(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018696
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】収容容器、収容体、収容装置の製造装置、及び収容容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20230202BHJP
C08J 7/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B65D25/20 P
C08J7/00 302
C08J7/00 CER
C08J7/00 CEZ
B65D25/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122856
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】市川 陽一
(72)【発明者】
【氏名】平山 里絵
(72)【発明者】
【氏名】鴇田 才明
【テーマコード(参考)】
3E062
4F073
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB01
3E062AB08
3E062AC02
3E062DA02
3E062JA02
3E062JA08
3E062JB21
4F073AA14
4F073AA21
4F073BA24
4F073BB03
4F073BB08
4F073BB11
4F073CA53
(57)【要約】
【課題】より高コントラストな像を有し、循環型リサイクルを円滑に進めることができる収容容器の提供。
【解決手段】容器本体と、該容器本体に視認可能領域とを備え、前記視認可能領域が前記容器本体よりも可視光透過率が高く、前記視認可能領域により像が容器本体に形成されており、前記視認可能領域が第一のパターンの集合体により形成されている収容容器である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、該容器本体に視認可能領域とを備え、
前記視認可能領域が前記容器本体よりも可視光透過率が高く、
前記視認可能領域により像が前記容器本体に形成されており、
前記視認可能領域が第一のパターンの集合体により形成されていることを特徴とする収容容器。
【請求項2】
容器本体と、該容器本体に像形成領域と、視認可能領域とを備え、
前記像形成領域が前記容器本体よりも可視光透過率が低く、
前記視認可能領域が前記像形成領域よりも可視光透過率が高く、
前記視認可能領域により像が前記容器本体に形成されており、
前記視認可能領域が第一のパターンの集合体により形成されていることを特徴とする収容容器。
【請求項3】
前記像形成領域が第二のパターンの集合体により形成されている、請求項2に記載の収容容器。
【請求項4】
前記第一のパターン及び前記第二のパターンの少なくともいずれかが、前記容器本体が溶融して形成された凹部もしくは凹部及び凹部と連続した凸部を含む構造である、請求項3に記載の収容容器。
【請求項5】
前記像形成領域が複数の泡を含み、
容器本体の表面から観察したときの前記視認可能領域の泡全体の面積比率が前記像形成領域の泡全体の面積比率よりも小さい、請求項2から4のいずれかに記載の収容容器。
【請求項6】
前記像形成領域を形成する第二のパターンの集合体が微細凹凸構造からなり、
前記容器本体の表面から観察したときの前記視認可能領域の表面粗さが、前記像形成領域の表面粗さよりも小さい、請求項3から5のいずれかに記載の収容容器。
【請求項7】
前記像形成領域が結晶相を含み前記結晶相が球晶であり、前記容器本体の表面から観察したときのレーザー照射部の球晶の平均径が、非レーザー照射部の球晶の平均径よりも小さい、請求項2から6のいずれかに記載の収容容器。
【請求項8】
前記像形成領域が結晶相を含み前記結晶相が球晶であり、前記容器本体の表面から観察したときのレーザー照射部の球晶の単位面積当たりの数が、非レーザー照射部の球晶の単位面積当たりの数よりも少ない、請求項2から7のいずれかに記載の収容容器。
【請求項9】
前記視認可能領域の結晶化度が、前記容器本体の前記視認可能領域以外の領域の結晶化度よりも小さい、請求項1から8のいずれかに記載の収容容器。
【請求項10】
前記像形成領域を形成したシート状部材を予め作製し、前記シート状部材を前記容器本体の周囲に貼り付けた構造を有する、請求項2から8のいずれかに記載の収容容器。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の収容容器と、
前記収容容器に収容されている収容物と、
前記収容物を前記収容容器内に密閉する密閉手段と、
を有することを特徴とする収容体。
【請求項12】
請求項1から10のいずれかに記載の収容容器を製造する装置であって、
視認可能領域を形成する加熱手段を有することを特徴とする収容容器の製造装置。
【請求項13】
前記加熱手段がレーザー照射装置である、請求項12に記載の収容容器の製造装置。
【請求項14】
請求項1から10のいずれかに記載の収容容器を製造する方法であって、
像形成領域を形成するための第一のステップと、
前記像形成領域に対して視認可能領域を重ねて形成するための第二のステップと、を含み、
前記第一のステップ及び前記第二のステップがレーザー照射により行われることを特徴とする収容容器の製造方法。
【請求項15】
前記第二のステップで照射されるレーザー光のパルス幅が、前記第一のステップで照射されるレーザー光のパルス幅よりも長い、請求項14に記載の収容容器の製造方法。
【請求項16】
