(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183584
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】高周波電源、プラズマ処理装置、及び整合方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20231221BHJP
H01L 21/31 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 B
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097170
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】池田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮下 大幸
(72)【発明者】
【氏名】長田 勇輝
【テーマコード(参考)】
2G084
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA05
2G084BB02
2G084BB05
2G084BB35
2G084CC05
2G084CC06
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084CC25
2G084CC33
2G084DD42
2G084DD51
2G084DD55
2G084FF02
2G084FF15
2G084HH08
2G084HH21
2G084HH22
2G084HH23
2G084HH25
2G084HH52
5F045AA09
5F045AB33
5F045AC01
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC16
5F045AD01
5F045AE01
5F045DP03
5F045DQ10
5F045EF05
5F045EH18
5F045EH19
(57)【要約】
【課題】プラズマの生成において用いられる高周波電力の整合周波数を高速に決定する技術を提供する。
【解決手段】開示される高周波電源は、高周波電力の周波数として互いに異なる第1~第3の周波数を用いることにより、三つの反射係数を取得する。高周波電源は、第1~第3の周波数と三つの反射係数との関係を表す二次関数の極小点の周波数を、整合周波数として決定する。高周波電源は、決定された整合周波数を有する高周波電力を発生する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変周波数を有する高周波電力を発生するように構成された電力発生部と、
前記高周波電力の出力と、
前記出力に接続される負荷に対する前記高周波電力の反射係数を特定するように構成されたセンサと、
前記負荷に対する前記高周波電力の整合周波数を決定するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(i)前記高周波電力の周波数として互いに異なる第1の周波数、第2の周波数、及び第3の周波数を用いることにより、該第1の周波数、該第2の周波数、及び該第3の周波数それぞれに対応する三つの反射係数を前記センサから取得し、
(ii)前記第1の周波数、前記第2の周波数、及び前記第3の周波数のぞれぞれと前記三つの反射係数との関係を表す二次関数の極小点の周波数を、前記整合周波数として決定し、
(iii)前記整合周波数を有する前記高周波電力を発生するよう、前記電力発生部を制御する、
ように構成されている、
高周波電源。
【請求項2】
前記二次関数は、下記の式(1)で表され、
式(1)において、Γは、反射係数であり、fは、前記高周波電力の周波数であり、a、b、及びcは、係数であり、
前記制御部は、前記整合周波数を下記の式(2)により決定するように構成されており、
式(2)において、f
minは、前記整合周波数である、
請求項1に記載の高周波電源。
【数1】
【数2】
【請求項3】
前記制御部は、前記a、前記b、及び前記cを、下記の式(3)により求めるように構成されており、
式(3)において、f
1は前記第1の周波数であり、f
2は前記第2の周波数であり、f
3は前記第3の周波数であり、Γ
1は前記第1の周波数を有する前記高周波電力の反射係数であり、Γ
2は前記第2の周波数を有する前記高周波電力の反射係数であり、Γ
3は前記第3の周波数を有する前記高周波電力の反射係数である、
請求項2に記載の高周波電源。
【数3】
【請求項4】
前記第2の周波数は、前記第1の周波数と前記第3の周波数の間の中心周波数である、請求項1~3の何れか一項に記載の高周波電源。
【請求項5】
前記第1の周波数と前記第2の周波数との差の絶対値及び前記第2の周波数と前記第3の周波数との差の絶対値は、20MHz以下である、請求項4に記載の高周波電源。
【請求項6】
前記制御部は、前記整合周波数を前記第2の周波数として用い、且つ、前記第1の周波数と前記第2の周波数との差の絶対値及び前記第2の周波数と前記第3の周波数との差の絶対値を減少させて、前記(i)、前記(ii)、及び前記(iii)を更に実行するように構成されている、請求項4に記載の高周波電源。
【請求項7】
前記(i)、前記(ii)、及び前記(iii)を更に実行することにおいて、前記第1の周波数と前記第2の周波数との差の絶対値及び前記第2の周波数と前記第3の周波数との差の絶対値は、5MHz以下である、請求項6に記載の高周波電源。
【請求項8】
前記高周波電力は、VHF波帯の周波数以上の周波数を有する、請求項1~3の何れか一項に記載の高周波電源。
【請求項9】
チャンバと、
前記チャンバ内でのプラズマの生成のために、可変周波数を有する高周波電力を発生するように構成された高周波電源と、
前記高周波電源に接続される負荷に対する前記高周波電力の反射係数を特定するように構成されたセンサと、
