(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184244
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】保護部材及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20231221BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 302
H05K5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098285
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】久我 透
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】三川 晃尚
【テーマコード(参考)】
4E360
5G435
【Fターム(参考)】
4E360AB05
4E360AB08
4E360BD03
4E360EA21
4E360EB04
4E360EB05
4E360EC12
4E360EC16
4E360ED02
4E360ED03
4E360ED16
4E360ED17
4E360ED23
4E360ED28
4E360ED30
4E360EE02
4E360EE20
4E360GA04
4E360GA07
4E360GA12
4E360GA14
4E360GA53
4E360GB26
4E360GB46
4E360GB99
4E360GC02
4E360GC04
4E360GC06
4E360GC08
4E360GC12
4E360GC15
5G435AA07
5G435EE05
5G435LL07
5G435LL08
(57)【要約】
【課題】高い耐衝撃性を確保しつつ、ユーザー着脱性を確保する保護部材を提供する。
【解決手段】保護部材3は、保護対象物2の主面外側の外周側面21を覆う枠体30と、枠体30に設けられ、枠体30と保護対象物2とを連結する複数の連結部34、134と、を備える。複数の連結部34、134は、保護対象物2の外周側面21に連結される。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護対象物の主面外側の外周側面を覆う枠体と、
前記枠体に設けられ、前記枠体と前記保護対象物とを連結する複数の連結部と、
を備え、
前記複数の連結部は、前記保護対象物の前記外周側面に連結される、
保護部材。
【請求項2】
前記連結部が、前記外周側面と対向する方向を軸方向とし、前記軸方向に沿って移動可能な軸部を有し、
前記保護対象物の前記外周側面に設けられる係合孔に前記軸部を挿入することによって、前記枠体と前記保護対象物とを連結する、
請求項1に記載の保護部材。
【請求項3】
前記連結部が、一端が前記軸部に連結され、他端側への外力の入力により前記軸部を回転するレバーを有し、
前記レバーは、前記枠体に設けられる凹部に収容可能であり、他端側が一端を中心として前記凹部から露出するように回動可能であり、
前記レバーの前記他端側が前記凹部から露出している状態では、前記レバーは前記軸部を前記軸方向に沿って前記枠体の外側に移動可能であり、
前記レバーの前記他端側が前記凹部に収容されている状態では、前記枠体に前記保護対象物が取り付けられる状態において、前記軸部の先端が前記係合孔に挿入される位置に位置決めされる、
請求項2に記載の保護部材。
【請求項4】
前記連結部が、
前記軸部の先端に設けられ、前記軸部の前記軸方向と直交方向に延在する長手形状で形成される係合部を有し、
前記レバーの前記他端側が前記凹部に収容される位置から所定角度に露出する位置に前記軸部が回動されている状態では、前記係合部が前記係合孔に挿入可能となるように、前記係合孔の形状が形成される、
請求項3に記載の保護部材。
【請求項5】
前記係合孔がケンジントンロック穴である、
請求項4に記載の保護部材。
【請求項6】
前記軸部が前記枠体に挿通されてネジ係合され、前記軸部を回転させることによって前記軸部の先端が前記係合孔に挿入される位置に位置決めされる、
請求項2に記載の保護部材。
【請求項7】
前記枠体が、金属フレームと、前記金属フレームに巻かれる外周ゴムとを含む、
請求項1に記載の保護部材。
【請求項8】
前記軸部の先端が前記係合孔に挿入された状態で、前記軸部と前記外周側面との間には前記軸方向に遊びがあり、前記枠体のうち前記保護対象物の前記外周側面と対向する位置に緩衝部材が設けられる、
請求項2に記載の保護部材。
【請求項9】
前記緩衝部材は、ゴム、ウレタンシート、または板バネを含む、
請求項8に記載の保護部材。
【請求項10】
前記保護対象物は電子機器本体であり、前記主面に表示画面を有し、
当該保護部材は、前記枠体に設けられ、前記主面を覆う透明性部材を備える、
請求項1に記載の保護部材。
【請求項11】
前記保護対象物は、前記主面が矩形状に形成され、前記外周側面が前記矩形状の各辺を形成し、
前記複数の連結部は、前記各辺ごとに少なくとも1つずつ配置される、
請求項1に記載の保護部材。
【請求項12】
前記複数の連結部は、前記各辺ごとに2つ以上配置される、
請求項11に記載の保護部材。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の保護部材と、
前記保護対象物としての電子機器本体と、
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護部材及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばタブレットや、電子黒板、スマートフォンなど、薄型の平板状の保護対象物の側面全体を保護する保護カバーが知られている。従来の保護カバーは、例えばゴムなどの弾性材料で一体成形される場合が多い。このため、ユーザーが手でカバーを延ばしながら保護対象物に嵌め込むなどの手間がかかり、着脱作業に改善の余地がある。
【0003】
