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  • 特開-読取装置、及び、画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019324
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】読取装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20230202BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230202BHJP
   H04N 1/06 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
H04N1/04 106
B41J2/01 305
B41J2/01 301
H04N1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123977
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】山本 大暉
(72)【発明者】
【氏名】徳永 裕介
(72)【発明者】
【氏名】前山 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】秦 輝鮮
【テーマコード(参考)】
2C056
5C072
【Fターム(参考)】
2C056HA29
2C056HA58
2C056HA60
5C072AA01
5C072BA07
5C072BA13
5C072CA10
5C072DA21
5C072DA23
5C072EA04
5C072FB18
5C072JA08
5C072LA15
5C072NA01
5C072NA07
5C072RA02
5C072RA16
5C072UA01
5C072XA04
(57)【要約】
【課題】読取部や基準板を破損しにくくする。
【解決手段】移動機構221~223(移動手段)による読取部210の読取位置(又は、離間位置)から離間位置(又は、読取位置)への移動に連動して、基準板230が読取部210の側面210bに対向する第2位置(又は、読取部210の読取面210aに対向する第1位置)から第1位置(又は、第2位置)に軸部231を中心に回動するように構成されている。そして、読取部210は、基準板230が軸部231を中心に回動するときに基準板230に当接して読取部210と基準板230との離間距離を保つためのカムフォロワ211(当接部材)が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの表面に形成された画像を、読取位置に位置した状態で読み取る読取部と、
前記読取部を、前記読取位置と、前記読取位置から離れた離間位置と、の間で移動させる移動手段と、
前記読取部の読取面に対向する第1位置に位置した状態で、前記読取部によって読み取りをおこなうときの基準値を取得するための基準板と、
を備え、
前記移動手段による前記読取部の、前記読取位置から前記離間位置への移動、又は、前記離間位置から前記読取位置への移動、に連動して、前記基準板が、前記読取部の側面に対向する第2位置から前記第1位置、又は、前記第1位置から前記第2位置、に軸部を中心に回動するように構成され、
前記読取部は、前記基準板が前記軸部を中心に回動するときに前記基準板に当接して前記読取部と前記基準板との離間距離を保つための当接部材を具備したことを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記当接部材は、前記基準板が前記第1位置に位置している状態では前記基準板に当接しないことを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記当接部材は、前記読取部において前記読取面と前記側面とが交わる角部に設置されたカムフォロワであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記基準板は、前記第1位置に位置した状態で前記読取部に接触して前記読取面との対向距離を一定に保つための複数の突起部を具備したことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の読取装置。
【請求項5】
前記複数の突起部は、3つの突起部であって前記基準板の面内において3角形を描くように配置されるとともに、前記基準板において前記読取部に読み取られる被読取面の領域外に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の読取装置。
【請求項6】
前記軸部と、前記軸部を回動可能に保持する穴部と、の間にガタが形成されたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の読取装置。