前記負荷に対する前記高周波電力の整合周波数を決定するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(i)前記高周波電力の周波数として互いに異なる第1の周波数、第2の周波数、及び第3の周波数を用いることにより、該第1の周波数、該第2の周波数、及び該第3の周波数それぞれに対応する三つの反射係数を前記センサから取得し、
(ii)前記第1の周波数、前記第2の周波数、及び前記第3の周波数のぞれぞれと前記三つの反射係数との関係を表す二次関数の極小点の周波数を、前記整合周波数として決定し、
(iii)前記整合周波数を有する前記高周波電力を発生するよう、前記高周波電源を制御する、
ように構成されている、
プラズマ処理装置。
【請求項10】
前記二次関数は、下記の式(1)で表され、
式(1)において、Γは、反射係数であり、fは、前記高周波電力の周波数であり、a、b、及びcは、係数であり、
前記制御部は、前記整合周波数を下記の式(2)により決定するように構成されており、
式(2)において、f
minは、前記整合周波数である、
請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【数4】
【数5】
【請求項11】
前記制御部は、前記a、前記b、及び前記cを、下記の式(3)により求めるように構成されており、
式(3)において、f
1は前記第1の周波数であり、f
2は前記第2の周波数であり、f
3は前記第3の周波数であり、Γ
1は前記第1の周波数を有する前記高周波電力の反射係数であり、Γ
2は前記第2の周波数を有する前記高周波電力の反射係数であり、Γ
3は前記第3の周波数を有する前記高周波電力の反射係数である、
請求項10に記載のプラズマ処理装置。
【数6】
【請求項12】
前記第2の周波数は、前記第1の周波数と前記第3の周波数の間の中心周波数である、請求項9~11の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記整合周波数を前記第2の周波数として用い、且つ、前記第1の周波数と前記第2の周波数との差の絶対値及び前記第2の周波数と前記第3の周波数との差の絶対値を減少させて、前記(i)、前記(ii)、及び前記(iii)を更に実行するように構成されている、請求項12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記高周波電力は、VHF波帯の周波数以上の周波数を有する、請求項9~11の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前項高周波電源と前記チャンバとの間で接続されており、前記高周波電力を電磁波として伝播するように構成された導波部であり、そこにおいて該電磁波を共振させるように構成された共振部を含む、該導波部を更に備え、
前記共振部は、該共振部において互いに異なるインピーダンスを有する複数の部分を提供する誘電体部材を含む、
請求項9~11の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
前記共振部は、マイクロストリップを更に含み、
前記誘電体部材の一部が、前記マイクロストリップの誘電体層を構成する、
請求項15に記載のプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記誘電体部材は、そこにおいて前記電磁波が伝播する空洞である凹部を提供する、請求項15に記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
前記共振部の共振スペクトルの半値幅は、20MHz以下である、請求項15に記載のプラズマ処理装置。
【請求項19】
(i)高周波電源が発生する高周波電力の周波数として互いに異なる第1の周波数、第2の周波数、及び第3の周波数を用いることにより、該第1の周波数、該第2の周波数、及び該第3の周波数それぞれに対応する三つの反射係数をセンサから取得する工程と、
(ii)前記第1の周波数、前記第2の周波数、及び前記第3の周波数のぞれぞれと前記三つの反射係数との関係を特定する二次関数の極小点の周波数を、前記高周波電源の負荷に対する前記高周波電力の整合周波数として決定する工程と、
(iii)前記高周波電源によって前記整合周波数を有する前記高周波電力を発生する工程と、
を含む、整合方法。
【請求項20】
前記二次関数は、下記の式(1)で表され、
式(1)において、Γは、反射係数であり、fは前記高周波電力の周波数であり、a、b、及びcは、係数であり、
前記整合周波数は、下記の式(2)により決定され、
式(2)において、f
minは、前記整合周波数である、
請求項19に記載の整合方法。
【数7】
【数8】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、高周波電源、プラズマ処理装置、及び整合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置がデバイス製造において用いられている。下記の特許文献1は、プラズマの生成のためにマイクロ波を用いており、マイクロ波の周波数を帯域幅の中で掃引することにより、反射係数が極小となる吸収周波数を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマの生成において用いられる高周波電力の整合周波数を高速に決定する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、高周波電源が提供される。高周波電源は、電力発生部、出力、センサ、及び制御部を備える。電力発生部は、可変周波数を有する高周波電力を発生するように構成されている。センサは、高周波電力の出力に接続される負荷に対する高周波電力の反射係数を特定するように構成されている。制御部は、負荷に対する高周波電力の整合周波数を決定するように構成されている。制御部は、高周波電力の周波数として互いに異なる第1の周波数、第2の周波数、及び第3の周波数を用いることにより、第1の周波数、第2の周波数、及び第3の周波数それぞれに対応する三つの反射係数をセンサから取得する。制御部は、第1の周波数、第2の周波数、及び第3の周波数のぞれぞれと三つの反射係数との関係を表す二次関数の極小点の周波数を、整合周波数として決定する。制御部は、整合周波数を有する高周波電力を発生するよう、電力発生部を制御する。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、プラズマの生成において用いられる高周波電力の整合周波数を高速に決定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す断面図である。
