(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184516
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B42B 5/00 20060101AFI20231221BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B42B5/00
B65H37/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100168
(22)【出願日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】P 2022097910
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 知幸
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 圭
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 一貴
(72)【発明者】
【氏名】杉山 恵介
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA43
3F108HA54
(57)【要約】
【課題】綴じ動作を大型化及び複雑化することなく、綴じ位置に付与された液体を速やかに乾燥させることが可能な媒体処理装置を提供する。
【解決手段】媒体処理装置は、前記媒体の綴じ位置に液体付与する液体付与部と、液体付与部によって少なくとも1枚に液体付与された複数の媒体の綴じ位置に対して綴じ動作を行う後処理部と、後処理部により綴じられた複数の媒体からなる媒体束を排出する排出手段と、排出手段により排出された媒体束を載置する載置部と、載置部に載置された媒体束の綴じ位置に向けて風を吹き付ける送風手段とを備える。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の綴じ位置に液体付与する液体付与部と、
前記液体付与部によって少なくとも1枚に液体付与された複数の前記媒体の前記綴じ位置に対して綴じ動作を行う後処理部と、
前記後処理部により綴じられた複数の前記媒体からなる媒体束を排出する排出手段と、
前記排出手段により排出された前記媒体束を載置する載置部と、
前記載置部に載置された前記媒体束の前記綴じ位置に向けて風を吹き付ける送風手段と、を備えることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記液体付与部、前記後処理部、及び前記送風手段を収容する筐体を備え、
前記筐体の側面には、
前記媒体束を前記筐体の外部に排出する排出口と、
前記送風手段によって生成された風を吹き出す吹出口とが形成され、
前記載置部は、前記排出口から排出された前記媒体束を載置可能なように、前記側面において昇降可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記載置部の昇降動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記載置部を、
前記載置部に載置された前記媒体束の前記綴じ位置に前記吹出口が対面する乾燥位置と、
前記載置部に既に載置されている前記媒体束と、前記排出口から次に排出される前記媒体束の間に前記吹出口が位置するような排出補助位置との間で、移動させることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記送風手段は、各々が独立して風を生成する第一送風手段及び第二送風手段を備え、
前記吹出口は、
前記載置部に載置された前記媒体束の前記綴じ位置に向けて、前記第一送風手段によって生成された風を吹き出す第一吹出口と、
前記載置部に既に載置されている前記媒体束及び前記排出口から次に排出される前記媒体束の間に向けて、前記第二送風手段によって生成された風を吹き出す第二吹出口とを備えることを特徴とする請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記送風手段は、前記載置部に載置された前記媒体束の幅方向に移動可能、または上下方向に延びる回動軸周りに回動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記送風手段は、各々が独立して風を生成する第一送風手段及び第二送風手段を備え、
前記第一送風手段及び前記第二送風手段は、各々が独立して前記載置部に載置された前記媒体束の幅方向に移動可能、または上下方向に延びる回動軸周りに回動可能であることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記送風手段は、前記載置部に載置された前記媒体束の幅方向に移動可能で、かつ上下方向に延びる回動軸周りに回動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記送風手段は、各々が独立して風を生成する第一送風手段及び第二送風手段を備え、
前記第一送風手段及び前記第二送風手段は、各々が独立して前記載置部に載置された前記媒体束の幅方向に移動可能で、かつ上下方向に延びる回動軸周りに回動可能であることを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
温風生成手段を更に有し、
前記送風手段は、前記温風生成手段で暖めた空気を送風する請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体に綴じ動作を行う請求項1に記載の媒体処理装置と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置によって画像が形成されたシート状の媒体を束にして綴じる処理を行う媒体処理装置が知られている。なお、シート状の媒体の例として用紙が広く知られているので、本明細書では、シート状の媒体の束に関しては複数の用紙を積層した「用紙束」を例に用いることとする。また、媒体処理装置には、省資源化や環境負荷の低減を鑑みる観点から、金属製の綴じ針を用いずに、凹凸状の綴じ歯で用紙束を挟持して加圧変形させる所謂「圧着綴じ」が可能な圧着処理部を備えるものがある。
【0003】
圧着綴じには、用紙束を構成する用紙の枚数が多いほど用紙束に綴じ歯が食い込みにくくなって、綴じた用紙が剥がれ落ちるなど、綴じ状態を適切に維持するのが困難であるという課題がある。そこで、圧着綴じを行う媒体処理装置には、綴じ歯を用紙束に食い込み易くするために、綴じ枚数に応じた量の液体を綴じ歯が接触する位置(以下、「綴じ位置」と表記する。)に塗布する塗液処理部を備えるものがある。
【0004】
また、綴じ位置に液体を塗布してから圧着綴じする場合、塗布した液体が蒸発することによって綴じ強度が高まる。そこで、塗布した液体を速やかに排除するために、圧着綴じした後の綴じ位置に通電加熱する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の紙綴じ装置では、圧着綴じを行う一対の加圧部材それぞれに電極を設けて、この電極に電流を供給することによって通電加熱が行われる。そのため、綴じ処理部が大型化及び複雑化するという課題がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、綴じ動作を行う後処理部を大型化及び複雑化することなく、綴じ位置に付与された液体を速やかに乾燥させることが可能な媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、媒体処理装置に関し、媒体の綴じ位置に液体付与する液体付与部と、前記液体付与部によって少なくとも1枚に液体付与された複数の前記媒体の前記綴じ位置に対して綴じ動作を行う後処理部と、前記後処理部により綴じられた複数の前記媒体からなる媒体束を排出する排出手段と、前記排出手段により排出された前記媒体束を載置する載置部と、前記載置部に載置された前記媒体束の前記綴じ位置に向けて風を吹き付ける送風手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、綴じ動作を行う後処理部を大型化及び複雑化することなく、綴じ位置に付与された液体を速やかに乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第一実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
【
図3】端綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図4】端綴じ処理部を主走査方向の液体付与部側から見た模式図。
【
図5】後処理装置における第二貯液部の配置及び構成を示す図。
【
図6】後処理装置における第二貯液部の着脱構成を示す図。
【
図9】端綴じ処理部の変形例に係る液体付与圧着部を示す図。
【
図10】
図9の液体付与圧着部による液体付与動作及び圧着綴じ動作を示す図。
【
図11】針綴じ処理部を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図12】針綴じ処理部の変形例を搬送方向の上流側から見た模式図。
【
図13】第二排出トレイ及び送風手段の位置関係を示す模式図。
【
図14】第一実施形態に係る後処理装置を制御する制御ブロックのハードウェア構成図。
【
図15】端綴じ処理部による綴じ処理理のフローチャート。
【
図16】端綴じ処理部による綴じ処理中における液体付与部及び圧着部の位置を示す図。
【
図18】送風制御処理中における第二排出トレイの位置を示す図。
【
図19】綴じ位置に送風を指向するバリエーションを示す図。
【
図20】用紙束の中央に送風を指向するバリエーションを示す図。
【
図21】変形例1に係る送風機構を備えた後処理装置の構成を示す模式図。
【
図22】変形例2に係る送風機構を備えた後処理装置の構成を示す模式図。
【
図23】第二実施形態に係る後処理装置の内部構造を示す図。
【
図24】第二実施形態に係る内部トレイを用紙の厚み方向から見た図。
【
図25】第二実施形態に係る圧着部を搬送方向の下流側から見た模式図。
【
図26】第二実施形態に係る液体付与部を用紙の厚み方向から見た図。
【
図29】第二実施形態に係る後処理装置の制御ブロックのハードウェア構成図。
【
図30】第二実施形態に係る後処理装置の後処理フローチャート。
【
図31】画像形成システムの変形例の全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像形成システム1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、画像形成システム1の全体構成を示す図である。画像形成システム1は、用紙P(シート状の媒体)に画像を形成し、画像が形成された用紙Pに対して後処理を施す機能を有する。
図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置2と、本発明に係る後処理装置3(媒体処理装置)とで構成される。
【0011】
画像形成装置2は、用紙Pに画像を形成し、画像を形成した用紙Pを後処理装置3に排出する。画像形成装置2は、用紙Pが収容されたトレイと、トレイに収容された用紙Pを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された用紙Pに画像を形成する画像形成部とを備える。画像形成部は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成装置2の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0012】
[後処理装置の第一実施形態]
図2は、第一実施形態に係る後処理装置3(媒体処理装置)の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに後処理を施す。本実施形態に係る後処理の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Pの束(シート束)を、綴じ針を用いずに綴じる「圧着綴じ処理」としての綴じ処理である。また、本実施形態に係る後処理の他の一つは、画像が形成された複数枚の用紙Pの束(シート束)を、綴じ針を用いて綴じる「針綴じ処理」としての綴じ処理である。以下、複数の用紙Pの束(媒体束)を「用紙束Pb」と表記する。
【0013】
なお、本実施形態に係る「圧着綴じ処理」とは、より詳細には、用紙束Pbの一部に相当する綴じ位置に対し圧力を加えて、当該綴じ位置を変形させて(加圧変形させて)綴じる処理であって、「圧着綴じ」と称される処理である。なお、後処理装置3において実行可能な綴じ処理は、用紙束Pbの端部を綴じる端綴じ処理と、用紙束Pbの中央部を綴じる中綴じ処理を含む。
【0014】
後処理装置3は、搬送ローラ対10~19(搬送部)と、切替部材20とを備える。搬送ローラ対10~19は、後処理装置3の内部において、画像形成装置2から供給された用紙Pを搬送する。より詳細には、搬送ローラ対10~13は、第一搬送路Ph1に沿って用紙Pを搬送する。また、搬送ローラ対14~15は、第二搬送路Ph2に沿って用紙Pを搬送する。さらに、搬送ローラ対16~19は、第三搬送路Ph3に沿って用紙Pを搬送する。
【0015】
第一搬送路Ph1は、画像形成装置2からの用紙Pの供給口から第一排出トレイ21に至る経路である。第二搬送路Ph2は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、内部トレイ22を通じて第二排出トレイ26(載置部)に至る経路である。第三搬送路Ph3は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第一搬送路Ph1から分岐し、第三排出トレイ30に至る経路である。
【0016】
切替部材20は、第一搬送路Ph1及び第二搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替部材20は、第一搬送路Ph1を通じて用紙Pを第一排出トレイ21に排出する第一位置と、第一搬送路Ph1を搬送される用紙Pを第二搬送路Ph2に導く第二位置とに切り替え可能に構成されている。また、第二搬送路Ph2に進入した用紙Pの後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙Pが第三搬送路Ph3に導かれる。また、後処理装置3は、各搬送路Ph1、Ph2、Ph3上の用紙Pの位置を検知する複数のセンサ(
