(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018364
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】クリーニング装置、定着装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20230201BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
G03G15/20 525
G03G21/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122440
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 文洋
(72)【発明者】
【氏名】徳田 哲生
(72)【発明者】
【氏名】網田 晃康
(72)【発明者】
【氏名】氏家 大照
(72)【発明者】
【氏名】新井 大輔
【テーマコード(参考)】
2H033
2H134
【Fターム(参考)】
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA48
2H033BA51
2H033BA54
2H033BA55
2H033BA56
2H033BA57
2H033BB03
2H033BB04
2H033BB06
2H033BB12
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BB35
2H033BB36
2H033BE00
2H033BE03
2H134GA07
2H134GB02
2H134HE01
2H134HE02
2H134HE03
2H134HE05
2H134HE06
2H134HE08
(57)【要約】
【課題】ウェブの搬送不良やシワが生じさせることなく、被清掃体の表面を良好にクリーニングする。
【解決手段】加圧ローラ31(被清掃体)の表面をクリーニングするクリーニング装置50であって、所定の搬送方向に搬送されるウェブ54と、ウェブ54が巻回されてウェブ54を搬送方向に供給する供給ローラ51と、搬送方向に搬送されたウェブ54を巻き取る巻取りローラ52と、ウェブ54を介して加圧ローラ31に圧接する押圧ローラ53と、ウェブ54を介して押圧ローラ53に対して常に当接する当接部材55と、が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被清掃体の表面をクリーニングするクリーニング装置であって、
所定の搬送方向に搬送されるウェブと、
前記ウェブが巻回されて、前記ウェブを前記搬送方向に供給する供給ローラと、
前記搬送方向に搬送された前記ウェブを巻き取る巻取りローラと、
前記ウェブを介して前記被清掃体に圧接する押圧ローラと、
前記ウェブを介して前記押圧ローラに対して常に当接する当接部材と、
を備えたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記押圧ローラは、前記搬送方向に沿う方向を回転方向として回転し、
前記当接部材は、前記供給ローラと前記押圧ローラとの間の前記ウェブに接触することなく、前記押圧ローラが前記ウェブを介して前記被清掃体に圧接するニップに対して前記回転方向の上流側で前記押圧ローラに当接することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記供給ローラは、前記回転方向に対して逆方向に回転し、
前記巻取りローラは、前記回転方向に回転することを特徴とする請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記当接部材は、板状部材であって、
前記被清掃体、又は、前記被清掃体及び前記ウェブを介して前記押圧ローラに圧接する回転体は、所定の中心軸を中心に回転し、
前記所定の中心軸と前記押圧ローラの中心軸とを結ぶ仮想直線と、前記当接部材と、がなす角度が鋭角になることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記巻取りローラを回転駆動する駆動手段と、
前記押圧ローラを前記被清掃体に向けて付勢する付勢手段と、
備えたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記供給ローラと前記巻取りローラと前記押圧ローラと前記当接部材との相対的な位置関係を維持したまま、前記押圧ローラを前記被清掃体に対して接離する接離機構を備えたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記被清掃体が稼働停止しているとき、前記接離機構によって前記押圧ローラを前記被清掃体に対して離間させることを特徴とする請求項6に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
トナー像を加熱してシート上に定着する定着回転体と、
前記定着回転体に圧接することでシートが搬送される定着ニップを形成する加圧回転体と、
請求項1~請求項7のいずれかに記載のクリーニング装置と、
を備えたことを特徴とする定着装置。
【請求項9】
前記被清掃体は、前記加圧回転体であることを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
