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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184575
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】基板搬送装置及び基板処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20231221BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20231221BHJP
   H01L 21/31 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J5/00 Z
H01L21/31 F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023178977
(22)【出願日】2023-10-17
(62)【分割の表示】P 2019217076の分割
【原出願日】2019-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】波多野 達夫
(72)【発明者】
【氏名】宮下 哲也
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直行
(57)【要約】
【課題】基板を搬送する基板搬送装置及び基板処理システムを提供する。
【解決手段】平面上で電磁的に浮上可能に構成される搬送ユニットにより、基板を処理する処理室内に前記基板を搬送する基板搬送装置であって、前記平面上において電磁的に浮上可能に構成され、前記平面上を移動する2つのベースと、前記2つのベースにそれぞれ連結され、水平方向に延在するリンクと、前記リンクに連結し、前記基板を支持するように構成される基板支持部と、を含む前記搬送ユニットと、前記基板を前記処理室内に搬送するように前記搬送ユニットを制御する制御部と、を備え、前記リンクは、前記2つのベースの間隔を変更することで、前記基板支持部の水平方向における延伸量を変更する、基板搬送装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面上で電磁的に浮上可能に構成される搬送ユニットにより、基板を処理する処理室内に前記基板を搬送する基板搬送装置であって、
前記平面上において電磁的に浮上可能に構成され、前記平面上を移動する2つのベースと、前記2つのベースにそれぞれ連結され、水平方向に延在するリンクと、前記リンクに連結し、前記基板を支持するように構成される基板支持部と、を含む前記搬送ユニットと、
前記基板を前記処理室内に搬送するように前記搬送ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記リンクは、前記2つのベースの間隔を変更することで、前記基板支持部の水平方向における延伸量を変更する、
基板搬送装置。
【請求項2】
前記リンクは、第1及び第2のリンクを有し、
前記第1のリンクは、一端が一の前記ベースと回転自在に接続され、他端が前記基板支持部と回転自在に接続され、
前記第2のリンクは、一端が他の前記ベースと回転自在に接続され、他端が前記基板支持部と回転自在に接続される、
請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記リンクは、第1乃至第4のリンクを有し、
前記第1のリンクは、一端が一の前記ベースと回転自在に接続され、他端が前記第4のリンクの一端と回転自在に接続され、
前記第2のリンクは、一端が他の前記ベースと回転自在に接続され、他端が前記第3のリンクの一端と回転自在に接続され、
前記第3のリンクは、一端が前記第2のリンクの他端と回転自在に接続され、他端が前記基板支持部と回転自在に接続され、
前記第4のリンクは、一端が前記第1のリンクの他端と回転自在に接続され、他端が前記基板支持部と回転自在に接続され、
前記第1のリンクの途中と前記第2のリンクの途中で、回転自在に接続される、
請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記リンクの回転角度を制限する係止部材を更に有する、
請求項2または請求項3に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
平面上で電磁的に浮上可能に構成される搬送ユニットにより、基板を処理する処理室内に前記基板を搬送する基板搬送装置であって、
前記平面上において電磁的に浮上可能に構成され、前記平面上を移動する2つのベースと、前記2つのベースにそれぞれ連結され、水平方向に延在するリンクと、前記リンクに連結し、前記基板を支持するように構成される基板支持部と、を含む前記搬送ユニットと、
