(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184438
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】接着性構造物形成用硬化性組成物、接着性構造物及びその製造方法、並びに、半導体装置
(51)【国際特許分類】
C09D 11/38 20140101AFI20231221BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20231221BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
C09D11/38
H01L21/52 E
B41M5/00 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068473
(22)【出願日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2022097962
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】八代 徹
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 剛史
(72)【発明者】
【氏名】金子 史育
(72)【発明者】
【氏名】松岡 悠斗
(72)【発明者】
【氏名】清永 紀行
(72)【発明者】
【氏名】菅原 智明
(72)【発明者】
【氏名】浦 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 成
(72)【発明者】
【氏名】辻 和明
【テーマコード(参考)】
2H186
4J039
5F047
【Fターム(参考)】
2H186AB12
2H186AB20
2H186AB23
2H186BA08
2H186DA18
2H186FB04
2H186FB21
2H186FB22
2H186FB40
2H186FB41
2H186FB45
2H186FB46
4J039BC31
4J039BC33
4J039BE26
4J039EA48
4J039FA07
4J039GA24
5F047BA26
5F047BA34
5F047BA54
(57)【要約】
【課題】接着性、耐熱性、及び柔軟性に優れる接着性構造物を形成できる接着性構造物形成用硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】インクジェット印刷法により吐出可能な接着性構造物形成用硬化性組成物であって、グリシジルアミン型エポキシ化合物と、オキセタン化合物と、カチオン重合開始剤と、を含有し、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の含有量が10質量%以上である接着性構造物形成用硬化性組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット印刷法により吐出可能な接着性構造物形成用硬化性組成物であって、
グリシジルアミン型エポキシ化合物と、オキセタン化合物と、カチオン重合開始剤と、を含有し、
前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の含有量が10質量%以上であることを特徴とする接着性構造物形成用硬化性組成物。
【請求項2】
前記オキセタン化合物の含有量が10質量%以上60質量%以下である、請求項1に記載の接着性構造物形成用硬化性組成物。
【請求項3】
前記カチオン重合開始剤の含有量が1質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載の接着性構造物形成用硬化性組成物。
【請求項4】
3官能以上の前記グリシジルアミン型エポキシ化合物を含有する、請求項1に記載の接着性構造物形成用硬化性組成物。
【請求項5】
25℃における粘度が200mPa・s以下である、請求項1に記載の接着性構造物形成用硬化性組成物。
【請求項6】
1次平均粒径(D50)が0.1μm以上5μm以下の無機粒子、及び1次平均粒径(D50)が0.1μm以上5μm以下の樹脂粒子の少なくともいずれかを更に含有する、請求項1に記載の接着性構造物形成用硬化性組成物。
【請求項7】
グリシジルアミン型エポキシユニット及びオキセタンユニットを有する樹脂と、カチオン重合開始剤由来の成分と、を含有し、
前記グリシジルアミン型エポキシユニットの、前記樹脂における含有量が10質量%以上であることを特徴とする接着性構造物。
【請求項8】
弾性率が500MPa以上5,000MPa以下である、請求項7に記載の接着性構造物。
【請求項9】
前記接着性構造物の厚さが1μm以上30μm以下である、請求項7に記載の接着性構造物。
【請求項10】
前記グリシジルアミン型エポキシユニット及び前記オキセタンユニットを有する樹脂と、前記カチオン重合開始剤由来の成分と、を含有する接着部と、光硬化性樹脂を含有するパターン調整部と、を有する、請求項7に記載の接着性構造物。
【請求項11】
前記パターン調整部の体積が、前記接着性構造物の体積の50体積%以下である、請求項10に記載の接着性構造物。
【請求項12】
厚さ方向に連続して形成された熱伝導部を更に有する、請求項7に記載の接着性構造物。
【請求項13】
前記接着性構造物の一つの接着対象物を縦5.0mm、横5.0mm、厚さ0.4mmの正方形とした場合における260℃におけるダイシェア強度が50N以上である、請求項7に記載の接着性構造物。
【請求項14】
半導体と、接着層と、基板と、を有し、
前記接着層が、請求項7に記載の接着性構造物であることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項1に記載の接着性構造物形成用硬化性組成物を用いることを特徴とする接着性構造物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着性構造物形成用硬化性組成物、接着性構造物及びその製造方法、並びに、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路基板では高集積化、高速化に伴いICチップ等の熱性部品による温度上昇が増加し、実装回路の接着及び接続に対する耐熱信頼性が要求されている。接着性及び接続信頼性を低下させる要因としては、半導体(ダイ)と該半導体(ダイ)に接着する各種材料との線膨張係数差から生じる熱応力が挙げられる。具体的には半導体(ダイ)の線膨張係数が約3ppm/K程度であることに対し、実装基板では15ppm/K以上と大きいことから、リフローなどの作製プロセス工程及び駆動発熱などによるヒートサイクルにより熱応力が発生することで、半導体(ダイ)の接着及び接続不良が発生しやすい。
【0003】
従来、ダイとダイ、及びダイと基板を接着するダイボンディング部材としては、溶液系のダイボンディングペースト、シート状のダイアタッチフィルムなどが用いられてきた。これらのダイボンディング部材では、高集積ダイによる発熱増加やスマートフォン等の装置の薄型化により、高耐熱化及び薄膜化が要求されている。これに対し、接着部の薄膜化により装置の薄型化が可能になると共に、発熱したダイの放熱効果が得られることが知られている。均一な厚みでダイボンディング部材を薄膜形成する方式としては、インクジェット印刷で硬化性樹脂組成物をダイボンディング部材として塗布することが提案されている(特許文献1及び2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、接着性、耐熱性、及び柔軟性に優れる接着性構造物を形成できる接着性構造物形成用硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としての本発明の接着性構造物形成用硬化性組成物は、インクジェット印刷法により吐出可能な接着性構造物形成用硬化性組成物であって、グリシジルアミン型エポキシ化合物と、オキセタン化合物と、カチオン重合開始剤と、を含有し、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の含有量が10質量%以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、接着性、耐熱性、及び柔軟性に優れる接着性構造物を形成できる接着性構造物形成用硬化性組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは、本発明の接着性構造物の一例を示す膜厚方向の断面模式図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の接着性構造物の一例を接着層の上方から見た模式図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の接着性構造物の別の一例を示す膜厚方向の断面模式図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の接着性構造物の別の一例を接着層の上方から見た模式図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の接着性構造物の別の一例を示す膜厚方向の断面模式図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の接着性構造物の別の一例を接着層の上方から見た模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の半導体装置の一例を示す断面模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の半導体装置の別の一例を示す断面模式図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の半導体装置の別の一例を示す断面模式図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の半導体装置の別の一例を示す断面模式図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の半導体装置の別の一例を示す断面模式図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の半導体装置の別の一例を示す断面模式図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明の半導体装置の別の一例を示す断面模式図である。
【
図8B】
図8Bは、本発明の半導体装置の別の一例を示す断面模式図である。
【
図9】
図9は、本発明の半導体装置の別の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(接着性構造物形成用硬化性組成物)
本発明の接着性構造物形成用硬化性組成物は、インクジェット印刷法により吐出可能な接着性構造物形成用硬化性組成物であって、グリシジルアミン型エポキシ化合物と、オキセタン化合物と、カチオン重合開始剤と、を含有し、かつ、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の含有量が10質量%以上であり、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0009】
従来技術(例えば、特開2018-065957号公報)では、脂環式エポキシモノマーに加えて柔軟性を付与するアクリロニトリル共重合体(ゴム)を添加した、インクジェット方式に用いられる硬化性樹脂組成物が提案されている。
この従来の硬化性樹脂組成物では、該硬化性樹脂組成物を低粘度化するために低分子量の脂環式エポキシモノマーが用いられているが、低分子量の脂環式エポキシモノマー単独では、硬化性能及び硬化物特性を満足することが困難であった。具体的には、脂環式エポキシモノマーは硬化反応が速く、該脂環式エポキシモノマーの硬化物のガラス転移点(Tg)が高いため耐熱性に優れるが、硬化物の弾性率が高いため、硬くて脆いという欠点がある。また、一般的にアクリロニトリル共重合体(ゴム)は高粘度であり、多量に混合すると増粘するため柔軟性付与効果が不十分になりやすく、またインク材料や配合比率が限定されるという問題があった。
【0010】
一方、非脂環式エポキシモノマー(例えば、グリシジルエーテル型エポキシモノマーなど)は、硬化物の柔軟性に優れるが、硬化反応が遅く、ガラス転移点(Tg)が低いという欠点がある。このように、ダイボンディング部材として用いられる硬化性樹脂組成物が単独材料である場合、半導体の発熱増加、及び半導体パッケージの薄膜化に対応することが難しいという問題がある。
【0011】
また、従来技術(例えば、特開2014-237814号公報)では、室温(25℃)で高粘度のインクを使用し、インクを50℃以上に加熱して低粘度化することでインクジェット可能な粘度に調整することが提案されている。
しかし、熱硬化性インクを高温加熱してするとインク液が硬化及びゲル化しやすく、インクジェット印刷装置で長時間使用できないという問題がある。また、微細なインクジェットノズル穴を詰まらす要因になるという問題がある。
【0012】
本発明の接着性構造物形成用硬化性組成物は、グリシジルアミン型エポキシ化合物と、オキセタン化合物と、カチオン重合開始剤と、を含有し、かつ前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の含有量が10質量%以上であることにより、該接着性構造物形成用硬化性組成物の硬化物である接着性構造物に、耐熱性及び柔軟性に優れた接着性能を付与することができるものである。また、本発明の接着性構造物形成用硬化性組成物は、加熱による蒸発量が少なく、該接着性構造物形成用硬化性組成物を加熱しても安定であると共に、硬化物の体積減少が少ない。
【0013】
以下、本発明の接着性構造物形成用硬化性組成物について説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、又は削除などの当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用及び効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0014】
前記接着性構造物形成用硬化性組成物は、グリシジルアミン型エポキシ化合物と、オキセタン化合物と、カチオン重合開始剤と、を含有し、かつ、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の含有量が10質量%以上であり、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0015】
前記接着性構造物形成用硬化性組成物の粘度としては、インクジェット印刷法により吐出可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、25℃において、200mPa・s以下であることが好ましく、50mPa・s以下であることがより好ましい。前記接着性構造物形成用硬化性組成物の25℃における粘度が200mPa・s以下であると、該接着性構造物形成用硬化性組成物を高温加熱することなくインクジェット印刷で接着性構造物を薄膜化及び均一塗工することできることができる。更に、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の25℃における粘度が200mPa・s以下であると、塗工量を調整しやすく前記接着性構造物を薄膜化することができ、充填性能が向上し、バブル及びボイドの発生を低減することができる。これにより、特に、半導体(ダイ)のワイヤーボンディング、フリップチップなどの配線部における充填性能が向上し、所望のパターンにパターニング塗工することが可能となり、前記接着性構造物の剥離を抑制することができる。
なお、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の粘度は、インクジェット印刷法により吐出可能であればよいため、その下限値については特に制限はない。
【0016】
前記接着性構造物形成用硬化性組成物の粘度は、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物の構造や含有量、その他の添加成分などに応じて調製することができる。
【0017】
前記接着性構造物形成用硬化性組成物の25℃における粘度は、常法により測定することができ、例えば、JIS Z8803に記載の方法などを用いることができる。また、その他に、例えば、コーンプレート型回転粘度計(例えば、VISCOMETER TVE-22L、東機産業株式会社製)により、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数10rpm、恒温循環水の温度を25℃に設定して測定することができる。循環水の温度調整には、循環恒温槽(例えば、VISCOMATE VM-150III、東機産業株式会社製)を用いることができる。
【0018】
<<グリシジルアミン型エポキシ化合物>>
前記グリシジルアミン型エポキシ化合物(モノマー)としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
【化1】
前記一般式(1)において、R
1は1価の脂肪族、芳香族、又は脂環式の炭化水素基、若しくは、脂肪族、芳香族、又は脂環式の炭化水素基から選択される2つ以上が結合した基、更にこれらの炭化水素基又は炭化水素基の2つ以上が結合した基にグリシジルエーテル基が結合された基を表す。
【化2】
前記一般式(2)において、R
2は1価の脂肪族、芳香族、又は脂環式の炭化水素基、若しくは、脂肪族、芳香族、脂環式の炭化水素基から選択される2つ以上が結合した基を表す。
【0020】
前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の具体例としては、下記構造式1から構造式9のいずれかで表される化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【化3】
