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特開2023-183798レジスト組成物及びレジストパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183798
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】レジスト組成物及びレジストパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20231221BHJP
   C07D 213/80 20060101ALI20231221BHJP
   C07D 213/30 20060101ALI20231221BHJP
   C07D 207/34 20060101ALI20231221BHJP
   C07D 213/18 20060101ALI20231221BHJP
   C07F 13/00 20060101ALI20231221BHJP
   C07F 15/04 20060101ALI20231221BHJP
   C07F 3/06 20060101ALI20231221BHJP
   C07F 7/22 20060101ALI20231221BHJP
   C07F 15/06 20060101ALI20231221BHJP
   C07F 7/00 20060101ALI20231221BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G03F7/004
C07D213/80
C07D213/30
C07D207/34
C07D213/18
C07F13/00 A
C07F15/04
C07F3/06
C07F7/22 G
C07F15/06
C07F7/00 A
G03F7/20 503
G03F7/20 504
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097528
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】稲荷 宇俊
(72)【発明者】
【氏名】新井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】小室 嘉崇
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4C055
4H048
4H049
4H050
【Fターム(参考)】
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE01
2H197HA03
2H197JA22
2H225AC31
2H225AN31P
2H225AN38P
2H225AN44P
2H225AN51P
2H225AN80P
2H225AN82P
2H225CA12
2H225CB18
2H225CC01
2H225CC11
2H225CD05
4C055AA01
4C055BA01
4C055BA02
4C055BA06
4C055BA16
4C055CA01
4C055CA02
4C055CA57
4C055DA01
4C055GA02
4H048AA01
4H048AB80
4H048VA66
4H048VB10
4H049VN03
4H049VN06
4H049VP04
4H049VP06
4H049VQ79
4H049VR21
4H049VR43
4H050AA01
4H050AB80
(57)【要約】
【課題】高感度化が図れ、ラフネス及びスカムを低減することのできるレジスト組成物、及び当該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法の提供。
【解決手段】金属化合物を含有し、露光により、前記金属化合物の構造が変化し、かつ前記金属化合物の現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であって、前記金属化合物は、cubane型金属酸化物を含む、レジスト組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属化合物を含有し、露光により、前記金属化合物の構造が変化し、かつ前記金属化合物の現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であって、
前記金属化合物は、cubane型金属酸化物を含む、レジスト組成物。
【請求項2】
前記cubane型金属酸化物は、下記一般式(m-0)で表される化合物である、請求項1に記載のレジスト組成物。
【化1】
[式中、Mは、第3族から第16族の金属原子であり、前記金属原子に結合する結合子を含む。Xは、酸素原子であり、前記酸素原子に結合する結合子を含んでいてもよい。MとXとは、結合子を介して結合していてもよい。]
【請求項3】
前記金属原子は、Sn、In、Te、Ni、Co、又はWである、請求項1に記載のレジスト組成物。
【請求項4】
支持体上に、請求項1に記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を有する、レジストパターン形成方法。
【請求項5】
前記のレジスト膜を露光する工程において、前記レジスト膜に、EUV(極端紫外線)又はEB(電子線)を露光する、請求項4に記載のレジストパターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物及びレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。
【0003】
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、従来、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分と、を含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
【0004】
最近では、より微細なパターンの再現に適したレジスト材料として、金属原子を含む化合物を基材成分とするレジスト組成物が提案されている。金属化合物を基材成分とするレジスト組成物では、露光により金属化合物の現像液に対する溶解性が低下し、パターンを形成する。化学増幅型レジスト組成物とは異なり、酸の拡散が伴わないことから、微細パターンの形成により適している。
【0005】
例えば、特許文献1には、ハフニウム(Hf)又はジルコニウム(Zr)に複数の配位子が結合した特定の構造の錯体と、重合開始剤と、を含有することを特徴とするネガ型レジスト組成物が開示されている。該ネガ型レジスト組成物は、EUV光に対して高吸収を示す金属を含有し、経時安定性が良好であると開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-108781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体製造におけるEUVフォトリソグラフィープロセスにおいて、パターンの微細化に伴い、レジスト組成物には、露光光源に対して高い感度、ラフネス低減性、及び、スカムの低減が要求される。
