(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184164
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】切削装置及びパッケージ基板の切削方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20231221BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20231221BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L21/78 Q
B24B41/06 L
B24B27/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098150
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植山 博光
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F063
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB73
3C034BB87
3C034DD10
3C158AA03
3C158AA18
3C158AB04
3C158AC01
3C158BB02
3C158BB06
3C158BB09
3C158BC02
3C158CB03
3C158DA17
5F063AA15
5F063BA18
5F063CA01
5F063CA04
5F063DE02
5F063DE33
5F063FF01
5F063FF03
(57)【要約】
【課題】切削加工中に端材を保持テーブルから除去できること。
【解決手段】切削装置1は、表面に分割予定ラインによって複数のデバイスが区画されたデバイス領域とデバイス領域を囲繞する余剰領域とから形成されたパッケージ基板の裏面側を保持する保持テーブル10と、切削ブレードを有する切削ユニットとを備え、保持テーブル10は、パッケージ基板の分割予定ラインに対応する位置に形成された切削ブレードの逃げ溝14と逃げ溝14によって区画された領域に形成された複数のパッケージデバイスを吸引保持するための複数の吸引孔15と複数の吸引孔15に連通した吸引源152と保持面11において余剰領域の下方となる領域に形成された流体を噴射する複数の噴射孔18と複数の噴射孔18に連通した流体供給源182とを含み、余剰領域を切削する際に、噴射孔18から流体を噴射する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に分割予定ラインによって複数のデバイスが区画されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する余剰領域と、から形成されたパッケージ基板の裏面側を保持する保持テーブルと、
切削ブレードを有する切削ユニットと、
を少なくとも備える切削装置において、
該保持テーブルは、
パッケージ基板の該分割予定ラインに対応する位置に形成された該切削ブレードの逃げ溝と、
該逃げ溝によって区画された領域に形成された複数のパッケージデバイスを吸引保持するための複数の吸引孔と、
複数の該吸引孔に連通した吸引源と、
保持面において該余剰領域の下方となる領域に形成された流体を噴射する複数の噴射孔と、
複数の該噴射孔に連通した流体供給源と、を含み、
該余剰領域を切削する際に、該噴射孔から該流体を噴射し該余剰領域が分離されてなる端材を該保持テーブルから除去することを特徴とする切削装置。
【請求項2】
該保持テーブルは、該余剰領域の裏面側を支持する複数の余剰領域支持部を有し、
該噴射孔は、該余剰領域支持部の上面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の切削装置。
【請求項3】
該保持テーブルは、該余剰領域の裏面側を支持する複数の余剰領域支持部を有し、
該余剰領域支持部は、隙間をあけて間欠的に形成され、
該噴射孔は、該隙間に形成されることを特徴とする請求項1に記載の切削装置。
【請求項4】
表面に分割予定ラインによって複数のデバイスが区画されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する余剰領域と、から形成されたパッケージ基板を、該分割予定ラインに沿って切削するパッケージ基板の切削方法であって、
保持テーブルは、パッケージ基板の該分割予定ラインに対応する位置に形成された切削ブレードの逃げ溝と、該逃げ溝によって区画された領域に形成された複数のパッケージデバイスを吸引保持するための複数の吸引孔と、複数の該吸引孔に連通した吸引源と、
該余剰領域に対応する位置に形成され流体を噴射する複数の噴射孔と、複数の該噴射孔に連通した流体供給源と、を含み、
該保持テーブルに該パッケージ基板の裏面を保持する保持ステップと、
該分割予定ラインに沿って該パッケージ基板を切削ブレードで切削する切削ステップと、
を備え、
該切削ステップにおいて、該余剰領域を切削する際に、該噴射孔から該流体を噴射し該余剰領域が分離されてなる端材を該保持テーブルから除去することを特徴とするパッケージ基板の切削方法。
【請求項5】
該保持テーブルは、該余剰領域の裏面側を支持する複数の余剰領域支持部を有し、
該噴射孔は、該余剰領域支持部の上面に形成されることを特徴とする請求項4に記載のパッケージ基板の切削方法。
【請求項6】
該保持テーブルは、該余剰領域の裏面側を支持する複数の余剰領域支持部を有し、
該余剰領域支持部は、隙間をあけて間欠的に形成され、
該噴射孔は、該隙間に形成されることを特徴とする請求項4に記載のパッケージ基板の切削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ基板を切削する切削装置及びパッケージ基板の切削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージ基板は、デバイス領域とデバイス領域を囲繞する外周部やデバイス領域を連結する連結部を含む余剰領域が形成されている。
