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特開2023-183793画像形成装置、画像形成システム、及び、2機種の画像形成装置の製造方法
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  • 特開-画像形成装置、画像形成システム、及び、2機種の画像形成装置の製造方法 図1
  • 特開-画像形成装置、画像形成システム、及び、2機種の画像形成装置の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183793
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム、及び、2機種の画像形成装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20231221BHJP
   B41J 29/377 20060101ALI20231221BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G03G21/16 109
B41J29/377 103
B41J29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097521
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】仁枝 弘晃
【テーマコード(参考)】
2C061
2H171
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061BB02
2C061BB05
2C061BB06
2C061BB35
2C061CF10
2C061CG15
2C061CN08
2H171FA01
2H171FA05
2H171GA04
2H171HA02
2H171HA22
2H171KA05
2H171KA13
2H171MA11
2H171NA01
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC22
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
(57)【要約】
【課題】一方の機種では無線通信部が配置される位置に、他方の機種ではこの無線通信部が配置されない場合でも、当該位置が他方の機種においてブランクスペースにならず、無駄なスペースの発生を抑制する。
【解決手段】他の機種の画像形成装置と筐体が共通している画像形成装置100Aであって、前記他の機種の画像形成装置とは電装ユニット30Aが異なっており、前記他の機種の画像形成装置における前記電装ユニット内の基板に接続された無線通信部が配置される位置に、該無線通信部以外の構成部品32が配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の機種の画像形成装置と筐体が共通している画像形成装置であって、
前記他の機種の画像形成装置とは電装ユニットが異なっており、
前記他の機種の画像形成装置における前記電装ユニット内の基板に接続された無線通信部が配置される位置に、該無線通信部以外の構成部品が配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
他の機種の画像形成装置と筐体が共通している画像形成装置であって、
前記他の機種の画像形成装置とは電装ユニットが異なっており、
前記電装ユニット内の基板に接続された無線通信部が配置される位置は、前記他の機種の画像形成装置で該無線通信部以外の構成部品が配置される位置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
筐体が互いに共通している2機種の画像形成装置を含む画像形成システムであって、
前記2機種の画像形成装置は、電装ユニットが互いに異なっており、
一方の機種の画像形成装置には、前記電装ユニット内の基板に接続される無線通信部が配置され、
他方の機種の画像形成装置には、前記無線通信部を前記位置に配置しない代わりに、該無線通信部以外の構成部品が、前記位置に配置されていることを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成システムにおいて、
前記構成部品は、前記一方の機種の画像形成装置には配置されない部品であることを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の画像形成システムにおいて、
前記他方の機種の画像形成装置は、前記一方の機種の画像形成装置よりも画像形成速度が高速な高速機であり、
前記構成部品は、ファンであることを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の画像形成システムにおいて、
前記位置は、前記電装ユニットが取り付けられる筐体フレームの外面であり、
前記筐体フレームには、前記無線通信部と前記電装ユニット内の基板とを接続するケーブルを挿通させる貫通孔が形成されており、
