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特開2023-19790線状物の除去装置、線状物の除去方法及び電子電気機器部品屑の処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019790
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】線状物の除去装置、線状物の除去方法及び電子電気機器部品屑の処理方法
(51)【国際特許分類】
   B07B 1/12 20060101AFI20230202BHJP
   B07B 1/42 20060101ALI20230202BHJP
   B07B 1/46 20060101ALI20230202BHJP
   B07B 9/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B07B1/12 Z
B07B1/42 D
B07B1/46 B
B07B9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021124768
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】青木 勝志
(72)【発明者】
【氏名】牧 公一
(72)【発明者】
【氏名】今野 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】高澤 壮
【テーマコード(参考)】
4D021
【Fターム(参考)】
4D021AA03
4D021AB06
4D021AC02
4D021CA07
4D021DA13
4D021DB20
4D021EA10
4D021JB03
4D021KA13
4D021KB02
4D021NA09
(57)【要約】
【課題】耐久性を備えた線状物の除去装置、線状物の除去方法及び電子電気機器部品屑の処理方法を提供する。
【解決手段】原料の供給方向に沿って一定の隙間yを空けて延在し、原料に含まれる線状物を隙間yから篩い落とす複数のロッド2と、複数のロッド2の一端2aで複数のロッド2を支える梁部21とを備え、供給方向に沿って一部重なるように隣接して配置された複数の樹脂製のフィルター3と、フィルター3のそれぞれに設けられ、梁部21の底面21b及び後側面21cを覆う第1補強部71と、第1補強部71の底面から突出し、梁部21の長手方向に沿って延在する第2補強部72とを備える金属製の補強治具7とを備える線状物の除去装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料の供給方向に沿って一定の隙間を空けて延在し、前記原料に含まれる線状物を前記隙間から篩い落とす複数のロッドと、前記複数のロッドの一端で前記複数のロッドを支える梁部とを備え、前記供給方向に沿って一部重なるように隣接して配置された複数の樹脂製のフィルターと、
前記フィルターのそれぞれに設けられ、前記梁部の底面及び後側面を覆う第1補強部と、前記第1補強部の底面から突出し、前記梁部の長手方向に沿って延在する第2補強部とを備える金属製の補強治具と
を備える線状物の除去装置。
【請求項2】
前記補強治具が、前記第1補強部の底面に配置され、前記フィルターの前記原料の供給方向下流側の高さが前記原料の供給方向上流側の高さよりも高くなるように前記フィルターの傾斜角度を調整するためのテーパー状の角度調整板を更に備える請求項1に記載の線状物の除去装置。
【請求項3】
前記補強治具が、前記第2補強部の前側面又は後側面の少なくともいずれかを補強するリブを更に備える請求項1又は2に記載の線状物の除去装置。
【請求項4】
前記リブと前記第2補強部との接続部分に少なくとも設けられた応力分散部を更に備える請求項3に記載の線状物の除去装置。
【請求項5】
前記梁部の前記長手方向に沿った方向の前記第2補強部の両端部に、前記第2補強部にかかる応力を分散させるための第2応力分散部を更に備える請求項1~4のいずれか1項に記載の線状物の除去装置。
【請求項6】
前記フィルターが、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、および、ポリアセタール樹脂の少なくともいずれかで形成されている請求項1~5のいずれか1項に記載の線状物の除去装置。
【請求項7】
前記供給方向に沿った前記ロッドの長さが100mm以上である請求項1~6のいずれか1項に記載の線状物の除去装置。
【請求項8】
前記線状物が、短径が0.5mm以下の被覆線、銅線、塊状線屑、撚り線、編組から解れた銅線の少なくともいずれかを含む請求項1~7のいずれか1項に記載の線状物の除去装置。
【請求項9】
原料の供給方向に沿って一定の隙間を空けて延在し、前記原料に含まれる線状物を前記隙間から篩い落とす樹脂製の複数のロッドと、前記複数のロッドの一端で前記複数のロッドを支える樹脂製の梁部と、前記梁部の底面及び後側面を覆う第1補強部及び前記第1補強部の底面から突出し前記梁部の長手方向に沿って延在する第2補強部を備える金属製の補強治具とを備える複数のフィルター部を、前記供給方向に沿って一部重なるように隣接して配置し、