しかしながら、上述したような従来のレジスト組成物においては、金属化合物を含むレジストを使用することにより、EUV光の吸収が向上し、感度及びラフネスを向上させることはできるが、金属レジストはレジスト溶剤及び現像液に対する溶解性が低く、スカムが増加する傾向にあり、これらの特性をいずれも満足させることが困難であった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高感度化が図れ、ラフネス及びスカムを低減することのできるレジスト組成物、及び当該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第1の態様は、金属化合物を含有し、露光により、前記金属化合物の構造が変化し、かつ前記金属化合物の現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であって、前記金属化合物は、cubane型金属酸化物を含む、レジスト組成物である。
【0010】
本発明の第2の態様は、支持体上に、前記第1の態様に係るレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を有するレジストパターン形成方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高感度化が図れ、ラフネス及びスカムを低減することのできるレジスト組成物、及び当該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「置換基を有してもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【0013】
「基材成分」とは、膜形成能を有する化合物である。本明細書において、基材成分として用いられる化合物は、金属化合物である。金属化合物は、後述するように、金属又は金属酸化物と、結合子と、が結合した構造を有し、露光により金属化合物の構造が変化する。前記結合子は、無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよい。
【0014】
「誘導体」とは、対象化合物のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよい対象化合物の水酸基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよい対象化合物に、水酸基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位とは、特に断りがない限り、官能基と隣接した1番目の炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、Rαxと同様のものが挙げられる。
【0015】
本明細書及び本特許請求の範囲において、化学式で表される構造によっては、不斉炭素が存在し、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るものがある。その場合は一つの化学式でそれら異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0016】
(レジスト組成物)
本発明の第1の態様に係るレジスト組成物は、金属化合物(M)(以下「(M)成分」ともいう)を含有し、露光により、金属化合物(M)の構造が変化し、かつ金属化合物(M)の現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物である。
【0017】
本実施形態のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部では(M)成分の現像液に対する溶解性が変化する一方で、該レジスト膜の未露光部では(M)成分の現像液に対する溶解性が変化しないため、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差が生じる。そのため、該レジスト膜を現像すると、該レジスト組成物がポジ型の場合はレジスト膜露光部が溶解除去されてポジ型のレジストパターンが形成され、該レジスト組成物がネガ型の場合はレジスト膜未露光部が溶解除去されてネガ型のレジストパターンが形成される。
【0018】
本明細書においては、レジスト膜露光部が溶解除去されてポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をポジ型レジスト組成物といい、レジスト膜未露光部が溶解除去されてネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をネガ型レジスト組成物という。本実施形態のレジスト組成物は、通常、ネガ型レジスト組成物である。また、本実施形態のレジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理に、アルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であってもよく、有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であってもよい。
【0019】
<金属化合物(M)>
本実施形態のレジスト組成物は、金属化合物(M)を含有する。
金属化合物(M)は、cubane型金属酸化物(M1)(以下「(M1)成分」ともいう)を含む。金属化合物(M)は、(M1)成分以外の金属化合物(M2)を含有してもよい。該金属化合物(M2)としては、レジスト材料として用いられる公知の金属錯体等が挙げられる。
【0020】
≪cubane型金属酸化物(M1)≫
(M1)成分は、金属原子と、酸素原子とが立方体の各頂点に交互に配置された立方体状の骨格を持った化合物である。
【0021】
(M1)成分として、具体的には、下記一般式(m-0)で表される化合物が挙げられる。
【0022】
【化1】
[式中、Mは、第3族から第16族の金属原子であり、前記金属原子に結合する結合子を含む。Xは、酸素原子であり、前記酸素原子に結合する結合子を含んでいてもよい。MとXとは、結合子を介して結合していてもよい。]
【0023】
上記一般式(m-0)中、Mは、第3族から第16族の金属原子であり、前記金属原子に結合する結合子を含む。
該金属原子は、第3族から第16族の金属原子の金属イオンであってもよい。
【0024】
[金属原子]
第3族の金属原子としては、例えば、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)等が挙げられる。
第4族の金属原子としては、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)等が挙げられる。
第5族の金属原子としては、例えば、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)等が挙げられる。
第6族の金属原子としては、例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等が挙げられる。
第7族の金属原子としては、例えば、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)等が挙げられる。
第8族の金属原子としては、例えば、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)等が挙げられる。
第9族の金属原子としては、例えば、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)等が挙げられる。
第10族の金属原子としては、例えば、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等が挙げられる。
