IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ゼオン株式会社の特許一覧

特開2023-18508凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置
<>
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図1
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図2
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図3
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図4
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図5
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図6
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図7
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図8
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図9
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図10
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図11
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図12
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図13
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図14
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図15
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図16
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図17
  • 特開-凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018508
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、樹脂フィルムの製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/30 20060101AFI20230201BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230201BHJP
   B29C 59/16 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
G01B11/30 A
G03B15/00 T
B29C59/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122690
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】林 昌彦
【テーマコード(参考)】
2F065
4F209
【Fターム(参考)】
2F065AA24
2F065AA49
2F065AA58
2F065BB13
2F065BB22
2F065CC02
2F065DD06
2F065FF04
2F065HH03
2F065JJ03
2F065LL30
2F065LL59
2F065MM03
2F065MM16
2F065PP22
2F065QQ03
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ29
2F065QQ31
2F065UU05
4F209AC03
4F209AF01
4F209AG01
4F209AG05
4F209AG23
4F209AM02
4F209AP11
4F209AP12
4F209AQ01
4F209AR12
4F209AR13
4F209PA15
4F209PB02
4F209PC05
4F209PN03
4F209PN13
(57)【要約】
【課題】長尺フィルムの凹凸部の高さを簡単に測定できる測定方法を提供する。
【解決手段】長尺フィルムに形成された凹凸部の高さの測定方法であって;前記長尺フィルムに平行光を垂直に照射する工程(i)と、前記長尺フィルムを透過した前記平行光を撮影して、画像を取得する工程(ii)と、前記画像に基づき、前記凹凸部の高さを測定する工程(iii)と、を含み;前記工程(iii)が、前記画像から、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかったエリアの面積を測定する工程(iii-1)と、前記面積から、前記凹凸部の高さを計算する工程(iii-2)と、を含む、測定方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺フィルムに形成された凹凸部の高さの測定方法であって;
前記長尺フィルムに平行光を垂直に照射する工程(i)と、
前記長尺フィルムを透過した前記平行光を撮影して、画像を取得する工程(ii)と、
前記画像に基づき、前記凹凸部の高さを測定する工程(iii)と、を含み;
前記工程(iii)が、
前記画像から、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかったエリアの面積を測定する工程(iii-1)と、
前記面積から、前記凹凸部の高さを計算する工程(iii-2)と、
を含む、測定方法。
【請求項2】
前記凹凸部が、フィルム幅方向の端部に、フィルム長手方向に並んで複数形成されている、請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
前記工程(iii-1)が、少なくともフィルム長手方向に区分して設定された領域を一単位として、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかった前記エリアの前記面積を測定することを含む、請求項1又は2に記載の測定方法。
【請求項4】
工程(iii-1)が、フィルム長手方向及びフィルム幅方向の両方に区分して設定された領域を一単位として、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかった前記エリアの前記面積を測定することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項5】
前記工程(ii)が、前記長尺フィルムに対して前記平行光が照射された側とは反対側に設けられたカメラによって、前記長尺フィルムを透過した前記平行光を撮影することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項6】
前記カメラが、ラインスキャンカメラである、請求項5に記載の測定方法。
【請求項7】
前記工程(ii)が、前記長尺フィルムを透過した前記平行光が、更にテレセントリックレンズを透過してから撮影されることを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項8】
凹凸部を有する長尺フィルムの製造方法であって;
前記製造方法が、
樹脂フィルムに凹凸部を形成して、前記長尺フィルムを得る工程(I)と、
前記工程(I)で形成される前記凹凸部の高さを制御する工程(II)と、を含み;
前記工程(II)が、
前記長尺フィルムに平行光を垂直に照射する工程(II-1)と、
前記長尺フィルムを透過した前記平行光を撮影して、画像を取得する工程(II-2)と、
前記画像から、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかったエリアの面積を測定する工程(II-3)と、
前記エリアの前記面積に基づいて、前記工程(I)における前記凹凸部の形成の条件を制御する工程(II-4)と、を含む、長尺フィルムの製造方法。
【請求項9】
前記工程(II-4)が、前記エリアの前記面積が所定の範囲に収まるように、前記工程(I)における前記凹凸部の形成の条件を制御することを含む、請求項8に記載の長尺フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記工程(II-3)が、少なくともフィルム長手方向に区分して設定された領域を一単位として、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかった前記エリアの前記面積を測定することを含み、
前記工程(II-4)が、前記一単位で測定される前記エリアの前記面積が所定の範囲に収まるように、前記工程(I)における前記凹凸部の形成の条件を制御することを含む、請求項8又は9に記載の長尺フィルムの製造方法。
【請求項11】
前記工程(II-3)が、フィルム長手方向及びフィルム幅方向の両方に区分して設定された領域を一単位として、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかった前記エリアの前記面積を測定することを含み、
前記工程(II-4)が、前記一単位で測定される前記エリアの前記面積が所定の範囲に収まるように、前記工程(I)における前記凹凸部の形成の条件を制御することを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
【請求項12】
前記工程(I)が、複数の加工装置を用いてフィルム長手方向の異なる位置に前記凹凸部を形成することを含み、
前記工程(II-4)が、複数の前記加工装置が形成する前記凹凸部に対応した前記エリアの前記面積が同じ範囲に収まるように、前記工程(I)における前記凹凸部の形成の条件を制御することを含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
【請求項13】
更に、前記工程(II-3)で測定された前記エリアの前記面積から、前記凹凸部の高さを計算する工程(III)を含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
【請求項14】
前記凹凸部の高さが、1μm以上25μm以下である、請求項8~13のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記工程(I)が、レーザー光又は熱を用いた加工処理によって前記凹凸部を形成することを含む、請求項8~14のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
【請求項16】
前記工程(I)が、前記凹凸部を、フィルム幅方向の端部に、フィルム長手方向に並んで複数形成することを含む、請求項8~15のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
【請求項17】
前記工程(II-2)が、前記樹長尺フィルムに対して前記平行光が照射された側とは反対側に設けられたカメラによって、前記長尺フィルムを透過した前記平行光を撮影することを含む、請求項8~16のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
【請求項18】
前記カメラが、ラインスキャンカメラである、請求項17に記載の長尺フィルムの製造方法。
【請求項19】
前記工程(II-2)が、前記長尺フィルムを透過した平行光が、更にテレセントリックレンズを透過してから撮影されることを含む、請求項8~18のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
【請求項20】
長尺フィルムに形成された凹凸部の高さの測定装置であって;
前記長尺フィルムに平行光を照射できる照射部と、
前記長尺フィルムを透過した前記平行光を撮影して、画像を取得できる撮影部と、
前記画像に基づき、前記凹凸部の高さを測定できる高さ測定部と、を含み;
前記高さ測定部が、
前記画像から、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかったエリアの面積を測定できる面積測定部と、
前記面積から、前記凹凸部の高さを計算できる高さ計算部と、
を含む、測定装置。
【請求項21】
凹凸部を有する長尺フィルムの製造装置であって;
前記製造装置が、
樹脂フィルムに凹凸部を形成して、前記長尺フィルムを得ることができる凹凸形成部と、
前記凹凸形成部で形成される前記凹凸部の高さを制御できる高さ制御部と、を含み;
前記高さ制御部が、
前記長尺フィルムに平行光を照射できる照射部と、
前記長尺フィルムを透過した前記平行光を撮影して、画像を取得できる撮影部と、
前記画像から、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかったエリアの面積を測定できる面積測定部と、
前記エリアの前記面積に基づいて、前記凹凸形成部における前記凹凸部の形成の条件を制御できる条件制御部と、を含む、長尺フィルムの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺フィルムに形成された凹凸部の高さの測定方法及び測定装置、並びに、高さの制御された凹凸部を有する長尺フィルムの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1及び2に記載されているように、フィルムの表面に凹凸部が形成されることがある。例えば、薄い長尺フィルムの取り扱い性の向上などの目的のために、長尺フィルムの幅方向の端部に凹凸部を形成することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-214836号公報
【特許文献2】特開2017-203641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の凹凸部は、その高さを制御しながら形成することが好ましい。前記の高さの制御のために、凹凸部の高さを測定することが求められる。しかし、従来は、凹凸部の高さは、長尺フィルムを静止させた状態で顕微鏡、三次元表面プロファイラーなどの測定装置を用いて測定することが求められ、製造ラインにおいて簡単に測定することはできなかった。
【0005】
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、長尺フィルムの凹凸部の高さを簡単に測定できる測定方法及び測定装置;並びに、凹凸部の高さを制御しながら長尺フィルムを製造できる製造方法及び製造装置;を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、長尺フィルムに平行光を垂直に照射する工程と、長尺フィルムを透過した平行光を撮影して画像を取得する工程と、画像に基づき凹凸部の高さを測定する工程と、を含む測定方法において、平行光が長尺フィルムを直進透過できなかったエリアの面積を画像から測定する工程と、その面積から凹凸部の高さを計算する工程と、を行う場合に、長尺フィルムの凹凸部の高さを簡単に測定できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
【0007】
〔1〕 長尺フィルムに形成された凹凸部の高さの測定方法であって;
前記長尺フィルムに平行光を垂直に照射する工程(i)と、
前記長尺フィルムを透過した前記平行光を撮影して、画像を取得する工程(ii)と、
前記画像に基づき、前記凹凸部の高さを測定する工程(iii)と、を含み;
前記工程(iii)が、
前記画像から、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかったエリアの面積を測定する工程(iii-1)と、
前記面積から、前記凹凸部の高さを計算する工程(iii-2)と、
を含む、測定方法。
〔2〕 前記凹凸部が、フィルム幅方向の端部に、フィルム長手方向に並んで複数形成されている、〔1〕に記載の測定方法。
〔3〕 前記工程(iii-1)が、少なくともフィルム長手方向に区分して設定された領域を一単位として、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかった前記エリアの前記面積を測定することを含む、〔1〕又は〔2〕に記載の測定方法。
〔4〕 工程(iii-1)が、フィルム長手方向及びフィルム幅方向の両方に区分して設定された領域を一単位として、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかった前記エリアの前記面積を測定することを含む、〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の測定方法。
〔5〕 前記工程(ii)が、前記長尺フィルムに対して前記平行光が照射された側とは反対側に設けられたカメラによって、前記長尺フィルムを透過した前記平行光を撮影することを含む、〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の測定方法。
