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特開2023-18766液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018766
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
B41J2/14 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123014
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】新行 将也
(72)【発明者】
【氏名】塚本 竜児
(72)【発明者】
【氏名】秋山 幸太
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF40
2C057AG44
2C057AG52
2C057BA05
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】圧電体が発生する振動が他のノズルへ伝わるのを抑制できる液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】ノズル4を有する振動板3と、前記ノズル4に連通する圧力室6を形成する基板2と、前記振動板3上に形成され、前記ノズル4の縁の少なくとも一部を変形させる圧電体22と、を有し、前記振動板3または前記振動板3と前記基板2の間に振動吸収部30が設けられていることを特徴とする。前記振動吸収部30は、前記振動板3の面方向と垂直な方向から見たときに、前記圧力室6が形成されていない領域に設けられていることが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを有する振動板と、
前記ノズルに連通する圧力室を形成する基板と、
前記振動板上に形成され、前記ノズルの縁の少なくとも一部を変形させる圧電体と、を有し、
前記振動板または前記振動板と前記基板の間に振動吸収部が設けられていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記振動吸収部は、前記振動板の面方向と垂直な方向から見たときに、前記圧力室が形成されていない領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記振動吸収部は、前記振動板の面方向と垂直な方向から見たときに、前記ノズルを中心にドーナツ状に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記振動吸収部は、前記振動板の厚みを薄くすることにより形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記振動吸収部は、前記振動板に穴をあけることにより形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記基板は、前記振動吸収部と対向する部分の厚さが前記振動吸収部と対向しない部分の厚さに比べて薄いことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記振動板と前記基板は接着剤により接合されており、
前記振動吸収部は、前記振動板と前記基板の間であって前記接着剤が設けられていない部分であることを特徴とする請求項2又は3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項9】
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化したことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ユニット。
【請求項10】
請求項1~7のいずれかに記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項8若しくは9に記載の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルを有する振動板を有するインクジェットヘッドにおいて、ノズル近傍に配置された圧電体を駆動することで液体を吐出するものが既に知られている。
【0003】
しかし、今までのインクジェットヘッドでは、駆動した圧電体が発生する振動が振動板を伝わり他のノズルの吐出に影響を及ぼすという問題があった。これにより、正常な画像が得られないという問題(クロストーク)や吐出生産性を阻害するという問題が生じている。
【0004】
特許文献1には、圧力室の残留振動が共通液室の蓋部を介して他の圧力室へ伝搬するのを抑制する目的で、各圧力室につながっている共通液室を構成する蓋部に剛性の低い部分を設けてダンパー機能を持たせる構成が開示されている。
【0005】
特許文献2には、保護膜の駆動素子側の側面と駆動素子の外周部間に隙間を設けることが開示されている。このような隙間を設けることで、駆動素子の変形が保護膜の残留応力により阻害されないため、駆動効率をさらに向上させることができるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ノズル近傍に配置された圧電素子を駆動することで液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、圧電体が発生する振動が振動板を伝わり他のノズルの吐出に影響を及ぼすという問題を解消できていない。
【0007】
そこで本発明は、圧電体が発生する振動が他のノズルへ伝わるのを抑制できる液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の液体吐出ヘッドは、ノズルを有する振動板と、前記ノズルに連通する圧力室を形成する基板と、前記振動板上に形成され、前記ノズルの縁の少なくとも一部を変形させる圧電体と、を有し、前記振動板または前記振動板と前記基板の間に振動吸収部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圧電体が発生する振動が他のノズルへ伝わるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す断面概略図である。
