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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184626
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0233 20210101AFI20231221BHJP
   H01S 5/02315 20210101ALI20231221BHJP
   H01S 5/02253 20210101ALI20231221BHJP
   H01S 5/02257 20210101ALI20231221BHJP
【FI】
H01S5/0233
H01S5/02315
H01S5/02253
H01S5/02257
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187608
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2019192604の分割
【原出願日】2019-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮田 忠明
(57)【要約】
【課題】放熱性を向上させることが可能な光源装置を提供する。
【解決手段】本開示の光源装置100は、第1実装面20aを有する第1サブマウント20と、第2実装面21bを有する第2サブマウント21と、第1および第2サブマウントとの間に位置する第1レーザダイオード30A、第2レーザダイオード30Bとを備える。第1レーザダイオードのp側電極面31bまたはn側電極面32aの一方は、第1実装面に接触し、第2レーザダイオード30Bのp側電極面31bまたはn側電極面32aの一方は、第2実装面に接触し、第1レーザダイオードのp側電極面またはn側電極面の他方は、第1導電部材40を介して第2実装面に接触し、第2レーザダイオードのp側電極面またはn側電極面の他方は、第2導電部材41を介して第1実装面に接触している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を有する第1基板と、
前記第1主面に対向する第2主面を有する第2基板と、
第1実装面を有し、前記第1主面に接合される第1サブマウントと、
前記第1実装面に対向する第2実装面を有し、前記第2主面に接合される第2サブマウントと、
前記第1サブマウントと前記第2サブマウントとの間に位置する第1レーザダイオードであって、p側電極面、および前記p側電極面の反対側に位置するn側電極面を有する第1レーザダイオードと、
前記第1主面と前記第2主面とに接合され、前記第1レーザダイオードを囲う枠体と、
を備え、
前記第1レーザダイオードの前記p側電極面または前記n側電極面の一方は、前記第1実装面に接触し、
前記第1レーザダイオードの前記p側電極面または前記n側電極面の他方は、第1導電部材を介して前記第2実装面に接触し、
前記第1レーザダイオードは、前記第1基板、前記第2基板および前記枠体によって規定される空間に気密封止される、光源装置。
【請求項2】
前記第1サブマウントは、前記第1レーザダイオードの前記p側電極面または前記n側電極面の前記一方に電気的に接続された第1配線層を有し、前記第2サブマウントは、前記第1レーザダイオードの前記p側電極面または前記n側電極面の前記他方に電気的に接続された第2配線層を有している、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第1レーザダイオードの前記p側電極面または前記n側電極面の前記他方は、前記
第1導電部材を介して前記第2配線層に電気的に接続されている、請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第1サブマウントと前記第2サブマウントとの間に複数個の前記第1レーザダイオードが位置している、請求項1から3のいずれかに記載の光源装置。
【請求項5】
