(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018514
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】制御装置及び調査方法
(51)【国際特許分類】
G02B 23/24 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
G02B23/24
G02B23/24 A
G02B23/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122696
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000100942
【氏名又は名称】アイレック技建株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】西山 大策
(72)【発明者】
【氏名】日吉 健至
(72)【発明者】
【氏名】板坂 浩二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 陽
(72)【発明者】
【氏名】出海 経太郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智徳
(72)【発明者】
【氏名】石津 紀行
【テーマコード(参考)】
2H040
【Fターム(参考)】
2H040AA02
2H040BA01
2H040BA22
2H040CA03
2H040FA01
2H040GA02
2H040GA11
(57)【要約】
【課題】地中に埋設された通信設備の防護部材の内部を非開削で調査することを可能にする。
【解決手段】制御装置10は、地中に埋設された防護部材80の内部に配設された管路70の壁面を貫通する孔72を通過して、管路70の外部であって、防護部材80の内部に位置づけられた、内視鏡装置20のカメラ25から撮影画像を取得し、撮影画像に基づき、防護部材80の内面の形状及び劣化状況の少なくともいずれかを調査する、制御部11を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設された防護部材の内部に配設された管路の壁面を貫通する孔を通過して、前記管路の外部であって、前記防護部材の内部に位置づけられた、内視鏡装置のカメラから撮影画像を取得し、
前記撮影画像に基づき、前記防護部材の内面の形状及び劣化状況の少なくともいずれかを調査する、
制御部を備える制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記カメラの撮影可能距離に応じた間隔で前記管路に削孔された複数の孔を通過した前記カメラにより撮影された、前記防護部材の管端部又は他の孔の複数の画像を複数の前記撮影画像として取得し、
前記複数の撮影画像の各々について、当該撮影画像に基づき、当該撮影画像を撮影した際に前記カメラが通過した前記孔と、前記防護部材の管端部又は前記他の孔との距離を取得し、
前記複数の撮影画像の各々について取得した前記距離に基づき、前記防護部材の管長を取得する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記管路に削孔された孔を通過した前記カメラにより撮影された、前記防護部材の内壁面及び前記管路の画像を前記撮影画像として取得し、
前記撮影画像に基づき、当該撮影画像を撮影した際に前記カメラが通過した前記管路と、前記防護部材の内壁面との距離を取得し、
前記距離に基づき、前記防護部材の管径を取得する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、予め管径が取得されている前記管路の前記撮影画像における太さと、前記撮影画像における前記管路と前記防護部材の内壁面との距離とに基づいて、前記防護部材の内部における前記管路と前記防護部材の内壁面との距離を取得する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記管路に削孔された孔を通過した前記カメラにより撮影された、前記防護部材の端面に存在する管端閉塞の画像を前記撮影画像として取得し、
前記撮影画像を解析して、前記管端閉塞における劣化を検出する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記カメラとは異なる位置に存在する光源からの光を受けている状態で撮影された、前記管端閉塞の画像を前記撮影画像として取得する、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記撮影画像を解析して、前記防護部材の内部への水の流入を検出する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
地中に埋設された防護部材の内部に配設された管路の壁面を貫通する孔を削孔機により形成する工程と、
前記管路の内部及び前記孔を通して、内視鏡装置の挿入部を案内する中空形状を有するガイド管を挿入する工程と、
前記ガイド管の中に前記挿入部を挿入して、前記管路の外部であって、前記防護部材の内部に、前記挿入部の先端を位置づける工程と、
前記挿入部の先端に設けられたカメラの撮影画像を取得する工程と、
前記撮影画像に基づき、前記防護部材の内面の形状及び劣化状況の少なくともいずれかを調査する工程と、
を含む調査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置及び調査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信ケーブル等の通信設備を地下に敷設する場合、通信ケーブルは、マンホール間を繋ぐ管路に収容されて設置される。軟弱地盤及び特殊区間等においては、通信ケーブル及び管路を保護するため、通信ケーブルを収容する管路をヒューム管の内部に敷設する場合がある。ヒューム管は、管路を防護するためのコンクリート製の土管である。ヒューム管を地中に埋設し、管路をヒューム管の内部に敷設した後、ヒューム管の内部を充填する工程量の緻密な算定のため、あるいは、老朽化によるヒューム管の管端部の劣化状況を効率よく把握するために、ヒューム管の内部を調査する場合がある。このような調査にあたり、従来手法においては、ヒューム管の近傍を掘削し、ヒューム管を露出させた状態で調査・点検を行っていた。