【
図2】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の導波部の部分拡大断面図である。
【
図3】一つの例示的実施形態に係る高周波電源を概略的に示す図である。
【
図4】一つの例示的実施形態に係る整合方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す断面図である。
図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の導波部の部分拡大断面図である。
図1及び
図2に示すプラズマ処理装置1は、チャンバ10内でプラズマを生成するために、高周波電源60によって発生される高周波電力を利用する。高周波電力は、高周波電源60から電磁波として伝播して、チャンバ10内に導入され得る。高周波電力及び電磁波は、VHF波帯以上の周波数を有する。高周波電力及び電磁波は、VHF波又はUHF波であってもよい。VHF波の帯域は30MHz~300MHzであり、UHF波の帯域は300MHz~3GHzである。
【0010】
プラズマ処理装置1は、チャンバ10を備えている。チャンバ10は、内部空間を画成している。基板Wはチャンバ10の内部空間の中で処理される。チャンバ10は、その中心軸線として軸線AXを有している。軸線AXは、鉛直方向に延びる軸線である。
【0011】
一実施形態においては、チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいてもよい。チャンバ本体12は、略円筒形状を有しており、その上部において開口されている。チャンバ本体12は、チャンバ10の側壁及び底部を提供している。チャンバ本体12は、アルミニウムのような金属から形成されている。チャンバ本体12は、接地されている。
【0012】
チャンバ本体12の側壁は、通路12pを提供している。基板Wは、チャンバ10の内部と外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。通路12pは、ゲートバルブ12vによって開閉可能である。ゲートバルブ12vは、チャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
【0013】
チャンバ10は、上壁14を更に含んでいてもよい。上壁14は、アルミニウムのような金属から形成されている。上壁14は、後述する同軸導波管42と共にチャンバ本体12の上部の開口を閉じている。上壁14は、チャンバ本体12と共に接地されている。
【0014】
チャンバ10の底部は、排気口を提供している。排気口は、排気装置16に接続されている。排気装置16は、自動圧力制御弁のような圧力制御器及びターボ分子ポンプのような真空ポンプを含んでいる。
【0015】
プラズマ処理装置1は、基板支持部18を更に備えていてもよい。基板支持部18は、チャンバ10内に設けられている。基板支持部18は、その上に載置される基板Wを支持するように構成されている。基板Wは、略水平な状態で基板支持部18上に載置される。基板支持部18は、支持部材19によって支持されていてもよい。支持部材19は、チャンバ10の底部から上方に延びている。基板支持部18及び支持部材19は、窒化アルミニウム等の誘電体から形成され得る。
【0016】
プラズマ処理装置1は、シャワーヘッド20を更に備えていてもよい。シャワーヘッド20は、アルミニウムのような金属から形成されている。シャワーヘッド20は、略円盤形状を有しており、中空構造を有し得る。シャワーヘッド20は、その中心軸線として軸線AXを共有している。シャワーヘッド20は、基板支持部18の上方、且つ、上壁14の下方に設けられている。シャワーヘッド20は、チャンバ10の内部空間を画成する天部を構成している。
【0017】
シャワーヘッド20は、複数のガス孔20hを提供している。複数のガス孔20hは、チャンバ10の内部空間に向けて開口している。シャワーヘッド20は、その中にガス拡散室20cを更に提供している。複数のガス孔20hは、ガス拡散室20cに接続しており、ガス拡散室20cから下方に延びている。
【0018】
プラズマ処理装置1は、ガス供給管として、同軸導波管42の後述する内側導体421を備えていてもよい。内側導体421は、円筒形状の管として構成されている。内側導体421は、アルミニウムのような金属から形成されている。内側導体421は、シャワーヘッド20の上方において、鉛直方向に延在している。内側導体421は、その中心軸線として軸線AXを共有している。内側導体421の下端は、シャワーヘッド20の上部中央に接続している。シャワーヘッド20の上部中央は、ガスの入口を提供している。入口は、ガス拡散室20cに接続している。内側導体421は、ガスをシャワーヘッド20に供給する。内側導体421からのガスは、シャワーヘッド20の入口及びガス拡散室20cを介して、複数のガス孔20hからチャンバ10内に導入される。