前記複数個の第1レーザダイオードから出射されるレーザ光をそれぞれコリメートする複数のレンズを有するレンズアレイをさらに備える、請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記レンズアレイによってコリメートされたレーザ光を集める集光レンズをさらに備える、請求項5に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は複数のレーザダイオードを備える光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のレーザダイオードを備える光源装置が様々な用途において開発されている。先行文献1はマルチビーム半導体レーザアレイを開示している。このマルチビーム半導体レーザアレイは、各発光素子の間の熱干渉を抑制するために、一対の高熱伝導基板のうちの一方に実装した複数の発光素子と、他方に実装した複数の発光素子とを一対の高熱伝導基板の間に交互に配置する構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-353614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光源装置の放熱性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の光源装置は、非限定的で例示的な実施形態において、第1実装面を有する第1サブマウントと、前記第1実装面に対向する第2実装面を有する第2サブマウントと、前記第1サブマウントと前記第2サブマウントとの間に位置する第1レーザダイオードであって、p側電極面、および前記p側電極面の反対側に位置するn側電極面を有する第1レーザダイオードと、前記第1サブマウントと前記第2サブマウントとの間に位置する第2レーザダイオードであって、p側電極面、および前記p側電極面の反対側に位置するn側電極面を有する第2レーザダイオードと、を備え、前記第1レーザダイオードの前記p側電極面または前記n側電極面の一方は、前記第1実装面に接触し、前記第2レーザダイオードの前記p側電極面または前記n側電極面の一方は、前記第2実装面に接触し、前記第1レーザダイオードの前記p側電極面または前記n側電極面の他方は、第1導電部材を介して前記第2実装面に接触し、前記第2レーザダイオードの前記p側電極面または前記n側電極面の他方は、第2導電部材を介して前記第1実装面に接触している。
【発明の効果】
【0006】
本開示の例示的な実施形態によれば、放熱性を向上させた光源装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の実施形態に係る光源装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1における光源装置のXY平面に平行な断面図である。
図3図3は、隣り合う2個のレーザダイオードが第1サブマウントの第1実装面上に配置された様子を拡大して示す模式図である。
図4図4は、それぞれに3個のダイオードが配置された第1および第2サブマウントを貼り合わせる途中の様子を示す模式図である。
図5A図5Aは、第1サブマウントの第1実装面上に形成される電極パッドのレイアウト例を示す模式図である。
図5B図5Bは、第2サブマウントの第2実装面上に形成される電極パッドのレイアウト例を示す模式図である。
図6図6は、本開示の実施形態に係る光源装置が備え得るレンズ光学系の構成を例示する模式図である。
図7図7は、レンズアレイを例示する模式図である。
図8図8は、本開示の実施形態に係る光源装置の変形例の構成を示す断面図である。
図9図9は、本開示の実施形態に係る光源装置の変形例の他の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による光源装置は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序等は、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。また、以下に説明する様々な態様は、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
【0009】
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、わかり易さのために誇張されている場合があり、実際の光源装置における寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
【0010】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。
【0011】
先ず、図1および図2を参照して、本開示の実施形態に係る光源装置の概略構成を説明する。図1は、本実施形態に係る光源装置100の構成例を模式的に示す斜視図である。図2は、光源装置100のXY平面に平行な断面図である。図2に示される断面は、図1に示されるII-II線に沿って切断した場合におけるII-II線断面に相当する。添付の図面には、参考のため、互いに直交するX軸、Y軸、およびZ軸が示されている。なお、図1または図2においてレーザダイオードの配線は省略されている。これについては後述する。
