(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019634
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】情報処理システム、有識者検索方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/00 20120101AFI20230202BHJP
【FI】
G06Q50/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021124531
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】森田 暁人
(72)【発明者】
【氏名】小河 亮
(72)【発明者】
【氏名】大村 洋平
(72)【発明者】
【氏名】三橋 正寛
(72)【発明者】
【氏名】前原 光志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スキルが抽出されるメッセージに付帯するポイントに応じてスキルに対応付けられたスコアを更新する情報処理システム、有識者検索方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】通信端末と通信し、スコアに基づいて処理を行う情報処理システム100であって、第一の通信端末から受信ユーザーと受信ユーザーに付与するポイントを指定したメッセージを受信する通信部を有する有識者検索装置11と、メッセージを1つ以上のスキルに変換する変換部及びポイントに応じて受信ユーザーのスキルに対応付けられたスコアを更新する更新部を有する管理装置12と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末と通信し、スコアに基づいて処理を行う情報処理システムであって、
第一の通信端末から受信ユーザーと前記受信ユーザーに付与するポイントを指定したメッセージを受信する通信部と、
前記メッセージを1つ以上のスキルに変換する変換部と、
前記ポイントに応じて前記受信ユーザーの前記スキルに対応付けられた前記スコアを更新する更新部と、
を有する情報処理システム。
【請求項2】
第二の通信端末から情報を要求する旨を受信した場合、前記情報を要求する旨から変換された前記スキルに対応付けられている前記スコアに基づいて前記情報を回答する有識者を決定する検索部、を有する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記スキルには前記受信ユーザーに関して複数の能力が対応付けられており、
前記更新部は、前記ポイントに応じて、前記受信ユーザーの前記スキルに対応付けられた能力ごとに前記スコアを更新することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記複数の能力は、前記スキルに関する専門性と貢献力であり、
前記更新部は、前記受信ユーザーの前記スキルに対応付けられた前記専門性のスコアには一定の値を加算し、前記受信ユーザーの前記スキルに対応付けられた前記貢献力のスコアには前記ポイントに応じた値を加算することを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記スキルには前記メッセージを送信する送信ユーザーに関して複数の能力が対応付けられており、
前記更新部は、前記ポイントに応じて、前記受信ユーザーの前記スキルに対応付けられた能力ごとに前記スコアを更新することを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記複数の能力は、前記スキルに関する専門性と発信力であり、
前記更新部は、前記送信ユーザーの前記スキルに対応付けられた前記専門性のスコアには一定の値を加算し、前記送信ユーザーの前記スキルに対応付けられた前記発信力のスコアには前記ポイントに応じた値を加算することを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記メッセージは感謝の意のメッセージであり、
前記送信ユーザーが前記メッセージに付帯するポイントが閾値超の場合にのみ、前記更新部は前記送信ユーザーの前記スキルに対応付けられた前記発信力のスコアに前記ポイントに応じた値を加算する請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記検索部は、前記情報を要求する旨から変換された前記スキルにおいて、ユーザーに対応付けられている前記専門性、前記貢献力、及び、前記発信力のスコアの合計が上位のユーザーを、前記情報を回答する有識者に決定する請求項6又は7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
通信端末と通信し、スコアに基づいて処理を行う情報処理システムが行う有識者検索方法であって、
第一の通信端末から受信ユーザーと前記受信ユーザーに付与するポイントを指定したメッセージを受信するステップと、
前記メッセージを1つ以上のスキルに変換するステップと、
前記ポイントに応じて前記受信ユーザーの前記スキルに対応付けられた前記スコアを更新するステップと、
を有する有識者検索方法。
【請求項10】
通信端末と通信し、スコアに基づいて処理を行う情報処理システムを、
第一の通信端末から受信ユーザーと前記受信ユーザーに付与するポイントを指定したメッセージを受信する通信部と、
前記メッセージを1つ以上のスキルに変換する変換部と、
前記ポイントに応じて前記受信ユーザーの前記スキルに対応付けられた前記スコアを更新する更新部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、有識者検索方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
SNS(Social Networking Service)等において、ユーザーの専門性をスキルに対応付けて登録する機能が知られている。情報処理システムがスキルを検索すれば、目的の専門性を有する有識者を検索することができる。しかしながら、専門性を示すスキルは、手動で付加するため、漏れが生じたり、過剰なスキルの付加により専門性が誇張されたりして、有識者と推薦された者がその専門性を有しているのかを正確に判断することができないという問題がある。
【0003】
