(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184253
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】シリコン単結晶の製造方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/06 20060101AFI20231221BHJP
C30B 15/20 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
C30B29/06 502J
C30B15/20
C30B29/06 502G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098299
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】三原 佳祐
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077AB01
4G077BA04
4G077CF10
4G077EB01
4G077EJ02
4G077GA01
4G077GA06
4G077HA12
4G077PG01
4G077PG03
(57)【要約】
【課題】
従来技術に比べてより低い酸素濃度でかつ良好な酸素濃度の面内分布のシリコン単結晶を効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
引き上げ炉に備えられた上側コイル及び下側コイルで形成するカスプ磁場を用いたCZ法によるシリコン単結晶の製造方法であって、直胴工程において、シリコン単結晶の回転速度を7rpm以上12rpm以下、石英ルツボの回転速度を1.0rpm以下、前記カスプ磁場の磁場極小面の位置を原料融液表面から下方に10mm~上方に5mmの範囲内、磁場極小面と同じ高さの面と石英ルツボ内壁の交点における前記カスプ磁場の磁場強度を800~1200Gとしてシリコン単結晶を引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き上げ炉に備えられた上側コイル及び下側コイルで形成するカスプ磁場を用いたCZ法によるシリコン単結晶の製造方法であって、
直胴工程において、シリコン単結晶の回転速度を7rpm以上12rpm以下、石英ルツボの回転速度を1.0rpm以下、前記カスプ磁場の磁場極小面の位置を原料融液表面から下方に10mm~上方に5mmの範囲内、磁場極小面と同じ高さの面と石英ルツボ内壁の交点における前記カスプ磁場の磁場強度を800~1200Gとしてシリコン単結晶を引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
【請求項2】
前記シリコン単結晶として、ASTM’79に基づく酸素濃度が2×1017atoms/cm3以下であり、かつ、前記シリコン単結晶の成長方向と直交する結晶断面内のROGが8%以下のものを製造することを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き上げ炉に備えられた上側コイル及び下側コイルで形成するカスプ磁場を用いたCZ法によるシリコン単結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省電力を実現するためのデバイスとしてパワーデバイスが注目されている。パワーデバイスにおける電流が流れる領域は、表層から数十~数百μm程度の厚さ範囲のものや、場合によってはウェーハ全体に電流が流れるものもある。この電流が流れる領域に酸素析出物やBMD(Bulk Micro Defect)が存在すると、耐圧不良やリーク不良が発生する場合がある。
【0003】
上記の不良を発生させないためにも、パワーデバイス向けのシリコン単結晶ウェーハでは、酸素析出物が発生しない程度の低い酸素濃度であること、酸素濃度の面内分布がフラットであることが要求されている。また、スマートフォンなど通信用に用いられるRF(高周波)デバイスでは酸素ドナーが存在すると高周波特性が悪化するため、RFデバイス向けのシリコン単結晶ウェーハにおいても低い酸素濃度であることや酸素濃度の面内分布がフラットであることが要求されている。
【0004】
パワーデバイス向けやRFデバイス向けのシリコン単結晶を製造する代表的な手法の一つに、チョクラルスキー(Czochralski:CZ)法がある。CZ法を用いたシリコン単結晶の製造を行う場合、原料融液に磁場を印加して単結晶の引き上げを行う磁場印加CZ(MCZ)法を用いるのが主流となっている。パワーデバイス向けの低酸素結晶の育成方法として、水平磁場を用いた方法とカスプ磁場を用いた方法が知られている。