【0012】
光源装置100は、一対のパッケージ基板10、11と、第1サブマウント20と、第2サブマウント21と、一対のサブマウントの間に位置する複数のレーザダイオード30と、複数のレーザダイオード30を囲む枠体50と、を備える。図1では、説明の便宜上、パッケージ基板11を破線で示し透過させている。レーザダイオード30から出射されるレーザ光14の中心軸が破線で示されている。
【0013】
光源装置100の形状の例は、略直方体である。例えば、光源装置100のX方向におけるサイズは3.0mm程度であり、Z方向におけるサイズは3.0mm程度であり、Y方向における厚さは1.5mm程度であり得る。光源装置100は、高出力のレーザ光を放射することが可能であり、例えばプロジェクタまたはレーザ加工装置の光源として好適に利用され得る。図示はされていないが、放熱性を高めるために、光源装置100の外側からパッケージ基板を覆う放熱部材が設けられ得る。
【0014】
一対のパッケージ基板10、11は、それぞれ、板状の部材である。以降、パッケージ基板を単に「基板」と表記する。基板10、11は、セラミックを主材料として形成することができる。なお、セラミックに限らず金属で形成されていてもよい。例えば、セラミックでは窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素等を、金属では銅、アルミニウム、鉄、複合物として銅モリブデン、銅-ダイヤモンド複合材料、銅タングステン等を基板の主材料に用いることができる。
【0015】
枠体50は、複数のレーザダイオード30を囲うように基板10の主面10a上に固定されている。図2において、枠体50の下端面50bが基板10の主面10aに接合されている。このような接合は、金属などの無機材料、また有機材料の層を介して実現され得る。ただし、青色または緑色の光を発するレーザダイオードを用いる場合、レーザ光による集塵の影響を考慮すると有機材料の使用は避けた方が好ましい。
【0016】
基板11は枠体50の上端面50aに固定されている。枠体50は、複数のレーザダイオード30を収容する空間を規定するスペーサとして機能する。枠体50の上端面50aが、基板10と同様に、基板11の主面11bに接合されている。基板11は、複数のレーザダイオード30をその空間内に気密に封止するキャップとして機能する。気密封止することにより、レーザ光による集塵の影響を抑制することができる。
【0017】
枠体50は、複数のレーザダイオード30からそれぞれ出射されるレーザ光14を透過する正面ガラス壁50Fを有する。正面ガラス壁50Fは、基板10上においてレーザ光14を横切る位置に配置されている。正面ガラス壁50Fは、アルカリガラスおよび/または無アルカリガラスから形成され得る。「アルカリガラス」は、Na+、Ka+、Li+などのアルカリ金属元素の可動イオンを含有するケイ酸化合物ガラスである。アルカリ酸化物の濃度が0.1質量%以下であるケイ酸化合物ガラスを「無アルカリガラス」と称する。なお、ケイ酸化合物ガラスの例は、ケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、および石英ガラスを含む。または、正面ガラス壁50Fは、サファイアや蛍光体を含有するガラス、透明セラミック材料から形成され得る。枠体50の正面ガラス壁50F以外の部分は、ガラス、またはガラスとは異なる材料、例えば基板と同じ材料から形成され得る。
【0018】
第1サブマウント20は、基板10の主面10aに接合(または固定)され、第2サブマウント21は、基板11の主面11bに接合されている。このような接合は、金属などの無機材料、また有機材料の層を介して実現され得る。ただし、上述したとおり青色または緑色の光を発するレーザダイオードを用いる場合、レーザ光による集塵の影響を考慮すると有機材料の使用は避けた方が好ましい。一対のサブマウント20、21は、第1実装面20aと第2実装面21bとが対向するように配置されている。第1サブマウント20は、レーザダイオード30a、30cおよび30eが配置される第1実装面20aを有している。レーザダイオード30a、30cおよび30eは、第1サブマウント20に固定された状態で基板10の主面10a上に実装されている。第2サブマウント21は、レーザダイオード30b、30dおよび30fが配置される第2実装面21bを有している。レーザダイオード30b、30dおよび30fは、第2サブマウント21に固定された状態で基板11の主面11b上に実装されている。
【0019】