図2に▲で示す)を備える。
【0017】
後処理装置3は、第一排出トレイ21を備える。第一搬送路Ph1を通じて排出された用紙Pは、第一排出トレイ21に載置される。第一排出トレイ21には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、綴じ処理が施されない用紙Pが排出される。
【0018】
また、後処理装置3は、載置トレイとしての内部トレイ22と、エンドフェンス23と、サイドフェンス24L、24Rと、端綴じ処理部25と、針綴じ処理部155と、第二排出トレイ26とを備える。内部トレイ22、エンドフェンス23、サイドフェンス24L、24R、端綴じ処理部25、及び針綴じ処理部155は、第二搬送路Ph2を搬送される複数の用紙Pにより構成される用紙束Pbに端綴じ処理を施す。第二排出トレイ26には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、端綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0019】
ここでいう「端綴じ処理」とは、用紙束Pbの主走査方向に平行な一辺に沿って綴じ処理を行う「平行綴じ処理」、用紙束Pbの角部に綴じ処理を行う「斜め綴じ処理」、用紙束Pbの搬送方向に平行な一辺に沿って綴じ処理を行う「垂直綴じ処理」が含まれる。
【0020】
以下、搬送ローラ対15からエンドフェンス23に向かう方向を用紙Pの「搬送方向」と定義する。すなわち、本明細書における「搬送方向」とは、画像形成装置2から排出された用紙Pが、搬送ローラ対10等により、第二排出トレイ26の方向に移動した後に、搬送ローラ対15によってエンドフェンス23に向かう方向に相当する。また、用紙Pの厚み方向及び搬送方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。
【0021】
第二搬送路Ph2を経由して順番に搬送される複数の用紙Pは、載置トレイとしての内部トレイ22に一時的に載置される。エンドフェンス23は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス24L、24Rは、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の位置を揃える。端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155は、エンドフェンス23及びサイドフェンス24L、24Rによって揃えられた用紙束Pbの端部に対して端綴じ処理を実行する。そして、搬送ローラ対15は、端綴じ処理が施された用紙束Pbを第二排出トレイ26に排出する。
【0022】
さらに、後処理装置3は、エンドフェンス27と、中綴じ処理部28と、用紙折りブレード29と、第三排出トレイ30とをさらに備える。エンドフェンス27、中綴じ処理部28、及び用紙折りブレード29は、第三搬送路Ph3を搬送される複数の用紙Pにより構成される用紙束Pbに中綴じ処理を施す。第三排出トレイ30には、画像形成装置2から供給される用紙Pのうち、中綴じ処理が施された用紙束Pbが排出される。
【0023】
エンドフェンス27は、第三搬送路Ph3を順番に搬送される複数の用紙Pの搬送方向の位置を揃える。また、エンドフェンス27は、用紙束Pbの中央を、中綴じ処理部28に対面させる綴じ位置と、用紙折りブレード29に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。中綴じ処理部28は、綴じ位置のエンドフェンス27によって揃えられた用紙束Pbの中央を綴じる。用紙折りブレード29は、折り位置のエンドフェンス27に載置された用紙束Pbを半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。搬送ローラ対18、19は、中綴じ処理が施された用紙束Pbを第三排出トレイ30に排出する。
【0024】
また、後処理装置3は、端綴じ処理部25に、第一貯液タンク43(第一貯液部)及び第一液体供給部45(液体付与部の一部)を備える。なお、第一貯液タンク43及び第一液体供給部45は、
図2においては図示を省略している。そして、後処理装置3は、第一貯液タンク43に対して液体を補充するための構成として、第二液体供給部94(液体供給手段の一部)と、液体供給ポンプ95(液体供給手段の一部)、第二貯液タンク93(第二貯液部の一部)、及び第二貯液タンク固定部92(第二貯液部の一部)を備えている。第二貯液タンク93に貯留されている液体は、第二貯液タンク固定部92、液体供給ポンプ95、及び第二液体供給部94を介して第一貯液タンク43へと供給される。
【0025】
[端綴じ処理部の構成]
図3は、液体付与と圧着綴じ処理とを行う端綴じ処理部25を搬送方向の上流側から見た模式図である。
図4は、端綴じ処理部25を主走査方向の液体付与部31側から見た模式図である。
図3に示すように、端綴じ処理部25は、液体付与に係る処理動作を実行する液体付与部31と、後処理部の一例であって圧着綴じ処理を行う圧着部32とを備える。液体付与部31及び圧着部32は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0026】
液体付与部31は、第一貯液タンク43に貯留された液体を、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに付与する。以下、用紙P又は用紙束Pbに対して液体を付与することを「液体付与」と表記し、液体付与を行うための処理を「液体付与処理」と表記する。
【0027】
ここで、「液体付与」するために、第一貯液タンク43に貯留される液体とは、さらに詳しくは、化学式「H2O」で表される水素と酸素の化合物の液体状態を主成分とするものである。液体状態であれば、その温度状態は問わず、いわゆる温水や熱水であってもよい。また、純水に限らず、精製水はもちろんのこと、イオン化した塩類が含まれていても良い。金属イオン含有量もいわゆる軟水から超硬水まで硬度は問わない。
【0028】
また主成分に加えて添加物が加えられていてもよい。水道水として用いられる残留塩素を含んでいてもよいし、着色剤・浸透剤・pH調整剤・フェノキシエタノールなどの防腐剤・グリセリンなどの乾燥防止剤等が添加されていることも望ましい。さらには、インクジェット方式の印刷装置で用いられるインクや、水性ペンに用いられるインクも成分として水を用いているので、これを「液体付与」として用いても良い。
【0029】
ここで具体的に挙げたものに限らず、次亜塩素酸水や消毒用に希釈したエタノール水溶液など広義の「水」であっても機能するが、綴じ処理後の綴じ強度を高める作用を発揮させるためだけの用途であれば入手・管理が容易な水道水を用いればよい。又、液体としては、上記に例示したような水を主成分とする液体を用いる方が、水を主成分としていない液体を用いるよりも用紙束Pbの綴じ強度を向上させることができる。
【0030】
液体付与部31と圧着部32は、共に、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力が伝達されることによって主走査方向に移動可能に構成されている。液体付与部31によって用紙P又は用紙束Pbに対して液体付与が行われる位置(液体付与位置、又は液体付与領域)は、圧着部32によって用紙束Pbに対して圧着綴じが行われる予定である位置(綴じ位置、又は綴じ領域)に対応する。したがって、以下の説明では、液体付与位置(又は、液体付与領域)と綴じ位置(又は綴じ領域)には同一符号を付している。
【0031】
[液体付与部の構成]
図3及び
図4に示すように、液体付与部31は、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力が伝達されることによって、圧着部32と共に主走査方向に移動可能に構成されている。液体付与部31は、用紙P又は用紙束Pbの載置台としての下押圧板33と、上押圧板34と、液体付与部移動機構35と、液体付与機構36とを備える。液体付与部31の構成部品(下押圧板33、上押圧板34、液体付与部移動機構35、液体付与機構36)は、液体付与フレーム31a及びベース部材48により保持されている。
【0032】
下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbは、下押圧板33にも載置される。下押圧板33は、下押圧板保持体331上に設けられている。上押圧板34は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに対面する位置において、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に移動可能に構成されている。すなわち、下押圧板33及び上押圧板34は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbを挟んで、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向(以下、単に「厚み方向」と表記する。)に対向して配置されている。さらに、上押圧板34には、ベースプレート40に取り付けられた保持部46を介して保持される液体付与部材44(液体付与部の一部)の先端に対面する位置に、厚み方向に貫通する貫通口34aが形成されている。
【0033】
液体付与部移動機構35は、上押圧板34、ベースプレート40、保持部46、液体付与部材44、第一液体供給部45、及び第一貯液タンク43を用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に移動させる。本実施形態に係る液体付与部移動機構35は、単一の液体付与部移動モータ37によって、上押圧板34、ベースプレート40、第一貯液タンク43、液体付与部材44、第一液体供給部45、及び保持部46を連動(一体化)して移動させる。液体付与部移動機構35は、例えば、液体付与部移動モータ37と、台形ネジ38と、ナット39と、ベースプレート40と、柱状部材41a、41bと、コイルバネ42a、42bとを備える。
【0034】
液体付与部移動モータ37は、上押圧板34、ベースプレート40、保持部46、液体付与部材44、第一液体供給部45、及び第一貯液タンク43を移動させる駆動力を発生させる。台形ネジ38は、用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に延設されると共に、液体付与部31の液体付与フレーム31aに正逆方向に回転可能に支持されている。また、台形ネジ38は、プーリやベルト等を介して液体付与部移動モータ37の出力軸に接続されている。ナット39は、台形ネジ38に螺合されている。そして、液体付与部移動モータ37の駆動力が伝達されて台形ネジ38が正逆方向に回転することによってナット39が台形ネジ38上を往復移動する。
【0035】
また、ベースプレート40は、上押圧板34に対して離間した位置に配置されている。また、ベースプレート40は、液体付与部材44の先端をベースプレート40から上押圧板34に向けて突出させた状態で、液体付与部材44を保持している。さらに、ベースプレート40は、ナット39を介して台形ネジ38に接続されて、台形ネジ38が正逆方向に回転することによって台形ネジ38に沿って往復移動可能に構成されている。そして、ベースプレート40の用紙P又は用紙束Pbの厚み方向の位置は、位置検知センサ40a(
図14参照)によって検知される。
【0036】
柱状部材41a、41bは、液体付与部材44の先端の周囲において、ベースプレート40から上押圧板34に向かって突出している。また、柱状部材41a、41bは、ベースプレート40に対して厚み方向に相対移動可能に構成されている。さらに、柱状部材41a、41bは、下押圧板33側の先端部で上押圧板34を保持している。又、柱状部材41a、41bの下押圧板33と反対側の先端部には、柱状部材41a、41bがベースプレート40から外れるのを防止する抜け止めが設けられている。コイルバネ42a、42bは、ベースプレート40と上押圧板34との間において、柱状部材41a、41bに外挿されている。そして、コイルバネ42a、42bは、上押圧板34及び柱状部材41a、41bを、ベースプレート40に対して下押圧板33側に向かって付勢する。
【0037】
液体付与機構36は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに液体付与する。より詳細には、液体付与部31は、液体付与部材44を用紙P又は用紙束Pbに接触させることによって、用紙束Pbを構成する少なくとも1枚の用紙Pに液体付与する。
【0038】
液体付与機構36は、第一液量検知センサ43a(第一液体検知手段)と、第一貯液タンク43と、液体付与部材44と、第一液体供給部45と、保持部46とを備える。第一貯液タンク43は、用紙P又は用紙束Pbに液体付与するための液体を貯留する。第一貯液タンク43に貯留された液体の量は、第一液量検知センサ43aによって検知される。第一貯液タンク43は、保持部46を介してベースプレート40に連結されている。
【0039】
液体付与部材44は、第一貯液タンク43に貯留された液体を用紙P又は用紙束Pbに付与する。液体付与部材44と、液体付与部材44に密着するよう設置された第一液体供給部45は、共に保持部46に保持されている。また、保持部46は、ベースプレート40に保持されている。保護部材45aは、第一液体供給部45に外挿される長尺の筒体(例えば、チューブ)である。これにより、第一液体供給部45が吸収した液体が漏れ出したり、蒸発するのを防止できる。
【0040】
第一液体供給部45は、一方の端部が液体付与部材44に密着し、他方の端部が第一貯液タンク43に貯留された液体に浸っている。すなわち、第一液体供給部45の他方の端部は、液体を吸い上げて液体付与部材44へと供給する浸液部に相当する。液体付与部材44及び第一液体供給部45は、例えば連続気泡で形成された弾性樹脂のように、吸液率の高い材料(例えば、スポンジや繊維など)で構成されている。したがって、第一液体供給部45の他方の端部が貯留されている液体に浸ると、毛細管現象により液体を吸い上げる状態になり、その結果、第一液体供給部45及び液体付与部材44へ、液体を充填する。
【0041】
本実施形態に係る液体付与部材44の先端面は、平坦面である。さらに、本実施形態に係る液体付与部材44は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに先端面が平行になるように、ベースプレート40に支持されている。
【0042】