【0005】
水平磁場を用いた方法として、例えば、特許文献1には水平磁場下では結晶回転数とルツボ回転数を規定して低酸素結晶を得る手法、特許文献2には磁場強度を2000G以上とし、石英ルツボ回転数を0.2rpm以下、結晶回転数を5rpm以下とする手法が開示されている。
【0006】
他方、カスプ磁場を用いた方法として、例えば、特許文献3に記載のシリコン融液の減少量に応じてカスプ磁場の磁場中心位置(=磁場極小面位置)を温度が安定する位置に移動させる手法がある。
【0007】
また、特許文献4には、磁場中心(=極小面)位置を液面より上方10~100mmに設定し、結晶回転を15~20rpmとする方法、特許文献5には、熱遮蔽材の下端から融液表面の距離を50~120mm、磁場中心位置を融液表面~融液深さの1/2の間に設定し、結晶回転を13rpm以上とする方法が開示されている。
【0008】
特許文献6には、カスプ磁場の磁場強度を0.05T~0.12T、磁場中心位置を融液面に対し0mm~-30mm、結晶回転を8~14rpm、ルツボ回転数を1.3~2.2rpmとする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009-18984号公報
【特許文献2】国際公開第2009/025340号
【特許文献3】特開2001-89289号公報
【特許文献4】特開2020-33200号公報
【特許文献5】特許第3783495号公報
【特許文献6】特開2019-31436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1や特許文献2に記載の手法では、結晶回転数を5rpm程度(特許文献1)もしくはそれ以下の回転数(特許文献2)とするが、結晶回転数を低速にすると抵抗率や酸素の面内分布が悪化し、デバイス不良の要因となることが問題となる。
【0011】
特許文献3に記載の手法では単結晶の固化率の上昇とともにカスプ磁場の磁場極小面位置を上昇させるが、製品部で磁場極小面位置を変化させると製品部における酸素濃度の変化量が大きくなってしまい、酸素濃度の規格幅が狭い結晶や低酸素結晶を製造する場合は歩留まりが著しく低下することが問題となる。
【0012】
直径200mm以下の小直径の単結晶を製作する際には特許文献4、5に記載されている結晶回転の速度で問題はないが、直径300mm以上の大直径の単結晶を製作する際に結晶回転を13rpm以上とすると、単結晶引き上げ時に直径変動が大きくなり操業を継続できなくなることが問題となる。
【0013】
特許文献6に記載されている酸素濃度は(数値解析に基づいた)モデル予想の結果となっており、酸素濃度は中心付近の1点のみとなっている。直径300mm以上の大直径の単結晶の製造において、特許文献6に記載されているように石英ルツボの回転数≧1.3rpmと高速にすると、酸素濃度の値が上昇、酸素濃度の面内分布が悪化することが問題となる。
【0014】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、従来技術に比べてより低い酸素濃度でかつ良好な酸素濃度の面内分布のシリコン単結晶を効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、引き上げ炉に備えられた上側コイル及び下側コイルで形成するカスプ磁場を用いたCZ法によるシリコン単結晶の製造方法であって、直胴工程において、シリコン単結晶の回転速度を7rpm以上12rpm以下、石英ルツボの回転速度を1.0rpm以下、前記カスプ磁場の磁場極小面の位置を原料融液表面から下方に10mm~上方に5mmの範囲内、磁場極小面と同じ高さの面と石英ルツボ内壁の交点における前記カスプ磁場の磁場強度を800~1200Gとしてシリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法を提供する。
【0016】
このようなシリコン単結晶の製造方法によれば、ルツボ回転数を高速とした時の酸素濃度の上昇や酸素濃度の面内分布の悪化といった問題がなくなるため、パワーデバイス向けやRFデバイス向けの要求品質を満たした低酸素濃度で、かつ酸素濃度の面内分布が良好な単結晶を効率よく製造することが可能となる。
【0017】
このとき、前記シリコン単結晶として、ASTM’79に基づく酸素濃度が2×1017atoms/cm3以下であり、かつ、前記シリコン単結晶の成長方向と直交する結晶断面内のROGが8%以下のものを製造するシリコン単結晶の製造方法とすることができる。
