(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001869
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】位置測定装置用の連行体
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
G01D5/245 110X
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022068177
(22)【出願日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】21180526
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・レッツァー
(72)【発明者】
【氏名】タレク・ヌッツィンガー
(72)【発明者】
【氏名】ティーロ・シュリックスビーア
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077NN05
2F077NN06
2F077VV02
2F077VV31
2F077WW03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】課題は、位置測定装置用の連行体を提供することであり、連行体が、柔軟で、位置測定装置の走査ユニットのケーブルに適合した構造を有することである。
【解決手段】位置測定装置用の連行体(16)は、位置測定装置の走査部(14)を保持するように形成されている。連行体(16)は、走査部(14)のケーブル(14.1)を収容するため且つ貫通して案内するための開口部(17)を有する。開口部(17)は、連行体(16)の少なくとも一部分が貫通して延在する。
【選択図】
図5a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置測定装置用の連行体(16)であって、
連行体(16)は、位置測定装置の走査ユニット(14)を保持するように形成されている、当該連行体(16)において、
連行体(16)は、走査ユニット(14)のケーブル(14.1)を収容するため且つ貫通して案内するための開口部(17)を有し、
開口部(17)は、連行体(16)の少なくとも一部を貫通して延在する、ことを特徴とする連行体(16)。
【請求項2】
連行体(16)は刀剣形の中央部分(16.2)を有し、
連行体(16)は、ケーブル(14.1)が、連行体(16)のベース面(G)に対して垂直に延びる第1の方向(Z)で、刀剣形の中央部分(16.2)を貫通して案内することができるように形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の連行体(16)。
【請求項3】
刀剣形の中央部分(16.2)は、連行体(16)の長手延長部に対して垂直に且つ連行体(16)のベース面(G)に対して平行に延びる第2の方向(Y)で第1の延長部(L1)を有し、
第1の延長部(L1)は、ケーブル(14.1)の直径(D)の1.0~1.5倍の範囲、又はケーブル(14.1)の直径(D)の1.0~1.25倍の範囲にある、ことを特徴とする請求項2に記載の連行体(16)。
【請求項4】
連行体(16)は、連行体の長手部分(L)に設けられている、ケーブル(14.1)を連行体(16)に横方向ではめ込むための凹部(16.4‘)を有する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の連行体(16)。
【請求項5】
凹部(16.4‘)は、開口部(17)を含む第1のセクション(20.1)と第1のセクション(20.1)に隣接する第2のセクション(20.2)を有し、
第1のセクション(20.1)と第2のセクション(20.2)によって、連行体(16)に対して上面から見てL字形状に形成されている部分(20)が形成され、
第1のセクション(20.1)は、連行体(16)の長手延長部に対して平行に延びる長手方向(X)に延在し、
第2のセクション(20.2)は、連行部(16)の長手延長部に対して垂直に且つ連行体(16)
のベース面(G)に対して平行に延びる第2の方向(Y)に延在し、
第1のセクション(20.1)は、連行体(16)の中央領域(Q)に配置されていて、
第2のセクション(20.2)は、連行体(16)の側面(24)から連行体(16)の中央領域(Q)まで延在する、ことを特徴とする請求項4に記載の連行体(16)。
【請求項6】