特許文献1には、ユーザー脱着性を確保する目的で、保護対象物であるノートPCの背面部にもうけられた孔に、保護カバーの連結部材を抜け止めとして挿入して、保護カバーとノートPCとを連結する技術がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただし、特許文献1の技術では、ノートPCの背面側、すなわちノートPCを折りたたんだ状態における主面を保護する構成のため、側面から落下したときの耐衝撃性に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、高い耐衝撃性を確保しつつ、脱着を容易にできる保護部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一観点に係る保護部材は、保護対象物の主面外側の外周側面を覆う枠体と、前記枠体に設けられ、前記枠体と前記保護対象物とを連結する複数の連結部と、を備え、前記複数の連結部は、前記保護対象物の前記外周側面に連結される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高い耐衝撃性を確保しつつ、脱着を容易にできる保護部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る電子機器の全体構成を例示する分解斜視図
【
図2】
図1における保護部材の全体構成を例示する正面図
【
図3】
図1における保護部材の全体構成を例示する側面図
【
図4】
図1における保護部材の全体構成を例示する背面図
【
図7】
図6に示す連結部が設置される枠体の凹部と連結先の係合孔を示す図
【
図13】係合部と係合孔の形状の幾何的関係を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向である。X方向及びY方向は、これらの二軸を含む平面(XY平面)が、実施形態に係る保護部材3及び保護対象物2の主面と平行となるよう設定される。また、本実施形態では保護部材3及び保護対象物2の主面が略長方形状であり、X方向はこの長方形状の短辺の延在方向であり、Y方向は長辺の延在方向である。なお、以降では、上記の保護部材3の主面を「枠体平面」とも表記する場合がある。枠体平面は、実施形態に係る保護部材3の金属フレーム31が含まれる平面を意味する。Z方向は、枠体平面の法線方向に対応する。本明細書において平面視とは、Z方向から対象を視ることをいう。
【0011】
(電子機器1の全体構成例)
図1は、実施形態に係る電子機器1の全体構成を例示する分解斜視図である。電子機器1は、保護対象物2と保護部材3とを有する。
図1は、保護対象物2と保護部材3とが分解された状態、換言すると保護部材3が保護対象物2から取り外された状態を示している。
【0012】
電子機器1の操作者は、
図1において、破線の矢印により示した方向に保護対象物2を移動させた後、保護部材3の内側に保護対象物2を嵌め込むようにして保護対象物2に保護部材3を装着させることができる。
【0013】
保護対象物2は、例えば電子黒板である。電子黒板とは、黒板上に描いた内容を電子的に変換することが可能な黒板状の電子機器である。但し、電子黒板の色は黒色に限らず如何なる色であってもよい。電子黒板は、ホワイトボード、コピーボード等と呼ぶこともできる。本実施形態では、保護対象物2としての電子黒板は、外周側面21に囲まれる一対の主面のうちの一方に、画像を表示可能な画面20を有する。
【0014】
保護対象物2は、電子黒板に限らず、スマートフォン、タブレット、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートPC、ゲーム機等の「電子機器本体」であってもよい。あるいは、保護対象物2は、絵画や書等の電子機器以外の物品であってもよい。
【0015】
保護部材3は、保護対象物2を保護するための部材である。本実施形態では、保護部材3は、電子黒板等の電子機器を保護するために電子機器に装着される保護ケース、換言すると保護容器である。但し、保護部材3は、絵画や書等を保護するために、これらを収容する額縁であってもよい。
【0016】
電子機器1の操作者は、電流の印加により電界を発生可能な電子ペンの先端を、保護部材3が装着された保護対象物2としての電子黒板に保護部材3を介在させて近接させる。電子機器1の操作者は、電子ペンの先端が字や図形を描くように電子ペンの先端を移動させることにより、電子黒板から発生される電界を利用して、電子黒板上に字や図形を描く等の、電子黒板に対する操作を行うことができる。但し、電子黒板の操作方式は、電子ペンを用いる方式および電界利用方式に限定されず、他の方式であってもよい。
【0017】
(保護部材3の全体構成例)
図2から
図5を参照して、保護部材3の全体構成の一例を説明する。
図2から
図4は、保護部材3の全体構成を例示する図であり、
図2は正面図、
図3は側面図、
図4は背面図である。
図5は、
図2におけるV-V切断線に沿った断面図である。
【0018】
図2から
図5に示すように、保護部材3は、枠体30と、透明性部材32と、複数の連結部34(
図4参照)とを備える。枠体30は、保護対象物2の主面の外縁部に沿った外側の外周側面21を覆うことができる。複数の連結部34は、枠体30に設けられ、枠体30と保護対象物2の外周側面21とを連結する。なお、連結部34の連結構造については後述する。
【0019】
枠体30は、金属フレーム31と、外周ゴム33とを含む。外周ゴム33は、金属フレーム31の外周側に巻かれる。金属フレーム31は外周ゴム33により前面側(X正方向側)と背面側(X負方向側)も覆われているため、
図2、
図4では、金属フレーム31を破線により表示している。
【0020】
金属フレーム31は、平面視において保護対象物2を内側に支持可能な枠状の部材である。金属フレーム31は、複数の柱状部材311と、複数の接続部材312と、を含む。本実施形態では、保護対象物2としての電子黒板は、平面視における形状が略矩形であるため、これに合わせて平面視における金属フレーム31の形状は略矩形枠状になっている。但し、平面視における金属フレーム31の形状は、保護対象物2に合わせて円形状、楕円形状、または多角形状等であってもよい。
