(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184255
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/055 20140101AFI20231221BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20231221BHJP
C09K 11/64 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L31/04 622
C09K11/08 G
C09K11/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098301
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】佐野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 智一
【テーマコード(参考)】
4H001
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
4H001CC02
4H001XA09
4H001XA13
4H001XA14
4H001YA25
5F151AA02
5F151AA03
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5F151AA08
5F151AA09
5F151HA13
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5F251JA04
5F251JA05
(57)【要約】
【課題】エネルギー変換効率を向上可能な太陽電池モジュールの提供。
【解決手段】光電変換素子と、波長変換層と、を含む太陽電池モジュールであって、前記波長変換層は、前記光電変換素子よりも受光面側に配置されており、前記波長変換層は、蛍光体を含み、前記蛍光体は、アルカリ金属と、Siと、Alと、Mnと、Fと、を含み、前記アルカリ金属のモル数を2とする場合に、SiとAlとMnのモル数の合計が0.9以上1.1以下であり、Alのモル数が0を超えて0.10以下であり、Mnのモル数が0を超えて0.20以下であり、Fのモル数が5.9以上6.1以下である組成を有する第1フッ化物蛍光体、又はアルカリ金属と、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Mと、Mnと、Fと、を含み、前記アルカリ金属のモル数を2とする場合に、Mnのモル数が0を超えて0.20未満であり、MとMnのモル数の合計が1.0である組成を有する第2フッ化物蛍光体である、太陽電池モジュール。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子と、波長変換層と、を含む太陽電池モジュールであって、
前記波長変換層は、前記光電変換素子よりも受光面側に配置されており、
前記波長変換層は、蛍光体を含み、
前記蛍光体は、
アルカリ金属と、Siと、Alと、Mnと、Fと、を含み、前記アルカリ金属のモル数を2とする場合に、SiとAlとMnのモル数の合計が0.9以上1.1以下であり、Alのモル数が0を超えて0.10以下であり、Mnのモル数が0を超えて0.20以下であり、Fのモル数が5.9以上6.1以下である組成を有する第1フッ化物蛍光体、又は
アルカリ金属と、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Mと、Mnと、Fと、を含み、前記アルカリ金属のモル数を2とする場合に、Mnのモル数が0を超えて0.20未満であり、MとMnのモル数の合計が1.0である組成を有する第2フッ化物蛍光体
である、太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記蛍光体は、第1フッ化物蛍光体である、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記第1フッ化物蛍光体は、下記式(I)で表される組成を有する、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
M2[SipAlqMnrFs] (I)
[式(I)中、Mはアルカリ金属を示し、少なくともKを含み、
Mnは4価のMnイオンであり、
p、q、rおよびsは、0.9≦p+q+r≦1.1、0<q≦0.1、0<r≦0.2、及び5.9≦s≦6.1を満たす。]
【請求項4】
前記蛍光体は、粒子状であり、
前記粒子状の蛍光体の少なくとも一部は、酸化物に覆われており、
前記酸化物は、Si、Al、Ti、Zr、Sn及びZnからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記酸化物の含有率は、前記酸化物に覆われた蛍光体に対して2質量%以上30質量%以下である、
請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記蛍光体は、粒子状であり、
前記粒子状の蛍光体の少なくとも一部は、アルカリ金属と、Siと、Fと、を含み、実質的にAl及びMnを含まない組成を有するフッ化物に覆われている、
