IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェーの特許一覧

特開2023-1905酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成するための反応器システムおよび方法
<>
  • 特開-酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成するための反応器システムおよび方法 図1
  • 特開-酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成するための反応器システムおよび方法 図2
  • 特開-酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成するための反応器システムおよび方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001905
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成するための反応器システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/54 20060101AFI20221226BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20221226BHJP
   H01L 21/365 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
C23C16/54
C23C16/40
H01L21/365
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022098238
(22)【出願日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】63/213,061
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ポール・マ
(72)【発明者】
【氏名】エリック・シェロ
(72)【発明者】
【氏名】トッド・ダン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・バッケ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレード・ウィンクラー
(72)【発明者】
【氏名】シンイェ・ワン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ジェン・チェン・リウ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA11
4K030AA14
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA02
4K030BA08
4K030BA11
4K030BA21
4K030BA42
4K030BA43
4K030BA47
4K030BB05
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA02
4K030DA08
4K030EA03
4K030FA01
4K030FA10
4K030GA12
4K030HA01
4K030JA10
4K030KA41
4K030KA49
4K030LA12
4K030LA14
5F045AA03
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB40
5F045AC07
5F045AC08
5F045AC11
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC18
5F045AD04
5F045AD05
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045CA15
5F045DP03
5F045DQ10
5F045DQ17
5F045EE19
5F045EF05
5F045EH14
5F045EK07
5F045EN04
5F045HA03
(57)【要約】
【課題】酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成するための反応器システムおよび方法を提供すること。
【解決手段】酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成するための反応器システムおよび方法が開示されている。酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層は、プロセスモジュールの一つ以上の反応チャンバーを使用して形成されることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器システムであって、
複数のプロセスモジュールであって、少なくとも一つのプロセスモジュールが、第一の反応チャンバー、第二の反応チャンバー、および第三の反応チャンバーを含む、複数のプロセスモジュールと、
前記複数のプロセスモジュールのうちの二つ以上に基板を提供するための基板ハンドリングチャンバーと、
コントローラと、を備え、
前記少なくとも一つのプロセスモジュールの前記第一の反応チャンバーが、前記基板の表面上にInOを含む層を堆積させるように構成されていて、
前記少なくとも一つのプロセスモジュールの前記第二の反応チャンバーが、前記基板の表面上にZnOを含む層を堆積させるように構成されていて、
前記少なくとも一つのプロセスモジュールの前記第三の反応チャンバーが、前記基板の表面上にGaOを含む層を堆積させるように構成されていて、
前記第一の反応チャンバー、前記第二の反応チャンバー、および前記第三の反応チャンバーが、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成するために使用される、反応器システム。
【請求項2】
前記少なくとも一つのプロセスモジュールが、前記基板の前記表面上の堆積前処理と、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む前記層の堆積後処理とのうちの一つ以上を実行するように構成された第四の反応チャンバーをさらに含む、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項3】
前記第四の反応チャンバーが、前記堆積前処理を実行するように構成されていて、前記堆積前処理が、遠隔プラズマプロセスおよび直接プラズマプロセスのうちの一つ以上を含む、請求項2に記載の反応器システム。
【請求項4】
前記第四の反応チャンバーが、前記堆積後処理を実行するように構成されていて、前記堆積後処理が、遠隔プラズマプロセスおよび直接プラズマプロセスのうちの一つ以上を含む、請求項2に記載の反応器システム。
【請求項5】
前記第一の反応チャンバー、前記第二の反応チャンバー、および前記第三の反応チャンバーのうちの一つ以上が、前記基板の前記表面上の堆積前処理と、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む前記層の堆積後処理とのうちの一つ以上を実行するようにさらに構成されている、請求項1~4のいずれかに記載の反応器システム。
【請求項6】
