(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184436
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ラミネート処理装置、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20231221BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20231221BHJP
B32B 37/16 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B29C63/02
B65H37/04 A
B32B37/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068382
(22)【出願日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2022097911
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田翔太
(72)【発明者】
【氏名】杉山恵介
(72)【発明者】
【氏名】加藤裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】下舘一輝
(72)【発明者】
【氏名】落合恭也
(72)【発明者】
【氏名】高井直樹
(72)【発明者】
【氏名】西東洋輔
【テーマコード(参考)】
3F108
4F100
4F211
【Fターム(参考)】
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA07
3F108HA12
4F100AT00A
4F100AT00B
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100EJ192
4F100EJ452
4F211AC03
4F211AD06
4F211AG01
4F211AG03
4F211AH33
4F211AP05
4F211AQ03
4F211AR06
4F211AR07
4F211SA08
4F211SC07
4F211SD11
4F211SJ11
4F211SP05
(57)【要約】
【課題】一方の熱定着ローラの温度検知手段(温度センサ)が検出不可となっても、他方の熱定着ローラの温度センサで温度検出し、安全性を向上できるラミネート処理装置を提供する。
【解決手段】シート状媒体を挟持する2枚重ねシートを搬送しながら、加熱及び加圧を行うラミネート処理装置であって、2枚重ねシートを搬送する一対の熱定着ローラと、一対の熱定着ローラをそれぞれ加熱する加熱手段と、一対の熱定着ローラの表面温度をそれぞれ検知する温度検知手段と、一対の熱定着ローラを駆動する駆動手段と、を備える。温度検知手段は、熱定着ローラの軸方向に複数配置され、かつ、一対の熱定着ローラ間で、軸方向位置が異なる。
したがって、一方の熱定着ローラの温度センサが検出不可となっても、他方の熱定着ローラの温度センサで熱定着ローラの表面温度を検出でき、装置の安全性を向上できる。
【選択図】
図34
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状媒体を挟持する2枚重ねシートを搬送しながら、加熱及び加圧を行うラミネート処理装置であって、
前記2枚重ねシートを搬送する一対の熱定着ローラと、
前記一対の熱定着ローラをそれぞれ加熱する加熱手段と、
前記一対の熱定着ローラの表面温度をそれぞれ検知する温度検知手段と、
前記一対の熱定着ローラを駆動する駆動手段と、
を備えるラミネート処理装置において、
前記温度検知手段は、熱定着ローラの軸方向に複数配置され、かつ、前記一対の熱定着ローラ間で、軸方向位置が異なることを特徴とする、ラミネート処理装置。
【請求項2】
前記一対の熱定着ローラは、それぞれ、中心部にある芯金部と、前記芯金部の周りに設けられた弾性層と、前記弾性層の表面に設けられたフッ素樹脂層とで構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のラミネート処理装置。
【請求項3】
前記一対の熱定着ローラの一方を第1熱定着ローラとし、他方を第2熱定着ローラとして、
前記第1熱定着ローラの軸方向中央部に第1温度検知手段が配置され、前記第2熱定着ローラの軸方向中央部に第2温度検知手段が配置され、
前記第1温度検知手段と前記第2温度検知手段は、前記一対の熱定着ローラの軸方向において、互いに異なる位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のラミネート処理装置。
【請求項4】
前記第1熱定着ローラの軸方向端部で、前記2枚重ねシートの搬送領域外に、第3温度検知手段が配置されることを特徴とする、請求項3に記載のラミネート処理装置。
【請求項5】
前記第2熱定着ローラの軸方向端部で、前記2枚重ねシートの搬送領域外に、第4温度検知手段が配置され、
前記第3温度検知手段と、前記第4温度検知手段は、前記2枚重ねシートの搬送領域を挟んで、互いに異なる位置に配置されることを特徴とする、請求項4に記載のラミネート処理装置。
【請求項6】
前記一対の熱定着ローラの一方を第1熱定着ローラとし、他方を第2熱定着ローラとして、
前記第1熱定着ローラの周辺温度を検出し、一定値以上の温度であった場合、前記加熱手段を断線する第1過昇温防止手段と、
前記第2熱定着ローラの周辺温度を検出し、一定値以上の温度であった場合、前記加熱手段を断線する第2過昇温防止手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のラミネート処理装置。
【請求項7】
シート状媒体に画像を形成する画像形成装置と、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のラミネート処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート処理装置、及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のシートが重ねられ、一辺が接合(接続)された2枚重ねシート(ラミネートシート又はラミネートフィルム)内に、中紙類(用紙、写真など)を挿入し、熱と圧力を加えて2枚重ねシートを接着するラミネート処理という技術が知られている。
【0003】
ラミネート処理を行うラミネート処理装置は、2枚重ねシートに熱と圧力を加える熱定着部を備える。熱定着部は、加熱され、回転駆動される熱定着ローラ対を有し、2枚重ねシートが通過するニップ部を形成する。このニップ部にシート状媒体を挟持する2枚重ねシートを通すことで、2枚重ねシートを熱定着(接着)できる。
【0004】
例えば特許文献1には、ラミネートフィルムの温度を正確に制御し、ラミネートフィルムの好ましい接着性を得ることを目的として、フィルム搬送方向に複数個の温度センサを配置したラミネータが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、画像形成装置の定着装置において、定着ローラの表面温度を全域(通紙部及び非通紙部)に亘り均一化することを目的として、定着ローラの軸方向に複数個の温度センサを当接した構成が開示されている。
【0006】
上記のように、温度センサを複数備える構成は、1つのセンサが故障などで使用不可となっても、他のセンサにて温度を検出できるため、装置の冗長性を高めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ラミネート処理装置は、画像形成装置の定着装置と異なり、ラミネートフィルムの熱定着時に、フィルムからはみ出た糊(接着剤)が熱定着ローラに付着・堆積し易い。ローラに堆積した糊によって温度センサがローラから浮いて(離れて)しまうと、正確な温度検出とそれによる温度制御ができなくなり、ラミネート品質だけでなく、安全性にも支障をきたすおそれがあった。
【0008】
これに対し、温度センサの配置箇所を更に増やすことが考えられるが、その場合、部品数が増加し、したがってコストが増加してしまう。
【0009】
そこで本発明は、一方の熱定着ローラの温度検知手段(温度センサ)が検出不可となっても、他方の熱定着ローラの温度センサで温度検出し、安全性を向上できるラミネート処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、シート状媒体を挟持する2枚重ねシートを搬送しながら、加熱及び加圧を行うラミネート処理装置であって、前記2枚重ねシートを搬送する一対の熱定着ローラと、前記一対の熱定着ローラをそれぞれ加熱する加熱手段と、前記一対の熱定着ローラの表面温度をそれぞれ検知する温度検知手段と、前記一対の熱定着ローラを駆動する駆動手段と、を備えるラミネート処理装置において、前記温度検知手段は、熱定着ローラの軸方向に複数配置され、かつ、前記一対の熱定着ローラ間で、軸方向位置が異なることを特徴とする、ラミネート処理装置によって解決される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のラミネート処理装置は、一対の熱定着ローラの表面温度をそれぞれ検知する温度検知手段が、熱定着ローラの軸方向に複数配置され、かつ、一対の熱定着ローラ間で、軸方向位置が異なる。したがって、一方の熱定着ローラの温度センサが検出不可となっても、他方の熱定着ローラの温度センサで熱定着ローラの表面温度を検出でき、装置の安全性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。
【
図2】
図1に示したシート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。
【
図3】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その2)である。
【
図4】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その3)である。
