(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183724
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】真空加熱処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097388
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】武井 純一
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA60
5F131CA32
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA04
5F131EB72
5F131EB78
5F131EB81
5F131FA13
5F131FA14
5F131FA32
5F131JA33
5F131KA23
(57)【要約】
【課題】スループットを向上する真空加熱処理装置を提供する。
【解決手段】真空容器と、前記真空容器内に配置され、基板を載置する基板載置面を有するステージと、前記ステージ内に設けられるヒータと、前記真空容器の内部空間の一部を仕切り、前記ステージの前記基板載置面との間にガス処理空間を形成する仕切り部材と、前記ガス処理空間にガスを供給するガス供給部と、を備える、真空加熱処理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と、
前記真空容器内に配置され、基板を載置する基板載置面を有するステージと、
前記ステージ内に設けられるヒータと、
前記真空容器の内部空間の一部を仕切り、前記ステージの前記基板載置面との間にガス処理空間を形成する仕切り部材と、
前記ガス処理空間にガスを供給するガス供給部と、を備える、
真空加熱処理装置。
【請求項2】
前記仕切り部材を上下方向に駆動する上下駆動機構をさらに備える、
請求項1に記載の真空加熱処理装置。
【請求項3】
前記上下駆動機構は、
基板リフトピンと、
仕切り部材リフトピンと、
前記基板リフトピン及び前記仕切り部材リフトピンが固定される支持板と、
前記支持板を駆動する駆動装置と、を有する、
請求項2に記載の真空加熱処理装置。
【請求項4】
前記仕切り部材は、
前記ステージの前記基板載置面との間に前記ガス処理空間を形成する第1凹部を有する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の真空加熱処理装置。
【請求項5】
前記ステージは、前記基板載置面よりも外周に配置される環状部材を備え、
前記仕切り部材は、
前記環状部材との間に前記ガス処理空間と連通する排気流路を形成する第2凹部をさらに有する、
請求項4に記載の真空加熱処理装置。
【請求項6】
前記ガス供給部は、前記環状部材の上面にガスを吐出する吐出口を有し、
前記仕切り部材は、
前記吐出口に対応する位置から前記第1凹部に連通する第3凹部をさらに有する、
請求項5に記載の真空加熱処理装置。
【請求項7】
前記第1凹部の表面は、ブラスト処理された処理面である、
請求項4に記載の真空加熱処理装置。
【請求項8】
前記第1凹部の表面は、ブラスト処理及び溶射処理された処理面である、
請求項7に記載の真空加熱処理装置。
【請求項9】
前記第1凹部及び前記第2凹部の表面は、ブラスト処理された処理面である、
請求項5に記載の真空加熱処理装置。
【請求項10】
前記第1凹部及び前記第2凹部の表面は、ブラスト処理及び溶射処理された処理面である、
請求項9に記載の真空加熱処理装置。
【請求項11】
前記第1凹部、前記第2凹部、及び前記第3凹部の表面は、ブラスト処理された処理面である、
請求項6に記載の真空加熱処理装置。
【請求項12】
前記第1凹部、前記第2凹部、及び前記第3凹部の表面は、ブラスト処理及び溶射処理された処理面である、