請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記蛍光体は、300nm以上500nm以下の波長の光により励起され、600nm以上650nm以下の波長の光を発光する、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記蛍光体は、波長300nm以上500nm以下の波長域において、90%以上の内部量子効率を有する、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記蛍光体は、45°以上の安息角を有する粉体である、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項9】
前記光電変換素子は、シリコン半導体である、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項10】
前記波長変換層は、樹脂をさらに含み、当該樹脂は、ポリエチレン又はエチレン酢酸ビニル共重合体である、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項11】
バックシートと、保護ガラスと、をさらに含み、
前記バックシート、前記光電変換素子、前記波長変換層、及び前記保護ガラスが、この順で積層された構造を有する、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールには、高いエネルギー変換効率が求められている。例えば、特許文献1は、中心部であるコア部分と、該コア部分の周囲を覆うシェル部分とで構成されるコアシェル構造の粒子からなる蛍光体を用いた太陽電池モジュールを開示している。特許文献1には、このような蛍光体を用いることにより、光電変換素子まで透過する可視光量が増加し、高効率な太陽電池モジュールを得ることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、エネルギー変換効率を向上可能な太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の太陽電池モジュールは、光電変換素子と、波長変換層と、を含み、
前記波長変換層は、前記光電変換素子よりも受光面側に配置されており、
前記波長変換層は、蛍光体を含み、
前記蛍光体は、
アルカリ金属と、Siと、Alと、Mnと、Fと、を含み、前記アルカリ金属のモル数を2とする場合に、SiとAlとMnのモル数の合計が0.9以上1.1以下であり、Alのモル数が0を超えて0.10以下であり、Mnのモル数が0を超えて0.20以下であり、Fのモル数が5.9以上6.1以下である組成を有する第1フッ化物蛍光体、又は
アルカリ金属と、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Mと、Mnと、Fと、を含み、前記アルカリ金属のモル数を2とする場合に、Mnのモル数が0を超えて0.20未満であり、MとMnのモル数の合計が1.0である組成を有する第2フッ化物蛍光体
である。
【発明の効果】
【0006】
本開示は、エネルギー変換効率を向上可能な太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示に係る太陽電池モジュールの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する太陽電池モジュールは、本開示に係る発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示に係る発明を以下のものに限定しない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態に分けて示す場合があるが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。また、断面図として切断面のみを示す端面図を用いる場合もある。
【0009】
本開示に係る太陽電池モジュール100を、
図1を用いて説明する。
図1は、太陽電池モジュール100の概略断面図である。
【0010】
図1に示すように、本開示に係る実施形態1の太陽電池モジュール100は、光電変換素子2と、波長変換層3と、を含む。光電変換素子2は、配線11により接続される。さらに、太陽電池モジュール100は、光電変換素子2を封止する封止材12と、透明保護板13と、バックシート14と、を含み得る。バックシート14上に、封止材12で封止された光電変換素子2が配置され、その上に波長変換層3が配置され、その上に透明保護板13が配置される。太陽電池モジュール100は、透明保護板13側から入射した光を、光電変換素子2において電気に変換する。即ち、透明保護板13の表面が、太陽電池モジュール100の受光面15となる。
【0011】
波長変換層3は、光電変換素子2よりも受光面15側に配置されており、蛍光体5を含む。蛍光体5は、
(i)アルカリ金属と、Siと、Alと、Mnと、Fと、を含み、前記アルカリ金属のモル数を2とする場合に、SiとAlとMnのモル数の合計が0.9以上1.1以下であり、Alのモル数が0を超えて0.10以下であり、Mnのモル数が0を超えて0.20以下であり、Fのモル数が5.9以上6.1以下である組成を有する第1フッ化物蛍光体、又は
