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特開2023-183686セラミックグリーンシート積層体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183686
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】セラミックグリーンシート積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 11/00 20060101AFI20231221BHJP
   B28B 11/24 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B28B11/00
B28B11/24
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097334
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰幸
【テーマコード(参考)】
4G055
【Fターム(参考)】
4G055AA08
4G055BA14
4G055BA22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】セラミックグリーンシートを接着液により接着する作業において、接着されたセラミックグリーンシート間での気泡の発生を防止でき、且つ、確実な接着を行うことが可能なセラミックグリーンシート積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】水平方向に対向し、それぞれの対向面が下方に回転するする2本のローラー2-a、2-b間に、上方より少なくとも2枚のセラミックグリーンシート1-a、1-bを供給し、上記ローラー間に供給されるセラミックグリーンシートによって形成される谷部に、接着液の溜3を形成することにより、上記グリーンシート間に接着液を供給し、前記ローラーの下方よりセラミックグリーンシート積層体を取り出す方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に対向し、それぞれの対向面が下方に回転するする2本のローラー間に、上方より少なくとも2枚のセラミックグリーンシートを供給し、下方より積層されたセラミックグリーンシートを取り出すに際し、上記ローラー間に供給されるセラミックグリーンシートによって形成される谷部に、接着液の溜を形成したことを特徴とするセラミックグリーンシート積層体の製造方法。
【請求項2】
接着液が、セラミックグリーンシートの固形分と同質の成分を含むスラリーである請求項1記載のセラミックグリーンシート積層体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2によって得られたセラミックグリーンシートを脱脂、焼成する、セラミック焼結体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックグリーンシート積層体の新規な製造方法に関する。詳しくは、セラミックグリーンシートを接着液により接着する作業において、接着されたセラミックグリーンシート間での気泡の発生を防止でき、且つ、確実な接着を行うことが可能なセラミックグリーンシート積層体の製造方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物セラミック、アルミナ等の酸化物セラミックなどのセラミックの焼結体を製造する方法として、上記セラミックの粉末(以下、セラミック粉末という。)を有機バインダーにより所望の形状に成形したグリーン体を脱脂、焼成する方法が一般に採用される。
【0003】
上記グリーン体がシート状である、セラミックグリーンシートの製造方法として、ドクターブレード法が代表的な方法として挙げられる。この方法は、移動するキャストフィルムとブレードとの隙間より、セラミック粉末、有機バインダーを含むスラリーをキャストフィルム上に一定の厚みで供給後、溶媒を飛ばしてセラミックグリーンシートを得る方法であり、精度良く、大面積のセラミックグリーンシートを生産することが可能である。
【0004】
しかしながら、ドクターブレード法により製造できるセラミックグリーンシートの厚みは、スラリーの粘度等の関係で、約1mm程度が限界であり、それ以上の厚みを有するシートを精度よく製造することが困難であった。
【0005】
そのため、例えば、電鉄制御系基板等の用途において要求される数mm程度の厚みを有するセラミックグリーンシートの製造においては、例えば、前記ドクターブレード法によって製造された比較的薄いセラミックグリーンシートを積層して所望の厚みのセラミックグリーンシートを製造する方法が考えられる。
【0006】