前記構成部品は、前記筐体フレームの前記貫通孔に係合することを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
筐体が互いに共通していて、電装ユニットが互いに異なる2機種の画像形成装置の製造方法であって、
一方の機種の画像形成装置には、前記電装ユニット内の基板に接続される無線通信部を配置し、
他方の機種の画像形成装置には、前記無線通信部を前記位置に配置しない代わりに、該無線通信部以外の構成部品を、前記位置に配置することを特徴とする2機種の画像形成装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム、及び、2機種の画像形成装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、他の機種の画像形成装置と筐体が共通している画像形成装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、共通の筐体を有する2機種の画像形成装置が記載され、一方の機種は冷却装置が増設されており、他方の機種はこの冷却装置が増設されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、一方の機種では構成部品が配置される位置に、他方の機種ではこの構成部品が配置されない場合、当該位置は他方の機種ではブランクスペースとなり、無駄なスペースになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明は、他の機種の画像形成装置と筐体が共通している画像形成装置であって、前記他の機種の画像形成装置とは電装ユニットが異なっており、前記他の機種の画像形成装置における前記電装ユニット内の基板に接続された無線通信部が配置される位置に、該無線通信部以外の構成部品が配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、一方の機種では無線通信部が配置される位置に、他方の機種ではこの無線通信部が配置されない場合でも、当該位置が他方の機種においてブランクスペースにならず、無駄なスペースの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る画像形成システムを構成する2機種のプリンタの概略構成を示す説明図。
図2】同2機種のうちの高速機のプリンタについて、背面側から見たときの内部概略構造を模式的に示す斜視図。
図3】同2機種のうちの低速機のプリンタについて、背面側から見たときの内部概略構造を模式的に示す斜視図。
図4】高速機のプリンタにおけるファンの配置箇所の構成を示す説明図。
図5】低速機のプリンタにおける無線通信部の配置箇所の構成を示す説明図。
図6】高速機のプリンタにおけるファンの取り付け位置を下方から見たときの斜視図。
図7】低速機のプリンタにおける無線通信部の取り付け位置を下方から見たときの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を、筐体が互いに共通している2機種の画像形成装置を含む画像形成システムに適用した一実施形態について説明する。
なお、本実施形態における2機種の画像形成装置は、一例として、電子写真方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタ100という)を例に挙げて説明するが、インクジェット方式などの他の画像形成方式の画像形成装置や、プリンタ以外の機能を備える画像形成装置などであってもよい。
【0009】
まず、本実施形態における2機種のプリンタ100の基本的な構成(共通構成)について説明する。
図1は、本実施形態における2機種のプリンタ100の概略構成を示す説明図である。
このプリンタ100は、タンデム型のカラープリンタであり、本体筐体101内に配置された4つの像担持体としての感光体1a~1dを備える。4つの感光体1a~1dの上方には、中間転写体として中間転写ベルト3を備える中間転写装置が備わっている。
【0010】
4つの感光体1a~1d上には、互いに異なる色のトナー像がそれぞれ形成される。本実施形態の4つの感光体1a~1dには、ブラックトナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像およびイエロートナー像がそれぞれ形成される。なお、図1に示した感光体1a~1dはドラム状に形成されているが、感光体としては複数のローラに巻き掛けられて回転駆動される無端ベルト状の感光体を用いることもできる。
【0011】
4つの感光体1a~1dは、中間転写ベルト3の表面に接触している。図1に示す中間転写ベルト3は、二次転写対向ローラ4、テンションローラ5、バックアップローラ6、入口ローラ7に巻き掛けられている。これらの支持ローラのうちの1つである二次転写対向ローラ4が駆動源によって駆動される駆動ローラとして構成され、この二次転写対向ローラ4の駆動により中間転写ベルト3が図1中の矢印A方向に回転駆動される。
【0012】