(ii)アルカリ金属と、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Mと、Mnと、Fと、を含み、前記アルカリ金属のモル数を2とする場合に、Mnのモル数が0を超えて0.20未満であり、MとMnのモル数の合計が1.0である組成を有する第2フッ化物蛍光体
である。
【0012】
本開示の太陽電池モジュール100において、太陽光は、受光面15から入射し、透明保護板13を透過し、波長変換層3に達する。波長変換層3において、太陽光の短波長域、例えば青色~紫外領域の光の少なくとも一部、好ましくは実質的に全部は、波長変換層3の蛍光体5により長波長域、例えば赤色領域の光に変換される。波長変換層3を通過した光及び波長変換された光は、光電変換素子2に到達し、電気に変換される。本開示の太陽電池モジュール100は、波長変換層3において、光電変換素子2での光電変換効率が低い波長域の光を、光電変換効率が高い波長域の光に変換して有効利用できることから、太陽光を高い効率で電気に変換することができる。これにより、エネルギー変換効率を向上可能な太陽電池モジュール100が得られる。
【0013】
(波長変換層)
波長変換層3は、典型的には、樹脂6中に蛍光体5が分散された樹脂層である。
【0014】
(蛍光体)
蛍光体5は、
(i)アルカリ金属と、Siと、Alと、Mnと、Fと、を含み、前記アルカリ金属のモル数を2とする場合に、SiとAlとMnのモル数の合計が0.9以上1.1以下であり、Alのモル数が0を超えて0.10以下であり、Mnのモル数が0を超えて0.20以下であり、Fのモル数が5.9以上6.1以下である組成を有する第1フッ化物蛍光体、又は
(ii)アルカリ金属と、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Mと、Mnと、Fと、を含み、前記アルカリ金属のモル数を2とする場合に、Mnのモル数が0を超えて0.20未満であり、MとMnのモル数の合計が1.0である組成を有する第2フッ化物蛍光体
である。
【0015】
一の態様において、蛍光体5は、第1フッ化物蛍光体である。
【0016】
別の態様において、蛍光体5は、第2フッ化物蛍光体である。
【0017】
(第1フッ化物蛍光体)
第1フッ化物蛍光体は、アルカリ金属と、Siと、Alと、Mnと、Fと、を含み、上記アルカリ金属のモル数を2とする場合に、SiとAlとMnのモル数の合計が0.9以上1.1以下であり、Alのモル数が0を超えて0.10以下であり、Mnのモル数が0を超えて0.20以下であり、Fのモル数が5.9以上6.1以下である組成を有する。
【0018】
上記第1フッ化物蛍光体の第一の組成は、組成に含まれるアルカリ金属の総モル数2に対して、SiとAlとMnの総モル数の比が、例えば0.9以上1.1以下であってよく、好ましくは0.95以上1.05以下、又は0.97以上1.03以下である。また、アルカリ金属の総モル数2に対するAlのモル数の比は、例えば0を超えて0.1以下であってよく、好ましくは0を超えて0.03以下、0.002以上0.02以下、又は0.003以上0.015以下である。また、アルカリ金属の総モル数2に対するMnのモル数の比は、例えば0を超えて0.2以下であってよく、好ましくは0.005以上0.15以下、0.01以上0.12以下、又は0.015以上0.1以下である。さらに、アルカリ金属の総モル数2に対するFのモル数の比は、例えば5.9以上6.1以下であってよく、好ましくは5.92以上6.05以下、又は5.95以上6.025以下である。第一の組成において、アルカリ金属の総モル数2に対するSiのモル数の比は、例えば0.7以上1.1以下であってよく、好ましくは0.8以上1.03以下0.85以上1.01以下、又は0.92以上0.95未満である。第一の組成において、Siのモル数に対するAlのモル数の比は、例えば0.001以上0.14以下であってよく、好ましくは0.002以上0.04以下、又は0.003以上0.015以下である。
【0019】
上記第1フッ化物蛍光体は、第一の組成として下記式(I)で表される組成を有していてもよい。
M2[SipAlqMnrFs] (I)
【0020】
上記式(I)中、Mはアルカリ金属を示し、少なくともKを含んでよい。Mnは4価のMnイオンであってよい。p、q、rおよびsは、0.9≦p+q+r≦1.1、0<q≦0.1、0<r≦0.2、5.9≦s≦6.1を満たしていてよい。好ましくは、0.95≦p+q+r≦1.05又は0.97≦p+q+r≦1.03、0<q≦0.03、0.002≦q≦0.02又は0.003≦q≦0.015、0.005≦r≦0.15、0.01≦r≦0.12又は0.015≦r≦0.1、5.92≦s≦6.05又は5.95≦s≦6.025であってよい。
【0021】