【0019】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、第1のガス源24、第2のガス源26、及びリモートプラズマ源28を更に備えていてもよい。第1のガス源24は、内側導体421(即ち、ガス供給管)に接続されている。第1のガス源24は、成膜ガスのガス源であり得る。成膜ガスは、シリコン含有ガスを含んでいてもよい。シリコン含有ガスは、例えばSiH4を含む。成膜ガスは、他のガスを更に含んでいてもよい。例えば、成膜ガスは、NH3ガス、N2ガス、Arのような希ガス等を更に含んでいてもよい。第1のガス源24からのガス(例えば成膜ガス)は、内側導体421(即ち、ガス供給管)を介してシャワーヘッド20からチャンバ10内に導入される。
【0020】
第2のガス源26は、リモートプラズマ源28を介して、内側導体421(即ち、ガス供給管)に接続されている。第2のガス源26は、クリーニングガスのガス源であり得る。クリーニングガスは、ハロゲン含有ガスを含んでいてもよい。ハロゲン含有ガスは、例えばNF3及び/又はCl2を含む。クリーニングガスは、他のガスを更に含んでいてもよい。クリーニングガスは、Arのような希ガスを更に含んでいてもよい。
【0021】
リモートプラズマ源28は、チャンバ10から離れた場所で第2のガス源26からのガスを励起させてプラズマを生成する。一実施形態では、リモートプラズマ源28は、クリーニングガスからプラズマを生成する。リモートプラズマ源28は、如何なるタイプのプラズマ源であってもよい。リモートプラズマ源28としては、容量結合型のプラズマ源、誘導結合型のプラズマ源、又はマイクロ波によってプラズマを生成する型のプラズマ源が例示される。リモートプラズマ源28において生成されたプラズマ中のラジカルは、内側導体421を介してシャワーヘッド20からチャンバ10内に導入される。
【0022】
ラジカルの失活を抑制するために、内側導体421(即ち、ガス供給管)は、比較的太い直径を有し得る。内側導体421の外径(直径)は、例えば40mm以上である。一例において、内側導体421の外径(直径)は80mmである。なお、内側導体421は、円筒形状を有しており、内側導体421の外径(直径)は、後述する鍔部421fの他の部分421aでの内側導体421の外径である。鍔部421fは、内側導体421の長手方向の一部を構成している。鍔部421fは、環形状を有しており、軸線AX中心に延在している。鍔部421fは、内側導体421の他の部分421aから径方向に突き出している。内側導体421は、後述する導波部40の一部を構成し得る。
【0023】
シャワーヘッド20は、上壁14から下方に離れている。シャワーヘッド20と上壁14との間の空間は、導波路30の一部を構成している。この導波路30は、内側導体421が、内側導体421と上壁14との間に提供している空間も含む。
【0024】
プラズマ処理装置1は、導入部32を更に備えていてもよい。導入部32は、酸化アルミニウムのような誘電体から形成されている。導入部32は、そこからチャンバ10内に電磁波を導入するようにシャワーヘッド20の外周に沿って設けられている。導入部32は、環形状を有する。導入部32は、シャワーヘッド20とチャンバ本体12との間の間隙を閉じており、導波路30に繋がっている。なお、導入部32は、チャンバ10の側壁に沿って設けられていてもよい。
【0025】
プラズマ処理装置1は、導波部40を更に備え得る。導波部40は、チャンバ10内でプラズマを生成するために、電磁波を伝播するように構成されている。導波部40は、チャンバ10の上方に設けられ得る。
【0026】
プラズマ処理装置1は、電磁波の供給路36を更に備えていてもよい。供給路36は、導波部40に接続されている。一実施形態において、供給路36は、同軸構造を有している。即ち、供給路36は、中心導体361及び外側導体362を含んでいる。外側導体362は、略円筒形状を有している。外側導体362は、同軸導波管42の外側導体422に接続されている。中心導体361は、棒状をなしており、外側導体362の中で、外側導体362と同軸状に設けられている。供給路36は、誘電体部材363を更に含んでいてもよい。誘電体部材363は、中心導体361と外側導体362の間の間隙を埋めている。誘電体部材363は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成される。
【0027】
中心導体361は、内側導体421に接続されている。具体的に、中心導体361の一端は、鍔部421fに接続されている。なお、鍔部421fは、中心導体361の一部であってもよい。或いは、鍔部421fは、内側導体421と中心導体361から構成されていてもよい。
【0028】
プラズマ処理装置1は、高周波電源60を更に備えている。中心導体361の他端は、高周波電源60に接続されている。高周波電源60は、上述したように高周波電力を発生するように構成されている。高周波電源60の詳細については、後述する。
【0029】
プラズマ処理装置1は、整合器50を更に備えていてもよい。この場合には、中心導体361の他端は、整合器50を介して高周波電源60に接続される。整合器50は、インピーダンス整合回路を有する。インピーダンス整合回路は、高周波電源60の負荷のインピーダンスを、高周波電源60の出力インピーダンスに整合させるように構成される。インピーダンス整合回路は、可変インピーダンスを有する。インピーダンス整合回路は、例えばπ型の回路であり得る。なお、プラズマ処理装置1は、整合器50を備えていなくてもよい。この場合には、中心導体361の他端は、高周波電源60に直接的に接続され得る。そして、高周波電源60の負荷のインピーダンスは、高周波電源60から出力する周波数を変化させることにより、高周波電源60の出力インピーダンスに整合される。
【0030】
プラズマ処理装置1において、高周波電源60からの電磁波は、整合器50、供給路36(中心導体361)、導波部40、及びシャワーヘッド20の周りの導波路30を介して、導入部32からチャンバ10内に導入される。この電磁波は、第1のガス源24からのガス(例えば成膜ガス)をチャンバ10内で励起させて、プラズマを生成させる。
【0031】
