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特開2023-184618発光装置、及び、発光装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184618
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】発光装置、及び、発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/022 20210101AFI20231221BHJP
   H01S 5/0225 20210101ALI20231221BHJP
【FI】
H01S5/022
H01S5/0225
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186458
(22)【出願日】2023-10-31
(62)【分割の表示】P 2021099644の分割
【原出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】友成 政勝
(72)【発明者】
【氏名】細川 成史
(72)【発明者】
【氏名】川眞田 潤
(72)【発明者】
【氏名】西 健織
(57)【要約】
【課題】 接着状態の安定した発光装置を実現する。
【解決手段】 第1面と、第1面よりも上方にあり上面視で第1面を囲う第2面と、を有
する基体と、第1面に配置されている1または複数の発光素子と、基体に接合され、上面
視で一部が第1面と重なる位置に配置される光学部材と、第2面と光学部材の間に介在し
て、第2面の第1領域及び第2領域にそれぞれ設けられ、光学部材を前記基体に固定する
、第1接着剤が硬化した第1接着部と、第1領域に設けられる第1接着部を挟み、かつ、
第1接着部に接触せずに第2面上に2箇所設けられ、さらに、第2領域に設けられる第1
接着部を挟み、かつ、第1接着部に接触せずに第2面上に2箇所設けられる、第1接着剤
と異なる第2接着剤が硬化した第2接着部と、を備える発光装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面よりも上方にあり上面視で前記第1面を囲う第2面と、を有する
基体と、
前記第1面に配置されている1または複数の発光素子と、
前記基体に接合され、上面視で一部が前記第1面と重なる位置に配置される光学部材と

前記第2面と前記光学部材の間に介在して、前記第2面の第1領域及び第2領域にそれ
ぞれ設けられ、前記光学部材を前記基体に固定する、第1接着剤が硬化した第1接着部と

前記第1領域に設けられる前記第1接着部を挟み、かつ、前記第1接着部に接触せずに
前記第2面上に2箇所設けられ、さらに、前記第2領域に設けられる前記第1接着部を挟
み、かつ、前記第1接着部に接触せずに前記第2面上に2箇所設けられる、前記第1接着
剤と異なる第2接着剤が硬化した第2接着部と、
を備え、
上面視で、前記第1領域及び第2領域にそれぞれ設けられた前記第1接着部上の点を結
ぶ仮想的な第1線分は前記第1面を通り、
上面視で、前記第1領域に設けられた前記第1接着部を挟む2つの前記第2接着部上の
点を結ぶ仮想的な第2線分は前記第1面を通らず、
上面視で、前記第2領域に設けられた前記第1接着部を挟む2つの前記第2接着部上の
点を結ぶ仮想的な第3線分は前記第1面を通らず、
上面視で、前記第1領域に設けられた前記第1接着部の前記第2線分に平行な方向の幅
は、前記第1領域に設けられた前記第1接着部を挟む2つの前記第2接着部の前記第2線
分に平行な方向の幅のいずれよりも大きく、
上面視で、前記第2領域に設けられた前記第1接着部の前記第3線分に平行な方向の幅
は、前記第2領域に設けられた前記第1接着部を挟む2つの前記第2接着部の前記第3線
分に平行な方向の幅のいずれよりも大きい、発光装置。
【請求項2】
前記基体の前記第2面は、上面視で、矩形の枠状に形成され、
前記矩形の第1辺を形成する領域に前記第1領域が含まれ、前記第1辺の対辺となる第
2辺を形成する領域に第2領域が含まれる、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記矩形は、長辺及び短辺を有し、
前記第1辺及び第2辺は、前記矩形の長辺である、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
上面視で、前記第1辺の中点を通り前記第1辺に垂直な仮想線は、前記第1領域に設け
られた前記第1接着部及び前記第2領域に設けられた前記第1接着部を通過する、請求項
2または3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記1または複数の発光素子は、上面視で、前記第1辺に垂直な方向を行方向とし、前
記第1辺に平行な方向を列方向とする、3行以上かつ2列以上の行列状に配置される複数
の発光素子で構成され、
上面視で、両端の行のうちの一方の行に配置された複数の発光素子を通過する仮想的な
直線と、他方の行に配置された複数の発光素子を通過する仮想的な直線と、の間に、前記
第1接着部が設けられ、
上面視で、両端の行のうちの一方の行の隣の行に配置された複数の発光素子を通過する
仮想的な直線と、前記矩形の第3辺を通る仮想的な直線との間に、前記第1接着部を挟む
2つの前記第2接着部のうちの一方が設けられ、
上面視で、両端の行のうちの他方の行の隣の行に配置された複数の発光素子を通過する
仮想的な直線と、前記矩形の第4辺を通る仮想的な直線との間に、前記第1接着部を挟む
2つの前記第2接着部のうちの他方が設けられる、請求項2乃至4のいずれか一項に記載
の発光装置。
【請求項6】
上面視で、前記矩形の枠状に形成される前記第2面の内縁のうち、前記第3辺に係る内
縁を通り、前記第1辺に垂直な仮想線と、前記第4辺に係る内縁を通り、前記第1辺に垂
直な仮想線と、に挟まれる前記第2面の領域に、前記第1接着部及び第2接着部が設けら
れ、
前記第2面の当該領域以外の領域に、前記第1接着部及び第2接着部は設けられない、
請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記光学部材は、上面視で、外縁が八角形の形状に形成され、前記八角形のうちの一辺
が前記第1辺上に位置し、かつ、前記八角形のうちの他の一辺が前記第2辺上に位置して
おり、
前記第1辺上に位置する前記八角形のうちの一辺の両端に、前記第1領域に設けられる
前記第1接着部を挟む2つの第2接着部が設けられ、
前記第2辺上に位置する前記八角形のうちの一辺の両端に、前記第2領域に設けられる
前記第1接着部を挟む2つの第2接着部が設けられる、請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1接着剤は、紫外線硬化樹脂接着剤であり、
前記第2接着剤は、熱硬化樹脂接着剤である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の
発光装置。
【請求項9】
前記基体は、
前記第1面を有する基部と、
前記基部に接続し前記第1面を囲う側部と、
前記第2面を有し前記側部に接続する蓋部と、
を備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記蓋部は、
金属を主材料とし、前記側部に接合する枠部材と、
前記枠部材に接合する透光性部材と、
を備える、請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