【0003】
特許文献1には管路の壁面を貫通する貫通孔を削孔する削孔機が記載されている。非特許文献1には、工業用の内視鏡が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】オリンパス株式会社、「工業用内視鏡(ファイバースコープ)IPLEX GAir」、[2021年6月28日検索]、インターネット〈URL:https://www.olympus-ims.com/ja/rvi-products/iplex-gair/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、調査範囲の真上に建造物又は構造物等の支障物がある場合には、ヒューム管等の防護部材の近傍を開削して調査することはできなかった。
【0007】
本開示の目的は、地中に埋設された通信設備の防護部材の内部を非開削で調査することを可能にする制御装置及び調査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る制御装置は、地中に埋設された防護部材の内部に配設された管路の壁面を貫通する孔を通過して、前記管路の外部であって、前記防護部材の内部に位置づけられた、内視鏡装置のカメラから撮影画像を取得し、前記撮影画像に基づき、前記防護部材の内面の形状及び劣化状況の少なくともいずれかを調査する、制御部を備える。
【0009】
一実施形態に係る調査方法は、地中に埋設された防護部材の内部に配設された管路の壁面を貫通する孔を削孔機により形成する工程と、前記管路の内部及び前記孔を通して、内視鏡装置の挿入部を案内する中空形状を有するガイド管を挿入する工程と、前記ガイド管の中に前記挿入部を挿入して、前記管路の外部であって、前記防護部材の内部に、前記挿入部の先端を位置づける工程と、前記挿入部の先端に設けられたカメラの撮影画像を取得する工程と、前記撮影画像に基づき、前記防護部材の内面の形状及び劣化状況の少なくともいずれかを調査する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施形態によれば、地中に埋設された通信設備の防護部材の内部を非開削で調査することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】地下の調査範囲の上部に支障物が存在する土地を模式的に示す図である。
【
図2】一実施形態に係る調査方法による調査の様子を模式的に示す図である。
【
図3】
図2の制御装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図5】一実施形態に係る調査方法による調査の様子を模式的に示す図である。
【
図6】一実施形態に係る調査方法の手順を示すフローチャートである。
【
図7】一実施形態に係る調査方法による調査の様子を模式的に示す図である。
【
図8】
図7のカメラにより撮影された撮影画像の一例を模式的に示す図である。
【
図9】一実施形態に係る調査方法の手順を示すフローチャートである。
【
図10】一実施形態に係る調査方法による調査の様子を模式的に示す図である。
【
図11】
図10のカメラにより撮影された撮影画像の一例を模式的に示す図である。
【
図12】一実施形態に係る調査方法の手順を示すフローチャートである。
【
図13】一実施形態に係る調査方法による調査の様子を模式的に示す図である。
【
図14A】
図13のカメラにより撮影された撮影画像の一例を模式的に示す図である。
【
図14B】
図13のカメラにより撮影された撮影画像の一例を模式的に示す図である。
【
図15】一実施形態に係る調査方法の手順を示すフローチャートである。
【
図16】一実施形態に係る調査方法による調査の様子を模式的に示す図である。
【
図17】水面付近の内視鏡装置を模式的に示す図である。
【
図18A】
図16のカメラにより撮影された撮影画像の一例を模式的に示す図である。
【
図18B】
図16のカメラにより撮影された撮影画像の一例を模式的に示す図である。
【
図19】一実施形態に係る調査方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面中、同一の構成又は機能を有する部分には、同一の符号を付している。本実施形態の説明において、同一の部分については、重複する説明を適宜省略又は簡略化する場合がある。
【0013】
図1は、地下の調査範囲98の上部に支障物90が存在する土地を模式的に示す図である。
図1において、地表Gの下にはマンホール60(60a,60b)が形成されている。マンホール60a,60bの間には、通信ケーブル等を収容する管路70が埋設されている。軟弱地盤及び特殊区間等においては、管路70を防護するための防護部材としてのヒューム管80が埋設されている。ヒューム管80は、中空の円筒形状を有するコンクリート製の土管である。以下、地中の管路70を防護する防護部材としてヒューム管80が用いられる例を説明するが、防護部材として他の部材又は器具等が用いられてもよい。ヒューム管80の両端の端面は、管端閉塞82(82a,82b)により閉塞されている。管端閉塞82(82a,82b)は、例えば、モルタル及びレンガ等により形成される。ヒューム管80は、一定の長さ(例えば、2.43m)を有するヒューム管である複数の単位管が連結されて構成される場合もある。そのような場合、管端閉塞82(82a,82b)は、複数の単位管が連結して構成されたヒューム管80の両端のみに設けられる。
【0014】
このような管路70及びヒューム管80を地中に埋設した後、ヒューム管80の管長及び管径を調査する場合がある。また、管端閉塞82は埋設後、劣化しやすいため、管端閉塞82の劣化の状況を調査及び点検する場合がある。このような調査及び点検を行うために、従来の手法では、ヒューム管80の近傍を掘削し、ヒューム管80を露出させた状態で調査及び点検を行っていた。しかし、
図1のように、調査範囲98の真上に建造物又は構造物等の支障物90がある場合には、ヒューム管80の近傍を開削して調査することができなかった。
【0015】
図2は、一実施形態に係る調査方法による調査の様子を模式的に示す図である。