〔6〕 前記カメラが、ラインスキャンカメラである、〔5〕に記載の測定方法。
〔7〕 前記工程(ii)が、前記長尺フィルムを透過した前記平行光が、更にテレセントリックレンズを透過してから撮影されることを含む、〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の測定方法。
〔8〕 凹凸部を有する長尺フィルムの製造方法であって;
前記製造方法が、
樹脂フィルムに凹凸部を形成して、前記長尺フィルムを得る工程(I)と、
前記工程(I)で形成される前記凹凸部の高さを制御する工程(II)と、を含み;
前記工程(II)が、
前記長尺フィルムに平行光を垂直に照射する工程(II-1)と、
前記長尺フィルムを透過した前記平行光を撮影して、画像を取得する工程(II-2)と、
前記画像から、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかったエリアの面積を測定する工程(II-3)と、
前記エリアの前記面積に基づいて、前記工程(I)における前記凹凸部の形成の条件を制御する工程(II-4)と、を含む、長尺フィルムの製造方法。
〔9〕 前記工程(II-4)が、前記エリアの前記面積が所定の範囲に収まるように、前記工程(I)における前記凹凸部の形成の条件を制御することを含む、〔8〕に記載の長尺フィルムの製造方法。
〔10〕 前記工程(II-3)が、少なくともフィルム長手方向に区分して設定された領域を一単位として、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかった前記エリアの前記面積を測定することを含み、
前記工程(II-4)が、前記一単位で測定される前記エリアの前記面積が所定の範囲に収まるように、前記工程(I)における前記凹凸部の形成の条件を制御することを含む、〔8〕又は〔9〕に記載の長尺フィルムの製造方法。
〔11〕 前記工程(II-3)が、フィルム長手方向及びフィルム幅方向の両方に区分して設定された領域を一単位として、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかった前記エリアの前記面積を測定することを含み、
前記工程(II-4)が、前記一単位で測定される前記エリアの前記面積が所定の範囲に収まるように、前記工程(I)における前記凹凸部の形成の条件を制御することを含む、〔8〕~〔10〕のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
〔12〕 前記工程(I)が、複数の加工装置を用いてフィルム長手方向の異なる位置に前記凹凸部を形成することを含み、
前記工程(II-4)が、複数の前記加工装置が形成する前記凹凸部に対応した前記エリアの前記面積が同じ範囲に収まるように、前記工程(I)における前記凹凸部の形成の条件を制御することを含む、〔8〕~〔11〕のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
〔13〕 更に、前記工程(II-3)で測定された前記エリアの前記面積から、前記凹凸部の高さを計算する工程(III)を含む、〔8〕~〔12〕のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
〔14〕 前記凹凸部の高さが、1μm以上25μm以下である、〔8〕~〔13〕のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
〔15〕 前記工程(I)が、レーザー光又は熱を用いた加工処理によって前記凹凸部を形成することを含む、〔8〕~〔14〕のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
〔16〕 前記工程(I)が、前記凹凸部を、フィルム幅方向の端部に、フィルム長手方向に並んで複数形成することを含む、〔8〕~〔15〕のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
〔17〕 前記工程(II-2)が、前記樹長尺フィルムに対して前記平行光が照射された側とは反対側に設けられたカメラによって、前記長尺フィルムを透過した前記平行光を撮影することを含む、〔8〕~〔16〕のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
〔18〕 前記カメラが、ラインスキャンカメラである、〔17〕に記載の長尺フィルムの製造方法。
〔19〕 前記工程(II-2)が、前記長尺フィルムを透過した平行光が、更にテレセントリックレンズを透過してから撮影されることを含む、〔8〕~〔18〕のいずれか一項に記載の長尺フィルムの製造方法。
〔20〕 長尺フィルムに形成された凹凸部の高さの測定装置であって;
前記長尺フィルムに平行光を照射できる照射部と、
前記長尺フィルムを透過した前記平行光を撮影して、画像を取得できる撮影部と、
前記画像に基づき、前記凹凸部の高さを測定できる高さ測定部と、を含み;
前記高さ測定部が、
前記画像から、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかったエリアの面積を測定できる面積測定部と、
前記面積から、前記凹凸部の高さを計算できる高さ計算部と、
を含む、測定装置。
〔21〕 凹凸部を有する長尺フィルムの製造装置であって;
前記製造装置が、
樹脂フィルムに凹凸部を形成して、前記長尺フィルムを得ることができる凹凸形成部と、
前記凹凸形成部で形成される前記凹凸部の高さを制御できる高さ制御部と、を含み;
前記高さ制御部が、
前記長尺フィルムに平行光を照射できる照射部と、
前記長尺フィルムを透過した前記平行光を撮影して、画像を取得できる撮影部と、
前記画像から、前記平行光が前記長尺フィルムを直進透過できなかったエリアの面積を測定できる面積測定部と、
前記エリアの前記面積に基づいて、前記凹凸形成部における前記凹凸部の形成の条件を制御できる条件制御部と、を含む、長尺フィルムの製造装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、長尺フィルムの凹凸部の高さを簡単に測定できる測定方法及び測定装置;並びに、凹凸部の高さを制御しながら長尺フィルムを製造できる製造方法及び製造装置;を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る長尺フィルムを、当該長尺フィルムの厚み方向から見た様子を模式的に示す平面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る長尺フィルムが有する凹凸部を、厚み方向に平行な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る長尺フィルムが有する凹凸部の一つを、前記長尺フィルムの厚み方向から見た平面形状を模式的に示す平面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る長尺フィルムが有する凹凸部の角部の一つを、拡大して模式的に示す平面図である。
図5図5は、角部を形成するために照射されるレーザー光の照射点Pが移動する様子を、模式的に示す平面図である。
図6図6は、直線部を形成するために照射されるレーザー光の照射点Pが移動する様子を、模式的に示す平面図である。
図7図7は、本発明の第一実施形態に係る測定装置を模式的に示す正面図である。
図8図8は、テレセントリックレンズと、その焦点位置に設けられた絞りとを模式的に示す正面図である。
図9図9は、テレセントリックレンズと、その焦点位置に設けられた絞りとを模式的に示す正面図である。
図10図10は、本発明の第一実施形態に係る測定方法での測定対象となる長尺フィルムのフィルム幅方向TDの端部近傍を、拡大して模式的に示す平面図である。
図11図11は、本発明の第二実施形態に係る測定装置を模式的に示す正面図である。
図12図12は、本発明の第二実施形態に係る測定方法での測定対象となる長尺フィルムのフィルム幅方向TDの端部近傍を、拡大して模式的に示す平面図である。
図13図13は、本発明の第三実施形態に係る製造装置を模式的に示す正面図である。
図14図14は、本発明の第四実施形態に係る製造装置を模式的に示す正面図である。
図15図15は、本発明の第五実施形態に係る製造装置を模式的に示す正面図である。
図16図16は、本発明の第五実施形態に係る製造装置を用いて製造される長尺フィルムのフィルム幅方向TDの端部近傍を、拡大して模式的に示す平面図である。
図17図17は、実施例1で形成された凹凸部1の平面形状を示す模式的な平面図である。
図18図18は、実施例で測定された凹凸部の角部の平均高さの実測値と、その凹凸部に相当する影部エリアの平均画素数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態及び例示物を示して本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
【0011】
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。長尺のフィルムの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
【0012】
以下の説明において、「厚み方向」とは、別に断らない限り、フィルムの厚み方向を表す。
【0013】
以下の説明において、別に断らない限り、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」、「メタクリル」及びこれらの組み合わせを包含する用語であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」、「メタクリレート」及びこれらの組み合わせを包含する用語である。
【0014】
[1.長尺フィルムの概要]
長尺フィルムの凹凸部の高さの測定方法及び凹凸部を有する長尺フィルムの製造方法の説明に先立って、その凹凸部を有する長尺フィルムについて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る長尺フィルム100を、当該長尺フィルム100の厚み方向から見た様子を模式的に示す平面図である。図1に示すように、長尺フィルム100は、長尺のフィルムであって、少なくとも一方の面110Uに、凹凸部110を有する。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態に係る長尺フィルム100が有する凹凸部110を、厚み方向に平行な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。図2に示すように、凹凸部110は、長尺フィルム100の部分であって、当該凹凸部110の周囲のフィルム面110Uよりも突出した凸部111を含む。また、凹凸部110は、前記の凸部111よりも窪んで形成された凹部112を含んでいてもよい。
【0016】
通常、前記の凹凸部110は、凹部112に含まれていた樹脂の一部又は全部が凸部111に移動して形成されたものである。よって、通常、凹凸部110には、凸部111と凹部112とが組み合わせて含まれる。例えば、レーザー光を用いた加工処理によって形成された凹凸部110において、凹部112は、レーザー光の照射による熱溶融又はアブレーションによって樹脂が取り除かれた部分に相当し、また、凸部111は、前記のレーザー光の照射によって加熱されて流動化した樹脂が盛り上がった部分に相当しうる。したがって、レーザー光を用いた加工処理によって形成された凹凸部110は、図2に示すように、凹部112と、凹部112の両側に設けられた凸部111とを含みうる。
【0017】
凸部111が、周囲の長尺フィルム100の面100Uよりも突出していることにより、この凹凸部110においては長尺フィルム100の実質的な厚みが厚くなっている。そのため、長尺フィルム100の搬送性及び巻回性などの取り扱い性を良好にできる。
【0018】
凹凸部110の高さHは、当該凹凸部110の凸部111の厚み方向のサイズを表す。凹凸部110の高さHは、均一でもよく、不均一でもよい。例えば、後述するように線状の平面形状を有する凹凸部110は、その角部と直線部とで、高さHが異なりうる。また、図2に示す例のように複数の凸部111を有する凹凸部110では、一方の凸部111と他方の凸部111とで、その高さHが異なりうる。よって、後述する測定方法では、測定対象となる領域において凹凸部110の高さHが均一である場合には、当該凹凸部110の高さHを一の値で測定でき、測定対象となる領域において凹凸部110の高さHが不均一である場合には、当該凹凸部110の高さHの代表値を測定することができる。代表値としては、最大高さ、平均高さ、などが挙げられる。以下の説明では、前記の代表値のように、本実施形態に係る測定方法で測定される対象としての高さを特に「代表高さ」と呼ぶことがある。
【0019】
凹凸部110の高さHの具体的な範囲は、通常1μm以上、好ましくは2μm以上、特に好ましくは3μm以上であり、通常25μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。凹凸部110の高さHが不均一である場合、後述する測定方法で測定されるべき代表高さ(上述した高さの代表値、等)の実測値が、前記の範囲にあることが好ましい。顕微鏡、三次元表面プロファイラーなどの測定器を用いて実測された高さHの実測値が前記範囲にある凹凸部110を、後述した測定方法によれば、高い精度で簡単に測定することが可能である。
【0020】
凹凸部110の幅Wは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.15μm以上、特に好ましくは0.2μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.75μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。凹凸部110の幅Wが、前記範囲の下限値以上である場合、長尺フィルム100の取り扱い性を効果的に改善できる。また、凹凸部110が前記の幅Wを有する場合、後述する測定方法による代表高さの測定を、特に高い精度で行うことができる。
【0021】
図3は、本発明の一実施形態に係る長尺フィルム100が有する凹凸部110の一つを、前記長尺フィルム100の厚み方向から見た平面形状を模式的に示す平面図である。凹凸部110の平面形状に特に制限は無いが、凹凸部110によって長尺フィルム100の取り扱い性を効果的に高める観点では、連続した線状の平面形状を有するように形成することが好ましい。「平面形状」とは、別に断らない限り、厚み方向から見た形状を表す。例えば凹凸部110がレーザー光を用いた加工処理によって形成されたものである場合、線状の凹凸部110は、レーザー光の照射点が移動した跡として、一筆書き状に連続する線として形成されうる。このように凹凸部110が連続した線状の平面形状を有するように形成されている場合、通常は、当該凹凸部110の延在方向に垂直な面IIで切った断面が、上述した図2に示すようになる。本実施形態では、図3に示すように、厚み方向から見て凹凸部110が連続する線状に形成され、その連続する線状の凹凸部110が全体として閉環形状を形成している例を示して説明する。このように連続する一本の線状に形成された凹凸部110の全体を、以下「ナール部」120と呼ぶことある。
【0022】
線状の凹凸部110の平面形状は、直線、曲線、及びそれらの組み合わせを含みうるが、角部130を含むことが好ましい。また、連続する線状の凹凸部110で形成される一つのナール部120は、1つの角部130のみを含んでいてもよいが、複数個の角部130を含むことが好ましい。通常、線状に形成された凹凸部110の高さは、角部130において高くなる傾向がある。よって、角部130を含む平面形状を採用した場合、当該角部130において凹凸部110を高くできるので、長尺フィルム100の搬送性及び巻回性などの取り扱い性を特に良好にできる。本実施形態では、ナール部120が、直線状に延在する凹凸部110によって形作られた複数の直線部140と、それら直線部140が交わる複数の角部130とを含む平面形状を有する例を示して説明する。
【0023】
図4は、本発明の一実施形態に係る長尺フィルム100が有する凹凸部110の角部130の一つを、拡大して模式的に示す平面図である。角部130は、巨視的に見ると尖った角になっているが、微視的に見ると、図4に示すように丸みを帯びていることがありうる。この際、前記の丸みを帯びた部分の曲率半径Rを、当該角部130の曲率半径ということがある。角部130において凹凸部110を高くする観点では、角部130の曲率半径Rは、小さいことが好ましい。角部130の曲率半径Rは、具体的には、好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.2mm以下である。
【0024】
また、角部130において凹凸部110を高くする観点では、角部130の角度θは、小さいことが好ましい。ここで、角部130の角度θとは、巨視的に見た時に角部130において交わる2本の直線部140を延長し、延長した線140a及び140bが交わる角度θでありうる。角部130の角度θは、具体的には、好ましくは120°以下、より好ましくは110°以下である。
【0025】
例えば、凹凸部110がレーザー光を用いた加工処理によって形成される場合、下記の仕組みにより、角部130において凹凸部110の高さが高くなりうる。