第1サブマウント20および第2サブマウント21のそれぞれは放熱部材であり、典型的には、直方体の形状を有しているが、これに限定されない。各サブマウントは、レーザダイオードから発生した熱を逃がす役割を果たす。放熱性をより向上させる観点から、各サブマウントは、レーザダイオード30よりも熱伝導率の高い材料から形成されることが好ましい。当該材料は、例えば、AlN、SiC、Si、SiNなどのセラミック材料や、Cu、Al、Ag、Fe、Ni、Mo、Cu、W、およびCuMoからなる群から選択される少なくとも1つを含む金属である。
【0020】
複数のレーザダイオード30は、第1サブマウント20と第2サブマウント21との間に位置している。換言すると、複数のレーザダイオード30は第1サブマウント20と第2サブマウント21との間に挟みこまれている。図2に示される例において、6個のレーザダイオード30a~30fが一対のサブマウント20、21の間に位置しているが、本開示はこれに限定されない。レーザダイオードの個数は、2個以上であればよく、3個、4個、5個または7個以上でもあり得る。第1サブマウント20および第2サブマウント21のそれぞれは3個に限定されず、1個、2個または4個以上のレーザダイオードを支持し得る。
【0021】
複数のレーザダイオード30のそれぞれは、p側電極31、n側電極32および半導体積層構造体33を有する。n側電極32は、半導体積層構造体33のp側電極31とは反対側に位置する。p側電極31およびn側電極32に電圧を印加して内部に電流を流すことによって、レーザダイオードからレーザ光が出射される。半導体積層構造体33の構成例については後述する。複数のレーザダイオード30は、複数の第1レーザダイオード30Aおよび複数の第2レーザダイオード30Bを含む。図2に示される例において、複数の第1レーザダイオード30Aは、レーザダイオード30a、30cおよび30eから構成され、複数の第2レーザダイオード30Bは、レーザダイオード30b、30dおよび30fから構成されている。以降、レーザダイオード30a、30cおよび30eのそれぞれを第1レーザダイオードと呼び、レーザダイオード30b、30dおよび30fのそれぞれを第2レーザダイオードと呼ぶこととする。
【0022】
第1レーザダイオード30a、30cおよび30eのそれぞれのp側電極31の表面に位置するp側電極面31bは、第1サブマウント20の第1実装面20aに熱的に接触し、かつ、n側電極32の表面に位置するn側電極面32aは、第1導電部材40を介して第2サブマウント21の第2実装面21bに熱的に接触している。第2レーザダイオード30b、30dおよび30fのp側電極面31bは、第2サブマウント21の第2実装面21bに熱的に接触し、かつ、n側電極面32aは、第2導電部材41を介して第1サブマウント20の第1実装面20aに熱的に接触している。本明細書に用いられる「熱的に接触」という用語は、電極面がサブマウントに直接的に接触することだけでなく、電極面が固体の導電部材を介してサブマウントに間接的に接触することも意味する。
【0023】
第1導電部材40および第2導電部材41の例は、Au、Ag、Cu、Al等の金属、または、はんだバンプである。光源装置100の製造時に枠体50のY方向の高さを調整することで、レーザダイオード30と、第1サブマウント20または第2サブマウント21との間に隙間が生じないようにすることは可能である。しかし、実際は、その隙間を完全になくすことは非常に困難である。本実施形態では、第1導電部材40および第2導電部材41は、その隙間を埋めるように配置される。レーザダイオード30のn側電極面32a上にバンプを配置することにより、n側電極面32aと、第1実装面20aまたは第2実装面21bとを熱的に接触させることができる。
【0024】
このように、第1サブマウント20と第2サブマウント21とに複数のレーザダイオード30を導電部材を介して挟みこむ構造を採用することにより、レーザダイオード30で発生する熱を第1サブマウント20および第2サブマウント21に効率よく伝えることが可能となる。その結果、光源装置100の放熱性を向上させることができる。
【0025】
