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特開2023-184451着色樹脂組成物、光学フィルタ及び固体撮像素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184451
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】着色樹脂組成物、光学フィルタ及び固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
   C09B 47/04 20060101AFI20231221BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
C09B47/04
G02B5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083941
(22)【出願日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】P 2022097251
(32)【優先日】2022-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】濱木 裕史
(72)【発明者】
【氏名】青木 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】井上 勝治
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 哲郎
【テーマコード(参考)】
2H148
【Fターム(参考)】
2H148CA04
2H148CA12
2H148CA17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐熱性に優れる光学フィルタを形成することが可能な着色樹脂組成物の提供。
【解決手段】着色剤、アルカリ可溶性樹脂及び溶剤を含有する、着色樹脂組成物が提供される。着色剤は、式(I)で表されるフタロシアニン化合物を含む群より選ばれる少なくとも1種を含み、波長380~1400nmの範囲における極大吸収波長は、799nm以下である。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、アルカリ可溶性樹脂及び溶剤を含有する、着色樹脂組成物であって、
前記着色剤が、式(I)及び式(II)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、
波長380~1400nmの範囲における極大吸収波長が799nm以下である、着色樹脂組成物。
【化1】

[式(I)中、Mは、2価の金属原子を表す。
~Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基又はOR17基を表す。
17は、炭素数1~20の炭化水素基を表し、2以上のR17が存在する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。
~Aは、それぞれ独立に、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基を表す。]
【化2】

[式(II)中、Mは、2価の金属原子を表す。
~R16は、それぞれ独立に、炭素数1~10の飽和炭化水素基を表す。
~A16は、それぞれ独立に、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基を表す。]
【請求項2】
前記式(I)のM及び前記式(II)のMの少なくとも一方がニッケル原子である、請求項1に記載の着色樹脂組成物。
【請求項3】
式(I)のR~Rが水素原子である、請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
【請求項4】
重合性化合物及び重合開始剤の少なくとも一方をさらに含有する、請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物より形成される、光学フィルタ。
【請求項6】
請求項5に記載の光学フィルタを含む、固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色樹脂組成物、光学フィルタ及び固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、家電、セキュリティ等の様々な分野において、人を検知するために、近赤外線センサー、近赤外線カメラ等の装置が利用されている。このような装置においては、可視光線の透過率が低く、近赤外線の透過率が高い光学フィルタを含む固体撮像素子が備えられている。固体撮像素子に使用される光学フィルタは、例えば、着色樹脂組成物から製造される。このような着色樹脂組成物としては、例えば、着色剤、樹脂及び溶剤を含有する着色樹脂組成物が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-060580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固体撮像素子に使用される光学フィルタには、充分な近赤外線透過性を有することに加えて、使用環境の観点から、充分な耐熱性及び耐光性を有することが求められる。しかしながら、従来の光学フィルタは、耐熱性及び耐光性が必ずしも充分でなく、改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、耐熱性に優れる光学フィルタを形成することが可能な着色樹脂組成物を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、[1]~[4]に記載の着色樹脂組成物、[5]に記載の光学フィルタ及び[6]に記載の固体撮像素子を提供する。
【0007】
[1]着色剤、アルカリ可溶性樹脂及び溶剤を含有する、着色樹脂組成物であって、
前記着色剤が、式(I)及び式(II)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、
波長380~1400nmの範囲における極大吸収波長が799nm以下である、着色樹脂組成物。
【化1】

[式(I)中、Mは、2価の金属原子を表す。
~Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基又はOR17基を表す。
~Aは、それぞれ独立に、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基を表す。
17は、炭素数1~20の炭化水素基を表し、2以上のR17が存在する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。]
【化2】

[式(II)中、Mは、2価の金属原子を表す。
~R16は、それぞれ独立に、炭素数1~10の飽和炭化水素基を表す。
~A16は、それぞれ独立に、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基を表す。]
[2]前記式(I)のM及び前記式(II)のMの少なくとも一方がニッケル原子である、[1]に記載の着色樹脂組成物。
[3]式(I)のR~Rが水素原子である、請求項[1]又は[2]に記載の着色樹脂組成物。
[4]重合性化合物及び重合開始剤の少なくとも一方をさらに含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の着色樹脂組成物。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の着色樹脂組成物より形成される、光学フィルタ。
[6][5]に記載の光学フィルタを含む、固体撮像素子。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐熱性に優れる光学フィルタを形成することが可能な着色樹脂組成物が提供される。また、得られる光学フィルタは、耐光性の点においても優れる。また、本発明によれば、このような着色樹脂組成物より形成される光学フィルタ及び当該光学フィルタを含む固体撮像素子が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0011】
本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリル酸エステル等の他の類似表現についても同様である。
【0012】
本明細書中、以下で例示する材料は、特に断らない限り、条件に該当する範囲で、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。各成分の含有量は、各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、当該複数の物質の合計量を意味する。
【0013】
[着色樹脂組成物]
本実施形態の着色樹脂組成物は、着色剤(以下、「着色剤(A)」という場合がある。)、アルカリ可溶性樹脂(以下、「樹脂(B)」という場合がある。)及び溶剤(以下、「溶剤(E)」という場合がある。)を含有する。本実施形態の着色樹脂組成物は、重合性化合物(以下、「重合性化合物(C)」という場合がある。)及び重合開始剤(以下、「重合開始剤(D)」という場合がある。)の少なくとも一方をさらに含有していてもよく、重合性化合物及び重合開始剤の両方を含有することが好ましい。本実施形態の着色樹脂組成物は、レベリング剤(以下、「レベリング剤(F)」という場合がある。)を含有していてもよい。
【0014】
<着色剤(A)>
着色剤(A)は、式(I)及び式(II)で表される化合物(以下、「着色剤(A1)」という場合がある。)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。
【0015】
【化3】
【0016】
は、2価の金属原子を表す。2価の金属原子としては、銅、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、鉛、ロジウム、パラジウム、白金、マンガン、スズ等の原子が挙げられる。これらの中でも、2価の金属原子は、鉄原子、ニッケル原子、パラジウム原子、白金原子、銅原子又は亜鉛原子であることが好ましく、ニッケル原子、パラジウム原子又は銅原子であることがより好ましく、ニッケル原子又はパラジウム原子であることがさらに好ましく、ニッケル原子であることが特に好ましい。
【0017】
~Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基又はOR17基を表す。R~Rは、一実施形態において、水素原子であってよい。
【0018】
~Rにおける炭素数1~20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等のアルキル基;フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。これらのアルキル基、アリール基及びアラルキル基の水素原子の一部は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)で置換されていてもよい。
【0019】
17は、炭素数1~20の炭化水素基を表し、2以上のR17が存在する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。R17における炭素数1~20の炭化水素基としては、R~Rにおける炭素数1~20の炭化水素基で例示される基が挙げられる。
【0020】
~Aは、それぞれ独立に、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基を表す。アリール基及びヘテロアリール基の水素原子の一部は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)又は炭素数1~20のアルコキシ基で置換されていてもよい。A~Aは、一実施形態において、炭素数1~20のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基であってよい。