前記第二のステップで照射されるレーザー光の波長が、前記第一のステップで照射されるレーザー光の波長よりも長い、請求項14から15のいずれかに記載の収容容器の製造方法。
【請求項17】
前記第二のステップにおけるレーザー照射が、炭酸ガスレーザーにより実施される、請求項14から16のいずれかに記載の収容容器の製造方法。
【請求項18】
前記第一のステップにおけるレーザー照射が、1μs以下のパルス幅を持つパルスレーザーにより実施される、請求項14から17のいずれかに記載の収容容器の製造方法。
【請求項19】
請求項14から18のいずれかに記載の収容容器の製造方法における第二のステップが行われる前の状態である像書込前の収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容容器、収容体、収容装置の製造装置、及び収容容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、PET(Poly Ethylene Terephthalate)ボトル等の収容容器として、名称、成分、賞味期限、バーコード、QRコード(登録商標)、リサイクルマーク、又はロゴマーク等の像を表示するラベルが貼付されたものが知られている。また、消費者に訴求するデザインや絵等の像をラベルにより表示することで、商品の個性の発揮及び競争力アップを図る試みもなされている。
【0003】
一方、昨今、プラスチックごみによる海洋汚染が取り沙汰され、世界的にプラスチックごみによる汚染をなくしていく動きが活発化しており、収容容器の循環型リサイクルへの要求が高まっている。ここで、収容容器の循環型リサイクルとは、分別回収された使用済みの収容容器をリサイクル業者が収容容器の原料となるフレークに変え、再度収容容器を製造することをいう。
【0004】
このような循環型リサイクルを円滑に進めるには、収容容器又はラベル等の材質毎に分別回収を徹底することが好ましいが、分別回収のために収容容器からラベルを剥がす作業は手間がかかり、分別回収を徹底させるための制約の1つになっている。
【0005】
上記課題を解決するため、例えば、熱可塑性樹脂成形体に、二酸化炭素を0.1~20.0重量%及び/又は窒素を0.03~1.0重量%含浸させた後、赤外分光全反射法又はラマン分光法による成形体表面の二酸化炭素及び/又は窒素残存濃度を、二酸化炭素及び/又は窒素含浸直後の成形体表面のガス濃度に対して20重量%以上に維持し、かつ成形体の表面温度を21.5℃以下にした後、出力0.3~6Wの条件下でレーザーを照射する樹脂成形体への印刷方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、二酸化炭素及び/又は窒素を含浸させた熱可塑性樹脂成形体の表面及び/又は内部に、レーザー照射により発泡させた印刷が施されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、より高コントラストな像を有し、循環型リサイクルを円滑に進めることができる収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としての本発明の収容容器は、容器本体と、該容器本体に視認可能領域とを備え、前記視認可能領域が前記容器本体よりも可視光透過率が高く、前記視認可能領域により像が容器本体に形成されており、前記視認可能領域が第一のパターンの集合体により形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、より高コントラストな像を有し、循環型リサイクルを円滑に進めることができる収容容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る収容容器の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、従来の収容容器の一例を示す概略図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る収容容器の他の一例を示す概略図である。
【
図4】
図4は、像形成領域が結晶相を含む構造を有する第2の実施形態に係る収容容器の一例を示す概略図である。
【
図5】
図5は、X線回折のピーク強度と結晶化度の関係を示すグラフである。
【
図6】
図6は、像形成領域でのレーザー照射部と非レーザー照射部における球晶を観察した図である。
【
図7】
図7は、像形成領域でのレーザー照射部と非レーザー照射部における球晶を観察した別の図である。
【
図8】
図8は、像形成領域が複数の泡を含む構造を有する第3の実施形態に係る収容容器の一例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、像形成領域が微細凹凸構造を含む構造を有する第4の実施形態に係る収容容器の一例を示す概略図である。
【
図10】
図10は、像形成領域を有するシート状部材を容器本体の周囲に貼付した第5の実施形態に係る収容容器の一例を示す概略図である。
【
図11】
図11は、収容物を収容した第6の実施形態に係る収容体の一例を示す概略図である。
【
図12】
図12は、第7の実施形態に係る像書込前の収容容器の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(収容容器)
本発明の収容容器は、第1の形態では、容器本体と、該容器本体に視認可能領域とを備え、前記視認可能領域が前記容器本体よりも可視光透過率が高く、前記視認可能領域により像が容器本体に形成されており、前記視認可能領域が第一のパターンの集合体により形成されている。