複数の第1レーザダイオード30Aおよび複数の第2レーザダイオード30Bは、X方向に沿って交互に並ぶ。図2に示される例において、第1レーザダイオード30a、30c、30e、第2レーザダイオード30b、30dおよび30fはこの順番で一つ置きに並んでいる。例えば、第1レーザダイオード30a、30cおよび30eは、0.8mm以上5.0mm以下の間隔で第1サブマウント20上に配置され、第2レーザダイオード30b、30dおよび30fは、0.8mm以上5.0mm以下の間隔で第2サブマウント21上に配置され得る。ここで、間隔は、同じサブマウント上の隣り合う2個のレーザダイオードのレーザ光の中心軸間の距離を表す。このような間隔で、第1レーザダイオード30Aおよび第2レーザダイオード30Bを各サブマウント上に配置し、第1レーザダイオード30Aおよび第2レーザダイオード30Bが交互に並ぶように一対のサブマウントを貼り合わせることによって、隣り合う2個のレーザダイオード30の間隔をレーザダイオード30の幅よりも小さくすることができる。このため、光源装置を小型化することが可能となる。
【0026】
レーザダイオード30には、例えば、青色の光を放射するレーザダイオード、緑色の光を放射するレーザダイオード、または、赤色の光を放射するレーザダイオードなどを採用することができる。また、これら以外の光、例えば近赤外線や紫外線を放射するレーザダイオードを採用してもよい。複数のレーザダイオード30のそれぞれが、同一の発光ピーク波長を有するレーザ光を放射するようにしてもよく、それぞれが、異なる発光ピーク波長を有するレーザ光を放射するようにしてもよい。
【0027】
本明細書において、青色の光は、発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光である。緑色の光は、発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内にある光である。赤色の光は、発光ピーク波長が605nm~750nmの範囲内にある光である。
【0028】
青色の光を発するレーザダイオード、または、緑色の光を発するレーザダイオードとして、例えば、窒化物半導体を含むレーザダイオードが挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、およびAlGaNを用いることができる。赤色の光を発するレーザダイオードとして、InAlGaP系やGaInP系、GaAs系やAlGaAs系の半導体を含むもの等が挙げられる。
【0029】
レーザダイオード30から放射されるレーザ光14は、拡がりを有し、レーザ光14の出射端面に平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。FFPは、出射端面から離れた位置におけるレーザ光14の光強度分布によって規定される。この光強度分布において、ピーク強度値に対して1/e2以上の強度を有する部分をビーム断面と呼んでもよい。
【0030】
本実施形態において、レーザダイオード30は、レーザ光14を出射する端面を有する端面出射型である。簡単のため、図1では、レーザ光14の中心軸が破線で示されている。実際のレーザ光14は、上述したように、レーザダイオード30の端面から出射された後、発散して拡がる。このため、レーザ光14は、不図示のレンズを含む光学系によって、コリメートまたは収束され得る。そのような光学系は、光源装置100の内部または外部に設けられ得る。光学系については後述する。
【0031】
次に、図3図4図5Aおよび図5Bを参照して、複数のレーザダイオードを直列に接続するための配線の例を説明する。図3は、隣り合う2個のレーザダイオード30a、30cが第1サブマウント20の第1実装面20a上に配置された様子を拡大して示す模式図である。図4は、それぞれに3個のダイオードが配置された第1および第2サブマウント20、21を貼り合わせる途中の様子を示す模式図である。図5Aは、第1サブマウント20の第1実装面20a上に形成される電極パッドのレイアウト例を示す模式図である。図5Bは、第2サブマウント21の第2実装面21b上に形成される電極パッドのレイアウト例を示す模式図である。
【0032】
本実施形態においては、複数のレーザダイオードを直列に接続する例を説明するが、本開示はこれに限定されない。複数のレーザダイオードは並列に接続されてもよいし、または、複数のレーザダイオードのそれぞれを個別に駆動するための電気的な配線を採用してもよい。
【0033】
図3に例示されるように、各レーザダイオード30は、p側半導体層33a、n側半導体層33b、およびp側半導体層33aとn側半導体層33bとの間に位置する活性層33cを含む半導体積層構造体33と、半導体積層構造体33を支持する基板33dとを有する。半導体積層構造体33は、これらの層以外の複数の層をさらに含み得る。活性層33cの一方の端面は、レーザ光14を出射する出射端面(または発光領域)33eである。p側半導体層33aの表面にはp側電極31がストライプ状に形成されている。
【0034】