第1面と、前記第1面よりも上方にあり上面視で前記第1面を囲う第2面と、を有する
基体の前記第1面に1または複数の発光素子を配置する工程と、
前記第2面上の第1領域及び第2領域にそれぞれ第1接着剤を設け、前記第1領域に設
けられる前記第1接着剤と接触せず、かつ、前記第1領域に設けられる前記第1接着剤を
挟むように少なくとも2箇所に前記第1接着剤と異なる第2接着剤を設け、前記第2領域
に設けられる前記第1接着剤と接触せず、かつ、前記第2領域に設けられる前記第1接着
剤を挟むように少なくとも2箇所に前記第2接着剤を設ける工程と、
光学部材を前記第1接着剤及び第2接着剤に接触させた状態で前記第1接着剤を硬化さ
せて、前記第1接着剤が硬化した第1接着部を形成する工程と、
前記第1接着部が形成された状態で、前記第2接着剤を硬化させて、前記第2接着剤が
硬化した第2接着部を形成する工程と、
を有し、
前記第1接着部及び第2接着部が、
上面視で、前記第1領域及び第2領域にそれぞれ設けられた前記第1接着部上の点を結
ぶ仮想的な第1線分が前記第1面を通り、
上面視で、前記第1領域に設けられた前記第1接着部を挟む2つの前記第2接着部上の
点を結ぶ仮想的な第2線分が前記第1面を通らず、
上面視で、前記第2領域に設けられた前記第1接着部を挟む2つの前記第2接着部上の
点を結ぶ仮想的な第3線分が前記第1面を通らず、
上面視で、前記第1領域に設けられた前記第1接着部の前記第2線分に平行な方向の幅
が、前記第1領域に設けられた前記第1接着部を挟む2つの前記第2接着部の前記第2線
分に平行な方向の幅のいずれよりも大きく、
上面視で、前記第2領域に設けられた前記第1接着部の前記第3線分に平行な方向の幅
が、前記第2領域に設けられた前記第1接着部を挟む2つの前記第2接着部の前記第3線
分に平行な方向の幅のいずれよりも大きいこと、
を満たす、発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、及び、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光素子を気密封止された空間に配する基体と、光学部材と、を位置
調整した上で、紫外線硬化樹脂の接着剤により接合することが開示されている。特許文献
1によれば、位置調整をして固定できるため、精度良く実装することができる。
【0003】
また、半導体レーザ素子などの発光素子を有する発光装置は、プロジェクタや車のヘッ
ドライトなど、種々の製品に組み込まれて使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-201684
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接着状態の安定した発光装置を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に開示される発光装置は、第1面と、前記第1面よりも上方にあり上面視で前
記第1面を囲う第2面と、を有する基体と、前記第1面に配置されている1または複数の
発光素子と、前記基体に接合され、上面視で一部が前記第1面と重なる位置に配置される
光学部材と、前記第2面と前記光学部材の間に介在して、前記第2面の第1領域及び第2
領域にそれぞれ設けられ、前記光学部材を前記基体に固定する、第1接着剤が硬化した第
1接着部と、前記第1領域に設けられる前記第1接着部を挟み、かつ、前記第1接着部に
接触せずに前記第2面上に2箇所設けられ、さらに、前記第2領域に設けられる前記第1
接着部を挟み、かつ、前記第1接着部に接触せずに前記第2面上に2箇所設けられる、前
記第1接着剤と異なる第2接着剤が硬化した第2接着部と、を備え、上面視で、前記第1
領域及び第2領域にそれぞれ設けられた前記第1接着部上の点を結ぶ仮想的な第1線分は
前記第1面を通り、上面視で、前記第1領域に設けられた前記第1接着部を挟む2つの前
記第2接着部上の点を結ぶ仮想的な第2線分は前記第1面を通らず、上面視で、前記第2
領域に設けられた前記第1接着部を挟む2つの前記第2接着部上の点を結ぶ仮想的な第3
線分は前記第1面を通らず、上面視で、前記第1領域に設けられた前記第1接着部の前記
第2線分に平行な方向の幅は、前記第1領域に設けられた前記第1接着部を挟む2つの前
記第2接着部の前記第2線分に平行な方向の幅のいずれよりも大きく、上面視で、前記第
2領域に設けられた前記第1接着部の前記第3線分に平行な方向の幅は、前記第2領域に
設けられた前記第1接着部を挟む2つの前記第2接着部の前記第3線分に平行な方向の幅
のいずれよりも大きい。
【0007】
実施形態に開示される製造方法は、第1面と、前記第1面よりも上方にあり上面視で前
記第1面を囲う第2面と、を有する基体の前記第1面に1または複数の発光素子を配置す
る工程と、前記第2面上の第1領域及び第2領域にそれぞれ第1接着剤を設け、前記第1
領域に設けられる前記第1接着剤と接触せず、かつ、前記第1領域に設けられる前記第1
接着剤を挟むように少なくとも2箇所に前記第1接着剤と異なる第2接着剤を設け、前記
第2領域に設けられる前記第1接着剤と接触せず、かつ、前記第2領域に設けられる前記
第1接着剤を挟むように少なくとも2箇所に前記第2接着剤を設ける工程と、光学部材を
前記第1接着剤及び第2接着剤に接触させた状態で前記第1接着剤を硬化させて、前記第
1接着剤が硬化した第1接着部を形成する工程と、前記第1接着部が形成された状態で、
前記第2接着剤を硬化させて、前記第2接着剤が硬化した第2接着部を形成する工程と、
を有する。この製造方法により製造される発光装置は、前記第1接着部及び第2接着部が
、上面視で、前記第1領域及び第2領域にそれぞれ設けられた前記第1接着部上の点を結
ぶ仮想的な第1線分が前記第1面を通り、上面視で、前記第1領域に設けられた前記第1
接着部を挟む2つの前記第2接着部上の点を結ぶ仮想的な第2線分が前記第1面を通らず
、上面視で、前記第2領域に設けられた前記第1接着部を挟む2つの前記第2接着部上の
点を結ぶ仮想的な第3線分が前記第1面を通らず、上面視で、前記第1領域に設けられた
前記第1接着部の前記第2線分に平行な方向の幅が、前記第1領域に設けられた前記第1
接着部を挟む2つの前記第2接着部の前記第2線分に平行な方向の幅のいずれよりも大き
く、上面視で、前記第2領域に設けられた前記第1接着部の前記第3線分に平行な方向の
幅が、前記第2領域に設けられた前記第1接着部を挟む2つの前記第2接着部の前記第3
線分に平行な方向の幅のいずれよりも大きいこと、を満たす。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接着状態の安定した発光装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る発光装置の斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る発光装置の上面図である。
図3図3は、図2のIII-III線における発光装置の断面図である。
図4図4は、図2のIV-IV線における発光装置の断面図である。
図5A図5Aは、実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式図である。
図5B図5Bは、実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための別の模式図である。
図5C図5Cは、実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための別の模式図である。