【0018】
本発明に係るシリコン単結晶の製造方法は、このような高品質のシリコン単結晶を安定して製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明のシリコン単結晶の製造方法によれば、ルツボ回転数を高速とした時の酸素濃度の上昇や酸素濃度の面内分布の悪化といった問題がなくなるため、パワーデバイス向けやRFデバイス向けの要求品質を満たした低酸素濃度で、かつ酸素濃度の面内分布が良好な単結晶を効率よく製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】実施例1、2の直胴100cmで得られた酸素濃度の面内分布を示す。
【
図3】単結晶における酸素濃度のルツボ回転数依存性を示す。
【
図4】比較例2の直胴100cmで得られた酸素濃度の面内分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
上述のように、従来技術に比べてより低い酸素濃度でかつ良好な酸素濃度の面内分布の単結晶を効率よく製造するシリコン単結晶の製造方法が求められていた。
【0023】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、引き上げ炉に備えられた上側コイル及び下側コイルで形成するカスプ磁場を用いたCZ法によるシリコン単結晶の製造方法であって、直胴工程において、シリコン単結晶の回転速度を7rpm以上12rpm以下、石英ルツボの回転速度を1.0rpm以下、前記カスプ磁場の磁場極小面の位置を原料融液表面から下方に10mm~上方に5mmの範囲内、磁場極小面と同じ高さの面と石英ルツボ内壁の交点における前記カスプ磁場の磁場強度を800~1200Gとしてシリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法により、ルツボ回転数を高速とした時の酸素濃度の上昇や酸素濃度の面内分布の悪化といった問題がなくなるため、パワーデバイス向けやRFデバイス向けの要求品質を満たした低酸素濃度で、かつ酸素濃度の面内分布が良好な単結晶を効率よく製造することが可能となることを見出し、本発明を完成した。
【0024】
上述のように、近年、パワーデバイス向けやRFデバイス向けの低酸素結晶の品質については、従来のレベルよりも高いレベルが求められている。特に、酸素濃度については、低温熱処理で発生するサーマルドナーの影響をなくすために、2×1017atoms/cm3(ASTM’79)以下であることが望ましいとされている。加えて、酸素濃度の面内分布に関しても、チップ間の品質ばらつきをなくすためにも均一化することが望ましい。例えば、ウェーハ外周側の酸素濃度が低い場合、熱処理中に外周部でスリップ転位が発生しデバイスプロセスの歩留に悪影響を及ぼすケースがある。
【0025】
このケースに対する対策として、面内の酸素濃度を均一化することが重要である。以後、酸素濃度の面内分布の良好さを図る指標として、ROG(Radial Oxygen Gradient:酸素濃度勾配)を用いる。ROGは、少なくともウェーハ中心及びウェーハ外周から所定の位置の2箇所の酸素濃度を測定し、
(最大値-最小値)×100/最大値
の式で得られる値とする。近年、ROGについても従来のレベルよりも高いレベルが求められており、ROG<8%を満たした良好な分布が要求されている。
【0026】
ところで、CZ法では、結晶引き上げ中に結晶を回転させながら単結晶の育成を行う。カスプ磁場を用いたCZ法で直径300mm以上の大直径の単結晶を引き上げる場合、結晶回転速度を極端な高速回転とすると単結晶引き上げ時に直径変動が大きくなり、操業を継続できなくなることが問題となる。逆に、結晶回転数を極端な低速にすると抵抗率や酸素濃度の面内分布が悪化し、デバイス不良の要因となることも問題となる。これらの問題を回避するために、カスプ磁場を用いたCZ法では、結晶回転速度が極端に高速となる条件や極端に低速となる条件は避ける必要がある。
【0027】
また、MCZ法では石英ルツボ中にシリコン融液(以下、「原料融液」ともいう)が収容されるが、結晶引き上げ中に石英ルツボから酸素が溶出しシリコン融液中に取り込まれることで単結晶中の酸素濃度が上昇してしまう。シリコン融液表面(湯面)を鉛直方向から俯瞰すると、水平磁場を用いたMCZ法では磁力線と平行な方向には磁場が作用することで対流が抑制されるが、磁力線と垂直な方向にはほとんど磁場が作用していないため対流が活発になってしまう。このように局所的に対流が活発になっている領域が生じるため水平磁場では石英ルツボから酸素が溶出しやすくなってしまい、その結果として結晶の高酸素濃度化を招いてしまう。