前記少なくとも一つのプロセスモジュールが、酸化アルミニウムを含む層を堆積させるように構成された第四の反応チャンバーをさらに含む、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記第一の反応チャンバー内の温度を100~400℃に制御し、前記第二の反応チャンバー内の温度を75~450℃に制御し、前記第三の反応チャンバー内の温度を50~500℃に制御する、請求項1~6のいずれかに記載の反応器システム。
【請求項8】
前記第一の反応チャンバーがインジウムガス源に流体連結されていて、前記第二の反応チャンバーがガリウムガス源に連結されていて、前記第三の反応チャンバーが亜鉛ガス源に連結されていて、前記第一の反応チャンバー、前記第二の反応チャンバー、および前記第三の反応チャンバーのうちの二つ以上が酸素ガス源に連結されている、請求項1~7のいずれかに記載の反応器システム。
【請求項9】
酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成する方法であって、前記方法が、
第一の反応チャンバー、第二の反応チャンバー、および第三の反応チャンバーを含むプロセスモジュールを提供する工程と、
前記第一の反応チャンバー内で基板の表面上にInOを含む層を形成する工程と、
前記第二の反応チャンバー内で基板の表面上にGaOを含む層を形成する工程と、
前記第三の反応チャンバー内で基板の表面上にZnOを含む層を形成する工程と、を含み、
InOを含む前記層、GaOを含む前記層、およびZnOを含む前記層が、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成する、方法。
【請求項10】
第四の反応チャンバー内で追加の金属酸化物を形成する工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基板の前記表面上の堆積前処理と、第四の反応チャンバー内の酸化インジウムガリウム亜鉛を含む前記層の堆積後処理とのうちの一つ以上を実行する工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記堆積後処理が、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む前記層をオゾンに曝露することを含み、前記オゾンを形成するために使用される窒素含有ガスの量が、前記層を曝露する工程中に変化する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記堆積後処理が、低周波数プラズマプロセスおよび遠隔プラズマプロセスを含む、請求項9~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記堆積前処理が、還元ガスに前記基板を曝露することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
励起種が、前記還元ガスを使用して形成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
Inを含む第一の前駆体、Gaを含む第二の前駆体、およびZnを含む第三の前駆体のうちの一つ以上のガス分配が、基板の中心から前記基板の縁まで不均一に分配されている、請求項9~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成する方法であって、前記方法が、
複数の反応チャンバーを含むプロセスモジュールを提供することと、
第一のプロセスモジュール内の第一の反応チャンバーに二つ以上の前駆体を提供することであって、前記二つ以上の前駆体が、インジウム前駆体、ガリウム前駆体、亜鉛前駆体、およびアルミニウム前駆体から成る群から選択される、提供することと、
前記第一の反応チャンバーに酸化剤を提供して、In、Ga、Zn、およびAlのうちの少なくとも二つを含む酸化物を形成することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記前駆体が前記第一の反応チャンバーに入る前に、前記前駆体のうちの一つ以上について分量制御を使用する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成する方法であって、前記方法が、
反応チャンバーにインジウム反応物質および第一の酸化剤を提供することによって酸化インジウム層を形成することと、
ガリウム反応物質および第二の酸化剤を提供することによって酸化ガリウム層を形成することと、
亜鉛反応物質および第三の酸化剤を提供することによって酸化亜鉛層を形成することと、を含み、
前記第一の酸化剤、前記第二の酸化剤、および前記第三の酸化剤のうちの少なくとも二つが異なる、方法。
【請求項20】
酸化インジウム層を形成する工程、酸化ガリウム層を形成する工程、および酸化亜鉛層を形成する工程のうちの少なくとも二つが、プロセスモジュールの異なる反応チャンバー内で実行される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項9または請求項19に記載の方法であって、工程が、
GaOを含む前記層を形成する工程、または前記酸化ガリウム層を形成する工程と、
ZnOを含む前記層を形成する工程、または前記酸化亜鉛層を形成する工程と、
InOを含む前記層を形成する工程、または前記酸化インジウム層を形成する工程と、の順序で実行される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、ガス相反応器およびシステムに関する。より具体的に本開示は、複数の反応チャンバーを含む反応器システムと、反応器システムを使用する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
化学蒸着(CVD)、プラズマ強化CVD(PECVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化ALD(PEALD)、原子層エッチング(ALE)などのガス相プロセスは、基板の表面上に材料を堆積させ、基板の表面から材料をエッチングし、および/または基板の表面を洗浄もしくは処理するために、しばしば使用される。例えば、基板上に層を堆積させてまたはエッチングして半導体デバイス、フラットパネルディスプレイデバイス、光起電力デバイス、微小電気機械システム(MEMS)、他の電子デバイスを形成するために、ガス相プロセスを使用することができる。
【0003】
典型的に、こうしたデバイスを形成するために、複数のガス相プロセスを使用する。しばしば各プロセスは、自らの反応器システムまたはモジュールで実行されて、後続の処理のために別の反応器システムまたはモジュールに移送される。反応器システムまたはモジュールを各プロセス専用にすることは、反応器内で使用される反応物質または形成される生成物の相互汚染を防止または軽減するために望ましい。しかしながら、専用の反応器システムまたはモジュールの使用は、かなりの資本コストを必要とし、かつデバイスを作ることに伴う経営コストを増大させる。さらに、異なる反応器システムおよびモジュールで基板を処理することは、一つの反応器システムまたはモジュールから基板を除去して、その基板を別の反応器システムまたはモジュールに配置するために、真空および/またはエアブレイク(air break)をしばしば必要とする。
【0004】
