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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019822
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】電子機器および液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/46 20060101AFI20230202BHJP
   H02H 5/00 20060101ALI20230202BHJP
   H01H 9/22 20060101ALI20230202BHJP
   H01H 33/48 20060101ALI20230202BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B41J29/46 Z
H02H5/00
H01H9/22
H01H33/48
B41J29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021124841
(22)【出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】大塚 隆雄
【テーマコード(参考)】
2C061
5G052
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061BB17
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HV10
2C061HV19
2C061HV32
2C061HX10
5G052AA17
5G052AA28
5G052LA08
5G052LB04
(57)【要約】
【課題】危険電圧よりも低い電圧に下がったかどうかをユーザに知らせることを可能にする。
【解決手段】本発明は、電源部の扉の開動作に連動して切替信号を出力するインターロック部と、前記開動作による前記切替信号の出力に基づき、前記電源部と、前記電源部に電力を供給する外部供給電源とを切り離す電力遮断器を電力遮断に切り替える遮断切替部と、前記開動作による前記切替信号の出力に基づき、前記電力遮断器により前記外部供給電源と切り離された前記電源部に含まれている回路に残留する電荷を放電させる放電部と、前記回路の残留電圧レベルと、危険電圧以下の設定電圧レベルとを比較する比較部と、前記比較部で前記残留電圧レベルが少なくとも前記設定電圧レベルまで下がるまで警告信号を出力する警告出力部と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部の扉の開動作に連動して切替信号を出力するインターロック部と、
前記開動作による前記切替信号の出力に基づき、前記電源部と、前記電源部に電力を供給する外部供給電源とを切り離す電力遮断器を電力遮断に切り替える遮断切替部と、
前記開動作による前記切替信号の出力に基づき、前記電力遮断器により前記外部供給電源と切り離された前記電源部に含まれている回路に残留する電荷を放電させる放電部と、
前記回路の残留電圧レベルと、危険電圧以下の設定電圧レベルとを比較する比較部と、
前記比較部で前記残留電圧レベルが少なくとも前記設定電圧レベルまで下がるまで警告信号を出力する警告出力部と、
を有する電子機器。
【請求項2】
前記電源部は、前記回路として、前記外部供給電源から3相のAC電源供給を受けて動作するAC回路を有し、
前記放電部は、前記3相のAC電源供給の第1相、第2相、および第3相の各AC回路に残留する電荷を放電させ、
前記警告出力部は、前記比較部で前記各AC回路の各残留電圧が少なくとも前記設定電圧レベルまで下がるまで警告信号を出力する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電源部は、前記回路として、前記外部供給電源から供給される3相電源を単相にして分配した単相のAC回路をさらに有し、
前記放電部は、さらに前記単相のAC回路に残留する電荷を放電させ、
前記警告出力部は、前記比較部で前記単相のAC回路の各残留電圧が少なくとも前記設定電圧レベルまで下がるまで警告信号を出力する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記警告出力部は、前記各残留電圧レベルが前記設定電圧レベルまで下がった後において警告解除信号を出力し、前記警告信号による警告灯の点灯、前記警告解除信号による安全灯の点灯、または、前記警告信号による警告灯の点灯後において前記警告解除信号により安全灯への点灯の切り替えを行う、
請求項1~3のうちの何れか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
複数の前記扉と、
複数の前記扉に共通の前記警告灯および前記安全灯と、を有する、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
複数の前記扉と、
前記扉ごとに前記警告灯および前記安全灯を組で有し、
前記警告出力部は、開動作を行った扉側に含まれる前記回路の前記残留電圧レベルが少なくとも前記設定電圧レベルまで下がるまで、前記扉側の前記警告灯に警告信号を出力し、開動作を行った扉側に含まれる前記回路の前記残留電圧レベルが前記設定電圧レベルまで下がった後において前記扉側の前記安全灯に警告解除信号を出力する、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項7】
前記放電部は、さらに、前記残留電圧レベルが前記設定電圧レベルまで下がる前に設定時間が経過すると前記残留電圧レベルが前記設定電圧レベルよりも高い前記回路の放電スピードを速くする切り替えを行う、
請求項1~6のうちの何れか一項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記扉を閉じたままテスト動作を行うテスト機能部をさらに有し、
前記テスト機能部は、
テストの開始指示を入力する入力部と、
前記開始指示の入力により、電子機器の起動後にコントローラがオンするリレーをテスト信号によりオンし、前記電力遮断器の切替をテスト信号により指示し、前記放電部による前記回路の残留電荷の放電をテスト信号により指示するテスト信号出力部と、
を有し、
前記比較部は、前記テスト信号出力部の動作に基づいて前記残留電圧レベルと前記設定電圧レベルとを比較し、
前記警告出力部は、前記残留電圧レベルが少なくとも前記設定電圧レベルまで下がるまで警告信号を出力する、
請求項1~7のうちの何れか一項に記載の電子機器。
【請求項9】
記録媒体に液体を吐出する液体吐出部と、
前記液体吐出部の電源部とを有し、
前記電源部は、
前記電源部の扉の開動作に連動して切替信号を出力するインターロック部と、
前記開動作による前記切替信号の出力に基づき、前記電源部と、前記電源部に電力を供給する外部供給電源とを切り離す電力遮断器を電力遮断の状態に切り替える遮断切替部と、
前記開動作による前記切替信号の出力に基づき、前記電力遮断器により切り離された前記電源部に含まれている回路に残留する電荷を放電させる放電部と、
前記回路の残留電圧レベルと、危険電圧以下の設定電圧レベルとを比較する比較部と、