【0003】
パッケージ基板を個々のチップに分割するために、切削装置(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)が用いられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-216202号公報
【特許文献2】特許第5709370号公報
【特許文献3】特許第6096047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
余剰領域は、製品として使用する領域ではないため、余剰領域を分割して出来る端材を切削加工中に保持面から飛ばして除去し、切削加工後はデバイス領域を分割して形成されたチップのみを搬送する方法がとられている。
【0006】
しかし、端材が保持面に引っかかるまたは密着してしまい、保持面から飛ばず除去されないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、切削加工中に端材を保持テーブルから除去できる切削装置及びパッケージ基板の切削方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の切削装置は、表面に分割予定ラインによって複数のデバイスが区画されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する余剰領域と、から形成されたパッケージ基板の裏面側を保持する保持テーブルと、切削ブレードを有する切削ユニットと、を少なくとも備える切削装置において、該保持テーブルは、パッケージ基板の該分割予定ラインに対応する位置に形成された該切削ブレードの逃げ溝と、該逃げ溝によって区画された領域に形成された複数のパッケージデバイスを吸引保持するための複数の吸引孔と、複数の該吸引孔に連通した吸引源と、保持面において該余剰領域の下方となる領域に形成された流体を噴射する複数の噴射孔と、複数の該噴射孔に連通した流体供給源と、を含み、該余剰領域を切削する際に、該噴射孔から該流体を噴射し該余剰領域が分離されてなる端材を該保持テーブルから除去することを特徴とする。
【0009】
前記切削装置では、該保持テーブルは、該余剰領域の裏面側を支持する複数の余剰領域支持部を有し、該噴射孔は、該余剰領域支持部の上面に形成されても良い。
【0010】
前記切削装置では、該保持テーブルは、該余剰領域の裏面側を支持する複数の余剰領域支持部を有し、該余剰領域支持部は、隙間をあけて間欠的に形成され、該噴射孔は、該隙間に形成されても良い。
【0011】
本発明のパッケージ基板の切削方法は、表面に分割予定ラインによって複数のデバイスが区画されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する余剰領域と、から形成されたパッケージ基板を、該分割予定ラインに沿って切削するパッケージ基板の切削方法であって、保持テーブルは、パッケージ基板の該分割予定ラインに対応する位置に形成された切削ブレードの逃げ溝と、該逃げ溝によって区画された領域に形成された複数のパッケージデバイスを吸引保持するための複数の吸引孔と、複数の該吸引孔に連通した吸引源と、該余剰領域に対応する位置に形成され流体を噴射する複数の噴射孔と、複数の該噴射孔に連通した流体供給源と、を含み、該保持テーブルに該パッケージ基板の裏面を保持する保持ステップと、該分割予定ラインに沿って該パッケージ基板を切削ブレードで切削する切削ステップと、を備え、該切削ステップにおいて、該余剰領域を切削する際に、該噴射孔から該流体を噴射し該余剰領域が分離されてなる端材を該保持テーブルから除去することを特徴とする。
【0012】
前記パッケージ基板の切削方法では、該保持テーブルは、該余剰領域の裏面側を支持する複数の余剰領域支持部を有し、該噴射孔は、該余剰領域支持部の上面に形成されても良い。
【0013】
前記パッケージ基板の切削方法では、該保持テーブルは、該余剰領域の裏面側を支持する複数の余剰領域支持部を有し、該余剰領域支持部は、隙間をあけて間欠的に形成され、該噴射孔は、該隙間に形成されても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、切削加工中に端材を保持テーブルから除去することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る切削装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るパッケージ基板の切削方法及び切削装置の加工対象のパッケージ基板と保持テーブルを模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示された保持テーブルの保持部材を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2に示された保持テーブルの噴射孔から噴射される流体を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係るパッケージ基板の切削方法の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図6に示されたパッケージ基板の切削方法の保持ステップを一部断面で模式的に示す側面図である。
【
図8】
図8は、
図6に示されたパッケージ基板の切削方法の余剰領域除去ステップを一部断面で模式的に示す側面図である。
【
図9】
図9は、
図6に示されたパッケージ基板の切削方法の切削ステップの余剰領域除去ステップの要部を模式的に示す断面図である。
【
図10】
図10は、