【0021】
~Aにおける炭素数6~20のアリール基は、例えば、単環、多環(例えば、2環又は3環)のアリール基であってよい。アリール基の具体例としては、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、4-ビニルフェニル基、o-イソプロピルフェニル基、m-イソプロピルフェニル基、p-イソプロピルフェニル基、o-tert-ブチルフェニル基、m-tert-ブチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ(tert-ブチル)フェニル基、3,5-ジ(tert-ブチル)-4-メチルフェニル基、4-ブチルフェニル基、4-ペンチルフェニル基、2,6-ビス(1-メチルエチル)フェニル基、2,4,6-トリス(1-メチルエチル)フェニル基、4-シクロヘキシルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、4-オクチルフェニル基、4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、5,6,7,8-テトラヒドロ-1-ナフチル基、5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントリル基、2-ドデシルフェニル基、3-ドデシルフェニル基、4-ドデシルフェニル基、フェナンスリル基、フルオレニル基、ビフェニル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、好ましくは6~18、より好ましくは6~15、さらに好ましくは6~12である。
【0022】
~Aにおける炭素数3~20のヘテロアリール基は、例えば、単環、多環(例えば、2環又は3環)のヘテロアリール基であってよい。ヘテロアリール基の具体例としては、フラニル基、ベンゾフラニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。ヘテロアリール基の炭素数は、好ましくは3~18、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~9である。また、ヘテロアリール基の環を構成する原子数は、5~10であることが好ましい。
【0023】
~Aにおけるアリール基及びヘテロアリール基の水素原子の一部と置換されてもよいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、t-オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基の炭素数は、好ましくは1~18、より好ましくは1~15、さらに好ましくは1~10、特に好ましくは1~8である。
【0024】
【化4】
【0025】
式(II)中、Mは、2価の金属原子を表す。2価の金属原子としては、銅、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、鉛、ロジウム、パラジウム、白金、マンガン、スズ等の原子が挙げられる。これらの中でも、2価の金属原子は、鉄原子、ニッケル原子、パラジウム原子、白金原子、銅原子又は亜鉛原子であることが好ましく、ニッケル原子、パラジウム原子又は銅原子であることがより好ましく、ニッケル原子又はパラジウム原子であることがさらに好ましく、ニッケル原子であることが特に好ましい。
【0026】
~R16は、それぞれ独立に、炭素数1~10の飽和炭化水素基を表す。炭素数1~10の飽和炭化水素基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。炭素数1~10の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2-エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の環状アルキル基などが挙げられる。これらの飽和炭化水素基の水素原子の一部は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)で置換されていてもよい。直鎖状アルキル基及び分岐状アルキル基の炭素数は、好ましくは1~8、さらに好ましくは1~6である。環状アルキル基の炭素数は、好ましくは3~10、より好ましくは6~10である。
【0027】
~A16は、それぞれ独立に、炭素数6~20のアリール基又は炭素数3~20のヘテロアリール基を表す。アリール基及びヘテロアリール基の水素原子の一部は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)又は炭素数1~20のアルコキシ基で置換されていてもよい。A~A16は、一実施形態において、炭素数1~20のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基であってよい。
【0028】
~A16における炭素数6~20のアリール基としては、A~Aにおける炭素数6~20のアリール基で例示される基が挙げられる。
【0029】
~A16における炭素数3~20のヘテロアリール基としては、A~Aにおける炭素数3~20のヘテロアリール基で例示される基が挙げられる。
【0030】
~A16におけるアリール基及びヘテロアリール基の水素原子の一部と置換されてもよいアルコキシ基としては、A~Aにおけるアリール基及びヘテロアリール基の水素原子の一部と置換されてもよいアルコキシ基で例示される基が挙げられる。
【0031】
着色剤(A)は、着色剤(A1)として、式(I)及び式(II)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、好ましくは、式(I)で表される化合物(式(I)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種)及び式(II)で表される化合物(式(II)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種)の両方を含む。着色剤(A)が、着色剤(A1)として、式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物の両方を含むことにより、センサーとしての感度も良好で、かつ、耐熱性及び耐光性にも優れた、近赤外線透過性を有する光学フィルタを得ることができる。
【0032】
着色剤(A)が、着色剤(A1)として、式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物の両方を含む場合、その含有比率(質量比)は、式(I)で表される化合物:式(II)で表される化合物において、好ましくは1:10~10:1、より好ましくは1:5~5:1、さらに好ましくは1:4~4:1である。
【0033】
着色剤(A1)の含有量は、着色剤(A)の総量を基準として、好ましくは10~100質量%、より好ましくは20~100質量%、さらに好ましくは30~100質量%である。着色剤(A1)の含有量は、一実施形態において、着色剤(A)の総量を基準として、100質量%であってよい。
【0034】
着色剤(A)は、着色剤(A1)とは異なる着色剤(以下、「着色剤(A2)」という場合がある。)をさらに含んでいてもよい。
【0035】
着色剤(A2)としては、例えば、染料、顔料が挙げられる。
【0036】
染料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)において顔料以外で色相を有するものに分類されている化合物、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。
【0037】
キサンテン染料は、分子内にキサンテン骨格を有する化合物を含む染料である。キサンテン染料としては、例えば、C.I.アシッドレッド51(以下、「C.I.アシッドレッド」の記載を省略し、番号のみの記載とする。他の類似表現も同様に、番号のみの記載とする場合がある。)、52、87、92、94、289、388;C.I.アシッドバイオレット9、30、102;C.I.ベーシックレッド1(ローダミン6G)、2、3、4、8、10、11;C.I.ベーシックバイオレット10(ローダミンB)、11;C.I.ソルベントレッド218;C.I.モーダントレッド27;C.I.リアクティブレッド36(ローズベンガルB);スルホローダミンG;特開2010-32999号公報に記載のキサンテン染料;特許第4492760号公報に記載のキサンテン染料等が挙げられる。キサンテン染料は、有機溶剤に溶解するものが好ましい。
【0038】
キサンテン染料は、市販されているキサンテン染料(例えば、中外化成(株)製の「Chugai Aminol Fast Pink R-H/C」、田岡化学工業(株)製の「Rhodamin 6G」)も使用することができる。また、キサンテン染料は、市販されているキサンテン染料を出発原料として、特開2010-32999号公報を参考に合成することもできる。
【0039】
キサンテン染料以外の染料として、アゾ染料、シアニン染料、トリフェニルメタン染料、チアゾール染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、キノフタロン染料、アントラキノン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料及びニトロ染料等を使用してもよい。キサンテン染料以外の染料は、それぞれ公知の染料を使用することができる。
【0040】
キサンテン染料以外の染料の具体例としては、C.I.ソルベントイエロー4(以下、C.I.ソルベントイエローの記載を省略し、番号のみの記載とする。他の類似表現も同様に、番号のみの記載とする場合がある。)、14、15、23、24、38、62、63、68、82、94、98、99、117、162、163、167、189;
C.I.ソルベントレッド45、49、111、125、130、143、145、146、150、151、155、168、169、172、175、181、207、222、227、230、245、247;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、56、77、86;
C.I.ソルベントバイオレット11、13、14、26、31、36、37、38、45、47、48、51、59、60;
C.I.ソルベントブルー4、5、14、18、35、36、37、45、58、59、59:1、63、67、68、69、70、78、79、83、90、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、128、132、136、139;
C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35等のC.I.ソルベント染料、
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、1
99、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、33、34、35、37、40、42、44、50、57、66、73、76、80、88、91、95、97、98、103、106、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、155、158、160、172、176、182、183、195、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、394、401、412、417、418、422、426;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、169、173;