図5は、角部130を形成するために照射されるレーザー光の照射点Pが移動する様子を、模式的に示す平面図である。また、図6は、直線部140を形成するために照射されるレーザー光の照射点Pが移動する様子を、模式的に示す平面図である。図5及び図6においては、照射点Pは、矢印A1及びA2が示す方向に移動する様子を示している。
レーザー光を用いて線状に連続する凹凸部110を形成する場合、通常は、図5及び図6に示すように、レーザー光の照射点Pを移動させながら、フィルムにレーザー光を照射する。直線部140を形成する場合には、図6に示すように、照射点Pは直線状に移動する。他方、角部130を形成する場合には、図5に示すように、照射点Pは、急峻な角度で曲がるように移動する。急峻に曲がるように照射点Pを移動させた場合、その移動方向の内側部分では、レーザー光の照射時間が長くなるので、照射されるレーザー光のエネルギー密度が大きくなりうる。よって、角部130においては、凹凸部110の高さが高くなりうる。
【0026】
また、例えば、凹凸部110が熱を用いた加工処理によって形成される場合、下記の仕組みにより、角部130において凹凸部110の高さが高くなりうる。
熱を用いて線状に連続する凹凸部110を形成する場合、通常は、加熱された型をフィルムに当接させる。型に当接して加熱されたフィルム中の樹脂は、流動化して移動しうる。しかし、その樹脂の移動できる範囲は、型によって制約される。このとき、角部130の内側では、流動化した樹脂が移動できる範囲が型によって狭く制約される。よって、樹脂は厚み方向に大きく移動するので、角部130においては、凹凸部110の高さが高くなりうる。よって、角部130は、その内側の方が若干高くなる傾向がある。
【0027】
図3に示すように、凹凸部110が連続する一本の線状に形成されてナール部120を形成している場合、このナール部120の寸法は、特に制限されない。好ましい例を示すと、フィルム幅方向TDにおけるナール部120の1つ当たりの長さLTDは、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、特に好ましくは7mm以上であり、好ましくは20mm以下、より好ましくは17mm以下、特に好ましくは15mm以下である。また、フィルム長手方向MDにおけるナール部120の1つ当たりの長さLMDは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、特に好ましくは1mm以上であり、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下、特に好ましくは10mm以下である。
【0028】
図1に示すように、凹凸部110としてのナール部120は、通常、一つの長尺フィルム100に複数形成される。これら複数のナール部120は、一般に、フィルム長手方向MDに並んで設けられている。また、ナール部120は、通常、フィルム幅方向TDの少なくとも一方の端部に設けられ、好ましくは両方の端部に設けられる。各ナール部120を厚み方向から見た平面形状は、異なっていてもよいが、本実施形態では、いずれも同じである例を示す。
【0029】
ナール部120がフィルム長手方向MDに並んで設けられている場合、ナール部120のピッチは、特に制限は無い。好ましい例を示すと、フィルム長手方向MDにおけるナール部120のピッチは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、特に好ましくは1.5mm以上であり、好ましくは10mm以下、より好ましくは7mm以下、特に好ましくは5mm以下である。また、ナール部120のピッチは、一定でもよく、異なっていてもよい。
【0030】
上述した長尺フィルムは、樹脂を含むフィルムでありうる。この長尺フィルムは、延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよい。また、前記の長尺フィルムは、基材層のみを備える単層フィルムであってもよく、基材層に組み合わせて更に任意の層を備える複層フィルムであってもよい。
【0031】
基材層としては、通常、樹脂で形成された層を用いる。よって、基材層は、通常は樹脂を含み、好ましくは樹脂のみを含む。このような樹脂としては、長尺フィルムの用途に応じて様々な樹脂を用いることができ、例えば、環状オレフィン樹脂及び(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
【0032】
環状オレフィン樹脂は、環状オレフィン重合体を含む樹脂である。環状オレフィン重合体は、機械特性、耐熱性、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れる。
【0033】
環状オレフィン重合体とは、その重合体の構造単位が脂環式構造を有する重合体を表す。環状オレフィン重合体は、主鎖に脂環式構造を有する重合体、側鎖に脂環式構造を有する重合体、主鎖及び側鎖に脂環式構造を有する重合体、並びに、これらの2以上の任意の比率の混合物としうる。中でも、機械的強度及び耐熱性の観点から、主鎖に脂環式構造を有する重合体が好ましい。
【0034】
脂環式構造の例としては、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、及び不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造が挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
【0035】
脂環式構造を構成する炭素原子数は、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲であると、樹脂の機械強度、耐熱性及び成形性が高度にバランスされる。
【0036】
環状オレフィン重合体において、脂環式構造を有する構造単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。環状オレフィン重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合がこの範囲にあると、透明性及び耐熱性が良好となる。
【0037】
環状オレフィン重合体としては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び、これらの水素化物等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体及びその水素化物は、成形性が良好なため、特に好適である。
【0038】
ノルボルネン系重合体及びその水素化物の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びその水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びその水素化物が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の開環単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の開環共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる他の単量体との開環共重合体が挙げられる。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の付加単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の付加共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる他の単量体との付加共重合体が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素化物は、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適である。
【0039】
環状オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量が前記の範囲にある場合、樹脂の機械的強度および成型加工性が高度にバランスされる。
【0040】
環状オレフィン重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.8以上であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.7以下である。分子量分布が前記範囲の下限値以上である場合、重合体の生産性を高め、製造コストを抑制できる。また、上限値以下である場合、低分子成分の量が小さくなるので、高温曝露時の緩和を抑制して、フィルムの安定性を高めることができる。
【0041】
重量平均分子量及び数平均分子量は、溶媒としてシクロヘキサンを用いてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量である。但し、前記のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーでは、試料がシクロヘキサンに溶解しない場合には、溶媒としてトルエンを用いてもよい。
【0042】
環状オレフィン重合体のガラス転移温度は、好ましくは130℃以上、より好ましくは135℃以上であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下である。ガラス転移温度が前記範囲の下限値以上である場合、高温下におけるフィルムの耐久性を良好にできる。また、ガラス転移温度が前記範囲の上限値以下である場合、延伸処理を容易に行うことが可能である。
【0043】
前記の環状オレフィン重合体としては、例えば、国際公開第2017/145718号に記載のものを用いうる。
【0044】
環状オレフィン樹脂における環状オレフィン重合体の割合は、好ましくは50重量%~100重量%、より好ましくは70重量%~100重量%、特に好ましくは90重量%~100重量%である。重合体の割合が前記範囲である場合、十分な耐熱性及び透明性を得られる。
【0045】
環状オレフィン樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない限り、環状オレフィン重合体以外の任意の成分を含みうる。任意の成分の例を挙げると、顔料、染料等の着色剤;蛍光増白剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;酸化防止剤;滑剤;などが挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0046】
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル重合体を含む樹脂である。(メタ)アクリル重合体とは、アクリル酸又はアクリル酸誘導体の重合体を意味し、例えばアクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸およびメタクリル酸エステルなどの重合体及び共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル重合体は強度が高く硬いため、機械的強度の高いフィルムを実現できる。
【0047】
(メタ)アクリル重合体としては、(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られる構造を有する構造単位を含む重合体が好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸と、炭素数1~15のアルカノール又はシクロアルカノールとから誘導される構造を有する化合物が好ましい。さらには、(メタ)アクリル酸と、炭素数1~8のアルカノールとから誘導される構造を有する化合物がより好ましい。炭素数を前記のように小さくすることにより、フィルム破断時の伸びを小さくすることができる。
【0048】
アクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸i-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸i-ブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-デシル、アクリル酸n-ドデシルなどが挙げられる。
【0049】
また、メタクリル酸エステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸i-プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸i-ブチル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-デシル、メタクリル酸n-ドデシルなどが挙げられる。
【0050】
さらに、前記の(メタ)アクリル酸エステルは、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、例えば水酸基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。そのような置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチル、メタクリル酸3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0051】
また、(メタ)アクリル重合体は、アクリル酸又はアクリル酸誘導体のみの重合体であってもよいが、アクリル酸又はアクリル酸誘導体とこれに共重合可能な任意の単量体との共重合体でもよい。任意の単量体としては、例えば、上述した(メタ)アクリル酸エステル以外のα,β-エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、並びに、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸単量体、アルケニル芳香族単量体、共役ジエン単量体、非共役ジエン単量体、カルボン酸不飽和アルコールエステル、およびオレフィン単量体などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0052】
(メタ)アクリル重合体が任意の単量体を含む場合、当該(メタ)アクリル重合体における任意の単量体を重合して得られる構造を有する構造単位の量は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
【0053】
これらの(メタ)アクリル重合体のうち、ポリメタクリレートが好ましく、中でもポリメチルメタクリレートがより好ましい。
【0054】
前記の(メタ)アクリル重合体としては、例えば、国際公開第2017/145718号に記載のものを用いうる。
【0055】
(メタ)アクリル樹脂における(メタ)アクリル重合体の割合は、好ましくは50重量%~100重量%、より好ましくは70重量%~100重量%、特に好ましくは90重量%~100重量%である。重合体の割合が前記範囲にある場合、十分な機械的強度を得られる。
【0056】
(メタ)アクリル樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない限り、(メタ)アクリル重合体以外の任意の成分を含みうる。任意の成分の例を挙げると、環状オレフィン樹脂が含みうる任意の成分と同様の例が挙げられる。また、任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0057】
前記の基材層は、樹脂を適切なフィルム成形法で成形することによって、製造しうる。フィルム成形法としては、例えば、キャスト成形法、押出成形法、インフレーション成形法などが挙げられる。中でも、溶媒を使用しない溶融押出法は、残留揮発成分量を効率よく低減させることができ、地球環境及び作業環境の観点、並びに、製造効率に優れる観点から、好ましい。溶融押出法としては、ダイスを用いるインフレーション法を用いてもよいが、生産性及び厚さ精度に優れる点で、Tダイ法が好ましい。
【0058】
長尺フィルムとして、2層以上の層を備える複層フィルムを用いる場合、当該複層フィルムは、基材層及び機能層を備えることが好ましい。機能層は、基材層の片側に設けられていてもよく、両側に設けられていてもよい。中でも、機能層は、基材層の凹凸部側に設けられていることが好ましく、機能層の表面に凹凸部が設けられていることが更に好ましい。
このような機能層としては、例えば、帯電防止層、ハードコート層、密着防止層、易接着層などが挙げられる。
【0059】
帯電防止層とは、小さい表面抵抗値を有する層をいう。帯電防止層の具体的な表面抵抗値は、好ましくは1.0×10Ω/□以上、より好ましくは1.0×10Ω/□以上、特に好ましくは1.0×10Ω/□以上であり、好ましくは1.0×1010Ω/□以下、より好ましくは5.0×10Ω/□以下、特に好ましくは1.0×10Ω/□以下である。表面抵抗値は、JIS K6911に準拠して、ディジタル超絶縁/微少電流計(日置電気社製「DSM-8104」)を用いて測定しうる。このような帯電防止層は、例えば、金属酸化物粒子等の導電性粒子と重合体とを含む樹脂により形成しうる。
【0060】