上記第1フッ化物蛍光体の第一の組成におけるアルカリ金属は、少なくともカリウム(K)を含んでいてもよく、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、ルビジウム(Rb)及びセシウム(Cs)からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。組成におけるアルカリ金属の総モル数に対するKのモル数の比は、例えば0.90以上であってよく、好ましくは0.95以上、又は0.97以上である。Kのモル数の比の上限は、例えば1又は0.995以下であってよい。第一の組成においては、アルカリ金属の一部がアンモニウムイオン(NH4+)に置換されていてもよい。アルカリ金属の一部がアンモニウムイオンに置換される場合、組成におけるアルカリ金属の総モル数に対するアンモニウムイオンのモル数の比は、例えば0.10以下であってよく、好ましくは0.05以下、又は0.03以下である。アンモニウムイオンのモル数の比の下限は、例えば0を超えていてよく、好ましくは0.005以上であってよい。
【0022】
上記第1フッ化物蛍光体は、立方晶系の結晶構造を含んでいてもよく、立方晶系の結晶構造に加えて六方晶系等の他の結晶系の結晶構造を含んでいてもよく、実質的に立方晶系の結晶構造のみから構成されていてもよい。ここで「実質的に」とは立方晶系以外の結晶構造の含有率が0.5%未満であることを意味する。第1フッ化物蛍光体が立方晶系の結晶構造を含む場合、その格子定数は例えば、0.8138nm以上であってよく、好ましくは0.8140nm以上、又は0.8143nm以上であってよい。格子定数の上限は例えば、0.8150nm以下であってよい。第1フッ化物蛍光体が立方晶系の結晶構造を含むこと、及びその格子定数はフッ化物蛍光体のX線回折パターンを測定することで評価することができる。X線回折パターンは例えば、X線源としてCuKα線(λ=0.15418nm、管電圧40kV、管電流40mA)を用いて測定される。
【0023】
(第2フッ化物蛍光体)
第2フッ化物蛍光体は、アルカリ金属と、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Mと、Mnと、Fと、を含み、上記アルカリ金属のモル数を2とする場合に、Mnのモル数が0を超えて0.20未満であり、MとMnのモル数の合計が1.0である組成を有する。
【0024】
上記第2フッ化物蛍光体は、第一の組成として下記式(II)で表される組成を有していてもよい。
A2[M1-aMn4+
aF6] (II)
(式中、Aは、K+、Li+、Na+、Rb+、Cs+及びNH4+からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、aは0<a<0.2を満足する。)
【0025】
蛍光体5は、好ましくは粒子状である。
【0026】
蛍光体5の体積基準のメディアン径は、10μm以上90μm以下であってよく、好ましくは15μm以上70μm以下、又は20μm以上50μm以下であってよい。蛍光体5の粒度分布は、単一ピークの粒度分布を示してよく、好ましくは分布幅の狭い単一ピークの粒度分布を示してよい。
【0027】
蛍光体5は、その粒子表面に凹凸、溝等を有していてもよい。蛍光体5がその結晶構造中にAlを取り込むことで、結晶構造が変化し、その粒子表面に凹凸、溝等が形成されると考えられる。粒子表面の状態は、例えば、蛍光体5からなる粉体の安息角を測定することで評価することができる。蛍光体5からなる粉体の安息角は例えば、60°以下であってよく、好ましくは55°以下であってよい。安息角の下限は、例えば45°以上、好ましくは50°以上であってよい。安息角が大きい蛍光体の粉体を用いることにより、粉体の凝集が抑制され、樹脂中により均一に分散させることができる。このため、蛍光体5を、波長変換層3中に、より均一に配置することができ、これにより、波長変換効率を向上させることができる。ひいては、太陽電池モジュール100全体において光電変換効率が向上し得る。蛍光体5の粉体の安息角は、例えば、粉体特性測定器(例えば、A.B.D粉体特性測定器、筒井理化学器械株式会社製)を用いて測定することができる。
【0028】
蛍光体5は、粒子状であり、該粒子状の蛍光体(以下、「蛍光体粒子」ともいう)の少なくとも一部は、酸化物に覆われていてもよい。上記酸化物は、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される少なくとも1種を含み、その含有率が、酸化物に覆われた蛍光体に対して2質量%以上30質量%以下である。
【0029】
蛍光体5の少なくとも一部が、所定量の特定の酸化物で覆われていることで、例えば耐湿性が向上する。これにより、蛍光体5と樹脂を含む波長変換層3を備える太陽電池モジュールの信頼性を向上させることができる。例えば、高温環境下または高湿環境下で波長変換層3の質量が減少することが抑制される。波長変換層3の質量の減少は、主に樹脂量の減少と考えられる。高温環境下または高湿環境下でフッ化物粒子である蛍光体5と樹脂6とが直接接触することで、何らかの反応が生じて、樹脂の原子間結合の一部が切れた分解物が生じると考えられる。蛍光体粒子を、蛍光体5よりも化学的な安定性が高いと考えられる所定量の酸化物で覆うことにより、樹脂6と蛍光体5との直接接触が抑制されて、それらの間の反応が抑えられ、樹脂量が維持されると考えられる。樹脂6は蛍光体5の保護部材としても機能するため、樹脂量の減少を抑制することにより、湿気を含む外部環境の影響を受け難くなり蛍光体の劣化を抑制できると考えられる。
【0030】