前記基板を前記処理室内に搬送するように前記搬送ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記リンクは、前記2つのベースの間隔を変更することで、前記基板支持部の高さを変更する、
基板搬送装置。
【請求項6】
平面上で電磁的に浮上可能に構成される搬送ユニットにより、基板を処理する処理室内に前記基板を搬送する基板搬送装置であって、
前記平面上において電磁的に浮上可能に構成され、前記平面上を移動する2つのベースと、前記2つのベースにそれぞれ連結され、水平方向に延在するリンクと、前記リンクに連結し、前記基板を支持するように構成される基板支持部と、を含む前記搬送ユニットと、
前記基板を前記処理室内に搬送するように前記搬送ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記リンクは、前記2つのベースの間隔を変更することで、前記基板支持部の傾きを変更する、
基板搬送装置。
【請求項7】
前記リンクは、第1乃至第3のリンクを有し、
前記第1のリンクは、一端が一の前記ベースと回転自在に接続され、他端が前記第3のリンクの一端と回転自在に接続され、
前記第2のリンクは、一端が他の前記ベースと回転自在に接続され、他端が前記第3のリンクの他端と回転自在に接続され、
前記第1のリンクと前記第3のリンクがなす角と、前記第2のリンクと前記第3のリンクがなす角とが等しい、
請求項5に記載の基板搬送装置。
【請求項8】
前記リンクは、第1乃至第3のリンクを有し、
前記第1のリンクは、一端が一の前記ベースと回転自在に接続され、他端が前記第3のリンクの一端と回転自在に接続され、
前記第2のリンクは、一端が他の前記ベースと回転自在に接続され、他端が前記第3のリンクの他端と回転自在に接続され、
前記リンクの少なくともいずれかの角度が固定される、
請求項6に記載の基板搬送装置。
【請求項9】
複数の室と、
前記室を連結する搬送室と、
前記搬送室に設けられる、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の基板搬送装置と、
を備える、基板処理システム。
【請求項10】
前記搬送室は、真空雰囲気の真空搬送室である、
請求項9に記載の基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板搬送装置及び基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数の処理室と、処理室と接続する真空搬送室と、を備える基板処理システムが知られている。真空搬送室内には、基板を搬送するための基板搬送装置が設けられている。
【0003】
特許文献1には、複数の処理モジュールと、搬送モジュールと、を備える処理ステーションが開示されている。搬送モジュールには、多関節アームから構成されるウエハ搬送機構が設けられている。
【0004】
また、特許文献2には、平面モータを用いて基板を搬送する半導体処理設備が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-168866号公報
【特許文献2】特表2018-504784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された処理ステーションでは、複数の処理モジュールに基板を搬送するために、真空雰囲気となる搬送モジュール内に複数の多関節アームが設けられている。発塵源となるおそれのあるモータは搬送モジュール外に配置され、多関節アームの回転軸は搬送モジュールの底面を貫通して配置され、底面と回転軸との間は磁気シールによってシールされている。このため、搬送モジュール内を高真空に保持することが困難であるという課題がある。また、特許文献2に開示されたシステムでは、取り回しが悪く、チャンバの開口を広くする必要があるという課題がある。
【0007】
本開示の一態様は、基板を搬送する基板搬送装置及び基板処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る基板搬送装置は、平面上で電磁的に浮上可能に構成される搬送ユニットにより、基板を処理する処理室内に前記基板を搬送する基板搬送装置であって、前記平面上において電磁的に浮上可能に構成され、前記平面上を移動する2つのベースと、前記2つのベースにそれぞれ連結され、水平方向に延在するリンクと、前記リンクに連結し、前記基板を支持するように構成される基板支持部と、を含む前記搬送ユニットと、前記基板を前記処理室内に搬送するように前記搬送ユニットを制御する制御部と、を備え、前記リンクは、前記2つのベースの間隔を変更することで、前記基板支持部の水平方向における延伸量を変更する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、基板を搬送する基板搬送装置及び基板処理システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る基板処理システムの一例の構成を示す平面図。