【0028】
他方、カスプ磁場の場合、石英ルツボ内壁(以下、単に「ルツボ壁」又は「ルツボ内壁」と表現する場合がある)付近は全周にわたって磁場が作用するため、ルツボ壁付近の対流は全周にわたって抑制される。このため、カスプ磁場では、ルツボ回転数が十分速くかつ磁場強度が強磁場になると石英ルツボと原料融液間の相対速度が高速となり酸素の溶出が促進されるが、逆にルツボ回転数が十分遅くかつ磁場強度が弱磁場になると石英ルツボと原料融液間の相対速度が低速となり酸素の溶出が抑制される。
【0029】
上記に加えて、カスプ磁場中の磁場極小面位置を単結晶とシリコン融液間の固液界面に近い条件ないし上方位置にすることで、カスプ磁場固有の自然対流によりシリコン融液表面の酸素濃度が低い層から単結晶側に酸素が取り込まれやすくなる。よって、カスプ磁場を用いてルツボ回転数を十分遅くし、磁場強度を弱磁場、磁場極小面位置を単結晶-シリコン融液間の固液界面に近い位置ないし上方位置にすることで、初めて結晶の低酸素濃度化を実現することが可能となる。
【0030】
すなわち、本発明は、カスプ磁場を用いたCZ法によるシリコン単結晶の製造方法において、直胴工程における単結晶の結晶回転速度を7rpm以上12rpm以下とし、前記磁場の磁場極小面の位置を原料融液表面から下方に10mm~上方に5mmの範囲内、石英ルツボの回転速度を1.0rpm以下、磁場極小面と同じ高さの面と石英ルツボ内壁の交点におけるカスプ磁場の磁場強度(以下、単に「磁場強度」と表現する場合がある)を800~1200Gとすることを特徴とする。
【0031】
以下では、本発明に係るシリコン単結晶の製造方法に好適に使用される単結晶製造装置の一例を、図を参照しながら説明する。なお、従来装置と同じものについては説明を適宜省略することがある。
【0032】
図1に単結晶製造装置(単結晶引き上げ装置)の一例を示す。
図1の単結晶製造装置(単結晶引き上げ装置)100は、断熱材9と、その内部の加熱ヒーター8と、黒鉛ルツボ7内に配置された石英ルツボ6に収容されたシリコンの原料融液5と対向するように熱遮蔽部材12が筒部11の下端に配置されている。中心軸10を有する引き上げ炉1と引き上げ炉1の周囲に設けられ、上コイル30aと下コイル30bを有する磁場発生装置30とを備え、上コイル30aと下コイル30bに通電することによりシリコン融液にカスプ磁場を印加して単結晶を中心軸方向に引き上げる構成となっている。また、引き上げ炉1の中心軸10上であって、ワイヤーに接続された種ホルダ3で保持された種結晶2を原料融液5に接触させて種付けを行い、シリコン単結晶を拡径し、製品部となる直胴部を引上げ方向に引き上げてシリコン単結晶4を製造する構成となっている。
【0033】
磁場発生装置30は鉛直方向に上下移動可能な昇降装置30cの上に設置されており、引き上げ炉1の側面を取り囲むように上コイル30aと下コイル30bが配置されている。カスプ磁場では、上下2本のコイルに対し互いに反対方向の電流を流すことにより上下で反発する磁力線を発生させる。このとき、上コイル30aと下コイル30bのそれぞれが形成する磁場分布の作用により、上コイル30aと下コイル30bの間で、中心軸10近傍に磁場強度が最も小さくなる領域(磁場極小面32)が形成される。例えば、上コイル30aと下コイル30bの電流値を同じ値に設定し上下2本のコイルに対し互いに反対方向の電流を流すことで上下対称かつ左右対称な磁場分布となる。この時、中心軸10と磁場極小面32との交点の磁場強度が最も弱くなる。なお、
図1では、磁場極小面32の高さ位置(すなわち磁場極小面と同じ高さの面31の高さ位置)と原料融液表面33の高さ位置とが同じ場合を示している。
【0034】
また、上コイル30aと下コイル30bの電流値を互いに異なる値に設定し、上下2本のコイルに対し互いに反対方向の電流を流す不平衡励磁を行うことで、上下非対称かつ左右対称な磁場分布となり(以後、「不平衡励磁」と称する)、上下コイルの電流値を同じ値に設定した場合と比べて磁場極小面32の位置が変化する。例えば、
上コイル電流値>下コイル電流値
とすると磁場極小面32は上下コイルの電流値を同じ値に設定した場合に比べて下側にシフトし、
上コイル電流値<下コイル電流値
とすると磁場極小面32は上下コイルの電流値を同じ値に設定した場合に比べて上側にシフトする。
【0035】