【請求項10】
前記被清掃体は、前記定着回転体であることを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
【請求項11】
請求項1~請求項7のいずれかに記載のクリーニング装置、又は、請求項8~請求項10のいずれかに記載の定着装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加圧ローラなどの被清掃体の表面をクリーニングするクリーニング装置と、それを備えた定着装置と、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置に設置された定着装置において、定着ローラなどの被清掃体の表面に付着したトナーを、所定の搬送方向に搬送されるウェブによってクリーニングする技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1において、クリーニングウェブ(ウェブ)は、供給軸(供給ローラ)に一端側が接続され巻取りローラに他端側が接続され、供給軸から押圧ローラを経て巻取りローラに向けて搬送されて、巻取りローラによって巻き取られる。押圧ローラは、クリーニングウェブを介して定着装置の定着ローラに当接している。そして、定着ローラの表面に付着したトナーがクリーニングウェブによって拭き取られ回収されることになる。
【0004】
一方、特許文献1には、クリーニングウェブ(ウェブ)に弛みが生じないように、クリーニングウェブを介して押圧ローラに当接するブレーキ部材を接離可能に設ける技術が開示されている。そして、このブレーキ部材は、記録紙(シート)に形成された画像の画像面積率に応じて、押圧ローラに対する押圧力が調整されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、ウェブ(クリーニングウェブ)によって被清掃体の表面がクリーニングされる効果がある程度期待できる。
しかし、従来の技術は、稼働条件によって、ウェブの搬送不良が生じてしまう不具合や、ウェブにシワが生じてしまう不具合が発生する可能性があった。そして、それらの不具合が生じてしまうと、ウェブによるクリーニング性能が低下してしまうことになる。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ウェブの搬送不良やシワが生じることなく、被清掃体の表面を良好にクリーニングすることができる、クリーニング装置、定着装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明におけるクリーニング装置は、被清掃体の表面をクリーニングするクリーニング装置であって、所定の搬送方向に搬送されるウェブと、前記ウェブが巻回されて、前記ウェブを前記搬送方向に供給する供給ローラと、前記搬送方向に搬送された前記ウェブを巻き取る巻取りローラと、前記ウェブを介して前記被清掃体に圧接する押圧ローラと、前記ウェブを介して前記押圧ローラに対して常に当接する当接部材と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ウェブの搬送不良やシワが生じることなく、被清掃体の表面を良好にクリーニングすることができる、クリーニング装置、定着装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図3】クリーニング装置の接離動作を示す図である。
【
図4】クリーニング装置の要部を幅方向にみた図である。
【
図5】比較例としての、クリーニング装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
まず、
図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1において、1はコピー機能とプリンタ機能とを有する複合機としての画像形成装置、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は用紙等のシートPが収容される給紙部、を示す。
また、9はシートPの搬送タイミングを調整するレジストローラ(タイミングローラ)、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、を示す。
また、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像部、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像をシートP上に重ねて転写する1次転写バイアスローラ、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
また、16は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング部、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のカラートナー像をシートP上に転写するための2次転写バイアスローラ、20はシートP上のトナー像(未定着画像)を定着する定着装置、を示す。
また、65は印刷動作(画像形成動作)に関わる情報が表示されたり操作をおこなったりするための操作パネル、を示す。