第11族の金属原子としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)等が挙げられる。
第12族の金属原子としては、例えば、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、水銀(g)等が挙げられる。
第13族の金属原子としては、例えば、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等が挙げられる。
第14族の金属原子としては、例えば、ゲルマニウム(Ga)、スズ(Sn)、鉛(Pb)等が挙げられる。
第15族の金属原子としては、例えば、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等が挙げられる。
第16族の金属原子としては、例えば、テルル(Te)、ボロニウム(Po)等が挙げられる。
【0025】
金属原子としては、上記の中でも、EUVの吸収をより高める観点から、Sn、In、Te、Ni、Co、W、Bi、Pb、Sb、Pd、Zn、Hf、Ge、Ga、Cr、又はMnであることが好ましく、Sn、In、Te、Ni、Co、W、Bi、Pb、Sb、Pd、又はZnであることがより好ましく、Sn、In、Te、Ni、Co、又はWであることがさらに好ましい。該金属原子は金属イオンであってもよい。
金属イオンの具体例としては、例えば、スズイオン(Sn2+、Sn4+)、インジウムイオン(In、In3+)、テルルイオン(Te4+)、ニッケルイオン(Ni2+,Ni3+)、コバルトイオン(Co2+,Co3+)、又は、タングステンイオン(W2+、W4+、W5+、W6+)等が挙げられる。
【0026】
[金属原子に結合する結合子]
上記金属原子に結合する結合子としては、HO、無機アニオン、下記式(Y1-0)で表される結合子、又は下記式(Y2-0)で表される結合子等が挙げられる。
無機アニオンとしては、例えば、水酸化物イオン(OH)、硫化水素イオン(SH)、メタリン酸イオン(PO )、硝酸イオン(NO )等が挙げられる。
【0027】
・式(Y1-0)で表される結合子
上記金属原子に結合する結合子としては、下記式(Y1-0)で表される結合子が挙げられる。下記式(Y1-0)で表される結合子は、上記金属原子と配位結合する結合子である。
【0028】
【化2】
[式中、Rm01は、有機基である。An01は、アニオン基である。mは、1~4の整数である。nは、1~4の整数である。m及びnが2以上の整数である場合、複数のRm01及びAn01は、同一であっても異なっていてもよい。]
【0029】
上記式(Y1-0)中、Rm01は、有機基である。前記有機基としては、置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基が挙げられる。前記炭化水素基は、炭素数1~18が好ましく、炭素数1~16がより好ましく、炭素数1~10がさらに好ましい。前記炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
【0030】
前記脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。前記脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~15のアルキル基が好ましく、炭素数1~10のアルキル基がより好ましく、炭素数1~6のアルキル基がさらに好ましい。
直鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素数2~15のアルケニル基若しくはアルキニル基が好ましく、炭素数2~10のアルケニル基若しくはアルキニル基がより好ましく、炭素数2~6のアルケニル基若しくはアルキニル基がさらに好ましい。
【0031】
分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数3~15の分岐鎖状アルキル基が好ましく、炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数3~6の分岐鎖状アルキル基がさらに好ましい。
分岐鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数3~15の分岐鎖状アルケニル基若しくはアルキニル基が好ましく、炭素数3~10の分岐鎖状アルケニル基若しくはアルキニル基がより好ましく、炭素数3~6の分岐鎖状アルケニル基若しくはアルキニル基がさらに好ましい。
【0032】
前記脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含むものであってもよい。構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子2個を除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基等が挙げられる。環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数3~15が好ましく、炭素数3~10がより好ましく、炭素数3~6がさらに好ましい。環状脂肪族炭化水素基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7~12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0033】
Rm01における有機基は、芳香族炭化水素基であってもよい。芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は炭素数5~20が好ましく、炭素数6~15がより好ましく、炭素数6~12がさらに好ましい。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基として、例えば、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環に結合するアルキレン基は、炭素数1~4が好ましく、炭素数1~3がより好ましく、炭素数1~2が特に好ましい。
【0034】
Rm01における炭化水素基は、置換基を有してもよい。前記置換基は、炭化水素鎖の水素原子(-H)を置換するものであってもよく、炭化水素鎖のメチレン基(-CH-)を置換するものであってもよい。
水素原子を置換する基としては、例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基、ニトロ基、チオール基、シアノ基、リン酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基等が挙げられるが、これらに限定されない。前記置換基としてのアルコキシ基及びアシル基は、炭素数1~6が好ましく、炭素数1~3がより好ましく、炭素数1又は2がさらに好ましい。
メチレン基を置換する基としては、例えば、-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-O-等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
上記式(Y1-0)中のRm01における有機基として、具体的には、下記式(R-1)~(R-16)で表される有機基が挙げられる。*は結合手を示す。
【0036】
【化3】
【0037】
上記式(Y1-0)中、mは、1~4の整数である。mが2以上の整数である場合、複数のRm01は、同一であっても異なっていてもよい。
