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  • 特開-プラズマ処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183583
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20231221BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H05H1/46 B
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097169
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】池田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】北原 聡文
【テーマコード(参考)】
2G084
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA05
2G084BB02
2G084BB05
2G084CC05
2G084CC06
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084CC25
2G084CC33
2G084DD42
2G084DD55
2G084FF02
2G084FF15
5F045AA08
5F045AB34
5F045AC01
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045DP03
5F045EB06
5F045EF05
5F045EH03
5F045EH18
(57)【要約】
【課題】プラズマ処理装置において電磁波の共振部のサイズを小さくする技術を提供する。
【解決手段】開示されるプラズマ処理装置は、チャンバ及び導波部を備える。導波部は、チャンバ内でプラズマを生成するために電磁波を伝播するように構成されている。導波部は、そこにおいて電磁波を共振させるように構成された共振部を含む。共振部は、マイクロストリップと誘電体部材を含む。誘電体部材の一部は、マイクロストリップの誘電体層を構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバ内でプラズマを生成するために電磁波を伝播するように構成された導波部であり、そこにおいて該電磁波を共振させるように構成された共振部を含む、該導波部と、
を備え、
前記共振部は、マイクロストリップと誘電体部材を含み、
前記誘電体部材の一部が、前記マイクロストリップの誘電体層を構成する、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記導波部は、
外側導体及び環状の鍔部を有し該外側導体の中に設けられた内側導体を含む同軸導波管と、
前記同軸導波管の一端において前記内側導体と前記外側導体との間の開口を閉じる蓋導体と、
を更に含み、
前記共振部は、
前記同軸導波管の前記一端と他端との間に設けられた前記誘電体部材と、
前記誘電体部材上に設けられたグランド導体と、
を更に含み、
前記マイクロストリップは、
前記鍔部であるマイクロストリップ導体と、
環形状を有し、前記マイクロストリップ導体上に設けられた前記誘電体層と、
前記グランド導体の一部であり、前記誘電体層上に設けられた環状グランド部と、
を含む、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記誘電体部材は、
前記鍔部の外縁と前記外側導体との間に介在し、前記同軸導波管の一端に向けて延びる第1の筒状部と、
前記内側導体に沿って前記鍔部から前記同軸導波管の一端に向けて延びる第2の筒状部と、
前記第1の筒状部と前記第2の筒状部との間で延びる前記誘電体層と、
を含む、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記誘電体部材は、前記誘電体層上、且つ、前記第1の筒状部と前記第2の筒状部との間の空洞である凹部を提供する、請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記グランド導体は、前記凹部の中で前記第1の筒状部に沿って延びる筒状グランド部を更に含む、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
同軸構造を有し、電源と前記同軸導波管との間で接続された電磁波の供給路を更に備え、
前記供給路は、前記鍔部に接続された中心導体を含む、
請求項2~5の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記同軸導波管は、前記チャンバの上方で鉛直方向に沿って延びており、
前記共振部は、前記鍔部の下面から上方に設けられている、