図5D図5Dは、実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための別の模式図である。
図6図6は、接着剤の光に対する耐性を測定した実験結果を示すグラフである。
図7図7は、接着剤の光に対する耐性の測定結果を示すグラフである。
図8図8は、接着剤の光に対する耐性の測定結果を示すグラフである。
図9図9は、接着剤の光に対する耐性の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形や四角形などの多角形に関しては、多
角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と
呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同
様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施
された形状は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される“多角形”の解釈に含まれるも
のとする。
【0011】
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様
である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺におい
て、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、“辺”の解釈には加工された部分も含
まれる。なお、部分的な加工のない“多角形”や“辺”を、加工された形状と区別する場
合は“厳密な”を付して、例えば、“厳密な四角形”などと記載するものとする。
【0012】
また、本明細書または特許請求の範囲において、上下、左右、表裏、前後、手前と奥な
どの記載は、相対的な位置、向き、方向などの関係を述べるに過ぎず、使用時における関
係と一致していなくてもよい。
【0013】
また、図面においてX方向、Y方向、及び、Z方向などの方向を、矢印を用いて示すこ
とがある。この矢印の方向は、同じ実施形態に係る複数の図面間で整合が取られている。
【0014】
また、本明細書において、例えば構成要素などを説明するときに「部材」や「部」と記
載することがある。「部材」は、物理的に単体で扱う対象を指すものとする。物理的に単
体で扱う対象とは、製造の工程で一つの部品として扱われる対象ということもできる。一
方で、「部」は、物理的に単体で扱われなくてもよい対象を指すものとする。例えば、1
つの部材の一部を部分的に捉えるときに「部」が用いられる。
【0015】
なお、上述の「部材」と「部」の書き分けは、均等論の解釈において権利範囲を意識的
に限定するという意思を示すものではない。つまり、特許請求の範囲において「部材」と
記載された構成要素があったとしても、そのことのみを以って、この構成要素を物理的に
単体で扱うことが本発明の適用に必要不可欠であると出願人が認識しているわけではない
【0016】
また、本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素が複数あり、それぞれを
区別して表現する場合に、その構成要素の頭に“第1”、“第2”と付記して区別するこ
とがある。また、本明細書と特許請求の範囲とで区別する対象が異なる場合があり得る。
そのため、特許請求の範囲において本明細書と同一の付記がされた構成要素が記載されて
いても、この構成要素によって特定される対象が、本明細書と特許請求の範囲との間で一
致しないことがあり得る。
【0017】
例えば、本明細書において“第1”、“第2”、“第3”と付記されて区別される構成
要素があり、本明細書において“第1”及び“第3”が付記された構成要素を特許請求の
範囲に記載する場合に、見易さの観点から特許請求の範囲においては“第1”、“第2”
と付記して構成要素を区別することがある。この場合、特許請求の範囲において“第1”
、“第2”と付記された構成要素はそれぞれ、本明細書において“第1”“第3”と付記
された構成要素を指すことになる。なお、このルールの適用対象は構成要素に限らず、そ
の他の対象に対しても、合理的かつ柔軟に適用される。
【0018】
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。またさらに、図面を参照しながら、
本発明を実施するための具体的な形態を説明する。なお、本発明を実施するための形態は
、この具体的な形態に限定されない。つまり、図示される実施形態は、本発明が実現され
る唯一の形態ではない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、理解の便宜を
図るために誇張していることがある。
【0019】
<実施形態>
実施形態に係る発光装置1を説明する。図1乃至図9は、発光装置1の例示的な一形態
を説明するための図面である。図1は、発光装置1の斜視図である。図2は、発光装置1
の上面図である。なお、基体10の第2上面10Bの内縁のうち光学部材70と重なる部
分を点線で記している。図3は、図2のIII-III線における断面図である。図4は、図2
のIV-IV線における断面図である。図5Aから図5Dまでは、発光装置1の製造方法を説
明するための製造過程における模式図である。図6から図9までは、接着剤の光に対する
耐性を測定した実験結果に関するグラフである。
【0020】
発光装置1は、複数の構成要素を備えている。発光装置1の複数の構成要素には、基体
10、1または複数の発光素子20、1または複数のサブマウント30、1または複数の
反射部材40、複数の配線60、光学部材70、第1接着部80A、及び、第2接着部8
0B、が含まれる。
【0021】
なお、発光装置1は、この他にも構成要素を備えていてよい。例えば、発光装置1は、
発光素子20とは別の発光素子を備えていてもよい。また、発光装置1は、ここで挙げた
構成要素の一部を備えていなくてもよい。
【0022】
以下では、まず、発光装置1の各構成要素について説明し、それから発光装置1につい
て説明する。
【0023】
(基体10)
基体10は、第1上面10Aと、第1上面10Aよりも上方に位置する第2上面10B
と、を有する。第2上面10Bは、上面視で、第1上面10Aを囲う。基体10は、第1
上面10Aと第2上面10Bの間に位置する第3上面10Cを有して形成され得る。第2
上面10Bは、上面視で、第3上面10Cを囲う。基体10は、第1上面10Aよりも下
方に位置する第4上面10Dを有して形成され得る。基体10は、下面、複数の外側面、
及び、複数の内側面を有する。
【0024】
基体10は、凹形を形成する面形状を有して形成される。第1上面10Aは、凹形の窪
みを画定する複数の面のうちの一面である。上面視で、画定される窪みの外縁は、矩形で
ある。上面視で、第2上面10Bは、窪みの外縁の外側に位置する。窪みの外側にある上
面によって、上面視で第1上面10Aを囲う枠状の領域(以下、枠状領域と呼ぶ。)が形
成される。第2上面10Bは、枠状領域となり得る。
【0025】
上面視で、第2上面10Bの外縁形状は矩形である。上面視で、第2上面10Bは、矩
形の枠状に形成される。互いに対辺となる第1辺及び第2辺と、互いに対辺となる第3辺
及び第4辺と、から第2上面10Bの矩形が構成される。第2上面10Bの矩形は、長辺
と短辺を有し得る。この場合、第1辺及び第2辺が長辺、第3辺及び第4辺が短辺となる
。枠状領域は、第1辺から第4辺を含む領域となり得る。
【0026】
なお、第2上面10Bは面積を有するため、矩形の枠状も、線状ではなく帯状(幅を有