第1の形態の収容容器においては、視認可能領域が容器本体よりも可視光透過率が高ければ像形成領域を設けることなく、視認可能領域により容器本体に像を形成することができる。
【0011】
本発明の収容容器は、第2の形態では、容器本体と、該容器本体に像形成領域及び視認可能領域とを備え、前記像形成領域が容器本体よりも可視光透過率が低く、前記視認可能領域が前記像形成領域よりも可視光透過率が高く、前記視認可能領域により像が前記容器本体に形成されており、前記視認可能領域が第一のパターンの集合体により形成されている。
第2の形態の収容容器においては、像形成領域は、収容容器の容器本体の少なくとも一部に設けられていればよく、容器本体の全体を像形成領域としてもよい。
【0012】
従来技術では、二酸化炭素及び/又は窒素の残留濃度の経過時間内(例えば、0.5~20時間内)にレーザーマーキングしなければならず、長時間の保管ができないという問題がある。また、従来技術では、PETボトルなどの収容容器に対し、レーザーマーキングで白濁化させて細かい精度の像を形成するには、画素毎のレーザーパルスのオンオフ制御の要求が高くなり、使用するレーザー装置のコストが増大するという課題がある。
【0013】
本発明においては、像形成領域(ベタの白色領域)又は視認可能領域よりも可視光透過率が低い容器本体に透明な像(視認可能領域)が形成されるため、低コストで高精細な像を形成することができる。
また、本発明によると、視認可能領域よりも可視光透過率が低い容器本体又は像形成領域(ベタの白色領域)に対して安価な加熱加工用のレーザーで像(視認可能領域)を形成することにより、低コスト化が実現できる。更に、レーザーによる像形成領域(ベタの白色領域)を形成には、パルスオンデマンド機能なしの単純な繰り返し周波数の切替で対応できる安価なレーザーを用いると共に、透明な像(視認可能領域)の形成には画素毎のパルスのオンオフ制御可能な別のレーザーを用いるという2ステップの対応により、より低コストで高コントラストな像を形成することができる。
【0014】
<容器本体>
容器本体としては、その材質、形状、大きさ、構造、色などについて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
容器本体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂、ガラスなどが挙げられる。これらの中でも、透明な樹脂又は透明なガラスがより好ましく、透明な樹脂が特に好ましい。
容器本体の樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリブチレンアジペート/テレフタレート(PBAT)、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリエチレン(PE)、ポリプロビレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、エポキシ、バイオポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸ブレンド(PBAT)、スターチブレンドポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレートサクシネート、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシプチレート/ヒドロキシヘキサノエート(PHBH)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、バイオPET30、バイオポリアミド(PA)610,410,510、バイオPA1012,10T、バイオPA11T,MXD10、バイオポリカーポネート、バイオポリウレタン、バイオPE、バイオPET100、バイオPA11、バイオPA1010などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境負荷の点から、ポリビニルアルコール、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート等の生分解樹脂が好ましい。
【0015】
容器本体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトル状、円柱状、四角柱状、箱状、錐体状などが挙げられる。これらの中でも、ボトル状が好ましい。
ボトル状の容器本体は、口部と、口部に連結された肩部と、肩部に連結された胴部と、胴部に連結された底部とを備えている。
容器本体の大きさとしては、特に制限はなく、容器の用途に応じて適宜選定することができる。
容器本体の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層構造であっても複数層構造であっても構わない。
容器本体の色としては、例えば、無色透明、有色透明、有色不透明などが挙げられる。
【0016】
<視認可能領域>
第1の形態の収容容器において、視認可能領域の可視光透過率は、容器本体の可視光透過率よりも高いものである。
第2の形態の収容容器において、視認可能領域の可視光透過率は像形成領域の可視光透過率よりも高く、像形成領域の可視光透過率は容器本体の可視光透過率よりも低いものである。
【0017】
本発明において、「可視光透過率が高い」とは、可視光波長域の平均透過率が高いことを意味し、一部の波長域で反転していても差支えない。「可視光」とは、波長380nm~780nmの光を意味する。
【0018】
視認可能領域により像が視認可能に容器本体に形成される。