請求項11に記載の真空加熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、真空加熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板を保持して搬送する基板搬送機構を内部に有する複数の真空搬送ユニットが連設された基板搬送装置に設けられ、前記真空搬送ユニットと連設方向に隣接する基板収容ユニットであって、前記連設方向一方側の側壁に前記真空搬送ユニットに対する基板の搬入出口が形成された中空の筐体と、上下方向に移動可能に前記筐体内に設けられた仕切部材と、前記仕切部材を上下動させる駆動機構と、を有し、前記筐体内の空間を上下方向に分割したときの前記搬入出口側の空間を第1空間、前記搬入出口側とは反対側の空間を第2空間としたときに、前記第1空間と前記第2空間とが連通している状態から、前記仕切部材を上下方向に移動させることにより、前記第1空間と前記第2空間とが前記仕切部材によって気密に隔てられる、基板収容ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一の側面では、本開示は、スループットを向上する真空加熱処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、真空容器と、前記真空容器内に配置され、基板を載置する基板載置面を有するステージと、前記ステージ内に設けられるヒータと、前記真空容器の内部空間の一部を仕切り、前記ステージの前記基板載置面との間にガス処理空間を形成する仕切り部材と、前記ガス処理空間にガスを供給するガス供給部と、を備える、真空加熱処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、スループットを向上する真空加熱処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】真空加熱処理装置の構成例を説明するための断面図の一例。
【
図3】真空加熱処理装置動作のを示すフローチャートの一例。
【
図4】基板リフトピン及び仕切り部材リフトピンが上昇途中における真空加熱処理装置の断面図の一例。
【
図5】基板リフトピン及び仕切り部材リフトピンが上昇完了後における真空加熱処理装置の断面図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
真空加熱処理装置100について、
図1を用いて説明する。
図1は、真空加熱処理装置100の構成例を説明するための断面図の一例である。ここで、真空加熱処理装置100は、真空容器10内で基板Wを加熱するとともに、基板Wが配置されるガス処理空間に不活性ガスを供給して高圧(例えば、5~20Torr)とすることにより、基板Wの表面の除去対象物(例えば、前工程において形成された膜(例えば有機膜)等)を昇華させ、基板Wの表面から除去対象物を除去する装置(デガス装置ともいう。)である。
【0010】
真空加熱処理装置100は、真空容器10と、載置部20と、仕切り部材30と、ガス供給部40と、上下駆動機構50と、排気装置60と、制御部70と、を備える。
【0011】
真空容器10は、真空容器本体11と、リッド12と、を有する。真空容器本体11は、例えばアルミニウム等の金属材料により形成され、上部が開口する有底の略円筒状を有している。真空容器本体11は、半導体ウエハ等の基板Wを収容する。真空容器本体11の側壁には、基板Wを搬入又は搬出するための搬入出口13が形成されている。搬入出口13は、ゲートバルブ14により開閉される。真空容器本体11の底壁には、排気口15が形成されている。排気口15は、排気装置60と接続される。リッド12は、例えばアルミニウム等の金属材料により形成され、真空容器本体11の上部開口を塞ぐように配置される。また、真空容器本体11とリッド12との間は、シール部材(図示せず)で気密に封止されている。
【0012】
載置部20は、真空容器10内に配置される。載置部20は、基板Wを載置するステージ21を有する。ステージ21は、その上面の中央領域に基板Wを載置する基板載置面を有する、また、ステージ21は、その上面の基板載置面よりも径方向外側の外周環状領域に環状部材25を載置する環状部材載置面と、を有している。また、基板載置面は、環状部材載置面よりも高い位置に形成されている。ステージ21は、例えばセラミックス等の誘電体またはアルミニウム、ステンレス、ニッケル等の金属材料で形成されており、内部に基板Wを加熱するためのヒータ22が設けられている。ヒータ22は、ヒータ電源23から給電されて発熱する。そして、ステージ21の上面の近傍に設けられた熱電対(図示せず)の温度信号によりヒータ22の出力を制御することで、基板Wが所定の温度に制御される。また、ステージ21は、ステージ21を貫通する複数(例えば3つ)の貫通孔24が設けられている。なお、貫通孔24には、後述する基板リフトピン51が配置される。