第1レーザダイオード30a、30cおよび30eのそれぞれは、活性層33cが基板33dに比べて第1サブマウント20により近くなるように第1実装面20a上に配置されている。第2レーザダイオード30b、30dおよび30fのそれぞれは、活性層33cが基板33dに比べて第2サブマウント21により近くなるように第2実装面21b上に配置されている。
【0035】
複数の第1レーザダイオード30Aのそれぞれの発光領域の、第1実装面20aからの高さは、複数の第2レーザダイオード30Bのそれぞれの発光領域の、第1実装面20aからの高さとは異なる。具体的には、第1実装面20aを基準として、第1サブマウント20に配置された第1レーザダイオード30a、30cおよび30eのそれぞれの発光領域は、第2サブマウント21に配置された第2レーザダイオード30b、30dおよび30fの発光領域よりも低く位置する。このような配置によれば、各レーザダイオードの発光領域から生じる熱を各レーザダイオードが実装されたサブマウント側に効率よく逃がすことが可能となる。
【0036】
レーザダイオード30のp側電極面31bは、例えばAuバンプを介してサブマウントの実装面上の電極パッドに電気的に接続され得る。その場合において、例えばAuSnを用いてp側電極面31bと電極パッドとを溶融接合することによって、接合強度を向上させたり、放熱性を高めたりすることが可能となる。
【0037】
第1サブマウント20は、複数の第1レーザダイオード30Aのそれぞれのp側電極面31bと、複数の第2レーザダイオード30Bのそれぞれのn側電極面32aと、に電気的に接続される第1配線層を有する。第1配線層は導体配線層であり、例えばタングステン、モリブデン、ニッケル、金、銀、白金、チタン、銅、アルミ、ルテニウムなどの金属材料から形成され得る。第1配線層は、各層がビアを介して電気的に接続された多層構造を有し得る。図5Aに示されるように、第1配線層は、レーザダイオード30のp側電極面31bまたはn側電極面32aに接合する電極パッド71を第1サブマウント20の第1実装面20a上に有する。
【0038】
電極パッド71は、第1レーザダイオード30a、30c、30eを第1配線層に電気的に接続するための電極パッド71a、71c、71eと、第2レーザダイオード30b、30dおよび30fを第2導電部材41を介して第1配線層に電気的に接続するための電極パッド71b、71dおよび71fと、を含む。第1実装面20aにおいて、電極パッド71a、71c、71eと、電極パッド71b、71d、71fとは交互に並んでいる。第1実装面20a上の電極パッド71以外の領域は、絶縁層で覆われていることが好ましい。
【0039】
電極パッド71bと電極パッド71cとが電気的に接続され、電極パッド71dと電極パッド71eとが電気的に接続されている。説明を分かり易くするために、図5Aには2つの電極パットを接続する配線が示されているが、その配線は絶縁層で覆われ得る。
【0040】
第1レーザダイオード30aのp側電極面31bは、第1実装面20a上の電極パッド71aに電気的に接続される。第2レーザダイオード30bのn側電極面32aは第2導電部材41を介して電極パッド71bに電気的に接続される。第1レーザダイオード30cのp側電極面31bは電極パッド71cに電気的に接続される。第2レーザダイオード30dのn側電極面32aは第2導電部材41を介して電極パッド71dに電気的に接続される。第1レーザダイオード30eのp側電極面31bは電極パッド71eに電気的に接続される。第2レーザダイオード30fのn側電極面32aは第2導電部材41を介して電極パッド71fに電気的に接続される。
【0041】
第2サブマウント21は、複数の第1レーザダイオード30Aのそれぞれのn側電極面32aと、複数の第2レーザダイオード30Bのそれぞれのp側電極面31bと、に電気的に接続される第2配線層を有する。第2配線層は導体配線層であり、第1配線層と同じ材料から形成され得る。第2配線層は、各層がビアを介して電気的に接続された多層構造を有し得る。図5Bに示されるように、第2配線層は、レーザダイオード30のp側電極面31bまたはn側電極面32aに接合する電極パッド72を第2サブマウント21の第2実装面21b上に有する。
【0042】
電極パッド72は、第1レーザダイオード30a、30c、30eを第1導電部材40を介して第2配線層に電気的に接続するための電極パッド72a、72c、72eと、第2レーザダイオード30b、30dおよび30fを第2配線層に電気的に接続するための電極パッド72b、72dおよび72fと、を含む。第2実装面21bにおいて、電極パッド72a、72c、72eと、電極パッド72b、72d、72fとは交互に並んでいる。第2実装面21b上の電極パッド72以外の領域は、絶縁層で覆われていることが好ましい。