図6に示されたパッケージ基板の切削方法の切削ステップの余剰領域除去ステップの他の要部の断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態2に係る切削装置の保持テーブルの保持部材を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態2に係るパッケージ基板の切削方法の切削ステップの余剰領域除去ステップの要部を模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態2に係るパッケージ基板の切削方法の切削ステップの余剰領域除去ステップの他の要部の断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態3に係る切削装置の保持テーブルの保持部材を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、実施形態3に係るパッケージ基板の切削方法の切削ステップの余剰領域除去ステップの要部を模式的に示す断面図である。
【
図16】
図16は、実施形態3に係るパッケージ基板の切削方法の切削ステップの余剰領域除去ステップの他の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態1に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0017】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る切削装置1を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る切削装置の構成例を示す斜視図である。
図2は、実施形態1に係るパッケージ基板の切削方法及び切削装置の加工対象のパッケージ基板と保持テーブルを模式的に示す斜視図である。
図3は、
図2中のIII-III線に沿う断面図である。
図4は、
図2に示された保持テーブルの保持部材を示す斜視図である。
図5は、
図2に示された保持テーブルの噴射孔から噴射される流体を模式的に示す断面図である。
【0018】
実施形態1に係る
図1に示す切削装置1は、
図2に示すパッケージ基板200を切削して、パッケージ基板200を個々のパッケージデバイス201に分割する加工装置である。
【0019】
(パッケージ基板)
実施形態1に係る切削装置1の加工対象のパッケージ基板200は、
図2に示すように、平面形状が矩形の平板状に形成されている。パッケージ基板200は、矩形の平板状のべース基板202を備え、べース基板202の表面203にデバイス領域204と、デバイス領域204を囲繞する余剰領域205とを有している。べース基板202は、銅を含む金属(即ち、銅合金)などの金属を含む。
【0020】
デバイス領域204は、表面203に互いに交差する複数の分割予定ライン206が設定されている。互いに交差する複数の分割予定ライン206のうちの一方の分割予定ライン206は、べース基板202の長手方向208と平行な方向に伸長し、他方の分割予定ライン206は、べース基板202の長手方向208に対して直交しかつべース基板202の幅方向209と平行な方向に伸長する。これら互いに交差する複数の分割予定ライン206で区画された領域207にデバイスチップが配設されている。領域207は、べース基板202の一部分により構成され、表面203の裏側の裏面210側にデバイスチップを配設している。各分割予定ライン206には、パッケージデバイス201を配線基板等に接続するための電極が設けられている。こうして、デバイス領域204は、表面203に分割予定ライン206によって複数のデバイスチップが区画されている。
【0021】
電極は、べース基板202の一部分により構成され、実施形態1では、それぞれ、分割予定ライン206の幅方向の中央に設けられているとともに、各分割予定ライン206と直交する方向に直線状に形成されている。電極は、デバイスチップと図示しないワイヤ等により接続されている。
【0022】
実施形態1では、デバイス領域204は、べース基板202の長手方向208に間隔をあけて複数(実施形態1では、3つ)配設されている。余剰領域205は、デバイスチップが配設されていない領域であって、べース基板202により構成され、各デバイス領域204の全周を囲繞しているとともに、互いに隣り合うデバイス領域204同士を連結している。
【0023】
また、パッケージ基板200は、各デバイス領域204の裏面210側を封止(被覆)した封止樹脂211を備える。封止樹脂211は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂により構成され、べース基板202の領域207の裏面210に配設されたデバイスチップ及びワイヤを封止(被覆)しているとともに、分割予定ライン206内に充填されている。封止樹脂211は、べース基板202の裏面210側では、各デバイス領域204全体を封止(被覆)している。封止樹脂211は、べース基板202の表面203側では、デバイスチップを配設した領域207と、電極とを露出させた状態で分割予定ライン206内を封止している。
【0024】
パッケージ基板200は、各デバイス領域204の外縁が切断され、各デバイス領域204の各分割予定ライン206の幅方向の中央が切断されて、電極が二分割されて、個々のパッケージデバイス201に分割される。このように、実施形態1に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法の加工対象であるパッケージ基板200は、切削ブレード21で切削される分割予定ライン206に金属からなる電極が配置されたQFN基板である。なお、実施形態1では、パッケージ基板200は、分割予定ライン206に電極が配置されたQFN(Quad Flat Non-leaded Package)基板であるか、これに限定されず、CSP(Chip Scale Packaging)基板でも良い。
【0025】
なお、実施形態1では、パッケージ基板200は、各デバイス領域204の外縁が切断されると、余剰領域205のベース基板202からなる端材212(
図9及び
図10に示す)が形成される。
【0026】
(切削装置)
実施形態1に係る切削装置1は、パッケージ基板200を保持テーブル10に保持して複数の分割予定ライン206に沿って切削加工して、個々のパッケージデバイス201に分割する加工装置である。実施形態1において、切削装置1は、ダイシングテープが貼着されないパッケージ基板200を保持テーブル10に直接保持して、パッケージ基板200を所謂フルカットしてパッケージデバイス201に分割する加工装置(所謂、治具ダイサー)である。