【請求項7】
前記基準板を前記読取部に近づくように付勢する付勢部材を備えたことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の読取装置。
【請求項8】
前記当接部材は、前記基準板において前記読取部に読み取られる被読取面の領域外で前記基準板に当接することを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の読取装置。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれかに記載の読取装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
シートを所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって前記搬送方向に搬送されるシートの表面に液滴を吐出して画像を形成する記録ヘッドと、
を備え、
前記読取装置は、前記記録ヘッドに対して前記搬送方向の下流側に配置されたことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シートの表面に形成された画像を読み取る読取装置と、それを備えた画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェットプリンタなどの画像形成装置において、シート(記録媒体)の表面に形成された画像を読み取る読取装置(画像読取手段)が設置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このような読取装置は、所定のタイミングで、その対向位置に白色基準板などの基準板(基準部材)を移動させて、読取部のキャリブレーションをおこなっている。
【0003】
一方、特許文献1には、基準板を、読取部の側面や読取面に沿って回動させる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、基準板が読取部に摺接して、読取部や基準板の被読取面が破損してしまい、読取部のキャリブレーションを良好におこなえなくなってしまう不具合などが生じる可能性があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、読取部や基準板が破損しにくい、読取装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における読取装置は、シートの表面に形成された画像を、読取位置に位置した状態で読み取る読取部と、前記読取部を、前記読取位置と、前記読取位置から離れた離間位置と、の間で移動させる移動手段と、前記読取部の読取面に対向する第1位置に位置した状態で、前記読取部によって読み取りをおこなうときの基準値を取得するための基準板と、を備え、前記移動手段による前記読取部の、前記読取位置から前記離間位置への移動、又は、前記離間位置から前記読取位置への移動、に連動して、前記基準板が、前記読取部の側面に対向する第2位置から前記第1位置、又は、前記第1位置から前記第2位置、に軸部を中心に回動するように構成され、前記読取部は、前記基準板が前記軸部を中心に回動するときに前記基準板に当接して前記読取部と前記基準板との離間距離を保つための当接部材を具備したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、読取部や基準板が破損しにくい、読取装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成システムを示す全体図である。
図2】画像形成装置における読取装置の動作を示す図である。
図3】読取装置における読取部と基準板との動作を示す図である。
図4】基準板がヒンジ部に保持された状態を示す斜視図である。
図5】基準板を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1にて、画像形成システム1の全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、画像形成システム1は、シート供給装置11と、前処理装置12と、画像形成装置13と、乾燥装置14と、冷却装置15と、反転装置16と、シート排出装置17と、搬送装置20と、制御部50と、操作部53と、が設けられている。
シート供給装置11には、シートPを積載するシートカセット111と、シートカセット111からシートPを給送する給送装置112と、給送されたシートPを搬送する複数の搬送ローラ対113と、が設けられている。シートカセット111に積載された複数のシートPは、給送装置112によって1枚ずつ分離された後、搬送ローラ対113によって前処理装置12へ送られる。