前記比較部で前記残留電圧レベルが少なくとも前記設定電圧レベルまで下がるまで警告信号を出力する警告出力部と、
を有する液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器および液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器は、電源を扉の内側に収容し、電源のメンテナンス等において作業者が感電や火傷をしないように扉にインターロック機構を設けている。作業者が扉を開放すると、インターロック機構が作動し、外部の電源系統からの電子機器への電源供給が物理的に遮断される。
【0003】
特許文献1には、配電盤の自由度をあげる目的で、機械式インターロックを電磁式ブレーカに替える構成が開示されている。また、特許文献2には、回路を非活電状態にさせる目的でインターロック装置を設けた構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来方式のように機械式または電磁式のインターロック機構により外部からの電源供給を物理的に遮断したとしても、扉の開放直後は電源部に残留電荷がある。扉の開放から5秒など既定の時間内に危険電圧以下に下がるものとされてはいるが、想定通りに電圧が下がらないことが仮にあった場合に作業者の安全性を確保することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、危険電圧よりも低い電圧に下がったかどうかをユーザに知らせることが可能なインターロック方式の電子機器および液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電源部の扉の開動作に連動して切替信号を出力するインターロック部と、前記開動作による前記切替信号の出力に基づき、前記電源部と、前記電源部に電力を供給する外部供給電源とを切り離す電力遮断器を電力遮断に切り替える遮断切替部と、前記開動作による前記切替信号の出力に基づき、前記電力遮断器により前記外部供給電源と切り離された前記電源部に含まれている回路に残留する電荷を放電させる放電部と、前記回路の残留電圧レベルと、危険電圧以下の設定電圧レベルとを比較する比較部と、前記比較部で前記残留電圧レベルが少なくとも前記設定電圧レベルまで下がるまで警告信号を出力する警告出力部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、危険電圧よりも低い電圧に下がったかどうかをユーザに知らせることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態にかかる液体吐出装置であるインクジェットプリンタの構成を示した模式図である。
図2図2は、インクジェットプリンタが有する電気設備の構成の一例を示す図である。
図3図3は、扉の外観と扉内の収容部の系統電源入力部の構成の一例を示す図である。
図4図4は、系統電源入力部の回路構成の一例を示す図である。
図5図5は、インターロックの連動でメインブレーカをオフに切り替える駆動部の構成の一例を示す図である。
図6図6は、インターロック部およびインターロック部の構成の一例を示す図である。
図7図7は、系統電源入力部に終端回路を設ける例を示す図である。
図8図8は、終端回路の構成の説明図である。
図9図9は、コンパレータのスレッシュ値の設定の一例を説明する図である。
図10図10は、LEDライトの配置の一例を示す図である。
図11図11は、赤色のLEDライトおよび白色のLEDライトの点灯回路の一例を示す図である。
図12図12は、論理回路の動作説明図である。
図13図13は、変形例1に係るLEDライトの配置の一例を示す図である。
図14図14は、各扉の収容部のそれぞれに赤色のLEDライトと白色のLEDライトを設ける場合の回路構成について説明する図である。
図15図15は、各扉の収容部のそれぞれに赤色のLEDライトと白色のLEDライトを設ける場合の回路構成について説明する図である。
図16図16は、変形例2にかかる終端回路の基本構成の一例を示す図である。
図17図17は、論理回路の説明図である。
図18図18は、コンパレータのスレッシュ値の設定の一例を説明する図である。
図19図19は、変形例3にかかるリレー駆動回路の構成の一例を示す図である。
図20図20は、論理回路における入出力の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、電子機器および液体吐出装置の実施の形態を詳細に説明する。以下では電子機器の一例である液体吐出装置を詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態)
実施の形態にかかる電子機器は、外部からの電源供給で動作する電子機器において適用が可能である。例えば、電子機器は、建物の配電盤等から供給された外部供給電源の一例の3相の系統電源(商用電源、外部AC電源とも呼ばれる)を電子機器の電源部が供給する電力で動作する。そのような電子機器は、用途または目的に応じて構成が異なる。以下では電子機器の一つである液体吐出装置の構成を例に挙げ、電子機器の主に電源部の構成について詳しく説明する。
【0011】
液体吐出装置は、液体吐出部から記録媒体に液体を吐出する液体吐出装置であり、外部供給電源で動作する。液体吐出装置には各種形態があり、例えばインクジェット方式のインクジェットプリンタや、3D造形装置などがある。なお、以下では液体をインクとして説明するがこれに限定するものではない。また、記録媒体を紙として説明するが、これに限定するものではない。例えば記憶媒体は、布またはプラスチックなど他の素材であってもよい。
【0012】
図1は、実施の形態にかかる液体吐出装置であるインクジェットプリンタの構成を示した模式図である。図1に示されるインクジェットプリンタ1は、コントローラボード10と、操作パネル11と、走査機構20と、インク供給ユニット30と、搬送機構40と、電源部50とを有し、これら各部はインクジェットプリンタ1の筐体により保護されている。筐体側面には、インクジェットプリンタ1の電源部50に外部電源(「外部供給電源」に相当)を供給するためのインレット52と、インクジェットプリンタ1の大元の電源スイッチであるメインスイッチM1が設けられている。建物側のコンセントとインレット52が電源コードにより接続されて電源部50に外部電源が供給される。
【0013】
コントローラボード10は、インクジェットプリンタ1全体を統括的に制御する。操作パネル11は、コントローラボード10と通信し、コントローラボード10に各種操作信号を送信する。起動ボタン12が押下されるとコントローラボード10の電源が入り、コントローラボード10が各電気設備と通信するなどしてインクジェットプリンタ1を起動する。
【0014】
走査機構20およびインク供給ユニット30は主に液体吐出部に相当する。走査機構20は、インクジェットヘッド(以下、IJヘッドと呼ぶ)を記録紙の主走査方向(X軸方向とする)または副走査方向(Y軸方向とする)にX軸およびY軸のガイドレールに沿ってモータ駆動する走査機構である。IJヘッドは、キャリッジに装着されて使用され、キャリッジがX軸およびY軸のガイドレールに沿ってモータ駆動することでIJヘッドが記録紙全体を走査する。フラットベット方式のように、記録紙を固定した状態で記録紙を走査する場合に、X軸方向とY軸方向とにキャリッジを移動させる二次元走査を行う。