【0013】
また、載置部20は、環状部材25を有する。環状部材25は、例えばステンレス、チタン等の金属材料で形成されており、略円環形状の部材であって、基板載置面よりも外周に設けられる環状部材載置面に配置される。環状部材25は、後述する仕切り部材30との間でガスの流路を形成し、コンダクタンスが基板Wの周方向において一定となるように調整するための部材である。
【0014】
また、環状部材25の上面は、ステージ21の基板載置面よりも高い位置まで形成されていてもよい。この構成において、環状部材25の内周面が、ステージ21の基板載置面よりも高い位置に配置される。これにより、基板載置面に載置された基板Wが水平方向にずれた場合、基板Wの側面が環状部材25の内周面に当接する。このように、環状部材25は、基板載置面に載置された基板Wのずれを制限し、基板Wの位置をガイドするガイド部材として機能する。
【0015】
仕切り部材30は、ステンレス、チタン等の耐熱性を有する材料で形成されており、真空容器10の内部空間の一部を仕切ることで、ステージ21の基板載置面との間に後述するガス処理空間を形成する部材である。仕切り部材30は、載置部20及び載置部20に載置された基板Wを覆うように配置されることにより、載置部20と仕切り部材30との間に不活性ガスが供給されるガス処理空間を形成する。また、仕切り部材30は、後述する上下駆動機構50によって上下方向に移動可能に構成されている。即ち、仕切り部材30は、閉塞位置と開放位置とをを移動可能に構成されている。閉塞位置は、
図1に示すように、載置部20及び載置部20に載置された基板Wを覆うように配置されガス処理空間を形成する位置(下降位置ともいう。)である。開放位置は、後述する
図5に示すように、仕切り部材30を持ち上げて仕切り部材30と載置部20との間に基板Wを搬送可能とする位置(上昇位置ともいう。)である。
【0016】
図2は、仕切り部材30の底面図の一例である。また、
図2において、後述するガス供給配管42、基板リフトピン51、仕切り部材リフトピン52の位置を仕切り部材30に投影した位置を点線で図示する。
【0017】
仕切り部材30は、天面31と、第1円筒面32と、円環面33と、第2円筒面34と、ガス供給流路35と、当接部36と、を有する。
【0018】
天面31は、ステージ21に載置された基板Wの上面と対向する略円形の平面である。閉塞位置(
図1参照)において、天面31は、基板Wの上面よりも高い位置に配置される。
【0019】
第1円筒面32は、ステージ21に載置された基板Wの外周面よりも径方向外側に配置される円筒面である。第1円筒面32は、上端が天面31と接続され、下端が円環面33と接続される。これにより、上面が天面31で規定され、下面がステージ21の基板載置面で規定され、外周面が第1円筒面32で規定される円柱状のガス処理空間を形成する。基板Wはガス処理空間内に配置される。また、閉塞位置(
図1参照)において、第1円筒面32と基板Wの外周面との間には、ガスが通流可能な空間(隙間)を形成する。
【0020】
円環面33は、ステージ21に配置された環状部材25の上面と対向する略円環形状の平面である。閉塞位置(
図1参照)において、円環面33は、環状部材25に載置された基板Wの上面よりも高い位置に配置され、円環面33と環状部材25の上面との間には、ガスが通流可能な空間(隙間)を形成する。
【0021】
第2円筒面34は、ステージ21に配置された環状部材25の外周面よりも径方向外側に配置される円筒面である。第2円筒面34は、上端が円環面33と接続される。閉塞位置(
図1参照)において、円環面33と環状部材25の外周面との間には、ガスが通流可能な空間(隙間)を形成する。
【0022】
ガス供給流路35は、後述するガス供給配管42の吐出口に対応する位置からガス処理空間に連通するように形成される。これにより、ガス供給配管42から吐出されたガスは、ガス供給流路35を介して、ガス処理空間に供給される。
【0023】