そこで、ユーザーが関わった文書からスキルとなる単語を抽出し、そのスキルをユーザーの専門性と対応付けて保存する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、メッセージに付帯するポイントに応じてスキルに対応付けられたスコアが更新されていないという問題があった。メッセージに付帯するポイントが大きいほどメッセージから抽出されるスキルに対する評価が高いと考えられる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、メッセージに付帯するポイントに応じてスキルに対応付けられたスコアを更新する情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、通信端末と通信し、スコアに基づいて処理を行う情報処理システムであって、第一の通信端末から受信ユーザーと前記受信ユーザーに付与するポイントを指定したメッセージを受信する通信部と、前記メッセージを1つ以上のスキルに変換する変換部と、前記ポイントに応じて前記受信ユーザーの前記スキルに対応付けられた前記スコアを更新する更新部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
メッセージに付帯するポイントに応じてスキルに対応付けられたスコアを更新する情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】メッセージングサービスにおける発信力と貢献力の更新方法を説明する図である。
【
図3】コンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【
図4】情報処理システムが有するメッセージ処理装置、有識者検索装置、管理装置及び通信端末の機能構成例を示す図である。
【
図5】ユーザーポイント情報、メッセージ送信履歴情報の一例を示す図である。
【
図6】情報処理システムの利用形態を説明する図の一例である。
【
図7】通信端末が表示するメッセージのタイムライン画面の一例を示す図である。
【
図8】更新部が専門性スコア、発信力スコア及び貢献力スコアを更新する手順を示す一例のフローチャート図である。
【
図9】更新前の送信ユーザーと受信ユーザーのスコアテーブルの一例を示す図である。
【
図10】専門性スコアの更新後の送信ユーザーと受信ユーザーのスコアテーブルの一例を示す図である。
【
図11】発信力スコアの更新後の送信ユーザーのスコアテーブル、貢献力スコアの更新後の受信ユーザーのスコアテーブルの一例を示す図である。
【
図12】通信端末が表示する質問入力画面の一例を示す図である。
【
図13】検索部が専門性、発信力及び貢献力に基づいて有識者を検索する手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図14】検索された有識者ユーザーに関する情報が表示されるマッチング結果画面の一例を示す図である。
【
図15】メッセージの送信から質問に回答できる有識者の提案までの全体的な流れを説明するシーケンス図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、情報処理システムと情報処理システムが行う有識者検索方法について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<報酬に応じた発信力と貢献力の更新>
有識者を検索する有識者検索サービスとは別に、感謝・賞賛に関するメッセージングサービスが企業などの組織内で活用されている。有識者検索サービスとは、質問するユーザー(以下、質問ユーザーという)の質問(要求された情報)に対し知見を有していると推定される有識者を紹介し、質問ユーザーが有識者に質問するサービスである。感謝・賞賛に関するメッセージングサービスとは、日常の業務上で発生する感謝や賞賛に関するメッセージを感謝の度合いを表すポイントを付帯して個人対個人で送信できるサービスである。メッセージングサービスで送信されるメッセージには、質問に対する回答の感謝・賞賛(以下、単に感謝という)も含まれる。
【0011】
感謝の度合いを表すポイントは送信できる上限が一律に定められており(例:ユーザーひとりあたり1週間に合計100ポイント)、それぞれのメッセージに付帯するポイントの大きさをメッセージの送信ユーザーが所持するポイントの中で検討する必要がある。送信ユーザーが送信できる上限値が定められている中で、送信ユーザーがあるメッセージに大きな値のポイントを付帯している場合、送信ユーザーはその感謝に値する事象に対して(受信ユーザーに対して)、強い感謝の意を表現している。すなわち、この場合、送信ユーザーのメッセージの発信力が大きいと捉えることができる。
【0012】
また一方、大きなポイントが付帯されたメッセージを受け取った受信ユーザーは、その感謝に値した事象に対して大きな貢献をした(スキルを発揮した)と捉えることができる。
【0013】
そこで、本実施形態では、メッセージングサービスに投稿されるメッセージに対して、ユーザーの専門性とは別に、発信力と貢献力も数値化して、ユーザーごとの能力(パーソナリティスコア)として蓄積する。そして、有識者検索サービスはこのパーソナリティスコア(専門性、発信力、貢献力)を利用して有識者を推薦する。
【0014】
能力の種別について説明する。
A.「専門性」は個人の知識レベルを指す。第三者への影響は考慮されない。その知識に関して誰にも発信や貢献をしなくともそのスキルに関する知識レベルが高ければ値は高くなる。
B.「発信力」は単なる知識レベルの深度を問わず、そのスキル(後述するキーワード)に関して第三者へ情報を発信できる能力を指す。発信力は、送信ユーザーが発信したメッセージから抽出されたスキルについて、送信ユーザーが単に知識を持つだけでなく他者に提供(アウトプット)できる能力である。
C.「貢献力」は単なる知識レベルの深度を問わず、そのスキルに関して第三者へ貢献できる能力を指す。貢献力は、メッセージから抽出されたスキルについて、受信ユーザーが他者に貢献する能力である。
【0015】
図1は、メッセージングサービスにおける発信力と貢献力の更新方法を説明する図である。送信ユーザーが「XXサービスのダッシュボード開発ありがとう。」というメッセージ201を二人の受信ユーザー207,208に送信した。メッセージ201から抽出されるキーワードは、「XXサービス」「ダッシュボード」「開発」であるとする。抽出されたキーワードはスキルとして扱われる。スキルとは、ユーザーが知識、知見、情報等を有する知識分野であり、このスキルに上記3つの能力のスコアが蓄積される。以下では、スキルをキーワードという場合がある。
【0016】
まず、貢献力について説明する。送信ユーザー206の過去の平均送信ポイントは20である。今回、送信ユーザー206は受信ユーザー207に10ポイント、受信ユーザー208に40ポイントを付帯した。つまり、送信ユーザー206は、受信ユーザー207に対しては平均送信ポイントの0.5倍、受信ユーザー208に対しては平均送信ポイントの2.0倍のポイントを送信した。メッセージングサービスは、この送信ポイント倍率値209に基づいて、受信ユーザー207,208の貢献力を更新する。メッセージングサービスでは、送信ポイント倍率値を加算される貢献力スコアに変換するための「貢献力ベースポイントγ=2」が定められている。したがって、受信ユーザー207,208に付与される貢献力スコア203,204は以下のとおりである。なお、「貢献力ベースポイントγ=2」のような係数はなくてもよい。