C.I.アシッドバイオレット6B、7、15、16、17、19、21、23、24、25、34、38、49、72;
C.I.アシッドブルー1、3、5、7、9、11、13、15、17、18、22、23、24、25、26、27、29、34、38、40、41、42、43、45、48、51、54、59、60、62、70、72、74、75、78、80、82、83、86、87、88、90、90:1、91、92、93、93:1、96、99、100、102、103、104、108、109、110、112、113、117、119、120、123、126、127、129、130、131、138、140、142、143、147、150、151、154、158、161、166、167、168、170、171、175、182、183、184、187、192、199、203、204、205、210、213、229、234、236、242、243、256、259、267、269、278、280、285、290、296、315、324:1、335、340;
C.I.アシッドグリーン1、3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、22、25、27、28、41、50、50:1、58、63、65、80、104、105、106、109等のC.I.アシッド染料、
C.I.ダイレクトイエロー2、33、34、35、38、39、43、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、136、138、141;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250;
C.I.ダイレクトオレンジ26、34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104;
C.I.ダイレクトブルー1、2、3、6、8、15、22、25、28、29、40、41、42、47、52、55、57、71、76、77、78、80、81、84、85、86、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、120、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、195、196、198、199、200、201、202、203、207、209、210、212、213、214、222、225、226、228、229、236、237、238、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、256、2
57、259、260、268、274、275、293;
C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82等のC.I.ダイレクト染料、
C.I.ディスパースイエロー51、54,76;
C.I.ディスパースバイオレット26、27;
C.I.ディスパースブルー1、14、56、60等のC.I.ディスパース染料、
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、19、21、22、24、25、26、28、29、40、41、45、47、54、58、59、60、64、65、66、67、68、81、83、88、89;
C.I.ベーシックバイオレット2;
C.I.ベーシックレッド9;
C.I.ベーシックグリーン1等のC.I.ベーシック染料、
C.I.リアクティブイエロー2、76、116;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.リアクティブレッド36等のC.I.リアクティブ染料、
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;
C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、29、30、32、33、36、37、38、39、41、42、43、45、46、48、52、53、56、62、63、71、74、76、78、85、86、88、90、94、95;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48;
C.I.モーダントバイオレット1、1:1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、14、15、16、17、18、19、21、22、23、24、27、28、30、31、32、33、36、37、39、40、41、44、45、47、48、49、53、58;
C.I.モーダントブルー1、2、3、7、8、9、12、13、15、16、19、20、21、22、23、24、26、30、31、32、39、40、41、43、44、48、49、53、61、74、77、83、84;
C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、13、15、19、21、23、26、29、31、33、34、35、41、43、53等のC.I.モーダント染料、
C.I.バットグリーン1等のC.I.バット染料などが挙げられる。
【0041】
顔料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。このような顔料としては、以下の顔料を例示できる。
【0042】
緑色顔料:C.I.ピグメントグリーン7、36、58等
黄色顔料:C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、194、214等
オレンジ色顔料:C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等
赤色顔料:C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265等
青色顔料:C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60等
紫色顔料:C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等
黒色顔料:C.I.ピグメントブラック1、7、31、32等
【0043】
これらの顔料は、各色について1種の顔料又は複数の顔料を使用してもよく、各色の顔料を組み合わせてもよい。
【0044】
着色剤(A2)は、1種以上の顔料であることが好ましく、2種以上の顔料であることがより好ましく、オレンジ色顔料、紫色顔料、青色顔料及び黒色顔料からなる群より選ばれる2種以上の顔料であることがさらに好ましく、オレンジ色顔料、紫色顔料及び青色顔料の組み合わせ又は青色顔料及び黒色顔料の組み合わせであることが特に好ましい。
【0045】
顔料は、必要に応じて、ロジン処理;酸性基又は塩基性基が導入された顔料誘導体等を用いた表面処理;高分子化合物等による顔料表面へのグラフト処理;硫酸微粒化法等による微粒化処理;不純物を除去するための有機溶剤、水等による洗浄処理;イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理などが施されていてもよい。顔料の粒径は、略均一であることが好ましい。顔料は、顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料分散剤溶液の中で均一に分散した状態の顔料分散液とすることができる。顔料は、それぞれ単独で分散処理してもよいし、複数種を混合して分散処理してもよい。
【0046】
顔料分散剤としては、シリコーン系、フッ素系、エステル系、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系等の界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類等が挙げられる。界面活性剤の市販品としては、例えば、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(BASFジャパン(株)製)、アジスパー(登録商標)(味の素ファインテクノ(株)製)、Disperbyk(ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0047】
顔料分散剤を用いる場合、その使用量は、顔料100質量部に対して、好ましくは10~200質量部、より好ましくは15~180質量部、さらに好ましくは20~160質量部である。顔料分散剤の使用量が上記の範囲にあると、2種以上の顔料を使用する場合により均一な分散状態の顔料分散液が得られる傾向がある。
【0048】
着色剤(A2)の含有量は、着色剤(A)の総量を基準として、好ましくは0~90質量%、より好ましくは0~80質量%、さらに好ましくは0~70質量%である。
【0049】
着色剤(A)の含有量は、着色樹脂組成物の固形分の総量を基準として、好ましくは1~60質量%、より好ましくは5~60質量%、さらに好ましくは10~60質量%である。着色剤(A)の含有量が上記の範囲内であると、所望とする分光及び色濃度をより得易くなる傾向がある。なお、本明細書において、「着色樹脂組成物の固形分の総量」とは、着色樹脂組成物から溶剤を除いた成分の合計量を意味する。着色樹脂組成物の固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段により測定することができる。
【0050】
<樹脂(B)>
樹脂(B)としては、以下の樹脂[K1]~[K6]等が挙げられる。
・樹脂[K1]:不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種(a)(以下、「(a)」という場合がある。)に由来する構造単位と、炭素数2~4の環状エーテル構造及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(b)(以下、「(b)」という場合がある。)に由来する構造単位とを有する共重合体
・樹脂[K2]:(a)に由来する構造単位と、(b)に由来する構造単位と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下、「(c)」という場合がある。)に由来する構造単位とを有する共重合体
・樹脂[K3]:(a)に由来する構造単位と(c)に由来する構造単位とを有する共重合体
・樹脂[K4]:(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位と、(c)に由来する構造単位とを有する共重合体
・樹脂[K5]:(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位と、(c)に由来する構造単位とを有する共重合体
・樹脂[K6]:(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位と、(c)に由来する構造単位とを有する共重合体
【0051】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3-ビニルフタル酸、4-ビニルフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1,4-シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
こはく酸モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]、フタル酸モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]エステル類;
α-(ヒドロキシメチル)アクリル酸等の、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
【0052】
これらのうち、共重合反応性の点及び得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点から、(a)は、アクリル酸、メタクリル酸又は無水マレイン酸であることが好ましい。