【0015】
インク供給ユニット30は、IJヘッドにインクを供給するためのインクタンクや、負圧制御部などを有する。
【0016】
搬送機構40は、記録紙を搬送する搬送機構である。なお、搬送機構40は記録紙をY軸方向に送る構成としてもよい。この場合、走査機構20は、キャリッジをX軸方向に移動させる一次元走査を行う。
【0017】
電源部50は、インクジェットプリンタ1の筐体に設けた扉500の内側に収容されている。扉500を開けると電源部50が露出する。作業者などは、電源部50のメンテナンス等の作業を行う場合、扉500を開けて作業を行う。
【0018】
電源部50は、外部電源である系統電源を内部に取り込むための系統電源入力部51(図3参照)を有する。扉500は、インターロック方式の扉である。詳しくは後で説明するが、扉500を開ける開動作に連動して系統電源から系統電源入力部51への電力供給を遮断するインターロック部を採用している。
【0019】
図2は、インクジェットプリンタ1が有する電気設備の構成の一例を示す図である。コントローラボード10は、SoC(System on a Chip)101と、ROM(Read Only Memory)102と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)103と、画像データ処理部104と、IJ制御部105と、駆動制御部106と、IO(Input Output)制御部107と、負圧制御部108と、PHY109とを有する。
【0020】
SoC101は、CPU(Central Processing Unit)およびペリフェラルが内蔵されたチップである。ROM102およびSDRAM103は、プログラムまたはデータを記憶するメモリである。ROM102は、例えばフラッシュROMである。なお、CPUとメモリとを一体化させてSiP(System in a Package)として設けてもよい。
【0021】
画像データ処理部104は、画像ファイルからIJヘッド203向けの画像データへ変換および補正を行う。
【0022】
IJ制御部105は、ヘッドI/Fボード201を介してIJヘッド203の動作や全体の吐出制御を行う。ヘッドI/Fボード201は各アンプ(AMP)202の駆動により各IJヘッド203からインクを吐出させる。図2に示される例では、IJヘッド203は8色8組の構成である。
【0023】
ヘッドI/Fボード201は、アクチュエータI/Fボード211を介してステッピングモータ212、ヒータ213、およびエアポンプ214を制御する。ステッピングモータ212は、8組のIJヘッド203を搭載したキャリッジを駆動する。ヒータ213は、インクサブタンクを余熱する。エアポンプ214は、インク内のエアの排出を行う。
【0024】
なお、インクジェットプリンタ1がフラットベットタイプの構成である場合には、駆動制御部106が、X軸およびY軸のそれぞれに対応するX軸モータドライバ221およびY軸モータドライバ223によりサーボモータ222およびサーボモータ224を駆動する。X軸モータドライバ221は、サーボモータ222のエンコーダが出力する位置出力情報に基づきサーボモータ222を制御する。また、Y軸モータドライバ223は、サーボモータ224のエンコーダが出力する位置出力情報に基づきサーボモータ224を制御する。
【0025】
IO制御部107は、インクジェットプリンタ1が汎用的に備えるインクポンプ231、機構モータ232、扉スイッチ233、リミット/ゼロセンサ234、および負圧センサー235と接続されている。
【0026】
インクポンプ231は、メインタンクからインクを供給するポンプである。機構モータ232は、維持などで用いられる。扉スイッチ233は、扉500の開閉を検知する。
【0027】
リミット/ゼロセンサ234は、X軸およびY軸の駆動系のリミット/ゼロを検知するセンサである。負圧センサー235は、負圧形成のためのセンサである。
【0028】
負圧制御部108は、待機時において本体循環のためにエアポンプ214を駆動する。
【0029】
PHY109は、ネットワークなどのPHYデバイスであり、ホストPC2と接続する。
【0030】
コントローラボード10は、起動ボタン12が押下されると、電源が入り、インクジェットプリンタ1の各電気設備と通信してインクジェットプリンタ1を起動する。また、コントローラボード10は、SoC101で対応プログラムを実行することでインクジェットプリンタ1全体を制御して吐出制御等の処理を行う。図2においてIO以外が外部電源から生成された電力で駆動する電気設備である。各電気設備は、AC(Alternating Current)/IF(InterFase)回路で生成された電力で駆動する。なお、電気設備はDC駆動またはAC駆動に限定されずどちらでもよい。インクジェットプリンタは、大型になるほど、その大きさおよび重量から、駆動モータにAC駆動モータが採用されるため、外部電源からDC(Direct Current)用の電力とAC用の電力とが生成されて各電気設備がそれぞれ駆動する。
【0031】
続いて、各電気設備へ系統電源を分配する電源部50の構成について説明する。まず、電源部50のインターロックの構成について説明し、続いて電源部50の電気系統の回路構成を詳細に説明する。
【0032】
図3は、扉500の外観と扉500内の収容部の系統電源入力部51の構成の一例を示す図である。図3には一例として、3相と単相3系統の系統電源入力部51を別々の扉500に収容した例が示されている。なお、ここでは2つの扉500を例に説明するが、扉500の数を2つに限定するものではない。系統電源入力部の規模に応じて、扉の数をさらに増やしてもよいし、1つに減らしてもよい。例えば系統電源入力部51が単相1系統などの小規模の場合には1つの扉500に収容してよい。いずれの場合でも、以下の1つの扉に対する構成を適用することが可能である。
【0033】
図3(a)は、別々の扉500である2つの扉500-1および扉500-2の外観図であり、図3(b)は、扉500-1および扉500-2に収容された3相と単相3系統の系統電源入力部51の配電盤51-1、51-2の外観図である。ここでインレット52は、扉500-1および扉500-2の外側の筐体側面に設けられている。建物側のコンセントとインレット52が電源コードにより接続され、系統電源入力部51に系統電源が供給される。
【0034】
インレット52から供給される系統電源はインクジェットプリンタ1のメインスイッチM1が手動でオンに切り替えられることにより配電盤51-1および配電盤51-2に供給される。
【0035】
図3(a)に示されるように、扉500-1および扉500-2には、それぞれレバー501およびレバー502が設けられている。扉500-1および扉500-2は、それぞれ、レバー501およびレバー502の操作により開放する。扉500-1、500-2を開放する動作を開動作と言う。図3(b)に示されるインターロック511およびインターロック512は、それぞれ、扉500-1および扉500-2の開動作に連動して系統電源入力部51への外部電源の供給を遮断する切替信号を出力する装置である。
【0036】