【0017】
受信ユーザー207:送信ポイント倍率値×貢献力ベースポイントγ
=0.5×2=1.0
受信ユーザー208:送信ポイント倍率値×貢献力ベースポイントγ
=2.0×2=4
【0018】
次に、発信力について説明する。メッセージングサービスは予め倍率閾値205(例えば、1.2)を有しており、送信ポイント倍率値209が倍率閾値超の場合、送信ユーザー206の発信力を更新する。このように倍率閾値205を設けることで、送信されたメッセージの数ではなく付帯するポイントの大きさが一定以上の場合に発信力を増大できる。受信ユーザー207に対するポイントの送信ポイント倍率値は倍率閾値未満であり、受信ユーザー208に対するポイントの送信ポイント倍率値は倍率閾値超である。また、メッセージングサービスでは、送信ポイント倍率値を加算される発信力スコアに変換するための「発信力ベースポイントβ=1」が定められている。したがって、送信ユーザー206に付与される発信力スコアは以下のとおりである。
【0019】
送信ユーザー:送信ポイント倍率値×発信力ベースポイントβ
=2.0×1=2.0
【0020】
このようにして蓄積される発信力スコアと貢献力スコアは、有識者検索サービスが投稿された質問とそれに回答できる有識者のマッチングを行う際に使用される。発信力と貢献力は、質問して回答を得た質問ユーザーにより付帯されたポイントに応じて決定されるので、信頼性が高いと期待できる。有識者検索サービスは、質問内容と有識者候補のユーザーのスキルとのマッチングスコアを、質問内容に関する専門性をどれだけ持っているかに加え、メッセージを発信できる発信力と、他者への貢献力を用いて算出する。したがって、専門性に加え、質問に対して回答を発信する貢献が期待できるパーソナリティを持つ有識者と質問をマッチングさせることができる。これにより、ユーザーから質問が発信された際に、質問に対して、専門性を持っていてかつ回答を作成して送信するまでを実施できるパーソナリティを有する有識者とマッチングできる可能性を向上させることができる。
【0021】
<用語について>
メッセージに付帯するポイントは、受信ユーザーに与えられる報酬である。ポイントは給与や有給休暇などの財と交換可能でもよい。
【0022】
メッセージとは、言語その他の記号によって伝達される情報である。本実施形態では、メッセージは、ネットワーク上を送信される。メッセージは1対1での送受信だけでなく、1対多で送信されてよい。メッセージの長さや言語に制限はないものとする。
【0023】
スキルとは、ユーザーが持っている知識の分野(カテゴリ)である。本実施形態では、キーワードという用語が使用される場合がある。
【0024】
情報を要求する旨とは、あるユーザーが得たい情報を他のユーザーに要求することを言う。情報の内容は、ファイルの場所等の所在だけでなく、ユーザーの頭あの中にある知識も含む。本実施形態では、質問という用語で説明される。
【0025】
<システム構成例>
図2は、情報処理システム100の構成例を示した図である。情報処理システム100は、メッセージを転送するメッセージ処理装置10と、質問に対して回答できると思われる有識者を推薦する有識者検索装置11と、メッセージ処理装置10と有識者検索装置11とを管理する管理装置12とを有する。メッセージ処理装置10は上記のメッセージングサービスを提供し、有識者検索装置11は上記の有識者検索サービスを提供するが、本実施形態ではいずれもWebサーバである。メッセージの転送や有識者の検索等は管理装置が行う。
【0026】
図2では、メッセージングサービスと有識者検索サービスの機能に対応して、別体のメッセージ処理装置10と有識者検索装置11とが用意されているが、メッセージングサービスと有識者検索サービスは一台の情報処理装置で提供されてもよい。管理装置12についても同様であり、管理装置12は、メッセージ処理装置10又は有識者検索装置11のいずれかに統合されていてもよい。管理装置12、メッセージ処理装置10及び有識者検索装置11が一台の情報処理装置又は統合されたサービスとして提供されてもよい。
【0027】
また、逆に、メッセージ処理装置10、有識者検索装置11又は管理装置12の1つ以上はその機能を複数の情報処理装置に分散して配置されてもよい。
【0028】
メッセージ処理装置10、有識者検索装置11及び管理装置12の1つ以上は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよいし、単一の情報処理装置によって実現されてもよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される形態をいう。メッセージ処理装置10、有識者検索装置11及び管理装置12の1つ以上は、インターネット上に存在しても、オンプレミスに存在してもよい。
【0029】
メッセージ処理装置10、有識者検索装置11及び管理装置12は、ネットワーク13に接続され、ネットワーク13を介して互いに通信を行う。ネットワーク13は、LAN、WAN、インターネット、又は、電話回線の1つ以上を組み合わせて構築されている。ネットワーク13は有線、無線のいずれで構築されてもよいし、有線と無線が混在していてもよい。また、ネットワーク13には、プロキシサーバやファイアウォールなどの公知のネットワーク機器が接続されていてよい。
【0030】
また、ネットワーク13には、ユーザーA、Bのそれぞれが使用する通信端末14A、14Bが接続される。以下では、通信端末14A,14Bのうち、任意の通信端末を単に「通信端末14」といい、ユーザーA,Bを区別しない場合は単に「ユーザー」という。
図2に示す例では、通信端末14A、14Bの2台のみがネットワーク13に接続されているが、ネットワーク13に接続される通信端末14A、14Bは、3台以上であってもよい。また、ネットワーク13には、他の機器が接続されていてもよい。ユーザーA,Bはメッセージの送信ユーザー又は受信ユーザーともなり得るし、質問ユーザー又は有識者ともなり得る。
【0031】
メッセージ処理装置10は、メッセージングサービスを実現するためのアプリケーションを実行している。メッセージ処理装置10は、サービスを利用する送信ユーザーが操作する通信端末14(第一の通信端末の一例)に対してメッセージの入力画面等を提供する。送信ユーザーは、入力画面で感謝のメッセージを送りたい受信ユーザーとポイントを指定し、メッセージの内容を入力して、メッセージ処理装置10へ送信する。
【0032】
有識者検索装置11は、有識者検索サービスを実現するためのアプリケーションを実行している。有識者検索装置11は、例えば質問ユーザーが通信端末14から質問(情報の要求)を行い、それを受けて、有識者として推薦するユーザー(以下、有識者ユーザーという)の情報を提供する。有識者検索装置11は、質問ユーザーの通信端末14(第二の通信端末の一例)へ有識者ユーザーのユーザー情報を送信して、質問に回答する有識者として推薦する旨を通知する。また、有識者検索装置11は、有識者ユーザーの通信端末14へ、質問ユーザーからの質問に回答する有識者として推薦された旨を通知する。