像とは、例えば、文字、記号、図形、画像、コード等を含み、具体的には、名称、成分、識別番号、製造業者名、製造日時、賞味期限、バーコード、QRコード(登録商標)、リサイクルマーク、又はロゴマークなどの情報を意味する。
像を書き込むレーザーの波長は、可視光から近赤外光(波長:780nm~2,500nm)の波長が好ましい。
視認可能領域は第一のパターンの集合体により形成される。ここで、集合体とは、複数の要素が集まったものを意味する。
第一のパターンの集合体は、容器本体が溶融して形成された凹部もしくは凹部及び凹部と連続した凸部を含む構造であることが好ましい。
【0019】
視認可能領域の結晶化度は、容器本体の視認可能領域以外の領域の結晶化度よりも小さいことが、よりコントラストの高い画像を形成できる点から好ましい。
結晶化度はX線回折測定を行い、結晶ピーク強度が強い方が、より結晶化度が高いと判断することができる。
【0020】
<像形成領域>
像形成領域は、容器本体よりも可視光透過率が低く、視認可能領域よりも可視光透過率が低い領域である。
「可視光透過率が高い」及び「可視光」は、上記視認可能領域と同じ意味を表す。
像形成領域は第二のパターンの集合体により形成されることが好ましい。ここで、集合体とは、複数の要素が集まったものを意味する。
第二のパターンの集合体は、容器本体が溶融して形成された凹部もしくは凹部及び凹部と連続した凸部を含む構造であることが好ましい。
【0021】
像形成領域を形成する第二のパターンの集合体は、微細凹凸構造からなり、容器本体の表面から観察したときの視認可能領域の表面粗さは、像形成領域の表面粗さよりも小さいことが、よりコントラストの高い画像を形成できる点から好ましい。
表面粗さは、例えば、JIS B0601規格の算術平均粗さRaに基づき測定することができる。
微細凹凸構造を形成する方法としては、例えば、化学的エッチング、機械的エッチングなどが挙げられる。これらの中でも、機械的エッチングが廃液等の環境負荷が少ない点から好ましい。機械的エッチングとしては、例えば、ウェットブラスト処理、サンドブラスト処理などが挙げられる。また、成型金型の表面に微細凹凸構造を形成し、微細凹凸構造を有する金型を用いて転写することにより微細凹凸構造を有する収容容器を得ることができる。
【0022】
また、像形成領域が複数の泡を含み、容器本体の表面から観察したときの視認可能領域の泡全体の面積比率は、像形成領域の泡全体の面積比率よりも小さいことが、よりコントラストの高い画像を形成できる点から好ましい。
泡全体の面積比率は、例えば、光学顕微鏡で所定視野に観察できる泡に対して、市販の画像処理ソフトウエアで総面積を計測し視野全体の面積で除すことで測定できる。
像形成領域における複数の泡を含む構造は、例えば、PETボトルの場合、2軸延伸ブロー成型時に、窒素、二酸化炭素等を高圧含浸させたプリフォームを用いて形成することができる。
レーザー照射により泡が加熱され、泡内圧力が気圧よりも高いときは破裂消滅し、泡内圧力が気圧よりも低いときは収縮する。いずれの場合も散乱強度は弱まり可視光透過率が高まる。
泡は、容器本体の厚み方向の表面付近に偏在させておくことが、収容容器の強度を維持する上で好ましい。
【0023】
また、像形成領域は結晶相を含む構造を有することが好ましい。
結晶相は、可視光が強く散乱し透過率が低下する。散乱した光の一部は収容容器外に射出するが、多くは収容容器内で多重散乱しながら吸収される。
結晶相が含まれる領域をレーザーで加熱し急冷することにより、結晶相が非晶質化しやすくなる。この方法によると、従来行われてきた透明な非晶質相にレーザーを照射し形状を変えたり、結晶化させる方法に比べて、よりコントラストの高い画像を形成できる。
結晶相は、収容容器がPETボトルの場合には、2軸延伸ブロー成型時に、金型温度を結晶化温度範囲内に設定し、ブロー成型後のボトルを徐冷することにより作製できる。
【0024】
結晶相が球晶であり、容器本体の表面から観察したときのレーザー照射部の球晶の平均径は、非レーザー照射部の球晶の平均径よりも小さいことが、よりコントラストの高い画像を形成できる点から好ましい。
球晶は結晶が球形に成長したものであり、偏光顕微鏡を用い透過照明によりクロスニコル観察したときに、十字線を含む円形状の像(コノスコープ像)として観察できる。
球晶の平均径は、例えば、十字線を含む円形状の像の散乱光強度分布から求めることができる(斎藤、豊田、高分子論文集、Vol.68 No.6 (2011)参照)。
【0025】
結晶相が球晶であり、容器本体の表面から観察したときのレーザー照射部の球晶の単位面積当たりの数は、非レーザー照射部の球晶の単位面積当たりの数よりも少ないことが、よりコントラストの高い画像を形成できる点から好ましい。
結晶が密に並んだ状態に比べて、非晶質相に周囲を囲まれた球晶の状態の方が、より低いエネルギーで球晶のサイズを制御しやすい。
また、球晶を消失させることも可能である。視野から完全にコノスコープ像が消失している状態も単位面積あたりの球晶の数が少ない状態の1つである。
球晶が密に並んだ状態に比べて、非晶質相に周囲を囲まれた球晶の状態の方が、より低いエネルギーでそのサイズを制御しやすいという利点がある。
【0026】
ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックのレーザーマーキングに広く用いられるCO2レーザー(波長:10,600nm)は、線幅100μm以下の高精細な像を得る目的では好ましくない。前記可視光から近赤外光にかけての波長は、前記PET等の収容容器に吸収されにくい光であるが、高精細な像を形成する上で重要であり、本発明においては積極的に利用する。
【0027】