mは、1~4の整数であり、1~3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
【0038】
上記式(Y1-0)中、An01は、アニオン基である。An01におけるアニオン基は、負の電荷を帯びた原子を含む官能基である。
An01におけるアニオン基として、具体的には、下記式(an-1)~(an-15)で表されるアニオン基が挙げられる。*は結合手を示す。
【0039】
【化4】
【0040】
An01におけるアニオン基としては、上記の中でも、N又はC(=O)-Oを含むアニオン基であることが好ましく、上記式(an-3)、(an-13)~(an-15)で表されるアニオン基であることがより好ましい。
【0041】
上記式(Y1-0)中、nは、1~4の整数である。nが2以上の整数である場合、複数のAn01は、同一であっても異なっていてもよい。
mは、1~4の整数であり、1~3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
【0042】
上記式(Y1-0)で表される結合子の好ましい具体例を以下に示す。
【0043】
【化5】
【0044】
【化6】
【0045】
上記式(Y1-0)で表される結合子としては、上記の中でも、上記式(Y1-1)、(Y1-7)、又は(Y1-15)で表される結合子が好ましい。
【0046】
・式(Y2-0)で表される結合子
上記金属原子に結合する結合子としては、下記式(Y2-0)で表される結合子が挙げられる。下記式(Y2-0)で表される結合子は、上記金属原子と配位結合又は共有結合する結合子である。
【0047】
【化7】
[式中、Rm02は、有機基である。]
【0048】
上記式(Y2-0)中、Rm02は、有機基である。前記有機基としては、上記式(Y1-0)中のRm01における有機基と同様のものが挙げられる。
Rm02は、上記の中でも、窒素原子を有する有機基、又は、芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0049】
上記式(Y2-0)で表される結合子の好ましい具体例を以下に示す。なお、下記式(Y2-1)~(Y2-20)で表される結合子は、上記金属原子と配位結合する結合子である。下記式(Y2-21)~(Y2-24)で表される結合子は、上記金属原子と共有結合する結合子である。
【0050】
【化8】
【0051】
【化9】
【0052】
【化10】
【0053】
上記式(Y2-0)で表される結合子としては、上記の中でも、アンモニア、脂肪族アミン、混成アミン、芳香族アミン、複素環アミン等の含窒素化合物、又は、ベンゼン、ナフタレン、及びそれらの誘導体からなる芳香族化合物であることが好ましく、上記式(Y2-1)、又は(Y2-21)で表される結合子が好ましい。
【0054】
上記金属原子に結合する結合子としては、上記の中でも、HO、水酸化物イオン(OH)、上記式(Y1-0)で表される結合子、又は下記式(Y2-0)で表される結合子であることが好ましく、HO、水酸化物イオン(OH)、上記式(Y1-1)、(Y1-7)、若しくは(Y1-15)で表される結合子、又は、上記式(Y2-1)、若しくは(Y2-21)で表される結合子であることがより好ましい。
【0055】
上記一般式(m-0)中、Xは、酸素原子であり、前記酸素原子に結合する結合子を含んでいてもよい。
Xにおける酸素原子は、酸化物イオンであってもよい。
【0056】
[酸素原子に結合する結合子]
酸素原子に結合する結合子としては、下記式(Z1-0)で表される結合子が挙げられる。
【0057】
【化11】
[式中、Rz01は、水素原子又は有機基である。]
【0058】
上記式(Z1-0)中、Rz01における有機基としては、上記式(Y1-0)中のRm01における有機基と同様のものが挙げられる。
【0059】
上記式(Z1-0)で表される結合子の好ましい具体例を以下に示す。*は酸素原子との結合手を示す。
【0060】
【化12】
【0061】
上記一般式(m-0)中のXの好ましい具体例を以下に示す。
【0062】
【化13】
【0063】
上記一般式(m-0)中のXとしては、上記の中でも、酸素原子、OH、上記式(X-3)で表される有機基、又は上記式(X-4)で表される有機基であることが好ましい。
【0064】
上記一般式(m-0)中、MとXとは、結合子を介して結合していてもよい。
MとXとが結合子を介して結合している場合の一例を以下に示す。*は、結合手を示す。
【0065】
【化14】
【0066】
(M1)成分として、具体的には、上記一般式(m-0)で表される化合物であり、式中のMにおける金属原子が、In、Te、Ni、Co、W、Bi、Pb、Sb、Pd、Zn、Hf、Ge、Ga、Cr、又はMnであり、前記金属原子に結合する結合子が、HO、水酸化物イオン(OH)、上記式(Y1-0)で表される結合子、及び、上記式(Y2-1)~(Y2-20)で表される結合子からなる群から選択される一種以上の結合子であり、式中のXが、酸素原子、OH、及び、上記式(X-3)~(X-16)で表される有機基からなる群から選択される一種以上の原子又は分子である化合物が挙げられる。
また、上記一般式(m-0)で表される化合物であり、式中のMにおける金属原子が、Snであり、前記金属原子に結合する結合子が、HO、水酸化物イオン(OH)、上記式(Y1-0)で表される結合子、又は上記式(Y2-21)~(Y2-24)で表される結合子からなる群から選択される一種以上の結合子であり、式中のXが、酸素原子、OH、又は、上記式(X-3)~(X-16)で表される有機基からなる群から選択される一種以上の原子又は分子である化合物が挙げられる。
【0067】
(M1)成分の好適な具体例を以下に示す。
【0068】
【化15】
【0069】
【化16】
【0070】
【化17】
【0071】
本実施形態のレジスト組成物において、(M1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(M1)成分の含有量は、レジスト組成物の総量100質量%に対して、1~10質量%であることが好ましく、1~8質量%であることがより好ましく、1~5質量%であることがさらに好ましい。
(M1)成分の含有量を、前記の好ましい範囲とすることで、高感度化が図れ、ラフネス及びスカムを低減することができる。
【0072】
[(M1)成分の製造方法]
(M1)成分は、例えば、論文(Eur.J.Inorg.Chem.,2012,4029-4035)(Polyhedron,2009,28,3373-3381)(Chem.Commun.,2017,53,10808-10811)(MRS Online Proceedings Library,2000,628(12))、及び、(Angew.Chem.Int.Ed.2017,56,6911-6915)等に記載の方法で合成することができる。
例えば、cubane型構造を形成し得る金属水和物と、カルボン酸又は含窒素化合物とを長時間反応させることで、製造することができる。
【0073】
<その他成分>
本実施形態のレジスト組成物は、上述した金属化合物(M)に加え、その他成分をさらに含有してもよい。その他成分としては、例えば以下に示す有機溶剤成分(S)、添加剤(X)などが挙げられる。
【0074】
≪有機溶剤成分(S)≫
本実施形態のレジスト組成物は、レジスト材料を有機溶剤成分(以下「(S)成分」という)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解又は分散し、均一な溶液又は分散液とすることができるものであればよく、従来、レジスト組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