【0012】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成動作(印刷動作)について説明する。
画像形成装置1が複写機として使用される場合、ユーザーによって、原稿台に原稿Dが載置されて、操作パネル65に印刷条件などの必要な情報が入力されてコピーボタンが押される。
これにより、原稿Dが、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
【0013】
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0014】
なお、画像形成装置1がプリンタとして使用される場合には、ユーザーによって、画像形成装置1に通信可能に接続されたパソコンなどの外部入力装置から画像情報や印刷条件などの必要な情報が入力されて、それらの情報が画像形成装置1の制御部で取得される。
【0015】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
【0016】
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、
図1の反時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0017】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Yの表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向、幅方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0018】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11Mの表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11Cの表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BKの表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0019】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、それぞれ、現像部13との対向位置に達する。そして、各現像部13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように1次転写バイアスローラ14が設置されている。そして、1次転写バイアスローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0020】
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
【0021】
他方、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された中間転写ベルト17は、図中の時計方向に走行して、2次転写バイアスローラ18との対向位置に達する。そして、2次転写バイアスローラ18との対向位置で、シートP上に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部16の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部16に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
【0022】
ここで、中間転写ベルト17と2次転写バイアスローラ18との間(2次転写ニップである。)に搬送されるシートPは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、シートPを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送されたシートPが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達したシートPは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
【0023】
そして、フルカラー画像が転写されたシートPは、搬送ベルトによって定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ベルトと加圧ローラとの定着ニップ(ニップ部)にて、カラー画像(トナー像)がシートP上に定着される(定着工程である。)。
そして、定着工程後のシートPは、排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、
図2を用いて、画像形成装置本体1に設置される定着装置20の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、定着装置20は、定着回転体としての定着ベルト21、回転体としての定着補助ローラ22、加熱ローラ23、テンションローラ24、加熱手段としてのヒータ25、温度センサ40、加圧回転体としての加圧ローラ31、クリーニング装置50、等で構成されている。
【0025】
