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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018978
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230202BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20230202BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/22 511Q
C23C16/458
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123397
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】島田 光一
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA06
4K030FA10
4K030GA02
4K030GA06
4K030KA46
5F045AA06
5F045AB03
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EC02
5F045EF03
5F045EF08
5F045EK06
5F045EM08
5F045EM10
5F045EN05
(57)【要約】
【課題】ボートへの基板の貼り付きを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による基板処理装置は、基板を棚状に保持する第1のボートと、前記第1のボートと同軸に設けられ、基板を棚状に保持する第2のボートと、前記第1のボートと前記第2のボートとを同期させて回転させると共に、前記第2のボートを前記第1のボートに対して相対的に昇降させる駆動機構と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を棚状に保持する第1のボートと、
前記第1のボートと同軸に設けられ、基板を棚状に保持する第2のボートと、
前記第1のボートと前記第2のボートとを同期させて回転させると共に、前記第2のボートを前記第1のボートに対して相対的に昇降させる駆動機構と、
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、
略円筒状の固定スリーブと、
前記固定スリーブ内に隙間をあけて挿通され、前記固定スリーブに対して相対的に回転する略円筒状の回転軸と、
を有する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記固定スリーブには、該固定スリーブと前記回転軸との隙間に不活性ガスを導入するための導入口が設けられている、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記駆動機構は、前記回転軸内に隙間をあけて挿通され、前記回転軸に対して相対的に昇降する直動軸を有する、
請求項2又は3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記回転軸には、前記固定スリーブと前記回転軸との隙間と、前記回転軸と前記直動軸との隙間とを連通させる貫通穴が形成されている、
請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記駆動機構は、前記回転軸と前記直動軸との隙間を気密に封止するベローズを有する、
請求項4又は5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記駆動機構は、
前記第1のボートを支持する略円筒状の外側支持体と、
前記回転軸と前記外側支持体とを連結する外側連結機構と、
前記外側支持体内に隙間をあけて挿通され、前記第2のボートを支持する略円柱状の内側支持体と、
前記直動軸と前記内側支持体とを連結する内側連結機構と、
を有する、
請求項4乃至6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記外側支持体には、該外側支持体の側壁を貫通する貫通穴が形成されている、
請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記回転軸と前記外側支持体とは、熱膨張率が異なる材料により形成されており、
前記外側連結機構は、前記回転軸を構成する材料の熱膨張率と前記外側支持体を構成する材料の熱膨張率の間の熱膨張率を有する材料により形成されたハブを含む、