【0033】
管理装置12は、メッセージやユーザーが保持するポイント等を蓄積し、メッセージから抽出したキーワードをスキルとし、ユーザーと対応付けて蓄積する。スキルは、有識者検索装置11が質問を受けた場合、その質問に対して適切な回答を行うことができる有識者ユーザーを検索するキーとして使用される。また、管理装置12は、メッセージ処理装置10が受信したメッセージを解析し、専門性スコア、発信力スコア及び貢献力スコアをキーワードに対応付けて蓄積する。
【0034】
通信端末14は、通信機能を備え、質問、及び、メッセージ等を送受信することができる機器であればいかなる機器であってもよい。通信端末14は、例えば、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPC、デスクトップPC、MFP(Multi-Function Peripheral)、PJ(Projector:プロジェクタ)、電子黒板(電子式の黒板機能を有する白板)等であってよい。
【0035】
<ハードウェア構成例>
図2のメッセージ処理装置10、有識者検索装置11、管理装置12及び通信端末14は例えば
図3に示すハードウェア構成のコンピュータにより実現される。
図3はコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図3のコンピュータ500はコンピュータによって構築されており、
図3に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDDコントローラ505(Hard Disk Drive)、ディスプレイ506、外部機器接続I/F508(Interface)、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、光学ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0036】
これらのうち、CPU501は、コンピュータ全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、
図3に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0037】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。光学ドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としての光記憶媒体513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。光学ドライブ514はCD、DVD、Blu-Ray(登録商標)等である。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0038】
<機能ブロック図>
図4は、情報処理システム100が有するメッセージ処理装置10、有識者検索装置11、管理装置12及び通信端末14の機能構成例を示す図である。
【0039】
<<通信端末>>
通信端末14は、通信部27と、表示制御部28と、操作受付部29とを有する。これら各機能部は、通信端末14にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令を
図3に示したCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。なお、このプログラムはWebブラウザでもよいし、専用のソフトウェアでもよい。
【0040】
通信部27は、メッセージ処理装置10及び有識者検索装置11との間で各種の情報を送受信する。本実施形態では各種の画面情報等をメッセージ処理装置10及び有識者検索装置11から受信し、ユーザーが設定した情報をメッセージ処理装置10及び有識者検索装置11に送信する。
【0041】
表示制御部28は、各種の画面の画面情報を解釈してディスプレイ506に表示する。操作受付部29は、ディスプレイ506に表示された各種画面におけるユーザーの各種操作を受け付ける。なお、画面情報は、HTML、XML、スクリプト言語、及びCSS(Cascading Style Sheet)等で記述されたプログラムであり、主にHTMLによりWebページの構造が規定され、スクリプト言語によりWebページの動作が規定され、CSSによりWebページのスタイルが規定される。なお、通信端末14ではWebブラウザでなく、本実施形態に専用のアプリケーションが動作してもよい。
【0042】
<<有識者検索装置>>
有識者検索装置11は、画面提供部24、検索要求部25及び通信部26を有する。有識者検索装置11が有するこれらの機能は、
図3に示したコンピュータ500が有するCPU501が、HD504からRAM503に展開されたプログラムを実行することで実現される機能又は手段である。
【0043】
通信部26は、通信端末14と通信し、質問の入力等のための画面情報等を通信端末14に送信し、ユーザーが設定した質問を通信端末14から受信する。
【0044】
画面提供部24は、上記のHTML等を使用して、質問の入力や有識者ユーザーの表示等のための画面情報を生成する。
【0045】
検索要求部25は、通信端末14から送信された質問を指定して有識者の検索要求を管理装置12に送信する。また、検索要求部25は管理装置12から該質問について有識者として検索された有識者ユーザーに関する情報を管理装置12から取得する。
【0046】
<<メッセージ処理装置>>
メッセージ処理装置10は、画面提供部21、通信部22、及び、メッセージ送信部23を有する。メッセージ処理装置10が有するこれらの機能は、
図3に示したコンピュータ500が有するCPU501が、HD504からRAM503に展開されたプログラムを実行することで実現される機能又は手段である。
【0047】
通信部22は、通信端末14と通信し、メッセージの入力やメッセージのタイムラインの表示のための画面情報等を通信端末14に送信し、ユーザーが設定したメッセージ等を通信端末14から受信する。
【0048】
画面提供部21は、上記のHTML等を使用して、メッセージの入力やタイムライン表示のための画面情報を生成する。
【0049】
メッセージ送信部23は、ポイント、送信ユーザー、及び受信ユーザーの識別情報と共に、メッセージを管理装置12に転送する。管理装置12が、送信ユーザーが指定した受信ユーザーの通信端末14にメッセージを送信すると共に、メッセージを解析して各ユーザーの専門性スコア、発信力スコア及び貢献力スコアを更新するためである。
【0050】
<<管理装置>>