した形状)といえる。そのため、上述の第1辺から第4辺も、線ではなく面積を有して特
定することができる。各辺は実質的に特定されればよい。
【0027】
一例として、枠状の第2上面10Bの内縁の角と、この角に最も近い外縁の角を結ぶ直
線を、全ての角について求め、これらの直線によって各辺の境界を特定することができる
。またあるいは、第2上面10Bの外縁から所定の幅までを枠状領域とし、各辺に係る外
縁から所定の幅までの領域によってその辺を特定することもできる。この場合、同じ角を
共有する辺と辺の間で、角部分の領域が一部共有される。所定の幅は、上面視で、辺に係
る外縁に垂直な方向の第2上面10Bの外形の長さの15分の1以上5分の1以下の長さ
とすることができる。枠状領域の枠の幅を、辺に係る外縁に垂直な方向の枠状領域の外形
の長さの15分の1以上5分の1以下の長さとすることができる。
【0028】
基体10は、基部11と、側部12と、を含んで構成することができる。基体10はさ
らに、蓋部13を含んで構成することができる。基部11は、第1上面10Aを有する。
側部12は、基部11に接続し、かつ、上面視で第1上面10Aを囲う。側部12は、基
部11から上方に延びる側壁を形成する。蓋部13は、側部12に接続する。
【0029】
基部11、側部12、及び、蓋部13は、それぞれ異なる部材で構成され、これらを接
合して基体10を形成することができる。なお、例えば、基部11と側部12を同じ材料
で一体的に形成してもよい。また例えば、側部12と蓋部13を同じ材料で一体的に形成
してもよい。
【0030】
基部11は、凸形状を有する。突出している部分の上面を第1上面10Aとし、突出し
ていない部分の上面を第4上面10Dとすることができる。上面視で、第4上面10Dは
第1上面10Aを囲う。基部11は、銅などの金属を主材料に用いて形成することができ
る。
【0031】
ここで、主材料とは、対象となる形成物において、質量または体積が最も多くの割合を
占める材料をいうものとする。なお、対象となる形成物が1つの材料から形成される場合
には、その材料が主材料である。つまり、ある材料が主材料であるとは、その材料の占め
る割合が100%となり得ることを含む。
【0032】
側部12は、第4上面10Dに接続するように設けることができる。側部12は、上面
視で矩形の枠状に形成される。矩形の対辺となる2辺に対応する側壁部分において、複数
のリードピンが設けられる。複数のリードピンは、側壁を貫通するように設けられる。各
リードピンは、配線として利用することができる。側部12は、鉄を含む合金を用いて形
成することができる。各リードピンと側部12との間には絶縁材料が設けられ、側部12
とリードピンとは電気的に接続していない。
【0033】
蓋部13は、枠部材13Aと、透光性部材13Bと、を含んで構成することができる。
蓋部13は、第2上面10Bを有して形成することができる。蓋部13は、枠状領域を有
し得る。
【0034】
枠部材13Aは第2上面10Bを有し得る。枠部材13Aは、枠状領域を形成し得る。
枠部材13Aが側部12に接合され、透光性部材13Bが枠部材13Aに接合される。枠
部材13Aは、鉄とニッケルの合金などの金属を主材料に用いて形成することができる。
なお、枠部材13Aは、複数の部品から構成することもできる。透光性部材13Bは、ガ
ラスなどを主材料に用いて形成することができる。
【0035】
上記に限らず、例えば、基部11と側部12は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化
アルミニウム、炭化ケイ素などを主材料に用いたセラミックで形成されてもよい。また例
えば、蓋部13は、サファイアなどを主材料に用いて形成されてもよい。
【0036】
基体10は、基部11、側部12、及び、蓋部13によって、基体10の内部に閉空間
を形成することができる。この閉空間は、実質的な基体の出入りが制限された密閉空間と
することができる。密閉空間内は、特定の雰囲気下で気密された状態となり得る。あるい
は、密閉空間内は、実質的な真空状態であってもよい。
【0037】
(発光素子20)
発光素子20は、光を出射する。発光素子20は、上面、下面、及び、1または複数の
側面を有し、このうちの1または複数の面が、光が出射される光出射面となる。発光素子
20は、光出射面の1または複数の出射点から光を出射する。この点を、光出射点と呼ぶ
ものとする。発光素子20の具体的な一例として、半導体レーザ素子が挙げられる。
【0038】
発光素子20には、例えば、青色の光を出射する発光素子、緑色の光を出射する発光素
子、または、赤色の光を出射する発光素子を採用することができる。なお、発光素子20
に、その他の色の光を出射する発光素子を採用してもよい。
【0039】
ここで、青色の光は、その発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光
をいうものとする。緑色の光は、その発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内
にある光をいうものとする。赤色の光は、その発光ピーク波長が605nm~750nm
の範囲内にある光をいうものとする。
【0040】
ここで、半導体レーザ素子について説明する。半導体レーザ素子は、上面視で、一方の
対辺を長辺、他方の対辺を短辺とする長方形の外形を有する。半導体レーザ素子は、下面
から上面方向に活性層を含む複数の半導体層が積層されて形成される。長方形の2つの短
辺のうちの一辺を含む側面が、光が出射される出射端面となる。なお、半導体レーザ素子
の出射端面は、発光素子20の光出射面といえる。半導体レーザ素子の上面及び下面は、
出射端面よりも面積が大きい。
【0041】
半導体レーザ素子から出射される光(レーザ光)は拡がりを有する。半導体レーザ素子
の出射端面からは発散光が出射される。半導体レーザ素子から出射される光は、半導体レ
ーザ素子の出射端面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「F
FP」という。)を形成する。FFPとは、出射端面から離れた位置における出射光の形
状や光強度分布である。
【0042】
ここで、FFPの楕円形状の中心を通る光、言い換えると、FFPの光強度分布におい
てピーク強度の光を、光軸を進む光、あるいは、光軸を通る光と呼ぶものとする。また、
FFPの光強度分布において、ピーク強度値に対して1/e以上の強度を有する光を、
主要部分の光と呼ぶものとする。
【0043】
半導体レーザ素子から出射される光のFFPの形状は、積層方向の方が、積層方向に垂
直な方向よりも長い楕円形状である。積層方向とは、半導体レーザ素子において活性層を
含む複数の半導体層が積層されていく方向のことである。積層方向に垂直な方向は、半導
体層の面方向ということもできる。また、FFPの楕円形状の長径方向を半導体レーザ素
子の速軸方向、短径方向を半導体レーザ素子の遅軸方向ということもできる。
【0044】
半導体レーザ素子から出射される光は、発散光である。ここで、FFPの光強度分布に
基づきピーク光強度の1/eの光強度の光が拡がる角度を、半導体レーザ素子の光の拡
がり角とする。光の拡がり角は、ピーク光強度の1/eの光強度の他に、例えば、ピー
ク光強度の半値の光強度から求められることもある。本明細書の説明において、単に「光
の拡がり角」というときは、ピーク光強度の1/eの光強度における光の拡がり角を指
すものとする。なお、速軸方向の拡がり角の方が、遅軸方向の拡がり角よりも大きいとい
える。