ここで、定着ベルト21は、トナー像を加熱してシートP上に定着する定着回転体である。定着回転体としての定着ベルト21は、ポリイミド等の樹脂材料からなるベース層上に、弾性層、離型層(表面層)が順次積層された多層構造の無端状ベルトである。定着ベルト21の弾性層は、層厚が90μm程度のフッ素ゴム、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム等の弾性材料で形成されている。定着ベルト21の離型層は、層厚が20μm程度のPFA(4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)等で形成されている。定着ベルト21の表層に離型層を設けることにより、トナーT(トナー像)に対する離型性(剥離性)が担保されることになる。定着ベルト21は、2つのローラ部材(定着補助ローラ22と加熱ローラ23とである。)に張架・支持されて、
図2中の矢印方向に走行する。定着部材として熱容量の低い定着ベルト21を用いることで、装置の昇温特性が向上する。
なお、本実施の形態では、定着補助ローラ22と加熱ローラ23とに張架・支持された定着ベルト21に所定の張力を付与するために、定着ベルト21の外周面にテンションローラ24が圧接するように構成している。
【0026】
定着補助ローラ22は、SUS304等の芯金22a上に、発泡性シリコーンゴム等の発泡材料からなる弾性層22bが形成された回転体(ローラ部材)であって、加圧回転体としての加圧ローラ31に定着ベルト21を介して圧接して定着ニップを形成する。弾性層22bを発泡材料で形成することで、定着ニップにおけるニップ幅(ニップ量)を比較的大きく設定できるとともに、定着ベルト21の熱が定着補助ローラ22に移行しにくくなる。定着補助ローラ22は、
図2中の時計方向に回転する。
【0027】
加熱ローラ23は、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料からなる中空構造のローラ部材であって、その円筒体の内部には加熱手段としてのヒータ25(熱源)が固設されている。加熱ローラ23の肉厚を比較的薄く設定することで、加熱体の熱容量が低下して装置の昇温特性が向上する(立ち上がり時間が短縮化される。)。
【0028】
加熱ローラ23に内設されたヒータ25(加熱手段)は、ハロゲンヒータであって、その両端部が定着装置20の側板に固定されている。そして、画像形成装置本体1のメインスイッチがオンされた状態で、電源部からヒータ25に電力が供給される。そして、制御部により出力制御されたヒータ25からの輻射熱によって加熱ローラ23が加熱されて、さらに加熱ローラ23によって加熱された定着ベルト21の表面からシートP上のトナー像Tに熱が加えられる。
ヒータ25の出力制御は、定着ベルト21表面に非接触で対向する温度センサ40によるベルト表面温度の検知結果に基づいておこなわれる。詳しくは、温度センサ40(サーモパイル)の検知結果に基づいて定められる通電時間だけ、ヒータ25に交流電圧が印加される。このようなヒータ25の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度(目標制御温度)に調整制御することができる。
なお、本実施の形態では、加熱ローラ23の内部に1本のヒータ25を設置したが、複数本のヒータを設置することもできる。
【0029】
また、加圧ローラ31は、定着ベルト21(定着回転体)に圧接することでシートPが搬送される定着ニップを形成する加圧回転体である。加圧回転体としての加圧ローラ31は、主として、金属材料からなる芯金32と、芯金32の外周面に接着層を介して形成された弾性層33と、弾性層33の外周面に形成された表面層34(離型層)と、からなる。加圧ローラ31の弾性層33は、層厚が数mm程度であって、絶縁性を有する発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の弾性材料で形成されている。加圧ローラ31の表面層34は、層厚が数十μm~数百μm程度であって、導電性を有するPFA(PFAチューブ)等の低摩擦材料で形成されている。加圧ローラ31の表面層34として導電性を有する離型層を設けることにより、トナーT(トナー像)に対する離型性(剥離性)が担保されるとともに、シートPが加圧ローラ31に静電気的に吸着して分離性が低下する不具合を軽減することができる。
なお、定着ベルト21と加圧ローラ31との温度差を軽減するために、加圧ローラ31の内部にヒータを設置することもできる。
【0030】
そして、加圧ローラ31は、加圧機構によって定着ベルト21を介して定着補助ローラ22に圧接する。こうして、加圧ローラ31と定着ベルト21との間に、所望の定着ニップが形成される。なお、加圧ローラ31を定着ベルト21(定着補助ローラ22)に対して所定の圧接力で加圧する加圧機構を、その圧接力を解除(又は減圧)ができるように構成することもできる。
なお、本実施の形態では、加圧ローラ31の弾性層33は、定着補助ローラ22の弾性層22bに比べて、層厚が薄くて低硬度に形成されている。これにより、加圧ローラ31と定着ベルト21(定着補助ローラ22)との定着ニップは、
図2に示すように、定着補助ローラ22が凹んで加圧ローラ31のローラ形状に沿うように形成されることになる。そのため、定着ニップから送出されるシートPは、加圧ローラ31のローラ形状に沿うような軌跡を描きやすくなる。