(S)成分としては、例えば、γ-ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-メチルブチルアルコール等のモノアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
本実施形態のレジスト組成物において、(S)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
(S)成分としては、上記の中でも、PGMEA、PGME、γ-ブチロラクトン、EL、シクロヘキサノン、4-メチル-2-ペンタノールが好ましく、PGMEがより好ましい。
【0075】
また、(S)成分としては、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶剤も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2、さらに好ましくは3:7~7:3である。さらに、PGMEAとPGMEとシクロヘキサノンとの混合溶剤も好ましい。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ-ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者との質量比が、好ましくは70:30~95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が0.1~20質量%、好ましくは0.2~15質量%、より好ましくは1~10質量%、さらに好ましくは1~5質量%の範囲内となるように(S)成分は用いられる。
【0076】
本実施形態のレジスト組成物は、上記レジスト材料を(S)成分に溶解させた後、ポリイミド多孔質膜、ポリアミドイミド多孔質膜等を用いて、不純物等の除去を行ってもよい。例えば、ポリイミド多孔質膜からなるフィルター、ポリアミドイミド多孔質膜からなるフィルター、ポリイミド多孔質膜及びポリアミドイミド多孔質膜からなるフィルター等を用いて、レジスト組成物の濾過を行ってもよい。前記ポリイミド多孔質膜及び前記ポリアミドイミド多孔質膜としては、例えば、特開2016-155121号公報に記載のもの等が例示される。
【0077】
≪添加剤(X)≫
本実施形態のレジスト組成物は、添加剤(X)(以下「(X)成分」という)を含有していてもよい。
(X)成分としては、架橋促進剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0078】
[架橋促進剤]
本実施形態のレジスト組成物は、架橋促進剤を含有してもよい。架橋促進剤は、光又は熱によって酸又は塩基を発生する化合物である。架橋促進剤を含有することで、レジストパターン形成性及びエッチング選択性を向上させることができる。
架橋促進剤としては、例えば、オニウム塩化合物、N-スルホニルオキシイミド化合物等が挙げられる。架橋促進剤としては、熱によって酸又は塩基を発生する熱架橋促進剤が好ましく、中でもオニウム塩化合物が好ましい。
【0079】
オニウム塩化合物としては、例えば、スルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0080】
スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1,2,2-テトラフルオロ-6-(1-アダマンタンカルボニロキシ)-ヘキサン-1-スルホネート等が挙げられる。
【0081】
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0082】
ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0083】
アンモニウム塩としては、例えば蟻酸アンモニウム、マレイン酸アンモニウム、フマル酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、マロン酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、リンゴ酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、ブタン酸アンモニウム、ペンタン酸アンモニウム、ヘキサン酸アンモニウム、ヘプタン酸アンモニウム、オクタン酸アンモニウム、ノナン酸アンモニウム、デカン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、セバシン酸アンモニウム、酪酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、リノール酸アンモニウム、リノレイン酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、p-アミノ安息香酸アンモニウム、p-トルエンスルホン酸アンモニウム、メタンスルホン酸アンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸アンモニウム、トリフルオロエタンスルホン酸アンモニウム等が挙げられる。また、上記アンモニウム塩のアンモニウムイオンが、メチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、プロピルアンモニウムイオン、ジプロピルアンモニウムイオン、トリプロピルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、ブチルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、トリメチルエチルアンモニウムイオン、ジメチルジエチルアンモニウムイオン、ジメチルエチルプロピルアンモニウムイオン、メチルエチルプロピルブチルアンモニウムイオン、エタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等に置換されたアンモニウム塩、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン蟻酸塩、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンp-トルエンスルホン酸塩等の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン塩、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン蟻酸塩、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネンp-トルエンスルホン酸塩等の1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン塩等が挙げられる。
【0084】
N-スルホニルオキシイミド化合物としては、例えばN-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(ノナフルオロ-n-ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(パーフルオロ-n-オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0085】