【0011】
前処理装置12は、画像形成前のシートPに所定の前処理をおこなう装置である。具体的に、前処理装置12は、インクと反応して滲みを抑制する薬剤などの処理液を塗布する処理液塗布装置120が設けられている。また、前処理装置12には、シート供給装置11から搬送されてきたシートPを処理液塗布装置120に搬送するための第1の搬送経路121と、処理液塗布装置120を経由したシートPを表裏反転させて再び処理液塗布装置120に搬送するための第2の搬送経路122と、処理液塗布装置120を経由せずにシートPを画像形成装置13へ搬送するための第3の搬送経路123と、が設けられている。また、これらの搬送経路121~123には、シートPを搬送する複数の搬送ローラ対124と、搬送されるシートを検知する複数のシートセンサ125a~125cと、が設けられている。
【0012】
シートPに処理液を塗布する場合は、第1の搬送経路121を通してシートPを処理液塗布装置120へ搬送する。このとき、シートPは第1の搬送経路121上に設けられたシートセンサ125aによって検知されることで一旦停止され、その後、所定のタイミングで処理液塗布装置120へ搬送される。そして、処理液塗布装置120によってシートPの片面に処理液が塗布された後、シートは画像形成装置13へと搬送される。
また、両面に処理液を塗布する場合は、上記片面に処理液が塗布されたシートPを第2の搬送経路122へ搬送する。第2の搬送経路122ではシートPがスイッチバックされることで、シートPが表裏反転した状態で処理液塗布装置120へ再送される。このとき、シートPは第2の搬送経路122上に設けられたシートセンサ125bによって検知されることで一旦停止され、その後、所定のタイミングで処理液塗布装置120へ搬送される。そして、処理液塗布装置120によってシートPの裏面に処理液が塗布され、シートは画像形成装置13へと搬送される。
また、処理液を塗布せずにシートPを画像形成装置13へ搬送する場合は、第3の搬送経路123を通してシートPを搬送する。この場合、シートPは第3の搬送経路123上に設けられたシートセンサ125cによって検知されることで一旦停止され、その後に所定のタイミングで画像形成装置13へ搬送される。
【0013】
画像形成装置13には、シートPに液滴としてのインクを吐出して画像を形成する画像形成部130(インク吐出部)と、シートPを搬送する搬送手段としての、第1の渡し胴131、搬送ドラム132、第2の渡し胴133、複数の搬送ローラ対134と、が設けられている。
画像形成部130は、複数色のインクを吐出してシートPに画像を形成するものであり、複数色に対応した複数の記録ヘッド135(液体吐出ヘッド)が設けられている。
記録ヘッド135は、吐出孔(ノズル)から液体を吐出・噴射する機能部品である。図2を参照して、本実施の形態では、搬送ドラム132の回転方向(図1図2の反時計方向であって、シートPの搬送方向である。)に沿うように、上流側から、イエローのインクを吐出する記録ヘッド135Y、マゼンタのインクを吐出する記録ヘッド135M、シアンのインクを吐出する記録ヘッド135C、ブラックのインクを吐出する記録ヘッド135K、が並設されている。
4色の記録ヘッド135Y、135M、135C、135Kは、画像情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。そして、記録ヘッド135Y、135M、135C、135Kによって、搬送ドラム132によって搬送されるシートPの表面に各色のインクが重ねて吐出されて、シートPの表面に所望のカラー画像が形成されることになる。
なお、本実施の形態では、4色の記録ヘッド135Y、135M、135C、135Kを設置したが、記録ヘッドの数や色はこれに限定されることなく、例えば、6色の記録ヘッドを設置することもできるし、白色、金色、銀色などの特殊な色のインクを吐出する記録ヘッドを設置することもできる。
【0014】
前処理装置12から搬送されてきたシートPは、搬送ローラ対134によって搬送され、第1の渡し胴131、搬送ドラム132、第2の渡し胴133の順で受け渡されていく。第1の渡し胴131、搬送ドラム132、第2の渡し胴133は、いずれも軸方向に長いシリンダ状に構成されている。
第1、第2の渡し胴131、133や搬送ドラム132の周面には、それぞれ、シートPの先端を把持して受け取るグリッパ30、136、137が設けられている。グリッパ30、136、137は、シートPの先端を把持する把持部であり、シートPを受け取る受取部でもある。
ここで、本実施の形態における画像形成装置13(画像形成システム1)には、図1図2に示すように、搬送手段としての搬送ドラム132に対向する位置であって、記録ヘッド135(135Y、135M、135C、135K)の下流側の位置に、読取装置200が設置されている。この読取装置200は、シートPの表面に形成された画像を読み取るためのものである。なお、読取装置200については、後で図2図5等を用いて、さらに詳しく説明する。