請求項7又は8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記直動軸と前記内側支持体とは、熱膨張率が異なる材料により形成されており、
前記内側連結機構は、前記直動軸を構成する材料の熱膨張率と前記内側支持体を構成する材料の熱膨張率の間の熱膨張率を有する材料により形成されたハブを含む、
請求項7乃至9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処理室の内部に複数の基板を積載したボートを収容して複数の基板に成膜処理を行う装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1には、独立に上下方向に移動可能なインナーボートとアウターボートとを有する二重構造のボートが記載されている。特許文献2には、ウエハを保持する第1の保持ボートと誘導発熱体を保持する第2の保持ボートとを有する保持手段が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-67582号公報
【特許文献2】特開2009-141205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ボートへの基板の貼り付きを抑制できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、基板を棚状に保持する第1のボートと、前記第1のボートと同軸に設けられ、基板を棚状に保持する第2のボートと、前記第1のボートと前記第2のボートとを同期させて回転させると共に、前記第2のボートを前記第1のボートに対して相対的に昇降させる駆動機構と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、ボートへの基板の貼り付きを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の基板処理装置の一例を示す断面図
図2】基板保持具の一例を示す斜視図
図3】基板保持具の一例を示す斜視図
図4】第1のボートで基板を保持した状態の基板保持具を示す側面図
図5】第2のボートで基板を保持した状態の基板保持具を示す側面図
図6】基板保持具を駆動させる駆動機構の一例を示す断面図
図7】外側支持体及内側支持体を説明する断面分解斜視図
図8】外側支持体を説明する分解斜視図
図9】外側連結機構及び内側連結機構を説明する断面図
図10】外側連結機構及び内側連結機構を説明する断面分解斜視図
図11】外側連結機構を説明する分解斜視図
図12】外側連結機構を説明する平面図
図13】内側支持体を説明する分解斜視図
図14】内側連結機構を説明する分解斜視図
図15】内側連結機構を説明する平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔基板の貼り付き〕
ボートに設けられる爪に基板を載置し、基板を載置した状態のボートを処理容器内に収容して基板に成膜処理を施すと、爪に基板が貼り付く場合がある。特に、基板にポリシリコン膜を厚く成膜すると、爪に基板が貼り付きやすい。
【0010】
爪に基板が貼り付くことを防止する対策の一例として、爪の表面に微細な凹凸を形成して爪と基板との接触面積を減らす技術がある。しかしながら、基板に成膜される膜の膜厚が厚くなると、上記の技術を適用しても爪に基板が貼り付く場合がある。
【0011】
本開示は、相対的に昇降する第1のボート及び第2のボートを備え、第1のボートと第2のボートとの間で基板の受け渡しが可能な基板保持具を用いることで、ボートへの基板の貼り付きを抑制できる技術を提供する。以下、詳細に説明する。
【0012】
〔基板処理装置〕
図1を参照し、実施形態の基板処理装置の一例について説明する。実施形態の基板処理装置は、複数の基板に対して一度に処理を行うバッチ式の装置である。
【0013】
基板処理装置1は、処理容器10、ガス供給部30、排気部40、加熱部50及び制御部80を有する。
【0014】
処理容器10は、内部を減圧可能である。処理容器10は、基板Wを収容する。基板Wは、例えば半導体ウエハである。処理容器10は、内管11及び外管12を含む。内管11は、下端が開放された有天井の略円筒状を有する。外管12は、下端が開放されて内管11の外側を覆う有天井の略円筒状を有する。内管11及び外管12は、石英等の耐熱材料により形成されており、同軸状に配置されて2重管構造となっている。
【0015】
内管11の天井は、例えば平坦になっている。内管11の一側には、その長手方向(上下方向)に沿ってガスノズルを収容する収容部13が形成されている。収容部13は、内管11の側壁の一部を外側へ向けて突出させて形成された凸部14内の領域である。