【0027】
切削装置1は、
図1に示すように、パッケージ基板200の裏面210側の封止樹脂211を水平方向に沿った保持面11で吸引保持する保持テーブル10と、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板200を切削する切削ブレード21を有する切削ユニット20と、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板200を撮影する図示しない撮像ユニットと、図示しない制御ユニットとを備える。切削装置1は、
図1に示すように、切削ユニット20を2つ備えた、即ち、2スピンドルのダイサ、いわゆるフェイシングデュアルタイプの切削装置である。
【0028】
また、切削装置1は、
図1に示すように、保持テーブル10と切削ユニット20とを相対的に移動させる移動ユニット30を備える。移動ユニット30は、X軸移動ユニット31とY軸移動ユニット32とZ軸移動ユニット33と回転移動ユニット34とを備える。
【0029】
X軸移動ユニット31は、保持テーブル10及び回転移動ユニット34を加工送り方向である水平方向と平行なX軸方向に移動させることで、切削ユニット20と保持テーブル10とを相対的にX軸方向に沿って移動させるものである。X軸移動ユニット31は、装置本体2に設置されている。X軸移動ユニット31は、回転移動ユニット34を支持した移動フレーム5をX軸方向に移動する。
【0030】
Y軸移動ユニット32は、切削ユニット20を割り出し送り方向である水平方向と平行でかつX軸方向に対して直交するY軸方向に移動させることで、切削ユニット20と保持テーブル10とを相対的にY軸方向に沿って移動させるものである。Y軸移動ユニット32は、装置本体2から立設した支持フレーム3に設置されて、移動フレーム4をY軸方向に移動させる。Z軸移動ユニット33は、切削ユニット20を切り込み送り方向であるX軸方向とY軸方向との双方に対して直交するZ軸方向に移動させることで、切削ユニット20と保持テーブル10とを相対的にZ軸方向に沿って移動させるものである。Z軸移動ユニット33は、Y軸移動ユニット32によりY軸方向に移動される移動フレーム4に設置されて、切削ユニット20をZ軸方向に移動させる。
【0031】
回転移動ユニット34は、移動フレーム5上に設置され、保持テーブル10が装着されるテーブル基台35を支持し、X軸移動ユニット31に支持されて、テーブル基台35に装着された保持テーブル10とともにX軸方向に移動自在に配設されている。回転移動ユニット34は、テーブル基台35に装着された保持テーブル10をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する。
【0032】
X軸移動ユニット31、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び保持テーブル10又は切削ユニット20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。また、回転移動ユニット34は、保持テーブル10が装着されたテーブル基台35を軸心回りに回転するモータを備える。
【0033】
保持テーブル10は、テーブル基台35に装着されて、パッケージ基板200を保持面11で吸引保持する。保持テーブル10は、テーブル基台35に装着されて、回転移動ユニット34によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転される。保持テーブル10は、テーブル基台35に装着されて、回転移動ユニット34とともにX軸移動ユニット31によりX軸方向に移動される。
【0034】
保持テーブル10は、外形がパッケージ基板200よりも大きな矩形状に形成されているとともに、厚みが一定である。保持テーブル10は、テーブル基台35の上面に重ねられ、テーブル基台35を貫通した図示しない保持テーブル吸引路が吸引源により吸引されることで、テーブル基台35の上面に固定される。保持テーブル10は、このようにテーブル基台35に装着される。
【0035】
保持テーブル10は、上面である保持面11に切削するパッケージ基板200を吸引保持する。保持テーブル10は、外形が矩形状のテーブル本体12と、テーブル本体12の上面に取り付けられた外形が矩形状の保持部材13とを含んでいる。テーブル本体12と保持部材13とは、厚みが一定の平板状に形成されている。テーブル本体12は、ステンレス鋼等の金属により構成されている。保持部材13は、ゴム等の弾性を有する樹脂により構成され、上面が保持面11である。また、保持テーブル10は、保持部材13が各デバイス領域204と1対1で対応して複数(実施形態1では、3つ)設けられている。
【0036】
保持テーブル10は、
図2、
図3及び
図4に示すように、保持部材13の保持面11のパッケージ基板200の分割予定ライン206に対応する位置に形成され、切削時に切削ブレード21が侵入する切削ブレード21の逃げ溝14と、保持部材13の保持面11の逃げ溝14によって区画された領域に形成されたパッケージ基板200及びパッケージデバイス201を吸引保持するための複数の吸引孔15とを含んでいる。逃げ溝14は、保持面11の切削するパッケージ基板200の分割予定ライン206と厚み方向(実施形態1では、Z軸方向)に重なる位置に形成されている。なお、本明細書では、対応した位置とは、厚み方向(実施形態1では、Z軸方向)に重なる位置を示している。逃げ溝14は、保持面11から凹で分割予定ライン206に沿って直線状に延在している。
【0037】