換言すれば、仕切り部材30の裏面には、天面31及び第1円筒面32を形成する第1凹部(第1掘り込み部)と、円環面33及び第2円筒面34を形成して第1凹部と連通する第2凹部(第2掘り込み部)と、ガス供給流路35を形成して第1凹部と連通する第3凹部(第3掘り込み部)と、を有する。第1凹部は、仕切り部材30が閉塞位置に配置された際、ステージ21の基板載置面との間にガス処理空間を形成する。第2凹部は、仕切り部材30が閉塞位置に配置された際、環状部材25との間にガス処理空間と連通する排気流路を形成する。なお、排気流路の幅は、例えば2mm以下である。第3凹部は、仕切り部材30が閉塞位置に配置された際、ガス供給配管42の吐出口とガス処理空間とを連通する供給流路を形成する。
【0024】
また、天面31、第1円筒面32、円環面33、第2円筒面34及びガス供給流路35は、ブラスト処理された処理面、または、ブラスト処理及び溶射処理された処理面である。即ち、ガス処理空間を形成する仕切り部材30の第1凹部の表面(天面31、第1円筒面32)は、ブラスト処理された処理面、または、ブラスト処理及び溶射処理された処理面である。また、ガス処理空間からの排気流路を形成する仕切り部材30の第2凹部の表面(円環面33、第2円筒面34)は、ブラスト処理された処理面、または、ブラスト処理及び溶射処理された処理面である。また、ガス処理空間への供給流路を形成する仕切り部材30の第3凹部の表面(ガス供給流路35)は、ブラスト処理された処理面、または、ブラスト処理及び溶射処理された処理面である。
【0025】
ブラスト処理は、昇華した除去対象物の吸着を促進させる。ブラスト処理は、表面粗さが、例えば、算術平均粗さRaで2.0(μm)以上10(μm)以下であることが好ましい。
【0026】
溶射処理は、仕切り部材30の表面に吸着した除去対象物の剥がれを抑制する。溶射処理としては、例えば、アルミ溶射、アルミナ溶射、イットリア溶射等が施される。なお、溶射処理では、表面粗さが、例えば、算術平均粗さRaで15(μm)以上30(μm)以下であることが好ましい。
【0027】
当接部36は、後述する仕切り部材リフトピン52が上昇した際、仕切り部材リフトピン52と当接する。
【0028】
図1に戻り、ガス供給部40は、ガス処理空間に不活性ガスを供給する。不活性ガスは、例えばアルゴン(Ar)ガス、窒素(N
2)ガスを用いることができる。ガス供給部40は、ガス供給源41と、ガス供給配管42と、を有する。ガス供給源41は、ガス供給配管42、ガス供給流路35を介して、ガス処理空間に不活性ガスを供給する。ガス供給配管42は、真空容器本体11を貫通し、環状部材25の上面にガスを吐出する吐出口を有するように接続される。
【0029】
上下駆動機構50は、仕切り部材30を上下方向に駆動する。また、上下駆動機構50は、ステージ21の載置面に基板Wを載置し、ステージ21の載置面から基板Wを持ち上げる。上下駆動機構50は、基板リフトピン51と、仕切り部材リフトピン52と、支持板53と、昇降軸54と、鍔部55と、ベローズ56と、駆動装置57と、を有する。
【0030】
基板リフトピン51は、複数(例えば3つ)設けられ、ステージ21の貫通孔24に配置される。基板リフトピン51の材料は、例えばチタン等の金属材料であってよい。基板リフトピン51の下端は、支持板53に固定される。
【0031】
仕切り部材リフトピン52は、複数(例えば3つ)設けられ、ステージ21よりも径方向外側に配置される。基板リフトピン51の材料は、例えばアルミナ(Al2O3)等のセラミックス等であってよい。仕切り部材リフトピン52の下端は、支持板53に固定される。
【0032】
支持板53は、例えば略円環形状に形成されている。支持板53は、真空容器本体11の底壁を貫通する昇降軸54を介して真空容器本体11の外部に設けられた駆動装置57に接続されている。昇降軸54の真空容器本体11よりも下方には、鍔部55が取り付けられている。真空容器本体11の底壁と鍔部55との間には、ベローズ56が設けられている。ベローズ56は、真空容器本体11内の雰囲気を外気と区画し、支持板53の昇降動作にともなって伸縮する。駆動装置57は、駆動軸を介して支持板53を上下方向に駆動することにより、基板リフトピン51及び仕切り部材リフトピン52を上下方向に駆動する。
【0033】