【0015】
その後、画像形成装置13で画像が形成されたシートPは、搬送ベルト140によって乾燥装置14に搬送される。
そして、乾燥装置14に搬送されたシートPは、ドライヤ部141によって、その表面の画像が乾燥される。そして、画像が乾燥されたシートPは、搬送経路152を通って冷却装置15に搬送される。
そして、冷却装置15に搬送されたシートPは、冷却部151によって、その表面の画像が冷却される。そして、画像が冷却されたシートPは、搬送経路163(反転装置16)を通ってシート排出装置17に搬送される。そして、最終的に、シート排出装置17の排出トレイ172(又は、大容量トレイ171)にスタックされることになる。
こうして、画像形成システム1における一連の動作が完了することになる。
【0016】
なお、両面プリントモードが選択されている場合には、シートPの両面に画像を形成する必要があるため、反転装置16に搬送されたシートP(オモテ面の画像が乾燥された後のシートである。)は、反転装置16で搬送方向が逆転されて反転された後に、両面経路162に搬送されて、再び画像形成装置13に搬送されることになる。そして、画像形成装置13で、もう一方の面(ウラ面)にも所望の画像が形成されたシートPは、乾燥装置14、冷却装置15、反転装置16を経由して、シート排出装置17の排出トレイ172(又は、大容量トレイ171)にスタックされることになる。
【0017】
以下、図2図4等を用いて、本実施の形態における画像形成装置13(画像形成システム1)において、特徴的な読取装置200について詳しく説明する。
先に図1等を用いて説明したように、本実施の形態における画像形成装置13には、シートPを所定の搬送方向に搬送する搬送手段としての搬送ドラム132や、搬送ドラム132(搬送手段)によって搬送方向に搬送されるシートPの表面にインク(液滴)を吐出して画像を形成する記録ヘッド135Y、135M、135C、135K、などが設けられている。
そして、読取装置200は、記録ヘッド135Y、135M、135C、135Kに対して搬送方向の下流側に配置されている。この読取装置200は、シートPの表面に形成された画像を読み取るためのものである。そして、読取装置200で読み取った画像に基づいて、記録ヘッド135Y、135M、135C、135Kなどが調整制御されて、シートPの表面に形成される画像(例えば、色調、色ズレ、倍率などである。)が補正されることになる。
【0018】
図2図4を参照して、本実施の形態における読取装置200は、読取部210、ベース部220、移動手段としての移動機構221~223、基準板230、付勢部材としての引張スプリング240、などで構成されている。
【0019】
読取部210は、シートPの表面に形成された画像を、読取位置(図2(A)、図3(A)に示す位置である。)に位置した状態で読み取るスキャナである。
具体的に、図2(A)、図3(A)に示すように、読取部210(スキャナ)は、読取位置に位置した状態であるとき、その読取面210a(図2(A)参照)が搬送ドラム132に近接した状態になる。そして、搬送ドラム132と読取部210(読取面210a)との間を通過するシートPの表面に形成された画像を光学的に読み取ることになる。
また、読取部210は、画像形成装置13に固定設置されたベース部220に対して、搬送ドラム132に近接・離間する方向(図2図3の左右方向である。)に移動可能に保持されている。
【0020】
移動機構221~223は、読取部210を、図2(A)、図3(A)に示す読取位置と、図2(B)、図3(B)に示す離間位置(読取位置から離れた位置である。)と、の間で移動させる移動手段として機能するものである。
具体的に、移動機構(移動手段)は、モータ221、送りネジ222、スライドレール223、などで構成されている。モータ221は、送りネジ222を正逆双方向に回転駆動可能なモータであって、ベース部220(画像形成装置13に固定設置されている。)に固定設置されている。送りネジ222は、読取部210の上面から突出する第1突出部210cに形成された雌ネジ部に螺合している。スライドレール223は、ベース部220に固定設置されていて、読取部210の上面から突出する第2突出部210dに形成された穴部にスライド移動可能に嵌合している。送りネジ222とスライドレール223とは、いずれも、図3の左右方向に延びるように形成されている。
このように構成された移動機構221~223(移動手段)によって、制御部による制御により、モータ221が正方向に回転すると、読取部210が読取位置(図3(A)の位置である。)から離間位置(図3(B)の位置である。)に移動して、モータ221が逆方向に回転すると、読取部210が離間位置(図3(B)の位置である。)から読取位置(図3(A)の位置である。)に移動することになる。