吸引孔15は、保持面11の逃げ溝14により区画された領域、即ちパッケージ基板200から個々に分割されたパッケージデバイス201に対応する位置(即ち、厚み方向に重なる位置)に開口し、保持部材13を厚み方向に貫通している。実施形態1では、吸引孔15は、各パッケージデバイス201に対応して2つずつ設けられている。また、実施形態1では、吸引孔15の周囲でかつ保持面11の逃げ溝14により区画された領域の中央に凹部16が設けられている。即ち、実施形態1では、保持面11は、保持面11の逃げ溝14により区画された領域の外縁部の全周に亘って設けられている。吸引孔15は、テーブル本体12内に設けられた吸引路151を介して吸引源152に接続する。このように、保持テーブル10は、複数の吸引孔15に連通した吸引源152を含んでいる。
【0038】
また、保持テーブル10は、保持面11のパッケージ基板200の余剰領域205に対応する位置に保持面11から凹の外縁凹部17が設けられている。外縁凹部17は、保持面11のデバイス領域204に対応する位置の外周側の全周に設けられ、実施形態1では、底面171が逃げ溝14の底面141と同一平面上に位置している。
【0039】
保持テーブル10は、保持部材13の外縁凹部17の底面171即ち保持面11において余剰領域205と対応する領域(余剰領域205の下方となる領域に相当)に形成された流体181(
図5に示す)を噴射する複数の噴射孔18と、複数の噴射孔18に連通した流体供給源182とを含んでいる。噴射孔18は、保持テーブル10の保持部材13の外縁凹部17の長手方向208及び幅方向209に間隔をあけて複数形成され、それぞれ外縁凹部17の底面171に開口している。噴射孔18は、保持部材13を厚み方向に貫通している。
【0040】
噴射孔18は、テーブル本体12内に設けられた供給路183を介して流体供給源182に接続する。流体供給源182は、流体181として純水を噴射孔18に供給する。実施形態1では、流体供給源182は、保持面11にパッケージ基板200が載置されていない状態で、噴射孔18から噴射される流体181の上端184の高さ185(
図5に示す)が、端材212に衝突して飛ばせるようにデバイス領域204を保持する保持面11の上面よりは高く、周辺への飛散を防止するためにデバイス領域204を保持する保持面11の上面から約10mm以内になる圧力、流量の流体181を噴射孔18に供給する。
【0041】
保持テーブル10は、保持面11にパッケージ基板200の封止樹脂211側が載置される。保持テーブル10は、吸引源53により吸引孔15が吸引されることで、パッケージ基板200及びパッケージデバイス201を保持面11に吸引保持する。実施形態1において、保持テーブル10は、ダイシングテープが貼着されないパッケージ基板200を保持面11に直接吸引保持する、所謂治具テーブルである。
【0042】
切削ユニット20は、切削ブレード21がスピンドル23に装着され、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板200を切削加工する加工ユニットである。切削ユニット20は、パッケージ基板200を切削加工すると、端材212を生じさせる。切削ユニット20は、それぞれ、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板200に対して、Y軸移動ユニット32によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニット33によりZ軸方向に移動自在に設けられている。切削ユニット20は、
図1に示すように、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33などを介して、装置本体2から立設した支持フレーム3に設けられている。切削ユニット20は、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33により、保持テーブル10の保持面11の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。
【0043】
切削ユニット20は、
図1に示すように、切削ブレード21と、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22に軸心回りに回転自在に設けられた回転軸となるスピンドル23と、スピンドル23を軸心回りに回転する図示しないスピンドルモータと、切削ブレード21に切削水を供給する切削水ノズル24とを有している。
【0044】
切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の切削砥石であり、保持テーブル10で保持されたパッケージ基板200を切削加工するものである。実施形態1において、切削ブレード21は、パッケージ基板200を切削加工する円環状の切り刃と、切り刃を外縁に支持しかつスピンドル23に着脱自在に装着される円環状の環状基台とを備えている。切り刃は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とからなり所定厚みに形成されている。切り刃の両表面は、X軸方向と平行である。なお、本発明では、切削ブレード21は、切り刃のみからなる所謂ワッシャーブレードでも良い。
【0045】
スピンドルハウジング22は、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に支持されている。スピンドルハウジング22は、スピンドル23の先端部を除く部分及び図示しないスピンドルモータ等を収容し、スピンドル23を軸心回りに回転可能に支持する。
【0046】
スピンドル23は、切削ブレード21が先端部に装着されるものである。スピンドル23は、図示しないスピンドルモータにより回転されるとともに、先端部がスピンドルハウジング22の先端面より突出している。スピンドル23の先端部は、先端に向かうにしたがって徐々に細く形成されており、切削ブレード21が装着される。切削ユニット20のスピンドル23及び切削ブレード21の軸心は、Y軸方向と平行である。
【0047】