導波部40は、共振部44を含む。導波部40は、同軸導波管42及び蓋体43を更に含んでいてもよい。一実施形態において、同軸導波管42は、チャンバ10の上方で鉛直方向に沿って延びており、その中心軸線は、軸線AXである。同軸導波管42は、上述の内側導体421及び外側導体422を含んでいる。外側導体422は、アルミニウムのような金属から形成されており、略円筒形状を有している。内側導体421は、外側導体422の中で外側導体422と同軸状に設けられている。
【0032】
蓋体43は、アルミニウムのような金属から形成されており、同軸導波管42の一端(例えば上端)において内側導体421と外側導体422との間の開口を閉じている。蓋体43は、外側導体422に電気的に接続している。外側導体422の他端(例えば下端)は、上壁14に接続している。
【0033】
共振部44は、そこにおいて電磁波を共振させるように構成されている。共振部44は、その共振スペクトルの半値幅として、20MHz以下の狭い半値幅を有し得る。なお、共振スペクトルの半値幅は、高周波電力又は電磁波の反射係数の周波数スペクトルにおけるピークに対する周波数の半値幅である。かかる狭い共振スペクトルの半値幅のために、共振部44は小型化された構造を有し得る。
【0034】
一実施形態において、共振部44は、その小型化のために、折り返された導波路を有していてもよい。共振部44は、互いに異なるインピーダンスを有する複数の部分を含んでいてもよい。
【0035】
共振部44は、誘電体部材46を含んでいてもよい。共振部44は、マイクロストリップ45を更に含んでいてもよい。共振部44は、同軸導波管42の一端(例えば上端)と他端(例えば下端)との間に設けられていてもよい。即ち、マイクロストリップ45及び誘電体部材46は、同軸導波管42の一端(例えば上端)と他端(例えば下端)との間に設けられていてもよい。一実施形態において、共振部44は、鍔部421fの下面から上方に設けられている。
【0036】
誘電体部材46は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成される。誘電体部材46は、互いに異なるインピーダンスを有する複数の部分を共振部44に提供するように構成されている。誘電体部材46は、その一部として、誘電体層463を含んでいる。誘電体層463は、マイクロストリップ45を構成している。このように、プラズマ処理装置1では、誘電体部材46の一部がマイクロストリップの誘電体層463を構成している。誘電体部材46の他の部分も共振部44を構成している。したがって、共振部44は、異なるインピーダンスを有する複数の部分を含んでいる。プラズマ処理装置1では、共振部44は、かかるマイクロストリップ45及び誘電体部材46により、そのサイズが小さくても、電磁波を共振させることが可能となる。
【0037】
一実施形態において、共振部44は、誘電体部材46に加えて、グランド導体48を更に含んでいてもよい。グランド導体48は、誘電体部材46上に設けられていてもよい。グランド導体48は、蓋体43に電気的に接続している。
【0038】
共振部44のマイクロストリップ45は、マイクロストリップ導体、誘電体層463、及び環状グランド部481を含んでいてもよい。マイクロストリップ45のマイクロストリップ導体は、上述の鍔部421fである。誘電体層463は、環形状を有しており、軸線AX中心に延在している。誘電体層463は、マイクロストリップ導体、即ち鍔部421f上に設けられている。環状グランド部481は、グランド導体48の一部である。環状グランド部481は、環形状を有しており、軸線AX中心に延在している。環状グランド部481は、誘電体層463上に設けられている。
【0039】
一実施形態において、誘電体部材46は、第1の筒状部461及び第2の筒状部462を更に含んでいてもよい。第1の筒状部461は、略円筒形状を有している。第1の筒状部461は、鍔部421fの外縁と外側導体422との間に介在しており、同軸導波管42の一端(例えば上端)に向けて延びている。第1の筒状部461の中心軸線は、軸線AXであり得る。
【0040】
第2の筒状部462は、略円筒形状を有している。第2の筒状部462は、第1の筒状部461の内側に設けられており、内側導体421に沿って鍔部421fから同軸導波管42の一端(例えば上端)に向けて延びている。第2の筒状部462の中心軸線は、軸線AXであり得る。
【0041】
誘電体層463は、第1の筒状部461と第2の筒状部462との間で延在している。誘電体層463は、第1の筒状部461の長手方向(高さ方向)の中間位置と第2の筒状部462の下端との間で延在していてもよい。
【0042】
一実施形態において、誘電体部材46は、凹部44rを提供していてもよい。凹部44rは、空洞であり、誘電体層463上、且つ、第1の筒状部461と第2の筒状部462との間で延在している。凹部44rは、環形状を有しており、軸線AX中心に延在している。
【0043】
上述のグランド導体48は、筒状グランド部482を更に含んでいてもよい。筒状グランド部482は、略円筒形状を有しており、軸線AX中心に延在している。筒状グランド部482は、環状グランド部481の外縁から同軸導波管42の一端(例えば上端)に向けて第1の筒状部461に沿って延びている。
【0044】
グランド導体48は、別の環状グランド部483を更に含んでいてもよい。環状グランド部483は、環形状を有しており、軸線AX中心に延在している。環状グランド部483は、筒状グランド部482の一端(例えば上端)から径方向外側に延在している。グランド導体48は、環状グランド部483を蓋体43と誘電体部材46の第1の筒状部461との間で挟持することにより、蓋体43に電気的に接続されていてもよい。
【0045】
一実施形態において、誘電体部材46は、第1の筒状部461、マイクロストリップ45、第2の筒状部462、及び凹部44rにおいてそれぞれ異なるインピーダンスを提供することができる。したがって、マイクロストリップ45及び誘電体部材46により、そのサイズが相当に小さくても、共振部44において電磁波を共振させることが可能となる。
【0046】