従来のCO2レーザー等によるレーザーマーキングでは、ベンゼン、アセトアルデヒド等の有害物質が発生することが報告されている(例えば、P. E. Dyer, G. A. Oldershaw & J. Sidhu, CO2 laser ablative etching of polethylene terephthalate, Applied Physics B volume 48, pages489-493(1989))。しかし、本発明においては、書き込み時の低エネルギー化によりベンゼン、アセトアルデヒド等の有害物質の発生量を抑制できる。
【0028】
本発明によると、像形成領域の可視光透過率が低くレーザー光が吸収されやすいため、エネルギー効率が高い。また、低エネルギーでの書込みが可能であるため、レーザーマーキング時のベンゼン、アセトアルデヒド等の有害物質発生を抑制できる。
【0029】
本発明においては、像形成領域を形成したシート状部材を予め作製し、このシート状部材を容器本体の周囲に貼り付けた構造を有する収容容器であることが好ましい。これにより、金型加工を施したり、成形時の温度や時間の管理を複雑化させることなく、容器本体に像形成領域を形成することができる。
シート状部材を容器本体の周囲に貼付ける方法としては、例えば、接着剤を用いて貼り付ける方法などが挙げられる。
シート状部材の材質が、容器本体と同じ材質を用いることによりリサイクル性を高めることができる。
【0030】
(収容体)
本発明の収容体は、本発明の収容容器と、前記収容容器に収容されている収容物と、前記収容物を前記収容容器内に密閉する密閉手段と、を有する。
【0031】
<収容物>
収容物としては、例えば、液体、気体、粒状固形物などが挙げられる。液体としては、水、お茶、コーヒー、紅茶、清涼飲料水などが挙げられる。収容物が液体飲料である場合には、透明、白色、黒色、茶色、又は黄色等の色を有していることが多い。
【0032】
<密閉手段>
密閉手段は、収容物を収容容器内に密閉する手段であり、「容器のキャップ」と称することもある
密閉手段は、その材質、形状、大きさ、構造、色などについて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0033】
密閉手段の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂、ガラス、金属、セラミックスなどが挙げられる。これらの中でも、成形性の点から樹脂が好ましい。
密閉手段の樹脂としては、上記容器の本体の樹脂を同様なものを用いることができる。
密閉手段の色としては、例えば、有色不透明、有色透明などが挙げられる。
密閉手段の形状及び大きさとしては、容器本体の開口部を封じる(閉封する)ことができる形状及び大きさであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0034】
密閉手段の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、開封した時に容器本体から離れる第1の部分と、容器本体に残る第2の部分とを有することが好ましい。
第1の部分の側面には、開封時に手が滑らないように、表面に凹凸形状が形成されていることが好ましい。第2の部分の側面には、凹凸形状は形成されておらず、表面は平坦であることが好ましい。
【0035】
(収容容器の製造装置及び収容容器の製造方法)
本発明の収容容器の製造装置は、本発明の収容容器を製造する装置であって、視認可能領域を形成する加熱手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
前記加熱手段がレーザー照射装置であることが好ましい。
【0036】
本発明の収容容器の製造方法は、本発明の収容容器を製造する方法であって、像形成領域を形成するための第一のステップと、像形成領域に対して視認可能領域を重ねて形成するための第二のステップと、を含み、
第一のステップ及び第二のステップがレーザー照射により行われる。
【0037】
レーザー光源は一般的にパルス幅が短いほど高コスト化していく。像形成領域を形成する第一のステップでのレーザー照射は主にレーザーアブレーションを目的とすることから、1μs以下、つまり、ナノ秒、ピコ秒、フェムト秒領域のパルス幅の光源を使用することが好ましい。これに対して、像形成領域に対して視認可能領域を重ねて形成する第二のステップでのレーザー照射は主に照射領域の加熱、溶融を目的とすることから、例えばマイクロ秒、ナノ秒領域のパルス幅の光源を使用することができる。第二のステップで照射されるレーザー光のパルス幅は、第一のステップで照射されるレーザー光のパルス幅よりも長くすることが、装置の低コスト化が図れる点から好ましい。
【0038】
レーザー光源は一般的に波長が短いほど高コスト化していく。像形成領域を形成する第一のステップでのレーザー照射は主にレーザーアブレーションを目的とすることから、紫外~可視光領域の波長の光源を使用することが好ましい。これに対して、像形成領域に対して視認可能領域を重ねて形成する第二のステップでのレーザー照射は主に照射領域の加熱、溶融を目的とすることから、例えば可視~赤外光の波長の光源を使用することができる。
第二のステップで照射されるレーザー光の波長は、第一のステップで照射されるレーザー光の波長よりも長くすることが、装置の低コスト化が図れる点から好ましい。
第二のステップにおけるレーザー照射は、炭酸ガスレーザーにより実施されることが、装置の低コスト化を図りつつ、よりコントラストの高い画像を形成できる点から好ましい。
【0039】
(像書込前の収容容器)