中でも、オニウム塩化合物が好ましく、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩がより好ましく、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、酢酸テトラメチルアンモニウム、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンp-トルエンスルホン酸塩がさらに好ましい。
【0086】
架橋促進剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。架橋促進剤の含有量としては、前記(M)成分100質量部に対して、0質量部以上10質量部以下が好ましく、0質量部以上5質量部以下がより好ましい。
【0087】
[界面活性剤]
本実施形態のレジスト組成物は、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤は塗布性、ストリエーション等を改良する作用を示す成分である。(界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn-オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn-ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名として、KP341(信越化学工業社)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業社)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社)、アサヒガードAG710、サーフロンS-382、同SC-101、同SC-102、同SC-103、同SC-104、同SC-105、同SC-106(以上、旭硝子社)等が挙げられる。
【0088】
界面活性剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。界面活性剤の配合量は、その目的に応じて適宜決定することができる。
【0089】
本実施形態のレジスト組成物は、架橋促進剤、界面活性剤以外の添加剤を含有してもよい。他の添加剤としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
【化18】
【0091】
本実施形態のレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
【0092】
以上説明した本実施形態のレジスト組成物は、cubane型金属酸化物を含む。
cubane型金属酸化物は、金属原子を有するためEUV光の吸収量が高い。加えて、cubane型金属酸化物は、立方体状の骨格を有するため、現像液(有機溶剤)への溶解性も比較的高い。
したがって、本実施形態のレジスト組成物によれば、高感度化が図れ、ラフネスを低減させることができ、かつ、スカムを低減することができる。
【0093】
(レジストパターン形成方法)
本発明の第2の態様に係るレジストパターン形成方法は、支持体上に、上述した実施形態のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を有する。
かかるレジストパターン形成方法の一実施形態としては、例えば以下のようにして行うレジストパターン形成方法が挙げられる。
【0094】
まず、上述した実施形態のレジスト組成物を、支持体上にスピンナー等で塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、例えば80~150℃の温度条件にて40~120秒間、好ましくは60~90秒間施してレジスト膜を形成する。
次に、該レジスト膜に対し、例えば電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、例えば80~150℃の温度条件にて40~120秒間、好ましくは60~90秒間施す。
次に、前記レジスト膜を現像処理する。現像処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を用いて行う。現像処理は、通常、溶剤現像プロセスにより行う。
【0095】
現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
溶剤現像プロセスの場合、前記現像処理またはリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を、超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
現像処理後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。
このようにして、レジストパターンを形成することができる。
【0096】
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等が挙げられる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や、多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)と、に分けられる。
【0097】
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極端紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV用としての有用性が高く、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV用としての有用性がより高く、EBまたはEUV用としての有用性が特に高い。すなわち、本実施形態のレジストパターン形成方法は、レジスト膜を露光する工程が、前記レジスト膜に、EUV(極端紫外線)又はEB(電子線)を露光する操作を含む場合に特に有用な方法である。
【0098】
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、露光されるレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70~180℃のものが好ましく、80~160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル化合物が好ましい。パーフルオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物、パーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2-ブチル-テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
【0099】
アルカリ現像プロセスで現像処理に用いるアルカリ現像液としては、例えば0.1~10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理に用いる有機系現像液が含有する有機溶剤としては、(A)成分(露光前の(A)成分)を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤の中から適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ニトリル系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