前記複数のフィルター部に振動を与え、前記複数のフィルター部上に供給される前記線状物を前記隙間から篩い落として篩い分けすること
を含む線状物の除去方法。
【請求項10】
基板屑と線屑とを含む原料の供給方向に沿って一定の隙間を空けて延在し、前記線屑を前記隙間から篩い落とす樹脂製の複数のロッドと、前記複数のロッドの一端で前記複数のロッドを支える樹脂製の梁部と、前記梁部の底面及び後側面を覆う第1補強部及び前記第1補強部の底面から突出し前記梁部の長手方向に沿って延在する第2補強部を備える金属製の補強治具とを備える複数のフィルター部を、前記供給方向に沿って一部重なるように隣接して配置し、
前記複数のフィルター部に振動を与え、前記複数のフィルター部上に供給される前記線屑を前記隙間から篩い落として篩い分けすること
を含む電子電気機器部品屑の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状物の除去装置、線状物の除去方法及び電子電気機器部品屑の処理方法に関し、特に、使用済み電子電気機器のリサイクル処理への適用に好適な線状物の除去装置、線状物の除去方法及び電子電気機器部品屑の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
選別対象物の中から特定の異物、例えば、線状物を選択的に除去するための装置が知られている。特開2015-150505号公報(特許文献1)には、振動スクリーンによる選別と気流による選別とにより、長尺状の混合材から目的の選別対象を選別する選別装置の例が記載されている。
【0003】
また、近年の資源保護の観点から、廃家電製品、PC、携帯電話等の電子電気機器部品屑から有価金属を回収することがますます盛んになってきており、その効率的な回収方法が検討されている。特開2015-123418号公報(特許文献2)では、銅を含む電気・電子部品屑を焼却後、所定のサイズ以下に粉砕し、粉砕した電気・電子部品屑を銅の溶錬炉で処理することが記載されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される方法は、長尺線状及び長尺飛散性の選別対象物を選別するための選別装置が開示されるだけで、板状、柱状、筒状等の長尺状物以外の形状の異物を含む選別対象物を選別することは行われていない。
【0005】
特許文献2に記載されるように、焼却処理後の電子電気機器部品屑を溶錬炉で処理する場合、電子電気機器部品屑中にアルミニウム、アンチモン、鉄、ニッケルなどの製錬阻害物質が存在すると、これを処理する溶錬炉の処理効率を低下させる場合がある。製錬阻害物質の溶錬炉への投入を抑制するためには、溶錬炉へ投入される電子電気機器部品屑中の製錬阻害物質を予め極力減らすような処理を行っておくことが望ましい。
【0006】
また、近年、電子電気機器部品屑から単体部品を分離して処理することも検討されているが、多種多様且つ多形状の部品屑の中から所望の単体部品を選択的に分離回収することは現状ではまだ難しく、種々の課題が残されている。特に、電子電気機器部品屑には、被覆線、銅線等の線状の物体(以下「線状物」又は「線屑」という)が含まれている。線状物は、多種多様且つ多形状の部品屑の中から所望の単体部品を選別する際に、他の部品や設備と絡まりやすいため、分離精度の悪化や設備トラブルを引き起こす恐れがある。更に被覆線には、被覆部分に製錬阻害物質であるSbが含まれているため、被覆線が溶錬炉へ混入することにより、溶錬炉の操業に影響を及ぼす場合もある。
【0007】
本発明者らは鋭意検討の結果、板状の選別物と長尺状物以外の形状の種々の異物を含む選別対象物から線状物を効率良く選別することが可能な選別装置として、例えば、国際公開第2019/151350号に記載されるような線状物の除去装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-150505号公報
【特許文献2】特開2015-123418号公報
【特許文献3】国際公開第2019/151350号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3に記載されるような選別装置を用いて、線状物と板状物の選別処理を連続的に行ったところ、長期間の使用により、篩別機のフィルターの固定箇所に応力が集中し、クラック等の破損が生じることが分かった。
【0010】
上記課題を鑑み、本開示は、耐久性を備えた線状物の除去装置、線状物の除去方法及び電子電気機器部品屑の処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の実施の形態に係る線状物の除去装置は、一側面において、原料の供給方向に沿って一定の隙間を空けて延在し、原料に含まれる線状物を隙間から篩い落とす複数のロッドと、複数のロッドの一端で複数のロッドを支える梁部とを備え、供給方向に沿って一部重なるように隣接して配置された複数の樹脂製のフィルターと、フィルターのそれぞれに設けられ、梁部の底面及び後側面を覆う第1補強部と、第1補強部の底面から突出し、梁部の長手方向に沿って延在する第2補強部とを備える金属製の補強治具とを備える線状物の除去装置である。
【0012】