ハードコート層とは、高い硬度を有する層をいう。ハードコート層の具体的な硬度をJIS鉛筆硬度で示すと、好ましくはB以上、より好ましくはHB以上、特に好ましくはH以上である。ここで、JIS鉛筆硬度は、JIS K5600-5-4に準拠して、各種硬度の鉛筆を45°傾けて、上から500g重の荷重を掛けて層の表面を引っ掻き、傷が付きはじめる鉛筆の硬さである。このようなハードコート層は、例えば、樹脂により形成しうる。
【0061】
密着防止層とは、粗い表面を有し、他のフィルムと重ねた時にフィルム間の密着を抑制しうる層をいう。このような密着防止層は、例えば、重合体及び粒子を含む樹脂により形成しうる。
【0062】
易接着層とは、当該易接着層の表面を別の部材と貼り合わせる際に高い接着性を発揮しうる層をいう。このような易接着層は、例えば、重合体を含む樹脂により形成しうる。
【0063】
前記の機能層のなかでも、易接着層が好ましい。易接着層は、水系樹脂を含む層とすることが好ましい。水系樹脂とは、水を媒体とした溶液または分散液として調製されうる樹脂である。水系樹脂を含む水溶液又は水分散液を基材層の表面に塗布して乾燥することにより、基材層の表面に、水系樹脂の層を形成することができる。水系樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、およびそれぞれの樹脂のエマルジョンなどが挙げられ、好ましくは水系ウレタン樹脂が挙げられる。
【0064】
前記の機能層としては、例えば、国際公開第2017/145718号に記載のものを用いうる。
【0065】
長尺フィルム100の幅及び厚みには特に制限は無く、使用目的に応じた幅及び厚みを採用しうる。長尺フィルム100の幅は、好ましくは700mm以上、より好ましくは1000mm以上、さらにより好ましくは1200mm以上であり、好ましくは2500mm以下、より好ましくは2200mm以下、さらにより好ましくは2000mm以下である。また、長尺フィルム100の厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらにより好ましくは20μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは300μm以下、さらにより好ましくは150μm以下である。
【0066】
長尺フィルム100は、光学フィルムとして用いる場合には、凹凸部110の無い領域において、高い透明性を有することが好ましい。具体的には、凹凸部110の無い領域における長尺フィルム100の全光線透過率は、好ましくは85%~100%、より好ましくは92%~100%である。また、前記の領域における長尺フィルム100のヘイズは、好ましくは0%~5%、より好ましくは0%~3%、特に好ましくは0%~2%である。ここで、全光線透過率は、JIS K7105に準拠して、日本電色工業社製「濁度計 NDH-2000」を用いて測定しうる。また、ヘイズは、日本電色工業社製の濁度計「NDH2000」を用いて測定しうる。
【0067】
[2.凹凸部の高さの測定方法に係る第一実施形態]
上述した長尺フィルムの凹凸部の高さの測定方法に係る第一実施形態について、以下、説明する。この測定方法は、長尺フィルムに形成された凹凸部の代表高さの測定方法であって、長尺フィルムに平行光(コリメート光)を垂直に照射する工程(i)と、長尺フィルムを透過した平行光を撮影して、画像を取得する工程(ii)と、画像に基づき、凹凸部の代表高さを測定する工程(iii)と、を含む。また、工程(iii)は、工程(ii)で取得した画像から、平行光が長尺フィルムを直進透過できなかったエリアの面積を測定する工程(iii-1)と、この面積から凹凸部の代表高さを計算する工程(iii-2)と、を含む。
【0068】
工程(i)において長尺フィルムに照射された平行光は、凹凸部以外の部分においては、長尺フィルムの表面を垂直方向に進行するので、長尺フィルムを直進透過できる。ここで、光が長尺フィルムを「直進透過」するとは、その光が長尺フィルムに進入する入射方向と、その長尺フィルムを透過した光が長尺フィルムを出ていく出射方向とが一致するように、光が長尺フィルムを透過することをいう。しかし、長尺フィルムに照射された平行光は、凹凸部においては、当該凹凸部の表面に大きな入射角で入射するので、屈折を生じ、長尺フィルムを直線透過できない。よって、長尺フィルムを透過した平行光を撮影する工程(ii)で取得される画像には、凹凸部以外の部分は相対的に明るいエリアとして現れ、凹凸部は相対的に暗いエリアとして現れる。したがって、前記の相対的に暗いエリアの面積は、平行光が長尺フィルムを直進透過できなかったエリアの面積を表し、その面積は、厚み方向から見た凹凸部の面積に相当する。以下の説明では、平行光が長尺フィルムを直進透過できなかったエリアは、相対的に暗いエリアとして撮影されるので「影部エリア」と呼ぶことがあり、その影部エリア以外のエリア(即ち、平行光が長尺フィルムを直進透過できたエリア)を「明部エリア」と呼ぶことがある。本発明者の検討によれば、厚み方向から見た凹凸部の面積と、その凹凸部の代表高さとが比例することが判明している。そこで、本実施形態に係る測定方法では、凹凸部の面積に相当する「平行光が長尺フィルムを直進透過できなかった影部エリアの面積」から、その凹凸部の代表高さを計算して、凹凸部の代表高さの測定を達成している。以下、この実施形態に係る測定方法について、図面を示して説明する。
【0069】
図7は、本発明の第一実施形態に係る測定装置200を模式的に示す正面図である。図7に示すように、本発明の第一実施形態に係る測定装置200は、長尺フィルム100に形成された凹凸部(図7では図示せず。)の代表高さの測定装置であって、照射部210と、撮影部220と、高さ測定部230と、を備える。
【0070】
照射部210は、長尺フィルム100に平行光Lを照射できるように設けられている。平行光Lとしては、長尺フィルム100を透過できる波長の光を採用しうる。通常、長尺フィルム100は可視光線を透過しうるので、平行光Lとしては、可視波長の光を採用する。可視波長とは、別に断らない限り、400nm以上780nm以下の波長範囲をいう。
【0071】
照射部210は、平行光Lを、長尺フィルム100に対して垂直に照射できるように設けられている。ここで、平行光Lが長尺フィルム100に対して「垂直」とは、長尺フィルム100の主面に対して平行光Lの進行方向が垂直であることを表す。長尺フィルム100は凹凸部(図7では図示せず。)を有するので、微視的に見ると長尺フィルム100の主面には凹凸がありうるが、その場合、それらの凹凸を無視して長尺フィルム100を巨視的に見た場合の主面に対して平行光Lが垂直であることが好ましい。このように照射された平行光Lは、通常、厚み方向において長尺フィルム100に入射する。また、平行光Lが長尺フィルム100に対して「垂直」には、凹凸部の代表高さの測定に要求される精度に応じて、誤差が含まれていてもよい。具体的には、平行光Lの進行方向と、その平行光Lを照射される長尺フィルム100の主面とがなす角度は、好ましくは85°~90°、より好ましくは87°~90°、更に好ましくは89°~90°であり、特に好ましくは90°である。
【0072】
照射部210は、長尺フィルム100のフィルム幅方向TDの全体に平行光Lを照射してもよく、一部に照射してもよい。通常、照射部210は、長尺フィルム100の少なくとも凹凸部を含む部分に平行光Lを照射するように設けられる。よって、図1に示すようにフィルム幅方向TDの端部に設けられた凹凸部110の代表高さを測定する場合、照射部210は、長尺フィルム100のフィルム幅方向TDの端部を含む部分に平行光Lを照射できるように設けられうる。
【0073】
本実施形態においては、長尺フィルム100を透過できる波長の光を発することができる光源211と、この光源211から発せられた光を平行光Lに変換できるコリメータレンズ212とを備える照射部210を用いた例を示して説明する。
【0074】
撮影部220は、長尺フィルム100を透過した平行光Lを撮影して、画像を取得できるように設けられている。長尺フィルム100を透過した平行光Lを撮影するので、撮影部220は、通常、長尺フィルム100に対して平行光Lが照射された側とは反対側(よって、照射部210とは反対側)に設けられたカメラ221を備える。このカメラ221としては、連続的に搬送される長尺フィルム100を高速かつ連続して撮影できるように、ラインスキャンカメラを採用することが好ましい。
【0075】
撮影部220は、長尺フィルム100を透過した平行光Lが、更にテレセントリックレンズを透過してから撮影されることができるように設けられていることが好ましい。よって、撮影部220は、テレセントリックレンズ222及び223を備えることが好ましい。テレセントリックレンズ222を用いれば、長尺フィルム100を透過した平行光Lから、長尺フィルム100を直進透過できなかった光線を効果的に排除できる。また、テレセントリックレンズ223を用いれば、当該テレセントリックレンズ223からカメラ221までの距離によって画像の倍率を変化させないことができる。したがって、テレセントリックレンズ222及び223を用いることにより、凹凸部の代表高さの測定精度の向上ができる。
【0076】
以下、図面を示して、テレセントリックレンズ222及び223の役割を詳しく説明する。図8及び図9は、テレセントリックレンズ222及び223と、その焦点位置に設けられた絞り224とを模式的に示す正面図である。
【0077】
図8及び図9に示すように、光軸が平行に設けられたテレセントリックレンズ222及び223の焦点位置に、絞り224が設けられた場合を想定する。テレセントリックレンズは、通常、当該レンズ全体で主光線が光軸に対して平行である。よって、図7に示すように長尺フィルム100を直進透過した平行光Lは、長尺フィルム100に近い一方のテレセントリックレンズ(以下「物体側テレセントリックレンズ」ということがある。)222を透過し、図8に示すように、絞り224の開口224Hを通過することができる。しかし、長尺フィルム100の凹凸部を透過した光は、凹凸部で屈折を生じるので、長尺フィルム100を直進透過できない。このような長尺フィルム100を直進透過できなかった光線Lが生じた場合、図9に示すように、その光線Lは絞り224の開口224Hに集まることができず、絞り224によって遮られる。したがって、物体側テレセントリックレンズ222によれば、長尺フィルム100を直進透過できなかった光線Lを効果的に排除できる。よって、平行光Lが直進透過できない部分としての凹凸部を透過した光線Lを適切に排除できるから、カメラ221で撮影される画像において、凹凸部に相当する影部エリアを効果的に暗くできる。そうすると、凹凸部に相当する影部エリアと、凹凸部以外の部分に相当する明部エリアとの区別を、明確化できる。よって、平行光Lが長尺フィルム100を直進透過できなかった影部エリアの面積としての凹凸部の面積を高い精度で測定できるので、凹凸部の高さの測定精度を向上させることができる。
【0078】
また、図8に示すように、絞り224を通過した光は、他方のテレセントリックレンズ(以下「像側テレセントリックレンズ」ということがある。)223を透過する。テレセントリックレンズ223を透過した光は、像側テレセントリックレンズ223の光軸に平行な平行光となって、カメラ221(図7参照。)によって撮影される。よって、像側テレセントリックレンズ223とカメラ221との距離に依らず、一定の倍率で、カメラ221による撮影が可能である。したがって、カメラ221の位置による倍率の変動の影響を抑制できるから、平行光Lが長尺フィルム100を直進透過できなかった影部エリアの面積としての凹凸部の面積を高い精度で測定できるので、凹凸部の高さの測定精度を向上させることができる。
【0079】
本実施形態においては、図7に示すように、長尺フィルム100に近い順に、物体側テレセントリックレンズ222、絞り224、像側テレセントリックレンズ223及びカメラ221を備える撮影部220を用いた例を示して説明する。また、この撮影部220は、カメラ221が撮影した画像の情報を、高さ測定部230に送ることができるように設けられている。
【0080】
高さ測定部230は、撮影部220で取得された画像に基づき、長尺フィルム100の凹凸部の代表高さを測定できるように設けられている。この高さ測定部230は、面積測定部231と、高さ計算部232と、を含む。
【0081】
面積測定部231は、撮影部220で取得された画像の情報を取り込み、その画像から、平行光Lが長尺フィルム100を直進透過できなかった影部エリアの面積を測定できるように設けられている。上述したように、影部エリアの面積は、長尺フィルム100に形成された凹凸部の面積に相当する。よって、面積測定部231によれば、凹凸部の面積の情報を得ることができる。
【0082】
通常、画像は、多数の画素によって表される。よって、面積測定部231が取り込む画像の情報には、画素の情報が含まれる。面積測定部231は、例えば、一定の閾値以下の輝度を有する画素の数をカウントし、そのカウントした画素の数を影部エリアの面積として測定してもよい。この際、閾値は、明部エリアの画素の輝度と影部エリアの画素の輝度との間の適切な値を設定でき、例えば、画面の最も明るい画素の輝度と最も暗い輝度との中央の値を採用してもよい。また、画素数は、精度向上のためには大きいことが好ましく、例えば、2800dpi以上でありうる。
【0083】
面積測定部231は、通常、適切に設定された領域を一単位として、影部エリアの面積の測定を行うように設けられる。前記のように影部エリアの面積の測定の一単位として設定される領域を、以下「測定単位領域」と呼ぶことがある。本実施形態に係る測定方法では、凹凸部の代表高さの値が、測定単位領域毎に測定できる。よって、測定される凹凸部の代表高さは、測定単位領域に含まれる凹凸部の高さHの代表値でありうる。したがって、測定単位領域は、代表高さを測定したい範囲に応じて設定することが好ましい。
【0084】
図10は、本発明の第一実施形態に係る測定方法での測定対象となる長尺フィルム100のフィルム幅方向TDの端部近傍を、拡大して模式的に示す平面図である。図10において、測定単位領域240同士は互いに離して図示したが、それら測定単位領域240は間を離さずに設定してもよい。図10に示すように、面積測定部231は、少なくともフィルム長手方向MDに区分して設定された測定単位領域240を一単位として、前記の影部エリアの面積を測定することが好ましい。長尺フィルム100は、一般に、フィルム長手方向MDに搬送されながら凹凸部110の形成がなされる。この際、製造途中で凹凸部110の形成条件が変動することがあるので、凹凸部110の高さHは、フィルム長手方向MDにおいて一定でないことがありえた。そこで、凹凸部110の高さHの詳細な情報を得る観点では、少なくともフィルム長手方向MDに区分して測定単位領域240を設定し、その測定単位領域240毎に凹凸部110の代表高さを測定することが好ましい。
【0085】
本実施形態では、各測定単位領域240にナール部120が一つずつ含まれるように、長尺フィルム100をフィルム長手方向MDに区分して測定単位領域240を設定した例を示して説明する。よって、面積測定部231は、こうして設定された測定単位領域240毎に影部エリアの面積を測定し、その測定した面積の情報を、高さ計算部232に送ることができるように設けられている。
【0086】
高さ計算部232は、面積測定部231で測定された影部エリアの面積の情報を取り込み、その面積から、長尺フィルム100の凹凸部の代表高さを計算できるように設けられている。長尺フィルム100の凹凸部の代表高さが、その凹凸部の面積に比例することが、実験的に確認されている。よって、測定単位領域240それぞれにおいて、凹凸部の面積に相当する影部エリアの面積から、その影部エリアに相当する凹凸部の代表高さを計算することができる。
【0087】
例えば、高さ計算部232は、一つの測定単位領域240で測定されうる影部エリアの面積、及び、その影部エリアの面積に対応する凹凸部の代表高さの情報を含むテーブルを記憶していてもよい。このようなテーブルを記憶している高さ計算部232は、面積測定部231から送られる影部エリアの面積に対応する凹凸部の代表高さをテーブルから読みだして、凹凸部の代表高さを求めることができる。
【0088】
また、例えば、高さ計算部232は、一つの測定単位領域240で測定されうる影部エリアの面積、及び、その影部エリアの面積に対応する凹凸部の代表高さの関係を表す関数を記憶していてもよい。この関数は、通常、一次関数である。このような関数を記憶している高さ計算部232は、面積測定部231から送られる影部エリアの面積を前記の関数に当て嵌めて計算して、凹凸部の代表高さを求めることができる。
【0089】
前記のテーブル及び関数は、例えば、実験により用意することができる。具体例を挙げると、影部エリアの面積を測定することと、その影部エリアに対応する凹凸部の代表高さを実測することとを繰り返して、影部エリアの面積と凹凸部の代表高さとの組み合わせの情報を複数得る。そうして得られた情報を、影部エリアの面積及び凹凸部の代表高さを軸とする座標にプロットし、検量線を引く。検量線は、例えば、最小二乗法によって原点(即ち、影部エリアの面積及び凹凸部の代表高さの両方が0(ゼロ)である点)を通る直線として引く。そして、この検量線から、テーブル及び関数を得ることができる。
【0090】