図2において、ヒューム管80の上には真上に建造物又は構造物等により開削をすることができない支障範囲99が存在する。内視鏡装置20は、制御装置10、カメラ25、及び挿入部21を備える。制御装置10は、内視鏡装置20の各構成要素の動作を制御する。カメラ25は、入力された光を電気信号に変換して撮影画像を生成する。カメラ25は、挿入部21の先端に設けられる。挿入部21は、細長い形状を有し、被検体内に挿入される。挿入部21の先端には、ライトが設けられてもよい。挿入部21は、制御装置10の制御に応じて湾曲可能な湾曲部23を有する。湾曲部23は、その周囲において湾曲部23の長手方向に複数のワイヤが配設され、制御部11の制御に基づきワイヤに張力が加えられることにより湾曲する。挿入部21は、カメラ25が生成した撮影画像を制御装置10に伝達するケーブルを備える。なお、内視鏡装置20は、挿入部21の先端にカメラ25に代えて対物レンズを備えてもよい。この場合、対物レンズに入射した光は、挿入部21内の光ファイバにより制御装置10へ伝達され、制御装置10に設けられたフォトダイオードにより電気信号に変換されて、撮影画像が取得される。撮影画像は制御装置10の出力部15に表示される。作業者は、制御装置10を操作して、カメラ25の撮影及び湾曲部23における湾曲等を制御することができる。
【0016】
本実施形態では、削孔機30によりマンホール60a,60b間を接続する管路70を削孔して、点検用の孔72を形成する。本実施形態では、管路70は内部が空洞の空管である。本実施形態では、この点検用の孔72に内視鏡装置20のカメラ25を挿入する。カメラ25の挿入は、まず中空形状を有するガイド管26を孔72に挿入し、ガイド管26の中にカメラ25を挿入することで行ってもよい。これにより、カメラ25を管路70の外部であって、ヒューム管80の内部に到達させることができる。ガイド管26は、例えば、ポリエチレン等の材料により形成される。本実施形態では、制御装置10又は作業者がヒューム管80の端面をカメラ25の撮影画像で確認して、ヒューム管80の管長L及び管径Dを計測し、並びに、管端部の管端閉塞82の劣化状況を調査する。本実施形態では、内視鏡装置20のカメラ25の先端湾曲機能を活用し、遠隔でカメラ25をヒューム管80の端面側に向けて、画像を確認しながら、調査及び点検を実施する。これにより、本実施形態に係る構成によれば、地上の支障物90の有無の影響を受けることなく、調査及び点検を実施することが可能である。なお、本明細書の添付部面では、模式的にカメラ25を大きく描いている場合があるが、カメラ25はガイド管26の内部を通過可能な大きさを有する。
【0017】
図3は、
図2の制御装置10の構成を模式的に示すブロック図である。
図3に示すように、制御装置10は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、出力部15、及びバス16を備える。
【0018】
制御部11は、制御装置10を構成する各構成部とバス16を介して通信可能に接続され、制御装置10全体の動作を制御する。制御部11は、1つ以上のプロセッサを含む。一実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はこれらの組合せ等であってもよい。
【0019】
記憶部12は、制御装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部12は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部13によって受信された撮影画像等の各種情報等を記憶してもよい。記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、又はこれらの組合せを含む任意の記憶モジュールを含む。記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部12は、制御装置10に内蔵されているものに限定されず、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート等によって接続されている外付けのデータベース又は外付け型の記憶モジュールであってもよい。
【0020】
通信部13は、カメラ25等の他の装置と通信するためのインタフェースとして機能する。通信部13は、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN等を含む任意の通信技術によって他の装置と通信接続可能な、任意の通信モジュールを含む。通信部13は、さらに、他の装置との通信を制御するための通信制御モジュール、及び他の装置との通信に必要となる識別情報等の通信用データを記憶する記憶モジュールを含んでもよい。
【0021】
入力部14はユーザの入力操作を受け付けて、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力インタフェースを含む。例えば、入力部14は、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、出力部15のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイク等であるが、これらに限定されない。
【0022】
出力部15は、ユーザに対して情報を出力し、ユーザに通知する1つ以上の出力インタフェースを含む。例えば、出力部15は、情報を画像で出力するディスプレイであるが、これに限定されず、例えば、情報を音声で出力するスピーカ等を備えてもよい。なお、上述の入力部14及び出力部15の少なくとも一方は、制御装置10と一体に構成されてもよいし、別体として設けられてもよい。
【0023】
制御装置10の機能は、本実施形態に係るプログラムを、制御部11に含まれるプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、制御装置10の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、制御装置10の動作に含まれるステップの処理をコンピュータに実行させることで、各ステップの処理に対応する機能をコンピュータに実現させる。すなわち、プログラムは、コンピュータを本実施形態に係る制御装置10として機能させるためのプログラムである。プログラム命令は、必要なタスクを実行するためのプログラムコード、又はコードセグメント等であってもよい。
【0024】