第1のセクション(20.1)が第2の方向(Y)で第2の延長部(L2)を有し、
第2のセクション(20.2)が長手方向(X)で第3の延長部(L3)を有し、
第2の延長部(L2)及び/又は第3の延長部(L3)は、それぞれケーブルの直径(D)の1.0~1.25倍の範囲に、又はケーブルの直径(D)の1.0~1.5倍の範囲にある、ことを特徴とする請求項5に記載の連行体(16)。
【請求項7】
連行体(16)は、凹部(16.4‘)に対応する閉鎖要素(16.4)を有し、
閉鎖要素(16.4)は、連行体(16)の、閉鎖要素(16.4)に対して相補的な部分(C)と着脱可能に接続され、
連行体(16)は、第1の内側輪郭(17.1)を有し、
閉鎖要素(16.4)は、第1の内側輪郭(17.1)に対向する第2の内側輪郭(17.2)を有し、
第1の内側輪郭(17.1)と第2の内側輪郭(17.2)は、それぞれ連行体(16)の長手延長部(L)を貫通して延在し、
第1の内側輪郭(17.1)と第2の内側輪郭(17.2)によって、ケーブル(14.1)を収容するため且つ貫通して案内するための開口部(17)が形成される、ことを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の連行体(16)。
【請求項8】
第1と第2の内側輪郭(17.1、17.2)によって形成されている開口部(17)は、連行体(16)の長手延長部に対して平行に且つ連行部(16)のベース本体(G)に対して垂直に延びる断面(S1)に、弓状の又は角度をつけた推移を有する、ことを特徴とする請求項7に記載の連行体(16)。
【請求項9】
凹部(16.4‘)は、
閉鎖要素(16.4)が相補的な部分(C)から外されているとき、
連行体(16)の長手延長部に対して垂直に且つ連行体(16)のベース面(G)に対して平行に延びる第2の方向(Y)において、ケーブル(14.1)を、連行体(16)に嵌め込むことができるように形成されている、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の連行体(16)。
【請求項10】
閉鎖要素(16.4)は、接続状態において、ケーブル(14.1)のための張力緩和を引き起こすように形成されている、ことを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の連行体(16)。
【請求項11】
連行体(16)は、連行体(16)を測定対象物(2)と接続するための組立領域(16.1)を有し、
連行体(16)は、ケーブル(14.1)を、連行体(16)の長手延長部に対して平行に延びる長手方向(X)において、連行体(16)の長手部分(L)に、組立領域(16.1)を通って案内することができるように形成されている、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の連行体(16)。
【請求項12】
開口部(17)は、円形、正方形または長方形の断面を有すること、を特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の連行体(16)。
【請求項13】
連行体(16)のベース面(G)に対して平行に延びる面(S2)内に第4の延長部(L4)を有し、第4の延長部(L4)が、ケーブル(14.1)の直径(D)の1.0倍~1.25倍の範囲またはケーブル(14.1)の直径(D)の1.0倍~1.15倍の範囲にある、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の連行体(16)。
【請求項14】
第4の延長部(L4)が、2mm~20mmの範囲、または5mm~15mmの範囲にある、ことを特徴とする請求項13に記載の連行体(16)。
【請求項15】
位置測定装置は、1部式又は2部式ハウジングを有するカプセル型の測長装置である、ことを特徴とする静請求項1~14のいずれか一項に記載の連行体を有する位置測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に係る前提部分による位置測定装置用の連行体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、位置測定装置、特に測長装置を開示する。位置測定装置は、スケールを収容するケーシング内にスケールを備え、スケールを走査する走査ユニットを備える。走査ユニットは、連行体と接続されている。連行体は、測定対象物に固定可能である。
【0003】