上記セラミックグリーンシート積層体の製造方法として、セラミックグリーンシートの表面に接着剤を塗工し、上記塗工面にもう一方のセラミックグリーンシートを重ねた状態でローラー間を通してプレスすることにより積層する方法が一般に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、上記方法によれば、セラミックグリーンシートに塗布した接着剤の厚みムラやセラミックグリーンシートの接合速度に起因してセラミックグリーンシート間に気泡が噛みこまれることで、積層体を焼成して得られるセラミック焼結体中にボイドとして残り、強度の低下や絶縁耐性の低下等を招くことが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2-219603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、セラミックグリーンシートを接着液により接着するセラミックグリーンシート積層体の製造方法において、接着されたセラミックグリーンシート間での気泡の発生が防止でき、且つ、確実な接着を行うことが可能なセラミックグリーンシート積層体の製造方法を提供する
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、前記セラミックグリーンシートをプレスするためのローラーを水平方向に対向させて設け、上記ローラーに積層されるセラミックグリーンシートを上方から供給し、その際、セラミックグリーンシートがローラーにて合わさる谷部に接着液の溜を形成して、シート間に接着液を供給することにより、接合部分を接着液による気密状態としつつ、セラミックグリーンシート間に接着液を確実に供給でき、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明によれば、水平方向に対向し、それぞれの対向面が下方に回転するする2本のローラー間に、上方より少なくとも2枚のセラミックグリーンシートを供給し、下方より積層されたセラミックグリーンシートを取り出すに際し、上記ローラー間に供給されるセラミックグリーンシートによって形成される谷部に、接着液の溜を形成したことを特徴とするセラミックグリーンシート積層体の製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明においては、上記接着液として、セラミックグリーンシートの固形分と同質の成分を含むスラリーを使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法によれば、ローラーによって圧接されるセラミックグリーンシート間に接着液による溜が形成されているため、上記圧接部に気泡を巻き込むこと無く、セラミックグリーンシートを圧接することが可能であり、これを焼成して得られる焼結体に積層による気泡の発生が効果的に防止される。また、セラミックグリーンシート間に接着液の溜が形成されているため、接着液が部分的に不足することなく、確実に接着を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の方法の一態様を示す概略図
図2】本発明の方法の他の一態様を示す概略図
図3】本発明の方法を実施するための装置の一態様を示す平面図
図4】本発明の方法を実施するための装置の一態様を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明において使用するセラミックグリーンシートは、セラミック粉末と有機バインダー、更に必要に応じて焼結助剤を配合した組成物よりなるシートであれば特に制限されない。具体的には、前記ドクターブレード法、キャスト法、押出成形法などの成形方法によって得られるセラミックグリーンシートが、連続して製造することができ、成形後、必要に応じて、ロール状に巻き取って、本発明の方法に連続して使用することができるため好ましい。中でも、ドクターブレード法によって得られるセラミックグリーンシートが、好適に使用される。
【0016】
また、セラミックグリーンシートの厚みも特に制限されないが、一般に0.05~1mm、特に、0.1~0.8mmのものが好適に使用される。前記セラミックグリーンシートの製造方法は、上記の範囲の厚みのセラミックグリーンシートを精度良く製造するのに適しているが、それより厚いものを製造しようとした場合は困難であったが、本発明の方法によりそれより厚いセラミックグリーンシートを容易に製造することができる。
【0017】
本発明のセラミックグリーンシートを構成するセラミック粉末としては、アルミナを始めとする酸化物セラミック、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物セラミックスなど、公知の焼結用材料が特に制限なく使用される。
【0018】
また、有機バインダーとしても、セラミックグリーンシートの製造に使用される公知のものが特に制限なく使用されるが、特に、成形後のシートの柔軟性、脱脂のし易さ等を勘案すると、PVB、PVA、アクリル樹脂等が好適に使用される。
【0019】
更に、必要に応じて適量配合される焼結助剤も、使用するセラミック粉末に対して通常使用されるものが特に制限なく使用される。
【0020】
本発明において、前記セラミック粉末と有機バインダーとの配合割合は、セラミックグリーンシートが可撓性を示す範囲で適宜決定することができるが、一般には、セラミック粉末100質量部に対して有機バインダーが5~20質量部となる範囲が好適である。
【0021】
本発明の方法は、図1に示すように、水平方向に対向し、それぞれの対向面が下方に回転するする2本のローラー2-a、2-b間に、上方よりセラミックグリーンシート1-a、1-bを供給する。図1においては、2枚のセラミックグリーンシートを供給する態様を示したが、図2に示すように、セラミックグリーンシート1-a、1-b、1-cの複数のセラミックグリーンシートを供給する態様も採用することが可能である。