【0043】
電極パッド72aと電極パッド72bとが電気的に接続され、電極パッド72cと電極パッド72dとが電気的に接続され、電極パッド72eと電極パッド72fとが電気的に接続されている。説明を分かり易くするために、図5Bには2つの電極パットを接続する配線が示されているが、その配線は絶縁層で覆われ得る。
【0044】
第1レーザダイオード30aのn側電極面32aは、第1導電部材40を介して第2実装面21b上の電極パッド72aに電気的に接続される。第2レーザダイオード30bのp側電極面31bは電極パッド72bに電気的に接続される。第1レーザダイオード30cのn側電極面32aは第1導電部材40を介して電極パッド72cに電気的に接続される。第2レーザダイオード30dのp側電極面31bは電極パッド72dに電気的に接続される。第1レーザダイオード30eのn側電極面32aは第1導電部材40を介して電極パッド72eに電気的に接続される。第2レーザダイオード30fのp側電極面31bは電極パッド72fに電気的に接続される。
【0045】
上述した電気的な接続によれば、電極パッド71a、72a、72b、71b、71c、72c、72d、71d、71e,72e、72f、71fがこの順番で電気的に接続される。6個のレーザダイオード30a~30fを直列に接続することができる。基板10、11も、それぞれ、導電配線層を有し得る。図2に示されるように、その導電配線層は、レーザダイオードに電力を供給する外部の駆動回路(不図示)に電気的に接続するための中継部材60を有し得る。中継部材60は導電材料から形成され、例えば枠体50の外側の基板10および/または基板11上に配置され得る。サブマウントに設けられた導電配線層と、基板に設けられた導電配線層とは、例えばワイヤWによって電気的に接続され、あるいは、サブマウントを貫通するビアによって電気的に接続され得る。
【0046】
本実施形態の構成によれば、第1に、複数のレーザダイオード30を第1および第2サブマウント20、21で挟み込むことによって、p側電極面31bまたはn側電極面32aの一方を第1サブマウント20または第2サブマウント21の一方に熱的に接触させ、かつ、p側電極面31bまたはn側電極面32aの他方を第1サブマウント20または第2サブマウント21の他方に熱的に接触させることができるので、光源装置100の放熱性が向上し得る。さらに、放熱性を向上させることにより、各レーザダイオード30の間隔を小さく(例えば2.5mm以下)できるために、光源装置100を小型化することが可能となる。
【0047】
第2に、第1および第2サブマウント20、21のそれぞれに、p側電極用の電極パッドとn側電極用の電極パッドとを交互に配置することで、片方に全ての電極パッドを配置する場合と比べ、各サブマウントにおけるレーザダイオードの実装ピッチが広がる。そのため、光源装置100の放熱性が一層向上し得る。第3に、従来のように、レーザダイオードのn側電極面32aからp側電極面31bの側にワイヤを引き出す必要がなくなる。代わりに、n側電極面32aは、それに対向する第1サブマウント20または第2サブマウント21の実装面上の電極パットに導電部材を介して電気的に接続すればよい。このように、複数のレーザダイオードを電気的に接続するための配線が容易となり製造工程が簡素化され得る。
【0048】
ただし、n側電極面と配線層との電気的な接続は、必ずしも導電部材を介して行う必要はない。従来のように、レーザダイオードのn側電極面からp側電極面の側にワイヤを引き出すことによって、電気的な接続を確保することもできる。その場合でもn側電極面を導電部材を介してサブマウントの実装面に熱的に接触させた状態は維持されるので、放熱性を向上させることができる。
【0049】
図6は、本実施形態に係る光源装置100が備え得るレンズ光学系の構成を例示する模式図である。図7はレンズアレイ81を例示する模式図である。図1とは異なり、図6では4個のレーザダイオード30a~30dを備える光源装置100の構成例が示されている。図示されるように、光源装置100は、レンズアレイ81と、集光レンズ82とを備え得る。レンズアレイ81は、レーザダイオード30と集光レンズ82との間の光路上に配置される。レンズアレイ81は、複数の第1レーザダイオード30Aおよび複数の第2レーザダイオード30Bからそれぞれ出射されるレーザ光をコリメートする複数のレンズを含む。集光レンズ82はレンズアレイ81によってコリメートされたレーザ光を焦点に集める。
【0050】