本発明の像書込前の収容容器は、上述した本発明の収容容器の製造方法における像形成領域に対して視認可能領域を重ねて形成する第二のステップが行われる前の収容容器である。
本発明の像書込前の収容容器によると、賞味期限、製造番号等、頻繁に像の内容が変更される場合には、第二のステップで像形成領域に像を書き込み、それに先立つ第二のステップでは像形成領域に像を書き込んでいない像書込前の収容容器を用いることによって、生産効率の向上を図ることができる。
【0040】
ここで、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状などは本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状などにすることができる。
【0041】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る収容容器の一例を示す概略図である。この
図1の収容容器1は、容器本体10に設けられた像形成領域13にレーザー照射による像12(視認可能領域11)が形成されている。
図1中14は非像形成領域である。
【0042】
第1の実施形態の収容容器1は、背景を黒色に設定し、表面側から白色光を照明して観察すると、可視光透過率の高い視認可能領域11(レーザー照射部)からの戻り光が少ないため、像形成領域13(非レーザー照射部)よりもより黒く視認される。
これに対し、
図2は、従来の収容容器の一例を示す概略図である。この
図2の収容容器101は、像112(レーザー照射部)が散乱、吸収等により容器本体110より可視光透過率が低く、反射散乱光により、より白く視認される。
【0043】
視認可能領域11により像12が視認可能に容器本体10に形成される。
像12とは、例えば、文字、記号、図形、画像、コード等を含み、具体的には、名称、成分、識別番号、製造業者名、製造日時、賞味期限、バーコード、QRコード(登録商標)、リサイクルマーク、又はロゴマークなどの情報を意味する。
像形成領域13は、
図1に示すように、収容容器1の容器本体10の一部に設けられてもよいが、
図3に示すように、容器本体10の全体を像形成領域13としてもよい。
【0044】
視認可能領域11は、第一のパターンの集合体により形成される。
像形成領域13は、第二のパターンの集合体により形成される。
ここで、集合体とは、複数の要素が集まったものを意味する。
第一のパターンの集合体及び第二のパターンの集合体は、容器本体が溶融して形成された凹部もしくは凹部及び凹部と連続した凸部を含む構造であることが好ましい。
【0045】
第1の実施形態の収容容器1においては、視認可能領域11は像形成領域13よりも可視光透過率が高く、像形成領域13は容器本体10よりも可視光透過率が低い。
【0046】
ここで、「可視光透過率が高い」とは、可視光波長域の平均透過率が高いことを意味し、一部波長域で反転していても差支えない。可視光とは、波長380nm~780nmの光を指す。
像を書き込むレーザーの波長は、可視光から近赤外光(波長:780nm~2,500nm)であることが好ましい。
【0047】
ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックのレーザーマーキングに広く用いられるCO2レーザー(波長:10,600nm)は、線幅100μm以下の高精細画像を得る目的では好ましくない。可視光から近赤外光にかけての波長は、PET等の収容容器に吸収されにくい光であるが、高精細画像を形成する上で重要であり、本発明においては積極的に利用する。
【0048】
従来のCO2レーザー等によるレーザーマーキングでは、ベンゼン、アセトアルデヒド等の有害物質が発生することが報告されている(例えば、P. E. Dyer, G. A. Oldershaw & J. Sidhu, CO2 laser ablative etching of polyethylene terephthalate, Applied Physics B volume 48, pages489-493(1989))。しかし、本発明においては、像の書き込み時の低エネルギー化によりベンゼン、アセトアルデヒド等の有害物質の発生量を抑制できる。
【0049】
第1の実施形態に係る収容容器1によると、像形成領域13の可視光透過率が低くレーザーが吸収されやすいため、レーザーのエネルギー効率が高い。また、低エネルギーでのレーザー書込みが可能であるため、レーザーマーキング時のベンゼン、アセトアルデヒド等の有害物質発生を抑制できる。
【0050】
<第2の実施形態>
図4は、像形成領域13が結晶相21を含む構造を有する第2の実施形態に係る収容容器の一例を示す概略図である。
図4に示すように、第2の実施形態に係る収容容器1(例えば、PETボトル)の容器本体10表面に、レーザーで像を形成するための像形成領域13を設け、レーザービーム20の照射により、像形成領域13の結晶相21を変化させることにより可視光透過率を高め、像を形成する。
結晶相21は、収容容器がPETボトルの場合には、2軸延伸ブロー成型時に、金型温度を結晶化温度範囲内に設定し、ブロー成型後のPETボトルを徐冷することにより作製できる。
結晶相21は可視光が強く散乱して可視光透過率が低下する。散乱した光の一部は収容容器外に出射するが、多くは収容容器内で多重散乱しながら吸収される。
結晶相21の調整は、結晶相21の含まれる領域をレーザーで加熱し急冷することにより、結晶が非晶質化しやすいという原理を用いる。これにより、従来行われてきた透明な非晶質相にレーザーを照射し形状を変えたり、結晶化させる方法に比べて、よりコントラストの高い画像を形成することができる。
【0051】