また、液体付与部31の構成品を保持する液体付与フレーム31aは、その底面に駆動伝達ギヤ562aを備えた液体付与部回転軸562が固定されている。液体付与部回転軸562及び駆動伝達ギヤ562aは、液体付与フレーム31aが設けられるベース部材48に正逆方向に回転可能に保持されている。又、駆動伝達ギヤ562aは、液体付与部回動モータ563の出力ギヤ563aに噛み合っている。そして、液体付与部31は、液体付与部回動モータ563の駆動力が、出力ギヤ563a及び駆動伝達ギヤ562aを介して液体付与部回転軸562に伝達されることによって、ベース部材48上において、液体付与部回転軸562を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0043】
[第二貯液部の構成]
図4に示すように、後処理装置3は、第一貯液タンク43に液体を供給するために、第二貯液タンク固定部92(第二貯液部の一部)と、第二貯液タンク93(第二貯液部の一部)と、第二液体供給部94と、液体供給ポンプ95とをさらに備える。但し、第一貯液タンク43に液体を供給する具体的な方法は、以下の例に限定されず、ユーザが第一貯液タンク43に直接液体を補給する構成でもよい。
【0044】
次に、第二貯液タンク93の配置及び構成について
図5及び
図6を用いて説明する。
図5はメインタンクとしての第二貯液タンク93の配置及び構成例である。
図5(A)は、後処理装置3のカバー(前ドア71)は開放した状態を例示している。
図5(B)は、後処理装置3を側面から見た断面図であって、後処理装置3のカバー(前ドア71)を閉じた状態を例示している。
図5(A)に示すように、第二貯液タンク93は後処理装置3の前ドア71を開けるとアクセスできる位置に設置されている。また、
図5(B)に示すように、第二貯液タンク93と第二貯液タンク固定部92は、後処理装置3の奥行き方向(
図5(B)X方向)における手前側に配置されている。また、第一貯液タンク43等は、後処理装置3の奥行き方向(
図5(B)X方向)における奥側に配置されている。そして、
図5(B)に示すように、第二貯液タンク93及び第二貯液タンク固定部92の配置位置と、第一貯液タンク43等の配置位置の間には、後処理装置3の本体側板72が設けられている。
【0045】
第二貯液タンク固定部92は、第一貯液タンク43に供給するための液体を貯留する。また、
図5(B)に示すように、第二貯液タンク固定部92は、主走査方向(
図5(B)X方向)における端綴じ処理部25(液体付与部31)の移動範囲外において、後処理装置3の本体側板72に取り付けられている。また、第二貯液タンク固定部92に貯留された液体の量は、第二液量検知センサ92a(第二液体検知手段)によって検知される。
【0046】
第二貯液タンク93(液体ボトル)は、第二貯液タンク固定部92に供給するための液体を貯留する。また、後述すように、第二貯液タンク93は、第二貯液タンク固定部92に着脱可能に構成されている。そして、第二貯液タンク93が第二貯液タンク固定部92に装着されると、第二貯液タンク93から第二貯液タンク固定部92に液体が移動する。そして、第二貯液タンク固定部92内の液体の量が所定量に達すると、第二貯液タンク93から第二貯液タンク固定部92への液体の移動が停止する。
【0047】
第二液体供給部94は、第二貯液タンク固定部92と第一貯液タンク43とを接続する。そして、第二液体供給部94は、第二貯液タンク固定部92に貯留された液体を、第一貯液タンク43に供給する。第二液体供給部94は、例えば、配管、ホース、またはこれらの組み合わせで構成される。第二液体供給部94の直径(内径寸法)は、例えば、第二液体供給部94を通じて第二貯液タンク固定部92から第一貯液タンク43に供給される液体の供給速度(第二供給速度)を、第一液体供給部45を通じて第一貯液タンク43から液体付与部材44に供給される液体の供給速度(第一供給速度)より速くできる大きさに設定される。
【0048】
液体供給ポンプ95は、第二貯液タンク固定部92と共に、後処理装置3の本体側板72に取り付けられている。液体供給ポンプ95は、第二貯液タンク固定部92に貯留された液体を、第二液体供給部94を通じて第一貯液タンク43に供給(圧送)する。
【0049】
図6は、第二貯液タンク93が第二貯液タンク固定部92に対して着脱自在である様子と、第二貯液タンク93に対する液体を補充する様子とを例示している。
図6(A)に示すように、第二貯液タンク93は、液体を補充できるようにするために第二貯液タンク固定部92に対して着脱可能に構成されている。そして、
図6(B)に示すように、第二貯液タンク固定部92には、第二貯液タンク固定部92に第二貯液タンク93がセットされたことを検知するセット検知センサ532が設けられている。また、第二貯液タンク93は、第二貯液タンク固定部92にセットされていない状態(未セット状態)では、給液弁531により出口が塞がれて液体が漏れない構造になっている。
【0050】
そして、
図6(C)に示すように、第二貯液タンク93を第二貯液タンク固定部92にセットすると給液弁531が押し上げられて、第二貯液タンク93の液体排出口531aが開放されるので、液体が第二貯液タンク93から第二貯液タンク固定部92に流れ出る状態になる。その結果、第二貯液タンク93に貯留されている液体が第二貯液タンク固定部92に流れ、第二貯液タンク固定部92に液体を貯留することができる。
【0051】
また、
図6(B)及び
図6(C)に示すように、第二貯液タンク固定部92には液抜き栓611が設けられている。液体供給ポンプ95により、第一貯液タンク43及び第二液体供給部94に残っている液体を第二貯液タンク固定部92まで逆方向に給送した後、液抜き栓611を開放することで第二貯液タンク固定部92に貯まった液体を後処理装置3の内部から排出することができるようになっている。これにより、後処理装置3のメンテナンス時や液体の凍結を防止することできる。
【0052】
[圧着部の構成]
図3に示すように、圧着部32(後処理部)は、用紙束Pbの液体付与部31で液体を付与された少なくとも一部分(すなわち、液体付与位置)を、凹凸状の上圧着歯32aと下圧着歯32bで挟持して加圧し変形させることによって、用紙束Pbを綴じる。以下、上圧着歯32aと下圧着歯32bによる挟持・加圧することで用紙束Pbの少なくとも一部を変形させて綴る処理及び動作を「圧着綴じ」と表記する。すなわち、圧着部32は、綴じ針などの綴じ部材を用いずに、用紙束Pbを綴じることができる。圧着部32の構成部品(上圧着歯32aと下圧着歯32b)は、圧着フレーム32cに設けられている。
【0053】
図7は、圧着部32の構成を示す模式図である。
図7に示すように、圧着部32は、一対の綴じ歯(上圧着歯32aと下圧着歯32b)を備える。上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、内部トレイ22に載置された用紙束Pbを挟むことができるように、用紙束Pbの厚み方向に対向して配置されている。上圧着歯32a及び下圧着歯32bの互いに対向する面は、凹部及び凸部が交互に形成された凹凸状に形成されている。また、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、互いに噛合うように、凹部及び凸部がずれて形成されている。そして、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは、接離モータ32d(
図14参照)の駆動力によって接離する。
【0054】
用紙束Pbを構成する複数の用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、
図7(A)に示すように、上圧着歯32a及び下圧着歯32bは互いに離間している。そして、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pが内部トレイ22に載置されると、
図7(B)に示すように、上圧着歯32a及び下圧着歯32bが噛み合って、用紙束Pbを厚み方向から加圧変形させる。これにより、内部トレイ22に載置された用紙束Pbが圧着綴じされる。また、圧着綴じされた用紙束Pbは、搬送ローラ対15によって、第二排出トレイ26に排出される。
【0055】
尚、圧着部32の構成としては、圧着機構を構成する上圧着歯32a及び下圧着歯32bが噛み合えばよいので、本実施形態で例示したような動作機構の構造に限定されることではない。例えば、正転のみ、又は正逆転する駆動源とリンク機構を使って上圧着歯32a及び下圧着歯32bの圧着及び離間動作を行うリンク機構方式の圧着機構(例えば、特許6057167号に開示されているもの)であっても良いし、駆動源の正逆方向の回転運動を直線的な往復運動に変換するねじ機構により、上圧着歯32a及び下圧着歯32bの圧着及び離間動作を直線的に行う直動方式の圧着機構であってもよい。
【0056】
また、圧着部32の構成品を保持する圧着フレーム32cは、その底面に駆動伝達ギヤ561aを備えた圧着部回転軸561が固定されている。圧着部回転軸561及び駆動伝達ギヤ561aは、圧着フレーム32cが設けられるベース部材48に正逆方向に回転可能に保持されている。又、駆動伝達ギヤ561aは、圧着部回動モータ96の出力ギヤ96aと噛み合っている。そして、圧着部32は、圧着部回動モータ96の駆動力が、出力ギヤ96a及び駆動伝達ギヤ561aを介して圧着部回転軸561に伝達されることによって、ベース部材48上において、圧着部回転軸561を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0057】
また、
図3に示すように、端綴じ処理部25は、端綴じ処理部移動機構47を備える。端綴じ処理部移動機構47は、内部トレイ22に載置された用紙Pの搬送方向の下流側の端部に沿って、端綴じ処理部25(すなわち、液体付与部31及び圧着部32)を主走査方向に移動させる。端綴じ処理部移動機構47は、例えば、ベース部材48と、案内軸49と、端綴じ処理部移動モータ50と、駆動力伝達機構551と、待機位置センサ540(
図14参照)とを備える。
【0058】
液体付与部31及び圧着部32は、主走査方向に隣接させた状態でベース部材48に取り付けられている。案内軸49は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に延設されている。また、案内軸49は、ベース部材48を主走査方向に移動可能に支持している。端綴じ処理部移動モータ50は、端綴じ処理部25を移動させるための駆動力を発生させる。端綴じ処理部移動モータ50は、端綴じ処理部25を移動させるための駆動力を発生させる。駆動力伝達機構551は、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力を、プーリ551a、551bやタイミングベルト551cを介してベース部材48に伝達する。
【0059】
これにより、ベース部材48によって一体化された液体付与部31及び圧着部32は、案内軸49に沿って主走査方向に移動する。液体付与部31及び圧着部32の位置は、例えば、端綴じ処理部移動モータ50の出力軸に取り付けられたエンコーダセンサ541(
図14参照)によって把握することができる。また、待機位置センサ540(
図14参照)は、端綴じ処理部25が待機位置HP1(
図16(A)及び
図16(D)参照)に到達したことを検知する。
【0060】
図16(A)及び
図16(D)に示すように、待機位置HP1は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbから幅方向に外れた位置である。また、
図16(B)~
図16(C)に示すように、液体付与部31及び圧着部32は、主走査方向において、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの綴じ位置B(液体付与位置B)に対面し得る位置に、案内軸49に沿って移動することができる。
【0061】
[端綴じ処理部の変形例の構成]
次に、
図8~
図10を参照して、後処理装置3が備える端綴じ処理部25の変形例である、端綴じ処理部25´について説明する。すでに説明をした端綴じ処理部25との違いは、液体付与部31と圧着部32が一体的に構成されている点である。なお、すでに説明をした端綴じ処理部25と共通の構成要素には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略することがある。
【0062】
図8は、端綴じ処理部25´を搬送方向の上流側から見た模式図である。
図9(A)は、液体付与圧着部310の斜視図である。
図9(B)は、
図9(A)のA-A矢視断面図である。
図9(C)は、
図9(A)の上圧着歯32aを下圧着歯32bのある方向からみた平面図である。
図10(A)~(C)は、液体付与圧着部310による液体付与動作及び圧着綴じ動作を示す図で、搬送方向の下流側から見た模式図である。
【0063】
図8に示すように、端綴じ処理部25´は、第一実施形態に係る端綴じ処理部25の液体付与部31と圧着部32(後処理部)とを一体的に構成した液体付与圧着部310を備える。液体付与圧着部310は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。
【0064】
液体付与圧着部310は、第一貯液タンク43に貯留された液体LQを内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに付与する。液体付与圧着部310は、端綴じ処理部移動モータ50の駆動力が駆動力伝達機構551によりベース部材48伝達されることによって、主走査方向に移動可能に構成されている。液体付与圧着部310は、上押圧板34と、上圧着歯32aと、下圧着歯32bと、液体付与圧着部移動機構350と、液体供給機構360とを備える。液体付与圧着部310の各構成部品は、液体付与フレーム31a及びベース部材48により保持されている。又、液体付与フレーム31aは、その底面に駆動伝達ギヤ561a´を備えた液体付与圧着部回転軸561´が固定されている。液体付与圧着部回転軸561´及び駆動伝達ギヤ561a´は、液体付与フレーム31aが設けられるベース部材48に正逆方向に回転可能に保持されている。又、駆動伝達ギヤ561a´は、液体付与圧着部回動モータ56´の出力ギヤ56a´と噛み合っている。そして、液体付与圧着部310は、液体付与圧着部回動モータ56´の駆動力が、出力ギヤ56a´及び駆動伝達ギヤ561a´を介して液体付与圧着部回転軸561´に伝達されることによって、ベース部材48上において、液体付与圧着部回転軸561´を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0065】