図4は、系統電源入力部51の回路構成の一例を示す図である。メインスイッチM1が手動でオンにされると、系統電源がインレット52からメインブレーカB1を介して系統電源入力部51に供給される。図4に示されるように、インレット52は、3相つまり第1相L1、第2相L2、および第3相L3のそれぞれのライブ線(L線)と、ニュートラルのN線と、アース(PE)とに接続される。系統電源入力部51は、インレット52から3相のAC電源供給を受け、3相そのままの電源と、3相の中の各1相とニュートラルNとの組み合わせの3つの単相2線の電源とに分電して、対応する各AC/IF回路に供給する。ここで、各ACI/F回路は「AC回路」に相当する。
【0037】
ACI/F回路801は、インクジェットプリンタ1が大型であればあるほど重量が増し、大出力モータや大吸排気ブロアなどがAC3相駆動になるため、3相の系統電源をそのまま供給している。つまり、ACI/F回路801には、第1相のL1線に対応するL1A線、第2相のL2線に対応するL2A線、第3相のL3線に対応するL3A線がそのまま接続される。ACI/F回路801は、インバータやフィルタなどがメインの回路であり、ケーブルで接続した大出力モータや大吸排気ブロアなどをAC3相で駆動する。
【0038】
ACI/F回路802は、第1相のL1線から分岐したL1B線とニュートラルのN線から分岐したN_B線が接続されている。つまり、ACI/F回路802には単相2線式の電源が分配されている。ACI/F回路802は、DC電源生成回路を有し、例えばコントローラなど各DC回路に必要なDC電圧を供給する。
【0039】
ACI/F回路803は、第2相のL2線から分岐したL2C線とニュートラルのN線から分岐したN_C線が接続されている。つまり、ACI/F回路803にも単相2線式の電源が分配されている。ACI/F回路803はフィルタを介し、AC単相駆動のサーボモータもしくはサーボモータドライバにケーブルなどで電力を供給する。
【0040】
ACI/F回路804は、第3相のL3線から分岐したL3D線とニュートラルのN線から分岐したN_D線が接続されている。つまり、ACI/F回路804にも単相2線式の電源が分配されている。本例のように8つなど多数のIJヘッド203を有する場合、IJヘッド203の駆動電圧を生成するAMP202の回路は多くの電力を消費する。ACI/F回路804は高電圧で大電流を供給できるDC生成回路を装備しており、AMP202をDC駆動する。
【0041】
ここで、ACI/F回路801~ACI/F回路804は、残留する電荷を有する「回路」の一例である。残留する電荷を有する「回路」は、電子機器の構成によってはACI/F回路801だけの場合もあり得るが、本実施の形態のようにACI/F回路802、803、804の全て、あるいは何れかの一つが含まれる場合もある。なお、「回路」を、これらの構成に限定するものではない。電気設備の数や規模により、数、分け方、さらには構成なども異なってもよい。例えばフィルタだけの場合や、場合によっては他にヒューズだけの場合もある。また、高性能なDC生成回路や電圧調整回路などが付加される場合もある。
【0042】
分電後の3相のACI/F回路801と、分電後の各単相2線式のACI/F回路802、803、804には、それぞれに対応するリレーRE1、RE2、RE3、RE4が設けられている。各リレーRE1、RE2、RE3、RE4は、コントローラボード10のコントローラの指示で動作する。コントローラボード10の指示により何れかのリレーRE1、RE2、RE3、RE4をクローズさせることにより、クローズしたリレーRE1、RE2、RE3、RE4に対応する電気設備の電源がオンする。例えば、リレーRE1がクローズすると、3相モータの電源がオンする。また、リレーRE2がクローズすると、各種DC回路の電源がオンする。また、リレーRE3がクローズすると、サーボモータの電源がオンする。また、リレーRE4がクローズすると、AMPの電源がオンする。
【0043】
なお、この例では、メインブレーカB1を「電力遮断器」として分電の前段に設けているが、分電後のそれぞれの電路に「電力遮断器」として個別ブレーカを設けてもよい。
【0044】
リレーRE2は、メインスイッチM1がオンにされ、起動ボタン12が押されるとクローズし、コントローラボード10に電源が入る。コントローラボード10は、動作に応じてリレーRE1、RE3、RE4の一つまたは複数をクローズさせて、必要な電気設備の電源をオンにする。
【0045】
図5は、インターロックの連動でメインブレーカB1をオフに切り替える駆動部の構成の一例を示す図である。ここで、駆動部は「遮断切替部」の一例であり、メインブレーカB1をオフに切り替えるつまり電力遮断に切り替えることにより外部電源とを切り離す。図5に示されるように、駆動部811は、シャントスイッチSW1をリレーRE5およびリレーRE6により駆動する構成により、シャントスイッチSW1がメインブレーカB1の各スイッチをオフ側(電力遮断側)に物理的に切り替える。メインブレーカB1の各スイッチは物理的に一度オン側にされると、その後はオンのままであるため、扉開放時に駆動部811によりすべてオフに切り替える。リレーRE5およびリレーRE6は、扉500-1および扉500-2が開いているときオープンで、閉まっているとクローズになる。
【0046】
シャントスイッチSW1は、例えばアクチュエータにより駆動バー8110を一方向に進退させる駆動部を伴う。どちらかの扉500-1および扉500-2が開放されるとシャントスイッチSW1の検知信号がLowになり、駆動バー8110が一方向に移動してメインブレーカB1の各物理スイッチを物理的にオフに切り替えて初期位置に戻る。なお、メインブレーカB1をオンにする場合は安全規格上、自動ではなく手動で行う。メインブレーカB1をオンにする場合、一旦メインスイッチM1をオフにしてからメインブレーカB1をオンにし、それから扉500-1および扉500-2を閉じて、再度メインスイッチM1をオンにすれば、再度電源の投入が可能である。
【0047】
図6は、インターロック部511およびインターロック部512の構成の一例を示す図である。インターロック部511はリレーRE5をオープンに制御し、インターロック部512はリレーRE6をオープンに制御するように構成されている。インターロック部511およびインターロック部512は共に同様の構成である。ここではインターロック部511の構成を説明し、インターロック部512の説明は繰り返しの説明になるため省略する。
【0048】
図6(a)は、扉500-1を開放したときのリレーRE5の状態を説明する図であり、図6(b)は、扉500-1を閉じているときのリレーRE5の状態を説明する図である。
【0049】
図6(a)に示されるように、インターロック機構K1は内部がバネ式であり、扉500-1の開閉に応じてプッシュロッド5000が進退する。スイッチSW2は、プッシュロッド5000の進退に伴ってオープンおよびクローズに切り替わる。この例では、扉500-1が開いているときにスイッチSW2がクローズし、扉500-1が閉じているときにスイッチSW2がオープンになる。
【0050】