管理装置12は、取得部31と、変換部32と、更新部33と、検索部34と、転送部35と、記憶部39と、を有する。管理装置12が有するこれらの機能は、
図3に示したコンピュータ500が有するCPU501が、HD504からRAM503に展開されたプログラムを実行することで実現される機能又は手段である。
【0051】
取得部31は、メッセージ処理装置10と通信を行い、メッセージ処理装置10からメッセージ、ポイント、及び、送信ユーザーと受信ユーザーの識別情報を受信する。ユーザーの識別情報は、メールアドレス、ユーザーID又はユーザー名等である。また、取得部31は、有識者検索装置11から質問と共に有識者の検索要求を受信する。
【0052】
変換部32は、取得部31が取得したメッセージを解析し、メッセージからスキルを示すキーワードを抽出する。換言すると、変換部32は、メッセージを1つ以上のスキルに変換する。変換部32は、例えばメッセージに形態素解析を行い、メッセージを品詞付きの単語に変換する。主に名詞が抽出される。特に、社内の製品やシステム名などの固有名詞が抽出されるとよい。また、変換部32は、取得部31が取得した質問を解析し、質問からもスキルを示すキーワードを抽出する。
【0053】
なお、変換部32は、メッセージだけでなく、各ユーザーが使用する資料、メール、回答等からもスキルを示すキーワードを抽出してよい。本実施形態では、便宜的にメッセージからスコアを示すキーワードが取得される例を説明する。
【0054】
更新部33は、記憶部39に蓄積されているスコアテーブルの専門性スコア、発信力スコア及び貢献力スコアをユーザー別及びキーワード別に更新する。
【0055】
検索部34は、有識者検索装置11からの質問と検索要求を受けて、記憶部39に蓄積されたスコアテーブルを用いて有識者を検索する。検索部34は、質問から抽出されたキーワードをスキルに有するユーザーであって、専門性スコア、発信力スコア、及び、貢献力スコアにより算出されるマッチングスコアが大きい有識者ユーザーを検索する。検索部34は、マッチングスコアが大きい有識者ユーザーに関する情報を有識者検索装置11へ送信する。
【0056】
転送部35は、メッセージ処理装置10から送信されたメッセージを、送信ユーザーが指定した受信ユーザーの通信端末14に送信する。送信方法は電子メールやプッシュ通知などでよい。
【0057】
記憶部39は、ユーザーポイント情報、メッセージ送信履歴情報、及び、ユーザーごとにスコアテーブルを有している。スコアテーブルについては後述するが、スコアテーブルはメッセージから抽出されたキーワードに対応付けて専門性スコア、発信力スコア、及び、貢献力スコアが登録されたテーブルである。
【0058】
図5は、記憶部39に蓄積される情報の一例を示す。
図5(a)は、ユーザーポイント情報を示す。ユーザーポイント情報は、ユーザーごとに管理されるユーザーのポイントに関する情報である。各項目について説明する。
【0059】
・ユーザー名は、ユーザーの識別情報となるユーザーの氏名であるが、ユーザーIDやメールアドレス等でもよい。
【0060】
・合計ポイントは、受信ユーザーに対し送信されたメッセージに付帯したポイントを受信ユーザーごとに合計したものである。過去の全ての期間のポイントが合計されてもよいし、一年、一月、一週間などの決まった期間ごとに合計されてもよい。
【0061】
・付与可能ポイントは、今月や今週などの一定期間に各ユーザーが送信ユーザーとして受信ユーザーに付与できるポイントである。付与可能ポイントは一定期間ごとに上限値まで補充される。上限値は、ユーザーごとに異なってもよい。
【0062】
・平均送信ポイントは、各ユーザーが過去に、メッセージに付帯したポイントの平均値である。
【0063】
・メッセージ送信回数は、各ユーザーが過去に送信したメッセージの回数である。
【0064】
図5(b)は、メッセージ送信履歴情報を示す。メッセージ送信履歴情報は、全てのユーザーが過去に送信したメッセージに関する情報である。各項目について説明する。
・送信ユーザーは、メッセージを送信したユーザー名である。
・受信ユーザーは、メッセージを受信したユーザー名である。
・送信日時は、通信端末14がメッセージを送信した日時である。
・ポイントは、メッセージに付帯したポイントである。
・メッセージは、受信ユーザーに送信されたメッセージである。
【0065】
<情報処理システムの利用形態>
次に、
図6を参照して、情報処理システム100がどのように利用されるかについて説明する。
図6は、情報処理システム100の利用形態を説明する図の一例である。例えば、ユーザーA(送信ユーザー)が、自身が使用する通信端末14を使用し、ユーザーB(受信ユーザー)とポイントを指定し、メッセージ「Xの件ありがとう」を送信する(S1)。
【0066】
メッセージ処理装置10のメッセージ送信部23は、ユーザーAから受信したメッセージとポイントを管理装置12へ送信する。管理装置12は、メッセージとポイントを取得すると、ユーザー情報(ユーザーA,B)と関連付けて、記憶部39に蓄積する(S2)。
【0067】
管理装置12の転送部35は、送信先であるユーザーB(受信ユーザー)へメッセージとポイントを送信する(S3)。
【0068】
管理装置12の変換部32は、取得したメッセージ「Xの件ありがとう」を解析し、「X」というキーワードを抽出し(S4)、更新部33が記憶部39のスコアテーブルに登録する(S5)。ここでは、説明の便宜上、抽出したキーワード「X」が受信ユーザーだけに対応付けられた。管理装置12の更新部33は、受信ユーザーのキーワード「X」について専門性スコア及び貢献力スコアを更新する。
【0069】
次に、ユーザーC(質問ユーザー)が、「X」について質問する。ユーザーCは、自身が使用する通信端末14を使用して「Xについて教えてください。」という質問を、有識者検索装置11に送信する(S6)。
【0070】
有識者検索装置11は、管理装置12へ質問を送信し、有識者として推薦するユーザーの検索を要求する(S7)。管理装置12は、有識者の検索要求を受けて、質問の内容に基づき、記憶部39に蓄積されたスコアテーブル(キーワードに対応付けられた専門性、発信力、及び、貢献力の各スコア)から該当するユーザーを検索する。質問の内容に名詞「X」が含まれるため、「X」というキーワードが関連付けられたスコアテーブルが検索される。記憶部39には、キーワード「X」をスコアテーブルに有するユーザーBが存在する。このため、管理装置12は、ユーザーB(有識者ユーザー)のユーザー情報を有識者検索装置11へ送信する。
【0071】
有識者検索装置11は、管理装置12により検索されたユーザーBのユーザー情報をユーザーCの通信端末14に通知し、更に、有識者としてユーザーBを推薦したことを、ユーザーBに通知する(S8)。ユーザーCは、ユーザーBと直接会って、あるいはメール等の手段を利用して、ユーザーBから質問に対する回答を得ることができる。
【0072】
<メッセージのタイムライン画面>