【
図5】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その4)である。
【
図6】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その5)である。
【
図7】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その6)である。
【
図8】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その7)である。
【
図9】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その8)である。
【
図10】シート処理装置の単数挿入モードを示す構成図(その1)である。
【
図11】シート処理装置の単数挿入モードを示す構成図(その2)である。
【
図12】シート処理装置の単数挿入モードを示す構成図(その3)である。
【
図13】シート処理装置の複数挿入モードを示す構成図(その1)である。
【
図14】シート処理装置の複数挿入モードを示す構成図(その2)である。
【
図15】シート処理装置の複数挿入モードを示す構成図(その3)である。
【
図16】シート処理装置の複数挿入モードを示す構成図(その4)である。
【
図17】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その9)である。
【
図18】シート処理装置が備える剥離部材の模式図である。
【
図19】剥離部材の駆動構成の例を示す模式図である。
【
図20】剥離部材をシートSに挿入した状態を示す斜視図である。
【
図21】
図8における、剥離部材とシートSの状態を示す斜視図である。
【
図22】
図8における、剥離部材とシートSの状態を示す斜視図(その2)である。
【
図23】剥離した2枚のシートの案内経路についての変形例である。
【
図24】本発明に係るシート処理装置を備えるラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。
【
図25】本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
【
図26】本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の変形例を示す全体構成図である。
【
図27】本発明に係るラミネート処理装置を外部に備える画像形成装置を示す全体構成図(その1)である。
【
図28】本発明に係るラミネート処理装置を外部に備える画像形成装置を示す全体構成図(その2)である。
【
図29】ラミネート処理装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。
【
図30】シート給紙から中紙を挟みこみ、ラミネート処理完了までの一連の動作を説明するフローチャートである。
【
図31】本発明に係るラミネート処理装置が備える熱定着部の一実施形態を示す構成図である。
【
図32】本発明の一実施形態に係る熱定着ローラ対の構成を示す模式図である。
【
図33】熱定着ローラの表面に堆積した糊によって、サーミスタに浮きが生じている状態を示す模式図である。
【
図34】本発明の一実施形態に係る一対の熱定着ローラと、それらに配置されたサーミスタ、及びサーモスタットの位置関係を示す構成図である。
【
図35】異常温度の判断の流れを示すフローチャートである。
【
図36】本発明に係る熱定着部の変形例を示す構成図(その1)である。
【
図37】本発明に係る熱定着部の変形例を示す構成図(その2)である。
【
図38】本発明に係る熱定着部の変形例を示す構成図(その3)である。
【
図39】本発明に係る熱定着部の変形例を示す構成図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。本実施形態のシート処理装置100は、2枚重ねシート(以下、シートSという)を互いに剥離し、その剥離したシートS内にシート状媒体(以下、中紙Pという)を挿入して挟持させるものである。
【0014】
ここで、シートSとは、2枚のシートが重ねられ、その一部(又は一辺)が接合された2枚重ねシートである。2枚重ねシートとしては、例えば、片側を透明ポリエステルシートなどの透過性シートとし、反対側を透明又は不透明シートとして、それらの一辺で接合したものがある。また、2枚重ねシートには、ラミネートフィルムも含まれる。
【0015】
中紙Pは、それら2枚重ねシートに挿入されるシート状媒体の一例である。シート状媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙など)、トレーシングペーパ、OHPシートなどが含まれる。
【0016】
図1に示すように、シート処理装置100は、シートSを積載する第1積載手段であるシートトレイ102と、シートトレイ102からシートSを給送するピックアップローラ105と、搬送ローラ対107とを備える。またシート処理装置100は、中紙Pを積載する第2積載手段である給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを備える。
【0017】
シートトレイ102には、シートSのサイズ(搬送方向長さ)を検出するシートサイズ検出手段であるサイズセンサC6が設けられ、給紙トレイ103には、中紙Pのサイズ(搬送方向長さ)を検出する媒体サイズ検出手段であるサイズセンサC7が設けられている。
【0018】
これらサイズセンサC6及びサイズセンサC7はそれぞれ、搬送方向に並んで配置された複数のセンサを備える。積載されるシートS(又は中紙P)のサイズによってセンサの検出結果が変わるため、シートS(又は中紙P)の搬送方向長さを検出できる。
【0019】
搬送ローラ対107の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC1が設けられ、ピックアップローラ106の搬送方向下流には、中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC2が設けられている。
【0020】
なお、これら搬送センサC1、C2を用いて、シートS(又は中紙P)の搬送方向長さを検出してもよい。
【0021】
またシート処理装置100は、搬送ローラ対107及びピックアップローラ106の下流に、第1搬送手段である入口ローラ対108と、回転部材としての巻付けローラ109と、第2搬送手段である出口ローラ対113と、排紙トレイ104などを備える。巻付けローラ109と出口ローラ対113の間に、シートSの幅方向に移動可能に設けられた剥離部材である剥離部材116を備える。
【0022】
入口ローラ対108の搬送方向下流には、シートS及び中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC3が設けられ、巻付けローラ109の搬送方向下流には、シートSの状態を検出する異常状態検出センサC4が設けられている。そして、出口ローラ対113の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC5が設けられている。
【0023】
なお、ピックアップローラ105、搬送ローラ対107、入口ローラ対108、及び巻付けローラ109は、第1給送手段の一例であり、ピックアップローラ106、入口ローラ対108、及び巻付けローラ109は第2給送手段の一例である。
【0024】
シート処理装置100の外装部には、シート処理装置100における情報表示や、操作入力の受付を行う表示操作手段である操作パネル10が設置されている。また、この操作パネル10は、ユーザに知覚信号を発する報知手段としての役割を兼ねる。なお、代替として、操作パネル10以外の報知手段を、シート処理装置100に別途設ける構成としてもよい。
【0025】
本実施形態のシート処理装置100は、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載し、シートSを搬送しながら、2枚のシートに剥離・開口し、その開口内に中紙Pを挿入する。そして、中紙Pが挿入されたシートSを、排紙トレイ104に排出・積載する。
【0026】
図2は、
図1に示したシート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。
図2に示すように、入口ローラ対108及び出口ローラ対113は、それぞれ、例えば対となった2つのローラであり、駆動手段としての、入口ローラ対モータ108a(
図29参照)、及び出口ローラ対モータ113a(
図29参照)により回転駆動される。入口ローラ対108は一方向に回転駆動され、出口ローラ対113は正逆方向に回転駆動されることで、シートS及び中紙Pを挟持して搬送する。
【0027】
入口ローラ対108は、シートS及び中紙Pを出口ローラ対113に向けて搬送する。この搬送方向を正搬送方向(
図2の矢印A方向)と呼ぶ。
【0028】
一方、出口ローラ対113は、その回転を正逆の両方向に切り替え可能である。挟持したシートSを正搬送方向である排紙トレイ104(
図1参照)に向けて搬送できるとともに、その逆方向(引き戻す方向)となる巻付けローラ109に向けてシートSを搬送することもできる。この巻付けローラ109に向けて搬送する方向(正搬送方向に対し、逆方向)を、逆搬送方向(矢印B方向)と呼ぶ。
【0029】
また、シート処理装置100は、これら入口ローラ対108と出口ローラ対113との間に、シート剥離部1を備えている。シート剥離部1は、回転部材である巻付けローラ109と、剥離部材116とを備える。巻付けローラ109は、巻付けローラモータ109a(
図29参照)により正逆方向に回転駆動され、その回転を両方向(時計回り/反時計回り)に切り替え可能である。
【0030】
巻付けローラ109は、ローラ部材111と、ローラ部材111に設けられ、シートSを把持する可動の把持手段110とを有する。把持手段110は、把持手段モータ110a(