【0021】
基準板230は、読取部210の読取面210aに対向する第1位置(図3(B)に示す位置であって、閉位置である。)に位置した状態で、読取部210によって読み取りをおこなうときの基準値を取得するためのものである。
詳しくは、図5を参照して、基準板230は、略矩形状の金属板であって、その表面の一部に被読取面230a(読取部210によって直接的に読み取られる部分であって、本実施の形態では白色の塗装が施されている。)が形成されている。そして、所定のタイミング(例えば、画像形成動作が開始される前のウォーミングアップ時である。)で、図3(B)に示すように、読取部210の読取面210aに基準板230(白色基準板)が対向した状態で、読取部210のキャリブレーションがおこなわれることになる。
なお、基準板230は、軸部231を中心に回動可能にベース部220に保持されているが、これについては後で詳しく説明する。
【0022】
また、引張スプリング240は、基準板230を読取部210に近づくように付勢する付勢部材として機能するものである。
具体的に、引張スプリング240は、一端側のフック部が基準板230の引掛部230c(軸部231から離れた位置に形成されていて、図3図5参照)に接続されて、他端側が曲げ部224(ベース部220から突出するように曲げ加工されて部分であって、図3参照)の切欠き部に接続されている。そして、引張スプリング240は、基準板230が軸部231を中心に図3の時計方向に回転するように、基準板230を付勢する。基準板230が図3(A)に示す第2位置に位置している状態で、引掛部230cに対して曲げ部224の切欠き部が図3(A)の左下に配置されていて、引張スプリング240は、基準板230を軸部231を中心に図3(A)の時計方向に回転させる付勢力を作用させている。これにより、後述するように、基準板230が軸部231を中心に回動するときに基準板230のカムフォロワ211への当接が促進されて、基準板230が第1位置に位置した状態での複数の突起部230bの読取部210への当接が促進されることになる。
【0023】
ここで、本実施の形態における読取装置200は、移動機構221~223(移動手段)による読取部210の図3(A)に示す読取位置(又は、離間位置)から図3(B)に示す離間位置(又は、読取位置)への移動に連動して、基準板230が、読取部210の側面210b(非読取面である。)に対向する第2位置(又は、第1位置)から第1位置(又は、第2位置)に、軸部231を中心に回動するように構成されている。
すなわち、図3(B)に示すように、読取部210が読取位置から離間位置に向けて白矢印方向に移動すると、引張スプリング240の付勢によって、基準板230が図3(A)に示す第2位置(開位置)から図3(B)に示す第1位置(閉位置)に向けて軸部231を中心に時計方向(図3(B)の矢印方向)に回動する。
これに対して、図3(A)に示すように、読取部210が離間位置から読取位置に向けて移動すると、引張スプリング240の付勢に抗するように、基準板230が図3(B)に示す第1位置から図3(A)に示す第2位置に向けて軸部231を中心に反時計方向に回動する。このとき、第1位置に位置した基準板230は、引張スプリング240の付勢に抗するように、読取部210(読取面210a)に押動されるのではなくて、後述するカムフォロワ211に押動されることになるので、基準板230と読取部210とが直接的に接触することはない。
【0024】
さらに具体的に、図4を参照して、基準板230は、ヒンジ部232の第1部材232aに固定されている。ヒンジ部232の第2部材232bは、ベース部220に固定されている。第1部材232aと第2部材232bとの穴部232cには、軸部231が挿通されている。図示は省略するが、軸部231は、ヒンジ部232から脱落しないように、軸方向両端部(ヒンジ部232の外側両端部である。)に止め輪(穴部232の穴径よりも大きな外径で形成されている。)が設置されている。
このような構成により、基準板230は、軸部231を中心に回動することになる。
なお、簡単のため、図2図3における軸部231と基準板230との位置関係と、図4における軸部231と基準板230との位置関係と、が異なるように図示しているが、いずれの位置関係であっても、軸部231を中心に基準板230が回動するものであれば良い。
【0025】
そして、図3(A)(及び、図2(A))に示すように、読取部210が読取位置に位置して、基準板230が読取面210aを開放した状態で、読取面210aに対向する位置を通過するシートPの画像が読取部210によって読み取られることになる。そして、その結果に基づいて、画像形成に関連する各部が調整制御されることになる。