制御装置10の一部又は全ての機能が、制御部11に含まれる専用回路により実現されてもよい。すなわち、制御装置10の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。また、制御装置10は単一の情報処理装置により実現されてもよいし、複数の情報処理装置の協働により実現されてもよい。
【0025】
図4は、削孔機30を示す図である。削孔機30は、管路70に挿入され、管路70の壁面を貫通する孔72を削孔する。削孔機30は、削孔機本体31、ドリル32、押し棒33、コンプレッサ34、及びエアホース35を備える。削孔機本体31は、削孔機30の管路70への挿入方向に沿って延在する。ドリル32は、削孔機本体31の一面に設置される。押し棒33は、孔を削孔する管路70内の所望の位置まで削孔機本体31を押し込むために用いられる。コンプレッサ34は、エアホース35を介して、削孔機本体31を駆動するための空気を供給する。削孔機本体31は、コンプレッサ34から供給された空気により駆動し、ドリル32を回転させながら管路70の壁面に押し当て、孔72を削孔する。
【0026】
図5は、一実施形態に係る調査方法による調査の様子を模式的に示す図である。
図5は、ヒューム管80の管長Lを調査する手法を説明している。
図5の例では、ヒューム管80の内部に接手75を介して接続された管路70が配設されている。以下、管端閉塞82(82a,82b)の厚さL
1、L
5は既知である場合の例が説明される。
【0027】
作業者は、図面を確認し、管路70に削孔機本体31を挿入して、ヒューム管80内と想定される位置に点検用の孔72aを削孔する。削孔を終えると、作業者は、削孔機本体31を管路70から取り出し、点検用の孔72aにガイド管26を押し出す。作業者は、ガイド管26の中にカメラ25及び挿入部21を挿入し、カメラ25をヒューム管80の内部へ入れる。このようにガイド管26を先に孔72aに挿入することで、ヒューム管80の内部でのカメラ25の操作が可能となる。
【0028】
作業者は、制御装置10を操作して、ヒューム管80の両端面を撮影するようにカメラ25の方向を修正する。なお、挿入部21の先端には、撮影方向を照明するためのライトが設けられてもよい。また、カメラ25の方向の修正は、カメラ25の撮影画像を解析して制御装置10が自動的に行うようにしてもよい。ヒューム管80内でカメラ25が撮影できる距離的範囲は限られている。そのため、
図5の例では、孔72aを介して挿入されたカメラ25は、一方の管端閉塞82aのみを撮影することができる。カメラ25が管端閉塞82aを撮影すると、孔72aと管端閉塞82aとの距離L
2が測定される。距離L
2の測定は、例えば、制御装置10が管端閉塞82aの撮影画像を解析して行ってもよいし、あるいは、作業者が撮影画像に基づき大まかな値を見積もることにより行ってもよい。撮影画像に基づく距離L
2の測定は、例えば、既知の管路70の太さと、撮影画像における管端閉塞82aの奥行とを比較して行われてもよい。制御装置10が管端閉塞82aの撮影画像を解析して距離L
2の測定する場合は、予め撮影画像と距離との関係を機械学習しておき、その学習結果を利用して距離L
2を測定してもよい。また、挿入部21の先端に、赤外線又はレーザ等を用いる測距センサを設け、その測距センサを用いて距離L
2を測定してもよい。測距センサを用いる場合も、撮影画像に被写体を表示させ、距離測定の対象を自動的に又作業者により確認してから距離測定を行うことで、より精度の高い測距を行うことができる。作業者が距離L
2を見積もった場合、その値は制御装置10に入力される。
【0029】
この時点では孔72aと管端閉塞82bとの距離は測定されていない。そこで、孔72aと管端閉塞82aとの距離L
2が測定されると、作業者は、内視鏡装置20の挿入部21及びガイド管26を管路70から除去する。作業者は、再び削孔機本体31を管路70へ挿入し、孔72aの隣に孔72bを削孔する。孔72bは、孔72aから、カメラ25が撮影可能な最大距離と同程度の距離だけ離れた位置に設けられる。削孔を終えると、作業者は、削孔機本体31を管路70から取り出し、再び点検用の孔72bにガイド管26を押し出す。作業者は、ガイド管26の中にカメラ25及び挿入部21を挿入し、カメラ25をヒューム管80の内部へ入れる。作業者は、制御装置10を操作して、ヒューム管80の両端面又は孔72を撮影するようにカメラ25の方向を修正する。
図5の例では、孔72bから挿入されたカメラ25は、孔72bのみを撮影することができ、管端閉塞82a,82bは撮影することができない。そこで、制御装置10は、孔72aから管端閉塞82aまでの距離L
2を測定したとの同じ手法により、孔72bと孔72aとの距離a
1を測定する。このように、作業者は、削孔、カメラ25の挿入、撮影、測距の一連の処理を、カメラ25の撮影画像に管端閉塞82bが表示されるまで繰り返す。このような処理により取得された距離a
1・・・a
Nを合計することにより、孔72aから孔72cまでの距離L
3(=a
1+・・・+a
N)が取得される。
【0030】
図5の例では、孔72cの位置からのカメラ25の撮影画像に管端閉塞82bが表示される。そこで、制御装置10は、その撮影画像を基に、距離L
2を取得したのと同様の手法により、孔72cと管端閉塞82bとの距離L
4を取得する。
【0031】
制御装置10は、このようにして取得されたL2~L4及び既知のL1、L5を合計し、ヒューム管80の管長L(=L1+・・・+L6)を取得する。このように、本実施形態では、内視鏡装置20のカメラ25を操作し、両端の管端閉塞82(82a,82b)が確認できるまで、削孔、カメラ25の挿入、撮影、測距の一連の処理を、カメラ25の撮影画像に管端閉塞82bが表示されるまで繰り返す。したがって、ヒューム管80等の防護部材の近傍を開削することなく、ヒューム管80の管長Lを測定することができる。なお、ヒューム管80が、一定の長さLu(例えば、2.43m)を有する複数の単位管が連結されて構成されていることが判明している場合は、この情報を利用してもよい。例えば、削孔、カメラ25の挿入、撮影、測距の一連の処理を繰り返して得られた管長L*を単位管の長さLuで除した値の小数点以下を四捨五入したものnを算出し、LuにNを乗じた値(Lu×n)をヒューム管80の管長Lとして取得してもよい。これにより、管長Lの測定を高精度に行うことが可能である。また、カメラ25又は削孔機本体31に管路70における移動距離を測定するためのセンサを設け、そのセンサが測定した移動距離に基づき孔72aから孔72cまでの距離L3を取得してもよい。