ケトン系溶剤は、構造中にC-C(=O)-Cを含む有機溶剤である。エステル系溶剤は、構造中にC-C(=O)-O-Cを含む有機溶剤である。アルコール系溶剤は、構造中にアルコール性水酸基を含む有機溶剤である。「アルコール性水酸基」は、脂肪族炭化水素基の炭素原子に結合した水酸基を意味する。ニトリル系溶剤は、構造中にニトリル基を含む有機溶剤である。アミド系溶剤は、構造中にアミド基を含む有機溶剤である。エーテル系溶剤は、構造中にC-O-Cを含む有機溶剤である。
有機溶剤の中には、構造中に上記各溶剤を特徴づける官能基を複数種含む有機溶剤も存在するが、その場合は、当該有機溶剤が有する官能基を含むいずれの溶剤種にも該当するものとする。例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中のアルコール系溶剤、エーテル系溶剤のいずれにも該当するものとする。
炭化水素系溶剤は、ハロゲン化されていてもよい炭化水素からなり、ハロゲン原子以外の置換基を有さない炭化水素溶剤である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
有機系現像液が含有する有機溶剤としては、上記の中でも、極性溶剤が好ましく、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、ニトリル系溶剤等が好ましい。
【0100】
ケトン系溶剤としては、例えば、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、メチルアミルケトン(2-ヘプタノン)等が挙げられる。これらの中でも、ケトン系溶剤としては、メチルアミルケトン(2-ヘプタノン)が好ましい。
【0101】
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート等が挙げられる。これらの中でも、エステル系溶剤としては、酢酸ブチルが好ましい。
【0102】
ニトリル系溶剤としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、バレロニトリル、ブチロニトリル等が挙げられる。
【0103】
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としては、例えば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。界面活性剤としては、非イオン性の界面活性剤が好ましく、非イオン性のフッ素系界面活性剤、又は非イオン性のシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001~5質量%であり、0.005~2質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましい。
【0104】
現像処理は、公知の現像方法により実施することが可能であり、例えば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0105】
溶剤現像プロセスで現像処理後のリンス処理に用いるリンス液が含有する有機溶剤としては、例えば前記有機系現像液に用いる有機溶剤として挙げた有機溶剤のうち、レジストパターンを溶解しにくいものを適宜選択して使用できる。通常、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤およびエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を使用する。これらのなかでも、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びアミド系溶剤から選択される少なくとも1種類が好ましく、アルコール系溶剤およびエステル系溶剤から選択される少なくとも1種類がより好ましく、アルコール系溶剤が特に好ましい。
リンス液に用いるアルコール系溶剤は、炭素数6~8の1価アルコールが好ましく、該1価アルコールは直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。具体的には、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらのなかでも、1-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-ヘキサノールが好ましく、1-ヘキサノール、2-ヘキサノールがより好ましい。
これらの有機溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記以外の有機溶剤や水と混合して用いてもよい。但し、現像特性を考慮すると、リンス液中の水の配合量は、リンス液の全量に対し、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
リンス液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としては、例えば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、前記と同様のものが挙げられ、非イオン性の界面活性剤が好ましく、非イオン性のフッ素系界面活性剤、又は非イオン性のシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、リンス液の全量に対して、通常0.001~5質量%であり、0.005~2質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましい。
【0106】
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法により実施できる。該リンス処理の方法としては、例えば一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
【0107】
以上説明した本実施形態のレジストパターン形成方法によれば、上述した第1の態様のレジスト組成物が用いられているため、高感度化が図れ、ラフネス及びスカムを低減することができる。
【実施例0108】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0109】
<金属化合物の製造>
(製造例1:cubane型金属酸化物(M1-1))
cubane型金属酸化物(M1-1)は、論文(Eur.J.Inorg.Chem.,2012,4029-4035)に記載された製造方法に従って合成した。
具体的には、過塩素酸マンガン(II)六水和物(0.90mg)とニコチン酸(0.62g)を体積比が4:3のアセトニトリルとメタノールの混合溶液(70mL)に添加し、4時間かけて160℃に加熱した。この温度で2日間保持した後、室温まで冷却し、さらに2日間保持した。その後、生成物をアルコールで十分に洗浄し、室温で乾燥させ、下記式(M1-1)で表されるcubane型金属酸化物(M1-1)を合成した。
【0110】
【化19】
【0111】
(製造例2:cubane型金属酸化物(M1-2))
cubane型金属酸化物(M1-2)は、論文(Polyhedron,2009,28,3373-3381)に記載された製造方法に従って合成した。
具体的には、2-ヒドロキシメチルピリジン(0.57mL)を酢酸ニッケル(II)四水和物(1.58g,0.60mmol)の水溶液(150mL)に加えた。その溶液を15分間撹拌し、1,4-ジオキサン(10mL)と混合してから室温で4日間放置した。生成物をろ過により集め、アセトンで洗浄し、空気中で乾燥させ、下記式(M1-2)で表されるcubane型金属酸化物(M1-2)を合成した。