図29参照)によりローラ部材111に対して回動可能に構成されている。そして、可動の把持手段110は、ローラ部材111との間でシートSの先端を把持することを特徴とする。以上では把持手段110は、ローラ部材111とは別部品で構成される場合について説明したが、把持手段110は、ローラ部材111の外周に一体的に成形してもよい。
【0031】
続いて、
図1~
図17を用いて、シート処理装置100の一連の動作、すなわちシートSの剥離から中紙Pの挿入までの動作を説明する。なお、
図3~
図17において、
図1、2と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0032】
図1において、シートトレイ102上のシートSは、2枚のシートの接合された一部が、ピックアップローラ105の給送方向(搬送方向)の下流側に位置するように積載される。そして、シート処理装置100は、シートトレイ102上のシートSをピックアップローラ105にてピックし、搬送ローラ対107により入口ローラ対108に向けて搬送する。
【0033】
次いで、
図2に示すように、入口ローラ対108により、シートSを巻付けローラ109に向けて搬送する。ここでシート処理装置100は、シートSの4辺中の一辺である端部が接合された側を正搬送方向(
図2の矢印A方向)の下流側として搬送する。
【0034】
続いて
図3に示すように、シート処理装置100は、正搬送方向におけるシートSの後端部が巻付けローラ109を通過した時点で、その搬送を一時停止する。なお、これら動作は、搬送センサC3によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC3から指定量搬送することで実施される。
【0035】
次に、
図4に示すように、シート処理装置100は、把持手段110を開口するとともに、出口ローラ対113の回転方向を反転し、把持手段110の開口部に向けて、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。
【0036】
続いて、
図5に示すように、シート処理装置100は、シートSの端部を開口した把持手段110に挿入した時点で搬送を停止し、把持手段110を閉じてシートSの端部を把持する。なお、これら動作は、シートSを指定量搬送することで実施される。
【0037】
次いで、
図6に示すように、シート処理装置100は巻付けローラ109を反時計回りに回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける。ここでシートSは、2枚のシートの接合されていない側から巻付けローラ109に巻き付けられる。
【0038】
図7に示すように、シートSを巻付けローラ109に巻き付けると、2枚重ねシートの巻き付け周長差(巻き付け量の差)によって内周側のシートが余り、シートSの接合した端に向けて弛みが生じる。その結果、2枚のシート間に空間g(たるみ空間)が生じる。この生じた空間gに剥離部材116をシートSの両側から挿入することで、2枚のシート間の空間gを確実に維持することができる。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0039】
ここで、剥離部材116について補足説明する。
【0040】
図18はシート処理装置100が備える剥離部材116の模式図であり、
図19は剥離部材116の駆動構成の例を示す模式図である。また、
図20は剥離部材116をシートSに挿入した状態を示す斜視図である。
【0041】
図18に示すように、剥離部材116は、搬送方向上流側から見て、高さ方向の寸法が幅方向中央から後端に向けて徐々に大きくなっている。また、高さ方向から見て、搬送方向の寸法は、先端から中央に向けて徐々に大きくなっている。そして、幅方向から見て、剥離部材116は、十字型の形状となっている。剥離部材116は、この十字型の形状により、剥離したシートSをそれぞれ異なる方向へと案内する分岐部材としての機能をも備える。
【0042】
また、
図19に示すように、本実施形態では、2つの剥離部材116を互いに対向させて配置し、それぞれを(a)ベルト駆動、又は(b)ラック&ピニオンなどにより接近/離間する構成としている。
【0043】
具体的に、(a)ベルト駆動では、駆動プーリ30aと従動プーリ30bの間にベルト32が張架され、そのベルト32に2つの剥離部材116a、bが互いに対向して取り付けられている。ここで、一方の剥離部材116aは下側のベルト32に、他方の剥離部材116bは上側のベルト32にそれぞれ接続されている。
【0044】
また、駆動プーリ30aには駆動伝達ギヤ34が設けられており、この駆動伝達ギヤ34に、剥離部材モータ36の回転出力がモータ出力ギヤ35を介して伝達される。すなわち、剥離部材モータ36の回転出力は、ベルト32に伝達される。
【0045】
したがって、剥離部材モータ36を(図正面から見て)時計回りに回転すれば、剥離部材116a、bを互いに接近でき、剥離部材モータ36を反時計回りに回転すれば、剥離部材116a、bを互いに離間できる。
【0046】
また、(b)ラック&ピニオンでは、1つのピニオン40に噛み合う2つのラック42a、bが互いに反対方向に伸びて設けられ、それぞれのラック42a、bに2つの剥離部材116a、bが互いに対向して取り付けられている。ピニオン40には駆動伝達ギヤ44が設けられており、この駆動伝達ギヤ44に、剥離部材モータ46の回転出力がモータ出力ギヤ45を介して伝達される。すなわち、剥離部材モータ46の回転出力は、ラック42a、bにそれぞれ伝達される。
【0047】
したがって、剥離部材モータ46を(図正面から見て)時計回りに回転すれば、剥離部材116a、bを互いに接近でき、剥離部材モータ46を反時計回りに回転すれば、剥離部材116a、bを互いに離間できる。
【0048】
このように本実施形態の剥離部材116は、上記形状を有し、シートSの幅方向に移動可能な構成であるため、
図20に示すようにシートSに生じた空間gにスムーズに挿入できる。
【0049】
シート処理装置100の一連の動作説明に戻る。シート処理装置100は、シートSに生じた空間gに剥離部材116を挿入した状態で(
図7参照)、巻付けローラ109を時計回りに回転し、
図8に示すように、シートSの剥離した空間gをシートSの正搬送方向(
図2の矢印A方向)における後端部まで移動させる。そして、指定量移動した時点で把持手段110を開放し、シートSの後端を上下に分離した状態とする。
【0050】
この状態で、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、今度は剥離部材116をシート幅方向へ更に移動することで、シートSの後端の全域を剥離する。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0051】
図21は、
図8における、剥離部材116とシートSの状態を示す斜視図である。剥離部材116は、剥離したシートSをそれぞれ異なる方向へと案内する分岐部材としての機能も有するため(
図18の十字型の形状参照)、シートSの2枚のシートは、それぞれ別の経路に搬送可能な姿勢となる。
【0052】
また、剥離部材116は幅方向に移動可能な構成(
図19参照)であるため、
図22に示すように、シートSの姿勢を支えるのに適した位置に配置できる。したがって、シートSのサイズや腰の強さが変わっても、シートSを所望の分岐方向へ案内できる。これは、搬送路幅全域に亘るシートを分岐するために、分岐部材、及びその分岐部材の駆動装置を別途設けることが不要になるため、従来と比較して低コストにできる。
【0053】
続いて
図9に示すように、シート処理装置100は、シートSの後端の全域を剥離した状態から、今度は出口ローラ対113を反時計回りに回転し、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。すなわち、シートSの剥離された2枚のシートは、剥離部材116によりそれぞれ上下方向に案内され、2枚のシート全体が互いに剥離される。
【0054】
そして、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、シートSの接合部rを出口ローラ対113にて把持(ニップ)した状態とする。したがって、シートSは接合された一辺を端として、大きく開口することになる。
【0055】
なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0056】
次いで、剥離したシートSに中紙を挿入する動作について説明する。
【0057】
本実施形態のシート処理装置100は、シートSのサイズ(搬送方向長さ)と、中紙Pのサイズ(搬送方向長さ)によって、シートS内に中紙Pを1枚から複数枚挿入できる。まず、シートSに中紙Pを1枚挿入する単数挿入モードを
図10~
図12を用いて説明し、その次に、シートSに中紙Pを搬送方向に沿って複数枚挿入する複数挿入モードを
図13~
図16を用いて説明する。
【0058】
(単数挿入モード)
図10に示すように、シート処理装置100は、入口ローラ対108を回転し、給紙トレイ103(
図1参照)から搬送された中紙Pを出口ローラ対113に向けて正搬送方向(
図10の矢印A方向)に搬送する。
【0059】
続いて、
図11に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113を回転してシートSと中紙Pを合流させ、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。
【0060】
次いで、
図12に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113により、中紙Pが挿入されたシートSを正搬送方向(
図12の矢印A方向)に搬送することで、シートSの2枚のシートを再度重ね、開口を閉じる。そして、中紙Pが挟み込まれたシートSを、出口ローラ対113、又はそれ以降に配置された排出ローラ対121(
図24参照)により、排紙トレイ104に排出・積載する(
図1参照)。
【0061】
(複数挿入モード)
続いて、複数挿入モードを説明する。複数挿入モードとは、1枚のシートSのシート搬送方向において、複数枚の中紙P(以下の実施形態では2枚)を挿入可能なモードである。