【0032】
図6は、一実施形態に係る調査方法の手順を示すフローチャートである。各ステップの処理は、制御装置10、削孔機30、又は作業者により実行される。
【0033】
ステップS1において、削孔機30は、管路70に孔72を削孔する。ステップS1において、作業者は削孔機30を管路70に挿入し、削孔機30に孔72を削孔させる。削孔後、作業者は削孔機30を管路70から取り出す。
【0034】
ステップS2において、作業者は、ステップS1で削孔した孔72を介してガイド管26を挿入する。
【0035】
ステップS3において、作業者は、ガイド管26を介してカメラ25及び挿入部21を挿入する。これにより、カメラ25は、管路70の外部であって、ヒューム管80の内部に位置づけられる。
【0036】
ステップS4において、制御装置10の制御部11は、カメラ25の撮影画像を取得する。制御装置10の制御部11又は作業者は、管端閉塞82(82a,82b)又は隣接する孔72の画像を取得するように、内視鏡装置20の湾曲部23を制御する。
【0037】
ステップS5において、制御装置10の制御部11は、カメラ25の位置から管端閉塞82(82a,82b)又は隣接する孔72までの距離を取得する。距離取得の具体的な手法は前述のとおりである。
【0038】
ステップS6において、制御装置10の制御部11は、ヒューム管80の両端の管端閉塞82(82a,82b)を撮影済みであるか否かを判定する。制御部11は、撮影済みの場合(ステップS6でYES)はステップS7へ進み、そうでない場合(ステップS6でNO)はステップS1へ戻って隣接する孔72を削孔する。
【0039】
ステップS7において、制御装置10の制御部11は、ステップS5で取得した長さを合計して、ヒューム管80の管長Lを算出する。そして、処理は終了する。
【0040】
以上のように、制御装置10の制御部11は、地中に埋設された防護部材の内部に配設された管路70の壁面を貫通する孔72を通過して、管路70の外部であって、防護部材の内部に位置づけられた、内視鏡装置20のカメラ25から撮影画像を取得する。制御部11は、撮影画像に基づき、防護部材の内面の形状及び劣化状況の少なくともいずれかを調査する。したがって、地中に埋設された通信設備の防護部材の内部を非開削で調査することが可能である。すなわち、既存の管路70を使用するため、開削をする手法よりも低コストで防護部材の内部の調査及び点検を行うことができる。また、水平に埋設された管路70を使用することで、地上に支障物90がある場合であっても、防護部材の内部を探査可能となる。
【0041】
また、制御部11は、カメラ25の撮影可能距離に応じた間隔で管路70に削孔された複数の孔72を通過したカメラ25により撮影された、防護部材の管端部又は他の孔72の複数の画像を複数の撮影画像として取得する。制御部11は、複数の撮影画像の各々について、その撮影画像に基づき、その撮影画像を撮影した際にカメラ25が通過した孔72と、防護部材の管端部又は他の孔72との距離を取得する。制御部11は、複数の撮影画像の各々について取得した距離に基づき、防護部材の管長Lを取得する。このように、制御部11は、カメラ25の撮影可能距離に応じた間隔で削孔された孔72を通過したカメラ25により撮影された、複数の撮影画像を解析して防護部材の管長Lを取得する。したがって、長距離の管長の計測が可能となる。
【0042】
また、本実施形態の調査方法は、地中に埋設された防護部材の内部に配設された管路70の壁面を貫通する孔72を削孔機30により形成し、管路70の内部及び孔72を通して、内視鏡装置20の挿入部21を案内する中空形状を有するガイド管26を挿入する。調査方法は、ガイド管26の中に挿入部21を挿入して、管路70の外部であって、防護部材の内部に、挿入部21の先端を位置づけ、挿入部21の先端に設けられたカメラ25の撮影画像を取得する。調査方法は、撮影画像に基づき、防護部材の内面の形状及び劣化状況の少なくともいずれかを調査する。このように、点検用の孔72にガイド管26をあらかじめ挿入することで、防護部材内でのカメラ25の任意の方向への操作が可能となる。
【0043】
図7は、一実施形態に係る調査方法による調査の様子を模式的に示す図である。
図7は、ヒューム管80の管径Dを調査する手法を説明している。
図7はヒューム管80及び管路70の長手方向に直交する平面によるヒューム管80及び管路70の断面図を示している。
図7の例では、ヒューム管80の内部に水平方向に3列、鉛直方向に3列の、9(=3×3)本の管路70が設けられている。なお、上の列に存在する管路70aの上面と下の列に存在する管路70cの下面との距離D
2は既知である。
【0044】
作業者は、上の列に存在する管路70の一つである管路70aに削孔機本体31を挿入して、ヒューム管80内と想定される位置に点検用の孔72aを削孔する。削孔を終えると、作業者は、削孔機本体31を管路70から取り出し、点検用の孔72aにガイド管26を押し出す。作業者は、ガイド管26の中にカメラ25及び挿入部21を挿入し、カメラ25を管路70の外部であって、ヒューム管80の内部へ入れる。
【0045】
作業者は、制御装置10を操作して、ヒューム管80の内壁面、管端閉塞82、及び管路70を撮影するようにカメラ25の方向を修正する。なお、挿入部21の先端には、撮影方向を照明するためのライトが設けられてもよい。また、カメラ25の方向の修正は、カメラ25の撮影画像を解析して制御装置10が自動的に行うようにしてもよい。カメラ25がヒューム管80の内壁面及び管路70を撮影すると、管路70aとヒューム管80の内壁面との距離D
1が測定される。距離D
1の測定は、例えば、制御装置10がヒューム管80の内壁面及び管路70の撮影画像を解析して行ってもよいし、あるいは、作業者が撮影画像に基づき大まかな値を見積もることにより行ってもよい。
図8は、
図7のカメラ25により撮影された撮影画像の一例を模式的に示す図である。撮影画像に基づく距離D
1の測定は、例えば、既知の管路70の管径bと、撮影画像における管路70から、ヒューム管80の内壁面及び管端閉塞82の境界まで距離E
1とを比較して行われてもよい。制御装置10がヒューム管80の内壁面等の撮影画像を解析して距離D