図2】一実施形態に係る搬送ユニットの一例を示す平面視図。
図3】基板搬送機構の駆動原理を説明する斜視図。
図4】搬送ユニットの他の一例を示す平面視図。
図5】他の実施形態に係る基板処理システムの一例の構成を示す平面図。
図6】他の実施形態に係る搬送ユニットの一例を示す側面視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
<基板処理システム100>
一実施形態に係る基板処理システム100の全体構成の一例について、図1を用いて説明する。図1は、一実施形態に係る基板処理システム100の一例の構成を示す平面図である。なお、図1では、ウェハWにドットのハッチングを付して図示している。
【0013】
図1に示す基板処理システム100は、クラスタ構造(マルチチャンバタイプ)のシステムである。基板処理システム100は、複数の処理室110、真空搬送室120、ロードロック室130、大気搬送室140及び制御部150を備えている。
【0014】
処理室110は、所定の真空雰囲気に減圧され、その内部にて半導体ウェハW(以下、「ウェハW」ともいう。)に所望の処理(エッチング処理、成膜処理、クリーニング処理、アッシング処理等)を施す。処理室110は、真空搬送室120に隣接して配置される。処理室110と真空搬送室120とは、ゲートバルブ112の開閉により連通する。処理室110は、ウェハWを載置する載置台111を有する。なお、処理室110における処理のための各部の動作は、制御部150によって制御される。
【0015】
真空搬送室120は、所定の真空雰囲気に減圧されている。また、真空搬送室120の内部には、ウェハWを搬送する基板搬送装置125が設けられている。基板搬送装置125は、ウェハWを保持するエンドエフェクタ50を有している。基板搬送装置125は、ゲートバルブ112の開閉に応じて、処理室110と真空搬送室120との間でウェハWの搬入及び搬出を行う。また、基板搬送装置125は、ゲートバルブ132の開閉に応じて、ロードロック室130と真空搬送室120との間でウェハWの搬入及び搬出を行う。なお、基板搬送装置125の動作、ゲートバルブ112の開閉は、制御部150によって制御される。なお、基板搬送装置125については、図2及び図3を用いて後述する。
【0016】
ロードロック室130は、真空搬送室120と大気搬送室140との間に設けられている。ロードロック室130は、ウェハWを載置する載置台131を有する。ロードロック室130は、大気雰囲気と真空雰囲気とを切り替えることができるようになっている。ロードロック室130と真空雰囲気の真空搬送室120とは、ゲートバルブ132の開閉により連通する。ロードロック室130と大気雰囲気の大気搬送室140とは、ゲートバルブ133の開閉により連通する。なお、ロードロック室130内の真空雰囲気または大気雰囲気の切り替えは、制御部150によって制御される。
【0017】
大気搬送室140は、大気雰囲気となっており、例えば清浄空気のダウンフローが形成されている。また、大気搬送室140の内部には、ウェハWを搬送する搬送装置(図示せず)が設けられている。搬送装置(図示せず)は、ゲートバルブ133の開閉に応じて、ロードロック室130と大気搬送室140との間でウェハWの搬入及び搬出を行う。なお、搬送装置(図示せず)の動作、ゲートバルブ133の開閉は、制御部150によって制御される。
【0018】
また、大気搬送室140の壁面には、ロードポート(図示せず)が設けられている。ロードポートは、ウェハWが収容されたキャリア(図示せず)又は空のキャリアが取り付けられる。キャリアとしては、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)等を用いることができる。
【0019】
搬送装置(図示せず)は、ロードポートに収容されたウェハWを取り出して、ロードロック室130の載置台131に載置することができる。また、搬送装置(図示せず)は、ロードロック室130の載置台131に載置されたウェハWを取り出して、ロードポートに収容することができる。
【0020】
制御部150は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)を有する。制御部150は、HDDに限らずSSD(Solid State Drive)等の他の記憶領域を有してもよい。HDD、RAM等の記憶領域には、プロセスの手順、プロセスの条件、搬送条件が設定されたレシピが格納されている。