【0045】
青色の光を発する半導体レーザ素子、または、緑色の光を発する半導体レーザ素子とし
て、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば
、GaN、InGaN、及びAlGaNを用いることができる。赤色の光を発する半導体
レーザ素子として、InAlGaP系やGaInP系、GaAs系やAlGaAs系の半
導体を含むものが挙げられる。
【0046】
(サブマウント30)
サブマウント30は、下面、上面、及び、1または複数の側面を有する。サブマウント
30は上下方向の幅が最も小さい。サブマウント30は、直方体の形状で構成される。な
お、形状は直方体に限らなくてよい。サブマウント30は、例えば、窒化アルミニウム、
窒化ケイ素、又は炭化ケイ素を主材料に用いて形成することができる。
【0047】
(反射部材40)
反射部材40は、光を反射する光反射面を有する。反射部材40は下面と上面を有し、
光反射面は、反射部材40の下面に対して傾斜している。つまり、光反射面は、反射部材
40の下面に対して垂直でも平行でもない。光反射面は、平面であり、かつ、反射部材4
0の下面に対して45度の傾斜角を成す。なお、光反射面は平面でなくてもよく、また、
その傾斜角が45度でなくてもよい。
【0048】
反射部材40は、ガラスや金属などを主材料に用いて形成することができる。主材料は
熱に強い材料がよく、例えば、石英若しくはBK7(硼珪酸ガラス)等のガラス、アルミ
ニウム等の金属を用いることができる。また、反射部材40は、Siを主材料に用いて形
成することもできる。主材料が反射性材料であれば、主材料から光反射面を形成すること
ができる。主材料とは別に光反射面を形成する場合、例えば、Ag、Al等の金属膜やT
/SiO、TiO/SiO、Nb/SiO等の誘電体多層膜を成
膜することで光反射面を形成することができる。
【0049】
光反射面は、光反射面に照射される光のピーク波長に対する反射率が90%以上である
。また、この反射率は95%以上であってもよい。なお、ここでの反射率は100%以下
あるいは100%未満である。
【0050】
(配線60)
配線60は、両端を接合部とする線状の形状を有する導電体から構成される。言い換え
ると、配線60は、線状部分の両端に、他の構成要素と接合する接合部を有する。配線6
0は、2つの構成要素間の電気的な接続に用いられる。配線60としては、例えば、金属
が主材料のワイヤを用いることができる。金属の例は、金、アルミニウム、銀、銅などを
含む。
【0051】
(光学部材70)
光学部材70は、上面、下面、及び、側面を有する。光学部材70は、1または複数の
レンズ面を有する。光学部材70は、光学特性領域を有する。光学特性領域とは、この領
域に入射する光の入射角や入射位置がずれることによって光学特性が変化する領域である
。例えば、レンズ面は、レンズの光軸や焦点からのずれによって光学特性が変化するため
、光学特性領域といえる。また例えば、サファイアのA面を光の入射面とすると、入射す
る光の偏光方向が回転することで偏光特性が変化するため、光学特性領域といえる。
【0052】
光学部材70の上面は平面であり、1または複数のレンズ面は、上面側に設けられる。
1または複数のレンズ面は、平面である上面とは異なる曲面の上面ということもできるが
、ここでは光学部材70の「上面」というときは、レンズ面を指さないものとして実施形
態を説明する。光学部材70は、N行M列(Nは1以上、Mは2以上の自然数)に配置さ
れた複数のレンズ面を有して構成され得る。なお、レンズ面は下面側に設けられてもよい
。上面及び下面は平面である。複数のレンズ面は、上面と交わる。複数のレンズ面は、上
面視で上面に囲まれる。上面視で、光学部材70は、矩形の外形を有している。光学部材
70の下面は矩形である。
【0053】
ここで、光学部材70において、上面視で複数のレンズ面と重なる部分をレンズ部とす
る。光学部材70において、上面視で上面と重なる部分を非レンズ部とする。レンズ部を
、上面を含む仮想的な平面で二分したときのレンズ面側をレンズ形状部、下面側を平板形
状部とする。レンズ部の下面は、光学部材70の下面の一部分である。
【0054】
光学部材70は、上面視で、外縁が八角形の形状に形成される。なお、例えば四角形な
ど、外縁の形状は八角形でなくてもよい。光学部材70は、ガラスや合成石英などの透光
性材料を主材料に用いて形成することができる。
【0055】
(接着部80)
接着部80は、接着剤を硬化させることで形成される。つまり、接着剤が硬化した状態
を接着部80という。異なる接着剤により形成された接着部80は、第1接着部80A、
第2接着部80Bといったように「第1」「第2」と付記することで、接着剤の種類ごと
に区別して呼ぶものとする。同様に、異なる種類の接着剤についても、第1接着剤81、
第2接着剤82といったように区別して呼ぶものとする。
【0056】
第2接着剤82には、第1接着剤81よりも、光に対する耐性に優れている接着剤が採
用される。ここでの「光に対する耐性に優れている」とは、接着剤を用いて発光装置1を
製造した後において耐性が優れていることを意味する。つまり、ここでの耐性は、接着部
80となった状態における耐性である。例えば、第2接着剤82には、可視光(400n
m以上760nm以下の波長範囲)に対する耐性が第1接着剤81よりも優れている接着
剤が採用される。また例えば、第2接着剤82には、青色の光に対する耐性が第1接着剤
81よりも優れている接着剤が採用される。
【0057】
例えば、接着部80に所定の値のエネルギー密度[W/mm]の光が照射され続ける
ことで接着力が損なわれることがある。同じエネルギー密度の光を照射した場合に、第1
接着部80Aの方が第2接着部80Bよりも短時間で接着力を失うようであれば、第2接
着剤82の方が第1接着剤81よりも光に対する耐性に優れているといえる。
【0058】
例えば、第1接着剤81として紫外線硬化樹脂接着剤を用い、第2接着剤82として熱
硬化樹脂接着剤を用いることができる。なお、用いる接着剤はこれに限らず、第1接着剤
81と第2接着剤82の組み合わせもこれに限らない。紫外線硬化樹脂としては、エポキ
シ系樹脂やアクリレート系樹脂の接着剤を用いることができる。熱硬化樹脂としては、エ
ポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂の接着剤を用いることができる。
【0059】
次に、製造方法を説明しながら、発光装置1について説明する。
【0060】
(発光装置1)
発光装置1は、基体10に発光素子20を配置する工程と、基体10に接着剤を設ける
工程と、接着剤により光学部材70を基体10に固定する工程と、を含む複数の工程を経
て製造することができる。
【0061】
発光装置1の製造方法は、基体10を用意する工程を含み得る(図5A参照)。基体1
0が蓋部13を有する場合、少なくとも蓋部13が、側部12を介して基部11に接続さ
れていない状態で、基体10を用意する。基体10は、基部11、側部12、及び、蓋部
13が独立の部材の状態で用意されてもよく、2つの部材が接続された状態で用意されて
もよい。
【0062】
発光装置1の製造方法は、基体10に発光素子20を配置する工程を含む(図5B参照
)。1または複数の発光素子20を基体10の第1上面10Aに配置する。本工程におい
て、複数の発光素子20を、N行M列(Nは1以上、Mは2以上の自然数)に配置するこ
とができる。図示される発光装置1では、行方向とX方向が平行であり、列方向とY方向
が平行である。
【0063】