【0053】
(b)は、例えば、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群より選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物であり得る。(b)は、炭素数2~4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることが好ましい。
【0054】
(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)(以下、「(b1)」という場合がある。)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下、「(b2)」という場合がある。)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)(以下、「(b3)」という場合がある。)等が挙げられる。
【0055】
(b1)としては、例えば、直鎖状又は分岐状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)(以下、「(b1-1)」という場合がある。)、脂環式不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-2)(以下、「(b1-2)」という場合がある。)が挙げられる。
【0056】
(b1-1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0057】
(b1-2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000((株)ダイセル製))、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400((株)ダイセル製))、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100((株)ダイセル製))、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート(3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イル(メタ)アクリレート等)、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0058】
(b2)は、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることがより好ましい。(b2)としては、3-メチル-3-メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0059】
(b3)は、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることがより好ましい。(b3)としては、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150(大阪有機化学工業(株)製))、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0060】
(b)は、得られる光学フィルタの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、(b1)であることが好ましい。さらに、(b)は、着色樹脂組成物の保存安定性が優れるという点で、(b1-2)であることがより好ましい。
【0061】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある。)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチル-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-tert-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のビシクロ不飽和化合物類;
N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート、N-(9-アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
スチレン、α-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等が挙げられる。
【0062】
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、(c)は、スチレン、ビニルトルエン、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド又はビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンであることが好ましい。
【0063】
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~60モル%
(b)に由来する構造単位;40~98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10~50モル%
(b)に由来する構造単位;50~90モル%
であることがより好ましい。
【0064】
樹脂[K1]の構造単位の比率が上記の範囲にあると、着色樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、及び、得られる光学フィルタの耐溶剤性に優れる傾向がある。
【0065】
樹脂[K1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著、発行所(株)化学同人、第1版第1刷、1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0066】
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気にし、撹拌しながら、加熱及び保温する方法が挙げられる。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているものを使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等)、有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられる。溶剤は、各モノマーを溶解するものであればよく、例えば、後述の溶剤(E)で例示されるものを使用することができる。
【0067】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよい。また、得られた共重合体は、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、後述の溶剤(E)を使用することにより、反応後の溶液を着色樹脂組成物の調製に使用することができるため、本実施形態の着色樹脂組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0068】
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~45モル%
(b)に由来する構造単位;2~95モル%
(c)に由来する構造単位;1~65モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;5~40モル%
(b)に由来する構造単位;5~80モル%
(c)に由来する構造単位;5~60モル%
であることがより好ましい。
【0069】
樹脂[K2]の構造単位の比率が上記の範囲にあると、着色樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、並びに、得られる光学フィルタの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
【0070】
樹脂[K2]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0071】
樹脂[K3]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~60モル%
(c)に由来する構造単位;40~98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10~50モル%
(c)に由来する構造単位;50~90モル%
であることがより好ましい。
【0072】
樹脂[K3]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0073】
樹脂[K4]は、(a)と(c)との共重合体を得て、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。
【0074】
まず(a)と(c)との共重合体を、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]で例示される比率と同様であることが好ましい。
【0075】
次に、上記の共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを反応させる。(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えば、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)及び重合禁止剤(例えば、ハイドロキノン等)等をフラスコ内に入れて、例えば、60~130℃で、1~10時間反応することにより、樹脂[K4]を製造することができる。
【0076】
(b)の使用量は、(a)100モルに対して、好ましくは5~80モル、より好ましくは10~75モルである。この範囲にすることにより、着色樹脂組成物の保存安定性、パターンを形成する際の現像性、並びに、得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存し難いことから、樹脂[K4]に用いる(b)は、(b1)であることが好ましく、(b1-1)であることがより好ましい。
【0077】
上記の反応触媒の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して0.001~5質量部であることが好ましい。上記の重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して0.001~5質量部であることが好ましい。
【0078】
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備、重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。
【0079】
樹脂[K5]は、第一段階として、上記の樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよい。また、得られた共重合体は、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
【0080】
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、上記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、それぞれ、
(b)に由来する構造単位;5~95モル%
(c)に由来する構造単位;5~95モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位;10~90モル%