なお、上下駆動機構50は、1つの駆動装置57によって基板リフトピン51及び仕切り部材リフトピン52を一体として昇降させる構成を例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、上下駆動機構50は、基板リフトピン51と仕切り部材リフトピン52と独立して駆動可能な構成であってもよい。また、仕切り部材30を上下に駆動する構成は、リフトピンに限られるものではなく、仕切り部材30と接続された駆動軸を駆動装置によって駆動する構成であってもよい。
【0034】
排気装置60は、例えばターボ分子ポンプ、ドライポンプ等によって構成され、排気口15を介して真空容器10の内部を排気する。
【0035】
制御部70は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置等を備える。CPUは、ROM又は補助記憶装置に格納されたプログラムに基づいて動作し、真空加熱処理装置100の動作を制御する。制御部70は、真空加熱処理装置100の内部に設けられていてもよく、外部に設けられていてもよい。制御部70が真空加熱処理装置100の外部に設けられている場合、制御部70は有線、無線等の通信手段を介して真空加熱処理装置100の動作を制御する。
【0036】
次に、
図3を用いて、真空加熱処理装置100の動作の一例について説明する。
図3は、真空加熱処理装置100動作のを示すフローチャートの一例である。
【0037】
なお、フローの開始前において、制御部70は、排気装置60を制御し、真空容器10内を所望の真空雰囲気とする。また、制御部70は、ヒータ電源23を制御してヒータ22を発熱させ、ステージ21を所望の温度に昇温する。
【0038】
ステップS101において、基板Wを搬入する。制御部70は、上下駆動機構50を制御して、仕切り部材30を開放位置(後述する
図5参照)に配置し、基板リフトピン51がステージ21の載置面から突出した状態とする。次に、制御部70は、ゲートバルブ14を開き、搬送アーム200(後述する
図5参照)を制御して、搬入出口13を介して搬送アーム200に保持された基板Wを真空容器10内に搬送し、基板リフトピン51の上に載置する。そして、搬送アーム200が搬入出口13から退避すると、制御部70は、ゲートバルブ14を閉じる。
【0039】
ステップS102において、基板Wを載置部20に載置し、仕切り部材30を閉じる。ここでは、制御部70は、駆動装置57を制御して、基板リフトピン51及び仕切り部材リフトピン52を下降させる。これにより、基板リフトピン51に載置された基板Wがステージ21の載置面に載置される。また、仕切り部材30が閉塞位置(
図1参照)に移動する。これにより、ガス処理空間が形成され、ガス処理空間内に基板Wが配置される。
【0040】
ステップS103において、制御部70は、ガス供給部40を制御して、ガス処理空間に不活性ガスを供給する。ガス供給源41から供給された不活性ガスは、ガス供給配管42、ガス供給流路35を介して、ガス処理空間に供給される。ここで、閉塞位置に配置された仕切り部材30は、ガス処理空間と、真空容器10の内部空間のうちの他の空間と、を仕切る。このため、ガス処理空間の容積は、真空容器10の内部空間の容積と比較して、小さく形成されている。よって、ガス処理空間内は、ガス供給源41から供給された不活性ガスによって速やかに昇圧される。これにより、真空容器10内全体を昇圧する場合と比較して、ガス処理空間内を昇圧するために要する時間を短縮し、真空加熱処理装置100のスループットを向上する。また、不活性ガスの消費量を低減することができる。
【0041】
また、ステージ21に載置された基板Wは、ヒータ22によって加熱される。これにより、基板Wを所定の高温状態(例えば、100℃~450℃)とし、基板Wを所定の高圧(例えば、5~20Torr)の不活性ガス雰囲気にさらすことにより、基板Wに形成された除去対象物(例えば、前工程において形成された膜、基板Wに吸着した水分等)を昇華させる。そして、使用された不活性ガス及び昇華した除去対象物は、ガス処理空間と真空容器10の内部空間と差圧によって、第1円筒面32と基板Wの外周面との隙間、円環面33と環状部材25の上面との隙間、円環面33と環状部材25の外周面との隙間を通り、真空容器10の内部空間へと排気される。更に、使用された不活性ガス及び昇華した除去対象物は、排気装置60によって真空容器10の外へ排気される。