【0021】
これらの中でも、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物としては、前記構造式5で表される化合物、前記構造式6で表される化合物、前記構造式7で表される化合物、前記構造式8で表される化合物、及び前記構造式9で表される化合物からなる群より選択される少なくともいずれかの3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ化合物を含有することが、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の硬化物である接着性構造物の接着性及び耐熱性が良好である点で好ましい。
【0022】
前記グリシジルアミン型エポキシ化合物は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。
前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の市販品としては、例えば、スミエポキシELM-434、ELM-434VL、ELM-100(住友化学株式会社製)、アデカレジンEP-3950S、P-3950L、EP-3980S(株式会社ADEKA製)、YH-523、YH-513、YH-404(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)、TETRAD-X(三菱ガス化学トレーディング株式会社)などが挙げられる。
【0023】
前記接着性構造物形成用硬化性組成物における前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の含有量は、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の全質量に対して、10質量%以上であり、10質量%以上40質量%以下が好ましく、15質量%以上30質量%以下がより好ましい。前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の含有量が10質量%未満であると、前記接着性構造物形成用硬化性組成物により得られる接着性構造物の耐熱性及び接着性が低下する。一方、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の含有量が10質量%以上であると、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の硬化物である接着性構造物の耐熱性及び接着性が良好である。また、カチオン重合開始剤を混合した前記接着性構造物形成用硬化性組成物の熱安定性が向上する。また、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の含有量が40質量%以下であると、前記接着性構造物形成用硬化性組成物をインクジェット印刷法により吐出可能な粘度とすることが容易である。
【0024】
<<オキセタン化合物>>
前記オキセタン化合物は、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の粘度を調整すること、特に前記グリシジルアミン型エポキシ化合物に起因する粘度を低下させることができる。また、熱硬化反応が速いため、加熱蒸発しにくいことにより、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の硬化物である接着性構造物内に気泡(ボイド)を形成しにくい。更に、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の硬化物である接着性構造物に柔軟性を付与することができる。具体的には、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物と前記オキセタン化合物同士、及び前記オキセタン化合物同士の少なくともいずれかが重合し、鎖状に長くなる程、高い柔軟性を付与することができる。前記オキセタン化合物に代えて、従来のアクリロニトリル共重合体(ゴム)や(メタ)アクリルモノマーなどを用いた場合は、組成物の粘度が高くなってしまい、インクジェット印刷法の吐出の適した粘度の組成物が得難いという問題や、熱硬化反応し得る材料が限られてしまうという問題があった。そのため、インクジェット印刷法で吐出可能な粘度とすることができ、かつ低分子量のモノマーから熱硬化反応により架橋するという点で、前記接着性構造物形成用硬化性組成物が、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物を含有することが重要である。
【0025】
前記オキセタン化合物(モノマー)としては、前記接着性構造物形成用硬化性組成物をインクジェット印刷法により吐出可能な粘度とすることができれば、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、下記一般式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
【化4】
前記一般式(3)において、R
3は一価の有機基を表す。
【0027】
前記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、下記構造式10~構造式15のいずれかで表される化合物などが挙げられる。
【化5】
【0028】
【化6】
前記一般式(4)において、R
4は2価の炭化水素基、R
5-O-R
6、又はR
5-O-R
6-O-R
7からなるエーテル基を含む2価の有機基を表す。R
5、R
6、及びR
7はそれぞれ独立して、炭化水素基を表す。R
5、R
6、及びR
7は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0029】
前記一般式(4)で表される化合物の具体例としては、下記構造式16~構造式18のいずれかで表される化合物などが挙げられる。
【化7】
(ただし、構造式17において、nは1又は2の整数を表す。)
【0030】
これらの中でも、前記オキセタン化合物としては、構造式10で表される化合物、構造式12で表される化合物、構造式16で表される化合物、及び構造式17で表される化合物からなる群より選択される少なくともいずれかを含有することが、インクジェット印刷法により吐出可能な粘度とすることができ、かつ前記接着性構造物形成用硬化性組成物の硬化物である接着性構造物の接着性及び柔軟性が良好である点で好ましい。
【0031】
前記オキセタン化合物としては、前記接着性構造物の柔軟性の点で、該オキセタン化合物単独の硬化物のガラス転移点(Tg)が100℃以下であることが好ましい。
前記オキセタン化合物単独の硬化物のガラス転移点(Tg)は、例えば、オキセタン化合物に熱重合開始剤としてサンエイドSI-150(三新化学工業株式会社製)を1質量%添加し、これを2枚のガラス間に注入した後、100℃で2時間加熱し、更に200℃で1時間加熱し、更に260℃で5分間熱硬化処理した後、硬化物を2枚のガラスから剥離して作製した測定用サンプルを用いて、レオメーター(ARES-G2、TAインスツルメント製)で、下記測定条件に設定して測定することができる。
[測定条件]
・測定方法:Torsion振動
・測定用サンプルセット:10gfテンション(Gap可変:初期値約10mm)
・歪条件:最低トルク0.3g・cm(歪可変:初期値0.05%、最大値1%)
・温度:25℃~300℃、20℃/分間
・サンプル形状:約20mm×5mm(厚さ:100μm)
【0032】
また、前記オキセタン化合物は、光硬化性及び熱硬化性を付与する点で、オキセタンアクリレート基を有するオキセタンアクリレートを含有することが好ましい。前記オキセタン化合物がオキセタンアクリレートを含有することで、光硬化及び熱硬化を併用する場合に、良好な接着力が得られる。前記オキセタンアクリレートとしては、前記構造式15で表される化合物を含有することが好ましい。
【0033】
前記オキセタン化合物は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。
前記オキセタン化合物の市販品としては、例えば、アロンオキセタンOXT-101、アロンオキセタンOXT-212、アロンオキセタンOXT-121、アロンオキセタンOXT-221(以上、東亜合成株式会社製)、ETERNACOLL(登録商標)HBOX、OXBP、OXIPA(以上、宇部興産株式会社製)、OXE-10((3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート)、OXE-30((3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート)、MEDOL-10((3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート)(以上、大阪有機化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0034】
前記接着性構造物形成用硬化性組成物における前記オキセタン化合物の含有量としては、前記接着性構造物形成用硬化性組成物をインクジェット印刷法により吐出可能な粘度とすることができる限り、特に制限はなく、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の種類などに応じて、適宜選択することができるが、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下がより好ましい。前記オキセタン化合物の含有量が10質量%以上であると、前記接着性構造物形成用硬化性組成物により得られる接着性構造物の柔軟性が良好であり、また前記接着性構造物形成用硬化性組成物をインクジェット印刷法による吐出に好適な低粘度とすることができ、60質量%以下であると、前記接着性構造物形成用硬化性組成物により得られる接着性構造物の耐熱性及び接着性が良好である。
【0035】
前記オキセタン化合物の含有量は、前記接着性構造物形成用硬化性組成物が前記その他の成分を含む場合、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の全質量に対する含有量である。
【0036】
<<カチオン重合開始剤>>
前記カチオン重合開始剤は、熱カチオン重合開始剤と、光カチオン重合開始剤とを含む。
エポキシ系樹脂からなる接着性構造物を得る場合は、前記接着性構造物形成用硬化性組成物に熱カチオン重合開始剤を含有させ、2つの接着対象物となる基板間に形成した前記接着性構造物形成用硬化性組成物を熱硬化により接着することができる。また、基板材料が光透過性の場合は光カチオン重合開始剤を含有させ、光照射により接着性構造物形成用硬化性組成物を光硬化することもできる。更に、熱カチオン重合開始剤と光カチオン重合開始剤を混合することで、熱及び光の両方を用いた硬化接着方法を採用することもできる。
【0037】
-熱カチオン重合開始剤-
前記熱カチオン重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スルホニウムイオンやヨードニウムイオンをカチオン部とするオニウム塩等の光酸発生剤などが挙げられる。これらの中でも、前記熱カチオン重合開始剤としては、カチオン部がスルホニウムイオンであることが好ましい。また、アニオン部は金属部への腐食性が少ないアニオン部を有する化合物が好ましい。
前記アニオン部(発生酸)の具体例としては、B(C6F5)4、PF3(C2F5)3などの化合物が挙げられる。
【0038】
前記熱カチオン重合開始剤は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。
前記熱カチオン重合開始剤の市販品としては、例えば、サンエイドSI-60、サンエイドSI-80、サンエイドSI-100、サンエイドSI-110、サンエイドSI-150(以上、三新化学工業株式会社製)、TA-100、TA-100FG、IK-1、IK-1FG(サンアプロ株式会社製)Omnicat 250(former Irgacure 250)、Omnicat 270(former Irgacure 270)(以上、IGM Resins B.V.社製)などが挙げられる。
【0039】
前記接着性構造物形成用硬化性組成物における前記熱カチオン重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。前記熱カチオン重合開始剤の含有量が0.1質量%以上10質量%以下であると、適性に硬化反応を完了させることができ、未反応分が反応性不純物として残量しにくい。
【0040】
-光カチオン重合開始剤-
前記光カチオン重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スルホニウムイオンやヨードニウムイオンをカチオン部とするオニウム塩等の光酸発生剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記光カチオン重合開始剤としては、金属部への腐食性が少ないアニオン部を有する化合物が好ましい。
前記光カチオン重合開始剤の具体例としては、アニオン部(発生酸)がB(C6F5)4、PF3(C2F5)3などの化合物が挙げられる。
【0041】
前記光カチオン硬化開始剤は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。
前記光カチオン硬化開始剤の市販品としては、例えば、CPI(登録商標)-110P、CPI(登録商標)-110A、CPI(登録商標)-210S、CPI(登録商標)-110B、CPI(登録商標)-310B、CPI(登録商標)-410B、CPI(登録商標)-310FG、IK-1FG(以上、サンアプロ株式会社製)などが挙げられる。
【0042】
なお、前記カチオン重合開始剤の含有量は接着性構造物に含有される反応残留物(例えば、スルフィド)の含有量により確認することができる。前記接着性構造物の各材料構成は、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)、リアルタイム質量分析(DART-MS)で分析可能である。
【0043】
<<その他の成分>>
前記接着性構造物形成用硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない限り、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物以外のその他の成分を含有していてもよい。
前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物は低分子量であることにより、室温(約25℃)において低粘度であるため、他の添加材料及び配合比率の選択幅が向上し、これにより用途に合わせた接着性構造物形成用硬化性組成物の最適化が容易である。
【0044】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物以外のモノマー、シリコーン化合物、無機粒子、樹脂及び/又は樹脂粒子、密着改良剤、前記カチオン重合開始剤以外の重合開始剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
-グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物以外のモノマー-
前記接着性構造物形成用硬化性組成物が前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物以外のモノマーを含有すると、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物と前記オキセタン化合物との相溶性を向上することができる。また、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の粘度をより適度な粘度に調整しやすく、これにより前記接着性構造物形成用硬化性組成物の硬化物である接着性構造物の膜弾性を調整しやすく、更に接着性を向上することができる。また、光硬化機能を付与することもできる。
【0046】
前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物以外のモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、(メタ)アクリレートモノマー、ウレタンモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記接着性構造物形成用硬化性組成物は、前記脂環式エポキシ化合物又は前記グリシジルエーテル型エポキシ化合物を含有することが、該接着性構造物形成用硬化性組成物の粘度を調整できる点、及び該接着性構造物形成用硬化性組成物の硬化物である接着性構造物の接着強度の点で好ましい。
【0047】
前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物以外のモノマーの含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の全質量に対して、1質量%以上60質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下がより好ましく、5質量%以上30質量%以下が更に好ましい。前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物以外のモノマーの含有量が1質量%以上60質量%以下であると、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物との相溶性に優れ、粘度を低くすることができる点で好ましく、5質量%以上30質量%以下であると、主成分である前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物の硬化物の特性を損なうことなく硬化物である接着性構造物を得ることができる点で好ましい。
【0048】
--脂環式エポキシ化合物--