(c)に由来する構造単位;10~90モル%
であることがより好ましい。
【0081】
さらに、樹脂[K4]の製造方法と同様の条件で、(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより、樹脂[K5]を得ることができる。
【0082】
上記の共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)100モルに対して、5~80モルであることが好ましい。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存し難いことから、樹脂[K5]に用いる(b)は、(b1)であることが好ましく、(b1-1)であることがより好ましい。
【0083】
樹脂[K6]は、樹脂[K5]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。環状エーテルとカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
【0084】
カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等が挙げられる。カルボン酸無水物の使用量は、(a)の使用量1モルに対して、0.5~1モルであることが好ましい。
【0085】
具体的な樹脂(B)としては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、3-メチル-3-(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K3];ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K5];トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂等の樹脂[K6]等が挙げられる。
【0086】
樹脂(B)は、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位と、炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する構造単位とを少なくとも含む共重合体であることが好ましく、樹脂[K1]又は樹脂[K2]であることがより好ましく、樹脂[K2]であることがさらに好ましい。
【0087】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3000~100000、より好ましくは5000~50000、さらに好ましくは5000~30000である。重量平均分子量が上記の範囲内にあると、光学フィルタの硬度が向上し、残膜率が高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好で、着色パターンの解像度が向上する傾向がある。
【0088】
樹脂(B)の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1~6、より好ましくは1.2~4である。
【0089】
樹脂(B)の酸価は、固形分換算で、好ましくは50~170mg-KOH/g、より好ましくは60~150mg-KOH/g、さらに好ましくは70~135mg-KOH/gである。ここで、酸価は樹脂(B)1gを中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば、水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0090】
樹脂(B)の含有量は、着色樹脂組成物の固形分の総量を基準として、好ましくは5~60質量%、より好ましくは10~55質量%、さらに好ましくは20~50質量%である。樹脂(B)の含有量が、上記の範囲内にあると、着色パターンが形成でき、また着色パターンの解像度及び残膜率が向上する傾向がある。
【0091】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合し得る化合物である。重合性化合物(C)としては、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられる。重合性化合物(C)は、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0092】
重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、重合性化合物(C)は、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0093】
重合性化合物(C)の分子量又は重量平均分子量は、好ましくは150~2900、より好ましくは250~1500である。
【0094】
重合性化合物(C)の含有量は、着色樹脂組成物の固形分の総量を基準として、好ましくは5~60質量%、より好ましくは10~50質量%、さらに好ましくは20~40質量%である。重合性化合物(C)の含有量が、上記の範囲内にあると、着色パターン形成時の残膜率及び光学フィルタの耐薬品性が向上する傾向がある。
【0095】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光又は熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始し得る化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。活性ラジカルを発生する重合開始剤としては、例えば、O-アシルオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、ビイミダゾール化合物が挙げられる。
【0096】
O-アシルオキシム化合物は、式(d1)で表される部分構造を有する化合物である。以下、*は結合手を表す。
【0097】
【化5】
【0098】
O-アシルオキシム化合物としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン等が挙げられる。O-アシルオキシム化合物として、イルガキュア(登録商標、以下、同様)OXE01(N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン)、イルガキュアOXE02(N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン)(以上、BASF社製)、N-1919((株)ADEKA製)等の市販品を用いてもよい。
【0099】
これらの中でも、O-アシルオキシム化合物は、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン及びN-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン又はN-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミンであることがより好ましい。このようなO-アシルオキシム化合物を用いると、高明度な光学フィルタが得られる傾向がある。
【0100】
アルキルフェノン化合物は、式(d2)で表される部分構造又は式(d3)で表される部分構造を有する化合物である。これらの部分構造中、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。
【0101】
【化6】
【0102】
式(d2)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]ブタン-1-オン等が挙げられる。式(d2)で表される部分構造を有する化合物として、イルガキュア369、907、379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0103】
式(d3)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロペニルフェニル)プロパン-1-オンのオリゴマー、α,α-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0104】
アルキルフェノン化合物は、感度の点で、式(d2)で表される部分構造を有する化合物であることが好ましい。
【0105】
トリアジン化合物としては、例えば、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0106】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。アシルホスフィンオキサイド化合物として、イルガキュア819(BASF製)等の市販品を用いてもよい。
【0107】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6-75372号公報、特開平6-75373号公報等参照)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48-38403号公報、特開昭62-174204号公報等参照)、4,4’5,5’-位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているビイミダゾール化合物(例えば、特開平7-10913号公報等参照)等が挙げられる。
【0108】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10-フェナンスレンキノン、2-エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
【0109】
酸を発生する重合開始剤としては、例えば、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホナート、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホナート、4-アセトキシフェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類などが挙げられる。
【0110】
重合開始剤(D)は、O-アシルオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤であることが好ましく、O-アシルオキシム化合物を含む重合開始剤であることがより好ましい。
【0111】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは1~20質量部である。重合開始剤(D)の含有量が上記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるため光学フィルタの生産性の向上が期待できる。
【0112】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物又は増感剤である。着色樹脂組成物が重合開始助剤(D1)を含有する場合、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
【0113】
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0114】
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。アミン化合物として、EAB-F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。これらの中でも、アミン化合物は、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンであることが好ましい。
【0115】
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0116】