図6(a)に示されるように、スイッチSW2がクローズの場合、トランジスタTrはベースがアースに接続されオフする。これにより、装置電源V1から抵抗R1を介してコイルC1に電流が流れて、b接点のリレーRE5は開いた状態となる。また、図6(b)に示されるように、スイッチSW2がオープンの場合、装置電源V1から抵抗R2を介してトランジスタTrのベースに駆動電圧が印加されてトランジスタTrはオンする。これにより、抵抗R1を介してトランジスタTrのエミッタ-コレクタ間に電流が流れ、リレーRE5はコイルC1により駆動せずに閉じた状態となる。
【0051】
図5に示されるようにリレーRE5およびリレーRE6は直列接続されている。このため、扉500-1および扉500-2の両方が閉じられていないと、リレーRE5およびリレーRE6の一方がオープンであるため、シャントスイッチSW1への入力がオフとなって駆動バー8110によりメインブレーカB1が切られる。
【0052】
図7は、系統電源入力部51に終端回路を設ける例を示す図である。ここで、終端回路は、系統電源入力部51に含まれている回路に残留する電荷を放電する「放電部」に相当する。図7には、ACI/F回路とリレーとの間の電路に終端回路を設けた例を示している。この例では、各ACI/F回路801、802、803、804のそれぞれと各リレーRE1、RE2、RE3、RE4との間の電路に、それぞれ終端回路901、902、903、904を設けている。なお、各ACI/F回路801、802、803、804に対し、対応する終端回路901、902、903、904を含めて構成してもよい。
【0053】
図8は、終端回路901、902、903、904の構成の説明図である。終端回路901、902、903、904はそれぞれ同じ基本構成を有する。そこで、ここでは一つの終端回路(終端回路900とする)の基本構成について説明する。
【0054】
終端回路900は、放電切替部950と切替駆動部970とを備える。図8には、放電切替部950の一例として、ACI/F回路のAC入力(L**とN_*)にソリッドリレー951と、残留電荷を放電するためのシャント抵抗952とを接続した構成のものを示している。切替駆動部970は、ソリッドリレー951のオンオフを切り替える駆動回路である。なお、「放電部」は主に放電切替部950に対応するが、「放電部」に切替駆動部970が含まれてもよい。
【0055】
ここで、L**は、L1A、L2A、L3A、L1B、L2C、およびL3Dのことであり、N_*は、N_A、N_B、N_C、およびN_Dのことである。ACI/F回路801では3相(L1A、L2A、L3A)の供給があるため、L1A-N_Aの組み合わせ、L2A-N_Aの組み合わせ、L3A-N_Aの組み合わせのそれぞれに一つずつの、計3セットの放電切替部950を備える。つまり第1相、第2相、および第3相の回路毎に残留電荷の放電を行う。ACI/F回路802~804は単相2線式のため、それぞれ放電切替部950を1セットを備える。切替駆動部970については、ACI/F回路801~804はそれぞれ1セットを備える。
【0056】
また、DMON信号はそれぞれの切替駆動部970に供給される共通の信号である。
【0057】
シャント抵抗952のうち、L**線側の電位はコンパレータ953により2値化される。つまりコンパレータ953は、L**線側から検出される残留電位がコンパレータ953に設定されているスレッシュ値以上のレベルではHigh、スレッシュ値未満のレベルではLowの2値で出力する。扉の開放とともにL**線側の電位が上がり、扉の開放直後はTL信号がHighになり、放電により残留電位がスレッシュ値より下回るとTL信号がLowになる。つまり、コンパレータ953は「比較部」としてACI/F回路の残留電圧レベルと、設定電圧レベルである危険電圧以下の危険電圧レベルとを比較している。
【0058】
コンパレータ953は、AC成分を含んでいることがあるため、コンパレータ953としてヒステリシスコンパレータを使用する。なお、実験によりAC成分をカットするフィルタを用いてもよい。コンパレータ953により2値化されて出力されるTL信号は論理回路Z(図11参照)に入力される。
【0059】
なお、シャント抵抗952は、十分な定格電流を有するセメント抵抗などを採用することができる。
【0060】
切替駆動部970は、放電切替部950による放電のオンオフを切り替える駆動回路である。図8に示す例では、切替駆動部970は、ソリッドリレー951のオンオフを切り替える。切替駆動部970は、インターロックスイッチ検知回路1000から入力されるDMON信号のレベルに応じてソリッドリレードライブC2を駆動する。
【0061】
DMON信号は、2つの扉のうちの1つのでも開放しているとLowになり、2つの扉が両方とも閉まっているとHighになる信号である。DMON信号がLowの場合、トランジスタTr2はオフし、抵抗R1を介してソリッドリレードライブC2に電流が流れてソリッドリレー951がオンする。つまり、ソリッドリレー951のオンによりACI/F回路のAC入力のL**とN_*との間にシャント抵抗952が接続され、ACI/F回路の残留電荷が放電される。
【0062】
一方、DMON信号がHighの場合は、トランジスタTr2がオンし、ソリッドリレードライブC2がオフしてソリッドリレー951がオフに切り替わる。つまり、L**とN_*との間に接続されたシャント抵抗952が切り離される。
【0063】
なお、図8に示される電源V2は、図6に示されるインターロック部511で使用され電源V1とは別の電源であってよい。例えば電源V2は、2次電池またはキャパシタ電源とすることにより、電源V1とは別に常時供給されるものとする。なお、2次電池またはキャパシタ電源は、本体の電源V1がオンしている間に充電されるものとする。
【0064】
インターロックスイッチ検知回路1000は、インターロック部511、512と共に「インターロック部」の一例として示しており、「インターロック部」が出力する「切替信号」の一例としてDMON信号を出力する。インターロックスイッチ検知回路1000は2つのインターロック部511、512のそれぞれの接点(DUAL接点)をAND600で論理演算してHighまたはLowのDMON信号を切替駆動部970に出力する。インターロック部511、512のDUAL接点には、図6とは別の接点を使用する。
【0065】
ここで、国際標準規格ISO13849の要求に従う必要がある場合には、信頼性の高いインターロックスイッチに変更したり、メインブレーカM1の動作をモニターする安全リレーなどに変更したりすればよい。また、一例としてDUAL接点を使用したが、ISO13849でDUAL接点を用いなければならないときには、多重化させて使用するか、別途接点を用意するかを、適宜決めてよい。
【0066】
図9は、コンパレータ953のスレッシュ値の設定の一例を説明する図である。図9(a)には、扉を開放した後における系統電源入力部51の残留電圧の変化を示している。縦軸を残留電圧とし、横軸を経過時間として変化を示している。扉の開放に伴いインターロック機構によりメインブレーカがオフするため、分配先の各ACI/F回路の残留電圧は時間経過と共に低下する。3つのカーブは、それぞれ、3相モータと、サーボモータと、コントローラおよびAMPの各残留電圧の変化を示している。コントローラとAMPは共に同じような変化となるため一つのカーブで示している。
【0067】