【0021】
CPUは、レシピに従って各処理室110におけるウェハWの処理を制御し、ウェハWの搬送を制御する。HDDやRAMには、各処理室110におけるウェハWの処理やウェハWの搬送を実行するためのプログラムが記憶されてもよい。プログラムは、記憶媒体に格納して提供されてもよいし、ネットワークを通じて外部装置から提供されてもよい。
【0022】
次に、基板処理システム100の動作の一例について説明する。ここでは、基板処理システム100の動作の一例として、ロードポートに取り付けられたキャリアに収容されたウェハWを処理室110で処理を施し、ロードポートに取り付けられた空のキャリアに収容する動作に沿って説明する。なお、動作の開始時点において、ゲートバルブ112,132,133は閉じており、ロードロック室130内は大気雰囲気となっている。
【0023】
制御部150は、ゲートバルブ133を開ける。制御部150は、大気搬送室140内の搬送装置を制御して、ロードポートのキャリアからウェハWを取り出し、ロードロック室130の載置台131に載置する。ウェハWがロードロック室130の載置台131に載置され、搬送装置がロードロック室130から退避すると、制御部150は、ゲートバルブ133を閉じる。
【0024】
制御部150は、ロードロック室130の排気装置(図示せず)を制御して室内の空気を排気し、ロードロック室130を大気雰囲気から真空雰囲気へと切り替える。
【0025】
次に、ロードロック室130の載置台131に載置されたウェハWを、処理室110に搬送して、載置台111に載置する。具体的には、制御部150は、ゲートバルブ132を開ける。制御部150は、後述する基板搬送装置125を制御して、予め設定された教示点までエンドエフェクタ50をロードロック室130に挿入し、ロードロック室130の載置台131に載置されたウェハWを保持して、真空搬送室120へと搬送する。エンドエフェクタ50がロードロック室130から退避すると、制御部150は、ゲートバルブ132を閉じる。
【0026】
制御部150は、搬送先の処理室110のゲートバルブ112を開ける。制御部150は、基板搬送装置125を制御して、予め設定された教示点までエンドエフェクタ50を処理室110に挿入し、保持しているウェハWを処理室110の載置台111に載置する。エンドエフェクタ50が処理室110から退避すると、制御部150は、ゲートバルブ112を閉じる。
【0027】
制御部150は、処理室110を制御して、ウェハWに所望の処理を施す。
【0028】
ウェハWの処理が終了すると、処理室110の載置台111に載置されたウェハWを、ロードロック室130に搬送して、載置台131に載置する。具体的には、制御部150は、ゲートバルブ112を開ける。制御部150は、基板搬送装置125を制御して、予め設定された教示点までエンドエフェクタ50を処理室110に挿入し、処理室110の載置台111に載置されたウェハWを保持して、真空搬送室120へと搬送する。エンドエフェクタ50が処理室110から退避すると、制御部150は、ゲートバルブ112を閉じる。
【0029】
制御部150は、ゲートバルブ132を開ける。制御部150は、基板搬送装置125を制御して、予め設定された教示点までエンドエフェクタ50をロードロック室130に挿入し、保持しているウェハWをロードロック室130の載置台131に載置する。エンドエフェクタ50がロードロック室130から退避すると、制御部150は、ゲートバルブ132を閉じる。
【0030】
制御部150は、ロードロック室130の吸気装置(図示せず)を制御して室内に例えば清浄空気を供給し、ロードロック室130を真空雰囲気から大気雰囲気へと切り替える。
【0031】
制御部150は、ゲートバルブ133を開ける。制御部150は、搬送装置(図示せず)を制御して、ロードロック室130の載置台131に載置されたウェハWを取り出し、ロードポートのキャリアに収容する。ウェハWがロードロック室130の載置台131から取り出され、搬送装置(図示せず)がロードロック室130から退避すると、制御部150は、ゲートバルブ133を閉じる。
【0032】
なお、基板処理システム100において、基板搬送装置125は、ロードロック室130の載置台131に載置されたウェハWを処理室110の載置台111に搬送し、処理済のウェハWを処理室110の載置台111からロードロック室130の載置台131に搬送する構成を例に説明したが、これに限られるものではない。基板搬送装置125は、一の処理室110の載置台111に載置されたウェハWを他の処理室110の載置台111に搬送する構成であってもよい。
【0033】
<基板搬送装置125>