チオキサントン化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0117】
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0118】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは1~20質量部である。重合開始助剤(D1)の量がこの範囲内にあると、さらに高感度で着色パターンを形成することができ、光学フィルタの生産性が向上する傾向がある。
【0119】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0120】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0121】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール及びメチルアニソール等が挙げられる。
【0122】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0123】
ケトン溶剤としては、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びイソホロン等が挙げられる。
【0124】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
【0125】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等が挙げられる。
【0126】
アミド溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0127】
これらの中でも、溶剤(E)は、エーテルエステル溶剤及びエーテル溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又はジエチレングリコールエチルメチルエーテルであることがより好ましい。
【0128】
溶剤(E)の含有量は、着色樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは70~95質量%、より好ましくは75~92質量%である。言い換えると、着色樹脂組成物の固形分の含有量は、着色樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは5~30質量%、より好ましくは8~25質量%である。溶剤(E)の含有量が上記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、光学フィルタを形成した際に色濃度が不足し難いために表示特性が良好となる傾向がある。
【0129】
エーテルエステル溶剤を使用する場合、エーテルエステル溶剤の含有量は、溶剤の総量を基準として、好ましくは10~100質量%、より好ましくは15~90質量%、さらに好ましくは17~80質量%である。
【0130】
エーテル溶剤を使用する場合、エーテル溶剤の含有量は、溶剤の総量を基準として、好ましくは20~90質量%、より好ましくは30~85質量%、さらに好ましくは40~80質量%である。
【0131】
<レベリング剤(F)>
レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
【0132】
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名、東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0133】
フッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(AGC(株)(旧旭硝子(株))製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0134】
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0135】
レベリング剤(F)の含有量は、着色樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは0.001~0.2質量%、より好ましくは0.002~0.1質量%、さらに好ましくは0.01~0.05質量%である。なお、この含有量に、上記顔料分散剤の含有量は含まれない。レベリング剤(F)の含有量が上記の範囲内にあると、光学フィルタの平坦性を良好にすることができる。
【0136】
<その他の成分>
本実施形態の着色樹脂組成物は、必要に応じて、分散剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含有していてもよい。本実施形態の着色樹脂組成物は、赤外線透過のために好適に使用される。
【0137】
本実施形態の着色樹脂組成物において、波長380~1400nmの範囲における極大吸収波長は、799nm以下である。当該極大吸収波長が799nm以下であると、可視光線の上限780nmの光を吸収し易くなる傾向がある。当該極大吸収波長は、好ましくは795nm以下、より好ましくは790nm以下、さらに好ましくは785nm以下である。当該極大吸収波長の下限は、特に制限されないが、例えば、750nm以上であってよく、好ましくは755nm以上、より好ましくは760nm以上、さらに好ましくは765nm以上である。
【0138】
波長380~1400nmの範囲における極大吸収波長は、紫外可視近赤外吸収分光装置(例えば、V-770、日本分光(株)製)を用いて測定することができる。測定手法は、例えば、以下のとおりに行うことができる。まず、着色樹脂組成物の式(I)及び式(II)で表される化合物の含有量が10質量ppmになるように溶剤(例えば、後述の溶剤(E))で希釈し、測定用溶液を調製する。このようにして調製した測定用溶液を1cm角の石英製セルに入れ、紫外可視近赤外吸収分光装置を用いて、波長1400~300nm(データサンプリング間隔1nm)の範囲でスペクトルを測定する。このとき、吸光度の極大値を示す波長を極大吸収波長λmaxとする。このようにして、当該極大吸収波長を求めることができる。なお、当該極大吸収波長は、後述の樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)等が測定用溶液中に存在する場合であっても変動しない傾向がある。そのため、例えば、着色樹脂組成物から後述の樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)等を除いた、着色剤及び溶剤を含む溶液を測定用溶液として調製し、これを用いて測定される波長380~1400nmの範囲における極大吸収波長を、着色樹脂組成物の波長380~1400nmの範囲における極大吸収波長と見なしてもよい。
【0139】
本実施形態の着色樹脂組成物において、波長780nmにおける吸光度Abs(780)とλmaxにおける吸光度Abs(λmax)との比(Abs(780)/Abs(λmax))は、例えば、0.50以上であってよい。光学フィルタは、可視領域の上限780nmの光を吸収する必要があることから、この値が大きいほど、近赤外線透過性を有する光学フィルタの特性として好ましい。Abs(780)/Abs(λmax)は、好ましくは0.60以上、より好ましくは0.70以上、さらに好ましくは0.75以上である。Abs(780)/Abs(λmax)の上限は、例えば、1.00以下であってよい。
【0140】
本実施形態の着色樹脂組成物において、波長900~1400nmの範囲の最大吸光度Abs(900-1400)とλmaxにおける吸光度Abs(λmax)との比(Abs(900-1400)/Abs(λmax))は、例えば、0.30以下であってよい。この値が小さいほど、近赤外領域の透過性が高くなり、センサーとしての感度が高くなるため、近赤外線透過性を有する光学フィルタの特性として好ましい。Abs(900-1400)/Abs(λmax)は、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.20以下、さらに好ましくは0.16以下である。Abs(900-1400)/Abs(λmax)の下限は、例えば、0.01以上又は0.03以上あってよい。
【0141】
<着色樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の着色樹脂組成物は、例えば、着色剤(A)、樹脂(B)及び溶剤(E)、並びに、必要に応じて用いられる重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、レベリング剤(F)、重合開始助剤(D1)及びその他の成分を混合することにより調製することができる。
【0142】
着色剤(A)は、着色剤(A1)を含む着色分散液又は顔料分散液を調製してもよい。例えば、着色分散液又は顔料分散液に、残りの成分を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の着色樹脂組成物を調製することができる。
【0143】
着色樹脂組成物が着色剤(A2)として染料を場合の染料は、予め溶剤(E)の一部又は全部にそれぞれ溶解させて溶液を調製してもよい。当該溶液は、孔径0.01~1μm程度のフィルタで濾過することが好ましい。
【0144】
着色樹脂組成物は、各成分を混合した後に、孔径0.01~10μm程度のフィルタで濾過することが好ましい。
【0145】
[光学フィルタ及びその製造方法]
本実施形態の着色樹脂組成物から着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。これらの中でも、着色パターンを製造する方法は、フォトリソグラフ法であることが好ましい。フォトリソグラフ法は、着色樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させて着色塗膜を形成し、フォトマスクを介して該着色塗膜を露光して、現像する方法である。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は、現像しないことにより、着色塗膜の硬化物である着色硬化塗膜を形成することができる。このようにして形成された着色パターン又は着色硬化塗膜が本実施形態の光学フィルタである。
【0146】
作製する光学フィルタの膜厚は、特に限定されず、目的及び用途等に応じて適宜調整することができる。光学フィルタの膜厚は、例えば、0.1~30μmであってよく、好ましくは0.1~20μm、より好ましくは0.5~6μmである。
【0147】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等のガラス板;ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板;シリコン基板;これら基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金等の薄膜を形成した基板などが挙げられる。これらの基板上には、別の光学フィルタ(着色パターン又は着色硬化塗膜)、樹脂膜、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。
【0148】
フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、公知又は慣用の装置、条件等で行うことができる。フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、例えば、下記のようにして作製することができる。
【0149】
まず、着色樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な着色塗膜を得る。
【0150】
塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。加熱乾燥を行う場合の温度は、好ましくは30~120℃、より好ましくは50~110℃である。また、加熱時間は、好ましくは10秒~60分、より好ましくは30秒~30分である。減圧乾燥を行う場合は、50~150Paの圧力下、20~25℃の温度範囲で行うことが好ましい。
【0151】
着色塗膜の膜厚は、特に限定されず、目的とする光学フィルタの膜厚に応じて適宜選択することができる。
【0152】
次に、着色塗膜は、目的の着色パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。フォトマスク上のパターンは、特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。
【0153】
露光に用いられる光源は、250~450nmの波長の光を発生する光源であることが好ましい。露光に用いられる光源は、例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットするものであってもよく、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出すものであってもよい。露光に用いられる光源の具体例としては、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
【0154】
露光においては、露光面全体に均一に平行光線を照射することができ、フォトマスクと着色塗膜が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。
【0155】
露光後の着色塗膜(すなわち、着色硬化塗膜)を現像液に接触させて現像することにより、基板上に着色パターンが形成される。現像により、着色組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液が挙げられる。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.03~5質量%である。現像液は、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。
【0156】
現像方法としては、パドル法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。現像時においては、基板を任意の角度に傾けながら行ってもよい。また、現像後においては、得られた着色パターンを水洗することが好ましい。
【0157】
得られた着色パターンにおいては、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、好ましくは150~250℃、より好ましくは160~235℃である。ポストベーク時間は、好ましく1~120分、より好ましくは10~60分である。
【0158】
[固体撮像素子]
本実施形態の固体撮像素子は、着色パターン、着色硬化塗膜等である光学フィルタを含む。
【0159】
本実施形態の着色樹脂組成物によれば、例えば、赤外線透過フィルタを作製することができる。当該赤外線透過フィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられる膜として有用である。
【実施例0160】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0161】
以下の実施例において、化合物の構造は質量分析装置(LC:Agilent社製1200型、MASS:Agilent社製LC/MSD6130型)で確認した。
【0162】
以下の実施例において、吸光度及び極大吸収波長は紫外可視近赤外吸収分光装置(日本分光(株)製V-770、スリット幅:1nm)で確認した。
【0163】
樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法により以下の条件で行った。
装置:HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム:TSK-GELG2000HXL
カラム温度:40℃
溶剤:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
分析試料の固形分濃度:0.001~0.01質量%
注入量:50μL
検出器:RI
校正用標準物質:TSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500(東ソー(株)製)
【0164】
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分散度とした。
【0165】
(合成例1)
<化合物(I-a)の調製>
窒素雰囲気下、3,6-ジヒドロキシフタロニトリル(東京化成工業(株)製)48部、脱水ピリジン(関東化学(株)製)96部及び塩化メチレン(関東化学(株)製脱水品)1296部を混合し、ドライアイス-アセトン浴で-78℃に冷却した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(東京化成工業(株)製)211部を系内の温度が-50℃より上昇しないように、30分間かけて滴下した。滴下終了後、ドライアイス-アセトン浴を取り除き、室温(18~24℃)の温度にした後、同温度で22時間撹拌した。反応液を純水600部に注ぎ、分液操作を行った。得られた有機層を、1M塩酸(関東化学(株)製)1000部、イオン交換水1000部及び飽和食塩水1000部の順序で洗浄した後、無水硫酸ナトリウム(関東化学(株)製)で脱水した。硫酸ナトリウムを濾過後、溶媒を留去した。粗成生物を塩化メチレンで再結晶し、無色結晶の式(I-a)で表される化合物を53部得た(収率42%)。
【0166】
【化7】
【0167】
<化合物(I-a)の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H] 425
Exact Mass:424
【0168】
(合成例2)
<化合物(I-b)の調製>
窒素雰囲気下、合成例1で製造された化合物(I-a)42部、炭酸カリウム(関東化学(株)製)57部及びジメチルスルホキシド(関東化学(株)製脱水品)819部を混合し、23℃、18時間撹拌した。得られた混合物を40℃以下に保ちながら、チオフェノール(東京化成工業(株)製)22部を30分かけて滴下した。滴下終了後、室温(18~24℃)で19時間撹拌した。反応終了後、反応液を純水15000部に注ぎ、塩化メチレン5000部で液-液抽出を3回行った。分液した有機層を、無水硫酸ナトリウム(関東化学(株)製)で脱水し、硫酸ナトリウムを濾過後、溶媒を留去した。粗成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶剤:クロロホルム)で精製し、淡黄色結晶の式(I-b)で表される化合物を17部得た(収率51%)。
【0169】
【化8】
【0170】
<化合物(I-b)の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H] 345
Exact Mass:344
【0171】
(合成例3)
<化合物(I-1)の調製>
窒素雰囲気下、合成例2で製造された化合物(I-b)8.6部、塩化ニッケル(II)(富士フイルム和光純薬(株)製)0.81部、1-ペンタノール(東京化成工業(株)製)808部及び1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン(東京化成工業(株)製)20部を混合し、160℃で7時間還流した。反応終了後、反応液を室温(18~24℃)まで冷却し、8000部のメタノール中に注いだ。析出した固体を、イオン交換水200部で2回、メタノール200部で2回の順序でデカンテーションによって洗浄した。粗成生物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶剤:クロロホルム)によって精製し、式(I-1)で表される化合物(I-1)を固体として4.9部(収率55%)得た。
【0172】
【化9】
【0173】
<化合物(I-1)の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H] 1435
Exact Mass:1434
【0174】
(合成例4)
<化合物(II-a)の調製>
窒素雰囲気下、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン10部(東京化成工業(株)製)、ハイドロサルファイトナトリウム(富士フイルム和光純薬(株)製)13部、イオン交換水170部及びトルエン(関東化学(株)製)170部を混合し、室温(18~24℃)で1時間撹拌した。反応終了後、析出した固体を、濾過し、氷冷したイオン交換水30部で洗浄し、さらにn-ヘキサン30部で洗浄した。粗製物をアセトン/水で再結晶したところ、無色結晶の式(II-a)で表される化合物を7.0部得た(収率70%)。
【0175】
【化10】
【0176】
<化合物(II-a)の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H] 229
Exact Mass:228
【0177】
(合成例5)
<化合物(II-b)の調製>
窒素雰囲気下、合成例4で得られた化合物(II-a)30部、1-ブロモブタン(東京化成(株)製)54部、炭酸カリウム(関東化学(株)製)109部、ヨウ化カリウム(関東化学(株)製)43部及びN,N-ジメチルホルムアミド(関東化学(株)製脱水品)669部を混合し、80℃で3時間撹拌した。反応終了後、室温(18~24℃)まで冷却し、セライト濾過をした。酢酸エチル3000部で洗浄し、得られたろ液にイオン交換水1300部を添加し、分液操作を行った。得られた有機層を、無水硫酸ナトリウム(関東化学(株)製)で脱水し、硫酸ナトリウムを濾過後、溶媒を留去した。粗成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶剤:ヘキサン/クロロホルム=1/1(容積/容積))で精製し、式(II-b)で表される化合物を33部得た(収率75%)。
【0178】
【化11】
【0179】
<化合物(II-b)の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H] 348
Exact Mass:347
【0180】
(合成例6)
<化合物(II-c)の調製>
窒素雰囲気下、水酸化カリウム(関東化学(株)製)18部、チオフェノール(東京化成工業(株)製)36部及びイオン交換水78部を混合した。合成例5で得られた化合物(II-b)50部及びアセトン(関東化学(株)製脱水品)588部からなる溶液を40℃で30分間かけて添加し、60℃で2時間撹拌した。酢酸エチル2000部、イオン交換水1000部を加え、分液操作を行った。得られた有機層を、無水硫酸ナトリウム(関東化学(株)製)で脱水し、硫酸ナトリウムを濾過後、溶媒を留去した。粗成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶剤:クロロホルム)で精製し、式(II-c)で表される化合物を59部得た(収率83%)。
【0181】
【化12】
【0182】
<化合物(II-c)の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H] 489
Exact Mass:488
【0183】
(合成例7)
<化合物(II-d)の調製>
チオフェノール(東京化成工業(株)製)36部を4-メトキシベンゼンチオール(東京化成工業(株)製)45部に代えた以外は、合成例6と同様にして、化合物(II-d)を68部得た(収率84%)。
【0184】
【化13】
【0185】
(合成例8)
<化合物(II-1)の調製>