高さ計算部232が計算する凹凸部の代表高さは、図10に示すように、測定対象となった測定単位領域240に含まれる凹凸部110の高さHの代表値でありうる。この代表値としての代表高さは、例えば、その測定単位領域240に含まれる凹凸部110の最大高さ、平均高さ、等であってもよい。特に、本実施形態に示す例のように、角部130を含む平面形状に形成された凹凸部110では、その角部130において凹凸部110の高さHが大きくなる傾向がある。よって、長尺フィルム100の取り扱い性には、この角部130における凹凸部110の高さHが大きな影響を与えうる。そこで、長尺フィルム100の取り扱い性を良好にするためには、角部130における凹凸部110の高さHを調整することが好ましいので、測定対象とすべき代表高さとしては、角部130における凹凸部110の高さHの代表値を採用することが好ましい。本実施形態では、測定単位領域240に含まれる複数の角部130における凹凸部110の平均高さを、代表高さとして採用した例を示して説明する。
【0091】
上述した高さ測定部230及びそれに含まれる面積測定部231及び高さ計算部232のハードウェア構成に制限はない。高さ測定部230、面積測定部231及び高さ計算部232は、例えば、CPU等のプロセッサ、RAM及びROM等のメモリ、入出力端子等のインターフェースなどで構成されるコンピュータでありえる。このコンピュータは、予めメモリ等の記録装置に記録された制御内容に従って、制御を行うように設けうる。
【0092】
上述した測定装置200を用いた長尺フィルム100の凹凸部110の代表高さの測定方法は、
長尺フィルム100に平行光Lを垂直に照射する工程(i)と、
長尺フィルム100を透過した平行光Lを撮影して、画像を取得する工程(ii)と、
前記画像に基づき、長尺フィルム100の凹凸部110の代表高さを測定する工程(iii)と、
を含む。
【0093】
具体的には、図7に示すように、長尺フィルム100をフィルム長手方向MDに連続的に搬送して、測定装置200に長尺フィルム100を供給する。本実施形態では、長尺フィルム100を巻き取って得られたフィルムロール150から、長尺フィルム100を繰り出し、測定装置200に供給する。この際、長尺フィルム100の表裏の向きは、制限されない。よって、長尺フィルム100の凹凸部がある側の面は、照射部210に向いていてもよく、撮影部220に向いていてもよい。
【0094】
測定装置200に長尺フィルム100が供給されると、照射部210が長尺フィルム100に平行光Lを垂直に照射する工程(i)が行われる。詳細には、長尺フィルム100を透過できる波長の光が光源211から発せられ、その光がコリメータレンズ212を透過することで平行光Lに変換される。そして、その平行光Lが、長尺フィルム100に対して垂直に照射される。通常、照射部210は、長尺フィルム100の少なくとも凹凸部110を含む部分に平行光Lを照射する。本実施形態に示す例では、長尺フィルム100のフィルム幅方向TDの端部に凹凸部110が形成されているので、照射部210は、長尺フィルム100のフィルム幅方向TDの端部に平行光Lを照射する。
【0095】
照射部210から照射された平行光Lは、長尺フィルム100を透過する。そこで、本実施形態に係る測定方法では、このように長尺フィルム100を透過した平行光Lを撮影して、画像を取得する工程(ii)を行う。詳細には、長尺フィルム100を透過した平行光Lは、更に物体側テレセントリックレンズ222、絞り224及び像側テレセントリックレンズ223をこの順に透過した後で、カメラ221によって撮影される。カメラ221によって撮影される平行光Lは、長尺フィルム100の凹凸部110の無い部分を直進透過した光である。よって、カメラ221で取得される画像には、この撮影された平行光Lによって、凹凸部110以外の部分が、相対的に明るい明部エリアとして表示される。また、凹凸部110を透過した光は、凹凸部110を透過する際に屈折を生じるので、長尺フィルム100を直進透過できない。よって、凹凸部110を透過した光は、物体側テレセントリックレンズ222を透過した後、絞り224で遮られるから、カメラ221によって撮影されないか、撮影されるとしても暗い。よって、カメラ221で取得される画像には、凹凸部110が、相対的に暗い影部エリアとして表示される。このように明部エリア及び影部エリアを含む長尺フィルム100の画像の情報は、高さ測定部230へと送られる。
【0096】
撮影部220から画像の情報が送られた高さ測定部230では、その画像に基づき、長尺フィルム100の凹凸部110の代表高さを測定する工程(iii)を行う。この工程(iii)は、
前記の画像から、平行光Lが長尺フィルム100を直進透過できなかった影部エリアの面積を測定する工程(iii-1)と、
影部エリアの面積から、凹凸部110の代表高さを計算する工程(iii-2)と、
を含む。
【0097】
詳細には、撮影部220で取得された画像の情報は面積測定部231に取り込まれる。そして、面積測定部231が、取り込んだ画像から、平行光Lが長尺フィルム100を直進透過できなかった影部エリアの面積を測定する工程(iii-1)を行う。このとき、本実施形態に係る面積測定部231は、図10に示すように、フィルム長手方向MDに区分して設定された測定単位領域240を一単位として、前記の影部エリアの面積を測定する。例えば、画像に含まれる画素のうち、閾値よりも暗い輝度を有する画素の数をカウントして、その画素の数を影部エリアの面積として得てもよい。こうして測定される影部エリアの面積は、長尺フィルム100に形成された凹凸部の面積に相当する。よって、本実施形態で示す例のように、各測定単位領域240にナール部120が一つずつ含まれるように測定単位領域240が設定されている場合、測定された影部エリアの面積は、一つのナール部120を形成する凹凸部110全体の面積に相当する。こうして測定された影部エリアの面積の情報は、高さ計算部232に送られる。
【0098】
高さ計算部232は、面積測定部231から影部エリアの面積の情報を受け取ると、その影部エリアの面積から、凹凸部110の代表高さを計算する工程(iii-2)を行う。すなわち、長尺フィルム100の凹凸部の代表高さは、影部エリアの面積で表される凹凸部の面積に比例するので、高さ計算部232は、影部エリアの面積から、測定単位領域240に含まれる凹凸部110の代表高さを計算する。本実施形態に示す例では、高さ計算部232は、測定単位領域240における影部エリアの面積から、その測定単位領域240に含まれる凹凸部110の角部130の平均高さを、代表高さとして計算する。通常、こうして測定された凹凸部110の代表高さは、測定装置200に接続された出力装置(図示せず)に出力される。
【0099】
前記の凹凸部110の代表高さの測定は、長尺フィルム100を搬送しながら、連続的に行うことができる。よって、フィルム長手方向MDに並んで設けられたナール部120それぞれを含むように測定単位領域240を設定して測定を行うことにより、その測定単位領域240毎に代表高さの測定を行えるので、長尺フィルム100に設けられた全てのナール部120について、その凹凸部110の代表高さの測定を行うことができる。
【0100】
以上のように、本発明の第一実施形態に係る測定方法によれば、長尺フィルム100の凹凸部110の代表高さを、簡単に測定できる。この測定方法は、長尺フィルム100を連続的に搬送しながら実施することができるので、工場のラインで搬送される長尺フィルム100に適用することが可能である。また、前記の代表高さは、測定単位領域240毎に測定することが可能であるので、測定単位領域240を適切に設定することにより、様々な平面形状の凹凸部110の代表高さを測定することが可能である。
【0101】
[3.凹凸部の高さの測定方法に係る第二実施形態]
上述した第一実施形態に係る測定方法では、長尺フィルム100をフィルム長手方向MDに区分して、各測定単位領域240にナール部120が一つずつ含まれるように測定単位領域240を設定した例を示したが、測定単位領域240は、第一実施形態のものに限定されない。例えば、測定単位領域は、フィルム長手方向MD及びフィルム幅方向TDの両方に区分して設定してもよい。以下、その例を、図面を示して説明する。
【0102】
図11は、本発明の第二実施形態に係る測定装置300を模式的に示す正面図である。図11に示すように、本発明の第二実施形態に係る測定装置300は、長尺フィルム100に形成された凹凸部(図11では図示せず。)の代表高さの測定装置であって、照射部210と、撮影部220と、高さ測定部330と、を備える。この測定装置300は、高さ測定部230の代わりに高さ測定部330を備えること以外は第一実施形態に係る測定装置200と同じに設けられている。よって、測定装置300の照射部210及び撮影部220は、第一実施形態で説明した測定装置200の照射部210及び撮影部220と同じに設けられている。また、高さ測定部330は、面積測定部231及び高さ計算部232の代わりに面積測定部331及び高さ計算部332を備えること以外は第一実施形態に係る高さ測定部230と同じに設けられている。
【0103】
面積測定部331は、測定単位領域が異なること以外は、第一実施形態で説明した面積測定部231と同じに設けられている。よって、面積測定部331は、撮影部220で取得された画像の情報を取り込み、その画像から、平行光Lが長尺フィルム100を直進透過できなかった影部エリアの面積を測定できるように設けられている。ただし、この面積測定部331は、フィルム長手方向MDだけでなくフィルム幅方向TDにも区分して測定単位領域が設定されている点で、第一実施形態で説明した面積測定部231と異なる。
【0104】
図12は、本発明の第二実施形態に係る測定方法での測定対象となる長尺フィルム100のフィルム幅方向TDの端部近傍を、拡大して模式的に示す平面図である。図12において、測定単位領域341、342、343及び344同士は互いに離して図示したが、それら測定単位領域341、342、343及び344は間を離さずに設定してもよい。図12に示すように、第二実施形態に係る面積測定部331が影部エリアの面積を測定する単位としての測定単位領域341、342、343及び344は、長尺フィルム100のフィルム長手方向MD及びフィルム幅方向TDの両方に区分して設定されている。よって、面積測定部331は、フィルム長手方向MD及びフィルム幅方向TDの両方に区分して設定された測定単位領域341、342、343及び344を一単位として、影部エリアの面積を測定できるように設けられている。
【0105】
本実施形態で示す例において、測定単位領域341、342、343及び344は、それぞれ、第一実施形態で採用した測定単位領域240をフィルム幅方向TDで分割した領域に相当する。よって、測定単位領域341、342、343及び344は、フィルム幅方向TDに並んでおり、それらを組み合わせた全体として一つのナール部120を当該測定単位領域341、342、343及び344内に包含できる。これら測定単位領域341、342、343及び344を、以下、長尺フィルム100のフィルム幅方向の端部からの距離が遠い側から順に、第一測定単位領域341、第二測定単位領域342、第三測定単位領域343及び第四測定単位領域344と呼ぶことがある。よって、第一測定単位領域341は、ナール部120をフィルム幅方向TDで四分割した場合に、長尺フィルム100のフィルム幅方向の端部からの距離が一番遠い部分を含めるように設定されている。また、第二測定単位領域342は、ナール部120をフィルム幅方向TDで四分割した場合に、長尺フィルム100のフィルム幅方向の端部からの距離が二番目に遠い部分を含めるように設定されている。また、第三測定単位領域343は、ナール部120をフィルム幅方向TDで四分割した場合に、長尺フィルム100のフィルム幅方向の端部からの距離が三番目に遠い部分を含めるように設定されている。さらに、第四測定単位領域344は、ナール部120をフィルム幅方向TDで四分割した場合に、長尺フィルム100のフィルム幅方向の端部からの距離が四番目に遠い部分を含めるように設定されている。面積測定部331は、こうして設定された測定単位領域341~344毎に影部エリアの面積を測定し、その測定した面積の情報を、高さ計算部332に送ることができるように設けられている。
【0106】
高さ計算部332は、凹凸部110の代表高さの測定を、測定単位領域240ではなく、その測定単位領域240を分割した領域に相当する測定単位領域341~344それぞれについて行うこと以外は、第一実施形態で説明した高さ計算部232と同じに設けられている。よって、高さ計算部332は、面積測定部331で測定された影部エリアの面積の情報を測定単位領域341~344毎に取り込み、その面積から、各測定単位領域341~344に含まれる凹凸部の代表高さを計算できるように設けられている。計算は、第一実施形態と同じく、テーブル又は関数を用いて行ってもよい。例えば、測定単位領域341~344それぞれで、影部エリアの面積、及び、その影部エリアの面積に対応する凹凸部の代表高さの情報を含むテーブルを高さ計算部332が記憶しており、面積測定部331から送られる影部エリアの面積に対応する凹凸部の代表高さをテーブルから読みだして、凹凸部の代表高さを求めてもよい。また、例えば、測定単位領域341~344それぞれで、影部エリアの面積、及び、その影部エリアの面積に対応する凹凸部の代表高さの関係を表す関数を高さ計算部332が記憶しており、面積測定部331から送られる影部エリアの面積を前記の関数に当て嵌めて計算して、凹凸部の代表高さを求めてもよい。
【0107】
上述した測定装置300を用いた長尺フィルム100の凹凸部110の代表高さの測定方法は、長尺フィルム100に平行光Lを垂直に照射する工程(i)と、長尺フィルム100を透過した平行光Lを撮影して、画像を取得する工程(ii)と、を含む。第二実施形態に係る測定方法において、工程(i)及び工程(ii)は、第一実施形態と同じに行いうる。工程(i)及び工程(ii)を行うと、第一実施形態と同じく、凹凸部110に相当する影部エリア及び凹凸部110以外の部分に相当する明部エリアを含む長尺フィルム100の画像が得られるので、その画像の情報が、高さ測定部330へと送られる。
【0108】
撮影部220から画像の情報が送られた高さ測定部330では、その画像に基づき、長尺フィルム100の凹凸部110の代表高さを測定する工程(iii)を行う。この工程(iii)は、第一実施形態と同じく、前記の画像から、平行光Lが長尺フィルム100を直進透過できなかった影部エリアの面積を測定する工程(iii-1)と、影部エリアの面積から、凹凸部110の代表高さを計算する工程(iii-2)と、を含む。
【0109】
詳細には、撮影部220で取得された画像の情報は面積測定部331に取り込まれる。そして、面積測定部331が、取り込んだ画像から、平行光Lが長尺フィルム100を直進透過できなかった影部エリアの面積を測定する工程(iii-1)を行う。この工程(iii-1)は、影部エリアの面積の測定を、測定単位領域240ではなく、その測定単位領域240を分割した領域に相当する測定単位領域341~344それぞれについて行うこと以外は、第一実施形態で説明した工程(iii-1)と同じに行いうる。よって、本実施形態に係る面積測定部331は、図12に示すように、フィルム長手方向MD及びフィルム幅方向TDの両方に区分して設定された測定単位領域341~344をそれぞれ一単位として、前記の影部エリアの面積を測定する。第一実施形態とは異なり、測定単位領域341~344それぞれで測定される影部エリアの面積は、一つのナール部120をフィルム幅方向TDに分割した部分それぞれの面積に相当する。こうして測定された影部エリアの面積の情報は、高さ計算部332に送られる。
【0110】
高さ計算部332は、面積測定部331から影部エリアの面積の情報を受け取ると、その影部エリアの面積から、凹凸部110の代表高さを計算する工程(iii-2)を行う。この工程(iii-2)は、凹凸部110の代表高さの測定を、測定単位領域240ではなく、その測定単位領域240を分割した領域に相当する測定単位領域341~344それぞれについて行うこと以外は、第一実施形態で説明した工程(iii-2)と同じに行いうる。よって、高さ計算部332は、測定単位領域341~344それぞれにおける影部エリアの面積から、それら測定単位領域341~344それぞれに含まれる凹凸部110の代表高さを計算する。こうして測定された凹凸部110の代表高さは、第一実施形態と同じく、測定装置300に接続された出力装置(図示せず)によって出力されうる。
【0111】
前記の凹凸部110の代表高さの測定は、長尺フィルム100を搬送しながら、連続的に行うことができる。また、本実施形態では、フィルム長手方向MDにおける位置が同じに設定された複数の測定単位領域341~344によって、一つのナール部120をフィルム幅方向TDに分割して、影部エリアの面積の測定を行っている。よって、一つのナール部120に含まれる凹凸部110の代表高さを、測定単位領域341~344それぞれで測定できる。したがって、フィルム幅方向TDにおける凹凸部110の高さの分布を測定できるので、凹凸部110の高さHの詳細な情報を得ることができる。また、この第二実施形態に係る測定方法によれば、第一実施形態と同じ利点を得ることができる。
【0112】
[4.長尺フィルムの製造方法に係る第三実施形態]
上述したように、長尺フィルムに形成された凹凸部を厚み方向から見た面積と、その凹凸部の代表高さとは、比例する。よって、凹凸部の面積を測定し、その測定された面積に基づいて凹凸部の形成条件をフィードバック制御しながら当該凹凸部の形成を行う場合、所望の高さの凹凸部を有する長尺フィルムを容易に製造することができる。このような凹凸部を有する長尺フィルムの製造は、例えば、下記に説明する製造方法によって実施できる。