【0021】
複数の柱状部材311のそれぞれは、金属フレーム31の辺となる部材である。複数の柱状部材311は、柱状部材311aと、柱状部材311bと、柱状部材311cと、柱状部材311dと、を含む。
【0022】
柱状部材311aおよび柱状部材311cは、それぞれY方向に延在している。柱状部材311aおよび柱状部材311cそれぞれのY方向における長さは略等しい。柱状部材311bおよび柱状部材311dは、それぞれX方向に延在している。柱状部材311bおよび柱状部材311dのX方向における長さは略等しい。柱状部材311aおよび柱状部材311cのY方向における長さは、柱状部材311bおよび柱状部材311dのX方向における長さよりも長い。
【0023】
複数の接続部材312のそれぞれは、複数の柱状部材311同士を接続する。複数の接続部材312は、接続部材312aと、接続部材312bと、接続部材312cと、接続部材312dと、を含む。
【0024】
接続部材312aは、柱状部材311aと柱状部材311dとを接続する。接続部材312bは、柱状部材311aと柱状部材311bとを接続する。接続部材312cは、柱状部材311bと柱状部材311cとを接続する。接続部材312dは、柱状部材311cと柱状部材311dとを接続する。なお、柱状部材311と接続部材312とは、例えばネジ締結などの任意の手法によって接続することができる。
【0025】
また、金属フレーム31を構成する柱状部材311は、例えばアルミニウムを材料として含み、ダイキャストにより製作可能である。柱状部材311は、例えばアルミフレームである。このような材質および製法によって柱状部材311を製作することにより、金属フレーム31の強度および剛性を高く確保できる。但し、柱状部材311の形状、材質および製法は、上述したものに限らず、保護対象物2の種類等に応じて適宜変更可能である。
【0026】
また、金属フレーム31を構成する接続部材312は、板金を材料として含み、板金の切断加工および曲げ加工により製作可能である。板金を含んで構成される接続部材312の硬度は、アルミニウムを含んで構成される柱状部材311の硬度よりも高い。これにより、本実施形態では、柱状部材311と接続部材312とを接続するネジが螺合されるネジ孔の変形を抑制できる。但し、接続部材312の形状、材質および製法は、上述したものに限らず、保護対象物2の種類等に応じて適宜変更可能である。
【0027】
透明性部材32は、平面視において金属フレーム31と少なくとも一部が重なるように配置され、金属フレーム31に固定される。本実施形態では一例として、透明性部材32は、平面視において金属フレーム31と全部が重なるように配置されている。すなわち、透明性部材32は、枠体30の金属フレーム31に設けられ、金属フレーム31の前面側、すなわち保護部材3の前面側の主面(画面20が設けられる側の主面)を覆うように形成される。透明性部材32は、例えば両面テープや接着剤などを利用して金属フレーム31に固定することができる。
【0028】
金属フレーム31において、複数の柱状部材311同士が接続部材312により接続されているため、複数の柱状部材311が透明性部材32に固定されて複数の柱状部材311同士が接続していない場合と比較して、金属フレーム31が変形しにくくなる。これにより、本実施形態では、強靭な保護部材3を提供できる。また電子機器1は、強靭な保護部材3を有することにより、保護対象物2の保護を強化することができる。なお、金属フレーム31は、必ずしも金属製である必要はなく、金属と同等程度の合成を有する他の材料で形成されてもよい。
【0029】
透明性部材32の材質に特段の制限はなく、透明性部材32は、例えばガラス材料または樹脂材料を含んで構成可能である。透明性部材32を軽量化し、破損しにくくするために、透明性部材32は樹脂材料を含んで構成されてもよい。本実施形態では、透明性部材32は、一例としてアクリル樹脂(PMMA:Polymethyl methacrylate)を材料に含むアクリル板である。
【0030】
透明性部材32は、電子機器1の前面側(Z正方向側)の方向から視たときに、背面側(Z負方向側)に配置される保護対象物2、特に画面20を視認可能とする性状をもつ部材である。この性状は、本実施形態では「透光性」とも表現する。透明性部材32は、半透明なものも含む。ここでの透光性は、少なくとも可視光に対して透過率が60%以上であることを意味する。可視光とは、人間の目により視認可能な波長範囲を有する電磁波をいう。波長範囲の下限は360nmから400nm程度である。波長範囲の上限は760nmから830nm程度である。
【0031】
本実施形態では、透明性部材32は、金属フレーム31に支持された保護対象物2の画面20(
図1参照)に向き合うように配置される。透明性部材32は透光性を有するため、電子機器1の操作者は、保護部材3が装着された保護対象物2の画面20を、透明性部材32を通して視認しながら保護対象物2を操作することができる。また、透明性部材32を設けることにより、保護対象物2の外周方向だけでなく主面方向(特に画面20が設けられる側の主面)の保護も可能となり、保護部材3の衝撃吸収性を更に高めることができる。なお、保護部材3は透明性部材32を備えない構成でもよい。
【0032】
外周ゴム33は、平面視において金属フレーム31を内側に支持する枠状の弾性部材である。外周ゴム33は、平面視における形状が矩形枠状である。外周ゴム33は、金属フレーム31を内側に支持可能である。
【0033】
図5に示すように、本実施形態では、外周ゴム33は、第1溝部331と第2溝部332とが内側面に形成されている。外周ゴム33は、金属フレーム31における柱状部材311bの一部が第1溝部331に差し込まれることにより、金属フレーム31を内側に支持する。また、外周ゴム33は、金属フレーム31に固定された透明性部材32と、金属フレーム31における柱状部材311bの一部と、が一体となって第2溝部332に差し込まれることにより、透明性部材32を内側に支持する。