次に、基板搬送装置125について、図2を用いて更に説明する。図2は、一実施形態に係る搬送ユニット20の一例を示す平面視図である。なお、図2(a)は、搬送ユニット20の姿勢の一例を示す。図2(b)は、搬送ユニット20の姿勢の他の一例を示す。
【0034】
基板搬送装置125は、真空搬送室120に配置される平面モータ(リニアユニット)10と、平面モータ10上を移動可能な搬送ユニット20と、を有する。搬送ユニット20は、2つのベース31,32と、リンク機構(リンク41,42)と、エンドエフェクタ50と、を有する。なお、搬送ユニット20は、複数台設けられていてもよい。
【0035】
平面モータ10及び搬送ユニット20のベース31,32について、図3を用いて更に説明する。図3は、基板搬送装置125の駆動原理を説明する斜視図である。
【0036】
平面モータ10は、複数のコイル15が配列されている。コイル15は、電流が供給されることにより、磁場を発生する。制御部150(図1参照)は、各コイル15に通電する電流値を個別に制御可能に構成されている。
【0037】
ベース31,32は、複数の永久磁石35が配列されている。コイル15が生成する磁場によって、ベース31,32は、平面モータ10上で磁気浮上する。また、コイル15が生成する磁場によって、ベース31,32は、平面モータ10上を移動する。
【0038】
この様な構成により、制御部150(図1参照)は、平面モータ10の各コイル15の電流値を制御することで、ベース31,32の位置、向き、浮上量を制御することができるように構成されている。
【0039】
図2に戻り、リンク41,42は、リンク機構を構成する。リンク機構は、2つのベース31,32と、エンドエフェクタ50と、を接続する。具体的には、リンク41の一端側は、垂直方向の回転軸43aを有して回転自在にベース31と接続されている。リンク41の他端側は、垂直方向の回転軸43cを有して回転自在にエンドエフェクタ50と接続されている。リンク42の一端側は、垂直方向の回転軸43bを有して回転自在にベース32と接続されている。リンク42の他端側は、垂直方向の回転軸43dを有して回転自在にエンドエフェクタ50と接続されている。
【0040】
また、リンク機構は、リンク角度が連動して動くように構成されていてもよい。例えば、リンク機構は、エンドエフェクタ50の延伸方向(回転軸43c,43dを結ぶ線に対して直交する方向)とリンク41のなす角θ1と、エンドエフェクタ50の延伸方向とリンク42のなす角θ2とが、同角となるように連動させる角度連動機構(図示せず)を備えていてもよい。角度連動機構(図示せず)は、例えば、ギアやベルト等によって構成され、角θ1と連動して角θ2が変化する。これにより、リンク機構は、回転軸43a,43bの間隔を変化させることにより、エンドエフェクタ50の向きを保ったまま伸縮することができる。
【0041】
エンドエフェクタ50は、リンク機構の先に配置されている。また、エンドエフェクタ50は、ウェハWを搬送する際、ウェハWを保持する。
【0042】
次に、搬送ユニット20の動作について説明する。なお、以下の説明において、ベース31の基準位置(例えば、回転軸43a)から、ベース32の基準位置(例えば、回転軸43b)までの距離を、ベース31,32の間隔として説明する。また、ベース31,32の基準位置(例えば、回転軸43aと回転軸43bとを結ぶ線)から、エンドエフェクタ50の基準位置(例えば、ウェハWを保持する際の中心位置)までの距離を、エンドエフェクタ50の延伸距離として説明する。
【0043】
2つのベース31,32とエンドエフェクタ50とがリンク機構(リンク41,42)を介して接続されていることにより、図2(a)に示すように、搬送ユニット20は、ベース31,32の間隔D1に対して、エンドエフェクタ50の延伸距離H1が一意に定まる。また、図2(b)に示すように、搬送ユニット20は、ベース31,32の間隔D2に対して、エンドエフェクタ50の延伸距離H2が一意に定まる。このように、リンク機構は、ベース31,32の間隔(D1,D2)を変化させることで、エンドエフェクタ50の延伸距離(H1,H2)を変化させることができる。即ち、搬送ユニット20は、ベース31,32の間隔(D1,D2)を制御することで、エンドエフェクタ50の延伸距離(H1,H2)を伸縮させることができる。
【0044】
制御部150は、ベース31,32の位置が所望の位置となるように、平面モータ10の各コイル15の通電を制御することで、真空搬送室120内で搬送ユニット20を移動および/または旋回させることができる。また、制御部150は、ベース31,32の間隔が所望の間隔となるように、平面モータ10の各コイル15の通電を制御することで、エンドエフェクタ50の延伸距離を伸縮させることができる。
【0045】