【0113】
図13は、本発明の第三実施形態に係る製造装置400を模式的に示す正面図である。図13に示すように、本発明の第三実施形態に係る製造装置400は、長尺フィルム100の製造装置であって、凹凸形成部410と、高さ制御部420とを備える。
【0114】
凹凸形成部410は、樹脂を含むフィルムとしての樹脂フィルム500に凹凸部(図13では図示せず。)を形成して、長尺フィルム100を得ることができるように設けられている。以下の説明では、凹凸部を形成される前の樹脂フィルム500を「加工前フィルム」500と呼ぶことがある。凹凸形成部410としては、レーザー光又は熱を用いた加工処理によって凹凸部を形成できるものが好ましい。
【0115】
レーザー光を用いた加工処理によって凹凸部を形成できる凹凸形成部410は、通常、レーザー加工装置を備える。レーザー加工装置は、加工前フィルム500にレーザー光を照射することにより、加工前フィルム500に凹凸部を形成できる。詳細には、レーザー加工装置が加工前フィルム500の少なくとも一方の面にレーザー光を照射すると、レーザー光が照射された場所において局所的に熱溶融又はアブレーションが生じる。このため、レーザー光が照射された場所では、加工前フィルム500に凹凸部を形成することができる。
【0116】
前記のレーザー光の照射の際には、レーザー光が加工前フィルム500に当たる照射点P(図5及び図6参照)を、形成したい凹凸部の平面形状を描画するように移動させてもよい。これにより、レーザー光の照射点Pが移動した跡に凹凸部が形成されるので、所望の平面形状を有する凹凸部を形成することができる。レーザー光の照射点Pの移動速度は、所望の凹凸部を形成できる範囲で任意に設定しうる。具体的な移動速度は、好ましくは500mm/s以上、より好ましくは1000mm/s以上、特に好ましくは1500mm/s以上であり、好ましくは10000mm/s以下、より好ましくは9000mm/s以下、特に好ましくは8000mm/s以下である。
【0117】
レーザー加工装置は、通常、レーザー光の照射装置であるレーザー装置を備える。このレーザー装置としては、例えば、ArFエキシマレーザー装置、KrFエキシマレーザー装置、XeClエキシマレーザー装置、YAGレーザー装置(特に、第3高調波若しくは第4高調波)、YLF若しくはYVO4の固体レーザー装置(特に、第3高調波若しくは第4高調波)、Ti:Sレーザー装置、半導体レーザー装置、ファイバーレーザー装置、及び炭酸ガスレーザー装置が挙げられる。これらのレーザー装置の中でも、比較的安価であり、且つフィルムの加工に適した出力が効率的に得られる観点から、炭酸ガスレーザー装置が好ましい。
【0118】
レーザー光の出力は、好ましくは1W以上、より好ましくは5W以上、さらに好ましくは15W以上であり、好ましくは120W以下、より好ましくは100W以下、さらに好ましくは80W以下、さらにより好ましくは70W以下である。レーザー光の出力が前記下限値以上である場合、レーザー光の照射量不足を抑制して、凹凸部を安定して形成できる。また、レーザー光の出力が前記上限値以下である場合、フィルム500に貫通孔が生じるのを抑制できる。
【0119】
熱を用いた加工処理によって凹凸部を形成できる凹凸形成部410は、通常、熱加工装置を備える。熱加工装置は、加工前フィルム500を加熱できるように設けられる。一般に、加工前フィルム500に含まれる樹脂は加熱によって柔軟になりうるので、加工前フィルム500を加熱して、凹凸部の形状に対応した凹凸パターンを有する型で押圧することにより、型の凹凸パターンを加工前フィルム500に転写して、加工前フィルム500に凹凸部を形成できる。前記の型としては、例えば、凹凸パターンを側面に有するロール状又はリング状の型(例えば、ローレット等)を用いうる。この際、型とは別に熱加工装置を用意してもよく、型自体を加熱することによってその型を加熱加工装置として用いてもよい。
【0120】
本実施形態では、レーザー光Bを用いた加工処理によって加工前フィルム500に凹凸部を形成できるように、加工装置411としてレーザー加工装置を備えた凹凸形成部410を用いた場合を例に挙げて説明する。
【0121】
凹凸形成部410は、通常、凹凸部をフィルム幅方向MDに並んで複数形成できるように設けられる。本実施形態では、図1に示した長尺フィルム100が得られるように、加工前フィルム500のフィルム幅方向TDの端部に、凹凸部を、フィルム長手方向MDに並んで複数形成できるように設けられた凹凸形成部410を例に挙げて説明する。
【0122】
高さ制御部420は、凹凸形成部410で形成される凹凸部の高さを制御できるように、照射部210と、撮影部220と、フィードバック制御部430と、を備える。照射部210は、長尺フィルム100に平行光Lを照射できるように、第一実施形態と同じに設けられている。また、撮影部220は、長尺フィルム100を透過した平行光Lを撮影して画像を取得できるように、第一実施形態と同じに設けられている。よって、本実施形態に係る高さ制御部420は、前記の照射部210から照射されて長尺フィルム100を透過した平行光Lを撮影部220が撮影し、その撮影によって取得された画像の情報をフィードバック制御部430に送ることができるように設けられている。
【0123】
フィードバック制御部430は、面積測定部231及び条件制御部433を備える。また、フィードバック制御部430は、更に高さ計算部232を備えていてもよい。
【0124】
面積測定部231は、撮影部220で取得された画像の情報を取り込み、その画像から、平行光Lが長尺フィルム100を直進透過できなかった影部エリアの面積を測定できるように、第一実施形態と同じに設けられている。また、面積測定部231は、面積測定部231で測定された影部エリアの面積の情報を、条件制御部433及び高さ計算部232に送ることができるように設けられている。
【0125】
条件制御部433は、面積測定部231で測定された影部エリアの面積の情報を取り込み、その影部エリアの面積に基づいて、凹凸形成部410における凹凸部の形成の条件を制御できるように設けられている。上述したように、影部エリアの面積に相当する厚み方向から見た凹凸部の面積と、その凹凸部の代表高さとは、比例関係を有する。よって、影部エリアの面積が所定の範囲に収まるように凹凸形成部410における凹凸部の形成の条件を制御することにより、凹凸部の代表高さを、所望の高さに制御することが可能である。そこで、条件制御部433は、影部エリアの面積が、長尺フィルム100の凹凸部に求められる所望の代表高さに対応する所定の範囲に収まるように、凹凸形成部410における凹凸部の形成の条件を制御できるように設けられる。
【0126】
例えば、長尺フィルム100の製造期間において凹凸部の代表高さを一定にして、フィルム長手方向の全体において凹凸部の代表高さが均一な長尺フィルム100を得たい場合を考える。この場合、条件制御部433は、面積測定部231で測定される影部エリアの面積を、長尺フィルム100の製造期間の全体を通じて一定に設定された所定の目標範囲に収めるべく、凹凸形成部410における凹凸部の形成の条件を制御できるように設けられてもよい。よって、面積測定部231で測定される影部エリアの面積が目標範囲の下限より小さい場合には、条件制御部433は、影部エリアの面積が大きくなるように、凹凸形成部410における凹凸部の形成の条件を制御してもよい。また、面積測定部231で測定される影部エリアの面積が目標範囲の上限より大きい場合には、条件制御部433は、影部エリアの面積が小さくなるように、凹凸形成部410における凹凸部の形成の条件を制御してもよい。影部エリアの面積に基づくこの制御を繰り返し行いながら長尺フィルム100の製造を行う場合、影部エリアの面積を所定の目標範囲に収めて凹凸部の代表高さを一定に維持できるので、フィルム長手方向の全体において代表高さが均一な凹凸部を有する長尺フィルム100を製造できる。
【0127】
また、例えば、長尺フィルム100の製造期間において、凹凸部の代表高さを時間の経過に従って連続的又は段階的に高くして、フィルム長手方向において代表高さに分布のある長尺フィルム100を得たい場合を考える。この場合、条件制御部433は、面積測定部231で測定される影部エリアの面積を、時間の経過に従って連続的又は段階的に大きくなるよう設定された所定の目標範囲に収めるべく、凹凸形成部410における凹凸部の形成の条件を制御できるように設けられてもよい。影部エリアの面積に基づくこの制御を繰り返し行いながら長尺フィルム100の製造を行う場合、目標範囲が大きくなるのに従って影部エリアの面積を大きくでき、よって凹凸部の代表高さを大きくできるので、フィルム長手方向において凹凸部の代表高さが連続的又は段階的に高くなる分布を有する長尺フィルム100を製造できる。
【0128】
さらに、例えば、長尺フィルム100の製造期間において、凹凸部の代表高さを時間の経過に従って連続的又は段階的に低くして、フィルム長手方向において代表高さに分布のある長尺フィルム100を得たい場合を考える。この場合、条件制御部433は、面積測定部231で測定される影部エリアの面積を、時間の経過に従って連続的又は段階的に小さくなるよう設定された所定の目標範囲に収めるべく、凹凸形成部410における凹凸部の形成の条件を制御できるように設けられてもよい。影部エリアの面積に基づくこの制御を繰り返し行いながら長尺フィルム100の製造を行う場合、目標範囲が小さくなるのに従って影部エリアの面積を小さくでき、よって凹凸部の代表高さを小さくできるので、フィルム長手方向において凹凸部の代表高さが連続的又は段階的に低くなる分布を有する長尺フィルム100を製造できる。
【0129】
面積測定部231で測定される影部エリアの面積を大きくする場合及び小さくする場合に、凹凸形成部410における凹凸部の形成の条件をどのように制御するかは、凹凸形成部410が採用する加工処理に応じて適切に選択しうる。例えば、本実施形態で示す例のように、凹凸形成部410がレーザー光を用いた加工処理によって凹凸部を形成している場合、下記のような制御によって、影部エリアの面積を調整してもよい。
【0130】
通常、レーザー光の出力が大きいほど凹凸部の高さは高くなり、それに伴って凹凸部の面積は大きくなる傾向がある。よって、条件制御部433は、凹凸形成部410から加工前フィルム500に照射されるレーザー光の出力を大きくする制御を行って、凹凸部の面積に相当する影部エリアの面積を大きくしてもよい。また、条件制御部433は、凹凸形成部410から加工前フィルム500に照射されるレーザー光の出力を小さくする制御を行って、凹凸部の面積に相当する影部エリアの面積を小さくしてもよい。
【0131】
また、通常、角部を含む平面形状を有する凹凸部では、その角部の曲率半径(図4の曲率半径Rを参照。)が小さいほど、凹凸部は高くなり、それに伴って凹凸部の面積は大きくなる傾向がある。よって、条件制御部433は、凹凸部の角部の曲率半径を小さくする制御を行って、凹凸部の面積に相当する影部エリアの面積を大きくしてもよい。また、条件制御部433は、凹凸部の角部の曲率半径を大きくする制御を行って、凹凸部の面積に相当する影部エリアの面積を小さくしてもよい。
【0132】
例えば、凹凸形成部410が熱を用いた加工処理によって凹凸部を形成している場合、下記のような制御によって、影部エリアの面積を調整してもよい。
【0133】
通常、熱を用いた加工処理では、加工前フィルム500に与えられる熱が大きいほど凹凸部の高さは高くなり、それに伴って凹凸部の面積は大きくなる傾向がある。よって、条件制御部433は、凹凸形成部410から加工前フィルム500に与えられる熱を大きくする制御を行って、凹凸部の面積に相当する影部エリアの面積を大きくしてもよい。また、条件制御部433は、凹凸形成部410から加工前フィルム500に与えられる熱を小さくする制御を行って、凹凸部の面積に相当する影部エリアの面積を小さくしてもよい。
【0134】
また、通常、型による押圧を含む加工処理では、型が加工前フィルム500を押圧する圧力が大きいほど凹凸部の高さは高くなり、それに伴って凹凸部の面積は大きくなる傾向がある。よって、条件制御部433は、型が加工前フィルム500を押圧する圧力を大きくする制御を行って、凹凸部の面積に相当する影部エリアの面積を大きくしてもよい。また、条件制御部433は、型が加工前フィルム500を押圧する圧力を小さくする制御を行って、凹凸部の面積に相当する影部エリアの面積を小さくしてもよい。
【0135】
本実施形態では、条件制御部433が、加工装置411が照射するレーザー光Bの出力を制御することにより、凹凸部の面積に相当する影部エリアの面積を調整できるように設けられた場合を例に挙げて説明する。
【0136】
高さ計算部232は、面積測定部231で測定された影部エリアの面積の情報を取り込み、その面積から、長尺フィルム100の凹凸部の代表高さを計算できるように、第一実施形態と同じに設けられている。通常、高さ計算部232は、測定された凹凸部110の代表高さを、製造装置400に接続された出力装置(図示せず)に出力できるように設けられる。
【0137】
上述した製造装置400を用いた長尺フィルム100の製造方法は、
加工前フィルム500に凹凸部を形成して、長尺フィルム100を得る工程(I)と、
工程(I)で形成される凹凸部の高さを制御する工程(II)と、
を含む。
【0138】
具体的には、図13に示すように、長尺の加工前フィルム500をフィルム長手方向MDに連続的に搬送して、製造装置400に加工前フィルム500を供給する。本実施形態では、加工前フィルム500を巻き取って得られたフィルムロール510から、加工前フィルム500を繰り出し、製造装置400に供給する。
【0139】
製造装置400に加工前フィルム500が供給されると、凹凸形成部410が、加工前フィルム500に凹凸部を形成する工程(I)を行う。本実施形態では、図13に示すように、凹凸形成部410が備える加工装置411が、加工前フィルム500に、レーザー光Bを照射する。このレーザー光Bによって、加工前フィルム500に凹凸部が形成され、長尺フィルム100が得られる。本実施形態では、図1に示すように、フィルム幅方向TDの端部に、フィルム長手方向MDに並んで複数の凹凸部110が形成される例を示して説明する。こうして得られた長尺フィルム100は、高さ制御部420へと送られる。
【0140】
長尺フィルム100が高さ制御部420へと送られると、高さ制御部420が、工程(I)で形成された凹凸部の高さを制御する工程(II)を行う。この工程(II)は、長尺フィルム100に平行光Lを垂直に照射する工程(II-1)と;長尺フィルム100を透過した平行光Lを撮影して画像を取得する工程(II-2)と;前記画像から影部エリアの面積を測定する工程(II-3)と;影部エリアの面積に基づいて、工程(I)における凹凸部の形成の条件を制御する工程(II-4)と;を含む。
【0141】
すなわち、工程(II)では、第一実施形態で説明した測定方法の工程(i)と同じく、照射部210が長尺フィルム100に平行光Lを垂直に照射する工程(II-1)を行う。本実施形態に示す例では、図1に示すように、長尺フィルム100のフィルム幅方向TDの端部に凹凸部110が形成されているので、照射部210は、長尺フィルム100のフィルム幅方向TDの端部に平行光Lを照射する。
【0142】
照射部210から照射された平行光Lは、長尺フィルム100を透過する。そこで、第一実施形態で説明した測定方法の工程(ii)と同じく、このように長尺フィルム100を透過した平行光Lを撮影部220が撮影して、画像を取得する工程(II-2)を行う。取得される画像には、凹凸部110が、相対的に暗い影部エリアとして表示される。この長尺フィルム100の画像の情報は、フィードバック制御部430へと送られる。
【0143】
撮影部220から画像の情報が送られたフィードバック制御部430では、面積測定部231が、その画像の情報を取り込む。そして、面積測定部231が、第一実施形態で説明した測定方法の工程(iii-1)と同じく、取り込んだ画像から、平行光Lが長尺フィルム100を直進透過できなかった影部エリアの面積を測定する工程(II-3)を行う。よって、図10に示すように、面積測定部231は、少なくともフィルム長手方向MDに区分して設定された測定単位領域240を一単位として、前記の影部エリアの面積を測定する。第一実施形態と同じく、本実施形態で示す例では、各測定単位領域240にナール部120が一つずつ含まれるように測定単位領域240が設定されているので、測定された影部エリアの面積は、一つのナール部120を形成する凹凸部110全体の面積に相当する。こうして測定された影部エリアの面積の情報は、条件制御部433及び高さ計算部232に送られる。
【0144】
条件制御部433は、面積測定部231から影部エリアの面積の情報を受け取ると、その影部エリアの面積に基づいて、工程(I)における凹凸部の形成の条件を制御する工程(II-4)を行う。この工程(II-4)は、通常、影部エリアの面積が、長尺フィルム100の凹凸部に求められる所望の代表高さに対応する所定の範囲に収まるように、工程(I)における凹凸部の形成の条件を制御することを含む。例えば、影部エリアの面積が長尺フィルム100の製造期間を通じて一定に設定された所定の範囲に収まるように凹凸部の形成の条件を制御する場合、凹凸部の代表高さを均一にすることができる。
【0145】