液体付与圧着部移動機構350は、電動シリンダ370によって、上押圧板34、ベースプレート40、及び上圧着歯32aを用紙P又は用紙束Pbの厚み方向に連動して移動させる。ベースプレート40は、保持部46を介して上圧着歯保持部材32a1及び上圧着歯32aを保持する。又、ベースプレート40は、柱状部材41a、41bを介して上押圧板34を移動可能に保持している。そして、ベースプレート40は、連結部材401を介して電動シリンダ370のロッド371の先端部に取り付けられている。
【0066】
柱状部材41a、41bは、下端で上押圧板34を保持している。又、コイルバネ42a、42bは、ベースプレート40と上押圧板34との間において、柱状部材41a、41bに外挿されている。そして、コイルバネ42a、42bは、上押圧板34及び柱状部材41a、41bを、ベースプレート40から離間する方向に向かって付勢する。
【0067】
液体供給機構360は、第一貯液タンク43と、液体供給ポンプ431と、第一液体供給部45を備える。液体供給ポンプ431は、第一液体供給部45を介して、
図9(A)に示すように上圧着歯保持部材32a1に設けられた液溜まり部320に液体LQを供給する。第一液体供給部45は、基端が液体供給ポンプ431に接続され、先端部が液溜まり部320に接続されており、長尺かつ伸縮性のある部材で構成させる。
【0068】
上圧着歯32aは、
図9(B)に示すように、上圧着歯保持部材32a1に一体的に設けられている。そして、上圧着歯保持部材32a1は、液溜まり部320と、液溜まり部320に溜められた液体LQを上圧着歯32aに供給する液体供給路321を備えている。又、上圧着歯32aの表面は、親水処理が施されており、液体供給路321から供給された液体LQが上圧着歯32aの表面に均一に行き渡るようになっている。一方、上圧着歯保持部材32a1の上圧着歯32a以外の部分は、疎水処理が施されており、液体LQが上圧着歯32aの表面に効率的に行き渡るようになっている。
【0069】
下圧着歯32bは、
図8に示すように、液体付与フレーム31aの一部である下圧着歯保持部材32b1に一体的に設けられていると共に、下圧着歯保持部材32b1を介してベース部材48上に取り付けられている。
【0070】
次に、
図10を用いて液体付与圧着部310による液体付与動作及び圧着綴じ動作について説明する。用紙Pが内部トレイ22に供給される過程では、
図10(A)に示すよう、上圧着歯32aと下圧着歯32bは離間している。そして、用紙Pが内部トレイ22に載置されると、電動シリンダ370を収縮させて上圧着歯32a及び上押圧板34を用紙Pに向かって移動させる。すると、
図10(B)に示すよう、上押圧板34が最初に用紙Pに当接し、その後、上圧着歯32aが上押圧板34の貫通口34aを通過して用紙Pに当接する。このとき、上圧着歯32aの表面には液体LQが行き渡っているため、上圧着歯32aを用紙Pに当接させることにより用紙Pの液体付与位置に液体が付与される。そして、液体付与位置への液体付与が完了すると、電動シリンダ370を伸長させて上圧着歯32a及び上押圧板34を用紙Pから離間する。以上説明した上圧着歯32a及び上押圧板34の用紙Pに対する接離動作が液体付与動作に相当するので、この液体付与動作を、用紙束Pbを構成する用紙Pに対して繰り返し実行する。
【0071】
その後、内部トレイ22に規定枚数の用紙Pから構成された用紙束Pbが載置されたら、電動シリンダ370を更に収縮させて上圧着歯32aを下圧着歯32bに向かって移動させる。すると、
図10(C)に示すように、上圧着歯32aと下圧着歯32bとの間に用紙束Pbが挟まれた状態で、上圧着歯32aが下圧着歯32bに向かって更に移動することになり、上圧着歯32a及び下圧着歯32bにより用紙束Pbを加圧して変形させることで用紙束Pbを圧着綴じする(圧着綴じ動作)。
【0072】
[針綴じ処理部の構成]
次に、針綴じ処理を実行する機能を備える針綴じ処理部155の詳細について説明する。
図11は、針綴じ処理部155を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部155は、綴じ針を用いて用紙束Pbを綴じる針綴じ手段62を備える。針綴じ手段62は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、端綴じ処理部25に対して主走査方向に離間して配置されている。
【0073】
後処理部としての針綴じ手段62は、綴じ針を用いて用紙束Pbを綴じる、いわゆる「針綴じ処理」を行う構成を備えている。より詳細には、針綴じ手段62は、針綴じ部62aを駆動する針綴じ部駆動モータ62d(
図14参照)を備えている。そして、針綴じ部62aは、針綴じ部駆動モータ62dの駆動力により針綴じ部62aに装填された綴じ針を、用紙束Pbに貫通させることによって用紙束Pbを綴じる。針綴じ手段62の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0074】
また、
図11に示すように、針綴じ処理部155は、針綴じ処理部移動機構77を備える。針綴じ処理部移動機構77は、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に沿って、針綴じ処理部155を主走査方向に移動させる。つまり、針綴じ処理部155は、
図16(A)~
図16(C)に示す待機位置HP2と、
図16(D)に示す綴じ位置Bに対面する位置との間を、案内軸49によって主走査方向に移動するように構成されている。
【0075】
針綴じ処理部移動機構77は、例えば、ベース部材78と、案内軸49と、針綴じ処理部移動モータ80と、駆動力伝達機構81とを備える。駆動力伝達機構81は、針綴じ処理部移動モータ80の駆動力を、プーリ81a、81bやタイミングベルト81cを介してベース部材78に伝達する。さらに、針綴じ手段62の構成品を保持する針綴じフレーム62bの底面には、駆動伝達ギヤ83aを備えた針綴じ手段回転軸83が固定されている。針綴じ手段回転軸83及び駆動伝達ギヤ83aは、針綴じフレーム62bが設けられるベース部材78に正逆方向に回転可能に保持されている。又、駆動伝達ギヤ83aは、針綴じ手段回動モータ82の出力ギヤ82aと噛み合っている。そして、針綴じ手段62は、針綴じ手段回動モータ82の駆動力が、出力ギヤ82a及び駆動伝達ギヤ83aを介して針綴じ手段回転軸83に伝達されることによって、ベース部材78上において、針綴じ手段回転軸83を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。
【0076】
なお、端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155は、共通の案内軸49に支持されている。すなわち、端綴じ処理部移動機構47及び針綴じ処理部移動機構77は、共通の案内軸49に沿って端綴じ処理部25及び針綴じ処理部155を主走査方向に移動させる。さらに、端綴じ処理部移動機構47及び針綴じ処理部移動機構77は、端綴じ処理部25、及び針綴じ処理部155をそれぞれ独立して移動することができる。
【0077】
[針綴じ処理部の変形例の構成]
図12は、針綴じ処理部155の変形例としての針綴じ処理部155´を示したものであり、針綴じ処理部155´を搬送方向の上流側から見た模式図である。針綴じ処理部155´は、針綴じ手段62だけではなく、第二液体付与部612を備えている点で針綴じ処理部155と相違する。
図12に示すように、針綴じ処理部155´は、第二液体付与部612と、針綴じ手段62とを備える。第二液体付与部612及び針綴じ手段62は、内部トレイ22より搬送方向の下流側において、主走査方向に隣接して配置されている。
【0078】
第二液体付与部612は、第二貯液タンク73に貯留された液体を、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbに付与する「液体付与」を実行する。第二液体付与部612によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置を含む所定の領域は、針綴じを行なう予定である綴じ位置に相当する。
図12に示すように、第二液体付与部612は、第二下押圧板63と、貫通口64aを備えた第二上押圧板64と、第二液体付与部移動機構65と、第二液体付与機構66とを備える。第二液体付与部移動機構65は、例えば、第二液体付与部移動モータ67と、第二台形ネジ68と、第二ナット69と、第二ベースプレート70と、第二柱状部材711(711a、711b)と、第二コイルバネ721(721a、721b)とを備える。第二液体付与機構66は、第二貯液タンク73と、第二液体付与部材74と、保護部材75aが外挿された第三液体供給部75と、第二ジョイント76とを備える。第二液体付与機構66の構成は、液体付与機構36と共通するので、再度の説明は省略する。又、針綴じ手段62の構成は、
図11と同様なので詳細な説明は省略する。又、第二液体付与部612の回動機構は、
図3に示した液体付与部31の回動機構と共通するので再度の説明は省略する。
【0079】
図12で示した針綴じ処理部155´のように、針綴じ処理においても、用紙Pに液体付与処理を施すことで、綴じ位置をほぐして柔らかくし、綴じ針を貫通しやすくすることができる。これによって、液体付与をせずに針綴じ処理を施す場合と比較すると、用紙束Pbの一束当たりの綴じ枚数を増やすことができる。
【0080】
[送風機構の説明]
図13は、第二排出トレイ26及び送風機構52の位置関係を示す模式図である。
図13に示すように、後処理装置3は、送風機構52をさらに備える。送風機構52は、後処理装置3の筐体4の内部に収容されている。また、送風機構52は、第二排出トレイ26に載置された用紙束Pbに向けて、風を吹き付ける。本実施形態に係る送風機構52は、風を生成するファン53(送風手段)と、ファン53で生成された風を吹出口55に導く導風路54とを備える。なお、風を生成する方法はファン53に限定されず、ブロア等でもよい。
【0081】
吹出口55は、第二排出トレイ26及び排紙口51が設けられる筐体4の側面に設けられた開口(スリット)である。吹出口55は、第二排出トレイ26より上方で且つ排紙口51より下方に設けられている。また、吹出口55は、第二排出トレイ26に載置される用紙束Pbの幅方向の長さより長く延設されている。これにより、導風路54を通じてファン53から供給される風が、吹出口55から筐体4の外部(より詳細には、第二排出トレイ26に載置された用紙束Pb)に吹き出す。
【0082】
また、第二排出トレイ26は、排出トレイ駆動モータ56(載置部駆動手段)(
図14参照)の駆動力によって、筐体4の側面に沿って昇降可能に設けられている。より詳細には、第二排出トレイ26は、コントローラ100(制御部)(
図14参照)の制御に従って、
図18(A)及び
図18(C)に示す乾燥位置と、
図18(B)に示す排出補助位置との間を移動する。
【0083】
第二排出トレイ26の乾燥位置は、第二排出トレイ26に載置された用紙束Pb1、Pb2の綴じ位置Bに吹出口55が対面する状態となる第二排出トレイ26の位置である。本実施形態に係る乾燥位置は、第二排出トレイ26に載置された用紙束Pb1、Pb2の排出方向の上流側の端部の綴じ位置Bに、吹出口55が対面する第二排出トレイ26の位置である。これにより、液体付与部31によって綴じ位置Bに付与された液体を乾燥させることができる。
【0084】
第二排出トレイ26の排出補助位置は、第二排出トレイ26に既に載置されている用紙束Pb1と、排紙口51から次に排出される用紙束Pb2との間に、吹出口55が対面する状態となる第二排出トレイ26の位置である。本実施形態に係る第二排出トレイ26の排出補助位置は、後処理装置3の筐体4からに用紙束Pb1の排出方向の下流側向かって上り傾斜となっている第二排出トレイ26の上面に載置された用紙束Pb1の長さ方向の中央部に、吹出口55が対面する第二排出トレイ26の位置である。これにより、用紙束Pb1、Pb2の間に空気の層が形成されて、スタックされた用紙束Pb1、Pb2の密着力が大きくなり過ぎるのを防止することができる。
【0085】
送風機構52は、送風手段移動モータ57(
図14参照)の駆動力によって、第二排出トレイ26に載置された用紙束Pbの幅方向に移動可能に構成されている。また、送風機構52は、送風手段回動モータ58(
図14参照)の駆動力によって、上下方向に延びる回動軸周りに回動可能に構成されている。これにより、幅方向の任意の位置で用紙束Pbが綴じ処理されたとしても、送風機構52で生成された風を用紙束Pbの綴じ位置Bに指向させることができる。
【0086】
但し、後処理装置3は、送風手段移動モータ57及び送風手段回動モータ58の両方を備えていてもよいし、いずれか一方のみを備えていてもよい。すなわち、送風機構52は、第二排出トレイ26に載置された用紙束Pbの幅方向に移動可能、または上下方向に延びる回動軸周りに回動可能に構成されていればよい。
【0087】
さらに、後処理装置3は、温風生成手段の一例である温風生成部59(
図14参照)を備える。温風生成部59は、送風機構52によって生成された風を、搬送ローラ対10~19の駆動時に発生する熱で暖めて、温風を生成する。温風生成部59は、例えば、搬送ローラ対10~19の摺動部分に発生する熱を回収して、導風路54に供給する。これにより、ファン53によって生成された風が暖められて、吹出口55から排出される。
【0088】
[後処理装置の制御ブロックの構成]
図14は、後処理装置3のハードウェア構成図である。
図14に示すように、後処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0089】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0090】
後処理装置3は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、後処理装置3の動作を制御するコントローラ100(制御部)を構成する。
【0091】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15、切替部材20、サイドフェンス24L、24R、接離モータ32d、圧着部回動モータ96、液体付与部移動モータ37、液体付与部回動モータ563、端綴じ処理部移動モータ50、針綴じ部駆動モータ62d、針綴じ手段回動モータ82、針綴じ処理部移動モータ80、液体供給ポンプ95、ファン53、排出トレイ駆動モータ56、送風手段移動モータ57、送風手段回動モータ58及び温風生成部59を、共通バス109に接続するインタフェースである。