【0034】
第2溝部332の内部において、柱状部材311bと外周ゴム33との間には、溝部空気層332aが設けられている。仮に溝部空気層332aが設けられていないと、+Y方向から外周ゴム33に対して衝撃が加えられた場合に、第2溝部332内の柱状部材311bがこの衝撃を受ける。この衝撃は、柱状部材311bを通して保護対象物2に伝達され、保護対象物2に影響を与える。溝部空気層332aを設けることにより、+Y方向から外周ゴム33に対して加えられる衝撃を溝部空気層332aが吸収できる。これにより、柱状部材311bおよび保護対象物2が受ける衝撃を低減することができる。
【0035】
外周ゴム33の材質に特段の制限はなく、保護対象物2の用途、材質等に応じて適宜変更可能である。外周ゴム33の対候性または衝撃吸収性を向上させる観点では、外周ゴム33はエチレンプロピレンゴムを含んで構成されてもよい。また、外周ゴム33の対候性または衝撃吸収性を向上させる観点では、外周ゴム33の硬度は50度以下であってもよい。外周ゴム33は、上記の性状を満たすものであれば、ゴム以外の弾性材料や樹脂材等を適用してもよい。
【0036】
本実施形態では、平面視において金属フレーム31を外周ゴム33の内側に支持することにより、電子機器1の落下や衝突により保護部材3にかかる衝撃を外周ゴム33により吸収できるため、保護対象物2の破損や枠体の変形等を抑制できる。また、本実施形態では、金属フレーム31に固定された透明性部材32を外周ゴム33により支持することにより、透明性部材32が金属フレーム31に対して浮き上がったり、透明性部材32が破損したりすることを抑制できる。
【0037】
図4に示すように、複数の連結部34のそれぞれは、金属フレーム31の内側に保護対象物2を取り付けるための機構である。複数の連結部34は、連結部34aと、連結部34bと、連結部34cと、連結部34dと、連結部34eと、連結部34fと、連結部34gと、連結部34hと、を含む。連結部34aおよび連結部34bは、柱状部材311aに設けられている。連結部34c及び連結部34dは、柱状部材311bに設けられている。連結部34eおよび連結部34fは、柱状部材311cに設けられている。連結部34g及び連結部34hは、柱状部材311dに設けられている。
【0038】
このように、本実施形態では、保護対象物2としての電子黒板は、主面が矩形状に形成され、外周側面21が矩形状の各辺を形成する。そして、複数の連結部34は、保護部材3の金属フレーム31の矩形状の各辺ごとに2つ配置されるのが好ましい。これにより、保護部材3と保護対象物2との連結の強度を各辺でほぼ均一にでき、より安定した連結が可能となる。また、各辺に配置される2つの連結部34は、該当の辺の中央位置を挟んで両側に配置されるのが好ましく、該当の辺の中央位置から略等距離、かつ、該当の辺の両端から略等距離の位置に配置されるのがさらに好ましい。このような配置とすることで、該当の辺の全体に亘って保護部材3と保護対象物2との連結の強度もほぼ均一にでき、連結をより一層安定化できる。
【0039】
なお、連結部34は、少なくとも保護部材3や金属フレーム31の環状を形成する各辺ごとに少なくとも1つずつ配置されればよく、
図4の例のうち一部の辺において連結部34を1個のみ配置する構成でもよい。また、一辺に3個以上の連結部を配置する構成でもよい。
【0040】
また、保護部材3や金属フレーム31の環形状が、例えば円形や曲線形状など辺をもたない形状となる場合もあり得る。このような形状の場合には、複数の連結部34は、例えば環状の延在方向に沿って略等間隔に配置されるのが好ましい。これにより、環形状の各位置において連結の強度をほぼ均一にでき、より安定した連結が可能となる。
【0041】
なお、本実施形態では、枠体30は枠状の金属フレーム31と外周ゴム33とを備える構成としているが、枠体30の構造はこれに限られない。枠体30は少なくとも保護対象物2の主面外側の外周側面21を覆うことができればよく、例えば、ゴムなどの弾性部材のみで形成される構成でもよいし、金属フレーム31が枠状ではなく枠体30の環状方向の一部に設ける構成でもよいし、枠体30全体を樹脂材等の他の材料で形成する構成などでもよい。
【0042】
(連結部34の構成例)
図6~
図8を参照して、複数の連結部34の構成の一例を説明する。
図6は、連結部34fの構成を例示する図である。
図7は、
図6に示す連結部34fが設置される枠体30の凹部37と連結先の係合孔22を示す図である。
図8は、連結部34fが枠体30に設置されている状態を示す図である。
図7、
図8では、
図4に示すA-A断面が図示され、このA-A断面よりY負方向側から連結部34fの部分が図示されている。なお、後述する
図9~
図12も同様である。
【0043】
なお、連結部34a、連結部34b、連結部34c、連結部34d、連結部34e、連結部34g、及び連結部34hは、連結部34fと同じ構成を有する。ここでは、連結部34fの構成を代表して説明する。
【0044】
図6に示すように、連結部34は、レバー341と、軸部342と、係合部343と、を含む。
図4を参照して説明したように、連結部34は、金属フレーム31に設けられる。
【0045】
軸部342は、外周側面21と対向する方向(
図6などの例ではX方向)を軸方向として、軸方向まわりに回転可能、かつ、軸方向に沿って移動可能に金属フレーム31に取り付けられる。
図7に示すように、金属フレーム31には、軸部342の軸方向に沿って貫通孔36が設けられている。軸部342は、その断面形状が貫通孔36と同形状(例えば断面円形状)であり、軸方向に沿って移動可能となるよう貫通孔36に挿入されている。
【0046】
レバー341は、一端(
図6ではY負方向側、基端部341D側の端部)が軸部342に連結され、他端側(
図6ではY正方向側、先端部341C側の端部)への外力の入力により軸部342を回転する。
図6、