【0016】
収容部13に対向させて内管11の反対側の側壁には、その長手方向(上下方向)に沿って矩形状の開口15が形成されている。
【0017】
開口15は、内管11内のガスを排気できるように形成されたガス排気口である。開口15の長さは、基板保持具100の長さと同じであるか、又は、基板保持具100の長さより長く上下方向へそれぞれ延びる長さである。
【0018】
処理容器10の下端は、例えばステンレス鋼により形成される略円筒状のマニホールド17によって支持されている。マニホールド17の上端にはフランジ18が形成されており、フランジ18上に外管12の下端を設置して支持するようになっている。フランジ18と外管12との下端との間にはOリング等のシール部材19を介在させて外管12内を気密状態にしている。
【0019】
マニホールド17の上部の内壁には、略円環状の支持部20が設けられている。支持部20は、内管11の下端を設置して支持する。マニホールド17の下端の開口には、Oリング等のシール部材22を介して蓋21が気密に取り付けられている。蓋21は、略円板状を有し、処理容器10の下端の開口、すなわち、マニホールド17の開口を気密に塞ぐ。蓋21は、例えばステンレス鋼により形成される。
【0020】
蓋21の中央部には、駆動機構200が貫通させて設けられている。駆動機構200の下部は、ボートエレベータよりなる昇降機構25のアーム25aに回転自在に支持されている。駆動機構200は、第1のボート110と第2のボート120とを同期させて回転させると共に、第2のボート120を第1のボート110に対して相対的に昇降させる。また、蓋21、駆動機構200、第1のボート110及び第2のボート120は、昇降機構25の昇降を受けて一体で上下動し、その結果、第1のボート110及び第2のボート120が処理容器10内に対して挿脱される。なお、駆動機構200の詳細については後述する。
【0021】
第1のボート110及び第2のボート120は、複数(例えば50枚~150枚)の基板Wを棚状に保持する基板保持具100を構成する。なお、基板保持具100の詳細については後述する。
【0022】
蓋21上には、保温台28が設けられている。保温台28は、基板保持具100が蓋21側との伝熱により冷却されることを防止して基板保持具100を保温する。例えば、保温台28は、蓋21上に設けられる複数の支柱に、上下方向に間隔をあけて略水平に配置される複数の石英板が取り付けられた構成を有する。
【0023】
ガス供給部30は、ガスノズル31を含む。ガスノズル31は、例えば石英により形成される。ガスノズル31は、内管11内にその長手方向に沿って設けられ、その基端がL字状に屈曲されてマニホールド17を貫通するようにして支持されている。ガスノズル31は、その長手方向に沿って複数のガス孔31hを有し、複数のガス孔31hから処理ガスを水平方向に吐出する。複数のガス孔31hは、例えば基板保持具100に支持される基板Wの間隔と同じ間隔で配置される。処理ガスの種類は限定されないが、成膜ガス、エッチングガス、パージガス等が挙げられる。
【0024】
なお、図1の例では、ガス供給部30が1つのガスノズル31を含む場合を説明したがガスノズルの数は限定されない。例えば、ガス供給部30は複数のガスノズルを含んでいてもよい。この場合、複数のガスノズルは、同じ処理ガスを吐出するよう構成されていてもよく、異なる処理ガスを吐出するよう構成されていてもよい。
【0025】
排気部40は、内管11内から開口15を介して排出され、内管11と外管12との間の空間P1を介してガス出口41から排出されるガスを排気する。ガス出口41は、マニホールド17の上部の側壁であって、支持部20の上方に形成されている。ガス出口41には、排気通路42が接続されている。排気通路42には、圧力調整弁43及び真空ポンプ44が順次介設されて、処理容器10内を排気できるようになっている。
【0026】
加熱部50は、外管12の周囲に設けられている。加熱部50は、例えばベースプレート29上に設けられている。加熱部50は、外管12を覆うように略円筒状を有する。加熱部50は、例えば発熱体を含み、処理容器10内の基板Wを加熱する。
【0027】
制御部80は、基板処理装置1の各部の動作を制御するように構成される。制御部80は、例えばコンピュータであってよい。基板処理装置1の各部の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体90に記憶されている。記憶媒体90は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0028】
〔基板保持具〕