上記酸化物は蛍光体粒子の表面を膜状に覆っていてもよく、酸化物層として蛍光体粒子の表面に配置されていてもよい。また蛍光体粒子の表面を覆う酸化物膜は、全く亀裂が存在しない状態に限定されることはなく、所期の効果が得られる限り、蛍光体粒子の表面を覆う酸化物膜の一部に亀裂が存在していてもよい。また、蛍光体粒子の表面を覆う酸化物膜は、その表面全体を完全に覆うことが好ましいものの、部分的に酸化物膜の一部が欠落してもよく、効果が得られる程度に蛍光体粒子の表面の一部が露出していてもよい。蛍光体粒子の酸化物による被覆率は、例えば、50%以上であってよく、好ましくは80%以上、又は90%以上であってよい。蛍光体粒子の酸化物による被覆率は、蛍光体粒子の表面積に対する酸化物によって覆われた面積の比率として算出される。
【0031】
上記酸化物は、Si、Al、Ti、Zr、Sn及びZnからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよい。すなわち、酸化物は、酸化ケイ素(例えば、SiOx、xは1以上2以下、好ましくは1.5以上2以下、又は約2であってよい)、酸化アルミニウム(例えば、Al2O3)、酸化チタン(例えば、TiO2)、酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)、酸化スズ(例えば、SnO、SnO2など)及び酸化亜鉛(例えば、ZnO)からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよく、少なくとも酸化ケイ素を含んでいてよい。酸化物は1種のみからなっていてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
【0032】
上記酸化物の含有率は、酸化物に覆われた蛍光体5に対して、2質量%以上30質量%以下であってもよく、好ましくは5質量%以上20質量%以下、又は8質量%以上15質量%以下であってもよい。上記酸化物の含有率は、例えば、酸化物が酸化ケイ素の場合、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により、酸化物で覆われた蛍光体粒子と酸化物を有しない蛍光体粒子に含まれる各構成元素量とをそれぞれ分析し、アルカリ金属のモル数が2となるようにして各構成元素のモル比を計算する。酸化物で覆う前後のケイ素のモル比の差分を酸化ケイ素(例えば、SiO2)の質量に換算し、酸化物で覆われた蛍光体粒子の質量を100質量%として酸化ケイ素(例えば、SiO2)の含有率が算出される。酸化物の含有率を上記範囲内とすることにより、太陽電池モジュールの信頼性をより向上させることができる。
【0033】
蛍光体粒子は酸化物層で覆われていてよい。蛍光体粒子を覆う酸化物層の平均厚みは、例えば0.1μm以上1.8μm以下であってよく、好ましくは0.15μm以上1.0μm以下、又は0.20μm以上0.8μm以下であってよい。酸化物層の平均厚みは、例えば、蛍光体5の断面画像において、酸化物層として識別される層の厚みを数カ所について実測し、その算術平均として求められる実測平均厚みであってよい。また、酸化物層の平均厚みは、後述するF元素のKα線強度比から算出される理論厚みであってもよい。理論厚みは、酸化物層で覆われていない蛍光体粒子におけるF元素のKα線のピーク強度に対する、酸化物で覆われた蛍光体粒子におけるF元素のKα線のピーク強度の比率から、CXRO(The Center for X-Ray Optics)のデータベースを利用して算出することができる。理論厚みは、酸化物層における割れ、欠け等の欠陥の存在が平均化された値として算出される。
【0034】
蛍光体粒子は、酸化物で覆われているため、蛍光体粒子に由来する特性X線のピーク強度が、蛍光体粒子を覆う酸化物量に応じて減少する。従って、蛍光体粒子に由来する特性X線のピーク強度を評価することで、酸化物による被覆状態を評価することができる。具体的には、蛍光X線(XRF)元素分析法において、酸化物で覆われていない蛍光体粒子におけるF元素のKα線のピーク強度に対する、酸化物で覆われた蛍光体粒子におけるF元素のKα線のピーク強度の比率が、例えば80%以下であってよく、好ましくは70%以下、又は60%以下であってよい。ピーク強度の比の下限値は、例えば20%以上であってよい。酸化物で覆われた蛍光体粒子におけるF元素のKα線のピーク強度の比率を上記範囲内とすることにより、太陽電池モジュールの信頼性をより効果的に向上させることができる。
【0035】
蛍光体粒子の表面に希土類リン酸塩が配置され、酸化物が希土類リン酸塩を介して蛍光体粒子を覆っていてもよい。これにより、蛍光体5の耐湿熱性がより向上し得る。また、蛍光体粒子に対する酸化物の接着性が向上し、酸化物による被覆性がより向上し得る。蛍光体粒子の表面に配置される希土類リン酸塩は、粒子として蛍光体粒子の表面に付着していてもよく、膜又は層としてフッ化物粒子の表面を被覆していてもよい。好ましくは粒子として蛍光体粒子の表面に付着していてよい。
【0036】
希土類リン酸塩は、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ジスプロシウム(Dy)及びガドリニウム(Gd)からなる群から選択される少なくとも1種の希土類元素を含んでいてよく、好ましくは少なくともランタンを含んでいてよい。
【0037】