また、マイクロストリップ45から凹部44rに向けて伝搬する電磁波の電界の強度は、内側導体421に沿った領域で高くなるが、当該領域には第2の筒状部462が設けられているので、当該領域における異常放電が抑制される。
【0047】
また、プラズマ処理装置1では、内側導体421がシャワーヘッド20の上部中央に接続されており、電磁波の供給路36の中心導体361は、この内側導体421の鍔部421fに接続されている。したがって、内側導体421の周りで均一に電磁波が伝播する。電磁波は、内側導体421及びシャワーヘッド20を介して、シャワーヘッド20の外周に沿って設けられた導入部32から、チャンバ10内に導入される。故に、プラズマ処理装置1によれば、チャンバ10内でのプラズマの密度の分布の均一性を高めることが可能となる。
【0048】
また、プラズマ処理装置1によれば、成膜処理によりチャンバ10内に形成された堆積物を、クリーニングガスのプラズマからのラジカルにより除去することができる。クリーニングガスのプラズマからのラジカルはガス供給管である内側導体421及びシャワーヘッド20を介して供給されるので、その失活が抑制され、且つ、チャンバ10内に均一に供給される。したがって、プラズマ処理装置1によれば、チャンバ10のクリーニングが均一且つ効率的に行われ得る。
【0049】
以下、
図3を参照しつつ高周波電源60について詳細に説明する。
図3は、一つの例示的実施形態に係る高周波電源を概略的に示す図である。
図3に示すように、高周波電源60は、電力発生部60p、出力60t、センサ60s、及び制御部60cを含む。
【0050】
電力発生部60pは、可変周波数を有する高周波電力を発生するように構成されている。電力発生部60pが発生する高周波電力の周波数は、制御部60cによって指定される。電力発生部60pの出力は、高周波電源60の出力60tに接続されている。電力発生部60pによって発生された高周波電力は、出力60tから出力される。
【0051】
一実施形態において、電力発生部60pは、発振器60g及び増幅器60aを含んでいてもよい。発振器60gは、可変周波数を有する高周波信号を発生する。発振器60gが発生する高周波信号の周波数は、制御部60cによって指定される。発振器60gの出力は、増幅器60aの入力に接続されている。増幅器60aは、発振器60gからの高周波信号を増幅することにより、高周波電力を発生する。
【0052】
一実施形態において、電力発生部60pは、サーキュレータ60rを介して出力60tに接続されていてもよい。電力発生部60pは、サーキュレータ60rの第1ポートに接続されている。サーキュレータ60rの第2ポートは、出力60tに接続されている。サーキュレータ60rの第3ポートは、ダミーロード60dに接続されている。サーキュレータ60rは、第1ポートに入力された高周波電力を、第2ポートを介して出力60tに出力する。サーキュレータ60rは、出力60tから第2ポートに向かう高周波電力(反射波)をダミーロード60dに出力する。
【0053】
センサ60sは、出力60tに接続される負荷に対する高周波電力の反射係数を特定するように構成されている。センサ60sは、電圧及び電流を測定し、測定した電圧及び電流から反射係数を特定するV-Iセンサであってもよい。或いは、センサ60sは、出力60tに戻される反射波のパワーレベルを測定し、高周波電力の進行波のパワーレベル又は高周波電力の設定パワーレベルに対する反射波のパワーレベルの比から反射係数を特定してもよい。
【0054】
制御部60cは、出力60tに接続される負荷に対する高周波電力の整合周波数を決定するように構成されている。制御部60cは、マイクロプロセッサから構成され得る。以下、
図3と共に
図4を参照しつつ、制御部60cによる整合周波数の決定及び一つの例示的実施形態に係る整合方法について説明する。
図4は、一つの例示的実施形態に係る整合方法の流れ図である。
【0055】
図4に示す整合方法(以下、「方法MT」という)は、負荷からの高周波電力の反射を抑制する整合周波数を決定するために行われる。方法MTの工程ST1では、電力発生部60pが発生する高周波電力の周波数として互いに異なる第1~第3の周波数が用いられて、第1~第3の周波数それぞれに対応する三つの反射係数が制御部60cによってセンサ60sから取得される。
【0056】
第1~第3の周波数は、第1の周波数と第3の周波数との間の周波数範囲において、整合周波数が検出可能であるように予め定められている。一実施形態において、第2の周波数は、第1の周波数と第3の周波数の間の中心周波数である。第1の周波数と第2の周波数との差の絶対値及び第2の周波数と第3の周波数との差の絶対値は、20MHz以下であってもよい。
【0057】
工程ST1は、工程ST11~工程ST16を含んでいてもよい。工程ST11では、第1の周波数f1を有する高周波電力が高周波電源60から出力される。第1の周波数f1は、制御部60cから電力発生部60pに指定される。続く工程ST12では、第1の周波数f1を有する高周波電力に対する負荷からの反射係数が制御部60cによってセンサ60sから取得される。
【0058】
工程ST13では、第2の周波数f2を有する高周波電力が高周波電源60から出力される。第2の周波数f2は、制御部60cから電力発生部60pに指定される。続く工程ST14では、第2の周波数f2を有する高周波電力に対する負荷からの反射係数が制御部60cによってセンサ60sから取得される。
【0059】
工程ST15では、第3の周波数f3を有する高周波電力が高周波電源60から出力される。第3の周波数f3は、制御部60cから電力発生部60pに指定される。続く工程ST16では、第3の周波数f3を有する高周波電力に対する負荷からの反射係数が制御部60cによってセンサ60sから取得される。
【0060】
方法MTでは、次いで、工程ST2が行われる。工程ST2では、第1~第3の周波数それぞれと三つの反射係数との関係を表す二次関数の極小点の周波数が、整合周波数として制御部60cによって決定される。
【0061】
