さらに、このナットは、X軸移動プレート52の下面側に固定されている。そのため、モータでねじ軸54を回転させれば、ナットとともにX軸移動プレート52がX軸方向に沿って移動する。
【0065】
X軸移動プレート52の上面側には、円柱状のテーブル基台56が配置されている。このテーブル基台56の上部には、フレームユニット11を吸引保持する保持テーブル58が配置されている。この保持テーブル58は、例えば、X軸方向及びY軸方向に対して平行な円状の上面(保持面)を有し、この保持面においてはポーラス板58aが露出している。
【0066】
また、保持テーブル58の下部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。そして、この回転駆動源を動作させると、保持面の中心を通り、かつ、Z軸方向に平行な直線を回転軸として、保持テーブル58が回転する。また、上述した水平移動機構40を動作させると、X軸方向及び/又はY軸方向に沿って保持テーブル58が移動する。
【0067】
さらに、ポーラス板58aは、保持テーブル58の内部に設けられた流路等を介してエジェクタ等の吸引源(不図示)と連通している。そして、この吸引源を動作させると、保持テーブル58の保持面近傍の空間に吸引力が作用する。これにより、例えば、テープ19が下になるように保持テーブル58に置かれたフレームユニット11を保持テーブル58で保持することができる。
【0068】
また、水平移動機構40の側方には、支持構造60が設けられている。そして、この支持構造60の側面(水平移動機構40側の面)には、アーム62の基端部が固定されている。また、アーム62の先端部には、レーザービーム照射ユニットのヘッド64が設けられている。
【0069】
このレーザービーム照射ユニットは、レーザー発振器(不図示)を有する。レーザー発振器は、例えば、Nd:YAG、Nd:YVO等で形成されたロッド状のレーザー媒質を含み、被加工物13に吸収される波長(例えば、355nm)のパルス状のレーザービームを出射する。そして、レーザー発振器から出射されたレーザービームは、所定の光学系を介して、ヘッド64に入射する。
【0070】
また、ヘッド64の内部には、ミラー(不図示)及び集光レンズ(不図示)等の光学系と、集光レンズの位置(高さ)を調整するためのボイスコイルモータ等の調整機構とが配置されている。そして、ヘッド64にレーザービームが入射すると、このレーザービームは、ミラーにより下方へ反射された後、集光レンズによって集光される。また、このレーザービームの集光点の位置(高さ)は、調整機構によって調整される。
【0071】
このレーザービームは、例えば、保持テーブル58によって保持されたフレームユニット11に含まれる被加工物13の表面13a近傍にレーザービームの集光点が位置付けられた状態で被加工物13に照射される。これにより、被加工物13においてレーザーアブレーションが生じて被加工物13の一部が除去される。
【0072】
さらに、レーザー加工装置28においては、塗布装置2、水平移動機構40及びヘッド64を含むレーザービーム照射ユニット等を囲むカバー66が設けられている。なお、図3においては、便宜上、カバー66の辺のみが二点鎖線で示されている。また、カバー66の側面には、タッチパネル68が設けられている。
【0073】
このタッチパネル68は、例えば、静電容量方式又は抵抗膜方式のタッチセンサ等の入力ユニットと、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示ユニット(報知ユニット)とによって構成され、ユーザインターフェースとして機能する。
【0074】
その他、上述した実施形態にかかる構造及び方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0075】
2 :塗布装置
4 :保持テーブル(4a:ポーラス板)
6 :チャンバ(6a:外周壁、6b:底壁、6c:内周壁)
8 :排水口
10 :支持脚
11 :フレームユニット
12 :スピンドル
13 :被加工物(13a:表面、13b:裏面)
14 :ハウジング
15 :分割予定ライン
16 :支持機構
17 :デバイス
18 :エアシリンダ
19 :テープ
20 :支持脚
21 :フレーム(21a:開口)
22a:支持軸、22b:アーム、22c:ノズル(保護膜剤供給ノズル)
24a:支持軸、24b:アーム、24c:ノズル(気体噴射ノズル)
24d:気体供給源、24e:バルブ、24f:ドライヤ
26a:支持軸、26b:アーム、26c:ノズル(洗浄液噴射ノズル)
28 :レーザー加工装置
30 :基台
32 :カセット
34 :カセットテーブル
36 :調整ガイドレール
38 :搬送ユニット
40 :水平移動機構
42 :Y軸ガイドレール
44 :Y軸移動プレート
46 :ねじ軸
48 :モータ
50 :X軸ガイドレール
52 :X軸移動プレート
54 :ねじ軸
56 :テーブル基台
58 :保持テーブル(58a:ポーラス板)
60 :支持構造
62 :アーム
64 :ヘッド
66 :カバー
68 :タッチパネル
図1
図2
図3