連行体を伴う別の測長装置は、特許文献2から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2781890号明細書
【特許文献2】独国特許出願公告第2729708号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、位置測定装置用の連行体を提供することであり、連行体が、柔軟で、位置測定装置の走査ユニットのケーブルに適合した構造を有することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、請求項1の特徴を有する位置測定装置用の連行体によって解決される。
【0007】
本発明による連行体は、位置測定装置の走査ユニットを保持するように形成されている。連行体は、走査ユニットのケーブルを収容するため且つ貫通して案内するための開口部を有する。開口部は、連行体の少なくとも一部分を貫通して延在する。
【0008】
連行体は、特に、ケーブルが、連行体の少なくとも一部分(例えば、刀剣形の中央部分)を貫通して案内することができるように形成されている。したがって、連行体は、走査ユニットのケーブルのためのケーブル貫通部を含む。
【0009】
連行体は、好ましくは、走査ユニットを連行体と接続するためのアダプタピースを有する。アダプタピースによって、スケールに対して相対的に走査ユニットを位置合わせするか、若しくは調整することができる。この調整若しくは位置合わせは、複数の自由度(例えば、間隔/平行度、モアレ角度、及び/又は高さ)で行うことができる。
【0010】
好ましくは、連行体が、連行体にケーブルを横方向で嵌め込むために、連行体の長手部分に設けられている凹部を有する。
【0011】
連行体が凹部に対応する閉鎖要素を有すること、
閉鎖要素が、閉鎖要素に対して連行体の相補的な部分と着脱可能に接続されていること、
連行体が、第1の内側輪郭を有すること、
閉鎖要素が第1の内側輪郭と対向する第2の内側輪郭を有すること、
第1の内側輪郭と第2の内側輪郭がそれぞれ連行体の長手延長部を貫通して延在すること、及び
第1の内側輪郭と第2の内側輪郭によって、ケーブルを収容するため且つ貫通して案内するための開口部が形成されることが有利である。
【0012】
さらに、閉鎖要素は、接続された状態でケーブルのための張力緩和をもたらすように形成されていること、が有利である。
【0013】
好ましくは、開口部が、円形、正方形または長方形の断面を有する。
【0014】
請求項15には、本発明による連行体を有する位置測定装置が記載されている。位置測定装置は、特に、一部式若しくは二部式ケーシングを有する、カプセル化された測長装置である。
【0015】
本発明によって、連行体を走査ユニットのケーブル(例えば、幾何学形状、形態)に適合することが達成される。この目的のために、特に、連行体に開口部の形態でのケーブル貫通部が設けられている。連行体が、ケーブルを正確に収容するため且つ貫通して案内するために、有利には適している。可撓性の導体が典型的には接続線の保持体として使用される従来の構造とは対照的に、本発明は、特に、より大きな寸法(すなわち、より大きなケーブル直径またはより大きなケーブルサイズ)でも使用することを可能にする。他方では、これは、連行体の柔軟な構成を可能にする。加えて、本発明によって、走査ユニットのケーブルを、連行体とは別に設けられているプラグイン接続部に接続することが可能である。
【0016】
本発明の有利な発展形態は従属請求項で見られる。
【0017】
本発明のさらに詳細な点及び利点が、図と併せて、本発明の可能な実施例に関する以下の説明に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3a】
図1に係る位置測定装置の終端側の斜視図を示す。
【
図3b】
図1に係る位置測定装置の終端側の斜視分解図を示す。
【
図4】第2(上側)のシールコードの領域における
図1に係る位置測定装置の終端側の断面図を示す。
【
図5a】
図1に係る位置測定装置の連行体の斜視図を示す。
【
図5b】閉鎖要素が連行体の相補的な部分から外された
図5aに係る連行体の斜視図を示す。
【
図6a】L字形状に形成されている部分を具体的に示すための
図5aに係る連行体の平面図を示す。
【
図6b】連行体の中央領域における
図5aに係る連行体の断面図を示す。
【
図8】
図1に係る位置計測装置の斜視分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
同一の要素又は機能的に同一の要素は、図中で同一の参照記号を付されている。
【0020】