例えば、処理室110やロードロック室130にアクセスする際は、図2(b)に示すように、ベース31,32の間隔を狭くしてエンドエフェクタ50の延伸距離を伸ばすことができる。これにより、ベース31,32を真空搬送室120に設けられた平面モータ10上としつつも、エンドエフェクタ50を処理室110内やロードロック室130内に挿入することができる。
【0046】
また、例えば、真空搬送室120内で搬送ユニット20を移動および/または旋回させる際は、図2(a)に示すように、ベース31,32の間隔を広くしてエンドエフェクタ50の延伸距離を縮めることができる。ウェハWを保持するエンドエフェクタ50をベース31,32に近づけることにより、リンク機構(リンク41,42)の垂れ、振動を小さくすることができ、搬送中のウェハWのずれを低減することができる。
【0047】
また、図2に示すように、ベース31,32には、リンク41,42の回転角度を制限するストッパ61,62が設けられていてもよい。ストッパ61,62は、リンク41,42と係止することでリンク41,42の回転角度を制限する。ここで、ストッパ62は、リンク42の角度θが90°未満とリンク42の回転角度を制限する。なお、リンク42の角度θは、リンク42の長手方向がエンドエフェクタ50の延伸方向と平行になる際を0°とし、リンク42の長手方向が回転軸43a,43bを結ぶ直線と平行になる際を90°として説明する。同様に、ストッパ61は、リンク41の角度θが90°未満とリンク41の回転角度を制限する。これにより、ベース31,32の間隔を最大に開いた状態から狭めた際に、エンドエフェクタ50が後方に向かって移動することを防止することができるので、ベース31,32の間隔(D1,D2)に対して、エンドエフェクタ50の延伸距離を一意に定めることができる。また、リンク41,42が一直線上に配置されることを防止することにより、リンク機構がロックすることを防止することができる。なお、ストッパ61,62は、ベース31,32に設けられるものとして説明したが、これに限られるものではなく、エンドエフェクタ50に設けられていてもよい。
【0048】
以上、基板搬送装置125によれば、制御部150が平面モータ10の各コイル15の通電を制御することにより、ベース31,32の位置・向き・浮上量を制御することができる。これにより、リンク機構(リンク41,42)を介してベース31,32と連結されるエンドエフェクタ50の位置・向きを制御することができる。また、ベース31,32の間隔を制御することにより、エンドエフェクタ50の延伸距離を制御することができる。
【0049】
ここで、基板搬送装置として多関節アームを用いる場合、真空搬送室120に多関節アームの回転軸が貫通する貫通部及びシール部が形成される。これに対し、基板搬送装置125によれば、真空搬送室120を貫通する貫通部及びシール部を不要とすることができるので、真空搬送室120の真空度を高くすることができる。また、搬送ユニット20は、平面モータ10上を磁気浮上して移動することにより、発塵を抑制することができる。
【0050】
また、基板搬送装置125によれば、ウェハWを自在に搬送することができる。これにより、基板処理システム100における設計の自由度が向上する。例えば、隣接する処理室110間のスペースを削減することができる。
【0051】
なお、搬送ユニット20の構成は、図2に示すものに限られるものではない。図4は、一実施形態に係る搬送ユニット20Aの他の一例を示す平面視図である。なお、図4(a)は、搬送ユニット20Aの姿勢の一例を示す。図4(b)は、搬送ユニット20Aの姿勢の他の一例を示す。図4(c)は、搬送ユニット20Aの姿勢の更に他の一例を示す。
【0052】
搬送ユニット20Aは、2つのベース31,32と、リンク機構(リンク44~47)と、エンドエフェクタ50と、を有する。
【0053】
搬送ユニット20はリンク41,42及び回転軸43a~43dで構成されるリンク機構を有しているのに対し、搬送ユニット20Aはリンク44~47及び回転軸48a~48gで構成されるリンク機構を有している点で異なっている。
【0054】