本発明では、製品部(直胴工程)において、磁場極小面32の位置を原料融液表面33から下方に10mm~上方に5mmの範囲内に設定するが、製品部の引き上げ(直胴工程)を行う前に磁場極小面位置の移動を行う必要がある。この時の磁場極小面を移動させる手段については、昇降装置30cを用いて磁場発生装置30を上下に移動させることで磁場極小面の位置を移動させても良いし、上下コイル30a、30bの電流値を異なる値とした不平衡励磁を行うことで磁場極小面の位置を移動させても良い。
【0036】
また、前述した通り、石英ルツボ内壁付近の磁場強度によって石英ルツボ内壁付近の対流抑制力の強さが決まるため、石英ルツボ内壁付近の磁場強度はカスプ磁場を用いたMCZ法において酸素濃度を決定する重要な要素となる。よって、本発明における磁場強度は、磁場極小面と同じ高さの面31と石英ルツボ内壁との交点35における値を800~1200Gと規定することとする。なお、磁場極小面と同じ高さの面31は磁場極小面32を含む面であり、交点35は、石英ルツボ内壁における磁場極小面32の高さ位置と同じ高さの位置の点と言い換えることができる。
【0037】
なお、上記以外のHZ(ホットゾーン)の構造は、一般的なCZシリコンの単結晶製造装置と同じ構造とすることができる。ただし、石英ルツボの回転速度を1.0rpm以下に設定可能とすることが必須の条件となる。
【0038】
CZ法では単結晶を回転させながら単結晶の育成を行うが、操業性を損なうことなく低酸素濃度で良好な酸素濃度の面内分布の単結晶を得るために、本発明では、直胴工程における単結晶の結晶回転速度を7rpm以上12rpm以下とする。
【0039】
また、CZ法では石英ルツボも回転させながら単結晶の育成を行うが、カスプ磁場ではルツボ壁付近は全周にわたって磁場が作用するため、ルツボ壁付近の対流は全周にわたって抑制されることになる。このため、カスプ磁場中で石英ルツボの回転数を高速にしすぎると、石英ルツボと原料融液間の相対速度が高速となり酸素の溶出が促進され、単結晶中の酸素濃度が上昇することが問題となる。
【0040】
上記の問題に加えて、特に大直径、例えば直径300mm以上の単結晶の製造において石英ルツボの回転数を高速にしすぎると、面内分布が悪化してしまうことも問題となる。これらの問題を解決するために、本発明では、石英ルツボの回転速度を1.0rpm以下とする。
【0041】
このように、直胴工程における単結晶の結晶回転速度を7rpm以上12rpm以下とし、前記磁場の磁場極小面の位置を原料融液表面から下方に10mm~上方に5mmの範囲内、石英ルツボの回転速度を1.0rpm以下、カスプ磁場の磁場強度を800~1200Gとすることで、2×1017atoms/cm3(ASTM’79)以下の低い酸素濃度を維持したまま良好な酸素濃度の面内分布が得られる。
【実施例0042】
以下、実施例を挙げて本発明について具体的に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【0043】
CZ引き上げ機中の32インチ(約800mm)のルツボに360kgの原料を溶融し、カスプ磁場を印加して、直径300mmの単結晶の引き上げを行った。本実施例及び比較例では、カスプ磁場の上下コイルの電流値を同一とした上下対称励磁と、上下コイル間の電流値を異なる値とした不平衡励磁を行った。なお、製品部で不平衡励磁を行う場合は、予め磁場極小面位置を原料融液表面よりも70mm下方となるように昇降装置を用いて磁場位置を設定しておき、その後、非製品部で不平衡度を所定の値に設定し製品部に移行する。
この時、上下コイル間の不平衡度は、
不平衡度=下コイル電流値/上コイル電流値
なる式で得られる値とする。
【0044】
引き上げ後の単結晶について、直胴20cm、50cm、75cm、100cmからサンプルを切り出し、FT-IRを用いて酸素濃度の面内分布を検証した。以下に示す酸素濃度の値はウェーハ中心の値を示す。
【0045】
また、ROGはウェーハ中心及びウェーハ外周から2mmの位置の2箇所の酸素濃度を測定し、
(最大値-最小値)×100/最大値
なる式で得られる値とした。加えて、表中のROGは直胴位置20cm~100cm間の平均値とする。
【0046】
(実施例1、2)
実施例1及び実施例2では、以下に示す条件でシリコン単結晶の製造を行った。
[直胴工程(製品部)]
磁場極小面位置:融液表面よりも下方10mm
上下コイル間の不平衡度:1.00(上下対称励磁)
磁場極小面と同じ高さの面とルツボ内壁の交点における磁場強度:1000G
ルツボ回転速度:0.5rpm(実施例1)、1.0rpm(実施例2)
単結晶回転速度:10rpm
【0047】