本発明の実施の形態に係る線状物の除去方法は、別の一側面において、原料の供給方向に沿って一定の隙間を空けて延在し、原料に含まれる線状物を隙間から篩い落とす樹脂製の複数のロッドと、複数のロッドの一端で複数のロッドを支える樹脂製の梁部と、梁部の底面及び後側面を覆う第1補強部及び第1補強部の底面から突出し梁部の長手方向に沿って延在する第2補強部を備える金属製の補強治具とを備える複数のフィルター部を、供給方向に沿って一部重なるように隣接して配置し、複数のフィルター部に振動を与え、複数のフィルター部上に供給される線状物を隙間から篩い落として篩い分けすることを含む線状物の除去方法である。
【0013】
本発明の実施の形態に係る電子電気機器部品屑の処理方法は一側面において、基板屑と線屑とを含む原料の供給方向に沿って一定の隙間を空けて延在し、線屑を隙間から篩い落とす樹脂製の複数のロッドと、複数のロッドの一端で複数のロッドを支える樹脂製の梁部と、梁部の底面及び後側面を覆う第1補強部及び第1補強部の底面から突出し梁部の長手方向に沿って延在する第2補強部を備える金属製の補強治具とを備える複数のフィルター部を、供給方向に沿って一部重なるように隣接して配置し、複数のフィルター部に振動を与え、複数のフィルター部上に供給される線屑を隙間から篩い落として篩い分けすることを含む電子電気機器部品屑の処理方法である。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、耐久性を備えた線状物の除去装置、線状物の除去方法及び電子電気機器部品屑の処理方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る線状物の除去装置の一例を表す部分側面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る線状物の除去装置の一例を表す部分上面図である。
図3】原料の供給方向下流側からみたフィルターの一例を表す部分側面図である。
図4】複数のロッドの間隔及び半径の関係を表す模式図である。
図5】従来の線状物の除去装置の一例を示す模式図である。
図6】本発明の実施の形態に係る線状物の除去装置の一例を示す模式図である。
図7】本発明の実施の形態に係る押さえ部材の配置を表す説明図であり、図7(a)は原料供給方向下流側から上流側をみた場合の除去装置の説明図、図7(b)は線状物の除去装置の側面側からみた場合の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであってこの発明の技術的思想は構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。
【0017】
(線状物の除去装置)
本発明の実施の形態に係る線状物の除去装置(フィルター部30)は、図1に示すように、原料の供給方向に延在する複数のロッド2と、複数のロッド2の一端2aで複数のロッド2を支える梁部21とを備え、原料の供給方向に沿って互いに一部重なるように隣接して配置された複数のフィルター3と、フィルター3のそれぞれに設けられた金属製の補強治具7とを備える。
【0018】
原料としては、線状物と板状物とを少なくとも含む原料であれば特に限定されない。線状物としては以下に制限されるものではないが、短径と長径とを有する線状部材であればよい。例えば、電線、ケーブル、導線等の各種配線等が線状物としてあげられる。板状物としては、所定の表面積と厚みとを有する板状の部材であれば特に制限されるものではない。例えば、基板、プラスチック板、金属板等が板状物としてあげられる。
【0019】
板状物は、典型的には、例えば1cm2以上の表面積を有し、厚み2mm以上の部材が好適に利用できる。線状物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、短径が5mm以下、より典型的には1mm以下0.1mm以上で、長径が1~10cm程度、更には1~5cm程度の部材が好適に利用できる。原料中には、線状、板状物以外の例えば、筒状、柱状、方形状、不規則な塊状等の立体形状物を含んでいてもよい。
【0020】
複数のフィルター3は、図示しない振動篩機内に配置される。振動篩機としては複数のフィルター3を内部に収容することが可能な装置であれば、一般的に入手可能な市販の装置を用いてもよいし、フィルター3を収容するための専用の装置を使用してもよい。複数のロッド2は、図2に示すように、原料の供給方向に沿って一定の隙間yを空けて、原料の供給方向に延在しており、原料に含まれる線状物を、隙間yから篩い落とすことができるように、隙間yの寸法が調整されている。
【0021】
梁部21は、原料の供給方向に交差する方向に長手方向を有し、典型的には、中空の箱型形状を有する。梁部21は、図1に示すように、複数のロッド2の一端2aが梁部21内に一部差し込まれる形で固定されることにより、複数のロッド2の一端2aで複数のロッド2を支えるように構成されている。複数のロッド2の一端2aは梁部21に固定された固定端となり、複数のロッド2の他端2bは他の部材に接続されない自由端となっている。
【0022】
複数のフィルター3は、原料の供給方向下流側の高さが原料の供給方向上流側の高さよりも高くなるように、それぞれ傾斜して配置されることが好ましい。これら複数のフィルター3が水平に配置されると、フィルター3の全長が長くなり、装置が大型化する場合がある。一方、複数のフィルター3がそれぞれ傾斜して配置されることによって、線状物の選別効率向上のために必要な搬送距離を確保することができ、線状物と板状物との選別効率をより高めることができる。