最近、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を堆積させることへの関心が高まっている。酸化インジウムガリウム亜鉛の層を使用して、例えば非晶質酸化インジウムガリウム亜鉛を使用して形成されるディスプレイにおける薄膜トランジスターを含む、様々なデバイスを形成することができる。しばしば酸化インジウムガリウム亜鉛は、酸化インジウムガリウム亜鉛の標的から材料をスパッタリングすることによって堆積される。こうした技術が一部の用途について良好に働く一方で、より制御された、および/またはより統一的な様態で酸化インジウムガリウム亜鉛を堆積させるという一般的な願望がある。さらに、改善された特性を有する非晶質または結晶質酸化インジウムガリウム亜鉛を使用して、他のデバイス(他のトランジスターおよびメモリデバイスなど)を開発することへの関心が高まっている。従って、酸化インジウムガリウム亜鉛を堆積させるのに適した、改善された反応器システムおよび方法が望まれる。
【0005】
関連技術に関わる問題および解決策のいずれの説明も、単に本開示の背景を提供する目的で本開示に含まれていて、本発明がなされた時に、その説明のいずれかまたはすべてが知られていたことを認めるものと考えられるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の様々な実施形態は、反応器システムと、反応器システムを使用する方法とに関する。本開示の反応器システムおよび方法が以前の反応器システムおよび方法の欠点に対処する方法を以下でより詳細に説明する一方で、本開示による例示的な反応器システムおよび方法は概して、一つ以上のプロセスモジュールを含み、プロセスモジュールのうちの一つ以上は複数の反応チャンバーを含む。以下でより詳細に記載する通り、モジュール内の二つ以上の反応チャンバーを使用して、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛などのうちの一つ以上を堆積させることができる。当該モジュール内の、および/または別のモジュール内の他の反応チャンバーを使用して、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を堆積させる前に基板の表面を処理し、および/または酸化インジウムガリウム亜鉛を含む堆積層を処理することができる。
【0007】
本開示の例示的な実施形態によると、反応器システムは、複数のプロセスモジュールであって、少なくとも一つのプロセスモジュールが、第一の反応チャンバー、第二の反応チャンバー、および第三の反応チャンバーを含む、複数のプロセスモジュールと、複数のプロセスモジュールのうちの二つ以上に基板を提供するための基板ハンドリングチャンバーと、コントローラとを含む。これらの実施形態の実施例によると、第一の反応チャンバーは、基板の表面上にInOを含む層を堆積させるように構成されていて、第二の反応チャンバーは、基板の表面上にZnOを含む層を堆積させるように構成されていて、第三の反応チャンバーは、基板の表面上にGaOを含む層を堆積させるように構成されていて、第一の反応チャンバー、第二の反応チャンバー、および第三の反応チャンバーは、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成するために使用される。本開示のさらなる実施例によると、反応器システムは、基板の表面上の堆積前処理と、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層の堆積後処理とのうちの一つ以上を実行するように構成された第四の反応チャンバーを含む。堆積前処理は、遠隔プラズマプロセスおよび直接プラズマプロセスのうちの一つ以上を含むことができる。同様に、堆積後処理は、遠隔プラズマプロセスおよび直接プラズマプロセスのうちの一つ以上を含むことができる。追加的に、または代替的に、第一の反応チャンバー、第二の反応チャンバー、第三の反応チャンバー、および第四の反応チャンバーのうちの一つ以上は、基板の表面上の堆積前処理と、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層の堆積後処理とのうちの一つ以上を実行するようにさらに構成されることができる。別途記載がない限り、第一、第二、第三、および第四の反応チャンバーは、任意の順序で使用されることができる。
【0008】
本開示の追加の実施形態によると、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成する方法が提供されている。一つの例示的な方法は、第一の反応チャンバー、第二の反応チャンバー、および第三の反応チャンバーを含むプロセスモジュールを提供する工程と、第一の反応チャンバー内で基板の表面上にInOを含む層を形成する工程と、第二の反応チャンバー内で基板の表面上にGaOを含む層を形成する工程と、第三の反応チャンバー内で基板の表面上にZnOを含む層を形成する工程とを含む。別途記載がない限り、本明細書に記載の工程は、任意の適切な順序で実行されることができる。InOを含む層、GaOを含む層、およびZnOを含む層は、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成する。これらの実施形態の態様によると、方法は、第四の反応チャンバー内で追加の金属酸化物を形成する工程を含むことができる。さらなる態様によると、方法は、基板の表面上の堆積前処理と、第四の反応チャンバー内の酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層の堆積後処理とのうちの一つ以上を実行する工程を含むことができる。堆積後処理は、オゾンなどの活性種に酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を曝露することを含むことができる。オゾンの場合、オゾンを形成するために使用される窒素含有ガスの量は、層を曝露する工程中に変化させることができる。追加的に、または代替的に、低周波数プラズマプロセスと遠隔プラズマプロセスの組み合わせを使用して、堆積後処理工程中に表面を処理することができる。堆積前処理は、還元ガスに基板を曝露することを含むことができ、当該還元ガスは、励起種を形成するために使用されることができる。
【0009】
本開示のなおもさらなる実施例によると、別の方法が提供されている。その方法は、複数の反応チャンバーを含むプロセスモジュールを提供することと、第一のプロセスモジュール内の第一の反応チャンバーに二つ以上の金属前駆体を提供することであって、インジウム前駆体、ガリウム前駆体、亜鉛前駆体、およびアルミニウム前駆体から成る群から金属前駆体が選択される、提供することと、酸化剤を第一の反応チャンバーに提供して、In、Ga、Zn、およびAlのうちの少なくとも二つを含む酸化物を形成することとを含む。方法は、分量制御を使用して反応チャンバーに一つ以上の前駆体を提供する工程を、さらに含むことができる。
【0010】
本開示のさらに追加の実施例によると、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成する方法が提供されている。方法は、インジウム反応物質および第一の酸化剤を反応チャンバーに提供することによって酸化インジウム層を形成することと、ガリウム反応物質および第二の酸化剤を提供することによって酸化ガリウム層を形成することと、亜鉛反応物質および第三の酸化剤を提供することによって酸化亜鉛層を形成することとを含み、第一の酸化剤、第二の酸化剤、および第三の酸化剤のうちの少なくとも二つは異なる。これらの実施形態のさらなる実施例によると、酸化インジウム層を形成する工程、酸化ガリウム層を形成する工程、および酸化亜鉛層を形成する工程のうちの少なくとも二つは、プロセスモジュールの異なる反応チャンバー内で実行される。
【0011】