図2図5を参照し、実施形態の基板処理装置1が備える基板保持具100の一例について説明する。図2は第1のボートに第2のボートが取り付けられる途中の状態の基板保持具を示す斜視図であり、図3は第1のボートに第2のボートが取り付けられている状態の基板保持具を示す斜視図である。
【0029】
基板保持具100は、処理容器10内に収容可能であり、複数の基板を上下方向に間隔をあけて略水平に保持する。基板保持具100は、第1のボート110及び第2のボート120を有する。
【0030】
第1のボート110は、底板111、天板112及び支柱113(113a~113c)を含む。底板111、天板112及び支柱113は、例えば石英、炭化珪素等の耐熱材料により形成される。
【0031】
底板111は、後述する外側支持体225に支持される。底板111は、保持する対象の基板の外径よりも大きい外径の略円環板状を有する。なお、底板111は略円板状を有していてもよい。
【0032】
天板112は、底板111の上方に、底板111と対向して設けられる。天板112は、底板111と同様、保持する対象の基板の外径よりも大きい外径の略円環板状を有する。なお、天板112は略円板状を有していてもよい。
【0033】
支柱113は、上下方向に延在する棒状を有し、底板111と天板112とを接続する。3本の支柱113a~113cは、同じ長さを有する。各支柱113a~113cは、その中心点が同心円の同一円弧上に位置するように設けられる。各支柱113a~113cには、上下方向に間隔をあけて複数の溝114が形成されている。溝114は、基板を載置する載置面115(図4及び図5)を形成する。載置面115に基板が載置されることで基板が支柱113に保持される。
【0034】
第2のボート120は、水平移動により第1のボート110に対して着脱可能に構成される。第2のボート120は、第1のボート110と同軸に設けられ、第1のボート110に対して相対的に昇降可能に構成される。第2のボート120は、底板121、天板122及び支柱123(123a~123c)を含む。底板121、天板122及び支柱123は、例えば石英、炭化珪素等の耐熱材料により形成される。
【0035】
底板121は、後述する内側支持体235に支持され、底板111よりも上方に配置される。底板121は、保持する対象の基板の外径よりも大きい外径の略円環板状を有し、平面視で底板111と重なるように配置される。なお、底板121は略円板状を有していてもよい。底板121の外縁部には、支柱113a~113cを挿通させる切欠き121a~121cが形成されている。切欠き121a~121cは、第2のボート120を水平移動させて第1のボート110に取り付ける際に、底板121と支柱113a~113cとが接触しないよう形成される。
【0036】
天板122は、底板121の上方且つ天板112の下方に、底板121と対向して設けられる。天板122は、底板121と同様、保持する対象の基板の外径よりも大きい外径の略円環板状を有する。天板122の外縁部には、支柱113a~113cを挿通させる切欠き122a~122cが形成されている。切欠き122a~122cは、第2のボート120を水平移動させて第1のボート110に取り付ける際に、天板122と支柱113a~113cとが接触しないよう形成される。天板122の内縁部には、窪み面122sが形成されている。窪み面122sは、天板122の上面よりも低い上面を有し、天板122の開口122hを塞ぐ蓋(図示せず)を載置するための載置面として機能する。なお、天板122は略円板状を有していてもよい。
【0037】
支柱123は、上下方向に延在する棒状を有し、底板121と天板122とを接続する。3本の支柱123a~123cは、同じ長さを有する。各支柱123a~123cは、その中心点が各支柱113a~113cの中心点が通る円と同じ円の同一円弧上に位置するように設けられる。各支柱123a~123cは、それぞれ各支柱113a~113cよりも短い。各支柱123a~123cには、上下方向に間隔をあけて複数の溝部124が形成されている。溝部124は、基板を載置する載置面125(図4及び図5)を形成する。載置面125に基板が載置されることで基板が支柱123に保持される。
【0038】
〔基板の受け渡し〕
図4及び図5を参照し、基板保持具100における基板の受け渡しの一例について説明する。図4は第1のボートで基板を保持した状態の基板保持具を示す側面図であり、図5は第2のボートで基板を保持した状態の基板保持具を示す側面図である。
【0039】
第1のボート110で基板Wを保持する場合、図4に示されるように、載置面125の位置が載置面115の位置よりも下方に移動するまで、第2のボート120を下降させる。これにより、基板Wは載置面115上に載置され、載置面125上から離間した状態となる。
【0040】