前記脂環式エポキシ化合物は、硬化反応が速いため、前記接着性構造物の製造効率を向上することができ、また、前記脂環式エポキシ化合物の硬化物のガラス転移点(Tg)が高いため、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の硬化物である接着性構造物に耐熱性を付与することができる。
【0049】
前記脂環式エポキシ化合物(モノマー)としては、前記接着性構造物形成用硬化性組成物をインクジェット印刷法により吐出可能な粘度とすることができれば、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、下記一般式(5)で表される化合物、下記一般式(6)で表される化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
【化8】
前記一般式(5)において、X及びYはそれぞれ独立して、芳香族性を有しない、飽和又は不飽和の炭素環を1以上含む炭化水素を表し、nは0~3の整数を表す。X及びYの炭素環の炭素には、0個、1個、又は2個の一価の有機基が結合している。X及びYは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0051】
これらの中でも、前記一般式(5)で表される化合物としては、下記一般式(5a)で表される化合物が好ましい。
【化9】
前記一般式(5a)において、X1及びY1はそれぞれ独立して、5員環又は6員環の飽和炭素環を表す。X1及びY1の炭素環の炭素には、0個、1個、又は2個の一価の有機基が結合している。X1及びY1は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0052】
前記一般式(5)で表される化合物の具体例としては、下記構造式19~構造式26のいずれかで表される化合物などが挙げられる。
【化10】
【0053】
【化11】
前記一般式(6)において、X及びYはそれぞれ独立して、芳香族性を有しない、飽和又は不飽和の炭素環を1以上含む炭化水素を表し、Zは脂環式炭化水素又は1官能の脂環式エポキシを表し、mは0又は1の整数を表す。X及びYの炭素環の炭素には、0個、1個、又は2個の一価の有機基が結合している。X及びYは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0054】
これらの中でも、前記一般式(6)で表される化合物としては、下記一般式(6a)で表される化合物が好ましい。
【化12】
前記一般式(6a)において、X1及びY1はそれぞれ独立して、5員環又は6員環の飽和炭素環を表す。X1及びY1の炭素環の炭素には、0個、1個、又は2個の一価の有機基が結合している。X1及びY1は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0055】
前記一般式(6)で表される化合物及び前記一般式(6a)で表される化合物の具体例としては、下記構造式27~構造式32のいずれかで表される化合物などが挙げられる。
【化13】
【0056】
更に、前記脂環式エポキシ化合物として、下記構造式33で表される化合物、下記構造式34で表される化合物、下記構造式35で表される化合物などが挙げられる。
【化14】
(ただし、前記構造式34において、nは1又は2の整数を表す。)
【0057】
これらの中でも、前記脂環式エポキシ化合物としては、構造式20で表される化合物、構造式22で表される化合物、構造式27で表される化合物、構造式28で表される化合物、及び構造式29で表される化合物からなる群より選択される少なくともいずれかを含有することが、インクジェット印刷法により吐出可能な粘度とすることができ、かつ接着性及び耐熱性が良好である点で好ましい。
【0058】
前記脂環式エポキシ化合物は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。
前記脂環式エポキシ化合物の市販品としては、例えば、エポカリックTHI-DE、エポカリックDE-102、エポカリックDE-103、VNBB-ME(以上、ENEOS株式会社製)、DCPD-DE(日本材料技研株式会社製)、セロキサイド(CEL)8010P、CEL2010P、CEL2081、CEL2000(以上、株式会社ダイセル製)などが挙げられる。
【0059】
--グリシジルエーテル型エポキシ化合物--
前記グリシジルエーテル型エポキシ化合物(モノマー)としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、アリルジグリシジルエーテル、ビスフェノール型ジグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
前記グリシジルエーテル型エポキシ化合物の具体例としては、下記構造式36から構造式43のいずれかで表される化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【化15】
(ただし、前記構造式36おいて、nは12を表す。また、構造式38において、nは9を表す)
【0061】
前記グリシジルエーテル型エポキシ化合物は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。
前記グリシジルエーテル型エポキシ化合物の市販品としては、例えば、リカレジンDME-100(新日本理化株式会社製)、エポライトM-1230、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF(以上、共栄社化学株式会社製)、ショウフリー(登録商標)PETG、ショウフリー(登録商標)BATG(以上、昭和電工株式会社製)デナコールEX-614B、デナコールEX-313、デナコールEX-512、デナコールEX-321、デナコールEX-321L、デナコールEX-612、デナコールEX-614、デナコールEX-622、デナコールEX-314、デナコールEX-421、デナコールEX-521、デナコールEX-411、デナコールEX-171、デナコールEX-146、デナコールEX-121、デナコールEX-141、デナコールEX-145、デナコールEX-147、デナコールEX-192、デナコールEX-731、デナコールEX-991L(以上、ナガセケムテックス株式会社製)、YL9028(三菱化学株式会社製)、エポゴーセー(登録商標)OCR-EP、エポゴーセー(登録商標)NPG(D)、DY-BP、エポゴーセー(登録商標)HD(D)(以上、四日市合成株式会社製)などが挙げられる。
【0062】
--(メタ)アクリレートモノマー--
前記(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に制限はなく、一般的な光重合型又は熱重合型(メタ)アクリルレートモノマーの中から目的に応じて適宜選択することができる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
前記(メタ)アクリルレートモノマーは、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。
前記(メタ)アクリルレートモノマーの市販品としては、例えば、AOMA(登録商標)(日本触媒株式会社製)、HEA(ヒドロキシエチルアクリレート)、HPA(ヒドロキシプロピルアクリレート)、4-HBA(4-ヒドロキシブチルアクリレート)、AIB(イソブチルアクリレート)、TBA(t-ブチルアクリレート)、NOAA(n-オクチルアクリレート)、INAA(イソノニルアクリレート)、ビスコート#197(ノニルアクリレート)、IDAA(ノニルアクリレート)、LA(ラウリルアクリレート)、STA(ステアリルアクリレート)、ISTA(イソステアリルアクリレート)、IBXA(イソボルニルアクリレート)、ビスコート#155(シクロヘキシルアクリレート)、ビスコート#196(3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート)、ビスコート#160(ベンジルアクリレート)、ビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート)、ビスコート#150(テトラヒドロフルフリルアクリレート)、ビスコート#190(エチルカルビトールアクリレート)、2-MTA(メトキシエチルアクリレート)、ビスコート#MTG(メトキシトリエチレングリコールアクリレート)、ビスマーMPE400A(メトキシポリエチレングリコールアクリレート)、ビスマーMPE550A(メトキシポリエチレングリコールアクリレート)、ビスコート#200(環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート)(以上、大阪有機化学工業株式会社製)、A-LEN-10(エトキシ化-o-フェニルフェノールアクリレート)、AM-90G(エトキシ化-o-フェニルフェノールアクリレート)、AM-130G(エトキシ化-o-フェニルフェノールアクリレート)、AMP-20GY(エトキシ化-o-フェニルフェノールアクリレート)、A-SA(2-アクリロイルオキシエチルコハク酸)、701A(2-ヒドロキシ-3-メタクリルプロピルアクリレート)、A-200(ポリエチレングリコール#200ジアクリレート)、A-400(ポリエチレングリコール#400ジアクリレート)、A-600(ポリエチレングリコール#600ジアクリレート)、A-100(ポリエチレングリコール#100ジアクリレート)、ABE-300(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート)、A-BPE-10(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート)、A-BPE-20(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート)、A-BPE-4(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート)、A-DCP(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、A-DOD-N(1,10-デカンジオールジアクリレート)、A-HD-N(1,6-ヘキサンジオールジアクリレート)、A-NOD-N(1,6-ヘキサンジオールジアクリレート)、APG-200(トリプロピレングリコールジアクリレート)、APG-400(ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート)、APG-700(ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート)、A-PTMG-65(ポリテトラメチレングリコール#650ジアクリレート)、A-9300(ポリテトラメチレングリコール#650ジアクリレート)、A-GLY-9E(エトキシ化グリセリントリアクリレート)、A-GLY-20E(エトキシ化グリセリントリアクリレート)、A-TMM-3(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート)、A-TMM-3L(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート)、A-TMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート)、AD-TMP(ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート)、ATM-35E(エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート)、A-TMMT(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)、A-9550(ジペンタエリスリトールポリアクリレート)、A-DPH(5官能~6官能(アルコキシ化)ジペンタエリスリトールポリアクリレート)(以上、新中村化学工業株式会社製)、SR440(イソオクチルアクリレート)、SR849D(トリデシルアクリレート)、SR395(イソデシルアクリレート)(以上、巴工業株式会社製)などが挙げられる。
【0064】
--ウレタンモノマー--
前記ウレタンモノマーとしては、特に制限はなく、一般的なウレタンモノマーの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタンアクリレートモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
前記ウレタンモノマーは、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。
前記ウレタンモノマーの市販品としては、例えば、UF-3003、UF-3003M、UF-3007、UF-3007M、UF-3123M(以上、共栄社化学株式会社製)などが挙げられる。
【0066】
-シリコーン化合物-
前記シリコーン化合物としては、特に制限はなく、一般的なシリコーン化合物の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリジメチルシロキサンの片末端又は両末端に反応基を有するシリコーン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0067】
前記シリコーン化合物は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。
前記シリコーン化合物の市販品としては、例えば、サイラプレーン(登録商標)FM-3311、FM-3321、FM-3325(以上、JNC株式会社製)、STP-103-UV、STP-104-UV(以上、信越シリコーン株式会社製)などが挙げられる。
【0068】
前記シリコーン化合物の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の全質量に対して、1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下がより好ましく、5質量%以上30質量%以下が更に好ましい。前記シリコーン化合物の含有量が1質量%以上50質量%以下であると、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物との相溶性に優れ、粘度を低くすることができる点で好ましく、5質量%以上30質量%以下であると、主成分である前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物の硬化物の特性を損なうことなく硬化物である接着性構造物を得ることができる点でより好ましい。
【0069】
-無機粒子-
前記接着性構造物形成用硬化性組成物が前記無機粒子を含有すると、前記接着性構造物の線膨張係数をより低減し、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の硬化物である接着性構造物の強度をより向上することができる。
前記無機粒子としては、特に制限はなく、公知の無機粒子の中から適宜選択することができ、例えば、セラミック材料、金属材料、磁性体粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0070】
前記セラミック材料としては、例えば、シリカ(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)などが挙げられる。前記セラミック材料は、樹脂材料に比べて線膨張係数が小さく、ガラス転移点が高いため、前記接着性構造物の線膨張係数を低減すると共に、高温状態での膜強度を向上する効果が得られるため、前記接着性構造物が高温状態となった時の熱膨張を抑制する機能を付与することができる。
【0071】
前記金属材料としては、例えば、Au、Ag、Pd、Cu、Ni、Pt、Fe、Co等の金属;Sn/Pb、Sn/Ag/Cu等の半田材料などが挙げられる。前記金属材料粒子により導電性を付与ことができる。
【0072】
前記磁性体粒子としては、例えば、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)などが挙げられる。前記磁性体粒子は、電磁波をシールドする機能を付与することができる。
【0073】
前記無機粒子は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。
前記無機粒子の市販品としては、例えば、AEROSIL(登録商標)OX50、AEROSIL(登録商標)50、AEROSIL(登録商標)90G、AEROSIL(登録商標)130、AEROSIL(登録商標)150、AEROSIL(登録商標)200、AEROSIL(登録商標)300、AEROSIL(登録商標)380、AEROSIL(登録商標)RM50、AEROSIL(登録商標)R711、AEROSIL(登録商標)R7200、AEROXIDE(登録商標)P25、AEROXIDE(登録商標)P90 AluC(以上、日本アエロジル株式会社製)、シーホスター(登録商標)KE-S10、シーホスター(登録商標)KE-S30、シーホスター(登録商標)KE-S50(以上、日本触媒株式会社製)などが挙げられる。
【0074】
前記無機粒子の1次平均粒径(D50)としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、0.1μm以上5μm以下が好ましく、0.1μm以上1μm以下がより好ましい。前記無機粒子の1次平均粒径(D50)が0.1μm以上であると、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の粘度の増加を抑制することができ、5μm以下であると、インクジェット印刷法により吐出する際の微小ノズル穴が詰まりにくい。
前記無機粒子の1次平均粒径(D50)は、動的画像解析法、動的光散乱法(DLS)などにより測定することができる。
【0075】