酸化物で被覆された蛍光体5における希土類リン酸塩の含有率は、希土類元素の含有率として、例えば0.1質量%以上20質量%以下であってよく、好ましくは0.2質量%以上15質量%以下、又は0.3質量%以上10質量%以下であってよい。
【0038】
蛍光体5は、粒子状であり、該粒子状の蛍光体の少なくとも一部は、アルカリ金属と、Siと、Fと、を含み、実質的にAl及びMnを含まない組成を有するフッ化物に覆われていてもよい。
【0039】
蛍光体5の表面にフッ化物が配置されていることにより、蛍光体5の耐久性が向上し、ひいては、太陽電池モジュール100の性能劣化を抑制することができる。これは例えば、以下のように考えることができる。蛍光体5の表面に配置されるフッ化物がアルカリ金属、Si及びFを含む組成を有し、イオン半径の違いから結晶構造を変化させ得るAlとMnを実質的に含まない組成を有していることで、蛍光体としての結晶構造が安定化するためと考えることができる。
【0040】
上記フッ化物におけるアルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)及びセシウム(Cs)からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよく、少なくともカリウム(K)を含み、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、ルビジウム(Rb)及びセシウム(Cs)からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。また、上記フッ化物の組成におけるアルカリ金属は、実質的にカリウム(K)からなっていてもよい。ここで、「実質的にKからなる」とは、組成に含まれるアルカリ金属の総モル数に対するKのモル数の比が、例えば0.90以上であってよく、好ましくは0.95以上、又は0.97以上であってよい。モル数の比の上限は、例えば1又は0.995以下であってよい。上記フッ化物においては、アルカリ金属の一部がアンモニウムイオン(NH4+)に置換されていてもよい。アルカリ金属の一部がアンモニウムイオンに置換される場合、組成におけるアルカリ金属の総モル数に対するアンモニウムイオンのモル数の比は、例えば0.10以下であってよく、好ましくは0.05以下、又は0.03以下である。アンモニウムイオンのモル数の比の下限は、例えば0を超えていてよく、好ましくは0.005以上であってよい。
【0041】
上記フッ化物は、例えば以下のような組成を有していてよい。アルカリ金属の総モル数2に対するSiのモル数の比が、例えば0.9以上1.1以下であってよく、好ましくは0.95以上、又は0.97以上であってよく、また好ましくは1.05以下、又は1.03以下であってよい。アルカリ金属の総モル数2に対するFのモル数の比は、例えば5.9以上6.1以下であってよく、好ましくは5.95以上、又は5.97以上であってよく、また好ましくは6.05以下、又は6.03以下であってよい。
【0042】
上記フッ化物は、実質的にAl及びMnを含まない組成を有する。ここで「実質的にAl及びMnを含まない」とは、上記フッ化物において、アルカリ金属の総モル数2に対するAl及びMnの合計モル数の比が、例えば0.005以下であることを意味し、好ましくは0.003以下、又は0.002未満であってよい。
【0043】
上記フッ化物は、例えば下記式(III)で表される組成を有していてもよい。
M2
2[SiuFv] (III)
[式(III)中、M2はアルカリ金属を示し、少なくともKを含んでよい。uおよびvは、0.9≦u≦1.1、5.9≦v≦6.1を満たしていてよい。好ましくは、0.95≦u≦1.05、又は0.97≦u≦1.03であってよく、5.95≦v≦6.05、又は5.97≦v≦6.03であってよい。]
【0044】
上記フッ化物は、蛍光体5の少なくとも一部、好ましくは表面の一部に配置されていていればよく、蛍光体5の表面を上記フッ化物の層として被覆していてもよい。蛍光体5の表面に配置されるフッ化物は、上記したフッ化物の組成を均一に有していてもよいし、蛍光体5と接する領域においてAl及びMnを含む組成を部分的に有していてもよい。すなわち、フッ化物により覆われた蛍光体は、蛍光体5と上記フッ化物からなる2層構造のような明確な界面でもって、蛍光体5からなる内部領域と上記フッ化物からなる表面領域とが区画されていてもよいし、上記フッ化物からなる表面領域が表面に向かって、Al及びMnの濃度が徐々に低下するような態様で形成されていてもよい。
【0045】
上記フッ化物の含有率は、上記フッ化物で覆われた蛍光体に対して、例えば1モル%以上30モル%以下であってよい。上記フッ化物の含有率は、好ましくは2モル%以上、又は3モル%以上であってよく、また好ましくは25モル%以下、又は20モル%以下であってよい。上記フッ化物の含有率は、上記フッ化物が配置された蛍光体では、上記フッ化物が配置される前の蛍光体5に比べて、組成における1モル当たりのMn量が減少することに基づいて算出できる。すなわち、上記フッ化物が配置される前の蛍光体1モルに含まれるMnのモル量M0から、上記フッ化物が配置された蛍光体1モルに含まれるMnのモル量M1を差し引いた値を、M0で除した値((M0-M1)/M0)の百分率として、上記フッ化物で覆われた蛍光体に対するフッ化物の含有率(モル%)を算出することができる。
【0046】