請求項2~5の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記同軸導波管の前記内側導体はガス供給管を構成している、請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記チャンバ内に設けられた基板支持部と、
金属から形成されており、前記チャンバ内の空間に向けて開口した複数のガス孔を提供し、前記基板支持部の上方に設けられたシャワーヘッドと、
誘電体から形成されており、電磁波をそこから前記チャンバ内に導入するように前記シャワーヘッドの外周又は前記チャンバの側壁に沿って設けられた導入部と、
を更に備え、
前記ガス供給管は、前記チャンバの上方で鉛直方向に延在して、前記シャワーヘッドの上部中央に接続されており、前記共振部に接続された導波路を該共振部と前記導入部との間で提供している、請求項8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記ガス供給管に接続された成膜ガスの第1のガス源と、
クリーニングガスの第2のガス源と、
前記第2のガス源と前記ガス供給管との間で接続されたリモートプラズマ源と、
を更に備える、請求項8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記成膜ガスは、シリコン含有ガスを含む、請求項10に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記クリーニングガスは、ハロゲン含有ガスを含む、請求項10に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置がデバイス製造において用いられている。下記の特許文献1は、VHF波を用いるプラズマ処理装置を開示している。VHF波は、給電部を介してチャンバに導入される。給電部は、共振部を含む。共振部は、一対の金属反射板を含む。一対の金属反射板は、VHF波の波長の1/4の間隔で配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-106290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマ処理装置において電磁波の共振部のサイズを小さくする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ及び導波部を備える。導波部は、チャンバ内でプラズマを生成するために電磁波を伝播するように構成されている。導波部は、そこにおいて電磁波を共振させるように構成された共振部を含む。共振部は、マイクロストリップと誘電体部材を含む。誘電体部材の一部は、マイクロストリップの誘電体層を構成する。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、プラズマ処理装置において電磁波の共振部のサイズを小さくする技術を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す断面図である。
図2】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の導波部の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す断面図である。図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の導波部の部分拡大断面図である。図1及び図2に示すプラズマ処理装置1は、電磁波によりプラズマを生成するように構成されている。電磁波は、VHF波又はUHF波である。VHF波の帯域は30MHz~300MHzであり、UHF波の帯域は300MHz~3GHzである。
【0010】
プラズマ処理装置1は、チャンバ10を備えている。チャンバ10は、内部空間を画成している。基板Wはチャンバ10の内部空間の中で処理される。チャンバ10は、その中心軸線として軸線AXを有している。軸線AXは、鉛直方向に延びる軸線である。
【0011】
一実施形態においては、チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいてもよい。チャンバ本体12は、略円筒形状を有しており、その上部において開口されている。チャンバ本体12は、チャンバ10の側壁及び底部を提供している。チャンバ本体12は、アルミニウムのような金属から形成されている。チャンバ本体12は、接地されている。
【0012】
チャンバ本体12の側壁は、通路12pを提供している。基板Wは、チャンバ10の内部と外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。通路12pは、ゲートバルブ12vによって開閉可能である。ゲートバルブ12vは、チャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
【0013】