【0092】
また、I/F105は、位置検知センサ40a、第一液量検知センサ43a、第二液量検知センサ92a、待機位置センサ540、エンコーダセンサ541、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。
【0093】
コントローラ100は、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15、切替部材20、サイドフェンス24L、24R、接離モータ32d、圧着部回動モータ96、液体付与部移動モータ37、液体付与部回動モータ563、端綴じ処理部移動モータ50、針綴じ部駆動モータ62d、針綴じ手段回動モータ82、針綴じ処理部移動モータ80、液体供給ポンプ95、ファン53、排出トレイ駆動モータ56、送風手段移動モータ57、送風手段回動モータ58及び温風生成部59の動作を制御する。
【0094】
また、コントローラ100は、位置検知センサ40a、第一液量検知センサ43a、第二液量検知センサ92a、待機位置センサ540、及びエンコーダセンサ541の検知結果を取得する。なお、
図14には端綴じ処理を実行する端綴じ処理部25、及び針綴じ処理部155に関する構成部品を図示しているが、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28に関する構成部品も同様にコントローラ100によって制御される。
【0095】
図1に示すように、画像形成装置2は、操作パネル110を備えている。操作パネル110は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。又、後処理装置3に上記と同様の操作パネル110を備えるようにしてもよい。
【0096】
以上説明をしたとおり、後処理装置3は、コントローラ100が備えるハードウェア資源を用いて、CPU101が実行するソフトウェア(制御プログラム)によって、液体付与に関連する動作制御を行う機能を実現する。
【0097】
[綴じ処理の説明]
次に、後処理装置3が備える端綴じ処理部25において実行される綴じ処理の流れについて説明する。
図15は、綴じ処理のフローチャートである。
図16は、綴じ処理中における液体付与部31及び圧着部32の位置を示す図である。なお、
図15では、液体付与部31及び圧着部32の姿勢の変化については図示を省略している。又、液体付与部31によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置(液体付与位置)は、圧着部32が用紙束Pbに対して圧着綴じを行う予定である綴じ位置に相当する。よって、以下において液体付与位置と綴じ位置には同一符号を付して説明する。
【0098】
コントローラ100は、例えば、画像形成装置2から綴じ処理の実行指示(以下、「綴じ処理指示」と表記する。)を取得したタイミングで、
図15に示す綴じ処理を開始する。
【0099】
綴じ処理指示は、圧着部32による圧着綴じ処理の条件(以下、「綴じ条件」と表記する。)として、例えば、用紙Pの種類(素材や厚みなど液体の広がりに影響を与える情報)、用紙束Pbを構成する用紙Pの数(以下、「所定枚数N」と表記する。)と、綴じ処理を施すべき用紙束Pbの数(以下、「必要部数M」と表記する。)と、綴じ位置B(液体付与位置B)の主走査方向の位置と、端綴じ処理部25の綴じ姿勢と、操作パネル110を通じて選択された動作モードを含む。また、液体付与部31及び圧着部32は、綴じ処理の開始時点において、平行綴じ姿勢で、且つ待機位置HP1(
図16(A)参照)に位置しているものとする。
図16(A)に示すように、待機位置HP1は、内部トレイ22に載置された用紙Pから幅方向に外れた位置である。
【0100】
まず、綴じ処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合は、コントローラ100は、圧着部回動モータ96を駆動して、端綴じ処理部25を構成する液体付与部31及び圧着部32を斜め綴じ姿勢に回転させる。尚、「斜め綴じ姿勢」である場合には、圧着部32のみを斜め綴じ姿勢に回転させ、液体付与部31は回転させないようにしてもよい。これにより、液体付与部31及び圧着部32を共に回転させる場合に比べて駆動機構を簡素化することができるので、コストダウン、装置の小型化、及び機器の故障の低減という効果を奏する。
【0101】
一方、綴じ処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合は、上述した端綴じ処理部25を構成する液体付与部31及び圧着部32を斜め綴じ姿勢に回転させる動作は省略される。また、コントローラ100は、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、綴じ処理指示で指示された液体付与位置B1に液体付与部31が対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる(S901)。なお、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15によって最初の用紙Pが内部トレイ22に搬送される前に、ステップS901の処理を実行する。
【0102】
次に、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15を回転させることによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pを内部トレイ22に収容する(S902)。また、コントローラ100は、サイドフェンス24L、24Rを対向する方向に移動させることによって、内部トレイ22に載置された用紙Pの主走査方向の端部の位置を揃える(所謂、ジョギング処理)(S902)。
【0103】
次に、コントローラ100は、直前のステップS902で内部トレイ22に載置された用紙Pに対して、液体付与位置B1に位置する液体付与部31に液体付与処理を実行させる(S903)。すなわち、コントローラ100は、液体付与部移動モータ37を駆動して、内部トレイ22に載置された用紙Pの液体付与位置Bに液体付与部材44を接触させる(
図16(B))。
【0104】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙の数が、綴じ処理指示で指示された所定枚数Nに達したか否かを判定する(S904)。そして、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が所定枚数Nに達していないと判定した場合に(S904:No)、ステップS902~S903の処理を再び実行する。すなわち、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15によって内部トレイ22に用紙Pが搬送される度に、ステップS902~S903の処理を実行する。尚、液体付与部31による液体付与処理は、用紙束Pbを構成する複数の用紙Pの全てに行われる必要はない。他の例として、コントローラ100は、n枚に1枚の間隔で、用紙Pに対して液体付与部31による液体付与処理を実行しても。
【0105】
そして、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定した場合に(S904:Yes)、
図16(C)に示すように、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、圧着部32が綴じ位置Bに対面するように、端綴じ処理部25を主走査方向に移動させる(S905)。
【0106】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に収容された用紙束Pbに対して、圧着部32による圧着綴じ処理を実行する(S906)。そして、コントローラ100は、搬送ローラ対15により、圧着部32により圧着綴じされた用紙束Pbを第二排出トレイ26に排出する(S907)。すなわち、コントローラ100は、接離モータ32dを駆動して、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの綴じ位置Bを、上圧着歯32a及び下圧着歯32bに挟持させる。これにより、上圧着歯32a及び下圧着歯32bの間で用紙束Pbを加圧変形させ圧着綴じ処理を行う。その後、コントローラ100は、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束Pbを第二排出トレイ26に排出する。
【0107】
なお、内部トレイ22に載置された用紙束Pb上において、ステップS906で上圧着歯32a及び下圧着歯32bが挟持する綴じ領域は、ステップS903で液体付与部材44の先端部が接触した液体付与領域に重なる。換言すれば、圧着部32は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbにおいて、液体付与部31によって液体が付与された領域を圧着綴じする。尚、上圧着歯32a及び下圧着歯32bが挟持する綴じ領域は、液体付与部材44の先端が接触した液体付与領域に完全に重なっている必要はなく、部分的に重なっている場合でも充分な綴じ強度を得ることができる。
【0108】
次に、コントローラ100は、排出された用紙束Pbの数が、綴じ処理指示で示された必要部数Mに達したか否かを判定する(S908)。コントローラ100は、必要部数Mに達していないと判定した場合に(S908:No)、ステップS902以降の処理を再び実行する。すなわち、コントローラ100は、第二排出トレイ26に排出した用紙束Pbの数が、必要部数Mに達するまでステップS902~S907の処理を繰り返し実行する(S908:No)。
【0109】
そして、コントローラ100は、第二排出トレイ26に排出された用紙束Pbの数が、必要部数Mに達したと判定した場合に(S908:Yes)、端綴じ処理部移動モータ50を駆動して、
図16(D)に示すように端綴じ処理部25を待機位置HP1に移動させる(S909)。また、綴じ処理指示で指示された姿勢が「斜め綴じ姿勢」である場合に、コントローラ100は、圧着部回動モータ96を駆動して、液体付与部31及び圧着部32を平行綴じ姿勢に回転させる(S909)。一方、綴じ処理指示で指示された姿勢が「平行綴じ姿勢」である場合は、液体付与部31及び圧着部32を平行綴じ姿勢への回転動作は省略される。これにより、液体付与部31及び圧着部32が
図16(D)の待機位置HP1に戻る。なお、ステップS901、S909において、液体付与部31及び圧着部32の主走査方向の移動及び正逆方向の回転の実行順序は、前述の順序に限定されず、逆順であってもよい。
【0110】
[送風制御処理の説明]
図17は、送風制御処理のフローチャートである。
図18は、送風制御処理中における第二排出トレイ26の位置を示す図である。
図19は、綴じ位置Bに送風を指向するバリエーションを示す図である。
図20は、用紙束Pbの中央に送風を指向するバリエーションを示す図である。コントローラ100は、
図15に示す綴じ処理と並行して、
図17に示す送風制御処理を実行する。
【0111】
まず、コントローラ100は、綴じ処理で作成される最初の用紙束Pb1が第二排出トレイ26に排出されるまで(S1001:No)、ステップS1002以降の処理の実行を待機する。用紙束Pb1が第二排出トレイ26に排出されたことは、例えば、用紙束Pb1を排出方向に搬送する搬送ローラ対15の回転量によって把握することができる。
【0112】
次に、コントローラ100は、第二排出トレイ26に用紙束Pb1が排出されたことに応じて(S1001:Yes)、
図18(A)に示すように、排出トレイ駆動モータ56を駆動して、第二排出トレイ26を乾燥位置に配置する(S1002)。また、コントローラ100は、
図19に示すように、送風手段移動モータ57及び送風手段回動モータ58の少なくとも一方を駆動して、送風機構52(ファン53)からの送風を用紙束Pb1の綴じ位置Bに指向させる(S1003)。
【0113】
図19(A)及び
図19(B)に示すように、綴じ位置Bは、用紙束Pbの主走査方向の任意の位置に設定することができる。また、
図19(C)に示すように、綴じ位置Bは、用紙束Pbを構成する用紙Pのサイズ(例えば、A4、B5、レター等)によっても変化する。一例として、コントローラ100は、
図19(A)及び
図19(B)に示すように、送風手段移動モータ57を駆動して、用紙束Pbの綴じ位置Bに対面するように送風機構52(ファン53)を幅方向に移動させてもよい。他の例として、コントローラ100は、
図19(C)に示すように、送風手段回動モータ58を駆動して、送風機構52(ファン53)を用紙束Pbの綴じ位置Bに向けてもよい。
【0114】
そして、コントローラ100は、ファン53を駆動して、送風機構52に送風させる。ファン53の駆動は、送風制御処理が終了するまで継続される。また、コントローラ100は、綴じ処理指示で指示された全ての用紙束Pbが第二排出トレイ26に排出されたか否かを判定する(S1004)。さらに、コントローラ100は、全ての用紙束Pbが未だ排出されていないと判定した場合に(S1004:No)、端綴じ処理部25によって次の用紙束Pb2が作成されるまで(S1005:No)、ステップS1006以降の処理の実行を待機する。すなわち、次の用紙束Pb2が作成されるまで、送風機構52(ファン53)による用紙束Pb1の綴じ位置Bへの送風が継続される。
【0115】
次に、コントローラ100は、用紙束Pb2が完成したことに応じて(S1005:Yes)、
図18(B)に示すように、排出トレイ駆動モータ56を駆動して、第二排出トレイ26を排出補助位置に配置する(S1006)。また、コントローラ100は、
図20に示すように、送風手段移動モータ57及び送風手段回動モータ58の少なくとも一方を駆動して、送風機構52(ファン53)による送風を用紙束Pb1の中央に指向させる(S1007)。一例として、コントローラ100は、
図20(A)に示すように、送風機構52(ファン53)を用紙束Pb1の幅方向に移動させて、送風機構52(ファン53)からの送風を用紙束Pb1の中央に指向させてもよい。他の例として、コントローラ100は、
図20(B)に示すように、送風機構52(ファン53)を回動させて、送風機構52(ファン53)からの送風を用紙束Pb1の中央に指向させてもよい。
【0116】
そして、
図18(B)に示すように、先に第二排出トレイ26に載置されている用紙束Pb1の上に用紙束Pb2が積載される間、送風機構52(ファン53)からの送風を用紙束Pb1の中央に指向させる。これにより、第二排出トレイ26上に排出される複数の用紙束Pbのスタック性(複数の用紙束Pbの排紙揃え精度)を向上させることができる。