1または複数の発光素子20から、Y方向と平行な方向に進む光が出射される。なお、
発光素子20から出射される光には、Y方向と平行でない方向に進む光が含まれていても
よい。発光素子20からの光がレーザ光である場合、レーザ光の光軸がY方向と平行にな
り、レーザ光の遅軸方向がX方向と平行になるように、発光素子20を配置することがで
きる。なお、発光素子20からZ方向と平行な方向に進む光が出射されるように、発光素
子20を配置してもよい。
【0064】
発光素子20を配置する工程では、発光素子20だけでなく他の構成要素を配置しても
よい。他の構成要素として、サブマウント30、反射部材40、及び、配線60を挙げる
ことができる。発光素子20を配置する前に、あるいは、配置した後に、これらの1また
は複数の構成要素を配置する。発光素子20が配置される前に配置する構成要素と、発光
素子20を配置した後に配置する構成要素とを含む、複数の構成要素が配置されてもよい
【0065】
サブマウント30は、発光素子20と1対1に設けることができる。1つのサブマウン
ト30に1つの発光素子20が接合され、サブマウント30が基体10に直接接合される
。なお、1つのサブマウント30に複数の発光素子20を接合させてもよい。
【0066】
反射部材40は、発光素子20と1対1に設けることができる。1つの反射部材40に
よって1つの発光素子20から出射された光が反射される。反射部材40は、発光素子2
0から出射された光を反射する。反射部材40の光反射面は、少なくとも主要部分の光を
反射する。反射部材40によって反射された光には、Z方向と平行な方向に進む光が含ま
れる。なお、1つの反射部材40によって複数の発光素子20から出射された光を反射さ
せてもよい。
【0067】
発光素子20を電気的に接続するために、複数の配線60が配する。複数の配線60に
よって、1または複数の発光素子20は基体10に電気的に接続される。配線60は、基
体10のリードピンを通って発光素子20に電流が流れる電流経路を形成する。同じ行に
配置される複数の発光素子20を配線60によって電気的に直列接続させてもよい。なお
、電気的な接続の形態は、このような直列接続に限らなくてもよい。
【0068】
基体10が蓋部13を有する場合、発光素子20を第1上面10Aに配置した後に、蓋
部13によって、発光素子20が配される空間を閉空間にする(図5C参照)。蓋部13
を、基体10の側部12に接続させて接合する。基体10の枠部材13Aを側部12に接
続させて接合することができる。基体10が蓋部13を有する場合は、このように蓋部1
3を実装する作業も、基体10に発光素子20を配置する工程に含まれる。なお、他の構
成要素を閉空間に配置する場合は、閉空間が形成される予定の空間内に発光素子20及び
他の構成要素を配置した後に、蓋部13によって蓋がされる。
【0069】
発光素子20が基体に配置された状態で、基体10は、第2上面10Bの第1辺及び第
2辺がY方向に、第3辺及び第4辺がX方向に平行に配置される。1または複数の発光素
子20はいずれも、上面視で、第3辺に向かう方向に光を出射する。
【0070】
発光装置1は、複数の発光素子20をN行M列に配置する場合に、行または列の最大数
を4以上とすることができる。4以上の発光素子20を並んで配置するために、第1上面
10Aは4以上の発光素子20が並ぶ方向に8.0mm以上の幅を有するとよい。例えば
、この幅を8.0mm以上19.0mm以下に確保して、第1上面10Aに4以上10以
下の発光素子20を並べて配置することができる。4以上の発光素子20が並ぶ方向に、
発光素子20と反射部材40が並んで配される場合、第1上面10Aは4以上の発光素子
20が並ぶ方向に12.0mm以上の幅を有するとよい。4以上の発光素子20が並ぶ方
向における第1上面10Aの幅は、8.0mm以上20.0mm以下となり得る。
【0071】
発光装置1の製造方法は、基体10に接着剤を設ける工程を含む。なお、接着剤を基体
10に設ける代わりに、光学部材70に設けてもよい。発光装置1は、光学部材70と基
体10とが接着剤により接合される。接着剤と接する基体10の接合面の外縁の方が、光
学部材70の外縁よりも大きい。基体10に接着剤を設ける方が、接着剤をより外側に配
しやすい。
【0072】
基体10の第2上面10Bに、第1接着剤81及び第2接着剤82が設けられる。第1
接着剤81は、第2上面10Bの複数の箇所に設けられる。第1接着剤81は、少なくと
も、枠状領域の第1領域と第2領域に、一箇所ずつ設けられる。第1領域と第2領域は、
互いに離隔した領域である。なお、この状態は、第1接着剤81が硬化して第1接着部8
0Aになっても維持される。つまり、第1接着部80Aは、枠状領域の複数の箇所に設け
られ、少なくとも、枠状領域の第1領域と第2領域に、一箇所ずつ設けられる。
【0073】
このように、状態が維持されれば、「第1接着剤81」を「第1接着部80A」に代え
ても同様のことがいえる。以降、「接着剤」を「接着部80」に、「第1接着剤81」を
「第1接着部80A」に、「第2接着剤82」を「第2接着部80B」に代えても同様の
ことがいえる場合に、「状態が維持される」と表記するものとする。
【0074】
第2接着剤82は、第1領域に設けられる第1接着剤81と接触せず、かつ、第1領域
に設けられる第1接着剤81を挟むように少なくとも2箇所に設けられる。第1領域は、
この2箇所に設けられた第2接着剤82に挟まれる。言い換えれば、上面視で、第1領域
の外側に、第2接着剤82が設けられる。なお、この状態は、接着剤が硬化して接着部8
0になっても維持される。
【0075】
第2接着剤82は、第2領域に設けられる第1接着剤81と接触せず、かつ、第2領域
に設けられる第1接着剤81を挟むように少なくとも2箇所に設けられる。第2領域は、
この2箇所に設けられた第2接着剤82に挟まれる。言い換えれば、上面視で、第2領域
の外側に、第2接着剤82が設けられる。なお、この状態は、接着剤が硬化して接着部8
0になっても維持される。
【0076】
上面視で、第1領域及び第2領域にそれぞれ設けられた第1接着剤81上の点を結ぶ仮
想的な線分(第1線分L1)は、第1上面10Aを通る。上面視で、第1領域に設けられ
た第1接着剤81を挟む2つの第2接着剤82上の点を結ぶ仮想的な線分(第2線分L2
)は第1面を通らない。上面視で、第2領域に設けられた第1接着剤81を挟む2つの第
2接着剤82上の点を結ぶ仮想的な線分(第3線分L3)は第1面を通らない。第1接着
剤81及び第2接着剤82は、このような配置関係を満たすように設けられる。なお、こ
の状態は、接着剤が硬化して接着部80になっても維持される。
【0077】
上面視で、第1領域に設けられた第1接着剤81の第2線分に平行な方向の幅は、第1
領域に設けられた第1接着剤81を挟む2つの第2接着剤82の前記第2線分に平行な方
向の幅のいずれよりも大きい。上面視で、第2領域に設けられた第1接着剤81の第3線
分に平行な方向の幅は、第2領域に設けられた第1接着剤81を挟む2つの第2接着剤8
2の第3線分に平行な方向の幅のいずれよりも大きい。これにより、1箇所に設ける第1
接着剤81と、これを挟んで2箇所に設ける第2接着剤82のそれぞれにおいて、安定し
た接着力を得ることができる。なお、この状態は、接着剤が硬化して接着部80になって
も維持される。
【0078】
第1領域に設けられた第1接着剤81の第2線分に平行な方向の幅は、第2領域に設け
られた第1接着剤81の第3線分に平行な方向の幅の、0.9倍から1.1倍までの範囲
内に収まることが好ましい。これにより、第1領域に設けられた第1接着剤81による接