【0042】
ここで、仕切り部材30の内表面がブラスト処理等されていることにより、基板Wから昇華した除去対象物が仕切り部材30の内表面に付着する。これにより、昇華した除去対象物が真空容器10の内壁面に広く拡散することを防止することができる。換言すれば、真空容器10の内壁面に付着する除去対象物を低減することができ、真空容器10のクリーニング間隔を長くすることができ、真空加熱処理装置100のダウンタイムを低減し、真空加熱処理装置100のスループットを向上する。
【0043】
ステップS104において、制御部70は、ガス供給部40を制御して、ガス処理空間への不活性ガスの供給を停止する。
【0044】
ステップS105において、仕切り部材30を開き、基板Wを載置部20から持ち上げる。ここでは、制御部70は、駆動装置57を制御して、基板リフトピン51及び仕切り部材リフトピン52を上昇させる。
【0045】
図4は、基板リフトピン51及び仕切り部材リフトピン52が上昇途中における真空加熱処理装置100の断面図の一例である。支持板53が上昇することにより、
図4に示すように、基板リフトピン51が基板Wの裏面と当接する前に、仕切り部材リフトピン52と仕切り部材30の当接部36とが当接して、仕切り部材30の上昇が開始される。
【0046】
図5は、基板リフトピン51及び仕切り部材リフトピン52が上昇完了後における真空加熱処理装置100の断面図の一例である。支持板53が更に上昇することにより、
図5に示すように、基板リフトピン51が基板Wの裏面と当接して基板Wをステージ21の載置面から持ち上げる。また、仕切り部材30は、さらに上昇し、開放位置で停止する。
【0047】
ステップS106において、基板Wを搬出する。制御部70は、ゲートバルブ14を開き、搬送アーム200を制御して、搬入出口13を介して搬送アーム200を真空容器10内に挿入し、基板リフトピン51の上に載置された基板Wを受け取る。そして、基板Wを保持した搬送アーム200が搬入出口13から退避すると、制御部70は、ゲートバルブ14を閉じる。
【0048】
以降、ステップS101に戻り、次の基板Wに対して同様に処理を施す。
【0049】
以上のように、真空加熱処理装置100は、上下駆動機構50によって仕切り部材30が閉塞位置(
図1参照)に配置されると、真空容器10の内部空間の一部を仕切り、ステージ21の基板載置面との間にガス処理空間を形成する。そして、ガス供給部40は、ガス処理空間に不活性ガスを供給して、ガス処理空間内に配置される基板Wを不活性ガスの高圧(例えば、5~20Torr)の雰囲気とする。このように、ガス供給部40が不活性ガスを供給する空間を小さくすることにより、ガス処理空間内を昇圧するために要する時間を短縮し、真空加熱処理装置100のスループットを向上する。また、不活性ガスの消費量を低減することができる。
【0050】
また、仕切り部材30の内表面がブラスト処理されていることにより、基板Wから昇華した除去対象物が、基板Wの近傍で吸着される。これにより、真空容器10の内壁面に付着する除去対象物を低減することができ、真空容器10のクリーニング間隔を長くすることができ、真空加熱処理装置100のダウンタイムを低減し、真空加熱処理装置100のスループットを向上する。
【0051】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0052】
W 基板
10 真空容器
11 真空容器本体
12 リッド
13 搬入出口
14 ゲートバルブ
15 排気口
20 載置部
21 ステージ
22 ヒータ
23 ヒータ電源
24 貫通孔
25 環状部材
30 仕切り部材
31 天面(第1凹部)
32 第1円筒面(第1凹部)
33 円環面(第2凹部)
34 第2円筒面(第2凹部)
35 ガス供給流路(第3凹部)
36 当接部
40 ガス供給部
41 ガス供給源
42 ガス供給配管
50 上下駆動機構
51 基板リフトピン
52 仕切り部材リフトピン
53 支持板
54 昇降軸
55 鍔部
56 ベローズ
57 駆動装置
60 排気装置
70 制御部
100 真空加熱処理装置
200 搬送アーム