搬送ユニット20Aのリンク機構は、リンク44~47で構成され、2つのベース31,32と、エンドエフェクタ50と、を接続する。具体的には、リンク44の一端側は、垂直方向の回転軸48aを有して回転自在にベース31と接続されている。リンク44の他端側は、垂直方向の回転軸48dを有して回転自在にリンク47の一端側と接続されている。リンク45の一端側は、垂直方向の回転軸48bを有して回転自在にベース32と接続されている。リンク45の他端側は、垂直方向の回転軸48eを有して回転自在にリンク46の一端側と接続されている。また、リンク44の途中とリンク45の途中とは、垂直方向の回転軸48cを有して回転自在に接続されている。リンク46の一端側は、垂直方向の回転軸48eを有して回転自在にリンク45の他端側と接続されている。リンク46の他端側は、垂直方向の回転軸48fを有して回転自在にエンドエフェクタ50と接続されている。リンク47の一端側は、垂直方向の回転軸48dを有して回転自在にリンク44の他端側と接続されている。リンク47の他端側は、垂直方向の回転軸48gを有して回転自在にエンドエフェクタ50と接続されている。また、リンク機構は、エンドエフェクタ50の延伸方向(回転軸48f,48gを結ぶ線に対して直交する方向)とリンク46のなす角と、エンドエフェクタ50の延伸方向とリンク47のなす角とが、同角となるように連動させる角度連動機構(図示せず)を備えていてもよい。
【0055】
2つのベース31,32とエンドエフェクタ50とがリンク機構(リンク44~47)を介して接続されていることにより、図4(a)から図4(c)に示すように、搬送ユニット20は、ベース31,32の間隔D3~D5に対して、エンドエフェクタ50の延伸距離H3~H5が一意に定まる。このように、リンク機構は、ベース31,32の間隔(D3~D5)を変化させることで、エンドエフェクタ50の延伸距離(H3~H5)を変化させることができる。即ち、搬送ユニット20は、ベース31,32の間隔(D3~D5)を制御することで、エンドエフェクタ50の延伸距離(H3~H5)を伸縮させることができる。
【0056】
<基板処理システム100B>
他の実施形態に係る基板処理システム100Bの全体構成の一例について、図5を用いて説明する。図5は、他の実施形態に係る基板処理システム100Bの一例の構成を示す平面図である。なお、図5では、ウェハWにドットのハッチングを付して図示している。
【0057】
基板処理システム100Bは、基板処理システム100(図1参照)と比較して、基板搬送装置125Bの構成が異なっている。その他の構成は、基板処理システム100(図1参照)と同様であり、重複する説明を省略する。基板搬送装置125Bは、真空搬送室120に配置される平面モータ(リニアユニット)10と、平面モータ10上を移動可能な搬送ユニット20Bと、を有する。
【0058】
<搬送ユニット20B>
搬送ユニット20Bについて図6を用いて更に説明する。図6は、他の実施形態に係る搬送ユニット20Bの一例を示す側面視図である。搬送ユニット20Bは、2つのベース31,32と、リンク機構(リンク71~73)と、エンドエフェクタ50と、を有する。なお、搬送ユニット20Bは、複数台設けられていてもよい。
【0059】
平面モータ10は、複数のコイル15(図3参照)が配列されている。コイル15は、電流が供給されることにより、磁場を発生する。制御部150(図5参照)は、各コイル15に通電する電流値を個別に制御可能に構成されている。
【0060】
ベース31,32は、複数の永久磁石35(図3参照)が配列されている。コイル15が生成する磁場によって、ベース31,32は、平面モータ10上で磁気浮上する。また、コイル15が生成する磁場によって、永久磁石35が引込力を受ける、または、反発力を受けることにより、ベース31,32は、平面モータ10上を移動する。
【0061】
この様な構成により、制御部150(図5参照)は、平面モータ10の各コイル15の電流値を制御することで、ベース31,32の位置、向き、浮上量を制御することができるように構成されている。
【0062】
図6に戻り、リンク71~73は、リンク機構を構成する。リンク機構は、2つのベース31,32と、エンドエフェクタ50と、を接続する。具体的には、リンク71の一端側は、水平方向の回転軸74aを有して回転自在にベース31と接続されている。リンク71の他端側は、水平方向の回転軸74cを有して回転自在にリンク73の一端側と接続されている。リンク72の一端側は、水平方向の回転軸74bを有して回転自在にベース32と接続されている。リンク72の他端側は、水平方向の回転軸74dを有して回転自在にリンク73の他端側と接続されている。
【0063】
エンドエフェクタ50は、リンク機構の先に配置されている。具体的には、リンク73と固定される。また、エンドエフェクタ50は、ウェハWを搬送する際、ウェハWを保持する。なお、リンク73は、エンドエフェクタ50の一部として構成されていてもよい。
【0064】