これらの実施形態および他の実施形態は、添付の図面を参照する特定の実施形態の以下の「発明を実施するための形態」から当業者に容易に明らかとなることになり、本発明は開示されたいかなる特定の実施形態にも限定されない。さらに、前述の「発明の概要」と以下の「発明を実施するための形態」の両方は、例示および説明のためのものであるだけであって、本開示を制限するものではなく、もしくは特許請求の範囲に記載の発明を制限するものではない。
【0012】
本開示の例示的な実施形態のより完全な理解は、以下の例示的な図に関連して考慮される場合、「発明を実施するための形態」および「特許請求の範囲」を参照することによって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の様々な実施形態による例示的な反応器システムを図示する。
図2図2は、本開示の様々な実施形態による反応器システムの例示的なプロセスモジュールを図示する。
図3図3は、本開示の様々な実施形態による反応器を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当然のことながら、図内の要素は単純化および明瞭化のために例示されていて、必ずしも原寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の図示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素と相対的に誇張されている場合がある。
【0015】
以下に提供される例示的な実施形態の説明は、単に例示的なものであり、また図示の目的のみで提供することを意図していて、下記の説明は本開示の範囲または特許請求の範囲を限定することを意図していない。さらに、記載された特徴を有する複数の実施形態の列挙は、追加の特徴を有する他の実施形態、または記載の特徴の異なる組み合わせを組み込む他の実施形態を除外することを意図していない。
【0016】
以下でより詳細に記載する通り、本開示の様々な実施形態は、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成するための反応器システムおよび方法に関する。例示的な方法およびシステムは、一つの堆積層内と、複数の基板上に堆積された複数の層全体との両方での、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層の組成および厚さの精密な制御を可能にする。以下でさらに記載する通り、例示的なシステムおよび方法はまた、堆積前処理および/または堆積後処理の装置または工程を含むことができる。
【0017】
本開示において、「ガス」は、常温常圧(NTP)にて気体である材料、気化した固体、および/または気化した液体を含むことができ、また状況に応じて単一の気体、また気体の混合物によって構成されることができる。プロセスガス以外のガス、すなわちガス分配アセンブリ、他のガス分配装置、またはこれに類するものを通過することなく導入されるガスは、例えば反応空間を密封するために使用することができ、また希ガスなどのシールガスを含むことができる。ガスは状況に応じて、単一のガスまたはガスの混合物を含むことができる。
【0018】
「前駆体」という用語は、別の化合物を生成する化学反応に関与する化合物を指すことができる。「反応物質」という用語は、前駆体という用語と交互に使用されることができる。「不活性ガス」という用語は、化学反応に関与しない、および/または相当な程度まで層の一部にならないガスを指すことができる。例示的な不活性ガスは、ヘリウムおよびアルゴンならびにそれらの任意の組み合わせを含む。一部の場合において、分子窒素および/または水素は不活性ガスであることができる。キャリアガスは不活性ガスであることができ、または不活性ガスを含むことができる。
【0019】
本明細書で使用される「基板」という用語は、デバイス、回路、もしくは膜を形成するのに使用されうる任意の下地材料(複数可)、またはデバイス、回路、もしくは膜が形成されうる任意の下地材料(複数可)を指す場合がある。基板は、シリコン(例えば、単結晶シリコン)などのバルク材料、ゲルマニウムなどの他の第IV族材料、またはGaAsなどの複合半導体材料を含むことができ、またバルク材料の上または下にある一つ以上の層を含むことができる。さらに基板は、基板の層の少なくとも一部分内またはその一部分上に形成された様々なトポロジー(陥凹部、ライン、およびこれに類するものなど)を含むことができる。
【0020】
「周期的堆積プロセス(cyclic deposition processまたはcyclical deposition process)」という用語は、基板上に層を堆積させるための、反応チャンバーの中への前駆体(および/または反応物質)の逐次的な導入を指すことができ、原子層堆積(ALD)と、周期的化学蒸着(周期的CVD)と、ALD構成要素および周期的CVD構成要素を含むハイブリッド周期的堆積プロセスとなどの処理技法を含む。プロセスは、前駆体/反応物質の導入の間にパージ工程を含んでもよい。
【0021】
「原子層堆積」という用語は、堆積サイクル(典型的には複数の連続堆積サイクル)がプロセスチャンバー内で行われる蒸着プロセスを指すことができる。本明細書で使用される「原子層堆積」という用語はまた、前駆体/反応性ガス(複数可)、およびパージ(例えば、不活性キャリア)ガス(複数可)の交互パルスで実行される場合の関連する用語(化学蒸着原子層堆積など)によって示されるプロセスを含むことを意味する。
【0022】
本明細書で使用される「プラズマ強化原子層堆積」(PEALD)という用語は、一つ以上の前駆体、反応物質、および/または他のガスがプラズマに曝露されて励起種を形成する、ALDプロセスを指す場合がある。
【0023】
本明細書で使用される、InOを含む層は、酸化インジウムおよび随意に追加の要素を含むことができる。一部の場合において、InO層は、InOから本質的に成る(例えば、5原子%未満の他の材料を含有する)ことができる。InOを含む層は非晶質または結晶質であることができ、化学量論的であってもよく、または化学量論的でなくてもよい。
【0024】
本明細書で使用される、GaOを含む層は、酸化ガリウムおよび随意に追加の要素を含むことができる。一部の場合において、GaO層は、GaOから本質的に成る(例えば、5原子%未満の他の材料を含有する)ことができる。GaOを含む層は、非晶質または結晶質であることができ、化学量論的であってもよく、または化学量論的でなくてもよい。
【0025】
本明細書で使用される、ZnOを含む層は、酸化亜鉛および随意に追加の要素を含むことができる。一部の場合において、ZnO層は、ZnOから本質的に成る(例えば、5原子%未満の他の材料を含有する)ことができる。ZnOを含む層は、非晶質または結晶質であることができ、化学量論的であってもよく、または化学量論的でなくてもよい。
【0026】
本明細書で使用される、AlOを含む層は、酸化アルミニウムおよび随意に追加の要素を含むことができる。一部の場合において、AlO層は、AlOから本質的に成る(例えば、5原子%未満の他の材料を含有する)ことができる。AlOを含む層は、非晶質または結晶質であることができ、化学量論的であってもよく、または化学量論的でなくてもよい。
【0027】
酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層は、インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素、および随意に他の要素、例えばアルミニウム、スズ、ゲルマニウム、またはチタンを含むことができる。一部の場合において、インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素を含む層は、インジウム、ガリウム、亜鉛、および酸素から本質的に成る(例えば、5原子%未満の他の材料を含有する)ことができる。インジウム、ガリウム、亜鉛、および酸素を含む層は、非晶質または結晶質であることができ、化学量論的であってもよく、または化学量論的でなくてもよい。