【0023】
フィルター3の傾斜角度が大きすぎると、フィルター3を収容する振動篩機の上方にある図示しない上部のモーターに原料が当たる、或いは、原料がフィルター3からはみ出して原料の落下の原因となる場合がある。そのため、水平面αに対する複数のフィルター3の傾斜角度θが0°より大きく45°以下となるように配置されることが好ましく、より好ましくは傾斜角度θが0°より大きく30°以下であり、さらには傾斜角度θが0°より大きく15°以下である。
【0024】
水平面αに対する複数のフィルター3の傾斜角度θとは、図1に示すように、水平面αと複数のフィルター3の搬送面となる上面とがなす角度を示す。フィルター3の傾斜角度θは、全て同じ角度に傾斜させなくてもよく、フィルター3の配置位置に応じてそれぞれ適切な角度に変更することもまた可能である。例えば、原料の供給方向に向かって次第に傾斜角度を小さくするか又は大きくすることが可能である。
【0025】
梁部21は、図2に示すように、複数のロッド2と実質的に直交するように延在している。図1に示すように、梁部21は、上面21a、上面21aと対向する底面21b、上面21aと底面21bとに接続され、原料の供給方向上流側に位置する後側面21cと、上面21aと底面21bとに接続され、原料の供給方向下流側に位置する前側面21dとを備える。前側面21dには、複数のロッド2を挿通するための複数の穴(図示せず)が形成されており、複数の穴に複数のロッド2の一端2aがそれぞれ挿入されて固定されている。
【0026】
このように、複数のロッド2の一部が梁部21内に挿入されて固定されることにより、複数のロッド2と梁部21との固定が強化される。これにより、フィルター3が梁部21を複数のロッド2の一端2aに有し、他端2bが自由端となる片持ち梁形状を有する場合においても、電子電気機器部品屑のような比較的比重の大きい材料を安定して選別処理することが可能となる。また、図5に示すように、ロッド2の一端側と他端側に、ロッド2同士を固定するための接続部200を設けると線状物が接続部200に引っ掛かる場合があるが、梁部21を複数のロッド2の一端2aに有し、他端2bが自由端となる片持ち梁形状を採用することにより、線状物の引っ掛かりが抑制される。なお、図3に示すように、梁部21の長手方向の端部には、フィルター3を振動篩機に固定するための締結部材を挿入するための挿入穴28が設けられていてもよい。
【0027】
フィルター3を構成するロッド2及び梁部21は、原料の供給による破損を抑制するために、機械的強度が比較的高い材料で構成されることが好ましい。一方で、フィルター3の材料の機械的強度が高くても重量が大き過ぎると、長期間の使用によりフィルター3の応力集中部分にクラック等の破損が発生することがある。本実施形態では、フィルター3を構成するロッド2及び梁部21に樹脂製材料を用いる。これにより、フィルター3を軽量化することができるため、フィルター3の長期間の使用による破損を抑制することができる。
【0028】
樹脂製材料の具体例は、処理すべき原料の重量等によって適宜選択することができる。中でも、曲げ強度、総重量、摩耗強さ、衝撃強さ等の機械的性質及び入手容易性を勘案すると、フィルター3としては、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、および、ポリアセタール樹脂の少なくともいずれかで形成されることが好ましく、特に、ポリアセタール樹脂で形成されることが好ましい。
【0029】
軽量化可能な材料を検討するにあたり、曲げ応力安全率と撓み量で評価を行った。曲げ応力安全率は、振動時にかかる慣性力が梁部21に静荷重としてかかった場合を計算し、既設のステンレス鋼製(SUS304)の篩別網と比較評価した。篩別網の材質を、ステンレス鋼製から例えば、樹脂の一種であるポリアセタール樹脂に変更することで、フィルター3の重量を約4分の1に軽量化することができ、曲げ応力安全率は約2倍に向上した。
【0030】
一方、撓み量については、現状のステンレス鋼のフィルター3とした場合は、0.31cmであるのに対して、軽量化のためにフィルター3の材質としてポリアセタール樹脂を用いると、その撓み量は4.04cmと大きくなる。そのため、フィルター3の材質としてポリアセタール樹脂を使用するだけでは、原料がフィルター3の両サイドに偏って流れてしまうことがある。
【0031】
本実施形態では、樹脂製のフィルター3に対して金属製の補強治具7を組み合わせたフィルター部30を備えることで、フィルター3のロッド2の撓み量を、補強治具7並みに小さくできる。補強治具7は、曲げ強度、総重量等の機械的性質の観点から、金属の中でも特にステンレス鋼、鉄等で形成することが特に好ましい。例えば、ステンレス鋼製の補強治具7の撓み量は、0.06cm程度であることから、ステンレス鋼製の補強治具7と樹脂製のフィルター3とを組み合わせることにより、全て樹脂製で作製する場合に比べて、フィルター3全体の撓み量を小さくすることができる。このようにして、樹脂製のフィルター3を、金属製の補強治具7で補強することにより、フィルター3に加わる応力を補強治具7で受けることができるため、これにより長期間に渡って耐久性を備えた線状物の除去装置が提供できる。