1の測定する場合は、予め撮影画像と距離との関係を機械学習しておき、その学習結果を利用して距離D
1を測定してもよい。また、挿入部21の先端に、赤外線又はレーザ等を用いる測距センサを設け、その測距センサを用いて距離D
1を測定してもよい。測距センサを用いる場合も、撮影画像に被写体を表示させ、距離測定の対象を自動的に又作業者により確認してから距離測定を行うことで、より精度の高い測距を行うことができる。作業者が距離D
1を見積もった場合、その値は制御装置10に入力される。
【0046】
管路70aからの撮影を終えると、作業者は、下の列に存在する管路70の一つである管路70cに削孔機本体31を挿入して、ヒューム管80内と想定される位置に点検用の孔72を削孔する。削孔を終えると、作業者は、削孔機本体31を管路70から取り出し、点検用の孔72にガイド管26を押し出す。作業者は、ガイド管26の中にカメラ25及び挿入部21を挿入し、カメラ25を管路70の外部であって、ヒューム管80の内部へ入れる。そして、距離D1を測定したのと同様の手法により、管路70cとヒューム管80の内壁面との距離D3が測定される。
【0047】
制御装置10は、このようにして取得されたD1、D3及び既知のD2を合計し、ヒューム管80の管径D(=D1+D2+D3)を取得する。このように、本実施形態では、管路70に孔72を削孔してカメラ25を挿入して撮影することにより、上の列に存在する管路70とヒューム管80の内壁面との距離D1、及び下の列に存在する管路70とヒューム管80の内壁面との距離D3を取得する。これら値に既知の距離D2を合計して、ヒューム管80の管径Dを取得する。したがって、ヒューム管80等の防護部材の近傍を開削することなく、ヒューム管80の管径Dを測定することができる。なお、ヒューム管80が予め判明している複数の規格の候補のいずれかであることは分かっているが、どの候補に該当するかが分からない場合は、この情報を利用してもよい。例えば、規格の候補の管径の各々と、管径の測定値とを比較し、規格の候補の管径のうち測定値に最も近いものをヒューム管80の管径Dとして取得してもよい。これにより、管径Dの測定を高精度に行うことが可能である。
【0048】
図9は、一実施形態に係る調査方法の手順を示すフローチャートである。各ステップの処理は、制御装置10、削孔機30、又は作業者により実行される。
【0049】
ステップS11において、削孔機30は、上の列の管路70aに孔72aを削孔する。ステップS11において、作業者は削孔機30を管路70aに挿入し、削孔機30に孔72aを削孔させる。削孔後、作業者は削孔機30を管路70aから取り出す。
【0050】
ステップS12において、作業者は、ステップS11で削孔した孔72aを介してガイド管26を挿入する。
【0051】
ステップS13において、作業者は、ガイド管26を介してカメラ25及び挿入部21を挿入する。これにより、カメラ25は、管路70aの外部であって、ヒューム管80の内部に位置づけられる。
【0052】
ステップS14において、制御装置10の制御部11は、カメラ25の撮影画像を取得する。制御装置10の制御部11又は作業者は、ヒューム管80の内壁面、管端閉塞82、及び管路70の画像を取得するように、内視鏡装置20の湾曲部23を制御する。
【0053】
ステップS15において、制御装置10の制御部11は、管路70aからヒューム管80の内壁面までの距離を取得する。距離取得の具体的な手法は前述のとおりである。
【0054】
ステップS16において、制御装置10の制御部11は、ヒューム管80の両内面を撮影済みであるか否かを判定する。制御部11は、撮影済みの場合(ステップS16でYES)はステップS17へ進み、そうでない場合(ステップS16でNO)はステップS11へ戻って下の列の管路70bについてステップS11~S15の処理を行うようにする。
【0055】
ステップS17において、制御装置10の制御部11は、ステップS15で取得したD1、D3に既知のD2を合計し、ヒューム管80の管径D(=D1+D2+D3)を取得する。そして、処理は終了する。
【0056】
以上のように、制御装置10の制御部11は、管路70に削孔された孔72を通過したカメラ25により撮影された、防護部材の内壁面及び管路70の画像を撮影画像として取得する。制御部11は、撮影画像に基づき、その撮影画像を撮影した際にカメラ25が通過した管路70と、防護部材の内壁面との距離を取得し、その距離に基づき、防護部材の管径Dを取得する。このように、制御部11は、防護部材の内壁面及び管路70の画像を撮影画像に基づき防護部材の管径Dを取得するため、非開削で防護部材の管径Dを取得することが可能である。
【0057】
また、制御部11は、予め管径bが取得されている管路70の撮影画像における太さと、撮影画像における管路70と防護部材の内壁面との距離とに基づいて、防護部材の内部における管路70と防護部材の内壁面との距離を取得する。したがって、既知の径(管径など)と未知の径との画像の大きさの比率により、管径を高精度で計測することが可能となる。
【0058】
図10は、一実施形態に係る調査方法による調査の様子を模式的に示す図である。
図10は、ヒューム管80の管端閉塞82(82a,82b)を調査する手法を説明している。
【0059】
作業者は、図面を確認し、管路70に削孔機本体31を挿入して、ヒューム管80内と想定される位置に点検用の孔72aを削孔する。削孔を終えると、作業者は、削孔機本体31を管路70から取り出し、点検用の孔72aにガイド管26を押し出す。作業者は、ガイド管26の中にカメラ25及び挿入部21を挿入し、カメラ25をヒューム管80の内部へ入れる。作業者は、制御装置10を操作して、ヒューム管80の管端閉塞82(82a,82b)を撮影するようにカメラ25の方向を修正する。なお、挿入部21の先端には、撮影方向を照明するためのライトが設けられてもよい。また、カメラ25の方向の修正は、カメラ25の撮影画像を解析して制御装置10が自動的に行うようにしてもよい。
【0060】
制御装置10又は作業者は、撮影画像に基づき管端閉塞82(82a,82b)に劣化が生じているか否かを判別する。
図11は、
図10のカメラ25により撮影された撮影画像の一例を模式的に示す図である。