第2のボート120で基板Wを保持する場合、図5に示されるように、載置面125の位置が載置面115の位置よりも上方に位置するまで、第2のボート120を上昇させる。これにより、基板Wは載置面125上に載置され、載置面115上から離間した状態となる。
【0041】
例えば、第1のボート110で基板Wを保持した状態の基板保持具100を処理容器10内に収容して処理容器10内において基板Wに成膜処理を施す際に、成膜処理の途中で第1のボート110に対して第2のボート120を上昇させる。これにより、第1のボート110に保持された基板Wが第2のボート120に渡される。また、第2のボート120で基板Wを保持した状態で、第1のボート110に対して第2のボート120を下降させる。これにより、第2のボート120に保持された基板Wが第1のボート110に渡される。このように、成膜処理の途中で、第1のボート110と第2のボート120との間で基板Wを受け渡すことにより、基板Wが載置面115及び載置面125に居続けることがない。その結果、載置面115上及び載置面125上に基板Wが貼り付くことを抑制できる。なお、成膜処理の途中で、第1のボート110と第2のボート120との間での基板Wの受け渡しを複数回繰り返してもよい。
【0042】
〔駆動機構〕
図6図15を参照し、駆動機構の一例について説明する。駆動機構200は、第1のボート110と第2のボート120とを同期させて回転させると共に、第2のボート120を第1のボート110に対して相対的に昇降させる。駆動機構200は、固定部210、回転部220及び回転直動部230を有する。
【0043】
固定部210は、底板211、天板212、連結部材213、固定スリーブ214及びパージガス導入口215を有する。
【0044】
底板211は、昇降機構25のアーム25a(図1)に支持されており、処理容器10に対して相対的に昇降する。
【0045】
天板212は、底板211の上方に、底板211と対向して設けられている。天板212の中央部には、開口が形成されており、該開口に後述する回転軸221及び直動軸231が挿通される。天板212上には、蓋21の下端がOリング等のシール部材21sを介して接続されている。
【0046】
連結部材213は、上下方向に延在する柱状体であり、底板211と天板212とを接続する。
【0047】
固定スリーブ214は、天板212の中央部より下方へ延びる中空の略円筒状を有する。固定スリーブ214の外周には、軸受216を介して後述する回転体222が回転可能に設けられている。軸受216の下部には、固定スリーブ214と回転体222との間に磁性流体シール217が設けられている。磁性流体シール217は、固定スリーブ214と回転体222との隙間を気密に封止する。
【0048】
パージガス導入口215は、固定スリーブ214の側壁を貫通して設けられ、固定スリーブ214内にパージガスを導入する。パージガス導入口215から固定スリーブ214内にパージガスが導入されることにより、ガスノズル31から吐出される処理ガスが固定スリーブ214と回転軸221との隙間に回り込むことを抑制できる。パージガスは、例えばArガス、Nガス等の不活性ガスである。
【0049】
回転部220は、回転軸221、回転体222、回転駆動源223、連結部材224、外側支持体225及び外側連結機構226を有する。
【0050】
回転軸221は、中空の略円筒状を有する。回転軸221は、固定スリーブ214内に、固定スリーブ214の内面から僅かな隙間をあけて挿通されている。回転軸221の上端には、外側連結機構226を介して外側支持体225が接続されている。回転軸221の下端には連結部材224が接続され、該連結部材224には回転体222が接続されている。回転軸221には、固定スリーブ214と回転軸221との隙間と、回転軸221と直動軸231との隙間とを連通させる貫通穴221hが形成されている。
【0051】
貫通穴221hは、パージガス導入口215から固定スリーブ214内に導入されるパージガスを回転軸221内に導く。これにより、ガスノズル31から吐出される処理ガスが回転軸221と直動軸231との隙間に回り込むことを抑制できる。なお、貫通穴221hは、連結部材224を貫通するように形成され、回転軸221と直動軸231との隙間にパージガスを導くように構成されていてもよい。回転軸221は、例えば金属により形成されている。
【0052】
回転体222は、固定スリーブ214の外周に軸受216を介して回転可能に設けられている。回転体222の下端には連結部材224が接続されている。
【0053】
回転駆動源223は、例えばモータであり、回転体222を回転させる。
【0054】