撮像ユニットは、切削ユニット20と一体的に移動するように、切削ユニット20等に固定されている。撮像ユニットは、保持テーブル10に保持された切削前のパッケージ基板200の分割すべき領域を撮影する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニットは、保持テーブル10に保持されたパッケージ基板200を撮影して、パッケージ基板200と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を形成し、形成した画像を制御ユニットに出力する。
【0048】
また、切削装置1は、保持テーブル10のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、モータのパルスで切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出する。X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、保持テーブル10のX軸方向、切削ユニット20の切り刃の下端のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御ユニットに出力する。
【0049】
なお、実施形態1では、切削装置1の保持テーブル10及び切削ユニット20のX軸方向の位置、Y軸方向及びZ軸方向の位置は、予め定められた図示しない基準位置に基づいて定められる。
【0050】
制御ユニットは、切削装置1の各構成要素をそれぞれ制御して、パッケージ基板200に対する加工動作を切削装置1に実施させるものである。なお、制御ユニットは、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニットの演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、切削装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して切削装置1の各構成要素に出力する。
【0051】
制御ユニットは、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニットと、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットとに接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルにより構成される。
【0052】
(パッケージ基板の切削方法)
次に、実施形態1に係るパッケージ基板の切削方法を図面に基づいて説明する。
図6は、実施形態1に係るパッケージ基板の切削方法の流れを示すフローチャートである。実施形態1に係るパッケージ基板の切削方法は、前述した構成のパッケージ基板200のデバイス領域204の外縁を切削するとともに、分割予定ライン206に沿ってデバイス領域204を切削加工して、パッケージ基板200を個々のパッケージデバイス201に分割する方法である。また、実施形態1では、パッケージ基板の切削方法は、前述した構成の切削装置1が、パッケージ基板200を切削加工して、個々のパッケージデバイス201に分割する方法でもある。即ち、前述した切削装置1の加工動作は、実施形態1に係るパッケージ基板の切削方法でもある。パッケージ基板の切削方法は、
図6に示すように、保持ステップ1001と、切削ステップ1002とを備える。
【0053】
(保持ステップ)
図7は、
図6に示されたパッケージ基板の切削方法の保持ステップを一部断面で模式的に示す側面図である。保持ステップ1001は、切削装置1が保持テーブル10の保持面11にパッケージ基板200の裏面210側の封止樹脂211を保持するステップである。保持ステップ1001では、まず、切削装置1が、オペレータにより加工条件が制御ユニットに登録され、パッケージ基板200の裏面210側が保持テーブル10の保持面11に載置される。
【0054】
保持ステップ1001では、切削装置1が、オペレータから加工動作の開始指示を受け付けると加工動作、即ち、実施形態1に係るパッケージ基板の切削方法を開始する。保持ステップ1001では、切削装置1が、
図7に示すように、吸引源152により吸引孔15を吸引して、パッケージ基板200の裏面210側を保持テーブル10の保持面11に吸引保持するとともに、スピンドル23を軸心回りに回転して切削水ノズル24から切削ブレード21に切削水を供給する。なお、保持テーブル10が外縁凹部17を備えるために、保持ステップ1001では、保持テーブル10の表面である外縁凹部17の底面171がパッケージ基板200の余剰領域205と間隔をあける。
【0055】
(切削ステップ)
図8は、
図6に示されたパッケージ基板の切削方法の余剰領域除去ステップを一部断面で模式的に示す側面図である。
図9は、
図6に示されたパッケージ基板の切削方法の切削ステップの余剰領域除去ステップの要部を模式的に示す断面図である。
図10は、
図6に示されたパッケージ基板の切削方法の切削ステップの余剰領域除去ステップの他の要部の断面図である。
【0056】
切削ステップ1002は、パッケージ基板200のデバイス領域204の外縁を切削するとともに、分割予定ライン206に沿ってパッケージ基板200のデバイス領域204を切削加工するステップである。実施形態1において、切削ステップ1002は、
図6に示すように、余剰領域除去ステップ1002-1と、分割予定ライン切削ステップ1002-2とを備える。
【0057】
余剰領域除去ステップ1002-1は、パッケージ基板200のデバイス領域204の外縁を切削加工して、パッケージ基板200から余剰領域205を除去するステップである。切削ステップ1002の余剰領域除去ステップ1002-1では、切削装置1が、X軸移動ユニット51で保持テーブル10を加工領域に向かって移動して、撮像ユニットでパッケージ基板200を撮影して、撮像ユニットで撮影して得た画像に基づいて、移動ユニット50を制御してアライメントを遂行する。切削ステップ1002の余剰領域除去ステップ1002-1では、切削装置1は、
図8、
図9及び
図10に示すように、流体供給源182から流体181を噴射孔18に供給して、噴射孔18から流体181を噴射する。
【0058】