リンク機構は、リンク角度が連動して動くように構成されていてもよい。例えば、リンク機構は、リンク71とリンク73のなす角θ3と、リンク72とリンク73のなす角θ4とが、同角となるように連動させる角度連動機構(図示せず)を備えていてもよい。角度連動機構(図示せず)は、例えば、ギアやベルト等によって構成され、角θ3と連動して角θ4が変化する。これにより、リンク機構は、回転軸74a,74bの間隔を変化させることにより、リンク73が平行を保ったまま昇降する。即ち、図6(a)に示すように、ベース31,32の間隔を広げることでリンク73が下降し、リンク73と固定されたエンドエフェクタ50も下降する。また、図6(b)に示すように、ベース31,32の間隔を狭めることでリンク73が上昇し、リンク73と固定されたエンドエフェクタ50も上昇する。なお、図6(b)において、二点鎖線で示す。よって、図6(a)及び図6(b)に示すように、搬送ユニット20Bは、ベース31,32の間隔を制御することで、エンドエフェクタ50の高さを昇降させることができる。したがって、搬送ユニット20Bは、エンドエフェクタ50の高さを変えることができるので、搬送ユニット20B間でのウェハWの受け渡しを可能とすることができる。
【0065】
なお、角度連動機構(図示せず)は、回転軸74aにおけるリンク71の角度と回転軸74bにおけるリンク72の角度とが、同角となるように連動させる構成であってもよい。また、角度連動機構(図示せず)は、回転軸74aにおけるリンク71の角度と回転軸74cにおけるリンク71の角度とが、連動することにより、リンク73が平行を保つ構成であってもよい。また、角度連動機構(図示せず)は、回転軸74bにおけるリンク72の角度と回転軸74dにおけるリンク72の角度とが、連動することにより、リンク73が平行を保つ構成であってもよい。
【0066】
また、リンク機構は、少なくともいずれかのリンクの角度が固定されていてもよい。例えば、リンク機構は、リンク72とリンク73のなす角θ4が固定されていてもよい。これにより、図6(a)と図6(c)を対比して示すように、リンク機構は、回転軸74a,74bの間隔を変化させることにより、リンク73の傾きが変化する。即ち、図6(a)に示すように、ベース31,32の間隔を広げることでリンク73のピッチ角(仰角)が下がり、リンク73と固定されたエンドエフェクタ50のピッチ角も下がる。これにより、エンドエフェクタ50の先端に保持されるウェハWの高さを下げることができる。また、図6(c)に示すように、ベース31,32の間隔を狭めることでリンク73のピッチ角(仰角)が上がり、リンク73と固定されたエンドエフェクタ50のピッチ角も上がる。これにより、エンドエフェクタ50の先端に保持されるウェハWの高さを上げることができる。よって、図6(a)及び図6(c)に示すように、搬送ユニット20Bは、ベース31,32の間隔を制御することで、ウェハWの保持位置におけるエンドエフェクタ50の高さを昇降させることができる。したがって、搬送ユニット20Bは、ウェハWの保持位置におけるエンドエフェクタ50の高さを変えることができるので、搬送ユニット20B間でのウェハWの受け渡しを可能とすることができる。
【0067】
また、エンドエフェクタ50は、先端側(図6において右側)でウェハWを保持し、後端側(図6において左側)でリンク73に支持される片持ちの構造となっている。また、エンドエフェクタ50は、ベース31,32を真空搬送室120に設けられた平面モータ10上としつつ、処理室110やロードロック室130にアクセス可能となるように、長手に形成されている。
【0068】
このため、ウェハWの重さ及びエンドエフェクタ50の自重によって、エンドエフェクタ50が撓むおそれがある。これに対し、ベース31,32の間隔を制御することにより、エンドエフェクタ50の先端側のウェハWの保持位置を水平とすることができる。
【0069】
以上、基板処理システム100,100Bについて説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0070】
基板搬送装置125,125Bは、真空雰囲気の真空搬送室120に設けられるものとして説明したが、これに限られるものではない。大気雰囲気の搬送室において、基板搬送装置125,125Bを適用してもよい。
【0071】
また、伸縮方向に変化するリンク機構と高さ方向に変化するリンク機構を組わせてもよい。即ち、搬送ユニット20は、複数(例えば4つ)のベース31,32を備えることにより、エンドエフェクタ50の伸縮及び昇降を制御可能に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0072】
W ウェハ
100,100B 基板処理システム
110 処理室
111 載置台
120 真空搬送室
125 基板搬送装置
130 ロードロック室
150 制御部
10 平面モータ
15 コイル
20,20A,20B 搬送ユニット
31,32 ベース
35 永久磁石
41~42,44~47,71~73 リンク
50 エンドエフェクタ(基板支持部)
61,62 ストッパ(係止部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6