実施例は、
図1~
図8を参照して、以下に説明する。実施例による位置測定装置は、ベース本体1(例えば、機械ベッドまたは機械のベース本体)、長手方向Xに延在し且つベース本体1と接続されている第1ケーシング部10.1、及び長手方向Xに延在し且つベース本体1と接続されている第2ケーシング部10.2を備える(
図8参照)。少なくとも第1のケーシング部及び第2のケーシング部によって、中空プロファイルが形成される(
図2参照)。この位置計測装置は、中空プロファイル10の内側に配置されているスケール12と、スケール12を走査するための、スケール12に対向する走査ユニット14とを有する。ベース本体1とスケール12は、互いに直接接続されている。
【0021】
図2に示すように、スケール12は、ベース本体1の取付け面1.1と隣接する。取付け面1.1は、スケール12に対向する、ベース本体1の表面である。
【0022】
位置測定装置は、特に測長装置である。このため、スケール12と走査ユニット14は、長手方向X(すなわち測定方向)において、互いに相対的に移動可能である。位置測定の間、走査ユニット14は、スケール12の測定目盛を走査し、そこから位置測定値を形成する。測定目盛は、図に描画されていない。
【0023】
ベース本体1と第1ケーシング部10.1とは、固定ねじを介して互いに直接接続されている。これらの固定ねじ(固定ねじ4.11)の内の一つは、
図2で視認可能である。さらに、ベース本体1と第2ケーシング部10.2とは、固定ねじ4.2を介して互いに直接接続されている。これらの固定ねじ4.2(固定ねじ4.21)の内の一つは、
図2で視認可能である。固定ねじ4.21は、固定ねじ4.11に割り当てられていて、即ち、固定ねじ4.11、4.21は、Z方向に重なって配置されている。Z方向は、ベース本体1の取付け面1.1.に対して平行に及び長手方向Xに対して垂直に延びる。以下では、Z方向が「第1方向」とも呼ばれる。
【0024】
互いに直接接続するとは、各々のエレメントが直接、即ち1つまたは複数の中間エレメントを介さずに互いに接続されていることを意味する。
【0025】
図2を参照すると、中空プロファイル10は、その全体がベース本体1、第1ケーシング部10.1及び第2ケーシング部10.2によって形成される。位置測定装置は、(長手方向Xに延びる)第1のシールリップ18.1と第2のシールリップ18.2(以下では、シールリップ18)を有する。シールリップ18は、中空プロファイル10の下端に配置されている。走査ユニット14を保持する連行体16がシールリップ18の間を通じて把持する。連行体16の更なる詳細な点については、
図5~
図7(又は
図8)に関連して後述する。
【0026】
図2に示すように、シールリップ18は、Y方向において互いに対向する。Y方向は、ベース本体1の取付け面1.1に対して垂直に延びる。以下では、Y方向が「第2方向」とも呼ばれる。
【0027】
図2に関して、第1のケーシング部10.1は、第1のケーシング部10.1をベース本体1に固定するための第1の部分10.11を有する。さらに、第2ケーシング部10.2は、第2のケーシング部10.2をベース本体1に固定するための、ベース本体1に対向する第2の部分10.21を有する。第1の部分10.11は、スケール12の第1の(下方の)側に配置されている。第2の部分10.21は、第1の側と対向する、スケール12の第2の(上方の)側に配置されている。第1の部分10.11と第2の部分10.21とは、第1の方向(すなわちZ方向)で互いに対向して配置されている。
図2に示すように、固定ネジ4.11は、第1の部分10.11を通って延在する。さらに、固定ネジ4.21は、第2の部分10.21を通って延在する。したがって、第1および第2のケーシング部10.1、10.2によって形成されている2部式ケーシングは、ベース本体1までスケール12の両側に延在し、上側および下側でスケール12を取り囲む。
【0028】
位置計測装置は、第1~第4のシール要素20.1~20.4を有する(
図2、
図8参照)。
図2に示すように、第1のケーシング部10.1は、第1のシール要素20.1を収容するための、ベース本体1に隣接する第1の凹部11.1を有する。さらに、第2のケーシング部10.2は、第2のシール要素20.2を収容する為の、ベース本体1に隣接する第2の凹部11.2を有する。第1の凹部11.1および第2の凹部11.2はそれぞれ長手方向Xに延在する。
【0029】