図2】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す平面概略図である。
図3】本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例を示す平面概略図である。
図4】本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例を示す断面概略図である。
図5】本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例を示す断面概略図である。
図6】本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例を示す断面概略図である。
図7】本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例を示す断面概略図である。
図8】液体吐出装置の一例における概略図である。
図9】液体吐出装置の他の例における概略図である。
図10】液体吐出ユニットの一例における概略図である。
図11】液体吐出ユニットの他の例における概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0012】
本発明の液体吐出ヘッドは、ノズルを有する振動板と、前記ノズルに連通する圧力室を形成する基板と、前記振動板上に形成され、前記ノズルの縁の少なくとも一部を変形させる圧電体と、を有し、前記振動板に振動吸収部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の液体吐出ヘッドを示す断面概略図である。図1には、基板2、振動板3、ノズル4、圧力室6、圧電体22等が示されている。必要に応じて、駆動回路や電極パッド等を有していてもよい。
【0014】
振動板3はノズル4を有しており、振動板3はノズル4の一部を形成するなどと称してもよい。基板2はノズル4に連通する圧力室6を有しており、基板2は圧力室6の一部を形成するなどと称してもよい。本実施形態において振動板3と基板2は接着剤51により接着されている。
【0015】
圧電体22は振動板3上に形成され、ノズル4の縁の少なくとも一部を変形させる。本実施形態では、圧電体22の下部に下部電極21が形成され、圧電体22の上部に上部電極23が形成されている。下部電極21、圧電体22、上部電極23を含む構成を圧電素子、圧電体アクチュエータ、駆動手段、圧力発生手段などと称してもよく、以下では圧電素子12と称して説明する。
【0016】
また本実施形態では、圧電素子12を覆うように保護層41が形成されており、更に保護層41を覆うように耐水膜42が形成されている。保護層41及び耐水膜42は任意であり、適宜選択することが可能であるが、圧電素子の劣化防止の観点から設けられていることが好ましい。
【0017】
本実施形態の液体吐出ヘッドは、ノズル近傍に配置された圧電素子を駆動することで液体を吐出する。このような吐出ヘッドにおいては、従来より、圧電体が発生する振動が他のノズルへ伝わることを抑制できる技術が求められている。しかし、従来技術では圧電体が発生する振動が他のノズルへ伝わることを十分に抑制できていない。例えば特許文献2では、保護膜の駆動素子側の側面と駆動素子の外周部間に隙間を設けているが、他のノズルへの振動を防ぐ機構が振動板に設けられているものではない。振動板自体を駆動させて液体(例えばインク)を吐出するという性質上、振動板自体が振動を伝播させやすく、振動が伝播することを防ぐ機構がノズル板(振動板)に設けられていることが重要になる。
【0018】
本実施形態の液体吐出ヘッドは、図示するように、振動板3に振動吸収部30が設けられている。ノズル近傍に配置された圧電素子を駆動することで液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、振動板3自体に振動吸収部30が設けられていることにより、圧電素子を駆動した際に、振動板3を介して他のノズルに振動が伝搬することを抑制できる。
【0019】
また、本実施形態によれば、他のノズルに振動が伝播することを抑制することで、他のノズルの吐出特性に影響を与えることを抑制でき、クロストーク等による異常画像を抑制できる。
【0020】
図示する例において、振動吸収部30は振動板3の厚みを薄くすることにより形成されている。振動吸収部30の厚みを周囲よりも薄くすることで剛性を下げ、振動を吸収する効果が得られる。振動板3の厚みをどの程度薄くするかについては、適宜選択することができる。
【0021】
なお、図1において、振動板3は、振動板3a部と振動板3b部とに分けて考慮してもよい。振動板3a部は、振動板3において基板2に接着されておらず圧力室6に面している部分であり、振動板3b部は、振動板3において基板2に接着されており圧力室6に面していない部分である。
【0022】
本実施形態の液体吐出ヘッドを作製する場合、特に制限されるものではないが、あらかじめ振動板3の所定の箇所の厚みを薄くして振動吸収部30を形成した後、振動板3と基板2を接着してもよい。これに限られず、振動板3と基板2を接着した後、振動板3の所定の箇所の厚みを薄くして振動吸収部30を形成してもよい。振動板3の厚みを薄くするには、例えばエッチングにより行う。
【0023】
図2は、本実施形態の液体吐出ヘッドを示す要部平面概略図であり、図1の矢印a方向から見た場合の概略図である。図2は振動板3の面方向と垂直な方向から見た場合の要部平面概略図ともいえ、また図中のAA断面が図1に相当する。
【0024】
本実施形態において振動吸収部30は、振動板3の面方向と垂直な方向から見たときに、圧力室6が形成されていない領域に設けられていることが好ましい。振動板3における基板2に接着されている部分は剛性が高いため、振動が減衰しにくい。そのため、図2に示すように、圧力室6が形成されていない領域に振動吸収部30を設けることで効果的に振動を減衰させることができる。
【0025】
なお、本例においては、圧力室6が形成されていない領域と、振動板3と基板2が接着されている領域は略同じであるといえるが、これらの領域同士は異なっていてもよい。
【0026】