実施例1、2では直胴工程において、カスプ磁場の磁場極小面位置、上下コイル間の不平衡度、磁場強度、単結晶回転速度を固定し、ルツボ回転速度を0.5rpm(実施例1)、1.00rpm(実施例2)として計2本の単結晶の製造を実施した。実施例1、2の条件及び結果を表1に、実施例1、2の直胴100cmで得られた酸素濃度の面内分布を
図2に示す。
【0048】
【0049】
本発明に係るシリコン単結晶製造方法の実施例1、2の条件とした場合は、直胴工程中に1回も有転位化することなく単結晶を引き上げることに成功した。製品部の結晶品質についても、酸素濃度2×1017atoms/cm3(ASTM’79)以下で、なおかつ、ROG<8%が得られている。操業性を損なうことなく低酸素濃度で、かつ良好な酸素濃度の面内分布の単結晶を引き上げることに成功した。
【0050】
(実施例3、4)
実施例3及び実施例4では、以下に示す条件でシリコン単結晶の製造を行った。
[直胴工程(製品部)]
磁場極小面位置:融液表面よりも上方5mm
不平衡度:1.00(上下対称励磁)
磁場極小面と同じ高さの面とルツボ内壁の交点における磁場強度:800G(実施例3)、1200G(実施例4)
ルツボ回転速度:1.00rpm
単結晶回転速度:10rpm
【0051】
実施例3、4では、直胴工程におけるカスプ磁場の磁場極小面位置、不平衡度、ルツボ回転速度、単結晶回転速度を固定し、磁場強度800G(実施例3)、1200G(実施例4)として計2本の単結晶の製造を実施した。実施例3、4の条件及び結果を表2に示す。
【0052】
【0053】
本発明に係るシリコン単結晶製造方法の実施例3、4の条件とした場合も、直胴工程中に1回も有転位化することなく単結晶を引き上げることに成功した。製品部の結晶品質についても、全ての場合で、酸素濃度2×1017atoms/cm3(ASTM’79)以下で、なおかつ、ROG<8%が得られている。操業性を損なうことなく低酸素濃度で、かつ良好な酸素濃度の面内分布の単結晶を引き上げることに成功した。
【0054】
(実施例5、6)
実施例5、6では、以下に示す条件でシリコン単結晶の製造を行った。
[直胴工程(製品部)]
磁場極小面位置:融液表面よりも上方5mm
不平衡度:1.00(上下対称励磁)
磁場極小面と同じ高さの面とルツボ内壁の交点における磁場強度:1000G
ルツボ回転速度:1.00rpm
単結晶回転速度:7rpm(実施例5)、12rpm(実施例6)
【0055】
実施例5、6では、直胴工程におけるカスプ磁場の磁場極小面位置、不平衡度、磁場強度、ルツボ回転速度を固定し、単結晶回転速度を7rpm(実施例5)、12rpm(実施例6)として計2本の単結晶の製造を実施した。実施例5、6の条件及び結果を表3に示す。
【0056】
【0057】
本発明に係るシリコン単結晶製造方法の実施例5、6の条件とした場合も、直胴工程中に1回も有転位化することなく単結晶を引き上げることに成功した。製品部の結晶品質についても、全ての場合で、酸素濃度2×1017atoms/cm3(ASTM’79)以下で、なおかつ、ROG<8%が得られている。操業性を損なうことなく低酸素濃度で、かつ良好な酸素濃度の面内分布の単結晶を引き上げることに成功した。
【0058】
(実施例7、8)
実施例7、8では、以下に示す条件でシリコン単結晶の製造を行った。
[直胴工程(製品部)]
磁場極小面位置:融液表面よりも下方10mm
不平衡度:1.10(不平衡励磁)
磁場極小面と同じ高さの面とルツボ内壁の交点における磁場強度:1000G
ルツボ回転速度:0.5rpm(実施例7)、1.0rpm(実施例8)
単結晶回転速度:10rpm
【0059】
実施例7、8では、励磁形態を不平衡励磁に変更した上で、直胴工程における磁場極小面位置、不平衡度、磁場強度、単結晶回転速度を固定し、ルツボ回転速度を0.5rpm(実施例7)、1.0rpm(実施例8)として計2本の単結晶の製造を実施した。実施例7、8の条件及び結果を表4に示す。
【0060】
【0061】
本発明に係るシリコン単結晶製造方法の実施例7、8の条件とした場合も、直胴工程中に1回も有転位化することなく単結晶を引き上げることに成功した。製品部の結晶品質についても、全ての場合で、酸素濃度2×1017atoms/cm3(ASTM’79)以下で、なおかつ、ROG<8%が得られている。操業性を損なうことなく低酸素濃度で、かつ良好な酸素濃度の面内分布の単結晶を引き上げることに成功した。
【0062】
(実施例9、10)
実施例9、10では、以下に示す条件でシリコン単結晶の製造を行った。
[直胴工程(製品部)]
磁場極小面位置:融液表面よりも下方10mm
不平衡度:1.10(不平衡励磁)