【0032】
図1に示すように、補強治具7は、梁部21の底面21b及び後側面21cを覆う第1補強部71と、第1補強部71の底面から下方に突出する第2補強部72と、第1補強部71と第2補強部72との間に配置された角度調整板73を備えることができる。角度調整板73は、総重量を抑えるために、フィルター3の固定箇所周辺の第1補強部71の下部のみに配置しても良い。
【0033】
第1補強部71は、梁部21の底面21b及び後側面21cを少なくとも覆うことができるような形状であればよい。典型的には、梁部21の底面21bを補強する底面補強部71aと梁部21の後側面21cを補強する後側面補強部71bを備えるL字型のアングル等が利用できる。第1補強部71の板厚は、薄すぎると強度が低下し、厚すぎると総重量が増加することから、板厚を2mm以上、典型的には2~5mm、更には2~3mmとすることが好ましい。梁部21と第1補強部71は、ねじ部品等の締結部材76a、76bで固定できるが、その固定方法は図示の例に限定されない。
【0034】
図3に示すように、第2補強部72は、梁部21の下方で梁部21を支えるように、ロッド2と交差する方向、即ち、梁部21の長手方向に沿って延在している。図1に示すように、第1補強部71の底面と第2補強部72の間には、原料の供給方向に沿って徐々に厚みが大きくなるようなテーパー状の角度調整板73が配置される。角度調整板73は、原料の供給方向下流側の高さが原料の供給方向上流側の高さよりも高くなるように第1補強部71の底面に配置され、フィルター3の傾斜角度θが適正な角度となるようにその厚みが調整されている。第2補強部72の板厚は、薄すぎると強度が低下し、厚すぎると総重量が増加することから、板厚を3mm以上、典型的には3~5mmとし、垂直方向の長さ(図3の紙面上下方向)の長さを30mm以上、より典型的には40~50mmとすることができる。
【0035】
補強治具7は、第2補強部72の前側面72a又は後側面72bの少なくともいずれかを補強するリブ74を更に備えることが好ましい。リブ74は、図3に示すように、第2補強部72の延在方向に沿って、一定間隔を空けて複数個配置することが好ましい。リブ74を備えることにより、補強治具7の補強効果を更に得ることができる。
【0036】
図1に示すように、リブ74は、第2補強部72の前側面72a側に設けられ、第2補強部72の前側面72aと角度調整板73の底面との間を補強するための前方リブ74aと、第2補強部72の後側面72b側に設けられ、第2補強部72の後側面72bと角度調整板73の底面との間を補強する後方リブ74bとを備える。ここで、水平方向に沿った後方リブ74bの幅w1は、前方リブ74aの幅w2よりも大きくなるように、第2補強部72の角度調整板73の底面への接続位置が調整されることが好ましい。これにより、第2補強部72を更に補強することができ、傾斜角度θで傾斜するフィルター3の破損を防ぎながらより適切に補強効果を得ることができる。
【0037】
補強治具7は、リブ74と第2補強部72との接続部分に少なくとも設けられた応力分散部75を更に備えることが好ましい。応力分散部75は、リブ74(前方リブ74a、後方リブ74b)と第2補強部72の前側面72a又は後側面72bとの接続部分に少なくとも設けられており、それぞれ凸状となるように曲面加工がなされている。応力分散部75を備えることにより、リブ74及び第2補強部72に加わる応力を分散させることができるため、長期間の使用に好適な耐久性を有する補強治具7が得られる。応力分散部75は、リブ74(前方リブ74a、後方リブ74b)と第2補強部72と角度調整板73の接続部分にも設けることができる。
【0038】
図3に示すように、第2補強部72は、梁部21の長手方向に沿った方向の両端部に、第2補強部72に加わる応力を分散させるための切り欠きからなる第2応力分散部77が形成されていることが更に好ましい。第2応力分散部77は、下方から上方に向けて滑らかな曲線R形状となるように形成されている。第2応力分散部77により、長期間の使用による第2補強部72の破断を抑制することができる。
【0039】
図1に示すように、フィルター3を原料の供給方向に隣接させて配置させる際には、1のフィルター3が備える梁部21の上面21aが、1のフィルター3よりも原料供給方向上流側に隣接して配置される他のフィルター3が備える複数のロッド2の他端2bにある自由端の直下に配置されるように配置することが好ましい。
【0040】
図1に示すようなフィルター3の配置では、1のフィルター3から他のフィルター3へ原料が搬送される場合に、フィルター3とフィルター3の境界部分で基板屑などの板状物が立ってしまい、篩下側へ落ちる現象が生じる場合があるが、1のフィルター3の複数のロッド2の他端2bの自由端側の直下に、他のフィルター3の上面21aが重なり合うように配置されることで、フィルター3とフィルター3との境界部分において誤って板状物が篩下側へ落下する現象を抑制することができる。
【0041】