着力と第2領域に設けられた第1接着剤81による接着力の差を小さくでき、接着力のバ
ランスが良くなる。なお、この状態は、接着剤が硬化して接着部80になっても維持され
ることが好ましい。
【0079】
2つの第2接着剤82であって、上面視で、この2つの第2接着剤82を結ぶ線分が、
第1上面10A上で第1線分と交わる2つの第2接着剤82が第2上面10B上に塗布さ
れる面積は、一方に対して他方が0.9倍から1.1倍までの範囲内に収まることが好ま
しい。これにより、バランス良く接着することができる。
【0080】
第1接着剤81は、第1辺と第2辺にそれぞれ一箇所ずつ設けられる。なお、第1接着
剤81を、第1辺または第2辺の複数の箇所に設けてもよく、第3辺または第4辺に設け
ることもできる。枠状領域の第1辺を形成する領域に第1領域が含まれる。枠状領域の第
2辺を形成する領域に第2領域が含まれる。
【0081】
上面視で、第1辺の中点を通り第1辺に垂直な仮想線は、第1領域に設けられた第1接
着剤81及び第2領域に設けられた第1接着剤81を通過する。なお、この状態は、接着
剤が硬化して接着部80になっても維持される。
【0082】
上面視で、第1辺に垂直な方向を行方向とし、第1辺に平行な方向を列方向とする、3
行以上かつ2列以上の行列状に複数の発光素子20は配置され得る。このような、3行以
上かつ2列以上の行列状の配置を、第1行列配置と呼ぶものとする。
【0083】
第1行列配置において、上面視で、両端の行のうちの一方の行に配置された複数の発光
素子20を通過する仮想的な直線(以下、第1仮想線と呼ぶ。)と、他方の行に配置され
た複数の発光素子20を通過する仮想的な直線(以下、第2仮想線と呼ぶ。)と、の間に
、第1接着剤81が設けられる。なお、この状態は、接着剤が硬化して接着部80になっ
ても維持される。
【0084】
第1行列配置において、上面視で、両端の行のうちの一方の行の隣の行に配置された複
数の発光素子を通過する仮想的な直線(以下、第3仮想線と呼ぶ。)と、第3辺を通る仮
想的な直線との間に、第1接着剤81を挟む2つの第2接着剤82のうちの一方が設けら
れる。第3仮想線と、第3辺に係る内縁を通る仮想的な直線との間に、第1接着剤81を
挟む2つの第2接着剤82のうちの一方が設けられる。なお、この状態は、接着剤が硬化
して接着部80になっても維持される。
【0085】
第1行列配置において、上面視で、両端の行のうちの他方の行の隣の行に配置された複
数の発光素子を通過する仮想的な直線(以下、第4仮想線と呼ぶ。)と、第4辺を通る仮
想的な直線との間に、第1接着剤81を挟む2つの第2接着剤82のうちの他方が設けら
れる。第4仮想線と、第4辺に係る内縁を通る仮想的な直線との間に、第1接着剤81を
挟む2つの第2接着剤82のうちの他方が設けられる。なお、この状態は、接着剤が硬化
して接着部80になっても維持される。
【0086】
上面視で、第3辺に係る内縁を通り第1辺に垂直な仮想線と、第4辺に係る内縁を通り
第1辺に垂直な仮想線と、に挟まれる枠状領域上の一部の領域に、第1接着剤81及び第
2接着剤82が設けられる。また枠状領域上のこの領域以外の領域に、第1接着剤81及
び第2接着剤82は設けられない。なお、この状態は、接着剤が硬化して接着部80にな
っても維持される。
【0087】
発光装置1の製造方法は、接着剤により光学部材70を基体10に固定する工程を含む
。この工程は、第1接着剤81を硬化させる工程と、第1接着剤81を硬化させた後に第
2接着剤82を硬化させる工程と、を含む。
【0088】
第1接着剤81を硬化させる工程で、光学部材70を第1接着剤81及び第2接着剤8
2に接触させた状態で、第1接着剤81を硬化させる。このように第1接着剤81を硬化
させて、第1接着部80Aを形成する。第1接着部80Aを介して、基体10と光学部材
70とが接合される。このとき、第1接着剤81は固まり、第2接着剤82は固まってい
ない状態となっている。また、この状態でも、光学部材70は基体10に固定されている
【0089】
第2接着剤82を硬化させる工程で、光学部材70と接触した状態の第2接着剤82を
硬化させる。このように第2接着剤82を硬化させて、第2接着部80Bを形成する。第
2接着部80Bを介して、基体10と光学部材70とが接合される。光学部材70は、第
1接着部80A及び第2接着部80Bを介して、基体10に固定される。
【0090】
発光装置1の製造において、第1接着剤81の塗布量[g]は、第2接着剤82の塗布
量よりも多い。複数箇所に設けられる第1接着剤81と第2接着剤82に対して、第1接
着剤81の全体の塗布量[g]は、第2接着剤82の全体の塗布量よりも多い。これによ
り、第1接着剤81を硬化させることによる接合の安定性を向上させることができる。
【0091】
第1接着剤81の塗布量は、30mg以上70mg以下とするのが好ましい。第1接着
剤81の塗布量が少なすぎると、第1接着剤81だけで、光学部材70を基体10に安定
して固定しづらくなる。第1接着剤81の塗布量が多すぎると、第2接着剤82に接触し
やすくなる。第1接着剤81と第2接着剤82がどちらも硬化されない状態で第2上面1
0Bに設けられるため、第1接着剤81と第2接着剤82は接触しない方がよい。
【0092】
第2接着剤82の塗布量は、20mg以上35mg以下とするのが好ましい。第1接着
剤81と同様、接合の安定と、第1接着剤81への接触リスクの低減を図ることができる
【0093】
上面視で外縁が八角形の光学部材70を、八角形のうちの一辺が第1辺上に位置し、か
つ、八角形のうちの他の一辺が第2辺上に位置するように配置することができる。第1辺
上に位置する八角形のうちの一辺の両端に、第1領域に設けられる第1接着部80Aを挟
む2つの第2接着部80Bが設けられ、第2辺上に位置する八角形のうちの一辺の両端に
、第2領域に設けられる第1接着部80Aを挟む2つの第2接着部80Bが設けられる。
第2接着部80Bを光学部材70の辺の両端に形成することで、光学部材70をバランス
よく接着させることができる。
【0094】
なお、光学部材70の基体10への固定は、接着剤を基体10の上面に設けて光学部材
70を固定する方法に限らない。例えば、基体10の側部12を利用して光学部材70を
固定することもできる。このとき、側部12の内側面を、光学部材70との接合に利用す
ることもできる。ある程度の粘性のある接着剤であれば、光学部材70の外側面と基体1
0の内側面の間に接着剤を介在させて、光学部材70を基体10に固定することができる
。この場合は、基体10の対向する内側面のそれぞれに、第1領域及び第2領域が設けら
れることになる。従って、実施形態に係る発光装置1は、図示される形態に限らず、第1
領域が設けられる面と、第2領域が設けられる面と、に第1接着部80A及び第2接着部
80Bを形成する形態であってもよい。第1領域が設けられる面と、第2領域が設けられ
る面とは、別々の面で構成することもできれば、繋がった1つの面で構成することもでき
る。いずれにしても、第1上面10Aより上方にある面といえる。
【0095】
1または複数の発光素子20から出射された光は、光学部材70の光学特性領域を通過
する。図示される発光装置1では、発光素子20から出射された光は、反射部材40によ
って反射され、光学部材70のレンズ面を通過する。N行M列の行列状に配置された複数
の発光素子20から出射された光は、N行M列の行列状に配された複数のレンズ面を通過
する。1つの発光素子20からの主要部分の光が、1つのレンズ面を通過する。
【0096】
光学部材70を通過した光はコリメートされて、光学部材70から出射される。発光装