図11の例では、管端閉塞82に、亀裂93、貫通孔94、及び表面破損95が存在する。またヒューム管80の内部に土等の堆積物96が存在する。制御装置10又は作業者は、撮影画像から、亀裂93、貫通孔94、表面破損95、及び堆積物96等の劣化を検出する。制御装置10が劣化を検出する際は、予め劣化の画像を機械学習しておき、その学習結果を利用して劣化を検出してもよい。制御装置10又は作業者は、内視鏡装置20の湾曲部23を操作して、管端閉塞82の全範囲の撮影画像を取得することで、管端閉塞82の全領域について劣化の有無を確認することができる。このような作業をヒューム管80の両端の管端閉塞82a,82bの各々について行うことで、管端閉塞82a,82bの両方について劣化を検出することができる。
【0061】
図12は、一実施形態に係る調査方法の手順を示すフローチャートである。各ステップの処理は、制御装置10、削孔機30、又は作業者により実行される。
【0062】
ステップS21において、削孔機30は、管路70に孔72を削孔する。ステップS21において、作業者は削孔機30を管路70に挿入し、削孔機30に孔72を削孔させる。削孔後、作業者は削孔機30を管路70から取り出す。
【0063】
ステップS22において、作業者は、ステップS21で削孔した孔72を介してガイド管26を挿入する。
【0064】
ステップS23において、作業者は、ガイド管26を介してカメラ25及び挿入部21を挿入する。これにより、カメラ25は、管路70の外部であって、ヒューム管80の内部に位置づけられる。
【0065】
ステップS24において、制御装置10の制御部11は、カメラ25の撮影画像を取得する。制御装置10の制御部11又は作業者は、管端閉塞82(82a,82b)の撮影画像を取得するように、内視鏡装置20の湾曲部23を制御する。
【0066】
ステップS25において、制御装置10の制御部11又は作業者は、撮影画像から管端閉塞82(82a,82b)に劣化が生じているか否かを確認する。劣化検出の具体的な手順は前述のとおりである。
【0067】
ステップS26において、制御装置10の制御部11は、ヒューム管80の両端の管端閉塞82(82a,82b)を撮影済みであるか否かを判定する。制御部11は、撮影済みの場合(ステップS26でYES)は処理を終了し、そうでない場合(ステップS26でNO)はステップS21へ戻って未撮影の管端閉塞82について、ステップS1~S5の処理を行う。
【0068】
このように、制御部11は、管路70に削孔された孔72を通過したカメラ25により撮影された、防護部材の端面に存在する管端閉塞82の画像を撮影画像として取得し、撮影画像を解析して、管端閉塞82における劣化を検出する。したがって、非開削で管端閉塞82における劣化を検出することが可能である。
【0069】
また、本実施形態では、ガイド管26を先に点検用の孔72に挿入し、防護部材の内部でガイド管26、挿入部21、湾曲部23、及びカメラ25を操作することで、管端面の管端閉塞82の全体の確認が可能となる。
【0070】
図13は、一実施形態に係る調査方法による調査の様子を模式的に示す図である。
図13は、ヒューム管80の内部に水が流入している状況において、ヒューム管80の管端閉塞82(82a,82b)を調査する手法を説明している。
図13では、点検用の孔72a,72bとは別に光源用の孔72c,72cを設け、カメラ25とは別の位置から照明を行う。
【0071】
水中を撮影する場合、カメラ25の近傍のライトから撮影方向を照らすと、光が水に反射して画像全体がぼやけてしまい、カメラ25から撮影可能な距離を十分長くとることができないことが分かっている。
図14A、
図14Bは、
図13のカメラ25により撮影された撮影画像の一例を模式的に示す図である。
図14Aは、カメラ25の近傍のライトから撮影方向を照らした場合の撮影画像の一例である。
図14Aの撮影画像では、管路70の画像のみが映っている。
図14Bは、カメラ25から離れた位置に設けられた光源40から撮影方向を照らした場合の同じ撮影場所の撮影画像の一例である。
図14Bの撮影画像では、管路70に加えて、光源40及び管端閉塞82の画像が映っている。
図14A、
図14Bを比較して明らかなように、カメラ25から離れた位置に設けられた光源40から撮影方向を照らすことで、カメラ25からの視認性を高めることができ、撮影画像においてより遠くの対象物を確認することが可能になる。なお、
図13は、カメラ25の後方から光源40により照らしている例を示しているが、光源40の位置はカメラ25から離れていればよく、カメラ25の後方に限られない。
【0072】
図15は、一実施形態に係る調査方法の手順を示すフローチャートである。各ステップの処理は、制御装置10、削孔機30、又は作業者により実行される。
【0073】
ステップS31において、削孔機30は、管路70に第1の孔72a、第2の孔72bを削孔する。ステップS31において、作業者は削孔機30を管路70に挿入し、削孔機30に第1の孔72aを削孔させる。さらに、作業者は、削孔機30に管路70の別の位置において第2の孔72bを削孔させる。削孔後、作業者は削孔機30を管路70から取り出す。
【0074】
ステップS32において、作業者は、ステップS21で削孔した第1の孔72aを介してガイド管26を挿入する。
【0075】
ステップS33において、作業者は、ガイド管26を介してカメラ25及び挿入部21を挿入する。これにより、カメラ25は、管路70の外部であって、ヒューム管80の内部に位置づけられる。
【0076】
ステップS34において、作業者は、ステップS21で削孔した第2の孔72bを介してガイド管26を挿入する。
【0077】
ステップS35において、制御装置10の制御部11は、カメラ25の撮影画像を取得する。制御装置10の制御部11又は作業者は、管端閉塞82(82a,82b)の撮影画像を取得するように、光源40の照射方向及び内視鏡装置20の湾曲部23を制御する。
【0078】
ステップS36において、制御装置10の制御部11又は作業者は、撮影画像から管端閉塞82(82a,82b)に劣化が生じているか否かを確認する。劣化検出の具体的な手順は
図11を参照して前述のとおりである。
【0079】
ステップS37において、制御装置10の制御部11は、ヒューム管80の両端の管端閉塞82(82a,82b)を撮影済みであるか否かを判定する。制御部11は、撮影済みの場合(ステップS37でYES)は処理を終了し、そうでない場合(ステップS37でNO)はステップS31へ戻って未撮影の管端閉塞82について、ステップS31~S36の処理を行う。