【0028】
さらに本開示において、変数の任意の二つの数字は、その変数の実行可能な範囲を構成することができ、示される任意の範囲は、端点を含んでもよく、または除外してもよい。加えて、示された変数の任意の値は(それらが「約」とともに示されているか否かにかかわらず)、正確な値またはおおよその値を指し、等価物を含んでもよく、また平均値、中央値、代表値、または大多数またはこれに類するものを指してもよい。さらに、本開示において、「含む」、「によって構成される」、および「有する」という用語は一部の実施形態において、「典型的にまたは広く含む」、「含む」、「から本質的に成る」、または「から成る」を独立的に指すことができる。本開示において、任意の定義された意味は、一部の実施形態において、通常の意味および慣習的な意味を必ずしも除外しない。
【0029】
ここで図を参照すると、図1は、本開示の実施例による例示的な反応器システム100を図示する。反応器システム100は、複数のプロセスモジュール102~108、基板ハンドリングチャンバー110、コントローラ112、ロードロックチャンバー114、および装置フロントエンドモジュール116を含む。
【0030】
図示の実施例において、各プロセスモジュール102~108は、4個の反応チャンバーRC1~RC4を含む。別途記載がない限り、RC1~RC4は任意の適切な順序とすることができる。さらに本開示の実施例によるプロセスモジュールは、任意の適切な数の反応チャンバーを含むことができる。さらに反応システム内の様々なプロセスモジュールが、同一に、または異なって構成されることができる。
【0031】
本開示の実施例によると、少なくとも一つのプロセスモジュールは、第一の反応チャンバーRC1、第二の反応チャンバーRC2、第三の反応チャンバーRC3、および随意に第四の反応チャンバーRC4を含む。さらなる実施例によると、プロセスモジュール102~108のうちの2個以上(例えば、2個、3個、または4個)は、第一の反応チャンバーRC1、第二の反応チャンバーRC2、第三の反応チャンバーRC3、および随意に第四の反応チャンバーRC4を含む。
【0032】
本開示の実施例によると、少なくとも一つのプロセスモジュール102~108は、基板の表面上にInOを含む層を堆積させるように構成された第一の反応チャンバーRC1と、基板の表面上にZnOを含む層を堆積させるように構成された第二の反応チャンバーRC2と、基板の表面上にGaOを含む層を堆積させるように構成された第三の反応チャンバーRC3とを含む。それ故に第一の反応チャンバーRC1、第二の反応チャンバーRC2、および第三の反応チャンバーRC3を使用して、単一のプロセスモジュール内で酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成することができる。一部の場合において、2個以上(例えば、2個、3個、または4個)のプロセスモジュールが、同様に構成されている。別の方法として、プロセスモジュール内の2個以上(例えば、すべて)の反応チャンバーは、同じ反応(例えば、同じ酸化物の堆積、堆積前処理、および/または堆積後処理)を実行することができる。なおもさらなる実施例によると、同じ反応チャンバーは、堆積前処理プロセスと堆積後処理プロセスの両方を実行することができる。追加的に、または代替的に、層を堆積させるために使用される一つ以上の反応チャンバーRC1~RC4はまた、堆積前処理および/または堆積後処理のために使用されることができる。例示的な反応チャンバーは、図3に関連して以下でより詳細に説明される。
【0033】
基板ハンドリングチャンバー110は、各プロセスモジュール102~108に連結する。例として、基板ハンドリングチャンバー110は、ゲートバルブ118~132を介して各プロセスモジュール102~108に連結することができる。本開示の実施例によると、プロセスモジュール102~108は、基板ハンドリングチャンバー110に連結されることができ、基板ハンドリングチャンバー110から分離されることができる。
【0034】
基板ハンドリングチャンバー110を使用して、ロードロックチャンバー114と一つ以上のプロセスモジュール102~108との間で、および/またはプロセスモジュール102~108の間で基板を移動させることができる。基板ハンドリングチャンバー110は、バックエンドロボット134を含むことができる。バックエンドロボット134は、ロードロックチャンバー114(例えば、その中のステージ140、142)、および反応チャンバーのうちのいずれか内のサセプターのうちのいずれか一つから、基板を搬送することができる。バックエンドロボット134は、例えば多関節ロボットであることができ、または多関節ロボットを含むことができる。例として、バックエンドロボット134は、静電気力または真空力を使用して搬送される基板を取り出して移動させることができる。バックエンドロボット134は、例えばエンドエフェクターとすることができる。
【0035】
コントローラ112は、本明細書に記載の通りの一つ以上の工程または機能を実行するように構成されることができる。コントローラ112は、バルブ、マニホールド、ヒーター、ポンプ、および反応器システム100に含まれる他の構成要素を選択的に動作させるために、電子回路およびソフトウェアを含む。こうした回路および構成要素は、ガスを提供すること、温度を調節することなどを行うように動作して、反応器システム100の適切な動作をもたらす。コントローラ112は、特定のタスクを実行するソフトウェアおよび/またはハードウェア構成要素などの、モジュールを含むことができる。モジュールは、制御システムのアドレス指定可能な記憶媒体上に常駐するように構成されてもよく、かつ本明細書に記載の方法など、一つ以上のプロセスを実行するように構成されてもよい。
【0036】
ロードロックチャンバー114は、例えばゲートバルブ136、138を介して基板ハンドリングチャンバー110に、および装置フロントエンドモジュール116に接続されている。ロードロックチャンバー114は、装置フロントエンドモジュール116と基板ハンドリングチャンバー110との間の基板をステージングするための一つ以上の、例えば二つのステージ140、142を含むことができる。
【0037】
装置フロントエンドモジュール116は、開口部144を介してロードロックチャンバー114に連結されている。フロントエンドモジュール116は、一つ以上のロードポート146を適切に含むことができる。ロードポート146は、正面開口式一体型ポッド(FOUP)148などの基板キャリアを受け入れるために提供されることができる。装置フロントエンドモジュール116内に設けられたロボット150は、FOUP148とロードロックチャンバー114内のステージ140、142との間で、一つ以上(例えば、一度に二つ)の基板を搬送することができる。
【0038】