視認可能領域11の結晶化度は、容器本体10の視認可能領域以外の領域の結晶化度よりも小さいことが、よりコントラストの高い画像を形成できる点から好ましい。
ここで、結晶化度の測定は、X線回折測定を行い、結晶ピーク強度が強い方が、より結晶化度が高いと判断してよい。
図5は、X線回折のピーク強度と結晶化度の関係を示すグラフである。
【0052】
図6に示すように、球晶22は結晶が球形に成長したものである。球晶22は偏光顕微鏡にて透過照明によりクロスニコル観察したときに、十字線を含む円形状の像(コノスコープ像)として観察できる。球晶22の平均径は、十字線を含む円形状の像の散乱光強度分布から測定することができる(斎藤,豊田,高分子論文集, Vol.68 No.6 (2011))。
結晶が密に並んだ状態に比べ、非晶質相に周囲を囲まれた球晶の状態の方が、より低いエネルギーでそのサイズを制御しやすい。
図6から、像形成領域13でのレーザー照射部の球晶22の平均径は、非レーザー照射部の球晶22の平均径よりも小さいことがわかる。
【0053】
球晶を消失させることも可能である。視野から完全にコノスコープ像が消失している状態も単位面積あたりの球晶の数が少ない状態の1つであると言える。
図7は、像形成領域13でのレーザー照射部と非レーザー照射部における球晶22を観察した図である。
図7から、像形成領域13でのレーザー照射部の球晶22の個数は、非レーザー照射部の球晶22の個数よりも少ないことがわかる。
【0054】
<第3の実施形態>
図8は、像形成領域13が複数の泡23を含む構造を有する第3の実施形態に係る収容容器1の一例を示す概略図である。
像形成領域が複数の泡を含み、容器本体の表面から観察したときの視認可能領域の泡全体の面積比率が像形成領域の泡全体の面積比率よりも小さいことが、よりコントラストの高い画像を形成できる点から好ましい。
泡全体の面積比率の測定は、光学顕微鏡で所定視野に観察できる泡に対して、市販の画像処理ソフトウエアで総面積を計測し視野全体の面積で除すことで求めることができる。
【0055】
複数の泡を含む構造は、収容容器がPETボトルの場合、2軸延伸ブロー成型時に、窒素、二酸化炭素等を高圧含浸させたプリフォームを用いて作製することができる。
レーザー照射により泡が加熱され、泡内圧力が気圧よりも高いときは泡が破裂消滅し、泡内圧力が気圧よりも低いときは泡が収縮する。いずれの場合でも散乱強度は弱まり可視光透過率が高まる。
泡は、容器本体の厚み方向の表面付近に偏在させておくことが、収容容器の強度を維持する上で好ましい。
第3の実施形態に係る収容容器1は、像形成領域13が複数の泡23を含む構造を有することにより、従来行われてきた透明な非晶質相にレーザーを照射し形状を変えたり、結晶化させる方法に比べて、より低いレーザーエネルギーで、コントラストの高い画像を形成できる。
【0056】
<第4の実施形態>
図9は、像形成領域13が、微細凹凸24を含む構造を有する第4の実施形態に係る収容容器1の一例を示す概略図である。
微細凹凸構造を形成する方法としては、例えば、化学的エッチング、又は機械的エッチングなどが挙げられる。これらの中でも、機械的エッチングが廃液等の環境負荷が少ない点から好ましい。機械的エッチングとして、例えば、ウェットブラスト処理、サンドブラスト処理などが挙げられる。また、成型金型の表面に微細凹凸構造を形成し、微細凹凸構造を有する金型を用いて転写することにより微細凹凸構造を有する収容容器を得ることができる。
容器本体の表面から観察したときの視認可能領域の表面粗さは、像形成領域の表面粗さよりも小さいことが、よりコントラストの高い画像を形成できる点から好ましい。
表面粗さは、JIS B0601規格の算術平均粗さRaに基づき測定することができる。
第4の実施形態に係る収容容器1は、像形成領域13が微細凹凸24を含む構造を有することにより、従来行われてきた透明な非晶質相にレーザーを照射し形状を変えたり、結晶化させる方法に比べ、より低いレーザーエネルギーでコントラストの高い画像を形成することができる。
【0057】
<第5の実施形態>
図10は、像形成領域13を形成したシート状部材25を予め作製し、このシート状部材を容器本体10の周囲に貼付した第5の実施形態に係る収容容器1の一例を示す概略図である。
シート状部材25としては、上記第1~第4の実施形態に係る像形成領域が予め形成されているものを用いる。
シート状部材25を容器本体10の周囲に貼付ける方法としては、例えば、接着剤を用いて貼り付ける方法などが挙げられる。
シート状部材25の材質としては、容器本体10の材質と同じものを用いることにより、収容容器のリサイクル性を高めることができる。
第5の実施形態に係る収容容器1によると、像形成領域13を有するシート状部材25を容器本体10の周囲に貼り付けることにより、金型加工を施したり、成形時の温度や時間の管理を複雑化させることなく、像形成領域13を有する収容容器1が得られる。
【0058】
<第6の実施形態>
図11は、収容物16を収容した第6の実施形態に係る収容体2の一例を示す概略図である。
図11中15は、収容物を収容容器内に密閉する密閉手段である。
第6の実施形態に係る収容体2によると、特に収容物16が非透過性である場合、非レーザー照射部は照明色(散乱光)にて、レーザー照射部が収容物の色にて、それぞれ視認できるので、より視認性が向上する。
【0059】
<第7の実施形態>
図12は、第7の実施形態に係る像書込前の収容容器31の一例を示す概略図である。
図12中13は像形成領域、14は非像形成領域である。