図7は、通信端末14が表示するメッセージのタイムライン画面220の一例である。通信端末14の通信部27は、ユーザーの操作に応じてメッセージのタイムライン画面220をメッセージ処理装置10に要求する。メッセージ処理装置10の画面提供部21は
図5(b)のメッセージ送信履歴情報に基づいてタイムライン画面220を作成する。通信端末14の通信部27が受信したメッセージのタイムライン画面の画面情報を表示制御部28が表示することで、
図7のようなメッセージのタイムライン画面220が表示される。
【0073】
メッセージのタイムライン画面220は、送信ユーザー欄221、メッセージ欄222、ポイント欄223、及び、受信ユーザー欄224を有している。
・送信ユーザー欄221には、通信端末14のユーザーの氏名等が表示される。
・メッセージ欄222には、受信ユーザーに送信済みのメッセージが表示される。
・ポイント欄223には、送信ユーザーがメッセージに付帯したポイントが受信ユーザーごとに表示される。
・受信ユーザー欄224には、受信ユーザーが表示される。
【0074】
メッセージのタイムライン画面220は、メッセージングサービスを使用する権限を有するユーザーであれば表示できるので、任意のユーザーは、誰と誰がどのようなメッセージをやりとりしているかを参考にできる。
【0075】
なお、メッセージの入力画面については省略したが、入力画面は、メッセージ入力欄、受信ユーザー欄、及び、ポイント設定欄を有している。受信ユーザー欄には、ユーザーのリストがプルダウン等で表示され、受信ユーザーが選択できるとよい。また、受信ユーザー欄ではユーザー名の一部の入力で該一部が一致するユーザー名が表示されるとよい。
【0076】
<専門性、発信力、及び、貢献力の各スコアの更新方法>
図8~
図11を参照して、専門性、発信力、及び、貢献力の各スコアの更新方法の詳細を説明する。
図8は、更新部33が専門性スコア、発信力スコア及び貢献力スコアを更新する手順を示すフローチャート図である。
図9~
図11はスコアテーブルの遷移を説明する図である。
図9(a)は更新前の送信ユーザーのスコアテーブルであり、
図9(b)は更新前の受信ユーザーのスコアテーブルである。
図9に示すように、スコアテーブルには、スキル(抽出されたキーワード)に複数の能力(専門性、発信力、貢献力)が対応付けられており、スキルと各能力の組み合わせにそれぞれにスコアが登録される。
【0077】
まず、送信ユーザーが受信ユーザーに送信したメッセージは以下とする。
「XXサービスのダッシュボード開発ありがとう」
次に、投稿されたメッセージに付帯されたポイントは30とする。管理装置12に事前に設定される「専門性ベースポイントα= 3」とする。「専門性ベースポイントα」は、メッセージから抽出されたキーワードに対応する専門性スコアに加算されるポイントである。
【0078】
変換部32が上記メッセージからメッセージの特徴を表すキーワードを抽出する(S11)。メッセージから抽出されるキーワードは以下である。
・XXサービス
・ダッシュボード
・開発
【0079】
更新部33は、送信ユーザーと受信ユーザーのスコアテーブルについて、抽出した各キーワードの専門性スコアに「専門性ベースポイントα=3」を加算する(S12)。ユーザーがキーワードを保有していなかった場合、更新部33は新たなキーワードをスコアテーブルに登録し、専門性スコア=3を登録する。なお、専門性ベースポイントαは、送信ユーザーと受信ユーザーとで異なっていてよい。
【0080】
専門性スコアにはメッセージに付帯するポイントが反映されていないが、これは、感謝のメッセージは専門性との関連が小さいと考えられるためである。しかし、感謝のメッセージに専門性が全く含まれないわけではないので、ポイントに応じた値を専門性スコアに加算してもよい。例えば、更新部33がメッセージを解析して、相手の専門的な知識をたたえていることを検出したような場合、ポイントに応じた値を専門性スコアに加算してもよい。この場合、受信ユーザー>送信ユーザーの関係を満たす値がポイントに応じて追加される。
【0081】
図10(a)は専門性スコアの更新後の送信ユーザーのスコアテーブルであり、
図10(b)は専門性スコアの更新後の受信ユーザーのスコアテーブルである。
図10(a)と
図9(a)を比較すると、「XXサービス」「ダッシュボード」「開発」の各キーワードに対応付けられた専門性スコアが3ずつ大きくなっている。
図10(b)と
図9(b)を比較すると、「開発」のキーワードに対応付けられた専門性スコアが3、大きくなっている。また、
図10(b)では、「XXサービス」「ダッシュボード」というキーワードが登録され、専門性スコアが3になっている。
【0082】
図8に戻って説明する。更新部33は、送信ユーザーの1メッセージあたりの送信ポイントの平均である平均送信ポイントに対する今回のポイントの送信ポイント倍率値を計算する(S13)。例えば、送信ユーザーのこれまでの1メッセージあたりの平均送信ポイントが20、メッセージに付帯されたポイントが30の場合、送信ポイント倍率値は1.5と計算される。
【0083】
同一内容のメッセージであっても付帯されるポイントの値が異なる複数のメッセージが存在していた場合、より大きなポイントが付帯されているメッセージの方がその感謝の大きさは大きいと考えられるため、受信ユーザーの貢献力スコアに加算される値も大きくなる。
【0084】
次に、更新部33は、事前に設定されている「貢献力ベースポイントγ」に、送信ポイント倍率値を乗じて、受信ユーザーの貢献力スコアに加算される値を計算する(S14)。「貢献力ベースポイントγ= 2」とすれば、受信ユーザーの貢献力スコアに加算される値は以下のように計算される。加算される貢献力スコアはメッセージから抽出されたキーワードに共通でよい。なお、「貢献力ベースポイントγ=2」のような係数はなくてもよい。
【0085】
貢献力スコアに加算される値=送信ポイント倍率値×γ=1.5×2=3
【0086】
次に、更新部33は、「スコア加算条件 = 送信ポイント倍率値が事前に設定される倍率閾値超である」を満たすかどうか判断する(S15)。「スコア加算条件の倍率閾値 = 1.2」とすると、送信ポイント倍率値(1.5)はスコア加算条件を満たしている。
【0087】
発信力スコアの加算に関して送信ポイント倍率値が倍率閾値超であることが要求されるのは、感謝のメッセージはあいさつ代わりに送信される場合もあるためである。このようなメッセージの送信にポイントが付帯された場合に発信力スコアを増大させると、送信ユーザーの発信力スコアが過大になる傾向が生じうる。しかしながら、あいさつ代わりの感謝のメッセージは内容的に除外されるような仕組みがある場合、発信力スコアの加算に関して送信ポイント倍率値が倍率閾値超か否かを判断しなくてもよい。
【0088】