また、1のフィルター3から他のフィルター3へ原料が搬送される際に、原料が複数のロッド2上へ直接落下せずに、上面21a上へ一旦、落下させることができるため、複数のロッド2の損傷を抑制して、より長期間、部品の交換を要することなく選別装置を運転することができる。
【0042】
更には、図1に示すように、ロッド2の一端2a上に、複数のロッド2の延在方向と交差する方向に延び、且つロッド2の一端2aから上方に向かってほぼ鉛直方向に延びる落下防止具22を備えることができる。落下防止具22は、ロッド2の他端2bと、このロッド2の他端2bの下方に配置された他のロッド2の一端2aとの間にある空間内に配置されることができる。落下防止具22により、ロッド2の他端2bから梁部21の上面21aと落下する原料が誤って篩下側へ落下することが抑制される。特に、ロッド2の一端2aと他端2bとの距離が長くなる場合、落下防止具22を設けることにより、本来篩下側へ分離されるべきでない原料の篩下側への落下を防止することができる。なお、図1の例では、梁部21の上面21aからほぼ鉛直方向に延びる例を示しているが、供給方向上流側又は下流側に向けて若干傾いていてもよいことは勿論である。
【0043】
図4に示すように、複数のロッド2の表面には、線屑を篩下側に篩い落とすための曲面Rが形成されていることが好ましい。線屑は線形状を有するため、ロッド2の表面が角ばっていると、原料の供給方向に沿って線屑が移動する際にロッド2に引っかかって浮き上がり、上手く篩下側に篩別されない場合がある。
【0044】
複数のロッド2の表面に曲面Rが付されることにより、線屑とロッド2との接触をより円滑にすることができるため、線屑の篩別効率をより高めることができる。複数のロッド2の表面には線屑との接触を円滑にするための表面加工などが施されていてもよい。
【0045】
ここで、ロッド2間の間隔及びロッド2の直径が、電子電気機器部品屑中に含まれる基板等の板状物Xの大きさに基づいて調整されていることが好ましい。具体的には、例えば、図4に示すように、フィルター上に供給される電子電気機器部品屑中に含まれる板状物Xの平均サイズ(直径)をXmmとし、ロッド間距離をy、ロッド半径をrとすると、r2+(y+2r)2=(x+r)2の関係を有するように、ロッド2間の間隔y及び半径rが調整されることが好ましい。
【0046】
例えば、複数のロッド2間の間隔が、線状物の代表径の1.2~6倍で、且つ板状物の最小短径よりも狭くなるように調整されることが好ましい。ここで、線状物の「代表径」とは、原料中の線状物の任意の10点を抽出し、抽出した10点の線状物の長径側の平均径を算出する。これを5回繰り返し、5回の平均値を「代表径」としたものである。また、板状物の最小短径も同様に、原料中の板状体の任意の10点を抽出し、抽出した10点の板状物の短径側の平均径を算出し、これを5回繰り返した平均値を意味する。
【0047】
具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、ロッド直径(2r)は1~15mmとすることができる。ロッド間隔は、1~10mm、より好ましくは1.5~5mmとすることができる。ロッド2の原料供給方向の長さは、100~600mm、より好ましくは200~400mmである。100mmより短い場合には、長い線状物が多い場合には篩下に落ちにくくなり、線状物が篩上で塊状になりやすくなる。一方、600mmを超えると、振動により、ロッド2のぶれが大きくなりやすい場合がある。
【0048】
図6に示すように、フィルター3の更に上流側にはテーブル4を配置することができる。電子電気機器部品屑がテーブル4上からフィルター3上に配置され、フィルター3上において図示しない振動付加手段から振動を与えられることにより、篩上側に基板やIC等の板状物からなる貴金属含有物が選別でき、篩下側に被覆線等を含む線状物が選別できる。
【0049】
テーブル4は、線状物を篩い落とすための隙間を実質的に備えない平板状の板で構成されており、原料は、フィルター3に供給される前にまずテーブル4上に供給される。テーブル4上に供給された原料にまず振動を与えることにより、原料をテーブル4上で分散させることができる。そして、分散させた原料をテーブル4上からフィルター3上へと供給することにより、線状物と板状物とのフィルター3での選別効率をより高めることができる。また、テーブル4上で一旦原料に振動を与えることにより、線状物の方向を揃えることができる効果も有する。テーブル4に与える振動は、フィルター3へ与える振動と同一程度で良い。
【0050】
本実施形態では、フィルター3上に配置された原料の上に、図7(a)に示すような原料を押さえるための押さえ部材5を配置して篩い分けすることが更に好ましい。押さえ部材5としては、原料中に含まれる板状物がフィルター3に与えられる振動により回転することを抑制し、ロッド2の間から抜け落ちることを抑制できるような材質及び形状を有していればよい。
【0051】
例えば、押さえ部材5としては、弾性を有し、原料をその弾性力で保持することが可能なゴム材、樹脂材、スポンジ材などの弾性部材を用いることができる。弾性を有するビニールシートなども押さえ部材5として利用できる。押さえ部材5として弾性部材を使用することにより、振動するフィルター3と一定距離を保って原料とともに動くことができるため、原料中の板状物の不必要な回転を抑制させることができる。押さえ部材5としては、原料との適度な摩擦力を有するように1又は複数の穴を有する部材であってもよい。