ここで、国際電気標準会議IEC60204-1などの安全規格では危険電圧以下にする時間の基準が5秒以内である。残留電圧は、図9(a)に示されるようにそれぞれ低下するが、一般的な放電特性に従うと、負荷が重い場合に残留電圧はより緩やかに低下する。
【0068】
インクジェットプリンタは、ACI/F回路も多岐にわたり、回路が複雑である。そのため、各ACI/F回路において負荷の差によりそれぞれの残留電圧の低下するスピードが異なる。従って、残留電圧の低下するスピードが緩やかになるところも局所に存在する。また、ACI/F回路が異常や故障を起こしている場合に、残留電圧が正常時と同様のカーブで下がるかは分からず、経過時間だけでは、確実に危険電圧以下で安全であるとは言い切れない。
【0069】
また、図9(a)に示す危険電圧(危険電圧スレッシュ)の値は一義的に決められたものである。この値が満たされていたとしても、人によっては、かなりのしびれや不快感を伴うことも考えられる。
【0070】
図9(b)は、コンパレータ953のスレッシュ値の設定を示す図である。上述の通り、安全規格で決められた危険電圧は完全に安全とは言えない。図9(b)に示すように、危険電圧スレッシュより低い電圧値のところにコンパレータのスレッシュを設定する。
【0071】
コンパレータのスレッシュつまり設定電圧レベルは、危険電圧スレッシュつまり危険電圧レベルより低い電圧であればよい。例えば、対象のインクジェットプリンタにおいて局所的に放電が遅いところがなければ、予め放電特性を検証し、危険電圧に安全係数を上乗せして得た低い電圧に、コンパレータのスレッシュを設定する。この場合、コンパレータのスレッシュは、安全係数の大きさによって危険電圧に近いところに設定される場合もあり得る。安全係数は、適宜定めてよい。例えば、個人差を考慮した値や、子供を想定した値などで適宜定めてよい。このように安全係数の大きさによっては、コンパレータのスレッシュがより低いところに設定される場合もあり得る。
【0072】
以上のように、危険電圧より低い電圧値のところにコンパレータのスレッシュを設定することにより、危険電圧よりも低い電圧になったことを確実に検出することができる。
【0073】
(LEDの構成)
図10は、LEDライトの配置の一例を示す図である。図10は、扉500-1および扉500-2の収容部を示している。それぞれ系統電源入力部51の配電盤51-1、51-2が構成されている。収容部の奥行は150mmほどであり、収容部に赤色のLEDライトLD1と白色のLEDライトLD2を配置する。赤色のLEDライトLD1は危険を警告する場合に点灯する「警告灯」に相当し、白色のLEDライトLD2は安全であることを示す「安全灯」に相当する。白色のLEDライトLD2は作業しやすいように照明する照明灯も兼ねている。
【0074】
例えば、赤色のLEDライトLD1は配電盤全体をぼんやりと照らす程度でもよいので、収納部の一側面の奥行側に配置し、白色のLEDライトLD2は配電盤の部品を照射するように、赤色のLEDライトLD1より手前側に配置する。白色のLEDライトLD2は配電盤の部品を照射する向きに傾けて配置してもよい。
【0075】
図11は、図11は、赤色のLEDライトLD1および白色のLEDライトLD2の点灯回路の一例を示す図である。ここで点灯回路は、「警告信号」を出力する「警告出力部」の一例である。この例では、赤色のLEDライトLD1および白色のLEDライトLD2を警告出力部に含めている。図11に示す点灯回路1100は、論理回路Zから「警告信号」および「警告解除信号」として駆動制御信号LEDC1を出力し、赤色のLEDライトLD1の点灯を切り替える。また、点灯回路1100は、論理回路Zから「警告信号」および「警告解除信号」として駆動制御信号LEDC2を出力し、白色のLEDライトLD2の点灯を切り替える。
【0076】
論理回路Zは、コンパレータ953から出力されたTL信号と、インターロックスイッチ検知回路1000のAND600から出力されたDMON信号の入力から論理演算を行い、演算結果に基づき「警告信号」および「警告解除信号」の駆動制御信号LEDC1および駆動制御信号LEDC2を出力し、赤色のLEDライトLD1および白色のLEDライトLD2の点灯を切り替える。図8に示す放電切替部950は6つあるため、論理回路Zには、6つの放電切替部950それぞれのコンパレータ953からの6つのTL信号が入力される。論理回路Zは、演算結果として赤色のLEDライトLD1および白色のLEDライトLD2のそれぞれの駆動制御信号LEDC1および駆動制御信号LEDC2を生成し、それぞれトランジスタTr11およびトランジスタTr12に入力する。
【0077】
駆動制御信号LEDC1がHighの場合、トランジスタTr11がオンし、赤色のLEDライトLD1は、電源V2から抵抗R12を介して電流が流れて点灯する。一方、駆動制御信号LEDC1がLowの場合は、電圧が抵抗R11を介してLowレベルに降下し、トランジスタTr11はオフする。つまり赤色のLEDライトLD1は、電流が流れず消灯する。
【0078】
また、駆動制御信号LEDC2がHighの場合、トランジスタTr12がオンし、白色のLEDライトLD2は、電源V2から抵抗R14を介して電流が流れて点灯する。一方、駆動制御信号LEDC2がLowの場合は、電圧が抵抗R13を介してLowレベルに降下し、トランジスタTr12はオフする。つまり白色のLEDライトLD2は、電流が流れず消灯する。
【0079】
ここでは点灯回路1100の一例としてトランジスタ1段の構成を示したが、LEDライトの照度を上げるためには大電流が必要な場合は、適当なドライブ回路に替えてもよい。
【0080】
(論理回路の動作)
図12は、論理回路Zの動作説明図である。図12を参照して、扉の開放から扉を閉じるまでの期間の論理回路Zの動作について説明する。論理回路Zには、DMON信号と6つのTL信号とが入力される。何れのTL信号も、残留電圧がスレッシュ以上ではコンパレータ953からHighが出力されるため、扉の開放直後はHighの入力となる。また、時間の経過により残留電圧がスレッシュを下回るとコンパレータ953からLowが出力され、Lowの入力になる。
【0081】
図12には、説明のため6つのTL信号のうちの最も速く設定電圧を下回るTL信号の入力パターンと、最も遅く設定電圧を下回るTL信号の入力パターンとを示している。各TL信号の入力パターンは、扉の開放直後は共にHighの入力になるが、参照先のACI/F回路の残留電圧が設定電圧を下回るまでの時間がそれぞれ異なるので、それぞれのコンパレータ953に応じてTL信号がLowの入力になるタイミングが異なる。
【0082】
すべてのACI/F回路の残留電圧がスレッシュを下回ったところで、すべてのTL信号でLowの出力になる。そこで警告の意味である赤色のLEDライトLD1は、扉の開放直後からすべてのTL信号がLowの出力になる設定電圧まで下がるまで、警告信号が出力されて点灯し、設定電圧を下回ってから消灯する。白色のLEDライトLD2は赤色のLEDライトLD1の消灯後に点灯する。
【0083】