チャンバ10は、上壁14を更に含んでいてもよい。上壁14は、アルミニウムのような金属から形成されている。上壁14は、後述する同軸導波管42と共にチャンバ本体12の上部の開口を閉じている。上壁14は、チャンバ本体12と共に接地されている。
【0014】
チャンバ10の底部は、排気口を提供している。排気口は、排気装置16に接続されている。排気装置16は、自動圧力制御弁のような圧力制御器及びターボ分子ポンプのような真空ポンプを含んでいる。
【0015】
プラズマ処理装置1は、基板支持部18を更に備えていてもよい。基板支持部18は、チャンバ10内に設けられている。基板支持部18は、その上に載置される基板Wを支持するように構成されている。基板Wは、略水平な状態で基板支持部18上に載置される。基板支持部18は、支持部材19によって支持されていてもよい。支持部材19は、チャンバ10の底部から上方に延びている。基板支持部18及び支持部材19は、窒化アルミニウム等の誘電体から形成され得る。
【0016】
プラズマ処理装置1は、シャワーヘッド20を更に備えていてもよい。シャワーヘッド20は、アルミニウムのような金属から形成されている。シャワーヘッド20は、略円盤形状を有しており、中空構造を有し得る。シャワーヘッド20は、その中心軸線として軸線AXを共有している。シャワーヘッド20は、基板支持部18の上方、且つ、上壁14の下方に設けられている。シャワーヘッド20は、チャンバ10の内部空間を画成する天部を構成している。
【0017】
シャワーヘッド20は、複数のガス孔20hを提供している。複数のガス孔20hは、チャンバ10の内部空間に向けて開口している。シャワーヘッド20は、その中にガス拡散室20cを更に提供している。複数のガス孔20hは、ガス拡散室20cに接続しており、ガス拡散室20cから下方に延びている。
【0018】
プラズマ処理装置1は、ガス供給管として、同軸導波管42の後述する内側導体421を備えていてもよい。内側導体421は、円筒形状の管として構成されている。内側導体421は、アルミニウムのような金属から形成されている。内側導体421は、シャワーヘッド20の上方において、鉛直方向に延在している。内側導体421は、その中心軸線として軸線AXを共有している。内側導体421の下端は、シャワーヘッド20の上部中央に接続している。シャワーヘッド20の上部中央は、ガスの入口を提供している。入口は、ガス拡散室20cに接続している。内側導体421は、ガスをシャワーヘッド20に供給する。内側導体421からのガスは、シャワーヘッド20の入口及びガス拡散室20cを介して、複数のガス孔20hからチャンバ10内に導入される。
【0019】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、第1のガス源24、第2のガス源26、及びリモートプラズマ源28を更に備えていてもよい。第1のガス源24は、内側導体421(即ち、ガス供給管)に接続されている。第1のガス源24は、成膜ガスのガス源であり得る。成膜ガスは、シリコン含有ガスを含んでいてもよい。シリコン含有ガスは、例えばSiHを含む。成膜ガスは、他のガスを更に含んでいてもよい。例えば、成膜ガスは、NHガス、Nガス、Arのような希ガス等を更に含んでいてもよい。第1のガス源24からのガス(例えば成膜ガス)は、内側導体421(即ち、ガス供給管)を介してシャワーヘッド20からチャンバ10内に導入される。
【0020】
第2のガス源26は、リモートプラズマ源28を介して、内側導体421(即ち、ガス供給管)に接続されている。第2のガス源26は、クリーニングガスのガス源であり得る。クリーニングガスは、ハロゲン含有ガスを含んでいてもよい。ハロゲン含有ガスは、例えばNF及び/又はClを含む。クリーニングガスは、他のガスを更に含んでいてもよい。クリーニングガスは、Arのような希ガスを更に含んでいてもよい。
【0021】
リモートプラズマ源28は、チャンバ10から離れた場所で第2のガス源26からのガスを励起させてプラズマを生成する。一実施形態では、リモートプラズマ源28は、クリーニングガスからプラズマを生成する。リモートプラズマ源28は、如何なるタイプのプラズマ源であってもよい。リモートプラズマ源28としては、容量結合型のプラズマ源、誘導結合型のプラズマ源、又はマイクロ波によってプラズマを生成する型のプラズマ源が例示される。リモートプラズマ源28において生成されたプラズマ中のラジカルは、内側導体421を介してシャワーヘッド20からチャンバ10内に導入される。
【0022】
ラジカルの失活を抑制するために、内側導体421(即ち、ガス供給管)は、比較的太い直径を有し得る。内側導体421の外径(直径)は、例えば40mm以上である。一例において、内側導体421の外径(直径)は80mmである。なお、内側導体421は、円筒形状を有しており、内側導体421の外径(直径)は、後述する鍔部421fの他の部分421aでの内側導体421の外径である。鍔部421fは、内側導体421の長手方向の一部を構成している。鍔部421fは、環形状を有しており、軸線AX中心に延在している。鍔部421fは、内側導体421の他の部分421aから径方向に突き出している。内側導体421は、後述する導波部40の一部を構成し得る。