蛍光体5は、太陽光の短波長域の光を吸収して長波長域の光を発光する。励起光は、主に紫外領域、紫色領域及び青色領域の光であってよく、例えば、300nm以上500nm以下の短波長域の光であってよい。蛍光体5の発光スペクトルは、例えば、600nm以上650nm以下の長波長域に発光ピーク波長を有する。300nm以上500nm以下の短波長域の光は、600nm以上650nm以下の長波長域の光と比較して光電変換素子2における光電変換効率が低く、600nm以上650nm以下の長波長域の光は、光電変換素子2における光電変換効率が高い。従って、蛍光体5を用いて短波長域の光を長波長域の光に変換することにより、太陽電池モジュール100の光電変換効率が向上する。また、300nm以上500nm以下の短波長域の光は、樹脂6及び封止材12の樹脂の劣化を促進し得ることから、蛍光体5がかかる短波長域の光を吸収することにより、太陽電池モジュール100の耐久性が向上する。
【0047】
蛍光体5は、好ましくは300nm以上500nm以下の波長域において、90%以上の内部量子効率を有する。蛍光体5が300nm以上500nm以下の波長域において90%以上の内部量子効率を有することにより、光電変換素子2における光電変換効率が低い短波長域の光を、光電変換素子2における光電変換効率が高い長波長域の光に効率よく変換することが可能になる。ひいては、太陽電池モジュール100の光電変換効率が向上する。
【0048】
上記内部量子効率は、量子効率測定システムQE-2100(大塚電子株式会社製)を用いて測定することができる。
【0049】
(樹脂)
樹脂6は、太陽光を透過できる樹脂であればよい。樹脂6としては、例えば、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、メタクリルスチレン重合体、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート、三フッ化ビニリデン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィン、トリアセテート等が挙げられる。樹脂6は、好ましくはポリエチレン又はエチレン酢酸ビニル共重合体である。樹脂6として、ポリエチレン又はエチレン酢酸ビニル共重合体を用いることにより、蛍光体5との屈折率の差を小さくすることができ、蛍光体5と樹脂6の境界での光の散乱を抑制することができる。
【0050】
波長変換層3の厚みは、例えば、0.1mm以上5mm以下、好ましくは0.3mm以上3mm以下であり得る。波長変換層3の厚みを上記の範囲とすることにより、太陽光の透過率を高く維持しつつ、また、太陽光に含まれる短波長域の光の多くを、光電変換素子2の光電変換効率が高い長波長域の光に変換することができる。
【0051】
(光電変換素子)
光電変換素子2とは、光エネルギーを吸収して電気エネルギーに変換する素子である。光電変換素子2は、例えば、単結晶シリコン系、多結晶シリコン系、アモルファスシリコン系等のシリコン半導体、又は、ガリウム砒素、カドミウムテルル等の化合物半導体を用いることができる。光電変換素子2は、複数用いられていてもよい。複数の光電変換素子2を用いる場合、直列に接続しても、並列に接続してもよい。
【0052】
光電変換素子2は、好ましくは600nm以上650nm以下の波長域の光に対して、高い量子効率、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の量子効率を示すものが好ましい。600nm以上650nm以下の波長域の光は、太陽光において光量子束密度が高い領域であることから、光電変換素子2が、かかる波長域の光に対して高い量子効率を有することにより発電効率が向上する。また、蛍光体5が発する光は、600nm以上650nm以下の波長域の光を主成分とすることから、蛍光体5が発する光に対しても、効率よく電気に変換することができる。光電変換素子2は、好ましくは、シリコン半導体であり得る。
【0053】
(封止材)
封止材12は、光電変換素子2を封止する。封止材12は、太陽光を透過し、絶縁性である樹脂材料により形成される。封止材12を構成する樹脂としては、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリオレフィンエラストマー、ポリエチレンテレフタラート等が挙げられる。封止材12は、好ましくはエチレン酢酸ビニル共重合体により構成される。
【0054】
(透明保護板)
透明保護板13は、太陽光を透過する板材であり、例えばガラス板や透光性プラスチック板である。
【0055】
(バックシート)
バックシート14は、太陽電池モジュール100の背面を保護する。バックシート14は、単層であっても、多層であってもよく、好ましくは多層である。バックシート14は、ポリフッ化ビニル、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレン等の樹脂層を含んでいてもよい。また、バックシート14は、アルミニウム等の金属膜、SiO2等の金属酸化膜等の無機材料層を含んでいてもよい。
【0056】
(配線)
配線15は、光電変換素子に電気を供給する部材であり、配線の材料としては、例えば金、銅、アルミニウム、銀などの良導体が用いられる。
【0057】
本明細書は、下記の実施形態を含む。
1.