磁場極小面と同じ高さの面とルツボ内壁の交点における磁場強度:800G(実施例9)、1200G(実施例10)
ルツボ回転速度:1.0rpm
単結晶回転速度:10rpm
【0063】
実施例9、10では、励磁形態を不平衡励磁に変更した上で、直胴工程における磁場極小面位置、不平衡度、ルツボ回転速度、単結晶回転速度を固定し、磁場強度を800G(実施例9)、1200G(実施例10)として計2本の単結晶の製造を実施した。実施例9、10の条件及び結果を表5に示す。
【0064】
【0065】
本発明に係るシリコン単結晶製造方法の実施例9、10の条件とした場合も、直胴工程中に1回も有転位化することなく単結晶を引き上げることに成功した。製品部の結晶品質についても、全ての場合で、酸素濃度2×1017atoms/cm3(ASTM’79)以下で、なおかつ、ROG<8%が得られている。操業性を損なうことなく低酸素濃度で、かつ良好な酸素濃度の面内分布の単結晶を引き上げることに成功した。
【0066】
(実施例11、12)
実施例11、12では、以下に示す条件でシリコン単結晶の製造を行った。
[直胴工程(製品部)]
磁場極小面位置:融液表面よりも下方10mm
不平衡度:1.10(不平衡励磁)
磁場極小面と同じ高さの面とルツボ内壁の交点における磁場強度:1000G
ルツボ回転速度:1.0rpm
単結晶回転速度:7rpm(実施例11)、12rpm(実施例12)
【0067】
実施例11、12では、励磁形態を不平衡励磁に変更した上で、直胴工程における磁場極小面位置、不平衡度、磁場強度、ルツボ回転速度を固定し、単結晶回転速度を7rpm(実施例11)、12rpm(実施例12)として計2本の単結晶の製造を実施した。実施例11、12の条件及び結果を表6に示す。
【0068】
【0069】
本発明に係るシリコン単結晶製造方法の実施例11、12の条件とした場合も、直胴工程中に1回も有転位化することなく単結晶を引き上げることに成功した。製品部の結晶品質についても、全ての場合で、酸素濃度2×1017atoms/cm3(ASTM’79)以下で、なおかつ、ROG<8%が得られている。操業性を損なうことなく低酸素濃度で、かつ良好な酸素濃度の面内分布の単結晶を引き上げることに成功した。
【0070】
(比較例1)
比較例1では、直胴工程(製品部)のルツボ回転速度を1.5rpmとして、その他の条件は全て実施例1と同条件として単結晶の製造を行った。比較例1の条件及び結果を表7に示す。
【0071】
【0072】
比較例1の条件とした場合、直胴工程中に1回も有転位化することなく単結晶を引き上げることに成功したが、酸素濃度が2×1017atoms/cm3よりも高くなり、ROG>8%となっている。
【0073】
念のため、ルツボ回転速度を1.0~2.2rpmの範囲で振って、その他の条件は比較例1と同条件として単結晶の製造を行ったところ、
図3に示す通り、ルツボ回転数の増加とともに酸素濃度が単調に増加する結果となった。このため、パワーデバイス向けやRFデバイス向けの要求品質を満たした低酸素濃度で、かつ酸素濃度の面内分布が良好な単結晶を得るには、本発明に係るシリコン単結晶の製造方法のように、ルツボの回転数を1.0rpm以下とする必要があることがわかる。
【0074】
(比較例2、3)
比較例2、3では、直胴工程(製品部)の結晶回転速度を6rpm(比較例2)もしくは13rpm(比較例3)とし、その他の条件は実施例1と同条件として単結晶の引き上げを実施した。比較例2、3の条件及び結果を表8に、比較例2の直胴100cmで得られた酸素濃度の面内分布を
図4に示す。
【0075】
【0076】
直胴工程(製品部)の結晶回転速度を6rpmとした場合は、直胴工程中に1回も有転位化することなく単結晶を引き上げることに成功したものの、酸素の面内分布が悪化してしまい、ROG≦8%を満たすことができなかった。また、直胴工程(製品部)の結晶回転速度を13rpmとした場合は、引き上げ中に結晶変形が強くなり、操業を継続することが困難であった。このため、パワーデバイス向けやRFデバイス向けの要求品質を満たした低酸素濃度で、かつ酸素濃度の面内分布が良好な単結晶を得るには、本発明に係るシリコン単結晶の製造方法のように、直胴工程(製品部)の結晶回転速度を7rpm以上12rpm以下とする必要があることがわかる。
【0077】
(比較例4-7)
比較例4-7では、直胴工程(製品部)の磁場強度を700G(比較例4)もしくは1300G(比較例5)、直胴工程における磁場極小面位置を融液表面よりも上方10mm(比較例6)もしくは融液表面よりも下方15mm(比較例7)とし、その他の条件は実施例2と同条件として単結晶の引き上げを実施した。比較例4~7の条件及び結果を表9に示す。