【0023】
シャワーヘッド20は、上壁14から下方に離れている。シャワーヘッド20と上壁14との間の空間は、導波路30の一部を構成している。この導波路30は、内側導体421が、内側導体421と上壁14との間に提供している空間も含む。
【0024】
プラズマ処理装置1は、導入部32を更に備えていてもよい。導入部32は、酸化アルミニウムのような誘電体から形成されている。導入部32は、そこからチャンバ10内に電磁波を導入するようにシャワーヘッド20の外周に沿って設けられている。導入部32は、環形状を有する。導入部32は、シャワーヘッド20とチャンバ本体12との間の間隙を閉じており、導波路30に繋がっている。なお、導入部32は、チャンバ10の側壁に沿って設けられていてもよい。
【0025】
プラズマ処理装置1は、導波部40を更に備えている。導波部40は、チャンバ10内でプラズマを生成するために、電磁波を伝播するように構成されている。導波部40は、チャンバ10の上方に設けられ得る。
【0026】
プラズマ処理装置1は、電磁波の供給路36を更に備えていてもよい。供給路36は、導波部40に接続されている。一実施形態において、供給路36は、同軸構造を有している。即ち、供給路36は、中心導体361及び外側導体362を含んでいる。外側導体362は、略円筒形状を有している。外側導体362は、同軸導波管42の外側導体422に接続されている。中心導体361は、棒状をなしており、外側導体362の中で、外側導体362と同軸状に設けられている。供給路36は、誘電体部材363を更に含んでいてもよい。誘電体部材363は、中心導体361と外側導体362の間の間隙を埋めている。誘電体部材363は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成される。
【0027】
中心導体361は、内側導体421に接続されている。具体的に、中心導体361の一端は、鍔部421fに接続されている。なお、鍔部421fは、中心導体361の一部であってもよい。或いは、鍔部421fは、内側導体421と中心導体361から構成されていてもよい。
【0028】
プラズマ処理装置1は、整合器50及び電源60を更に備えていてもよい。中心導体361の他端は、整合器50を介して、電源60に接続されている。電源60は、電磁波の発生器である。整合器50は、インピーダンス整合回路を有する。インピーダンス整合回路は、電源60の負荷のインピーダンスを、電源60の出力インピーダンスに整合させるように構成される。インピーダンス整合回路は、可変インピーダンスを有する。インピーダンス整合回路は、例えばπ型の回路であり得る。
【0029】
プラズマ処理装置1において、電源60からの電磁波は、整合器50、供給路36(中心導体361)、導波部40、及びシャワーヘッド20の周りの導波路30を介して、導入部32からチャンバ10内に導入される。この電磁波は、第1のガス源24からのガス(例えば成膜ガス)をチャンバ10内で励起させて、プラズマを生成させる。
【0030】
導波部40は、共振部44を含む。導波部40は、同軸導波管42及び蓋体43(蓋導体)を更に含んでいてもよい。一実施形態において、同軸導波管42は、チャンバ10の上方で鉛直方向に沿って延びており、その中心軸線は、軸線AXである。同軸導波管42は、上述の内側導体421及び外側導体422を含んでいる。外側導体422は、アルミニウムのような金属から形成されており、略円筒形状を有している。内側導体421は、外側導体422の中で外側導体422と同軸状に設けられている。
【0031】
蓋体43は、アルミニウムのような金属から形成されており、同軸導波管42の一端(例えば上端)において内側導体421と外側導体422との間の開口を閉じている。蓋体43は、外側導体422に電気的に接続している。外側導体422の他端(例えば下端)は、上壁14に接続している。
【0032】
共振部44は、そこにおいて電磁波を共振させるように構成されている。共振部44は、マイクロストリップ45及び誘電体部材46を含む。共振部44は、同軸導波管42の一端(例えば上端)と他端(例えば下端)との間に設けられていてもよい。即ち、マイクロストリップ45及び誘電体部材46は、同軸導波管42の一端(例えば上端)と他端(例えば下端)との間に設けられていてもよい。一実施形態において、共振部44は、鍔部421fの下面から上方に設けられている。
【0033】