中間転写ベルト3は、多層構造、単層構造のいずれでもよいが、多層構造であればベース層を例えば伸びの少ないフッ素樹脂やPVDFシート、ポリイミド系樹脂でつくり、表面をフッ素系樹脂等の平滑性のよいコート層で被ってなるものが好ましい。また、単層であればPVDF、PC、ポリイミド等の材質を用いるものがよい。
【0013】
感光体1a~1dへのトナー像の形成と各トナー像の中間転写ベルト3への転写は、4つの感光体1a~1dにおいて実質的にすべて同一であり、形成されるトナー像の色が異なるだけである。このため、4つの感光体1a~1dのうち、中間転写ベルト3の表面移動方向最上流側に配置されたイエロー用感光体1dへのイエロートナー像を形成と中間転写ベルト3への転写とについてだけを説明する。
【0014】
イエロー用感光体1dは、図1中の矢印Cに示すように図1中の時計方向に回転駆動され、このときイエロー用感光体1dの表面に除電装置からの光が照射され、イエロー用感光体1dの表面電位が初期化される。初期化されたイエロー用感光体1dの表面は帯電装置8によって所定の極性(本実施形態ではマイナス極性)に一様に帯電される。このように帯電されたイエロー用感光体1dの表面に、露光装置9から出射する光変調されたレーザービームLが照射され、イエロー用感光体1dの表面に書き込み情報に対応した静電潜像が形成される。図1に示したプリンタ100では、レーザービームを出射するレーザー書き込み装置よりなる露光装置9が用いられているが、LEDアレイと結像手段を有する露光装置などを用いることもできる。
【0015】
イエロー用感光体1dに形成された静電潜像は、イエロー用の現像装置10によってイエロートナー像として可視像化される。一方、中間転写ベルト3の内側には、中間転写ベルト3を挟んでイエロー用感光体1dに対向した位置にイエロー用転写ローラ11dが配置されている。このイエロー用転写ローラ11dが中間転写ベルト3の裏面に接触し、イエロー用感光体1dと中間転写ベルト3との適正な転写ニップが形成される。
【0016】
イエロー用転写ローラ11dには、イエロー用感光体1d上に形成されたトナー像のトナー帯電極性とは逆極性(本実施形態ではプラス極性)の転写電圧が印加される。これにより、イエロー用感光体1dと中間転写ベルト3との間に転写電界が形成され、イエロー用感光体1d上のイエロートナー像が、イエロー用感光体1dと同期して回転駆動される中間転写ベルト3上に静電的に転写される。イエロートナー像を中間転写ベルト3に転写した後のイエロー用感光体1d表面に付着する転写残トナーは、イエロー用のクリーニング装置12によって除去され、イエロー用感光体1dの表面が清掃される。
【0017】
同様にして、他の3つの感光体1c,1b,1aには、マゼンタトナー像、シアントナー像およびブラックトナー像がそれぞれ形成され、その各色のトナー像は、イエロートナー像の転写された中間転写ベルト3上に順次重ねて静電転写される。
【0018】
プリンタ100は、4色のトナーを使うフルカラーモードと黒単色のみを使う黒単色モードの二種類の駆動モードがある。フルカラーモード時には、中間転写ベルト3と4つの感光体1a~1dが接触して、4色のトナー像が中間転写ベルト上に転写される。一方、黒単色モードでは、黒用感光体1aのみが中間転写ベルト3に接触し、ブラックトナーのみが中間転写ベルト3に転写される。このとき、シアン用、マゼンタ用、及び、イエロー用の3つの感光体1b,1c,1dと中間転写ベルト3とは接触しておらず、接離機構により3つの転写ローラ11b,11c,11dが感光体1b,1c,1dから離間する。その際、シアン用、マゼンタ用、及び、イエロー用の3つの感光体1b,1c,1dから中間転写ベルト3を確実に離間させるために、バックアップローラ6を移動させて、中間転写ベルト3のプロファイルを変化させる。
【0019】
本体筐体101の下部には、図1に示すように、給紙装置14が配置されている。給紙装置14は、給紙ローラ15の回転によって、記録媒体である記録紙Pが図1中の矢印B方向に送り出される。送り出された記録紙Pは、レジストローラ対16に突き当たり、一旦停止する。
【0020】
中間転写ベルト3における二次転写対向ローラ4に巻き掛けられた部分と、これに対向配置された二次転写部材である二次転写ローラ17とは接触する。この接触部によって二次転写ニップを形成する。レジストローラ対16に突き当たった記録紙Pは、所定のタイミングで二次転写ニップに搬送される。このとき、二次転写ローラ17には所定の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト3上に重ねて転写されたトナー像が記録紙Pに二次転写される。
【0021】
トナー像が二次転写された記録紙Pは、さらに上方に搬送されて定着装置18を通り、このとき記録紙P上のトナー像が定着装置18での熱と圧力との作用により定着される。定着装置18を通過した記録紙Pは、排紙部に設けられた排紙ローラ対19によりプリンタ100の外に排出され、装置の上面部である排紙トレイ101aにスタックされる。
【0022】