前記の制御は、通常、図10に示すように設定された測定単位領域240毎に行われる。したがって、工程(II-4)は、一単位としての測定単位領域240で測定される影部エリアの面積が所定の範囲に収まるように、工程(I)における凹凸部の形成の条件を制御しうる。本実施形態に示す例においては、第一実施形態と同じく、各測定単位領域240にナール部120が一つずつ含まれるように測定単位領域240が設定されている。よって、条件制御部433は、一つのナール部120に含まれる凹凸部110の面積に相当する影部エリアの面積が所定の範囲に収まるように、工程(I)における凹凸部の形成の条件を制御する。このような制御を行うことにより、各測定単位領域240に含まれるナール部120の代表高さを所望の高さに制御することができる。
【0146】
以下、前記の条件制御部433による制御方法の具体例を説明する。この具体例では、長尺フィルム100の製造期間において凹凸部の代表高さを一定にするために、影部エリアの面積を納めるべき所定の範囲が、長尺フィルム100の製造期間の全体を通じて一定に設定されている。また、この具体例では、条件制御部433は、凹凸形成部410から照射されるレーザー光Bの出力を制御することにより、影部エリアの面積を制御する。この具体例に係る制御方法では、条件制御部433が、面積測定部231で測定された影部エリアの面積の情報を取り込む(ステップ1)。条件制御部433は、取り込んだ影部エリアの面積が、所定の範囲の下限より小さいか否かを判定する(ステップ2)。影部エリアの面積が下限より小さいと判定されると、条件制御部433は、凹凸形成部410から照射されるレーザー光Bの出力を高めて、影部エリアの面積を増加させる制御を行い(ステップ3)、制御を終了する。他方、影部エリアの面積が下限より小さくないと判定されると、条件制御部433は、取り込んだ影部エリアの面積が、所定の範囲の上限より大きいか否かを判定する(ステップ4)。影部エリアの面積が上限より大きいと判定されると、条件制御部433は、凹凸形成部410から照射されるレーザー光Bの出力を低減させて、影部エリアの面積を減らす制御を行い(ステップ5)、制御を終了する。他方、影部エリアの面積が上限より大きくないと判定されると、条件制御部433は、凹凸形成部410から照射されるレーザー光Bの出力を変更せず、制御を終了する。このような具体例に示す制御方法を、長尺フィルム100への凹凸部の形成を行いながら繰り返し実施することにより、長尺フィルム100の製造期間において凹凸部の代表高さを一定にして、凹凸部110の代表高さを均一にすることができる。
【0147】
フィードバック制御部430が高さ計算部232を有する場合、高さ計算部232は、面積測定部231から送られてきた影部エリアの面積の情報を取り込み、第一実施形態で説明した測定方法の工程(iii-2)と同じく、取り込んだ影部エリアの面積から、凹凸部110の代表高さを計算する工程(III)を行ってもよい。通常、こうして測定された凹凸部110の代表高さは、製造装置400に接続された出力装置(図示せず)に出力される。
【0148】
上述した製造方法によれば、長尺フィルム100を連続的に製造しながら、その長尺フィルム100が有する凹凸部の代表高さを所望の高さに制御することができる。通常、こうして製造された長尺フィルム100は、巻き取られてロール160として回収される。また、高さ計算部232による凹凸部の代表高さの計算を行う場合には、長尺フィルム100の製造と同時に凹凸部110の代表高さの測定を行うことができるので、第一実施形態で説明したのと同じ利点を得ることができる。
【0149】
[5.長尺フィルムの製造方法に係る第四実施形態]
上述した第三実施形態に係る製造方法では、長尺フィルム100をフィルム長手方向MDに区分して、各測定単位領域240にナール部120が一つずつ含まれるように測定単位領域240を設定した例を示した。しかし、長尺フィルム100の製造方法いおいて、測定単位領域は、第三実施形態とは異なる態様で設定してもよい。例えば、測定単位領域は、第二実施形態に係る測定方法で説明したように、フィルム長手方向MD及びフィルム幅方向TDの両方に区分して設定してもよい。以下、その例を、図面を示して説明する。
【0150】
図14は、本発明の第四実施形態に係る製造装置600を模式的に示す正面図である。図14に示すように、本発明の第四実施形態に係る製造装置600は、長尺フィルム100の製造装置であって、凹凸形成部410と、高さ制御部620とを備える。この製造装置600は、高さ制御部420の代わりに高さ制御部620を備えること以外は第三実施形態に係る製造装置400と同じに設けられている。よって、製造装置600の凹凸形成部410は、第三実施形態で説明した製造装置400の凹凸形成部410と同じに設けられている。
【0151】
高さ制御部620は、照射部210と、撮影部220と、フィードバック制御部630とを備える。この高さ制御部620は、フィードバック制御部430の代わりにフィードバック制御部630を備えること以外は第三実施形態に係る製造装置400と同じに設けられている。よって、高さ制御部620の照射部210は、第三実施形態で説明した照射部210と同じに設けられている。また、高さ制御部620の撮影部220は、第三実施形態で説明した撮影部220と同じに設けられている。
【0152】
フィードバック制御部630は、面積測定部331及び条件制御部633を備える。また、フィードバック制御部630は、更に高さ計算部332を備えていてもよい。
【0153】
面積測定部331は、第二実施形態で説明した面積測定部331と同じに設けられている。よって、面積測定部331は、撮影部220で取得された画像の情報を取り込み、その画像から、図12に示すように、フィルム長手方向MD及びフィルム幅方向TDの両方に区分して設定された測定単位領域341、342、343及び344を一単位として、影部エリアの面積を測定できるように設けられている。本実施形態で示す例においては、第二実施形態に係る例と同じく、測定単位領域341、342、343及び344は、フィルム幅方向TDに並んでおり、それらを組み合わせた全体として一つのナール部120を当該測定単位領域341、342、343及び344内に包含できる。また、面積測定部331は、測定単位領域341~344毎に影部エリアの面積を測定し、その測定した面積の情報を、条件制御部633及び高さ計算部332に送ることができるように設けられている。
【0154】
条件制御部633は、凹凸形成部410における凹凸部の形成の条件の制御を、測定単位領域240ではなく、その測定単位領域240を分割した領域に相当する測定単位領域341~344それぞれについて行うこと以外は、第三実施形態で説明した条件制御部433と同じに設けられている。よって、条件制御部633は、面積測定部331で測定された影部エリアの面積の情報を測定単位領域341~344毎に取り込み、その面積に基づいて、各測定単位領域341~344毎に凹凸形成部410における凹凸部の形成の条件を制御できるように設けられている。具体的には、条件制御部633は、影部エリアの面積が、長尺フィルム100の凹凸部に求められる所望の代表高さに対応する所定の範囲に収まるように、凹凸形成部410における凹凸部の形成の条件を制御することを、各測定単位領域341~344毎に実施できるように設けられる。本実施形態では、条件制御部633が、加工装置411が照射するレーザー光Bの出力を制御することにより、凹凸部の面積に相当する影部エリアの面積を各測定単位領域341~344毎に調整できるように設けられた場合を例に挙げて説明する。
【0155】
高さ計算部332は、面積測定部331で測定された影部エリアの面積の情報を取り込み、その面積から、測定単位領域341~344それぞれにおいて、長尺フィルム100の凹凸部の代表高さを計算できるように、第三実施形態と同じに設けられている。通常、高さ計算部332は、測定された凹凸部110の代表高さを、製造装置600に接続された出力装置(図示せず)に出力できるように設けられる。
【0156】
上述した製造装置600を用いた長尺フィルム100の製造方法は、加工前フィルム500に凹凸部を形成して長尺フィルム100を得る工程(I)と、工程(I)で形成される凹凸部の高さを制御する工程(II)と、を含む。第四実施形態に係る製造方法において、工程(I)は、第三実施形態と同じに行いうる。工程(I)を行うと、第三実施形態と同じく、加工前フィルム500に凹凸部が形成され、長尺フィルム100が得られる。こうして得られた長尺フィルム100は、高さ制御部620へと送られる。
【0157】
長尺フィルム100が高さ制御部620へと送られると、高さ制御部620が、工程(I)で形成された凹凸部の高さを制御する工程(II)を行う。この工程(II)は、長尺フィルム100に平行光Lを垂直に照射する工程(II-1)と;長尺フィルム100を透過した平行光Lを撮影して画像を取得する工程(II-2)と;前記画像から影部エリアの面積を測定する工程(II-3)と;影部エリアの面積に基づいて、工程(I)における凹凸部の形成の条件を制御する工程(II-4)と;を含む。第四実施形態に係る製造方法において、工程(II-1)及び工程(II-2)は、第三実施形態と同じに行うことができる。工程(II-1)及び工程(II-2)を行うと、第三実施形態と同じく、凹凸部110に相当する影部エリアを含む長尺フィルム100の画像が得られるので、その画像の情報が、フィードバック制御部630へと送られる。
【0158】
撮影部220から画像の情報が送られたフィードバック制御部630では、面積測定部331が、その画像の情報を取り込む。そして、面積測定部331が、第二実施形態で説明した測定方法の工程(iii-1)と同じく、取り込んだ画像から、平行光Lが長尺フィルム100を直進透過できなかった影部エリアの面積を測定する工程(II-3)を行う。このとき、本実施形態に係る面積測定部331は、図12に示すように、フィルム長手方向MD及びフィルム幅方向TDの両方に区分して設定された測定単位領域341~344をそれぞれ一単位として、前記の影部エリアの面積を測定する。よって、第三実施形態とは異なり、測定単位領域341~344それぞれで測定される影部エリアの面積は、一つのナール部120をフィルム幅方向TDに分割した部分それぞれの面積に相当する。こうして測定された影部エリアの面積の情報は、条件制御部633及び高さ計算部332に送られる。
【0159】
条件制御部633は、面積測定部331から影部エリアの面積の情報を受け取ると、その影部エリアの面積に基づいて、工程(I)における凹凸部の形成の条件を制御する工程(II-4)を行う。この工程(II-4)は、凹凸形成部410における凹凸部の形成の条件の制御を、測定単位領域240ではなく、その測定単位領域240を分割した領域に相当する測定単位領域341~344それぞれについて行うこと以外は、第三実施形態で説明した工程(II-4)と同じに行いうる。よって、条件制御部633は、各測定単位領域341~344を一単位として測定される影部エリアの面積が、それぞれ所定の範囲に収まるように、工程(I)における加工前フィルム500への凹凸部の形成の条件を制御しうる。具体的には、条件制御部633は、第一測定単位領域341で測定される影部エリアの面積が、所定の範囲に収まるように、第一測定単位領域341と同じフィルム幅方向TDの位置にある領域への凹凸部の形成の条件を制御しうる。また、条件制御部633は、第二測定単位領域342で測定される影部エリアの面積が、所定の範囲に収まるように、第二測定単位領域342と同じフィルム幅方向TDの位置にある領域への凹凸部の形成の条件を制御しうる。また、条件制御部633は、第三測定単位領域343で測定される影部エリアの面積が、所定の範囲に収まるように、第三測定単位領域343と同じフィルム幅方向TDの位置にある領域への凹凸部の形成の条件を制御しうる。さらに、条件制御部633は、第四測定単位領域344で測定される影部エリアの面積が、所定の範囲に収まるように、第四測定単位領域344と同じフィルム幅方向TDの位置にある領域への凹凸部の形成の条件を制御しうる。このような制御を行うことにより、各測定単位領域341~344それぞれで、凹凸部の代表高さを所望の高さに制御することができる。
【0160】
フィードバック制御部630が高さ計算部332を有する場合、高さ計算部332は、面積測定部331から送られてきた影部エリアの面積の情報を取り込み、第二実施形態で説明した測定方法の工程(iii-2)と同じく、取り込んだ影部エリアの面積から、凹凸部110の代表高さを計算する工程(III)を行ってもよい。通常、こうして測定された凹凸部110の代表高さは、製造装置600に接続された出力装置(図示せず)に出力される。
【0161】
上述した製造方法によれば、長尺フィルム100を連続的に製造しながら、その長尺フィルム100が有する凹凸部の代表高さを所望の高さに制御することができる。また、本実施形態では、フィルム長手方向MDにおける位置が同じに設定された複数の測定単位領域341~344によって、一つのナール部120をフィルム幅方向TDに分割して、それら測定単位領域341~344それぞれにおいて凹凸部の代表高さの制御を行っている。したがって、フィルム幅方向TDにおける凹凸部110の高さの分布を制御できるので、凹凸部110の高さHの精密な制御が可能である。また、本実施形態の製造方法によれば、第三実施形態で説明したのと同じ利点を得ることができる。
【0162】
[6.長尺フィルムの製造方法に係る第五実施形態]
上述した第三実施形態及び第四実施形態では、凹凸形成部410が単一の加工装置411によって全ての凹凸部を形成する例を示したが、凹凸部は複数の加工装置によって形成してもよい。例えば、加工前フィルム500の搬送速度が速い場合、加工装置411の加工能力によっては、単一の加工装置411では凹凸部の形成の安定性が低下することがありうる。よって、複数の加工装置411によって凹凸部を形成してもよい。以下、その例を図面を示して説明する。
【0163】
図15は、本発明の第五実施形態に係る製造装置700を模式的に示す正面図である。図15に示すように、本発明の第五実施形態に係る製造装置700は、長尺フィルム100の製造装置であって、凹凸形成部710と、高さ制御部720とを備える。
【0164】
凹凸形成部710は、複数の加工装置711及び712を備えること以外は、第三実施形態に係る凹凸形成部410と同じに設けられている。加工装置711及び712は、第三実施形態で説明したのと同じものを用いることができる。本実施形態では、加工装置711及び712として、レーザー光Bを照射して凹凸部を形成できるレーザー加工装置を用いた例を示して説明する。
【0165】
図16は、本発明の第五実施形態に係る製造装置700を用いて製造される長尺フィルム100のフィルム幅方向TDの端部近傍を、拡大して模式的に示す平面図である。加工装置711及び712は、フィルム幅方向TDにおいては加工フィルム500の同じ位置に、凹凸部110を形成できるように設けられている。しかし、加工装置711及び712は、フィルム長手方向MDにおいては加工前フィルム500の異なる位置に、凹凸部110を形成できるように設けられている。したがって、製造される長尺フィルム100においては、図16に示すように、加工装置711が形成した第一の凹凸部110aと、別の加工装置712が形成した第二の凹凸部110bとは、フィルム幅方向TDにおける位置は同じであるが、フィルム長手方向MDにおける位置は異なる。本実施形態では、一方の加工装置711と他方の加工装置712とが交互に凹凸部110を形成することにより、第一の凹凸部110aと第二の凹凸部110bとがフィルム長手方向MDにおいて交互に並ぶ場合を例に挙げて説明する。
【0166】
図15に示すように、高さ制御部720は、照射部210と、撮影部220と、フィードバック制御部730とを備える。この高さ制御部720は、フィードバック制御部430の代わりにフィードバック制御部730を備えること以外は第三実施形態に係る製造装置400と同じに設けられている。よって、高さ制御部720の照射部210は、第三実施形態で説明した照射部210と同じに設けられている。また、高さ制御部720の撮影部220は、第三実施形態で説明した撮影部220と同じに設けられている。
【0167】
フィードバック制御部730は、面積測定部231及び条件制御部733を備える。また、フィードバック制御部730は、更に高さ計算部232を備えていてもよい。面積測定部231及び高さ計算部232は、第三実施形態で説明した面積測定部231及び高さ計算部232と同じに設けられている。
【0168】
条件制御部733は、凹凸形成部710が備える複数の加工装置711及び712それぞれによる凹凸部110a及び110bの形成の条件の制御を行えるように設けられていること以外は、第三実施形態で説明した条件制御部433と同じに設けられている。よって、条件制御部733は、面積測定部231で測定された影部エリアの面積の情報を取り込み、その影部エリアの面積に基づいて、凹凸形成部710における複数の加工装置711及び712を用いた凹凸部の形成の条件を制御できるように設けられている。具体的には、条件制御部733は、影部エリアの面積が、長尺フィルム100の凹凸部に求められる所望の代表高さに対応する所定の範囲に収まるように、凹凸形成部710における複数の加工装置711及び712を用いた凹凸部の形成の条件を制御できるように設けられている。
【0169】