なお、本実施の形態における定着装置20には、被清掃体としての加圧ローラ31(加圧回転体)の表面を清掃するクリーニング装置50が設置されているが、これについては後で詳しく説明する。
【0031】
上述のように構成された定着装置20は、次のように動作する。
装置本体1のメインスイッチが投入されると、ヒータ25に交流電圧が印加(給電)される。
そして、印刷指令(ジョブ指令)が入力されると、駆動モータ70によって加圧ローラ31が
図2中の矢印方向(反時計方向)に回転駆動されて、それにともない定着ベルト21(定着補助ローラ22、加熱ローラ23)が
図2中の矢印方向(時計方向)に従動回転することになる。その後、給紙部7からシートPが給送されて、2次転写バイアスローラ18の位置で、中間転写ベルト17上のトナー像がシートP上に未定着画像として担持される。未定着画像(トナー像)が担持されたシートPは、
図2の一点鎖線矢印の方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31の定着ニップに送入される。そして、定着ベルト21による加熱と、定着ベルト21(定着補助ローラ22)及び加圧ローラ31の押圧力とによって、シートPの表面にトナー像が定着される。その後、回転する定着ベルト21及び加圧ローラ31によって、その定着ニップから送出されたシートPは、そのまま一点鎖線矢印の方向に搬送される。
【0032】
以下、本実施の形態における定着装置20(画像形成装置1)に設置されたクリーニング装置50の特徴的な構成・動作について、詳しく説明する。
クリーニング装置50は、被清掃体としての加圧ローラ31の表面をクリーニングするものである。
図2に示すように、クリーニング装置50は、定着装置20の主部に隣接するように配置されている。
クリーニング装置50は、ウェブ54、供給ローラ51、巻取りローラ52、押圧ローラ53、当接部材55(ブレーキ部材)、付勢手段としての圧縮スプリング59(
図4参照)、などで構成されている。
【0033】
ウェブ54は、耐熱性を有する不織布などで形成された薄い帯状の部材であって、加圧ローラ31の表面に付着した付着物(主にトナーである。)を担持可能(清掃可能)に形成されている。ウェブ54は、その一端側(搬送方向の一端側であって終端である。)が供給ローラ51に接続され、その他端側(搬送方向の他端側であって始端である。)が巻取りローラ52に接続されている。ウェブ54は、巻取りローラ52の巻取り動作によって、所定方向(
図2の矢印方向)に搬送(走行)される。本実施の形態において、ウェブ54は、
図2に示すように、略V字状の搬送経路を描くことになる。
なお、ウェブ54は、単層構造のものに限定されることなく、例えば、フィルム層に不織布からなる表面層が形成された多層構造体とすることもできる。
【0034】
巻取りローラ52は、搬送方向(
図2の矢印方向)に搬送されたウェブ54(清掃後のものである。)を巻き取るためのローラ部材(軸状部材)であって、駆動手段としてのモータ60によって
図2の反時計方向に回転駆動される。
供給ローラ51は、フレッシュな状態のウェブ54が巻回されて(巻き付けられて)いて、ウェブ54を搬送方向(
図2の矢印方向)に供給するローラ部材(軸状部材)である。供給ローラ51は、モータ60(駆動手段)による巻取りローラ52の回転駆動によって
図2の時計方向に従動回転する。すなわち、巻取りローラ52が回転駆動されることで、巻取りローラ52でウェブ54を巻取りながら、その分のウェブ54が供給ローラ51から搬送方向に送り出されることになる。
【0035】
クリーニング装置50の使用開始時には、供給ローラ51は、ウェブ54が何周にも巻かれて外径が大きくなった状態であり、巻取りローラ52は、ウェブ54がせいぜい0~2周しか巻かれておらず外外径が小さな状態である。そして、クリーニング装置50の使用が進むと、供給ローラ51は、ウェブ54がせいぜい0~2周しか巻かれておらず外外径が小さくなった状態になり、巻取りローラ52は、トナー(付着物)が担持された状態のウェブ54が何周にも巻かれて外径が大きくなった状態になる。そして、そのような状態で、クリーニング装置50の新品への交換やメンテナンスがおこなわれることになる。
【0036】
また、押圧ローラ53は、供給ローラ51から巻取りローラ52に至るウェブ54の搬送経路の途中に配置されて、加圧ローラ31(被清掃体)にウェブ54を介して圧接している。ウェブ54は、押圧ローラ53に対して所定の巻付け角度(新品時で170度程度である。)で巻き付けられている。
押圧ローラ53は、ウェブ54の搬送方向に沿う方向を回転方向として回転する。具体的に、押圧ローラ53は、巻取りローラ52の回転駆動にともない
図2の反時計方向に従動回転する。
そして、
図2に示すように、加圧ローラ31の表面にオフセットなどによって付着したトナーがウェブ54によって拭き取られ担持されることになる。これにより、加圧ローラ31の表面がクリーニングされて、加圧ローラ31に付着したトナーによってシートPのウラ面が汚れる不具合を軽減することができる。
【0037】
ここで、本実施の形態におけるクリーニング装置50には、
図4に示すように、押圧ローラ53を加圧ローラ31(被清掃体)に向けて付勢する付勢手段としての圧縮スプリング59が設けられている。
詳しくは、