誘電体部材46は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成される。誘電体部材46は、その一部として、誘電体層463を含んでいる。誘電体層463は、マイクロストリップ45を構成している。このように、プラズマ処理装置1では、誘電体部材46の一部がマイクロストリップの誘電体層463を構成している。誘電体部材46の他の部分も共振部44を構成している。したがって、共振部44は、異なるインピーダンスを有する複数の部分を含んでいる。プラズマ処理装置1では、共振部44は、かかるマイクロストリップ45及び誘電体部材46により、そのサイズが小さくても、電磁波を共振させることが可能となる。
【0034】
一実施形態において、共振部44は、誘電体部材46に加えて、グランド導体48を更に含んでいてもよい。グランド導体48は、誘電体部材46上に設けられていてもよい。グランド導体48は、蓋体43に電気的に接続している。
【0035】
共振部44のマイクロストリップ45は、マイクロストリップ導体、誘電体層463、及び環状グランド部481を含んでいてもよい。マイクロストリップ45のマイクロストリップ導体は、上述の鍔部421fである。誘電体層463は、環形状を有しており、軸線AX中心に延在している。誘電体層463は、マイクロストリップ導体、即ち鍔部421f上に設けられている。環状グランド部481は、グランド導体48の一部でいる。環状グランド部481は、環形状を有しており、軸線AX中心に延在している。環状グランド部481は、誘電体層463上に設けられている。
【0036】
一実施形態において、誘電体部材46は、第1の筒状部461及び第2の筒状部462を更に含んでいてもよい。第1の筒状部461は、略円筒形状を有している。第1の筒状部461は、鍔部421fの外縁と外側導体422との間に介在しており、同軸導波管42の一端(例えば上端)に向けて延びている。第1の筒状部461の中心軸線は、軸線AXであり得る。
【0037】
第2の筒状部462は、略円筒形状を有している。第2の筒状部462は、第1の筒状部461の内側に設けられており、内側導体421に沿って鍔部421fから同軸導波管42の一端(例えば上端)に向けて延びている。第2の筒状部462の中心軸線は、軸線AXであり得る。
【0038】
誘電体層463は、第1の筒状部461と第2の筒状部462との間で延在している。誘電体層463は、第1の筒状部461の長手方向(高さ方向)の中間位置と第2の筒状部462の下端との間で延在していてもよい。
【0039】
一実施形態において、誘電体部材46は、凹部44rを提供していてもよい。凹部44rは、空洞であり、誘電体層463上、且つ、第1の筒状部461と第2の筒状部462との間で延在している。凹部44rは、環形状を有しており、軸線AX中心に延在している。
【0040】
上述のグランド導体48は、筒状グランド部482を更に含んでいてもよい。筒状グランド部482は、略円筒形状を有しており、軸線AX中心に延在している。筒状グランド部482は、環状グランド部481の外縁から同軸導波管42の一端(例えば上端)に向けて第1の筒状部461に沿って延びている。
【0041】
グランド導体48は、別の環状グランド部483を更に含んでいてもよい。環状グランド部483は、環形状を有しており、軸線AX中心に延在している。環状グランド部483は、筒状グランド部482の一端(例えば上端)から径方向外側に延在している。グランド導体48は、環状グランド部483を蓋体43と誘電体部材46の第1の筒状部461との間で挟持することにより、蓋体43に電気的に接続されていてもよい。
【0042】
一実施形態において、誘電体部材46は、第1の筒状部461、マイクロストリップ45、第2の筒状部462、及び凹部44rにおいてそれぞれ異なるインピーダンスを提供することができる。したがって、誘電体部材46により、そのサイズが相当に小さくても、共振部44において電磁波を共振させることが可能となる。
【0043】
また、マイクロストリップ45から凹部44rに向けて伝搬する電磁波の電界の強度は、内側導体421に沿った領域で高くなるが、当該領域には第2の筒状部462が設けられているので、当該領域における異常放電が抑制される。
【0044】
また、プラズマ処理装置1では、内側導体421がシャワーヘッド20の上部中央に接続されており、電磁波の供給路36の中心導体361は、この内側導体421の鍔部421fに接続されている。したがって、内側導体421の周りで均一に電磁波が伝播する。電磁波は、内側導体421及びシャワーヘッド20を介して、シャワーヘッド20の外周に沿って設けられた導入部32から、チャンバ10内に導入される。故に、プラズマ処理装置1によれば、チャンバ10内でのプラズマの密度の分布の均一性を高めることが可能となる。
【0045】
また、プラズマ処理装置1によれば、成膜処理によりチャンバ10内に形成された堆積物を、クリーニングガスのプラズマからのラジカルにより除去することができる。クリーニングガスのプラズマからのラジカルはガス供給管である内側導体421及びシャワーヘッド20を介して供給されるので、その失活が抑制され、且つ、チャンバ10内に均一に供給される。したがって、プラズマ処理装置1によれば、チャンバ10のクリーニングが均一且つ効率的に行われ得る。