図8に示すように、レバー341は、円柱状部材である軸部342の一端に取り付けられている。電子機器1の操作者は、レバー341を把持し、レバー341を手動で回転させることにより、軸部342をその円柱軸周りに回転させることができる。
【0047】
また、
図8に示すように、レバー341は、枠体30の外周ゴム33に設けられる凹部37に収容可能であり、他端側が、軸部342に連結される一端を中心として凹部37から露出するように回動可能である。
【0048】
図6、
図8に示すように、係合部343は、軸部342の他端(
図6、
図8ではX正方向側の先端部)に形成され、軸部342の円柱軸方向から視た形状が長方形状、換言すると異方性の形状を有する部位である。係合部343は、軸部342の回転に伴って軸部342の円柱軸周りに回転可能である。
【0049】
軸部342は、
図8に示すように、係合部343が金属フレーム31の内側(
図6、
図8ではX正方向側)に位置するようにして、金属フレーム31に設けられた貫通孔36に挿入される。
【0050】
図7に示すように、保護対象物2の外周側面21には、保護対象物2が金属フレーム31の内側に配置された状態において、連結部34fにおける係合部343の位置に対応する位置に、係合部343と係合可能な長方形状、換言すると異方性の形状を有する係合孔22が設けられている。
【0051】
電子機器1の操作者は、保護対象物2を金属フレーム31の内側に配置した際に、この係合孔22に係合部343を挿入する。そして電子機器1の操作者は、レバー341を用いて係合部343を軸部342の円柱軸周りに回転させる。これにより、係合部343および係合孔それぞれの異方性を利用して、係合部343が係合孔22から抜去不能になる。
【0052】
上記と同じ操作が保護部材3における複数の連結部34それぞれに対して行われることにより、保護対象物2が保護部材3に支持される。なお、連結部34による保護対象物2と保護部材3との連結操作の詳細については、
図9~
図12を参照して後述する。
【0053】
図6、
図8に示すように、係合部343は、軸部342の先端に設けられ、軸部342の軸方向と直交方向に延在する長手形状で形成される。レバー341の他端側が凹部37に収容される位置から所定角度に露出する位置に軸部342が回動されている状態(
図9、
図10など参照)では、係合部343が係合孔22に挿入可能となるように、係合孔22の形状が形成される。
【0054】
複数の連結部34は、保護対象物2の外周側面21に連結される。より詳細には、連結部34は、保護対象物2の外周側面21に設けられる係合孔22に軸部342を挿入し、軸部342の先端の係合部343を係合孔22に係合することによって、枠体30と保護対象物2とを連結する。
【0055】
図6、
図8に示すように、軸部342と、係合部343との境界部分には、軸部342より径の短い切り欠き部344が設けられている。軸部342の径は、保護対象物2の係合孔22に挿入できない大きさで形成される。一方、切り欠き部344は、保護対象物2の係合孔22に挿入できる径で形成される。また、切り欠き部344は、軸方向(X方向)の寸法が係合孔22の深さより大きくなるよう形成される。これにより、軸部342の先端の係合部343が係合孔22に挿入された状態で、軸部342と外周側面21との間には、切り欠き部344によって軸方向に遊びp(
図12参照)があるようになる。これにより、例えば電子機器1が地面に落下した場合など外力を受けて電子機器本体2をこの遊びpの範囲で枠体30側に相対的に移動させることが可能となり、電子機器本体2が受ける衝撃を緩和できる。
【0056】
図2、
図4に示すように、枠体30のうち保護対象物2の外周側面21と対向する位置に緩衝部材35が設けられる。上述のように、軸部の先端の係合部343が係合孔22に挿入された状態では、係合孔22と軸部342との間に切り欠き部344が配置されることにより、軸部342と外周側面21との間には軸方向に遊びpがある。緩衝部材35は、電子機器本体2がこの遊びpの範囲で枠体30側に相対的に移動したときに電子機器本体2の外周側面21と接触する。これにより、緩衝部材35が外周側面21と枠体30との間で収縮変形などによって電子機器本体2の移動を抑制することができ、電子機器本体2が受ける衝撃をより一層緩和できる。緩衝部材35は、このような機能を満たすことが可能な任意の要素を適用でき、例えばゴム、ウレタンシート、または板バネなどを適用できる。
【0057】
なお、本実施形態のように保護部材3の金属フレーム31の矩形状であり、複数の連結部34がこの矩形状の各辺ごとに2つずつ配置される構成の場合には、緩衝部材35は各辺において2つの連結部34の間に配置されるのが好ましい。
図4の例では、金属フレーム31の柱状部材311aでは、連結部34aと連結部34bとの間に緩衝部材35aが設けられる。同様に、金属フレーム31の柱状部材311bでは、連結部34cと連結部34dとの間に緩衝部材35bが設けられる。同様に、金属フレーム31の柱状部材311cでは、連結部34eと連結部34fとの間に緩衝部材35cが設けられる。同様に、金属フレーム31の柱状部材311dでは、連結部34gと連結部34hとの間に緩衝部材35dが設けられる。
【0058】
図6、
図8に示すように、レバー341は、軸部342に接続される接続部341Aと、接続部341Aから略直角に屈曲する操作部341Bとを有する。操作部341BのX負方向側の端面は、先端部341Cと基端部341Dとを有する。先端部341Cと基端部341Dとは操作部341BのX負方向側の端面を二分し、
図8に示す状態では、先端部341CがY正方向側に配置され、基端部341DがY負方向側に配置される。先端部341CのX方向の寸法は、基端部341Dよりも相対的に大きい。
【0059】
図7、
図8に示すように、凹部37は、Z方向視においてレバー341が収容可能な大きさ例えば長方形状に形成される。凹部のY方向の長径は、レバー341の長手方向を収容可能な大きさで形成される。凹部のX方向の短径は、レバー341の短手方向のうち、相対的に寸法が大きい先端部341Cの部分が収容可能な大きさで形成される。