例えば、第1のシール要素20.1は、第1のシールコードである。さらに、第2シール要素20.2は、例えば、第2シールコードである。第1のシール要素20.1と第2のシール要素20.2は、それぞれ長手方向Xに延在する。第1及び第2のシール要素20.1,20.2は、それぞれその全長にわたって第1と第2の凹部11.1、11.2によって収容されている。
【0030】
第1と第2のシール要素20.1、20.2によって、第1と第2のケーシング部10.1、10.2によって形成されている2部式ケーシングは、ベース本体1に対して横方向に、すなわちY方向において密閉することができる。これを
図2に示す。
【0031】
この位置測定装置は、第1と第2のケーシング部10.1,10.2の第1の終端部A、A‘に配置されている第1のカバー要素10.3、及び第1の終端部A、A‘に対向している、第1及び第の2ケーシング部10.1,10.2の第2の終端部B、B‘に配置されている第2のカバー要素10.4(
図8参照)を有する。
図8から分かるように、第3のシール要素20.3は、第1の終端部A、A‘と第1のカバー要素10.3との間に配置されている。さらに、第4のシール要素20.4は、第2の終端部B,B‘と第2のカバー要素10.4との間に配置されている。特に、第3のシール要素20.3及び第4のシール要素20.4は、それぞれ板状に形成されている。さらに、第1および第2のカバー要素10.3、10.4は、それぞれ、固定ネジ4.41、4.42(固定ネジ4.4)を介してベース本体1と接続可能であることが
図8から分かる。
【0032】
第3のシール要素20.3と第4のシール要素20.4は、それぞれ、(圧縮性)シールプレートと呼ぶこともできる。
【0033】
第1と第2のカバー要素10.3、10.4は、それぞれ第3と第4のケーシング部(終端部のケーシング部)を表す。これを
図1に示す。第3及び第4のシール要素20.3,20.4によって、第1~第4のケーシング部10.1~10.4で形成されているケーシングが終端側で、すなわち第1終端部A、A‘に、若しくは第2終端部B、B‘で、密閉することができる。
【0034】
図3aは、
図1による位置測定装置の一つの終端を示す。
図3aには、特に、第2のケーシング部10.2の第1終端部A‘と、第1カバー要素10.3(第3ケーシング部)とが示されている。
図3bは、第2及び第3のケーシング部10.2,10.3の間に配置されている第3のシール要素20.3を示す。第2及び第3のシール要素20.2、20.3は、
図4の断面図から分かる。
図4に示すように、第2及び第3のシール要素20.2,20.3は、ベース本体1の取付け面1.1とそれぞれ同一平面状に配置されている。その結果、ベース本体1に対するケーシングの横方向の密閉が達成される。これは、
図3aに示されている終端側について
図4に示されている。この状況は、位置測定装置の、対向する終端側に類似している。
【0035】
図2を参照すると、第1のケーシング部10.1は、第1のシールリップ18.1を収容するための第3の凹部11.3を有する。さらに、第2のケーシング部10.2は、ベース本体1とは反対の第3の部分10.22を有する。第1のケーシング部10.1と第3の部分10.22は、第2の方向(Y方向)に互いに対向して配置されている。
図2に示すように、第2のケーシング部10.2は、第2のシールリップ18.2を収容するための、第3の部分10.22に配置されている第4の凹部11.4を有する。第3の凹部11.3と第4の凹部11.4はそれぞれ長手方向Xに延在する。第1及び第2のシールリップ18.1,18.2は、それぞれその全長にわたって第3及び第4の凹部11.3、11.4によって収容されている。このシールリップ18は、ベース本体1、第1のケーシング部10.1及び第2のケーシング部10.2により形成されている中空プロファイル10を下方、すなわち(マイナス)Z方向に密閉するために使用する(
図2参照)。
【0036】
シールリップ18と第1~第4のシール要素20.1~20.4によって、実質的に位置測定装置の完全な密閉が達成される。従って、全体として、流体(例えば、冷却潤滑剤)に対してシールされているシステムをもたらす。
【0037】
位置測定装置は、特に、カプセル化され、案内されないシステムを表す。この場合、走査ユニット14は、中空プロファイル10に対して相対的に、長手方向Xへ、特にスケール12とは独立して、第1および第2のケーシング部品10.1、10.2とは独立して、移動可能である(
図2参照)。
図2に示すように、走査ユニット14は、スケール12との共通の案内面、又は第1及び第2のケーシング部品10.1、10.2との共通の案内面を有さない。
【0038】