前記接着性構造物形成用硬化性組成物における前記無機粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の全質量に対して、5質量%以上70質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下がより好ましい。前記無機粒子の含有量が5質量%以上であると、線熱膨張及び膜強度の効果を得やすく、70質量%以下であると、前記接着性構造物が脆くなりにくく、また前記接着性構造物形成用硬化性組成物の粘度の増加を抑制できるためインクジェット印刷法に好適に用いることができる。
【0076】
-樹脂及び/又は樹脂粒子-
前記接着性構造物形成用硬化性組成物が前記樹脂及び又は樹脂粒子を含有すると、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の硬化物である接着性構造物に、柔軟性、耐熱性、及び接着性をより向上することができ、熱応力をより緩和させることができる。また、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の粘度をより適度な粘度に調整しやすく、これにより前記接着性構造物形成用硬化性組成物の硬化物である接着性構造物の弾性を調整しやすい。
【0077】
前記樹脂及び/又は樹脂粒子としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、熱応力を緩和するためにガラス転移点(Tg)が低いものが好ましく、ガラス転移点(Tg)が30℃以下程度と、室温と同程度であるものがより好ましい。
前記樹脂及び/又は樹脂粒子のガラス転移点(Tg)は、熱分析法(TG-DTA、DSCなど)で測定することができる。
【0078】
このような前記樹脂及び/又は樹脂粒子としては、低弾性及び柔軟性の少なくともいずれかの性質を有する直鎖状のポリマーを有する材料が好ましく、例えば、スチレンブタジエン系樹脂、アクリルニトリルブタジエン樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、前記多官能の脂環式エポキシ化合物からなら樹脂以外のエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、エステル系樹脂、ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、スチレン系樹脂、セルロース系樹脂、アミド系樹脂、(メタ)アクリル樹脂、メラミン樹脂、フッ素系樹脂、及びこれらの複数種の混合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。更に、アクリル系共重合体内部にゴム状ポリマーを配したコアシェル型の多層構造のポリマー粒子でもよい。これらの中でも、前記樹脂及び/又は樹脂粒子としては、スチレンブタジエン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、前記脂環式エポキシ化合物からなる樹脂以外のエポキシ樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂が、耐熱性が良好であるため好ましい。
【0079】
ここで、前記樹脂及び/又は樹脂粒子が「低弾性」であるとは、弾性率500MPa以下の材料を意味する。
前記樹脂及び/又は樹脂粒子の弾性率は、例えば、微小硬度計(例えば、FISCHERSCOPE(登録商標)HM2000、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)で押し込み弾性率を測定することにより確認することができる。
【0080】
また、前記樹脂及び/又は樹脂粒子が「柔軟性」を有するとは、弾性変形仕事率が70%以上の材料を意味する。
前記樹脂及び/又は樹脂粒子の弾性変形仕事率は、例えば、微小硬度計(例えば、FISCHERSCOPE(登録商標)HM2000、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)で押し込み弾性率を測定することにより確認することができる。
【0081】
前記樹脂及び/又は樹脂粒子は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。
前記樹脂の市販品としては、例えば、アルフォン(登録商標)US-1000、アルフォン(登録商標)UH-2000、アルフォン(登録商標)UC-3000、アルフォン(登録商標)UG-4000、アルフォン(登録商標)UF-5000、アルフォン(登録商標)US-600などが挙げられる。
【0082】
前記樹脂粒子の市販品としては、例えば、カネエース(登録商標)MX-150、カネエース(登録商標)MX-553(以上、株式会社カネカ製)、ファインスフェア(登録商標)MG-155、ファインスフェア(登録商標)MG-351、ファインスフェア(登録商標)MG-451、ファインスフェア(登録商標)MG-651、ファインスフェア(登録商標)PZP-1003、ファインスフェア(登録商標)BGK-001(以上、日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製)、メタブレン(登録商標)C-223A、メタブレン(登録商標)C-215AC-201A、メタブレン(登録商標)C-140A、メタブレン(登録商標)E-860A、メタブレン(登録商標)E-870A、メタブレン(登録商標)E-875A、メタブレン(登録商標)W-300A、メタブレン(登録商標)W-450A、メタブレン(登録商標)W-600A、メタブレン(登録商標)W-377、メタブレン(登録商標)S-2002、メタブレン(登録商標)S-2006、メタブレン(登録商標)S-2501、メタブレン(登録商標)S-2030、メタブレン(登録商標)S-2100、メタブレン(登録商標)S-2200、メタブレン(登録商標)SRK200A、メタブレン(登録商標)SX-006、メタブレン(登録商標)SX-00(以上、三菱ケミカル株式会社製)、ゼフィアック F351、スタフィロイド AC-3355、AC-3816N、AC-3832SD、AC-4030、AC-3388(以上、アイカ工業株式会社製)などが挙げられる。
【0083】
前記樹脂粒子の1次平均粒径(D50)としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、0.1μm以上5μm以下が好ましく、0.1μm以上1μm以下がより好ましい。前記樹脂粒子の1次平均粒径(D50)が0.1μm以上であると、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の粘度の増加を抑制することができ、5μm以下であると、インクジェット印刷法により吐出する際の微小ノズル穴が詰まりにくい。
前記樹脂粒子の1次平均粒径(D50)は、動的画像解析法、動的光散乱法(DLS)などにより測定することができる。
【0084】
前記接着性構造物形成用硬化性組成物における前記樹脂粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の全質量に対して、1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下がより好ましく、3質量%以上20質量%以下が更に好ましい。前記樹脂粒子の含有量が1質量%以上であると、更に熱応力を好適に緩和することができ、50質量%以下であると、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の粘度の増加を抑制できるためインクジェット印刷法に好適に用いることができ、また高温時においてバブルやボイドの原因となりにくい。
【0085】
-密着改良剤-
前記接着性構造物形成用硬化性組成物が前記密着改良剤を含有すると、前記接着性構造物の接着性を向上させることができる。
前記密着改良剤としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、有機物及びケイ素を含有し、分子中に2種以上の異なった反応基を有するシランカップリング剤が、接着対象物(特に、半導体及び基板)との接着性を向上することができるため、特に好ましい。
【0086】
前記密着改良剤は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。
前記密着改良剤の市販品としては、例えば、DOWSIL Z-6040、DOWSIL Z-6062(以上、DOW社製)、KBM-403(信越シリコーン株式会社製)などが挙げられる。
【0087】
前記接着性構造物形成用硬化性組成物における前記密着改良剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記密着改良剤の含有量が0.1質量%以上であると、密着効果を得ることができ、20質量%以下であると、前記接着性構造物形成用硬化性組成物により得られる硬化物である接着性構造物の強度の低下を抑制できる。
【0088】
-溶媒-
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テルピネオール、1-メトキシ-2-プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸2-メトキシエチル、酢酸2-メトキシブチル、2-ブタノンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0089】
前記接着性構造物形成用硬化性組成物における前記溶媒の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の粘度が適性であれば含有しないことが好ましい。
前記接着性構造物形成用硬化性組成物が前記溶媒を添加する場合は、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の全質量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記溶媒の含有量が1質量%以上であると、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の溶媒成分の管理が容易となると共に、粘度を低粘度化することができ、インクジェット印刷法に好適に用いることができ、10質量%以下であると、高温時においてバブルやボイドの原因となりにくい。
【0090】
--カチオン重合開始剤以外の重合開始剤--
前記カチオン重合開始剤以外の重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤などが挙げられる。前記光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルフェノン化合物、アシルフォスシンオキサイド化合物、オキシフェニル酢酸エステル化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0091】
前記光ラジカル重合開始剤は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。
前記光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、Omnirad 184(former Irgacure 184)、Omnirad 651(former Irgacure 651)、Omnirad 1173(former Irgacure 1173)、Omnirad 2959(former Irgacure 2959)、Omnirad 369(former Irgacure 369)、Omnirad 907(former Irgacure 907)、Omnirad BMS、Omnirad DETX、Omnirad TPO H(former Irgacure TPO)、Omnirad 819(former Irgacure 819)(以上、IGM Resins B.V.製)、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、Irgacure OXE03、Irgacure OXE04(以上、BASFジャパン株式会社製)などが挙げられる。
【0092】
前記接着性構造物形成用硬化性組成物における前記光重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の全質量に対して、0.1質量%以上0質量%以下が好ましく、0.2質量%以上2質量%以下がより好ましい。前記光重合開始剤の含有量が0.1質量%以上10質量%以下であると、適性に硬化反応を完了させることができ、未反応分が反応性不純物として残量しにくい。
【0093】
(接着性構造物及び硬化物)
本発明の接着性構造物は、グリシジルアミン型エポキシユニット及びオキセタンユニットを有する樹脂と、カチオン重合開始剤由来の成分と、を含有し、かつ、前記グリシジルアミン型エポキシユニットの、前記樹脂における含有量が10質量%以上であり、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0094】
本発明の硬化物は、接着性構造物形成用硬化性組成物を硬化させてなるものである。したがって、本発明の硬化物は、前記接着性構造物と同様の構成を有しており、グリシジルアミン型エポキシユニット及びオキセタンユニットを有する樹脂と、カチオン重合開始剤由来の成分と、を含有し、かつ、前記グリシジルアミン型エポキシユニットの、前記樹脂における含有量が10質量%以上であり、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0095】
以下に、本発明の接着性構造物の説明と併せて、本発明の硬化物について説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、又は削除などの当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用及び効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0096】
前記接着性構造物は、前記構成により、接着性、耐熱性、及び柔軟性に優れた接着性能を有するものである。特に、前記接着性構造物が、2つの接着対象物の接着に用いられ、該2つの接着対象物に線膨張係数差がある場合、ヒートサイクルにより熱応力が発生する部位への接着や、100℃以上の高温環境で使用される部位の接着に使用される場合であっても、接着性及び接続不良が発生しにくいという利点を有する。また、前記接着性構造物は、薄膜に形成された場合でも接着性、耐熱性、及び柔軟性に優れる。
【0097】
前記接着性構造物は、前記グリシジルアミン型エポキシユニット及び前記オキセタンユニットを有する樹脂を含有する。
前記グリシジルアミン型エポキシユニットは、前記接着性構造物形成用硬化性組成物中の前記グリシジルアミン型エポキシ化合物を硬化させた硬化物である。また、前記オキセタンユニットは、前記接着性構造物形成用硬化性組成物中の前記オキセタン化合物を硬化させた硬化物である。したがって、前記グリシジルアミン型エポキシユニット及び前記オキセタンユニットを有する樹脂は、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物と、前記オキセタン化合物とのカチオン重合硬化物である。
【0098】
前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の硬化物は、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物のエポキシ基が前記カチオン重合開始剤により開環し、重合することで架橋して得られる。以下に、カチオン重合開始剤を用いたエポキシ化合物の硬化反応のスキームの一例を示す。
【化16】
【0099】
前記グリシジルアミン型エポキシユニットの、前記樹脂における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、10質量%以上が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましく、15質量%以上30質量%以下が更に好ましい。前記グリシジルアミン型エポキシユニットの、前記樹脂における含有量が10質量%以上であると、前記接着性構造物の耐熱性及び接着性が良好である。
【0100】
前記オキセタン化合物の硬化物は、前記オキセタン化合物のオキセタン基が前記カチオン重合開始剤により開環し、重合することで架橋して得られる。以下に、カチオン重合開始剤を用いたオキセタン化合物の硬化反応のスキームの一例を示す。
【化17】
前記オキセタン化合物の硬化反応のスキームにおけるオキセタン化合物は前記一般式(3)で表される化合物であり、R
8はエチル基を表し、R
9は-CH
2-O-R
5を表し、R
5は一価の有機基を表す。
【0101】
前記オキセタンユニットの、前記樹脂における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下がより好ましい。前記オキセタンユニットの、前記樹脂における含有量が10質量%以上であると、前記接着性構造物の柔軟性が良好であり、60質量%以下であると、前記接着性構造物の耐熱性及び接着性が良好である。
【0102】
本明細書において、前記カチオン重合開始剤由来の成分とは、カチオン重合開始剤そのもの、該カチオン重合開始剤が塩の場合は塩を構成する各イオン、又は開始反応が起こった後の化学構造変化物である。例えば、前記カチオン重合開始剤として三新化学工業株式会社製のサンエイドSI-100(置換アリールアルキルスルウホニウム 六フッ化アンチモン酸)を用いた場合は、サンエイドSI-100そのもの、置換アリールアルキルスルホニウムイオン、六フッ化アンチモン酸イオン、又は置換アリールアルキルスルフィドが前記カチオン重合開始剤由来の成分に該当する。
【0103】
前記カチオン重合開始剤由来の成分の、前記接着性構造物における含有量としては、特に制限はなく、前記カチオン重合開始剤などに応じて、適宜選択することができる。
【0104】