切削ステップ1002の余剰領域除去ステップ1002-1では、切削装置1は、保持テーブル10をX軸方向等に沿って移動させて、切削ブレード21の切り刃を余剰領域205を貫通するまでパッケージ基板200のデバイス領域204の外縁に切り込ませて、余剰領域205をデバイス領域204から分離する。すると、余剰領域205がデバイス領域204から分離されてなる端材212が噴射孔18から噴射される流体181に押圧されるなどして、保持テーブル10から除去される。こうして、切削ステップ1002の余剰領域除去ステップ1002-1において、切削装置1が、余剰領域205を切削加工する際に、噴射孔18から流体181を噴射し余剰領域205が分離されてなる端材212を保持テーブル10から除去する。
【0059】
分割予定ライン切削ステップ1002-2は、パッケージ基板200のデバイス領域204の分割予定ライン206を切削加工して、パッケージ基板200を個々のパッケージデバイス201に分割するステップである。切削ステップ1002の分割予定ライン切削ステップ1002-2では、切削装置1は、保持テーブル10をX軸方向等に沿って移動させて、切削ブレード21の切り刃を各デバイス領域204の分割予定ライン206に逃げ溝14に到達するまで切り込ませて、デバイス領域204を個々のパッケージデバイス201に分割する。
【0060】
切削ステップ1002の分割予定ライン切削ステップ1002-2では、切削装置1は、デバイス領域204の全ての分割予定ライン206を切削加工すると、保持テーブル10を搬入出領域に位置付けて、保持面11の吸引保持を停止して、加工動作即ちパッケージ基板200の切削方法を終了する。なお、個々に分割されたパッケージデバイス201は、保持面11からピックアップされる。
【0061】
以上のように、実施形態1に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、余剰領域205の分割時に、余剰領域205の下方に位置する噴射孔18から流体181を噴射するので、余剰領域205を分割してなる端材212を分割と共に直ちに保持テーブル10上から除去する事ができる。その結果、実施形態1に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、切削加工中に端材212を保持テーブル10から除去することができるという効果を奏する。
【0062】
また、実施形態1に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、保持テーブル10が外縁凹部17を備えるために、保持ステップ1001では、保持テーブル10の表面である外縁凹部17の底面171がパッケージ基板200の余剰領域205と間隔をあけており、端材212が保持テーブル10の保持面11と接触していないため保持面11に密着する、引っかかる事を防止できる。このため、実施形態1に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、流体181が余剰領域205すなわち端材212を保持テーブル10上から除去する効果を高める事ができる。
【0063】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法を図面に基づいて説明する。
図11は、実施形態2に係る切削装置の保持テーブルの保持部材を示す斜視図である。
図12は、実施形態2に係るパッケージ基板の切削方法の切削ステップの余剰領域除去ステップの要部を模式的に示す断面図である。
図13は、実施形態2に係るパッケージ基板の切削方法の切削ステップの余剰領域除去ステップの他の要部の断面図である。なお、
図11、
図12及び
図13は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
実施形態2に係る切削装置1は、
図11に示すように、保持テーブル10の保持部材13が複数の余剰領域支持部19を有していること以外、実施形態1と同じである。実施形態2に係る切削装置1の保持テーブル10の保持部材13の余剰領域支持部19は、外縁凹部17の底面171から凸に形成されている。実施形態2に係る切削装置1の保持テーブル10の保持部材13は、余剰領域支持部19が長手方向208及び幅方向209に隙間192をあけて間欠的に形成され、少なくとも一部の隣り合う余剰領域支持部19間の隙間192が逃げ溝14と長手方向208及び幅方向209に連なって、切削ブレード21の切り刃が侵入可能である。余剰領域支持部19は、上面191が保持面11と同一平面上に位置して、パッケージ基板200の裏面210側を支持する。また、実施形態2に係る切削装置1は、噴射孔18が余剰領域支持部19間の隙間192即ち底面171に形成されている。
【0065】
実施形態2に係るパッケージ基板の切削方法の切削ステップ1002の余剰領域除去ステップ1002-1では、切削装置1は、
図12及び
図13に示すように、流体供給源182から流体181を噴射孔18に供給して、噴射孔18から流体181を噴射する。
【0066】
実施形態2に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、余剰領域205の分割時に、余剰領域205を支持する余剰領域支持部19間の隙間192に位置する噴射孔18から流体181を噴射するので、余剰領域205を分割してなる端材212を分割と共に直ちに保持テーブル10上から除去する事ができる。その結果、実施形態2に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、実施形態1と同様に、切削加工中に端材212を保持テーブル10から除去することができるという効果を奏する。
【0067】