光電変換素子と、波長変換層と、を含む太陽電池モジュールであって、
前記波長変換層は、前記光電変換素子よりも受光面側に配置されており、
前記波長変換層は、蛍光体を含み、
前記蛍光体は、
アルカリ金属と、Siと、Alと、Mnと、Fと、を含み、前記アルカリ金属のモル数を2とする場合に、SiとAlとMnのモル数の合計が0.9以上1.1以下であり、Alのモル数が0を超えて0.10以下であり、Mnのモル数が0を超えて0.20以下であり、Fのモル数が5.9以上6.1以下である組成を有する第1フッ化物蛍光体、又は
アルカリ金属と、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Mと、Mnと、Fと、を含み、前記アルカリ金属のモル数を2とする場合に、Mnのモル数が0を超えて0.20未満であり、MとMnのモル数の合計が1.0である組成を有する第2フッ化物蛍光体
である、太陽電池モジュール。
2.
前記蛍光体は、第1フッ化物蛍光体である、上記1に記載の太陽電池モジュール。
3.
前記第1フッ化物蛍光体は、下記式(I)で表される組成を有する、上記1又は2に記載の太陽電池モジュール。
M2[SipAlqMnrFs] (I)
[式(I)中、Mはアルカリ金属を示し、少なくともKを含み、
Mnは4価のMnイオンであり、
p、q、rおよびsは、0.9≦p+q+r≦1.1、0<q≦0.1、0<r≦0.2、及び5.9≦s≦6.1を満たす。]
4.
前記蛍光体は、粒子状であり、
前記粒子状の蛍光体の少なくとも一部は、酸化物に覆われており、
前記酸化物は、Si、Al、Ti、Zr、Sn及びZnからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記酸化物の含有率は、前記酸化物に覆われた蛍光体に対して2質量%以上30質量%以下である、
上記1~3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
5.
前記蛍光体は、粒子状であり、
前記粒子状の蛍光体の少なくとも一部は、アルカリ金属と、Siと、Fと、を含み、実質的にAl及びMnを含まない組成を有するフッ化物に覆われている、
上記1~3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
6.
前記蛍光体は、300nm以上500nm以下の波長の光により励起され、600nm以上650nm以下の波長の光を発光する、上記1~5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
7.
前記蛍光体は、波長300nm以上500nm以下の波長域において、90%以上の内部量子効率を有する、上記1~6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
8.
前記蛍光体は、45°以上の安息角を有する粉体である、上記1~7のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
9.
前記光電変換素子は、シリコン系半導体である、上記1~8のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
10.
前記波長変換層は、樹脂をさらに含み、当該樹脂は、ポリエチレン又はエチレン酢酸ビニル共重合体である、上記1~9のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
11.
バックシートと、保護ガラスと、をさらに含み、
前記バックシート、前記光電変換素子、前記波長変換層、及び前記保護ガラスが、この順で積層された構造を有する、上記1~10のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【符号の説明】
【0058】
100…太陽電池モジュール、
2…光電変換素子
3…波長変換層
5…蛍光体
6…樹脂
11…配線
12…封止材
13…透明保護板
14…バックシート
15…受光面