ステップS15の判断がYesの場合、更新部33は、事前に設定されている「発信力ベースポイントβ」に、送信ポイント倍率値を乗じて、送信ユーザーの発信力スコアに加算される値を計算する(S16)。「発信力ベースポイントβ=1」とする。送信ユーザーが獲得するキーワードごとの発信力スコアは以下となる。加算される発信力スコアはメッセージから抽出されたキーワードに共通でよい。なお、「発信力ベースポイントβ=1」のような係数はなくてもよい。
【0089】
また、受信ユーザーは、貢献度が低くても何らの貢献をしたと考えられるため、送信ポイント倍率値と倍率閾値とが比較されないが、貢献力スコアの加算に関して送信ポイント倍率値が倍率閾値超か否かを判断してもよい。
【0090】
送信ユーザーの発信力スコアに加算される値 = 送信ポイント倍率値×β = 1.5 × 1 = 1.5
ステップS15の判断がNoの場合、更新部33は、送信ユーザーの発信力スコアに加算される値 = 0を設定する(S17)。
【0091】
更新部33は、送信ユーザーの発信力スコアと受信ユーザーの貢献力スコアを更新する(S18)。
【0092】
図11(a)は発信力スコアの更新後の送信ユーザーのスコアテーブルであり、
図11(b)は貢献力スコアの更新後の受信ユーザーのスコアテーブルである。
図11(a)と
図10(a)を比較すると、「XXサービス」「ダッシュボード」「開発」の各キーワードに対応付けられた発信力スコアが1.5ずつ大きくなっている。
図11(b)と
図10(b)を比較すると、「開発」「XXサービス」「ダッシュボード」のキーワードに対応付けられた専門性スコアが3ずつ大きくなっている。
【0093】
<有識者検索サービスについて>
続いて、有識者検索サービスについて説明する。
図12は、通信端末14が表示する質問入力画面230の一例である。通信端末14の通信部27は、ユーザーの操作に応じて質問入力画面230を有識者検索装置11に要求する。通信部27が受信した質問入力画面230の画面情報を表示制御部28が表示することで、
図12のような質問入力画面230が表示される。
【0094】
質問入力画面230は、入力欄231、確認ボタン232及びキャンセルボタン233を有している。
・入力欄231は質問ユーザーが質問を、キーボードや音声で入力する欄である。
・確認ボタン232は送信前に質問を表示するためのボタンである。
・キャンセルボタン233は質問を破棄するためのボタンである。
【0095】
図13,
図14を参照して、専門性、発信力、及び、貢献力を用いた有識者のマッチング方法を説明する。
図13は、検索部34が専門性、発信力及び貢献力に基づいて有識者を検索する手順を示すフローチャート図である。
図14は、検索された有識者ユーザーに関する情報が表示されるマッチング結果画面である。
【0096】
まず、取得部31は、有識者検索装置11から質問を取得する(S21)。質問ユーザーが投稿した質問を以下とする。
「XXサービス、もしくはYYシステムのダッシュボードに関するドキュメントを探しています。誰かどこにあるか知りませんか?」
変換部32は、投稿された質問からキーワードを抽出する(S22)。抽出されたキーワードは以下であるとする。
・XXサービス
・YYシステム
・ダッシュボード
・ドキュメント
検索部34は、ステップS22で抽出されたキーワードで、記憶部39のスキルテーブルを検索し、これらのキーワード(スキル)をスコアテーブルに持つユーザーを特定する(S23)。なお、検索に適合するユーザーは、全てのキーワードを有していなくてもよい。スコアテーブルは、最低、1つ以上のキーワードを有していればよい。ここでは、説明の便宜上、スコアの更新で説明した送信ユーザーと受信ユーザーが検索に適合したとする。
【0097】
次に、検索部34は、検索に適合したユーザーごとにマッチングスコアを計算する(S24)。検索部34は、マッチングスコアが高い上位N人のユーザー(又は全てのユーザー)を回答可能性の高い有識者ユーザーとして特定する。
【0098】
なお、マッチングスコア計算の際は、管理装置12に事前に設定されている重み付け係数を使用するが、このような係数はなくてもよい。
「専門性」の重み付け係数 i : 1.0
「発信性」の重み付け係数 j : 1.2
「貢献性」の重み付け係数 k : 0.8
図11(a)によれば、質問に含まれるキーワードのうち、送信ユーザーのスコアテーブルに含まれる質問のキーワードは以下である。
・XXサービス
・YYシステム
・ダッシュボード
【0099】
検索部34は、
図11(a)の送信ユーザーのスコアテーブルから各キーワードに対応付けられている専門性スコア、発信力スコア及び貢献力スコアを取り出し、重み付け係数を乗じることで、マッチングスコアを算出する。
【0100】
送信ユーザーのマッチングスコア =
i * 「XXサービス」専門性 + j * 「XXサービス」発信力 + k * 「XXサービス」貢献力
+ i * 「YYシステム」専門性 + j * 「YYシステム」発信力 + k * 「YYシステム」貢献力
+ i * 「ダッシュボード」専門性 + j * 「ダッシュボード」発信力 + k * 「ダッシュボード」貢献力
= 1.0 * 13 + 1.2 * 16.5 + 0.8 * 8 + 1.0 * 17 + 1.2 * 0 + 0.8 * 4 + 1.0 * 15 + 1.2 * 11.5 + 0.8 * 6
= 80.04
【0101】
図11(b)によれば、質問に含まれるキーワードのうち、受信ユーザーのスコアテーブルに含まれる質問のキーワードは以下である。
・ドキュメント
・XXサービス
・ダッシュボード
【0102】
検索部34は、
図11(b)の受信ユーザーのスコアテーブルから各キーワードに対応付けられている専門性スコア、発信力スコア及び貢献力スコアを取り出し、重み付け係数を乗じることで、マッチングスコアを算出する。
【0103】
受信ユーザーのマッチングスコア =
i * 「ドキュメント」専門性 + j * 「ドキュメント」発信力 + k * 「ドキュメント」貢献力
+ i * 「XXサービス」専門性 + j * 「XXサービス」発信力 + k * 「XXサービス」貢献力
+ i * 「ダッシュボード」専門性 + j * 「ダッシュボード」発信力 + k * 「ダッシュボード」貢献力
= 1.0 * 20 + 1.2 * 25 + 0.8 * 30 + 1.0 * 3 + 1.2 * 0 + 0.8 * 3 + 1.0 * 3 + 1.2 * 0 + 0.8 * 3
= 84.8
受信ユーザーのマッチングスコア:84.8 > 送信ユーザーのマッチングスコア:80.04
であるため、検索部34は以下の順番で質問ユーザーにマッチングスコアと共に有識者を通知する。なお、検索部34は送信ユーザーと受信ユーザーにも、質問ユーザーに有識者として通知された旨が通知される。
1st:受信ユーザー
2nd:送信ユーザー
【0104】
図14は、質問ユーザーが操作する通信端末14に表示されるマッチング結果画面240の一例である。マッチング結果画面240は、