図4に示すように、押圧ローラ53は、軸方向両端(幅方向両端)の軸部が、それぞれ軸受58を介して、クリーニング装置50の筐体にスライド移動可能(加圧ローラ31に当接する方向の移動である。)に保持されている。そして、圧縮スプリング59は、一端が軸受58に接続されていて、他端がクリーニング装置50の筐体に接続されている。
このように構成することにより、押圧ローラ53が加圧ローラ31に安定的に加圧されて、加圧ローラ31に対するウェブ54の圧接力が安定することになる。そのため、ウェブ54によるクリーニング性が経時においても安定的に維持されることになる。
【0038】
ここで、本実施の形態におけるクリーニング装置50には、
図2、
図3に示すように、ウェブ54を介して押圧ローラ53に対して常に当接する当接部材55が設けられている。
詳しくは、当接部材55は、薄い板バネ材料などからなる板状部材であって、稼働条件(例えば、シートPに形成される画像の画像面積率などである。)によって当接圧が調整されたり接離されたりするのではなくて、常に一定の当接圧で押圧ローラ53に当接するように、クリーニング装置50の筐体に固定保持されている。
【0039】
このように、ウェブ54を介して押圧ローラ53に対して常に当接する当接部材55を設けることで、稼働条件によって、ウェブ54の巻き弛みなどの搬送不良や、ウェブ54にシワが生じてしまう不具合が発生しにくくなる。したがって、それらの不具合によって、ウェブ54によるクリーニング性能が低下してしまう不具合も生じにくくなり、経時においても、加圧ローラ31の表面を良好に安定的にクリーニングすることができる。
【0040】
以下、本発明による効果について補足的に説明する。
図3(A)を参照して、クリーニング装置50が稼働しているとき、ウェブ54には、白矢印で示す3つの力F1~F3が作用している。
1つ目の力F1は、巻取りローラ52によってウェブ54が引出される力である。
2つ目の力F2は、押圧ローラ53と加圧ローラ31とのニップN(ウェブニップ)で発生するウェブ54に対する引張力である。この力F2は、加圧ローラ31の表面に付着するトナー量によって変動する。
そして、3つ目の力F3は、供給ローラ51の軸をフリーにしてウェブ54を引出す力である。
【0041】
ここで、当接部材55がウェブ54を介して押圧ローラ53に常に当接していれば、稼動中においてウェブ54がニップNに侵入しても、ウェブ54に弛みは生じない。特に、クリーニング装置50の使用が開始される初期時には、巻取りローラ52の外径が小さくて力F1が大きな状態になるため、ウェブ54の巻き緩みは発生しない。
これに対して、仮に、稼働条件によって当接部材55が押圧ローラ53から離間したり当接圧が低減されたりしてしまうと(例えば、特許文献1において、シートPに形成される画像の画像面積率が基準値以下である場合である。)、稼動中においてウェブ54がニップNに侵入したときに、ウェブ54に弛みが生じやすくなる。特に、クリーニング装置50の使用が進むと、巻取りローラ52の外径が大きくなって力F1が小さな状態になるため、ウェブ54の巻き緩みが発生しやすくなる。さらに、ウェブ54に付着するトナー量(クリーニング量)が少なくなると、加圧ローラ31との摩擦抵抗が低くなり力F2が小さくなるため、押圧ローラ53と巻取りローラ52との間でウェブ54が強く張れずに、ニップNの上流側でも下流側でもウェブ54が弛みやすくなり、巻取りローラ52でウェブ54が緩く巻き取られてしまう。また、巻取りローラ52でウェブ54が緩く巻き取られた後に、ウェブ54に付着するトナー量(クリーニング量)が多くなると、加圧ローラ31との摩擦抵抗が高くなり力F2が大きくなるため、巻取りローラ52でウェブ54の巻締り(空回り)が生じやすくなる。そして、このような場合には、加圧ローラ31と押圧ローラ53とのニップNでウェブ54が巻取りローラ52の側(搬送方向下流側)に送られずに、ウェブ54の同じ箇所が加圧ローラ31に接触し続けることになるため、その箇所にトナーが堆積して、クリーニング不良が発生してしまう。
【0042】
また、加圧ローラ31と押圧ローラ53とのニップNの上流側(搬送方向上流側)でウェブ54が弛んでしまい、その弛んだウェブ54がニップNに侵入すると、ウェブ54にシワが生じてしまう。そして、そのようにシワが生じることで、巻取りローラ52の外径が幅方向(軸方向)に不均一になって、外径が大きい方へウェブ54が寄ってしまうような巻き取り不良が発生して、ウェブ54によるクリーニング性が低下してしまうことになる。
【0043】
これに対して、本実施の形態では、当接部材55がウェブ54を介して押圧ローラ53に常に安定した当接圧で当接しているため、上述したような不具合が生じにくくなる。
特に、本実施の形態におけるクリーニング装置50は、定着ベルト21に比べて温度変動が少なく熱膨張量も小さな加圧ローラ31の表面をクリーニングするものであるため、加圧ローラ31と押圧ローラ53とのニップNの幅(ニップ幅)や当接圧(ニップ圧)も変動しにくくなる。したがって、ウェブ54によるクリーニング性も安定することになる。
【0044】
ここで、
図2、
図3(A)等を参照して、本実施の形態において、当接部材55(ブレーキ部材)は、供給ローラ51と押圧ローラ53との間のウェブ54に接触することなく、押圧ローラ53がウェブ54を介して加圧ローラ31(被清掃体)に圧接するニップNに対して回転方向上流側(押圧ローラ53の回転方向の上流側である。)で押圧ローラ53に当接している。