図2は、例示的なプロセスモジュール102の上面切り取り図をより詳細に図示する。図示の実施例において、プロセスモジュール102は、第一の反応チャンバーRC1、第二の反応チャンバーRC2、第三の反応チャンバーRC3、および第四の反応チャンバーRC4を含む。第一の反応チャンバーRC1および第二の反応チャンバーRC2は、第三の反応チャンバーRC3および第四の反応チャンバーRC4よりも、基板ハンドリングチャンバー110に近い位置に位置することができる。一つ以上の反応チャンバーRC1~RC4は、ガスカーテン(GC)と、基板が通ることを可能にするエリアまたは開口部(これはシール可能であってもよい)を有する一つ以上の物理的バリアとのうちの一つ以上を使用して、相互に分離されることができる。追加的に、または代替的に、生成物およびプロセスガス流は、所望の反応が各反応チャンバー内でかつ実質的に各反応チャンバー内でのみ行われるように構成されることができる。本開示の実施例によると、基板ハンドリングチャンバー110は、RC1およびRC2と直接連通することができるか、またはゲートバルブ(例えば、ゲートバルブ118、120)を介してRC1およびRC2と連通することができる。
【0039】
図示の実施例において、プロセスモジュール102は、プロセスモジュール102内で反応チャンバーRC1~RC4間で基板を移動させるための移送アーム202を含む。移送アーム202は、各反応チャンバーに対する第一~第nのアームを含むことができる。例えば、移送アーム202は、第一のアーム202a、第二のアーム202b、第三のアーム202c、第四のアーム202d、およびシャフト202eを含むことができる。第一のアーム202a、第二のアーム202b、第三のアーム202c、および第四のアーム202dは、202eによって支持されていて、シャフト202eの回転によって回転される。アーム202a~202dは、シャフト202eの回転状態に従って、反応チャンバー間にまたは特定の反応チャンバー内部に位置する。移送アーム202を使用して、反応チャンバー内のサセプター上に基板を提供し、サセプター上の基板を取り出すことができる。移送アーム202は、第一~第四の反応チャンバーRC1~RC4のうちの一つの中にある基板を別の反応チャンバーの中に移動させるための回転アームとして機能することができる。こうした回転アームは、例えば360度を反応チャンバーの数で割ることによって計算された角度だけ反時計回りに回転する。プロセスモジュール104~108は、図2に図示した、プロセスモジュール102と同じまたは類似の構成を有するように構成されていてもよい。
【0040】
本開示のさらなる実施例によると、図2に図示の通り、バックエンドロボット134は、基板204、206をRC1およびRC2に/から移送することができる。一つ以上のセンサ208~214を、基板ハンドリングチャンバー110とプロセスモジュール102の間の領域内に設けることができる。例えば、二つのセンサ208、210を第一の反応チャンバーRC1の前に設けることができ、二つのセンサ212、214を第二の反応チャンバーRC2の前に設けることができる。一つ以上のセンサ208~214は、(例えば、垂直方向に)互いに重なり合う、発光素子および光感知素子を含むことができる。発光素子は正方向または負方向に(例えば、レーザー)光を放出することができ、光感知素子は(例えば、レーザー)光を検出する。発光素子と光感知素子の間の基板の存在または不存在は、光受信素子による光の受信または非受信に基づいて検出されることができる。例えば、光受信素子は閾量の光を感知する時、高レベル信号を出力することができ、かつ光を全く受信しないかまたは閾レベル量未満の光を受信する時、低レベル信号を出力することができる。光感知素子は、基板の通過状態に対応する波形の出力を与えることができる。
【0041】
プロセスモジュール102はまた、基板がバックエンドロボット134によって基板ハンドリングチャンバー110から第一の反応チャンバーRC1または第二の反応チャンバーRC2に移送される時に基板が所定の位置を通過したかどうかを判定するための自動基板感知ユニットを含むことができる。自動ウエハ感知ユニットは、例えば前述のセンサ208~214と、センサ208~214に接続された移送モジュールコントローラ(TMC)216とを含むことができる。TMC216は、例えば基板ハンドリングチャンバー110の下に位置することができる。TMC216は、一つ以上のセンサ208~214の検出結果を所定の波形と比較して、基板が所定の位置を通過したかどうかを判定することができる。このようにして、基板が基板ハンドリングチャンバー110から第一の反応チャンバーRC1もしくは第二の反応チャンバーRC2への方向に移送される時、または基板が反対方向に移送される時、自動ウエハ感知ユニットによる異常な移送の検出を実行することが可能である。異常な移送は、バックエンドロボット134に対する基板のずれ、または基板のクラック、またはこれに類する状態によって引き起こされることができる。一例によると、異常な移送が検出された時に、TMC216が移送の行き先を補正するための補正機能を実現することが可能である。
【0042】
プロセスモジュール102~108に適した例示的なプロセスモジュールおよび例示的なシステムのより詳細な説明は、2020年9月15日に発行されたKazuhiro Nishiwaki名義の米国特許第10,777,445号、2019年6月25日に発行されたTaku Omori名義の米国特許第10,332,767号、『REACTOR SYSTEM WITH MULTI-DIRECTIONAL REACTION CHAMBER』と題する2021年2月6日に出願された米国特許出願第17/169,440号において提供されていて、それらの内容はここに、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0043】
一つ以上の前駆体源および一つ以上の酸化剤源は、各反応チャンバーRC1~RC4に連結されることができる。図示の実施例において、第一の前駆体源(例えば、インジウム前駆体を含む)218および第一の酸化剤源220は、RC1に流体連結されていて、第二の前駆体源(例えば、亜鉛前駆体を含む)222および第二の酸化剤源224は、RC2に流体連結されていて、第三の前駆体源(例えば、ガリウム前駆体を含む)226および第三の酸化剤源228は、RC3に流体連結されていて、第四の前駆体源(例えば、アルミニウムまたは他の金属前駆体を含む)228および第四の酸化剤源230は、RC4に流体連結されている。一部の場合において、RC4は前駆体源を含まなくてもよい。このような場合、RC4は、本明細書に記載の通りの堆積前処理および/または堆積後処理のために使用されることができ、反応物質源230は、本明細書に記載の通りの(例えば、プラズマを形成するための)処理のために使用されるガスを含むことができる。
【0044】
ここで図3を参照すると、一つ以上の反応チャンバーRC1~RC4としての使用に適した例示的な反応チャンバー300が図示されている。反応チャンバー300はPEALD反応器として図示されている。しかしながら、反応チャンバー300は代替的に、熱反応器またはガス相反応器として構成されることができる。本明細書に記載の様々な反応チャンバーは、CVD、周期的堆積(例えば、ALD)に使用することができ、これは熱的である(すなわち、プラズマも活性種も形成されない)か、またはプラズマもしくは活性種アシストされてもよい。
【0045】