【0052】
押さえ部材5は、フィルター3上に供給された原料の上に複数枚積層することも可能であるが、積層しすぎると、原料に含まれる部品の形状や大きさのバラツキが大きい対象物に関しては、荷重の調整が難しくなる場合がある。押さえ部材5を原料の上から押しつけるように負荷をかけることも可能であるが、負荷が大きすぎると、押さえ部材5とフィルター3との間に基板などの板状物が詰まってしまう場合がある。
【0053】
押さえ部材5の厚みは、使用する原料によって最適な厚みを適宜選択することが可能である。以下に制限されるものではないが、押さえ部材5として例えばゴム材を用いる場合には、厚さ2~20mm程度のシート状の部材を原料上へ覆うように配置することが好ましい。原料を押さえ部材5で覆うことにより、電子電気機器部品上に適度な負荷が加わり、篩別効率が向上する。押さえ部材5上に鉄板などの重りを置いて荷重を調節してもよい。
【0054】
押さえ部材5は、図7(b)に示すように、原料の供給側の一端が、振動篩機に固定された固定端を有しており、原料の排出側の他端が、振動篩機に固定されない自由端を備えることが好ましい。押さえ部材5の一端が固定されることにより、押さえ部材5が原料とともに原料排出側へ流れることを抑制できるとともに、押さえ部材5の他端が自由端となることにより、押さえ部材5の他端が原料の形状及び振動に合わせて動きやすくなるため、原料をより適切に押さえやすくなる。
【0055】
押さえ部材5は、図7(b)に示すように、その固定端が、原料をフィルター3上へと供給する振動篩機の供給側の上方(上端)に固定されている。この固定端を起点として、押さえ部材5が原料の供給側から排出側へ向けてぶら下げられるような構成を有しており、押さえ部材5の自由端が、原料の排出側においてフィルター3上に原料を押さえた状態で上下方向に移動可能となっている。このような構成を有することにより、原料の供給側においては原料が振動しやすくなり、線状物の方向を揃えやすくできるとともに、原料の排出側においては原料の振動による上下移動を、押さえ部材5で押さえることで、線状物をフィルター3の下方へと篩い落としやすくできる。複数の押さえ部材5を原料の供給方向から原料の排出方向にむけて複数個配置することもできる。なお、押さえ部材5は、複数のフィルター3のそれぞれに配置してもよいし、原料供給側からみて最も上流側のフィルター3のみに配置してもよい。
【0056】
このように、本発明の実施の形態に係る線状物の除去装置によれば、フィルター3を補強する金属製の補強治具7を備え、更に樹脂製のフィルター3を備えることにより、従来に比べてフィルター部30全体としての軽量化を図ることができるとともに、耐久性を向上させることができる。これにより、長期間の使用に耐える耐久性を具備した線状物の除去装置が得られる。
【0057】
(線状物の除去方法)
本発明の実施の形態に係る線状物の除去方法は、図1に示すような上述の線状物の除去装置を用いて実施することができる。即ち、本発明の実施の形態に係る線状物の除去方法は、原料の供給方向に沿って一定の隙間yを空けて延在し、原料に含まれる線状物を隙間yから篩い落とす樹脂製の複数のロッド2と、複数のロッド2の一端で複数のロッド2を支える樹脂製の梁部21と、梁部21の底面21b及び後側面21cを覆う第1補強部71及び第1補強部71の底面から突出し、梁部21の長手方向に沿って延在する第2補強部72を備える金属製の補強治具7と、をそれぞれ備える複数のフィルター部30を、供給方向に沿って互いに一部重なるように隣接して配置し、フィルター部30に振動を与え、フィルター部30上に供給される線状物を、隙間yから篩い落として篩い分けすることを含む。
【0058】
原料の篩い分けは、2回以上繰り返すことが好ましい。例えば、原料として電子電気機器部品を用いた場合は、第一段目の篩い分けにより、電子電気機器部品中の部品付き基板と部品無し基板の分離を行う。そして、第二段目の篩い分けにより、部品無し基板に対して更に篩い分けを行うことで、電子電気機器部品全体の約4割程度の基板を篩上側へ移行させることができる。
【0059】
また、二段階篩い分けに加えてさらに押さえ部材5による電子電気機器部品への荷重調整を実施することで、2段階目の篩い分けが終了した時点で電子電気機器部品に含まれる基板の約7割が篩上側へ移行し、線屑(被覆線)の約9割を篩下側へと移行させることができる。
【0060】
フィルター部30へ与える振動の大きさは任意であり、線状物の向きを揃えることができる程度の大きさであれば特に制限されない。振動方向は、ロッド2の延在方向と同じ方向、即ち原料の供給方向と平行な方向(前後方向)とすることが好ましい。連続処理を行う場合は、前後方向に加えて更に上下方向に振動させることが好ましい。振幅は原料が前へ進む振幅であれば何でも良く、原料の処理量に応じて適宜設定することができる。フィルター部30へ与える振動を供給するための装置は、直線型でも回転型でもいずれでもよく、所定の振動を発生させるものであれば特に限定されない。
【0061】