前記接着性構造物は、前記グリシジルアミン型エポキシユニット及び前記オキセタンユニットを有する樹脂と、前記カチオン重合開始剤由来の成分と、を含有し、前記グリシジルアミン型エポキシユニットの、前記樹脂における含有量が10質量%以上である、接着性を有する接着部のみからなるものであってもよいが、前記接着部の他にパターン調整部を有することが好ましく、更に熱伝導部を有していてもよく、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
なお、前記接着性構造物の形状は、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)を用いた断面方向及び平面方向のマッピング解析などにより確認することができる。
【0105】
<<接着部>>
前記接着部は、接着対象物と接着可能な部材である。前記接着部は、前記グリシジルアミン型エポキシユニット及び前記オキセタンユニットを有する樹脂と、前記カチオン重合開始剤由来の成分と、を含有し、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の含有量が10%以上である。
【0106】
前記接着部は、前記接着性構造物形成用硬化性組成物が含有するその他の成分や、該その他の成分におけるモノマー成分の硬化物を含有していてもよい。
【0107】
前記接着部の弾性率(前記接着性構造物が前記接着部のみからなる場合は、前記接着性構造物の弾性率)としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、500MPa以上10,000MPa以下が好ましく、500MPa以上5,000MPa以下がより好ましい。前記接着部の弾性率が、500MPa以上であると、該接着部の鋼性に優れ、10,000MPa以下であると脆性破壊しにくい。
前記接着部の弾性率は、例えば、ガラス表面に成膜及び硬化した前記接着部の膜について、微小硬度計(例えば、FISCHERSCOPE(登録商標)HM2000、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)で押し込み弾性率を測定することより確認することができる。
【0108】
前記接着部のガラス転移点(Tg)(前記接着性構造物が前記接着部のみからなる場合は、前記接着性構造物のガラス転移点(Tg))としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、耐熱性の点で、80℃以上であることが好ましい。前記接着部のガラス転移点(Tg)が80℃以上であると、高温環境での接着性に優れる。
前記接着部のガラス転移点(Tg)は、例えば、前記接着性構造物形成用硬化性組成物を2枚のガラス間に注入した後、加熱硬化処理した後、硬化物をガラスから剥離したサンプルについて、レオメーター(ARES-G2、TAインスツルメント製)で、下記測定条件に設定して測定することができる。
[測定条件]
・測定方法:Torsion振動
・測定用サンプルセット:10gfテンション(Gap可変:初期値約10mm)
・歪条件:最低トルク0.3g・cm(歪可変:初期値0.05%、最大値1%)
・温度:25℃~300℃、20℃/分間
・サンプル形状:約20mm×5mm(厚さ:100μm)
【0109】
-接着対象物-
前記接着対象物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、発熱性部品、冷却部品、基板、電極などが挙げられる。
前記発熱性部品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、半導体(ダイ)、半導体パッケージ(ICチップ)、バッテリー、LED、コンデンサー、抵抗、ダイオードなどが挙げられる。これらの中でも、前記発熱性部品としては、近年の高集積化及び高速化に伴い、温度上昇による実装回路の接着及び接続に対する耐熱信頼性が要求されている半導体及び半導体パッケージ(ICチップ)が好ましい。
【0110】
前記冷却部品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記発熱性部品の熱を空冷、液冷、相変化冷却、熱電冷却などにより冷却する部品であることが好ましい。前記冷却部品の具体例としては、ヒートシンク、ヒートパイプ、マイクロチャンネル、ペルチェ素子、放熱シート、ヒートスプレッダーなどが挙げられる。
【0111】
前記基板としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、PCB/PWB/BGA基板(ガラスエポキシ基板、酸化アルミナ等のセラミック基板、銅基板、ポリイミド基板)、リードフレームなどが挙げられる。
【0112】
前記電極としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、Au、Ag、Pd、Cu、Ni、Pt、Fe、Co等の金属、Sn/Pb、Sn/Ag/Cu等の半田材料などが挙げられる。
【0113】
<<パターン調整部>>
前記パターン調整部は、前記接着部の塗工パターン形状を調整及び制御する部材である。前記パターン調整部は、光硬化性樹脂を含有することが好ましい。
【0114】
前記接着性構造物が、前記パターン調整部を有することにより、前記接着部を形成するための接着性構造物形成用硬化性組成物の濡れ広がりや厚さを制御することができ、前記接着部のパターン形成の精度を向上することができる。
【0115】
前記パターン調整部の形状としては、前記接着部の塗工パターン形状を調整及び制御することができれば、特に制限はないが、前記接着部を形成するための接着性構造物形成用硬化性組成物の濡れ広がりや厚さを制御することができる点で、前記接着部の外周に形成すること(前記接着部の形状の外枠になるような構成で形成すること)好ましいが、前記接着部の内部(厚さ方向及び/又は平面方向)に形成してもよい。
【0116】
前記接着性構造物における前記パターン調整部の体積としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、前記接着部の体積の50体積%以下であることが好ましい。前記パターン調整部の体積が、前記接着部の体積の50体積%以下であると、前記接着性構造物の接着性を維持することが容易である。
【0117】
なお、前記パターン調整部は、熱変形応力を抑制する低弾性部として形成されていることが好ましい。本明細書において「低弾性部」とは、前記接着部より弾性率が小さいことを意味する。
【0118】
前記パターン調整部が低弾性部である場合、その弾性率としては、前記接着部より小さい限り、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、前記接着部の弾性率の80%以下であることが好ましく、前記接着部の弾性率の50%以下であることがより好ましい。具体的には、前記パターン調整部が低弾性部である場合、その弾性率としては、3,000MPa以下であることが好ましく、2,000MPa以下であることがより好ましい。前記パターン調整部の弾性率が小さいほど高い応力緩和効果が得られる。
前記パターン調整部の弾性率は、例えば、ガラス表面に成膜及び硬化した前記パターン調整部の膜について、微小硬度計(例えば、FISCHERSCOPE(登録商標)HM2000、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)で押し込み弾性率を測定することにより確認することができる。
【0119】
<<熱伝導部>>
前記熱伝導部は、前記接着性構造物において、厚さ方向に連続して形成されてなる部材である。前記熱伝導部は、厚さ方向に熱を伝導する機能を有する。したがって、前記接着性構造物において、前記熱伝導部をパターン形成することにより、前記接着性構造物の厚さ方向の上下間で、熱伝導特性、放熱特性、及び電気伝導特性を改善することができる。そのため、前記接着性構造物が、発熱性部品、冷却部品、電極などの接着に使用される場合は、前記熱伝導部を有することが好ましい。
【0120】
前記接着部及び/又は前記パターン調整部に囲まれた前記熱伝導部の外周形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直線、円弧、及び楕円弧の組合せ形状などが挙げられる。
【0121】
前記接着性構造物は、一方の表面に露出する、前記熱伝導部の形状及び大きさが、他方の表面に露出する、前記熱伝導部の形状及び大きさと同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0122】
前記熱伝導部の厚さとしては、基本的に前記接着部及び前記パターン調整部と同じに設定されるが、前記熱伝導部の面積(体積)は、放熱設計により最適な値に設定される。
また、前記カーボン材料として、カーボンナノ粒子インク、グラフェンインクなどを用いて塗工形成する場合は、前記熱伝導部の厚さは、1μm以上300μm以下であることが好ましい。
また、前記セラミック材料をセラミック粒子と樹脂を混合したセラミックペーストとして塗工する場合は、前記熱伝導部の厚さは、1μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0123】
前記接着性構造物の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、層状であってもよく、ブロック状であってもよい。
【0124】
本明細書において「層状」とは、厚さが1,000μm以下の場合を示し、ブロック状とは、厚さが1,000μm超の場合を示す。
これらの形状は、目的とする使用態様に応じて適宜選択することができる。例えば、薄膜化が要求される半導体(ダイ)と該半導体(ダイ)に接着する各種材料との接着には、層状の接着性構造物を好適に使用することができる。
【0125】
前記接着性構造物が層状の場合、その厚さとしては、1,000μm以下であるが、1μm以上500μm以下が好ましく、薄型化への要求及び熱抵抗を下げる観点から、1μm以上50μm以下がより好ましく、放熱性の点で1μm以上30μm以下が更に好ましく、1μm以上20μm以下が特に好ましい。前記接着性構造物の厚さを1μm以上30μm以下にすることで、前記接着性構造物を発熱性部品(例えば、半導体)の接着に使用した場合に該発熱性部品の放熱性が向上すると共に、半導体装置の薄型化が可能になる。
【0126】
前記接着性構造物の厚さは、触針計(Alpha-Step D-500、KLA-Tenchore社製)、光学反射分光式測定器(F50 フィルメトリクス社製)などで測定することができる。なお、本明細書において「厚さ」とは、前記触針計で、任意の3箇所について測定し、平均値を算出した「平均厚さ」を意味する。
【0127】
前記接着性構造物の製造方法としては、特に制限はないが、本発明の接着性構造物の製造方法により好適に製造される。
【0128】
次に、本発明の接着性構造物について、図面を用いて詳細に説明するが、本発明の接着性構造物は、これに限られるものではない。
前記接着性構造物は、前述の通り、前記グリシジルアミン型エポキシユニット及び前記オキセタンユニットを有する樹脂と、前記カチオン重合開始剤由来の成分と、を含有し、前記グリシジルアミン型エポキシユニットの、前記樹脂における含有量が10質量%以上である接着部1を有する。また、前記接着性構造物は、更に接着部1のパターン形成を補助するパターン調整部2、接着部1の厚さ方向に連続して形成される熱伝導部3を有する構成とすることができる。
【0129】
図1Aは、本発明の接着性構造物の実施形態1の膜厚方向の断面模式図(平面模式図におけるY軸中心を通るX方向図)であり、
図1Bは、本発明の接着性構造物の実施形態1の平面模式図(上面図)である。なお図中、縦方向をY軸、横方向をX軸とする。本発明の接着層10は、熱硬化又は光硬化、若しくは、熱硬化及び光硬化により接触面と接着して形成される接着部1により形成される。接着部1は少なくともグリシジルアミン型エポキシユニット及びオキセタンユニットを有する樹脂と、カチオン重合開始剤由来の成分と、からなる。前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物に、光硬化の場合は光カチオン重合開始剤を添加し、熱硬化の場合は熱カチオン重合開始剤を添加し、また熱硬化及び光硬化の場合は光カチオン重合開始剤及び熱カチオン重合開始剤を添加した前記接着性構造物形成用硬化性組成物を準備し、基板又は発熱性部品に所望厚さに塗工した後、発熱性部品又は基板を貼り合わせて硬化接着して形成される。接着部1は少なくともグリシジルアミン型エポキシユニット及びオキセタンユニットを有する樹脂と、カチオン重合開始剤由来の成分と、を含有し、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の含有量が10質量%以上であるので、高温時にも接着機能を保持すると共に、熱応力(歪)耐性を有する。
図1Aでは、プリント配線板(BGA)用基板300に前記接着性構造物形成用硬化性組成物を所望厚さに塗工した後、半導体(シリコンチップ)基板200を貼り合わせて硬化接着して形成された例を示す。
【0130】
図2Aは、本発明の接着性構造物の実施形態2の膜厚方向の断面模式図(平面模式図におけるY軸中心を通るX方向図)であり、
図2Bは、本発明の接着性構造物の実施形態2の平面模式図(上面図)である。なお図中、縦方向をY軸、横方向をX軸とする。
接着性構造物の実施形態2は、接着面の外周部にパターン調整部2が形成されている点で、接着性構造物の実施形態1と異なる。
接着性構造物の実施形態2の構成では、外周部のパターン調整部2を、光硬化又は熱硬化、若しくは、光硬化及び熱硬化により形成し、パターン調整部2の内部に熱硬化する接着部1を形成することで、接着性構造物の厚さ調整やパターン形成が容易になる。接着性構造物の実施形態2では、
図2Bに示すように、接着部1の外周端部に四角形状にパターン調整部2を形成した例示であるが、接着部1の形成領域(パターン)を調整する壁や濡れ性制御部として機能するものであれば、どのような形状でも採用できる。
【0131】
図3Aは、本発明の接着性構造物の実施形態3の膜厚方向の断面模式図(平面模式図におけるY軸中心を通るX方向図)であり、
図3Bは、本発明の接着性構造物の実施形態3の平面模式図(上面図)である。
接着性構造物の実施形態3は、接着部1中に厚さ方向に連続する熱伝導部3がパターン調整部2の四角形枠内に形成されていることにおいて、接着性構造物の実施形態2と異なる。
接着性構造物の実施形態3の構成では、熱伝導部3の形成により、放熱効果を付与することができる。また、熱伝導部3を金属材料又はカーボン材料で形成した場合など、熱伝導部3が電気伝導性を兼ねる場合には、放熱効果と共に電気伝導効果を付与することができる。
【0132】
(接着性構造物の製造方法)
本発明の接着性構造物の製造方法は、本発明の接着性構造物形成用硬化性組成物を用いる限り、特に制限はないが、前記接着性構造物形成用硬化性組成物を塗工する工程を含むことが好ましく、更に必要に応じて、その他の工程を含んでいてもよい。
【0133】
前記接着性構造物が、前記接着性構造物形成用硬化性組成物からなる接着部と、前記パターン調整部と、前記熱伝導部とを有する場合は、接着部形成工程と、パターン調整部形成工程と、熱伝導部形成工程を含むことが好ましい。
なお、前記接着性構造物形成用硬化性組成物を塗工する工程は、前記接着部形成工程と同様の方法で行われる。
【0134】
<<接着部形成工程>>
前記接着部形成工程は、接着対象物と接着可能な接着部を形成する工程であり、本発明の接着性構造物形成用硬化性組成物を用いて行われ、前記接着性構造物形成用硬化性組成物をノズルから吐出して接着対象物に塗工し、重合反応することが好ましい。また、前記接着性構造物が前記パターン調整部を有する場合は、前記パターン調整部に隣接するように接着部を形成することが好ましい。前記接着部形成工程において、前記接着性構造物形成用硬化性組成物は、前記接着部を形成するためのインク(接着部形成用インク)として用いられる。
【0135】
前記接着部の塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、スプレーコート法、ノズルコート法、ディスペンスコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェット印刷法等の各種印刷法を用いることができる。これらの中でも、印刷版を用いずにパターン形成が可能であり、非接触で塗膜形成が可能な、スプレーコート法、ディスペンスコート法、インクジェット印刷法は、前記接着部を前記接着対象物の形成面に直接塗工できるため、予め作製した接着部(接着性構造物)をカットして貼り付ける方法に比べ、該接着部(接着性構造物)の薄膜形成が可能となると共に生産性が高い点で好ましい。これらの塗工方法により、前記接着性構造物が、前記接着部以外のパターン調整部や熱伝導部を有する場合であっても、これらのパターンに合わせたオンデマンドな塗工が可能となる。また、前記接着部の塗工方法としては、高精細なパターン形成が可能であり、薄膜で均一性に優れる点で、特にインクジェット印刷法が好ましい。
【0136】
前記接着部が、前記接着性構造物形成用硬化性組成物をインクジェット印刷法により吐出して形成される場合、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の着弾滴を重ねて厚膜化してもよい。
この場合、前記接着性構造物形成用硬化性組成物を、先に着弾させた後述するパターン調整部を形成するためのパターン調整部形成用組成物、及び後述する熱伝導部を形成するための熱伝導部形成用組成物のいずれかに隣接して接着部として単独で積層してもよいし、前記接着性構造物形成用硬化性組成物を、前記パターン調整部形成用組成物、及び前記熱伝導部形成用組成物から選択される組成物(インク)と交互に着弾させて隣接して積層してもよい。これにより、前記接着部を光硬化により形成せずに任意の形状でパターン形成することが可能になる。また、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の光硬化が不要又は光硬化の要求性能が緩和されることで、熱硬化及び接着性に最適化した該接着性構造物形成用硬化性組成物の材料を選定することが可能となる。