工程ST2は、工程ST21及び工程ST22を含んでいてもよい。工程ST21では、上記の二次関数の係数が制御部60cによって決定される。反射係数Γを表す二次関数は、下記の式(1)で表される。
【数1】
式(1)において、fは、高周波電力の周波数であり、a、b、及びcは、二次関数の係数である。
【0062】
工程ST22では、係数a、b、及びcから、制御部60cによって整合周波数が決定される。整合周波数は、下記の式(2)によって決定される。
【数2】
式(2)において、f
minは、整合周波数である。
【0063】
一実施形態において、係数a、b、及びcは、下記の式(3)により求められ得る。
【数3】
式(3)において、f
1は第1の周波数であり、f
2は第2の周波数であり、f
3は第3の周波数である。Γ
1は第1の周波数を有する高周波電力の反射係数であり、Γ
2は第2の周波数を有する高周波電力の反射係数であり、Γ
3は第3の周波数を有する高周波電力の反射係数である。
【0064】
方法MTでは、次いで、工程ST3が行われる。工程ST3では、工程ST2で決定された整合周波数を有する高周波電力を発生するよう、制御部60cによって電力発生部60pが制御される。
【0065】
一実施形態においては、整合周波数が更新されてもよい。この場合には、工程STJにおいて、停止条件が満たされるか否かが判定される。停止条件は、整合周波数の更新回数が所定回数に達している場合に満たされる。所定回数は、一以上の回数である。停止条件が満たされる場合には、方法MTは終了する。一方、停止条件が満たされない場合には、処理は、工程ST4に進む。
【0066】
工程ST4では、第1~第3の周波数が制御部60cによって更新される。具体的には、現在の整合周波数が第2の周波数として用いられる。そして、第2の周波数を中心周波数として、第1の周波数及び第3の周波数が設定される。なお、第1の周波数と第2の周波数との差の絶対値及び第2の周波数と第3の周波数との差の絶対値は、工程ST4の前における第1の周波数と第2の周波数との差の絶対値及び第2の周波数と第3の周波数との差の絶対値からそれぞれ減少されてもよい。例えば、第1の周波数と第2の周波数との差の絶対値及び第2の周波数と第3の周波数との差の絶対値は、5MHz以下に設定されてもよい。工程ST4の後、工程ST1~工程ST3が再び繰り返される。
【0067】
以上説明したように、高周波電源60が出力する高周波電力の整合周波数は、三つの周波数それぞれと三つの反射係数の関係を特定する二次関数の係数から決定される。したがって、整合周波数が高速に決定される。また、一実施形態においては、整合周波数を更新するために工程ST1~工程ST3が繰り返される。したがって、負荷からの高周波電力の反射を更に低減することが可能となる。
【0068】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0069】
例えば、整合周波数の決定は、制御部60cではなく、高周波電源60の外部に設けられた制御部60cとは別の制御部によって行われてもよい。また、センサ60sは、高周波電源60の一部ではなく、高周波電源60の外部に設けられていてもよい。また、上述の共振スペクトルを有する共振部を備えるプラズマ処理装置は、プラズマ処理装置1とは異なる構造を有するプラズマ処理装置であってもよい。
【0070】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E20]に記載する。
【0071】
[E1]
可変周波数を有する高周波電力を発生するように構成された電力発生部と、
前記高周波電力の出力と、
前記出力に接続される負荷に対する前記高周波電力の反射係数を特定するように構成されたセンサと、
前記負荷に対する前記高周波電力の整合周波数を決定するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(i)前記高周波電力の周波数として互いに異なる第1の周波数、第2の周波数、及び第3の周波数を用いることにより、該第1の周波数、該第2の周波数、及び該第3の周波数それぞれに対応する三つの反射係数を前記センサから取得し、
(ii)前記第1の周波数、前記第2の周波数、及び前記第3の周波数のぞれぞれと前記三つの反射係数との関係を表す二次関数の極小点の周波数を、前記整合周波数として決定し、
(iii)前記整合周波数を有する前記高周波電力を発生するよう、前記電力発生部を制御する、
ように構成されている、
高周波電源。
【0072】
[E2]
前記二次関数は、下記の式(1)で表され、
式(1)において、Γは、反射係数であり、fは、前記高周波電力の周波数であり、a、b、及びcは、係数であり、
前記制御部は、前記整合周波数を下記の式(2)により決定するように構成されており、
式(2)において、f
minは、前記整合周波数である、
[E1]に記載の高周波電源。
【数4】
【数5】
【0073】
[E3]
前記制御部は、前記a、前記b、及び前記cを、下記の式(3)により求めるように構成されており、
式(3)において、f
1は前記第1の周波数であり、f
2は前記第2の周波数であり、f
3は前記第3の周波数であり、Γ
1は前記第1の周波数を有する前記高周波電力の反射係数であり、Γ
2は前記第2の周波数を有する前記高周波電力の反射係数であり、Γ
3は前記第3の周波数を有する前記高周波電力の反射係数である、
[E2]に記載の高周波電源。
【数6】
【0074】
[E4]
前記第2の周波数は、前記第1の周波数と前記第3の周波数の間の中心周波数である、[E1]~[E3]の何れか一項に記載の高周波電源。
【0075】
[E5]
前記第1の周波数と前記第2の周波数との差の絶対値及び前記第2の周波数と前記第3の周波数との差の絶対値は、20MHz以下である、[E4]に記載の高周波電源。
【0076】
[E6]
前記制御部は、前記整合周波数を前記第2の周波数として用い、且つ、前記第1の周波数と前記第2の周波数との差の絶対値及び前記第2の周波数と前記第3の周波数との差の絶対値を減少させて、前記(i)、前記(ii)、及び前記(iii)を更に実行するように構成されている、[E4]又は[E5]に記載の高周波電源。