連結部材224は、回転体222の下端と回転軸221の下端とを連結する。これにより、回転軸221、回転体222及び連結部材224が一体で回転する。連結部材224の下面には、ベローズ227及びスプライン228を介して昇降駆動板234が接続されている。これにより、回転軸221、連結部材224、直動軸231及び昇降駆動板234で囲まれる領域が気密に封止される。また、回転軸221、連結部材224、直動軸231及び昇降駆動板234が同期して回転する。なお、回転軸221、回転体222及び連結部材224は一体で形成されていてもよい。
【0055】
外側支持体225は、例えば石英により形成されており、軸部225a、下端部225b、フランジ部225c及び支持突起225dを含む。
【0056】
軸部225aは、中空の略円筒状を有する。軸部225aの下部には、軸部225aの側壁を貫通する貫通穴225hが形成されている。貫通穴225hは、軸部225aと軸部235aとの隙間を上方に向けて流れるパージガスを軸部225a外に排出する。これにより、蓋21が処理容器10の下端の開口を気密に塞いでいる状態において、パージガス導入口215から導入されるパージガスが軸部225aの上端から基板保持具100に向けて吹き出されることが抑制される。その結果、ガスノズル31から基板保持具100に向けて吐出される処理ガスの流れがパージガスによって乱されることを抑制できる。
【0057】
下端部225bは、外側支持体225の下端に形成されており、外側連結機構226を介して回転軸221に接続されている。
【0058】
フランジ部225cは、外側支持体225の上端に形成されている。フランジ部225c上には、フランジ部225cの周方向に沿って間隔をあけて複数(例えば4つ)の支持突起225dが設けられている。
【0059】
各支持突起225dは、載置面225d1及び位置決め部225d2を含む(図8)。第1のボート110は、各載置面225d1上に底板111が載置され、底板111の内周面と位置決め部225d2とが係合することで支持突起225d上に位置決めされた状態で支持される。
【0060】
外側連結機構226は、回転軸221と外側支持体225とを連結する。外側連結機構226は、ハブ226a及びハブ226bを含む。
【0061】
ハブ226aは、回転軸221を構成する材料と同じ材料、例えば金属により形成されている。ハブ226aは、上下方向に貫通する貫通穴226a1が形成された中空の略円筒状を有する。貫通穴226a1の下端における内径は、回転軸221の上端の外径よりも僅かに大きく形成されている。これにより、回転軸221を貫通穴226a1に挿通させて、回転軸221にハブ226aを嵌め込むことができる。ハブ226aは、ネジ等により回転軸221に固定されている。ハブ226aの上面の外縁部には、該上面から突出する略円環状のガイド突起226a2が形成されている。ガイド突起226a2の内径は、ハブ226bの下端の外径よりも僅かに大きく設定されている。これにより、ハブ226bの下端がハブ226aに嵌め込まれる。
【0062】
ハブ226bは、ハブ226aを構成する材料よりも熱膨張率が小さく且つ外側支持体225を構成する材料よりも熱膨張率が大きい材料、例えば窒化ケイ素(Si)等のセラミックス材料により形成されている。ハブ226bは、上下方向に貫通する貫通穴226b1が形成された中空の略円筒状を有する。ハブ226bの上面の外縁部には、該上面から突出する略円環状のガイド突起226b2が形成されている。ガイド突起226b2は、3つの平面部226b3を有する。ガイド突起226b2の内径は、下端部225bの下端の外径よりも僅かに大きく設定されている。これにより、下端部225bの下端がハブ226bに嵌め込まれる。また、下端部225bの下端には、3つの平面部226b3と対応する3つの平面部225b3が形成されており、3つの平面部225b3がそれぞれ3つの平面部226b3と係合することで、外側支持体225がハブ226bに対して位置決めされる。
【0063】
回転直動部230は、直動軸231、昇降ステージ232、昇降駆動源233、昇降駆動板234、内側支持体235及び内側連結機構236を有する。
【0064】
直動軸231は、中実の略円柱状を有する。直動軸231は、回転軸221内に、該回転軸221の内面から僅かな隙間をあけて挿通されている。直動軸231の上端には、内側連結機構236を介して内側支持体235が接続されている。直動軸231の下端には、昇降駆動板234が接続されている。直動軸231は、例えば金属により形成されている。
【0065】
昇降ステージ232は、昇降駆動源233の動力により昇降する。昇降ステージ232上には、軸受232aを介して昇降駆動板234が設置されている。
【0066】
昇降駆動源233は、例えばボールねじであり、昇降ステージ232を昇降させる。