【0060】
凹部37は、Z方向の金属フレーム31の端面とほぼ同じ位置に載置面37Aを有する。この載置面37Aは、XY平面と略平行に延在し、レバー341の操作部341Bが凹部37に収容される方向に回動するときに操作部341Bの回動を干渉し、これ以上のZ正方向側へのレバー341の回動を規制する。また、凹部37は、Z方向視において、レバー341の操作部341Bの全体が挿入可能な略長方形状に形成される。この長方形状の内壁37Bのうち、Y負方向側の部分は、レバー341が凹部37から外部に露出する方向に回動し、約90度立ち上がったとき(
図9など参照)に、操作部341Bの回動を干渉して、これ以上のY負方向側へのレバー341の回動を規制する。つまり、凹部37の載置面37Aと内壁37Bとによって、レバー341の回動範囲を、
図8などに示す水平方向の状態から、垂直方向の状態(
図9など参照)までの約90度の範囲に規制することができる。
【0061】
また、載置面37AのY負方向側の端部37Cの位置は、レバー341の垂直方向への回動の際に干渉しない位置となるよう形成されている。
【0062】
また、レバー341は、レバー341を垂直方向に回動させた状態のとき、操作部341BのうちX方向の寸法が短い基端部341Dのみが凹部37の内部に配置されるように、軸部342の位置が設定されている。これにより、レバー341を垂直方向に回動させた状態では、レバー341の先端部341Cが凹部37より外部に露出する位置となる。これにより、レバー341の基端部341Dと、凹部37の内壁37BのうちX負方向側の面との間に隙間ができるので、連結部34は枠体30の外側(
図8の例ではX負方向側)に移動可能となる。つまり、レバー341の他端側が凹部37から露出している状態では、レバー341は軸部342を軸方向に沿って枠体30の外側に移動可能である(
図9、
図10参照)。
【0063】
一方、レバー341の他端側が凹部37に収容されている状態では、枠体30に保護対象物2が取り付けられる状態において、軸部342の先端の係合部343が係合孔22に挿入される位置に位置決めされる(
図12参照)。
【0064】
次に、
図9~
図12を参照して、連結部34による保護対象物2と保護部材3とを連結する手順について説明する。
図9~
図12は、それぞれ連結部34による連結操作の第1~第4手順を示す図である。
【0065】
図9に示す第1手順では、矢印A1で示すようにレバー341が凹部37に収容されている水平状態から、約90度回動して立設される垂直状態へ操作される。これにより、軸部342と係合部343も連動して回動し、矢印A2で示すように係合部343の長手方向がY方向に向く。
【0066】
図10に示す第2手順では、第1手順のレバー341の回動によって先端部341Cが凹部37の外側に露出するため、凹部37の内壁37Bと対向する位置に基端部341Dが配置される。このため、レバー341と凹部37のX負方向側の内壁37Bとの間に隙間が生じる。この状態から矢印B1で示すようにレバー341が軸部342の軸方向に沿ってX負方向側に移動され、基端部341Dが内壁37Bに接近する。これにより、軸部342と係合部343も連動してX負方向側に移動し、矢印B2で示すように係合部343のX方向の位置が金属フレーム31に接近する。
【0067】
図11に示す第3手順では、第2手順のレバー341の移動によって枠体30の内側にある係合部343もX負方向側へ移動するため、金属フレーム31から係合部343のX方向先端部までの間隔が距離dに縮まる。枠体30は、矩形状の内周面の形状が保護対象物2の外形より
図11に示す距離dだけ大きく形成されている。これにより、
図11に示す第3手順では、枠体30の内側に保護対象物2をZ方向から挿入できるスペースが生まれる。本実施形態では、このような連結部34の状態(
図10、
図11に図示する姿勢)を「脱着ポジション」と呼ぶ。このように連結部34を脱着ポジションに遷移するように使用者がレバー341を操作した後に、矢印Cで示すように保護対象物2がZ負方向側(主面方向)から、画面20が透明性部材32と対向する向きで、枠体30の内部に挿入される。このとき、係合部343は保護対象物2の外周側面21より外側に位置するので、保護対象物2に干渉しない。
【0068】
図12に示す第4手順では、第3手順の保護対象物2の枠体30への挿入によって、保護対象物2の外周側面21に設けられる係合孔22が係合部343と対向する位置に配置される。この状態から矢印Dで示すようにレバー341が軸部342の軸方向に沿ってX正方向側に移動され、これにより、軸部342と係合部343も連動してX正方向側に移動し、係合部343が係合孔22に挿入され、係合孔22を通過して保護対象物2の内部に進入する。その後、矢印Eで示すように、レバー341が垂直状態から、約90度回動して水平状態へ操作されて凹部37に収容される。これにより、軸部342と係合部343も連動して回動し、係合部343の長手方向がZ方向に向く。本実施形態では、このような連結部34の状態(
図12に図示する姿勢)を「装着ポジション」と呼ぶ。このように連結部34を装着ポジションに遷移するように使用者がレバー341を操作することにより、係合部343が係合孔22から抜けない状態に遷移し、係合部343を介して保護対象物2と保護部材3とが連結される。これにより、保護対象物2が保護部材3に対してZ方向(主面方向)への相対的な移動が規制され、保護対象物2が保護部材3から抜け出ることを防止する抜け止めとなる。
【0069】
また、装着ポジションでは、
図12に示すように軸部342と外周側面21との間には、切り欠き部344によって軸方向に遊びpが存在する。また、保護対象物2の外周側面21は緩衝部材35と非接触の状態となっている。さらに、