【0022】
上記供給するセラミックグリーンシートの厚みは、それぞれ同じ厚みでもよいし、異なる厚みでもよい。また、後述する接着液、焼成条件が合う場合は、セラミックグリーンシートを構成するセラミックの種類が異なっていてもよい。
【0023】
セラミックグリーンシートの供給は、前記方法によって得られたセラミックグリーンシートをロールに巻き取り、これを払い出して前記ローラーに供給することが好ましい。
【0024】
尚、セラミックグリーンシートを巻き取るロールの径は、巻取りによるセラミックグリーンシート外面の伸びを防止するために、ロール芯の径が、10cm以上、好ましくは15cm以上のものを使用することが好ましい。ロール芯の径を上記設定にすれば、巻かれるシートの曲率半径はそれより大きくなるので問題ない。また、後述する積層セラミックグリーンシートを巻き取るときも上記と同じ思想で、厚くなった分ロール径の下限を、上記ロール径より大きくすることが好ましい。
【0025】
また、ドクターブレード法によって得られるセラミックグリーンシートを使用する場合、グリーンシートの汚染やブロッキングを防ぐため、キャストフィルムを残したままロールに巻き取ることも可能である。また、上記キャストフィルムは、それを残したまま本発明に供し、キャストフィルムが積層体の外側となるように接着してもよい。
【0026】
図1を例にとって更に説明を続ければ、本発明において、前記ローラー1-a、1-b間に供給されたセラミックグリーンシート1-a、1-bは、下方より積層された状態で取り出される。本発明の最大の特徴は、上記ローラー間に供給されるセラミックグリーンシート1-aと1-bによって形成される谷部に、接着液の溜3を形成したことにある。
【0027】
従来、このようなローラーによる接合において、接合箇所に溜3を形成した例は存在せず、かかる方法は新規な方法である。そして、上記溜3を形成することにより、セラミックグリーンシート1-aと1-bとの接合箇所は接着液により満たされているため、セラミックグリーンシートがローラーに巻き込まれる際に気泡が噛み込むことなく、接着部に気泡が実質的に存在しないセラミックグリーンシート積層体が得られ、延いてはこれを焼結することで、高強度を有し、絶縁耐性に優れたセラミック焼結体を得ることが可能となる。
【0028】
本発明において、前記溜3に存在させる接着液は、セラミックグリーンシートの接着に使用される液状の接着剤が特に制限なく使用される。好適には、接着液が、セラミックグリーンシートのセラミック粉末、有機バインダー等の固形分と同質の成分を含むスラリーが使用される。尚、積層する各シートのセラミック粉末が異なる場合は、セラミック粉末として混合粉末を使用することもできる。また、上記スラリーの溶媒としては、水、有機溶媒が適宜使用される。更に、スラリーの粘度は、あまり高過ぎるとセラミックグリーンシート間への供給が困難となり、低すぎると接着性が低下するため、10~20000cps程度が好ましい。
【0029】
本発明において、前記接着液の溜3の形成のさせ方は特に制限されないが、平面図として図3に、側面図として図4に示すような堰4-a、4-bを設けることが、接着液が漏洩するのを防止するために好ましい。上記堰4-a、4-bは、前記ローラー間に供給されるセラミックグリーンシート1-a、1-bの谷部の形状に沿った形状とし、セラミックグリーンシートの両端部より内側に設けられる。また、上記堰は、セラミックグリーンシートに接触するように固定して設けてもよいが、接着液の表面張力を勘案して、接着液が漏れない程度の間隙を空けて固定して設けることもできる。
【0030】
前記堰の材質は、滑りが良く、耐溶剤性、防汚性に優れたシリコーンゴムやテフロン(登録商標)などを選択することが好ましい。
【0031】
また、接着液の溜3は、前記堰によって形成された谷部の空間に、接着液を供給することによって行われる。接着液の供給は、接着液の供給ノズル(図示せず)を設けて行うことができる。好ましくは、上記供給ノズルに調節弁を設け、接着液の液面を検出する液面計との組み合わせにより、自動的に液面を一定に保つ態様が採用される。
【0032】
本発明において、ローラー2-a、2-bの材質、ローラー間隙、ローラーの速度、ローラー間の圧力等の設計条件は、従来のローラーによる接着において使用されている設計条件が特に制限なく採用される。例えば、材質としては、セラミックグリーンシートを過度に圧迫せず、シート表面に傷をつけない材質、具体的にはゴムローラーが好適に使用される。また、ローラー間隙は、接着液を存在させる厚さに応じて適宜決定すればよく、ローラー間に供給されるセラミックグリーンシートの合計厚さと上記接着液を存在させる厚さとの合計厚さとなるように調節することが好ましい。更に、ローラーの速度は、0.1~3m/分程度の送り速度となるように調整することが好ましい。更にまた、ローラー間の圧力は、ばねやゴムを用いて適当な値に調節することで、シート間に存在する接着液を均一な厚みに制御することができる。
【0033】
本発明において、前記ローラーを経て得られたセラミックグリーンシート積層体は、必要に応じて、接着液の溶媒を除去する乾燥処理を行うことにより、強固に接着されたセラミックグリーンシート積層体とすることができる。
【0034】