窒素雰囲気下、合成例6で製造された化合物(II-c)8.6部、塩化ニッケル(II)(富士フイルム和光純薬(株)製)0.57部、1-ペンタノール(東京化成工業(株)製)808部及び1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン(東京化成工業(株)製)141部を混合し、160℃で15時間還流した。反応終了後、反応液を室温(18~24℃)まで冷却し、8000部のメタノール中に注いだ。析出した固体を、イオン交換水200部で2回、メタノール200部で2回の順序でデカンテーションによって洗浄した。粗成生物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶剤:クロロホルム)によって精製し、式(II-1)で表される化合物(II-1)を固体として5.3部(収率59%)得た。
【0186】
【化14】
【0187】
<化合物(II-1)の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H] 2011
Exact Mass:2010
【0188】
(合成例9)
<化合物(II-2)の調製>
化合物(II-c)8.6部を合成例7で得られた化合物(II-d)9.6部(東京化成工業(株)製)45部に代えた以外は、合成例8と同様にして、式(II-2)で表される化合物(II-2)を固体として4.4部得た(収率50%)。
【0189】
【化15】
【0190】
<化合物(II-2)の同定>
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=[M+H] 2235
Exact Mass:2234
【0191】
(合成例10)
<樹脂(B-1)の調製>
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート340部を入れ、撹拌しながら80℃まで加熱した。次いで、アクリル酸57部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物(含有比はモル比で1:1)54部、ベンジルメタクリレート239部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート73部の混合溶液を5時間かけて滴下した。一方、重合開始剤2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)40部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート197部に溶解した開始剤溶液を6時間かけて滴下した。開始剤溶液の滴下終了後、80℃で3時間保持した後、室温(18~24℃)まで冷却して、B型粘度計(23℃)で測定した粘度127mPa・s、固形分37.0%の共重合体(樹脂(B-1))溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9.4×10、分散度は1.89、固形分換算の酸価は114mg-KOH/gであった。樹脂(B-1)は、以下の構造単位を有する。
【0192】
【化16】
【0193】
(合成比較例)
特開2014-19838号公報の実施例1に記載の合成法に準拠して、フタロシアニン化合物Pc-02を得た。
【0194】
【化17】
【0195】
<実施例1>
(1)着色樹脂組成物1Aの調製
着色剤(A)として化合物(I-1)30部、分散剤(BYK社製、BYKLPN-6919)(固形分換算)24部、樹脂(B)として合成例10で得られた樹脂(B-1)(固形分換算)24部、溶剤(E)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート522部及び0.2mmのジルコニアビーズ900部を混合し、ペイントコンディショナー(LAU社製)を使用して、得られた混合物を1時間振盪した。その後、ジルコニアビーズを濾過により除去して着色樹脂組成物1Aを得た。
【0196】
(2)着色剤(A)の紫外可視近赤外吸収分光測定
着色樹脂組成物1Aの化合物(I-1)の含有量が10質量ppmになるように、着色樹脂組成物1Aをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、測定用溶液を調製した。このようにして調製した測定用溶液を1cm角の石英製セルに入れ、紫外可視近赤外吸収分光装置を用いて、波長1400~300nm(データサンプリング間隔1nm)の範囲で測定した。このとき、吸光度の極大値を示す波長を極大吸収波長λmaxとした。また、波長780nmにおける吸光度Abs(780)とλmaxにおける吸光度Abs(λmax)との比(Abs(780)/Abs(λmax))を算出した。光学フィルタは、可視領域の上限780nmの光を吸収する必要があることから、この値が大きいほど、近赤外線透過性を有する光学フィルタの特性として好ましい。また、波長900~1400nmの範囲の最大吸光度Abs(900-1400)とλmaxにおける吸光度Abs(λmax)との比(Abs(900-1400)/Abs(λmax))を算出した。この値が小さいほど、近赤外領域の透過性が高くなり、センサーとしての感度が高くなるため、近赤外線透過性を有する光学フィルタの特性として好ましい。
【0197】
(3)着色樹脂組成物1Bの調製
下記の成分を混合することにより、着色樹脂組成物1Bを得た。
・着色樹脂組成物1A:720部
(着色剤(A):化合物(I-1)36部
樹脂(B):樹脂(B-1)(固形分換算)28.8部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート626部
その他の成分:分散剤(BYK社製、BYKLPN-6919)(固形分換算)28.8部)
・樹脂(B):合成例10で得られた樹脂(B-1)73部(固形換算)
・重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールポリアクリレート(商品名A-9550、新中村化学工業(株)製)68部(固形換算)
・重合開始剤(D):N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン(商品名TR-PBG327、常州強力電子新材料社製))5.1部
・溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1134部
・レベリング剤(F):ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名トーレシリコーンSH8400、東レダウコーニング(株)製)1.4部
【0198】
(4)着色硬化塗膜の作製
着色樹脂組成物1Bを、5cm角のガラス基板(イーグル2000、コーニング社製)上にスピンコート法で塗布し、着色塗膜を得た。その後、着色塗膜に対して、100℃で3分間プリベークを行い、オーブン中、230℃で20分間ポストベークを行うことによって着色硬化塗膜を得た。
【0199】
(5)耐熱性試験
得られた着色硬化塗膜を、オーブン中、大気雰囲気下で、260℃で10分間加熱し、加熱前後の着色硬化塗膜の吸光度維持率を測定した。ここで、吸光度維持率とは、下記式から算出される数値であり、吸光度維持率が高いほど、耐熱性に優れることを意味する。また、着色硬化塗膜の耐熱性が良好であれば、同じ着色樹脂組成物から作製される光学フィルタも、耐熱性に優れるといえる。結果を表1に示す。
吸光度維持率(%)=(加熱後の着色硬化塗膜の極大吸収波長における吸光度)/(加熱前の着色硬化塗膜の極大吸収波長における吸光度)×100
【0200】
(6)耐光性試験
得られた着色硬化塗膜上に、紫外線カットフィルタ(COLORED OPTICAL GLASS L38、ホヤ社製、380nm以下の光をカットするフィルタ)を配置し、耐光性試験機(SUNTEST CPS+、(株)東洋精機製作所製)にてキセノンランプ光を68時間照射し、照射前後の着色硬化塗膜の吸光度維持率を測定した。ここで、吸光度維持率とは、下記式から算出される数値であり、吸光度維持率が高いほど、耐光性に優れることを意味する。また、着色硬化塗膜の耐光性が良好であれば、同じ着色樹脂組成物から作製される光学フィルタも、耐光性に優れるといえる。結果を表1に示す。
吸光度維持率(%)=(照射後の着色硬化塗膜の極大吸収波長における吸光度)/(照射前の着色硬化塗膜の極大吸収波長における吸光度)×100
【0201】
<実施例2>
30部の化合物(I-1)に代えて、30部の化合物(II-1)に変更した以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂組成物2A及び着色樹脂組成物2Bを得て、着色硬化塗膜を作製した。着色樹脂組成物2A及び着色硬化塗膜について、実施例1と同様にして、紫外可視近赤外吸収分光測定、耐熱性試験及び耐光性試験を行った。結果を表1に示す。
【0202】
<実施例3>
30部の化合物(I-1)に代えて、30部の化合物(II-2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂組成物3A及び着色樹脂組成物3Bを得て、着色硬化塗膜を作製した。着色樹脂組成物3A及び着色硬化塗膜について、実施例1と同様にして、紫外可視近赤外吸収分光測定、耐熱性試験及び耐光性試験を行った。結果を表1に示す。
【0203】
<実施例4>
30部の化合物(I-1)に代えて、15部の化合物(I-1)及び15部の化合物(II-1)に変更した以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂組成物4A及び着色樹脂組成物4Bを得て、着色硬化塗膜を作製した。着色樹脂組成物4A及び着色硬化塗膜について、実施例1と同様にして、紫外可視近赤外吸収分光測定、耐熱性試験及び耐光性試験を行った。結果を表1に示す。
【0204】
<実施例5>
30部の化合物(I-1)に代えて、6部の化合物(I-1)及び24部の化合物(II-1)に変更した以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂組成物5A及び着色樹脂組成物5Bを得て、着色硬化塗膜を作製した。着色樹脂組成物5A及び着色硬化塗膜について、実施例1と同様にして、紫外可視近赤外吸収分光測定、耐熱性試験及び耐光性試験を行った。結果を表1に示す。
【0205】
<実施例6>
30部の化合物(I-1)に代えて、10部の化合物(I-1)及び20部の化合物(II-1)に変更した以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂組成物6A及び着色樹脂組成物6Bを得て、着色硬化塗膜を作製した。着色樹脂組成物6A及び着色硬化塗膜について、実施例1と同様にして、紫外可視近赤外吸収分光測定、耐熱性試験及び耐光性試験を行った。結果を表1に示す。
【0206】
<実施例7>
30部の化合物(I-1)に代えて、20部の化合物(I-1)及び10部の化合物(II-1)に変更した以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂組成物7A及び着色樹脂組成物7Bを得て、着色硬化塗膜を作製した。着色樹脂組成物7A及び着色硬化塗膜について、実施例1と同様にして、紫外可視近赤外吸収分光測定、耐熱性試験及び耐光性試験を行った。結果を表1に示す。
【0207】
<比較例1>
30部の化合物(I-1)に代えて、30部のフタロシアニン化合物Pc-02に変更した以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂組成物1a及び着色樹脂組成物1bを得て、着色硬化塗膜を作製した。着色樹脂組成物1a及び着色硬化塗膜について、実施例1と同様にして、紫外可視近赤外吸収分光測定、耐熱性試験及び耐光性試験を行った。結果を表1に示す。
【0208】
【表1】
【0209】
表1に示すとおり、所定の着色剤を含有する実施例1~7の着色硬化塗膜は、所定の着色剤を含有しない比較例1の着色硬化塗膜に比べて、耐熱性及び耐光性に優れていた。これらの結果から、本発明の着色樹脂組成物が、耐熱性に優れる光学フィルタを形成することが可能であることが確認された。