図3に図示の通り、反応チャンバー300の内部11(反応ゾーン)内に平行にかつ互いに面して構成されることができる一対の導電性平板電極2、4を設けることと、電源25から一つの側に(例えば、13.56MHzおよび/または27MHzにて)RF電力を印加することと、他の側12を電気的に接地することとによって、プラズマを電極2、4間に生成することができる。温度調整器は、下部ステージ2、すなわち下部電極に設けられてもよい。基板1をその上に配置することができ、基板温度を所望の温度(複数可)に制御することができる。上部電極4は、シャワープレートなどのガス分配デバイスとして機能することができ、さらにはプラズマガス、反応物質ガス、および/または希釈ガスなどの様々なガス(存在する場合)、ならびにガス混合物は、ガスライン21およびガスライン22を通して、およびシャワープレート4を通して、反応チャンバー300の中に導入されることができる。例えば、前駆体またはガス混合物(例えば、二つ以上の前駆体を含む)は、ライン22を介してガス注入ポート26に提供されることができ、反応物質源27からの反応物質(例えば、酸化剤)は、ライン21を介してガス注入ポート26に提供されることができる。一部の場合において、遠隔プラズマユニット304を使用して、反応ゾーン11に活性種を提供することができる。
【0046】
反応チャンバー300には、排出ライン17を有するダクト13を設けることができ、これを通して反応チャンバー300の内部11内のガスを排出することができる。ガスシールライン24を使用して、反応チャンバー300の内部11の中にシールガスを導入することができ、そこには分離プレート14が設けられている。開口部(ゲートバルブなどであって、これを通して基板が反応チャンバー300の中に移送されうる)は、この図から省略されている。またパージエリア16には、排出ライン6を設けることができる。図示の実施例において、反応チャンバー300は、環境および/または別の反応チャンバーから反応チャンバーを隔離するためのハウジング302を含む。追加的に、または代替的に、上述の通り、ガスカーテンを使用して、一つ以上の他の反応チャンバーから一つの反応チャンバーを隔離することを容易にすることができる。
【0047】
上述の通り、本開示の様々な実施形態よると、プロセスモジュール102などのプロセスモジュールは、第一の反応チャンバーが、基板の表面上にInOを含む層を堆積させるように構成されていて、第二の反応チャンバーが、基板の表面上にZnOを含む層を堆積させるように構成されていて、第三の反応チャンバーが、基板の表面上にGaOを含む層を堆積させるように構成されていて、第一の反応チャンバー、第二の反応チャンバー、および第三の反応チャンバーが、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成するために使用されるように、構成されることができる。図1および図2に図示の通り、プロセスモジュールは第四の反応チャンバーを追加的に含むことができる。第四の反応チャンバーは、基板の表面上の堆積前処理、または酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層の堆積後処理、または別の金属(例えば、Al)酸化物などの別の層の堆積のうちの一つ以上を実行するように構成されることができる。
【0048】
InO、ZnO、および/またはGaOを含む層は、熱プロセスまたはプラズマアシストプロセスを使用して形成されることができる。熱プロセスまたはプラズマプロセスは、金属(例えば、In、Zn、およびGaのうちの一つ以上)の前駆体および酸化剤を、(例えば、別個の)反応チャンバーに提供することを含むことができる。
【0049】
本開示の実施例による使用に適した例示的なインジウム前駆体は、TEI、TMI、3-(ジメチルアミノ)プロピル]ジメチル-インジウム(DADI)、シクロペンタジエニルインジウム(I)、In(acac)、In(dmamp)(OPr)、In(dmamp)、In(dpguan)、In(EtCp)、InCp、In(iPrAMD)、In(iPrFMD)、In(N(SiMe)Et、In(PrNMe)Me、In(thd)、InCl、InMe(edpa)、InMe(MeO(CHNHtBu)、InMe、またはInEtのうちの少なくとも一つを含む。本開示の実施例による使用に適した例示的な亜鉛前駆体は、DEZ、DMZ、[EtZn(damp)]、Zn(DMP)、Zn(eeki)、Zn(OAc)、ZnCl、ZnEt、ZnMe、またはZnMe(OPr)のうちの少なくとも一つを含む。本開示の実施例による使用に適した例示的なガリウム前駆体は、TDMAGa、TMGa、TEGa、GaCl、GaEtCl、(GaMeNH、Ga(acac)、Ga(CpMe)、Ga(thd)、Ga(NMe、GaMe(OPr)、GaMeNH、またはGaMe(CHOCHCHNHtBu)のうちの少なくとも一つを含む。例示的な酸化剤は、例えば水、オゾン、アルコール、過酸化物、H、酸素プラズマ、水素プラズマ、またはインサイチュ-OHラジカルを含む。本開示の実施例によると、酸化剤は、例えば所望の厚さ/堆積サイクルに基づいて選択されることができる。それ故に、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層の組成は、一つ以上の酸化物を堆積させるために使用される酸化剤の選択によって操作されることができる。本開示の実施例によると、少なくとも二つの異なる酸化剤は、インジウム前駆体と反応して酸化インジウムを形成する第一の酸化剤と、亜鉛前駆体と反応して酸化亜鉛を形成する第二の酸化剤と、ガリウム前駆体と反応して酸化ガリウムを形成する第三の酸化剤とのうちの少なくとも二つが異なるように、プロセスモジュール内の反応チャンバーのうちの一つ以上に提供されている。他の場合において、第一、第二および/または第三の酸化剤は、同じ酸化剤とすることができる。追加的に、または代替的に、アルキルアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、アルコール、tert-ブタノールなど)、カルボン酸、ケトン、アルデヒド、および/またはベータ-ジケトンなどのインヒビターを堆積サイクル中に使用して、一つ以上の酸化物の所望の厚さ/サイクルを得ることができる。追加的に、または代替的に、反応チャンバーまたはサセプターの温度を制御して、様々な酸化物層の所望の堆積速度/サイクルおよび/または組成を得ることができる。
【0050】
一部の実施例によると、特に熱堆積プロセス(例えば、反応物質としてオゾンを使用する)の場合で、層を堆積させる工程の順序は、GaO、ZnO、InOの順とすることができる。堆積のこの順序は、酸化インジウムガリウム亜鉛が覆う特徴(下記のアスペクト比を有する特徴など)のステップカバレッジにおいて、著しい改善を示した。例えば、GaO、InO、およびZnOの堆積順序に比べ、GaO、ZnO、およびInOの堆積順序を使用すると、熱的に堆積された酸化インジウムガリウム亜鉛のステップカバレッジの約80%~約95%の改善が観察された。ステップカバレッジの改善に加えて、GaO、ZnO、およびInOの堆積順序は、特徴内に形成された酸化インジウムガリウム亜鉛層の組成均一性を改善すると考えられる。特徴(例えば、トレンチ)の例示的なアスペクト比は、10、20、25、30、または50よりも大きく、アスペクト比は追加的に、または代替的に、200未満、または100未満、または75未満、または50未満とすることができる。
【0051】
本開示のさらなる実施例によると、プロセスモジュール102~108内の反応チャンバー(例えば、RC4)は、堆積前処理を実行するように構成されている。堆積前処理は、遠隔プラズマプロセスおよび直接プラズマプロセスのうちの一つ以上を含むことができる。これらの場合において、H、O、フォーミングガス(NおよびH)、オゾン、UV技術ガス、NH、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体などのガスを使用してプラズマを形成することができる。追加的に、または代替的に、反応チャンバー(例えば、RC4)は、堆積後処理を実行するように構成されることができる。堆積後処理は、遠隔プラズマプロセスおよび直接プラズマプロセスのうちの一つ以上を含む。これらの場合において、アニールガス、プラズマ高密度化ガス、酸化もしくは還元ガス、または窒化ガスなどのガスを使用してプラズマを形成することができる。追加的に、または代替的に、上述の通り、プロセスモジュール102~108の第一の反応チャンバーRC1、第二の反応チャンバーRC2、および第三の反応チャンバーRC3のうちの一つ以上は、例えば上述の技術を使用して、基板の表面上の堆積前処理と、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層の堆積後処理とのうちの一つ以上を実行するようにさらに構成されることができる。