トナー像を記録紙Pに転写した後の中間転写ベルト3には多少のトナーが転写残トナーとして残留するが、この転写残トナーはベルトクリーニング装置20によって中間転写ベルト3から除去される。本実施形態におけるベルトクリーニング装置20では、ウレタン等で構成されたブレード形状のクリーニングブレード21を用いており、クリーニングブレード21を中間転写ベルト3の表面移動方向に対してカウンタ方向に当接させている。ベルトクリーニング装置20としては、適宜様々な種類のものを用いることが可能であり、例えば、ベルトクリーニング装置20を静電式のものとしても良い。
【0023】
次に、本実施形態の画像形成システムを構成する2機種のプリンタ100A,100Bについて、それぞれ説明する。
一般に、顧客のニーズに応えるため、筐体が互いに共通しているいわゆるモデル違いの機種を提供することがある。典型例としては、例えば、筐体が互いに共通しているが、画像形成速度が異なっているなど、画像形成機能が互いに異なる2機種の画像形成装置を提供することが挙げられる。このような2機種の画像形成装置は、それぞれの画像形成機能に応じて、互いに異なる電装ユニットが使用される。本実施形態では、2機種のプリンタ100A,100Bのうちの一方の機種は、画像形成速度が高速なプリンタ100Aであり、他方の機種は、画像形成速度が低速なプリンタ100Bである。
【0024】
図2は、2機種の画像形成装置のうちの高速機のプリンタ100Aについて、背面側から見たときの内部概略構造を模式的に示す斜視図である。
図3は、2機種の画像形成装置のうちの低速機のプリンタ100Bについて、背面側から見たときの内部概略構造を模式的に示す斜視図である。
【0025】
電装ユニット30A,30Bは、電装ボックス内に制御基板などの電装部品が収容されたものである。多くの機種では、電装ユニット30A,30Bには、外部の通信機器との間で無線通信を可能にする無線通信部31A,31Bが取り付けられる。電装ユニット30A,30Bを構成する電装ボックスは、通常、金属などの電波遮蔽材料で構成されるため、無線通信部31A,31Bの少なくともアンテナ部(電波を発する又は受ける部分)は、電装ボックス(電装ユニット30A,30B)の外部に配置される。
【0026】
ここで、本実施形態における2機種のプリンタ100A,100Bは、図2及び図3に示すように、互いに異なる電装ユニット30A,30Bを使用し、それぞれの電装ユニット30A,30Bに取り付けられる無線通信部31A,31Bの配置が互いに異なっている。
【0027】
具体的には、高速機のプリンタ100Aでは、図2に示すように、電装ユニット30Aの側面(プリンタ100Aの側面)に露出するように無線通信部31Aが配置されている。なお、無線通信部31Aに対してユーザー等が容易にアクセスできないように、電装ユニット30Aの側面は、本体筐体101の外装カバーに覆われ、本体筐体101の内部に配置されるようにするのが好ましい。
【0028】
一方、低速機のプリンタ100Bでは、図3に示すように、電装ユニット30Bの上面に露出するように無線通信部31Bが配置されている。無線通信部31Bに対してユーザー等が容易にアクセスできないように、電装ユニット30Aの上面は、本体筐体101の外装カバー101b(図4参照)に覆われ、本体筐体101の内部に配置される。
【0029】
本実施形態のように、共通の筐体101を備える2機種のプリンタ100A,100B間で無線通信部31A,31Bの取り付けられる位置が互いに異なる場合がある。この場合、高速機のプリンタ100Aにおいては、低速機のプリンタ100Bにおける無線通信部31Bの配置位置には無線通信部31Bが配置されないため、当該位置がブランクスペースとなり、無駄なスペースを生じさせることになる。
【0030】
そこで、本実施形態においては、低速機のプリンタ100Bでは筐体101の内部における電装ユニット30Bの外部の位置に配置される無線通信部31Bを、高速機のプリンタ100Aでは当該位置に配置しない代わりに、高速機のプリンタ100Aにおける当該位置には、図2に示すように、低速機のプリンタ100Bには配置されない構成部品であるファン32を配置する。
【0031】
図4は、高速機のプリンタ100Aにおけるファン32の配置箇所の構成を示す説明図である。
高速機のプリンタ100Aは、低速機のプリンタ100Bと比べて、画像形成速度が高速であることから、筐体101の内部が高温になりやすく、筐体101の内部の冷却機能を高める必要がある。そのため、本実施形態においては、低速機のプリンタ100Bでは配置されないファン32を、高速機のプリンタ100Aには配置している。高速機のプリンタ100Aにおいて、このファン32が配置される位置は、機内の排気(図中黒塗り矢印)を行う排気ダクト33の通り道である。この位置にファン32を配置することで、筐体101の内部の排気能力が高まり、筐体101の内部の冷却機能が高まる。
【0032】
図5は、低速機のプリンタ100Bにおける無線通信部31Aの配置箇所の構成を示す説明図である。
低速機のプリンタ100Bは、上述のとおり、高速機のプリンタ100Aで設けられるファン32が不要であり、ファン32が配置されていない。その代わり、低速機のプリンタ100Bでは、高速機のプリンタ100Aでファン32が配置される位置に、無線通信部31Bが配置されている。
【0033】