【0117】
次に、コントローラ100は、排紙口51から次に排出される用紙束Pb2に対して、ステップS1001以降の処理を実行する。すなわち、コントローラ100は、綴じ処理で作成された複数の用紙束Pbそれぞれに対して、ステップS1001以降の処理を実行する。そして、コントローラ100は、全ての用紙束Pbが第二排出トレイ26に排出されたことに応じて(S1004:Yes)、ファン53を停止させて、送風制御処理を終了する。
【0118】
なお、本実施形態では、用紙束Pb1に対するステップS1006において、
図18(A)の位置から
図18(B)の位置まで第二排出トレイ26を下降させる。また、用紙束Pb2に対するステップS1002において、
図18(B)の位置から
図18(C)の位置まで第二排出トレイ26を上昇させる。しかしながら、ステップS1002、S1006で第二排出トレイ26を上昇させるか下降させるかは、用紙束Pbの厚みなどによって変化する。
【0119】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0120】
上記の実施形態によれば、第二排出トレイ26に排出された用紙束Pbに向けて送風することによって、綴じ位置Bに付与された液体を速やかに乾燥させることができる。また、端綴じ処理部25(より詳細には、圧着部32)の構成を変更する必要がないので、端綴じ処理部25の大型化及び複雑化を防止することができる。
【0121】
また、上記の実施形態によれば、第二排出トレイ26を昇降可能に構成することによって、第二排出トレイ26に積層された用紙束Pbそれぞれの綴じ位置Bを、吹出口55に対面させることができる。これにより、複数の用紙束Pbを連続して作成する場合でも、複数の用紙束Pbを構成する各用紙束Pbの綴じ位置Bを速やかに乾燥させることができる。
【0122】
また、上記の実施形態によれば、複数の用紙束Pbを連続して作成する場合に、乾燥位置と排出補助位置との間で第二排出トレイ26を移動させることによって、各用紙束Pb綴じ位置Bを乾燥させる効果に加えて、スタックされた用紙束Pb1、Pb2の密着力が大きくなり過ぎるのを防止することができる。
【0123】
また、上記の実施形態によれば、送風機構52(ファン53)を、用紙束Pbの幅方向に移動または上下方向に延びる回動軸周りに回動させることによって、綴じ位置Bの位置や用紙Pのサイズの変化に合わせて、送風機構52(ファン53)にようる送風の向きを変化させることができる。
【0124】
また、上記の実施形態によれば、温風生成部59によって暖められた空気(温風)を送風機構52(ファン53)によって吹出口55から吹き出すことによって、より速く用紙束Pbの綴じ位置Bを乾燥させることができる。また、温風生成部59の熱源として搬送ローラ対10~19の駆動する熱を利用する場合は、省エネにも寄与する。但し、温風を生成する方法はこれに限定されず、導風路54にヒータを設けてもよい。
【0125】
[送風機構の変形例1]
図21は、変形例1に係る送風機構を備えた後処理装置3Aの構成を示す模式図である。なお、上記の実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。後処理装置3Aは、変形例1に係る送風機構として、複数の送風機構、すなわち第一送風機構52Aと第二送風機構52Bとを備える点で、上記の実施形態と相違する。第一送風機構52A及び第二送風機構52Bのそれぞれの基本的な構成は、送風機構52と共通する。すなわち、第一送風機構52Aは、風を生成するファン53A(送風手段)と、ファン53Aで生成された風を吹出口55Aに導く導風路54Aとを備える。また、第二送風機構52B、風を生成するファン53B(送風手段)と、ファン53Bで生成された風を吹出口55Bに導く導風路54Bとを備える。
【0126】
図21(A)に示すように、第一送風機構52Aは、筐体4の側面に設けられた第一吹出口55Aを通じて、第二排出トレイ26に載置された用紙束Pbに風を吹き付ける。また、第二送風機構52Bは、筐体4の側面に設けられた第二吹出口55Bを通じて、第二排出トレイ26に載置された用紙束Pbに風を吹き付ける。
【0127】
第一吹出口55A及び第二吹出口55Bは、上下方向に離間した位置において、各々が幅方向に延設されている。より詳細には、第二排出トレイ26に載置された用紙束Pbの綴じ位置Bに第一吹出口55Aが対面するとき、第二吹出口55Bが第二排出トレイ26に載置された用紙束Pbの中央(すなわち、第二排出トレイ26に既に載置されている用紙束Pb1と、排紙口51から次に排出される用紙束Pb2との間)に対面するように、第一吹出口55A及び第二吹出口55Bの上下方向の位置が設定されている。
【0128】
また、
図21(B)に示すように、第一送風機構52A(ファン53A)及び第二送風機構52B(ファン53B)は、第二排出トレイ26に載置された用紙束Pbの幅方向に離間して配置されている。さらに、第一送風機構52A(ファン53A)及び第二送風機構52B(ファン53B)は、第一送風手段移動モータ57A、第二送風手段移動モータ57B、及び/または第一送風手段回動モータ58A、第二送風手段回動モータ58Bによって、各々が独立して移動可能及び/または回動可能に構成されている。尚、上記のように、第一送風機構52A(ファン53A)は、第一送風手段移動モータ57A及び/または第一送風手段回動モータ58Aを備えとともに、第二送風機構52B(ファン53B)は、第二送風手段移動モータ57B及び/または第二送風手段回動モータ58Bを備える構成に限定されない。例えば、第一送風機構52A(ファン53A)及び第二送風機構52B(ファン53B)を、共通の送風手段移動モータ及び/または送風手段回動モータによって各々が独立して移動可能及び/または回動可能に構成してもよい。
【0129】
変形例1によれば、第二排出トレイ26に載置された用紙束Pbの綴じ位置Bと、第二排出トレイ26に載置された用紙束Pbの中央とに、同時に風を吹き付けることができる。これにより、
図17のステップS1007の処理を省略することができる。すなわち送風機構52(ファン53)からの送風を用紙束Pb1の綴じ位置Bに指向させた後に行う、送風機構52(ファン53)からの送風を用紙束Pb1の中央に指向させるための送風機構52(ファン53)の用紙束Pbの幅方向の移動動作を省略することができる。その結果、送風制御処理のスループットが向上すると共に、送風機構52(ファン53)からの送風を用紙束Pbの綴じ位置Bに吹き付ける時間を長くすることができるので、用紙束Pbの綴じ位置Bを確実に乾燥させることができる。
【0130】
[送風機構の変形例2]
図22は、変形例2に係る送風機構を備えた後処理装置3Bの構成を示す模式図である。なお、上記の実施形態及び変形例1との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。後処理装置3Bは、変形例2に係る送風機構として、第一送風機構52Aと第二送風機構52Bとを備える点で、上記の実施形態と相違する。また、変形例2に係る送風機構は、第一送風機構52A及び第二送風機構52Bが同じ吹出口55を通じて風を吹き出す(すなわち、吹き出す風の上下方向の高さが同じ)点で、変形例1と相違する。
【0131】
変形例2に係る送風機構によれば、
図22に示すように、幅方向に離間した複数の綴じ位置B1、B2で用紙束Pbが綴じられている場合に、複数の綴じ位置B1、B2を同時に乾燥させることができる。また、綴じ位置Bが一箇所の場合でも、第一送風機構52A及び第二送風機構52Bのうちの近い方から風を吹き付ければよい。これにより、送風制御処理のスループットが向上する。
【0132】
[後処理装置の第二実施形態]
次に、
図23~
図31を参照して、第二実施形態に係る後処理装置3Cを説明する。なお、第一実施形態に係る後処理装置3と共通の構成要素には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略することがある。
【0133】
第二実施形態に係る後処理装置3Cの端綴じ処理部251は、液体付与部31と圧着部32が併設された第一実施形態に係る後処理装置3の端綴じ処理部25とは異なり、圧着部32´のみを備え、液体付与部131を搬送路の上流側に設けている。これにより、液体付与処理後に用紙Pを所定枚数プレスタックして、下流側に設けられた端綴じ処理部251の圧着部32´へ搬送することができるので、圧着部32´での綴じ処理の生産性を向上させることが可能となる。
【0134】
又、搬送ローラ対10、11、14が用紙Pを搬送する方向は、上述で定義した「搬送方向」とは、逆方向であるため、「逆搬送方向」と定義する。また、逆搬送方向及び用紙Pの厚み方向に直交する方向を、「主走査方向(用紙Pの幅方向)」と定義する。又、液体付与部131によって用紙P又は用紙束Pbに液体付与が行われる位置(液体付与位置)は、圧着部32´が用紙束Pbに対して圧着綴じを行う予定である綴じ位置に相当する。よって、以下において液体付与位置と綴じ位置には同一符号を付して説明する。
【0135】
図23は、第二実施形態に係る後処理装置3Cの内部構造を示す図である。端綴じ処理部251は、
図24に示すように、圧着部32´のみを備えている。
図23に示すように、圧着部32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。また、圧着部32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの搬送方向の下流側の端部に対面し得る位置において、主走査方向に移動可能に構成されている。さらに、圧着部32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの厚み方向に延びる圧着部回転軸340及び針綴じ手段回転軸84を中心に正逆方向に回転可能に構成されている。すなわち、圧着部32´及び針綴じ処理部156は、コーナー斜め綴じ、平行一箇所綴じ、平行二箇所綴じなどのように、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの主走査方向の任意の位置を、任意の角度で綴じることができる。
【0136】
また、圧着部32´は、凹凸状の上圧着歯32a、及び下圧着歯32bで用紙束Pbを加圧変形させることによって、用紙束Pbを綴じる(以下、「圧着綴じ」と表記する。)。一方、針綴じ処理部156は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの綴じ位置に綴じ針を貫通させることによって、当該用紙束Pbを針綴じすることができる。
【0137】
図24は、内部トレイ22を用紙束Pbの厚み方向から見た模式図である。
図25は、圧着部32´を搬送方向の下流側から見た模式図である。
図24に示すように、圧着部32´及び針綴じ処理部156は、内部トレイ22より搬送方向の下流側に配置されている。圧着部32´は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの表面に沿って主走査方向に移動可能で、且つ内部トレイ22に載置された用紙束Pbの厚み方向に延びる圧着部回転軸340を中心として、正逆方向に回転可能に構成されている。又、針綴じ処理部156についても同様に、用紙束Pbの主走査方向に移動可能で、且つ用紙束Pbの厚み方向に延びる針綴じ手段回転軸84を中心として、正逆方向に回転可能に構成されている。尚、針綴じ処理部156のその他の構成は、第一実施形態に係る後処理装置3の針綴じ処理部155(
図11参照)と同様なので詳細な説明は省略する。
【0138】
圧着部32´は、
図25に示すように、内部トレイ22より搬送方向の下流側には、ガイドレール337が主走査方向に延設されている。圧着部32´は、圧着部移動モータ238の駆動力が、プーリ240a、240b及びタイミングベルト240cを備える駆動伝達機構240により伝達されることによって、内部トレイ22に載置された用紙束Pbの表面(換言すれば、ガイドレール337)に沿って、主走査方向に移動する。さらに、圧着部32´の構成品を保持する圧着フレーム32cは、その底面に駆動伝達ギヤ340aを備えた圧着部回転軸340が固定されている。圧着部回転軸340及び駆動伝達ギヤ340aは、圧着フレーム32cが設けられるベース部材48に正逆方向に回転可能に保持されている。又、駆動伝達ギヤ340aは、圧着部回動モータ239の出力ギヤ239aと噛み合っている。そして、圧着部32´は、圧着部回動モータ239の駆動力が、出力ギヤ239a及び駆動伝達ギヤ340aを介して圧着部回転軸340に伝達されることによって、内部トレイ22に載置された用紙Pの厚み方向に延びる圧着部回転軸340を中心として、ベース部材48上で正逆方向に回転する。ガイドレール337、圧着部移動モータ238、圧着部回動モータ239、圧着部回転軸340、及び駆動伝達機構240は、圧着部32´の駆動機構の一例を構成する。
【0139】
圧着部32´は、
図24(A)に示す待機位置HP3と、
図24(B)及び
図24(C)に示す綴じ位置B5に対面する位置とに移動可能に構成されている。待機位置HP3は、内部トレイ22に載置された用紙束Pbから主走査方向の一方側に外れた位置である。綴じ位置B5は、内部トレイ22に載置された用紙束Pb上の位置である。但し、綴じ位置B5の具体的な位置は、
図24の例に限定されず、用紙Pの搬送方向の下流側の端部における主走査方向の任意の位置で、かつ複数であってもよい。
【0140】
また、圧着部32´は、
図24(B)に示す平行綴じ姿勢と、
図24(C)に示す斜め綴じ姿勢とに姿勢が変化する。つまり、圧着部32´は、圧着部回転軸340を中心として正逆方向に回転可能に構成されている。ここで、平行綴じ姿勢とは、上圧着歯32a及び下圧着歯32b(換言すれば、長方形の圧着綴じ痕)の長手方向が主走査方向を向く圧着部32´の姿勢である。又、斜め綴じ姿勢とは、上圧着歯32a及び下圧着歯32b(換言すれば、長方形の圧着綴じ痕)の長手方向が主走査方向に対して傾いた圧着部32´の姿勢である。
【0141】
なお、斜め綴じ姿勢における回転角度(主走査方向に対する上圧着歯32a及び下圧着歯32bの角度)は、
図24(C)の例に限定されず、内部トレイ22に載置された用紙束Pbに上圧着歯32a及び下圧着歯32bが対面していれば、任意の角度でよい。
【0142】