連行体16のより詳細な点は、
図5~
図7(または
図8)で説明される。
図8によれば、連行体16は組立領域16.1を有する。組立領域16.1は、連行体16を測定対象物2と接続するために使用される。
図8に示すように、連行体16は、固定ネジ4.3を介して測定対象物2と接続可能である。更に、連行体16は、刀剣形の中央ピース16.2と、アダプタピース16.3と、閉鎖要素16.4とを有する。アダプタピース16.3は、走査ユニット14を、刀剣形の中央ピース16.2と接続するために使用される。アダプタピース16.3によって、スケール12に対して相対的に走査ユニット14を調整することを、複数の自由度(例えば、自由度Y、RY、Z)で、実施することができる。アダプタピース16.3と組立領域16.1とは、刀剣形の中央ピース16.2によって互いに接続される。
【0039】
図2に示すように、刀剣形の中央片16.2は、中空プロファイル10の内側からシールリップ18を通って中空プロファイル10の外側に配置されている組立領域16.1まで延在している。走査ユニット14は、ケーブル14.1(
図8参照)を備える。ケーブル14.1は、上部分14.11と下部分14.12を有する。上部分14.11は、走査ユニット14から、刀剣形の中央部分16.2まで延在する。下部分14.12は、長手方向(X方向)において組立領域16.1から外に出ている(
図2および
図8参照)。
【0040】
連行体16は、特に走査ユニット14を保持するために使用する。
図5aを参照すると、連行体16は、ケーブル14.1を収容するため且つ貫通して案内するための開口部17を有する。開口部17は、連行体16の少なくとも一部を通って延在する(
図6b参照)。その結果、ケーブル14.1は、連行体16の少なくとも一部、特に刀剣形の中央部分16.2を貫通して案内することができる。
【0041】
連行体16の幾何学的形状に関して、長手方向(X方向)は、連行体16の長手延長部に対して平行に延びる方向に対応する。また、第1の方向(Z方向)は、連行体16のベース面Gに対して垂直に延びる方向に対応する。また、第2の方向(Y方向)は、連行体16の長手延長部に対して垂直に、かつ連行体16のベース面Gに平行に延びる方向に対応する。
【0042】
図5aおよび
図6bを参照すると、連行体16は、ケーブル14.1が、第1の方向(Z方向)に、刀剣形の中央部分16.2を通って案内することができるように形成されている。さらに、連行体16は、ケーブル14.1が、長手方向(X方向)に、連行体16の長手部分Lにおいて、組立領域16.1を通って案内することができるように形成されている。
【0043】
図6aを参照すると、刀剣形の中央部分16.2は、第2の方向(Y方向)における第1の延長部L1を有する。例えば、第1の延長部L1は、ケーブル14.1の直径Dの1.0倍~1.5倍の範囲、又は1.0倍~1.25倍の範囲にある。したがって、第1延長部L1は、ケーブル14.1の直径Dより大きく、特にケーブル14.1の直径Dよりやや大きく、又はケーブル14.1の直径Dに等しい。したがって、第1の延長部L1(すなわち、刀剣形の中央部分16.2の幅)は、刀剣形の中央部分16.2によってケーブル14.1の断面を収容することができるように適合されている。
【0044】
図5bには、連行体16が、連行体16にケーブル14.1を横方向で嵌め込むために、連行体16の長手部分Lに設けられている凹部16.4‘を有することが示されている。
図6aを参照すると、凹部16.4‘は、開口17を含む第1のセクション20.1(長穴)と、第1のセクション20.1に隣接する第2のセクション20.2とを有する。第1のセクション20.1及び第2のセクション20.2によって、連行体16の平面視においてL字形状に形成された区間20が形成される。第1のセクション20.1は、長手方向(X方向)に延在する。第2のセクション20.2は、第2の方向(Y方向)に延在する。第1のセクション20.1は、連行体16の中央領域Q内に配置されている。第2のセクション20.2は、連行体16の横方向の表面24から連行体16の中央領域Qまで延在する。
【0045】
図6aを参照すると、第1セクション20.1は、第2の方向(Y方向)に第2の延長部L2を有する。さらに、第2セクション20.2は、長手方向(X方向)に第3延長部L3を有する。例えば、第2延長部L2及び/又は第3延長部L3は、それぞれ、ケーブル14.1の直径Dの1.0倍~1.25倍の範囲、又は1.0倍~1.15倍の範囲である。したがって、第2及び第3の延長部L2、L3は、それぞれ、ケーブル14.1の直径Dより大きく、特にケーブル14.1の直径Dよりわずかに大きく、またはケーブル14.1の直径Dに等しい。その結果、L字形状で形成されている部分20を介して連行体16にケーブル14.1を横方向ではめ込むことが、可能となる。