【0137】
前記接着部のパターン精度を更に向上するためには、前記接着部を光硬化させながらパターン形成する方法を用いることができる。即ち、前記接着性構造物形成用硬化性組成物をパターニング塗工した液滴を経時において液滴が広がる前に光硬化することで、パターン形成の精度を向上できる。光硬化では半硬化状態にすること、及び/又は光硬化させた液滴を積層し、接触面となる最表面液滴のみ光硬化しない方法を採用することで貼り合わせ時の接着面(最表面液滴)の接着性を維持することができる。
【0138】
特にUV LEDアレイをインクジェットヘッドに搭載したインクジェット印刷システムにより、ジェッティングした着弾滴をUV LEDで即時硬化させることにより高精度なパターン形成が可能となる。インクジェット印刷に適用するインクは微小径ノズルで吐出するため、一般的に5mPa・s以上200mPa・s以下程度の低粘度インクが適している。
【0139】
このような光硬化によるパターン形成を行う場合、前記接着性構造物形成用硬化性組成物は前記光カチオン重合開始剤及び前記熱カチオン重合開始剤の両方を含有することが好ましい。これにより、塗膜をパターン形成する時は光硬化でパターン形成精度を向上し、且つ貼り合わせ後の熱硬化で接着性を向上することができる。
【0140】
<<パターン調整部形成工程>>
前記パターン調整部形成工程は、前記接着部の塗工パターン形状を調整及び制御するパターン調整部を形成する工程である。
前記パターン調整部形成工程は、前記パターン調整部を形成するためのパターン調整部形成用組成物を用いてパターン調整部をパターン形成することが好ましく、前記パターン調整部形成用組成物をノズルから吐出して接着対象物に塗工し、重合反応することが好ましい。また、前記パターン調整部は、前記接着部に隣接するように形成することが好ましい。
【0141】
前記パターン調整部形成工程を行う順序としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、前記パターン調整部形成工程は、前記接着部形成工程の前に行われることが好ましい。これにより、前記パターン調整部形成工程により、前記接着部形成工程の前にパターン調整部又はその一部を形成することができ、前記接着部形成工程において前記接着性構造物形成用硬化性組成物の濡れ広がりや厚さを好適に制御することができる。
【0142】
本明細書において、「パターン形成」(「パターニング形成」とも称する)とは、前記接着部を予め決められた位置及び形状に選択的に配することを意味する。したがって、前記接着性構造物の厚さ方向及び/又は平面方向(前記厚さ方向と略直行する方向)において、前記接着部と前記パターン調整部の疎密分布を形成すること;前記接着性構造物において、前記接着部及び前記パターン調整部を所望形状に意図的(人工的)に形成したことの少なくともいずれかを意味する。したがって、前記「パターン形成」には、任意形状に意図せず(自然発生的に)形成される海島構造は含まれない。
これは前記接着性構造物の製造方法に起因するものであり、前記パターン形成は、前記接着性構造物の製造方法により実現可能である。
【0143】
前記パターン調整部の塗工方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、インクジェット印刷法、スプレーコート法、ノズルコート法、ディスペンスコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法などが挙げられる。これらの中でも、印刷版を用いずにパターン形成が可能であり、非接触で塗膜形成が可能な、スプレーコート法、ディスペンスコート法、インクジェット印刷法が好ましい。これらの塗工方法により、前記パターン調整部及び前記接着部のパターンに合わせたオンデマンドな塗工が可能となる。また、前記パターン調整部の塗工方法としては、高精細なパターン形成が可能であり、薄膜で均一性に優れる点で、特にインクジェット印刷法が好ましい。
【0144】
また、パターン調整部形成用組成物を用いることにより、ワイヤーボンディング、フリップチップ等の配線部において優れた充填性を有しながらパターニング塗工することが可能となり、接着性構造物の剥離起点となるバブルやボイドの発生を抑制することができる点でも有利である。
【0145】
前記パターン調整部のパターン精度を向上するためには、前記接着部形成工程と同様に、前記パターン調整部を光硬化させながらパターン形成する方法を用いることができる。即ち、前記接着性構造物形成用硬化性組成物をパターン塗工した液滴を経時において液滴が広がる前に光硬化することで、パターン形成の精度を向上できる。
【0146】
このような光硬化によるパターン形成を行う場合、前記パターン調整部形成用組成物は前記光重合開始剤及び前記熱重合開始剤の両方を含有することが好ましい。これにより、塗膜をパターン形成する時は光硬化でパターン形成精度を向上し、且つ貼り合わせ後の熱硬化で接着性を向上することができる。
【0147】
-パターン調整部形成用組成物-
前記パターン調整部形成工程において、前記パターン調整部形成用組成物は、前記パターン調整部を形成するためのインク(パターン調整部形成用インク)として用いられる。
前記パターン調整部を形成する前記パターン調整部形成用組成物の材料としては、特に制限はないが、前記接着性構造物形成用硬化性組成物を同様のものを用いることが、前記接着部と前記パターン調整部との接着性及び密着性の点で好ましく、光硬化性樹脂のモノマーを含有することがより好ましい。
【0148】
前記パターン調整部形成用組成物として前記光硬化性樹脂のモノマーのみを用い、これを硬化させて前記パターン調整部を形成してもよいが、前記パターン調整部形成用組成物が光硬化性樹脂のモノマーと熱硬化性樹脂のモノマー含有し、これを硬化させて前記パターン調整部を形成することが、パターン調整及び接着性能を好適に付与することができる点で好ましい。
【0149】
前記パターン調整部形成用組成物の材料としては、具体的には、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物、前記オキセタン化合物、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物及び前記オキセタン化合物以外のモノマー、前記シリコーン化合物、前記無機粒子、前記樹脂及び/又は樹脂粒子、前記密着改良剤、前記カチオン重合開始剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの前記パターン調整部形成用組成物の材料については、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の材料と同様のものを使用することができるため説明を省略する。
【0150】
また、前記パターン調整部形成用組成物の粘度等の物性についても、前記接着性構造物形成用硬化性組成物と同様であるため説明を省略する。
【0151】
前記パターン調整部は、使用する該パターン調整部形成用組成物の材料種及び混合比率により、前記接着部よりも弾性率を下げることができ、柔軟性に優れた硬化物(パターン調整部)とすることができる。
【0152】
具体的には、パターン調整部形成用組成物のインク材料種として、前記グリシジルアミン型エポキシ化合物、前記オキセタン化合物、前記グリシジルエーテル型エポキシ化合物、前記(メタ)アクリレートモノマー、前記ウレタンモノマー、前記樹脂及び/又は樹脂粒子から選択される少なくとも1種を混合したインクとすることが好ましい。
更に、前記パターン調整部形成用組成物は、前記オキセタン化合物の含有量、前記グリシジルエーテル型エポキシ化合物の含有量、前記(メタ)アクリレートモノマーの含有量、前記ウレタンモノマーの含有量、並びに前記樹脂及び/又は樹脂粒子の含有量を、前記接着性構造物形成用硬化性組成物より多くすることにより、容易に該接着性構造物形成用硬化性組成物の硬化物よりも、硬化物を低弾性とすることができるパターン調整部形成用組成物を作製することできる。
【0153】
前記パターン調整部形成用組成物は、市販の光硬化性及び熱硬化性を有するインクジェット用ソルダレジストインクを用いることもできる。
前記市販の光硬化性及び熱硬化性を有するインクジェット用ソルダレジストインクの具体例としては、例えばIJSR4000、IJSR9000(太陽インキ株式会社製)、PR1205、PR1243、PR1258(互応化学工業株式会社製)、SUN-004、SUN-013A、SUN-015、C-202、C-400、E635A、E800D(以上、積水化学株式会社製)、jSVR(デクセリアルズ株式会社製)などが挙げられる。
【0154】
<<熱伝導部形成工程>>
前記熱伝導部形成工程は、前記熱伝導部を形成するための熱伝導部形成用組成物を用いて熱伝導部をパターン形成することが好ましく、前記熱伝導部形成用組成物をノズルから吐出して前記接着性構造物の厚さ方向に連続した前記熱伝導部を形成し、更に重合反応することが好ましい。また、前記熱伝導部は、前記接着部及びパターン調整部の少なくともいずれかに隣接するように形成することが好ましい。
【0155】
前記熱伝導部形成工程を行う順序としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、前記熱伝導部のパターン精度を向上するためには、少なくとも前記接着部形成工程における前記接着部及び/又は前記パターン調整部形成工程における前記パターン調整部をパターン形成した後、該接着部及び/又は該パターン調整部の間に前記熱伝導部形成用組成物を滴下することにより行うことが好ましい。これにより、高精度でパターン形成した前記接着部及び/又は前記パターン調整部を利用して、前記熱伝導部形成工程により前記熱伝導部のパターン塗工制度が向上する。
【0156】
-熱伝導部形成用組成物-
前記熱伝導部形成工程において、前記熱伝導部形成用組成物は、前記熱伝導部を形成するためのインク(熱伝導部形成用インク)として用いられる。
前記熱伝導部を形成する前記熱伝導部形成用組成物の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、熱伝導性材料を含有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0157】
--熱伝導性材料--
前記熱伝導性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属材料、カーボン、セラミック材料などが挙げられる。
前記金属材料としては、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)などが挙げられる。
前記セラミック材料としては、例えば、シリカ(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記熱伝導性材料としては、金属材料が好ましく、金属ナノ粒子がより好ましい。前記金属材料は、電気伝導材料としても用いることができる。
【0158】
前記熱伝導部形成用組成物における前記熱伝導性材料の1次平均粒径(D50)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm以上100μm以下が好ましく、0.3μm以上10μm以下がより好ましい。
前記熱伝導性材料の1次平均粒径(D50)は、動的画像解析法、動的光散乱法(DLS)などにより測定することができる。
【0159】
前記熱伝導部形成用組成物における前記金属ナノ粒子の1次平均粒径(D50)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.005μm以上1μm以下が好ましく、0.005μm以上0.2μm以下がより好ましい。前記金属ナノ粒子の1次平均粒径(D50)が0.005μm以上1μm以下であると、前記接着性構造物を発熱性部品又は冷却部品との接着に用いた場合に、該発熱性部品又は該冷却部品との接触面の凸凹が小さく、接触面が平坦で一体化した高熱伝導部形成が可能となる。また、150℃程度の比較的低い温度処理でシンタリングが可能である点から、前記金属ナノ粒子の1次平均粒径(D50)は、200nm以下であることが好ましい。
また、前記金属ナノ粒子を小粒子径とすることにより、前記熱伝導部を薄膜化することや、微小径ノズルのインクジェット印刷塗工などにより精密パターニングが可能となる。
前記金属ナノ粒子の1次平均粒径(D50)は、動的画像解析法、動的光散乱法(DLS)などにより測定することができる。
【0160】
前記熱伝導部形成用組成物における前記熱伝導性材料の含有量(溶媒成分を除く)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記熱伝導部形成用組成物の全質量に対して、15質量%以上100質量%以下が好ましく、40質量%以上100質量%以下がより好ましい。前記熱伝導部形成用組成物における前記熱伝導性材料の含有量が、15質量%以上100質量%以上の範囲であると、高い熱伝導性が得られる。
【0161】
前記カーボン材料を用いた塗工方法及び前記セラミックペーストを用いた塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、ディスペンスコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェット印刷法などの各種印刷法などが挙げられる。
【0162】
更に、前記熱伝導部形成用組成物がモノマー及び重合開始剤を含有する場合は、塗工後に光又は熱で硬化することができる。
前記熱伝導部を前記インクジェット印刷法で形成する場合は、金属材料、カーボン、セラミック材料の分散インクであることが好ましい。前記分散インクによりインクジェッティング吐出に適したインク粘度に調整することができる。
【0163】
前記分散インクの粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクジェッティング吐出に好適である点で、5mPa・s以上200mPa・s以下が好ましい。
前記分散インクの粘度は、前記接着性構造物形成用硬化性組成物の粘度と同様の方法で測定することができる。
【0164】
前記分散インクでは、溶媒を分散溶媒にする、又は低粘度のモノマーを分散溶媒にすることができる。前記分散溶媒の材料としては、前記接着性構造物形成用硬化性組成物中の溶媒と同様の材料を使用することができる。
【0165】
前記分散インク中の熱伝導性材料の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記分散インクの全量に対して、15質量%以上80質量%以下であることが好ましい。前記分散インク中の熱伝導性材料の含有量が15質量%以上であると熱伝導効果を得やすく、80質量%以下であると粘度を低粘度化することができ、インクジェット印刷法に好適に用いることができる。
【0166】
--その他の成分--
前記熱伝導部形成用組成物中の前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂、モノマー、重合開始剤、溶媒、分散剤などが挙げられる。
【0167】
前記樹脂、前記モノマー、前記重合開始剤、及び前記溶媒としては、前記接着性構造物形成用硬化性組成物と同様の材料を使用でき、好ましい態様も同様であるため説明を省略する。前記分散インクとして用いる場合の溶媒、モノマーの好ましい様態については前述の通りである。
【0168】
---分散剤---
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、主鎖にイオン性基、グラフト鎖にポリオキシアルキレン鎖を有する多官能櫛型の機能性ポリマーなどが挙げられる。イオン性基が粉体表面への吸着基として機能し、グラフト鎖が溶剤への溶解性のコントロール及び立体反発効果を付与する。
【0169】
前記分散剤の具体例としては、ドデカンチオール等のアルキルチオール、ポリビニルピロリドンポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0170】
前記分散剤は、適宜合成してもよく、市販品を使用してもよい。前記分散剤の市販品としては、例えば、マリアリム(登録商標)、マリアリムSC(登録商標)、マリアリムFA(登録商標)、エスリームC(登録商標)、エスリームMP(登録商標)、エスリームAD(登録商標)、エスリーム221P(登録商標)(日油株式会社製)などが挙げられる。
【0171】
前記熱伝導部形成用組成物中の前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記樹脂、前記分散剤、モノマー硬化物等の固形分の含有量が、5質量%以下であることが好ましい。これにより、シンタリング時に分解又はガス化して除去されるなどにより、前記熱伝導部中の前記熱伝導性材料の含有量が95質量%以上の熱伝導部を形成することが可能である。
【0172】
前記熱伝導部形成用組成物は、適宜調製してもよく、市販品を使用してもよい。また、前記熱伝導性材料としては、金属材料を含有する場合は、前記金属材料を含有するインクを用いる方法の他に、金属溶液インクを還元析出する方法を用いることもできる。一般的には銀塩インクとして知られており、これらのインクも用いることができる。
【0173】
前記熱伝導部形成用組成物の市販品としては、下記表1に記載のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0174】
【0175】
<<その他の工程>>
前記接着性構造物の製造方法における前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、焼結工程などが挙げられる。
【0176】
-焼結工程-
前記焼結工程は、前記熱伝導部形成工程の後に、前記金属ナノ粒子を焼結させる工程である。したがって、前記焼結工程は、前記熱伝導部形成工程において、前記熱伝導部形成用組成物が金属ナノ粒子を含む場合に好適に行われる。
【0177】