図12に示すように、遊びpのX方向の寸法が、装着ポジションにおける外周側面21と緩衝部材35との距離より長くなるように、切り欠き部344が形成されている。これにより、保護対象物2の外周側面21に対して、軸部342のX正方向側の端面(すなわち切り欠き部344と軸部342との境界)よりも、緩衝部材35のX正方向側の端面が接近した状態となっている。これらの構成により、電子機器1の落下などによって保護部材3の外周側に外力を受けた場合には、遊びpの分だけ保護対象物2を枠体30側に相対的に移動させることができる。この結果、保護対象物2の外周側面21が緩衝部材35に接触して、緩衝部材35によって保護対象物2が受ける衝撃が緩和される。
【0070】
このように本実施形態では、複数の連結部34は、一端が軸部342に連結され、他端側への外力の入力により軸部342を回転するレバー341を有する。さらに、レバー341の他端側が凹部37から露出している状態では、レバー341は軸部342を軸方向に沿って枠体30の外側に移動可能である。一方、レバー341の他端側が凹部37に収容されている状態では、枠体30に保護対象物2が取り付けられる状態において、軸部342の先端が係合孔22に挿入される位置に位置決めされる。
【0071】
このように、
図9、
図12に矢印A1、Eで示すレバー341の回動操作や、
図10、
図12に矢印B1、Dで示すレバー341の水平方向(図ではX方向)の移動操作によって、複数の連結部34を保護対象物2の係合孔22に容易に係合させることができる。また、
図9~
図12の例を逆の手順で行えば、複数の連結部34を保護対象物2の係合孔22から容易に離脱させることができる。このように、連結部34のレバー341の操作のみで、ユーザーによる保護部材3と保護対象物2との着脱作業を容易にできる。
【0072】
また、本実施形態では、複数の連結部34は、軸部342の先端に設けられ、軸部342の軸方向と直交方向に延在する長手形状で形成される係合部343を有する。レバー341の他端側が凹部37に収容される位置から所定角度(例えば90度)に露出する位置に軸部342が回動されている状態では、係合部343が保護対象物2の係合孔22に挿入可能となるように、係合孔22の形状が形成される。
【0073】
この構成により、
図9~
図12に示す一連のレバー341の操作を行った後には、連結部34の係合部343が保護対象物2の係合孔22の内側で抜け止めとして機能する。これにより、枠体平面(XY平面)の方向に保護対象物2が抜け出ることを防止できると共に、保護対象物2の外周側面21の外側の方向に保護部材3が外れることも確実に防止できる。これにより、保護対象物2と保護部材3との連結をより強固にでき、より高い耐衝撃性を確保することが可能となる。
【0074】
図13は、係合部343と係合孔22の形状の幾何的関係を説明する図である。図中の実線で示す長方形が係合孔22である。点線で示す長方形は係合孔22への挿入前の係合部343の姿勢を示し、
図9~
図11の状態に対応する。一点鎖線で示す長方形は係合孔22へ挿入後に回動された状態の係合部343の姿勢を示し、
図12の状態に対応する。
【0075】
図13に示すように、係合孔22の長径Lhは、係合部343の長径Leより大きければよい。係合孔22の短径Shは、係合部343の短径Seより大きければよい。これにより、係合部343を係合孔22に挿入可能となる。
【0076】
また、係合部343の長径Leは、係合孔22の短径Shより大きければよい。これにより、係合部343を回動させたときに、係合部343を係合孔22から抜けなくできる。
【0077】
これらの条件さえ満たせば、係合孔22及び係合部343の形状は、長方形状以外でもよい。例えば、係合孔22及び係合部343の両方が楕円や長円形状でもよいし、係合孔22または係合部343の一方が長方形状で、他方が楕円や長円形状でもよい。
【0078】
また、本実施形態では、係合部343の形状は軸部342の軸方向と直交する方向に、軸部342の軸心を挟んでこの方向の両側に延在する構成、すなわち、係合部343と切り欠き部344とが略T字状となる構成を例示したが、係合部343が軸心から一方向のみに延在する構成、すなわち、係合部343と切り欠き部344とが略L字状となる構成でもよい。また、係合部343の延在方向は軸部342の軸方向と少なくとも交差し、係合部343が係合孔22から抜けるのを防止できる構成であればよく、係合部343の軸心を挟んだ両側の延在方向が、軸心から保護対象物2の内側に傾斜する構成、すなわち、係合部343と切り欠き部344とが略Y字状となる構成でもよい。
【0079】
また、連結部34の軸部342の先端に係合部343を設けず、円柱状の軸部342の先端部分が係合孔22に挿入される構成でもよい。また、軸部342の先端部分は、軸方向に沿って長尺状であって、係合孔22に挿入可能であればよく、例えば角柱形状などのように断面形状が円形以外である構成でもよい。これらの構成の場合、保護対象物2側の係合孔22の形状も、少なくとも軸部342を挿通可能であればよく、軸部342の先端部分と同様の形状としてもよい。このように、連結部34は、少なくとも、保護対象物2の外周側面21に設けられる係合孔22に軸部342の先端を挿入可能な構成であればよい。この構成により、保護対象物2の外周側面21に枠体30を連結させることができるので、枠体平面(XY平面)の方向に保護対象物2が抜け出ることを防止できる。
【0080】
なお、係合孔22は、電子機器などに従来から設けられることが多い既存のケンジントンロック穴を用いてもよい。ケンジントンロック穴とは、例えばノートPCなどの電子機器などに設けられる孔であり、電子機器と机などの固定物とを繋ぐ盗難防止用のセキュリティワイヤを取り付けるための孔である。これにより、保護対象物2に保護部材3との連結用の係合孔22を新たに作る必要がなくなり、既存の保護対象物2に保護部材3を適用しやすくなるので、保護部材3の汎用性を向上できる。
【0081】
この場合、連結部34は、保護対象物2に予め設けられるケンジントンロック穴の位置に合わせて枠体30に配置すればよい。また、連結部34の係合部343の形状は、ケンジントンロック穴に挿入可能であればよく、ケンジントンロック穴の形状に応じた形状であればよい。
【0082】
図14は、連結部の変形例を示す図である。