このように、低速機のプリンタ100Bでは、ファン32が配置されないことでブランクスペースになり得る位置に、無線通信部31Bが配置されることで、ブランクスペースの発生を抑制できる。逆に、高速機のプリンタ100Aについては、低速機のプリンタ100Bにおける無線通信部31Bの配置位置はブランクスペースになり得るが、この位置にファン32が配置されることで、ブランクスペースの発生を抑制できる。
【0034】
図6は、高速機のプリンタ100Aにおけるファン32の取り付け位置を下方から見たときの斜視図である。
本実施形態における2機種のプリンタ100A,100Bの間で共通の筐体101には、それぞれの電装ユニット30A,30Bが取り付けられる内部フレーム101cが存在する。この内部フレーム101cは、電装ユニット30A,30Bの上面に対向するように位置し、貫通孔101dが形成されている。本実施形態における高速機のプリンタ100Aにおいて、内部フレーム101cの貫通孔101dには、ファン32の位置決め突起32aが係合する。すなわち、高速機のプリンタ100Aにおける貫通孔101dは、ファン32の位置決め用孔として機能する。
【0035】
図7は、低速機のプリンタ100Bにおける無線通信部31Bの取り付け位置を下方から見たときの斜視図である。
本実施形態における低速機のプリンタ100Bにおいて、内部フレーム101cの貫通孔101dには、無線通信部31Bと電装ユニット30B内の基板とを接続するフラットケーブル34が挿通される。すなわち、低速機のプリンタ100Bにおける貫通孔101dは、無線通信部31Bのフラットケーブル34を通す孔として機能する。
【0036】
このように、2機種のプリンタ100A,100Bの間で共通の筐体101に形成される貫通孔101dを、それぞれのプリンタ100A,100Bの同じ位置に配置されるファン32と無線通信部31Bのそれぞれに利用されることで、無駄の少ない構成を実現できる。
【0037】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、他の機種の画像形成装置(例えば低速機のプリンタ100B)と筐体101が共通している画像形成装置(例えば高速機のプリンタ100A)であって、前記他の機種の画像形成装置とは電装ユニット30Aが異なっており、前記他の機種の画像形成装置における前記電装ユニット30B内の基板に接続された無線通信部31Bが配置される位置に、該無線通信部以外の構成部品(例えばファン32)が配置されていることを特徴とするものである。
一般に、顧客のニーズに応えるため、筐体が互いに共通している2機種の画像形成装置を提供することがある。典型例としては、例えば、筐体が互いに共通しているが、画像形成速度が異なっているなど、画像形成機能が互いに異なる2機種の画像形成装置を提供することが挙げられる。このような2機種の画像形成装置は、それぞれの画像形成機能に応じて、互いに異なる電装ユニットが使用される。通常の電装ユニットには無線通信部が取り付けられるが、通常の電装ユニットは金属などの電波遮蔽材料によって覆われているため、無線通信部の少なくともアンテナ部(電波を発する又は受ける部分)は電装ユニットの外部に配置される。互いに異なる電装ユニットが使用される場合、無線通信部が取り付けられる位置が互いに異なる場合がある。この場合、一方の機種では、電装ユニットの外部に配置される無線通信部が筐体の内部に位置する場合、他方の機種では、その位置に無線通信部が配置されないために、当該位置がブランクスペースとなり、無駄なスペースを生じさせる。
そこで、本態様においては、他の機種の画像形成装置では無線通信部が配置される位置(本態様に係る画像形成装置では当該無線通信部が配置されない位置)に当該構成部品が配置されるように構成している。本態様によれば、前記他の機種の画像形成装置では無線通信部が配置される位置がブランクスペースにならず、無駄なスペースの発生を抑制することができる。
【0038】
[第2態様]
第2態様は、他の機種の画像形成装置(例えば高速機のプリンタ100A)と筐体101が共通している画像形成装置(例えば低速機のプリンタ100B)であって、前記他の機種の画像形成装置とは電装ユニット30Bが異なっており、前記電装ユニット内の基板に接続された無線通信部31Bが配置される位置は、前記他の機種の画像形成装置で該無線通信部以外の構成部品(例えばファン32)が配置される位置であることを特徴とするものである。
本態様によれば、前記他の機種の画像形成装置では構成部品が配置される位置(本態様に係る画像形成装置では当該構成部品が配置されない位置)に無線通信部が配置されるので、当該位置がブランクスペースにならず、無駄なスペースの発生を抑制することができる。
【0039】
[第3態様]
第3態様は、筐体101が互いに共通している2機種の画像形成装置(例えば高速機のプリンタ100Aと低速機のプリンタ100B)を含む画像形成システムであって、前記2機種の画像形成装置は、電装ユニット30A,30Bが互いに異なっており、一方の機種の画像形成装置(例えば低速機のプリンタ100B)には、前記電装ユニット内の基板に接続される無線通信部31Bが配置され、他方の機種の画像形成装置(例えば高速機のプリンタ100A)には、前記無線通信部31Bを前記位置に配置しない代わりに、該無線通信部以外の構成部品(例えばファン32)が、前記位置に配置されていることを特徴とするものである。