【0062】
図13に示すように、シート処理装置100は、入口ローラ対108を回転し、給紙トレイ103(
図1参照)から搬送された1枚目の中紙(以下、第1中紙P1と呼ぶ)を出口ローラ対113に向けて正搬送方向(
図2の矢印A方向)に搬送する。
【0063】
次いで、
図14に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113を回転してシートSと第1中紙P1を合流させ、開口したシートS内に第1中紙P1を挿入する。このとき、給紙トレイ103(
図1参照)から搬送された2枚目の中紙(以下、第2中紙P2と呼ぶ)を出口ローラ対113に向けて正搬送方向(
図2の矢印A方向)に搬送する。
【0064】
次いで、
図15に示すように、シート処理装置100は、入口ローラ対108を回転してシートSと第2中紙P2を合流させ、開口したシートS内に第2中紙P2を更に挿入する。
【0065】
そして、
図16に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113により、第1中紙P1及び第2中紙P2が挿入されたシートSを正搬送方向(
図2の矢印A方向)に搬送することで、シートSの2枚のシートを再度重ね、開口を閉じる。
【0066】
なお、中紙Pが3枚以上であっても、上述の動作を繰り返すことによりシートSに3枚の中紙Pを挟み込むことができる。
【0067】
代替例として、シート処理装置がシートSを加熱及び加圧可能な熱加圧装置(
図24の熱定着ローラ対120参照)を備える場合、
図17に示すように、分岐部材118にて経路を切り替えて、熱加圧装置へ搬送してもよい。これは複数挿入モードだけでなく、単数挿入モードも同様である。
【0068】
このように、本実施形態のシート処理装置100は、シートSへの中紙Pの挿入処理を制御することができる。
【0069】
続いて、シート処理装置100が、シートS及び中紙Pのサイズ(搬送方向長さ)と、挟み込む中紙Pの枚数を取得する構成について説明する。
【0070】
先の
図1に示したように、本実施形態のシート処理装置100は、シートサイズ検出手段であるサイズセンサC6、及び媒体サイズ検出手段であるサイズセンサC7を備える。これらセンサの検出結果からシート処理装置100は、中紙Pの搬送方向長さが閾値以下である場合、複数挿入モードに自動で切り替えて挿入処理を行う。一方、中紙Pの搬送方向長さが閾値以上である場合、単数挿入モードに自動で切り替えて挿入処理を行う。
【0071】
特に、中紙Pの搬送方向長さが、シートSの搬送方向長さの半分以下である場合、複数挿入モードに自動で切り替えて、挿入処理を行うとしてもよい。また、複数挿入モードの場合、シートSに挟み込む中紙Pの枚数は、シートSのサイズと中紙Pのサイズの商から算出される。
【0072】
なお、上記サイズセンサC6及びサイズセンサC7に替えて、又は加えて、搬送センサC1、C2を用いてもよい。
【0073】
このように、本実施形態のシート処理装置100は、シートS及び中紙Pのサイズに応じて、自動的に挿入処理を制御できる。
【0074】
さらに、本実施形態のシート処理装置100は、
図1で示したように、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載し、それぞれ別々に搬送できる。このため、シートSと中紙Pを予め決められた順番に積載する必要がなく、利便性を向上できる。なお、本実施形態では、トレイ102にシートSを積載し、トレイ103に中紙Pを積載するようにしたが、これに限定されない。トレイ102に中紙Pを積載し、トレイ103にシートSを積載してもよい。
【0075】
(変形例)
図23は、剥離した2枚のシートの案内経路についての変形例である。
図23(a)は、既に
図9で示したように、剥離された2枚のシートをシートSの接合部rから、共に搬送方向と逆方向(
図23(a)の矢印B方向)に案内する場合を示している。これ以外にも、
図23(b)に示すように、剥離された2枚のシートをシートSの接合部rから、上側のシートは、搬送方向(
図23(b)の矢印A方向)に案内し、下側のシートは、搬送方向と逆方向に案内するようにしてもよい。更に、
図23(c)に示すように、上側のシートは、搬送方向と逆方向に案内し、下側のシートは、搬送方向に案内するようにしてもよい。なお、
図9(a)に示すように、剥離された2枚のシートは、剥離部材116で分岐された後、共に搬送方向と逆方向に案内されているが、剥離部材116で分岐された後、剥離された2枚のシートを共に搬送方向と同じ方向に案内するようにしてもよい。
【0076】
続いて、本発明に係るシート処理装置を備えるラミネート処理装置、及び画像形成システムについて説明する。
【0077】
図24は、本発明に係るシート処理装置を備えるラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。ラミネート処理装置200は、先に説明したシート処理装置100と、シートSの搬送経路を切り替える分岐部材118と、シートSを加熱及び加圧可能な熱加圧部材である熱定着ローラ対120と、熱定着ローラ対120の下流に設けられた排出ローラ対121とを備える。
【0078】
このラミネート処理装置200は、シートSの給紙、剥離、中紙Pの挿入、及び熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を1台で実施できる構成である。この一連の動作を、人手を要さずに自動で実施でき、従来技術よりも利便性を向上できる。
【0079】
図25は、本発明に係るラミネート処理装置と、画像形成装置を備えた画像形成システムの一例を示す全体構成図である。この画像形成システム3001は、画像形成装置300の胴内排紙部に、ラミネート処理部としてのラミネート処理装置200aを備える。
【0080】
ここで、ラミネート処理装置200aは、シートS又は中紙Pを積載するシートトレイ102を備えるとともに、シートS及び/又は中紙Pを画像形成装置300から給紙可能な構成である。したがって、画像形成装置300(例えば、プリンタ、コピー機など)により、シートS又は中紙Pに画像をインラインで形成することができる。
【0081】
画像形成装置300の構成を具体的に説明する。
図25に示すように、画像形成装置300内には、中間転写装置150が設けられている。中間転写装置150は、複数のローラに掛けまわしてエンドレスの中間転写ベルト152をほぼ水平に張り渡し、反時計まわりに走行する。
【0082】
中間転写装置150の下には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの作像装置154c、154m、154y、154kが、中間転写ベルト152の張り渡し方向に沿って四連タンデム式に並べて設けられている。各作像装置154は、図中時計まわりに回転するドラム状の像担持体のまわりに帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置などを設置して構成される。各作像装置154の下には、露光装置156が設けられている。
【0083】
露光装置156の下には、給紙装置158が設けられている。給紙装置158は、シートSを収納する第1給紙カセット160と、中紙Pを収納する第2給紙カセット162とを備える。なお、第1給紙カセット160は、2枚重ねシートを積載する第3積載手段の一例であり、第2給紙カセット162は、シート状媒体を積載する第4積載手段の一例である。
【0084】
第1給紙カセット160の右上には、第1給紙カセット160内のシートSを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第1給紙コロ166が設けられている。また、第2給紙カセット162の右上には、給紙カセット内の中紙Pを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第2給紙コロ168が設けられている。
【0085】
用紙搬送路164は、画像形成装置300内の右側に下方から上方に向けて形成され、画像形成装置300内のラミネート処理装置200aへと通ずる。用紙搬送路164には、搬送ローラ対170、中間転写ベルト152に当接する二次転写装置174、定着装置176、排紙ローラ対よりなる第1排紙装置178などが順に設けられている。
【0086】
なお、第1給紙コロ166、搬送ローラ対170、及び用紙搬送路164は、第1給紙カセット160(第3積載手段)から2枚重ねシート(シートS)を給送する第3給送手段の一例である。また、第2給紙コロ168、搬送ローラ対170、及び用紙搬送路164は、第2給紙カセット162(第4積載手段)からシート状媒体(中紙P)を給送する第4給送手段の一例である。さらに、中間転写装置150、及び定着装置176などは、シート状媒体(中紙P)に画像を形成する画像形成部の一例である。
【0087】
続いて、本実施形態の画像形成装置300において、シート状媒体(中紙P)に画像形成をした後、ラミネート処理を行う動作について説明する。
【0088】
シート状媒体(中紙P)に画像を形成する際、はじめに、画像読取装置188で原稿画像を読み取り、露光装置156で書き込みを行う。次いで、各作像装置154c、154m、154y、154kのそれぞれの像担持体上に各色トナー画像を形成し、そのトナー像を一次転写装置180c、180m、180y、180kで順次転写して中間転写ベルト152上にカラー画像を形成する。
【0089】
一方、画像形成装置300は、第2給紙コロ168を回転して中紙Pを繰り出して用紙搬送路164に入れる。そして、用紙搬送路164を通して搬送ローラ対170で搬送してタイミングを取って二次転写装置174へと送り込み、上記したように中間転写ベルト152上に形成したカラー画像が二次転写装置174により中紙Pに転写される。
【0090】
画像転写後の中紙Pは、定着装置176で画像定着後、第1排紙装置178でラミネート処理装置200aに搬送される。
【0091】