【0046】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0047】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E12]に記載する。
【0048】
[E1]
チャンバと、
前記チャンバ内でプラズマを生成するために電磁波を伝播するように構成された導波部であり、そこにおいて該電磁波を共振させるように構成された共振部を含む、該導波部と、
を備え、
前記共振部は、マイクロストリップと誘電体部材を含み、
前記誘電体部材の一部が、前記マイクロストリップの誘電体層を構成する、
プラズマ処理装置。
【0049】
[E1]の実施形態では、誘電体部材の一部がマイクロストリップの誘電体層を構成している。また、誘電体部材の他の部分も共振部を構成している。したがって、[E1]の実施形態では、共振部は、異なるインピーダンスを有する複数の部分を含んでいる。[E1]の実施形態によれば、かかるマイクロストリップ及び誘電体部材により、共振部は、そのサイズが小さくても、電磁波を共振させることが可能となる。
【0050】
[E2]
前記導波部は、
外側導体及び環状の鍔部を有し該外側導体の中に設けられた内側導体を含む同軸導波管と、
前記同軸導波管の一端において前記内側導体と前記外側導体との間の開口を閉じる蓋導体と、
を更に含み、
前記共振部は、
前記同軸導波管の前記一端と他端との間に設けられた前記誘電体部材と、
前記誘電体部材上に設けられたグランド導体と、
を更に含み、
前記マイクロストリップは、
前記鍔部であるマイクロストリップ導体と、
環形状を有し、前記マイクロストリップ導体上に設けられた前記誘電体層と、
前記グランド導体の一部であり、前記誘電体層上に設けられた環状グランド部と、
を含む、
[E1]に記載のプラズマ処理装置。
【0051】
[E3]
前記誘電体部材は、
前記鍔部の外縁と前記外側導体との間に介在し、前記同軸導波管の一端に向けて延びる第1の筒状部と、
前記内側導体に沿って前記鍔部から前記同軸導波管の一端に向けて延びる第2の筒状部と、
前記第1の筒状部と前記第2の筒状部との間で延びる前記誘電体層と、
を含む、[E2]に記載のプラズマ処理装置。
【0052】
[E4]
前記誘電体部材は、前記誘電体層上、且つ、前記第1の筒状部と前記第2の筒状部との間の空洞である凹部を提供する、[E3]に記載のプラズマ処理装置。
【0053】
[E5]
前記グランド導体は、前記凹部の中で前記第1の筒状部に沿って延びる筒状グランド部を更に含む、[E4]に記載のプラズマ処理装置。
【0054】
[E6]
同軸構造を有し、電源と前記同軸導波管との間で接続された電磁波の供給路を更に備え、
前記供給路は、前記鍔部に接続された中心導体を含む、
[E2]~[E5]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0055】
[E7]
前記同軸導波管は、前記チャンバの上方で鉛直方向に沿って延びており、
前記共振部は、前記鍔部の下面から上方に設けられている、
[E2]~[E6]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0056】
[E8]
前記同軸導波管の前記内側導体はガス供給管を構成している、[E7]に記載のプラズマ処理装置。
【0057】
[E9]
前記チャンバ内に設けられた基板支持部と、
金属から形成されており、前記チャンバ内の空間に向けて開口した複数のガス孔を提供し、前記基板支持部の上方に設けられたシャワーヘッドと、
誘電体から形成されており、電磁波をそこから前記チャンバ内に導入するように前記シャワーヘッドの外周又は前記チャンバの側壁に沿って設けられた導入部と、
を更に備え、
前記ガス供給管は、前記チャンバの上方で鉛直方向に延在して、前記シャワーヘッドの上部中央に接続されており、前記共振部に接続された導波路を該共振部と前記導入部との間で提供している、[E8]に記載のプラズマ処理装置。
【0058】
[E10]
前記ガス供給管に接続された成膜ガスの第1のガス源と、
クリーニングガスの第2のガス源と、
前記第2のガス源と前記ガス供給管との間で接続されたリモートプラズマ源と、
を更に備える、[E8]又は[E9]に記載のプラズマ処理装置。
【0059】
[E11]
前記成膜ガスは、シリコン含有ガスを含む、[E10]に記載のプラズマ処理装置。
【0060】
[E12]
前記クリーニングガスは、ハロゲン含有ガスを含む、[E10]又は[E11]に記載のプラズマ処理装置。
【0061】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0062】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、40…導波部、44…共振部、45…マイクロストリップ、46…誘電体部材、463…誘電体層。
図1
図2