また、実施形態2に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、保持テーブル10が余剰領域支持部19を有しているために、余剰領域除去ステップ1002-1において端材212がばたつかずデバイス領域204に発生するチッピングを抑制できる。また、実施形態2に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、余剰領域支持部191間に隙間192を設けているので、端材212と余剰領域支持部19との接触面積を抑制でき、端材212に発生したバリが余剰領域支持部19に刺さって剥がれない、又は表面張力によって端材212が余剰領域支持部19に貼り付くなどの恐れを抑制できる。また、実施形態2に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、余剰領域支持部191間に隙間192を設けているので、隙間192に流体181や切削水が入るので端材212が浮きやすくなるという効果も奏する。
【0068】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法を図面に基づいて説明する。
図14は、実施形態3に係る切削装置の保持テーブルの保持部材を示す斜視図である。
図15は、実施形態3に係るパッケージ基板の切削方法の切削ステップの余剰領域除去ステップの要部を模式的に示す断面図である。
図16は、実施形態3に係るパッケージ基板の切削方法の切削ステップの余剰領域除去ステップの他の要部の断面図である。なお、
図14、
図15及び
図16は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
実施形態3に係る切削装置1は、
図14に示すように、保持テーブル10の保持部材13が複数の余剰領域支持部19を有していること以外、実施形態1と同じである。実施形態3に係る切削装置1の保持テーブル10の保持部材13の余剰領域支持部19は、外縁凹部17の底面171から凸に形成されている。実施形態3に係る切削装置1の保持テーブル10の保持部材13は、余剰領域支持部19が長手方向208及び幅方向209に隙間192をあけて間欠的に形成され、隣り合う余剰領域支持部19間の隙間192が逃げ溝14と長手方向208及び幅方向209に連なって、切削ブレード21の切り刃が侵入可能である。余剰領域支持部19は、上面191が保持面11と同一平面上に位置して、パッケージ基板200の裏面210側を支持する。また、実施形態2に係る切削装置1は、噴射孔18が余剰領域支持部19の上面191に形成されている。
【0070】
実施形態3に係るパッケージ基板の切削方法の切削ステップ1002の余剰領域除去ステップ1002-1では、切削装置1は、
図15及び
図16に示すように、流体供給源182から流体181を噴射孔18に供給して、噴射孔18から流体181を噴射する。
【0071】
実施形態3に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、余剰領域205の分割時に、余剰領域205を支持する余剰領域支持部19の上面191に形成された噴射孔18から流体181を噴射するので、余剰領域205を分割してなる端材212を分割と共に直ちに保持テーブル10上から除去する事ができる。その結果、実施形態3に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、実施形態1と同様に、切削加工中に端材212を保持テーブル10から除去することができるという効果を奏する。
【0072】
また、実施形態3に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、保持テーブル10が余剰領域支持部19を有しているために、余剰領域除去ステップ1002-1において端材212がばたつかずデバイス領域204に発生するチッピングを抑制できる。また、実施形態3に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、余剰領域支持部191間に隙間192を設けているので、端材212と余剰領域支持部19との接触面積を抑制でき、端材212に発生したバリが余剰領域支持部19に刺さって剥がれない、又は表面張力によって端材212が余剰領域支持部19に貼り付くなどの恐れを抑制できる。また、実施形態3に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、余剰領域支持部191間に隙間192を設けているので、隙間192に流体181や切削水が入るので端材212が浮きやすくなるという効果も奏する。
【0073】
また、実施形態3に係る切削装置1及びパッケージ基板の切削方法は、余剰領域支持部191の上面191に噴射孔18を設けることで、至近距離から端材212に流体181を供給することとなり、端材212を飛ばしやすい。なお、実施形態3では、余剰領域支持部19間に隙間192を設けたが、本発明では、余剰領域支持部19間に隙間192を設けなくても良い。
【0074】
なお、本発明において、流体181を噴射孔18から噴射は、余剰領域除去ステップ1002-1のみ実施し、分割予定ライン切削ステップ1002-2においては供給を停止することで、使用する流量を削減しても良い。また余剰領域除去ステップ1002-1に限らず分割予定ライン切削ステップ1002-2においても供給する事で、加工屑の付着を防止しても良い。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態1に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明では、切削ステップ1002において、デバイス領域204の外縁と分割予定ライン206を端から順に切削加工しても良い。この場合、切削装置1は、余剰領域除去ステップ1002-1と分割予定ライン切削ステップ1002-2とを含む切削ステップ1002において、噴射孔18から流体181を噴射する。
【符号の説明】
【0076】
1 切削装置
10 保持テーブル
14 逃げ溝
15 吸引孔
18 噴射孔
19 余剰領域支持部
20 切削ユニット
21 切削ブレード
152 吸引源
181 流体
182 流体供給源
191 上面
192 隙間
200 パッケージ基板
201 パッケージデバイス
203 表面
204 デバイス領域
205 余剰領域
206 分割予定ライン
210 裏面
1001 保持ステップ
1002 切削ステップ