図12の質問入力画面230で入力された質問が有識者検索装置11に送信され、有識者検索装置11が管理装置12に有識者の検索を要求する。有識者検索装置11は管理装置12から取得した有識者ユーザーに関する情報を、マッチング結果画面240として生成し、通信端末14に送信することで通信端末14が表示できる。
【0105】
マッチング結果画面240は、質問欄241、キーワード欄242、有識者欄243、及び、質問ボタン250を有している。
・質問欄241には、質問ユーザーが入力した質問が表示される。
・キーワード欄242には、変換部32が抽出した全てのキーワードが表示される。
・有識者欄243には、管理装置12がマッチングスコアを算出した上位のN人の有識者に関する情報が表示される。有識者欄243は、例えば質問ユーザーの操作で全ての有識者を表示してもよい。有識者欄243には、例えば、ユーザー名244、マッチングスコア245、有識者のスコアテーブルのキーワードのうち質問から抽出されたキーワードと一致するキーワード246、各キーワードの専門性スコア247、発信力スコア248及び貢献力スコア249が表示される。
【0106】
したがって、質問ユーザーはマッチングスコアだけでなく、キーワードごとの専門性スコア、発信力スコア及び貢献力スコアを見て、質問をする有識者を決定できる。
・質問ボタン250は、質問ユーザーが選択された有識者に質問を送信するためのボタンである。
【0107】
<処理の全体的な流れ>
図15は、メッセージの送信から質問に回答できる有識者の提案までの全体的な流れを説明するシーケンス図である。
【0108】
S101:通信端末14が表示するメッセージの入力画面において、送信ユーザーがポイントと受信ユーザーを指定する。通信部27がポイントと受信ユーザーを指定して、メッセージをメッセージ処理装置10に送信する。
【0109】
S102:メッセージ処理装置10の通信部22は、メッセージ等を受信し、送信ユーザーと受信ユーザーに対応付けてメッセージとポイントを管理装置12に登録しておく。
【0110】
S103:メッセージ処理装置10の転送部35は、受信ユーザーにメッセージとポイントを転送する。
【0111】
S104:メッセージ処理装置10のメッセージ送信部23は、送信ユーザーの識別情報、ポイント、及び、受信ユーザーの識別情報を指定して、メッセージの解析を管理装置12に送信する。
【0112】
S105:管理装置12の取得部31はこれらを取得し、変換部32がメッセージからキーワードを抽出する。変換部32はキーワード、送信ユーザーの識別情報、ポイント、及び、受信ユーザーの識別情報を更新部33に送信する。
【0113】
S106:更新部33が専門性スコア、発信力スコア及び貢献力スコアの加算分を計算する。
【0114】
S107:更新部33は、記憶部39におけるスコアテーブルにおいて、送信ユーザー及び受信ユーザーの専門性スコアを更新し、送信ユーザーの発信力スコアを更新し、受信ユーザーの貢献力スコアを更新する。
【0115】
S108:次に、通信端末14が表示する質問入力画面230において、質問ユーザーが質問を入力する。通信部27が質問を指定して、有識者検索要求を有識者検索装置11に送信する。
【0116】
S109:有識者検索装置11の通信部26は有識者検索要求を受信し、管理装置12に送信する。
【0117】
S110:管理装置12の取得部31は質問を受信し、検索部34が質問に含まれるキーワードをスコアテーブルに持つユーザーを決定し、このユーザーのマッチングスコアを算出する。
【0118】
S111、S112:管理装置12は有識者検索装置11を介してマッチング結果を質問ユーザーの通信端末14に送信する。
【0119】
S113:質問ユーザーはマッチング結果画面において有識者を選択し、通信部27が有識者を指定して質問を有識者検索装置11に送信する。
【0120】
S114:有識者検索装置11の通信部26は質問と有識者を受信し、管理装置12に質問ユーザー、有識者及び質問を登録しておく。どのような質問がどのユーザーに送信されたかを各ユーザーが確認できるようにするためである。
【0121】
S115:有識者検索装置11の通信部26は、有識者の通信端末14に電子メールやプッシュ通知などで質問を送信する。
【0122】
<主な効果>
本実施形態の情報処理システム100は、質問して回答を得た質問ユーザーが送信するメッセージに付帯されたポイントに応じて発信力と貢献力を更新するので、信頼性が高い発信力と貢献力をユーザーごとに蓄積できる。有識者検索サービスは、質問内容に関する専門性をどれだけ持っているかに加え、メッセージを発信できる発信力と、他者への貢献力を用いて、質問に回答できる有識者のマッチングスコアを算出する。したがって、専門性に加え、質問に対して回答を発信する貢献が期待できるパーソナリティを持つ有識者と質問をマッチングさせることができる。これにより、ユーザーから質問が発信された際に、質問に対して、専門性を持っていてかつ回答を作成して送信するまでを実施できるパーソナリティを有する有識者とマッチングできる可能性を向上させることができる。
【0123】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0124】
例えば、本実施形態では、感謝のメッセージが送信されているが、感謝の他、評価が高い旨を含む肯定的なメッセージであればよい。また、メッセージの内容が感謝等の意を含むもの限定される必要はなく、メッセージは情報の提示等でもよい。
【0125】
また、
図4などの構成例は、通信端末14、メッセージ処理装置10,有識者検索装置11及び管理装置12による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。通信端末14、メッセージ処理装置10,有識者検索装置11及び管理装置12の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0126】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、管理装置12は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0127】
更に、メッセージ処理装置10,有識者検索装置11及び管理装置12は、本実施形態で開示された処理ステップ、例えば
図15等を様々な組み合わせで共有するように構成できる。例えば、所定のユニットによって実行されるプロセスは、情報処理システム100が有する複数の情報処理装置によって実行され得る。また、情報処理システム100は、1つのサーバ装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0128】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0129】
10 メッセージ処理装置
11 有識者検索装置
12 管理装置
100 情報処理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】