前記焼結の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、加熱又は光で焼成する方法などが挙げられる。これにより、前記金属ナノ粒子間がシンタリングした高熱伝導性の熱伝導部として形成することができる。
【0178】
なお、前記熱伝導部形成用組成物の焼結工程は、前記接着性構造物形成用硬化性組成物及び前記パターン調整部形成用組成物の少なくともいずれかの熱硬化、例えば、前記接着性構造物を接着対象物と貼り合わせる工程と兼ねることもできる。
【0179】
なお、前記接着性構造物の各材料構成は、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)、リアルタイム質量分析(DART-MS)で分析可能である。
【0180】
(半導体装置及びその製造方法)
本発明の半導体装置は、半導体と、接着層と、基板と、を有し、更に必要に応じて、中間層等のその他の層や、前記半導体以外の発熱性部品、冷却部品等のその他の部材を有する。前記接着層は、本発明の接着性構造物である。
前記半導体装置は、本発明の接着性構造物を有することにより、接着性、耐熱性、及び柔軟性に優れるものであるため、例えば、パソコン、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、フレキシブルデバイスなどに好適に用いることができる。
【0181】
前記半導体装置における各部材の積層順序としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。また、前記半導体、前記接着層、前記中間層は、それぞれ1層のみであってもよく、複数層であってもよい。
【0182】
<接着層>
前記接着層は、前記基板と前記半導体との間、又は前記半導体と前記半導体との間に形成されたダイボンディング層であることが好ましい。
一般的に、半導体の線膨張係数は約3ppm/K程度であり、基板の線膨張係数は15ppm/K以上と大きいことが多い。これにより、リフローなどの作製プロセス工程及び駆動発熱などによるヒートサイクルにより熱応力が発生することで、半導体の接着及び接続不良が発生しやすい。これに対し、前記の半導体装置において、前記接着層が、前記基板と前記半導体との間に形成されたダイボンディング層である場合、該半導体と該基板とに線膨張係数差があり、ヒートサイクルにより熱応力が発生したり、100℃以上の高温環境で使用されたりする場合であっても、接着性及び接続不良が発生しにくいという利点を有する。更に、リフロー工程での耐性として、260℃程度に加熱した状態でのせん断接着性強度(ダイシェア強度)においても良好な接着力が得られる。
【0183】
具体的には、前記接着性構造物を縦5.0mm、横5.0mm、厚さ0.4mmの正方形とした場合における260℃におけるダイシェア強度としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、40N以上であることが好ましく、50N以上であることがより好ましい。前記接着性構造物のダイシェア強度が40N以上であると、耐熱性及び接着性と共に、前記接着性構造物に放熱効果を付与することができる点で好ましい。
【0184】
また、前記半導体装置が、前記半導体以外の発熱性部品及び前記冷却部品を有する場合、前記接着層は、該発熱性部品と該冷却部品との間に形成された放熱層であることが好ましい。
【0185】
<半導体以外の発熱性部品>
前記半導体以外の発熱性部品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バッテリー、LED、コンデンサー、抵抗、ダイオードなどが挙げられる。
【0186】
<冷却部品、基板、及び電極>
前記冷却部品、前記基板、前記電極としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、前記接着対象物として例示したものと同様のものなどが挙げられる。
【0187】
<中間層>
前記中間層としては、例えば、熱を平面方向に拡散する熱拡散層、接着性を改善する表面処理層などが挙げられる。
【0188】
<<熱拡散層>>
前記熱拡散層は、熱を平面方向に拡散する中間層である。
前記熱拡散層を形成する材料は、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、熱伝導性が良好な材料として、金属(Ag、Cu、Au、Alなど)、カーボン、セラミック(SiO2、Al2O3、AlN、MgO2、BNなど)などを含有することが好ましい。
【0189】
前記熱拡散層の厚さとしては、特に制限はなく、放熱設計などにより適宜最適化することができる。
前記金属(Ag、Cu、Au、Alなど)等のメタル材料を真空成膜形成する場合は、前記熱拡散層の厚さは、0.05μm以上10μm以下であることが好ましい。
前記カーボン材料を、カーボンナノ粒子インク、グラフェンインクなどを用いて塗工形成する場合は、前記熱拡散層の厚さは、1μm以上300μm以下であることが好ましい。
セラミック材料をセラミック粒子と樹脂を混合したセラミックペーストとして塗工する場合は、前記熱拡散層の厚さは、1μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0190】
前記金属材料の真空成膜方法としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記金属材料の真空成膜方法としては、高速成膜が可能なスパッタ法が好ましい。
【0191】
前記カーボン材料及び前記セラミック材料の湿式成膜方法としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、メッキ法などが挙げられる。
【0192】
前記カーボンナノ粒子インク又は前記グラフェンインクを用いた塗工方法、及び前記セラミックペーストを用いた塗工方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、ディスペンスコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェット印刷法などの各種印刷法が挙げられる。
【0193】
<<表面処理層>>
前記表面処理層は、接着性を改善する中間層である。
前記表面処理層は、膜表面の濡れ性又は表面エネルギーを調整する層として形成され、表面に親水性基又は疎水性基を有する樹脂膜として形成される。
【0194】
前記表面処理層を形成する材料としては、特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができ、例えば、樹脂構造中にカルボキシル基、アミノ基、ケト基、OH基、フッ素基、シラノール基などを有する材料などが挙げられる。
【0195】
前記表面処理層を形成する材料は、前記樹脂材料の他金属(Ag、Cu、Au、Alなど)、カーボン、セラミック(SiO2、Al2O3、AlN、MgO2、BNなど)等の無機粒子を混合することもできる。
【0196】
前記表面処理層の厚さとしては、特に制限はないが、0.5μm以上10μm以下の範囲にあることが好ましい。
【0197】
前記表面処理層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、少なくとも反応基を有する有機モノマー材料及び開始剤を混合した樹脂材料や無機材料を混合したものを塗工し、UV照射、熱処理、脱水処理等の硬化処理を行うことにより形成することができる。
【0198】
前記表面処理層の塗工方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、ディスペンスコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェット印刷法等の各種印刷法を用いることができる。
【0199】
次に、本発明の半導体装置について、図面を用いて詳細に説明するが、本発明の半導体装置は、これに限られるものではない。
前記半導体装置における前記接着層は、前述の通り、前記グリシジルアミン型エポキシユニット及び前記オキセタンユニットを有する樹脂と、前記カチオン重合開始剤由来の成分と、を含有し、前記グリシジルアミン型エポキシユニットの、前記樹脂における含有量が10質量%以上であり、その構成要件については前記<接着性構造物及びその製造方法>の項目に記載の通りである。
【0200】
図4は、本発明の接着性構造物(接着層)を用いた半導体装置の構成形態例1を示す断面模式図である。
図4では、発熱性部品30と基板20を接着層10が接着する。ここでの発熱性部品30は、半導体(ダイ)又は半導体パッケージである。接着層10は発熱性部品30と基板の線膨張係数差による応力に耐え、温度変化時にも接着を維持する。
【0201】
図5は、本発明の接着性構造物(接着層)を用いた半導体装置の構成形態例2を示す断面模式図である。
図5では、基板20に変えて冷却部品40が接着されている点で構成形態例1と異なる。冷却部品40は発熱性部品30の熱を空冷、液冷、相変化冷却、熱電冷却などにより冷却する部品である。
【0202】
図6A及び
図6Bは、本発明の接着性構造物(接着層)を用いた半導体装置の構成形態例3を示す断面模式図である。
図6A及び
図6Bでは、発熱性部品30-1に他の発熱性部品30-2が接着層10を介して接着されている点で構成形態例1と異なる。
図6A及び
図6Bの構成形態は、発熱性部品を積層する場合、また30-1と30-2間の温度差を低減させ均一化する場合に有効である。
図6Bは、発熱性部品が半導体(ダイ)であり発熱性部品30-1の上面からワイヤーボンディングされている例示である。
【0203】
図7A及び
図7Bは、本発明の接着性構造物(接着層)を用いた半導体装置の構成形態例4を示す断面模式図である。
図7A及び
図7Bでは、発熱性部品30-1に他の発熱性部品30-2が他の接着層10-2を介して接着されている点、更に発熱性部品30-1と基板20が接着層10-1を介して接着されている点で構成形態例1と異なる。
図7Bは、発熱性部品が半導体(ダイ)であり発熱性部品30-1の上面からワイヤーボンディングされている例示である。
【0204】
図8A及び
図8Bは、本発明の接着性構造物(接着層)を用いた半導体装置の構成形態例5である。
図8Aでは、基板20と接着層10の間に中間層50が形成されている点で、構成形態例1と異なる。また、
図8Bでは、発熱性部品30と接着層10の間に中間層50が形成されている点で構成形態例1と異なる。
接着層10と基板20との間、及び/又は接着層10と発熱性部品40との間には、中間層50が形成されていてもよく、例えば、熱を平面方向に拡散する熱拡散層、接着性を改善する表面処理層などが形成されていてもよい。
【0205】
図9は、本発明の接着性構造物(接着層)を用いた半導体装置の構成形態例6を示す断面模式図である。
図9では、電極501と電極502の間に接着層が形成されている点で構成形態例1と異なる。構成形態例6は電極間を絶縁する場合、または電極間を導通させる場合に有効である。電極501及び電極502の材料としては、一般的な電極材料を用いることが出来、具体的にはAg、Cu、Au、Al、Ni、Sn、Pb及びこれら材料の混合物やカーボン材料を挙げることができる。電極層は配線パターンとして分割パターニングされていてもよい。
【0206】
(転写用接着層)
本発明の転写用接着層は、本発明の接着性構造物を仮支持体上に層状に有するものである。
本発明の接着性構造物については、前記(接着性構造物、接着性構造物形成用硬化性組成物、及び接着性構造物の製造方法)の項目に記載の通りであるため、詳細は省略する。
【0207】
<仮支持体>
前記仮支持体としては、その表面に前記接着性構造物を製造可能であり、該接着性構造物の効果に影響しないものである限り、特に制限はなく、公知の剥離シートを用いることができる。
【0208】
前記剥離シートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クラフト紙、グラシン紙、上質紙等の紙;ポリエチレン、ポリプロピレン(二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、一軸延伸ポリプロピレン(CPP))、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルム;前記紙と樹脂フィルムとを積層したラミネート紙、前記紙にクレーやポリビニルアルコールなどで目止め処理を施したものの片面若しくは両面に、シリコーン系樹脂等の剥離処理を施したものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0209】
前記接着性構造物を仮支持体上に層状に形成する方法としては、特に制限はなく、前記接着性構造物の製造方法において、接着対象物を前記支持体に代えること以外は同様にして形成することができる。
【0210】
前記転写用接着層は、前記接着性構造物の保存及び搬送が容易であり、取扱性に優れ、また、接着対象物に直接前記接着性構造物を形成できない場合であっても、前記転写用接着層を接着対象物に貼り付け、前記支持体を剥離することで、前記接着性構造物を接着対象物に容易に形成できる点で有利である。
【実施例0211】
以下に調製例、実施例、及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの調製例及び実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、別段の断りない限り、「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。
【0212】
<粘度測定方法>
以下の調製例において、各インクの粘度は、コーンプレート型回転粘度計(VISCOMETER TVE-22L、東機産業株式会社製)により、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数10rpm、恒温循環水の温度を25℃として測定した。循環水の温度調整には、循環恒温槽(例えば、VISCOMATE VM-150III、東機産業株式会社製)を使用した。結果は下記表3~表5に示した。
【0213】
<蒸発量(質量減少)測定方法>
以下の調製例において、各インクの蒸発量は、示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA7200、セイコーインスツルメンツ(SII)社製)での300℃までの質量減少率を下記測定条件にて測定した。結果は下記表3~表5に示した。
[測定条件]
・ 昇温10℃/分間、最大520℃、最高温度で5分間ホールド
・ インク量:20μL
・ 計算式:インク蒸発量(質量%)=(初期質量-減少質量)/初期質量×100
【0214】
(調製例1:インクA-1の調製)
グリシジルアミン型エポキシ化合物(TETRAD-X、三菱ガス化学トレーディング株式会社)15部、オキセタン化合物(アロンオキセタンOXT-221、東亜合成株式会社製)35部、グリシジルエーテル型エポキシ化合物(HD(D)(四日市合成株式会社製)35部、熱硬化開始剤(サンエイドSI-80、三新化学工業株式会社製)5部、及び無機粒子(シリカ粒子、1次粒子径0.5μm、KE-S50、日本触媒株式会社製)10部を混合し、熱硬化性の[インクA-1]を調製した。
[インクA-1]の25℃における粘度は80mPa・sであり、インクジェット印刷に適した(200mP・s以下)の粘度であった。
【0215】
(調製例2~13及び15~17:インクA-2~A-13及びA-15~A-17の調製)
調製例1において、組成及び含有量を下記表3~表5のA-2~A-13及びA-15~A-17に示す組成及び含有量に変更したこと以外は、調製例1と同様の方法で、調製例2~13及び15~17の熱硬化性の[インクA-2]~[インクA-13]及び[インクA-15]~[インクA-17]を調製した。[インクA-2]~[インクA-13]及び[インクA-15]~[インクA-17]の25℃における粘度は下記表3~表5に示す通りであり、[インクA-17]を除き、インクジェット印刷に適した粘度であった。
なお、調製例2~13及び15~17に用いた材料及びその粘度特性は、下記表2に示した。
【0216】
(調製例14:インクA-14の調製)
調製例1において、組成及び含有量を下記表5のA-14に示す組成及び含有量に変更したこと以外は、調製例1と同様の方法で、調製例14の光及び熱硬化性の[インクA-14]を調製した。[インクA-14]の25℃における粘度は下記表5に示す通りであり、インクジェット印刷に適した粘度であった。
なお、調製例14に用いた材料及びその粘度特性は、下記表2に示した。
【0217】
(調製例18~22:インクB-1~B-5の調製)
調製例1において、組成及び含有量を下記表6のB-1~B-5に示す組成及び含有量に変更したこと以外は、調製例1と同様の方法で、調製例18~22の比較用インクとしての熱硬化性の[インクB-1]~[インクB-5]を調製した。[インクB-1]~[インクB-5]の25℃における粘度は下記表6に示す通りであり、インクジェット印刷に適した粘度であった。
なお、調製例18~22に用いた材料及びその粘度特性は、下記表2に示した。
【0218】
【0219】
前記表2に記載の各材料の構造式は以下に示す通りである。
【化18】
【化19】
【0220】
【0221】
【0222】
【0223】
【0224】
グリシジルアミン型エポキシ化合物、オキセタン化合物、及びカチオン重合開始剤を含有する[インクA-1]~[インクA-17]は、インク蒸発量(即ち、インク減少量)が5質量%以下であり、加熱硬化時のインク蒸発が抑制されていた。一方、オキセタン化合物を含有しない比較用インクである[インクB-1]、[インクB-2]、及び[インクB-5]は、インク蒸発量が大きかった。インク蒸発量が大きいと膜厚制御が困難であると共に、非蒸発成分(即ち、硬化物)の組成が変化するため、接着性構造物形成用の熱硬化性組成物として用いることが難しい結果となった。
【0225】
<硬化膜の押込み弾性率の測定>
調製例1~22で得られた[インクA-1]~[インクA-17]及び比較用インクである[インクB-1]~[インクB-5]を以下の方法で硬化させた硬化物の測定用サンプルの押込み弾性率を以下の方法で測定した。