置1は、1または複数のコリメート光を出射される。なお、コリメートされていなくても
よい。光学特性領域に対して精度良く光を入射させることで、意図した光学制御を行うこ
とができる。図示される発光装置1の例では、接着部80は、上面視で光学部材70のレ
ンズ面に重ならない領域に設けられている。これにより、光学特性領域に入射する光の光
路に接着部80を干渉させないような光学設計が可能となる。
【0097】
ここで、第1接着剤81と第2接着剤82の光に対する耐性に関する実験結果を示す。
図6は、金属の上に光学部材を配し、この光学部材を第1接着剤81及び第2接着剤82
のそれぞれで接合して第1接着部及び第2接着部を形成した状態で、上方からレーザ光を
出射して、光学部材を通り接着剤へと照射させたときの、それぞれの接着部が焼けるまで
の時間を測定した実験結果である。図6は、接着部に照射される光のエネルギー密度[W
/mm]と、焼け焦げるまでの時間[hours]と、の相関をグラフにしている。
【0098】
なお、この実験では、接着部の近傍に熱電対を設置し、熱電対の温度変化を測定した。
また、実際に発光装置1が動作したときの状況を想定して温度を調整した。測定の結果、
熱電対の温度が、安定した状態からある時点で急な上昇を始め、2~3度、あるいは、そ
れ以上の温度上昇を起こした。そして、接着部を観測すると、接着部が黒く変色していた
【0099】
ここで、図6に示されるプロットPにおける測定結果を図7乃至図9に示す。この測定
では、測定を開始する前に、接着部の周辺温度を75度に調整した。また、測定を開始し
、熱電対の温度が75度付近で安定したことを確認してからレーザ光を照射した。図8
示すように、測定開始から30秒~40秒が経過した時点でレーザ光の照射が開始され、
これによって、熱電対の温度が82度付近に上昇した。
【0100】
レーザ光の照射による温度上昇は82度付近で緩やかになり、およそ一定の温度で安定
した。なお、図7に示すように、長時間を掛けてわずかに上昇している。そして、4万秒
を超えたあたりで、安定した状態から急激に温度上昇を始めた。4万2千秒の時点で測定
を終了し、このとき、接着部が黒く変色していることが確認された。
【0101】
この結果から、接着部が光の照射により温度上昇を起こし、焼け焦げたものと推察され
た。そこで、熱電対の温度が安定した状態から急に上昇し始めた時点を、接着部の焼けが
発生し始めた時点と推定し、ここまでの照射時間を接着剤が焼けるまでの時間として、図
6の実験結果は表されている。
【0102】
図6の結果からわかるように、第1接着剤81を用いると、1.0[W/mm]のエ
ネルギー密度の光の照射に対して、100時間以内で第1接着部が焼けている。そのため
、発光装置が搭載される製品によっては、光に対する耐性がこれよりも優れた発光装置を
求められることがある得る。
【0103】
また、第1接着剤81よりも第2接着剤82の方が、光に対する耐性に優れていること
がわかる。従って、仮に、第1接着部が焼け焦げて接着力を保てなくなったとしても、発
光装置1においては光学部材70の固定は維持される。従って、長時間の使用がなされた
後も接着状態の安定した発光装置1を実現することができる。
【0104】
なお、第1接着剤81と第2接着剤82は、実験で用いられたものに限らず、適当な接
着剤を選択すればよい。発光装置1に採用される第1接着剤81と第2接着剤82として
は、実験結果から、以下のような組合せの例が考えられる。
【0105】
例えば、所定のエネルギー密度の光の照射に対して、10時間以内に接着部が焼け焦げ
る第1接着剤81と、100時間では接着部が焼け焦げない第2接着剤82との組合せが
挙げられる。なお、図6の実験では、2.7[W/mm]のエネルギー密度の光の照射
に対して、第1接着剤81による接着部は3時間で焼け焦げた一方で、第2接着剤82に
よる接着部は250時間経過しても焼け焦げなかった。
【0106】
また例えば、所定のエネルギー密度の光の照射に対して1時間以内で接着部が焼け焦げ
る第1接着剤81と、10時間では接着部が焼け焦げない第2接着剤82との組合せが挙
げられる。図6の実験では、3.6[W/mm]のエネルギー密度の光の照射に対して
、第1接着剤81による接着部は50分で焼け焦げた一方で、第2接着剤82による接着
部は11時間経過しても焼け焦げなかった。
【0107】
また例えば、所定のエネルギー密度の光の照射に対して30分以内で接着部が焼け焦げ
る第1接着剤81と、5時間では接着部が焼け焦げない第2接着剤82との組合せが挙げ
られる。図6の実験では、4.5[W/mm]のエネルギー密度の光の照射に対して、
第1接着剤81による接着部は15分で焼け焦げた一方で、第2接着剤82による接着部
は5時間経過しても焼け焦げなかった。
【0108】
また、第2接着剤82は、少なくとも、5.0[W/mm]以下のエネルギー密度の
範囲での光の照射に対して、第1接着剤81よりも光に対する耐性に優れている。なお、
発光装置1が搭載される環境にもよるが、少なくとも、1.0[W/mm]以下のエネ
ルギー密度の範囲での光の照射に対して、第1接着剤81よりも光に対する耐性に優れて
いる第2接着剤82であってもよい。
【0109】
発光装置1において、第1接着部80Aを挟むように第2接着部80Bが設けられるこ
とで、第1接着部80Aによる接着力が失われた場合にも、光学部材70の位置ずれを抑
制することができる。第1接着部80Aからおよそ対称的に第2接着部80Bが配される
ことで、第1接着部80Aの接着力の有無によっても、バランスが維持される。例えば、
動作環境における温度変化で光学部材70と基体10を接合する第2接着部80Bに負荷
が掛かるとしても、2箇所の第2接着部80Bの一方が他方に比して過度に大きな負荷を
受けずにすむ。負荷の差が大きいと、2箇所の第2接着部80Bの間で接着力に差が生じ
得ることから、光学部材70が回転ずれを起こす可能性がある。上述してきたようにバラ
ンス良く接着剤を設けて光学部材70を接着することで、光学特性領域に影響が出る位置
ずれを抑制することができ、接着状態の安定した発光装置1を実現できる。
【0110】
以上、本発明に係る実施形態を説明してきたが、本発明に係る発光装置は、実施形態の
発光装置に厳密に限定されるものではない。つまり、本発明は、実施形態により開示され
た発光装置の外形や構造に限定されなければ実現できないものではない。また、全ての構
成要素を必要十分に備えることを必須とせずに適用され得るものである。例えば、特許請
求の範囲に、実施形態により開示された発光装置の構成要素の一部が記載されていなかっ
た場合、その一部の構成要素については、代替、省略、形状の変形、材料の変更などの当
業者による設計の自由度を認め、その上で特許請求の範囲に記載された発明が適用される
ことを特定するものである。
【産業上の利用可能性】
【0111】
実施形態に記載の発光装置は、プロジェクタ、車載ヘッドライト、ヘッドマウントディ
スプレイ、照明、ディスプレイ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 発光装置
10 基体
10A 第1上面
10B 第2上面
10C 第3上面
10D 第4上面
11 基部
12 側部
13 蓋部
13A 枠部材
13B 透光性部材
20 半導体レーザ素子
30 サブマウント
40 反射部材
60 配線
70 光学部材
80 接着部
80A 第1接着部
80B 第2接着部
81 第1接着剤
82 第2接着剤
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9