また、ラミネート処理装置200aは、ピックアップローラ105を回転して、トレイ102に積載されたシートSをシート剥離部1(巻付けローラ109、剥離部材116)に給送する。そして、シート剥離部1において、シートSを2枚のシートに剥離し、画像形成装置300から搬送された中紙Pを、入口ローラ対108により搬送することにより、剥離された2枚のシートの間に中紙Pを挿入する。その後、中紙Pが挿入されたシートSを出口ローラ対113により熱定着部50に搬送し、熱定着部50の熱定着ローラ対120により、中紙Pが挿入されたシートSを加熱及び加圧(ラミネート処理)する。
【0092】
このようにして、画像が形成された中紙Pと、シートSをラミネート処理装置200aに搬送することで、ラミネート処理が行われる。
【0093】
本実施形態の画像形成システム3001は、上記した構成であるので、まず画像形成装置300の第1給紙カセット160に積載されたシートSを、用紙搬送路164を経由してラミネート処理装置200aに搬送し、シート剥離部1でシートSを2枚のシートに剥離する。そして、ラミネート処理装置200aでシートSの剥離処理が行われている間に、第2給紙カセット162に積載された中紙Pを、用紙搬送路164、二次転写装置174、定着装置176、及び第1排紙装置178を経由されて、中紙Pに画像を形成した後に、ラミネート処理装置200aに搬送する。その後、剥離された2枚のシートの間に画像が形成された中紙Pを挿入してラミネート処理を行うこともできる。
【0094】
次に、本発明に係るシート処理装置と、画像形成装置を備えた画像形成システムの変形例について説明する。
【0095】
図26は、本発明に係るラミネート処理装置と、画像形成装置を備えた画像形成システムの変形例を示す全体構成図である。この画像形成システム4001は、画像形成装置400に第2排紙装置122と、排紙トレイ123とを備える点で、
図25の画像形成装置300と異なる。
【0096】
画像形成装置400は、ラミネート処理を実施しない場合、第2給紙カセット162から給送された中紙Pに画像を形成した後、一対の排紙ローラからなる第2排紙装置122により画像形成した中紙Pを排紙トレイ123にそのまま排出できる。したがって、画像形成装置400は、ラミネート処理をしない場合、画像形成の出力速度を下げる必要がなく、画像形成装置400の生産性を維持することが可能となる。
【0097】
なお、画像形成装置400は、ラミネート処理装置200aを、その胴内排紙部に着脱可能に備える構成としてもよい。すなわち、ラミネート処理が不要な際は、ラミネート処理装置200aを画像形成装置400から外すことが可能な構成としてもよい。
【0098】
また、その取り外したラミネート処理装置200aに、中紙Pを積載する給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを装着し、
図24に示すものと同様なラミネート処理装置200単体として利用できるようにしてもよい。
【0099】
図25に示した画像形成システム3001、及び
図26に示した画像形成システム4001は、ラミネート処理装置200aに代えて、シート処理装置100を、その胴内排紙部に備える構成としてもよい。また、
図26に示した画像形成システム4001では、シート処理装置100を着脱可能な構成としてもよい。
【0100】
また、
図25に示した画像形成システム3001、及び
図26に示した画像形成システム4001は、更に大容量排紙装置(スタッカ)、及び/又は製本装置などの後処理装置を備える構成としてもよい。
【0101】
なお、
図25及び
図26に示す、画像形成装置300、400の第1給紙カセット160に積載されるシートSを定着装置176の間を通す場合、そのシートSは、定着温度では接着されず、それよりも高温の熱を与えることにより接着されるものである。さらに、画像形成装置300、400は、中紙Pに画像を形成する方式として、電子写真方式を用いているがこれに限定されるものでなく、インクジェット方式や孔版印刷方式などの公知の画像形成方式を用いてもよい。
【0102】
図27、28は、本発明に係るラミネート処理装置を画像形成装置の外部に備える画像形成システムを示す全体構成図である。なお、
図27、28において、
図25、26と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0103】
図27に示すように、画像形成システム5001は、画像形成装置500の外側にラミネート処理装置200bを備える点で、
図25の画像形成システム3001、
図26の画像形成システム4001と異なる。
【0104】
ラミネート処理装置200bは、シートSを積載するシートトレイ102を備え、中紙Pが画像形成装置500から中継搬送装置Rを介して給紙可能な構成である。したがって、コピーやプリンタ(画像形成装置500)による中紙Pへの任意の画像形成処理、シートSの剥離処理、剥離されたシートSへの画像形成された中紙Pの挿入処理、及び画像形成された中紙Pが挿入されたシートSのラミネート処理の全てを自動的で行うことできる。
【0105】
図28に示す画像形成システム5002は、ラミネート処理装置200bの更に下流に別の後処理装置250(例えば、大容量排紙装置(スタッカ)、及び/又は製本装置などの後処理装置)が設けられた構成となっている。ユーザの要望に応じて、ラミネート処理を行うジョブと、ラミネート処理をしないジョブを並行して実施でき、作業効率を向上することができる。
【0106】
図29は、ラミネート処理装置200において実行される制御処理を実行するためのハードウェア構成である。
図29に示すように、ラミネート処理装置200は、CPU(Central Processing Unit)901、RAM(Random Access Memory)902、ROM(Read Only Memory)903、HDD(Hard Disk Drive)904、及びI/F905が接続されている構成を備える。
【0107】
CPU901は演算手段であり、ラミネート処理装置200の全体の動作を制御する。RAM902は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU901が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM903は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD904は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0108】
ラミネート処理装置200は、ROM903に格納された制御プログラムからRAM902にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU901が備える演算機能によって処理する。その処理によって、ラミネート処理装置200の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ラミネート処理装置200に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、ラミネート処理装置200の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU901、RAM902、ROM903、及びHDD904は、は、ラミネート処理装置200の動作を制御する制御部127を構成する。
【0109】
I/F905は、ピックアップローラモータ105a,106a、搬送ローラ対モータ107a、入口ローラ対モータ108a、出口ローラ対モータ113a、排出ローラ対モータ121a、巻付けローラモータ109a、把持手段モータ110a、剥離部材モータ36(46)、分岐部材モータ118a、熱定着ローラモータ129a、及び加熱ヒータ54を制御部127に接続するインターフェースである。また、I/F905は、サイズ検知センサC6,C7、搬送センサC1~3,C5、異常状態検出センサC4、第1~第2サーモスタット58a,58b、第1~第4サーミスタ56a~56d、及び操作パネル10を制御部127に接続するインターフェースである。
【0110】
また、制御部127は、I/F905を通じて、ピックアップローラモータ105a、106a、搬送ローラ対モータ107a、入口ローラ対モータ108a、出口ローラ対モータ113a、排出ローラ対モータ121a、巻付けローラモータ109a、把持手段モータ110a、剥離部材モータ36(46)、分岐部材モータ118a、熱定着ローラモータ129a、及び加熱ヒータ54の動作を制御する。また、制御部127は、サイズ検知センサC6,C7、搬送センサC1~3,C5、異常状態検出センサC4、第1~第2サーモスタット58a,58b、及び第1~第4サーミスタ56a~56dからの検知結果を取得する。
【0111】
なお、巻付けローラモータ109aは、巻付けローラ109を正逆方向に回転させるための駆動手段である。把持手段モータ110aは、把持手段110を回動させるための駆動手段である。剥離部材モータ36(46)は、剥離部材116をシートSの幅方向に移動させるための駆動手段である。分岐部材モータ118aは、分岐部材118の位置を切替るための駆動手段である。
【0112】
図30は、
図25に示す画像形成システム3001における、シートSの給送及び剥離から、剥離されたシートSへの画像形成された中紙Pの挿入、そして中紙Pが挿入されたシートSへのラミネート処理完了までの一連の動作を説明するフローチャートである。
図30のフローチャートを用いて、対応する図面の番号を示しながら説明する。なお、以下においては
図25に示す画像形成システム3001におけるラミネート処理のみを説明するが、
図26~
図28に示す他の画像形成システム4001、5001、5002のラミネート処理についても同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0113】
まず、ステップS01において、画像形成システム3001は、ユーザが複数挿入モードを選択したか否かを判定する。複数挿入モードが選択された場合、ステップS02において中紙枚数を選択させる。これは、例えば、操作パネル10などを用いて設定することができる。