【0078】
【0079】
直胴工程(製品部)の磁場強度を700Gとした場合は、引き上げ中に結晶変形が強くなり、操業を継続することが困難であった。他方、直胴工程(製品部)の磁場強度を1300Gとした場合は、酸素濃度が2×1017atoms/cm3よりも高くなってしまった。また、直胴工程(製品部)の磁場極小面位置を融液表面よりも上方10mmとした場合、融液表面よりも下方15mmとした場合においても、酸素濃度が2×1017atoms/cm3よりも高くなってしまった。このため、パワーデバイス向けやRFデバイス向けの要求品質を満たした低酸素濃度で、かつ酸素濃度の面内分布が良好な単結晶を得るには、本発明に係るシリコン単結晶の製造方法のように、直胴工程(製品部)においては磁場強度の絶対値を800G以上1200G以下、磁場極小面位置を原料融液表面から下方に10mm~上方に5mmの範囲内とする必要があることがわかる。
【0080】
(比較例8)
比較例8では、直胴工程(製品部)のルツボ回転速度を1.5rpmとして、その他の条件は全て実施例7と同条件(不平衡励磁)として単結晶の製造を行った。比較例8の条件及び結果を表10に示す。
【0081】
【0082】
比較例8の条件とした場合、直胴工程中に1回も有転位化することなく単結晶を引き上げることに成功したが、酸素濃度が2×1017atoms/cm3よりも高くなり、ROG>8%となっている。このため、励磁形態を不平衡励磁とした場合においても、パワーデバイス向けやRFデバイス向けの要求品質を満たした低酸素濃度で、かつ酸素濃度の面内分布が良好な単結晶を得るには、本発明に係るシリコン単結晶の製造方法のように、ルツボの回転数は1.0rpm以下とする必要があることがわかる。
【0083】
(比較例9、10)
比較例9、10では、直胴工程(製品部)の結晶回転速度を6rpm(比較例9)もしくは13rpm(比較例10)とし、その他の条件は実施例7と同条件として単結晶の引き上げを実施した。比較例9、10の条件及び結果を表11に示す。
【0084】
【0085】
直胴工程(製品部)の結晶回転速度を6rpmとした場合は、直胴工程中にクランクが発生してしまい操業を継続することが困難であった。また、直胴工程(製品部)の結晶回転速度を13rpmとした場合は、引き上げ中に結晶変形が強くなり操業を継続することが困難であった。このため、励磁形態を不平衡励磁とした場合においても、パワーデバイス向けやRFデバイス向けの要求品質を満たした低酸素濃度で、かつ酸素濃度の面内分布が良好な単結晶を得るには、本発明に係るシリコン単結晶の製造方法のように、直胴工程(製品部)の結晶回転速度を7rpm以上12rpm以下とする必要があることがわかる。
【0086】
(比較例11-14)
比較例11-14では、直胴工程(製品部)の磁場強度を700G(比較例11)もしくは1300G(比較例12)、直胴工程(製品部)における磁場極小面位置を融液表面よりも上方10mm(比較例13)もしくは融液表面よりも下方15mm(比較例14)とし、その他の条件は実施例8と同条件として単結晶の引き上げを実施した。比較例11~14の条件及び結果を表12に示す。
【0087】
【0088】
直胴工程(製品部)の磁場強度を700Gとした場合は、引き上げ中に結晶変形が強くなり操業を継続することが困難であった。他方、直胴工程(製品部)の磁場強度を1300Gとした場合は、酸素濃度が2×1017atoms/cm3よりも高くなってしまった。また、直胴工程(製品部)の磁場極小面位置を融液表面よりも上方10mmとした場合、融液表面よりも下方15mmとした場合においても、酸素濃度が2×1017atoms/cm3よりも高くなってしまった。このため、励磁形態を不平衡励磁とした場合においても、パワーデバイス向けやRFデバイス向けの要求品質を満たした低酸素濃度で、かつ酸素濃度の面内分布が良好な単結晶を得るには、本発明に係るシリコン単結晶の製造方法のように、直胴工程(製品部)においては磁場強度の絶対値を800G以上1200G以下、磁場極小面位置を原料融液表面から下方に10mm~上方に5mmの範囲内とする必要があることがわかる。
【0089】
以上の通り、本発明の実施例によれば、ルツボ回転数を高速とした時の酸素濃度の上昇や酸素濃度の面内分布の悪化といった問題がなくなるため、パワーデバイス向けやRFデバイス向けの要求品質を満たした低酸素濃度で、かつ良好な酸素濃度の面内分布の単結晶を効率よく製造することができた。
【0090】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。