例えば、フィルター部30のロッド2の上面に対して垂直方向の振動幅(上下方向の振動幅)及び前後方向の振動幅が0.5~10mmとなるように、振動を付与することができる。振動幅が大きすぎる場合には線屑の分離効率が低下する場合があり、振動幅が小さすぎる場合には振動の効果が有意に得られなくなることから、振動幅は5~8mmとすることが更に好ましい。或いは、以下の例に制限されるものではないが、フィルター部30に振動数50Hz程度の振動を与え、振動源からフィルター部30へ伝達される振動伝達率(加振率)が10~90%の間となるように振動の大きさを調整することができる。
【0062】
振動はフィルター部30に対し、断続的又は連続的に付与することができる。連続的に振動を付与することで安定的に線屑の回収処理を行うことができ、断続的に振動を付与することで、振動の駆動に必要な動力を省略できる。
【0063】
(電子電気機器部品屑の処理方法)
図1の線状物の除去装置を用いて電子電気機器部品屑を処理することができる。ここで、本発明の実施の形態における「電子電気機器部品屑」とは、廃家電製品・PCや携帯電話等の電子電気機器を破砕した屑であり、回収された後、適当な大きさに破砕されたものを指す。本発明では、電子電気機器部品屑とするための破砕は、処理者自身が行ってもよいが、市中で破砕されたものを購入等したものでもよい。破砕手段としては特定の装置には限定されないが、粉砕機のカテゴリーに属する装置は含まれず、できる限り、部品の形状を損なわない破砕がのぞましい。
【0064】
以下に限定されるものではないが、本実施形態では、電子電気機器部品屑は、最大直径100mm以下、より好ましくは70mm以下、更には50mm以下に破砕されているものが好ましい。電子電気機器部品屑は、粉砕等により小さくしすぎても分離効率の面で効率的とはいえないことから、最小直径5mm以上、より好ましくは10mm以上、更には15mm以上に破砕されているものが好ましい。なお、本実施形態に係る電子電気機器部品屑の原料を予め粗破砕した後、コンデンサ、プラスチック、基板、線屑、IC、コネクタ、メタル等の形態となるように単体分離しておくことが好ましい。これにより、特定の単体部品の選別がより容易になる。
【0065】
粗破砕された電子電気機器部品屑を風力選別し、3~20m/sの風力選別において選別された軽量物を本実施形態の処理対象としてもよい。風力選別を組み合わせることにより、選別効率が向上する。風力選別は、以下に示す線屑の篩い分けの前に行ってもよいし、後に行ってもよい。電子電気機器部品屑中に含まれる材料によって異なるが、基板やIC等の貴金属含有物とメタルとの分離は10~18m/s、更には15~18m/sとするのが好ましく、コンデンサの濃縮やメタルの分率を向上させるためには最適風速を5~15m/s、更には8~12m/sとするのが好ましい。
【0066】
なお、フィルター3の目詰まりやその後のソーター選別でのセンサーの誤検知に影響するフィルム、粉状物、プラスチック等を含む部品屑からプラスチックを分離する場合には風速を5~8m/s、更には6~7m/sとするのが好ましい。
【0067】
本実施形態では、例えば図1に示す線状物の除去装置を用いて原料、即ちここでは電子電気機器部品屑から電子電気機器部品屑中に含まれる線状物として、線屑を篩い分けする。「線屑」とは銅、銅合金又はアルミニウムなどからなる電子電気機器の機器間配線や機器の内部に使用される電線を意味する。線屑には、被覆線、銅線或いは細長い線状の塊状線屑等が含まれる。具体的には、撚り線、編組から解れた銅線等を線状物として好適に含むことができる。これらの銅線等は短径が小さく、例えば、短径が0.5mm以下、さらには0.2mm以下、より細い材料では、短径が0.05mm程度の材料もある。これらの銅線等の長径は、破砕により50mm未満のものもあるが、50mmを超える物を含む場合もある。
【0068】
線屑は、電子電気機器部品屑を選別する際に他の部品や設備と絡まりやすく、分離精度の悪化や設備トラブルを引き起こす恐れがある。特に、細長い銅線等を含む線屑、特に銅線は柔らかいため、物理選別処理においては特に、他の部品又は他の線状物と絡まりやすい傾向にある。線屑の中でも被覆線には、被覆部分に製錬阻害物質であるSbが約0.3%程度含まれている。被覆線が溶錬炉へ混入することにより、溶錬炉の操業に影響を及ぼすという問題もある。
【0069】
本実施形態では、図1の線状物の除去装置を用いて電子電気機器部品屑から線屑を篩い分けする場合に、被覆線を篩別により分離することで、製錬阻害物質であるSbを溶錬炉の処理の系外へ取り除くことができる。
【0070】
本発明は上記の実施形態を用いて説明したが、各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0071】
2…ロッド
2a…一端
2b…他端
3…フィルター
4…テーブル
5…押さえ部材
7…補強治具
21…梁部
21a…上面
21b…底面
21c…後側面
21d…前側面
22…落下防止具
28…挿入穴
30…フィルター部
71…第1補強部
71a…底面補強部
71b…後側面補強部
72…第2補強部
72a…前側面
72b…後側面
73…角度調整板
74…リブ
74a…前方リブ
74b…後方リブ
75…応力分散部
76a、76b…締結部材
77…第2応力分散部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7