【0226】
-測定用サンプルの作製-
調製例1~22で得られた[インクA-1]~[インクA-17]及び比較用インクである[インクB-1]~[インクB-5]をそれぞれ使用し、厚さ1mmのガラス表面にディスペンス塗工した後、フッ素樹脂(PTFE)テープを貼り付けた厚さ1mmのガラスを、PTFEテープがインクの印刷面に接触するように貼り付け、100℃で2時間加熱し、更に200℃で1時間加熱した後、更に260℃で5分間熱硬化処理した。その後、PTFEテープを貼り付けた厚さ1mmのガラスを剥離することで、厚さ1mmのガラス表面に厚さ15μmの硬化膜を形成した測定用サンプルを作製した。硬化膜の膜厚は、インクの塗工量により調整した。
なお、光及び熱硬化性の[インクA-14]については、加熱硬化前に、Honle LEDcube100(honle uv technology製)を用いてUV LED(365nm)で光硬化した後に、前記熱硬化を行った。
【0227】
-押込み弾性率の測定-
前記方法で作製した測定用サンプルの押込み弾性率を、微小硬度計(FISCHERSCOPE(登録商標)HM2000、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)で、下記測定条件に設定して測定した。各測定用サンプルの押込み弾性率の測定結果を下記表4に示した。
[測定条件]
・圧子:ビッカース圧子
・最大荷重:10mN
・最大押し込み深さ:1μm
・負荷(除荷)時間:40sec
【0228】
(実施例1)
実施例1では、
図1A及び
図1Bに示す構成の貼合せサンプルを作製した。
基板300としてプリント配線板(BGA)用基板、及び発熱性部品200としてシリコンチップ基板を準備し、接着層10で接着した貼合せサンプルとした。
前記接着層10を形成する際、インクジェット装置(クラスターテクノロジー株式会社製)を使用し、ノズル穴径60μmのものを用いた。
具体的な方法は以下の通りである。
【0229】
<接着層による貼合せサンプルの作製>
-基板の準備-
縦10mm、横10mm、厚さ0.28mmの正方形のコア材/銅配線/ソルダーレジストから構成されるBGA(ボールグリッドアレイ)用基板(以下、「BGA基板」と称することがある)を準備した。BGA基板の線膨張係数は14ppm/Kであった。
【0230】
-設計-
前記BGA基板の平面方向の中心に、四辺が5.0mmの正方形の接着層形成領域を設計した。このとき、前記接着層形成領域の中心と、前記BGA基板の中心が同一となるようにした。
【0231】
-接着部の形成-
接着部形成用インクとして、調製例1で調製した[インクA-1]を用い、四辺が5.0mmの正方形の前記接着層形成領域にインクジェット印刷し、接着部を形成した。このとき、[インクA-1]の液滴量を制御して平均厚さを15μmとした。これにより、BGA基板上に
図1A及び
図1Bに示す、接着部1からなる接着層10が形成された。
【0232】
-基板の貼合せ-
次に、前記接着層10のBGA基板300と接する面とは反対の面の接着層上に、縦5.0mm、横5.0mm、厚さ0.4mmの正方形のシリコンチップ基板200を貼り合わせた後、100℃で2時間加熱し、更に200℃で1時間加熱した後、更に260℃で5分間熱硬化処理することで、BGA用基板300とシリコンチップ基板200とを前記接着層10で貼り合わせた実施例1の接着層を用いた
図1A及び
図1Bに示す構成の貼合せサンプルを作製した。シリコンチップ基板の線膨張係数は3.34ppm/Kであった。
【0233】
なお、前記接着層の平均厚さは、触針計(Alpha-Step D-500、KLA-Tenchore社製)で前記接着層の任意の3カ所を測定した3カ所の平均値である。
【0234】
(実施例2~4及び8~17)
実施例1において、接着部形成用インクとしての[インクA-1]を、下記表7に記載の[インクA-2]~[インクA-4]及び[インクA-8]~[インクA-17]のいずれかに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2~4及び8~17の接着層による貼合せサンプルを作製した。
なお、接着層10を形成する際、インク粘度30mPa・以下のインクは、インクジェットヘッドとしてMH5420(株式会社リコー製)を搭載したインクジェット装置(Stage JET、株式会社トライテック製)を用いて塗工した。また、インク粘度50mPa・s以上のインクは、インクジェット装置(クラスターテクノロジー株式会社製)を使用し、ノズル穴径60μmのものを用いた。
【0235】
(実施例5~7)
実施例1において、接着部形成用インクとしての[インクA-1]を、下記表7に記載の[インクA-5]~[インクA-7]のいずれかに変更し、インクの液滴量を制御して平均厚さを15μmとしたことを、インクの液滴量を制御して下記表7に記載の平均厚さとなるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5~7の接着層による貼合せサンプルを作製した。
【0236】
(実施例18)
実施例1において、
図1A及び
図1Bに示す接着部1のみを有する接着層から、
図2A及び
図2Bに示す接着部1及びパターン調整部2を有する接着層に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例18の貼合せサンプルを作製した。
即ち、BGA基板及びシリコンチップ基板は、実施例1と同じものを使用した。
具体的には、実施例1において、「設計」、「接着部の形成」、及び「基板の貼合せ」を以下のように変更し、「パターン調整部の形成」を以下のようにして行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で貼合せサンプルを作製した。
【0237】
-設計-
前記BGA基板の平面方向の中心に、
図2Bで示すように、四辺が5.0mmの正方形の接着層形成領域を設計した。このとき、前記接着層形成領域の中心と、前記BGA基板の中心が同一となるようにした。前記接着層形成領域の中に、四辺が4.0mmの正方形の接着部形成領域の周囲に、幅が0.5mmとなるようにパターン調整部形成領域を設計した。このとき、前記接着層形成領域の中心と、前記接着部形成領域の中心が同一となるようにした。
【0238】
-パターン調整部の形成-
実施例18では、調製例14で調製した光及び熱硬化性の[インクA-14]をパターン調整用インクとして用いた。
[インクA-14]を用い、前記設計に基づき、前記BGA基板上の前記パターン調整部形成領域にインクジェット印刷した。このとき、[インクA-14]の液滴量を制御して、平均厚さ15μm、幅0.5mmのパターン調整部を形成した。次に、吐出した[インクA-14]の着弾滴をHonle LEDcube100(honle uv technology製)を用いてUV LED(365nm)で光硬化し、着弾滴の濡れ広がりを抑制した。これより、前記パターン調整部の体積は、接着層10の体積の50体積%以下となった。
【0239】
-接着部の形成-
次に、接着部形成用インクとして、調製例1で調製した[インクA-1]を用い、前記設計に基づき、前記BGA基板上に形成したパターン調整部の内部の四辺が4.0mmの正方形の前記接着部形成領域にインクジェット印刷し、接着部を形成した。このとき、[インクA-1]の液滴量を制御して平均厚さを15μmとした。これにより、BGA基板上に
図2A及び
図2Bに示す、接着部1及びパターン調整部2を有する接着層10が形成された。
【0240】
-基板の貼合せ-
次に、前記接着層10のBGA基板300と接する面とは反対の面の接着層上に、縦5.0mm、横5.0mm、厚さ0.4mmの正方形のシリコンチップ基板200を貼り合わせた後、100℃で2時間加熱し、更に200℃で1時間加熱した後、更に260℃で5分間熱硬化処理することで、BGA用基板300とシリコンチップ基板200とを前記接着層10で貼り合わせた実施例18の接着層を用いた
図2A及び
図2Bに示す構成の貼合せサンプルを作製した。
【0241】
(実施例19)
実施例18において、接着部形成用インクとしての[インクA-1]を、調製例4で調製した[インクA-4]に変更し、接着層10を形成する際のインクジェット装置を、インクジェット装置(クラスターテクノロジー株式会社製、ノズル穴径60μm)を使用したことを、インクジェットヘッドとしてMH5420(株式会社リコー製)を搭載したインクジェット装置(Stage JET、株式会社トライテック製)に変更したこと以外は、実施例18と同様の方法で、実施例19の接着層を用いた
図2A及び
図2Bに示す構成の貼合せサンプルを作製した。
【0242】
(実施例20)
実施例18において、接着部形成用インクとしての[インクA-1]を、調製例6で調製した[インクA-6]に変更し、インクの液滴量を制御して平均厚さを15μmとしたことを、インクの液滴量を制御して平均厚さを20μmとなるように変更したこと以外は、実施例18と同様の方法で、実施例20の接着層を用いた
図2A及び
図2Bに示す構成の貼合せサンプルを作製した。膜厚は20μmとした。
【0243】
(比較例1)
実施例1において、接着部形成用インクとしての[インクA-1]を、調製例18で調製したグリシジルアミン型エポキシ化合物及びオキセタン化合物を含有しない[インクB-1]に変更し、接着層10を形成する際のインクジェット装置を、インクジェット装置(クラスターテクノロジー株式会社製、ノズル穴径60μm)を使用したことを、インクジェットヘッドとしてMH5420(株式会社リコー製)を搭載したインクジェット装置(Stage JET、株式会社トライテック製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の貼合せサンプルを作製した。
【0244】
(比較例2)
実施例1において、接着部形成用インクとしての[インクA-1]を、調製例19で調製したグリシジルアミン型エポキシ化合物及びオキセタン化合物を含有しない[インクB-2]に変更し、接着層10を形成する際のインクジェット装置を、インクジェット装置(クラスターテクノロジー株式会社製、ノズル穴径60μm)を使用したことを、インクジェットヘッドとしてMH5420(株式会社リコー製)を搭載したインクジェット装置(Stage JET、株式会社トライテック製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の貼合せサンプルを作製した。
【0245】
(比較例3)
実施例1において、接着部形成用インクとしての[インクA-1]を、調製例20で調製したグリシジルアミン型エポキシ化合物を含有しない[インクB-3]に変更し、接着層10を形成する際のインクジェット装置を、インクジェット装置(クラスターテクノロジー株式会社製、ノズル穴径60μm)を使用したことを、インクジェットヘッドとしてMH5420(株式会社リコー製)を搭載したインクジェット装置(Stage JET、株式会社トライテック製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の貼合せサンプルを製した。
【0246】
(比較例4)
実施例1において、接着部形成用インクとしての[インクA-1]を、調製例21で調製したグリシジルアミン型エポキシ化合物の含有量を5%とした[インクB-4]に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例4の貼合せサンプルを作製した。
【0247】
(比較例5)
実施例1において、接着部形成用インクとしての[インクA-1]を、調製例22で調製したオキセタン化合物を含有しない[インクB-5]に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例5の貼合せサンプルを作製した。
【0248】
<ダイシェア強度の測定>
実施例1~20及び比較例1~5のサンプルの加熱状態の接着力の評価として、260℃でのせん断強度評価(ダイシェア強度評価)を以下の方法で行った。
実施例1~20及び比較例1~5の貼合せサンプルについて、260℃でのせん断接着力(ダイシェア強度)をボンドテスター(Dage4000 Nordson社)で評価した。測定条件はJEITA規格 ED-4703 K-111に準拠した。結果を下記表7に示した。
【0249】
【0250】
表7の結果より、実施例1~20では、ダイシェア強度が50N以上であり、良好な接着力及び耐熱性が確認された。一方、比較例1、2、及び3では、ダイシェア強度は測定の下限値(6.0N)未満となった。比較例4では、ダイシェア強度が30.1Nであり、実施例に比べて低い値となった。また、比較例5では、接着部の平均厚さが15μmになるようにインクを塗布したが、形成後(硬化後)の平均厚さは5μmであり、硬化前の15μmに比べてかなり薄くなっており、設計通りの形成が困難であることが分かった。
なお、表7において、グリシジルアミン型エポキシ化合物及びオキセタン化合物の含有量(質量%)は、接着層の形成に使用した接着性構造物形成用硬化性組成物中の含有量を示す。
【0251】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> インクジェット印刷法により吐出可能な接着性構造物形成用硬化性組成物であって、
グリシジルアミン型エポキシ化合物と、オキセタン化合物と、カチオン重合開始剤と、を含有し、
前記グリシジルアミン型エポキシ化合物の含有量が10質量%以上であることを特徴とする接着性構造物形成用硬化性組成物である。
<2> 前記オキセタン化合物の含有量が10質量%以上60質量%以下である、前記<1>に記載の接着性構造物である。
<3> 前記カチオン重合開始剤の含有量が1質量%以上10質量%以下である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の接着性構造物形成用硬化性組成物である。
<4> 3官能以上の前記グリシジルアミン型エポキシ化合物を含有する、前記<1>から<3>のいずれかに記載の接着性構造物形成用硬化性組成物である。
<5> 25℃における粘度が200mPa・s以下である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の接着性構造物形成用硬化性組成物である。
<6> 1次平均粒径(D50)が0.1μm以上5μm以下の無機粒子、及び1次平均粒径(D50)が0.1μm以上5μm以下の樹脂粒子の少なくともいずれかを更に含有する、前記<1>から<5>のいずれかに記載の接着性構造物形成用硬化性組成物である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の接着性構造物形成用硬化性組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化物。
<8> グリシジルアミン型エポキシユニット及びオキセタンユニットを有する樹脂と、カチオン重合開始剤由来の成分と、を含有し、
前記グリシジルアミン型エポキシユニットの、前記樹脂における含有量が10質量%以上であることを特徴とする接着性構造物である。
<9> 前記オキセタンユニットの、前記樹脂における含有量が10質量%以上60質量%以下である、前記<8>に記載の接着性構造物である。
<10> 弾性率が500MPa以上5,000MPa以下である、前記<8>から<9>のいずれかに記載の接着性構造物である。
<11> 前記接着性構造物の厚さが1μm以上30μm以下である、前記<8>から<10>のいずれかに記載の接着性構造物である。
<12> 前記グリシジルアミン型エポキシユニット及び前記オキセタンユニットを有する樹脂と、前記カチオン重合開始剤由来の成分と、を含有する接着部と、光硬化性樹脂を含有するパターン調整部と、を有する、前記<8>から<11>のいずれかに記載の接着性構造物である。
<13> 前記パターン調整部の体積が、前記接着部の体積の50体積%以下である、前記<12>に記載の接着性構造物である。
<14> 厚さ方向に連続して形成された熱伝導部を更に有する、前記<8>から<13>のいずれかに記載の接着性構造物である。
<15> 前記接着性構造物の一つの接着対象物を縦5.0mm、横5.0mm、厚さ0.4mmの正方形とした場合における260℃におけるダイシェア強度が50N以上である、前記<8>から<14>のいずれかに記載の接着性構造物である。
<16> 半導体と、接着層と、基板と、を有し、
前記接着層が、前記<8>から<15>のいずれかに記載の接着性構造物であることを特徴とする半導体装置である。
<17> 前記接着層が、前記基板と前記半導体との間、又は前記半導体と前記半導体との間に形成されたダイボンディング層である、前記<16>に記載の半導体装置である。
<18> 前記半導体装置が、発熱性部品及び冷却部品を更に有し、
前記接着層が、前記発熱性部品と前記冷却部品との間に形成された放熱層である、前記<16>から<17>のいずれかに記載の半導体装置である。
<19> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の接着性構造物形成用硬化性組成物を用いることを特徴とする接着性構造物の製造方法である。
<20> 基材上に、光硬化性樹脂のモノマーを含有するパターン調整部形成用組成物を用いてパターン調整部をパターニング形成するパターン調整部形成工程と、
前記<1>から<6>のいずれかに記載の接着性構造物形成用硬化性組成物を用いて、前記パターン調整部に隣接するように接着部を形成する接着部形成工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0252】
前記<1>から<6>のいずれかに記載の接着性構造物形成用硬化性組成物、前記<7>に記載の硬化物、前記<8>から<15>のいずれかに記載の接着性構造物、前記<16>から<18>のいずれかに記載の半導体装置、前記<19>に記載の接着性構造物の製造方法、及び前記<20>に記載の半導体装置の製造方法は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。