また、振動板3の面方向と垂直な方向から見たときに、圧力室6が形成されている領域に振動吸収部30が設けられていてもよいが、このような領域に形成された振動吸収部は、振動を吸収する効果が上記の構成に比べて小さくなる。
【0027】
図2では、楕円形状の振動吸収部30が図示されているが、本実施形態はこれに限られるものではなく、振動吸収部30の平面形状は適宜変更することができる。例えば矩形であってもよい。また、本例では隣接するノズル同士の間に1つの振動吸収部30が設けられているが、隣接するノズル同士の間に複数の振動吸収部30が設けられていてもよい。また図示するように、ノズル同士を結ぶ線上に振動吸収部30が設けられていることが好ましい。他の実施形態でも同様である。
【0028】
圧電体22の形状や形成される箇所としては、適宜選択することができる。本実施形態のように、圧電体22は、振動板3上であって基板2とは反対側に形成されているとともに、振動板3の面方向と垂直な方向から見たときに、圧力室6が形成されている領域にノズル4を中心にドーナツ状に形成されていることが好ましい。
【0029】
(第2の実施形態)
次に、本実施形態に係る他の実施形態について説明する。上記と同様の事項については説明を省略する。
【0030】
図3は、本実施形態の液体吐出ヘッドを示す要部平面概略図であり、図2と同様に、振動板3の面方向と垂直な方向から見た場合の要部平面概略図である。
【0031】
本実施形態において、振動吸収部30は、振動板3の面方向と垂直な方向から見たときに、ノズル4を中心にドーナツ状に設けられている。このように振動吸収部30がドーナツ状に設けられていることで、ノズルからの振動を全方位的に振動吸収部30で受けることができ、振動が他のノズルに伝播することをより抑制することができる。
【0032】
また、本実施形態においても上記実施形態と同様に、振動板3の面方向と垂直な方向から見たときに、振動吸収部30は圧力室6が形成されていない領域に設けられていることが好ましい。これにより、ノズルからの振動を更に減衰させることができる。
【0033】
(第3の実施形態)
次に、本実施形態に係る他の実施形態について説明する。上記と同様の事項については説明を省略する。
【0034】
図4は、本実施形態の液体吐出ヘッドを示す断面概略図であり、図1と同様の図である。本実施形態では、第1の実施形態と同様に振動板3の厚みを薄くすることにより振動吸収部30を形成しているが、薄くなる方向が上記実施形態と異なる。
【0035】
第1の実施形態では、基板2の方向に凹となるように、換言すると、基板2の方向に深さ方向を有するように振動板3の厚みを薄くして振動吸収部30を形成していた。一方、本実施形態では図4に示すように、基板2の方向とは逆の方向に凹となるように、換言すると、基板2の方向とは逆の方向に深さ方向を有するように振動板3の厚みを薄くして振動吸収部30を形成する。
【0036】
本実施形態においても、振動吸収部30の厚みを周囲よりも薄くすることで剛性を下げ、振動を吸収する効果が得られる。従って、振動板3の厚みを薄くして振動吸収部30を形成する場合、図1に示す例に限られず、本例のような構成も可能である。また、振動吸収部30の平面形状としては、上記図2と同様にしてもよいし、これに限られず、適宜変更してもよい。
【0037】
本実施形態の液体吐出ヘッドを作製する場合、特に制限されるものではないが、あらかじめ振動板3の所定の箇所の厚みを薄くして振動吸収部30を形成した後、振動板3と基板2を接着する。
【0038】
(第4の実施形態)
次に、本実施形態に係る他の実施形態について説明する。上記と同様の事項については説明を省略する。
【0039】
図5は、本実施形態の液体吐出ヘッドを示す断面概略図であり、図1と同様の図である。本実施形態において、振動吸収部30は振動板3に穴をあけることにより形成される。振動板3に穴をあけることで振動板3における振動伝搬を遮断する効果が得られる。
【0040】
本実施形態の液体吐出ヘッドを作製する場合、特に制限されるものではないが、あらかじめ振動板3の所定の箇所の穴を形成した後、振動板3と基板2を接着してもよい。これに限られず、振動板3と基板2を接着した後、振動板3の所定の箇所に穴を形成してもよい。
【0041】
振動吸収部30の個数は、適宜選択することができ、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、振動吸収部30の平面形状としては、上記図2と同様にしてもよいし、これに限られず、適宜変更してもよい。
【0042】
(第5の実施形態)
次に、本実施形態に係る他の実施形態について説明する。上記と同様の事項については説明を省略する。
【0043】
図6は、本実施形態の液体吐出ヘッドを示す断面概略図であり、図1と同様の図である。本実施形態では、上記第4の実施形態と同様に、振動吸収部30は振動板3に穴をあけることにより形成される。更に本実施形態において、基板2は振動吸収部30と対向する部分の厚さが振動吸収部30と対向しない部分の厚さに比べて薄くなっている。これにより、振動吸収部30の周りの剛性をさらに下げ、振動抑制の効果を向上させることができる。
【0044】
本実施形態の液体吐出ヘッドを作製する場合、特に制限されるものではないが、あらかじめ振動板3の所定の箇所の穴を形成し、更に基板2の所定の箇所の厚さを薄くした後、振動板3と基板2を接着してもよい。これに限られず、振動板3と基板2を接着した後、振動板3の所定の箇所に穴を形成しつつ、基板2の厚さを薄くしてもよい。基板2の厚みを薄くするには、例えばエッチングにより行う。
【0045】
(第6の実施形態)
次に、本実施形態に係る他の実施形態について説明する。上記と同様の事項については説明を省略する。
【0046】
図7は、本実施形態の液体吐出ヘッドを示す断面概略図であり、図1と同様の図である。本実施形態では、振動板3と基板2は接着剤51により接合されており、振動吸収部30は振動板3と基板2の間であって接着剤51が設けられていない部分である。
接着剤51が塗布されていない領域は剛性が下がるため、接着剤51が塗布されていない領域でノズルからの振動を吸収させることができる。
【0047】
(液体を吐出する装置及び液体吐出ユニット)
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図8及び図9を参照して説明する。図8は同装置の要部平面説明図、図9は同装置の要部側面説明図である。
【0048】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0049】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0050】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0051】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0052】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0053】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0054】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0055】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0056】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0057】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0058】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0059】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
【0060】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0061】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について図10を参照して説明する。図10は同ユニットの要部平面説明図である。
【0062】
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
【0063】
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0064】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図11を参照して説明する。図11は同ユニットの正面説明図である。
【0065】
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0066】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0067】
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0068】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0069】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0070】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0071】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0072】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、壁紙や床材などの建材、衣料用のテキスタイルなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0073】
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
【0074】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0075】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0076】
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0077】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0078】
例えば、液体吐出ユニットとして、図9で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0079】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0080】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、図10で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0081】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0082】
また、液体吐出ユニットとして、図11で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
【0083】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0084】
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
【0085】
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0086】
2 基板
3 振動板
4 ノズル
6 圧力室
12 圧電素子
21 下部電極
22 圧電体
23 上部電極
30 振動吸収部
41 保護層
42 耐水膜
51 接着剤
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開2015-196145号公報
【特許文献2】特開2016-52723号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11