図14に示す変形例に係る連結部134は、上述の連結部34と置き換えて適用することができる。
【0083】
図14に示すように、連結部134は、操作部1341と、軸部1342と、ネジ部1343とを備える。
【0084】
ネジ部1343は、軸部1342と操作部1341との軸方向中間位置に設けられ、表面におねじが切られている。ネジ部1343の径は、金属フレーム31の貫通孔36と略同一である。貫通孔36にはめねじが切られている。
【0085】
軸部1342が枠体30の金属フレーム31の貫通孔36に挿通されて、ネジ部1343が貫通孔36にネジ係合され、操作部1341を介して軸部1342を回転させることによって、軸部1342の先端が係合孔22に挿入される位置に位置決めされる。
【0086】
係合孔22は、軸部1342の軸径より大きく形成される。
【0087】
操作部1341の周面には、ローレット加工が施され、これにより作業者が手動で回転させやすくすることが可能となる。
【0088】
図14に示す連結部134では、軸部1342が枠体30の金属フレーム31の貫通孔36に挿通されてネジ係合され、軸部1342を回転させることによって軸部1342の先端が保護対象物2の係合孔22に挿入される位置に位置決めされる。これにより、簡易な構造で保護対象物2に保護部材3を連結させることが可能となり、保護部材3の製造容易性を向上できる。
【0089】
このように、本実施形態に係る保護部材3は、保護対象物2の主面外側の外周側面21を覆う枠体30と、枠体30に設けられ、枠体30と保護対象物2とを連結する複数の連結部34、134と、を備える。複数の連結部34、134は、保護対象物2の外周側面21に連結される。この構成により、保護対象物2の外周側面21の全体を保護することが可能となり、高い耐衝撃性を確保することが可能となる。また、複数の連結部34、134によって枠体30と保護対象物2の外周側面21との連結/解除の操作を行えば、枠体30を保護対象物2に容易に脱着できるので、ユーザー着脱性を確保し、保護対象物2と保護部材3との脱着を容易にすることも可能となる。この結果、本実施形態の保護部材3は、高い耐衝撃性を確保しつつ、脱着を容易にできる。
【0090】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0091】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 保護対象物の主面外側の外周側面を覆う枠体と、
前記枠体に設けられ、前記枠体と前記保護対象物とを連結する複数の連結部と、
を備え、
前記複数の連結部は、前記保護対象物の前記外周側面に連結される、
保護部材。
<2> 前記連結部が、前記外周側面と対向する方向を軸方向とし、前記軸方向に沿って移動可能な軸部を有し、
前記保護対象物の前記外周側面に設けられる係合孔に前記軸部を挿入することによって、前記枠体と前記保護対象物とを連結する、
前記<1>に記載の保護部材。
<3> 前記連結部が、一端が前記軸部に連結され、他端側への外力の入力により前記軸部を回転するレバーを有し、
前記レバーは、前記枠体に設けられる凹部に収容可能であり、他端側が一端を中心として前記凹部から露出するように回動可能であり、
前記レバーの前記他端側が前記凹部から露出している状態では、前記レバーは前記軸部を前記軸方向に沿って前記枠体の外側に移動可能であり、
前記レバーの前記他端側が前記凹部に収容されている状態では、前記枠体に前記保護対象物が取り付けられる状態において、前記軸部の先端が前記係合孔に挿入される位置に位置決めされる、
前記<2>に記載の保護部材。
<4> 前記連結部が、
前記軸部の先端に設けられ、前記軸部の前記軸方向と直交方向に延在する長手形状で形成される係合部を有し、
前記レバーの前記他端側が前記凹部に収容される位置から所定角度に露出する位置に前記軸部が回動されている状態では、前記係合部が前記係合孔に挿入可能となるように、前記係合孔の形状が形成される、
前記<3>に記載の保護部材。
<5> 前記係合孔がケンジントンロック穴である、
前記<1>~<4>のいずれか一項に記載の保護部材。
<6> 前記軸部が前記枠体に挿通されてネジ係合され、前記軸部を回転させることによって前記軸部の先端が前記係合孔に挿入される位置に位置決めされる、
前記<2>に記載の保護部材。
<7> 前記枠体が、金属フレームと、前記金属フレームに巻かれる外周ゴムとを含む、
前記<1>~<6>のいずれか一項に記載の保護部材。
<8> 前記軸部の先端が前記係合孔に挿入された状態で、前記軸部と前記外周側面との間には前記軸方向に遊びがあり、前記枠体のうち前記保護対象物の前記外周側面と対向する位置に緩衝部材が設けられる、
前記<2>~<6>のいずれか一項に記載の保護部材。
<9> 前記緩衝部材は、ゴム、ウレタンシート、または板バネを含む、
前記<8>に記載の保護部材。
<10> 前記保護対象物は電子機器本体であり、前記主面に表示画面を有し、
当該保護部材は、前記枠体に設けられ、前記主面を覆う透明性部材を備える、
前記<1>~<9>のいずれか一項に記載の保護部材。
<11> 前記保護対象物は、前記主面が矩形状に形成され、前記外周側面が前記矩形状の各辺を形成し、
前記複数の連結部は、前記各辺ごとに少なくとも1つずつ配置される、
前記<1>~<10>のいずれか一項に記載の保護部材。
<12> 前記複数の連結部は、前記各辺ごとに2つ以上配置される、
前記<11>に記載の保護部材。
<13> 前記<1>~<12>のいずれか一項に記載の保護部材と、
前記保護対象物としての電子機器本体と、
を備える電子機器。
【符号の説明】
【0092】
1 電子機器
2 電子機器本体(保護対象物)
20 画面
21 外周側面
22 係合孔
3 保護部材
30 枠体
31 金属フレーム
32 透明性部材
33 外周ゴム
35、35a~35d 緩衝部材
34、34a~34h、134 連結部
341 レバー
342、1342 軸部
343 係合部
37 凹部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】