【0114】
一方、複数挿入モードが選択されなかった場合、ステップS03に移行し、画像形成システム3001は、単数挿入モードが選択されたと判定する。
【0115】
次いで、ステップS11において、ラミネート処理装置200aは、シートSの給紙を開始する(
図1参照)。次いで、ステップS12において、搬送センサC3にシートSの先端が到着したか判定する(
図2参照)。ステップS13にて、ラミネート処理装置200aは、シートSを搬送センサC3から指定量搬送したことを判定すると、その搬送を一時停止する(
図3参照)。続いて、ステップS14にて、把持手段110を開口するとともに、ステップS15においてシートSを逆搬送方向(
図4の矢印B方向)に搬送する(
図4参照)。
【0116】
ステップS16において、ラミネート処理装置200aは、シートSを指定量搬送したことを判定すると、ステップS17にてシートSの搬送を一時停止する。そして、ステップS18において、把持手段110を閉じ、シートSの端部を把持する(
図5参照)。
【0117】
続いてステップS19において、ラミネート処理装置200aは巻付けローラ109を反時計回りに回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける(
図6参照)。次いで、ステップS20において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS21にて、ラミネート処理装置200aは、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS22において、異常状態検出センサC4を用いてシートSの状態を検出する。
【0118】
この異常状態検出センサC4は、シートSの2枚のシート間に生じた空間gの寸法(2枚のシートの一方のシートの撓み量)が、所定の閾値を超えているかを検出する異常検出手段である。ステップS23において、ラミネート処理装置200aは、異常状態検出センサC4の検出結果から、シートSの状態が正常(空間gの寸法が、所定の閾値以上)であると判定した場合、ステップS24aに移行する。
【0119】
一方、ステップS23において、シートSの状態が異常(空間gの寸法が、所定の閾値より下)であると判定した場合、ステップS24bに移行し、ラミネート処理装置200aは異常を通知し、シート処理を停止する。
【0120】
ステップS24aに移行した場合、ラミネート処理装置200aは、シートSを巻き付け方向と逆方向(
図2の矢印A方向)に搬送し、接合部rを出口ローラ対113のニップよりも下流に搬送する。これにより、剥離部材116の差し込み位置に合う位置に、シートSの2枚のシート間に生じた空間gを形成できる。
【0121】
次いで、ステップS24cに移行し、ラミネート処理装置200aは、生じた空間gに剥離部材116をシートSの両側から挿入する(
図7、
図20参照)。次に、ステップS25において、ラミネート処理装置200aは、剥離部材116をシートSの両側から挿入した状態で、巻付けローラ109を今度は時計回りに回転し、シートSを正搬送方向(
図2の矢印Aの方向)に搬送する。
【0122】
次いで、ステップS26において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS27にて、ラミネート処理装置200aは、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS28において、把持手段110を開口する。
【0123】
次いで、ステップS29において、ラミネート処理装置200aは、シートSを指定量搬送した後に、シートSの搬送を一時停止する。そして、ステップS30にて、剥離部材116をシート幅方向へ更に移動する(
図8、
図22参照)。これにより、シートSの2枚のシートの後端を上下に分離した状態とする。
【0124】
ステップS31において、ラミネート処理装置200aはシートSを逆搬送方向(
図9の矢印B方向)に搬送する。次いで、ステップS32において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS33にて、ラミネート処理装置200aは、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS34にて、その搬送を一時停止する(
図9参照)。これにより、シートSの剥離が完了する。
【0125】
続いて、ステップS35において、ラミネート処理装置200aは、シートSに挿入する中紙Pに画像形成を行う(インライン)か、否か判定する。インラインの場合、ステップS36に移行し、ラミネート処理装置200aは、画像形成装置300(400、500)に印刷ジョブを開始させ、中紙Pに画像を形成する。次いで、ステップS37に移行する。
【0126】
一方、ステップS35において、インラインでない場合はステップS37に移行する。
【0127】
ステップS37において、ラミネート処理装置200aは、中紙Pを正搬送方向(
図10の矢印A方向)に搬送し、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。ここで、単数挿入モードの場合は、先の
図10~12に示した動作となり、複数挿入モードの場合は、先の
図13~16に示した動作となる。
【0128】
次いで、ステップS38において、ラミネート処理装置200aは、選択された枚数の中紙PがシートSに挿入されたか判定する。挿入された場合、ステップS39に移行する。
【0129】
次いで、ステップS39において、分岐部材118にて経路を切り替える。ステップS39において、中紙Pを挟持したシートSを熱定着部50へ搬送し、熱と圧力を加えることで、ラミネート処理が完了する(
図17参照)。
【0130】
なお、インラインの場合(ステップS35でYESの場合)は、シート剥離完了後に画像形成装置300へ印刷JOBスタートの通知をして、中紙Pの印刷及び搬送を実施する。この場合、印刷された中紙Pが搬送され、搬送センサC1に到達するまでシート処理装置は待ち状態になる。そのため、印刷された中紙Pの搬送時間を考慮し、例えば、
図7に示す剥離部材116の動作完了後に画像形成装置へ印刷JOBスタートを通知してもよい。これにより、生産性を向上できる。
【0131】
以下より、本発明の課題、及びそれを解決する特徴的構成について説明する。
【0132】
図31は、本発明に係るラミネート処理装置200(200a、200b)が備える熱定着部50の一実施形態を示す構成図である。中紙Pを挟持するシートS(以下「シートSP」という)を搬送しながら、加熱及び加圧を行う熱定着部50は、シートSPを搬送する熱定着ローラ対120(第1熱定着ローラ120a、第2熱定着ローラ120b)と、熱定着ローラ対120をそれぞれ加熱する加熱手段である加熱ヒータ54(第1加熱ヒータ54a、第2加熱ヒータ54b)と、熱定着ローラ対120をそれぞれ駆動する熱定着ローラモータ129a(
図29参照)とを有する。さらに、熱定着ローラ対120の表面温度をそれぞれ検知するサーミスタ56(第1~4サーミスタ56a~56d)と、一定値以上の温度で、加熱ヒータ54を断線するサーモスタット58(第1サーモスタット58a、第2サーモスタット58b)とを有する。
【0133】
図32に示すように、第1熱定着ローラ120a、及び第2熱定着ローラ120bは、それぞれ、中心部にある芯金部60a、60bと、芯金部60a、60bの周りに設けられた弾性層62a、62b(ゴム層)と、弾性層62a、62bの表面に設けられたフッ素樹脂層64a、64bとで構成されている。弾性層62a、62b(ゴム層)がつぶれることで、ニップ部Nが形成される。弾性層62a、62bの表面にあるフッ素樹脂層64a、64bにより、シートSPから漏れた糊がローラ表面に付着しにくくできる。
【0134】
また、第1熱定着ローラ120a、及び第2熱定着ローラ120bのそれぞれは、同径又は略同径で、かつ同硬度又は略同硬度である。さらに第1熱定着ローラ120a、及び第2熱定着ローラ120bのそれぞれは、同一の又は略同一の表面離型性を有している。
【0135】
図33は、熱定着ローラ対120の表面に堆積した糊によって、サーミスタ56に浮きが生じている状態を示す模式図である。
【0136】
例えば、ラミネート処理の実施中、シートSPの後端部からはみ出た糊が第1熱定着ローラ120aの表面に付着し、堆積するという現象が生じる。また、シートSPの連続通紙や、糊の量が多いシートSPを使用すると、糊の堆積が促進される。堆積した糊66が大きくなると、サーミスタ56が第1熱定着ローラ120aの表面から浮いてしまい、正確な表面温度を検出できなくなる。
【0137】
第1加熱ヒータ54a、及び第2加熱ヒータ54bは、それぞれに対応するサーミスタ56(第1~4サーミスタ56a~56d)が検出した第1熱定着ローラ120a、及び第2熱定着ローラ120bの表面温度に基づいて温度制御(フィードバック制御)されている。そのため、サーミスタ56が正確な表面温度を検出できないと、第1加熱ヒータ54a、及び第2加熱ヒータ54bを適切に温度制御できず、ラミネート品質が低下するおそれがあった。
【0138】
さらに第1加熱ヒータ54a、及び第2加熱ヒータ54bを加熱しても、検出した第1熱定着ローラ120a、及び第2熱定着ローラ120bの表面温度が低いままであると、第1加熱ヒータ54a、及び第2加熱ヒータ54bを更に加熱して第1加熱ヒータ54a、及び第2加熱ヒータ54bの表面温度を過剰に上昇させてしまい、発煙発火に繋がるおそれがあった。
【0139】
図34は、本発明の一実施形態に係る熱定着ローラ対120と、それらに配置されたサーミスタ56、及びサーモスタット58の位置関係を示す構成図である。
【0140】
図34に示すように、第1熱定着ローラ120aの軸方向中央部に第1サーミスタ56aが配置され、軸方向端部に第3サーミスタ56bが配置されている。一方、第2熱定着ローラ120bの軸方向中央部に第2サーミスタ56cが配置され、軸方向端部に第4サーミスタ56dが配置されている。
【0141】