図5(A)に示すクリーニング装置150のように、当接部材155がニップNに対して押圧ローラ53の回転方向下流側に当接するように配設されると、供給ローラ51と押圧ローラ53との間でウェブ54の弛みが生じやすくなる。これに対して、本実施の形態におけるクリーニング装置50は、当接部材55がニップNに対して押圧ローラ53の回転方向上流側に当接するように配設されているため、初期から経時にわたって力F2の大きさに関わらず、ウェブ54の弛みが生じにくくなり、良好なクリーニング性が安定的に維持される。
図5(B)に示すクリーニング装置250のように、供給ローラ51と押圧ローラ53との間のウェブ54に接触するように(ウェブ54の搬送経路を遮るように)、当接部材255が配設されると、供給ローラ51から押圧ローラ53に至るウェブ54の搬送経路が直線状のものではなくて屈曲したものになるため、ウェブ54のシワや弛みが生じやすくなる。これに対して、本実施の形態におけるクリーニング装置50は、当接部材55が供給ローラ51と押圧ローラ53との間のウェブ54に接触しないように(ウェブ54の搬送経路を遮らないように)配設されているため、ウェブ54のシワや弛みが生じにくくなり、良好なクリーニング性が安定的に維持される。
【0045】
ここで、本実施の形態において、供給ローラ51は、押圧ローラ53の回転方向に対して逆方向(
図2、
図3(A)の時計方向である。)に回転する。これにより、供給ローラ51が反時計方向に回転する場合とは異なり、経時において供給ローラ51の外径が小さくなるにつれて、供給ローラ51と押圧ローラ53との間においてウェブ54と当接部材55とがなす角度も小さくなるので、ウェブ54が弛みにくくなる。
また、巻取りローラ52は、押圧ローラ53と同じ回転方向(
図2、
図3(A)の反時計方向である。)に回転する。これにより、巻取りローラ52が時計方向に回転する場合とは異なり、経時において供給ローラ51の外径が大きくなるにつれて、押圧ローラ53と巻取りローラ52との間のウェブ54の押圧ローラ53への巻き付き角度が小さくなるので、巻き取りローラ52におけるウェブ54の巻取り不良が生じにくくなる。
【0046】
また、本実施の形態では、加圧ローラ31が所定の中心軸を中心に回転することになるが、その所定の中心軸と押圧ローラ53の中心軸とを結ぶ仮想直線と、当接部材55と、がなす角度θ(
図3(A)参照)が鋭角になるように構成されている。
具体的に、供給ローラ51と押圧ローラ53との間のウェブ54に対して、板状の当接部材55がトレーディング方向に当接するように(ウェブ54の搬送方向に沿うように)、配置されている。
これにより、当接部材55との摺接によるウェブ54へのダメージを小さくしつつ、ウェブ54のシワや弛みが生じにくくすることができる。
【0047】
ここで、
図3(B)を参照して、本実施の形態におけるクリーニング装置50には、供給ローラ51と巻取りローラ52と押圧ローラ53と当接部材55との相対的な位置関係を維持したまま、押圧ローラ53(及び、ウェブ54)を加圧ローラ31(被清掃体)に対して接離する接離機構57が設けられている。なお、
図3(A)では、図の見易さのため、接離機構57の図示を省略している。
詳しくは、定着装置20において、クリーニング装置50はサブユニット化されていて、定着装置20の筐体にスライド移動可能(接離方向の移動である。)に保持されている。そして、接離機構57は、制御部によって制御されるカム機構などであって、クリーニング装置50を当接位置(
図3(A)に示す位置である。)と離間位置(
図3(B)に示す位置である。)との間で移動させることができるように構成されている。
そして、通紙時(印刷時であって、被清掃体が稼働しているときである。)には、
図3(A)に示すように、接離機構57によって押圧ローラ53を加圧ローラ31(被清掃体)に対して当接させる。これに対して、非通紙時(非印刷時であって、被清掃体が稼働停止しているときである。)には、
図3(B)に示すように、接離機構57によって押圧ローラ53を加圧ローラ31(被清掃体)に対して離間させる。
【0048】
これにより、通紙時にも非通紙時にも押圧ローラ53が加圧ローラ31に常に当接している場合に比べて、加圧ローラ31や押圧ローラ53の劣化を軽減することができる。
また、紙粉が多いシートPが通紙されると、その紙粉が加圧ローラ31を介してウェブ54に付着することになるが、そのような状態で装置の稼働が停止されると、その紙粉がウェブ54に固着して、装置を再稼働したときに加圧ローラ31の表面を傷つけてしまうことになる。これに対して、本実施の形態では、非通紙時に押圧ローラ53(及び、ウェブ54)を加圧ローラ31から離間させているため、そのような不具合が生じにくくなる。
【0049】
<変形例>
図6に示すように、変形例におけるクリーニング装置50は、被清掃体としての定着ベルト21の表面をクリーニングするように構成されている。
詳しくは、
図6に示すように、クリーニング装置50の押圧ローラ53は、定着ベルト21及びウェブ54を介して、回転体としての定着補助ローラ22に圧接している。
このように構成されたクリーニング装置50によって、定着ベルト21の表面にオフセットなどによって付着したトナーがウェブ54によって拭き取られ担持されることになる。これにより、定着ベルト21の表面がクリーニングされて、定着ベルト21に付着したトナーによってシートP上の定着画像に異常が生じる不具合を軽減することができる。