【0046】
図5bを参照すると、連行体16は、凹部16.4‘に対応する閉鎖要素16.4を備える(
図7も参照)。閉鎖要素16.4は、閉鎖要素16.4と連行体16の相補的な部分Cと着脱可能に接続されている。
図6bに示すように、連行体16は、第1の内側輪郭17.1を有する。さらに、閉鎖要素16.4は、第1の内側輪郭17.1に対向する第2の内側輪郭17.2を有する。第1の内側輪郭17.1及び第2の内側輪郭17.2は、それぞれ連行体16の長手部分Lを貫通して延在している。第1の内側輪郭17.1と第2の内側輪郭17.2によって、ケーブル14.1を収容するため且つ貫通して案内するための開口部17が形成される。
【0047】
連行体16の長手延長部に対して平行に且つ連行体16のベース面Gに対して垂直に延びる断面平面S1が、
図6bに示されている。加えて、断面平面S1は、ケーブル14.1(又は開口部17)を通って延びる。例えば、第1及び第2の内側輪郭17.1,17.2によって形成されている開口部17は、弓形の推移又は角度をつけた推移を有する。
図6bによれば、この推移は、基本的にはL字形状を有する。
【0048】
図5bでは、閉鎖要素16.4が、外された状態で示されている。閉鎖要素16.4は、固定ねじ4.5を介して連行体16の相補的な部分Cと接続可能である。
【0049】
図5bを参照すると、凹部16.4‘は、閉鎖要素16.4が相補的な部分Cから外されているとき(すなわち外された状態)、ケーブル14.1を第2の方向(Y方向)に連行体16に嵌め込むことができるように形成されている。
【0050】
閉鎖要素16.4は、特に二重機能を有する。一方、閉鎖要素16.4は、ケーブル14.1を連行体16内に、横方向にはめ込んだ後、凹部16.4‘(又は連行体16)を再び閉じるために使用される。他方で、閉鎖要素16.4は、接続された状態でケーブル14.1のための張力緩和をもたらすように形成されている。
図7では、閉鎖要素16.4の内壁(第2の内側輪郭17.2)が、明瞭に視認可能である。
【0051】
開口部17は、例えば、丸い断面、正方形の断面または長方形の断面を有する。
図6bから分かるように、開口部17は、平面S2において第4の長さL4を有する。この場合、平面S2は、連行体16のベース面Gに対して平行に延びる。例えば、第4の長さL4は、ケーブル14.1の直径Dの1.0倍~1.25倍又は1.0倍~1.15倍の範囲にある。有利には、開口部17の断面は、ケーブル14.1の断面に適合されている(
図6a参照)。
【0052】
好ましくは、第4の長さL4は、2mm~20mmの範囲、または5mm~15mmの範囲である。
【0053】
連行体16は、好ましくは、
図1~
図8で説明した位置測定装置(すなわち、2部式ケーシングを有するカプセル化した測長装置)の一部である。代替的には、連行体16は、一体的なケーシングを有するカプセル化された測長装置での使用にも適している。
【0054】
図1~
図8で説明した位置計測装置用の部品セットは、ベース本体1と接続可能である第1ケーシング部10.1と、ベース本体1と接続可能である第2ケーシング部10.2とを備える。さらに、部品セットは、走査ユニット14を保持するための連行体16を有している。
【0055】
さらに、部品セットは、追加の要素10.1~10.4、20.1~20.4および18を備えることができる(部品セット全体)。部品セットを組み立てることによって、スケール12と走査ユニット14とからなる既に利用可能な開放型の測長システム(すなわち、カプセル化なしのシステム)をカプセル化することができる。
【0056】
本発明は、特に以下の利点を有する。部品セットは、任意で開放型の長さ測定システム(汎用的な適用性)をカプセル化するためにふさわしい。この場合、開放型の測長システムの組立工程若しくは組立方法を変更したり又は再設計(例えば特殊ケーブルの組立)したりする必要はない。位置測定装置の単純化した構造によって、システムコストが低くなる。位置測定装置の再調整をすることなく、位置測定装置のケーシングの(例えば洗浄のための)分解を可能にする。
【0057】
本発明は、測定目盛が光学的に走査可能に形成されていれば、特に高分解能の位置測定を可能にする。代替的には、測定目盛は、磁気的、誘導式に、又は容量式に走査可能に形成され得る。
【外国語明細書】