図7に示される例において、レンズアレイ81はレンズ81a、81b、81cおよび81dを有する。レンズ81a、81b、81cおよび81dのレンズ曲面の中心は、それぞれ、レーザダイオード30a、30b、30cおよび30dから出射されるレーザ光14の中心軸上に位置している。レンズ81a、81cは、第1サブマウント20の第1実装面20aに配置されたレーザダイオード30a、30cからそれぞれ出射されるレーザ光をコリメートする。レンズ81b、81dは、第2サブマウント21の第2実装面21bに配置されたレーザダイオード30b、30dからそれぞれ出射されるレーザ光をコリメートする。例えば、第1実装面20aを基準として、レンズ81a、81cのレンズ曲面の中心の位置c1は、レンズ81b、81dのレンズ曲面の中心の位置c2よりも低い。図7においては、81aと81cのレンズ曲面の中心が第1実装面20aから同じ高さにあり、81bと81dのレンズ曲面の中心が第1実装面20aから同じ高さにある例を示しているが、これに限定されない。各レンズのレンズ曲面の中心の第1実装面20aからの高さは相互に異なっていてもよい。
【0051】
レンズアレイ81を配置することにより、複数のレーザダイオード30からそれぞれ出射されるレーザ光14をコリメートすることができる。1個のレーザダイオードに対し1個のレンズを個別に配置する場合に比べ、レンズアレイを採用することで光源装置が小型化される。また、集光レンズ82を配置することにより、コリメート光を集光でき、レーザ光14の出力強度を高めることが可能となる。
【0052】
図8は、本実施形態に係る光源装置100の変形例の構成を示す断面図である。本変形例による光源装置100は、第1サブマウント20および第2サブマウント21に凹凸構造を設けている点において、上述した光源装置100とは異なる。以下、その差異点を主に説明する。
【0053】
凹凸構造は複数の凸部91および凹部92を有する。凸部91の上面には、レーザダイオード30のp側電極面に電気的に接続する電極パッドが形成され、凹部92の底面には、n側電極面に電気的に接続する電極パッドが形成される。このように、隣り合う2個のレーザダイオードを第1サブマウント20および第2サブマウント21の間に段差を付けて配置することで、第1実装面20aを基準として、複数のレーザダイオード30のそれぞれの発光領域33eが位置する高さを揃えることが可能となる。
【0054】
図9は、実施形態に係る光源装置100の変形例の他の構成を示す断面図である。図示されるように、第1レーザダイオード30Aおよび第2レーザダイオード30Bは、二つ置きに交互に並んでいてもよいし、例えば三つまたは四つ置きに交互に並んでいてもよい。または、第1レーザダイオード30Aおよび第2レーザダイオード30Bは不規則に交互に並んでいてもよい。例として、2個の第1レーザダイオード30A、1個の第2レーザダイオード30B、1個の第1レーザダイオード30A、2個の第2レーザダイオード30Bが、この順番で交互に並んでいてもよい。
【0055】
上述した実施形態では、レーザダイオードのp側電極面をサブマウントの導電配線層に直接接続し、n側電極面をサブマウントの導電配線層に導電部材を介して電気的に接続する例を説明したが、本開示はこれに限定されない。レーザダイオードのp側電極面およびn側電極面を上下反転させ、n側電極面をサブマウントの導電配線層に直接接続し、p側電極面をサブマウントの導電配線層に導電部材を介して電気的に接続することも可能である。
【0056】
ある一態様において、第1レーザダイオード30Aのn側電極面32aは、第1実装面20aに接触し、第2レーザダイオード30Bのn側電極面32aは、第2実装面21bに接触し得る。第1レーザダイオード30Aのp側電極面31bは、第1導電部材40を介して第2実装面21bに接触し、第2レーザダイオード30Bのp側電極面31bは、第2導電部材41を介して第1実装面20aに接触し得る。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示の光源装置は、高出力のレーザ光を出力することが可能であり、また小型化に適しているため、プロジェクタやレーザ加工装置などの光源として好適に利用され得る。
【符号の説明】
【0058】
10、11・・・基板(パッケージ基板)、20・・・第1サブマウント、21・・・第2サブバウント、30・・・レーザダイオード、30A・・・第1レーザダイオード、30B・・・第2レーザダイオード、31・・・p側電極、32・・・n側電極、40・・・第1導電部材、41・・・第2導電部材、50・・・枠体、50F・・・正面ガラス壁、60・・・中継部材、100・・・光源装置
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9