【0052】
本開示のさらなる実施例によると、少なくとも一つのプロセスモジュール102~108は、酸化アルミニウム、酸化スズ、または酸化チタンなどの別の金属または金属酸化物を含む層を堆積させるように構成された第四の反応チャンバーRC4を含む。
【0053】
本開示のさらなる実施例によると、プロセスモジュール内の各反応チャンバーRC1~RC4(例えば、各モジュール内のサセプター)は、例えばコントローラ112を使用して、独立して制御されることができる。例えば、第一の反応チャンバー内の温度は100~400℃とすることができ、第二の反応チャンバー内の温度は75~450℃とすることができ、第三の反応チャンバー内の温度は50~500℃とすることができる。温度を制御することによって、各反応チャンバー内のサイクル当たりの成長速度を制御することができる。
【0054】
本開示の追加の実施例によると、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成する方法が提供されている。例示的な方法は、プロセスモジュール(例えば、プロセスモジュール102)を提供することと、プロセスモジュールの第一の反応チャンバー内で基板の表面上にInOを含む層を形成することと、プロセスモジュールの第二の反応チャンバー内で基板の表面上にGaOを含む層を形成することと、プロセスモジュールの第三の反応チャンバー内で基板の表面上にZnOを含む層を形成することとを含む。InOを含む層、GaOを含む層、およびZnOを含む層は、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を形成することができる。例示的な方法は、プロセスモジュールの第四の反応チャンバー内で追加の金属酸化物を形成する工程をさらに含むことができる。追加の金属酸化物は、例えば酸化アルミニウム、酸化スズ、または酸化チタンのうちの一つ以上を含むことができる。一部の場合において、層を形成する工程の順序は上述の通り、すなわちGaO、ZnO、次いでInOとすることができる。
【0055】
さらなる実施例によると、方法は、基板の表面上の堆積前処理と、プロセスモジュールの(例えば、第四の)反応チャンバー内の酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層の堆積後処理とのうちの一つ以上を実行する工程を含むことができる。
【0056】
堆積前処理工程は、例えば炭素などの汚染物を基板の表面から除去するために使用されることができる。堆積前処理工程は、熱プロセスおよび/またはプラズマプロセスを含むことができる。本開示の実施例によると、堆積前処理は、還元ガスに基板を曝露することを含む。例示的な還元ガスは、水素、アンモニア、ヒドラジン、またはヒドラジン誘導体を含む。一部の場合において、反応性種は、還元ガスを使用して、例えば直接および/または遠隔プラズマを使用して形成される。
【0057】
堆積後処理は、例えば酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層の特性を調整するために使用されることができる。例示的な堆積後処理工程は、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層のプラズマ処理を含む。プラズマは、直接プラズマおよび/または遠隔プラズマを含むことができる。一部の場合において、堆積後処理は、低周波数(例えば、約700Hzなど)の(例えば、直接)プラズマプロセスおよび遠隔プラズマプロセスを含む。直接および/または遠隔プラズマを形成するために使用されるガス(複数可)は酸素、窒素、水素、アンモニア、ヒドラジン、またはヒドラジン誘導体を含む。例として、堆積後処理は、一つ以上の窒素含有ガス(例えば、窒素、アンモニア、ヒドラジン、もしくはヒドラジン誘導体)、および/または一つ以上の酸素含有ガス(例えば、水、オゾン、アルコール、過酸化物、H、酸素プラズマ、水素プラズマ、もしくはインサイチュ-OHラジカル)を使用して形成されたオゾンに酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を曝露することを含むことができる。このような場合、オゾンを形成するために使用される窒素含有ガスの量は、オゾンに酸化インジウムガリウム亜鉛を含む層を曝露する工程中に操作されることができる。
【0058】
本開示のさらに追加の実施例によると、方法は、基板の表面に一つ以上の前駆体を非対称的または不均一に提供することを含むことができる。例えば、方法は、Inを含む第一の前駆体、Gaを含む第二の前駆体、およびZnを含む第三の前駆体のうちの一つ以上を、一つ以上の反応チャンバー(例えば、RC1~RC4)内で基板の中心から基板の縁まで不均一に提供することを含むことができる。
【0059】
本開示のさらなる実施例によると、二つ以上の(例えば、In、Ga、Zn、Al)酸化物層、またはこのような酸化物のうちの二つ以上を含む層を、単一の反応チャンバー内で形成することができる。これらの場合において、方法は、複数の反応チャンバーを含むプロセスモジュールを提供することと、二つ以上の前駆体(例えば、In、Ga、Zn、Al)を、第一のプロセスモジュール内の第一の反応チャンバーに提供することであって、金属前駆体が、インジウム前駆体、ガリウム前駆体、亜鉛前駆体、およびアルミニウム前駆体から成る群から選択される、提供することと、酸化剤を第一の反応チャンバーに提供して、In、Ga、Zn、およびAlのうちの少なくとも二つを含む酸化物を形成することとを含むことができる。
【0060】
本明細書に記載の例示的な方法は、前駆体が第一の反応チャンバーに入る前に、前駆体のうちの一つ以上について分量制御の工程を含むことができる。分量制御は、例えばパルス時間および密度を制御するための高速スイッチングバルブを使用して実行されることができる。
【0061】
本開示の例示的な実施形態が本明細書に記載されているものの、本開示はそれに限定されないことが理解されるべきである。例えば、反応器、反応器システム、および方法が様々な特定の構成に関連して説明されているものの、本開示は必ずしもこれらの実施例に限定されない。実際、別途記載がない限り、本明細書に記載の様々な反応器、システム、および方法の特徴および構成要素は交換されることができる。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の反応器、システム、および方法の様々な修正、変形、および強化を行うことができる。
【0062】
本開示の主題は、本明細書に開示された様々なシステム、アセンブリ、反応器、構成要素、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作、および/または特性のすべての新規かつ非自明な組み合わせおよび副次的な組み合わせ、ならびにそれらの任意のおよびすべての均等物を含む。
図1
図2
図3
【外国語明細書】