【0080】
以上のように、制御部11は、カメラ25とは異なる位置に存在する光源40からの光を受けている状態で撮影された、管端閉塞82の画像を撮影画像として取得する。このように、水中では別の光源40をカメラ25とは別の位置から照射させることにより、より遠くの管端部の管端閉塞82の劣化状況を確認することが可能となる。
【0081】
図16は、一実施形態に係る調査方法による調査の様子を模式的に示す図である。
図16は、ヒューム管80の内部に地下水等の水が存在するか、水が流入中であるか否か等を確認する手法を説明している。
図16の例では、管路70aはヒューム管80内の水の有無等を確認するための管路である。管路70aの両端には止水栓51,52が設けられている。止水栓51は内視鏡の挿入部21を挿入するための孔が空けられている。これに対して、止水栓52は孔を有さない。
【0082】
作業者は、図面を確認し、管路70に削孔機本体31を挿入して、ヒューム管80内と想定される位置に点検用の孔72aを削孔する。削孔を終えると、作業者は、削孔機本体31を管路70から取り出し、点検用の孔72aにパイプ27にガイド管26を挿入したものを押し出す。パイプ27は、ガイド管26及び挿入部21を水から防ぐための透明なコーティングである。作業者は、ガイド管26の中にカメラ25及び挿入部21を挿入し、カメラ25をヒューム管80の内部へ入れる。作業者は、制御装置10を操作して、ヒューム管80内の様々な高さを撮影するようにカメラ25の方向を修正する。なお、挿入部21の先端には、撮影方向を照明するためのライトが設けられてもよい。また、カメラ25の方向の修正は、カメラ25の撮影画像を解析して制御装置10が自動的に行うようにしてもよい。
【0083】
図17は、水面付近の内視鏡装置20を模式的に示す図である。
図17の例では、カメラ25は水85の中にあり、空気87と水85との境界である水面86よりも下に位置している。
【0084】
図18A、
図18Bは、
図16のカメラ25により撮影された撮影画像の一例を模式的に示す図である。
図18Aの上の図は、水面86がカメラ25の近傍にない状態における撮影画像の例である。
図18Aの下の図は、水面86がカメラ25の近傍にある状態における撮影画像の例である。
図18Aの下の図のように、水面86がカメラ25の近傍に存在する場合、撮影画像は乱れる。そこで、制御装置10又は作業者は、このような撮影画像の乱れに基づき、水面86の有無を判定してもよい。制御装置10が撮影画像を解析して水面86を判定する場合は、予め撮影画像と水面86の有無との関係を機械学習しておき、その学習結果を利用して水面86の有無を判定してもよい。
【0085】
図18Bは、水面86の位置が上昇している様子を示す撮影画像の例である。
図18Bの左の画像には、空気87と水85との間に水面86が存在している。
図18Bの右の画像は、左の画像の撮影時刻から一定時間が経過した後の同じ場所の撮影画像である。
図18Bの右の画像では、水面86が
図18Bの左の画像における水面86よりも上昇している。したがって、制御装置10又は作業者は、このような撮影画像における水面86の位置の変化に基づき、水の流入を判定してもよい。制御装置10が撮影画像を解析して水の流入を判定する場合は、予め撮影画像と水面86の位置変化との関係を機械学習しておき、その学習結果を利用して水の流入を判定してもよい。制御装置10又は作業者は、水面86の低下が確認でき、かつ水面86の上昇がない場合、ヒューム管80の端部(管端閉塞82)からの地下水流入がないと判断してよい。他方、制御装置10又は作業者は、水面86が低下しない、もしくは水面86が上昇する場合は地下水流入ありと判断してもよい。
【0086】
図19は、一実施形態に係る調査方法の手順を示すフローチャートである。各ステップの処理は、制御装置10、削孔機30、又は作業者により実行される。
【0087】
ステップS41において、削孔機30は、管路70に孔72を削孔する。ステップS41において、作業者は削孔機30を管路70に挿入し、削孔機30に孔72を削孔させる。削孔後、作業者は削孔機30を管路70から取り出す。
【0088】
ステップS42において、作業者は、ステップS41で削孔した孔72を介してパイプ27にガイド管26を挿入したものを挿入する。
【0089】
ステップS43において、作業者は、ガイド管26を介してカメラ25及び挿入部21を挿入する。これにより、カメラ25は、管路70の外部であって、ヒューム管80の内部に位置づけられる。
【0090】
ステップS44において、制御装置10の制御部11は、カメラ25の撮影画像を取得する。制御装置10の制御部11又は作業者は、存在する場合は水面の画像を取得するように、内視鏡装置20の湾曲部23を制御する。
【0091】
ステップS45において、制御装置10の制御部11は、撮影画像に基づき、水の有無又は水面86の上昇を検出する。そして、処理は終了する。
【0092】
以上のように、制御部11は、撮影画像を解析して、防護部材の内部への水の流入を検出する。すなわち、カメラ25の撮影画像の乱れ、並びに水面86の位置の変化の目視確認あるいは画像解析による自動判定により、防護部材の内部の水位の低下又は上昇(地下水の流入状況)が確認可能となる。
【0093】
例えば、ブロック図に記載の複数のブロックは統合されてもよいし、又は1つのブロックは分割されてもよい。フローチャートに記載の複数のステップは、記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行されてもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0094】
10 制御装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入力部
15 出力部
20 内視鏡装置
21 挿入部
23 湾曲部
25 カメラ
26 ガイド管
27 パイプ
30 削孔機
31 削孔機本体
32 ドリル
33 押し棒
34 コンプレッサ
35 エアホース
40 光源
41 ケーブル
51、52 止水栓
60 マンホール
70 管路
72 孔
75 継手
80 ヒューム管
82 管端閉塞
85 水
86 水面
87 空気
90 支障物
93 亀裂
94 貫通孔
95 表面破損
96 堆積物
98 調査範囲
99 支障範囲
G 地表