本態様においては、一方の機種に配置される無線通信部を、他方の機種では当該位置に配置しない場合、他方の機種における当該位置には、該無線通信部以外の構成部品が配置されるように構成している。この構成部品は、一方の機種には配置されないものであるならば、当該一方の機種には当該構成部品を配置するためのスペースは不要である一方、他方の機種には当該構成部品を配置するためのスペースが必要になるものである。このような構成部品を、当該一方の機種では無線通信部が配置される位置(当該他方の機種では当該無線通信部が配置されない位置)に配置することで、当該他方の機種において、当該位置がブランクスペースにならず、無駄なスペースの発生を抑制することができる。
【0040】
[第4態様]
第4態様は、第3態様において、前記構成部品は、前記一方の機種の画像形成装置には配置されない部品であることを特徴とするものである。
前記一方の機種には配置されない構成部品は、当該一方の機種では当該構成部品を配置するためのスペースが不要である一方、他方の機種には当該構成部品を配置するためのスペースが必要になるものである。このような構成部品を、当該一方の機種で無線通信部が配置される位置(当該他方の機種では当該無線通信部が配置されない位置)に配置することで、当該他方の機種において、当該位置がブランクスペースにならず、無駄なスペースの発生を抑制することができる。また、当該構成部品は、上述のとおり、当該一方の機種には配置されないものであるため、当該一方の機種において当該構成部品のブランクスペースが生じることもない。
【0041】
[第5態様]
第5態様は、第3又は第4態様において、前記他方の機種の画像形成装置は、前記一方の機種の画像形成装置よりも画像形成速度が高速な高速機(例えば高速機のプリンタ100A)であり、前記構成部品は、ファン32であることを特徴とするものである。
高速機は、低速機と比べて、画像形成速度が高速であることから、筐体内部が高温になりやすく、筐体の内部の冷却機能を高める必要がある。本態様においては、低速機では配置されないファンが高速機に配置されるので、高速機における筐体内部の冷却機能が高まる。一方で、このファンが不要な低速機では、高速機におけるファンの配置位置に無線通信部が配置されるため、当該位置にブランクスペースが発生することがない。
【0042】
[第6態様]
第6態様は、第3乃至第5態様のいずれかにおいて、前記位置は、前記電装ユニットが取り付けられる筐体フレーム(例えば内部フレーム101c)の外面であり、前記筐体フレームには、前記無線通信部と前記電装ユニット内の基板とを接続するケーブル(例えばフラットケーブル34)を挿通させる貫通孔101dが形成されており、前記構成部品は、前記筐体フレームの前記貫通孔に係合することを特徴とするものである。
本態様によれば、2機種の画像形成装置の間で共通の筐体フレームに形成される貫通孔を、それぞれの機種の同じ位置に配置される構成部品と無線通信部のそれぞれに利用されることで、無駄の少ない構成を実現できる。
【0043】
[第7態様]
第6態様は、筐体101が互いに共通していて、電装ユニット30A,30Bが互いに異なる2機種の画像形成装置(例えば高速機のプリンタ100Aと低速機のプリンタ100B)の製造方法であって、一方の機種の画像形成装置(例えば低速機のプリンタ100B)には、前記電装ユニット内の基板に接続される無線通信部31Bを配置し、他方の機種の画像形成装置(例えば高速機のプリンタ100A)には、前記無線通信部を前記位置に配置しない代わりに、該無線通信部以外の構成部品(例えばファン32)を、前記位置に配置することを特徴とするものである。
本態様によれば、一方の機種では無線通信部が配置される位置に、他方の機種ではこの無線通信部が配置されない場合でも、当該位置が他方の機種においてブランクスペースにならず、無駄なスペースの発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0044】
1a~1d:感光体
3 :中間転写ベルト
4 :二次転写対向ローラ
8 :帯電装置
9 :露光装置
10 :現像装置
11a~11d:転写ローラ
12 :クリーニング装置
14 :給紙装置
16 :レジストローラ対
17 :二次転写ローラ
18 :定着装置
19 :排紙ローラ対
20 :ベルトクリーニング装置
30A,30B:電装ユニット
31A,31B:無線通信部
32 :ファン
32a :位置決め突起
33 :排気ダクト
34 :フラットケーブル
100A :プリンタ(高速機)
100B :プリンタ(低速機)
101 :筐体
101a :排紙トレイ
101b :外装カバー
101c :内部フレーム
101d :貫通孔
P :記録紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開2012-18373号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7