【0077】
[E7]
前記(i)、前記(ii)、及び前記(iii)を更に実行することにおいて、前記第1の周波数と前記第2の周波数との差の絶対値及び前記第2の周波数と前記第3の周波数との差の絶対値は、5MHz以下である、[E6]に記載の高周波電源。
【0078】
[E8]
前記高周波電力は、VHF波帯の周波数以上の周波数を有する、[E1]~[E7]の何れか一項に記載の高周波電源。
【0079】
[E9]
チャンバと、
前記チャンバ内でのプラズマの生成のために、可変周波数を有する高周波電力を発生するように構成された高周波電源と、
前記高周波電源に接続される負荷に対する前記高周波電力の反射係数を特定するように構成されたセンサと、
前記負荷に対する前記高周波電力の整合周波数を決定するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
(i)前記高周波電力の周波数として互いに異なる第1の周波数、第2の周波数、及び第3の周波数を用いることにより、該第1の周波数、該第2の周波数、及び該第3の周波数それぞれに対応する三つの反射係数を前記センサから取得し、
(ii)前記第1の周波数、前記第2の周波数、及び前記第3の周波数のぞれぞれと前記三つの反射係数との関係を表す二次関数の極小点の周波数を、前記整合周波数として決定し、
(iii)前記整合周波数を有する前記高周波電力を発生するよう、前記高周波電源を制御する、
ように構成されている、
プラズマ処理装置。
【0080】
[E10]
前記二次関数は、下記の式(1)で表され、
式(1)において、Γは、反射係数であり、fは、前記高周波電力の周波数であり、a、b、及びcは、係数であり、
前記制御部は、前記整合周波数を下記の式(2)により決定するように構成されており、
式(2)において、f
minは、前記整合周波数である、
[E9]に記載のプラズマ処理装置。
【数7】
【数8】
【0081】
[E11]
前記制御部は、前記a、前記b、及び前記cを、下記の式(3)により求めるように構成されており、
式(3)において、f
1は前記第1の周波数であり、f
2は前記第2の周波数であり、f
3は前記第3の周波数であり、Γ
1は前記第1の周波数を有する前記高周波電力の反射係数であり、Γ
2は前記第2の周波数を有する前記高周波電力の反射係数であり、Γ
3は前記第3の周波数を有する前記高周波電力の反射係数である、
[E10]に記載のプラズマ処理装置。
【数9】
【0082】
[E12]
前記第2の周波数は、前記第1の周波数と前記第3の周波数の間の中心周波数である、[E9]~[E11]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0083】
[E13]
前記制御部は、前記整合周波数を前記第2の周波数として用い、且つ、前記第1の周波数と前記第2の周波数との差の絶対値及び前記第2の周波数と前記第3の周波数との差の絶対値を減少させて、前記(i)、前記(ii)、及び前記(iii)を更に実行するように構成されている、[E12]に記載のプラズマ処理装置。
【0084】
[E14]
前記高周波電力は、VHF波帯の周波数以上の周波数を有する、[E9]~[E13]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0085】
[E15]
前項高周波電源と前記チャンバとの間で接続されており、前記高周波電力を電磁波として伝播するように構成された導波部であり、そこにおいて該電磁波を共振させるように構成された共振部を含む、該導波部を更に備え、
前記共振部は、該共振部において互いに異なるインピーダンスを有する複数の部分を提供する誘電体部材を含む、
[E9]~[E14]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0086】
[E16]
前記共振部は、マイクロストリップを更に含み、
前記誘電体部材の一部が、前記マイクロストリップの誘電体層を構成する、
[E15]に記載のプラズマ処理装置。
【0087】
[E17]
前記誘電体部材は、そこにおいて前記電磁波が伝播する空洞である凹部を提供する、[E15]又は[E16]に記載のプラズマ処理装置。
【0088】
[E18]
前記共振部の共振スペクトルの半値幅は、20MHz以下である、[E15]~[E17]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0089】
[E19]
(i)高周波電源が発生する高周波電力の周波数として互いに異なる第1の周波数、第2の周波数、及び第3の周波数を用いることにより、該第1の周波数、該第2の周波数、及び該第3の周波数それぞれに対応する三つの反射係数をセンサから取得する工程と、
(ii)前記第1の周波数、前記第2の周波数、及び前記第3の周波数のぞれぞれと前記三つの反射係数との関係を特定する二次関数の極小点の周波数を、前記高周波電源の負荷に対する前記高周波電力の整合周波数として決定する工程と、
(iii)前記高周波電源によって前記整合周波数を有する前記高周波電力を発生する工程と、
を含む、整合方法。
【0090】
[E20]
前記二次関数は、下記の式(1)で表され、
式(1)において、Γは、反射係数であり、fは前記高周波電力の周波数であり、a、b、及びcは、係数であり、
前記整合周波数は、下記の式(2)により決定され、
式(2)において、f
minは、前記整合周波数である、
[E18]に記載の整合方法。
【数10】
【数11】
【0091】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0092】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、40…導波部、44…共振部、60…高周波電源、60p…電力発生部、60t…出力、60s…センサ、60c…制御部。