後処理装置3Cは、液体付与部131と、パンチ孔穿設手段132(処理部)とを備える。液体付与部131及びパンチ孔穿設手段132は、内部トレイ22より逆搬送方向の上流側に配置されている。また、液体付与部131及びパンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10~19によって搬送される1枚の用紙Pに同時に対面し得る位置において、逆搬送方向にずれて配置されている。本実施形態に係る液体付与部131及びパンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10、11の間に配置されている。但し、液体付与部131及びパンチ孔穿設手段132の配置は、
図23の例に限定されない。例えば、
図31に示すように画像形成装置2と後処理装置3Cの間にインサーター6が配置されている場合は、液体付与部131を後処理装置3Cの上流側に位置するインサーター6内に設けることもできる。インサーター6としては、画像形成装置2から搬送された用紙Pとともに後処理装置3Cに搬送するプレプリント媒体を、表紙、挿入紙または仕切紙として、画像形成装置2を通さずに給紙することができる装置が挙げられる。
【0143】
又、搬送ローラ対11は、
図26(A)に示すように、液体付与部131の液体付与ヘッド146により液体が付与された用紙Pの液体付与位置B5と主走査方向において重ならない位置に配置されている。これは、搬送ローラ対11が用紙Pを搬送する際に、複数のローラ対が、液体付与位置B5を当接することにより液体付与位置B5の液量が減少することを防止するためである。その結果、用紙Pが、液体付与部131よりも逆搬送方向の下流側に設けられた圧着部32´に到達した時点で、液体付与位置B5の液量は、綴じ強度を維持するのに必要な液量を確保できているので、搬送過程で液体付与位置B5(綴じ位置B5に相当)の液量が減少することによる用紙束Pbの綴じ強度の低下を防止することができる。
【0144】
更に、搬送ローラ対11を構成する複数のローラ対を、用紙Pの液体付与位置B5と主走査方向において重ならない位置に配置することにより、複数のローラ対に液体が付着して用紙Pの搬送性が悪化することや、搬送性の悪化が原因で生じる搬送ジャムを防止することができる。
【0145】
なお、以上では搬送ローラ対11についてのみ説明したが、搬送ローラ対14~15を構成する複数のローラ対も同様に、用紙Pの液体付与位置B5と主走査方向において重ならない位置に配置することが好ましい。
【0146】
液体付与部131は、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pに液体を付与(以下、「液体付与」と表記する。)する。パンチ孔穿設手段132は、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pに、厚み方向に貫通するパンチ孔を穿つ。なお、液体付与部131に近接して設けられる処理部は、パンチ孔穿設手段132に限定されず、搬送ローラ対10、11によって搬送される用紙Pの傾き(スキュー)を補正する傾き補正部でもよい。
【0147】
図26は、第二実施形態に係る液体付与部131を用紙Pの厚み方向から見た図である。
図27は、
図26のXXV-XXVにおける断面図である。
図28は、
図26のXXVI-XXVIにおける断面図である。
図26~
図28に示すように、液体付与部131は、一対のガイド軸133a、133bと、一対のプーリ134a、134bと、無端環状ベルト135、136と、液体付与部移動モータ137と、待機位置センサ138(
図29参照)と、液体付与ユニット140とを備える。
【0148】
一対のガイド軸133a、133bは、逆搬送方向に離間した位置において、各々が主走査方向に延設されている。また、一対のガイド軸133a、133bは、後処理装置3Cの一対の側板4a、4bに支持されている。そして、一対のガイド軸133a、133bは、液体付与ユニット140を主走査方向に移動可能に支持する。
【0149】
一対のプーリ134a、134bは、逆搬送方向における一対のガイド軸133a、133bの間に配置されている。また、一対のプーリ134a、134bは、主走査方向に離間して配置されている。さらに、一対のプーリ134a、134bは、用紙Pの厚み方向に延びる回転軸回りに正逆方向に回転可能に、後処理装置3Cのフレームに支持されている。
【0150】
無端環状ベルト135は、一対のプーリ134a、134bに掛け渡されている。また、無端環状ベルト135には、接続部135aによって液体付与ユニット140に接続されている。無端環状ベルト136は、プーリ134aと液体付与部移動モータ137の出力軸に固定された駆動プーリ137aとに掛け渡されている。液体付与部移動モータ137は、液体付与ユニット140を主走査方向に移動させるための駆動力を発生させる。
【0151】
液体付与部移動モータ137が回転することによって、プーリ134a及び駆動プーリ137aの間を無端環状ベルト136が周回し、プーリ134aを回転させる。また、プーリ134aが回転することによって、一対のプーリ134a、134bの間を無端環状ベルト135が周回する。これにより、液体付与ユニット140は、一対のガイド軸133a、133bに沿って主走査方向に移動する。また、液体付与部移動モータ137の回転方向を切り替えることによって、液体付与ユニット140は、主走査方向に往復移動する。
【0152】
待機位置センサ138は、液体付与ユニット140が主走査方向の待機位置に到達したことを検知し、検知結果を示す待機位置信号を後述する制御部としてのコントローラ100(
図29参照)に出力する。待機位置センサ138は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機位置の液体付与ユニット140は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機位置センサ138は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機位置信号を出力する。但し、待機位置センサ138の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0153】
図27に示すように、後処理装置3C内の搬送路は、用紙Pの厚み方向に離間して配置された上ガイド板5a及び下ガイド板5bによって画定される。そして、液体付与ユニット140は、上ガイド板5aに設けられた開口に対面する位置に配置されている。すなわち、液体付与ユニット140は、上ガイド板5aの開口を通じて搬送路(すなわち、用紙Pに対面し得る位置)に対面して配置されている。
【0154】
図26~
図28に示すように、液体付与ユニット140は、ベース部材141と、回転ブラケット142と、貯液タンク143と、移動手段144と、保持部材145と、液体付与ヘッド146と、柱状部材147a、147bと、押圧板148と、コイルバネ149a、149bと、付与ヘッド回動モータ150と、付与ヘッド移動モータ151(
図29参照)と、待機角度センサ152(
図29参照)とを備える。
【0155】
ベース部材141は、主走査方向にスライド可能に一対のガイド軸133a、133bに支持されている。また、ベース部材141は、接続部135aによって無端環状ベルト135に接続されている。さらに、ベース部材141は、液体付与ユニット140の構成部品(142~152)を支持している。
【0156】
回転ブラケット142は、用紙Pの厚み方向に延びる回転軸回りに正逆方向に回転可能にベース部材141の下面に取り付けられている。また、回転ブラケット142は、付与ヘッド回動モータ150の駆動力が伝達されることによって、ベース部材141に対して正逆方向に回転する。さらに、回転ブラケット142は、貯液タンク143、移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bを保持している。
【0157】
待機角度センサ152(
図29参照)は、回転ブラケット142が待機角度に到達したことを検知し、検知結果を示す待機角度信号をコントローラ100に出力する。待機角度とは、例えば、平行綴じするときの角度である。待機角度センサ152は、例えば、発光部及び受光部を備える光学センサである。そして、待機角度の回転ブラケット142は、発光部及び受光部の間の光路を遮断する。そして、待機角度センサ152は、発光部から出力された光が受光部で受光されないことに応じて、待機角度信号を出力する。但し、待機角度センサ152の具体的な構成は、前述の例に限定されない。
【0158】
なお、
図26(A)に示した回転ブラケット142は、液体付与部131より下流側の圧着部32´が平行綴じする際の状態を示している。又、
図26(B)に示した回転ブラケット142は、液体付与部131より下流側の圧着部32´が斜め綴じ(角綴じ)する際の状態を示している。
【0159】
貯液タンク143は、用紙Pに付与するための液体を貯留する。移動手段144は、用紙Pの厚み方向に移動(例えば昇降)可能に貯液タンク143に取り付けられている。また、移動手段144は、付与ヘッド移動モータ151の駆動力が伝達されることによって、貯液タンク143に対して移動する。保持部材145は、移動手段144の下端に取り付けられている。液体付与ヘッド146は、保持部材145から搬送路に向けて(本実施形態では、下方)に突出している。また、液体付与ヘッド146には、貯液タンク143に貯留された液体が供給される。さらに、液体付与ヘッド146は、吸液率の高い材料(例えば、スポンジ、繊維)で構成されている。
【0160】
柱状部材147a、147bは、液体付与ヘッド146の周囲において、保持部材145から下方に突出している。また、柱状部材147a、147bは、保持部材145に対して厚み方向に相対的に移動可能に構成されている。さらに、柱状部材147a、147bは、下端で押圧板148を保持している。押圧板148には、液体付与ヘッド146に対面する位置に貫通口148aが形成されている。コイルバネ149a、149bは、保持部材145と押圧板148との間において、柱状部材147a、147bに外挿されている。そして、コイルバネ149a、149bは、柱状部材147a、147b及び押圧板148を、保持部材145から離間する方向に向かって付勢する。
【0161】
図27(A)及び
図28(A)に示すように、上ガイド板5aの開口に対面する位置に用紙Pが搬送される前の段階では、押圧板148は開口の位置または開口より上方に位置している。次に、搬送ローラ対10、11によって搬送された用紙Pの液体付与位置B5が開口に対面する位置で停止すると、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させる。これにより、移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bが一体となって下降して、押圧板148が用紙Pに当接する。なお、液体付与位置B5とは、端綴じ処理部251(すなわち圧着部32´)によって圧着綴じされる予定の位置(すなわち、綴じ位置B5)である。
【0162】
そして、押圧板148が用紙Pに当接した後も付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させることによって、コイルバネ149a、149bが圧縮されて、移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、及び柱状部材147a、147bがさらに下降する。そして、
図27(B)及び
図28(B)に示すように、液体付与ヘッド146の下面が貫通口148aを通じて用紙Pに当接する。その結果、液体付与ヘッド146に含まれる液体が用紙Pに付与される。
【0163】
さらに、
図27(C)及び
図28(C)に示すように、付与ヘッド移動モータ151をさらに第一の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド146を用紙Pにさらに強く押し付けることができる。これにより、用紙Pに対する液体付与量が増加する。すなわち、液体付与部131は、用紙Pに対する液体付与ヘッド146の押し付け力を変更することによって、液体付与量を調整することができる。
【0164】
一方、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向と逆向きの第二の方向に回転させることによって、移動手段144、保持部材145、液体付与ヘッド146、柱状部材147a、147b、押圧板148、及びコイルバネ149a、149bが一体となって上昇する。これにより、
図27(A)及び
図28(A)に示すように、液体付与ヘッド146及び押圧板148が用紙Pから離間する。すなわち、液体付与部131は、用紙Pに切離可能な液体付与ヘッド146を備える。
【0165】
図29は、第二実施形態に係る後処理装置3Cの動作を制御する制御ブロックのハードウェア構成図である。
図29に示すように、後処理装置3Cは、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0166】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3C全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0167】
後処理装置3Cは、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3Cの種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3Cに搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3Cの機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、後処理装置3Cの動作を制御するコントローラ100を構成する。
【0168】
I/F105は、搬送ローラ対10、11、14、15、切替部材20、サイドフェンス24L、24R、圧着部移動モータ238、圧着部回動モータ239、接離モータ32d、液体付与部移動モータ137、付与ヘッド回動モータ150、付与ヘッド移動モータ151、待機位置センサ138、待機角度センサ152、パンチ孔穿設手段132、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。コントローラ100は、I/F105を通じて、搬送ローラ対10、11、14、15、切替部材20、サイドフェンス24L、24R、圧着部移動モータ238、圧着部回動モータ239、接離モータ32d、液体付与部移動モータ137、付与ヘッド回動モータ150、付与ヘッド移動モータ151、及びパンチ孔穿設手段132の動作を制御する。