これに対して、図3(B)(及び、図2(B))に示すように、読取部210が離間位置に位置して、基準板230が読取面210aを閉鎖した状態で、読取面210aに対向する基準板230(被読取面230a)が読取部210によって読み取られることになる。そして、その結果に基づいて、読取部210のキャリブレーションがおこなわれることになる。
なお、読取部210のキャリブレーションは、公知のものと同様の方法でおこなうことができ、例えば、白色の被読取面230aを読み取ったときの読取部210の出力が所定値になるように読取部210の光量調整などをおこなう。
【0026】
このように、本実施の形態にける読取装置200は、基準板230を読取部210の側面210bや読取面210aに沿って軸部231を中心に回動可能に構成しているため、基準板をシート搬送方向に沿うようにスライド移動可能に構成する場合に比べて、基準板230を移動させるためのスペース(特に、シート搬送方向のスペースである。)が省スペース化される。特に、搬送ドラム132の周りには複数の記録ヘッド135など複数の部材が配置されていて、シート搬送方向のスペースは制限されるため、本実施の形態の構成は有用になる。
【0027】
ここで、図3に示すように、本実施の形態において、読取部210は、基準板230が軸部231を中心に回動するときに、基準板230に当接して読取部210と基準板230との離間距離(隙間)を保つための当接部材としてのカムフォロワ211(回転体)が設けられている。
これにより、基準板230を読取部210の側面210bや読取面210aに沿って回動させるように構成しても、基準板230が読取部210に摺接して読取部210や基準板230が破損してしまうような不具合が生じにくくなる。したがって、経時においても読取部210のキャリブレーションを安定的に良好におこなうことが可能になる。
【0028】
詳しくは、カムフォロワ211は、読取部210において読取面210aと側面210bとが交わる角部に、回転可能に設置されている。具体的に、カムフォロワ211は、上述した角部において、読取面210aからも側面210bからも突出するように配置されている。
このカムフォロワ211は、図3(A)に示すように、読取部210が読取位置に位置しているとき、基準板230の先端部(軸部231から最も離れた位置である。)の近傍に当接している。
そして、読取部210が図3(A)の読取位置から図3(B)の離間位置に向けて移動を開始すると、基準板230は、略円筒状のカムフォロワ211の周面に当接しながら軸部231を中心に回動していく。このとき、基準板230と読取部210との間には必ずカムフォロワ211が介在されることになるため、基準板230と読取部210との離間距離が一定に保たれて、基準板230と読取部210とが接触することはない。また、カムフォロワ211は、基準板230との摩擦抵抗によって回転することになるため、基準板230やカムフォロワ211の摩耗が軽減されることになる。
そして、読取部210が図3(B)の離間位置に達する直前のタイミングで、カムフォロワ211と基準板230との当接が解除されて、その後に読取部210が図3(B)の離間位置に達するとともに基準板230が第1位置に達することになる。すなわち、カムフォロワ211は、基準板230の第2位置(回動開始)から第1位置(回動終了)までの全過程ではなくて一定の過程だけ基準板230に当接することになる。
なお、読取部210が図3(B)の離間位置から図3(A)の読取位置に向けて移動するときには、上述したものと逆の動作がおこなわれることになる。
【0029】
このように、本実施の形態において、カムフォロワ211(当接部材)は、基準板230が図3(B)の第1位置に位置している状態では基準板230に当接しないように、読取部210の離間位置や、カムフォロワ211の形状や配置や、基準板230の回動軌跡などが設定されている。
そして、図3(B)に示すように、第1位置に位置した状態の基準板230は、基準板230に設けた複数の突起部230bが読取部210(読取面210a)に突き当たることで、読取部210(読取面210a)に対する基準板230(被読取面230a)の対向距離が定められることになる。
【0030】
すなわち、本実施の形態において、基準板230は、第1位置に位置した状態で読取部210に接触して読取面210aとの対向距離を一定に保つための複数の突起部230bが設けられている。
これにより、基準板230を用いた読取部210のキャリブレーションを安定的に精度良くおこなうことができる。
【0031】
具体的に、図5に示すように、この複数の突起部230bは、3つの突起部230bであって基準板230の面内において3角形を描くように配置されるとともに、基準板230において読取部210に読み取られる被読取面230aの領域外に配置されている。
このように、3角形を描くように配置された3つの突起部230bを用いることで、読取部210(読取面210a)に対して基準板230を3点支持することができるため、複数の突起部230bを一直線上に配置する場合に比べて、読取部210に対して基準板230をバランス良く位置決めすることができる。