第1~第4サーミスタ56a、56c、56b、56dが検出した温度は、ラミネート処理装置の動作を制御する制御部127(
図29参照)によって監視されている。
【0142】
さらに、第1熱定着ローラ120aに第1サーモスタット58aが配置され、第2熱定着ローラ120bに第2サーモスタット58bが配置されている。
【0143】
なお、第1~第4サーミスタ56a、56c、56b、56dは、それぞれ、第1~第4温度検知手段の一例である。また、第1、第2サーモスタット58a、58bは、第1、第2過昇温防止手段の一例である。
【0144】
(第1~第4サーミスタの構成)
本実施形態は、熱定着ローラ対120の軸方向中央部に配置された第1、第2サーミスタ56a、56cを用いて、第1、第2熱定着ローラ120a、120bの表面温度が目標温度となるように、温度制御を行う。ここで、第1、第2サーミスタ56a、56cは、対向する熱定着ローラ対120の間で、軸方向位置をずらして(異ならせて)いることを特徴とする。
【0145】
これは、例えば、第1熱定着ローラ120aに糊の堆積が生じ、第1サーミスタ56aに浮きが生じたとしても、第2サーミスタ56cは、第1サーミスタ56aに対して軸方向位置が異なるため、堆積した糊の影響を受けにくい。
【0146】
また、軸方向端部に配置された第3、第4サーミスタ56b、56dも同様で、対向する熱定着ローラ対120の間で、軸方向位置をずらして(異ならせて)いる。これら第3、第4サーミスタ56b、56dは、
図34に示すように、シートSPの通紙領域SPwの外側(搬送領域外)に配置されている。
【0147】
通紙領域外では、シートSPが通過しないため、シートSPから分離した糊が付着しにくい。すなわち、第3、第4サーミスタ56b、56dは、糊の堆積による浮きが発生しにくい。そのため、熱定着ローラ対120の軸方向中央に配置された第1、第2サーミスタ56a、56cが、第1、第2熱定着ローラ120a、120bの表面温度を正確に検出できなくなったとしても、熱定着ローラ対120の軸方向端部に配置された第3、第4サーミスタ56b、56dを用いて、第1、第2熱定着ローラ120a、120bの表面温度を正確に検出できる。
【0148】
図34に示す本実施形態では、第1熱定着ローラ120a、第2熱定着ローラ120bともに、それぞれ一本の加熱ヒータ54a、54bで加熱されるため、十分に加熱が行われた状態では、第1熱定着ローラ120a、及び第2熱定着ローラ120bの端部温度が、中央部温度よりも低くなる。
【0149】
熱定着ローラ対120の中央部温度と端部温度の温度差の関係を、データとして予め有しておけば、熱定着ローラ対120の軸方向中央に配置された第1、第2サーミスタ56a、56cが機能しなくなったとしても、熱定着ローラ対120の軸方向端部に配置された第3、第4サーミスタ56b、56dを用いて、熱定着ローラ対120の中央部温度を推測できる。
【0150】
例えば、第1、第2サーミスタ56a、56cが機能しなくなったとき、第3、第4サーミスタ56b、56dを用いて、第1熱定着ローラ120a、及び第2熱定着ローラ120bの温度制御を行うことができる。
【0151】
また、第3、第4サーミスタ56b、56dの温度を監視し、ある閾値を超えた場合、第1熱定着ローラ120a、及び第2熱定着ローラ120bの軸方向中央が異常温度であるとして、加熱ヒータ54a、54bのいずれか一方、あるいは両方をOFFにすることもできる。
【0152】
(第1、第2サーモスタットの構成)
さらに本実施形態のラミネート処理装置は、第1熱定着ローラ120aの周辺温度を検出し、閾値以上の温度であった場合、加熱ヒータ54aを断線する第1サーモスタット58aを有する。また、第2熱定着ローラ120bの周辺温度を検出し、閾値以上の温度であった場合、加熱ヒータ54bを断線する第2サーモスタット58bを有する。
【0153】
第1~第4サーミスタ56a、56c、56b、56dが検出した温度は、ラミネート処理装置の動作を制御する制御部127によって監視されており、所定の温度(閾値)以上となったら、異常温度と判断し、加熱ヒータ54を停止する。
【0154】
設定される閾値は、第1~第4サーミスタ56a、56c、56b、56dの方が、第1、第2サーモスタット58a、58bよりも低くなっているため、基本的に、サーミスタ、サーモスタットの順で、異常温度の判断が行われる。ただし、糊の堆積による浮きや断線などによりサーミスタが正しく温度を検出できないこともありうる。その場合、サーモスタットが動作することで、装置の安全性を確保できる。
【0155】
図35は、異常温度の判断の流れを示すフローチャートである。まず、ステップS101において、ラミネート処理装置の制御部127は、熱定着ローラ対120の軸方向中央部に配置された第1、第2サーミスタ56a、56c(中央サーミスタ)の温度差の絶対値が、20℃以上であるか否か判定する。
【0156】
20℃以上(YES)である場合、ステップS102において、制御部127は、第1、第2サーミスタ56a、56cに異常が生じたものと判断し、熱定着ローラ対120の軸方向端部に配置された第3、第4サーミスタ56b、56d(端部サーミスタ)による検出温度に基づく、温度制御に切り替える。その後、ステップS103に移行する。
【0157】
なお、ステップS101において、20℃未満(NO)である場合、制御部127は、正常であると判断する(最初に戻る)。
【0158】
ステップS103において、制御部127は、熱定着ローラ対120の軸方向端部に配置された第3サーミスタ56b(及び/又は、第4サーミスタ56d)の温度が170℃以上であるか否かを判定する。
【0159】
170℃以上(YES)である場合、ステップS104において、制御部127は、熱定着部50に異常が生じたものと判断し、異常処理を行う。
【0160】
なお、ステップS103において、170℃未満(NO)である場合、再度ステップS102に戻り、第3、第4サーミスタ56b、56dによる検出温度に基づく、温度制御を続ける。
【0161】
このように、本実施形態では、熱定着ローラ対120の軸方向中央に配置された第1、第2サーミスタ56a、56cが機能しなくなったとしても、熱定着ローラ対120の軸方向端部に配置された第3、第4サーミスタ56b、56dを用いて、異常検知を行うことができる。
【0162】
続いて、本発明の変形例について説明する。
【0163】
図36は、本発明に係る熱定着部50の変形例1を示す構成図である。
図36に示すように、第1熱定着ローラ120aの軸方向中央部に第1サーミスタ56aが配置される一方、第2熱定着ローラ120bの軸方向中央部に第2サーミスタ56cが配置されている。
【0164】
第1、第2サーミスタ56a、56cは、対向する熱定着ローラ間で軸方向に位置をずらしている。この場合、一方のサーミスタ(例えば、第1サーミスタ56a)が機能しなくなったとしても、他方のサーミスタ(第2サーミスタ56c)によって、熱定着ローラ対120の軸方向中央部の温度を検出できる。
【0165】
図37は、本発明に係る熱定着部50の変形例2を示す構成図である。
図37に示すように、第1熱定着ローラ120aの軸方向中央部に第1サーミスタ56aが配置され、第1熱定着ローラ120aの軸方向端部に第3サーミスタ56bが配置されている。
【0166】
第1、第2サーミスタ56a、56cは、第1熱定着ローラ120a上で軸方向に位置をずらしている。この場合、第1熱定着ローラ120aの中央部温度と端部温度の温度差の関係を、データとして予め有しておけば、第1熱定着ローラ120aの軸方向端部に配置された第3サーミスタ56bを用いて、第1熱定着ローラ120aの中央部温度を推測できる。
【0167】
なお、第1熱定着ローラ120aに代えて、第2熱定着ローラ120bに、第2、第4サーミスタ56c、56dを配置してもよい。
【0168】
図38は、本発明に係る熱定着部50の変形例3を示す構成図である。
図38に示すように、第1熱定着ローラ120aの軸方向端部(フロント側)に第3サーミスタ56bが配置され、第2熱定着ローラ120bの軸方向端部(リア側)に第4サーミスタ56dが配置されている。
【0169】
第3、第4サーミスタ56b、56dは、対向する熱定着ローラ対120上で軸方向に位置をずらしている(第3サーミスタ56bはフロント側であり、第4サーミスタ56dはリア側へ配置されている)。第3、第4サーミスタ56b、56dは、
図34で示したように、それぞれシートSPの通紙領域SPwの外側(搬送領域外)に配置されているので、糊の堆積による影響を受けにくくできる。
【0170】
図39は、本発明に係る熱定着部50の変形例4を示す構成図である。
図39に示すように、第1熱定着ローラ120aの軸方向中央部に第1、第2サーミスタ56a、56cが配置され、第1、第2サーミスタ56a、56cは、第1熱定着ローラ120a上で軸方向に位置がずれている。
【0171】
なお、第1熱定着ローラ120aに代えて、第2熱定着ローラ120bに、第1、第2サーミスタ56a、56bを配置してもよい。
【0172】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明した。この実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して使用できる。例えば、実施形態と変形例をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0173】
また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【0174】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
(態様1)
シート状媒体を挟持する2枚重ねシートを搬送しながら、加熱及び加圧を行うラミネート処理装置であって、
前記2枚重ねシートを搬送する一対の熱定着ローラと、
前記一対の熱定着ローラをそれぞれ加熱する加熱手段と、
前記一対の熱定着ローラの表面温度をそれぞれ検知する温度検知手段と、
前記一対の熱定着ローラを駆動する駆動手段と、
を備えるラミネート処理装置において、