【0067】
昇降駆動板234は、直動軸231の下端に接続されている。昇降駆動板234は、昇降ステージ232の昇降を受けて、昇降ステージ232と一体で昇降し、直動軸231を回転軸221に対して相対的に昇降させる。なお、昇降駆動板234は、直動軸231と一体で形成されていてもよい。
【0068】
内側支持体235は、例えば石英により形成されており、軸部235a、下端部235b、フランジ部235c及び支持突起235dを含む。
【0069】
軸部235aは、中実の略円柱状を有する。軸部235aは、軸部225a内に、該軸部225aの内面から僅かな隙間をあけて挿通されている。
【0070】
下端部235bは、内側支持体235の下端に形成されており、内側連結機構236を介して直動軸231に接続されている。
【0071】
フランジ部235cは、軸部235aの上端に軸部235aと着脱自在に取り付けられている。フランジ部235c上には、フランジ部235cの周方向に沿って間隔をあけて複数(例えば4つ)の支持突起235dが設けられている。
【0072】
各支持突起235dは、載置面235d1及び位置決め部235d2を含む(図13)。第2のボート120は、各載置面235d1上に底板121が載置され、底板121の内周面と位置決め部235d2とが係合することで支持突起235d上に位置決めされた状態で支持される。
【0073】
内側連結機構236は、直動軸231と内側支持体235とを連結する。内側連結機構236は、ハブ236a及びハブ236bを含む。
【0074】
ハブ236aは、直動軸231を構成する材料と同じ材料、例えば金属により形成されている。ハブ236aは、上下方向に貫通する貫通穴236a1が形成された中空の略円筒状を有する。貫通穴236a1の下端における内径は、直動軸231の上端の外径よりも僅かに大きく形成されている。これにより、直動軸231を貫通穴236a1に挿通させて、直動軸231にハブ236aを嵌め込むことができる。ハブ236aは、ネジ等により直動軸231に固定されている。貫通穴236a1の上端における内径は、ハブ236bの下端の外径よりも僅かに大きく形成されている。これにより、ハブ236bの下端を貫通穴236a1に挿通させて、ハブ236bをハブ236aに嵌め込むことができる。
【0075】
ハブ236bは、ハブ236aを構成する材料よりも熱膨張率が小さく且つ外側支持体225を構成する材料よりも熱膨張率が大きい材料、例えばSi等のセラミックス材料により形成されている。ハブ236bの上面の外縁部には、該上面から突出する略円環状のガイド突起236b2が形成されている。ガイド突起236b2は、3つの平面部236b3を有する。ガイド突起236b2の内径は、下端部235bの下端の外径よりも僅かに大きく設定されている。これにより、下端部235bの下端がハブ236bに嵌め込まれる。また、下端部235bの下端には、3つの平面部236b3と対応する3つの平面部235b3が形成されており、3つの平面部235b3がそれぞれ3つの平面部236b3と係合することで、内側支持体235がハブ236bに対して位置決めされる。
【0076】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 処理容器
110 第1のボート
120 第2のボート
200 駆動機構
210 固定部
220 回転部
230 回転直動部
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
支柱113は、上下方向に延在する棒状を有し、底板111と天板112とを接続する。3本の支柱113a~113cは、同じ長さを有する。各支柱113a~113cは、その中心点が同一円周上に位置するように設けられる。各支柱113a~113cには、上下方向に間隔をあけて複数の溝114が形成されている。溝114は、基板を載置する載置面115(図4及び図5)を形成する。載置面115に基板が載置されることで基板が支柱113に保持される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
支柱123は、上下方向に延在する棒状を有し、底板121と天板122とを接続する。3本の支柱123a~123cは、同じ長さを有する。各支柱123a~123cは、その中心点が各支柱113a~113cの中心点同一円周上に位置するように設けられる。各支柱123a~123cは、それぞれ各支柱113a~113cよりも短い。各支柱123a~123cには、上下方向に間隔をあけて複数の溝部124が形成されている。溝部124は、基板を載置する載置面125(図4及び図5)を形成する。載置面125に基板が載置されることで基板が支柱123に保持される。