また、被読取面230aの領域外に複数の突起部230bを配置しているため、複数の突起部230bが読取部210による被読取面230aの読み取りに支障をきたすことはない。
【0032】
また、図5を参照して、本実施の形態では、軸部231と、軸部231を回動可能に保持する穴部232c(ヒンジ部232の穴部である。)と、の間にガタ(隙間)が形成されている。
すなわち、軸部231は、穴部232cに対して、ガタなくタイトに挿入されているのではなくて、隙間をもってルーズに挿入されている。
これにより、先に説明したように、基準板230が図3(B)の第1位置に達したときに、基準板230に当接していたカムフォロワ211が基準板230から離間して、3つの突起部230bによって基準板230が読取面210aに対して位置決めされる動作がスムーズにおこなわれることになる。
【0033】
また、図5を参照して、カムフォロワ211(当接部材)は、基準板230において読取部210に読み取られる被読取面230aの領域外(図5における領域Mである。)で基準板230に当接するように、その位置などが定められている。
具体的に、一対のカムフォロワ211が、基準板230の幅方向両端部に当接可能に配置されている。そして、一対のカムフォロワ211は、基準板230に回動により、基準板230に対して図5の領域Mの下端から上端に至る範囲内で相対的に移動しながら当接することになる。
このように構成することで、カムフォロワ211との接触によって被読取面230aが擦れてしまうような不具合が抑止される。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態における読取装置200(画像形成装置13)は、シートPの表面に形成された画像を読取位置に位置した状態で読み取る読取部210と、読取部210を読取位置と読取位置から離れた離間位置との間で移動させる移動機構221~223(移動手段)と、読取部210の読取面210aに対向する第1位置に位置した状態で読取部210によって読み取りをおこなうときの基準値を取得するための基準板230と、が設けられている。そして、移動機構221~223による読取部210の読取位置(又は、離間位置)から離間位置(又は、読取位置)への移動に連動して、基準板230が読取部210の側面210bに対向する第2位置(又は、第1位置)から第1位置(又は、第2位置)に軸部231を中心に回動するように構成されている。そして、読取部210は、基準板230が軸部231を中心に回動するときに基準板230に当接して読取部210と基準板230との離間距離を保つためのカムフォロワ211(当接部材)が設けられている。
これにより、読取部210や基準板230を破損しにくくすることができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、画像形成システム1におけるインクジェットプリンタとしての画像形成装置13に設置される読取装置200に対して本発明を適用したが、本発明が適用される読取装置はこれに限定されることなく、例えば、画像形成システムに設置されない画像形成装置に設置される読取装置や、インクジェットプリンタ以外の電子写真方式の画像形成装置や孔版印刷機に設置される読取装置や、画像形成装置以外の機器の設置される読取装置や、いずれの機器にも設置されず独立した装置としての読み取り装置などに対しても本発明を適用することができる。
そして、そのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0036】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0037】
なお、本願明細書等において、「シート」とは、用紙に限定されることなく、シート状の記録媒体のすべて、例えば、コート紙、ラベル紙、OHPシート、金属シート、等も含むものと定義する。
【0038】
1 画像形成システム、
13 画像形成装置(インクジェットプリンタ)、
132 搬送ドラム(搬送手段)、
135、135Y、135M、135C、135K 記録ヘッド、
200 読取装置、
210 読取部(スキャナ)、
210a 読取面、 210b 側面(非読取面)、
211 カムフォロワ(当接部材)、
220 ベース部、
221 モータ(移動手段)、
222 送りネジ(移動手段)、
230 基準板(基準部材)、
230a 被読取面、
230b 突起部、
230c 引掛部、
231 軸部(支軸)、
232 ヒンジ部、
240 引張スプリング(付勢部材)、
P シート(記録媒体)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】WO2017/169507(特に、図8A~C)
図1
図2
図3
図4
図5