図12において、論理回路Zは、扉の開閉をDMON信号で検出する。論理回路Zは、扉の開放後、すべてのTL信号がLowになるまで、赤色のLEDライトLD1の駆動制御信号LEDC1をHighで出力し続ける。また、すべてのTL信号がLowになったら、駆動制御信号LEDC1をLowに切り替えて出力する。また、論理回路Zは、TL信号がHighのとき白色のLEDライトLD2の駆動制御信号LEDC2をLowで出力し続け、すべてのTL信号がLowになったら、駆動制御信号LEDC2をHighに切り替えて出力する。なお、DMON信号は、一方の扉が開いているとHighになり、両方が閉じられているとLowになるため、DMON信号がHighの入力の場合に、TL信号の入力レベルに応じた駆動制御信号LEDC1および駆動制御信号LEDC2を出力し、DMON信号がLowの入力の場合に、駆動制御信号LEDC1および駆動制御信号LEDC2をLowで出力する。
【0084】
なお、本実施の形態では、危険電圧以下の設定電圧になるまで赤色のLEDライトLD1を点灯し、危険電圧以下の設定電圧になったら、赤色のLEDライトLD1から白色のLEDライトLD2の点灯に切り替える例を示したが、これに限らない。例えば、赤色のLEDライトLD1だけを設けて、危険電圧以下の設定電圧になるまで赤色のLEDライトLD1を点灯し、危険電圧以下の設定電圧になったら、赤色のLEDライトLD1を消灯するという構成としてもよい。また、白色のLEDライトLD2だけを設けて、危険電圧以下の設定電圧になったら白色のLEDライトLD2を点灯するという構成としてもよい。
【0085】
また、危険電圧以下であるかどうかをLEDライトの点灯でユーザに知らせる例を示したが、LEDライト以外の手段を用いてもよい。例えば、ブザーなどの音や、警告画面の表示などで危険電圧以下であるかどうかを知らせるようにしてもよい。いずれにしても、駆動制御信号LEDC1および駆動制御信号LEDC2などの警告信号を使用するなどして、ユーザが確認可能なインターフェースにより危険電圧以下であるかどうかを知らせるようにする。
【0086】
以上により、扉が開かれると、安全規格で決められた危険電圧、あるいは安全規格よりもより安全な電圧に下がったかどうかを、ユーザに知らせることができるため、作業者はより安全に電源部の作業を行うことが可能になる。
【0087】
(変形例1)
実施の形態では、扉500-1および扉500-2のそれぞれに共通の赤色および白色のLEDライトを設ける例を示したが、扉500-1および扉500-2にそれぞれ独立して駆動する赤色および白色のLEDライトを設けてもよい。
【0088】
図13は、変形例1に係るLEDライトの配置の一例を示す図である。図13に示されるように、扉500-1および扉500-2の収容部のそれぞれに、赤色のLEDライトLD1と白色のLEDライトLD2を配置する。ここで、扉500-1側では、赤色のLEDライトLD11と白色のLEDライトLD12が赤色のLEDライトLD1と白色のLEDライトLD2に対応し、扉500-2側では、赤色のLEDライトLD21と白色のLEDライトLD22が赤色のLEDライトLD1と白色のLEDライトLD2に対応する。
【0089】
図14および図15は、扉500-1および扉500-2の収容部のそれぞれに赤色のLEDライトLD1と白色のLEDライトLD2を設ける場合の回路構成について説明する図である。図14に示されるように、インターロック部511およびインターロック部512から出力される開閉検知信号であるDMON1およびDMON2を、図15に示されるように論理回路Zに入力させる。
【0090】
DMON1の信号は、扉500-1が開放するとLowになり、扉500-1が閉まるとHighになる。また、DMON2の信号は、扉500-2が開放するとLowになり、扉500-2が閉まるとHighになる。
【0091】
また、図15に示されるように、点灯回路として、扉500-1側の赤色のLEDライトLD11および白色のLEDライトLD12の点灯回路2001および点灯回路2002と、扉500-2側の赤色のLEDライトLD21および白色のLEDライトLD22の点灯回路2003および点灯回路2004とを設ける。
【0092】
論理回路Zは、6つのTL信号と、2つの開閉検知信号(DMON1およびDMON2)とを入力し、それらの演算結果に基づき、点灯回路2001、2002、2003、2004の駆動制御信号LEDC1、LEDC2、LEDC3、LEDC4を出力する。点灯回路は、例えば図11に示す構成のものが利用できる。駆動制御信号がHighの場合、トランジスタTrがオンし、LEDライトが点灯する。一方、駆動制御信号がLowの場合、トランジスタTrがオフし、LEDライトが消灯する。
【0093】
つまり、論理回路Zは、扉500-1の開閉をDMON1で検出し、扉500-2の開閉をDMON2で検出する。論理回路Zは、例えば扉500-1の開放後、扉500-1に収容されている配電盤のTL信号がすべてLowになるまで、赤色のLEDライトLD1の駆動制御信号LEDC1をHighで出力し続ける。また、そのすべてのTL信号がLowになったら、駆動制御信号LEDC1をLowに切り替えて出力する。また、論理回路Zは、それらのTL信号が一つでもHighのとき白色のLEDライトLD2の駆動制御信号LEDC2をLowで出力し続け、それらのTL信号がすべてLowになったら、駆動制御信号LEDC2をHighに切り替えて出力する。扉500-2についても独立して同じように動作する。
【0094】
(変形例2)
実施の形態では、終端回路の利用により各ACI/F回路の残留電荷を放電させる例を示した。なお、放電が遅い場合もあるため、ここでは変形例2として、扉の開放から所定時間が経過すると放電効果をより高める構成を説明する。
【0095】
図16および図17は、変形例2にかかる構成の説明図である。図16は、変形例2にかかる終端回路900の基本構成の一例を示す図である。図16には、放電効果を高めるために、抵抗を並列接続にした例を示している。なお、この構成は一例であり、これに限定するものではない。その他にも、放電効果を高める構成であれば適宜適用してもよい。
【0096】
図16に示されるように、終端回路900において、シャント抵抗952が第1のシャント抵抗であり、第1のシャント抵抗952に放電効果を高める構成として第2のシャント抵抗956を並列に設けている。第2のシャント抵抗956は、第2のシャント抵抗956と直列に接続したソリッドリレー955で接続を切り替える。
【0097】
図17は、変形例2にかかる論理回路Zの説明図である。論理回路Zには、タイマーが組み込まれている。論理回路Zは、DMON信号がHighになるとタイマーを走らせ、タイマーのカウント値が予め設定した設定時間(例えば安全規格の倍の10秒を示す値)になると、残留電圧が設定電圧レベルよりも高いACI/F回路の放電スピードを速くする切り替えをSHUNTC信号を終端回路900に出力して行う。スレッシュ値にもよるが安全規格以上の時間で残留電圧がスレッシュ値以下にならないと、異常または故障の場合もあり得る。そこで、予め決められた時間になると論理回路ZからSHUNTC信号を出力してソリッドリレー955をドライブする。これにより、ソリッドリレー955がACI/F回路のAC入力のL**とN_*との間にシャント抵抗956を接続し、そのACI/F回路の残留電荷の放電スピードを速くする。
【0098】