本発明のセラミックグリーンシート積層体の製造方法は、得られたセラミックグリーンシート積層体を原料のセラミックグリーンシートとして使用し、積層する操作を繰り返して実施し、より厚い厚みを有する積層セラミックグリーンシートを得ることも可能である。
【0035】
本発明の方法により得られたセラミックグリーンシート積層体は、必要に応じて乾燥後、一旦ロールに巻かれるか、或いはそのままの状態で搬送されて、適当な大きさに切断された後、公知の方法により脱脂、焼成することにより、焼結体とすることができる。
【0036】
本発明のセラミックグリーンシート積層体より得られる焼結体は、接着時の巻き込みに起因する気泡が実質的に存在しないという特徴を有する。具体的には、焼結体の断面を観察したとき、任意に選択した総長さ約2mの接着層(接着位置に相当する部分)において、0.5mm以上の気泡が1個以下を達成することができる。
【実施例0037】
以下、実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
尚、実施例において、セラミックグリーンシート積層体の評価は以下の方法によって行った。
【0039】
(1) 接着層の気泡の存在量
セラミックグリーンシート積層体より、15cm角程度の大きさで、任意の位置から10枚を切り出し、さらに1cmごとにカッターで溝を切り込み、曲げ折ることで断面を露出した。断面の接着層(接着位置に相当する部分)を顕微鏡で観察し、総長さ1.96mを観察した際の0.5mm以上の気泡の数を数えた。
【0040】
(2) 積層後の表面の観察
グリーンシート積層体の両表面の接着液の付着の有無(清浄度)を確認した。
【0041】
(3) 厚み精度
セラミックグリーンシート積層体について、任意に切り取った15cm角のサンプルについて、最大厚みと最小厚みとの差を測定し、厚み精度として示した。
実施例1
(窒化アルミニウムスラリーの作製)
窒化アルミニウム粉末(株式会社トクヤマ社製)100質量部、酸化イットリウム(日本イットリウム株式会社製)5質量部及び、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール樹脂(積水化学株式会社製)8質量部、及び、少量の可塑剤を有機溶媒と混合して成形用の窒化アルミニウムスラリー(粘度1000cps)を得た。
(窒化アルミニウムグリーンシートの作製)
上記の成形用窒化アルミニウムスラリーを、真空脱泡、粘度調整した後、シート成形機(テスター産業株式会社製)を用いてドクターブレード法によりシート状に成形し、次いで、乾燥して厚み0.7mmの窒化アルミニウムグリーンシートを得た。上記窒化アルミニウムグリーンシートは、径が20cmのロールに巻き取った。
【0042】
(グリーンシートの積層)
上記方法によって得られた2本の窒化アルミニウムグリーンシートが巻かれたロールを準備し、前記図1に示すように、水平方向に対向し、それぞれの対向面が下方に回転するする2本のゴムローラー間に被接着面を内側にして挟み込んだ。上記ゴムローラーは、バネ式でローラー間の圧力が200gfとなるように設定した。その後、窒化アルミニウムグリーンシートによって形成される谷部の両端(グリーンシートの両端部からそれぞれ1cm内側の位置)にシリコーンゴム製の一対の堰をグリーンシート約0.2mmの間隙をあけて設け、前記窒化アルミニウムグリーンシートの製造に使用したスラリーと同じ組成の接着液を前記谷部に供給して溜を形成した。ゴムローラーをモーターで駆動させて、シートが60cm/分の速度となるように調整して、ゴムローラーを回転させ、下方より窒化アルミニウムグリーンシート積層体を巻き取った。また、上記操作時において、接着液の液面をセンサにより検出し、液面の低下に合わせて接着液の供給を行った。
【0043】
(評価)
得られた窒化アルミニウムグリーンシート積層体の厚みは1.4mmであり、厚み精度は15μmであった。また、接着面における気泡の存在量は、0であった。グリーンシート積層体表面においては、接着剤の付着もなく、清浄であった。
【0044】
(焼成)
前記方法によって得られたグリーンシート積層体を、15cm角に切り出した後、脱脂し、次いで、窒素雰囲気下、1750℃で8時間焼成して、厚さ1.2mmの焼結体を得た。得られた焼結体は、接着部が確認できない程度に一体化されており、また、接着層に相当する箇所において、気泡は確認されなかった。
【0045】
比較例1
実施例1において、ローラー2-a、2-bを垂直方向に配し、上記ローラー間にロールに巻き取られた窒化アルミニウムグリーンシート1-a、1-bを横方向から供給し、下側に位置する窒化アルミニウムグリーンシートの表面には、接着液をコーターにより30μmの厚みで塗布しながら、ローラー間に窒化アルミニウムグリーンシートを供給した以外は、同様にして窒化アルミニウムグリーンシート積層体を製造した。
【0046】
(評価)
得られた窒化アルミニウムグリーンシート積層体の厚みは1.4mmであり、厚み精度は46μmであった。また、接着面における気泡の存在量は、3であった。また、接着液が積層体の表面に付着していた。接着剤が積層体の表面に回り込むと、焼成後に焼き付いてしまい、不具合の原因となる。
【符号の説明】
【0047】
1-a、1-b、1-c セラミックグリーンシート
2-a、2-b ローラー
3 接着液の溜
4-a、4-b 堰
図1
図2
図3
図4