前記温度検知手段は、熱定着ローラの軸方向に複数配置され、かつ、前記一対の熱定着ローラ間で、軸方向位置が異なることを特徴とする、ラミネート処理装置。
(態様2)
前記一対の熱定着ローラは、それぞれ、中心部にある芯金部と、前記芯金部の周りに設けられた弾性層と、前記弾性層の表面に設けられたフッ素樹脂層とで構成されていることを特徴とする、態様1に記載のラミネート処理装置。
(態様3)
前記一対の熱定着ローラの一方を第1熱定着ローラとし、他方を第2熱定着ローラとして、
前記第1熱定着ローラの軸方向中央部に第1温度検知手段が配置され、前記第2熱定着ローラの軸方向中央部に第2温度検知手段が配置され、
前記第1温度検知手段と前記第2温度検知手段は、前記一対の熱定着ローラの軸方向において、互いに異なる位置に配置されることを特徴とする態様1又は2に記載のラミネート処理装置。
(態様4)
前記一対の熱定着ローラの一方を第1熱定着ローラとし、他方を第2熱定着ローラとして、
前記第1熱定着ローラの軸方向端部で、前記2枚重ねシートの搬送領域外に、第3温度検知手段が配置されることを特徴とする、態様1乃至3のいずれか一項に記載のラミネート処理装置。
(態様5)
前記第2熱定着ローラの軸方向端部で、前記2枚重ねシートの搬送領域外に、第4温度検知手段が配置され、
前記第3温度検知手段と、前記第4温度検知手段は、前記2枚重ねシートの搬送領域を挟んで、互いに異なる位置に配置されることを特徴とする、態様4に記載のラミネート処理装置。
(態様6)
前記一対の熱定着ローラの一方を第1熱定着ローラとし、他方を第2熱定着ローラとして、
前記第1熱定着ローラの周辺温度を検出し、一定値以上の温度であった場合、前記加熱手段を断線する第1過昇温防止手段と、
前記第2熱定着ローラの周辺温度を検出し、一定値以上の温度であった場合、前記加熱手段を断線する第2過昇温防止手段と、を備えることを特徴とする態様1乃至5のいずれか一項に記載のラミネート処理装置。
(態様7)
シート状媒体に画像を形成する画像形成装置と、
態様1乃至6のいずれか一項に記載のラミネート処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【符号の説明】
【0175】
1 シート剥離部
10 操作パネル
50 熱定着部
54 加熱ヒータ
54a 第1加熱ヒータ
54b 第2加熱ヒータ
56a、56b、56c、56d 第1~第4サーミスタ
58 サーモスタット
58a、58b 第1、第2サーモスタット
60a、60b 芯金部
62a、62b 弾性層
64a、64b フッ素樹脂層
66 堆積した糊
100 シート処理装置
102 シートトレイ
103 給紙トレイ
104 排紙トレイ
105、106 ピックアップローラ
107 搬送ローラ対
108 入口ローラ対
109 巻付けローラ
110 把持手段
111 ローラ部材
113 出口ローラ対
113a 出口ローラ対モータ
116 剥離部材
118 分岐部材
118a 分岐部材モータ
120 熱定着ローラ対
120a 第1熱定着ローラ
120b 第2熱定着ローラ
121 排出ローラ対
121a 排出ローラ対モータ
122 第2排紙装置
123 排紙トレイ
127 制御部
129a 熱定着ローラモータ
150 中間転写装置
152 中間転写ベルト
154c、154k、154m、154y 作像装置
156 露光装置
158 給紙装置
160 第1給紙カセット
162 第2給紙カセット
164 用紙搬送路
166 第1給紙コロ
168 第2給紙コロ
170 搬送ローラ対
174 二次転写装置
176 定着装置
178 第1排紙装置
180c、180k、180m、180y 一次転写装置
188 画像読取装置
200、200a、200b ラミネート処理装置
250 後処理装置
300、400、500 画像形成装置
3001、4001、5001、5002 画像形成システム
C1、C2、C3、C5 搬送センサ
C4 異常状態検出センサ
C6、C7 サイズセンサ
S シート(2枚重ねシート)
P 中紙(シート状媒体)
P1 第1中紙
P2 第2中紙
SPw 通紙領域
g 空間
r 接合部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0176】
【特許文献1】特開平10-202744号公報
【特許文献2】特開平11-84934号公報
【手続補正書】
【提出日】2023-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。
【
図2】
図1に示したシート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。
【
図3】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その2)である。
【
図4】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その3)である。
【
図5】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その4)である。
【
図6】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その5)である。
【
図7】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その6)である。
【
図8】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その7)である。
【
図9】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その8)である。
【
図10】シート処理装置の単数挿入モードを示す構成図(その1)である。
【
図11】シート処理装置の単数挿入モードを示す構成図(その2)である。
【
図12】シート処理装置の単数挿入モードを示す構成図(その3)である。
【
図13】シート処理装置の複数挿入モードを示す構成図(その1)である。
【
図14】シート処理装置の複数挿入モードを示す構成図(その2)である。
【
図15】シート処理装置の複数挿入モードを示す構成図(その3)である。
【
図16】シート処理装置の複数挿入モードを示す構成図(その4)である。
【
図17】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その9)である。
【
図18】シート処理装置が備える剥離部材の模式図である。
【
図19】剥離部材の駆動構成の例を示す模式図である。
【
図20】剥離部材をシートSに挿入した状態を示す斜視図である。
【
図21】
図8における、剥離部材とシートSの状態を示す斜視図である。
【
図22】
図8における、剥離部材とシートSの状態を示す斜視図(その2)である。
【
図23】剥離した2枚のシートの案内経路についての変形例である。
【
図24】本発明に係るシート処理装置を備えるラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。
【
図25】本発明に係るラミネート処理装置を備える
画像形成システムの一例を示す全体構成図である。
【
図26】本発明に係るラミネート処理装置を備える
画像形成システムの変形例を示す全体構成図である。
【
図27】本発明に係るラミネート処理装置を外部に備える
画像形成システムを示す全体構成図(その1)である。
【
図28】本発明に係るラミネート処理装置を外部に備える
画像形成システムを示す全体構成図(その2)である。
【
図29】ラミネート処理装置の動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。
【
図30】シート給紙から中紙を挟みこみ、ラミネート処理完了までの一連の動作を説明するフローチャートである。
【
図31】本発明に係るラミネート処理装置が備える熱定着部の一実施形態を示す構成図である。
【
図32】本発明の一実施形態に係る熱定着ローラ対の構成を示す模式図である。
【
図33】熱定着ローラの表面に堆積した糊によって、サーミスタに浮きが生じている状態を示す模式図である。
【
図34】本発明の一実施形態に係る一対の熱定着ローラと、それらに配置されたサーミスタ、及びサーモスタットの位置関係を示す構成図である。
【
図35】異常温度の判断の流れを示すフローチャートである。
【
図36】本発明に係る熱定着部の変形例を示す構成図(その1)である。
【
図37】本発明に係る熱定着部の変形例を示す構成図(その2)である。
【
図38】本発明に係る熱定着部の変形例を示す構成図(その3)である。
【
図39】本発明に係る熱定着部の変形例を示す構成図(その4)である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
(単数挿入モード)
図10に示すように、シート処理装置100は、入口ローラ対108を回転し、給紙トレイ103(
図1参照)から
搬送ローラ対117を経由して搬送された中紙Pを出口ローラ対113に向けて正搬送方向(
図10の矢印A方向)に搬送する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0104
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0104】
ラミネート処理装置200bは、シートSを積載するシートトレイ102を備え、中紙Pが画像形成装置500から中継搬送装置Rを介して給紙可能な構成である。また、ラミネート処理装置200bの搬送センサC2は、入口ローラ対130の搬送方向下流、かつ、出口ローラ対132の搬送方向上流に設けられている。更に、ラミネート処理装置200bの熱定着ローラ対120の搬送方向上流には、搬送ローラ対134が、熱定着ローラ対120の搬送方向下流には、搬送ローラ対136が、それぞれ設けられている。したがって、コピーやプリンタ(画像形成装置500)による中紙Pへの任意の画像形成処理、シートSの剥離処理、剥離されたシートSへの画像形成された中紙Pの挿入処理、及び画像形成された中紙Pが挿入されたシートSのラミネート処理の全てを自動的で行うことできる。