そして、変形例におけるクリーニング装置50にも、ウェブ54を介して押圧ローラ53に対して常に当接する当接部材55が設けられているため、ウェブ54の搬送不良やシワが生じることなく、定着ベルト21(被清掃体)の表面を良好にクリーニングすることができる。
また、変形例において、回転体としての定着補助ローラ22は、所定の中心軸を中心に回転するが、その所定の中心軸と押圧ローラ53の中心軸とを結ぶ仮想直線と、当接部材55と、がなす角度(
図3(A)の角度θ参照)が鋭角になるように構成されている。具体的に、供給ローラ51と押圧ローラ53との間のウェブ54に対して、板状の当接部材55がトレーディング方向に当接するように(ウェブ54の搬送方向に沿うように)、配置されている。これにより、当接部材55との摺接によるウェブ54へのダメージを小さくしつつ、ウェブ54のシワや弛みが生じにくくすることができる。
また、定着ベルト21は、加熱ローラ23によって直接的に加熱されるものであるため、加圧ローラ31に比べて高温に達する。そのため、定着ベルト21の表面に付着するトナーは溶融した状態になりやすく、ウェブ54による清掃が容易になる。そのようなことから、変形例では、押圧ローラ53の回転方向は、定着ベルト21(定着補助ローラ22)の回転方向に対して逆方向に設定されている。すなわち、定着ベルト21と押圧ローラ53とのニップNにおいて、定着ベルト21と押圧ローラ53とがトレーディング方向(同方向)に回転するように設定している。このように構成することで、ニップNにおいて定着ベルト21と押圧ローラ53とがカウンタ方向(逆方向)に回転する場合に比べて、定着ベルト21と押圧ローラ53との摺接による劣化を軽減することができる。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態におけるクリーニング装置50は、加圧ローラ31や定着ベルト21などの被清掃体の表面をクリーニングするクリーニング装置50であって、所定の搬送方向に搬送されるウェブ54と、ウェブ54が巻回されてウェブ54を搬送方向に供給する供給ローラ51と、搬送方向に搬送されたウェブ54を巻き取る巻取りローラ52と、ウェブ54を介して被清掃体に圧接する押圧ローラ53と、ウェブ54を介して押圧ローラ53に対して常に当接する当接部材55と、が設けられている。
これにより、ウェブ54の搬送不良やシワが生じることなく、加圧ローラ31や定着ベルト21などの被清掃体の表面を良好にクリーニングすることができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、定着回転体として定着ベルト21(ベルト部材)を用いたが、定着回転体として定着ローラ(ローラ部材)を用いることもできる。
また、本実施の形態では、加圧回転体として加圧ローラ31(ローラ部材)を用いたが、加圧回転体として加圧ベルト(ベルト部材)を用いることもできる。
また、本実施の形態では、加熱手段としてヒータ25を用いた熱ヒータ方式の定着装置20に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、例えば、加熱手段として電磁誘導コイルを用いた電磁誘導方式(IH方式)の定着装置や、加熱手段として抵抗発熱体を用いた抵抗発熱方式の定着装置に対しても、本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、クリーニング装置50を定着装置20におけるサブユニットとして定着装置20に一体的に設置した。これに対して、クリーニング装置50を定着装置20とは異なる独立した1つのユニットとして構成することもできる。
また、本実施の形態では、画像形成装置1における定着装置20の加圧ローラ31(又は、定着ベルト21)を清掃するクリーニング装置50に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、例えば、定着装置の構成部材以外の被清掃体を清掃するクリーニング装置や、画像形成装置の構成部材以外の被清掃体を清掃するクリーニング装置に対しても、本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0053】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0054】
なお、本願明細書等において、「シート」とは、用紙に限定されることなく、シート状の記録媒体のすべて、例えば、コート紙、ラベル紙、OHPシート、等も含むものと定義する。
【符号の説明】
【0055】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
20 定着装置、
21 定着ベルト(定着回転体)、
22 定着補助ローラ(回転体)、
31 加圧ローラ(加圧回転体)、
50 クリーニング装置、
51 供給ローラ(供給部材)、
52 巻取りローラ(巻取り部材)、
53 押圧ローラ(押圧部材)、
54 ウェブ(帯状部材)、
55 当接部材(ブレーキ部材)、
57 接離機構、
59 圧縮スプリング(付勢手段)、
60 モータ(駆動手段)、
N ニップ、
P シート(記録媒体)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】