図16に示すように、ソリッドリレー955は、論理回路Zでドライブすることができるリレーを適用することにより、論理回路ZからSHUNTC信号によりドライブする。また、終端回路900にソリッドリレードライブを設けて、論理回路ZからSHUNTC信号によりドライブするようにしてもよい。また、終端回路900にソリッドリレー955に対応するドライブ回路として、切替駆動部970に示すような構成のドライブ回路を設けてもよい。ソリッドリレー955に対応するドライブ回路のトランジスタTrにはSHUNTC信号を入力する。
【0099】
図18は、コンパレータ953のスレッシュ値の設定の一例を説明する図である。図18には、図9と同様に、3相モータと、サーボモータと、コントローラおよびAMPの各残留電圧の変化を示している。図18に示される扉開放からカウントアップが開始され、設定されたカウントアップ値で3相モータの放電効果を高めている。
【0100】
なお、図18は3相モータを一つのカーブで表現しているが、第1相、第2相、および第3相でそれぞれカーブが異なる。そのため、3相モータと3相モータ以外との放電時間の差に限らず、3相モータ内の各相における放電時間に差がある場合もある。よって、各相についてスレッシュレベルTLを個別にタイマーで監視し、タイムアップした相に対応する終端回路にだけSHUNT信号を出力してもよい。
【0101】
また、長い期間が経過してもタイムアップしない場合は、大きな故障ではないが故障と言える。この場合、赤色のLEDが点灯し続け、白色のLEDの点灯に切り替わらないので、ユーザは故障と判断することができる。
【0102】
以上により、設定されたカウントアップ値で放電効果が高められることにより、カウントアップ値からの残留電圧の低下スピードが速くなる。また、放電効果を高める設定に切り替えた場合、切り替えない場合のコンパレータ953のスレッシュ値(Th1)に比べて、より低いスレッシュ値(Th2)を設けることもできる。
【0103】
(変形例3)
変形例3では、扉を動作させずに始業時にLEDライトの点灯のテスト動作を実施する場合の構成について説明する。インクジェットプリンタには起動ボタンが設けられており、本稼働の際は、起動ボタンにより起動してコントローラボード10によりリレーRE1、RE2、RE3、RE4を適宜クローズして装置全体を制御する。変形例3では、起動ボタンで起動を行わずにLEDライトの点灯のテスト動作を実施するため、テスト機能部を有し、テスト開始を指示するための「入力部」としてプッシュスイッチを設けている。メインスイッチM1をオンして、プッシュスイッチをオンにすることにより、テスト機能部が点灯のテスト動作を実施する。なお、テスト動作では扉500を開動作させないため、インターロックは作動せず、メインブレーカB1はオンのままである。
【0104】
図19および図20は、変形例3にかかる構成の説明図である。図19および図20には、テスト機能部の主な構成を示している。図19は、変形例3にかかるリレー駆動回路の構成の一例を示す図である。図19には、各種リレーのリレー駆動回路の一つの単位構成を示している。抵抗R1、抵抗R2、トランジスタTr3(Tr)、およびリレードライブにより、1つまたは複数のリレーが駆動される。
【0105】
変形例3において、リレー駆動回路は、トランジスタTr3のオンオフを切り替えるためのトランジスタTr4を設けている。トランジスタTr4は、論理回路Zからのテスト信号(TESTDR*)によりトランジスタTr3をテスト駆動する。テスト信号がLowの場合、トランジスタTr4がオフしてトランジスタTr3がオフする。テスト信号がHighの場合、トランジスタTr4がオンしてトランジスタTr3がオンする。
【0106】
図20は、論理回路Zにおける入出力の一例を示す図である。論理回路Zには、プッシュスイッチSW5からの入力を追加している。また、論理回路Zには、「テスト信号出力部」としてトランジスタTr4のドライブ出力(TESTDR1~4)を追加している。
【0107】
メインスイッチM1がオンにされ、テスト開始用のプッシュスイッチSW5がプッシュされると、論理回路Zにプッシュ信号が入力する。プッシュ信号の入力があると、論理回路Zは、DMON信号として扉が開いたときのDMON信号が仮想的に入力されているものとして、次の内部動作を行う。
【0108】
まず、論理回路Zは、リレーRE1~RE4の各リレー駆動回路に短い間だけTESTDR1~4を出力し、短い間だけリレーRE1~RE4をオンにする。各リレーRE1~RE4はコントローラボード10で駆動されるが、このようにトランジスタTr4を駆動することで各リレーRE1~RE4をオンにすることができる。この間、論理回路ZはLEDC1およびLEDC2を出力しないようにする。
【0109】
論理回路Zは、信号を監視し、所定の動作を行ったら、LEDを点灯させる。エラーのときは別のLEDを点灯してもよいが、点滅するようにしてもよい。
【0110】
例えば、論理回路Zは、メインブレーカをオフするリレーをTESTDR*の出力によりオンにし、さらに、終端回路900をオンするソリッドリレー951をTESTDR*の出力によりオンする。そして、論理回路Zは、TL信号を監視し、TL信号のうちの一つでもコンパレータのしきい値以下の危険電圧以下になっていないものがある場合は、LEDC1で赤色のLEDライトLD1を点灯し、すべてのTL信号がコンパレータのしきい値以下の危険電圧以下になったら、LEDC1で赤色のLEDライトLD1は消灯し、LEDC2で白色のLEDライトLD2を点灯する。以上により、シャント抵抗が働き、LEDライトが駆動できることを確認することができる。
【0111】
本実施の形態および各変形例では、インクジェットプリンタを例に電源部の構成について詳しく説明したが、インクジェットプリンタなどの液体吐出装置に限定されるものではない。ACI/F回路が少なくとも一つ含まれる電子機器であればいずれも対象に含まれる。
【0112】
以上、本発明の実施の形態および変形例をいくつか説明したが、本実施の形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの各実施の形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
1 インクジェットプリンタ
10 コントローラボード
11 操作パネル
20 走査機構
30 インク供給ユニット
40 搬送機構
50 電源部
51 系統電源入力部
52 インレット
500、500-1、500-2 扉
511、512 インターロック
801、802、803、804 ACI/F回路
811 駆動部
900、901、902、903、904 終端回路(放電部)
950 放電切替部
951 ソリッドリレー
952 シャント抵抗
953 コンパレータ
970 切替駆動部
1000 インターロックスイッチ検知回路
1100 点灯回路
B1 メインブレーカ
C1 コイル
K1 インターロック機構
RE1、RE2、RE3、RE4、RE5、RE6 リレー
LD1 赤色のLEDライト
LD2 白色のLEDライト
M1 メインスイッチ
SW1 シャントスイッチ
Z 論理回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0114】
【特許文献1】特開平11-234816号公報
【特許文献2】特開2000-276984号公報
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