第7の実施形態に係る像書込前の収容容器31は、賞味期限、製造番号等、頻繁に像の内容が変更される場合には、最終工程で像形成領域13に像を書き込み、それに先立つ工程では像形成領域13に像を書き込んでいない像書込前の収容容器31を用いることによって、生産効率の向上を図ることができる。
【0060】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 容器本体と、該容器本体に視認可能領域とを備え、
前記視認可能領域が前記容器本体よりも可視光透過率が高く、
前記視認可能領域により像が前記容器本体に形成されており、
前記視認可能領域が第一のパターンの集合体により形成されていることを特徴とする収容容器である。
<2> 容器本体と、該容器本体に像形成領域と、視認可能領域とを備え、
前記像形成領域が前記容器本体よりも可視光透過率が低く、
前記視認可能領域が前記像形成領域よりも可視光透過率が高く、
前記視認可能領域により像が前記容器本体に形成されており、
前記視認可能領域が第一のパターンの集合体により形成されていることを特徴とする収容容器である。
<3> 前記像形成領域が第二のパターンの集合体により形成されている、前記<2>に記載の収容容器である。
<4> 前記第一のパターン及び前記第二のパターンの少なくともいずれかが、前記容器本体が溶融して形成された凹部もしくは凹部及び凹部と連続した凸部を含む構造である、前記<3>に記載の収容容器である。
<5> 前記像形成領域が複数の泡を含み、
容器本体の表面から観察したときの前記視認可能領域の泡全体の面積比率が前記像形成領域の泡全体の面積比率よりも小さい、前記<2>から<4>のいずれかに記載の収容容器である。
<6> 前記像形成領域を形成する第二のパターンの集合体が微細凹凸構造からなり、
前記容器本体の表面から観察したときの前記視認可能領域の表面粗さが、前記像形成領域の表面粗さよりも小さい、前記<3>から<5>のいずれかに記載の収容容器である。
<7> 前記像形成領域が結晶相を含み前記結晶相が球晶であり、前記容器本体の表面から観察したときのレーザー照射部の球晶の平均径が、非レーザー照射部の球晶の平均径よりも小さい、前記<2>から<6>のいずれかに記載の収容容器である。
<8> 前記像形成領域が結晶相を含み前記結晶相が球晶であり、前記容器本体の表面から観察したときのレーザー照射部の球晶の単位面積当たりの数が、非レーザー照射部の球晶の単位面積当たりの数よりも少ない、前記<2>から<7>のいずれかに記載の収容容器である。
<9> 前記視認可能領域の結晶化度が、前記容器本体の前記視認可能領域以外の領域の結晶化度よりも小さい、前記<1>から<8>のいずれかに記載の収容容器である。
<10> 前記像形成領域を形成したシート状部材を予め作製し、前記シート状部材を前記容器本体の周囲に貼り付けた構造を有する、前記<2>から<8>のいずれかに記載の収容容器である。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の収容容器と、
前記収容容器に収容されている収容物と、
前記収容物を前記収容容器内に密閉する密閉手段と、
を有することを特徴とする収容体である。
<12> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の収容容器を製造する装置であって、
視認可能領域を形成する加熱手段を有することを特徴とする収容容器の製造装置である。
<13> 前記加熱手段がレーザー照射装置である、前記<12>に記載の収容容器の製造装置である。
<14> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の収容容器を製造する方法であって、
像形成領域を形成するための第一のステップと、
前記像形成領域に対して視認可能領域を重ねて形成するための第二のステップと、を含み、
前記第一のステップ及び前記第二のステップがレーザー照射により行われることを特徴とする収容容器の製造方法である。
<15> 前記第二のステップで照射されるレーザー光のパルス幅が、前記第一のステップで照射されるレーザー光のパルス幅よりも長い、前記<14>に記載の収容容器の製造方法である。
<16> 前記第二のステップで照射されるレーザー光の波長が、前記第一のステップで照射されるレーザー光の波長よりも長い、前記<14>から<15>のいずれかに記載の収容容器の製造方法である。
<17> 前記第二のステップにおけるレーザー照射が、炭酸ガスレーザーにより実施される、前記<14>から<16>のいずれかに記載の収容容器の製造方法である。
<18> 前記第一のステップにおけるレーザー照射が、1μs以下のパルス幅を持つパルスレーザーにより実施される、前記<14>から<17>のいずれかに記載の収容容器の製造方法である。
<19> 前記<14>から<18>のいずれかに記載の収容容器の製造方法における第二のステップが行われる前の状態である像書込前の収容容器である。
【0061】
前記<1>から<10>のいずれかに記載の収容容器、前記<11>に記載の収容体、前記<12>から<13>のいずれかに記載の収容容器の製造装置、前記<14>から<18>のいずれかに記載の収容容器の製造方法、及び前記<19>に記載の像書込前の収容容器によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 収容容器
2 収容体
10 容器本体
11 視認可能領域
12 像
13 像形成領域
14 非像形成領域
15 密閉手段
16 収容物
20 レーザービーム
21 結晶相
22 球晶
23 泡
24 微細凹凸
25 シート状部材
31 像書込前の収容容器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】