条件制御部733は、複数の加工装置711及び712が形成する凹凸部に対応した影部エリアの面積が同じになるように、凹凸部の形成の条件を制御することが好ましい。よって、条件制御部733は、加工装置711によって形成された凹凸部110aに対応する影部エリアの面積が所定の範囲に収まるように、その加工装置711による凹凸部110aの形成の条件を制御できることが好ましい。また、条件制御部733は、別の加工装置712によって形成された凹凸部110bに対応する影部エリアの面積が所定の範囲に収まるように、その加工装置711による凹凸部110bの形成の条件を制御できることが好ましい。そして、凹凸部110aに対応する影部エリアの面積が収まるべき所定の範囲と、凹凸部110bに対応する影部エリアの面積が収まるべき所定の範囲とが、同じであることが好ましい。
【0170】
上述した製造装置700を用いた長尺フィルム100の製造方法は、加工前フィルム500に凹凸部を形成して長尺フィルム100を得る工程(I)と、工程(I)で形成される凹凸部の高さを制御する工程(II)と、を含む。
【0171】
具体的には、第三実施形態に係る製造方法と同じく、図15に示すように、長尺の加工前フィルム500をフィルム長手方向MDに連続的に搬送して、製造装置700に加工前フィルム500を供給する。製造装置700に加工前フィルム500が供給されると、凹凸形成部710が、加工前フィルム500に凹凸部110a及び110bを形成する工程(I)を行う。本実施形態では、図15に示すように、凹凸形成部710が複数の加工装置711及び712を備えるので、それら加工装置711及び712を用いて、加工前フィルム500のフィルム長手方向の異なる位置に凹凸部110a及び110bを形成する。本実施形態では、図16に示すように、フィルム幅方向TDの端部に、加工装置711及び712が交互に凹凸部110a及び110bを形成するので、フィルム長手方向MDに凹凸部110a及び110bが交互に並んだ長尺フィルム100が得られる。こうして得られた長尺フィルム100は、高さ制御部720へと送られる。
【0172】
長尺フィルム100が高さ制御部720へと送られると、高さ制御部720が、工程(I)で形成された凹凸部の高さを制御する工程(II)を行う。この工程(II)は、長尺フィルム100に平行光Lを垂直に照射する工程(II-1)と;長尺フィルム100を透過した平行光Lを撮影して画像を取得する工程(II-2)と;前記画像から影部エリアの面積を測定する工程(II-3)と;影部エリアの面積に基づいて、工程(I)における凹凸部の形成の条件を制御する工程(II-4)と;を含む。第五実施形態に係る製造方法において、工程(II-1)、工程(II-2)及び工程(II-3)は、第三実施形態と同じに行うことができる。工程(II-1)、工程(II-2)及び工程(II-3)を行うと、第三実施形態と同じく、少なくともフィルム長手方向MDに区分して設定された測定単位領域240(図10参照)を一単位として測定された影部エリアの面積の情報が、面積測定部231において得られる。第三実施形態と同じく、測定された影部エリアの面積は、一つのナール部120を形成する凹凸部110a及び110bそれぞれの全体の面積に相当する。こうして測定された影部エリアの面積の情報は、条件制御部733及び高さ計算部232に送られる。
【0173】
条件制御部733は、面積測定部231から影部エリアの面積の情報を受け取ると、その影部エリアの面積に基づいて、工程(I)における凹凸部の形成の条件を制御する工程(II-4)を行う。この工程(II-4)は、凹凸形成部710が備える複数の加工装置711及び712それぞれによる凹凸部110a及び110bの形成の条件の制御を行うこと以外は、第三実施形態で説明した工程(II-4)と同じに行いうる。よって、条件制御部733は、加工装置711によって形成された凹凸部110aに対応する影部エリアの面積が所定の範囲に収まるように、その加工装置711による凹凸部110aの形成の条件を制御しうる。また、条件制御部733は、別の加工装置712によって形成された凹凸部110bに対応する影部エリアの面積が所定の範囲に収まるように、その加工装置711による凹凸部110bの形成の条件を制御しうる。この際、凹凸部110aに対応する影部エリアの面積が収まるべき所定の範囲と、凹凸部110bに対応する影部エリアの面積が収まるべき所定の範囲とが、同じに設定されることが好ましい。所定の範囲がこのように設定された場合、工程(II-4)が、複数の加工装置711及び712が形成する凹凸部110a及び110bに対応した影部エリアの面積が同じ範囲に収まるように、工程(I)における凹凸部110a及び110bの形成の条件を制御することを含むことができる。この場合、複数の加工装置711及び712を用いて凹凸部110a及び110bの形成を安定させながら、それら加工装置711及び712を用いて同じ所望の代表高さの凹凸部110a及び110bを形成できる。
【0174】
フィードバック制御部730が高さ計算部232を有する場合、高さ計算部232は、面積測定部231から送られてきた影部エリアの面積の情報を取り込み、第三実施形態に係る製造方法と同じく、取り込んだ影部エリアの面積から、凹凸部110a及び110bの代表高さを計算する工程(III)を行ってもよい。通常、こうして測定された凹凸部110a及び110bの代表高さは、製造装置700に接続された出力装置(図示せず)に出力される。
【0175】
上述した製造方法によれば、凹凸部110a及び110bの形成を安定化させることができるので、長尺フィルム100を高速で製造することができる。また、本実施形態の製造方法によれば、第三実施形態のように単一の加工装置411を用いる製造方法と同じ長尺フィルム100を製造することができ、第三実施形態で説明したのと同じ利点を得ることができる。
【0176】
[7.変更例]
本発明は上述した実施形態に限定されず、更に変更して実施してもよい。
例えば、影部エリアの面積を変更する場合に行われる凹凸部の形成の条件の制御方法は、上述したものに限定されず、別の方法を採用してもよい。具体例を挙げると、第四実施形態に係る製造方法のように、測定単位領域をフィルム長手方向MD及びフィルム幅方向TDの両方に区分して設定する場合、凹凸部の形成の条件としてレーザー光の照射開始地点を制御してもよい。一般に、加工前フィルムへレーザー光が当たり始める照射開始地点は、それ以外の地点よりも凹凸部を高く形成できる。そこで、フィルム幅方向に並んだ複数の測定単位領域のうち、代表高さを高くしたい領域に照射開始地点を移動させる制御を行って、当該領域において凹凸部を高くする制御を行ってもよい。
【0177】
また、上述した第五実施形態では、第三実施形態のようにフィルム長手方向に区分して測定単位領域を設定した場合に、複数の加工装置を用いて凹凸部を形成する例を示した。例えば、これを更に変更して、第四実施形態のようにフィルム長手方向及びフィルム幅方向の両方に区分して測定単位領域を設定した場合に、複数の加工装置を用いて凹凸部を形成してもよい。
【0178】
さらに、上述した実施形態では、図2に示すように、片面のみに凹凸部を有する長尺フィルムを例に挙げて説明したが、上述した測定方法及び製造方法は、両面に凹凸部を有する長尺フィルムに適用してもよい。両面に凹凸部を有する長尺フィルムについて上述した測定方法で凹凸部の代表高さを測定した場合には、通常、測定単位領域の両面にある凹凸部の合計の代表高さを測定できる。
【0179】
また、上述した実施形態では、フィルムロール150又は510から引き出されたフィルムを測定装置又は製造装置に供給する例を示したが、適切な別の製造装置で製造されたフィルムをロール状に巻き取る工程を経ずに上述した実施形態に係る測定装置又は製造装置に供給してもよい。例えば、第三実施形態又は第四実施形態において、押出成形装置によって製造された長尺の樹脂フィルム500を巻き取らずに製造装置600又は700に供給してもよい。
【0180】
さらに、上述した実施形態では、いずれも凹凸部が線状の平面形状を有する例を示したが、例えば、凹凸部は、線状以外の平面形状を有していてもよい。さらに、例えば、線状の平面形状を有する凹凸部であっても、その連続する一本の線状に形成された凹凸部の全体で形成されるナール部の平面形状は、閉環形状以外の形状であってもよい。
【実施例0181】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧(23℃1気圧)大気中において行った。
【0182】
[評価方法]
〔凹凸部の高さの実測方法〕
長尺フィルムの凹凸部の高さは、三次元表面プロファイラー(ザイゴ社製「NewView5000」)を用いて実測した。
【0183】
[実施例1]
〔基材層の製造〕
環状オレフィン樹脂(日本ゼオン社製「ZEONOR」;ガラス転移温度135℃)のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて、70℃で2時間、乾燥した。乾燥させたペレットを、65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出成形機に供給し、溶融樹脂温度270℃、Tダイの幅1700mmの成形条件で押出成形を行って、長尺の基材層(厚さ50μm、幅1500mm、長さ4000m)を製造した。
【0184】
〔加工前フィルムの製造(易接着層の形成)〕
ポリエーテル系ポリウレタンの水分散体(第一工業製薬社製「スーパーフレックス870」)をポリウレタンの量で100部と、架橋剤としてエポキシ化合物(ナガセケムテックス社製「デナコールEX313」)15部と、滑材としてシリカ粒子の水分散液(日産化学社製「スノーテックスMP1040」;平均粒子径120nm)をシリカ粒子の量で8部及びシリカ粒子の水分散液(日産化学社製「スノーテックスXL」;平均粒子径50nm)をシリカ粒子の量で8部と、濡れ剤としてアセチレン系界面活性剤(エアープロダクツアンドケミカルズ社製「サーフィノール440」)を固形分合計量に対して0.5重量%と、水とを配合して、固形分濃度2%の液状の水系ウレタン樹脂の水分散体を得た。
【0185】
前記の基材層の片面に、上記水系ウレタン樹脂の水分散体を、リバースロール法で、乾燥後の厚みが45nmになるように塗布し、90℃にて乾燥させた。これにより、基材層の片面に易接着層を形成して、基材層及び易接着層を備える複層構造の加工前フィルムを得た。
【0186】
〔凹凸部の形成〕
前記の加工前フィルムを長尺方向に30m/分の速度で搬送した。そして、搬送される加工前フィルムのフィルム幅方向の左右両端部の、易接着層側の面に、レーザー光を照射して、複数の凹凸部を形成して、長尺フィルムを得た。レーザー光の照射装置としては、COレーザー光照射装置(コヒレント社製「J3シリーズ」、レーザー波長9.4μm)を用いた。また、レーザー光の照射出力は、出力55%とした。さらに、レーザー光の照射は、所望の凹凸部の平面形状を描くように、ガルバノスキャナにて移動速度7000mm/sでレーザー光照射点を移動させながら、行った。前記のレーザー光の照射により、線状の平面形状を有する凹凸部が形成された。
【0187】
図17は、実施例1で形成された凹凸部1の平面形状を示す模式的な平面図である。図17においては、凹凸部1の寸法を示すため、長尺フィルムのフィルム長手方向MD及びフィルム幅方向TDの座標を示す。この座標の数値の単位は、ミリメートルである。前記の凹凸部1の平面形状は、図17に記載の形状を採用した。図17に示す凹凸部1の平面形状において、一点鎖線で囲んで示す角部Aは、いずれも、角度90°であった。また、凹凸部1の平面形状において、角部A以外の角部Xの角度は、135°であった。連続する一本の線状の凹凸部1の全体によって形成されるナール部の寸法LMD及びLTDは、フィルム長手方向MDにおける長さLMDが1.2mm、フィルム幅方向TDにおける長さLTDが9.3mmであった。また、フィルム長手方向MDにおけるナール部のピッチは、4.2mmであった。
凹凸部1の高さを三次元表面プロファイラーで実測したところ、凹凸部1の角部A及びXの平均高さは、10μmであった。
【0188】
前記のように形成された凹凸部を有する長尺フィルムを、更に長手方向に搬送し、直径6インチの巻き芯(コア)を中心にして、巻き取り張力120Nにて長尺方向に4000m巻き取り、フィルムロールを得た。
【0189】
〔ナール部の高さの測定〕
光源(Moritex社製「MTI-45」)及びレンズ(Moritex社製「MTI-120」)を備える照射装置を、フィルム搬送路の一側に設置した。この照射装置は、光源から発せられた光がレンズを透過して得られる平行光を、フィルム搬送路を搬送される長尺フィルムに垂直に照射できるように設けた。
【0190】
物体側テレセントリックレンズ、絞り、及び像側テレセントリックレンズを備えた両側テレセントリックレンズ鏡筒(ミュートロン社製「LSTL036T-F」)を用意し、ラインスキャンカメラ(日本ビューワークス社製「VT-3K7X-E250A-32」)を連結して、撮影装置を用意した。この撮影装置を、フィルム搬送路のもう一側(即ち、照射装置とは反対側)に設置した。この際、撮影装置は、物体側テレセントリックレンズ及び像側テレセントリックレンズがいずれも平行光に対して垂直となるように設置して、照射装置から照射される平行光の光線とテレセントリックレンズの光軸とを平行にした。
【0191】
前記のフィルムロールを搬送機に設置し、長尺フィルムを繰り出して、長尺方向に30m/分の速度で搬送した。搬送される長尺フィルムを、照射装置と撮影装置との間のフィルム搬送路に通した。長尺フィルムの凹凸部が形成された部分に、照射装置から平行光を照射し、長尺フィルムを透過した平行光を撮影装置で撮影して、画像を取得した。得られた画像に対し、輝度に基づく二値化処理を行って、凹凸部に相当するエリアとして相対的に暗い影部エリアを特定した。ナール部一つを含む測定単位領域を設定し、その測定単位領域の影部エリアにある画素数をカウントした。前記の影部エリアにある画素数のカウントを、複数の測定単位領域で行って、当該影部エリアの平均画素数を求めたところ、34000画素であった。この平均画素数が、平行光が長尺フィルムを直進透過できなかったエリアの面積を表し、厚み方向から見た凹凸部の面積に相当する。
【0192】
[実施例2]
凹凸部の形成に用いたレーザー光の照射出力を42%に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法により、長尺フィルムの製造及び評価を行った。凹凸部の角部の平均高さを三次元表面プロファイラーで実測したところ、3μmであった。また、照射装置及び撮影装置を用いて測定された凹凸部に相当する影部エリアの平均画素数は、11000画素であった。
【0193】
[実施例3]
凹凸部の形成に用いたレーザー光の照射出力を46%に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法により、長尺フィルムの製造及び評価を行った。凹凸部の角部の平均高さを三次元表面プロファイラーで実測したところ、5μmであった。また、照射装置及び撮影装置を用いて測定された凹凸部に相当する影部エリアの平均画素数は、16000画素であった。
【0194】
[実施例4]
凹凸部の形成に用いたレーザー光の照射出力を64%に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法により、長尺フィルムの製造及び評価を行った。凹凸部の角部の平均高さを三次元表面プロファイラーで実測したところ、14μmであった。また、照射装置及び撮影装置を用いて測定された凹凸部に相当する影部エリアの平均画素数は、47000画素であった。
【0195】
[結果]
前記の実施例で測定された凹凸部の角部の平均高さの実測値と、その凹凸部に相当する影部エリアの平均画素数との関係を、図18に示す。また、図18において破線は、実施例の結果から最小二乗法で作成した近似直線を表す。図18から分かるように、凹凸部の角部の平均高さの実測値と、凹凸部に相当する影部エリアの平均画素数とは、相関があり、比例関係を有する。よって、平均画素数で表される影部エリアの面積から凹凸部の代表高さを測定でき、その場合、図18に示した近似直線を検量線として用いることができる。そして、このように影部エリアの面積と凹凸部の代表高さとの間に相関があるので、影部エリアの面積を利用したフィードバック制御が可能である。
【符号の説明】
【0196】
100 長尺フィルム
100U 面
110 凹凸部
110a、110b 凹凸部
111 凸部
112 凹部
120 ナール部
130 角部
140 直線部
150 フィルムロール
160 ロール
200 測定装置
210 照射部
211 光源
212 コリメータレンズ
220 撮影部
221 カメラ
222 物体側テレセントリックレンズ
223 像側テレセントリックレンズ
224 絞り
230 高さ測定部
231 面積測定部
232 高さ計算部
240 測定単位領域
300 測定装置
330 高さ測定部
331 面積計算部
332 高さ計算部
341~344 測定単位領域
400 製造装置
410 凹凸形成部
411 加工装置
420 高さ制御部
430 フィードバック制御部
433 条件制御部
500 樹脂フィルム
510 フィルムロール
600 製造装置
620 高さ制御部
630 フィードバック制御部
633 条件制御部
700 製造装置
710 凹凸形成部
711、712 加工装置
720 高さ制御部
730 フィードバック制御部
733 条件制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18