【0112】
【化20】
【0113】
(製造例3:cubane型金属酸化物(M1-3))
cubane型金属酸化物(M1-3)は、論文(Chem.Commun.,2017,53,10808-10811)に記載された製造方法に従って合成した。
具体的には、ピロール-2-カルボキシアルデヒド(1.0g)をトルエン(50mL)に添加し、-78℃に冷却した。そこに2Mヘキサン溶液のジエチル亜鉛(4.1mL)を滴下し、室温まで昇温してから4時間撹拌した。その後、溶液を-20℃に冷却し、乾燥酸素でバブリングした。さらに系内を窒素でパージし、24時間後に-20℃のトルエン溶液から下記式(M1-3)で表されるcubane型金属酸化物(M1-3)を得た。
【0114】
【化21】
【0115】
(製造例4:cubane型金属酸化物(M1-4))
cubane型金属酸化物(M1-4)は、論文(MRS Online Proceedings Library,2000,628(12))に記載された製造方法に従って合成した。
具体的には、フェニルトリス(フェニルエチニル)スズ(3.0g)をテトラヒドロフラン(30g)に添加し、水2gを滴下後、一晩撹拌した。その後を溶媒を留去し、残渣の(M1-4)を得た。
下記式(M1-4)で表されるcubane型金属酸化物(M1-4)を合成した。
【0116】
【化22】
【0117】
(製造例5:cubane型金属酸化物(M1-5))
cubane型金属酸化物(M1-5)は、論文(Angew.Chem.Int.Ed.2017,56,6911-6915)に記載された製造方法に従って合成した。
具体的には、プロピオン酸(1.48g)と水酸化ナトリウム(0.8g)をメタノール(30mL)中で2時間攪拌した。そこに硝酸コバルト(II)六水和物(2.9g)を添加し、加熱して還流した。ピリジン(0.8g)を還流溶液に添加し、過酸化水素(5mL,30%)を反応液に滴下した。反応液を還流条件下で4時間撹拌し、室温まで冷却した。その後メタノールを留去し、残渣をジクロロメタンで3回抽出後、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記式(M1-5)で表されるcubane型金属酸化物(M1-5)を合成した。
【0118】
【化23】
【0119】
(製造例6:金属化合物(M2-1))
金属化合物(M2-1)は、論文(Proc.SPIE,2014,9051,90511B-2-90511B-12)に記載された製造方法に従って合成した。
具体的には、水酸化ドデカブチルヘキサ-μ-ヒドロキシテトラデカ-μ3-オキソドデカスズ(1.0g)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解させた。テトラヒドロフランに溶解したアセトアルデヒドの10重量%溶液(0.36g)を加え、10分間攪拌した。その後、溶媒を真空で除去し、下記式(M2-1)で表される金属化合物(M2-1)を得た。
【0120】
【化24】
【0121】
(製造例7:金属化合物(M2-2))
金属化合物(M2-2)は、Proc.SPIE,2014,9051,90511B-2-90511B-12に記載された製造方法に従って合成した。
具体的には、水酸化ドデカブチルヘキサ-μ-ヒドロキシテトラデカ-μ3-オキソドデカスズ(1.0g)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解させた。テトラヒドロフランに溶解した安息香酸の10重量%溶液(1.0g)を加え、10分間攪拌した。その後、溶媒を真空で除去し、下記式(M2-2)で表される金属化合物(M2-2)を得た。
【0122】
【化25】
【0123】
(製造例8:金属化合物(M2-3))
金属化合物(M2-3)は、論文(Chem.Ber.Recl.,1997,6,473.)に記載された製造方法に従って合成した。
具体的には、70%のジルコニウム(IV)プロポキシドプロパノール溶液1mLとメタクリル酸1mLを不活性雰囲気下に混合した。5分間撹拌した後、混合物を常温で14日間保存し、生成物を12時間真空で乾燥し、下記式(M2-3)で表される金属化合物(M2-3)を得た。
【0124】
【化26】
【0125】
<レジスト組成物の調製>
(実施例1~5、比較例1~3)
表1に示す各成分を混合して溶解し、各例のレジスト組成物をそれぞれ調製した。
【0126】
【表1】
【0127】
表1中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(M1)-1~(M1)-5:それぞれ上記のcubane型金属酸化物(M1-1)~(M1-5)。
(M2)-1~(M2)-3:それぞれ上記の金属化合物(M2-1)~(M2-3)。
(S)-1:プロピレングリコールモノメチルエーテル。
【0128】
<レジストパターンの形成>
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコン基板上に、各例のレジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、温度80℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚40nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜に対し、電子線描画装置JEOL-JBX-9300FS(日本電子株式会社製)を用い、加速電圧100kVにて、ターゲットサイズをライン幅50nm、ピッチ100nmの1:1ラインアンドスペースパターン(以下「LSパターン」)とする描画(露光)を行った後、130℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行った。
次いで、23℃にて、酢酸ブチルを用いて、30秒間の溶剤現像を行い、振り切り乾燥を行った。その結果、ライン幅50nm、ピッチ100nmの1:1のLSパターンが形成された。
【0129】
[最適露光量(Eop)の評価]
前記<レジストパターンの形成>の形成方法によってターゲットサイズのLSパターンが形成される最適露光量Eop(μC/cm)を求めた。その結果を表2に示す。
【0130】
[LWR(ラインワイズラフネス)の評価]
上記<レジストパターンの形成>で形成したLSパターンについて、LWRを示す尺度である3σを求めた。その結果を表2に示す。
「3σ」は、走査型電子顕微鏡(加速電圧800V、商品名:S-9380、日立ハイテク社製)により、ラインの長手方向にラインポジションを400箇所測定し、その測定結果から求めた標準偏差(σ)の3倍値(3σ)(単位:nm)を示す。
該3σの値が小さいほど、ライン側壁のラフネスが小さく、より均一な幅のLSパターンが得られたことを意味する。
【0131】
[スカムの評価]
上記<レジストパターンの形成>で形成したLSパターンについて、走査型電子顕微鏡S-9380(日立ハイテク社製)で観察し、下記の基準でスカムの発生量を評価した。その際、観察した範囲はスペースを4つ以上含む400nmとした。その結果を表2に示す。
[評価基準]
◎:現像後にスカムが発生しなかった
〇:現像後に1以上10個未満のスカムが発生した
×:現像後に10個以上のスカムが発生した
【0132】
【表2】
【0133】
表2に示す結果から、実施例のレジスト組成物は、感度、LWR、及び、スカムの評価結果がいずれも良好であった。比較例のレジスト組成物は、感度、LWR、又は、スカムのいずれかの評価結果が劣っており、特にスカムの評価結果が劣っていた。