【0169】
又、コントローラ100は、I/F105を通じて、待機位置センサ138、待機角度センサ152からの検知結果を取得する。なお、
図29には主に端綴じ処理を実行する端綴じ処理部251(圧着部32´)及び液体付与部131の構成部品を図示しているが、中綴じ処理を実行する中綴じ処理部28の構成部品も同様にコントローラ100によって制御される。
【0170】
操作パネル110は、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。
【0171】
図30は、第二実施形態に係る後処理装置3Cの後処理のフローチャートである。具体的には、
図24に示す一箇所綴じを実行する際のフローチャートである。
【0172】
コントローラ100は、例えば、画像形成装置2から後処理の実行指示(以下、「後処理指示」と表記する。)を取得したことに応じて、
図30に示す後処理を実行する。後処理指示は、例えば、用紙束Pbを構成する用紙Pの数(以下、「所定枚数N」と表記する。)と、綴じ処理を施すべき用紙束Pbの数(以下、「必要部数M」と表記する。)と、綴じ位置B5(液体付与位置B5に相当)と、綴じ位置B5の角度(液体付与位置B5の角度に相当)と、綴じ処理の種類(平行綴じ処理、斜め綴じ処理)と、液体付与処理と並行して実行される処理(本実施形態では、パンチ孔の穿設)とを含む。なお、後処理の開始時点において、液体付与ユニット140は待機位置HP3(
図24の待機位置HP3に相当する位置)に位置し、回転ブラケット142は待機角度(「平行綴じ姿勢」に相当)に保持されているものとする。
【0173】
まず、コントローラ100は、液体付与部移動モータ137を駆動することによって、液体付与ユニット140(液体付与部に相当)を主走査方向に移動させることで、液体付与ヘッド146を待機位置HP3から液体付与位置B5(
図24の綴じ位置B5に相当する位置)に対面し得る位置に移動させる。また、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「斜め綴じ処理」である場合は、コントローラ100は、付与ヘッド回動モータ150を駆動し、回転ブラケット142を回転させることで、液体付与ヘッド146を待機角度から「斜め綴じ姿勢」に対応する液体付与角度に回転させる(S801)。液体付与ヘッド146が液体付与位置B5に対面し得る位置及び液体付与角度に達したことは、液体付与部移動モータ137及び付与ヘッド回動モータ150のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。尚、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「平行綴じ処理」である場合は、コントローラ100は、上述した回転ブラケット142を回転させる動作を省略する。すなわち、液体付与ユニット140は、回転ブラケット142を待機角度に保持したまま主走査方向に移動する。
【0174】
又、コントローラ100は、圧着部移動モータ238を駆動することによって、
図24(A)、
図24(B)に示すように、圧着部32´を待機位置HP3から綴じ位置B5に対面し得る位置に移動させる(S801)。また、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「斜め綴じ処理」である場合は、コントローラ100は、圧着部回動モータ239を駆動することにより、圧着部32´を待機角度から「斜め綴じ姿勢」に対応する綴じ角度に回転させる(S801)。圧着部32´が、綴じ位置B5に対面し得る位置、及び綴じ角度に達したことは、圧着部移動モータ238及び圧着部回動モータ239のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。尚、後処理指示で指示された綴じ処理の種類が「平行綴じ処理」である場合は、コントローラ100は、上述した圧着部32´を回転させる動作を省略する。すなわち、圧着部32´は、待機角度を保持したまま主走査方向に移動する。
【0175】
次に、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11を駆動することによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pの搬送を開始する(S802)。コントローラ100は、用紙Pの液体付与位置B5が液体付与ユニット140(より詳細には、液体付与ヘッド146)に対面するまで、搬送ローラ対10、11の駆動を継続する(S803:No)。そして、コントローラ100は、用紙Pの液体付与位置B5が液体付与ヘッド146に対面したことに応じて(S803:Yes)、搬送ローラ対10、11を停止する(S804)。用紙Pの液体付与位置B5が液体付与ヘッド146に対面したことは、搬送ローラ対10、11を駆動するモータのロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0176】
コントローラ100は、液体付与ユニット140によって用紙Pの液体付与位置B5に液体を付与する処理を実行する(S805)。より詳細には、コントローラ100は、付与ヘッド移動モータ151を第一の方向に回転させることによって、液体付与ヘッド146を用紙Pの液体付与位置B5に当接させる。また、コントローラ100は、用紙Pに対する液体付与量に応じて、液体付与ヘッド146の押し付け力(すなわち、付与ヘッド移動モータ151の回転量)を変更する。
【0177】
用紙Pに対する液体付与量は、用紙束Pbを構成する全ての用紙Pに対して同一でもよいし、用紙P毎に異なっていてもよい。例えば、コントローラ100は、後に搬送される用紙Pほど液体付与量を減少させてもよい。また、付与ヘッド移動モータ151の回転量は、付与ヘッド移動モータ151のロータリエンコーダから出力されるパルス信号によって把握できる。
【0178】
次に、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、15を駆動することによって、用紙Pを内部トレイ22に載置する(S806)。また、コントローラ100は、サイドフェンス24L、24Rを対向する方向に移動させることによって、内部トレイ22に載置された用紙P又は用紙束Pbの主走査方向の端部の位置を揃える(所謂、ジョギング処理)(S806)。
【0179】
次に、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が、後処理指示で指示された所定枚数Nに達したか否かを判定する(S807)。そして、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達していないと判定したことに応じて(S807:No)、ステップS802~S806の処理を再び実行する。
【0180】
そして、コントローラ100は、内部トレイ22に載置された用紙Pの数が所定枚数Nに達したと判定したことに応じて(S807:Yes)、圧着部32´に、液体付与ユニット140によって液体を付与された用紙束Pbの綴じ位置B5(液体付与位置B5に相当)を圧着綴じさせる(S808)。さらに、コントローラ100は、搬送ローラ対15を回転させることによって、圧着綴じされた用紙束Pbを第二排出トレイ26に排出する(S808)。
【0181】
そして、コントローラ100は、液体付与部移動モータ137を駆動して液体付与ユニット140を待機位置HP3に移動させるとともに、圧着部移動モータ238を駆動して圧着部32´を待機位置HP3に移動させる。
【0182】
また、後処理指示に複数の用紙束Pb(必要部数Mという)を形成する指示が含まれている場合は、
図15のステップS909と同様に、コントローラ100は、第二排出トレイ26排出された用紙束Pbの数が、必要部数Mに達したか否かを判定する。そして、コントローラ100は、第二排出トレイ26排出された用紙束Pbの数が、必要部数Mに達していないと判定した場合には、ステップS802~S808の処理を繰り返し実行する。一方、コントローラ100は、第二排出トレイ26排出された用紙束Pbの数が、必要部数Mに達していると判断した場合には、上述したように液体付与ユニット140及び圧着部32´を待機位置HP3に移動させる。
【0183】
また、本発明は、端綴じ処理を実行する端綴じ処理部25のみならず、中綴じ処理を実行する綴じ処理部28にも適用することができる。
【0184】
また、上記に説明した制御方法は、例えば、プログラム等で実現してもよい。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0185】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0186】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 媒体の綴じ位置に液体付与する液体付与部と、
前記液体付与部によって少なくとも1枚に液体付与された複数の前記媒体の前記綴じ位置に対して綴じ動作を行う後処理部と、
前記後処理部により綴じられた複数の前記媒体からなる媒体束を排出する排出手段と、
前記排出手段により排出された前記媒体束を載置する載置部と、
前記載置部に載置された前記媒体束の前記綴じ位置に向けて風を吹き付ける送風手段と、を備えることを特徴とする媒体処理装置である。
<2> 前記液体付与部、前記後処理部、及び前記送風手段を収容する筐体を備え、
前記筐体の側面には、
前記媒体束を前記筐体の外部に排出する排出口と、
前記送風手段によって生成された風を吹き出す吹出口とが形成され、
前記載置部は、前記排出口から排出された前記媒体束を載置可能なように、前記側面において昇降可能に構成されていることを特徴とする前記<1>に記載の媒体処理装置である。
<3> 前記載置部の昇降動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記載置部を、
前記載置部に載置された前記媒体束の前記綴じ位置に前記吹出口が対面する乾燥位置と、
前記載置部に既に載置されている前記媒体束と、前記排出口から次に排出される前記媒体束の間に前記吹出口が位置するような排出補助位置との間で、移動させることを特徴とする前記<2>に記載の媒体処理装置である。
<4> 前記送風手段は、各々が独立して風を生成する第一送風手段及び第二送風手段を備え、
前記吹出口は、
前記載置部に載置された前記媒体束の前記綴じ位置に向けて、前記第一送風手段によって生成された風を吹き出す第一吹出口と、
前記載置部に既に載置されている前記媒体束及び前記排出口から次に排出される前記媒体束の間に向けて、前記第二送風手段によって生成された風を吹き出す第二吹出口とを備えることを特徴とする前記<2>または前記<3>に記載の媒体処理装置である。
<5> 前記送風手段は、前記載置部に載置された前記媒体束の幅方向に移動可能、または上下方向に延びる回動軸周りに回動可能に構成されていることを特徴とする前記<1>から前記<4>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<6> 前前記送風手段は、各々が独立して風を生成する第一送風手段及び第二送風手段を備え、
前記第一送風手段及び前記第二送風手段は、各々が独立して前記載置部に載置された前記媒体束の幅方向に移動可能、または上下方向に延びる回動軸周りに回動可能であることを特徴とする前記<1>から前記<4>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<7> 前記送風手段は、前記載置部に載置された前記媒体束の幅方向に移動可能で、かつ上下方向に延びる回動軸周りに回動可能に構成されていることを特徴とする前記<1>から前記<4>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<8> 前記送風手段は、各々が独立して風を生成する第一送風手段及び第二送風手段を備え、
前記第一送風手段及び前記第二送風手段は、各々が独立して前記載置部に載置された前記媒体束の幅方向に移動可能で、かつ上下方向に延びる回動軸周りに回動可能であることを特徴とする前記<1>から前記<4>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<9> 温風生成手段を更に有し、
前記送風手段は、前記温風生成手段で暖めた空気を送風する前記<1>から前記<8>のいずれか1つに記載の媒体処理装置である。
<10> 前記媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された複数の前記媒体に綴じ動作を行う前記<1>から前記<9>のいずれか1つに記載の媒体処理装置と、を備えることを特徴とする画像形成システムである。
【符号の説明】
【0187】
1 :画像形成システム
2 :画像形成装置
3,3A,3B :後処理装置(媒体処理装置)
4 :筐体
10~19 :搬送ローラ対(搬送部)
20 :切替部材
21 :第一排出トレイ
26 :第二排出トレイ(載置部)
30 :第三排出トレイ
22 :内部トレイ
23,27 :エンドフェンス
24L,24R :サイドフェンス
25 :端綴じ処理部
28 :中綴じ処理部
29 :用紙折りブレード
31 :液体付与部
32 :圧着部(後処理部)
32a :上圧着歯
32b :下圧着歯
32d :接離モータ
33 :下押圧板
34 :上押圧板
34a :貫通口
35 :液体付与部移動機構
36 :液体付与機構
37 :液体付与部移動モータ
38 :台形ネジ
39 :ナット
40 :ベースプレート
41a,41b :柱状部材
42a,42b :コイルバネ
43 :第一貯液タンク
44 :液体付与部材
45 :第一液体供給部
45a :保護部材
46 :保持部
47 :端綴じ処理部移動機構
48 :ベース部材
49 :案内軸
50 :端綴じ処理部移動モータ
51 :排紙口
52 :送風機構
52A :第一送風機構
52B :第二送風機構
53 :ファン(送風手段)
54 :導風路
55 :吹出口
55A :第一吹出口
55B :第二吹出口
56 :排出トレイ駆動モータ(載置部駆動手段)
57 :送風手段移動モータ
58 :送風手段回動モータ
59 :温風生成部(温風生成手段)
100 :コントローラ
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
110 :操作パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0188】